JP2012035406A - 被覆超硬合金及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被覆超硬合金(以下CCCという)は被膜と母材の界面にEta相(W、Co、Cの化合物で非常にもろい物質)が生じCCCの強度を低下させ又被膜と母材との密着力を劣化させている。又強度低下を改善するために脱β層を持った母材も開発されているが刃先がダレ易い欠点をもつ。CCCは切削工具として優れた性質を多く持っているが、これら欠点を有するため適用範囲の拡大が制約されている。
【解決手段】 CCCの母材をフラーレンを添加し良く分散させたものにする。このフラーレンの効果で母材の強度が増すうえに、被膜と母材の界面にEta相の発生が抑制され、CCCの強度が向上するとともに、被膜の密着力を向上させことができ、高性能の工具を実現させ得る。 脱β層を持つ母材においては、脱β層の切削時の耐塑性変形性も改善できる。又クロム添加によっても脱β層の耐塑性変形性の改善をすることができる。
【選択図】なし

Description

最近は切削工具用刃先の工具材質は炭化チタン(TiC),窒化チタン(TiN)、アルミナ(Al2O3)等の炭化物、窒化物、酸化物を主成分とする被覆膜を持ついわゆる被覆超硬合金(英語名:Coated Cemented Carbide)(以下CCCという)が多くなってきている。 本発明はこの被覆超硬合金の切削性能を改良しようとするものである。 被覆超硬合金の切削性能は被覆膜の品質、被覆膜と母材の界面の品質、そして母材の品質が統合して得られる。この発明は母材の品質を向上させるとともに、界面の品質を向上させ切削性能を向上させようとするものである。この技術は又CVDによるCCCに多用されている脱β層を含む母材を用いたCCCの品質改良にも適用されるものである。
(1)被覆膜の材料は通常TiC,TiN、Al2O3等のセラミックからなり被覆膜(以降被膜という)の厚みは通常2−20umである。又通常は母材と接触する被膜はTiC,TiN,或いはTi(CN)であり、これらの膜単層或いは複数層の上にAl2O3の被膜をのせる。一方この母材は、通常炭化タングステン(WC)相、とコバルト(Co)相との単純超硬合金からなるものと、さらに複炭化物相(通常は(W,Ti,Ta,Nb)C相のことであり、学会ではβ相といわれている、ここではb相と記す)が加わるものとある。 又b相を含有した母材を用いたCCCでは、その強度向上のため被膜と接触する母材表面にb相を含まない脱b層(通常2−20um)を形成させることがしばしば行われており、強度向上や靱性向上に効果を発揮している(非特許文献1及び2)。
しかし強度向上に効果がある半面表面の脱b層部は平均的な正常部に比較して、b相が存在しないうえに、Co含有量がやや多く(硬度が低くなる)なるため切削時に刃先のダレ(塑性変形)を起こしやすい欠点がある(非特許文献2)。この問題は後で詳述する。
(2)カーボンナノチューブ(フラーレンの1種でチューブ状のもの、以降CNTと書く)をWC燒結体や超硬合金へ添加し強度を向上させた2つの特許文献がある。特許文献1ではCoを含まないWCにCNTを粉砕・破壊されない形で添加し、CNTの繊維強化効果がみとめられるとしたものである。しかしこれはCoを含んでいないWC単独の燒結体について述べたもので、Coを含有した液相燒結品である本発明とは直接関係がない。 特許文献2はCNTを0.01−2%を超硬合金製造時に添加し高強度合金を得るというものである。 しかしこの文献は本発明であるフラーレン(CNTを含む)のCCCへの効果には全く言及していない。
特開2005−343749 特許第4403286
鈴木、林、谷口、張;日本金属学会誌,25,(1981),95 鈴木、林、土井;粉体および粉末冶金、32,(1985),278 鈴木 超硬合金と燒結硬質材料(丸善株式会社)(1986),121 鈴木、林、土井;粉体および粉末冶金,31,(1984),22
(1)CCCの問題点の1つは被膜と母材の境界にEta相が出現することである。Eta相 (Co,W,Cの金属間化合物)は極めて脆い物質である。このためCCCの強度が落ちるのみならず膜と母材の密着強度も低下させることになる。Eta相は成膜時に出現する。CVD炉内で4塩化チタン(TiCl4)とメタン(CH4)或いは窒素(N2)或いはアセトニトリル(CH3CN)と反応させてTiC,TiN或いはTi(CN)を母材表面に蒸着させるが、その時にTiCl4が母材のWCのC(炭素)を取り込み、同時にCが不足したWCはCoと反応しEta相を母材の表面即ち母材と被膜の界面に形成する。
