JP2012049039A - 電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の構成の複雑化を回避しながら、可及的に注液孔からの電解液の噴出を抑制できるようにする。
【解決手段】発電要素3を収納する筐体BCの外方側に電極端子5が備えられ、発電要素3と電極端子5とを電気的に接続するための集電体4が、シール用部材SBを挟んだ状態で筐体BCに固定され、筐体BCに電解液を注液するための注液孔14が形成されている電池において、注液孔14の筐体BC内方側の端部の周囲において注液孔14の形成面から起立する姿勢で配置されて、注液孔14に向かう電解液の流れを遮る遮蔽体BEが、シール用部材SBと一体形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、発電要素を収納する筐体の外方側に電極端子が備えられ、前記発電要素と前記電極端子とを電気的に接続するための集電体が、シール用部材を挟んだ状態で前記筐体に固定され、前記筐体に電解液を注液するための注液孔が形成されている電池に関する。
かかる電池は、筐体内に収納されている発電要素で発生する電力を、筐体外方側に設置されている電極端子から取り出す関係で、発電要素と電極端子とを電気的に接続するための電気配線が筐体を貫通する状態で配置され、その電気配線の主要部分をなす集電体は、筐体内の電解液の漏出を阻止するシール用部材を挟んで筐体に固定される構造となっている。
このような構造の電池の筐体内への電解液の注入は、筐体に形成されている注液孔を利用して行われる。
電池の製造工程においては、筐体内への電解液の注入後に初期充電(予備充電)が行われるが、この初期充電は、通常、初期充電時に筐体内で発生するガスを逃がすために、注液孔を開放した状態で行われる。
初期充電中に発生するガスは、注液孔から噴出する際に筐体内の電解液をも巻き込み、電解液を押し出すようにして、電解液と共に噴出する場合がある。
これは、電池のエネルギー密度を向上させるために筐体内のデッドスペースを極力少なくする設計とした近時の電池において特に顕著である。
注液孔から電解液が噴出してしまうと、注液孔の筐体外方側に電解液が付着するため、注液孔を溶接等にて封止する際に、電解液あるいは電解液の乾燥残渣の存在が封止品質を低下させてしまうことになる。
このため、下記特許文献1にも記載のような、注液孔からの電解液の噴出を抑制する構成が考えられている。
下記特許文献1では、電池の筐体内において、注液孔を形成した電池ケース蓋と発電要素との間に、格子状の部材を配置して、電解液の噴出を防止している。
特開2000−182591号公報
しかしながら、上記従来構成では、注液孔からの電解液の噴出防止のために格別の部品が必要となり、又、その部品の配置のために筐体内のスペースが割かれ、電池のエネルギー密度が低下してしまうことになる。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、構成の複雑化を回避しながら、可及的に注液孔からの電解液の噴出を抑制できるようにする点にある。
本出願の第1の発明は、 発電要素を収納する筐体の外方側に電極端子が備えられ、前記発電要素と前記電極端子とを電気的に接続するための集電体が、シール用部材を挟んだ状態で前記筐体に固定され、前記筐体に電解液を注液するための注液孔が形成されている電池において、前記注液孔の前記筐体内方側の端部の周囲において前記注液孔の形成面から起立する姿勢で配置されて、前記注液孔に向かう電解液の流れを遮る遮蔽体が、前記シール用部材と一体形成されている。
すなわち、初期充電時に筐体内で発生したガスの圧力によって、筐体内では、筐体の内壁面に沿った電解液の流れが発生し、その流れが筐体の壁面に形成されている注液孔(厳密には、注液孔の筐体内方側端部)を経て流出することになる。
