JP2012041424A - 粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】リワーク性および所定環境下における耐久性に優れるとともに、金属に対する耐腐食性に優れた粘着剤組成物およびそのような粘着剤組成物を用いた粘着シートを提供する。
【解決手段】(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としてのシランカップリング剤と、を含む粘着剤組成物等であって、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、単量体成分としての所定の成分に由来した重合体であるとともに、(B)成分としてのシランカップリング剤が、特定の構造を有する化合物であって、(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を、所定の範囲内の値とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘着剤組成物および粘着シートに関する。特に、リワーク性および所定環境下における耐久性に優れるとともに、金属に対する耐腐食性に優れた粘着剤層を構成するための粘着剤組成物およびそのような粘着剤組成物を用いた粘着シートに関する。
従来、偏光板等の光学部材やウィンドーフィルム等に用いる粘着剤組成物においては、プラスチック材料とガラスという異なる材質の表面同士を耐久性良く貼り合わせることができ、かつ、貼りミスが生じた場合には、ガラス表面に粘着剤組成物を残留させることなく剥離できること(リワーク性)が求められている。
したがって、上述した用途に用いられる粘着剤組成物には、シランカップリング剤が添加されるのが一般的である。
すなわち、シランカップリング剤は、通常、一分子中にアルコキシシリル基部分と、結合性基部分とを有していることから、アルコキシシリル基部分がガラス表面に作用する一方で、結合性基部分が粘着剤組成物中のポリマー等と反応することができ、経時的に粘着力を増加させて、粘着シートに所定の耐久性を与えることができるためである。
このため、粘着シートの初期の粘着力を比較的低めに設計しても、シランカップリング剤を添加することにより、経時的に粘着力を上昇させることができる。
この結果、粘着シートのリワーク性と、耐久性との両立を図ることができる。
より具体的には、結合性基がエポキシ基、カルボン酸無水物基、または、イソシアネート基であるシランカップリング剤を添加した粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1〜3)。
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているシランカップリング剤は、結合性基が粘着剤組成物中のポリマー等と共有結合により結合するため、条件によっては十分なカップリング効果を得ることができなかったり、共有結合の際に生じる脱離基によって、粘着剤特性が不安定になったりする場合があるという問題が見られた。
そこで、粘着剤組成物中のポリマー等に対し、水素結合により結合する結合性基を有したシランカップリング剤を添加してなる粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献4および5)。
より具体的には、特許文献4には、下記一般式(12)で表わされるシランカップリグ剤を添加してなる粘着剤組成物が開示されている。
また、特許文献5には、下記一般式(13)〜(15)で表わされるシランカップリング剤を添加してなる粘着剤組成物が開示されている。
(一般式(12)中、R5およびR6はそれぞれ独立に水素または炭素数1〜3であるアルキル基を示し、gは0〜3の整数であり、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素または炭素数1〜10であるアルキル基、アルコキシアルキル基を示し、hは1〜3の整数である。)
(一般式(13)中、Rは加水分解性基であり、R´は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、X´は酸素原子または硫黄原子であり、Y´は−NH−または硫黄原子であり、L1、L2は独立に炭素原子または窒素原子であり、R11〜R13はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、またはアミノ基であり、R11とR12またはR12とR13でこれらが結合している炭素原子およびL2と共に環骨格を形成してもよい。jは1〜3の整数であり、kは0〜3の整数である。)
(一般式(14)中、Rは加水分解性基であり、R´は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、X´は酸素原子または硫黄原子であり、Z´は−NH−、酸素原子または硫黄原子であり、Mは−NH−、酸素原子または硫黄原子であり、R14〜R17はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、またはアミノ基であり、R15とR16が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR14とR17でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族または芳香族環骨格を形成してもよい。jは1〜3の整数であり、kは0〜3の整数である。)
(一般式(15)中、Rは加水分解性基であり、R´は炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキレン基であり、X´は酸素原子または硫黄原子であり、Z´は−NH−、酸素原子または硫黄原子であり、R18〜R21はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基もしくはフルオロアルキル基、またはアミノ基であり、またR19とR20が直接結合して該置換基が結合する炭素間で二重結合を形成してもよく、さらにR18とR21でこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族または芳香族環骨格を形成してもよい。jは1〜3の整数であり、kは0〜3の整数である。)
特開平7−20314号公報(特許請求の範囲) 特許3426410号公報(特許請求の範囲) 特開平9−288214号公報(特許請求の範囲) 特表2008−506028号公報(特許請求の範囲) 特開2010−59114号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献4に開示された粘着剤組成物に含まれるシランカップリング剤は、その分子構造が、水素結合に寄与するケトン基の酸素原子とピリジニウム環の窒素原子とのスペースが狭く、また、これを補う当該スペースの可動性も小さいものであることから、主剤ポリマーとの水素結合が不十分となり、該シランカップリング剤がブリードアウトしたり、得られる粘着剤の耐久性が劣るという問題が見られた。
また、特許文献5に開示された粘着剤組成物におけるポリマー成分は、その実施例からも明らかなように、その構成成分として、分子中にカルボキシル基を有するアクリル酸を含んでいるため、液晶セル等の被着体が金属蒸着等により形成された透明導電膜を有している場合には、それを酸腐食しやすいという問題が見られた。
一方、特許文献5に開示された粘着剤組成物におけるポリマー成分の構成成分から、アクリル酸を除いた場合、使用するシランカップリング剤の種類や、その組み合わせ方によって、耐久性が著しく低下し易くなったり、リワーク性が不十分になったりするという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、所定量の水酸基を有する一方で、カルボキシル基を実質的に含まない所定の(メタ)アクリル酸エステル重合体に対し、特定構造を有するシランカップリング剤を、所定割合で含有させることにより、リワーク性および所定環境下における耐久性に優れるとともに、金属に対する耐腐食性に優れた粘着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、リワーク性および所定環境下における耐久性に優れるとともに、金属に対する耐腐食性に優れた粘着剤組成物およびそのような粘着剤組成物を用いた粘着シートを提供することにある。
本発明によれば、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としてのシランカップリング剤と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、単量体成分としての下記(a)〜(c)成分に由来した重合体であるとともに、(B)成分としてのシランカップリング剤が、下記一般式(1)で表わされる化合物、および、下記一般式(2)で表わされる化合物、あるいはいずれか一方を含み、(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすることを特徴とする粘着剤組成物が提供され、上述した問題を解決することができる。
(a)アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル:100重量部
(b)分子内に水酸基を有するビニル化合物:0.5〜10重量部
(c)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物:0重量部または0〜0.5重量部(但し、0重量部は含まない)。
(一般式(1)中、R1は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、Xは2位が硫黄原子、窒素原子またはカルボニル炭素である環状化合物であり、aは1〜3の整数であり、bは3−aとなる整数であり、cは1〜6の整数である。)
(一般式(2)中、R3は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R4は炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは1位が窒素原子であり、2位が硫黄原子、窒素原子またはカルボニル炭素である環状化合物であり、dは1〜3の整数であり、eは3−dとなる整数であり、fは1〜6の整数である。)
