JP2012041373A - プレス成形用脱膜型プレコートアルミニウム用塗料およびアルミニウム合金塗装板 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレス成形性に優れ、且つ、プレス成形後の処理が容易なプレコートアルミニウム合金板を提供すること。
【解決手段】アルミニウム合金板よりなる基板の少なくとも一方の面を被覆する塗料と、塗料を塗装して焼付け硬化することからなるプレコートアルミニウム合金塗装板である。塗料を構成する有機樹脂として、ガラス転移点が70℃以上であり、酸価50mgKOH/g以上、分子量20000〜100000、中和剤として水酸化ナトリウム、もしくは水酸化カリウム、アンモニア、アミンから選ばれる1種以上2を含む水溶性アクリル樹脂を含み、分散剤として沸点70℃以上のアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類から選ばれる1種以上を含む。塗膜は、pH8以上のアルカリ水溶液に接触させることによって基板から除去可能である。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウム合金板よりなる基板の少なくとも一方の面を被覆する塗料と、塗料を塗装して焼付け硬化することからなるプレコートアルミニウム合金塗装板である。塗料を構成する有機樹脂として、ガラス転移点が70℃以上であり、酸価50mgKOH/g以上、分子量20000〜100000、中和剤として水酸化ナトリウム、もしくは水酸化カリウム、アンモニア、アミンから選ばれる1種以上2を含む水溶性アクリル樹脂を含み、分散剤として沸点70℃以上のアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類から選ばれる1種以上を含む。塗膜は、pH8以上のアルカリ水溶液に接触させることによって基板から除去可能である。
【選択図】なし
Description
本発明は、プレス成形性及び脱膜性に優れたプレコートアルミニウム合金板に関する。
電子機器筐体は、小型化、軽量化、及び高意匠性等の観点から、その素材が鋼からアルミニウム合金に変わりつつある。特に、デジタルカメラの筐体の大半はアルミニウム合金筐体よりなっている。このような電子機器筐体は、まず、アルミニウム合金板に潤滑油を塗油し、プレス成形した後、溶剤洗浄、アルカリ洗浄又は酸洗浄後、アルマイト処理が施されて製造される。
最近では、電子機器の小型化、軽量化、高意匠性、及び形状の複雑化から、電子機器筐体の製造において、高強度のアルミニウム合金を用いながらも複雑な加工を可能とする高成形性が望まれ、また、低コスト化、環境改善が強く望まれている。
最近では、電子機器の小型化、軽量化、高意匠性、及び形状の複雑化から、電子機器筐体の製造において、高強度のアルミニウム合金を用いながらも複雑な加工を可能とする高成形性が望まれ、また、低コスト化、環境改善が強く望まれている。
高成形性については、アルミニウム合金成分及びプロセス条件の見直し等による、材料特性からの改善には限界がある。
そこで、プレス成形に供する潤滑油の高粘度化、油性の向上、あるいは潤滑油量を増やすという方法がある。しかしながら、潤滑油の高粘度化や、油性を高めると、成形後の油の除去がし難くなり、結果として、次工程での洗浄を強める必要があり、製造コストの増大や洗浄時間が長くなる等、生産効率を悪化させる。
そこで、プレス成形に供する潤滑油の高粘度化、油性の向上、あるいは潤滑油量を増やすという方法がある。しかしながら、潤滑油の高粘度化や、油性を高めると、成形後の油の除去がし難くなり、結果として、次工程での洗浄を強める必要があり、製造コストの増大や洗浄時間が長くなる等、生産効率を悪化させる。
また、生産歩留まりの向上や、潤滑油や洗浄液等の使用量を抑えることによる低コスト化が望まれている。プレス成形時の潤滑性は歩留まりを左右するため、プレス成形時には、安定した高潤滑性が強く望まれる。さらに、環境改善の観点から、現在使用している潤滑油や洗浄を極力なくす方向が望まれている。なお、潤滑性を高めたアルミニウム合金板としては、例えば、固体潤滑材を塗布したものがある(特許文献1)。
本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたもので、プレス成形性に優れ、且つ、プレス成形後の処理が容易なプレコートアルミニウム合金用塗料および塗装板を提供しようとするものである。このような塗料を用いた場合、プレス加工後に脱膜することで容易にアルマイト、塗装および任意の表面処理を行うことができる。
