以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態の複合機(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を模式的に示すブロック図である。MFP1は、電話機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの複数の機能を有する。本実施形態のMFP1は、ファクシミリ機能による誤送信の発生を抑制できるように構成されている。
MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、操作キー15、LCD16、送受話器17、デジタルコードレス通信制御回路19(以下、「DCL(Digital Cordless)通信制御回路19」と称す)、スキャナ21、プリンタ22、インターネットインターフェイス25(以下、インターネットI/F25と称す)、NCU26、モデム27を主に有している。
CPU11、ROM12、RAM13は、バスライン28を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、送受話器17、DCL通信制御回路19、スキャナ21、プリンタ22、インターネットI/F25、NCU26、モデム27、バスライン28は、入出力ポート29を介して互いに接続されている。
CPU11は、ROM12やRAM13に記憶される各種固定値やプログラム、或いは、DCL通信制御回路19、NCU26、インターネットI/F25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート29と接続された各部を制御する演算処理装置である。
ROM12は、CPU11で実行される制御プログラム12aや、その制御プログラム12aで参照される固定値などを格納した書換不能な不揮発性のメモリである。図2,図3のフローチャートに示す処理を行うプログラムは、この制御プログラム12aに含まれる。
RAM13は、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶する書換可能な揮発性のメモリであり、選択モードメモリ13a、FAX送信禁止フラグ13bが設けられている。ユーザは、操作キー15に含まれるモード選択キー(図示せず)を操作することにより、ファクシミリモード(以下、FAXモードと記載)、コピーモード、スキャンモードのいずれかを選択し、選択モードメモリ13aに設定する。
なお、外部装置102とMFP1または外部装置102と子機40との間の通話中においても、選択モードメモリ13aには、FAXモード、コピーモード、スキャンモードのいずれかが設定されているものとして説明する。そして、ユーザは、外部装置102との通話中においても、コピーの実行など、選択モードメモリ13aに設定されたモードの機能を利用可能である。
FAX送信禁止フラグ13bは、ファクシミリ送信を許可するか否かを示すフラグである。FAX送信禁止フラグ13bがオンである場合、後述するスタートキー15aが押下されたとしても、ファクシミリ送信の実行を禁止する。一方、FAX送信禁止フラグ13bがオフである場合において、スタートキー15aが押下された場合には、選択モードメモリ13aにFAXモードが設定されていることを条件として、ファクシミリ送信が実行される。
操作キー15には、電話機能やファクシミリ機能を利用する場合に電話番号を入力するための数字ボタンや、MFP1の電源のオン/オフを行うための電源ボタンなどの各種ボタンが設けられている。また、操作キー15には、処理の実行指示を受付けるためのスタートキー15aが設けられている。スタートキー15aが押下された場合、MFP1は、設定中のモードに応じて異なる動作をする。コピーモードまたはスキャンモードが設定されているときにスタートキー15aが押下された場合、MFP1は、それぞれ、コピーを実行しまたはスキャンを実行する。
一方、FAXモードが設定されているときにスタートキー15aが押下された場合、MFP1は、電話回線網100を介して外部装置102へデータをファクシミリ送信する。なお、FAXモードが設定されている場合であって、MFP1または子機40と外部装置102との間で通話が行われている間に、スタートキー15aが押下された場合、MFP1は、外部装置102との間の通話を終了させ、通話相手であった外部装置102に対して、データをファクシミリ送信する。ここで、「通話」とは、子機40または送受話器17に入力された音声に基づく信号を、外部装置102へ送信し、または外部装置102のマイクロフォン(図示せず)から入力された音声に基づく信号を、MFP1において受信し、子機40または送受話器17から出力することを意味している。
LCD16は、操作手順や実行中の処理の状態を表示する。送受話器17は、ユーザが電話機能を使用して、電話回線網100(図2参照)を介して接続される外部装置102との間で通話を行う場合に使用される。
