JP2012040640A - ワイヤソーのクーラント管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体ウエハを、安価で効率良く、かつ製品歩留まりを上げながら製造することができるワイヤソーのクーラント管理システムを提供する。
【解決手段】半導体のインゴットから厚さの薄い半導体ウエハを複数枚製造する固定砥粒方式のワイヤソーのクーラント管理システムであって、インゴットをワイヤソー600(610,620,630)によって切断した際に使用したクーラントの少なくとも一部を、そのSS濃度を低下させてリサイクルクーラントとしてワイヤソーによるインゴット切断に再び使用するリサイクルクーラント循環流路を備え、かつリサイクルクーラント循環流路の途中に使用済みクーラントのSS濃度を低下させたリサイクルクーラントを生成するフィルタプレス810,820(800)を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば太陽電池やLED電球等の基板として広く使われるようになっているシリコンウエハを製造するためのワイヤソーのクーラント管理システムに関する。
例えば太陽電池やLED電球等の基板として広く用いられるシリコンウエハを製造するに当たって、ワイヤソーのクーラント管理システムを用いてシリコンのインゴットを厚さの薄いシリコンウエハに切断する技術は広く知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなワイヤソーのクーラント管理システムの方式には、遊離砥粒方式と固定砥粒方式の2つの方式がある。
遊離砥粒方式は、オイルにインゴット切断用の砥粒を含有させたスラリーを、シリコンインゴットをワイヤで切断する際に切断部に供給する方式である。この際、ワイヤにはブラスメッキワイヤを用いる。このようにワイヤによるシリコンインゴットの切断時にスラリーを供給することによって、スラリー内の微小な砥粒がシリコンとワイヤとの切断部の間に入り込んで、この入り込んだ多数の砥粒を介してシリコンのインゴットを厚さの薄い多数のシリコンウエハに切断するようになっている。
一方、固定砥粒方式は、上述の遊離砥粒方式と異なり、スラリーを用いることなく、単なるクーラント液(以下単に「クーラント」とする)を用いている。そして、樹脂ワイヤや金属のブラスメッキワイヤからなるワイヤ自体に、多数の砥粒を固着させた新技術のワイヤを用いてシリコンインゴットを切断するようになっている。これによってクーラントは、シリコンインゴットをワイヤで切断する際において、主に冷却液及び潤滑剤の役目を果たすと共に、副次的にシリコンの切削屑をクーラント内に含んで排出する役目を果たしている。
特開2002−144229号公報
上述した遊離砥粒方式は、砥粒がワイヤとシリコンインゴットとの間に入り込んで初めてインゴット切断作業が行われる原理となっているので、砥粒がワイヤに直接付着した固定砥粒方式に比べ、明らかに切断効率が悪い。
また、使用後のスラリー内には、オイルと、砥粒と、シリコンインゴット切断後の切削屑をなすシリコンの僅かな塊が混在する。従って、スラリーをコスト低減及び環境保護の観点からリサイクルして再利用するに当たって、使用前のスラリーの状態に近づけるために通常は遠心分離機を用いて切削屑を除去している。しかしながら、このような遊離砥粒方式での使用に適した遠心分離機は高性能でなければならず、コスト的に大変高価なものとなる。その上、遊離砥粒方式の場合、このような遠心分離機を用いても、切削屑を構成するシリコンの僅かな塊を使用後のスラリーから全て取り除くことは難しい。
近年開発が進んでいる固定砥粒方式は、砥粒自体をワイヤに付着させているため、上述したような遊離砥粒方式に伴う諸問題を発生させない。具体的には、固定砥粒方式によるクーラントを上述したようにコスト低減及び環境保護の観点からリサイクルする場合、遊離砥粒方式で用いた遠心分離機でも切屑を除去できるが、除去できない微粒子の蓄積が確認されている。
さらにこのような除去できない微粒子がリサイクルクーラント中に蓄積すると、以下のような不具合が生じることが分かった。
使用済みのクーラントからクーラントリサイクルを行うに際して現実的に導入し易い遠心分離機を用いた場合、切削屑自体が非常に微小なことに起因して、切削屑のクーラント内の濃度を理想的な範囲まで低減させることは難しい。具体的には、遠心分離機によりリサイクルされたクーラントのSS濃度を通常3重量%以下に抑えることは難しい。なお、SS(Suspended Solids)とは、懸濁物質、浮遊物質のことを言う。また、本発明におけるSS濃度とは、クーラント中に懸濁している固形物の割合のことであり、以下重量%で表わす。
SS濃度に関してより詳しく説明すると、例えば、通常の加工条件・環境で遠心分離機を使用した場合、ワイヤソー1台当たりにつきSS濃度を8%まで抑えるのが限界である。即ち、現実的なコストの範囲内の遠心分離機を用いた場合、それ以上SS濃度を下げることは難しい。一方、理想的にはSS濃度は0%に近ければ近いほど良いとされている。しかしながら、実際の設備上の様々な条件等を考慮してSS濃度が3%以下、即ちSS濃度がこの程度まで低くなっている状態が好ましく、SS濃度が1%以下、即ちSS濃度がこの程度まで極めて低くなっている状態がより好ましい。
一方、現実的に導入し易い遠心分離機を用いてクーラントリサイクルを行ったのでは、SS濃度が低くないリサイクルクーラントとなってしまうため、更にこの遠心分離機の下段に通常のフィルタを直列的に連結配置した2次分離式クーラントリサイクルシステムとして構成する必要がある。
このような遠心分離機を1段目としてこれに続き通常のフィルタを2段目とした2次分離式クーラントリサイクルシステムは、設備的に大がかりでコスト高となり、設備投資の観点から、近年の半導体ウエハの低価格化の流れに対応することができなくなると考えられる。
このように、現実的に導入し易い遠心分離機の場合、SS濃度を低い値以下にすることが通常不可能であり、仮にSS濃度を低い値以下にする遠心分離機を使おうとすると、非常に大きい加速度で作動する極めて高価な遠心分離機を用いなければならず、これによって、近年のシリコンウエハの大量生産化に伴う価格低下に対応することができない。従って、固定砥粒方式においても、クーラントリサイクルに遠心分離機を用いたのでは、コスト高の設備投資になり、シリコンウエハを生産する上で費用対効果の点で割が合わなくなっている。
更に、上述した遠心分離機による切削屑のクーラントからの除去方式によると、切削屑自体にクーラント成分が含有した状態でこの切削屑をクーラント液から分離して廃棄するため、クーラント中の廃棄するクーラント成分も多くなる。そのため、遠心分離機を使用した場合、加工毎にクーラントを補給しなければならず、リサイクル性の点でも劣る。
本発明の目的は、例えば太陽電池やLED電球等の基板として広く用いられるシリコンウエハ等の半導体ウエハを、安価で効率良く、かつ製品歩留まりを上げながら製造することができるワイヤソーのクーラント管理システムを提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、
半導体のインゴットから厚さの薄い半導体ウエハを複数枚製造する固定砥粒方式のワイヤソーのクーラント管理システムであって、
前記インゴットを前記ワイヤソーによって切断した際に使用したクーラントの少なくとも一部を、そのSS濃度を低下させてリサイクルクーラントとして前記ワイヤソーによるインゴット切断に再び使用するリサイクルクーラント循環流路を備え、かつ前記リサイクルクーラント循環流路の途中に前記使用済みクーラントのSS濃度を低下させたリサイクルクーラントを生成するフィルタプレスを備えたことを特徴としている。
請求項1に記載のワイヤソーのクーラント管理システムによると、従来のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて遠心分離機を用いた不都合を解消することができる。具体的には、従来のように現実的に導入し易い遠心分離機を用いてクーラントリサイクルを行ったのでは、SS濃度が低くないリサイクルクーラントとなってしまうため、さらにこの遠心分離機の下段に通常のフィルタを直列的に連結配置した2次分離式クーラントリサイクルシステムとして構成する必要がある。
このような遠心分離機を1段目としてこれに続き通常のフィルタを2段目とした2次分離式クーラントリサイクルシステムは、設備的に大がかりでコスト高となり、設備投資の観点から、近年の半導体ウエハの低価格化の流れに対応することができなくなる。しかしながら、本発明によるとフィルタプレスを用いたワイヤソーのクーラント管理システムとすることで、コストを抑えた構成により対応することができ、このような不都合を極力なくすことができる。