すなわち、本発明の粘着剤組成物であれば、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、その単量体成分として、実質的に、分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物を含まないことから、液晶セル等の被着体が金属蒸着等により形成された透明導電膜等を有している場合であっても、酸腐食の発生を安定的に防ぐことができる。
また、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、その単量体成分として、分子内に水酸基を有するビニルモノマーを所定の割合で含み、かつ、粘着剤組成物が(B)成分としての特定構造を有するシランカップリング剤を所定の割合で含むことから、(A)成分の水酸基と、(B)成分の結合性基と、を効果的に水素結合させることができる。
したがって、(A)成分が、単量体成分として分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物を実質的に含まないにもかかわらず、例えば、高温乾燥条件下や、高温高湿条件下、あるいは低温条件および高温条件に繰り返し曝される条件下等の所定の過酷な条件下においても、優れた耐久性を発揮することができる。
また、その一方で、被着体への貼合直後の粘着力については、比較的低い値に抑制することができ、所定のリワーク性を得ることができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、一般式(1)中、Xが、硫黄原子と2位で結合するチアゾール環であることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としての一般式(1)で表わされるシランカップリング剤とを、より効果的に水素結合させて、リワーク性および所定環境下における耐久性を、さらに向上させることができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、一般式(2)中、Yが、酸素原子と1位で結合するピロリジン2,5−ジオン環またはイソインドリン−1,3−ジオン環であることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としての一般式(2)で表わされるシランカップリング剤とを、より効果的に水素結合させて、リワーク性および所定環境下における耐久性を、さらに向上させることができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(B)成分としてのシランカップリング剤が、一般式(1)で表わされる化合物単独、一般式(2)で表わされる化合物単独、あるいは一般式(1)および(2)で表わされる化合物の組み合わせであることが好ましい。
このように構成することにより、これらの特定構造を有するシランカップリング剤の効果を、確実に発揮させることができる。
なお、「一般式(1)で表わされる化合物単独」には、一般式(1)に該当する複数の化合物の組み合わせも含まれるものとする。これは、「一般式(2)で表わされる化合物単独」についても同様である。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(B)成分としてのシランカップリング剤が、一般式(1)および(2)で表わされる化合物の組み合わせを含む場合に、一般式(2)で表わされる化合物の含有量を、一般式(1)で表わされる化合物100重量部に対して、50〜150重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、それぞれのシランカップリング剤が有する特徴を、打ち消し合うことなく、効果的に発揮させることができる。
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(C)成分として、架橋剤を含むとともに、その含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、粘着剤組成物における凝集力を上げ、リワーク性および所定環境下における耐久性を向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としてのシランカップリング剤と、を含む粘着剤組成物を粘着剤層として備えた粘着シートであって、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、単量体としての下記(a)〜(c)成分に由来した重合体であって、(B)成分としてのシランカップリング剤が、一般式(1)で表わされる化合物、および、一般式(2)で表わされる化合物、あるいはいずれか一方を含み、(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすることを特徴とする粘着シートである。
(a)アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル:100重量部
(b)分子内に水酸基を有するビニル化合物:0.5〜10重量部
(c)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物:0重量部または0〜0.5重量部(但し、0重量部は含まない。)
すなわち、本発明の粘着シートであれば、所定の粘着剤組成物を粘着剤層として備えることから、リワーク性および所定環境下における耐久性に優れるとともに、液晶セル等の被着体が金属蒸着等により形成された透明導電膜等を有している場合であっても、酸腐食の発生を安定的に防ぐことができる。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、基材が光学フィルムであるとともに、当該光学フィルムの少なくとも一方に、粘着剤層を備えることが好ましい。
このように構成することにより、リワーク性および所定環境下における耐久性に優れるとともに、液晶セルが透明導電膜を有している場合であっても、耐腐食性に優れた光学フィルムを有する粘着シートを得ることができる。
また、本発明の粘着シートを構成するにあたり、基材が、剥離フィルムであるとともに、粘着剤層における当該剥離フィルムの反対面に対し、別の剥離フィルムを積層してなることが好ましい。
このように構成することにより、粘着シートの取り扱い性を向上させることができる。
図1は、シランカップリング剤の含有量と、貼付1日後および貼付21日後の粘着力と、の関係を説明するために供する図である。 図2は、シランカップリング剤の含有量と、所定環境下における耐久性と、の関係を説明するために供する図である。 図3(a)〜(d)は、粘着剤組成物等の使用態様、および粘着シートの製造方法を説明するために供する概念図である。 図4は、粘着剤組成物等の使用態様を説明するために供する別の概念図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としてのシランカップリング剤と、を含む粘着剤組成物であって、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、単量体成分としての下記(a)〜(c)成分に由来した重合体であるとともに、(B)成分としてのシランカップリング剤が、一般式(1)で表わされる化合物、および、一般式(2)で表わされる化合物、あるいはいずれか一方を含み、(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすることを特徴とする粘着剤組成物である。
(a)アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル:100重量部
(b)分子内に水酸基を有するビニル化合物:0.5〜10重量部
(c)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物:0重量部または0〜0.5重量部(但し、0重量部は含まない)。
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
1.(A)成分:(メタ)アクリル酸エステル重合体
(1)単量体成分
(1)−1 単量体成分(a)
(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体は、重合する際の単量体成分(a)として、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む。
この理由は、かかるアルキル基の炭素数が12よりも大きな値となると、側鎖同士が配向・結晶化することにより、得られる粘着剤組成物の粘着性が低下する場合があるためである。一方、かかるアルキル基の炭素数が小さいと、得られる粘着剤組成物の貯蔵弾性率が大きくなりすぎて、耐久性が不十分になる場合がある。
したがって、(メタ)アクリル酸エステル重合体におけるアルキル基の炭素数を2〜10の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜8の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、アルキル基の炭素数が1〜12の範囲内の値である(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシルおよび(メタ)アクリル酸ドデシル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、単量体成分(a)である(メタ)アクリル酸エステルは、(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成する主成分であるため、通常、(A)成分を構成する全単量体成分の50重量%以上の値であることが好ましく、60〜99.5重量%の範囲内の値であることがより好ましく、85〜99重量%の範囲内の値であることがさらに好ましい。
(1)−2 単量体成分(b)
また、(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体は、重合する際の単量体成分(b)として、分子内に水酸基を有するビニル化合物を含むことを特徴とする。
この理由は、かかる単量体成分(b)を含むことにより、水素結合系のシランカップリング剤である(B)成分としての特定構造を有するシランカップリング剤と、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体とを、効果的に水素結合させることができるためである。
