JP2012047639A - 回転体の異常診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸の亀裂の発生や進展に伴う弾性波信号を、減衰させることなく、高精度で受信することができる回転体の異常診断装置を提供する。
【解決手段】異常診断装置10は、スピンドル4a,4bに発生する弾性波を検出する少なくとも1個以上のAEセンサ12と、AEセンサに有線接続され、AEセンサ12の信号に基づいて異常を診断する解析手段16とを有する。スピンドル4a,4bにそれぞれには、外径、厚さ、及び材質の少なくともいずれかが異なる円環状の導波リング14,14が設けられる。AEセンサ12が設けられた流体貯留部11には、スピンドル4a,4bにそれぞれに設けられた導波リング14,14の一部が浸漬された流体が充填される。解析手段16は、導波リング14,14の外径、厚さ、及び材質によって変化するAEセンサ12で検出された弾性波に基づいてスピンドル4a,4bの異常を解析する。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転体において発生する亀裂等の異常を診断する異常診断装置に関し、特に、回転体の亀裂の発生や進展に伴って発生する弾性波信号をアコースティックエミッション(AE)センサで検出する異常診断装置に関する。
従来より、鋼板などを圧延する圧延機には、鋼板を圧延する一対の圧延ローラにモーターから駆動力を伝達するために、ギアや回転軸が多数介在している(以下、ギア及び回転軸をまとめて「回転体」と呼ぶ。)。
各々のスピンドルを支持する軸受は、使用条件によっては、運転中に微細な磨耗粉等が発生し、磨耗粉が異物となって潤滑油に混入して焼き付き等の異常が発生したり、亀裂等の損傷が発生することがある。
このような異常や損傷の存在を検知する手段としては、加速度計等の振動センサで圧延機等の振動を計測する手段や、軸受の亀裂の発生や進展に伴って発生する弾性波(AE信号)をアコースティックエミッション(AE)センサで計測する手段が挙げられる。そして、これらの検知手段は軸受に取付けられることが多い。
しかしながら、圧延機における亀裂等の異常発生は、軸受だけでなく、スピンドルそのものに発生することがある。
この場合、従来の軸受に設けられたAEセンサは、スピンドルの亀裂発生や進展に伴って発生する弾性波(AE信号)を、軸受経由で受信することとなる。
しかし、軸受に取付けたAEセンサによって、軸受を介してスピンドルの異常を検出する方法では、スピンドルから発生する弾性波(AE信号)が減衰してしまうという問題がある。
このような問題を解決する方法として、例えば、特許文献1に記載の技術が開示されている。
図6は、特許文献1における異常診断装置を示す図である。図6に示すように、特許文献1に記載の異常診断装置は、回転体200にAEセンサ201を直接設置し、このAEセンサ201が検知したAE信号を、異常診断手段を備えた受信装置(図示せず)に無線で伝送する方法である。
特開平9−26414号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、回転体に直接設置されたAEセンサが検知したAE信号を異常診断手段に無線で伝送するため、無線で伝送した信号にノイズが含まれる。このノイズの発生によって、微弱なAE信号をAEセンサが検出できない可能性があり、結果として異常診断の検出の精度の低下をもたらしていた。
また、AEセンサや送信アンテナが回転体に設置されるため、AEセンサや送信アンテナへの給電方法に課題が残されている。給電方法としては、例えば、スリップリングなどを用いることが挙げられる。しかし、このような給電方法によっても、ノイズの発生やスリップリングにおける接触不良などの問題が生じやすく、異常診断の検出の精度が低下する結果を招くことになる。なお、特許文献1には、このような問題を解決する手段については何ら開示されていない。
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転体の亀裂の発生や進展に伴う弾性波信号を、減衰させることなく受信することができる異常診断装置を提供することにある。
上記問題を解決するため、本発明の請求項1に係る回転体の異常診断装置は、回転体に発生する弾性波を検出する少なくとも1個以上の弾性波検出手段と、その弾性波検出手段に有線接続され、前記弾性波検出手段で検出された弾性波に基づいて前記回転体の異常を解析する解析手段とを有する回転体の異常診断装置であって、
複数の前記回転軸の外周面にそれぞれ設けられ、外径、厚さ、及び材質の少なくともいずれかが異なる円環状の導波リングと、