このように、従来のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて現実的に導入し易い遠心分離機のみを用いた場合、SS濃度を低くすることが通常不可能であり、仮にSS濃度を低くする遠心分離機を使おうとすると、非常に大きい加速度で作動する極めて高価な遠心分離機を用いなければならず、これによって、近年のシリコンウエハの大量生産化に伴う価格低下に対応することができない。しかしながら、本発明によるとコストを抑えた構成により近年のシリコンウエハの大量生産化に伴う価格低下に対応することができる。
更には、従来のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて遠心分離機による切削屑除去方式によると、切削屑自体にクーラント成分が含有した状態で分離する為、廃棄されるクーラント成分も多くなるが、本発明よると、不足したクーラントの補給量を少なくすることができ、リサイクル性の点でも優れる。
また、本発明の請求項2に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、請求項1に記載のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて、
前記ワイヤソーのクーラント管理システムには、使用済みのクーラントの少なくとも一部を溜めて再利用するためのリサイクル槽が備わり、前記リサイクル槽は、前記フィルタプレスによってSS濃度の低下した再生クーラントが流れ込むクリーン槽と、再使用されたクーラントをそのまま溜めるダーティ槽とを有していることを特徴としている。
請求項2に係るワイヤソーのクーラント管理システムによると、クリーン槽と、このクリーン槽に隣接して配置されたダーティ槽が備わっている。これによって、再生クーラントをクリーン槽に溜めることができる。
また、本発明の請求項3に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、請求項2に記載のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて、
前記クリーン槽とダーティ槽との間は一部連通し、前記クリーン槽に溜まった再生クーラントが前記連通した部分を介して隣接するダーティ槽に一部流れ込むようになったことを特徴としている。
請求項3に係るワイヤソーのクーラント管理システムによると、クリーン槽に溜まったフィルタプレスによって再生されたSS濃度の低いリサイクルクーラントが堰を介してダーティ槽に一部流れ込むようになっている。このような構成により、簡易な構成でコストの安いリサイクルクーラント管理システムとすることができ、近年の傾向である半導体ウエハの低価格化に対応することが可能となる。
また、本発明の請求項4に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、請求項1に記載のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて、
前記ワイヤソーのクーラント管理システムには、使用済みクーラントの少なくとも一部を溜めて再利用するためのリサイクル槽が備わり、前記リサイクル槽は再使用されたクーラントをそのまま溜めるダーティ槽と、前記ダーティ槽と一部連通し当該ダーティ槽の使用済みクーラントが前記連通した部分を介して一部流れ込む中間槽と、前記中間槽と一部連通したクリーン槽とが備わり、前記使用済みクーラントの少なくとも一部が前記フィルタプレスによってSS濃度の低下した再生クーラントとなって前記クリーン槽に流れ込むようになっており、かつ前記クリーン槽に溜まった再生クーラントが前記連通した部分を介して隣接する中間槽に一部流れ込んで使用済みクーラントと再生クーラントの混合物であるリサイクルクーラントが前記中間槽に溜まるようになったことを特徴としている。
請求項4に係るワイヤソーのクーラント管理システムによると、クリーン槽と、このクリーン槽に隣接して配置された中間槽と、この中間槽に隣接して配置されたダーティ槽が備わり、これら隣接する槽同士の間に連通した部分が備わり、これを介してクリーン槽からダーティ槽にクーラントが移動できるようになっており、かつクリーン槽にフィルタプレスよって再生されたSS濃度の低いリサイクルクーラントが流れ込むようになっている。このような構成により、簡易な構成でコストの安いワイヤソーのクーラント管理システムとすることができ、近年の傾向である半導体ウエハの低価格化に対応することが可能となる。
また、本発明の請求項5に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて、
前記リサイクルクーラントが供給されるワイヤソーが少なくとも2つ以上備わっていることを特徴としている。
本発明の請求項5に係るワイヤソーのクーラント管理システムによると、複数のワイヤソーを備えることでコストダウンと省スペースを図ることができ、ユーザーがシステム導入を行ない易くできる。
また、本発明の請求項6に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、請求項5に記載のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて、
前記フィルタプレスは、少なくとも2台のフィルタプレスからなり、各フィルタプレスが前記使用済みクーラントの少なくとも一部を流す流路の並列に配置された部分にそれぞれ備わり、かつ各フィルタプレスが、前記ワイヤソーの動作中において使用済みクーラントをリサイクルクーラントにして当該ワイヤソーに再供給可能な能力を備えたことを特徴としている。
本発明の請求項6に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、何れかのフィルタプレスに溜まったケークを廃棄する際にそのフィルタプレスの作動を停止させても、他のフィルタプレスでワイヤソーのクーラントリサイクルを行うことができる。
また、本発明の請求項7に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、請求項1乃至請求項6の何れかに記載のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて、
前記リサイクルクーラント循環流路の途中には、当該リサイクルクーラントの循環流路内の流量、温度、圧力、密度、粘度、pHの少なくとも何れか1つを測定する測定機器が備わっていることを特徴としている。
本発明の請求項7に係るワイヤソーのクーラント管理システムによると、リサイクルクーラントの循環流路内の流量、温度、圧力、密度、粘度、pHの少なくとも何れか1つを測定する計測器をリサイクルクーラント循環流路の途中に備えることで、クーラントリサイクルを行うフィルタプレスの作動状態を常に監視することができ、フィルタプレスの故障の予測やフィルタプレスが万が一故障した際の迅速な対応を可能とすることができる。
本発明によると、例えば太陽電池やLED電球等の基板として広く用いられるシリコンウエハ等の半導体ウエハを、安価で効率良く、かつ製品歩留まりを上げながら製造することができるワイヤソーのクーラント管理システムを提供できる。
本発明の第1の実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムの全体構成図である。 図1に示したワイヤソーのクーラント管理システムの3台のワイヤソーの部分を示す部分的構成図である。 図1に示したワイヤソーのクーラント管理システムの2台のフィルタプレスの部分を主に示す部分的構成図である。 図1に示したワイヤソーのクーラント管理システムのクリーン槽とダーティ槽及び新液槽の部分を示す部分的構成図である。 本発明の第2の実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムの全体構成図である。 図5に示したワイヤソーのクーラント管理システムの3台のワイヤソーの部分を示す部分的構成図である。 図5に示したワイヤソーのクーラント管理システムの2台のフィルタプレスの部分を主に示す部分的構成図である。 図5に示したワイヤソーのクーラント管理システムのクリーン槽と中間槽とダーティ槽及び新液槽の部分を示す部分的構成図である。 図1及び図5に示した2台のフィルタプレスの作動タイミングを示すタイミングチャートである。
