JP2012046712A - 着色硬化性組成物、カラーフィルタ、その製造方法及びカラーフィルタを備えた固体撮像素子並びに液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(M1)〜(M2)で表される色素単量体、及び該単量体を繰り返し単位とする色素多量体から選択される少なくとも1種の着色剤と、重合性化合物と、を含有する着色硬化性組成物。下記式中、Dyeは、色素骨格に由来する部分構造を表し、R1は、水素原子、アルキル基等を、L、及び、L1は2価の連結基を表し、R2は水素原子又はアルキル基を表し、R3、及びR4は水素原子、アルキル基等を表す。
【選択図】なし
Description
上記の方法は、顔料を用いることから光や熱に対して安定であると共に、フォトリソ法によってパターニングを行うことから位置精度が充分に確保され、カラーディスプレー用カラーフィルタ等の製造に好適な方法として広く利用されてきた。
有機EL表示装置や液晶表示装置においては、近年、従来のモニター用途に比べて、より高度な画質、すなわち、コントラスト、及び色純度の向上が求められるTV用大型画面等にも適用されるようになった。このため、コントラストをより向上させる目的で、カラーフィルタの形成に用いる感光性樹脂組成物に使用する着色剤(有機顔料等)の粒子サイズが、より微小なものが求められている。また、色純度向上のため、該感光性樹脂組成物の固形分中に占める着色剤(有機顔料)の含有率を向上させることも重要となってきており、従来の顔料分散法の適用では、その要求に十分に応じているとは言い難い。
(1)分子分散状態である染料は、一般に分子集合体である顔料に比べて、耐光性、耐熱性に劣る、
(2)分子分散状態である染料は、一般に分子集合体である顔料に比べて、耐溶剤性即ち、硬化部における着色成分が溶剤に溶出せず、膜中に保持される性能や硬化部への固定性に劣る、
(3)染料は、硬化性組成物中の他の成分との相互作用を示すことが多く、重合阻害性による感度低下やパターン形状の劣化を引き起こす。
(4)染料のモル吸光係数(ε)が低い場合には、多量の染料を添加しなければならず、そのために硬化性組成物中の重合性化合物(モノマー)やバインダー、光重合開始剤等の他の成分を減らさざるを得ず、組成物の硬化性、硬化後の耐熱性、(非)硬化部の現像性等が低下する、
(5)硬化性組成物への溶解性、現像時のアルカリ現像液溶解性等の性能を染料分子に付与することが必要で、調整が難しい、 などの問題である。
着色硬化性組成物を用いてフォトリソ法によりRGBカラーフィルタを製造する際、各色のパターンを逐次的に形成させるため、形成された着色パターンの上に、色相の異なる着色硬化性組成物を付与するが、その際、すでに形成された着色パターン中の着色剤が次色の着色硬化性組成物に溶け出すと混色の問題が発生するため、カラーフィルタ製造工程では硬化部に非常に高い耐溶剤性が求められるが、上述のように、染料は顔料に比べて耐溶剤性に劣る。さらに、カラーフィルタの製造では、塗布、露光、現像工程後に、着色パターンの硬化度を上げるため加熱処理を行うことがあるが、加熱時における熱エネルギーにより染料の運動性向上に起因して色相の異なる隣接パターンへ色移りしやすく、硬化部における染料の固定性も大きな課題であった。
すなわち、本発明の第1の目的は、耐光性、耐熱性、及び、耐溶剤性に優れた着色硬化膜を形成し得る着色硬化性組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、薄層化された場合でも、色純度、耐熱性、耐光性に優れた着色パターンを有するカラーフィルタ、該カラーフィルタの製造方法、さらに、該カラーフィルタを備える固体撮像素子及び液晶表示装置を提供することにある。
<1> 下記一般式(M1)で表される色素単量体、一般式(M2)で表される色素単量体、一般式(P1)で表される繰り返し単位を含む色素多量体、及び一般式(P2)で表される繰り返し単位を含む色素多量体からなる群より選択される着色剤と、重合性化合物と、を含有する着色硬化性組成物。
<2> 前記一般式(M1)、一般式(M2)、一般式(P1)、及び一般式(P2)におけるDyeが、カルボキシ基及びスルホ基から選ばれる酸基を有する染料に由来する部分構造を表す前記<1>に記載の着色硬化性組成物。
<3> 前記一般式(M1)、一般式(M2)、一般式(P1)、及び一般式(P2)が、Dye−SO3H、又はDye−COOHで表される、カルボキシ基及びスルホ基から選ばれる酸基を有する染料の酸基より−OHを1つ除してなる部分構造を有する前記<1>に記載の着色硬化性組成物。
<4> 前記一般式(M1)、一般式(M2)、一般式(P1)、及び一般式(P2)が、下記染料(D−1)〜染料(D−12)で表されるいずれかの染料が有する酸基から−OHを1つ除してなる部分構造を有する前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<6> さらに、光重合開始剤を含有する前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<7> さらに、アルカリ可溶性バインダーを含有する前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<8> さらに、前記一般式(M1)で表される色素単量体、一般式(M2)で表される色素単量体、一般式(P1)で表される繰り返し単位を含む色素多量体、及び一般式(P2)で表される繰り返し単位を含む色素多量体以外の着色剤を含有する前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<10> 液晶表示装置用カラーフィルタを形成するのに用いる前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物。
<11> 前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタ。
<12> 前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物を基板上に付与して着色硬化性組成物層を形成する工程と、該着色硬化性組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含むカラーフィルタの製造方法。
<13> 前記パターン状に露光する工程が、着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光する工程である前記<12>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<14> 前記<11>に記載のカラーフィルタを具備した固体撮像素子。
<15> 前記<11>に記載のカラーフィルタを具備した液晶表示装置。
また、本発明の好ましい態様では、上記色素単量体や色素多量体にアルカリ可溶性基を導入したため、着色硬化性組成物をパターン露光により露光部を硬化させた後に行われる現像工程において、アルカリ現像液の濃度依存性が小さくなり、パターン形成性がより向上する。
また、本発明によれば、薄層化された場合でも、色純度、耐熱性、耐光性に優れた着色パターンを有するカラーフィルタ、該カラーフィルタの製造方法、さらに、該カラーフィルタを備える固体撮像素子及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の着色硬化性組成物は、後述する一般式(M1)で表される色素単量体、一般式(M2)で表される色素単量体、一般式(P1)で表される繰り返し単位を含む色素多量体、及び一般式(P2)で表される繰り返し単位を含む色素多量体からなる群より選択される着色剤と、重合性化合物と、を含有する。
