JP2012036739A - シリンダブロックおよびシリンダブロックの製造方法 - Google Patents

シリンダブロックおよびシリンダブロックの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】チェーンケース一体型のシリンダブロックにおいて、厚肉化による鋳造欠陥などの発生を抑制できるようにすること。
【解決手段】気筒12の周囲にウォータージャケット13が形成され、タイミングチェーン41の収容スペース31が内部に一体成形されるシリンダブロック10において、ウォータージャケット13と収容スペース31との間に設けられた壁部11aを貫通するように冷却水通路80が形成されている。冷却水通路80は、ウォーターポンプからの冷却水が流入され、ウォータージャケット13に連通される入口側通路83と、外部へ冷却水が流出される出口側通路84とを備えている。そして、入口側通路83の断面積は、出口側通路84の断面積よりも大きくされている。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関のシリンダブロックおよびその製造方法に関し、詳細には、タイミングチェーンの収容スペースが内部に一体成形されるシリンダブロックおよびその製造方法に関する。
車両などに搭載される内燃機関(エンジン)においては、クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するためにタイミングチェーンが用いられる。そして、タイミングチェーンを保護したり、動力伝達を円滑にする潤滑油(オイル)が外部へ飛散することを防止したりするために、タイミングチェーンは箱状の収容スペース(「チェーンケース」とも言う。)に収容される。従来では、シリンダブロックおよびシリンダヘッドの気筒列方向、つまり、クランクシャフトが延びる方向の一方側(エンジンフロント側)に別体のチェーンカバーを取り付けることで、上下それぞれに開放されるチェーンケースを形成し、このチェーンケースにタイミングチェーンを収容していた。
ところが、最近では、内燃機関のシリンダブロックとして、例えば、特許文献1,2に示されるように、チェーンケースが内部に一体成形されるシリンダブロック(「チェーンケース一体型のシリンダブロック」とも言う。)も知られている。チェーンケース一体型のシリンダブロックは、例えば、アルミニウム合金などのダイキャストによって製造され、鋳造の際、成形用金型(鋳型)が上下それぞれに型抜きされる(鋳抜かれる)ことによってチェーンケースが成形される。
特開2005−344699号公報 実開平7−17936号公報
しかし、従来のチェーンケース一体型のシリンダブロックにおいては、引け巣などの鋳造欠陥が発生しやすいという問題があった。具体的には、チェーンケースを形成する外壁がエンジンフロント側に設けられているので、シリンダブロックの鋳造の際、エンジンフロント側からの鋳抜きを行うことが困難となっていた。このため、気筒の周囲に形成されるウォータージャケットと、チェーンケースとの間に設けられる壁部が厚肉化する可能性がある。具体的には、ヘッドボルトが締め付けられる雌ねじ穴の下方の領域が厚肉化する可能性があり、これに起因して引け巣などの鋳造欠陥が発生しやすくなることが懸念されていた。また、そのような鋳造欠陥に起因してメインギャラリ(メインオイルホール)のオイルが他の部位に漏れる、いわゆる内部漏れが発生することが懸念されていた。
本発明は、そのような問題点に鑑みてなされたものであり、チェーンケース一体型のシリンダブロックにおいて、厚肉化による上記のような不具合の発生を抑制できるようにすることを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、シリンダブロックであって、気筒の周囲にウォータージャケットが形成され、タイミングチェーンの収容スペースが内部に一体成形されている。そして、上記ウォータージャケットと収容スペースとの間に設けられた壁部を貫通するように冷却水通路が形成され、上記冷却水通路は、ウォーターポンプからの冷却水が流入され、上記ウォータージャケットに連通される上流側通路と、外部へ冷却水が流出される下流側通路とを備え、上記上流側通路の断面積は、上記下流側通路の断面積よりも大きくされていることを特徴としている。
上記構成によれば、ウォータージャケットとタイミングチェーンの収容スペースとの間に設けられた壁部を貫通するように冷却水通路が設けられるので、その壁部が厚肉化することが抑制される。これにより、チェーンケース一体型のシリンダブロックにおいて、厚肉化による引け巣などの鋳造欠陥の発生を抑制することができる。また、そのような鋳造欠陥に起因する内部漏れの発生を抑制することができる。
しかも、ウォータージャケットとの連通部よりも冷却水流れの上流側に設けられる上流側通路の断面積が、連通部よりも冷却水流れの下流側に設けられる下流側通路の断面積よりも大きくされているので、シリンダブロックの冷却に必要な流量の冷却水を上流側通路からウォータージャケットに確実に供給することが可能になる。また、下流側通路は、上流側通路に対してウォータージャケットと並列に設けられているため、下流側通路には、ウォータージャケットに供給されなかった冷却水が流入される。したがって、下流側通路には、上流側通路からの冷却水が直接流入されるので、低温の冷却水を、シリンダブロックの外部に設けられる各種デバイス(例えば、オイルクーラ、EGRクーラなど)に供給することができ、各種デバイスの冷却効率を高めることができる。
本発明のシリンダブロックにおいて、上記冷却水通路は、ヘッドボルトが締め付けられる雌ネジ穴の下方に設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、チェーンケース一体型のシリンダブロックにおいて、従来では特に懸念されていた雌ねじ穴の下方の領域の厚肉化を効果的に抑制することができ、これに起因する引け巣などの鋳造欠陥を効果的に抑制できる。
