JP2012041397A - 樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネートと、セルロース樹脂と、樹脂の側鎖にオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物とを含む樹脂組成物である。
【選択図】なし
Description
本発明の実施形態に係る樹脂組成物は、ポリカーボネートと、セルロース樹脂と、樹脂の側鎖にオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物(以下、単に「オキサゾリン化合物」と呼ぶ場合がある。)とを含む。ポリカーボネートおよびセルロース樹脂に加えて、相溶化剤としてオキサゾリン化合物を含むことにより、オキサゾリン化合物のオキサゾリン環が開環してセルロース樹脂のヒドロキシル基と反応し、その反応体のオキサゾリン化合物に由来する樹脂部分とポリカーボネートとが相溶して、樹脂組成物全体の相溶性が向上すると考えられる。そのため、本実施形態に係る樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体の耐衝撃性が向上する。また、樹脂成形体の乱反射が少なくなり、真珠状の光沢等が少なくなる。さらには樹脂組成物の流動性が向上する。特に、相溶化剤としてエポキシ樹脂を用いた場合に比べて、樹脂成形体の耐衝撃性が向上する。
ポリカーボネートは、1つまたは複数のモノマの重縮合で得られ、少なくとも一つのカーボネート基を有するポリマであればよく、特に限定されない。例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネート、ビスフェノールS型ポリカーボネート、ビフェニル型ポリカーボネート等の芳香族ポリカーボネートが挙げられる。
本実施形態において、セルロース樹脂とは、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物であり、原料綿は、綿花リンタ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などの天然セルロースはもとより、微結晶セルロースなど木材パルプを酸加水分解して得られる重合度の低い(重合度100以上300以下)セルロースを使用してもよく、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や、発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)および「セルロースの事典(523頁)」(セルロース学会編、朝倉書店、2000年発行)に記載のセルロースを用いればよく、特に限定されるものではない。水酸基の部分はエステル化されていてもよく、エステル化により導入されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、イソバレル基、2−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2−メチルバレル基、3−メチルバレル基、4−メチルバレル基、2−プロピルペンチル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルー2−ペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2−オクチイル基などが挙げられ、これらの基はさらに置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基である。また、分岐構造を含む脂肪族アシル基、具体例としては、2−メチルブタノイル基、イソバレリル基、2−エチルブタノイル基、t−ブチルアセチル基、2−メチルバレリル基、3−メチルバレリル基、4−メチルバレリル基、2−プロピルペンタノイル基、2−メチルヘキサノイル基、2−エチルヘキサノイル基、イソステアロイル基、チグリノイル基、3,3−ジメチルアクリル基、2−メチル−2−ペンテノイル基、シトロネリル基などが挙げられる。これらの中でも好ましくはt−ブチルアセチル基、2−メチルバレリル基、3−メチルバレリル基、4−メチルバレリル基、2−プロピルペンタノイル基、2−メチルヘキサノイル基、2−エチルブタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、イソステアロイル基、チグリノイル基、3,3−ジメチルアクリル基、2−メチル−2−ペンテノイル基、シトロネリル基などが挙げられる。より好ましくは、t−ブチルアセチル基、2−メチルバレリル基、3−メチルバレリル基、4−メチルバレリル基、2−プロピルペンタノイル基、2−メチルヘキサノイル基、2−エチルブタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、イソステアロイル基、シトロネリル基である。
オキサゾリン化合物としては、樹脂の側鎖にオキサゾリン基を有する高分子オキサゾリン化合物であればよく、特に制限はない。樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチル樹脂等のアクリル系樹脂、スチレン樹脂等が挙げられ、相溶性等の点からアクリル系樹脂が好ましい。また、アクリルやスチレン等のコポリマにオキサゾリンが結合していてもよい。オキサゾリン基は、樹脂の主鎖に直接結合していてもよく、カルボン酸基等を介して結合していてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、難燃剤を含んでもよい。難燃剤を含むことにより、成形体にした場合に難燃性が向上する。難燃剤としては、一般にポリマの難燃剤として用いられるものを用いればよく、特に制限はない。例えば、特に制限されないが、ホウ酸系難燃助剤、アンモン系難燃助剤、その他の無機系難燃助剤、チッ素系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤およびコロイド系難燃助剤からなる群から少なくとも1種であることが好ましい。ホウ酸系難燃助剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛水和物、メタホウ酸バリウム、ほう砂などのホウ酸を含有する化合物が挙げられる。アンモン系難燃助剤としては、例えば、硫酸アンモニウム等のアンモニア化合物が挙げられる。その他無機系難燃助剤としては、例えば、フェロセンなどの酸化鉄系燃焼触媒、酸化チタンなどのチタンを含有する化合物、スルファミン酸グアニジンなどのグアニジン系化合物、さらに、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、錫系化合物、炭酸カリウムなどの炭酸塩化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸和金属およびその変性物が挙げられる。