以下、本発明の第1の実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムについて、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムの全体構成図である。また、図2は、図1に示したワイヤソーのクーラント管理システムの3台のワイヤソーの部分を示す部分的構成図である。また、図3は、図1に示したワイヤソーのクーラント管理システムの2台のフィルタプレスの部分を主に示す部分的構成図である。また、図4は、図1に示したワイヤソーのクーラント管理システムのクリーン槽とダーティ槽及び新液槽の部分を示す部分的構成図である。また、図9は、図1及び図3に示した2台のフィルタプレスの作動タイミングを示すタイミングチャートである。
本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、図1から分かるように、並列に配置された3台のワイヤソー110,120,130(100)と、クリーン槽210及びダーティ槽230からなるリサイクルクーラント槽200と、各ワイヤソー100に再生クーラント又はリサイクルクーラントを供給するクーラント供給パイプ411,412,413や使用済みのクーラントをダーティ槽230に戻す使用済みクーラント回収パイプ150等からなる様々なパイプ(リサイクルクーラント循環流路)と、使用済みクーラント循環パイプ351,352と再生クーラント循環パイプ362,363との間に設けられた2台のフィルタプレス310,320(300)を有している。
本実施形態において使用される並列に配置された3台のワイヤソー110,120,130は、それぞれ同一の機能を有したワイヤソーからなり、砥粒を含んだスラリーを用いる遊離砥粒方式のワイヤソーではなく、ワイヤ自体に砥粒を固着させた固定砥粒方式のワイヤソーである。そして、本実施形態の場合、これら3台のワイヤソー100を用いてシリコンのインゴットから太陽電池やLED電球等の基板として広く使われるシリコンウエハを製造するようになっている。
各ワイヤソー100には、本実施形態に係るワイヤソー100のクーラント管理システムの一部をなす加工室が備わっている。本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、上述したように固定砥粒方式を採用している。この固定砥粒方式とは、インゴット切断時に供給する液体にSiC等の遊離スラリーを用いることなく、単なるクーラント液を用いる方式である。そして、樹脂ワイヤや金属のブラスメッキワイヤからなるワイヤ自体に、多数の砥粒を固着させた、近年新たに採用されつつある砥粒付着タイプのワイヤを用いてシリコンインゴットを切断するようになっている。これによってクーラントは、シリコンインゴットをワイヤで切断する際には、主に冷却液及び潤滑剤の役目を果たすと共に、副次的に切削屑の回収除去の役目を果たしている。
なお、各ワイヤソー100には、図1及び図2に示すようにその加工室にクーラントを供給するクーラント供給パイプ411,412,413が備わっている。また、各加工室には後述するリサイクルクーラント槽200のダーティ槽230とは異なるクーラント槽111,112,113がそれぞれ備わり、各ワイヤソー100の加工中に生じる使用済みクーラントにリサイクルクーラントを混ぜてそれぞれ溜め、リサイクルクーラント供給パイプ425,426,427を介して各ワイヤソー100の加工室に再供給するようになっている。
各クーラント供給パイプ411,412,413には、流量計FSが備わっている。また、各クーラント供給パイプ411,412,413には、それぞれクリーン槽210から再生クーラントを供給する再生クーラント供給パイプ431,432,433の一端及びクーラント槽111,112,113のそれぞれからリサイクルクーラントを供給するリサイクルクーラント供給パイプ425,426,427の一端が接続されている。また、再生クーラント供給パイプ431,432,433とリサイクルクーラント供給パイプ425,426,427には、それぞれ開閉弁Vが備わり、ここでは図示しない制御コントローラによって再生クーラント供給パイプ431,432,433かリサイクルクーラント供給パイプ425,426,427の何れかがクーラント供給パイプ411,412,413に択一的に連通するようになっている。なお、上記した「再生クーラント」も本発明における「リサイクルクーラント」に当然に含まれるものであるが、本実施形態においては、再生クーラントの方がリサイクルクーラントよりもSS濃度の低いことを前提としてこれら用語を適宜使い分けるものとする。
また、各クーラント槽111,112,113には使用済みクーラント回収パイプ151,152,153(150)の一端が接続されている。そして、使用済みクーラント回収パイプ151,152,153の上流側(各クーラント槽側)には、使用済みクーラントをダーティ槽230に戻すポンプPが備わっている。
また、各クーラント槽111,112,113には、リサイクルクーラント供給パイプ420が分岐パイプ421,422,423を介して接続されている。そして、各分岐パイプ421,422,423のそれぞれに開閉弁Vが設けられ、各開閉弁Vを適宜開いてクーラント槽111,112,113に必要に応じてリサイクルクーラントを供給するようになっている。
また、本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムには、3台のワイヤソー100で加工中に使用されたクーラント槽111,112,113に溜まった使用済みのクーラントの一部を使用済みクーラント回収パイプ151,152,153を介して回収して再利用するためのリサイクルクーラント槽200が備わっている。
リサイクルクーラント槽200を構成する各クーラント槽は、上述の通りダーティ槽230と、クリーン槽210とからなる。ダーティ槽230には、各クーラント槽111,112,113に接続された使用済みクーラント回収パイプ151,152,153の他端がまとめて接続され、各クーラント槽111,112,113に溜まった使用済みクーラントの一部を回収してまとめて溜めるようになっている。
また、ダーティ槽230は、クリーン槽210とそれらの上縁において堰211を介して連通し、フィルタプレス310,320から供給されクリーン槽210に溜ったSS濃度の低い再生クーラントがダーティ槽230に一部流れ込むようになっている。
クリーン槽210には新液槽250が隣接して配置され、ポンプPの圧力により新クーラント供給パイプ481を介して新液槽250からクリーン槽210に新クーラントが必要に応じて補充されるようになっている。
クリーン槽210にはクーラント補充用としての後述する2台のフィルタプレス310,320によって再生された再生クーラントが再生クーラント循環パイプ362,363を介してそれぞれ供給されるようになっている。
一方、ダーティ槽230の槽内には使用済みクーラント循環パイプ351,352の一端が配置され、この使用済みクーラント循環パイプ351,352の他端は、フィルタプレスパイプ471,472を介して後述する2台のフィルタプレス310,320の使用済みクーラント受け入れ部(図1及び図3中フィルタプレス上側右部)に接続されている。
なお、フィルタプレス310,320の作動開始時は、未再生クーラント戻しパイプ364,365の開閉弁Vを開き、再生クーラント循環パイプ362,363の開閉弁Vを閉じてフィルタプレス310,320から未だ再生されていない使用済みクーラントを未再生クーラント戻しパイプ364,365を介してダーティ槽230に戻すようにしている。一方、フィルタプレス310,320が十分機能し出したら、未再生クーラント戻しパイプ364,365の開閉弁Vを閉じ、再生クーラント循環パイプ362,363の開閉弁Vを開いてフィルタプレス310,320から再生クーラントをクリーン槽210に供給するようになっている。
以上の構成により、本実施形態では、各ワイヤソー100のクーラント槽111,112,113から一部回収した使用済みクーラントがダーティ槽230に溜められる。そして、リサイクルクーラント槽200には、フィルタプレス310,320によってSS濃度の低下したリサイクルクーラントが再生クーラント循環パイプ362,363を介してクリーン槽210に供給されるようになっており、かつクリーン槽210に溜まったSS濃度の低下したリサイクルクーラントが堰211を介して隣接するダーティ槽230に一部流れ込むようになっている。なお、本実施形態及び以下に説明する第2の実施形態のように堰を設けて隣接する槽間を連通させる代わりに、連通パイプなど他の構成によって隣接する槽間を連通させても良い。