その結果、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、重合する際の単量体成分として、実質的に、分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物を含まないにもかかわらず、所定条件下においても優れた耐久性を発揮することができる。
また、その一方で、被着体への貼合直後の粘着力については、比較的低い値に抑制することができ、所定のリワーク性を得ることができる。
さらに、かかる単量体成分(b)を含むことにより、粘着剤組成物に対し架橋剤を添加した場合に、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体同士の架橋を、効果的に行うことができ、粘着剤組成物の粘着力や貯蔵弾性率の調整を、容易に行うことができる。
また、分子内に水酸基を有するビニル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、もしくはアリルアルコール等の単量体が好ましく挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成する主成分である(メタ)アクリル酸エステル単量体との相溶性を考慮すれば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであることがさらに好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルのいずれかであることが特に好ましい。
また、単量体成分(b)の配合量を、単量体成分(a)100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、単量体成分(b)の配合量が0.5重量部未満の値となると、(B)成分としてのシランカップリング剤と、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体とを十分に水素結合させることが困難となって、所定環境下における耐久性や、リワーク性を向上させることが困難になる場合があるためである。また、(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を多くした場合に、十分な凝集力を得ることが困難になる場合があるためである。一方、単量体成分(b)の配合量が10重量部を超えた値となると、粘着剤組成物の粘着性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、単量体成分(b)の配合量を、単量体成分(a)100重量部に対し、1〜5重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜3.5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−3 単量体成分(c)
また、(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体は、重合する際の単量体成分(c)として、分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物を、実質的に含まないことを特徴とする。
より具体的には、(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合する際における単量体成分(c)の配合量を、上述した単量体成分(a)100重量部に対し、0重量部または0〜0.5重量部(但し、0重量部は含まない。)の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる単量体成分(c)の配合量が、0.5重量部を超えた値となると、液晶セル等の被着体が金属蒸着等により形成された透明導電膜等を有している場合には、酸腐食の発生を安定的に防ぐことが困難になる場合があるためである。
また、粘着剤組成物における粘着力が、被着体に対して貼合した後、急激に上がりやすく、安定したリワーク性を発揮することが困難になる場合があるためである。
したがって、単量体成分(c)を配合する場合であっても、単量体成分(a)100重量部に対し、0.0001〜0.1重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.001〜0.05重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、単量体成分(c)の種類としては、分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物であれば特に制限されるものではなく、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
(2)重量平均分子量
また(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量を、100万〜220万の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる重量平均分子量が100万未満の値となると、粘着剤組成物のリワーク性や耐久性が不十分となる場合があるためである。一方、かかる重量平均分子量が220万を超えた値となると、粘着剤組成物の粘度増大等による加工適性の低下を抑制することが困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合平均分子量を120万〜200万の範囲内の値とすることがより好ましく、140万〜180万の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグララフィー(GPC)法により測定することができる。
2.(B)成分:シランカップリング剤
(1)種類
本発明の粘着剤組成物は、(B)成分としてのシランカップリング剤が、下記一般式(1)で表わされる化合物、および、下記一般式(2)で表わされる化合物、あるいはいずれか一方を含むことを特徴とする。
この理由は、(B)成分としての特定構造を有するシランカップリング剤を含むことにより、(A)成分の水酸基と、(B)成分の結合性基とを効果的に水素結合させることができるためである。
したがって、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、その単量体成分として、実質的に、分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物を含まないにもかかわらず、所定環境下における耐久性およびリワーク性を向上させることができる。
すなわち、一般式(1)中のXと結合する箇所が硫黄原子であることにより、特に、かかる箇所が炭素原子である場合と比較して、結合性基部分が適度な柔軟性を有することができ、ひいては、(A)成分の有する水酸基に対して、効果的に水素結合を形成することができるためである。
また、特に、かかる箇所がアミノ基である場合、当該アミノ基も水素結合箇所となるため、シランカップリング剤が2箇所から固定され、シランカップリング剤の配向性が低下し易くなるが、一般式(1)で表わされるシランカップリング剤であれば、優れた配向性を得ることができるためであると推定される。
また、一般式(2)中のYと結合する箇所が酸素原子であることも、上述した一般式(1)における効果と同様の効果の発揮に寄与するものと推定される。
より具体的には、複素環(一般式(1)および(2)中のX、Y)に隣接する原子である、結合の原子価が2である硫黄原子および酸素原子の周囲は、炭素原子や窒素原子の場合と比較して、立体的に空いているため、複素環との結合角をより柔軟に変化させることが可能であり、かつ、複素環の回転の自由度が相対的に高くなると考えられる。
したがって、一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤であれば、主剤官能基と水素結合をする際に、最適な配座をとることが可能になると考えられる。
逆に、複素環に隣接する原子が炭素原子や窒素原子である場合、これらに水素原子が結合しているため、複素環の回転が不自由になり、さらに、シランカップリング剤分子の最安定な配座が限定されると考えられる。
また、一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤としての、例えば、後述するシランカップリング剤I〜IIIは、いずれもウレタンおよびチオウレタン部位から複素環、イミド部位へと連なる構造(以下、連続構造と称する場合がある。)が、非常に非共有電子対リッチになっており、負電荷の集中や、非常に大きな双極子モーメントを有すると考えられる。
これに対し、一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤としての、例えば、後述するシランカップリング剤IV〜VIIは、尿素部位を有するため、対応する連続構造中に水素原子を1つ有することで、また、シランカップリング剤VIIIの場合にはメチレン基を介することで、シランカップリング剤I〜IIIに見られるような電子のみが密集した構造が崩れてしまうものと推定される。
したがって、一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤と、それ以外のシランカップリング剤とにおける上述した相違が、主剤官能基との親和性に、特に、湿度の高い耐久条件下において、支配的な影響を与えていると考えられる。
ここで、一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤の中でも、シランカップリング剤IIIは、ベンゾ環が立体障害となって主剤官能基との接近に不利であるため、シランカップリング剤I〜IIの方が、さらに優れたカップリング効果を発揮することができると考えられる。
(一般式(1)中、R1は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、Xは2位が硫黄原子、窒素原子またはカルボニル炭素である環状化合物であり、aは1〜3の整数であり、bは3−aとなる整数であり、cは1〜6の整数である。)
(一般式(2)中、R3は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R4は炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは1位が窒素原子であり、2位が硫黄原子、窒素原子またはカルボニル炭素である環状化合物であり、dは1〜3の整数であり、eは3−dとなる整数であり、fは1〜6の整数である。)