以下、本発明の着色硬化性組成物に含まれる各成分について順次説明する。
≪色素単量体≫
本発明の着色硬化性組成物に着色剤として用いられる色素単量体は、下記一般式(M1)又は下記一般式(M2)で表される単量体である。
即ち、本発明に係る色素単量体及び色素単量体には、色素由来の部分構造が、Dye−SO3HもしくはDye−CO2Hで表わされる酸基を有する染料の酸基から−OHを一つ除してなる構造で導入される。
R1がアルキル基を表す場合の、好ましいアルキル基の例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル基を挙げることができる。
L1は2価の連結基を表す。2価の連結基の例としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環残基、−CO−、−SOn−(nは0、1、2)、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す)、−O−、およびこれらの連結基を組み合わせてなる二価の基である。
R2は水素原子又はアルキル基を表し、R2がアルキル基を表す場合の、好ましいアルキル基としてはメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチルを挙げることができる。
R3及びR4は、おのおの独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表わし、水素原子、アルキル基、又はカルボキシ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
R3及びR4において、好ましいアルキル基の例はR1におけるアルキル基の例と同じである。R3及びR4の好ましいアリール基としては、フェニル、ナフチル、4−メトキシフェニル、4−カルボキシフェニルなどを挙げることができる。R3、R4の好ましいアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、カルボキシメチルオキシカルボニル基を挙げることができる。
上記具体例にも示したとおり、R1〜R4におけるアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基は、更に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基等の置換基を有しするものであってもよい。
Dyeで示される色素骨格に由来する部分構造としては、カラーフィルタに求められる分光特性と堅牢性を達成しうる染料の色素骨格に由来するものであれば任意のものを使用できるが、所謂、酸性染料や直接染料と呼ばれるカルボキシ基、もしくはスルホ基を有する染料における色素骨格を適用することが、分光特性と堅牢性に優れた既存の染料を収率良く、また純度良く加工修飾できる点で好ましい。酸性染料や直接染料と呼ばれる酸基を有する染料としては、種々の発色団を有するものが知られており、先述の「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)に挙げられている酸性染料、直接染料の他、例えばインクジェットプリンティング用に開発された、酸基を有する水溶性染料を好ましく用いることができる。
レッドやグリーンのカラーフィルタ形成用着色硬化性組成物において着色剤として使用されるイエロー発色団を有する染料としては、任意のものを使用することができる。
例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;更にはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料、キノン系染料、およびこれらの金属錯体染料等を挙げることができる。
前記例示した染料において、水素原子或いは水酸基を1つ除した形式で、一般式(M1)〜一般式(P2)におけるDye(色素骨格由来の部分構造)として導入される。
以下に、一般式(M1)、及び一般式(M2)で表される色素単量体の具体例を、一般式(M1)、及び一般式(M2)におけるR1〜R4及びL1を特定することで示すが、本発明はこれに限定されない。
本発明の着色硬化性組成物において着色剤として用いられる色素多量体は、一般式(P1)又は一般式(P2)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含むものであって、前記色素単量体の説明において詳述した酸性染料誘導体の色素部を部分構造として有する色素多量体である。
本発明に係る色素多量体に、酸性染料由来の色素骨格を含む部分構造Dyeを導入する方法は任意であり、重合性の原料である単量体として、該色素骨格を導入したもの、例えば、本発明において着色剤として用いられる前記一般式(M1)及び一般式(M2)で表される色素単量体の如き単量体などを用い、重合、或いは、共重合させて多量体を得てもよく、多量体を形成した後に、高分子反応などにより色素骨格を導入してもよい。
以下に、本発明の着色硬化性組成物において着色剤に用いられる色素多量体の構造について詳細を記載する。該色素単量体は、以下に示す一般式(P1)及び一般式(P2)から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む多量体である。
一般式(P1)及び一般式(P2)におけるR1〜R4は、それぞれ前記一般式(M1)及び一般式(M2)におけるR1〜R4と同義であり、好ましい例もまた同様のものが挙げられる。
前記一般式(P1)及び一般式(P2)におけるLは、前記一般式(M1)及び一般式(M2)におけるL1と同義であり、好ましい例もまた同様のものが挙げられる。
また、色素多量体において前記一般式(P1)で表される繰り返し単位又は一般式(P2)で表される繰り返し単位を複数含む場合、複数存在するR1〜R4、L及びDyeは互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、本発明に係る色素多量体は、前記一般式(P1)及び一般式(P2)で表される繰り返し単位から選択される繰り返し単位のみからなる多量体であってもよく、また、所望により、前記一般式(P1)及び一般式(P2)で表される繰り返し単位とは構造の異なる他のエチレン性不飽和結合単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
即ち、前記一般式(P1)及び一般式(P2)で表される繰り返し単位を、一般式(M1)及び一般式(M2)で表される色素単量体を重合させて形成する場合には、好ましい単量体である一般式(M1)及び一般式(M2)で表される色素単量体を、色素多量体の原料として質量比(質量%)で100質量%含むものであってもよい。
前記一般式(P1)及び一般式(P2)で表される繰り返し単位を含む色素多量体は、側鎖に、一般式(P1)及び一般式(P2)で表される如き、染料由来の色素部分構造が特定の連結基を介して結合してなる構造を有することを特徴とするものであるが、既述のように、このような構造は、一般式(M1)及び一般式(M2)で表される単量体を原料モノマーとして重合させて導入して作製してもよく、色素部分構造を有しない多量体に、前記特定の色素部分構造を導入して作製してもよいが、色素部分構造の種類や導入量を制御しやすいといった観点からは前者の方法が好ましく、以下、このような方法について述べる。