第1の発明は、プレス成形用アルミニウムおよびアルミニウム合金板に塗装して焼付け硬化させる塗料であって、主成分は、ガラス転移点70℃以上、酸価50mgKOH/g以上、数平均分子量20000〜100000の水溶性アクリル樹脂であり、
中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミンから選ばれる1種乃至2種以上を含有し、分散剤として、沸点70℃以上のアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類から1種乃至2種以上を含有し、滑剤として、カルナウバと粒径1〜120μmであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、シリカ、ウレタン、アクリルあるいはポリエステル(PE)製の樹脂ビーズを1種あるいは2種を含有し、焼付け硬化後には、pH8以上のアルカリ水溶液に接触させることによって、アルミニウム合金板から除去可能であることを特徴とする塗料である。(請求項1)
中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミンから選ばれる1種乃至2種以上を含有し、分散剤として、沸点70℃以上のアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類から1種乃至2種以上を含有し、滑剤として、カルナウバと粒径1〜120μmであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、シリカ、ウレタン、アクリルあるいはポリエステル(PE)製の樹脂ビーズを1種あるいは2種を含有し、焼付け硬化後には、pH8以上のアルカリ水溶液に接触させることによって、アルミニウム合金板から除去可能であることを特徴とする塗料である。(請求項1)
上記塗料は、アルミニウム合金板よりなる基板に塗布して焼付け硬化させることにより、アルミニウム合金塗装板となる。そして、この塗料を構成する有機樹脂として、上記特定の水溶性アクリル樹脂を含有することにより、上記アルミニウム合金塗装板をpH8以上のアルカリ水溶液に接触させた場合に上記基板から除去可能な構成にしてある。それ故、上記プレコートアルミニウム合金板は、プレス成形性に優れ、且つ、プレス成形後の処理が容易なものとなる。
すなわち、上記塗料に含まれる上記水溶性アクリル樹脂は、ガラス転移点が70℃以上である。これにより、プレス加工等の成形時に優れた成形性が得られる。上記ガラス転移点が70℃未満の場合には、実プレス時に工具温度が上昇することによって、十分な成形性が得られないという問題がある。
また、上記水溶性アクリル樹脂の酸価、すなわち、上記水溶性アクリル樹脂に含まれるカルボキシル基の量を示す酸価が50mgKOH/g以上であり、かつ、上記中和剤を含有する。これにより、この水溶性アクリル樹脂を含む上記塗膜は、pH8以上のアルカリ水溶液に接触させることによって上記基板から容易に除去可能となる。上記水溶性アクリル樹脂の酸価が50mgKOH/g未満の場合又は上記中和剤を含有しない場合には、pH8以上のアルカリ水溶液への接触による上記塗膜の基板からの除去(脱膜)が、十分に行えなくなるという問題がある。
また、上記水溶性アクリル樹脂は、分子量20000〜100000とする。分子量が20000未満の場合には、密着性が向上する場合があるが、成形性が劣るという問題があり、一方、100000を超える場合には、成形性が向上する場合があるが、密着性が劣り、さらに脱膜が難しくなるという問題がある。
また、上記塗料にふくまれる分散剤としては、沸点70℃以上のアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類から1種乃至2種以上を選択する。沸点が70℃より低い分散剤では、上記水溶性アクリル樹脂を均一に分散させることが困難であり、上記基板との密着性が低下する。
なお、上記分散剤は、沸点が120℃以上であることがさらに望ましい。この場合には、上記塗膜と上記基板との密着性がさらに向上する。
また、上記塗料にふくまれる分散剤としては、沸点70℃以上のアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類から1種乃至2種以上を選択する。沸点が70℃より低い分散剤では、上記水溶性アクリル樹脂を均一に分散させることが困難であり、上記基板との密着性が低下する。
