JP2012042391A - 回転体の異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スピンドル4に発生する弾性波を検出する少なくとも1個以上のAEセンサ12と、AEセンサ12に有線接続され、AEセンサ12の信号に基づいて異常を診断する解析手段16と、少なくとも底部17が開口し、流体が貯留された流体貯留部60から供給された前記流体を底部17とスピンドル4との間で保持する流体供給部11がスピンドル4の上方に配置されている。
【選択図】図3
Description
各々のスピンドルを支持する軸受は、使用条件によっては、運転中に微細な磨耗粉等が発生し、磨耗粉が異物となって潤滑油に混入して焼き付き等の異常が発生したり、亀裂等の損傷が発生することがある。
しかしながら、圧延機における亀裂や磨耗等の異常発生は、軸受だけでなく、スピンドルそのものに発生することがある。
この場合、従来の軸受に設けられたAEセンサは、スピンドルの亀裂発生や進展に伴って発生する弾性波(AE信号)を、軸受経由で受信することとなる。
このような問題を解決する方法として、例えば、特許文献1に記載の技術が開示されている。
図6は、特許文献1における異常診断装置を示す図である。図6に示すように、特許文献1に記載の異常診断装置は、回転体23にAEセンサ1を直接設置し、このAEセンサ1が検知したAE信号を、異常診断手段を備えた受信装置(図示せず)に無線で伝送する方法である。
また、AEセンサや送信アンテナが回転体に設置されるため、AEセンサや送信アンテナへの給電方法に課題が残されている。給電方法としては、例えば、スリップリングなどを用いることが挙げられる。しかし、このような給電方法によっても、ノイズの発生やスリップリングにおける接触不良などの問題が生じやすく、異常診断の検出の精度が低下する結果を招くことになる。なお、特許文献1には、このような問題を解決する手段については何ら開示されていない。
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転体の亀裂の発生や進展に伴う弾性波信号を、減衰させることなく受信することができる異常診断装置を提供することにある。
また、上記問題を解決するため、本発明の請求項3に係る回転体の異常診断装置は、請求項1又は2に記載の回転体の異常診断装置において、前記流体が磁性流体であり、前記回転体と、前記流体供給部との間に前記磁性流体を保持する磁石が前記流体供給部の前記底部に設けられたことを特徴としている。
また、上記問題を解決するため、本発明の請求項5に係る回転体の異常診断装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の回転体の異常診断装置において、前記回転体に付勢する倣いロールが前記流体供給部に設けられたことを特徴としている。
本発明の請求項3に係る回転体の異常診断装置によれば、スピンドルに生じた亀裂等を伝播する媒体に磁性流体を用い、この磁性流体をスピンドルと流体貯留部との間で保持する磁石を、磁性流体が充填された流体貯留部のスピンドル側に設置しているため、磁性流体の保持力が高く、弾性波の伝播性を維持することができる。そして、このような構成により、単に、AEセンサが設置された流体供給部と回転体との間に、弾性波を伝播する媒体として流体を介在させるよりも弾性波の伝播性を維持することができる。
本発明の請求項5に係る回転体の異常診断装置によれば、前記回転体に付勢する倣いロールが前記流体供給部に設けられたことにより、前記回転体と前記流体供給部との間隔を所定の間隔に維持することができる。
以下、本発明に係る回転体の異常診断装置の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る回転体の異常診断装置の第1の実施形態における圧延機の構成を示す概略図である。また、図2は、本実施形態における流体供給部の構成を示す図であり、図2(a)は、スピンドル4aと流体供給部11aとの構成を示す側面図であり、図2(b)は、圧延ロール2a側から見たスピンドル4aと流体供給部11aとの構成を示す正面図であり、図2(c)は、流体供給部11aの構成を示す斜視図である。なお、図2(c)では、流体供給部11aの向きを上下逆にして示している。
スピンドル4a,4bは、圧延ロール2a,2bの回転軸5a,5bにそれぞれ連結されている。スピンドル4a,4bのそれぞれには、相互に噛み合わされたピニオンギア6a,6bが連結されている(これら回転軸5a(5b)及びピニオンギア6a(6b)をまとめて「回転体」と呼ぶ。)。ピニオンギア6aには、減速機7を介して、モーター8の駆動力を伝達する回転軸9が連結されている。回転軸5a,5bの両端部、スピンドル4a,4b、及び回転軸9には、これらをそれぞれ支持する複数の軸受3が設けられている。