そこで、注液孔の筐体内方側の端部の周囲において注液孔の形成面から起立する姿勢で遮蔽体を配置することで、その遮蔽体によって注液孔に向かう電解液の流れを遮る。
このような電解液の流れを変化させることで、注液孔からの電解液の流出が抑制される。
しかも、この遮蔽体は単独の部材として形成されているのではなく、シール用部材と一体形成されている。
電池の筐体における注液孔の形成位置は、通常、集電体の筐体への固定位置に近い位置に設定される場合が多く、上記遮蔽体とシール用部材とを一体形成しても、シール用部材が格別大型化してしまうようなこともない。
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記遮蔽体は、前記注液孔の前記筐体内方側端部の周囲を囲む筒状に形成されている。
従って、上記遮蔽体が注液孔の周囲をすっぽりと覆う状態となり、確実に電解液の流れを遮ることができる。
又、本出願の第3の発明は、上記第1又は第2の発明の構成に加えて、前記遮蔽体は、前記シール用部材における前記集電体と前記筐体とに挟まれる位置に形成されると共に、前記集電体に形成された貫通孔を貫通して、前記筐体内方側へ延出するように形成されている。
すなわち、上記遮蔽体とシール用部材とを一体形成するについて、注液孔の形成位置と集電体の筐体への固定位置とは近い位置であるので、本来のシール用部材の設置位置から延出する状態で上記遮蔽体を形成しても、形状がそれほど大型化してしまうようなことはないが、上記のように、シール用部材が筐体と集電体とに挟まれている位置に上記遮蔽体を形成することで、シール用部材と遮蔽体との一体形成物の大きさを可及的に小さくできる。
この場合、遮蔽体は、注液孔の形成面に沿った電解液の流れ(より厳密には、集電体表面に沿った電解液の流れ)を遮るために、集電体に形成された貫通孔を貫通して延出するように配置される。
又、本出願の第4の発明は、上記第1〜第3のいずれかの発明の構成に加えて、前記遮蔽体は、前記電解液に対する撥液機能を付与されている。
従って、遮蔽体は、注液孔の形成面に沿った電解液の流れをはじき返すように遮ることになり、効率良く電解液を遮ることができる。
又、本出願の第5の発明は、上記第1〜第4のいずれかの発明の構成に加えて、前記遮蔽体における前記注液孔との連通箇所に多孔性のフィルタが配置されている。
すなわち、多孔性のフィルタとして、筐体内で発生したガスと電解液とで通過抵抗に十分な差を有するものを使用することで、筐体内で発生したガスは多孔性のフィルタを通して確実に排出され、一方、電解液に対しては注液孔からの噴出が抑制される。
上記第1の発明によれば、注液孔の周囲に形成した遮蔽体によって注液孔からの電解液の流出を抑制し、しかも、遮蔽体とシール用部材とを一体形成することで、構成の複雑化を回避しながら、可及的に注液孔からの電解液の噴出を抑制できるものとなった。
又、上記第2の発明によれば、上記遮蔽体が注液孔の周囲をすっぽりと覆う状態となり、確実に電解液の流れを遮ることができるので、より一層注液孔からの電解液の噴出を抑制できる。
又、上記第3の発明によれば、シール用部材と遮蔽体との一体形成物の大きさを可及的に小さくできるので、装置構成の複雑化をより一層確実に回避できる。
又、上記第4の発明によれば、遮蔽体が効率良く電解液を遮ることができるので、注液孔からの電解液の噴出をより一層抑制することができる。
又、上記第5の発明によれば、筐体内で発生したガスは多孔性のフィルタを通して確実に排出され、一方、電解液に対しては注液孔からの噴出を抑制するように作用するので、注液孔を通したガスの排出機能は確保しながら、注液孔からの電解液の噴出を更に抑制できる。
本発明の実施の形態にかかる電池の外観斜視図 本発明の実施の形態にかかる電池の内部を示す斜視図 本発明の実施の形態にかかる要部断面図 本発明の実施の形態にかかる要部拡大断面図 本発明の実施の形態にかかる電池の内部を示す正面図 本発明の実施の形態にかかる部品の組み立て状態を説明する図 本発明の実施の形態にかかる部品の組み立て状態を説明する図 本発明の別実施形態にかかる要部斜視図