ここで、冷却水通路は、シリンダブロックに設けられる呼吸孔や、オイルギャラリを避けて配置することが好ましい。具体的には、呼吸孔よりも上方に冷却水通路を配置し、メインギャラリよりも上方に冷却水通路の下流側通路を配置することが好ましい。また、ウォータージャケットのタイミングチェーンの収容スペース側の部分には、それ以外の部分に比べて深く形成された深底部が設けられ、上記深底部が、上記冷却水通路に連通されていることが好ましい。
本発明のシリンダブロックにおいて、上記上流側通路と、下流側通路と、ウォータージャケットとは、それぞれ別の成形用金型によって成形され、上記上流側通路を成形する第1の成形用金型が、水平方向の一方へ型抜きされ、上記下流側通路を成形する第2の成形用金型が、水平方向の他方へ型抜きされ、上記ウォータージャケットを成形する第3の成形用金型が、上方へ型抜きされることで、上記上流側通路と、下流側通路と、ウォータージャケットとがそれぞれ形成されることが好ましい。より具体的には、上記第1〜第3の成形用金型は、相互に隙間を隔てた状態で型組みされ、この型組み状態では、上記第1の成形用金型は、上記第3の成形用金型のうち上記深底部を成形する部分の下方側に、水平方向に延びる第1の隙間を隔てるとともに、上記深底部を成形する部分の水平方向の一方側に、上記第1の隙間の水平方向の一端に連続する第2の隙間を隔てて配置され、上記第2の成形用金型は、上記第1の成形用金型および上記第3の成形用金型の上記深底部を成形する部分の水平方向の他方側に、上記第1の隙間の水平方向の他端に連続する第3の隙間を隔てて配置されることが好ましい。
上記構成によれば、シリンダブロックの鋳造後、第1の隙間に対応する位置に形成された第1の膜に対し、水平方向の一端から他端にわたって貫通孔を形成するようにドリル加工を行うことによって、上流側通路と下流側通路とウォータージャケットの深底部とを1度の加工で連通させることができる。つまり、第2、第3の隙間に対応する位置に形成された第2、第3の膜が、第1の膜の水平方向の両端に形成されるため、第1の膜を切削しようとすると、第2、第3の膜も併せて切削されることになり、1度の加工だけで第1〜第3の膜を全て貫通させることができる。
この場合、第1の膜を切削して形成された水平方向に延びる貫通孔が、上流側通路とウォータージャケットの深底部とを連通する連通部となる。また、第3の膜を切削して形成された貫通孔が、上流側通路と下流側通路とを連通する連通部となる。そして、上流側通路とウォータージャケットの深底部とを連通する連通部は、第1の膜の左右方向の一端から他端にわたって形成されるので、この連通部の開口面積は、上流側通路と下流側通路とを連通する連通部の開口面積よりも大きくなる。これにより、比較的大きな冷却水量が必要とされるウォータージャケットへの連通部の開口面積を大きく形成しながら、比較的小さな冷却水量で済むシリンダブロックの外部に設けられる各種デバイス(例えば、オイルクーラ、EGRクーラなど)への連通部の開口面積を小さく形成することができる。したがって、1度の加工だけで、要求される冷却水量に応じた2種類の連通部を形成することができる。
また、本発明は、気筒の周囲にウォータージャケットが形成され、タイミングチェーンの収容スペースが内部に一体成形されるシリンダブロックの製造方法であって、シリンダブロックには、上記ウォータージャケットと収容スペースとの間に設けられた壁部を貫通するように冷却水通路が形成され、上記ウォータージャケットの上記収容スペース側の部分には、それ以外の部分に比べて深く形成された深底部が設けられ、上記冷却水通路は、ウォーターポンプからの冷却水が流入され、上記ウォータージャケットの上記深底部に連通される上流側通路と、外部へ冷却水が流出される下流側通路とを備えており、シリンダブロックの鋳造の際、上記上流側通路と、下流側通路と、ウォータージャケットとを、それぞれ別の成形用金型によって成形し、上記上流側通路を成形する第1の成形用金型を、水平方向の一方へ型抜きし、上記下流側通路を成形する第2の成形用金型を、第1の成形用金型の型抜き方向とは反対方向へ型抜きし、上記ウォータージャケットを成形する第3の成形用金型を、上方へ型抜きすることで、上記上流側通路と、下流側通路と、ウォータージャケットとを、シリンダブロックにそれぞれ形成することを特徴としている。このようにして製造されるシリンダブロックによれば、上述した本発明のシリンダブロックと同様の効果を得ることができる。
そして、上記第1〜第3の成形用金型を、相互に隙間を隔てた状態で型組みし、この型組み状態では、上記第1の成形用金型を、上記第3の成形用金型のうち上記深底部を成形する部分の下方側に、水平方向に延びる第1の隙間を隔てるとともに、上記深底部を成形する部分の水平方向の一方側に、上記第1の隙間の水平方向の一端に連続する第2の隙間を隔てて配置し、上記第2の成形用金型を、上記第1の成形用金型および上記第3の成形用金型の上記深底部を成形する部分の水平方向の他方側に、上記第1の隙間の水平方向の他端に連続する第3の隙間を隔てて配置することを特徴としている。このようにして製造されるシリンダブロックによれば、上述した本発明のシリンダブロックと同様の効果を得ることができる。
本発明のシリンダブロックの製造方法において、シリンダブロックの鋳造後、上記第1の隙間に対応する位置に形成された膜に対し、水平方向の一端から他端にわたって貫通孔を形成するようにドリル加工を行うことが好ましい。ここで、上記ウォータージャケットと、シリンダブロックの外部に設けられる各種デバイスとにそれぞれ要求される冷却水量に応じて、上記ドリル加工に用いるドリルの径および上記第3の成形用金型のうち上記深底部を成形する部分の水平方向の幅を設定することが好ましい。もしくは、上記ウォータージャケットと、シリンダブロックの外部に設けられる各種デバイスとにそれぞれ要求される冷却水量に応じて、上記ドリル加工に用いるドリルの径およびドリル加工の回数を設定することが好ましい。
本発明によれば、ウォータージャケットとタイミングチェーンの収容スペースとの間に設けられた壁部を貫通するように冷却水通路が設けられるので、その壁部が厚肉化することが抑制される。これにより、チェーンケース一体型のシリンダブロックにおいて、厚肉化による引け巣などの鋳造欠陥の発生を抑制することができる。