本発明にかかる色素多量体が重合成分として、上記一般式(P1)、及び一般式(P2)で表される繰り返し単位とは構造の異なる、末端エチレン性不飽和結合をする繰り返し単位(以下、適宜、他の繰り返し単位と称する)を共重合成分として含む場合、他の繰り返し単位を構成しうる単量体(以下、適宜、「他のエチレン性不飽和結合単量体」と称する)は、1種のみ含んでもよく、2種以上含んでよい。
本発明の色素多量体を着色硬化性組成物に適用する場合、着色パターン形成性を向上させる観点から、他のエチレン性不飽和結合単量体は、末端エチレン性不飽和結合に加え、さらに、アルカリ可溶性基を有する単量体であることが好ましい。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。なおこれらの内では、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
なお、本明細書においては、アクリル酸、メタクリル酸の双方或いはいずれかを表す場合、(メタ)アクリル酸と、アクリレート、メタクリレートの双方或いはいずれかを表す場合、(メタ)アクリレートと、それぞれ記載することがある。
すなわち、現像液中での析出物の生成抑制という点では、アルカリ可溶性基を有するビニルモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は10mgKOH/g以上であることが好ましい。本発明の色素多量体と顔料とを共に用いて着色硬化性組成物を構成する場合、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、あるいは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、アルカリ可溶性基を有するビニルモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は50mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましい。
他の繰り返し単位として好ましくは、以下に示す繰り返し単位の具体例〔(H−1)〜(H−25)〕が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下に、前記一般式(M1)、及び一般式(M2)で表される色素単量体の合成方法の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<合成例1:色素単量体 例示化合物(m−1)の合成法>
冷却管と撹拌装置を備えた3つ口フラスコに、Dye−1(C.I.Acid Red 289(東京化成工業))を30部、クロロホルム300部、N,N−ジメチルホルムアミド15部を投入し、20℃以下に保ちながら塩化チオニル30部を滴下した。滴下終了後、60℃に昇温し、5時間反応させた。反応液を減圧下に濃縮し、過剰の塩化チオニルと溶媒を留去した。残留物にアセトニトリル200部を加えて撹拌し、次いで10℃以下に保ちながらエタノールアミン16部を滴下し、さらに室温にて2時間撹拌した。反応液をイオン交換水1000部中に加えて撹拌し、析出した固形物をろ別した。40℃にて減圧乾燥し、C.I.Acid Red 289のビス(2−ヒドロキシエチルアミド)体を28.5部得た。得られたビス(2−ヒドロキシエチルアミド)体28.5部をN,N−ジメチルアセトアミド150部に溶解し、20℃以下にてメタクリロイルクロリド5部を滴下し、更に室温にて3時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルにて抽出し、酢酸エチルを減圧下で留去したのち、カラムクロマトにて精製し、色素単量体(m−1)を24.8部得た。
収率は79.7%であった。なお、色素単量体m−1は2つある2−ヒドロキシエチル基のうちの一方にメタクリロイル基が導入された色素混合物である。
前記色素単量体(m−1)の合成において使用した、エタノールアミン16部に換えて、3−アミノ−1−プロパノールを20部使用したほかは同様にして、色素単量体(m−2)を25.1部合成した。収率は79.4%であった。なお、色素単量体m−2は2つある3−ヒドロキシプロピル基のうちの一方にメタクリロイル基が導入された色素混合物である。
冷却管と撹拌装置を備えた3つ口フラスコに、Dye−3(Violamine 3G Spirit Soluble:C.I.45195)を27部(50)、クロロホルム200部、N,N−ジメチルホルムアミド10部を投入し、20℃以下に保ちながら塩化チオニル12部(100)を滴下した。滴下終了後、60℃に昇温し、3時間反応させた。反応液を減圧下に濃縮し、過剰の塩化チオニルと溶媒を留去した。残留物にアセトニトリル200部を加えて撹拌し、次いで10℃以下に保ちながら1−アミノ−2−プロパノール10部(133)を滴下し、さらに室温にて2時間撹拌した。反応液をイオン交換水1000部中に加えて撹拌し、析出した固形物をろ別した。40℃にて減圧乾燥し、Dye−3の2−ヒドロキシプロピルアミド体を27.4部(45.9)得た。収率は91.8%であった。得られたアミド体27.4部をN,N−ジメチルアセトアミド150部に溶解し、20℃以下にてメタクリロイルクロリド8部(76)を滴下し、更に室温にて3時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルにて抽出し、酢酸エチルを減圧下で留去したのち、カラムクロマトにて精製し、色素単量体(m−10)を26.6部得た。収率は87.3%であった。
以下に、前記一般式(P1)及び一般式(P2)で表される繰り返し単位を含む色素多量体の合成方法の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<合成例4:色素多量体 例示化合物(s−2)の合成>
前記合成例1で得られた色素単量体(m−1)(13.95g)、前記単量体(H−1)(メタクリル酸 1.55g)、n−ドデカンチオール420mgをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、適宜、PGMEAと称する)50mlに溶解させ、窒素下、85℃で攪拌し、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)478mgを添加した。その後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)478mgを二時間おきに二度追加添加し、90℃に昇温し、更に二時間攪拌した。反応終了後、アセトニトリル600ml中に反応液を滴下し、得られた結晶をろ過し、色素多量体の例示化合物(s−2)(12.42g)を得た。
前記合成例3で得られた色素単量体(m−10)(13.95g)、単量体H−1(1.55g)、n−ドデカンチオール420mgをPGMEA50mlに溶解させ、窒素下、85℃で攪拌し、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)478mgを添加した。その後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)478mgを二時間おきに二度追加添加し、90℃に昇温し、更に二時間攪拌した。反応終了後、アセトニトリル600ml中に反応液を滴下し、得られた結晶をろ過し、色素多量体の例示化合物(s−11)(11.95g)を得た。
