JP2012042948A - 滑りやすく、伝導率が向上した湾曲防止背面コーティング - Google Patents

滑りやすく、伝導率が向上した湾曲防止背面コーティング Download PDF

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Abstract

【課題】一般的に、デジタル装置を含む静電複写式装置で用いるための、画像形成装置の可撓性部材および可撓性要素を望ましい平坦な状態にする湾曲防止背面コーティング層の配合物に関する。
【解決手段】より特定的には、この実施形態は、伝導性炭素ナノチューブ分散物44を、3種類のフィルムを形成する熱可塑性ポリマーを含むポリマーブレンドに含むように配合された湾曲防止背面コーティング層1を備え、これによって、(a)摩擦帯電をなくすために、電気伝導効果を与え、(b)静電気散逸能を付与し、(c)作業場所で、通常の画像形成部材ベルト操作条件で、画像形成部材ベルトを動かしやすくし、摩擦帯電が蓄積するのを止めるために、接触摩擦を減らすために表面エネルギーを下げる効果を与える画像形成体10に関する。
【選択図】図1

Description

本明細書で開示される実施形態は、一般的に、特定のポリマーブレンド中に伝導性カーボンナノチューブが分散したものを含むように配合された湾曲防止背面コーティングを備えるように調製された、可撓性電子写真画像形成部材ベルトに関する。ポリマーブレンドは、帯電防止性ポリマーと、ビスフェノールポリカーボネートと、表面エネルギーの小さなポリカーボネートとを含み、これによって、(a)摩擦帯電をなくすために、電気伝導効果を与え、(b)静電気散逸能を付与し、(c)作業場所で、通常の画像形成部材ベルト操作条件で、画像形成部材ベルトを動かしやすくし、摩擦帯電が蓄積するのを止めるために、接触摩擦を減らすために表面エネルギーを下げる効果を与える。
現行の有機ベルト感光体では、感光体の上部のCTLコーティングによって引き起こされる残留応力のバランスをとり、湾曲しないようにするために、湾曲防止背面コーティング層を用いる。それに加え、ACBC層は、光学的に好適な透過率を有しているべきであり(例えば、透明)、その結果、感光体を背面から消去することができる。湾曲防止背面コーティング層のための既存の配合物は、画像形成装置を使用している間、湾曲防止背面コーティング層に摩擦帯電が発生してしまうような低い伝導率を有している。この摩擦帯電によって、画像形成装置中の抗力が増え、モーターの負荷が増え、湾曲防止背面コーティング層の摩耗が増える。上述の層の静電帯電をなくすために、さらなる要素(例えば、活性な反対電荷のデバイス)または添加剤(例えば、伝導性薬剤)を用いている。しかし、これらの選択肢は、費用がかさみ、さらなる要素を含むことで複雑化するか、または、画像形成部材を背面から消去するのに適した光学的透明度を有さないACBC分散物を生じてしまうような添加物を含むため、望ましくない。したがって、上述の問題を被らない改良されたACBCが必要とされている。
(発明の概要)
図1は、本開示の実施形態にしたがって調製された、改良された湾曲防止背面コーティング層(ACBC)配合物を備える、可撓性ベルト形状をした多層電子写真画像形成部材の断面図である。
従来の負に帯電した可撓性多層電子写真画像形成部材は、上部の一番外側に、露出したCTLを有しており、底部に、露出したACBC層を有しており、その状態が図に示されている。基板10は、任意要素の導電層12を備えている。任意要素の正孔遮蔽層14を、導電層12の上に塗布し、次いで、その上に任意要素の接着層16を塗布している。電荷発生層(CGL)18は、層16、14、12、10の上側にあるが、上部の一番外側にあるCTL20よりは下にある。任意要素のアース用ストラップ層19は、CGL18およびCTL20を導電層12に動作可能に接続しており、電気を導通させるために備えられている。場合により、CTL20が剥離/摩耗しないように、オーバーコート層32がこれらに加えられていてもよい。ACBC層1は、通常は、基板10の面に塗布されるべき最後の層であり、湾曲を制御し、画像形成部材を平面にするために、電気的に活性な層と反対側にある。
画像形成部材の製造プロセスでは、CTLは、CGLにコーティングされる一番外側の上部層であり、溶液コーティングによって塗布され、その後、濡れた状態で塗布されたCTLコーティングを約120℃の高温で乾燥させ、最終的に、コーティングされた感光体を、約25℃の周囲の室温まで冷却する。したがって、数千フィートのコーティングされた多層感光体材料の画像形成部材ウェブストックの製造が、CTLコーティングに仕上げ溶液を塗布した後の乾燥/冷却プロセス中に行なわれる場合、動きを抑制するものがなければ、自然と上方向に曲がり、ロール状になってしまうだろう。このように上方向に曲がるのは、CTLと基板支持体とで熱収縮率が違うからである。典型的な感光デバイス中のCTLは、可撓性基板支持体よりも熱収縮係数が約3.7倍大きいため、CTLは、最終的に感光ウェブストックが周囲の室温まで冷めると、可撓性基板支持体よりも大きく縮んでしまう。CTLコーティングが終了した後に、感光ウェブストックが曲がってしまうのは、加熱/冷却サイクルおよび処理工程の結果である。上方向に曲がってしまう現象が発生するのは、以下の機構によって説明することができる。(1)濡れた状態で塗布された電荷移動層を有するウェブストックを高温で乾燥させ、この濡れたCTLコーティングは、120℃の高温で乾燥させている間に溶媒が失われるが、120℃で、CTLは、溶媒を失った後に、粘性の流動性液体のままである。従来のCTLのガラス転移点(Tg)は85℃であるため、CTLは、すべての溶媒が失われた後に、調節しなおし、内部応力を開放し、側面の寸法安定性を維持するように流動すると思われ;(2)粘性液体状態のCTLをさらに冷却し、ガラス転移点(Tg)である85℃に到達すると、このTgで、CTLは粘性液体から固体層に変化するため、CTLは即座に固化し、その下にあるCGLに付着し;(3)感光ウェブの固体CTLをさらに/最終的に85℃から25℃の周囲室温まで冷却すると、可撓性基板支持体よりも寸法の熱圧縮形数が約3.7倍大きいため、可撓性基板支持体よりも側面方向にかなり大きく縮む。このように寸法圧縮度が異なることによって、CTLに引張ひずみが蓄積し、そのために、この時点で、感光ウェブが上方向に引っ張られ、曲がってしまう。この時点で動きを抑制するものがなければ、感光ウェブストック(厚み29マイクロメートルのCTLと、3 1/2 milのポリエチレンナフタレート基板とを有する)は、自然に1 1/2インチのロール状に曲がってしまうだろう。この曲がりを打ち消すために、可撓性基板支持体のうち、CTLを備えている側とは反対側の背面にACBCが塗布され、感光ウェブストックが望ましい平面性を保つ。