本発明を適用するシリンダブロックを備えた内燃機関の概略構成を示す断面図である。 図1のシリンダブロックの概略構成を示す斜視図である。 図2のシリンダブロックに形成される冷却水通路の断面構造を示す斜視図である。 図2のX1−X1線断面図である。 図2のX2−X2線断面図である。 図2のX3−X3線断面図である。 シリンダブロックの鋳造の際、成形用金型が型組みされた状態を示し、図2のX4−X4線に相当する線で切断したときの断面を示す図である。 図7の状態の後、成形用金型によって形成されるキャビティ内に溶湯が供給された状態を示し、図2のX4−X4線に相当する線で切断したときの断面を示す図である。 図8の状態の後、成形用金型が型抜きされた状態を示し、図2のX4−X4線に相当する線で切断したときの断面を示す図である。 図9の状態の後、冷却水通路を貫通させる加工が行われた状態を示し、図2のX4−X4線に相当する線で切断したときの断面を示す図である。
本発明を具体化した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
まず、本発明を適用するシリンダブロックを備えた内燃機関の概略構成について説明する。図1では、内燃機関として、直列4気筒のエンジン1を例示している。
図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロック10と、シリンダヘッド50とを備えている。シリンダヘッド50は、シリンダブロック10の上方に配置され、図示しないヘッドボルトによってシリンダブロック10に締結されている。シリンダヘッド50の上部には、ヘッドカバー60が固定されている。また、シリンダブロック10の下部には、オイルパン70が設けられている。
図1、図2に示すように、シリンダブロック10は、複数(この例では4つ)の気筒12が設けられるブロック本体11と、タイミングチェーン41の収容スペース31を形成する外壁30とが一体形成された構成となっている。外壁30は、シリンダブロック10の気筒列方向の一方側(エンジンフロント側)に設けられている。シリンダブロック10は、例えば、アルミニウム合金などのダイキャストによって製造される。
シリンダブロック10のブロック本体11には、各気筒12の周囲にはウォータージャケット13が設けられている。ウォータージャケット13の頂面は、上方に開放されている。そして、ウォータージャケット13は、シリンダヘッド50の内部に形成されるヘッド側のウォータージャケットに連通されている。
各気筒12には、ピストン14が往復移動可能に挿入されている。ピストン14は、コネクティングロッド15を介してクランクシャフト16に連結されている。なお、ピストン14が往復移動する方向を上下方向(図2のz軸方向)とし、また、上下方向、および、気筒列方向(図2のx軸方向)に直交する方向を左右方向(図2のy軸方向)とする。
クランクシャフト16は、シリンダブロック10の下端部に回転自在に支持されている。具体的には、図1に示すように、ブロック本体11の各気筒12の下側には、クランクシャフト16のジャーナル部16aを回転自在に支持するための隔壁17が、気筒列方向に所定間隔離れてそれぞれ設けられている。隔壁17の下面には、クランクキャップ18がボルト等で取り付けられており、隔壁17とクランクキャップ18とによって、クランクシャフト16のジャーナル部16aが挟まれるようになっている。隔壁17およびクランクキャップ18と、ジャーナル部16aとの間には、すべり軸受としてのメタル19が介在されている。また、隣り合う隔壁17,17同士の対向空間、つまり、クランク室20には、クランクシャフト16のクランクピン16bとバランスウェイト16cとが配置されている。
クランクシャフト16の一端部(図1では左端部)には、クランクスプロケット22と、図示しないオイルポンプを駆動するためのオイルポンプ用スプロケット23とが回転一体に取り付けられている。クランクシャフト16の一端には、図示しない補機類を駆動するためのクランクプーリ25が取り付けられている。また、図2、図5に示すように、ブロック本体11の複数箇所には、シリンダヘッド50を締結するためのヘッドボルトがねじ込まれる雌ねじ穴26が形成されている。
図1、図3、図4に示すように、ブロック本体11には、ピストン14の往復運動にともなうクランク室20の圧力変化を緩和するための呼吸孔21が設けられている。呼吸孔21は、隔壁17のジャーナル部16aを支持する部分よりも上方に設けられている。呼吸孔21は、隔壁17の厚み方向に貫通するように形成されている。呼吸孔21によって、隣り合うクランク室20,20間が互いに連通されるとともに、1番気筒(最もエンジンフロント側に配置された気筒)のクランク室20と、タイミングチェーン41の収容スペース31とが連通されている。ピストン14の往復運動にともなって各気筒12のクランク室20間に圧力差が生じると、呼吸孔21を介して圧力の高い側から低い側へ気体が移動することで、その圧力差が低減されるようになっている。
この実施形態では、ブロック本体11に4つの気筒12が直列に設けられることから、呼吸孔21は、ブロック本体11に4つ設けられている。具体的には、呼吸孔21は、隣り合う気筒12間の隔壁17、および、ウォータージャケット13とタイミングチェーン41の収容スペース31との間に設けられる隔壁17に設けられている。4つの呼吸孔21は、相互に同一の形状(例えば円形)とされ、気筒列方向に沿って同一の直線上に配置されている。
また、図3、図4に示すように、ブロック本体11には、オイルポンプによって圧送されるオイルが流通されるメインギャラリ(メインオイルホール)24が形成されている。オイルポンプにて昇圧されたオイルが、メインギャラリ24を介してエンジン1の被潤滑部に供給されるようになっている。メインギャラリ24は、気筒列方向に沿って延びている。また、メインギャラリ24は、呼吸孔21よりも上方に設けられている。