図2(a)〜(c)に示すように、流体供給部11a,11bは、有蓋無底の形状をなし、底部17a,17bはスピンドル4a,4bの周面の上部に対して所定の間隔を有するように開口して形成されている。流体供給部11a,11bの上面には貫通孔19が形成されている。該貫通孔19には、管70が連結され、ポンプPを介して流体貯留部60に連結されている。流体貯留部60には、所定量の流体fが貯留されている。また、流体供給部11a,11bの上面には、スピンドル4に亀裂が発生したときに発生する弾性波(AE信号)を検出するためのAEセンサ12a,12bが設置されている。なお、AEセンサ12a,12bは、流体供給部11a,11bを介してスピンドル4からの弾性波を検出することができれば、流体供給部11a,11bのどこに設置されてもよい。
流体fとしては、液体状であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、流体供給部11a,11bの音響インピーダンスとの差が小さい音響インピーダンスを呈する流体が好ましい。流体fの例としては、主成分である水、有機溶剤、又は油等の液体(分散媒)、及びその粒子に吸着して粒子を液体(分散媒)中に安定して分散させるための界面活性剤の2成分よりなるコロイド溶液がある。
このように、本実施形態における圧延機1では、流体供給部11a,11bの音響インピーダンスと、流体fの音響インピーダンスと、スピンドル4a,4bの音響インピーダンスとの差が小さいことが好ましい。また、流体供給部11a,11bの音響インピーダンスが、流体fの音響インピーダンスと、スピンドル4a,4bの音響インピーダンスとの間であることがより好ましい。なお、音響インピーダンスは、例えば、公知の近接法、反射法、比較法、定在波管法、管内法等から適宜選択された測定方法によって測定される。
このように構成された異常診断装置10は、AEセンサ12a、12bの出力がプリアンプ13a,13bを経由して増幅され、解析手段16でフーリエ変換等の信号処理がなされて、スピンドル4a,4bにおける異常が検出可能にされている。
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る回転体の異常診断装置は、AEセンサの構成が前述の第1の実施形態と異なるだけであるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略する。
図4は、本実施形態の構成を示す概略図である。図4に示すように、本実施形態のAEセンサ12aは、いわゆるマッハツェンダー型光ファイバ干渉計を基本とした構成となっている。本実施形態のAEセンサ12aとしては、例えば、特開2005−321376号公報や特開2007−10646号公報に開示された弾性波検出装置を用いることが好ましい。具体的に、AEセンサ12aは、単一波長光を出射する光源102と、第1カプラ(スプリッタ)104と、光アイソレータ(アイソレータ)103と、センサ用光ファイバ106と、参照光用光ファイバ105と、第2カプラ(結合手段)107と、第1光検出器(光検出手段)108と、第2光検出器(光検出手段)109と、差分回路(DIFA)110と、フィルタ(BPF)111とを備えて構成される。
光アイソレータ103は、光源102と第1カプラ104との間に配置され、第1カプラ104から光源102に戻る光を除去する手段である。
センサ用光ファイバ106は、流体供給部11に配設され、第1カプラ104により分岐された一方の光を導光する手段である。
参照光用光ファイバ105は、センサ用光ファイバ106と同様に、第1カプラ104により分岐された他方の光を導光する手段である。参照光用光ファイバ105の長さと、センサ用光ファイバ106の長さとは同じく設定される。
第1光検出器108及び第2光検出器109は、この第2カプラ107により重ね合わされた光の強度を検出する手段である。
差分回路110は、第1光検出器108の検出信号及び第2光検出器109の検出信号の差分成分を抽出して差分信号を生成する手段である。
なお、光源102と光アイソレータ103、光アイソレータ103と第1カプラ104、第1カプラ104と第2カプラ107、第2カプラ107と第1光検出器108、第2カプラ107と第2光検出器109のそれぞれは、光ファイバFにより接続されている。