前記導波リングの一部が浸漬された流体が充填され、前記弾性波検出手段が設けられた流体貯留部とを有し、
前記解析手段は、前記導波リングの外径、厚さ、及び材質によって変化する前記弾性波検出手段で検出された弾性波に基づいて複数の前記回転体の異常を解析することを特徴としている。
本発明の請求項1に係る回転体の異常診断装置によれば、複数の回転軸(スピンドル)に、外径、厚さ、及び材質の少なくともいずれかが異なる導波リングがそれぞれ設けられ、各導波リングの外径、厚さ、及び材質によって変化する弾性波に基づいて各回転軸及びそれに関連するギアなどを含む回転体の異常を解析することができる。その結果、回転体の亀裂の発生や進展に伴う弾性波信号を、減衰させることなく受信することができる異常診断装置を提供することができる。
本発明に係る回転体の異常診断装置が設置される圧延装置の構成を示す概略図である。 本発明に係る異常診断装置の構成を示すブロック図である。 流体供給部の構成を示す概略図である。 本発明に係る回転体の異常診断装置の一実施形態における構成を示す概略図である。 本発明に係る回転体の異常診断装置の一実施形態において得られるAE波を示すグラフである。 従来の異常診断装置を備えた圧延装置の構成を示す概略図である。
以下、本発明に係る回転体の異常診断装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る回転体の異常診断装置の一実施形態における構成を示す概略図である。また、図2は、本発明に係る回転体の異常診断装置の構成を示すブロック図である。また、図3は、流体供給部の構成を示す概略図である。また、図4は、本発明に係る回転体の異常診断装置の一実施形態における構成を示す概略図である。
図1に示すように、圧延機1は、モーター(電動機)8と、モーター8の駆動力をスピンドル4a,4bに伝達するピニオンギア6a,6b、及び減速機7と、スピンドル4a,4bに連結され、鋼材(被圧延材)50を挟んで圧延する一対の圧延ロール2a,2bとを有する。
スピンドル4a,4bは、圧延ロール2a,2bの回転軸5a,5bにそれぞれ連結されている。スピンドル4a,4bのそれぞれには、相互に噛み合わされたピニオンギア6a,6bが連結されている。ピニオンギア6aには、減速機7を介して、モーター8の駆動力を伝達する回転軸9が連結されている。回転軸5a,5bの両端部、スピンドル4a,4b、及び回転軸9には、これらをそれぞれ支持する複数の軸受3が設けられている。
すなわち、圧延機1においては、モーター8からの出力が、減速機7を介して伝達されたピニオンギア6a,6bで上下に分配されて、スピンドル4a,4bの駆動力として伝達される。駆動力が伝達されたスピンドル4a,4bは、回転軸5a,5bを介して、圧延ロール2a,2bを回転させて、鋼材50を圧延する。
図2に示すように、異常診断装置10は、弾性波検出手段10a,10bと、解析手段16とを有する。また、解析手段16は、制御手段16aと、記憶手段16bとを有する。弾性波検出手段10a,10bは、流体供給部11a,11bの内部において維持された流体を介してそれぞれ設けられたAEセンサ12a,12bと、各AEセンサ12a,12bに接続されたプリアンプ13a,13bとを有する。解析手段16は、AE信号を解析する手段であり、プリアンプ13a,13bに接続されている。プリアンプ13a,13bと、解析手段16とは有線で接続されている。このため、弾性波検出手段10a,10bで得られた弾性波をAE信号として解析手段16に送信する際、無線送信によるノイズ減衰が発生しない。
このように構成された異常診断装置10は、AEセンサ12a、12bの出力がプリアンプ13a,13bを経由して増幅され、解析手段16でフーリエ変換等の信号処理がなされて、スピンドル4a,4bにおける異常が検出可能にされている。
<導波リング>
図1及び図3に示すように、スピンドル4a,4bには、それぞれ、導波リング14が設けられている。
導波リング14は、円環状をなし、その内周面をスピンドル4a,4bの外周面に嵌合させて設けられる。なお、スピンドル4a,4bに設けられる各導波リング14,14は、外径、厚さ、及び材質の少なくともいずれかが異なるものが設置される。また、導波リング14は、上下2分割構造とし、ネジ等でスピンドル4a,4bに固定する構造とすることにより、スピンドル4a,4bへの別体としての後付けが可能である。
<流体貯留部>