図2に示すように、シリンダブロック10の外壁30は、ブロック本体11と対向して配置される板状の外壁部32と、ブロック本体11と外壁部32とをつなぐ一対の板状の連結部33,33とを備えている。外壁部32は、上下方向に直交する平面で切断した断面形状が、左右方向に延びるような形状とされている。外壁部32は、左右方向の両端部でこの外壁部32と直交する方向に延びる連結部33にそれぞれ接続されている。各連結部33は、上下方向に直交する平面で切断した断面形状が、気筒列方向に延びるような形状とされている。
このような外壁30がブロック本体11のエンジンフロント側に一体的に設けられることによって、タイミングチェーン41の収容スペース31が形成される。収容スペース31は、シリンダブロック10の鋳造の際、成形用金型が上下それぞれに型抜きされることによって形成される。図1に示すように、収容スペース31は、上下にそれぞれ開放された空間となっており、シリンダヘッド50に設けられるタイミングチェーン41の収容スペース51と連通されている。そして、タイミングチェーン41が、シリンダブロック10およびシリンダヘッド50にわたって形成された収容スペース31,51に収容されている。
ここで、タイミングチェーン41を駆動するタイミングチェーン駆動機構について説明する。図1に示すように、シリンダヘッド50には、吸気カムシャフト52が設けられている。吸気カムシャフト52の一端部には、吸気カムスプロケット53が回転一体に設けられている。また、クランクシャフト16の一端部には、クランクスプロケット22が回転一体に設けられている。タイミングチェーン41は、吸気カムスプロケット53およびクランクスプロケット22に巻き掛けられている。タイミングチェーン41によって、クランクスプロケット22の駆動回転を吸気カムスプロケット53に伝達することで、動弁装置を駆動するようになっている。なお、タイミングチェーン駆動機構には、図示しないチェーンテンショナ装置およびチェーンガイドが設けられている。チェーンテンショナ装置は、タイミングチェーン41の弛み側に配置され、チェーンガイドは、タイミングチェーン41の張り側に配置されるようになっている。
この実施形態では、図3、図4に示すように、シリンダブロック10には、ブロック本体11を左右方向に貫通する冷却水通路80が設けられている。以下、この冷却水通路80の構造について詳しく説明する。なお、図4には、図3のブロック本体11の切断面を示している。
図2〜図6に示すように、冷却水通路80は、ブロック本体11において、ウォータージャケット13と、タイミングチェーン41の収容スペース31との間に設けられる壁部11aに設けられている。つまり、冷却水通路80は、ブロック本体11の最も収容スペース31寄りの(エンジンフロント側の)壁部11aに設けられている。
図4に示すように、冷却水通路80の一端(図4では右端)は、図示しないウォーターポンプからの冷却水を冷却水通路80に導入する冷却水導入口81とされている。冷却水通路80の他端(図4では左端)は、冷却水通路80の冷却水を外部へ流出する冷却水流出口82とされている。冷却水流出口82から流出された冷却水は、シリンダブロック10の外部に設けられる図示しない各種デバイス(例えば、オイルクーラ、EGRクーラなど)へ供給されるようになっている。つまり、冷却水流出口82は、各種デバイスへの冷却水の供給口となっている。
より詳細には、冷却水通路80は、冷却水導入口81側の入口側通路83と、冷却水流出口82側の出口側通路84とが、接続された構成とされている。入口側通路83は、冷却水導入口81から左右方向の他方側(図4では左側)へ向けて延びており、その他端部において、出口側通路84と連通されている。出口側通路84は、冷却水流出口82から左右方向の一方側(図4では右側)へ向けて延びており、その一端部において、入口側通路83と連通されている。入口側通路83と出口側通路84との連通部85は、ブロック本体11の左右方向の中央位置よりも冷却水流出口82側に位置している。そして、入口側通路83の左右方向の長さが、出口側通路84の左右方向の長さよりも大きくされている。連通部85は、例えばドリル加工によって形成される。なお、図4では、ドリル加工による連通部85の加工跡を1点鎖線で示している。
図5、図6に示すように、入口側通路83は、断面形状が略矩形とされている。出口側通路84は、断面形状が略円形とされている。図4に示すように、入口側通路83には、左右方向の途中に段差部83cが設けられており、入口側通路83の断面積は、左右方向の途中で変化している。そして、入口側通路83の冷却水導入口81側の部分(段差部83cの右側の部分)83aの断面積よりも、連通部85側の部分(段差部83cの左側の部分)83bの断面積が小さくされている。出口側通路84の断面積は、入口側通路83の連通部85側の部分83bの断面積よりも小さくされている。
図5に示すように、冷却水通路80は、ヘッドボルト用の雌ねじ穴26よりも下方に設けられている。また、図4に示すように、冷却水通路80は、呼吸孔21およびメインギャラリ24を避けて配置されている。具体的には、図4、図6に示すように、入口側通路83は、呼吸孔21よりも上方に設けられている。図4に示すように、出口側通路84は、メインギャラリ24よりも上方に設けられている。より詳細には、図5に示すように、入口側通路83の上端83eおよび出口側通路84の上端84aは、雌ねじ穴26よりも下方に位置している。また、図4に示すように、入口側通路83の下端83fは、呼吸孔21よりも上方であって、メインギャラリ24と略同じ高さに位置している。出口側通路84の下端84bは、呼吸孔21およびメインギャラリ24よりも上方に位置している。さらに、入口側通路83の左端83gは、メインギャラリ24よりも右方であって、呼吸孔21よりも左方に位置している。出口側通路84の右端84cは、メインギャラリ24よりも左方であって、呼吸孔21よりも右方に位置している。
図4、図6に示すように、入口側通路83は、各気筒12の周囲に設けられるウォータージャケット13に連通されている。具体的には、図6に示すように、ウォータージャケット13のエンジンフロント側の部分、つまり、タイミングチェーン41の収容スペース31側の部分には、それ以外の部分に比べて深く形成された深底部13aが設けられている。図4に示すように、深底部13aの下端13bは、入口側通路83の上端83eおよび出口側通路84の上端84aよりも下方に位置している。また、深底部13aの下端13bは、入口側通路83の下端83fおよび出口側通路84の下端84bよりも上方に位置している。入口側通路83の左端83gは、深底部13aの左端13cと略同じ位置まで延びている。