以下、本発明の電池の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、電池として二次電池の1例である非水電解液二次電池(より具体的にはリチウムイオン電池)を例示して説明する。
〔非水電解液二次電池RBの構成〕
図1及び図2の斜視図並びに図5の正面図に示すように、本実施の形態の非水電解液二次電池RBは、有底筒状(より具体的には有底矩形筒状)の缶体1の開放面に蓋部2を被せて溶接して構成した筐体BCを有している。蓋部2は、短冊状の長方形の板材にて形成され、それの筐体BC外方側となる面に正極の電極端子である端子ボルト5と負極の電極端子である端子ボルト7とが取り付けられている。
缶体1は蓋部2の形状に合わせて扁平形状の直方体であり、従って、筐体BC全体としても扁平な略直方体形状を有している。尚、図2は、完成した二次電池RB(図1に示すもの)から缶体1を除いて筐体BC内部の構成を図示している。又、図5では、缶体1を1点鎖線で示し、後述の発電要素3を2点鎖線で示して、内部構造を見易くしている。
筐体BCの内部には、図2及び図5において2点鎖線で示す発電要素3と集電体4,6が電解液に浸される状態で収納配置されている。
集電体4,6は、発電要素3と端子ボルト5,7とを電気的に接続するための部材である。
集電体4と集電体6とは何れも導電体であり、略同一形状のものが対称に配置される関係となっているが、材質が異なる。正極側の集電体4はアルミニウムにて形成され、負極側の集電体6は銅にて形成されている。
集電体4,6は上記の金属材料の板状部材を所定の形状に屈曲形成して構成しており、全体的には、端子ボルト5,7との接続のために、端子ボルト5,7の取り付け面である蓋部2に沿って延びる形状の部分と、発電要素3との接続のために、蓋部2の長手方向端部付近で下方へ90度屈曲して、蓋部2の筐体BC内方側の面の法線方向に延びる部分とが連なる略L字状の屈曲形状を有している(図3参照)。更に、この蓋部2の筐体BC内方側の面の法線方向に延びる部分において、発電要素3側に屈曲させて、発電要素3と接続するための二股状の接続部4a,6aが形成されている。更に、図6に示すように、集電体4の上端には、中空リベット8を挿通するためのリベット取り付け孔4bが形成されている。図示を省略するが、集電体6についても同様のリベット取り付け孔が形成されている。
発電要素3は、長尺箔状に形成された正極板と長尺箔状に形成された負極板とからなる一対の電極板の夫々に活物質を塗布し、同じく長尺のセパレータを挟んで積層状態で巻回した、いわゆる巻回型の発電要素として構成されている。
発電要素3は、上記のように巻回した状態で、箔状正極板における活物質を塗布していない領域である未塗工部3aが側方(箔状正極板の長手方向と直交する方向)に延出し、箔状負極板における活物質を塗布していない領域である未塗工部3aがそれと反対側の側方(箔状負極板の長手方向と直交する方向)に延出している。
本実施の形態の発電要素3は、箔状正極板等を巻回した後、巻回軸に直交する方向で押しつぶして扁平形状に形成し、扁平形状の筐体BCに適合させている。
発電要素3の缶体1内での配置姿勢は、箔状正極板等の巻回軸芯が蓋部2の長手方向と平行となる姿勢としており、図5に示すように、正面視では、箔状正極板の未塗工部3aが集電体4の接続部4aと重なるように位置し、箔状負極板の未塗工部3aが集電体6の接続部6aと重なるように位置している。
箔状正極板の未塗工部3aは束ねられた状態で集電体4に溶接され、箔状負極板の未塗工部3aは束ねられた状態で集電体6に溶接されている。
