JP2012035312A - ウオータジャケット中子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウオータジャケット中子の倒れを防止し量産耐久性を向上する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】鋳造金型25に、ボルト28、28でウオータジャケット中子10が固定され、その上で、ボルト28、28より中心線17よりの部位にて、中空ボルト31、31で鋳造金型25にウオータジャケット中子10が固定されている。
【効果】ボルト28、28だけであれば、中心線17の近傍にて鋳造金型25とベース部11との間で、ベース部11が湾曲し、中子本体部22、22がV字状に開く、すなわち、倒れが生じる。本発明では、中心線17寄りの部位に各々中間雌ねじ部15、15を追加し、中空ボルト31、31で締め付けるようにしたので、鋳造金型25とベース部11との間に隙間が発生する心配が無く、中子本体部22、22の倒れを更に防止することができた。
【選択図】図5

Description

本発明は、複数のシリンダライナーが一列に並べられている多気筒エンジン用シリンダブロックに、鋳造時にウオータジャケットを形成するウオータジャケット中子に関する。
シリンダブロックは、鋳造により製造される。水冷エンジンの場合は、シリンダブロックにウオータジャケットを設ける必要がある。このウオータジャケットは、中子により鋳造時に同時形成される。
ウオータジャケット中子は、ボアピンにて径方向に位置決めされて、ボアピンと一体の取付フランジを介して、鋳造金型にボルトで固定される(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
図7は従来のウオータジャケット中子の説明用断面図であり、シリンダブロックを形成するための鋳造金型97、98、99、100によりキャビティ109が形成される。ボアピンBP外周に、シリンダライナー101が保持され、このシリンダライナー101を囲うようにしてウオータジャケット中子102が配置され、このウオータジャケット中子102が鋳造金型100にボルト103で固定されている。
ウオータジャケット中子102は、ベース部104と、このベース部104から延びる中子本体部105からなる。
ウオータジャケット中子102のベース部104の形状を図8にて説明する。ベース部104の底面には、ボアピンBPに対応する穴107が複数個(この例では4個)開けられ、この穴107を囲うように複数の雌ねじ部108が設けられている。この雌ねじ部108に、図7に示すボルト103の先端がねじ込まれ、鋳造金型100に固定される。
鋳造成形時、キャビティ109へアルミニウムの溶湯を注湯し、溶湯が固まると多気筒エンジン用シリンダブロックの鋳物111が得られる。
ウオータジャケット中子102を、鋳物111を押し出して分離するときに、図9に示すように、ウオータジャケット中子102がシリンダ軸線112に対して中子本体部105が外へ傾斜(αで示す)が発生し、製品鋳物押し出し分離時に、ウオータジャケット中子102に引張りや曲げ応力が発生し、量産耐久性が低下していた。
本発明者らは、不都合な変形の原因を検討し、この検討の過程で熱の流れに注目した。
図7において、溶湯の熱の一部は、中子本体部105からベース部104に伝わり、このベース部104から鋳造金型100に伝わる。
更に、図10で、熱の流れを説明すると、ベース部104から矢印のように、熱が鋳造金型100へ盛んに流れる。
ところが、隣接する穴107、107で挟まれたY字部113は、鋳造金型100から離れている上に、複数箇所(図面上下)から溶湯で加熱される。結果、Y字部113に熱が溜まり、図9のような変形が発生することを解明した。
ウオータジャケット中子の倒れを防止することができれば、製品鋳物押し出し時に中子に対して応力が集中することが防止でき、量産耐久性が向上する。
特開平8−132210号公報
本発明は、ウオータジャケット中子の倒れを防止し量産耐久性を向上する技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、複数のシリンダボア形成用ボアピン挿通穴と、ウオータジャケット形成用の中子本体部と、前記ボアピン挿通穴を複数有するベース部と、前記ボアピン挿通穴を囲うようにして前記ベース部に複数個設けられる雌ねじ部と、を備えるウオータジャケット中子において、