この実施形態では、深底部13aは、入口側通路83の連通部85側の部分83bの上方に設けられており、深底部13aの下端部と、入口側通路83の連通部85側の部分83bの上端部とが連通部86を介して連通されている。つまり、入口側通路83の連通部85側の部分83bの上面の高さを、冷却水導入口81側の部分83aの上面の高さよりも低くすることによって、連通部85側の部分83bを深底部13aの下方に配置させている。連通部86は、ウォータージャケット13への冷却水の供給口となっている。連通部86は、例えばドリル加工によって形成される。連通部86の開口面積は、連通部85の開口面積よりも大きくされている。なお、図4では、ドリル加工による連通部86の加工跡を1点鎖線で示している。
ウォーターポンプから送られる冷却水が冷却水導入口81を介して冷却水通路80に導入されると、冷却水は、冷却水通路80の入口側通路83を流れた後、ウォータージャケット13の深底部13aと、出口側通路84とに分流される。入口側通路83を流れてきた冷却水は、連通部86を介してウォータージャケット13の深底部13aへ流出されるとともに、連通部85を介して出口側通路84へ流出される。
連通部86を介してウォータージャケット13の深底部13aに流入された冷却水は、気筒12の周囲のウォータージャケット13に供給される。そして、冷却水通路80を流れる冷却水、および、連通部86を介してウォータージャケット13に供給された冷却水によって、ブロック本体11が冷却される。この場合、冷却水通路80のうち、ウォータージャケット13の深底部13aとの連通部86よりも冷却水流れの上流側に設けられる入口側通路83の断面積は、連通部86よりも冷却水流れの下流側に設けられる出口側通路84の断面積よりも大きくされているので、ブロック本体11の冷却に必要な流量の冷却水を入口側通路83からウォータージャケット13に確実に供給することが可能になる。
一方、連通部85を介して出口側通路84に流入された冷却水は、冷却水流出口82を経て、シリンダブロック10およびシリンダヘッド50を除く各種デバイスに供給されるようになっている。この場合、出口側通路84は、入口側通路83に対してウォータージャケット13と並列に設けられているため、出口側通路84には、ウォータージャケット13に供給されなかった冷却水が流入される。したがって、出口側通路84には、入口側通路83からの冷却水が直接流入されるので、シリンダブロック10の外部に設けられる各種デバイスに低温の冷却水を供給することができ、各種デバイスの冷却効率を高めることができる。
また、上述したように、ウォータージャケット13とタイミングチェーン41の収容スペース31との間に設けられる壁部11aを貫通するように冷却水通路80が設けられているので、チェーンケース一体型のシリンダブロック10において、引け巣などの鋳造欠陥の発生を抑制することができる。この実施形態では、冷却水通路80が雌ねじ穴26の下方に設けられているので、雌ねじ穴26の下方の領域が厚肉化することが抑制される。したがって、雌ねじ穴26の下方の領域において、厚肉化による引け巣などの鋳造欠陥の発生を抑制することができる。また、そのような鋳造欠陥に起因する内部漏れの発生、つまり、メインギャラリ24のオイルが他の部位に漏れることを抑制することができる。
次に、上記構成の冷却水通路80をシリンダブロック10に形成する手順について説明する。
まず、図7に示すように、シリンダブロック10の鋳造の際、成形用金型の型組みを行う型組み工程が行われる。この型組み工程の後、図8に示すように、成形用金型によって形成されたキャビティ内にアルミニウム合金などの溶湯を供給する供給工程が行われる。そして、供給された溶湯の冷却後、図9に示すように、成形用金型を型抜きする型抜き工程が行われる。この型抜き工程の後、図10に示すように、シリンダブロック10に対してドリル加工などにより冷却水通路80を貫通させる加工工程が行われる。以下、各工程について具体的に説明する。
なお、図7〜図10は、図2のX4−X4線に相当する線で切断したときの断面を示している。また、図7、図8では、第1〜第3の成形用金型110,120,130およびその周辺部分だけを示し、図9、図10では、第1〜第3の成形用金型110,120,130によって成形されるシリンダブロック10の凹部およびその周辺部分だけを示している。
まず、型組み工程では、図7に示すように、シリンダブロック10に冷却水通路80を形成するために、第1〜第3の成形用金型110,120,130が用いられる。具体的には、冷却水通路80の入口側通路83を成形する第1の成形用金型110と、冷却水通路80の出口側通路84を成形する第2の成形用金型120と、ウォータージャケット13を成形する第3の成形用金型130とが用いられる。
第1の成形用金型110は、冷却水通路80の入口側通路83に応じた形状とされている。第1の成形用金型110は、左右方向に直交する平面で切断したときの断面形状が略矩形とされており、左右方向の途中で段差のある形状とされている。第1の成形用金型110の断面積は、左右方向の途中で変化しており、右側の部分111の断面積が、左側の部分112の断面積よりも大きくされている。
具体的には、第1の成形用金型110の下面113は、段差のない平面とされている。一方、第1の成形用金型110の上面には、左右方向の中間部に段差部114が設けられている。そして、第1の成形用金型110の上下方向の幅が、段差部114の右側の部分111よりも、段差部114の左側の部分112のほうが大きくされている。また、第1の成形用金型110の気筒列方向の幅は、左右方向の一端から他端にわたって略一定とされている。