金属製(具体的には、アルミニウム製)の蓋部2に取り付けられている正極側の端子ボルト5は正極側の集電体4に電気的に接続され、負極側の端子ボルト7は負極側の集電体6に電気的に接続されている。
端子ボルト5の蓋部2への取り付け構造及び端子ボルト5と集電体4との接続構造と、端子ボルト7の蓋部2への取り付け構造及び端子ボルト7と集電体6との接続構造とは、略同一構成のものが対称に配置されたものであり、以下において、正極側の構成によって代表させて説明する。
端子ボルト5は、図3の断面図に示すように、中空リベット8とバスバー9とを介して集電体4と電気的に接続されている。配線用部材である中空リベット8及びバスバー9は金属材料にて構成されている。より具体的には、中空リベット8は、正極側においては正極側の他の金属部材と同様にアルミニウムにて構成されている。又、バスバー9は、銅にニッケルをメッキしたものが好ましいが、アルミニウムでも良い。
バスバー9は端子ボルト5の頭部5aを保持して、端子ボルト5の姿勢を安定させて回り止めする働きを有しており、端子ボルト5の頭部形状(矩形形状)と適合する矩形の凹部と端子ボルト5のねじ部5bを貫通させる貫通孔とからなる端子保持部9aを有すると共に、中空リベット8を保持するリベット保持部9bを有している。
集電体4は筐体BC内に位置し、端子ボルト5及びバスバー9は筐体外方側に設置され、中空リベット8が蓋部2の開口12を貫通して筐体内方側と筐体外方側とを連絡している。
集電体4から端子ボルト5へ至る電流経路は、いずれも樹脂製の絶縁材料にて形成されるシール用部材SBである下部パッキン10及び上部パッキン11によって蓋部2との電気的絶縁が確保され、更に、蓋部2における中空リベット8の貫通箇所は、下部パッキン10及び上部パッキン11によって気密封止されている。
上部パッキン11は、上部が開放した皿状の直方体容器の底部に、蓋部2の開口12に嵌入する筒部11aが取り付けられた構造を有しており、蓋部2の外方側表面に取り付けられている支持枠13内に取り付けられる。筒部11aの内部空間に中空リベット8が嵌入する。
端子ボルト5等が蓋部2に取り付けられた状態では、上部パッキン11の底部が、バスバー9と蓋部2との間に挟み込まれる。
下部パッキン10は、集電体4等を蓋部2に取り付けた状態では、集電体4と蓋部2との間に挟み込まれ、集電体4は、シール用部材SBである下部パッキン10を挟んだ状態で筐体BCに固定されている。
下部パッキン10と集電体4との組み付けを説明する斜視図である図6及び下方側から見上げる斜視図で示す図7に示すように、下部パッキン10は、蓋部2に沿って延びる集電体4の上端と法線方向視で略同一形状をなす薄板状の基部10aと、基部10aの端縁から基部10aと直角をなして起立する背の低い縦壁部10bとを有している。
下部パッキン10の基部10aには、上部パッキン11の下端及び中空リベット8が挿通する開口10cと、蓋部2に組み付けた状態で後述する注液孔14の直下に位置する筒状突起10dとが形成されている。
筒状突起10dは、図7(a)に示すように、下部パッキン10の下面側において筒状(より具体的には、円筒状)に下方側に延出しており、筒の内部空間は上下方向で貫通して貫通孔を形成している。
この筒状突起10dは、集電体4と蓋部2との間の電気的絶縁の確保及び気密保持という下部パッキン10の本来の機能とは別の機能を有しており、詳しくは後述するが、注液孔14から電解液が噴出するのを抑制する機能を有している。
筒状突起10dの配置姿勢を注液孔14との関係で説明すると、下部パッキン10を蓋部2に取り付けた状態では、筒状突起10dは、図4等で示すように、注液孔14の筐体BC内方側の端部(蓋部2下面側での注液孔14の端部)の周囲において、注液孔14の形成面(蓋部2の下面)から直角に起立する姿勢で配置されている。
より詳細には、筒状突起10dは、注液孔14の筐体BC内方側端部(蓋部2下面側での注液孔14の端部)の周囲を囲む筒状に形成されている。