使用済みクーラント循環パイプ351,352と再生クーラント循環パイプ362,363との間に備わったフィルタプレス300は、本実施形態では2台のフィルタプレス310,320からなり、各フィルタプレス310,320が再生クーラント循環パイプ362,363の並列に配置された入口部分にそれぞれ繋がっている。
各フィルタプレス310,320は、回収された使用済みクーラントからシリコン等半導体の切削屑をフィルタで取り除く装置である。切削屑が溜まったことを使用済みクーラント循環パイプ351,352の流量計FSが計測したら、使用済みクーラント循環パイプ351,352の開閉弁Vを閉じてエア側の開閉弁Vを開き、エア(空気)を供給することで、フィルタプレス310,320で濾過した切削屑に空気を供給する(図1及び図3中各フィルタプレス300の右側参照)。これにより、フィルタに溜まった切削屑のクーラント成分が抜けて乾燥していわゆるケークとなる。このケークを、ここでは詳細には図示しないケーク排出装置で自動的に排出する。即ち、フィルタプレス310,320を用いることで使用済みクーラントから切削屑が殆ど除去された再生クーラントをクリーン槽210に戻す一方、乾燥してケーク状になった切削屑を定期的に排出するようになっている。
図9は、図1及び図3に示した2台のフィルタプレス310,320の作動タイミングを示すタイミングチャートである。2台のフィルタプレス310,320は、このようなタイミングチャートに基づいて交互に動作するよう制御されている。これによって、一方のフィルタプレス310(320)を停止して切削屑を空気で乾燥してケークとしこのケークを廃棄する作業中、他方のフィルタプレス320(310)の作動を継続できるので、本クーラントシステム内のクーラント中の切粉濃度の急激な上昇を防ぐことができる。
また、本実施形態によると、フィルタプレス300によって再生されたクーラントのSS濃度を低い値以下まで抑えるようになっている。また、使用済みクーラントのうち、濾過したシリコンの切削屑を乾燥させると共に再生クーラントをクリーン槽210に戻すので、再生クーラントのケークによる持ち出しを抑えることができ、リサイクルクーラントへの新たなクーラント成分の補充量及び補充にかかる時間を最低限に抑えることができる。
また、使用済みクーラント循環パイプ351,352にそれぞれクーラントの流量を測定する流量計FSや圧力を測定する圧力計PS等の計測機器が備わっている。なお、フィルタプレス自体の分離濃度を確認するに際して、ダーティ槽内で循環する経路中においてクーラントの濾過状態を確認できる密度計や比重、SS濃度の何れかを計測できる計器を備えてフィルタプレスの分離状況を常に監視するのが良い。本実施形態では、図示するようにコリオリ式の質量流量計FSを備えている。
これによって、フィルタプレス300が正常な状態で作動しているかどうかや、フィルタプレス300にケークが詰まり過ぎて動作能力が低下していないかどうかを確実に判断することが可能となる。
そして、流量計FSの出力をここでは図示しないPLC(プログラマブルロジックコントローラ)や制御コントローラで監視して、フィルタプレス300が適切な量のリサイクルクーラントを提供しているか、インゴット切断用クーラントタンクしてのダーティ槽230やワイヤ抜き用クーラントタンクとしてのクリーン槽210に十分な量のリサイクルクーラントが溜まっているか、ポンプPがその作動能力通りに適切に動いているか等のチェックを行う。
各クーラント槽111,112,113とクーラント供給パイプ411,412,413とは、リサイクルクーラント供給パイプ425,426,427で接続されている。そして、リサイクルクーラント供給パイプ425,426,427にはそれぞれポンプPと開閉弁Vが備わっている。
リサイクルクーラント供給パイプ420の途中には、ポンプPが設けられている。ポンプPは、分岐パイプ421,422,423に備わった開閉弁Vの開放によってリサイクルクーラントをクーラント槽111,112,113に供給するようになっている。また、再生クーラント供給パイプ430の途中にも、ポンプPが直列に設けられている。ポンプPは、再生クーラント供給パイプ431,432,433に備わった開閉弁Vの開放によってワイヤ抜き用クーラントをワイヤソーの加工室に一定の圧力や流量で供給するようになっている。
そして、リサイクルクーラント供給パイプ425,426,427又は再生クーラント供給パイプ431,432,433の何れか一方の開閉弁Vを開放し、何れか他方の開閉弁Vを閉止することで、クーラント供給パイプ411,412,413を介してインゴット切断用のリサイクルクーラントかワイヤ抜き用の再生クーラントの何れかが各ワイヤソー110,120,130(100)の加工室に供給されるようになっている。
より具体的には、リサイクルクーラント供給パイプ425,426,427側の開閉弁Vを開放することで、ワイヤソー100の加工室にクーラント槽111,112,113内のリサイクルされたインゴット切断用のリサイクルクーラントを供給するようになっている。
一方、再生クーラント供給パイプ431,432,433側の開閉弁Vを開放することで、ワイヤソー100の加工室にフィルタプレス300を介して再生されクリーン槽210に溜まったSS濃度の極めて低いワイヤ抜き用の再生クーラントを供給するようになっている。
このような本実施形態の固定砥粒方式を採用することで、タンク内の液体は、従来の遊離砥粒方式のようにクーラントとシリコンの切削屑と砥粒が混ざったスラリー状をなすことなく、クーラントにシリコン切削屑が少量混ざった程度の比較的きれいな状態で使用済みのクーラントが回収される。
続いて、ワイヤソーのクーラント管理システムの制御手段について時系列的に分かり易く説明する。最初に、各ワイヤソー100にそれぞれ備わるクーラント槽111,112,113からリサイクルクーラント供給パイプ425,426,427の開閉弁Vを開いてクーラントをワイヤソー100の加工室内にそれぞれ供給する。
次いで、各ワイヤソー100において、各ワイヤソー100に設けたクーラント槽111,112,113に使用済みクーラントを溜める。クーラント槽111,112,113に溜まった使用済みクーラントの一部は、ポンプPの圧力により使用済みクーラント回収パイプ150を介してリサイクルクーラント槽200のダーティ槽230にまとめて回収される。ダーティ槽内に回収された使用済みクーラントは、図示しない攪拌機で攪拌され、ダーティ槽内のSS濃度が均一になる。
また、ダーティ槽230に溜まった使用済みクーラントは、使用済みクーラント循環パイプ351,352を介して各フィルタプレス310,320に循環される。なお、使用済みクーラント循環パイプ351,352には流量計FS及び圧力計PSがそれぞれ備わっており、各フィルタプレス310,320に導入される使用済みクーラントの流量及び圧力を常に測定している。
各フィルタプレス310,320の作動開始時は、クーラントのSS濃度があまり低下しないので、未再生クーラント戻しパイプ364,365に備わった開閉弁Vを開いてクーラントをダーティ槽230に戻す。そして、各フィルタプレス310,320が十分作動するようになったら、上記開閉弁Vを閉じると共に再生クーラント循環パイプ362,363の開閉弁を開いてSS濃度の低くなった再生クーラントをクリーン槽210に供給する。
各フィルタプレス310,320においては、上述したように切削屑が溜まったら、使用済みクーラント循環パイプ351,352側の開閉弁Vを閉じ、エア供給パイプ473,474側の開閉弁Vを開いてエア(空気)をフィルタ内に供給しながら使用済みクーラントの切削屑を乾燥させてケークとする。そして、ケーク除去装置で自動的に排除する。この際、各フィルタプレス300の動作タイミングは、図9に示すように、一方のフィルタプレス310(320)に溜まった切削屑を空気で乾燥してケークとしこのケークをケーク除去装置で自動的に除去する際に、他方のフィルタプレス320(310)が動作を継続するようなタイミングとする。
このようにして、フィルタプレスによって濾過されたSS濃度の低い再生クーラントは、再生クーラント循環パイプ362,363を介してクリーン槽210に供給される。クリーン槽210に溜まったSS濃度の低い再生クーラントは、堰211を介してダーティ槽230に一部流れ込む。