スピンドル4a,4bの下方には、流体を充填した流体貯留部11a,11bが設置されている。この流体貯留部11a,11bは、圧延機1の接地面に設けられた支持手段15a,15b上に設置されている。流体貯留部11a,11bの形状は、例えば、開口部を有する無蓋有底の直方体形状である。流体貯留部11a,11bは、充填された流体が、前記開口部側に位置するスピンドル4a,4bに設けられた導波リング14,14の一部を浸漬するように設けられる。また、流体貯留部11a,11bには、スピンドル4a,4bに亀裂が発生したときに発生する弾性波(AE信号)を、前記流体を介して検出するためのAEセンサ12a,12bが設置されている。ここで、前記流体としては、スピンドル4a,4bの回転速度に応じた粘性や、耐熱性を有した液体状であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<AEセンサ>
AEセンサ12aは、例えば、流体貯留部11a(11b)の外壁面に巻回された光ファイバである。具体的には、図3に示すように、AEセンサ12aは、いわゆるマッハツェンダー型光ファイバ干渉計を基本とした構成となっている。本実施形態のAEセンサ12aとしては、例えば、特開2005−321376号公報や特開2007−10646号公報に開示された弾性波検出装置を用いることが好ましい。具体的に、AEセンサ12aは、単一波長光を出射する光源102と、第1カプラ(スプリッタ)104と、光アイソレータ(アイソレータ)103と、センサ用光ファイバ106と、参照光用光ファイバ105と、第2カプラ(結合手段)107と、第1光検出器(光検出手段)108と、第2光検出器(光検出手段)109と、差分回路(DIFA)110と、フィルタ(BPF)111とを備えて構成される。
第1カプラ104は、光源102からの光を分岐する手段である。
光アイソレータ103は、光源102と第1カプラ104との間に配置され、第1カプラ104から光源102に戻る光を除去する手段である。
センサ用光ファイバ106は、流体供給部11に配設され、第1カプラ104により分岐された一方の光を導光する手段である。
参照光用光ファイバ105は、センサ用光ファイバ106と同様に、第1カプラ104により分岐された他方の光を導光する手段である。参照光用光ファイバ105の長さと、センサ用光ファイバ106の長さとは同じく設定される。
第2カプラ107は、センサ用光ファイバ106及び参照光用光ファイバ105の一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせる手段である。
第1光検出器108及び第2光検出器109は、この第2カプラ107により重ね合わされた光の強度を検出する手段である。
差分回路110は、第1光検出器108の検出信号及び第2光検出器109の検出信号の差分成分を抽出して差分信号を生成する手段である。
フィルタ111は、周波数が約50kHz〜1MHzの信号を抽出して信号S111として処理手段112に出力する手段である。
なお、光源102と光アイソレータ103、光アイソレータ103と第1カプラ104、第1カプラ104と第2カプラ107、第2カプラ107と第1光検出器108、第2カプラ107と第2光検出器109のそれぞれは、光ファイバFにより接続されている。
次に、各構成要素について更に詳細に説明する。
光源102は、特定波長のレーザ光を、光ファイバFを介して光アイソレータ103に向けて出力する。この光源102としては、例えば、レーザダイオード等のレーザ装置が用いられる。例えば光源102は波長が1313.8nmのレーザ光を出力する。
光アイソレータ103は、光源102から光ファイバFを介して出力されたレーザ光を第1カプラ104に出力する。また、光アイソレータ103は、光源102と第1カプラ104との間に備えられ、第1カプラ104から光ファイバFを介して光源102に戻る光を除去し、光源102の光出力を安定化させる。
第1カプラ104は、光アイソレータ103から出力されたレーザ光を分岐し、一方のレーザ光を参照光用光ファイバ105に出力し、他方のレーザ光をセンサ用光ファイバ106に出力する。そして参照光用光ファイバ105は、第1カプラ104で分岐されたレーザ光が一方端から入力され、第2カプラ107に接続された他方に向けて光を導光して第2カプラ107に出力する。
また、参照光用光ファイバ105は、例えば、シングルモードタイプのベアファイバをアクリルやPVC(Poly vinyl Chloride)で被覆したもの等が用いられる。
センサ用光ファイバ106は、第1カプラ104で分岐したレーザ光の他方が入力され、第2カプラ107に接続された他方端に向けて光を導光して第2カプラ107に出力する。また、センサ用光ファイバ106には、参照光用光ファイバ105と同じ構成(同じ周波数特性)のものが使用される。このセンサ用光ファイバ106は、例えば、流体供給部11の外周面を巻回するように設置される。このとき、センサ用光ファイバ106と流体供給部11の外周面との間には隙間ができるだけないことが好ましい。そこで、流体供給部11の外周面は円柱形状に形成されることが好ましい。