また、一般式(1)および(2)中、R1およびR3の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基等が挙げられる。
また、一般式(1)および(2)中、R2およびR4の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等が挙げられる。
さらに、一般式(1)中、Xの具体例としては、下記式(3)で表わされる環状化合物(a−1〜3、b−1〜5、c−1〜4、およびd−1〜2)を用いることが好ましい。
また、一般式(2)中、Yの具体例としては、下記式(3)で表わされる環状化合物のうち、c−4、およびd−1〜d−2を用いることが好ましい。
特に、一般式(1)中のXは、硫黄原子と2位で結合するチアゾール環(b−1)であることがより好ましく、一般式(2)中のYは、酸素原子と1位で結合するピロリジン2,5−ジオン環(d−2)またはイソインドリン−1,3−ジオン環(c−4)であることがより好ましい。
この理由は、一般式(1)および(2)におけるXおよびYをこのような環状構造とすることにより、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としての一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤とを、より効果的に水素結合させて、リワーク性および所定環境下における耐久性を、さらに向上させることができるためである。
また、一般式(1)で表わされるシランカップリング剤としては、例えば、下記式(4)で表わされる化合物(シランカップリング剤I)が挙げられる。
かかる、式(1)で表わされるシランカップリング剤Iにおいては、カルボニル基の酸素原子と、チアゾール環の硫黄原子との間に、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体の水酸基が配置されて水素結合が形成されることにより、カップリング効果が発揮されるものと推定される。
また、一般式(2)で表わされるシランカップリング剤としては、例えば、下記式(5)〜(6)で表わされる化合物(シランカップリング剤II〜III)が挙げられる。
これら、式(5)〜(6)で表わされるシランカップリング剤II〜IIIにおいては、カルボニル基の酸素原子と、ピロリジン2,5−ジオン環、若しくは、イソインドリン−1,3−ジオン環の酸素原子との間に、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体の水酸基が配置されて水素結合が形成されることにより、カップリング効果が発揮されるものと推定される。
なお、下記式(7)で表わされるシランカップリング剤VIIIのように、水素結合に関与する酸素原子同士の距離が離れすぎている場合、本発明の粘着剤組成物において必要とされるレベルのカップリング効果を得ることができない。
(2)含有量
また、(B)成分としての特定構造を有するシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、(B)成分の含有量をかかる範囲内の値とすることにより、(A)成分における分子内に水酸基を有するビニル化合物の重合割合と相まって、(A)成分の水酸基と、(B)成分とを、効果的に水素結合させることができるためと推定される。
その結果、リワーク性および所定環境下における耐久性を、さらに向上させることができるためである。
すなわち、(B)成分の含有量が0.01重量部未満の値となると、(B)成分の絶対量が不足して、その効果を十分に発揮させることが困難になって、十分な耐久性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(B)成分の含有量が1重量部を超えた値となると、シランカップリング剤のブリードアウトにより耐久性やリワーク性が悪化する場合があるためである。
したがって、(B)成分としての特定構造を有するシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.05〜0.5重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.3重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明においては、(B)成分としてのシランカップリング剤が、一般式(1)で表わされる化合物単独、一般式(2)で表わされる化合物単独、あるいは一般式(1)および(2)で表わされる化合物の組み合わせであることが好ましい。
この理由は、(B)成分をこのように用いることにより、これらの特定構造を有するシランカップリング剤の効果を、確実に発揮させることができるためである。
すなわち、一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤は、それぞれ単独で、若しくは、複数の組み合わせとして用いた場合には、粘着剤組成物のリワーク性や所定環境下における耐久性を効果的に向上させることができることが確認されているためである。
なお、本発明において、「一般式(1)で表わされる化合物単独」には、一般式(1)に該当する複数の化合物の組み合わせも含まれるものとする。これは、「一般式(2)で表わされる化合物単独」についても同様である。
ここで、特に、一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤を組み合わせて用いた場合に得られる効果について説明する。
すなわち、シランカップリング剤と、主剤官能基との水素結合は、耐久条件下において解裂と再結合を繰り返すと考えられ、このとき、再結合が起こりやすい程、耐久性が高くなると考えられる。
他方、粘着剤組成物中には、疎水性部分と親水性部分とが混在しており、主剤官能基の極性を基準として、これより相対的に極性が高すぎても、低すぎても、シランカップリング剤と、主剤官能基との親和性が低くなると考えられる。
したがって、一般式(1)および(2)で表わされるシランカップリング剤を組み合わせて用いた場合のガラスの表面極性の方が、いずれか一方のみがガラス表面に点在している場合のガラスの表面極性に比べて、主剤官能基との親和性がより高い領域にあり、シランカップリング剤と、主剤官能基との再結合が起こりやすく、ひいては、優れた耐久性が得られると考えられる。
また、(B)成分としてのシランカップリング剤が、一般式(1)および(2)で表わされる化合物の組み合わせである場合に、一般式(2)で表わされる化合物の含有量を、一般式(1)で表わされる化合物100重量部に対して、50〜150重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、一般式(2)で表わされる化合物の含有量が50重量部未満の値となると、一般式(1)で表わされる化合物の効果が支配的となり、相乗効果が得られない場合があるためである。一方、一般式(2)で表わされる化合物の含有量が150重量部を超えた値となると、一般式(2)で表わされる化合物の効果が支配的となり、相乗効果が得られない場合があるためである。
したがって、(B)成分としてのシランカップリング剤が、一般式(1)および(2)で表わされる化合物の組み合わせである場合に、一般式(2)で表わされる化合物の含有量を、一般式(1)で表わされる化合物100重量部に対して、80〜120重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、90〜110重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図1を用いて、特定の構造を有するシランカップリング剤の含有量と、貼付1日後および貼付21日後の粘着力と、の関係を説明する。
すなわち、図1には、横軸に、(A)成分100重量部に対する、一般式(1)に含まれるシランカップリング剤Iの含有量(重量部)を採り、縦軸に、得られた粘着剤組成物における貼付1日後の粘着力(N/25mm)を採ってなる特性曲線A(プロット◇)と、縦軸に、得られた粘着剤組成物における貼付21日後の粘着力(N/25mm)を採ってなる特性曲線B(プロット■)とが、それぞれ示してある。
なお、粘着剤組成物の組成や、粘着力の測定条件等については、実施例において記載する。
まず、特性曲線AおよびBから理解されるように、シランカップリング剤Iの含有量が増加するのにともなって、貼付1日後、および貼付21日後の粘着力の値は増加している。
ここで、特性曲線Aからは、貼付1日後であれば、シランカップリング剤Iの含有量が変化した場合であっても、特に大きな影響を受けることなく、好適な範囲内の粘着力を得られることが理解される。
より具体的には、シランカップリング剤Iの含有量が0重量部の場合であっても、5N/25mm前後の粘着力を得ることができる一方、シランカップリング剤の含有量が1.2重量部の場合であっても、8N/25mm前後の粘着力を得ることができることが理解される。
一方、特性曲線Bからは、貼付21日後になると、シランカップリング剤Iの含有量の変化が、粘着力に大きな影響を与えるようになり、好適な範囲内の粘着力を得るためには、シランカップリング剤Iの含有量を所定の範囲内の値とすべきことが理解される。
より具体的には、シランカップリング剤Iの含有量が0重量部の場合には、粘着力が4N/25mm未満の値となってしまい、逆に、シランカップリング剤Iの含有量が1.2重量部の場合には、粘着力が20N/25mmを超えた値となってしまうことが理解される。
したがって、粘着剤組成物としての最低限要求される粘着力を維持する一方で、所定のリワーク性を得るためには、(B)成分としての特定構造を有するシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすべきことが理解される。
次いで、図2を用いて、特定の構造を有するシランカップリング剤の含有量と、所定環境下における耐久性と、の関係を説明する。
すなわち、図2には、横軸に、(A)成分100重量部に対する、一般式(1)に含まれるシランカップリング剤Iの含有量(重量部)を採り、縦軸に、得られた粘着剤組成物における60℃90%RH環境下における耐久性(相対値)を採ってなる特性曲線(プロット◆)が示してある。
また、シランカップリング剤として、一般式(1)および(2)に含まれないシランカップリング剤である、下記式(8)で表わされるシランカップリング剤Vを用いた場合のプロット(プロット□)が示してある。