前記複数のボアピン挿通穴の中心を通る中心線に平行で前記ボアピン挿通穴に接する接線と隣り合う前記ボアピン挿通穴の中間位置とで囲まれた領域内の前記ベース部に、中間雌ねじ部を配設したことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、中間雌ねじ部は、中子本体部にくり抜き形成した冷却穴に設けられており、中間雌ねじ部に各々ねじ込んだ液供給回収具から注入する冷却液で中子本体部を局部的に強制冷却することができるようになっていることを特徴とする。
請求項1に係る発明は、要約すれば図10で説明したY字部113にも雌ねじ部(中間雌ねじ部)を設けた。結果、ウオータジャケット中子の倒れを大いに防止することができ、鋳造作業の円滑化を促すことができた。
ただし、図10で説明したY字部には構造的に熱が溜まり易い。対策として、請求項2に係る発明では、この部位に設ける雌ねじ部を水冷構造にした。結果、雌ねじ部の熱劣化を防止することができ、ウオータジャケット中子の耐久性を高めることができる。
本発明に係るウオータジャケット中子の底面図である。 図1の2線断面図である。 図2の変更実施例を示す、図1の3線断面図である。 図3の分解図である。 ボルトの作用図である。 Y字部の詳細図である。 従来のウオータジャケット中子の説明用断面図である。 図7の8−8矢視図である。 従来の中子における不具合事項を説明する図である。 熱の流れを説明する図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ウオータジャケット中子10のベース部11には、シリンダに対応する穴12が複数個(この例では4個)開けられ、この穴12を囲うように複数の雌ねじ部13、15が設けられている。
雌ねじ部13、15のうち、雌ねじ部13は、隣り合う穴12、12間に形成されているY字部16の外に設けられており、中間雌ねじ部15は、Y字部16に設けられている。
中間雌ねじ部15の位置を正確に表すと次の通りである。
複数の穴12の中心を通る中心線17を描く。この中心線17から穴12の半径だけ離れて複数の穴12に接する、2本の接線18、19を描く。隣り合う穴12の中間位置にて中心線17に直交する直交線21を引く。中間雌ねじ部15、15は、2本の接線18、19で挟まれた領域内で、且つ直交線21上にて、接線18、19に近接した位置に設けられている。
中間雌ねじ部15の詳細構造を、図2で説明する。また、図2の変更実施例を図3及び図4で説明する。
図2に示すように、中間雌ねじ部15は、ベース部11から中子本体部22に掛けて、ベース部11側から形成されたボルト穴24の先に設けられている。鋳造金型25にもボルト穴26が設けられている。さらに、従来の技術で示したボアピンBPのフランジ部BPFに設けた取付穴と、このボルト穴26にベース部11のボルト穴24を合わせ、座金27を介して鋳造金型25側から中間部締付ボルト28を挿入し、この中間部締付ボルト28の先端を雌ねじ部13にねじ込むことで、鋳造金型25にベース部11及び中子本体部22が固定される。
一方、図3に示す変更実施例に係る中間雌ねじ部15は、水冷機能が設けられた中空ボルトとしたものを示す。また、図4は、図3の水冷機能の構造部品を示す分解図である。
図4に示すように、ベース部11から中子本体部22に掛けて、ベース部11側からボルト穴24が形成され、このボルト穴24の先に中間雌ねじ部15が設けられ、さらに、中子本体部22内に冷却穴29が延ばされている。
ボルト穴24、中間雌ねじ部15及び冷却穴29がこの順に直列にベース部11及び中子本体部22に設けられている。これらのボルト穴24、中間雌ねじ部15及び冷却穴29に、冷却用の液供給回収具30が挿入される。
この液供給回収具30は、中空ボルト31と、この中空ボルト31のボルト頭32に当てられる排液リング33と、この排液リング33から延びる排液管34と、排液リング33に当てられる給液リング35と、この給液リング35から延びる給液管36と、ボルト頭32のねじ部37にねじ込まれるプラグ40と、このプラグ40を貫通して延びる冷却パイプ41とからなる。尚、中間雌ねじ部15とねじ部37は、水漏れ防止の為、細目ねじとする。
プラグ40には、給液リング35で供給される冷媒を、冷却パイプ41へ送る第1通孔42が開けられている。また、冷却パイプ41の基部(プラグ40側)は閉塞片43で塞がれている。さらには、プラグ40の先端内周と冷却パイプ41の外周との間に隙間44が確保され、この隙間44を通る冷媒が排液リング33に到達するように、プラグ40に第2通孔45が開けられている。