屈がり制御のために塗布されたACBCは、光電式画像形成プロセスが終了した後に感光体表面に残る残留電圧を、電子写真画像形成プロセス中に、ベルトの背面(ACBC側)から光を照射して消すことができるように、光学的に適切な透過率(例えば、透明)を有している必要がある。残念なことに、ACBC層用の既存の配合物は、非伝導性ポリマーが配合されているため、ACBC層に、画像形成装置の使用中に、ベルト支持モジュール要素に対する摩擦相互作用によって、摩擦による帯電が蓄積し、画像形成装置の抗力が増し、モーターへの負荷が大きくなり、ACBC層の摩耗が強くなる。また、このとき、摩擦による帯電が蓄積し、ACBCに対する摩擦力が、動いているモーターの能力を超えるほどに大きくなってしまうと、通常の機械でベルトが機能する条件では、感光ベルトが回転する動きが遅くなってしまう。さらなる機械要素(例えば、活性なカウンターチャージデバイス)を用い、層が摩擦によって帯電しないようにするか、または帯電しにくくする。しかし、さらなる要素を使用すると、費用がかさみ、感光体の機能を望ましくない程度まで複雑にしてしまうこともある。
この問題を克服するために、ACBC層にカーボンブラック分散物のような伝導性薬剤を入れ、摩擦による電荷が外に出ないように、代替的なACBCの組成を変更した。残念なことに、これらの分散物は、それほど安定ではなく、コーティング溶液にカーボンブラック粒子が浮いてしまうという問題が生じており、分散物を過剰に混合する必要があり、そうすると、伝導性が下がってしまう。さらに、ACBC層でカーボンブラック分散物を使いすぎると、別の問題が生じ、摩擦による帯電を有効になくすのに必要な伝導性を達成するには、高レベルの粒子分散物を用いる必要がある。それにもかかわらず、添加量が多くなると、ほぼ常に不透明な層が生じてしまうというだけではなく、光学的に、感光ベルトを背面から有効に消去するのに適さなくなり、他の有害な影響が出てしまうことが多いことがわかっている。したがって、これらの欠点をもたない新規の目新しいACBC配合物を作成することが必要である。
本開示では、実施形態は、一般的に、可撓性の改良された静電複写式画像形成部材に関し、特に、可撓性の、多層構造の電子写真画像形成部材または感光体に関し、本開示のACBCは、特別に選ばれた伝導性ナノ粒子が、ポリマーブレンドの材料マトリックスに分散した分散物によって作られる。一実施形態では、ACBCは、2つの異なるフィルムを形成する熱可塑性材料を含むように配合された、ポリマーとブレンドされたACBCの材料マトリックス中に分散した伝導性ナノ粒子を含んでおり、片方は、固有の帯電防止特性を有しており、他方は、表面接触を低下させるために、表面エネルギーを下げる効果を付与する。分散物に、ナノサイズの伝導性粒子を用いることは、この粒子が、電子写真画像形成プロセスの間にベルトを背面から消去するのに使用される光の波長よりもかなり小さいために、ACBCの光学的な透明度に悪影響を与えることなく、伝導性を付与する意図がある。本発明の実施形態および本開示の方法にしたがって調製され、得られたACBCは、良好な光学的透明度を有しており、良好な表面滑り性、伝導性の向上、画像形成部材の平坦性に影響を与える曲がり防止の制御といった性質を有している。これらの実施形態では、フィルムを形成する熱可塑性材料の1つは、ポリエステル単位、ポリカーボネート単位、ポリエチレングリコール単位からなる、摩擦による電荷を散逸する帯電防止性コポリマーを含んでいる。第2のフィルムを形成する熱可塑性材料は、ビスフェノールポリカーボネートブロック(B)のセグメントが、ポリジメチルシロキサンブロック(A)のセグメントに線形に結合したものからなるA−B型のジブロックコポリマーであり、これにより、ACBCの表面エネルギーが低くなり、滑りやすくなる。分散剤で使用するために選択される伝導性種は、単層カーボンナノチューブ分散物である。他の実施形態では、伝導性種は、二重層カーボンナノチューブを含んでいてもよい。
再び図を参照すると、負に帯電した可撓性の、ベルト構造を備える多層構造の電子写真画像形成部材の実施形態が示されている。見ればわかるように、ベルト構造は、曲がり防止性背面コーティング(ACBC)1と、支持基板10と、伝導性アース面12と、アンダーコート層14と、接着層16と、電荷発生層(CGL)18と、電荷移動層(CTL)20とを備えている。任意要素のオーバーコート層32、アース用ストラップ19も含まれていてもよい。ベルト構造を有する例示的な感光体は、米国特許第5,069,993号に開示されており、本明細書に参照により組み込まれる。米国特許第7,462,434号;同第7,455,941号;同第7,166,399号;同第5,382,486号は、例示的な感光体と、伝導性AXCBC層のような感光層とをさらに開示している。CGL18と、負に帯電した画像形成部材のCTL20の形成は、ここでは2個の別個の層を有するように図に記載され、示されているが、それでも、これらの層の機能的要素が交互に合わされていてもよく、単一層になるように配合されてもよいことが理解されるであろう。しかし、CGL18は、CTL20の上部に配置されてもよく、その場合には、したがって、画像形成部材は、正に帯電した部材に変換される。