また、所定環境下における耐久性の相対値は、所定環境下に粘着剤層付き偏光板を放置し、その結果を下記基準に基づいて評価し、数値化したものである。
相対値8:偏光板の浮き剥がれが全くない。
相対値6:端部から2mm以上の浮きがない。
相対値4:端部から2〜10mmの浮きがある。
相対値2:端部から10mmを超える浮きがある、または、少なくとも1つの角部全体が浮いている。
なお、粘着剤組成物の組成や、耐久性の測定条件等については、実施例において記載する。
まず、特性曲線から理解されるように、シランカップリング剤Iの含有量が増加するのにともなって、所定環境下における耐久性の相対値は、一度増加した後、減少している。
より具体的には、シランカップリング剤Iの含有量が0重量部の場合には、所定環境下における耐久性の相対値は2であるが、シランカップリング剤の増加にともなって急激に増加し、シランカップリング剤Iの含有量が0.2重量部のときには、所定環境下における耐久性の相対値が8をとっていることが分かる。
一方、シランカップリング剤Iの含有量が1.0重量部を超えた値になると、所定環境下における耐久性の相対値は減少していき、シランカップリング剤Iの含有量が1.2重量部のときには、所定環境下における耐久性の相対値が6以下に減少し始め、その後も減少し続けることが確認されている。
したがって、所定環境下であっても、被着体からの浮きや剥がれを防止できる所定の耐久性を得るためには、(B)成分としての特定構造を有するシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすべきことが理解される。
なお、式(8)で表わされるシランカップリング剤Vを用いた場合のプロット□から理解されるように、特定の構造を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を用いた場合には、その含有量を(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とした場合であっても、十分な耐久性を得ることができない。
3.(C)成分:架橋剤
また、本発明の粘着剤組成物を構成するにあたり、(C)成分として、架橋剤を含むことが好ましい。
この理由は、(C)成分としての架橋剤により、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体同士を架橋することで、粘着剤組成物における凝集力を上げ、リワーク性および所定環境下における耐久性を向上させることができるためである。
(1)種類
また、かかる架橋剤としては、イソシアナート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤を好ましく挙げることができる。
この理由は、これらの架橋剤を含むことにより、粘着剤組成物の粘着力や貯蔵弾性率を、より好適な範囲に調節することができるためである。
中でも、イソシアナート系架橋剤を用いることが好ましい。イソシアナート系架橋剤であれば、(メタ)アクリル酸エステル重合体が、単量体成分(b)としての分子内にヒドロキシル基を有するビニル化合物のヒドロキシル基と反応して、(メタ)アクリル酸エステル重合体同士を効果的に化学架橋させることができるためである。
また、かかるイソシアナート系架橋剤の具体例としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス( イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、例えば、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、ω、ω’−ジイソシアネート−1、4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼンもしくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートヘキサン等のトリイソシアネート、例えば、4,4’−ジフェニルジメチルメタン−2,2’−5,5’−テトライソシアネート等のポリイソシアネート単量体、上述したポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、炭酸ガスと上述したポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネート、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の重量平均分子量200未満の低分子量ポリオールの上述した各種イソシアネートへの付加体、例えば、上述した分子量が200〜200,000のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオール等の上述した各種イソシアネートへの付加体等が挙げられる。
(2)含有量
また、(C)成分としての架橋剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる架橋剤の含有量が0.01重量部未満の値となると、(B)成分としての特定の構造を有するシランカップリング剤の添加により、凝集力が低下した場合に、十分な粘着力や貯蔵弾性率を得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかる架橋剤の含有量が5重量部を超えた値となると、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体同士の架橋が過剰になって、逆に、粘着力が低下し易くなる場合があるためである。
したがって、(C)成分としての架橋剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.05〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜1重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
4.希釈溶剤
本発明の粘着剤組成物において、各成分の分散性を改善したり、剥離フィルム等に粘着剤組成物を塗布する際に、適切な粘度に調整したりする観点から、溶剤を使用することができる。
かかる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が好ましく、溶剤を加えた際の粘着剤組成物の濃度は、5〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
5.添加剤
他の添加剤として、粘着剤組成物中に、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、高屈折率化剤、拡散剤、帯電防止剤等を含有させることも好ましい。
また、その場合、添加剤の種類にもよるが、その含有量を、(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としてのシランカップリング剤と、を含む粘着剤組成物を粘着剤層として備えた粘着シートであって、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、単量体成分としての下記(a)〜(c)成分に由来した重合体であって、(B)成分としてのシランカップリング剤が、一般式(1)で表わされる化合物、および、一般式(2)で表わされる化合物、あるいはいずれか一方を含み、(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすることを特徴とする粘着シートである。
(a)アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル:100重量部
(b)分子内に水酸基を有するビニル化合物:0.5〜10重量部
(c)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物:0重量部または0〜0.5重量部(但し、0重量部は含まない。)
以下、本発明の第2の実施形態を、第1の実施形態と異なる点を中心に、図3を参照しつつ、具体的に説明する。
1.粘着剤層
粘着剤組成物は、下記工程(1)〜(3)を経て、所定特性を有する粘着剤層として構成することができる。
(1)(A)および(B)成分を含む所定の粘着剤組成物を準備する工程
(2)粘着剤組成物を、剥離フィルムに対して塗布して、塗布層を形成する工程
(3)粘着剤組成物を架橋させて、塗布層を粘着剤層とする工程
以下、粘着剤層を構成するに至る工程につき、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
(1)工程(1)(粘着剤組成物の準備工程)
工程(1)は、(A)および(B)成分を含む所定の粘着剤組成物を準備する工程である。
より具体的には、(A)成分を所望により、例えば、酢酸エチル等の希釈溶剤で希釈し、撹拌下、(B)成分を添加して、均一な混合液とすることが好ましい。
また、これと同時に、混合液に対し、所望により(C)成分等のその他の添加剤を添加した後、均一になるまで撹拌しつつ、所望の粘度になるように、必要に応じて希釈溶剤をさらに加えることにより、粘着剤組成物の溶液を得ることが好ましい。
なお、各成分の詳細および配合割合等は第1の実施形態で記載した通りであるので省略する。
(2)工程(2)(粘着剤組成物の塗布工程)
工程(2)は、図3(a)に示すように、粘着剤組成物を、剥離フィルム2に対して塗布して塗布層1を形成する工程である。
剥離フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムや、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムに対し、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アルキッド樹脂等の剥離剤を塗布して、剥離層を設けたものが挙げられる。
なお、かかる剥離フィルムの厚さは、通常、20〜150μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を用いて、溶剤を加えた粘着剤組成物を塗布して塗布層(塗膜)を形成した後、乾燥させることが好ましい。
このとき、塗布層の厚さを、乾燥時基準において、1〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、塗布層の厚さが薄すぎると、十分な粘着特性が得られない場合があり、逆に、厚すぎると、残留溶剤が問題となる場合があるためである。