超硬合金の製造においては非特許文献3にあるごとく、合金中のC(炭素)%が少ないとEta相が出現し強度が低下する。又多すぎると遊離炭素が出現しやはり強度が低下する。 従って厳しく C%を管理して製造する必要がある。 非特許文献4では遊離炭素を出現させた母材でCCCを作成するとEta層を減少させえることを示しているが、CCCの強度は向上させることは出来ず、むしろ強度は低下することを示している。
(2)技術的背景で述べた 脱b層を有する母材を用いるとCCCの強度低下を緩和し脱b層のない母材使用のCCCに比し高強度である半面、非特許文献2にあるごとく母材表面の脱β層は平均的な正常部に比較して、Co含有量がやや多く(硬度が低くなる)、切削時に刃先のダレ(塑性変形)を起こしやすい欠点がある。
(1)課題(1)を解決するための手段について述べる。本発明では炭素をフラーレン(以下FLRという)として含有させることにより、母材の強度を向上させるとともに被膜と母材の界面のEta相の発生を抑制し、界面強度を向上と密着強度の向上を実現しようとするものである。フラーレンにはサッカーボール状のもの(以下FSBという)とチューブないしは繊維状のカーボンナノチューブ(以下CNTという)と言われているものがあるが本発明ではいずれも効果が認められており、本発明は双方を含む。
FLRはナノサイズの分子であるが炭素であることには変わりがなく、CVD被覆工程でTiCl4が母材のWCのCよりもFLRのCを取り込むため、母材表面のEta相の発生を抑止出来る。しかもFLRはナノサイズであるため超硬合金の強度を低下させることもない。むしろ強度を向上させる。 さらに成膜工程で母材の炭素を取り込んで成長したTiC或いはTiN(現実は界面近くはTi(CN)になっている)、或いはTi(CN)の膜は母材から連続的に成長し、密着強度が安定したものとなる(アンカー効果)。Eta相の極小化と、このアンカー効果が、膜/母材の界面強度の向上に貢献していると考えられる。
結果としてこの母材を用いたCCCは膜の密着強度や靱性に優れ、切削においては長寿命と同時に安定した性能を示す。
(2)課題(2)を解決するための手段を述べる。この場合においても、FLRを添加することにより、(1)と同じく、母材強度の向上と界面強度の向上を実現させるが、さらに脱b層母材特有の欠点である刃先ダレ(塑性変形)をも改善することが可能である。脱b層のCo中に(Coの結晶中或いは粒界)ナノサイズのFLRが存在し、Coの塑性変形を阻止するものと考えられる。別途実験的には、WC+10%Coの超硬合金でFLRを0.18%添加したものと添加しないものを作りの圧縮強度と塑性変形を測定すると、フラーレン添加合金のほうが塑性変形も少なく、圧縮強度が高いことがわかった。
また脱b層母材を用いたCCCの刃先ダレ改善にはクロム添加も効果があった。クロムの効果はフラーレン添加のある場合もない場合も有効である。 クロムの添加法は炭化クロムで添加してもクロム粉で添加しても良い。クロムはCo中に固容しCoの塑性変形の抵抗力を高めていると考えられる。
本発明品は従来品と比較し、高強度であり、被膜と母材の接着力が強固であり、刃先の変形抵抗も大きく、切削時の耐欠損性に優れ、より負荷の大きい切削条件にも適応出来、且つ工具寿命の延長を可能にする。又本発明CCCは切削工具への適用のみならず、耐摩耗工具や耐衝撃工具に適用しても従来品に対して工具寿命の延長等の性能向上が実現できる。
(1)<本発明品の製造方法>
(A)まず脱b層を含まない本発明CCCの母材の製造法について述べる。 WC粉、Co粉、FLRを、及び必要によりTiC,TaC,NbC,VC,HfC,VC,炭化クロム或いはWCを含むこれら炭化物の固容体等を添加しても良い。又窒素含有量0.5%以内でこれら炭化物の一部を窒化物或いは炭窒化物に置き換えても良い)秤量し 超硬合金製ボールと有機溶媒(アルコール或いはアセトン、ヘキサン等)と一緒にアトライター(以降ATRと書く)でよく湿式混合し、有機溶媒を乾燥して完成混合粉をえる。この完成混合粉にプレス成型性を良くするためにパラフィン、或いはポリエチレングリコール等のバインダーを1−2%加え所定の金型中でプレス成型する。この成型体を真空炉(或いは不活性ガス雰囲気の炉)に入れて1290℃から1500℃の範囲で約0.4−1.5時間燒結する。 この燒結体が母材である。この燒結体をこのまま母材とすることもあるが表面の一部或いは全面を研削することもある。湿式混合はATRに代わり一般のボールミルや振動ミルでも可能と考えられる。