電荷移動層のコーティングプロセスが終わったと同時に、感光ウェブが上方向に曲がるため、ACBC1は、この曲がる方向と反対向きに作用し、平坦にするように、基板の裏側に塗布されている必要がある。ACBC1は、電気絶縁性またはわずかに半導体性の有機ポリマーまたは無機ポリマーを含んでいてもよい。典型的なACBCは、平坦性および/または耐剥離性を付与し、可撓性基板10のうち、画像形成層の反対側にある裏側に形成される。ACBCは、従来から、フィルムを形成するポリマーと、接着促進添加剤とを含んでいてもよい。フィルムを形成するポリマーは、好ましくは、上に記載したCTLで使用するバインダーと同じであってもよいが、異なるものであってもよい。ACBCで用いられる、フィルムを形成するポリマーの例は、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)またはポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)のビスフェノールポリカーボネートなどが挙げられる。添加剤として用いられる接着促進剤としては、49,000樹脂(Rohm and Haas社)、Vitel PE−100、Vitel PE−200、Vitel PE−307(Bostik Inc.製)などが挙げられる。通常は、ACBCの合計重量を基準として、添加するために約1〜約15重量%の接着促進剤が選択される。配合されるACBCの熱係数は重要であり、感光デバイスが曲がるのと反対向きに作用する影響を与え、感光デバイスを平坦にするために、光活性層の熱係数とあっているべきである。
この実施形態では、本開示にしたがって調製されたACBC配合物は、帯電防止性ポリマー、ビスフェノールポリカーボネート、表面エネルギーの小さなポリカーボネートで構成されるポリマーブレンド40の材料マトリックス中に単層カーボンナノチューブ分散物44を含み、さらに、コポリエステル接着促進剤36を含み、乾式写真複写式の機械を動かしている間に、感光体表面に残る残留電位をなくすために用いられる、消去する光の波長において、少なくとも80%光学透明度を与える、
再設計された層である。したがって、本発明の実施形態のACBCは、望ましい静電気散逸能を有しており、伝導性が向上しており、耐用年数を延ばすのに合理的な光学的な透明度を有している。非常に重要なことに、本発明の実施形態のACBCは、さらに、表面潤滑性も有しており、表面の接触摩擦を減らし、動的なベルト式機械の画像形成機能の間に、滑りによる接触摩擦から誘発される静電気の蓄積の影響が最小限になる。
開示されているACBC層1は、先に記載したように従来のACBCと関連があるすべての課題に対する有効な解決策を与える。意図した目的を達成するために、電気伝導性単層カーボンナノチューブを、ポリマーブレンドによって配合された革新的なACBC材料マトリックスに分散させ、(1)静電気散逸性を付与するために、コポリマーの分子鎖にポリエステル単位、ポリカーボネート単位、ポリエチレングリコール単位を含む、ポリエステル/ポリカーボネート/ポリエチレングリコールの比率が約62/33/6の、膜を形成する熱可塑性帯電防止性コポリマー、(2)膜を形成するビスフェノールポリカーボネート、(3)膜を形成する表面エネルギーの小さな新しいポリカーボネートを含む。また、ACBCは、基板10に対する結合強度を高めるために、コポリエステル接着促進剤を含んでいてもよい。この開示によって得られたACBCは、表面接触摩擦を減らし、同様に、良好な光学的透明性を有するための表面潤滑性に影響を与える(例えば、剥離/摩耗/引っ掻き耐性を高める)。
単層カーボンナノチューブは、Zyvex Performance Materials(コロンブス、オハイオ)から市販されている。ACBCポリマーブレンド分散物で用いるための選択は、という高い電気伝導率を有しており、10ナノメートル未満の非常に小さい粒径を有しているという事実に基づいている。したがって、ACBC中で分散させた後、光の透過を妨害せず、光学的に絶対的に透明であり、得られた層が必要な伝導率を有しているように、分散効果が生じる。いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブは、湾曲防止背面コーティングの合計重量を基準として、約1〜約20重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、カーボンナノチューブは、湾曲防止背面コーティングの合計重量を基準として、約8重量%〜約15重量%、約4重量%〜約8重量%の量で存在する。
膜を形成する帯電防止性コポリマーは、いくつかの実施形態では、分子鎖が、ポリエステル単位、ポリカーボネート単位、ポリエチレングリコール単位からなるSTAT−LOY 63000 CTCを、Saudi Basic Industries Corporation(SABIC)(Riyadh、Saudi Arabia)から購入し、熱可塑性材料として使用した。STAT−LOYは、アクリロニトリルブタジエンスチレンプラスチック材料である。このような混合したポリマーの核磁気共鳴(NMR)分析は、約62部のポリエステル(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および1,4−シクロヘキサンジメタノールのtrans/cis混合物によって作られる)、33部のビスフェノールAポリカーボネート(PCA)、少なくとも6部のポリエチレングリコール(PEG)の混合物であることを示していた。この物質は、固有の静電気散逸能を有する。
ポリマーブレンドで使用される第2の膜を形成するポリカーボネートは、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)のビスフェノールAポリカーボネートであるか、または、ポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)のビスフェノールZポリカーボネートである。ビスフェノールAは、ポリカーボネートを製造するのに主に使用される化学ビルディングブロックである。膜を形成するビスフェノールAポリカーボネートは、ACBCポリマーをブレンドするのには、重量平均分子量が約20,000〜200,000のものが好ましい。典型的なCTL配合物では、これと同じバインダーが使用されるからである。膜を形成するビスフェノールAポリカーボネートは、以下に示される分子構造式を有しており、