また、乾燥条件としては、通常、50〜150℃で、10秒〜10分の範囲内とすることが好ましい。
(3)工程(3)(塗布層の架橋工程)
工程(3)は、粘着剤組成物の塗布層を架橋させて、塗布層を粘着剤層とする工程である。
すなわち、図3(b)に示すように、剥離フィルム2上で乾燥させた状態の塗布層1の表面に対し、光学フィルム等の基材101を積層させた状態で架橋させて、粘着剤層10とすることが好ましい。
あるいは、剥離フィルム上に塗布した粘着剤組成物の塗布層を、先に架橋させ、粘着剤層とした後、光学フィルム等の基材に対して積層させてもよい。
また、基材が剥離フィルムであるとともに、粘着剤層の露出面に対し、別の剥離フィルムを積層してなる態様も好ましい。
すなわち、図4に示すように、剥離フィルム2に対して粘着剤組成物を塗布して乾燥させ、塗布層1を形成した後、さらに別の剥離フィルム2を、塗布層1上に積層させ、架橋することにより、2つの剥離フィルム2の剥離層側が、それぞれ粘着剤層10と接するようにして挟持された粘着シート100bも好ましい。
また、かかる態様の粘着シート100bは、剥離フィルム2に対して粘着剤組成物の塗布層1を形成して、乾燥および架橋させた後に、さらに別の剥離フィルム2を、粘着剤層10となった粘着剤組成物上に積層させることで、2つの剥離フィルム2に挟持された粘着シートであってもよい。
また、2つの剥離フィルムのうちの一方における剥離力が、他の一方における剥離力と異なることが好ましい。
この理由は、剥離力が異なることにより、得られた粘着シートを使用するに際し、粘着剤層を傷つけることなく、一方の剥離フィルムを剥がすことができるためである。
また、かかる態様の粘着シートは、一方の剥離フィルムを剥離して、現れた粘着剤層を、光学フィルム等の基材に対して密着させて貼合することにより、光学フィルム等を基材とする粘着シートを得ることができる。
このとき、所望により、基材との密着性を向上させるため、粘着剤層面を、コロナ処理、プラズマ処理およびケン化処理等の表面処理を行うことができる。
かかる態様は、粘着剤層の製造と、かかる粘着剤層の使用とが、別の場所で行われる等の理由により、粘着剤層のみを輸送しなければならない場合等に必要とされる。
また、別の態様として、剥離フィルムを介することなく、直接、光学フィルム等の基材上に粘着剤組成物の塗布層を形成することにより、粘着シートを得てもよい。
この場合、粘着剤組成物の塗布層の露出面側は、乾燥後、剥離フィルムを積層することにより、使用時まで保護される。
なお、粘着剤組成物の塗布層における架橋は、上述した乾燥工程と、シーズニング工程と、を通して行われる。
かかるシーズニング工程の条件としては、粘着剤組成物の塗布層や基材にダメージを与えることなく、かつ、粘着剤組成物の塗布層を均一に架橋する観点から、20〜50℃とすることが好ましく、23〜30℃とすることがより好ましい。
また、湿度としては、30〜75%RHとすることが好ましく、45〜65%RHとすることがより好ましい。
さらに、期間としては、3〜20日とすることが好ましく、5〜14日とすることがより好ましい。
(4)粘着力
また、基材を偏光板とした粘着剤層付き偏光板について、被着体(ガラス表面)への貼付1日後の粘着力を1N/25mmを超えて、10N/mm以下の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる粘着力が1N/25mm以下の値となると、所定条件下における耐久性が不十分になる場合があるためである。一方、かかる粘着力が10N/25mmを超えた値となると、再剥離性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、粘着剤層付き偏光板の粘着力を2.5N/25mmを超えて、8N/25mm以下の範囲内の値とすることがより好ましく、3.5N/25mmを超えて、5.5N/25mm以下の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、同様の理由から、被着体への貼付21日後の粘着力を、4N/25mmを超えて、20N/25mm以下の範囲内の値とすることがこのましく、6N/25mmを超えて、10N/25mm以下の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、粘着力の測定方法については、実施例において記載する。
2.基材
本発明においては、基材の少なくとも一方に、上述した粘着剤層を備えることにより、粘着シートが形成されていることが好ましい。
図3に示すように、本発明の粘着シート100における基材101としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、液晶ポリマー、シクロオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、脂環式構造含有重合体、芳香族系重合体等の透明プラスチックフィルムが好ましく挙げられる。
また、用途の面から説明すれば、偏光板、偏光層保護フィルム、視野角拡大フィルム、防眩フィルム、位相差板等、液晶ディスプレイ等に用いられる光学フィルムが好ましく挙げられる。
例えば、本発明によれば、基材を偏光板とした場合であっても、光漏れの発生を効果的に抑制できるという利点を得ることができる。
また、本発明によれば、偏光子等へも良好に密着できることから、偏光板の原料であるヨウ素含有のポリビニルアルコール樹脂を延伸して作製された偏光子自体も、本発明の粘着剤シート100における基材101となり得る。さらに、偏光子の片面が、トリアセチルセルロースやポリエチレンテレフタレート等の保護フィルムで覆われた偏光子等も同様に対象となる。
なお、基材を偏光板とした場合の粘着シートを、粘着剤層付き偏光板と呼ぶことがある。
また、基材の厚さとしては特に制約はないが、通常1〜1000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる基材の厚さが1μm未満となると、機械的強度や取り扱い性が過度に低下したり、均一な厚さに形成することが困難となったりする場合があるためである。一方、かかる基材の厚さが1000μmを超えると、取り扱い性が過度に低下したり、経済的に不利益となったりする場合があるためである。
したがって、基材の厚さを5〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜200μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、基材が剥離フィルムの場合には、通常20〜150μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、粘着剤層との密着性を向上させる観点から、基材101の塗布層が形成される面側に表面処理を施してあることも好ましい。
このような表面処理としては、例えば、プライマー処理、コロナ処理、火炎処理、ケン化処理などが挙げられるが、特に、プライマー処理であることが好ましい。
この理由は、このようなプライマー層を形成した基材を用いることにより、基材を傷めることなく、粘着剤層との密着性を向上させることができるためである。
なお、このようなプライマー層を構成する材料としては、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースニトレート、およびそれらの組み合わせ)、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
また、プライマー層の厚さについても、特に限定されないが、通常、0.05μm〜10μmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、最終的に得られた粘着シートを被着体に貼合する方法としては、図3(c)〜(d)に示すように、まず、粘着剤層10に積層してある剥離フィルム2を剥離し、次いで、現れた粘着剤層10の表面を、被着体に対して密着させることにより貼合することが好ましい。
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.粘着剤組成物の調製
下記(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部と、(B)成分としてのシランカップリング剤0.05重量部と、(C)成分としての架橋剤0.15重量部と、から粘着剤組成物を調製した。
なお、表1中の数値は、固形分換算された値を示す。
また、表1中、単量体成分の配合量は、単量体成分全体を100重量部とした場合の重量部を意味し、カッコ内の値は、単量体成分(a)としてのアクリル酸n−ブチル(BA)を100重量部とした場合の重量部を意味する。
さらに、(B)成分としてのシランカップリング剤および(C)成分としての架橋剤の含有量は、(A)成分を100重量部とした場合の重量部を意味する。
(1)(A)成分について
窒素雰囲気下において、容器内に、単量体成分(a)としてのアクリル酸n−ブチル(BA)99重量部と、単量体成分(b)としてのアクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)1重量部と、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.3重量部と、酢酸エチル150重量部とを、収容した。
次いで、60℃、8時間の条件で重合させ、(A)成分としての重量平均分子量180万の(メタ)アクリル酸エステル重合体の酢酸エチル溶液を得た。
なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下、GPC法と略記する。)にて測定した。
すなわち、まず、ポリスチレンを用いて検量線を作成した。以降、重量平均分子量は、ポリスチレン換算値で表す。次いで、(メタ)アクリル酸エステル重合体等の測定対象の濃度が1重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液を準備し、東ソー(株)製、GEL PER MEATION CHROMATOGRAPH HLC−8020(TSKGEL GMHXL、TSKGEL GMHXL、TSKGEL G2000HXLからなる3連カラム)にて40℃、THF溶媒、1ml/分の条件にて重量平均分子量を測定した。そして、ガードカラムとして、東ソー(株)製、TSK GUARD COLUMNを使用した。