本発明に係る色素多量体は既述のように、特定の連結基を介して色素骨格由来の部分構造を含む繰り返し単位を有することから、色純度、耐光性、耐熱性、耐溶剤性に優れ、混色が少なく、パターン成形性の良好な硬化膜が形成され、カラーフィルタの着色パターン形成にも好適な着色硬化性組成物に用いられる。本発明の着色硬化性組成物に適用する色素多量体は着色パターン形成性を向上させる観点からはアルカリ可溶性基を有することが好ましいことは既述したとおりである。
合成適合性の観点からは、Dye部分(色素骨格由来の部分構造)を有する繰り返し単位を形成する単量体ではなく、共重合成分として含まれる、他のエチレン性不飽和結合単量体の少なくとも1種にアルカリ可溶性基を有する単量体を用いる方法が好ましい。
本発明において、酸価はJIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により求める。
更に、該色素多量体の450nmにおける吸光度に対し、最大吸収波長(λmax)の吸光度が50倍以上であることが好ましく、200倍以上であることがより好ましく、500倍以上であることが更に好ましい。この比率がこの範囲にあることで、本発明の着色硬化性組成物によりカラーフィルタの着色パターンを形成する際、特に青色カラーフィルタを作製する場合に、より透過率の高いフィルターを形成することができる。
更に、該短波側および長波側の色素多量体夫々の540nmにおける吸光度に対し、最大吸収波長(λmax)の吸光度が10倍以上であることが好ましく、20倍以上であることがより好ましく、30倍以上であることが更に好ましい。この比率がこの範囲にあることで、本発明の着色硬化性組成物によりカラーフィルタの着色パターンを形成する際、特に緑色カラーフィルタを作製する場合に、より透過率の高いフィルターを形成することができる。
更に、色素多量体の650nmにおける吸光度に対し、最大吸収波長(λmax)の吸光度が50倍以上であることが好ましく、200倍以上であることがより好ましく、500倍以上であることが更に好ましい。この比率がこの範囲にあることで、本発明の着色硬化性組成物によりカラーフィルタの着色パターンを形成する際、特に緑色カラーフィルタを作製する場合に、より透過率の高いフィルターを形成することができる。
本発明に使用される前記色素多量体は、最大吸収波長(λmax)のこのましい範囲と、単位重量あたりの吸光係数の好ましい範囲と、を同時に満たす化合物であることが更に好ましい。
本発明の着色硬化性組成物中における前記色素単量体や色素多量体からなる着色剤の含有量は、前記色素単量体や色素多量体の分子量及びモル吸光係数によって異なるが、着色硬化性組成物の全固形分成分に対して、10質量%〜70量%が好ましく、10質量%〜50質量%がより好ましく、15質量%〜30質量%が最も好ましい。
なお、本発明における「固形分」とは、着色硬化性組成物における溶剤を除く全成分を指すものとする。
本発明の着色硬化性組成物、及び該着色硬化性組成物を用いたカラーフィルタには、本発明の効果を損なわない範囲で、前記色素単量体や色素多量体とは構造の異なる他の着色剤〔以下、適宜、他の着色剤と称する〕も併せて用いることができる。
例えば、550nm〜650nmに吸収極大を有するトリアリールメタン系の着色剤(例えば、C.I.アシッドブルー7、C.I.アシッドブルー83、C.I.アシッドブルー90、C.I.ソルベント・ブルー38、C.I.アシッド・バイオレット17、C.I.アシッド・バイオレット49、C.I.アシッド・グリーン3等)、500nm〜600nmに吸収極大を有するキサンテン系の色素、例えば、C.I.アシッド・レッド289等を使用できる。
本発明において他の着色剤として用い得るフタロシアニン系顔料としては、フタロシアニン骨格を有する顔料であれば特に制限されるものではない。また、フタロシアニン系顔料に含まれる中心金属としては、フタロシアニン骨格を構成できる金属であればよく、特に限定されない。その中でも、中心金属としては、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムが好ましく用いられる。
具体的には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58、クロロアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニンオキシド、亜鉛フタロシアニンが挙げられる。中でも、耐光性と着色力との点から、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントグリーン58が好ましく、特に、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン58が好ましい。
また、前記色素単量体及び色素多量体から選ばれる着色剤とフタロシアニン系顔料との含有比は、前記着色剤との比で表すと、フタロシアニン系顔料:前記着色剤=100:5〜50:100が好ましく、100:15〜100:100がより好ましく、100:25〜100:75が更に好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、他の着色剤として顔料を含む場合、分散剤を含有することができる。
本発明の着色硬化性組成物は、顔料を含む場合、分散剤を含有することができる。
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の界面活性剤、及び、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料100質量部に対して、質量換算で5〜100部の範囲が好ましく、10〜80部の範囲であることがより好ましい。
また、顔料誘導体を併用する場合、顔料誘導体の使用量としては、顔料100質量部に対し、質量換算で1〜30部の範囲にあることが好ましく、3〜20部の範囲にあることがより好ましく、5〜15部の範囲にあることが特に好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、重合性化合物を含有する。
重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物を挙げることができる。具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(i)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH2、又は、−OC(=O)C(CH3)=CH2で表される基を表す。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
本発明において、重合性化合物としてカプロラクトン構造を有する多官能性単量体を用いる場合、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の着色硬化性組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。
光重合開始剤は、上述の重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
具体的な例としては、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(o−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(o−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、式(1)及び式(2)におけるnは1〜2の整数が好ましい。
