JP2012030155A - 排水処理装置及び排水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理水中の担体を確実に除去して長時間の継続運転を可能にする。
【解決手段】槽底部に放射状に延びる静翼3と槽内の液面下方付近に回転翼4を具備する処理槽2において前記回転翼4より下方位置の槽壁面に開口部7を設けると共に、該槽壁面の外部に該開口部7に連通する担体分離部5を設け、該担体分離部5は、背面板6bが前記処理槽2の周面に当接し前面板6cが前記背面板6bとの間隙が上方になるに従って大となるように傾斜している箱体6からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は排水の生物処理に適用する排水処理装置及び排水処理方法に関する。
排水の生物処理方法には活性汚泥法を代表とする好気性菌による好気性処理法と嫌気性菌による嫌気性処理法がある。特に嫌気性処理方法の場合、数種類のバクテリアにより有機物がメタンガスおよび炭酸ガスに変換され、エネルギー回収が可能であり、余剰汚泥が少ないなどのメリットをもつ。また、近年嫌気性処理はUASB法、EGSB法が代表的であり、これらは槽内部の有用菌濃度を高めることが可能なため、装置の小型化が可能である。しかし、これらは一般的にメタン発酵菌が自己造粒(グラニュール)作用で菌体の高濃度化が実現するため、グラニュールの馴養(育成)に時間を要し、グラニュールがメタンガス等を抱き込み流出するなどの問題があり、固体、気体の分離技術が課題となっている。通常、UASB法でCODcr容積負荷=7〜15kg/m3・日、EGSB法が15〜30kg/m3・日で運転される。
このような固体、気体の分離のための低せん断で混合分散化を図る撹拌技術として、撹拌槽の槽底部に放射状に延びる静翼と槽内の液面付近に回転翼を具備する撹拌装置が知られている(特許文献1参照)。又水処理プラントにおいて低せん断かつ低動力により担体のダメージを防ぎ、槽内均一分散化を目的として処理槽内の上層部に配設され嫌気性菌を保持させた担体を分散させる撹拌翼と、底部に配設され主として外側を下降してきた排水を中央から上方へ案内させる案内翼と、前記撹拌翼の上方に配設されたバッフル板とを具備する撹拌装置が知られている(特許文献2参照)。
又、槽の底部に放射状に延びるバッフル付撹拌機と槽内の液面付近に設けられているバッフル付撹拌機とを具備する反応槽と、該反応槽と下部において連通した沈降槽とを有し、粒状担体を添加してフッ素またはリン酸を処理する装置において、粒状担体を反応槽内に均一に分散させ、かつ沈降槽の水の揺れを軽減して粒状担体の反応槽への保持性を高めて該粒状担体の抜けを防止するようにした排水処理装置が知られている(特許文献3参照)。
更に、槽内に上昇流整流板と流速加速板を設け、これら板により流出側の下流の流速断面をその上流の流速断面より小とし、小径球状物の担体の回流を維持して担体の抜けを防止した汚水処理装置が知られている(特許文献4参照)。
又、硝化槽内に潜り堰を配設して処理ゾーンと担体分離ゾーンを形成すると共に該処理ゾーン内に傾斜ガイド板を設け、該傾斜ガイド板により生ずる上昇水流により担体は処理ゾーン内に再び浮遊して該担体の抜けを防止した廃水処理装置が知られている(特許文献5参照)。
特許第3578782号公報 特開2004−188413号公報 特開2000−246269号公報 特開平8−103781号公報 特開平9−122674号公報
これらいずれの従来の装置によっても連続運転時の担体の抜けを十分に防止することは困難であり、そのため最終的に抜き出し開口部に網を設ける等の対策がとられるが、網に担体がつまる等の問題を生ずることから定期的なメンテナンスが必要となる等、運転上の問題があった。
又、前記特許文献4の汚水処理装置や前記特許文献5の廃水処理装置の如く撹拌翼を用いずに連続処理において上昇流整流板や傾斜ガイド板等により担体の抜けを防止する装置では、槽内に対する担体の混合・均一分散化の面で完全ではなく処理能力を大幅に向上させることが困難であり、流入ポンプの投入エネルギーを増大させる方法もあるが、省エネルギーの面で問題があった。