式中、nは重合度を示し、約80〜約850である。
または、ポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)のビスフェノールZポリカーボネートを、ACBCポリマーブレンド配合物に用いてもよい。重量平均分子量が約20,000〜約200,000のポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)の分子構造は、以下の式によって与えられ、

式中、nは重合度を示し、約60〜約700である。
本開示のACBC用途のために選択される第3の膜を形成する表面エネルギーの小さなポリマーは、表面エネルギーの小さな新しいポリカーボネートである。いくつかの実施形態では、このポリマーは、ビスフェノールAポリカーボネートから、主鎖ポリカーボネート骨格にポリジメチルシロキサン(PDMS)セグメントを含むように誘導体化されるか、または改変されたビスフェノールAポリカーボネートである。したがって、表面エネルギーの小さなポリマーを、2個のセグメントに分かれたブロックを有するA−B型ジブロックコポリマー、つまり、以下の式で示されるブロック(A)と、ビスフェノールAブロック(B)ポリカーボネート骨格とを含むPDMSと定義してもよく

式中、xは、ジメチルシロキサン(DMS)繰り返し単位の数であり、約10〜約70の範囲であり;yは、表面エネルギーの小さなポリカーボネートの分子量の約2〜約10重量%に基づいて算出した約1〜約15のブロック(A)セグメントの繰り返しを含むPDMSの数であり;zは、ブロック(B)において、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)鎖のビスフェノールAポリカーボネートの繰り返し数であり、表面エネルギーの小さなポリカーボネートの約15,000〜約130,000の分子量から決定され、約50〜400の値が得られる。したがって、表面エネルギーの小さなビスフェノールAポリカーボネートのA−B型ジブロックコポリマー構造を、以下の式(I)によって一般的にあらわしてもよく、
ACBC配合物で使用する、表面エネルギーの小さなポリカーボネートは、分子量が、少なくとも15,000であるが、好ましくは、溶解度および粘性を考慮し、約20,000〜約130,000であるべきである。
さらなる実施形態では、本開示の湾曲防止背面コーティング層の配合で使用する表面エネルギーの小さな新規ポリカーボネートは、式(I)のポリカーボネート主鎖のブロック(B)セグメントを改変することによって簡便に誘導され/得られるいくつかの変数の1つであってもよく、これにより、以下に示すさらなる構造を与えてもよい。
本質的に、上述のすべての表面エネルギーの小さなポリカーボネートは、繰り返し単位xが約10〜約70であり、yが約1〜約15であり、zが約50〜約400であるPDMSを含んでいる。
この表面エネルギーの小さなポリカーボネートをポリマーブレンドに利用することは、本発明者らの初期の研究から確立された、ACBCに表面滑り性を付与し、25重量%のこの表面エネルギーの小さなポリカーボネートと、ビスフェノールAポリカーボネートとをブレンドすることによって接触摩擦を下げたポリマーを得ることができ、動的な機械で画像形成部材ベルトが周期的に動いている間、従来の標準的なACBCと比較して、摩擦帯電を60%も抑制することができるという事実に基づいている。
特定の実施形態では、上述の表面エネルギーの小さなポリカーボネートは、繰り返し単位xが約10〜約70であり、yが約1〜約15であり、表面エネルギーの小さなポリカーボネートの合計分子量の約2〜約10重量%であり、zは、約50〜約400であり、前記表面エネルギーの小さなポリカーボネートの合計分子量のうち、約15,000〜130,000の分子量を含むようなPDMSを含んでいる。
特定の実施形態では、表面エネルギーの小さなポリカーボネートは、ブロック(A)セグメントを含有するPDMSを約4〜約6重量%含む。表面エネルギーの小さなポリマーは、分子量が、約25,000〜約130,000であり、適切な画像形成層コーティング用途のために、溶媒への溶解度、良好なコーティング溶液粘度の制御に影響を与える。ポリカーボネート骨格にブロック(A)を含むPDMSの存在は、配合されたACBCの表面エネルギーを実際に下げるため、表面潤滑性が増し、表面接触摩擦の低下に影響を及ぼす。
まとめると、図は、実施形態にかかる、ベルト形状を備える画像形成部材を示す。この実施形態では、ACBC1は、3つの膜を形成する熱可塑性ポリマーからなるように配合されたポリマーブレンド40中に、接着促進剤36と、単層カーボンナノチューブ分散物44とを含む。特定の実施形態では、ACBCは、帯電防止性ポリマー/ビスフェノールAポリカーボネート/表面エネルギーの小さなポリマー/カーボンナノチューブの相対重量比(お互いに対して相対的な)が、約40:30:5:1〜約20:30:25:15の範囲であり、場合により、調製されたACBCの合計重量を基準として、10重量%の接着促進剤36を含むように作られる。他の実施形態では、ポリマーブレンド40に分散したカーボンナノチューブは、得られたACBC層の合計重量を基準として、約1〜約20重量%、または約8〜約15重量%、または約4〜約8重量%の量で存在し、接着促進剤36は、約1〜約10重量%、または約4〜約8重量%の量で存在する。添加剤として用いられる接着促進剤としては、49,000樹脂(Rohm and Haas)、Vitel PE−100、Vitel PE−200、Vitel PE−307(Bostik Inc.製)が挙げられる。さらなる実施形態では、PTFE、シリカまたは金属酸化物の粒子分散物を本発明の実施形態に組み込み、本開示のACBC層の耐摩耗性を高めてもよい。
この実施形態は、帯電防止性であり、電気伝導率が良好であり、表面が潤滑性で接触摩擦が低く、場合により、適切に透明なACBC層を提供する。もっと重要なことに、この実施形態のACBC配合物は、約1.0×1012〜約2.0×1012ohm/sqの抵抗率を与えることがわかっており、この値は、標準的なACBCコントロールの1×1014ohms/sqよりも2桁も低い。また、約85%の光透過率を有しており、これにより、放射光によって画像形成部材ベルトが良好に消去される。それに加え、調製されたACBC1は、基板10に対して優れた接着結合強度を有しており、同じコーティング層厚を有する従来のポリカーボネートACBCと等価な湾曲防止を制御する効果を与えることがわかっている。
(コントール例)
厚み3.5mil(89μm)を有する二軸延伸したポリエチレンナフタレート基板(PEN、KADALEXとしてDuPont Teijin Films.から入手可能)の厚み0.02μmのチタン層をコーティングした基板を与えることによって、可撓性電子写真画像形成ウェブを調製した。チタン化したKADALEX基板は、6.5gのγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、39.4gの蒸留水、2.08gの酢酸、752.2gの200proofの変性アルコールおよび200gのヘプタンの混合物を含むブロッキング層溶液でコーティングされた押出成形品である。次いで、この濡れた状態のコーティング層を、強制排気式乾燥器で、135℃で5分間乾燥させ、コーティングから溶媒を除去し、架橋したシランカップリング層が生成する。得られたブロッキング層は、乾燥時の平均厚みが、エプリソメーターを用いた場合、0.04μmであった。