これにより、ダーティ槽230にもSS濃度が十分低くなったリサイクルクーラントが溜められる。この溜められたリサイクルクーラントを、開閉弁Vを開放することでポンプPによって発生させた圧力を介してリサイクルクーラント供給パイプ420及び分岐パイプ421,422,423に供給する。そして、分岐パイプ421,422,423のそれぞれに備わった開閉弁Vを適宜開放することで、リサイクルクーラントを必要に応じてクーラント槽111,112,113の使用済みクーラントに混ぜる。そして、クーラント槽111,112,113からリサイクルクーラント供給パイプ425,426,427に備わった開閉弁Vを開くことで、これらのパイプを介してクーラント供給パイプ411,412,413にリサイクルクーラントを送り各ワイヤソー100にリサイクルクーラントを供給する。
なお、シリコンのインゴットをワイヤソー100で切断した後、ワイヤを抜く際はクリーン槽210からSS濃度のより低い再生クーラントを、開閉弁Vを開放することでポンプPによって発生させた圧力を介して再生クーラント供給パイプ430,431,432,433に送りクーラント供給パイプ411,412,413を介して各ワイヤソー100に供給する。
以上のように、ダーティ槽230からの再生クーラントのワイヤソー100への供給とクリーン槽210からリサイクルクーラントへのワイヤソー100への供給の切り替えは、リサイクルクーラント供給パイプ425,426,427や再生クーラント供給パイプ431,432,433のワイヤソー100側に設けた開閉弁Vを適宜切り替えることによって行う。
なお、各ワイヤソー100のワーク切断中においては、クーラント槽111,112,113からリサイクルクーラント供給パイプ425,426,427及びクーラント供給パイプ411,412,413の流路で構成される加工用の循環ラインに、クーラント槽111,112,113から使用済みクーラント回収パイプ150、使用済みクーラント循環パイプ351,352、フィルタプレス300、再生クーラント循環パイプ362,363、リサイクルクーラント供給パイプ420及び分岐パイプ421,422,423を経由してクーラント槽111,112,113に戻る濾過用の循環ラインが新たに加えられた2つの並列な循環ラインの形態をとっている。これによって、例えば仮に濾過用の循環ラインの何れかのポンプPが故障しても、各ワイヤソーにおいては加工用の循環ラインをとりあえず継続的に使用することができ、ワイヤソーの作動を不必要に停止させずに済む。
以上説明したように、各パイプには随所に流量計FS及び圧力計PSが備わっている。これによって、各クーラント供給パイプに備わった流量計及び圧力計の出力を例えばそれぞれ図示しないPLCや集中制御コントローラによって管理し、適正なリサイクルクーラント量でない場合はフィルタプレス310,320の何れか若しくは双方が故障したか、各供給パイプにクーラント漏れなどの異常が生じたか等の判断を行ない、警報を発する。
続いて、本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムの作用について説明する。本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムによると、リサイクルクーラント循環流路の途中にフィルタプレスを備えている。即ち、従来の現実的に導入し易い遠心分離機のみを用いた場合のように使用済みクーラントのSS濃度を十分に低下させることができないリサイクルクーラント管理システムよりもSS濃度の低いクーラントリサイクルを行うことができる。
これにより、従来例が有さない本発明特有の利点は以下の通りである。従来のように現実的に導入し易い遠心分離機を用いてクーラントリサイクルを行ったのでは、SS濃度が低い値とならないリサイクルクーラントとなってしまうため、更にこの遠心分離機の下段に通常のフィルタを直列的に連結配置した2次分離式クーラントリサイクルシステムとして構成する必要がある。
このような遠心分離機を1段目としてこれに続き通常のフィルタを2段目とした2次分離式クーラントリサイクルシステムは、設備的に大がかりでコスト高となり、設備投資の観点から、近年の半導体ウエハの低価格化の流れに対応することができなくなる。しかしながら、本発明によるとフィルタプレスを用いたワイヤソーのクーラント管理システムとすることで、コストを抑えた構成により対応することができ、このような不都合をなくすことができる。
また、従来のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて現実的に導入し易い遠心分離機のみを用いた場合、SS濃度を低くすることが通常不可能であり、仮にSS濃度を低くする遠心分離機を使おうとすると、非常に大きい加速度で作動する極めて高価な遠心分離機を用いなければならず、近年のシリコンウエハの大量生産化に伴う価格低下に対応することができない。しかしながら、本発明によるとコストを抑えた構成により近年のシリコンウエハの大量生産化に伴う価格低下に対応することができる。
更には、従来のワイヤソーのクーラント管理システムにおいて遠心分離機による切削屑のクーラントからの除去方式によると、切削屑自体にクーラント成分が含有した状態でこの切削屑をクーラントから分離して廃棄するため、廃棄する切削屑にクーラント成分が含有するので、クーラント中の廃棄するクーラント成分も多くなるが、本発明によると、不足したクーラントの補給の必要が少なく、リサイクル性の点でも優れる。
また、本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、システムを構成するパイプの随所にリサイクルクーラントの循環流路内の流量や圧力を測定する流量計や圧力計が備わっている。これによって、クーラントリサイクルを行うフィルタプレスの作動状態を常に監視することができ、フィルタプレスの故障の予測やフィルタプレスが万が一故障した際の迅速な対応を可能とすることができる。
なお、本実施形態とは異なり、これら流量計FSや圧力計PSの測定に加えて、リサイクルクーラントの循環流路内においてこのリサイクルクーラントの温度、密度、粘度、pH等を測定するようにしても良い。即ち、本発明においては、リサイクルクーラントの流量、温度、圧力、密度、粘度、pHの少なくとも何れか1つを測定すれば良い。
また、本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムには、使用済みのクーラントの一部を溜めて再利用するためのリサイクル槽が設けられ、リサイクル槽は再使用されたクーラントをそのまま溜めるダーティ槽と、ダーティ槽の上縁において堰を介して連通したクリーン槽とが備わっている。そして、フィルタプレスによってSS濃度の低下したリサイクルクーラントがクリーン槽に流れ込むようになっており、かつクリーン槽に溜まったSS濃度の低下したリサイクルクーラントが堰を介して隣接するダーティ槽に一部流れ込むようになっている。これによって、簡易な構成でコストの安いリサイクルクーラント管理システムとすることができ、近年の傾向である半導体ウエハの低価格化に対応することが可能となる。
また、本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、フィルタプレスが2台のフィルタプレスからなり、各フィルタプレスがリサイクルクーラントの循環流路の並列に配置された部分にそれぞれ備わり、かつ各フィルタプレスがワイヤソーの動作中において使用されたクーラントをリサイクルクーラントにしてワイヤソーに再供給可能な能力を備えている。その結果、何れかのフィルタプレスに溜まったケークを廃棄する際にそのフィルタプレスの作動を停止させても、他のフィルタプレスでワイヤソーのリサイクルクーラントの再生を行うことができるので、フィルタプレスの作動の停止に伴うクーラント中のSi切粉濃度の急激な上昇を抑えることができる。
なお、上述の実施形態では、リサイクルクーラント槽は、ダーティ槽とクリーン槽から構成されていたが、これらの槽の間にいわゆる中間槽を介在させても良い。
続いて、本発明の第2の実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムについて、図面に基づいて詳細に説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムの全体構成図である。また、図6は、図5に示したワイヤソーのクーラント管理システムの3台のワイヤソーの部分を示す部分的構成図である。また、図7は、図5に示したワイヤソーのクーラント管理システムの2台のフィルタプレスの部分を主に示す部分的構成図である。また、図8は、図5に示したワイヤソーのクーラント管理システムのクリーン槽と中間槽とダーティ槽及び新液槽の部分を示す部分的構成図である。また、図9は、図5及び図7に示した2台のフィルタプレスの作動タイミングを示すタイミングチャートである。