なお、上記分散剤は、沸点が120℃以上であることがさらに望ましい。この場合には、上記塗膜と上記基板との密着性がさらに向上する。
上記塗料中に、含まれる分散剤は、上記水溶性アクリル樹脂100重量部に対し、5から50重量部含有することが望ましい。
含有量が5重量部よりも少ない場合には、上記樹脂の分散性が低下し、焼付けて塗膜とした場合の密着性が低下し、耐疵付き性が低下する。
含有量が50重量部を超える場合には、相対的に塗料中の樹脂分が低下し、必要な塗膜厚さを塗布することが難しく、また発泡などの塗装上の問題が発生するため、焼付けて塗膜とした場合の密着性および耐疵付き性が低下する。
含有量が5重量部よりも少ない場合には、上記樹脂の分散性が低下し、焼付けて塗膜とした場合の密着性が低下し、耐疵付き性が低下する。
含有量が50重量部を超える場合には、相対的に塗料中の樹脂分が低下し、必要な塗膜厚さを塗布することが難しく、また発泡などの塗装上の問題が発生するため、焼付けて塗膜とした場合の密着性および耐疵付き性が低下する。
そして、本発明では、上記のごとく容易に除去可能な塗膜によってプレス加工時の潤滑性を確保することができるので、別途潤滑剤を準備したり、その洗浄を行う必要がほとんどない。さらに、本発明の塗膜とアルミニウム合金板の密着性は極めて良好であり、密着性を付与するための下地処理層はその必要がない。よって低コスト化、環境改善の観点で優れている。
第2の発明は、アルミニウム合金板のプレス成形品を製造する方法において、加工穴を有するダイスと、上記加工穴に挿入可能なパンチとを用い、プレコートアルミニウム合金塗装板の上記塗膜が形成された面を上記ダイス側に位置させてプレス加工することによりプレス成形品を成形するプレス工程と、上記プレス成形品をpH8以上のアルカリ水溶液と接触させて上記基板から上記塗膜を除去する脱膜工程とを有することを特徴とするプレス成形品の製造方法である。(請求項4)
この製造方法は、上記第1の発明の優れたプレコートアルミニウム合金板を用いたうえで、少なくとも、上記のプレス工程と脱膜工程とを実施する。これにより、意匠性に優れたプレス成形品を得ることができる。
すなわち、上記プレス工程では、上記のごとく、プレコートアルミニウム合金板の上記塗膜が形成された面を上記ダイス側に位置させてプレス加工する。この場合には、ダイスとプレコートアルミニウム合金板とが接する側に潤滑性に優れた上記の塗膜が配置されるため、たとえ加工度の高い成形を行ってもかじり等の不良のない優れたプレス成形性が得られる。そのため、プレス成形時の歩留まりを向上させることができる。
すなわち、上記プレス工程では、上記のごとく、プレコートアルミニウム合金板の上記塗膜が形成された面を上記ダイス側に位置させてプレス加工する。この場合には、ダイスとプレコートアルミニウム合金板とが接する側に潤滑性に優れた上記の塗膜が配置されるため、たとえ加工度の高い成形を行ってもかじり等の不良のない優れたプレス成形性が得られる。そのため、プレス成形時の歩留まりを向上させることができる。
また、上記プレス工程の後には、上記脱膜工程を行う。この脱膜工程では、プレス成形品をpH8以上のアルカリ水溶液と接触させる。ここで、上記素材としてのプレコートアルミニウム合金板は、上記塗膜として、上記水溶性アクリル樹脂を含み、pH8以上のアルカリ水溶液に接触させることによって上記基板から除去可能であるものを積極的に採用している。そのため、この脱膜工程を実施することによって、上記基板から上記塗膜を除去して脱膜することができる。これにより、上記塗膜を除去して基板が露出したプレス成形品を容易に得ることができると共に、その表面は、上記塗膜によって保護していたので、傷のない非常に意匠性に優れたものとなる。それ故、その後、アルマイト処理等を実施しても、意匠性の高いものとなる。
また、上記のごとく、特殊な塗膜を有する素材を用いてプレス工程を行った後、上記脱膜工程によって非常に容易に脱膜することができるので、別途潤滑剤を準備したり、その洗浄を行う必要がなく、低コスト化、環境改善を図ることもできる。
また、上記のごとく、特殊な塗膜を有する素材を用いてプレス工程を行った後、上記脱膜工程によって非常に容易に脱膜することができるので、別途潤滑剤を準備したり、その洗浄を行う必要がなく、低コスト化、環境改善を図ることもできる。