DCL通信制御回路19は、DCL用アンテナ20を有しており、同じくDCL用アンテナ38を有する子機40との間でデジタルコードレス方式による無線通信300を行いながら、通話による音声に基づいて生成された信号の送受信を行う回路である。子機40は、DCL通信制御回路19を介してMFP1の本体と無線通信300を行うことにより、電話回線網100を介して外部装置102との間で通話を行う電話機能を実現している。
スキャナ21は、所定位置に載置された原稿を読み取り、原稿に対応したデータを生成する。プリンタ22は、画像データを印刷出力する。インターネットI/F25は、MFP1をインターネット(図示せず)に接続するためのインターフェイスで、インターネットに接続された外部装置(図示せず)との間で、データの送受信を行うものである。
NCU26は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などの制御を行うものである。MFP1の電話機能を動作させる場合、電話回線網100から入力された信号はNCU26を介して送受話器17、若しくは、NCU26およびDCL通信制御回路19を介して子機40に送信され、それぞれに設けられたスピーカ(図示せず)から、その信号に対応する音声が出力される。また、送受話器17もしくは子機40に設けられたマイクロフォン(図示せず)に入力された音声はデジタル信号に変換され、NCU26(子機40の場合はDCL通信制御装置19およびNCU26)を介して電話回線網100に出力される。
モデム27は、ファクシミリ機能により送信が指示されたデータを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調してNCU26を介して送信したり、電話回線網100からNCU26を介して入力された信号を受信し、LCD16に表示したり、プリンタ22で印刷出力可能な画像データに復調する。
図2は、MFP1のCPU11が実行する第1実施形態の子機監視処理を示すフローチャートである。この処理は、子機40と外部装置102との間で通話が行われている間、子機40がMFP1の所定範囲外に存在するか否かに応じて、FAX送信禁止フラグ13bのオンオフを切替える処理である。この処理は、MFP1の電源投入後に実行される。
まず、CPU11は、ステップS202(以下、ステップを省略)において、FAX送信禁止フラグ13bをオフにする(S202)。次に、CPU11は、子機40と外部装置102との間で通話が行われているか否かを判断する(S204)。S204が否定される場合(S204:No)、CPU11は処理を待機する。
このようにして処理を繰り返すうちに、子機40と外部装置102との間で通話が行われていると判断される場合(S204:Yes)、次に、CPU11は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)を取得する(S206)。RSSIは、その値が、MFP1と子機40との間の電波強度を示している。MFP1がDCL通信制御回路19から電波を送信すると、子機40は、受け取った電波の強さをRSSIの値としてMFP1に送信する。よって、CPU11が取得したRSSIの値が大きいほど、MFP1と子機40との間の無線通信300(図1)の電波強度が高く、したがって、MFP1と子機40との間の距離が近いことが分かる。なお、本実施形態において、RSSIは、−20から60の範囲の値であるものとする。
次に、CPU11は、子機40がMFP1の所定範囲外に存在するかを、RSSIの値に基づいて判断する(S208)。具体的には、RSSIの値が所定値(例えば50)以上である場合には、子機40がMFP1の所定範囲内に存在すると判断する。一方、RSSIの値が所定値未満である場合には、外部装置102との間で通話中の子機40がMFP1の所定範囲外に存在すると判断する。
ここで、RSSIの値は、子機40とMFP1との距離だけではなく、障害物の有無など周辺の環境に応じて変動する場合がある。したがって、RSSIの値は、子機40とMFP1との間の厳密な距離を示すものではない。しかしながら、本実施形態において、「子機40がMFP1の所定範囲外に存在するか否かを判断する」とは、子機40を使用中のユーザが、MFP1の操作キー15を操作不可能な程度に、子機40がMFP1から離隔しているか否かを判断できることであれば良く、MFP1を中心とする一定半径(例えば5m)の円外に子機40が存在しているか否かを判断することまでを要求していない。したがって、本実施形態においては、RSSIの値に基づいて、子機40がMFP1の所定範囲外に存在するか否かを判断している。ただし、子機40とMFP1との間の距離を測定できる測定器がMFP1に設けられている場合、当該測定器により測定される距離に基づいて、子機40がMFP1の所定範囲外にあるか否かを判断しても良い。