着色硬化性組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量(2種以上の場合は総含有量)は、本発明の効果をより効果的に得る観点から、3質量%〜20質量%が好ましく、4質量%〜19質量%がより好ましく、5質量%〜18質量%が特に好ましい。
本発明の着色硬化性組成物は、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や着色硬化性組成物としたときの塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
本発明の着色硬化性組成物は、上述の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、アルカリ可溶性バインダー、架橋剤などの他の成分を含んでいてもよい。
アルカリ可溶性バインダーは、アルカリ可溶性基を有するポリマーであること以外は特に限定はなく、好ましくは、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択することができる。
これら重合性基を含有するアルカリ可溶性バインダーとしては、予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂、カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂、酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂、OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂、OH基を含むアクリル樹脂とイソシアネートと重合性基を有する化合物を反応させた樹脂、特開2002−229207号公報及び特開2003−335814号公報に記載されるα位又はβ位にハロゲン原子或いはスルホネート基などの脱離基を有するエステル基を側鎖に有する樹脂に対し、塩基性処理を行うことで得られる樹脂などが好ましい。
また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
アルカリ可溶性バインダーとしては、下記一般式(ED)で表される化合物も好ましい。
本発明の着色硬化性組成物に補足的に架橋剤を用い、着色硬化性組成物を硬化させてなる着色硬化膜の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落0134〜0147の記載を参照することができる。
本発明の着色硬化性組成物においては、該着色硬化性組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、全組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
本発明の着色硬化性組成物には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤の各種界面活性剤を使用できる。
特に、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に、流動性)をより向上させ、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
すなわち、フッ素系界面活性剤を含有する着色硬化性組成物においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μmから数十μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(市販品として、BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等がある)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商社製)等が挙げられる
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、着色硬化性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
着色硬化性組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落番号〔0155〕〜〔0156〕に記載のものを挙げることができる。
本発明の着色硬化性組成物においては、特開2004−295116号公報の段落番号〔0078〕に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落番号〔0081〕に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
本発明の着色硬化性組成物は、前述の各成分を混合することで調製される。
なお、着色硬化性組成物の調製に際しては、着色硬化性組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解・分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液・分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された着色硬化性組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05μm〜0.5μm程度のミリポアフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。
次に、本発明の着色硬化性組成物を用いてカラーフィルタを製造する方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)について説明する。
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に、既述の本発明の着色硬化性組成物を付与して着色硬化性組成物層を形成する。付与する方法には、特に制限はなく、着色硬化性組成物を含む塗布液を塗布する方法、予め仮支持体上に形成された着色硬化性組成物層を転写する方法などが挙げられ、塗布法が好ましい。
塗布方法を適用する場合、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、インクジェット塗布等の塗布方法により塗布して、着色硬化性組成物層を形成し、その後、必要に応じて、予備硬化(プリベーク)を行い、該着色硬化性組成物を乾燥させる(着色硬化性組成物層付与工程)。
洗浄液としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることが好ましい。
洗浄液として用いうるこれら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤を2種以上混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合してなる混合溶剤が好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、着色硬化性組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には、着色感光性組成物が含有しうる界面活性剤として前掲した界面活性剤を添加してもよい。
また、着色硬化性組成物により形成される着色硬化性組成物層の厚みは、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、0.2μm〜5.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.5μmであることが更に好ましく、0.3μm〜1.5μm最も好ましい。なお、ここでいう着色硬化性組成物層の厚さは、プリベーク後の膜厚である。