被覆法は最初はTiCl4にCH4,N2或いはCH3CN等のガスを用いTiC,TiN、或いはTi(CN)を母材の上に成膜する。通常これらの成膜は800−1100℃で減圧下でおこなわれる。さらに場合によってはこれら炭化物、窒化物(単層或いは複数層)の上にAl2O3を被覆する。これで本発明のCCCが製作された。
(B)次に脱b層を持つ母材のつくりかたをのべる。脱b層発生の原理説明は非特許文献1に記載されている。 FLRを添加した本発明CCCの母材もこの原理を活用して作成できた。WC粉、Co粉、FLRにb相を形成する炭化物や複炭化物(固容体)及び少量のTiNを加え、(A)で述べた一般超硬合金と同じ方法で成型体まで作成する。TiNの代わりに、上記の炭化物やその複合炭化物(固容体)の窒化物或いは炭窒化物を用いても良い。 脱b層発生は燒結時に発生する。この場合は真空或いは減圧燒結が必要である。燒結温度・時間は基本的には単純超硬合金と同じであるが、脱b層の厚さは温度時間に大きく影響するので所定の条件を選ぶ必要がある。 この母材は通常は研削すると脱b層がなくなるので例外はあるが研削しないのが普通である。被覆法は上述の(A)と同じである。
(C)FLRの分散法について述べる。FLRはナノサイズの分子の集合体であり、特にCNTは複層になったものが幾重にも重なり絡み合い分散しにくいものが多い。特に絡み合いも少なく単層のものや、良く分散したものは高価であり実用的でない。したがって絡み合ったものを配合前に分散処理して使用したほうが有利な場合もある。その方法は、溶媒中で強く撹拌したり、粉砕したり、場合によってはATRで溶媒、ボールとともに粉砕、撹拌してから、WC等の原料粉末と配合する方法である。溶媒としては水、アルコール、アセトン、ヘキサン等が使用できる。乾燥性、安全性から考えるとアルコールがのぞましいが、分散が悪い時はヘキサンのような炭化水素のみからなる溶媒のほうが分散効果が良い。製造上は粉砕、撹拌後溶媒を乾燥させてから使用するほうが便利である。又この撹拌、粉砕に当たってFLRのみでなく後工程で一緒に配合・混合することになるWC粉末やCo粉末等の原料粉末を少量加えて一緒に粉砕、分散しておく方法もある。
(2)<発明を実施するための最適の形態>
FLRの効果は本来CCC母材に含まれるFLRの量により規定するほうが良いとの考えもあるが、合金中の遊離炭素、ましてやFLRの同定は困難である。従って添加量で規定することにする。CCC母材へのFLRの添加量は0.01%から0.5%が有効である。0.01%以下では効果が確認しにくく、又0.5%以上では合金の強度が低下してくる。FLRの添加範囲はすべてのCCC母材に共通である。その組成、用途による差異はない。CCC母材は用途別にFLR以外の組成範囲が違ってくる。以下FLR以外の組成の配合比について用途別に最適範囲をのべる。
(A)超硬合金丸棒(通常直径35mm以下)から加工されるいわゆる丸棒状切削工具では粒度1um以下のWCが残量、Co%5−15%、VC1%以下、炭化クロム2%以下、(TaNb)C(Nb含有なしもありうる)2%以下であることが望ましい。Ta、Nb、V、Cr等の炭化物の一部又は全部を窒化物或いは炭窒化物で置き換えることも可能である。 WC以外の炭化物、窒化物等は粒成長抑制のため或いは耐熱性向上のために添加されるものである。
(B)刃先交換型のチップ用CCC母材では0.5から5umのWCが残量、Co3−15%、TiC,TaC,NbC,HfCの合計が15%以下である。又CrやVやMoの炭化物を加えても良い。
(C)脱b相を含む母材では脱b層の幅が2−30umがよい。2um以下では脱b層の効果がなく、30um以上では刃先ダレし易いという欠点は顕著になる。脱b層の作成には(B)の組成の炭化物の1部又は全部を、W,Ti,Ta,Nb、Hf,Cr,V等の金属又は固容体の窒化物或いは炭窒化物を窒素含有量0.02%−4%内で置き換え添加し、真空燒結することにより得られる。
(D)又クロムを添加する場合はCo量の2−18%が望ましい。FLRとクロムの同時添加することも可能であり、最適添加量は単独の範囲と同じである。クロム2%以下では効果が出ない。又18%以上では燒結後に炭化クロム析出してくる危険がある。
(E)耐摩耗或いは耐衝撃工具にあっては1−8umWCが残量、Co5−30%、TaC(NbC含有もありうる)2%以下、クロム又は炭化クロムはCo量に対してCr%で18%以下が良い。