また、上記塗膜には、粒径1〜120μmの粒径を有する樹脂ビーズが、上記塗膜100重量部に対して1〜100重量部含有されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、成形時の耐傷つき性が向上し、プレス成形されるまでのハンドリング傷が抑えられ、歩留まりの向上に効果がある。
この場合には、成形時の耐傷つき性が向上し、プレス成形されるまでのハンドリング傷が抑えられ、歩留まりの向上に効果がある。
樹脂ビーズの粒径が1重量部以下の場合には、樹脂ビーズを添加することによる効果が認められず、また、100重量部を超える場合には、効果に変化が見られなくなり、コストが増大する。
樹脂ビーズの粒径が上記有機樹脂皮膜の1倍未満になる場合には、有機樹脂皮膜から樹脂ビーズが頭を出さず効果が小さくなる。また、3倍を超える場合には、有機樹脂皮膜が樹脂ビーズをトラップし難くなり、樹脂ビーズが脱落しやすくなるという問題がある。
樹脂ビーズの粒径が上記有機樹脂皮膜の1倍未満になる場合には、有機樹脂皮膜から樹脂ビーズが頭を出さず効果が小さくなる。また、3倍を超える場合には、有機樹脂皮膜が樹脂ビーズをトラップし難くなり、樹脂ビーズが脱落しやすくなるという問題がある。
本発明のプレコートアルミニウム合金板においては、上記塗膜は、カルナウバを含有してなり、該カルナウバの含有量は、0.1重量%〜30重量%であり、上記塗膜の厚みは、0.1μm〜30μmであることが望ましい。(請求項3)
すなわち、上記塗膜に対して、上記カルナウバを0.1重量%〜30重量%含有させることが好ましい。この場合には、プレス成形時に極めて優れた潤滑性を示す。
カルナウバの含有量が0.1重量%未満の場合には、カルナウバによる潤滑性向上効果が十分に得られないという問題がある。また、30重量%を超える場合には、脱膜工程で塗膜が充分に除去されないおそれがあるという問題がある。
カルナウバの含有量が0.1重量%未満の場合には、カルナウバによる潤滑性向上効果が十分に得られないという問題がある。また、30重量%を超える場合には、脱膜工程で塗膜が充分に除去されないおそれがあるという問題がある。
また、上記塗膜の厚みは、0.1μm〜30μmであることが好ましい。膜厚が0.1μm未満の場合には、アルミニウム合金板の表面の粗さのために均一に被覆することができない。また、30μmを超える場合には、膜形成が困難になり、また、脱膜性が劣るという問題がある。
また、上記アルカリ水溶液は水酸化ナトリウムであることが好ましい。
この場合には、工業製品として入手が容易であり、かつ比較的脱膜工程のコストが低くなるという効果が得られる。
また、上記アルカリ水溶液はpH8〜12であることがより好ましい。
上記アルカリ水溶液がpH8未満の場合には、塗膜を除去するのに必要な時間が長くなるおそれがあり、一方pH12を超える場合には、塗膜が除去された後のアルミニウム合金板表面が必要以上に溶解するおそれがある。
この場合には、工業製品として入手が容易であり、かつ比較的脱膜工程のコストが低くなるという効果が得られる。
また、上記アルカリ水溶液はpH8〜12であることがより好ましい。
上記アルカリ水溶液がpH8未満の場合には、塗膜を除去するのに必要な時間が長くなるおそれがあり、一方pH12を超える場合には、塗膜が除去された後のアルミニウム合金板表面が必要以上に溶解するおそれがある。
また、上記塗膜は、上記アルカリ水溶液との接触時間4秒以内において上記基板から除去可能であることが好ましい。
この場合には、効率よく脱膜工程を実施することができ、より好ましくは、2秒以内がよい。接触時間が4秒を超える場合には、脱膜工程の効率化を図ることが難しい。
この場合には、効率よく脱膜工程を実施することができ、より好ましくは、2秒以内がよい。接触時間が4秒を超える場合には、脱膜工程の効率化を図ることが難しい。
また、上記塗膜を構成する有機樹脂は、上記水溶性アクリル樹脂の他に、さらに分子量800〜35000のポリアルキレングリコール、又はウレタン樹脂を、いわば添加樹脂として含有していることが好ましい。
この場合にも、上記塗膜をアルカリ水溶液によって容易に除去することができる。また、カルナウバをインナーワックスとして含油しやすいという効果も得られる。
この場合にも、上記塗膜をアルカリ水溶液によって容易に除去することができる。また、カルナウバをインナーワックスとして含油しやすいという効果も得られる。
上記有機樹脂として、上記水溶性アクリル樹脂に加えて、添加樹脂としてポリアルキレングリコーを含有させる場合には、分子量を800〜35000に限定する。分子量をが800未満の場合には、常態で固体皮膜を形成することが困難であり、また、35000を超える場合には、塗装や脱膜をし難くなるという問題がある。