次に、S208の判断において、RSSIの値が所定値未満であると判断される場合(S208:No)、すなわち、子機40がMFP1の所定範囲外に存在すると判断される場合、CPU11は、FAX送信禁止フラグ13bをオンにする(S211)。このようにすれば、ユーザによってスタートキー15aが押下されたとしても、データのファクシミリ送信を禁止できる。一方、S208の判断において、RSSIの値が所定値以上であると判断される場合(S208:Yes)、すなわち、子機40がMFP1の所定範囲内に存在すると判断される場合、CPU11は、FAX送信禁止フラグ13bをオフする(S210)。すなわち、データのファクシミリ送信を許可する。
次に、CPU11は、通話が終了したか否かを判断する(S212)。S212の判断が否定される間(S212:No)、CPU11は、S206に戻り処理を繰り返す。このようにして処理を繰り返すうちに、S212の判断が肯定されると(S212:Yes)、CPU11は、回線切断など公知の処理を実行し、子機監視処理を終了する。
図3は、第1実施形態のMFP1のCPU11が実行するスタートキー押下時処理を示すフローチャートである。この処理は、子機監視処理(図2)とは独立して実行される処理であり、MFP1の電源投入後、定期的に実行される。
まず、CPU11は、スタートキー15aが押下されたか否かを判断する(S302)。スタートキー15aが押下されない場合(S302:No)、CPU11はこの処理を終了する。
一方、スタートキー15aが押下された場合(S302:Yes)、次にCPU11は、選択モードメモリ13aにいずれのモードが設定されているかを判断する(S304)。選択モードメモリ13aにスキャンモードが設定されている場合(S304:SCAN)、CPU11は、所定位置に載置された原稿をスキャナ21により読み取らせてデータを生成させ、そのデータを予め定められた外部装置に出力するスキャンを実行し(S306)、この処理を終了する。
選択モードメモリ13aにコピーモードが設定されている場合(S304:COPY)、CPU11は、所定位置に載置された原稿をスキャナ21により読み取らせてデータを生成させ、そのデータをプリンタ22に印刷出力させるコピーを実行し(S308)、処理を終了する。
選択モードメモリ13aにFAXモードが設定されている場合(S304:FAX)、CPU11は、FAX送信禁止フラグ13bがオンか否かを判断する(S310)。FAX送信禁止フラグ13bがオンの場合(S310:Yes)、CPU11は処理を終了する。すなわち、スタートキー15aの押下に関わらず、データのファクシミリ送信を実行しない。
一方、FAX送信禁止フラグ13bがオフの場合(S310:No)、CPU11は、MFP1の送受話器17または子機40による通話中か否かを判断する(S312)。すなわち、外部装置102との間で通話が行われている間に、スタートキー15aが押下されたか否かを判断する。MFP1の送受話器17または子機40による通話中であると判断される場合(S312:Yes)、CPU11は、通話を終了させる(S314)。次に、CPU11は、所定位置に載置された原稿をスキャナ21に読み取らせてデータを生成させ、スキャナ21によって生成されたデータを、直前までの通話相手であった外部装置102へ電話回線網100を通じて送信するファクシミリ送信を実行する(S318)。そして、CPU11は、回線を切断し(S320)、処理を終了する。
一方、通話中ではないと判断される場合(S312:No)、CPU11は、回線を接続し、スタートキー15aの押下に先だって入力されたファクシミリ番号の外部装置102に発信する(S316)。そして、CPU11は、発信に応答した外部装置102に対してファクシミリ送信を実行し(S318)、回線を切断して(S320)処理を終了する。
第1実施形態のMFP1によれば、子機40と外部装置102との間で通話が行われている間に、子機40がMFP1の所定範囲外に存在すると判断される場合、すなわち、子機40を用いて通話中のユーザと、MFP1のスタートキー15aを押下した人物とが異なる可能性が高い場合には、データのファクシミリ送信が禁止されるので、誤送信の発生を抑制できる。一方、子機40と外部装置102との間で通話が行われている間であっても、子機40がMFP1の所定範囲内に存在すると判断される場合、すなわち、子機40を用いて通話中のユーザと、MFP1のスタートキー15aを押下した人物とが同一人物である可能性が高い場合には、スタートキー15aの押下を条件として、通話相手の外部装置102へのファクシミリ送信が実行されるので、ユーザにとって使い勝手が良い。
また、第1実施形態のMFP1によれば、子機40とMFP1との間の電波強度を示すRSSIの値に基づいて、子機40がMFP1の所定範囲外に存在するか否かを判断できるので、処理の複雑化を抑制しつつ、誤送信の発生を確実に抑制できる。
図4を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態のMFP1の電気的構成は、第1実施形態におけるMFP1と同一のものであるとして説明を行う。また、第2実施形態におけるMFP1のCPU11によって実行される子機監視処理は、第1実施形態の子機監視処理と一部異なる。以下、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる点について説明する。また、第2実施形態のMFP1は、第1実施形態で説明したスタートキー押下時処理と同一の処理を実行する。