母材の配合割合;粒径1.5umのWC:残量、FLR:0.2%、TaNbC:1.5% Co:6.0%
FLRとしてはチューブ状のCNTとサッカーボール型のFSBを用いた。上記配合比で約5kgの粉末をATRにて超硬合金ボールとアルコールを入れて10時間混合した。アルコールを蒸発させ、乾燥粉末(完成混合粉)を取り出し、パラフィンを1.5%加え撹拌機でよく撹拌混合した。この粉末を所定の形状にプレスし、真空炉で燒結した。この母材を通常の減圧CVD炉に入れ、TiC被膜を8um蒸着した。一般にはTiC、TiN、Ti(CN)等を複数膜被覆し又用途によってはその上にAl2O3を被覆するが、今回は被膜の母材の改良効果を見ることが目的のため被膜は単純なTiC単層を選んでテストした。CNTを用いた試料をFLTとし、FSBを用いた試料をFLBとする。
比較試料として同じ組成で FLR添加なしの物を同時に制作した。作成方法は上記と同じである。FLRの添加のない試料をSTNとする。
評価は以下の方法で行った。
(1)断続切削試験による耐欠損性評価
切削試験で断続衝撃を加え負荷の大きさと耐久時間を比較する。被切削材として4つの溝(幅17mm)を軸方向につけた200mm径の丸棒を用い切削速度80m/minとして30秒間切削(衝撃回数は最大320回となる)を行った場合、工具先が欠けるか、欠けないかをしらべる。最初送り速度を0.1mm/revから始め、欠けなかった場合は0.1mm/rev大きくし、0.2mm/revにしてテストする。欠けがなければさらに0.1送り速度を増やして行う。以下同様にしていき欠けが発生した時の値を限界送り速度とした。この値が大きいほど過酷な条件の切削を可能にするとともに工具の長寿命化を意味する。
切削条件は次のごとし; CCCの形状はSNM432、被切削材:SCM435、切削速度100m/min、切り込み深さ:2mm、送り速度:0.1−0.7mm/rev、時間:30秒
試験結果は表1に示す。送り限界速度がFL品はSTNの3倍となっている。
(2)ひっかき試験による被膜強度評価
鋭角の先端を持ったダイヤモンド圧子で被膜をひっかきひっかき傷の周辺の微小亀裂の乱れ具合から密着強度の大小を比較する。 ○: 良、 X:不良
試験結果は表1に示す。ひっかき試験でもFL品はSTNより被膜の密着力が優れていることが分かる。
Figure 2012035406
(3)CCCの抗折力評価
抗折力はJIS試片(4x8x25)で行った。
表2に評価結果を示した。
FL品はSTNと比較し抗折力はやや大きいが大きな差ではない。しかし被覆した後では両者間に大きな差がある。FL品はSTNの1.77倍になっている。
Figure 2012035406
(2−1)脱b層を持った母材を用いたCCCを製作し評価した。
母材の配合割合;粒径4umのWC:残量、FLR:0.2%、TiN:2%、(WTi)C(W/Ti=7/3):4%,(TaNbC):4%,Co:5.5%
FLRはCNTタイプとFSBタイプを用いた。上記配合比の約5kgの粉末をATRに超硬合金ボールとアルコールを入れて6時間混合し アルコールを蒸発させ、乾燥粉末(完成混合粉)を取り出し、パラフィンを1.5%加え撹拌機でよく撹拌混合した。この粉末を所定の形状にプレスし、真空炉で燒結した。非特許文献1を参考にして、燒結時に脱b層を出現させた。脱b層の厚みは5−25umのものを作成した。この母材を通常の減圧CVD炉に入れ、TiC被膜を7um蒸着した。一般にはTiC、TiN、Ti(CN)等を複数膜被覆し又用途によってはその上にAl2O3を被覆するが、今回は被膜の母材の改良効果を見ることが目的のため被膜は単純なTiCを選んでテストした。試料番号はCNT添加の物を2FLTとしFSB添加の物を2FLBとした。
(2−2)、(2−1)の配合でFLRがCNTタイプのものに、炭化クロムを0.5%添加した合金を全く(2−1)と同じ方法で制作した。又FLRを添加せず炭化クロムのみを0.5%添加した合金も同じ方法で作成した。いずれも脱b層も5−25umのものを作成した。CVD被覆も(2−1)と同じである。試料番号はCNTと炭化クロムを添加したものを2FLTCとし炭化クロムのみ添加のものを2STCとした。 比較試料として同じ組成で、FLRも炭化クロムも添加しない物を同時に制作した。作成方法は上記と同じである。試料番号は2STNとした。
評価は以下の方法で行った。