又、筒状突起10dは、下部パッキン10における集電体4と筐体BCとに挟まれる位置に形成されているので、これに対応して、集電体4の上端部には上記筒状突起10dが嵌入する貫通孔4cが形成されている。
基部10aの下面からの筒状突起10dの高さは、集電体4の上端部(蓋部2に沿って延びる部分)の厚さよりも高く、集電体4と下部パッキン10とを組み付けた状態では、筒状突起10dは、集電体4の上端部に形成された貫通孔4cを貫通して、筐体BC内方側へ延出する。
負極側における端子ボルト7と集電体6との電気的な接続構成は、上述のように、正極側における端子ボルト5と集電体4との接続構成と略同一構成のものが対称配置されている関係にあるが、電流経路を構成する導電体(より具体的には、金属)である中空リベット8及びバスバー9は、負極側においては、集電体6と同一の材質である銅にて形成されている。
更に、形状面での正極側と負極側との相違点は、負極側の下部パッキン10には正極側の筒状突起10dに相当するものは備えられておらず、又、それに対応して、正極側の集電体4に形成されている貫通孔4cに対応するものは負極側の集電体6には形成されていない。
筐体BCにおける端子ボルト5,7(電極端子)等の取り付け面である蓋部2には、更に、筐体BC内に電解液を注液するための注液孔14が形成されている。
図3の断面図における注液孔14付近を拡大して示す図4に示すように、注液孔14は、注液孔14の筐体BC外方側において、中央部が陥没した略平板状の液栓16で封止されている。
液栓16の陥没部の外形は、図4に示すように、注液孔14の孔径に適合する形状となっており、液栓16を固定する際の位置決め機能を有している。
注液孔14の形成位置は、蓋部2の幅方向において中央位置であり、且つ、蓋部2の長手方向においては、蓋部2の端縁と支持枠13との間に設定されている。すなわち、集電体4の蓋部2への固定位置(中空リベット8による固定位置)よりも、その集電体4に最も近い蓋部2の端縁寄りに注液孔14の設置位置が設定されている。
〔二次電池RBの製造工程〕
次に、二次電池RBの製造工程について概略的に説明する。
〔電池組み立て工程〕
先ず、集電体4,6の組み立て工程を含む二次電池RBの電池組み立て工程について説明する。
発電要素3は、上述のように、長尺帯状の箔状正極板及び箔状負極板に正極活物質及び負極活物質を夫々塗布し、乾燥処理等の後にセパレータを挟んで巻回すると共に、扁平形状となるように押圧して成型する。尚、箔状正極板及び箔状負極板には、上述のように、集電体4,6との接続のために、幅方向の一端側に活物質を塗布していない未塗工部3aを備えている。この未塗工部3aは正極と負極とで反対側の端縁部に位置し、且つ、未塗工部3aが側方にはみ出すように巻回している。
一方、蓋部2については、中空リベット8等を貫通させる開口12や注液孔14等を形成すると共に、支持枠13を正極側及び負極側の両方について固定しておく。尚、注液孔14に取り付ける液栓16は、電解液の注液後に固定するので、この時点では、注液孔14は開放されている。
筐体BC外方側の組み付け部材としては、上部パッキン11の底部に頭部を下にした姿勢で端子ボルト5を載置し、端子ボルト5のねじ部を端子保持部9aに通す状態でバスバー9を上部パッキン11に嵌め込む。更に、その上部パッキン11を蓋部2に固定している支持枠13へ嵌め込む。
筐体BC内方側の組み付け部材である集電体4と下部パッキン10とは、図7(a)で示すように位置合わせを行って、図7(b)で示すように、集電体4の上端部を下部パッキン10の縦壁部10bに沿わせて嵌め込む。この際、下部パッキン10の筒状突起10dを集電体4の貫通孔4cに嵌入させる。
上述のように、下部パッキン10の筒状突起10dの高さは、集電体4の上端部の厚さよりも高くしているので、図7(b)に示すように下部パッキン10と集電体4とを組み付けた状態では、筒状突起10dの先端側が集電体4の上端部を貫通して集電体4の下面側から突出している。