図4は、第2実施形態のMFP1のCPU11が実行する子機監視処理を示すフローチャートである。子機40と外部装置102との間で通話が行われていると判断される場合(S204:Yes)、CPU11は、所定位置に原稿が載置されたか(セットされたか)を判断する(S402)。ここで所定位置とは、スキャナ21に読み取らせるべき原稿が載置される位置のことであり、例えば、スキャナ21が、ガラス台に固定された原稿を読み取るフラットベッドタイプである場合には、ガラス台が所定位置に相当する。また、MFP1が自動原稿送り装置を備え、自動原稿送り装置の載置台から1枚ずつ送られる原稿をスキャナ21が読み取るように構成されている場合には、自動原稿送り装置の載置台が、所定位置に相当する。
所定位置に原稿が載置されていないと判断される場合(S402:No)、CPU11は、S204から処理を繰り返す。一方、所定位置に原稿が載置されたと判断される場合(S402:Yes)、CPU11は、RSSIを取得し(S206)、RSSIの値が所定値以上であるか否かを判断する(S208)。RSSIの値が所定値未満であると判断される場合(S208:No)、すなわち、子機40がMFP1の所定範囲外に存在する間に、原稿が所定位置に載置されたと判断される場合、子機40で通話中のユーザとは別のユーザによって、原稿が載置された可能性が高い。よって、本実施形態では、S208の判断が否定される場合(S208:No)、FAX送信禁止フラグ13bをオンとし(S211)、データのファクシミリ送信を禁止する。
次に、CPU11は、所定位置に原稿がセットされたままであるか否かを判断する(S404)。S404の判断が肯定される場合(S404:Yes)、CPU11はS206から処理を繰り返す。このようにして処理を繰り返すうちに、RSSIの値が所定値以上となった場合であっても(S208:Yes)、すなわち、子機40で通話中のユーザがMFP1に近づき、MFP1の所定範囲内に子機40が入った場合であっても、CPU11は、FAX送信禁止フラグ13bをオンのままとする。
つまり、子機40がMFP1の所定範囲外に存在する間に、所定位置に原稿が載置されたと判断される場合には、子機40で通話中のユーザとは別のユーザによって載置された可能性が高いので、原稿の載置後に、子機40がMFP1に近づいたとしても、データの送信を禁止する。
このようにして処理を繰り返すうちに、所定位置に載置された原稿が取り除かれる場合(S404:No)、CPU11はFAX送信禁止フラグ13bをオフする(S202)。子機40で通話中のユーザとは別のユーザによって載置された可能性が高い原稿が、所定位置から取り除かれたからである。
一方、所定位置に原稿が載置され(S402:Yes)、その原稿がセットされている間に取得されたRSSIの値が、全て所定値以上であると判断される場合(S208:Yes)、所定位置に原稿を載置したユーザと、子機40で通話中のユーザとは同一人物である可能性が高い。また、子機40で通話中のユーザとは別のユーザによって原稿が載置された場合であっても、子機40で通話中のユーザが知った上で、別のユーザが原稿を載置した可能性が高い。
よって、そのような場合、第2実施形態の子機監視処理においては、FAX送信禁止フラグ13bをオフのままとする。このようにすれば、スタートキー15aが押下される場合には、通話相手の外部装置102へのファクシミリ送信が実行され、使い勝手がよい。
また、所定位置に原稿が載置されて(S402)、最初に取得されたRSSIの値が所定値以上であると判断されたが(S208:Yes)、処理を繰り返すうちに、RSSIの値が所定値未満となる場合(S208:No)、CPU11は、FAX送信禁止フラグ13bをオンとする(S211)。すなわち、所定位置に原稿を載置したユーザと、子機40で通話中のユーザとが同一人物である可能性が高くても、子機40で通話中のユーザがMFP1の所定範囲外に出た場合には、ファクシミリ送信を禁止するのである。このようにすれば、子機40で通話中のユーザが、所定位置に原稿を載置したままMFP1から離れ、別のユーザが誤ってスタートキー15aを押下してしまった場合であっても、誤送信の発生を抑制できる。
第2実施形態のMFP1によれば、MFP1の所定範囲外に子機40が存在する間に、所定位置に原稿が載置された場合、すなわち、子機40を使用するユーザと、所定位置に原稿を載置したユーザとが異なる可能性が高い場合、データの送信が禁止されるので、誤送信の発生を抑制できる。また、原稿が所定位置から取り除かれるまでの間、データの送信が禁止されるので、誤送信の発生を確実に抑制できる。
図5を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態のMFP1は、FAX送信禁止フラグ13bが設けられていない点において、図1に示した第1実施形態のMFP1と異なるが、その他の構成は同一であるため、電気的構成の図示は省略する。また、第3実施形態におけるMFP1のCPU11によって実行される子機監視処理は、第1実施形態の子機監視処理と一部異なる。以下、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる点について説明する。