(1)切削試験による刃先ダレ評価
旋盤切削後の工具刃先のダレ(変形量mm)を測定する。
切削条件は次のごとし; CCCの形状:SNM432、被切削材:SNCM439、切削速度:140m/min、切り込み深さ:2mm、送り速度:0.7mm/rev、時間:4min。
表3に刃先ダレ評価結果を示す。
Figure 2012035406
2FLT,2FLB、2FLTC、2STCの刃先ダレは2STNに比し小さい。刃先ダレの小さいことは工具の長寿命化を意味し、又より硬い被切削材にも適用可能であることを意味する。
(2)断続切削試験による耐欠損性評価
切削試験で断続衝撃を加え負荷の大きさと耐久時間を比較する。被切削材として4つの溝(幅17mm)を軸方向につけた200mm径の丸棒を用い切削速度80m/minとして30秒間切削(衝撃回数は最大320回となる)を行った場合、工具先が欠けるか、欠けないかをしらべる。最初送り速度を0.2mm/revから始め、欠けなかった場合は0.1mm/rev大きく即ち0.3mm/revにしてtestする又欠けがなければ0.1送り速度を増やして行う。以下同様にしていく。
切削条件は次のごとし; CCCの形状:SNM432、被切削材:SCM435、切削速度100m/min、切り込み深さ:2mm、送り速度:0.2−0.7mm/rev、時間:30秒、b層厚みは10umのもでテストした。
表4に欠損性評価としての送り速度の限界値を示した。
Figure 2012035406
2FLC、2FLB、2FLTC、2STC、はいずれも2STNよりも好結果を示している。
本発明の有用性について今まで主として切削工具分野につて述べてきたが、本発明の効果は耐摩耗工具や耐衝撃工具等切削工具以外の用途でも長寿命化等性能改善が期待できる。切削工具に比べると生産量は少ないが耐摩耗工具等にもCCCは多く使われている。従って本発明は切削工具のみならず耐摩耗工具や耐衝撃工具等に使用されるCCCにも適用でき、幅広い分野の産業で役立つものである。

Claims (11)

  1. フラーレンを0.01−0.5%添加して作成された超硬合金を母材として用いた被覆超硬合金。 ただし本特許で言うフラーレンとはC60等のサッカーボール形状のもの、カーボンナノチューブといわれるチューフ状・繊維状のもの双方を含む。
  2. 請求項1において、その被覆超硬合金母材が2−30um幅の脱β層を有していることを特徴とする被覆超硬合金
  3. 請求項2において、クロム粉末或いは炭化クロム粉末を添加しその添加量がクロム%で超硬合金のコバルト量の2−18%含有することを特徴とする被覆超硬合金
  4. 請求項3においてフラーレンを含まず超硬合金のコバルト量の2−18%のクロムを含有する被覆超硬合金
  5. 請求項1において、フラーレンを0.01−0.5%添加し、その合金組成が炭化タングステン70−97%、コバルト3−30%、{炭化チタン、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ハフニューム、炭化バナジューム、炭化クロム、炭化モリブデン}の合計が15%%以下、となるように配合して作成された母材を用いた被覆超硬合金。又これら炭化物の一部又はすべてが固容体である場合も含まれる。
  6. 請求項5において 各炭化物の全部または一部、或いは各炭化物の固容体の全部または一部を、窒素4%以下の範囲内で窒化物或いは炭窒化物に置き換えて配合して作成された、母材を用いた被覆超硬合金
  7. 請求項1,2,3,4,5、6の被覆超硬合金において母材と直接接触する被膜が炭化チタン 或いは窒化チタン或いは炭窒化チタンであることを特徴とする被覆超硬合金
  8. 請求項1、2、3、4、5、6 の母材の製造において原料粉末を有機溶媒と超硬合金製ボールとともにアトライター又はボールミル中で混合し、混合後有機溶媒を蒸発除去したのち所定の形状に成型し、真空中(又は減圧下)で1300−1500℃で燒結して作成する製造方法。
  9. 請求項8において、フラーレンをその添加前に水又は有機溶媒中で撹拌、粉砕、分散しておく工程を含む製造法。
  10. 請求項9において、水又は有機溶媒中の撹拌、粉砕、分散の方法としてボールを媒体として用いるアトライターやボールミルを用いる製造法。
  11. 請求項9,10において有機溶媒として炭化水素のみからなる有機溶媒を使用する製造法
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