更に、図6で示す位置関係で中空リベット8の貫通部分の位置を合わせて、蓋部2の下面側(筐体BC内方側の面)に集電体4及び下部パッキン10を当て付ける。
このように各部材を蓋部2に組み付けた状態で、中空リベット8を、中空部8aが筐体BC内方側に位置する姿勢で挿入し、中空リベット8をかしめる。尚、バスバー9と中空リベット8とを1次かしめを行って一体化しておいてから、上述の組み立て作業を行うようにしても良い。
これと同様の作業を負極側についても行い、端子ボルト7及び集電体6を上部パッキン11及び下部パッキン10等を介して蓋部2に固定する。
正極側及び負極側の双方について蓋部2へ各部材を組み付けた後、図2に示す位置関係で、集電体4と箔状正極板の未塗工部3aとを溶接すると共に、集電体6と箔状負極板の未塗工部3aとを溶接して、発電要素3を組み付ける。
このようにして蓋部2側に組み付けた発電要素3を缶体1内に挿入し、缶体1と蓋部2とを溶接にて封止する。
〔注液工程〕
次に、蓋部2に形成されている注液孔14から電解液を注入する。
図6に位置関係を示すように、蓋部2と集電体4との間に位置する下部パッキン10には、注液孔14の直下の位置が筒状突起10dとなっており、注液孔14から注入された電解液は下部パッキン10及び集電体4を通過して発電要素3の上面に落下する。
このようにして所定量の電解液を注入した後、適宜に初期充電等の所定の処理を実行する。
初期充電時には、筐体BCの内部でガスが発生するが、発生したガスは開放されている注液孔14を通過して筐体BCの外部へ排出される。
この際、発生したガスの圧力によって筐体BC内部の電解液も注液孔14に向けて流れるが、蓋部2に沿った流れ(より詳細には、集電体4の上端部の下面側に沿った流れ)は下部パッキン10の筒状突起10dによって遮られて流れを変え、注液孔14からの電解液の噴出が抑制される。
すなわち、筒状突起10dは、注液孔14に向かう電解液の流れを遮る遮蔽体BEとして機能しており、この遮蔽体BEとシール用部材SBとが、樹脂成形により一体形成されている関係にある。
尚、筒状突起10dによる電解液の流れを遮る機能をより強化するために、筒状突起10dの表面に電解液に対する撥液機能を付与しても良い。筒状突起10dに撥液性を付与する手法は一般的なもので良く、例えばフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等による被覆処理を行えば良い。
〔封止工程〕
次に、注液孔14を液栓16にて封止する。
注液孔14の液栓16による封止は、溶接により行う。本実施の形態では、液栓16の溶接はレーザ溶接によって行う。
具体的には、図4に示すように、液栓16の陥没部を注液孔14に嵌め込む形で液栓16の位置決めを行い、液栓16の端縁付近に溶接用のレーザビームを照射して液栓16を蓋部2に溶接して、注液孔14を封止する。
〔比較試験〕
次に、注液孔14の下方位置に筒状突起10dを備えて電解液の流れを遮る場合と、筒状突起10dを設けない場合とで比較試験を行った結果について説明する。
この比較試験は、筒状突起10dが形成された下部パッキン10を使用して、上述の各工程を経て製作した電池RB,筒状突起10dを形成すると共に、筒状突起10dに撥液処理の一例であるフッ素樹脂コートを施して撥液機能を付与した下部パッキン10を使用して、上述の各工程を経て製作した電池RB、及び、これらの電池RBとの比較例として、筒状突起10dを形成せず、電解液を通過させる開口だけを形成した下部パッキンを使用して、上述の各工程を経て製作した電池RBについて、液栓16の溶接作業時の不良率を調べた。
その結果を表1に示す。
Figure 2012049039