図5(a)は、第3実施形態のMFP1のCPU11が実行する子機監視処理を示すフローチャートである。まず、CPU11は、子機40による通話中であると判断される場合(S204:Yes)、RSSIを取得し(S206)、RSSIの値に基づいて、子機40がMFP1の所定範囲外に存在するか否かを判断する(S208)。RSSIの値が所定値以上であると判断される場合(S208:Yes)、CPU11は、選択モードメモリ13aにFAXモードが設定されているか否かを判断する(S502)。
FAXモード以外のモードが設定されている場合(S502:No)、CPU11は、選択モードメモリ13aにより設定されるモードをFAXモードに切替える(S504)。このようにすれば、子機40がMFP1の所定範囲内に存在する場合、選択モードメモリ13aにはFAXモードが自動的に設定されるので、子機40で通話中のユーザが、データをファクシミリ送信したい場合に、モード切替の作業を省略できる。
一方、RSSIの値が所定値以上であると判断される場合において(S208:Yes)、FAXモードが設定されていると判断される場合(S502:Yes)、CPU11は、S504の処理をスキップする。次に、CPU11は、通話を終了したか否かを判断し(S212)、通話が終了していない場合(S212:No)、S206から処理を繰り返す。
一方、RSSIの値が所定値未満であると判断される場合(S208:No)、CPU11は、選択モードメモリ13aにFAXモードが設定されているか否かを判断する(S506)。
そして、FAXモードが設定されていると判断される場合(S506:Yes)、CPU11は、選択モードメモリ13aに設定されるモードを、スキャンモードまたはコピーモードのいずれかに切替える(S508)。すなわち、MFP1は、子機40と外部装置102との間で通話が行われている間において、子機40がMFP1の所定範囲外に存在すると判断される場合には、FAXモードの設定を禁止する。よって、子機40での通話開始前にFAXモードが設定されていた場合であっても、誤ったファクシミリ送信が実行されてしまうことを抑制できる。
一方、RSSIの値が所定値未満であると判断される場合において(S208:No)、FAXモード以外のモードが設定されていると判断される場合(S506:No)、CPU11は、S508の処理をスキップする。次に、CPU11は、通話を終了したか否かを判断し(S212)、通話が終了していない場合(S212:No)、S206から処理を繰り返す。
第3実施形態のMFP1によれば、MFP1の所定範囲外に子機40が存在すると判断される場合、FAXモードの設定が禁止されるので、誤ったファクシミリ送信が実行されてしまうことを抑制できる。
図5(b)は、第3実施形態のMFP1のCPU11が実行するスタートキー押下時処理である。この処理は、第1実施形態のスタートキー押下時処理と同様、子機監視処理とは独立して定期的に実行される。図5(b)に示す第3実施形態のスタートキー押下時処理は、S310の判断「FAX送信禁止フラグがオンか?」を有しない点において、図3に示す第1実施形態のスタートキー押下時処理と異なるが、その他の点は第1実施形態のスタートキー押下時処理と同一であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
図6を参照して第4実施形態について説明する。第4実施形態のMFP1の電気的構成は、第1実施形態におけるMFP1と同一のものであるとして説明を行う。また、第4実施形態におけるMFP1のCPU11によって実行される子機監視処理は、第1実施形態の子機監視処理と一部が異なる。以下、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる点について説明する。
図6は、第4実施形態のMFP1のCPU11が実行する子機監視処理を示すフローチャートである。まず、子機40と外部装置102との間で通話が行われていると判断される場合(S204:Yes)、CPU11は、スタートキー15aが押下されたか否かを判断する(S602)。そして、スタートキー15aが押下されない場合(S602:No)、CPU11は、S204から処理を繰り返す。
一方、S602の判断が肯定される場合(S602:Yes)、すなわち、子機40と外部装置102との間で通話が行われている間に、スタートキー15aにより処理の実行指示を受付けた場合、CPU11は、選択モードメモリ13aに設定されているモードを判断する(S604)。選択モードメモリ13aにスキャンモードまたはコピーモードが設定されている場合(S604:SCANorCOPY)、CPU11は、設定されているモードに対応した各処理を実行する(S606)。次に、CPU11は、通話が終了したか否かを判断し(S212)、通話が終了しない場合(S212:No)、S602から処理を繰り返す。