パターン状の露光は、マスクを介した露光、走査露光など特に制限はないが、高解像度のパターンを形成する場合には、マスクを介した露光が好ましい。
この露光に適用し得る光若しくは放射線としては、g線、h線、i線、KrF光、ArF光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm2〜10000mJ/cm2の露光量で照射することが好ましい。
また、露光した着色硬化性組成物層は、次の現像処理前にホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜180℃で、0.5分間〜15分間程度加熱することができる。
また、露光は、着色硬化性組成物層中の色材の酸化褪色を抑制するために、チャンバー内に窒素ガスを流しながら行なうことができる。
現像液は、着色硬化性組成物層の未硬化部(未露光部)を溶解し、硬化部(露光部)を溶解しないものであれば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。
アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-7-ウンデセン等の有機、無機のアルカリ性化合物の水溶液が挙げられる。
現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度が好ましくはpH11〜13、更に好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整するのがよい。特に、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜5質量%となるように調整したアルカリ性水溶液を現像液として用いることができる。
現像時間は、30秒〜300秒が好ましく、更に好ましくは30秒〜120秒である。現像温度は、20℃〜40℃が好ましく、更に好ましくは23℃である。
現像は、パドル方式、シャワー方式、スプレー方式等で行うことができる。
紫外線照射工程は、前記パターン形成工程で現像処理を行なった後のパターンに、現像前の露光処理における露光量[mJ/cm2]の10倍以上の照射光量[mJ/cm2]の紫外光(UV光)を照射する。パターン形成工程での現像処理と後述の加熱処理との間に、現像後のパターン(染料含有ネガ型硬化性組成物)にUV光を所定時間、照射することにより、後に加熱された際に色移りするのを効果的に防止でき、耐光性が向上する。
中でも、UV光の照射光量は、パターン形成工程での露光時の露光量の12倍以上200倍以下が好ましく、15倍以上100倍以下がより好ましい。
後加熱は、ホットプレートやオーブンを用いて、100℃〜300℃で実施することが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。また、後加熱時間は、30秒〜30000秒が好ましく、更に好ましくは、60秒〜1000秒である。
一方、後露光は、g線、h線、i線、KrF、ArF、UV光、電子線、X線等により行うことができるが、g線、h線、i線、UV光が好ましく、特に、UV光が好ましい。UV光の照射(UVキュア)を行う際は、20℃以上50℃以下(好ましくは25℃以上40℃以下)の低温で行うことが好ましい。UV光の波長は、200nm〜300nmの範囲の波長を含んでいることが好適であり、光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等を使用することができる。照射時間としては、10秒〜180秒、好ましくは20秒〜120秒、更に好ましくは30秒〜60秒である。
後露光と後加熱は、どちらを先に行ってもよいが、後加熱に先立って、後露光を実施することが好ましい。後露光で硬化を促進させることにより、後加熱過程で見られるパターンの熱ダレやすそ引きによる形状の変形を抑止するためである。
複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、前述の着色硬化性組成物層付与工程、露光工程、及び現像工程(必要に応じて硬化工程)を所望の色数に合わせて繰り返せばよい。
そのため、本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置や、CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等の固体撮像素子及びこれを用いたカメラシステムに用いることができ、中でも、着色パターンが微少サイズで薄膜に形成され、しかも良好な矩形の断面プロファイルが要求される固体撮像素子の用途、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等の用途に好適である。
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えたものである。本発明のカラーフィルタは、高い耐光性を有するものであり、このカラーフィルタを備えた固体撮像素子は優れた色再現性を得ることが可能となる。
即ち、支持体上に、CCDイメージセンサー(固体撮像素子)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、その上に、本発明のカラーフィルタを設け、次いで、マイクロレンズを積層する構成である。
本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置用、および有機EL表示装置用のカラーフィルタに用いられる。本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置、および有機EL表示装置は、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた高画質画像を表示することができる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率及び剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタにおいては、色相に優れた染料多量体を用いることから、色純度などの良い色合いに優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
(1)下塗り液Aの調製(ネガ型)
下記の成分を混合して溶解し、下塗り液Aを調製した。
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 5.20部
・シクロヘキサノン 52.60部
・バインダー(アルカリ可溶性バインダー) 30.50部
(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル
共重合体、モル比=60:20:20、平均分子量30200(ポリスチレン換算)、
41%シクロヘキサノン溶液)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合性化合物) 10.20部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.006部
・フッ素系界面活性剤(DIC(株)製F−475) 0.80部
・光重合開始剤:4−ベンズオキソラン−2,6−ビス(トリクロロメチル)−s−