表1において、左端欄の番号が「1」のものが、筒状突起10d(フッ素樹脂コート無し)が形成された下部パッキン10を使用した電池RBの結果であり、左端欄の番号が「2」のものが、筒状突起10dにフッ素樹脂コートを施した下部パッキン10を使用した電池RBの結果であり、左端欄の番号が「3」のものが、筒状突起10dを形成していない下部パッキンを使用した電池の結果である。
表1から明らかなように、筒状突起10dを備えることで、明らかに不良率が改善しており、又、筒状突起10dを備える場合でも、フッ素樹脂コートを施して撥液機能を付与したものにおいて、不良率がより改善されている。
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、遮蔽体BEである筒状突起10dは、筒の内部空間の構成として、下部パッキン10を縦方向に貫通する単純な貫通孔として構成しているが、図8に概略的に示すように、筒状突起10dにおける注液孔14との連通箇所である筒状突起10dの筒の内部空間に多孔性のフィルタ21を配置しても良い。尚、フィルタ21を配置する以外は、全て上記実施の形態と共通の構成で良い。
多孔性のフィルタ21としては、例えば、不織布やスポンジ状の膜を使用することができる。
このように構成することで、フィルタ21は、電解液を通過させはするが、電解液に対する通過抵抗として作用するので、初期充電時において筐体BC内で発生したガスと共に電解液が噴出しようとすると、その電解液をトラップし、噴出を抑制する。
一方、ガスに対しては、通過抵抗として作用するものの確実に排出される。
(2)上記実施の形態では、遮蔽体BEとして筒状突起10dを例示して、注液孔14の周囲を囲むように遮蔽体BEを配置する場合を例示しているが、例えば、注液孔14の筐体BC内方側の端部の両脇(蓋部2の長手方向での両脇)に板状体を立設する等して、注液孔14に向かう電解液の流れを遮っても良く、遮蔽体BEの具体形状は種々に変更可能である。
(3)上記実施の形態では、遮蔽体BEである筒状突起10dの配置位置として、下部パッキン10が筐体BCと集電体4とに挟まれている部分に形成する場合を例示しているが、例えば、注液孔14を両電極端子間の中間の位置に配置し、その注液孔14の下方側位置まで上記筒状突起10dが延出する状態で、下部パッキン10と遮蔽体BEである筒状突起10dとが一体形成される構成であっても良い。
3 発電要素
4 集電体
5,7 電極端子
14 注液孔
21 フィルタ
BC 筐体
BE 遮蔽体
SB シール用部材

Claims (5)

  1. 発電要素を収納する筐体の外方側に電極端子が備えられ、
    前記発電要素と前記電極端子とを電気的に接続するための集電体が、シール用部材を挟んだ状態で前記筐体に固定され、
    前記筐体に電解液を注液するための注液孔が形成されている電池であって、
    前記注液孔の前記筐体内方側の端部の周囲において前記注液孔の形成面から起立する姿勢で配置されて、前記注液孔に向かう電解液の流れを遮る遮蔽体が、前記シール用部材と一体形成されている電池。
  2. 前記遮蔽体は、前記注液孔の前記筐体内方側端部の周囲を囲む筒状に形成されている請求項1記載の電池。
  3. 前記遮蔽体は、前記シール用部材における前記集電体と前記筐体とに挟まれる位置に形成されると共に、前記集電体に形成された貫通孔を貫通して、前記筐体内方側へ延出するように形成されている請求項1又は2記載の電池。
  4. 前記遮蔽体は、前記電解液に対する撥液機能を付与されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池。
  5. 前記遮蔽体における前記注液孔との連通箇所に多孔性のフィルタが配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池。
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