一方、スタートキー15aにより処理の実行指示を受付けた場合であって(S602:Yes)、選択モードメモリ13aにFAXモードが設定されていると判断される場合(S604:FAX)、CPU11は、RSSIを取得し(S206)、RSSIの値が所定値以上であるか否かに基づいて、子機40がMFP1の所定範囲外に存在するか否かを判断する。
RSSIの値が所定値未満であると判断される場合(S208:No)、CPU11は、ファクシミリ送信を実行しない。子機40で通話中のユーザと、スタートキー15aを押下したユーザとが別人である可能性が高いからである。次に、CPU11は、ファクシミリ送信の禁止を知らせるメッセージを、LCD16に表示する(S608)。これにより、スタートキー15aが押下したユーザに、ファクシミリ送信の禁止を知らせる。次に、CPU11は、通話を終了したか否かを判断し(S212)、通話が終了していない場合(S212:No)、S602から処理を繰り返す。
一方、RSSIの値が所定値以上であると判断される場合(S208:Yes)、CPU11は、子機40と外部装置102との間の通話を終了させる(S610)。そして、CPU11は、所定位置に載置された原稿をスキャナ21により読み取らせ、スキャナ21により生成されたデータを、直前までの通話相手であった外部装置102へ送信する(S612)。そして、回線切断など公知の処理を実行し、子機監視処理を終了する。
第4実施形態のMFP1によれば、MFP1の所定範囲外において、子機40が使用されている間に、MFP1においてスタートキー15aが押下された場合であっても、誤送信の発生を抑制できる。
上記実施形態において、MFP1が親機の一例に相当する。選択モードメモリ13aが設定手段の一例に相当する。スタートキー15aが操作部の一例に相当する。スタートキー15aの押下が処理の実行指示の一例に相当する。スキャナ21が生成手段の一例に相当する。S208を実行するCPU11が子機位置判断手段の一例に相当する。S318,S612を実行するCPU11が送信手段の一例に相当する。S211,S508,S608を実行するCPU11が禁止手段の一例に相当する。S402を実行するCPU11が原稿判断手段の一例に相当する。S504を実行するCPU11がモード切替手段の一例に相当する。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、RSSIの値に基づいて、子機40がMFP1の所定範囲外に存在するか否かを判断していたが、他の方法により、同様の判断を行っても良い。例えば、子機のマイクロフォンにより集音される音声が、親機のマイクロフォンによっても集音される場合、親機の所定範囲内に子機が存在していると判断する一方で、子機のマイクロフォンにより集音される音声が、親機のマイクロフォンでは集音されない場合、親機の所定範囲外に子機が存在していると判断しても良い。
また、子機のマイクロフォンにより集音される音声の話者、および親機のマイクロフォンによって集音される音声の話者を認識し、それらが同一人物であると判断される場合、親機の所定範囲内に子機が存在していると判断しても良い。
また、マイクロフォンで集音される音声およびRSSIの値の両方を利用して、親機の所定範囲外に子機が存在するか否かを判断しても良い。
また、上記第1実施形態から第4実施形態の特徴を適宜組み合わせても良い。例えば、第1実施形態および第2実施形態においては、RSSIの値が所定値未満である場合(S208:No)、FAX送信禁止フラグ13bをオンとしていた。これに代えて、RSSIの値が所定値未満である場合(S208:No)、FAXモード以外のモードを自動的に選択するように第1実施形態および第2実施形態の子機監視処理を変形しても良い。
また、「データの送信を禁止する」ことについては、データの送信を禁止する、外部装置へデータを送信するモード(例えばFAXモード)の設定を禁止する、外部装置へデータを送信するモードの設定は許容するが、当該モードの全機能の実行を禁止する、データの送信指示を受付けるキーを無効化するなど、種々の変形例が考えられる。
また、上記実施形態では、ファクシミリ送信を禁止していたが、例えば、インターネットを介して電子メールを送信する場合など、ファクシミリ以外の他の通信方式で外部装置へデータを送信する場合においても、本発明を適用可能である。
また、上記実施形態のMFP1のLCD16の表示面に、タッチパネル(図示せず)が設けられ、LCD16に表示されたボタンがタッチされた場合に、データの送信を実行するように構成されている場合にも、本発明は適用可能である。この場合、LCD16に表示されたボタンが操作部の一例に相当する。
また、上記実施形態のMFP1は、1台の子機40との間で無線通信300を実行するものであったが、複数台の子機40との間で無線通信300を実行するものであっても良い。その場合、複数台の子機40のうち、外部装置102との間で通話を行っている子機40(すなわち通話に使用中の子機40)が、MFP1の所定範囲外に存在する場合に、データの送信を禁止するように構成しても良い。