トリアジン(みどり化学(株)製TAZ−107) 0.58部
ガラス基板(コーニング1737)を0.5%NaOH水で超音波洗浄した後、水洗、脱水ベーク(200℃/20分)を行った。次いで、上記(1)で得た下塗り液Aを、洗浄したガラス基板上に乾燥後の膜厚が2μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、220℃で1時間加熱乾燥させて、下塗り層付ガラス基板を調製した。
(3−1)C.I.Pigment Blue15:6分散液の調製
C.I.Pigment Blue15:6分散液を、以下のようにして調製した。
即ち、C.I.Pigment Blue15:6を11.8質量部(平均粒子径55nm)、及び顔料分散剤BYK−161(BYK社製:固形分濃度30%)を5.9質量部、PGMEA82.3質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、顔料分散液(C.I.Pigment Blue15:6分散液)を得た。得られた顔料分散液について、顔料の平均1次粒子径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製))により測定したところ、24nmであった。
下記の各成分を混合して分散、溶解し、着色硬化性組成物を得た。
・シクロヘキサノン(溶剤) 1.133部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸の共重合体(20%CyH溶液) 1.009部
(モル比=70:30、重量平均分子量30000)(アルカリ可溶性バインダー)
・ソルスパース20000(1%シクロヘキサン溶液、日本ルーブリゾール製)
0.125部
・オキシム系光重合開始剤(下記構造の化合物) 0.087部
・色素多量体〔例示化合物(s−2)〕 0.200部
・Pigment Blue 15:6分散液 2.418部
(固形分濃度13.57%、顔料濃度11.80%)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 0.225部
(KAYARAD DPHA:日本化薬(株)製)
・グリセロールプロポキシレート(1%シクロヘキサン溶液) 0.048部
上記(3)で得た着色硬化性組成物を、上記(2)で得た下塗り層付ガラス基板の下塗り層の上に乾燥後の膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークした。
次いで、露光装置UX3100−SR(ウシオ電機(株)製)を使用して、塗布膜に365nmの波長で、線幅2μmのマスクを通して、200mJ/cm2の露光量で照射した。露光後、現像液CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥した。その後、200℃で15分間ポストベークを行った。
着色硬化性組成物を用いてガラス基板上に塗設された塗布膜の耐熱性、耐溶剤性、耐光性を下記のようにして評価した。評価結果は下記表3に示す。
上記(3)で得た着色硬化性組成物が塗布されたガラス基板を、該基板面で接するように200℃のホットプレートに載置して1時間加熱した後、色度計MCPD−1000(大塚電子(株)製)にて、加熱前後での色差(ΔE*ab値)を測定して熱堅牢性を評価する指標とし、下記判定基準に従って評価した。ΔE*ab値は、値の小さい方が、耐熱性が良好なことを示す。なお、ΔE*ab値は、CIE1976(L*、a*、b*)空間表色系による以下の色差公式から求められる値である(日本色彩学会編 新編色彩科学
ハンドブック(昭和60年)p.266)。
ΔE*ab={(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2}1/2
−判定基準−
◎:ΔE*ab値<5
○:5≦ΔE*ab値<10
△:10≦ΔE*ab値≦20
×:ΔE*ab値>20
上記(4)で得たポストベーク後の各種塗膜の分光を測定した(分光A)。この塗膜に対し、この上に上記(1)で得た下塗り液Aを膜厚1μmとなるように塗布しプリベークを行った後、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)現像液を使用して23℃・120秒間の条件で現像を行い、再度分光を測定した(分光B)。この分光A、Bの差より色素残存率(%)を算出し、これを、耐溶剤性を評価する指標とした。この数値は100%に近いほど耐溶剤性に優れていることを示す。
−判定基準−
○:染料残存率>90%
△:70%≦染料残存率≦90%
×:染料残存率<70%
上記(4)で得たポストベーク後の各種塗膜の分光を測定した(分光A)。この塗膜に対し、キセノンランプを10万luxで20時間照射した(200万lux・h相当)。キセノンランプ照射の前後での塗膜の色差(ΔE*ab値)を測定し、耐光性の指標とした。なお、ΔE*ab値の小さいほうが、耐光性が良好であり、判断基準は以下の通りである。
−判定基準−
◎:ΔE*ab値<5
○:5≦ΔE*ab値<10
△:10≦ΔE*ab値≦20
×:ΔE*ab値>20
実施例1−1の(3)着色硬化性組成物の調製において、着色剤である色素多量体の例示化合物(s−2)を下記表3に記載の着色剤に変更した(但し、等質量)以外、実施例1−1と同様にしてパターンを形成し、更に同様の評価を行った。評価結果は表3に示す。表3中の比較色素1は、特許3476208号の実施例7に記載されているアミノールファストブリリアントピンクRLの3−デシロキシプロピルアミド化物であり、比較色素2(C.I.アシッド・レッド 87)は、特開平5−271567号公報の実施例10に記載の下記構造の化合物である。
実施例1−1〜1−16及び比較例1−1〜1−2で用いた着色硬化性組成物を用いてカラーフィルタを以下の手順で作製し、実施例2−1〜2−16及び比較例2−1〜2−2として色移り評価を実施した。評価結果は下記表4に示す。
実施例1−1において作製した(2)下塗り層付ガラス基板上に、実施例1−1〜1−16及び比較例1−1〜1−2で用いた着色硬化性組成物のいずれかを用いて、乾燥膜厚が1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃で120秒間プリベークし、着色膜を形成した。この着色膜に対して、7.0μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介してi線ステッパー(キャノン(株)製FPA−3000i5+)により、200[mJ/cm2]の露光量で露光した。露光後、現像液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製CD−2000、60%)を用いて23℃で60秒間、パドル現像し、パターンを形成した。次いで、流水で20秒間リンスした後、スプレー乾燥させた。その後、現像工程後の紫外線照射工程として、パターンが形成されたガラス基板全体に、高圧水銀灯(ウシオ電機(株)UMA−802−HC552FFAL)を用いて10000[mJ/cm2]の紫外線を照射した。照射後、220℃で300秒間、ホットプレートでポストベーク処理し、ガラス基板上に着色パターンを形成した。なお、高圧水銀灯からの照射光に含まれる275nm以下の波長光は、10%である。
[色移り評価]