次いで、0.16重量%のARDELポリアルコレートを含み、重量平均分子量が約54,000であり、Toyota Hsushu,Inc.から入手可能なコーティング溶液を用い、テトラヒドロフラン/モノクロロ−ベンゼン/塩化メチレンが重量比で8:1:1の溶媒混合物中の溶媒の合計重量を基準として、接着界面層を押出コーティングによってブロッキング層に塗布した。強制換気式乾燥器中、接着界面層を125℃で1分間乾燥させた。得られた接着界面層は、乾燥時の厚みが約0.02μmであった。
その後、接着界面層を電荷発生層の上にコーティングした。0.45gのIUPILON 200、ポリ(4,4’−ジフェニル)−1,1’−シクロヘキサンカーボネートのポリカーボネート(PC−z 200、Mitsubishi Gas Chemical Corporationから入手可能)、50mLのテトラヒドロフランを4オンスのガラス瓶に加えることによって、電荷発生層の分散物を調製した。2.4gのヒドロキシガリウムフタロシアニンV型および300gの直径1/8インチ(3.2mm)のステンレス鋼のショットを上述の溶液に加えた。次いで、この混合物を、ボールミルで約20〜約24時間置いた。次いで、重量平均分子量が20,000(PC−z 200)の2.25gのポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)を、46.1gのテトラヒドロフランに溶解し、次いでヒドロキシガリウムフタロシアニンスラリーに加えた。次いで、このスラリーをシェーカーに入れ、10分間放置した。その後、押出用途のプロセスによって、得られたスラリーを接着界面上にコーティングしし、濡れたときの厚みが0.25milの層を生成する押出塗布プロセスによって塗布した。しかし、ブロッキング層および接着層を有する基板ウェブストックの片方の縁にそった、幅が約10mmの試験片を、後で塗布されるアース用ストラップ層によって十分な電気接続が促進されるような電荷発生層によってコーティングされないように、意図的に残しておいた。ポリ(4,4’−ジフェニル)−1,1’−シクロヘキサンカーボネート、テトラヒドロフランおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンで構成された電荷発生層を、強制換気式乾燥器中、125℃で2分間乾燥させ、厚みが0.4μmの乾燥した電荷発生層を得る。
このコーティングされたウェブストックを、コーティング材料を同時に押し出すことによって、電荷移動層(CTL)およびアース用ストラップ層で同時にコーティングした。褐色ガラス瓶に、重量比で1:1(またはそれぞれ50重量%)の熱可塑性ビスフェノールAポリカーボネート(FPC 0170、分子量は約120,000であり、Mitsubishi Chemicalsから市販されている)、N,N’−ジフェニル−N,N’−bis(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンの電荷移動化合物を入れることによって、CTLを調製した。得られた混合物を溶解し、塩化メチレン中、15重量%の固体を与える。この溶液を、押出によって電荷発生層に塗布し、強制換気下で乾燥させ、コーティングを作成し、ジアミン電荷移動化合物とFPC0170ビスフェノールAポリカーボネートバインダーを重量比50:50で含む、厚み29μmの乾燥したCTLを与えた。
電荷発生層によってコーティングされないまま残した幅10mmの接着層の試験片を、同時押出プロセス中に、アース用ストラップ層でコーティングした。23.81g、固形分の合計重量の7.87%のポリカーボネート樹脂(FPC 0170、Mitsubishi Chemicalsから入手可能)、塩化メチレン332gをカーボーイ容器中で混合することによって、アース用ストラップ層のコーティング混合物を調製した。この容器にしっかりと蓋をし、ポリカーボネートが塩化メチレンに溶解するまで、ロールミルに約24時間入れた。得られた溶液を、グラファイトが9.41重量部、エチルセルロースが2.87重量部、溶媒が87.7重量部のグラファイト分散物(固形分が12.3重量%)約93.89g(Acheson Graphite dispersion RW22790、Acheson Colloids Companyから入手可能)とともに、水で冷却したジャケット付き容器中、分散物が過剰に加熱されてしまったり、溶媒が失われたりしないように高剪断ブレードで分散させつつ、15〜30分間混合した。次いで、得られた分散物を濾過し、塩化メチレンを用いて粘度を調節した。このアース用ストラップ層のコーティング混合物を、同時押出によってCTLとともに電子写真画像形成ウェブに塗布し、乾燥時の厚みが約19μmの電気伝導性アース用ストラップ層を作成した。
上の層をすべて含む画像形成ウェブストックを、強制換気式乾燥機で、125℃で3分間流し、CTLとアース片を両方とも同時に乾燥させた。画像形成ウェブは、この時点で制限がない場合には、上に向かって1.5インチの管状に丸まっているであろう。
画像形成部材の曲がりを制御するために、88.2gのFPC0170ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、7.12gのVITEL PE−200コポリエステル接着促進剤(Bostik,Inc.、Wauwatosa、Wisconsinから入手可能)、9.7gのPTFE粒子、1,071gの塩化メチレンをカーボーイ容器中で混合し、固形分を8.9%含むコーティング溶液を得ることによってACBCを調製した。この容器にしっかりと蓋をし、ポリカーボネートおよびポリエステルが塩化メチレンに溶解し、湾曲防止背面コーティング溶液が得られるまで、ロールミルに約24時間入れた。次いで、ACBC溶液を、押出コーティングによって、電子写真画像形成ウェブの裏面(電荷発生層およびCTLと反対の面)に塗布し、強制換気乾燥機中、最大温度125℃で3分間乾燥させ、画像形成部材を平坦にする厚みが17μmの乾燥したACBCを得た。このようにして得た可撓性画像形成部材をコントロールとして使用した。
(リファレンス例)
コントロール例に記載したのと実際に同じ手順にしたがい、同じ物質組成を用い、但し、PTFE分散物は使わず、画像形成ウェブのACBCマトリックス中、25重量%のビスフェノールAポリカーボネートを、滑りやすく、表面エネルギーの小さなA−B型ジブロックコポリマーと置き換え、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)のビスフェノールAポリカーボネートを改変し、ACBCに滑り性を付与するために、ポリマー骨格に少量のポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むようにした可撓性画像形成部材も調製した。表面エネルギーの小さなA−B型ジブロックコポリマーを使用し、この使用したコポリマーは、Sabic Innovative Plasticsから市販されており、以下の式(I)に記載されている分子構造を有しており、