なお、プラグ40は回されるため、第1通孔42の方位は不定である。そこで、給液リング35内に環状溝46を設け、この環状溝46を介して給液管36から第1通孔42へ冷媒を流すようにした。
同様に、排液リング33内に環状溝47を設け、第2通孔45及び環状溝47を介して排液管34へ冷媒を流すようにした。
これらの構成要素を組み立てた形態が図3に示される。
図3において、中空ボルト31が、ばね座金48を介して中間雌ねじ部15にねじ込まれているため、鋳造金型25にベース部11及び中子本体部22を熱膨張に対しても強固に固定することができる。
そして、給液管36から冷媒(水など)が第1通孔42を通って冷却パイプ41内に供給されると、冷媒は冷却パイプ41内を先端に向かって移動し、冷却穴29を満たす。この冷媒は移動中に中子本体部22を冷却する。
暖まった冷媒は、冷却パイプ41の外をプラグ40に向かって移動し、中空ボルト31内を通り、第2通孔45を通って、排液管34から排出される。
このようにして、中間雌ねじ部15においては、液供給回収具30により、中子本体部22及び中間雌ねじ部15が冷却される。
図5に示すように、鋳造金型25に、ボルト128、128でウオータジャケット中子10が固定され、その上で、ボルト128、128より中心線17寄りの部位にて、中空ボルト31、31で鋳造金型25にウオータジャケット中子10が固定されている。
ボルト128、128だけであれば、中心線17の近傍にて鋳造金型25とベース部11との間で、ベース部11が湾曲し、中子本体部22、22がV字状に開く、すなわち、倒れが生じる。
本発明では、中間雌ねじ部15は、中心線17寄りの部位に各々中間雌ねじ部15、15を追加し、中空ボルト31、31で締め付けるようにしたので、鋳造金型25とベース部11との間に隙間が発生する心配が無く(発生したとしても僅かであるため)、中子本体部22、22の倒れを更に防止することができた。
中間雌ねじ部15は、左右一対としたが、数は1本でも複数でも良く、ボルトのサイズを異ならせても良い。
なお、鋳造金型25を水冷するなど、熱的な対策が講じられていれば、中空ボルト31を普通のボルトに交換することもできる。すなわち、熱的問題が軽度であれば、無水冷構造にすることが可能となる。
更に、図6に示すY字部16に設ける中間雌ねじ部15は水冷することも可能である。
また、Y字部16については、中間雌ねじ部15が無ければ、ベース部11の外周線は想像線で示すように追い込むことができるが、本発明のように、中間雌ねじ部15をY字部16に設ける場合は、ベース部11の外周線は実線で示すように外側に拡げて、Y字部16の面積を増加し剛性を上げることも可能である。
尚、実施例では4気筒エンジン用シリンダブロックの鋳造に用いるウオータジャケット中子を説明したが、気筒数は2以上であれば、数は任意である。
また、液供給回収具の構成は、適宜変更することは差し支えない。
本発明は、多気筒エンジン用シリンダブロックの鋳造に用いるウオータジャケット中子に好適である。
10…ウオータジャケット中子、11…ベース部、12…ボアピン挿通穴、13…雌ねじ部、15…中間雌ねじ部、16…Y字部、17…中心線、18、19…接線、21…直交線、22…中子本体部、25…鋳造金型、28…中間部締付ボルト、29…冷却穴、30…液供給回収具、31…中空ボルト、101…シリンダライナー、128…締付ボルト、BP…ボアピン。

Claims (2)

  1. 複数のシリンダボア形成用ボアピン挿通穴と、ウオータジャケット形成用の中子本体部と、前記ボアピン挿通穴を複数有するベース部と、前記ボアピン挿通穴を囲うようにして前記ベース部に複数個設けられる雌ねじ部と、を備えるウオータジャケット中子において、
    前記複数のボアピン挿通穴の中心を通る中心線に平行で前記ボアピン挿通穴に接する接線と隣り合う前記ボアピン挿通穴の中間位置とで囲まれた領域内の前記ベース部に、中間雌ねじ部を配設したことを特徴とするウオータジャケット中子。
  2. 前記中間雌ねじ部は、前記中子本体部にくり抜き形成した冷却穴に設けられており、前記中間雌ねじ部に各々ねじ込んだ液供給回収具から注入する冷却液で前記中子本体部を局部的に強制冷却することができるようになっていることを特徴とする請求項1記載のウオータジャケット中子。
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