第2カプラ107は、参照光用光ファイバ105及びセンサ用光ファイバ6の一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせ、第1光検出器108及び第2光検出器109に出力する。そして参照光用光ファイバ105及びセンサ用光ファイバ106により導光されたレーザ光は、第2カプラ107で重ね合わされ、参照光用光ファイバ105及びセンサ用光ファイバ106の光路差によって干渉光が発生する。
また、本実施形態に係る第2カプラ107は、参照光用光ファイバ105及びセンサ用光ファイバ106の一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせて干渉光を生成し、その干渉光を分岐させて第1の光、及び第1の光と位相が反転した第2の光を出力する。
第1光検出器108及び第2光検出器109は、第2カプラ107から出力される干渉光の強度を検出する。本実施形態では第1光検出器108は、第2カプラ107から出力された第1の光の強度を検出し、第2光検出器109は、第2カプラ107から出力された第2の光の強度を検出する。具体的には、第1光検出器108は、入射する第1の光の光強度に応じた電気信号S108を生成して差分回路110に出力する。
また、第2光検出器109は、入射する第2の光の光強度に応じた電気信号S109を生成して差分回路110に出力する。そして第1光検出器108及び第2光検出器109には、例えばフォトダイオードが用いられる。また第1光検出器108及び第2光検出器109で検出される信号の位相は反転している。
また、光源102により出力されたレーザ光は、光検出器108,109に検出されるまで光ファイバ内を伝播するため、光軸の調整や振動制御を行う必要がない。
差分回路(DIFA)110は、第1光検出器108の検出信号である信号S108と、第2光検出器109の検出信号である信号S109の差分成分を抽出して差分信号を生成する。差分成分を抽出することにより直流成分の除去やS/N(Signal to Noise ratio)比を大きくすることができる。また、差分回路110は、差分信号を検出用の信号S110としてフィルタ111に出力する。また、差分回路110は、位相の反転した信号S108と信号S109との差分信号を生成するので増幅機能を有する。
フィルタ111は、差分回路110から出力された信号S110から弾性波検出に必要な成分を抽出して信号S111としてプリアンプ22a,22bに出力する。そしてフィルタ111は、例えばバンドパスフィルタにより構成され、例えば信号S110から周波数が約50kHz〜1MHzの信号を抽出して信号S111として処理手段112に出力する。
処理手段112は、例えばフィルタ111から出力された信号S111をアナログ信号からデジタル信号に変換して取り込む。この処理手段112は、例えばパーソナルコンピュータやデジタルオシロスコープ等により構成される。また、処理手段112は、取り込んだ信号S111から時間と周波数の情報を抽出し、当該情報からスピンドル4a,4bに発生する弾性波を検出する。
その後、処理手段112は、取り込んだ信号S111をプリアンプ22a,22bに出力する。プリアンプ22a,22bで増幅された信号S111は、プリアンプ22a,22bから解析手段16に送信される(図3参照)。解析手段16では、例えば取り込んだ信号S111にフィルタ処理、周波数変換処理、ウェーブレット変換処理等を施して、群速度分散や、特定周波数成分の経時変化が解析される。
ここでウェーブレット変換について説明する。ウェーブレット変換は、時間と周波数に依存した窓関数の形を変化させて、検出波形の全域から時間と周波数の情報を抽出する。すなわち、検出波形の各時間において時間−周波数変換を行い、周波数帯域毎の信号強度を時系列的に求める。これにより、特定の周波数における特定モードの波の到達時間の情報が得られ、例えば、音源位置を特定することができる。
このように、本実施形態によれば、流体供給部に巻回した光ファイバの伸縮によって回転体に生じた欠陥を検知するAEセンサを使用しているので、回転体に生じた欠陥をより高い精度で検知することができる。
<異常診断方法>
ここで、流体を介してスピンドル4a内部で発生した弾性波を検知して異常を診断する方法について具体的に説明する。
<AE信号の判定>