第2の成形用金型120は、冷却水通路80の出口側通路84に応じた形状とされている。第2の成形用金型120は、左右方向に直交する平面で切断したときの断面形状が略円形とされている。第2の成形用金型120の断面積は、左右方向の一端から他端にわたって略一定とされている。第2の成形用金型120の断面積は、第1の成形用金型110の断面積よりも小さくされている。
第3の成形用金型130は、ウォータージャケット13に応じた形状とされている。図7では、第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131だけを示している。第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の下部131aは、ウォータージャケット13の深底部13aに応じた形状とされている。第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の下面132は、それ以外の部分の下面133(図7では2点鎖線で示す)よりも下方に突出して設けられている。第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の下面132の左右方向の幅は、第1の成形用金型110の段差部114の左側の部分112の左右方向の幅と略同じにされている。
第1〜第3の成形用金型110,120,130は、図7に示すように、型合わせした状態で型組み(位置決め)される。この際、第1〜第3の成形用金型110,120,130は、相互の突き当たりを避けるために、相互に隙間を隔てた状態で型組みされる。
具体的には、第1の成形用金型110の左側の部分112が、第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の下方側に第1の隙間C1を隔てて配置される。つまり、第1の成形用金型110の左側の部分112の上面115と、第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の下面132との間に、第1の隙間C1が設けられる。第1の隙間C1は、左右方向および気筒列方向に延びる空間とされる。
また、第1の成形用金型110の右側の部分111が、第3の成形用金型130の右方に第2の隙間C2を隔てて配置される。つまり、第1の成形用金型110の段差部114の段差面116と、第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の右側面134との間に、第2の隙間C2が設けられる。第2の隙間C2は、上下方向および気筒列方向に延びる空間とされる。第2の隙間C2は、第1の隙間C1の右端に連続して設けられる。このように、第1、第3の成形用金型110,130の型合わせ部に、第1、第2の隙間C1,C2によるL字状の隙間が形成される。
第2の成形用金型120は、第1の成形用金型110および第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の左方に第3の隙間C3を隔てて配置される。つまり、第2の成形用金型120の右端面121と、第1の成形用金型110の左端面117および第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の左側面135との間に、第3の隙間C3が設けられる。第3の隙間C3は、上下方向および気筒列方向に延びる空間とされる。第3の隙間C3は、第1の隙間C1の左端に連続して設けられる。このように、第1〜第3の成形用金型110,120,130の型合わせ部に、第1、第3の隙間C1,C3によるT字状の隙間が形成される。
また、図7の型組み状態では、第1の成形用金型110の右側の部分111の上面118と、第2の成形用金型120の上面122とが、略同じ高さ位置とされる。第1の成形用金型110の左端面117と、第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の左側面135とが、略同じ左右方向の位置とされる。さらに、第1の成形用金型110は、ブロック本体11に形成される呼吸孔21(図7では2点鎖線で示す)よりも上方に配置される。第2の成形用金型120は、ブロック本体11に形成されるメインギャラリ24(図7では2点鎖線で示す)よりも上方に配置される。第1、第2の成形用金型110,120は、ブロック本体11に形成されるヘッドボルト用の雌ねじ穴26(図7では図示せず、図5参照)よりも下方に配置される。
そして、図7に示すように、第1〜第3の成形用金型110,120,130を型組みした後、溶湯の供給工程が行われる。この供給工程では、図8に示すように、アルミニウム合金などの溶湯が供給され、キャビティ内に流し込まれて充填される。このとき、第1〜第3の隙間C1,C2,C3にも溶湯が供給される。そして、溶湯の冷却後、型抜き工程において、図9に示すように、第1〜第3の成形用金型110,120,130の型抜きが行われる。
第1の成形用金型110の型抜き方向は、図8にY1で示すように水平方向の一方(ここでは右方)とされる。この第1の成形用金型110の右方への型抜きによって、シリンダブロック10に冷却水通路80の入口側通路83が成形される。第2の成形用金型120の型抜き方向は、図8にY2で示すように水平方向の他方(ここでは左方)とされる。この第2の成形用金型120の左方向への型抜きによって、シリンダブロック10に冷却水通路80の出口側通路84が成形される。第3の成形用金型130の型抜き方向は、図8にY3で示すように上方とされる。この第3の成形用金型130の上方向への型抜きによって、シリンダブロック10にウォータージャケット13が成形される。
また、図9に示すように、第1、第3の成形用金型110,130の型抜きによって、第1の隙間C1に対応する位置に第1の膜(バリ)141が形成される。第1の膜141は、左右方向および気筒列方向に延びる形状の水平膜とされる。同じく、第1、第3の成形用金型110,130の型抜きによって、第2の隙間C2に対応する位置に第2の膜142が形成される。第2の膜142は、第1の膜141の水平方向の一端(ここでは右端)に連続して設けられており、上下方向および気筒列方向に延びる形状の垂直膜とされる。さらに、第1〜第3の成形用金型110,120,130の型抜きによって、第3の隙間C3に対応する位置に第3の膜143が形成される。第3の膜143は、第1の膜141の水平方向の他端(ここでは左端)に連続して設けられており、上下方向および気筒列方向に延びる形状の垂直膜とされる。