式中、約25,000の分子量を有し、表面エネルギーが低いA−Bジブロックコポリマーの場合、繰り返し単位xは、約50であり、yは約9であり、zは約120である。
得られた画像形成部材は、望ましい平面性を有しており、滑りやすいように再配合されたACBCによって、金属表面に対する接触摩擦は、コントロール例の標準的なACBCと比較して、約25%低下していた。このようにして調製した画像形成部材を用い、リファレンス例として用いた。
(動的機械のベルト循環試験)
リファレンス例の滑りやすいようにポリマーを置き換えたACBCを含むように調製した可撓性画像形成ウェブを、コントロール例の画像形成ウェブとともに、それぞれ切断して2つの長方形のシートを作り、次いで、それを輪にし、それぞれの切断シートの反対側の端と重ね、超音波による溶着によって可撓性画像形成部材ベルトにした。次いで、溶着したベルトについて、静電気の蓄積を評価するために、Nuevera機械で動的に循環試験を行なった。それぞれのACBCにおける静電気の蓄積は、ESVデバイスを用いて決定し、リファレンスACBCが、標準的なACBCコントロールベルトと比較して、摩擦耐電を約60%減らし、非常に有効であることが示された。この結果は、滑りやすいA−Bジブロックポリマーを利用し、ACBC材料に組み込むことによって表面の接触摩擦を減らすことは、静電気の蓄積を効果的に抑制し、制御するのに優れた、単純なアプローチであった。
(開示例)
次いで、コントロール例に記載したのと実際に同じ手順にしたがい、同じ物質組成を用い、但し、各画像形成ウェブ中のACBCを、PTFE分散物を含まず、帯電防止性ポリマー、ビスフェノールAポリカーボネート、表面エネルギーの小さなポリカーボネート、Vitel PE200接着促進剤、単層カーボンナノチューブ分散物からなる革新的な配合物と置き換えるように再配合させ、3種類の可撓性画像形成ウェブを調製し、この3種類のそれぞれの相対重量比は、40:30:5:8:15;35:30:10:8:15;20:30:25:8:15であり、それぞれ開示I、II、IIIとした。ポリマーにブレンドされたACBCを得て、このACBCは、厚みが17μmであり、それぞれの画像形成部材は、コントロール画像形成部材に匹敵する望ましい平面性を保っていた。
ポリマーにブレンドされたACBC中で使用する、膜を形成する帯電防止性ポリマー材料は、あらかじめ混合されたポリマーであり、SABIC INNOVATIVE PLASTICSからSTAT−LOY 63000CTとして入手可能であり、静電気散逸能を与えた。この混合されたNMR分析から、表1に示したように、62部のポリエステル(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジメタノールのtrans/cis混合物によって作られた)、33部のポリカーボネート−A、少なくとも6部のポリエチレングリコール(PEG)の混合物であることが示された。