(2)(B)成分について
得られた(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体溶液の固形分100重量部に対して、(B)成分としての下記式(4)で表わされるシランカップリング剤I(信越化学(株)製)を0.05重量部添加した。
(3)(C)成分について
さらに、得られた(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体溶液の固形分100重量部に対して、(C)成分としてのイソシアナート系架橋剤(トリメチロールプロパンへのキシリレンジイソシアナート3モル付加物)(綜研化学(株)製、固形分75重量%、酢酸エチル溶液)を、上述した(B)成分の添加と同時に、固形分換算で0.15重量部添加した。
次いで、均一に混合し、固形分濃度が20重量%となるように酢酸エチルにて希釈し、粘着剤組成物溶液を得た。
2.粘着剤組成物溶液の塗布
次いで、剥離フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET3811)の剥離処理面に対し、得られた粘着剤組成物溶液を、乾燥後の厚さが25μmになるように、ナイフ式塗工機を用いて塗布し塗布層を形成した。
次いで、得られた塗布層に対し、90℃で1分間乾燥処理を施した後、厚さ180μmの偏光板と貼り合わせ、オートクレーブにて23℃、0.5MPaの条件下にて20分間加圧し、粘着剤組成物の塗布層と、偏光板と、からなる積層体を得た。
3.粘着剤組成物のシーズニング
次いで、得られた積層体を、23℃、50%RHの条件下に12日間放置(シーズニング)し、粘着剤組成物を十分に架橋させ、実施例1の粘着剤層付き偏光板を得た。
4.評価
(1)粘着力の評価
被着体へ貼合してから、1日後および21日後における粘着剤層付き偏光板における粘着力をそれぞれ測定した。
すなわち、裁断装置(荻野製作所(株)製、スーパーカッター)を用いて、得られた粘着剤層付き偏光板を幅25mm×長さ100mmの大きさに裁断して、測定サンプルとした。
次いで、得られた測定サンプルから剥離フィルムを剥離した後、無アルカリガラス(コーニング(株)製、イーグルXG)に貼合した。
次いで、測定サンプルが貼合された無アルカリガラスを、オートクレーブ(栗原製作所(株)製)に投入し、0.5MPa、50℃の条件で20分間加圧した後、23℃、50%RHの条件下に、1日の間、放置した。
次いで、測定サンプルにつき、引っ張り試験機(オリエンテック(株)製、テンシロン)を用いて、下記条件にて、粘着力を測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
剥離速度:300mm/分
剥離角度:180°
◎:粘着力の値が3.5を超えて、5.5N/25mm以下の値である。
○:粘着力の値が2.5を超えて、3.5N/25mm以下の値であるか、または、5.5を超えて、8.0N/25mm以下の値である。
△:粘着力の値が1.0を超えて、2.5N/25mm以下の値であるか、または、8.0を超えて、10.0N/25mm以下の値である。
×:粘着力の値が1.0N/25mm以下の値であるか、または、10.0N/25mmを超えた値である。
また、同様にして、測定サンプルを無アルカリガラスへ貼合した後、23℃、50%RHの条件下に、21日(504時間)放置した場合の粘着力を測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:粘着力の値が4.0を超えて、20N/25mm以下の値である。
×:粘着力の値が4.0N/25mm以下の値であるか、または、20N/25mmを超えた値である。
(2)耐久性の評価
所定条件下における粘着剤層付き偏光板の耐久性を評価した。
すなわち、裁断装置(荻野製作所(株)製、スーパーカッター)を用いて、得られた粘着剤層付き偏光板を233mm×309mmの大きさに裁断して測定サンプルとした。
次いで、得られた測定サンプルから剥離フィルムを剥離した後、無アルカリガラス(コーニング(株)製、イーグルXG)に貼合した。
次いで、測定サンプルが貼合された無アルカリガラスを、オートクレーブ(栗原製作所(株)製)に投入し、0.5MPa、50℃の条件で20分間加圧した後、乾燥下80℃、60℃/90%RH、およびヒートショック(HS)条件(1サイクルが−35℃(30分)/70℃(30分))の各耐久条件下に投入後、500時間放置した。
次いで、測定サンプルの状態について、10倍ルーペを用いて観察を行い、下記基準に沿って、耐久性を評価した。得られた結果を表1に示す。
相対値8:偏光板の浮き剥がれが全くない。
相対値6:端部から2mm以上の浮きがない。
相対値4:端部から2〜10mmの浮きがある。
相対値2:端部から10mmを超える浮きがある、または、少なくとも1つの角部全体が浮いている。
(3)ゲル分率の評価
粘着剤組成物のゲル分率を評価した。
すなわち、上述した「2.粘着剤組成物の塗布」の工程にしたがって、剥離フィルムの剥離層上に粘着剤組成物を塗布し、90℃で1分間加熱処理を施した後、偏光板に替えて、別の剥離フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET3801)を、その剥離層が接するように、塗布層に対して貼り合わせた。
次いで、粘着剤層付き偏光板を得たときと同様の条件でシーズニングすることにより粘着シートを得た。
次いで、得られた粘着シートの両面の剥離フィルムを剥がし、約0.1gの粘着剤組成物を取り出してテトロンメッシュ(#200)に包み、酢酸エチルを溶剤としたソックスレー抽出装置(東京ガラス器械(株)製、脂肪抽出器)による還流を用いて、粘着剤組成物の非ゲル分を抽出し、初期の質量との比よりゲル分率を算出した。得られた結果を表1に示す。
(4)ヘイズ値の評価
粘着剤層のヘイズ値を評価した。
すなわち、上述した「2.粘着剤組成物の塗布」の工程にしたがって、剥離フィルムの剥離層上に粘着剤組成物を塗布し、90℃で1分間加熱処理を施した後、偏光板に替えて、別の剥離フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET3801)を、その剥離層が接するように、塗布層に対して貼り合わせた。
次いで、粘着剤層付き偏光板を得たときと同様の条件でシーズニングすることにより粘着シートを得た。
次いで、得られた粘着シートの両面の剥離フィルムを剥がし、測定試料とし、得られた測定試料について、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業(株)製、NDH−2000)を用いて、JIS K 7105に準拠しながら、拡散透過率(Td%)および全光線透過率(Tt%)を測定し、下式(1)にてヘイズ値を算出した。得られた結果を表1に示す。
ヘイズ値=(Td/Tt)×100 (1)
(5)耐腐食性の評価
粘着剤組成物における金属に対する耐腐食性を評価した。
すなわち、ポリカーボネート板の表面に対し、スパッタ法により厚さが約50nmの銀合金薄膜を形成した。
次いで、得られた粘着剤層付き偏光板の剥離フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を、銀合金薄膜に対して貼り付け、評価試料とした。
次いで、得られた評価試料を、80℃、90%RHの恒温恒湿槽中に150時間放置した後、銀合金薄膜から粘着剤層付き偏光板を剥がし、共焦点式顕微鏡(対物レンズ:50倍)により銀合金薄膜の腐食状況を観察し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:腐食が認められなかった。
×:腐食が認められた。
[実施例2〜3]
実施例2〜3では、(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対し、それぞれ0.1重量部および0.2重量部としたほかは、実施例1と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4〜6]
実施例4〜6では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、下記式(5)で表わされるシランカップリング剤II(信越化学(株)製)に変えたほかは、それぞれ実施例1〜3と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7では、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合する際の単量体成分の配合比率を以下の通りにしたほかは、実施例5と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
(A)成分:BA/4HBA(98.5/1.5) Mw=180万
[実施例8]
実施例8では、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合する際の単量体成分の配合比率を以下の通りにしたほかは、実施例5と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
(A)成分:BA/4HBA(97/3) Mw=180万
[実施例9]
実施例9では、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合する際の単量体成分の配合比率を以下の通りにしたほかは、実施例5と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
(A)成分:BA/4HBA(95/5) Mw=180万
[実施例10〜12]
実施例10〜12では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、式(6)で表わされるシランカップリング剤III(信越化学(株)製)に変えたほかは、それぞれ実施例1〜3と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例13では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、式(4)で表わされるシランカップリング剤Iと、式(5)で表わされるシランカップリング剤IIとの組み合わせとするとともに、それぞれの添加量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.025重量部としたほかは、実施例1と同様に粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、(B)成分としてのシランカップリング剤を添加しなかったほかは、実施例1と同様に粘着剤層付き偏光板を作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合する際の単量体成分の配合比率を以下の通りにするとともに、(B)成分としてのシランカップリング剤を添加しなかったほかは、実施例1と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