次に、加工工程では、図10に示すように、ドリルなどによって第1〜第3の膜141,142,143を切削して冷却水通路80を貫通させる加工が行われる。この貫通切削加工は、第1の膜141の水平方向の一端から他端にわたって貫通孔を形成するような加工とされる。例えば、出口側通路84側からドリルを第1の膜141と同じ高さで挿入し、そのドリルを第1の膜141と同じ高さを保ったまま水平方向の一方(ここでは右方)へ移動させる。すると、ドリルによって第1〜第3の膜143,141,142が順に切削され、貫通孔153,151,152が形成される。図10の例では、出口側通路84と略同じ径のドリルを用いて貫通切削加工を行っている。
これにより、シリンダブロック10のブロック本体11に左右方向に貫通する冷却水通路80が形成される。この場合、第1の膜141を切削して形成された左右方向に延びる貫通孔151が、入口側通路83とウォータージャケット13の深底部13aとを連通する連通部86となる。また、第3の膜143を切削して形成された円形の貫通孔153が、入口側通路83と出口側通路84とを連通する連通部85となる。図10では、貫通切削孔加工によって除去された第1〜第3の膜141,142,143の加工跡を1点鎖線で示している。なお、入口側通路83側からドリルを挿入して貫通切削加工を行ってもよい。
この実施形態によれば、1度の加工だけで、第1〜第3の膜141,142,143を貫通させ、入口側通路83と出口側通路84とウォータージャケット13の深底部13aとを連通させることができる。つまり、第2、第3の膜142,143が、第1の膜141の左右方向の両端に形成されるため、第1の膜141を切削しようとすると、第2、第3の膜142,143も併せて切削されることになり、1度の加工だけで第1〜第3の膜141,142,143を全て貫通させることができる。
この場合、貫通孔151(連通部86)は、第1の膜141の左右方向の一端から他端にわたって形成されるので、連通部86の開口面積は、第3の膜143を切削して形成される貫通孔153(連通部85)の開口面積よりも大きくなる。これにより、比較的多い冷却水量が必要とされるウォータージャケット13への連通部86の開口面積を大きく形成しながら、比較的少ない冷却水量でも済むシリンダブロックの外部に設けられる各種デバイスへの連通部85の開口面積を小さく形成することができる。したがって、1度の加工だけで、要求される冷却水量に応じた2種類の連通部85,86を形成することができる。
ここで、ウォータージャケット13と、シリンダブロック10の外部に設けられる各種デバイスとにそれぞれ要求される冷却水量に応じて、2種類の連通部86,85の開口面積を設定することが好ましい。詳細には、ウォータージャケット13と、シリンダブロック10の外部に設けられる各種デバイスとにそれぞれ要求される冷却水量に応じて、ドリル加工に用いるドリルの径、および、第3の成形用金型130のエンジンフロント側の部分131の下部131aの左右幅W1(図7参照)を設定すればよい。この点について説明する。
まず、第3の膜143を切削して形成される貫通孔153(連通部85)の開口面積は、ドリルの径に応じて変化する。また、第1の膜141の水平方向の一端から他端にわたって形成される貫通孔151(連通部86)の開口面積は、ドリルの径および第3の成形用金型130の上記左右幅W1に応じて変化する。この場合、ドリルの径は、出口側通路84と同じ径まで大きくすることが可能である。
したがって、ドリルの径および第3の成形用金型130の上記左右幅W1を調整することで、連通部86,85の開口面積の比が調整される。そして、連通部86,85の開口面積の比を調整すると、入口側通路83からウォータージャケット13へ流通される冷却水量と、入口側通路83から出口側通路84に流通される冷却水量との比が調整される。つまり、ウォータージャケット13に供給される冷却水量と、シリンダブロック10の外部に設けられる各種デバイスに供給される冷却水量との比が調整される。そこで、この実施形態では、ウォータージャケット13と、シリンダブロック10の外部に設けられる各種デバイスとにそれぞれ要求される冷却水量に応じて、ドリルの径および第3の成形用金型130の上記左右幅W1を設定し、これにより、適正な冷却水の流量配分が得られるようにしている。
なお、第3の成形用金型130の上記左右幅W1を一定幅とし、ドリルの径の設定のみによって、連通部86,85の開口面積の比を調整することも可能である。この場合、ドリルの径とともにドリル加工の回数を設定することによって、連通部86,85の開口面積の比を調整することが可能であり、ドリル加工の回数を複数回とすることで、連通部86,85の開口面積の比を調整の自由度を高めることが可能である。
本発明は、内燃機関のシリンダブロックであって、タイミングチェーンの収容スペースが内部に一体成形されるものに利用可能である。
10 シリンダブロック
11 ブロック本体
11a 壁部
12 気筒
13 ウォータージャケット
13a 深底部
30 外壁
31 収容スペース
41 タイミングチェーン
80 冷却水通路
83 入口側通路(上流側通路)
84 出口側通路(下流側通路)
86 連通部
110 第1の成形用金型
120 第2の成形用金型
130 第3の成形用金型
C1 第1の隙間
C2 第2の隙間
C3 第3の隙間

Claims (12)

  1. 気筒の周囲にウォータージャケットが形成され、タイミングチェーンの収容スペースが内部に一体成形されるシリンダブロックであって、
    上記ウォータージャケットと収容スペースとの間に設けられた壁部を貫通するように冷却水通路が形成され、
    上記冷却水通路は、ウォーターポンプからの冷却水が流入され、上記ウォータージャケットに連通される上流側通路と、外部へ冷却水が流出される下流側通路とを備え、