添加樹脂をウレタン樹脂とする場合には、いかなる分子量でもよい。
添加樹脂をウレタン樹脂とする場合には、いかなる分子量でもよい。
また、上記塗膜の表面には、油性剤、極圧剤、及び固形潤滑剤から選ばれる1種以上を含む潤滑剤が塗布されていてもかまわない。
このような潤滑剤を塗布していなくても、上記の塗膜によって高い潤滑性が得られるが、上記油性剤、極圧剤、又は固形潤滑剤をさらに上記塗膜の表面に塗布した場合には、塗膜の潤滑性を更に向上することができ、極めて過酷な成形にも適用することができる。
このような潤滑剤を塗布していなくても、上記の塗膜によって高い潤滑性が得られるが、上記油性剤、極圧剤、又は固形潤滑剤をさらに上記塗膜の表面に塗布した場合には、塗膜の潤滑性を更に向上することができ、極めて過酷な成形にも適用することができる。
油性剤としては、例えば、ポリオールエステル、油脂、脂肪酸エステル、高級アルコール、高級脂肪酸、及びαオレフィン等がある。
また、極圧剤としては、例えば、塩素系、硫黄系、及びリン系等がある。環境の観点から、硫黄系、リン系がより好ましい。
固形潤滑剤としては、例えば、金属石鹸及びグリース等がある。
また、使用環境に応じて、金属に影響を及ぼす油であれば、いかなるものでもよい。
また、極圧剤としては、例えば、塩素系、硫黄系、及びリン系等がある。環境の観点から、硫黄系、リン系がより好ましい。
固形潤滑剤としては、例えば、金属石鹸及びグリース等がある。
また、使用環境に応じて、金属に影響を及ぼす油であれば、いかなるものでもよい。
また、脱膜後に塗装工程がある場合には、塗装後の塗膜密着性を得るために、あらかじめ、本発明の塗料と上記基材との間に下地処理層を形成してもかまわない。
上記下地処理層としては、リン酸クロメート、クロム酸クロメート等のクロメート処理、また、クロム化合物以外のリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸モリブデン、リン酸亜鉛などによるノンクロメート処理等の化成皮膜処理(化成処理)により得られる皮膜がある。
上記化成皮膜処理方法には、反応型及び塗布型等があるが、本発明においては、いずれの手法が採用されてもよい。
上記化成皮膜処理方法には、反応型及び塗布型等があるが、本発明においては、いずれの手法が採用されてもよい。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってのみ限定されるものではない。
本例では、本発明の実施例及び比較例として複数種類の試料(プレコートアルミニウム合金板)を作製しその特性を評価した。
本例では、本発明の実施例及び比較例として複数種類の試料(プレコートアルミニウム合金板)を作製しその特性を評価した。
各試料を製作するに当たっては、まず、基板として、調質がH24、厚さ0.8mmのA1050アルミニウム合金板を使用した。
また、上記基板に、アセトンを用いて脱脂処理を施した。
また、上記基板に、アセトンを用いて脱脂処理を施した。
塗装処理は、上記脱脂処理後の上記基板に対して、所定の塗料をバーコート法によって塗布し、温度250℃で2分間焼付け処理し、硬化することにより各塗膜を形成した。
また、各塗膜の作製にあたっては、有機樹脂(ベース樹脂又は添加樹脂)として、アクリル樹脂(AC)、ポリアルキレングリコール(AG)、及びウレタン樹脂(UR)を用い、アクリル樹脂の中和剤として、水酸化ナトリウム(SH)、アンモニア(AM)を用い、分散剤として、エタノール(E)、イソプロピルアルコール(I)、エチレングリコールモノブチルエーテル(B)、潤滑剤として、オレイン酸(OA)、オレイン酸メチル(OAM)、トリクレジルフォスフェート(TCP)、及びステアリン酸カルシウム(STCa)を用い、樹脂ビーズとして、ポリテトラフルオロエチレンを用いた。
これらの樹脂、分散剤、潤滑剤、樹脂ビーズ、及びカルナウバを表1、表2、表4に示す配合割合で混合し、塗膜を形成した。
また、各塗膜の作製にあたっては、有機樹脂(ベース樹脂又は添加樹脂)として、アクリル樹脂(AC)、ポリアルキレングリコール(AG)、及びウレタン樹脂(UR)を用い、アクリル樹脂の中和剤として、水酸化ナトリウム(SH)、アンモニア(AM)を用い、分散剤として、エタノール(E)、イソプロピルアルコール(I)、エチレングリコールモノブチルエーテル(B)、潤滑剤として、オレイン酸(OA)、オレイン酸メチル(OAM)、トリクレジルフォスフェート(TCP)、及びステアリン酸カルシウム(STCa)を用い、樹脂ビーズとして、ポリテトラフルオロエチレンを用いた。