上述の3種類の画像形成部材の配合されたACBCにおける帯電防止性材料は、それぞれのACBCの合計重量を基準として、40、35、30重量%であった。
ポリマーにブレンドされたACBC中で用いる、膜を形成するポリカーボネートは、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネートのビスフェノールAポリカーボネートであり、CTLバインダーで使用するものと実際に同じであった。重量平均分子量は130,000であり、以下に示す分子構造式を有しており、

式中、nは重合度を示し、530である。
ビスフェノールAポリカーボネートは、それぞれのACBCにおいて、得られたACBCの合計重量を基準として、30重量%、10重量%である。
この開示の3種類の画像形成部材において、ポリマーにブレンドされたACBCはそれぞれ、表面エネルギーの小さな改変されたポリカーボネートを含んでおり、このポリカーボネートは、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)のビスフェノールAポリカーボネートを、ポリマー骨格に少量のポリジメチルシロキサン(PDMS)を含み、ACBCに滑り性を付与するように改変することによって作られるA−B型ジブロックコポリマーであった。表面エネルギーの小さなA−B型ジブロックコポリマーを使用し、このコポリマーは、Sabic Innovative Plasticsから入手可能な市販の材料であり、以下の式(I)に記載の分子構造を有しており、

式中、約25,000の分子量を有し、表面エネルギーが低いA−Bジブロックコポリマーの場合、繰り返し単位xは約50であり、yは約9であり、zは約120である。
ポリマーにブレンドされたACBC中に存在する、表面エネルギーの小さなA−B型ジブロックコポリマーは、それぞれのACBCの合計重量を基準として、5重量%、10重量%、25重量%であった。これに含めるために使用された接着促進剤は、それぞれの得られたACBCの合計重量を基準として、10重量%のVitel PE−200(Bostik Inc.から)であった。
伝導性単層カーボンナノチューブの分散物は、Zyvex Performance Materialsから市販されている材料であった。粒径は10ナノメートル未満であり、得られたACBCの合計重量を基準として、15重量%が、それぞれのポリマーにブレンドされたACBCに分散していた。分散させるための単層カーボンナノチューブの選択は、(A)高い電気伝導率に影響を及ぼすこと、(B)10ナノメートル未満という非常に小さい粒径によって、層の透明性を維持するための光透過性を妨害するような光分散効果が引き起こされないという事実に基づいている。
(物理的/機械的な測定および伝導率の測定)
単層カーボンナノチューブ分散物を含み、表面エネルギーの小さなA−B型ジブロックコポリマーが組み込まれ、開示例のビスフェノールポリカーボネートを含むACBCの表面エネルギー、滑り時の接触摩擦係数、表面滑り性を決定し、コントロール例の標準的なACBCから得られた結果と比較した。表面エネルギーは、液体接触角の測定値によって決定され、滑り時の接触摩擦は、ステンレス鋼表面に対して試験され、表面滑り性(接着性と逆)を、180 3M接着テープ剥離試験法によって行ない、表面抵抗率は、OAI(カリフォルニア州、サンホセ)から入手可能なHiResta計を用いて1000ボルトで測定した。得られた試験結果を以下の表2にまとめて列挙している。
上の表のデータは、滑りやすいように調製されたACBC(表面エネルギーの小さなポリマーを含む)が、標準的なACBCコントロールと比較した場合に、表面エネルギーを下げ、滑り性を与えるとともに、接触摩擦を低下させる(PTFE分散物が存在しない場合でも)といった顕著な向上がみられることを示している。バッカーバーに対して滑らせる動きについて試験した場合、革新的なACBCは、対応するコントロールACBCと比べて、耐摩耗性が1.5倍まで上がっていることがわかった。非常に重要なことだが、本開示にしたがって配合され、調製されたすべてのACBCが、標準的なACBCコントロールよりも約2桁低い表面抵抗率を有することがわかった。