本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、図5から分かるように、並列に配置された3台のワイヤソー610,620,630(600)と、クリーン槽710及び中間槽720並びにダーティ槽730等からなるリサイクルクーラント槽700と、各ワイヤソー600にクーラントを供給するクーラント供給パイプ911,912,913や使用済みのクーラントをダーティ槽730に戻す使用済みクーラント回収パイプ650等からなる様々なパイプ(リサイクルクーラント循環流路)と、使用済みクーラント循環パイプ851と再生クーラント循環パイプ862及び未再生クーラント戻しパイプ852との間に設けられた2台のフィルタプレス810,820(800)を有している。
本実施形態において使用される並列に配置された3台のワイヤソー610,620,630は、それぞれ同一の機能を有したワイヤソーからなり、砥粒を含んだスラリーを用いる遊離砥粒方式のワイヤソーではなく、ワイヤ自体に砥粒を固着させた固定砥粒方式のワイヤソーである。そして、本実施形態の場合、これら3台のワイヤソー600を用いてシリコンのインゴットから太陽電池やLED電球等の基板として広く使われるシリコンウエハを製造するようになっている。
各ワイヤソー600には、本実施形態に係るワイヤソー600のクーラント管理システムの一部をなす加工室が備わっている。本実施形態に係るワイヤソーのクーラント管理システムは、上述したように固定砥粒方式を採用している。この固定砥粒方式とは、インゴット切断時に供給する液体にSiC等の遊離スラリーを用いることなく、単なるクーラント液を用いる方式である。そして、樹脂ワイヤや金属のブラスメッキワイヤからなるワイヤ自体に、多数の砥粒を固着させた、近年新たに採用されつつある砥粒付着タイプのワイヤを用いてシリコンインゴットを切断するようになっている。これによってクーラントは、シリコンインゴットをワイヤで切断する際には、主に冷却液及び潤滑剤の役目を果たすと共に、副次的に切削屑の回収除去の役目を果たしている。
なお、各ワイヤソー600には、図5及び図6に示すようにその加工室にクーラントを供給するクーラント供給パイプ911,912,913が備わっている。また、各加工室には後述するリサイクルクーラント槽700のダーティ槽730とは異なるクーラント槽611,612,613がそれぞれ備わり、各ワイヤソー600の加工中に生じるリサイクルクーラントをそれぞれ一時的に溜めるようになっている。
各クーラント供給パイプ911,912,913には、流量計FSが備わっている。また、各クーラント供給パイプ911,912,913には、それぞれクリーン槽710から再生クーラントを供給する再生クーラント供給パイプ931,932,933の一端及び中間槽720からリサイクルクーラントを供給するリサイクルクーラント供給パイプ921,922,923の一端が接続されている。また、再生クーラント供給パイプ931,932,933とリサイクルクーラント供給パイプ921,922,923には、それぞれ開閉弁Vが備わり、ここでは図示しない制御コントローラによって再生クーラント供給パイプ931,932,933かリサイクルクーラント供給パイプ921,922,923の何れかがクーラント供給パイプ911,912,913に択一的に連通するようになっている。なお、上記した「再生クーラント」も本発明における「リサイクルクーラント」に当然に含まれるものであるが、本実施形態においては、再生クーラントの方がリサイクルクーラントよりもSS濃度の低いことを前提としてこれら用語を適宜使い分けるものとする。
また、各クーラント槽611,612,613には使用済みクーラント回収パイプ651,652,653(650)の一端が接続されている。そして、使用済みクーラント回収パイプ651,652,653の上流側(各使用済みクーラント仮溜用ダーティ槽側)には、使用済みクーラントをダーティ槽730に戻すポンプPが備わっている。
また、本実施形態のワイヤソーのクーラント管理システムには、3台のワイヤソー600で加工中に使用された各クーラント槽611,612,613に溜まった使用済みのクーラントを使用済みクーラント回収パイプ651,652,653を介して回収して再利用するためのリサイクルクーラント槽700が備わっている。
リサイクルクーラント槽700を構成する各クーラント槽は、上述の通りダーティ槽730と、中間槽720と、クリーン槽710とからなる。ダーティ槽730には、各クーラント槽611,612,613に接続された使用済みクーラント回収パイプ651,652,653の他端がまとめて接続され、各クーラント槽611,612,613に溜まった使用済みクーラントを回収してまとめて溜めるようになっている。
また、ダーティ槽730と中間槽720とはそれらの上縁において堰731を介して連通し、ダーティ槽730の使用済みクーラントが堰731を介して中間槽720に一部流れ込むようになっている。同様に、中間槽720は、クリーン槽710とそれらの上縁において堰711を介して連通し、フィルタプレス810,820から供給されクリーン槽710に溜ったSS濃度の低い再生クーラントが一部流れ込むようになっている。これによって、中間槽720には、後に詳細に説明するようにダーティ槽730とクリーン槽710の中間のSS濃度を有するリサイクルクーラントが溜まるようになっている。
クリーン槽710には新液槽750が隣接して配置され、ポンプPの圧力によりクーラント補充パイプを介して新液槽750からクリーン槽710に必要に応じて新クーラントが適宜補充されるようになっている。
クリーン槽710には後述する2台のフィルタプレス810,820によって再生された再生クーラントが再生クーラント循環パイプ862を介してそれぞれ供給されるようになっている。なお、ダーティ槽730には液漏れクーラントが液漏れパン及び未再生クーラント戻しパイプ852を介して戻されるようになっている。
一方、ダーティ槽730の槽内には使用済みクーラント循環パイプ851の一端が配置され、この使用済みクーラント循環パイプ851の他端は後述する2台のフィルタプレス810,820の使用済みクーラント受け入れ部(図5及び図7中フィルタプレス上側右部)に接続されている。
以上の構成により、本実施形態に係るリサイクルクーラント槽700には、フィルタプレス810,820によってSS濃度の低下したリサイクルクーラントが再生クーラント循環パイプ862を介してクリーン槽710に供給されるようになっており、かつクリーン槽710に溜まったSS濃度の低下したリサイクルクーラントが堰711を介して隣接する中間槽720に一部流れ込むようになっている。
また、本実施形態においては、各ワイヤソー600の各クーラント槽611,612,613から回収した使用済みクーラントがダーティ槽730に溜められる。ダーティ槽730に溜った使用済みクーラントに含まれる切削屑はダーティ槽730内の図示しない攪拌機で攪拌され、ダーティ槽730に溜まった使用済みクーラントの一部が使用済みクーラント循環パイプ851を介してフィルタプレス800に送られる。そして、フィルタプレス800で再生された再生クーラントが再生クーラント循環パイプ862を介してクリーン槽710に溜まり、この溜まった再生クーラントの一部が堰731を介して中間槽720に流入するようになっている。
これによって、中間槽720には、SS濃度の比較的高い使用済みクーラントと、フィルタプレス810,820を通過した後のかなりSS濃度の低くなった再生クーラントとが混合した、SS濃度が従来の現実的に導入し易い遠心分離機を用いた場合よりもかなり低いリサイクルクーラントが溜まるようになっている。
使用済みクーラント循環パイプ851と未再生クーラント戻しパイプ852、再生クーラント循環パイプ862との間に備わったフィルタプレス800は、本実施形態では2台のフィルタプレス810,820からなり、各フィルタプレス810,820が再生クーラント循環パイプ862の並列に配置された入口部分にそれぞれ繋がっている。
各フィルタプレス810,820は、回収された使用済みクーラントの切削屑をフィルタプレス810,820内のフィルタで除去し、使用済みクーラント循環パイプ851の流量計FSで流量を計測し、フィルタのつまりが一定量となっているか否かを計測する。この計測器に基づき、フィルタプレス810,820のつまりが一定量に達したと判断したとき、ここでは図示しない開閉弁を切り替える。即ち、使用済みクーラント循環パイプ851のバルブを閉じ、エア供給パイプのバルブを開いてフィルタがつまった方のフィルタプレスの切削屑を乾燥させてケークとする。そして、ここでは図示しないケーク排出装置を用いてケークを外部に自動的に排出する。次いで、再度エアのバルブを閉じ、使用済みクーラント循環パイプ851のバルブを開いて使用済みクーラントの濾過を行なう。