チッ素系難燃助剤としては、例えば、トリアジン環を有するシアヌレート化合物が挙げられる。その他の有機系難燃剤としては、例えば、無水クロレンド酸、無水フタル酸、ビスフェノールAを含有する化合物、グリシジルエーテルなどのグリシジル化合物、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、変性カルバミド、シリコーンオイル、オルガノシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられる。コロイド系難燃助剤としては、例えば、従来から使用されている難燃性を持つ水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水和金属化合物、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、カオリンクレーなどの水和物、硝酸ナトリウムなどの硝酸化合物、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、プロゴパイトなどの難燃性化合物のコロイドが挙げられる。有機系難燃剤の具体例としては、リン酸塩化合物、リン酸エステル化合物等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、強化剤、耐候剤、強化剤、加水分解防止剤等の添加剤、触媒等のその他の成分をさらに含有してもよい。これらのその他の成分の含有量は、樹脂組成物の固形分全量を基準として、それぞれ50質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、ポリカーボネートと、セルロース樹脂と、樹脂の側鎖にオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物と、必要に応じて、難燃剤や、その他の成分とを、混練して作製すればよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、例えば、上述した本実施形態に係る樹脂組成物を成形することにより得られる。例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形等の成形方法により成形して、本実施形態に係る樹脂成形体が得られる。コスト等の理由から、本実施形態に係る樹脂組成物を射出成形して得られたものであることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、機械的強度(耐衝撃性等)に優れたものになり得るため、電子・電気機器、家電製品、容器、自動車内装材などの用途に好適に用いられる。より具体的には、家電製品や電子・電気機器などの筐体、各種部品など、ラッピングフィルム、CD−ROMやDVDなどの収納ケース、食器類、食品トレイ、飲料ボトル、薬品ラップ材などであり、中でも、電子・電気機器の部品に好適である。電子・電気機器の部品は、複雑な形状を有しているものが多く、また重量物であるので、重量物とならない場合に比べて高い耐衝撃性が要求されるが、本実施形態に係る樹脂成形体によれば、このような要求特性が十分満足される。本実施形態に係る樹脂成形体は、特に、画像形成装置や複写機等の筐体に適している。
表1の実施例1から実施例15に示す組成を、2軸混練装置(東芝機械製、TEM58SS)にて、シリンダ温度230℃で混練し、樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機(日精樹脂工業製、NEX150)にて、シリンダ温度220℃、金型温度50℃で、ISO多目的ダンベル試験片(ISO527引張試験、ISO178曲げ試験に対応)(試験部厚さ4mm、幅10mm)と、UL−94におけるVテスト用UL試験片(厚さ:1.6mm)を成形した。
表2の比較例1から比較例12に示す組成を、実施例と同様に樹脂組成物ペレットを得て、射出成形を実施し、試験片を得た。
得られた試験片を用いて、下記各測定・評価を行った。表1,2に結果を示す。
UL−94におけるVテスト用UL試験片(厚さ1.6mm)を用い、ガスバーナーの炎を当てた試験片の燃焼の程度により、その等級を調べた。なお、燃焼試験の結果は、V−0、V−1、V−2、HBの順で高いレベルである。
ISO多目的ダンベル試験片をノッチ加工したものを用い、JIS K7111に準拠して、デジタル衝撃試験機(東洋精機製、DG−5)により、持ち上げ角度150度、使用ハンマ2.0J、測定数n=10の条件で、MD方向にシャルピー衝撃強度を測定した。シャルピー衝撃強度は、数値が大きい程、耐衝撃性に優れていることを示す(単位:J/cm)。評価基準を以下に示す。
◎:10J/cm以上、またはNB(No Break:破壊なし)
○:5J/cm以上
△:3.5J/cm以上
×:3.5J/cm未満
JIS K7210に規定される流動性(メルトマスフローレート)を測定した(単位:g/10min)。評価基準を以下に示す。
◎:10g/10min以上
○:5g/10min以上10g/10min未満
×:5g/10min未満
Claims (6)
- ポリカーボネートと、セルロース樹脂と、樹脂の側鎖にオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネートの含有量は、前記セルロース樹脂の含有量に対して50質量%以上200質量%以下の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記オキサゾリン化合物の含有量は、前記セルロース樹脂の含有量に対して1質量%以上10質量%以下の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- ポリカーボネートと、セルロース樹脂と、樹脂の側鎖にオキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物とを含む樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体において、前記ポリカーボネートの含有量は、前記セルロース樹脂の含有量に対して50質量%以上200質量%以下の範囲であることを特徴とする、請求項4に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体において、前記オキサゾリン化合物の含有量は、前記セルロース樹脂の含有量に対して1質量%以上10質量%以下の範囲であることを特徴とする、請求項4または5に記載の樹脂成形体。
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