(A)成分:BA/4HBA/AA(98/1/1) Mw=180
[比較例3〜5]
比較例3〜5では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、下記式(9)で表わされるシランカップリング剤IV(信越化学(株)製)に変えたほかは、それぞれ実施例1〜3と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例6〜8]
比較例6〜8では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、下記式(8)で表わされるシランカップリング剤V(信越化学(株)製)に変えたほかは、それぞれ実施例1〜3と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例9〜11]
比較例9〜11では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、下記式(10)で表わされるシランカップリング剤VI(信越化学(株)製)に変えたほかは、それぞれ実施例1〜3と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例12〜14]
比較例12〜14では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、下記式(11)で表わされるシランカップリング剤VII(信越化学(株)製)に変えたほかは、それぞれ実施例1〜3と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例15〜17]
比較例15〜17では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、下記式(7)で表わされるシランカップリング剤VIII(信越化学(株)製)に変えたほかは、それぞれ実施例1〜3と同様に、粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例18]
比較例18では、(B)成分としてのシランカップリング剤の種類を、式(9)で表わされるシランカップリング剤IVと、式(7)で表わされるシランカップリング剤VIIIとの組み合わせとするとともに、それぞれの添加量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.025重量部としたほかは、実施例1と同様に粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例19]
比較例19では、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合する際の単量体成分の配合比率を以下の通りにしたほかは、実施例1と同様に粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
(A)成分:BA(100) Mw=180
[比較例20]
比較例20では、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合する際の単量体成分の配合比率を以下の通りにしたほかは、実施例1と同様に粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
(A)成分:BA/4HBA(88/12) Mw=180
[比較例21]
比較例21では、(B)成分としてのシランカップリング剤の添加量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、1.2重量部としたほかは、実施例1と同様に粘着剤層付き偏光板を作成して、評価した。得られた結果を表1に示す。
以上、詳述したように、本発明によれば、所定量の水酸基を有する一方で、カルボキシル基を実質的に含まない所定の(メタ)アクリル酸エステル重合体に対し、特定構造を有するシランカップリング剤を、所定割合で含有させることにより、リワーク性および所定環境下における耐久性に優れるとともに、金属に対する耐腐食性に優れた粘着剤組成物が得られるようになった。
したがって、本発明の粘着剤組成物等は、液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等の光学フィルムをはじめとした各種フィルムの高品質化に、著しく寄与することが期待される。
1:粘着剤組成物の塗布層、2:剥離フィルム、10:粘着剤層、100:粘着シート、101:基材、200:被着体

Claims (9)

  1. (A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としてのシランカップリング剤と、を含む粘着剤組成物であって、
    前記(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、単量体成分としての下記(a)〜(c)成分に由来した重合体であるとともに、
    前記(B)成分としてのシランカップリング剤が、下記一般式(1)で表わされる化合物、および、下記一般式(2)で表わされる化合物、あるいはいずれか一方を含み、
    前記(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を、前記(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすることを特徴とする粘着剤組成物。
    (a)アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル:100重量部
    (b)分子内に水酸基を有するビニル化合物:0.5〜10重量部
    (c)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物:0重量部または0〜0.5重量部(但し、0重量部は含まない。)

    (一般式(1)中、R1は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、Xは2位が硫黄原子、窒素原子またはカルボニル炭素である環状化合物であり、aは1〜3の整数であり、bは3−aとなる整数であり、cは1〜6の整数である。)

    (一般式(2)中、R3は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R4は炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは1位が窒素原子であり、2位が硫黄原子、窒素原子またはカルボニル炭素である環状化合物であり、dは1〜3の整数であり、eは3−dとなる整数であり、fは1〜6の整数である。)
  2. 前記一般式(1)中、Xが、硫黄原子と2位で結合するチアゾール環であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記一般式(2)中、Yが、酸素原子と1位で結合するピロリジン2,5−ジオン環またはイソインドリン−1,3−ジオン環であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記(B)成分としてのシランカップリング剤が、前記一般式(1)で表わされる化合物単独、前記一般式(2)で表わされる化合物単独、あるいは前記一般式(1)および(2)で表わされる化合物の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記(B)成分としてのシランカップリング剤が、前記一般式(1)および(2)で表わされる化合物の組み合わせを含む場合に、前記一般式(2)で表わされる化合物の含有量を、前記一般式(1)で表わされる化合物100重量部に対して、50〜150重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  6. (C)成分として、架橋剤を含むとともに、その含有量を、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  7. 基材上に、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体と、(B)成分としてのシランカップリング剤と、を含む粘着剤組成物を粘着剤層として備えた粘着シートであって、
    前記(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体が、単量体成分としての下記(a)〜(c)成分に由来した重合体であって、
    前記(B)成分としてのシランカップリング剤が、前記一般式(1)で表わされる化合物、および、前記一般式(2)で表わされる化合物、あるいはいずれか一方を含み、
    前記(B)成分としてのシランカップリング剤の含有量を、前記(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲内の値とすることを特徴とする粘着シート。
    (a)アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル:100重量部
    (b)分子内に水酸基を有するビニル化合物:0.5〜10重量部
    (c)分子内にカルボキシル基を有するビニル化合物:0重量部または0〜0.5重量部(但し、0重量部は含まない。)
  8. 前記基材が、光学フィルムであるとともに、当該光学フィルムの少なくとも一方に、前記粘着剤層を備えることを特徴とする請求項7に記載の粘着シート。
  9. 前記基材が、剥離フィルムであるとともに、前記粘着剤層における当該剥離フィルムの反対面に対し、別の剥離フィルムを積層してなることを特徴とする請求項7に記載の粘着シート。
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