これらの樹脂、分散剤、潤滑剤、樹脂ビーズ、及びカルナウバを表1、表2、表4に示す配合割合で混合し、塗膜を形成した。
本例では、各試料について、塗膜密着性、耐傷つき性、脱膜性、及び取り扱い性についての評価を実施した。
<塗膜密着性>
角頭ポンチの油圧深絞り成形試験機を用いて、高さ40mmに成形した。成型後の試験片側面の塗膜剥離状況を評価し、◎及び○を合格とした。
(加工条件)
試験片サイズ 25×250mm、ポンチサイズ 40mm×40mm、ポンチコーナー部 5R、しわ押え荷重 3.5kN、成形速度100mm/min
(評価基準)
◎:塗膜が剥離しない。○:加工部に幅1mm未満、長さ1mm以上40mm未満の塗膜剥離部が観察される。×:加工部に幅1mm以上、長さ1mm以上40mm未満の塗膜剥離が観察される。
<塗膜密着性>
角頭ポンチの油圧深絞り成形試験機を用いて、高さ40mmに成形した。成型後の試験片側面の塗膜剥離状況を評価し、◎及び○を合格とした。
(加工条件)
試験片サイズ 25×250mm、ポンチサイズ 40mm×40mm、ポンチコーナー部 5R、しわ押え荷重 3.5kN、成形速度100mm/min
(評価基準)
◎:塗膜が剥離しない。○:加工部に幅1mm未満、長さ1mm以上40mm未満の塗膜剥離部が観察される。×:加工部に幅1mm以上、長さ1mm以上40mm未満の塗膜剥離が観察される。
<耐傷つき性>
バウデン式摩擦試験にて、荷重100g、直径0.25インチの剛球を、試料の表面にて往復摺動させ、塗膜破れが発生するまでの摺動回数を評価し、◎、○、及び△を合格とした。
(評価基準)
◎:100回以上、○:75回以上100回未満、△:50回以上75回未満、×:50回未満
バウデン式摩擦試験にて、荷重100g、直径0.25インチの剛球を、試料の表面にて往復摺動させ、塗膜破れが発生するまでの摺動回数を評価し、◎、○、及び△を合格とした。
(評価基準)
◎:100回以上、○:75回以上100回未満、△:50回以上75回未満、×:50回未満
<脱膜性>
100mm×50mmの供試材を幅方向の中心で90°に曲げ、マグネチックスターラーで攪拌したアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液、液温60℃)中に浸漬した後、水洗いを行い、乾燥後の塗膜残存の有無を目視にて確認し、浸漬時間を評価した。◎及び○を合格とした。
(評価基準)
◎:2秒未満、○:2秒以上4秒未満、×:4秒以上
100mm×50mmの供試材を幅方向の中心で90°に曲げ、マグネチックスターラーで攪拌したアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液、液温60℃)中に浸漬した後、水洗いを行い、乾燥後の塗膜残存の有無を目視にて確認し、浸漬時間を評価した。◎及び○を合格とした。
(評価基準)
◎:2秒未満、○:2秒以上4秒未満、×:4秒以上
<取り扱い性>
100mm×50mmの供試材を10枚重ね、5kgの重りを載せ、30℃、湿度100%の条件で1週間放置した後、重りを外し、吸盤を用いて、上方から1枚ずつ剥離し、取り扱い性を評価した。○を合格とした。
(評価基準)
○:全て1枚ずつ剥離できた場合、×:2枚以上剥離された場合
評価の結果は、表3及び表5に示すとおりである。
100mm×50mmの供試材を10枚重ね、5kgの重りを載せ、30℃、湿度100%の条件で1週間放置した後、重りを外し、吸盤を用いて、上方から1枚ずつ剥離し、取り扱い性を評価した。○を合格とした。
(評価基準)
○:全て1枚ずつ剥離できた場合、×:2枚以上剥離された場合
評価の結果は、表3及び表5に示すとおりである。
表1〜表3より知られるごとく、試料E1〜試料E39は、成形性、耐傷つき性、脱膜性、取り扱い性という全ての評価項目において、いずれも良好な結果を示した。
表4及び表5より知られるごとく、試料C1は、水溶性アクリル樹脂の分子量が本発明の下限を下回るために、固体皮膜を形成し難く、成形性及び耐傷つき性が低下した。潤滑性を満足することができず、成形性が低下した。また、試料C2は、水溶性アクリル樹脂の分子量が本発明の上限を超えるために、塗膜中に、アルカリ水溶液が浸透し難くなるという理由で、脱膜性が低下した。