上記のようにして作製したカラーフィルタの着色パターン形成面に、乾燥膜厚が1μmとなるようにCT−2000L溶液(下地透明剤、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を塗布し、乾燥させて、透明膜を形成した後、200℃で5分間加熱処理を行なった。加熱終了後、着色パターンに隣接する透明膜の吸光度を顕微分光測定装置(大塚電子(株)製LCF−1500M)にて測定した。得られた透明膜の吸光度の値の、同様に加熱前に測定した着色パターンの吸光度に対する割合[%]を算出し、色移りを評価する指標とした。
−判定基準−
隣接ピクセルへの色移り(%)
◎:隣接ピクセルへの色移り<1%
○:1%<隣接ピクセルへの色移り≦10%
△:10%≦隣接ピクセルへの色移り≦30%
×:隣接ピクセルへの色移り>30%
上記(1)にてガラス基板上に形成された着色パターンの吸光度を顕微分光測定装置(大塚電子(株)製LCF−1500M)にて測定し、その分光測定結果より下記のように判定した。
−判定基準−
○:最大吸収波長(λmax)の吸光度が1.0以上であり、450nmにおける吸光度に対し最大吸収波長(λmax)の吸光度が200倍以上。
△:最大吸収波長(λmax)の吸光度が1.0以上であり、且つ450nmにおける吸光度に対し最大吸収波長(λmax)の吸光度が50倍以上200倍未満。
×:最大吸収波長(λmax)の吸光度が1.0以下であるか、450nmにおける吸光度に対し最大吸収波長(λmax)の吸光度が50倍未満。
上記(1)にてガラス基板上に形成された着色パターンを光学顕微鏡(オリンパス(株)製デジタルマイクロスコープRX−20)で観察し、精細なパターンが作製できているかを以下判定基準に従って評価した。
−判定基準−
○:精細なパターンが作製できている。
△:パターンは作製できているが、パターンの縁部が精細でない。
×:パターンが作製できない。
また、上記表4に示すように、特定色素多量体或いは色素単量体を着色剤として含む本発明の着色硬化性組成物を用いてカラーフィルタの着色パターンを形成した実施例2−1〜2−16によれば、得られた着色パターンは、隣接パターンへの色移りが抑制され、色純度に優れたパターンが得られ、パターン形成性も良好であることがわかる。
実施例1−1において用いた光重合開始剤を、下記構造の化合物OXE−01、およびOXE−02にそれぞれ変更した以外は実施例1−1と同様にして実施例1−17(OXE−01含有)及び実施例1−18(OXE−02含有)の着色硬化性組成物を得た。実施例1−1と同様に評価したところ、実施例1−1と同様の結果が得られ、オキシム系開始剤を用いた本発明の着色硬化性組成物により形成された硬化膜は、良好な耐熱性、耐溶剤性、耐光性が得られることがわかった。
得られた実施例1−17及び1−18の着色硬化性組成物を用いて、実施例2−1と同様にして実施例2−17及び2−18の単色カラーフィルタを作製し、実施例2−1と同様に評価した。その結果、本発明の着色硬化性組成物を用いてカラーフィルタの着色パターンを形成した実施例2−17〜2−18は、実施例2−1と同様に、得られた着色パターンは、隣接パターンへの色移りが抑制され、色純度に優れたパターンが得られ、パターン形成性も良好であることがわかる。
なお、OXE−01、およびOXE−02は、いずれもBASF社の市販の開始剤である。
Claims (15)
- 下記一般式(M1)で表される色素単量体、下記一般式(M2)で表される色素単量体、下記一般式(P1)で表される繰り返し単位を含む色素多量体、及び下記一般式(P2)で表される繰り返し単位を含む色素多量体からなる群より選択された少なくとも1種の着色剤と、重合性化合物と、を含有する着色硬化性組成物。
一般式(M1)、一般式(M2)、一般式(P1)、及び一般式(P2)において、Dyeは、それぞれ独立に色素骨格に由来する部分構造を表し、R1はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。L、及び、L1はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、R2はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、R3、及びR4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシル基を表す。 - 前記一般式(M1)、一般式(M2)、一般式(P1)、及び一般式(P2)におけるDyeが、カルボキシ基及びスルホ基から選ばれる酸基を有する染料に由来する部分構造を表す請求項1に記載の着色硬化性組成物。
- 前記一般式(M1)、一般式(M2)、一般式(P1)、及び一般式(P2)が、Dye−SO3H、又はDye−COOHで表される、カルボキシ基及びスルホ基から選ばれる酸基を有する染料の酸基より−OHを1つ除してなる部分構造を有する請求項1に記載の着色硬化性組成物。
- 前記一般式(M1)、一般式(M2)、一般式(P1)、及び一般式(P2)が、下記染料(D−1)〜染料(D−12)で表されるいずれかの染料が有する酸基から−OHを1つ除してなる部分構造を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
- 前記一般式(M1)で表される色素単量体、一般式(M2)で表される色素単量体、一般式(P1)で表される繰り返し単位を含む色素多量体、又は一般式(P2)で表される繰り返し単位を含む色素多量体が、さらに、アルカリ可溶性基を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
- さらに、光重合開始剤を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
- さらに、アルカリ可溶性バインダーを含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
- さらに、前記一般式(M1)で表される色素単量体、一般式(M2)で表される色素単量体、一般式(P1)で表される繰り返し単位を含む色素多量体、及び一般式(P2)で表される繰り返し単位を含む色素多量体以外の着色剤を含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
- 固体撮像素子用カラーフィルタを形成するのに用いる請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の着色硬化性組成物。
- 液晶表示装置用カラーフィルタを形成するのに用いる請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の着色硬化性組成物。
- 請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の着色硬化性組成物を用いてなるカラーフィルタ。
- 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の着色硬化性組成物を基板上に付与して着色硬化性組成物層を形成する工程と、該着色硬化性組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含むカラーフィルタの製造方法。
- 前記パターン状に露光する工程が、着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光する工程である請求項12に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 請求項11に記載のカラーフィルタを具備した固体撮像素子。
- 請求項11に記載のカラーフィルタを具備した液晶表示装置。
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