図5(a)〜(d)は、本実施形態において得られるAE波を示すグラフ、すなわち、導波リングの外径、厚み、及び材質を変化させたときのAEセンサにおける弾性波の検出波形と周波数応答との関係を示すグラフである。図5(a)は、導波リングの材質をアルミニウムとし、外径が40mmφ、厚さを10mmとしたときの結果であり、図5(b)は、導波リングの材質をプラスチックとし、外径が45mmφ、厚さを10mmとしたときの結果であり、図5(c)は、導波リングの材質を鉄とし、外径が40mmφ、厚さを10mmとしたときの結果であり、図5(d)は、導波リングの材質を鉄とし、外径が45mmφ、厚さを15mmとしたときの結果である。弾性波は、シャープペンシル芯圧折法によって発生させた擬似AE波を採用した。シャープペンシル芯圧折法は、AEセンサの感度確認方法として従来より用いられる方法である。具体的には、外径20mmφのスピンドルの一部に外径6mmφの段付き部を形成し、スピンドルの先端に15kgfの荷重を取付けて回転させ、段付き部の先端にシャープペンシルの芯を圧折することによって擬似AE波を発生させる方法である。すなわち、図5(a)〜(d)に示すグラフは、このようにして発生させた擬似AE信号(弾性波)を、導波リング及び流体を介してAEセンサで検出した波形と周波数応答関数との結果を示すものである。
図5(a)〜(d)に示すように、導波リングの形状(厚み・外径・材質)の違いによって、検知した弾性波形の周波数応答が顕著に変化することがわかる。これは、導波リングの外径、厚み、材質の違いにより擬似AE信号(弾性波)の伝播特性が異なることを意味している。
この周波数特性の違いを利用して、2つの光ファイバセンサを直列に接続した構成によって、併設された2つの回転体の異常診断を1つの異常診断装置10で行う。具体的には、図4に示すように、検査対象である2つの回転体4a,4bのそれぞれに厚みの異なる導波リング14,14を設置し、各導波リング14,14の一部が流体fに浸漬された流体貯留部11a,11bにそれぞれ設置されたAEセンサ12,12を解析手段16に対して直列に接続する。このような構成において、検出波形は、1本の光ファイバ線Fで送信されることから、得られた検出波形がどちらの回転体に設けられたAEセンサから検知した信号であるかを判別する必要がある。
そこで、制御手段16aは、導波リングの外径、厚み、及び材質によって特定される弾性波形の周波数応答のサンプリング結果に関する情報が予め記憶されている記憶手段16bのそのサンプリング結果に関する情報を参照して、導波リングの形状を特定し、どちらの回転体で検知した信号であるかを判別する。この判別は、例えば、図5(a)〜(d)に示した、○で囲んだ部分の周波数ピークの違いを検知して行われる。
以上説明したように、本実施形態の構成によって、導波リングの外径、厚み、及び材質によって変化するAE信号(弾性波)の伝播特性に基づいて、複数の回転体に設置した複数の光ファイバセンサのそのセンサが検知した信号であることを判別することが可能である。
その結果、各回転体の異常を解析することができ、回転体の亀裂の発生や進展に伴う弾性波信号を、減衰させることなく受信することができる異常診断装置を提供することができる。また、1本の通常の光ファイバ線上に複数個のAEセンサを構成することが可能となるので、AEセンサの配線の設置時闇や費用を低滅することが可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。例えば、上述の実施形態では、外径、厚さ、及び材質の異なる導波リングを、2本のスピンドル(回転軸)にそれぞれ設けたが、1本のスピンドルに、外径、厚さ、及び材質の異なる複数の導波リングを設けてもよい。
1 圧延装置
2a,2b 圧延ロール
3 軸受
4a,4b スピンドル(回転軸)
10 異常診断装置
11 流体貯留部
12 AEセンサ
14 導波リング

Claims (1)

  1. 回転体に発生する弾性波を検出する少なくとも1個以上の弾性波検出手段と、その弾性波検出手段に有線接続され、前記弾性波検出手段で検出された弾性波に基づいて回転体の異常を解析する解析手段とを有する回転体の異常診断装置であって、
    複数の前記回転軸の外周面にそれぞれ設けられ、外径、厚さ、及び材質の少なくともいずれかが異なる円環状の導波リングと、
    前記導波リングの一部が浸漬された流体が充填され、前記弾性波検出手段が設けられた流体貯留部とを有し、
    前記解析手段は、前記導波リングの外径、厚さ、及び材質によって変化する前記弾性波検出手段で検出された弾性波に基づいて複数の前記回転体の異常を解析することを特徴とする回転体の異常診断装置。
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