    上記上流側通路の断面積は、上記下流側通路の断面積よりも大きくされていることを特徴とするシリンダブロック。
  2. 請求項1に記載のシリンダブロックにおいて、
    上記冷却水通路は、ヘッドボルトが締め付けられる雌ネジ穴の下方に設けられていることを特徴とするシリンダブロック。
  3. 請求項1または2に記載のシリンダブロックにおいて、
    上記冷却水通路は、クランク室の圧力変化を緩和するために設けられた呼吸孔よりも上方に設けられていることを特徴とするシリンダブロック。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のシリンダブロックにおいて、
    上記下流側通路は、オイルポンプによって圧送されるオイルが流通されるメインギャラリよりも上方に設けられていることを特徴とするシリンダブロック。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のシリンダブロックにおいて、
    上記ウォータージャケットの上記収容スペース側の部分には、それ以外の部分に比べて深く形成された深底部が設けられ、上記深底部が、上記冷却水通路に連通されていることを特徴とするシリンダブロック。
  6. 請求項5に記載のシリンダブロックにおいて、
    上記上流側通路と、下流側通路と、ウォータージャケットとは、それぞれ別の成形用金型によって成形され、
    上記上流側通路を成形する第1の成形用金型が、水平方向の一方へ型抜きされ、上記下流側通路を成形する第2の成形用金型が、水平方向の他方へ型抜きされ、上記ウォータージャケットを成形する第3の成形用金型が、上方へ型抜きされることで、上記上流側通路と、下流側通路と、ウォータージャケットとがそれぞれ形成されることを特徴とするシリンダブロック。
  7. 請求項6に記載のシリンダブロックにおいて、
    上記第1〜第3の成形用金型は、相互に隙間を隔てた状態で型組みされ、
    この型組み状態では、上記第1の成形用金型は、上記第3の成形用金型のうち上記深底部を成形する部分の下方側に、水平方向に延びる第1の隙間を隔てるとともに、上記深底部を成形する部分の水平方向の一方側に、上記第1の隙間の水平方向の一端に連続する第2の隙間を隔てて配置され、
    上記第2の成形用金型は、上記第1の成形用金型および上記第3の成形用金型の上記深底部を成形する部分の水平方向の他方側に、上記第1の隙間の水平方向の他端に連続する第3の隙間を隔てて配置されることを特徴とするシリンダブロック。
  8. 気筒の周囲にウォータージャケットが形成され、タイミングチェーンの収容スペースが内部に一体成形されるシリンダブロックの製造方法であって、
    シリンダブロックには、上記ウォータージャケットと収容スペースとの間に設けられた壁部を貫通するように冷却水通路が形成され、
    上記ウォータージャケットの上記収容スペース側の部分には、それ以外の部分に比べて深く形成された深底部が設けられ、
    上記冷却水通路は、ウォーターポンプからの冷却水が流入され、上記ウォータージャケットの上記深底部に連通される上流側通路と、外部へ冷却水が流出される下流側通路とを備えており、
    シリンダブロックの鋳造の際、上記上流側通路と、下流側通路と、ウォータージャケットとを、それぞれ別の成形用金型によって成形し、
    上記上流側通路を成形する第1の成形用金型を、水平方向の一方へ型抜きし、上記下流側通路を成形する第2の成形用金型を、第1の成形用金型の型抜き方向とは反対方向へ型抜きし、上記ウォータージャケットを成形する第3の成形用金型を、上方へ型抜きすることで、上記上流側通路と、下流側通路と、ウォータージャケットとを、シリンダブロックにそれぞれ形成することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  9. 請求項8に記載のシリンダブロックの製造方法において、
    シリンダブロックの鋳造の際、上記第1〜第3の成形用金型を、相互に隙間を隔てた状態で型組みし、
    この型組み状態では、上記第1の成形用金型を、上記第3の成形用金型のうち上記深底部を成形する部分の下方側に、水平方向に延びる第1の隙間を隔てるとともに、上記深底部を成形する部分の水平方向の一方側に、上記第1の隙間の水平方向の一端に連続する第2の隙間を隔てて配置し、
    上記第2の成形用金型を、上記第1の成形用金型および上記第3の成形用金型の上記深底部を成形する部分の水平方向の他方側に、上記第1の隙間の水平方向の他端に連続する第3の隙間を隔てて配置することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  10. 請求項9に記載のシリンダブロックの製造方法において、
    シリンダブロックの鋳造後、上記第1の隙間に対応する位置に形成された膜に対し、水平方向の一端から他端にわたって貫通孔を形成するようにドリル加工を行うことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  11. 請求項10に記載のシリンダブロックの製造方法において、
    上記ウォータージャケットと、シリンダブロックの外部に設けられる各種デバイスとにそれぞれ要求される冷却水量に応じて、上記ドリル加工に用いるドリルの径および上記第3の成形用金型のうち上記深底部を成形する部分の水平方向の幅を設定することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
  12. 請求項10に記載のシリンダブロックの製造方法において、
    上記ウォータージャケットと、シリンダブロックの外部に設けられる各種デバイスとにそれぞれ要求される冷却水量に応じて、上記ドリル加工に用いるドリルの径およびドリル加工の回数を設定することを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
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