光源102は、特定波長のレーザ光を、光ファイバFを介して光アイソレータ103に向けて出力する。この光源102としては、例えば、レーザダイオード等のレーザ装置が用いられる。例えば光源102は波長が1313.8nmのレーザ光を出力する。
光アイソレータ103は、光源102から光ファイバFを介して出力されたレーザ光を第1カプラ104に出力する。また、光アイソレータ103は、光源102と第1カプラ104との間に備えられ、第1カプラ104から光ファイバFを介して光源102に戻る光を除去し、光源102の光出力を安定化させる。
センサ用光ファイバ106は、第1カプラ104で分岐したレーザ光の他方が入力され、第2カプラ107に接続された他方端に向けて光を導光して第2カプラ107に出力する。また、センサ用光ファイバ106には、参照光用光ファイバ105と同じ構成(同じ周波数特性)のものが使用される。このセンサ用光ファイバ106は、例えば、流体供給部11の外周面を巻回するように設置される。このとき、センサ用光ファイバ106と流体供給部11の外周面との間には隙間ができるだけないことが好ましい。そこで、流体供給部11の外周面は円柱形状に形成されることが好ましい。
第1光検出器108及び第2光検出器109は、第2カプラ107から出力される干渉光の強度を検出する。本実施形態では第1光検出器108は、第2カプラ107から出力された第1の光の強度を検出し、第2光検出器109は、第2カプラ107から出力された第2の光の強度を検出する。具体的には、第1光検出器108は、入射する第1の光の光強度に応じた電気信号S108を生成して差分回路110に出力する。
また、光源102により出力されたレーザ光は、光検出器108,109に検出されるまで光ファイバ内を伝播するため、光軸の調整や振動制御を行う必要がない。
このように、本実施形態によれば、流体供給部に巻回した光ファイバの伸縮によって回転体に生じた欠陥を検知するAEセンサを使用しているので、回転体に生じた欠陥をより高い精度で検知することができる。(第3の実施形態)
このように、流体供給部11に倣いロール80を設けたことで、スピンドル4の回転に芯ぶれがあった場合でも、スピンドル4と流体供給部11との間隔を所定の間隔に維持することができるので、スピンドル4の異常を常に検知することができる。
2a,2b 圧延ロール
3 軸受
4a,4b スピンドル(回転軸)
10 異常診断装置
11 流体供給部
12 AEセンサ
14 磁石
15 支持手段
16 解析手段
17 底部
80 倣いロール
Claims (5)
- 回転体に発生する弾性波を検出する少なくとも1個以上の弾性波検出手段と、その弾性波検出手段に有線接続され、前記弾性波検出手段で検出された弾性波に基づいて前記回転体の異常を解析する解析手段とを有する回転体の異常診断装置であって、少なくとも底部が開口し、流体が貯留された流体貯留部から供給された前記流体を前記底部と前記回転体との間で保持する流体供給部が前記回転体の上方に配置されたことを特徴とする回転体の異常診断装置。
- 前記流体貯留部から前記流体供給部に供給される前記流体の供給量を変化可能なポンプが設けられ、該ポンプが、前記流体貯留部から前記流体供給部に供給される前記流体の供給量を、前記流体供給部の前記底部から前記流体が流下する流下量よりも多くすることにより、前記流体が前記底部と前記回転体との間で保持されることを特徴とする請求項1に記載の回転体の異常診断装置。
- 前記流体が磁性流体であり、前記回転体と、前記流体供給部との間に前記磁性流体を保持する磁石が前記流体供給部の前記底部に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転体の異常診断装置。
- 前記弾性波検出手段が、単一波長光を出射する光源と、該光源からの出射光を分岐するスプリッタと、前記回転体に配設され前記スプリッタにより分岐された一方の光を導光するセンサ用光ファイバと、前記スプリッタにより分岐された他方の光を導光する参照光用光ファイバと、前記センサ用および参照光用の各光ファイバの一方端から他方端に向けて導光された光を重ね合わせる結合手段と、該結合手段により重ね合わされた光の強度を検出する光検出手段と、該光検出手段により検出された検出信号に基づいて前記回転体に発生する弾性波を検出する処理手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回転体の異常診断装置。
- 前記回転体に付勢する倣いロールが前記流体供給部に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回転体の異常診断装置。
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