さらに、本発明の伝導性の/滑りやすいACBCも、対応するコントロールACBCと比較した場合、PEN基板に対して同等の接着結合強度を有しており、ほぼ同等の光学透明性を有していた。
開示のACBCが存在する状態で、帯電防止性ポリマーおよびビスフェノールAポリカーボネートとポリマーブレンドするために、表面エネルギーの小さなA−Bジブロックポリカーボネートを使用することは、リファレンス例で確立されているように、この表面エネルギーの小さなポリカーボネートが、表面滑り性に影響を及ぼし、ACBCに対する接触摩擦を下げるという事実に基づいていることを強調しておくべきである。さらに、表面エネルギーの小さなポリカーボネートを使用することで、動的機械の画像形成部材ベルトを循環させる動きの間、有効な摩擦帯電抑制結果が得られた。結論として、開示されているACBCは、滑りやすいポリマー、帯電防止性散逸材料、電気伝導性カーボンナノチューブを含むように配合されており、互いに補完しあい、摩擦帯電の制御および接触摩擦の低下を含む最大限の性能を得るような相乗的な結果が得られる。

Claims (10)

  1. 可撓性電子写真画像形成部材であって、
    可撓性基板と;
    前記基板の第1の面に配置されている、少なくとも1つの画像形成層と;
    前記少なくとも1つの画像形成層とは反対の側にある、前記基板の第2の面に配置されている、湾曲防止背面コーティングとを備え、この湾曲防止背面コーティングが、ポリマーブレンドに分散したカーボンナノチューブを含んでおり、さらに、このポリマーブレンドが、帯電防止性ポリマーと、ビスフェノールポリカーボネートと、表面エネルギーの小さなポリカーボネートとを含み、この表面エネルギーの小さなポリカーボネートが、2個のセグメントに分かれたブロックを含むA−B型ジブロックコポリマーであり、第1のセグメントブロック(A)が、

    であり、式中、ポリジメチルシロキサン(PDMS)繰り返し単位xが、約10〜約70であり、yが、約1〜約15であり、第2のセグメントブロック(B)が、

    からなる群から選択され、式中、zが、約50〜約400である、可撓性電子写真画像形成部材。
  2. 前記表面エネルギーの小さなA−B型ジブロックコポリマーが、

    であり、式中、xは、約10〜約70であり、yは、約1〜約15であり、前記表面エネルギーの小さなポリカーボネートの合計分子量の約2〜約10重量%であり、zは、約50〜約400であり、前記表面エネルギーの小さなポリカーボネートの合計分子量のうち、約15,000〜130,000の分子量を含む、請求項1に記載の画像形成部材。
  3. 前記表面エネルギーの小さなA−B型ジブロックコポリマーが、前記表面エネルギーの小さなポリカーボネートの合計分子量を基準として、約4〜約6重量%のポリジメチルシロキサン繰り返し単位をブロック(A)セグメント中に含む、請求項2に記載の画像形成部材。
  4. 前記帯電防止性ポリマー:ビスフェノールポリカーボネート:A−B型ジブロックコポリマー:カーボンナノチューブの相対重量比が、約40:30:5:1〜約20:30:25:15である、請求項1に記載の画像形成部材。
  5. 前記湾曲防止背面コーティングが、コポリエステル接着促進剤をさらに含む、請求項1に記載の画像形成部材。
  6. 前記コポリエステル接着促進剤が、前記湾曲防止背面コーティング中に、前記湾曲防止背面コーティングの合計重量を基準として、約1〜約10重量%の量で存在する、請求項8に記載の画像形成部材。
  7. 前記カーボンナノチューブが、前記湾曲防止背面コーティングの合計重量に基づいて、約1〜約20重量%の量で存在する、請求項1に記載の画像形成部材。
  8. 前記帯電防止性ポリマーおよび前記表面エネルギーの小さなポリカーボネートが、両方とも塩化メチレンに可溶性である、請求項1に記載の画像形成部材。
  9. 前記表面抵抗率が、前記ポリマーブレンドにカーボンナノチューブが分散していない湾曲防止背面コーティングを含む画像形成部材と比較して、約2桁減少している、請求項1に記載の画像形成部材。
  10. 前記湾曲防止背面コーティング層の摩擦係数が、金属表面を滑らせる作用に反し、約0.29〜約0.31である、請求項1に記載の画像形成部材。
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