表4及び表5より知られるごとく、試料C1は、水溶性アクリル樹脂の分子量が本発明の下限を下回るために、固体皮膜を形成し難く、成形性及び耐傷つき性が低下した。潤滑性を満足することができず、成形性が低下した。また、試料C2は、水溶性アクリル樹脂の分子量が本発明の上限を超えるために、塗膜中に、アルカリ水溶液が浸透し難くなるという理由で、脱膜性が低下した。
試料C3は、樹脂ビーズの粒径が本発明の好ましい範囲の下限を下回るために、塗膜の多くを樹脂ビーズが覆い、アルカリ水溶液が反応し難くなり、脱膜性が低下した。また、試料C4は、樹脂ビーズの粒径が本発明の好ましい範囲の上限を超えるために、樹脂ビーズが脱落しやすく、耐傷つき性が低下した。
試料C5は、酸価が本発明の下限を下回るために、脱膜工程で塗膜が充分に除去されず、脱膜性が低下した。
資料C6は、中和剤を含有していないため、脱膜工程で塗膜が充分に除去されず、脱膜性が低下した。
試料C7は、ガラス転移点が本発明の下限を下回るため、実プレス時に工具温度が上昇し、密着性が低下した。
資料C8は、分散剤の沸点が本発明の下限を下回るため、塗膜とアルミニウム基材との密着性が低下した。
資料C6は、中和剤を含有していないため、脱膜工程で塗膜が充分に除去されず、脱膜性が低下した。
試料C7は、ガラス転移点が本発明の下限を下回るため、実プレス時に工具温度が上昇し、密着性が低下した。
資料C8は、分散剤の沸点が本発明の下限を下回るため、塗膜とアルミニウム基材との密着性が低下した。
Claims (5)
- プレス成形用アルミニウムおよびアルミニウム合金板に塗装して焼付け硬化させる塗料であって、
主成分は、ガラス転移点70℃以上、酸価50mgKOH/g以上、数平均分子量20000〜100000の水溶性アクリル樹脂であり、
中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミンから選ばれる1種乃至2種以上を含有し、
分散剤として、沸点70℃以上のアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類から1種乃至2種以上を含有し、
滑剤として、カルナウバと粒径1〜120μmである樹脂ビーズを含有し、
焼付け硬化後には、pH8以上のアルカリ水溶液に接触させることによって、アルミニウム合金板から除去可能であることを特徴とする塗料
- 上記塗料中に、上記分散剤を5から50重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の塗料
- 請求項1乃至2に記載の塗料を塗装したアルミニウム合金塗装板で、塗膜厚さは0.1〜30μmでありことを特徴とするアルミニウム合金塗装板。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記塗膜は、pH8以上のアルカリ水溶液との接触時間4秒以内において塗膜がアルミニウム合金板から除去可能であることを特徴とするプレコートアルミニウム合金塗装板。
- アルミニウム合金板のプレス成形品を製造する方法において、
加工穴を有するダイスと、上記加工穴に挿入可能なパンチとを用い、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプレコートアルミニウム合金板の上記塗膜が形成された面を上記ダイス側に位置させてプレス加工することによりプレス成形品を成形するプレス工程と、
上記プレス成形品をpH8以上のアルカリ水溶液と接触させて上記基板から上記塗膜を除去する脱膜工程とを有することを特徴とするプレス成形品の製造方法。
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JP2010180745A JP2012041373A (ja) | 2010-08-12 | 2010-08-12 | プレス成形用脱膜型プレコートアルミニウム用塗料およびアルミニウム合金塗装板 |
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JP2015054422A (ja) * | 2013-09-11 | 2015-03-23 | 株式会社Uacj | プレコートアルミニウム合金板及びプレス成型品の製造方法 |
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2010
- 2010-08-12 JP JP2010180745A patent/JP2012041373A/ja active Pending
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