以上の構成で、フィルタプレス810,820を用いることで使用済みクーラントから切削屑が殆ど除去された再生クーラントをクリーン槽710に戻す一方、乾燥してケーク状になった切削屑を定期的に排出するようになっている。
図9は、図5及び図7に示した2台のフィルタプレス810,820の作動タイミングを示すタイミングチャートである。2台のフィルタプレス810,820はこのようなタイミングチャートに基づいて交互に動作するよう制御されている。これによって、一方のフィルタプレス810(820)により切削屑を空気で乾燥してケークとしこのケークを廃棄する作業中、他方のフィルタプレス820(810)の作動を継続できるので、本クーラントシステム内のクーラント中の切粉濃度の急激な上昇を防ぐことができる。
また、本実施形態によると、フィルタプレス800によって再生されたクーラントのSS濃度を低い値以下まで抑えるようになっている。また、濾過したシリコンの切削屑を乾燥させると共に再生クーラントをクリーン槽710に戻すので、再生クーラントのケークによる持ち出しを抑えることができ、リサイクルクーラントへの新クーラントの補充量及び補充にかかる時間を最低限に抑えることができる。
また、使用済みクーラント循環パイプ851にそれぞれクーラントの流量を測定する流量計FSや圧力を測定する圧力計PS等の計測機器が備わっている。
なお、フィルタプレス自体の分離濃度を確認するに際して、ダーティ槽又は中間槽内で循環する経路中においてクーラントの濾過状態を確認できる密度計や比重、SS濃度の何れかを計測できる計器を備えてフィルタプレスの分離状況を常に監視するのが良い。本実施形態では、図示しないコリオリ式の質量流量計を備えている。これによって、フィルタプレス800が正常な状態で作動しているかどうかや、フィルタプレス800にケークが詰まり過ぎて動作能力が低下していないかどうかを確実に判断することが可能となる。
リサイクルクーラント供給パイプ920の途中には、ポンプPと流量計FSが直列に設けられている。ポンプPは、開閉弁Vの開放によってインゴット切断用のリサイクルクーラントをワイヤソーの加工室に供給するようになっている。また、再生クーラント供給パイプ930の途中にも、ポンプPと流量計FSが直列に設けられている。ポンプPは、開閉弁Vの開放によってワイヤ抜き用の再生クーラントをワイヤソーの加工室に一定の圧力設定した流量で供給するようになっている。
また、リサイクルクーラント供給パイプ920及び再生クーラント供給パイプ930の途中に設けられた各流量計FSは、開閉弁Vの選択的開放によって流されるインゴット切断用クーラントやワイヤ抜き用クーラントの流量を常に監視している。
そして、流量計FSの出力をここでは図示しないPLC(プログラマブルロジックコントローラ)や制御コントローラで監視して、フィルタプレス800が適切な量のリサイクルクーラントを提供しているか、インゴット切断用クーラントタンクしての中間槽720やワイヤ抜き用クーラントタンクとしてのクリーン槽710に十分な量のリサイクルクーラントが溜まっているか、ポンプPがその作動能力通りに適切に動いているか等のチェックを行う。
そして、リサイクルクーラント供給パイプ921,922,923又は再生クーラント供給パイプ931,932,933の何れか一方の開閉弁Vを開放し、何れか他方の開閉弁Vを閉止することで、クーラント供給パイプ911,912,913を介してインゴット切断用のリサイクルクーラントかワイヤ抜き用の再生クーラントの何れかが各ワイヤソー610,620,630(600)の加工室に供給されるようになっている。
より具体的には、リサイクルクーラント供給パイプ921,922,923側の開閉弁Vを開放することで、ワイヤソー600の加工室に中間槽720内のリサイクルされたインゴット切断用のリサイクルクーラントを供給するようになっている。
一方、再生クーラント供給パイプ931,932,933側の開閉弁Vを開放することで、ワイヤソー600の加工室にフィルタプレス800を介して再生されたクリーン槽710に溜まったSS濃度の極めて低いワイヤ抜き用の再生クーラントを供給するようになっている。
このような本実施形態の固定砥粒方式を採用することで、タンク内の液体は、従来の遊離砥粒方式のようにクーラントとシリコンの切削屑と砥粒が混ざったスラリー状をなすことなく、クーラントにシリコン切削屑が少量混ざった程度の比較的きれいな状態で使用済みのクーラントが回収される。
続いて、ワイヤソーのクーラント管理システムの制御手段について時系列的に分かり易く説明する。最初に、クリーン槽710に新クーラントを供給すると共にクリーン槽710が満杯になった際にその一部を堰711を介して中間槽720に一部流れ込むようにする。そして、3台ある各ワイヤソー600を作動させる。開閉弁Vを開放することによって、中間槽720からリサイクルクーラント供給パイプ920(921,922,923)、クーラント供給パイプ911,912,913を介して各ワイヤソー600の加工室に加工用のクーラントを供給する。
次いで、各ワイヤソー600において、各ワイヤソー600に設けた各クーラント槽611,612,613に使用済みクーラントを溜める。この各クーラント槽611,612,613に溜まった使用済みクーラントはポンプPの圧力により使用済みクーラント回収パイプ650を介してリサイクルクーラント槽700のダーティ槽730にまとめて回収される。ダーティ槽内に回収された使用済みクーラントはフィルタプレス810,820を動かせば動かすほどSS濃度が低下するので、このSS濃度の低下したクリーン槽のクーラントの一部は堰711を介して中間槽720に一部流れ込む。また、フィルタプレス810、820でろ過されなかったクーラントの一部は堰731を介して中間槽720へ流れ込む。
また、ダーティ槽730に溜まった使用済みクーラントは、使用済みクーラント循環パイプ851を介して各フィルタプレス810,820に循環される。なお、使用済みクーラント循環パイプ851には流量計FS及び圧力計PSがそれぞれ備わっており、各フィルタプレス810,820に導入される使用済みクーラントの流量及び圧力を常に測定している。
各フィルタプレスにおいては、上述したように使用済みクーラントの切削屑をフィルタプレス810,820のフィルタによって除去し、切削屑が溜まったらエアを供給して切削屑を乾燥させてケークとして排出する。この際、各フィルタプレス800の動作タイミングは、図9に示すように、一方のフィルタプレス810(820)に溜まった切削屑をエアで乾燥させケークとした後このケークを除去する間、他方のフィルタプレス820(810)が動作を継続できるようなタイミングとなっている。
フィルタプレスによって濾過されたSS濃度の低い再生クーラントは、再生クーラント循環パイプ862を介してクリーン槽710に供給される。クリーン槽710に溜まったSS濃度の低い再生クーラントは、堰711を介して中間槽720に一部流れ込む。
これにより、中間槽720にはSS濃度が十分低くなったリサイクルクーラントが溜められる。この溜められたリサイクルクーラントを、開閉弁Vを開放することでポンプPによって発生させた圧力を介してリサイクルクーラント供給パイプ920,921,922,923を介してクーラント供給パイプ911,912,913に供給した後、各ワイヤソー600に供給される。なお、リサイクルクーラント供給パイプ920には流量計FS、圧力計PSが備わっており、各フィルタプレス800が正常に動作しているかを常に監視している。
なお、シリコンのインゴットをワイヤソー600で切断した後、ワイヤを抜く際はクリーン槽からSS濃度のより低い再生クーラントを、開閉弁Vを開放することでポンプPによって発生させた圧力を介して再生クーラント供給パイプ930,931,932,933に供給した後、クーラント供給パイプ911,912,913を介して各ワイヤソー600に供給する。
以上のように、中間槽720からの再生クーラントのワイヤソー600への供給とクリーン槽710からリサイクルクーラントへのワイヤソー600への供給の切り替えは、リサイクルクーラント供給パイプ921,922,923や再生クーラント供給パイプ931,932,933のワイヤソー600側に設けた開閉弁Vを適宜切り替えることによって実施する。
以上説明したように、クリーン槽710からの再生クーラント供給パイプ930に流量計FS及び圧力計PSが備わっている。また、クリーン槽710からの再生クーラント供給パイプ930及び中間槽720からのリサイクルクーラント供給パイプ920とが合流した後、ワイヤソー600に至るまで設けられたリサイクルクーラント供給パイプ920にも流量計FS及び圧力計PSが備わっている。
これによって各クーラント供給パイプに備わった流量計及び圧力計の出力を例えばそれぞれ図示しないPLCや集中制御コントローラによって管理し、適正なリサイクルクーラント量でない場合はフィルタプレス810,820の何れか若しくは双方が故障したか、各供給パイプにクーラント漏れなどの異常が生じたか等の判断を行ない、警報を発する。
続いて、以上説明した本発明に係るワイヤソーのクーラント管理システムの、従来例に対する優位性について以下に再確認する。
シリコンウエハの低価格化の流れに適応するために構成が簡易で廉価な遠心分離機とフィルタを備えたワイヤソーのクーラント管理システムとすると、リサイクルクーラントのSS濃度を十分に低下させることができなくなる。その結果、以下のような様々な不都合な点が生じる。
具体的には、シリコンウエハの製造工程は、上述したシリコンインゴットから多数のシリコンウエハへのワイヤソーによる切断の後に、下流工程として、粗洗浄、詰め替え、仕上げ洗浄、外観検査等の各工程がある。
一方、上述のワイヤソーによる切断工程の最終段階に行うワイヤ抜き時に、インゴット切断時のクーラントをかけながらワイヤを引き抜くと、シリコンウエハの切断面にシリコンの切削屑がある程度付着してしまう。そのため、このような切削屑をシリコンウエハの切断面から確実に除去するため、次なる工程である粗洗浄工程を、多数の洗浄槽を直列的に配置した大掛かりな構成とする必要が生じていた。そのため、粗洗浄工程の省スペース化を図ることができなかったり、この工程の設備コストが高くついたりしていた。しかしながら、本発明によると、このような不都合が生じるのを極力抑えることができる。
また、シリコンウエハの切断面から完全に切削屑を除去しないと、詰め替えや外観検査にてシリコンウエハを搬送する際に搬送路中でいわゆるジャミングと呼ばれるシリコンウエハのつまりが生じて、製品前のシリコンウエハを破損させてしまう虞があった。しかしながら、本発明によると、このような不都合が生じるのを極力抑えることができる。
また、ワイヤ抜き時に可能な限り切削屑を除去しておかないと、このような粗洗浄工程、仕上げ洗浄工程においてどうしても除去しきれない切削屑が残り、最終工程である部品の外観検査ではじかれて、製品の歩留まりを低下させてしまうことが見受けられた。しかしながら、本発明によると、このような不都合が生じるのを極力抑えることができる。
なお、上述した実施形態においては、半導体のインゴットとしてシリコンを用いたが、本発明は、その加工対象物の材料に関してシリコンに限定されず、サファイアや炭化珪素等の半導体からなるインゴットを切断して一度に複数のウエハを製造する場合にも適用可能である。
また、本発明では、ワイヤソーの台数やフィルタプレスの台数が1台であってもその作用を発揮することができる。同様にワイヤソーの台数が2台若しくは4台以上、フィルタプレスの台数が3台以上であっても本発明の作用を発揮することができる。
また、リサイクルクーラントの特性計測に際して、流量、温度、圧力、密度、粘度、pHの少なくとも1つを計測すれば本発明の作用を発揮することが可能となる。
110,120,130(100) ワイヤソー
111,112,113 クーラント槽
151,152,153(150) 使用済みクーラント回収パイプ
200 リサイクルクーラント槽
210 クリーン槽
211 堰
230 ダーティ槽
250 新液槽
310,320(300) フィルタプレス
351,352 使用済みクーラント循環パイプ
353 未再生クーラント戻しパイプ
362,363 再生クーラント循環パイプ
364,365 未再生クーラント戻しパイプ
411,412,413 クーラント供給パイプ
420 リサイクルクーラント供給パイプ
421,422,423 分岐パイプ
425,426,427 リサイクルクーラント供給パイプ
431,432,433(430) 再生クーラント供給パイプ
471,472 フィルタプレスパイプ
473,474 エア供給パイプ
481 新クーラント供給パイプ
610,620,630(600) ワイヤソー
611,612,613 クーラント槽
651,652,653(650) 使用済みクーラント回収パイプ
700 リサイクルクーラント槽
710 クリーン槽
711 堰
720 中間槽
730 ダーティ槽
731 堰
750 新液槽
810,820(800) フィルタプレス
851 使用済みクーラント循環パイプ
852 未再生クーラント戻しパイプ
862 再生クーラント循環パイプ
911,912,913 クーラント供給パイプ
921,922,923(920) リサイクルクーラント供給パイプ
931,932,933(930) 再生クーラント供給パイプ
FS 流量計
P ポンプ
PS 圧力計
V 開閉弁

Claims (7)

  1. 半導体のインゴットから厚さの薄い半導体ウエハを複数枚製造する固定砥粒方式のワイヤソーのクーラント管理システムであって、
    前記インゴットを前記ワイヤソーによって切断した際に使用したクーラントの少なくとも一部を、そのSS濃度を低下させてリサイクルクーラントとして前記ワイヤソーによるインゴット切断に再び使用するリサイクルクーラント循環流路を備え、かつ前記リサイクルクーラント循環流路の途中に前記使用済みクーラントのSS濃度を低下させたリサイクルクーラントを生成するフィルタプレスを備えたことを特徴とするワイヤソーのクーラント管理システム。
  2. 前記ワイヤソーのクーラント管理システムには、使用済みのクーラントの少なくとも一部を溜めて再利用するためのリサイクル槽が備わり、前記リサイクル槽は、前記フィルタプレスによってSS濃度の低下した再生クーラントが流れ込むクリーン槽と、再使用されたクーラントをそのまま溜めるダーティ槽とを有していることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤソーのクーラント管理システム。
  3. 前記クリーン槽とダーティ槽との間は一部連通し、前記クリーン槽に溜まった再生クーラントが前記連通した部分を介して隣接するダーティ槽に一部流れ込むようになったことを特徴とする、請求項2に記載のワイヤソーのクーラント管理システム。
  4. 前記ワイヤソーのクーラント管理システムには、使用済みクーラントの少なくとも一部を溜めて再利用するためのリサイクル槽が備わり、前記リサイクル槽は再使用されたクーラントをそのまま溜めるダーティ槽と、前記ダーティ槽と一部連通し当該ダーティ槽の使用済みクーラントが前記連通した部分を介して一部流れ込む中間槽と、前記中間槽と一部連通したクリーン槽とが備わり、前記使用済みクーラントの少なくとも一部が前記フィルタプレスによってSS濃度の低下した再生クーラントとなって前記クリーン槽に流れ込むようになっており、かつ前記クリーン槽に溜まった再生クーラントが前記連通した部分を介して隣接する中間槽に一部流れ込んで使用済みクーラントと再生クーラントの混合物であるリサイクルクーラントが前記中間槽に溜まるようになったことを特徴とする、請求項1に記載のワイヤソーのクーラント管理システム。
  5. 前記リサイクルクーラントが供給されるワイヤソーが少なくとも2つ以上備わっていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のワイヤソーのクーラント管理システム。
  6. 前記フィルタプレスは、少なくとも2台のフィルタプレスからなり、各フィルタプレスが前記使用済みクーラントの少なくとも一部を流す流路の並列に配置された部分にそれぞれ備わり、かつ各フィルタプレスが、前記ワイヤソーの動作中において使用済みクーラントをリサイクルクーラントにして当該ワイヤソーに再供給可能な能力を備えたことを特徴とする、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のワイヤソーのクーラント管理システム。
  7. 前記リサイクルクーラント循環流路の途中には、当該リサイクルクーラントの循環流路内の流量、温度、圧力、密度、粘度、pHの少なくとも何れか1つを測定する測定機器が備わっていることを特徴とする、請求項1乃至請求項6の何れかに記載のワイヤソーのクーラント管理システム。
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