本発明は、担体にダメージを与えることなく低剪断、低動力にて運転が可能で、運転中の担体の抜けを防止して前述の問題を解決し、連続運転を可能にした排水処理装置及び排水処理方法を提供することを目的とする。
この目的を達成すべく本願の第1発明は排水処理装置に関し、その特徴とするところは、槽底部に放射状に延びる静翼と槽内の液面下方付近に回転翼を具備する処理槽において、前記回転翼より下方位置の槽側壁面に開口部を設けると共に、該槽壁面の外部に該開口部に連通する担体分離部を設けたことであり、又、第2発明は排水処理方法に関し、その特徴とするところは、槽底部に放射状に延びる静翼と槽内の液面下方付近に回転翼を具備する処理槽において、該処理槽内の処理水中の担体は前記回転翼により流動し、該処理槽内で生成するガスは該回転翼で担体から除去され、ガスを除去した担体は前記開転翼より下方位置の槽側壁面に形成の開口部を有する担体分離部内で処理水から降下分離されて処理系外に流出しないことである。
本発明によれば、低動力で担体の槽内混合・均一分散化が得られ、槽内に整流板等を必要とせずに担体が排水処理系から系外に流出することなく、長時間の連続運転を可能にする効果を有する。
本発明の排水処理装置の実施例1の縦断面図である。 図1のI−I線截断面図である。 図2のII−II線拡大截断面図である。 担体分離部の拡大断面図である。 処理槽内の処理水と担体のフローを示す説明図である。 担体分離部内の処理水と担体のフローを示す説明図である。
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
本発明の処理装置の実施例1を図面により説明する。
図1は本発明の実施例1の処理装置1の縦断面図、図2は図1のI−I線截断面図、図3は図2のII−II線拡大截断面図、図4は担体分離部の拡大断面図、図5は処理槽内の処理水と担体のフローを示す説明図、図6は担体分離部内の処理水と担体のフローを示す説明図である。
2は処理装置1の処理槽、3は静翼を示し、該静翼3は直線状の帯状板からなり、前記処理槽2内の底部に放射状に固定されると共にこれら帯状板の交差部に相当する該底部の中心部は互に間隙を有する。
4は回転翼を示し、該回転翼4は回転軸4aの下端に半径方向に放射状に固定した翼板からなり、前記処理槽2の頂面に固定したモータ4bの駆動により該回転軸4aを介して該処理槽2内の液面の近傍において回転するようにした。
5は担体分離部を示し、該担体分離部5は、互に平行な両側板6aと、前記処理槽2の周面に固定されている背面板6bと、該背面板6bとの間隔が上方に向うに従って大となるように急傾斜する前面板6cと該前面板6cに連設して緩い傾斜の底面板6dと頂面板6eとの箱体6に形成され、前記背面板6bの下方部に形成の開口部7は前記回転翼4の下方位置の前記処理槽2の周面に形成されていると共に、該開口部7を覆うカバー体8が処理槽2内に突出するように該開口部7の縁部に設けられ、該カバー体8は前記回転翼4の回転方向の前方側及び下方側に開口8a、8bが形成されている。
尚、図2及び図3においてAは前記処理槽2内の処理水と担体のフロー方向を示す。
又、前記担体分離部5は、その箱体6の頂面板6eの近傍に排出管路9が接続されていると共に前記箱体6内の頂部近傍の前面板6cに背面板6bに向って斜下方に傾斜する分離板10aが設けられ、更に前記箱体6内において該分離板10aの下方に背面板6bから前面板6cに向って斜下方に傾斜する第2返り板10cが、又該第2返り板10cの下方に前面板6cから背面板6bに向って斜下方に傾斜する第1返り板10bがそれぞれ設けられている。
12は前記処理槽2の底部に接続した流入管路を示す。
次に上記実施例1の処理装置1による処理方法を説明する。
流入管路12より、担体を有する処理水を処理槽2内に流入する。
尚、該担体は生物が固着し流動できるものであれば材質、形状、構造に特に限定はなく、例えばゲル状、スポンジ状、プラスチック、繊維状などの有機製担体、粉末活性炭、セラミックスなどの無機製担体が用いられる。
処理槽2内において担体を有する処理水は、回転する回転翼3により、図5に示すように下方に向って旋回流を生ずると共に底部の静翼4により中心部で上昇流を生ずる。
このように担体を有する処理水の流動中、嫌気性菌が担体を核とし表面及び内部で増殖して棲息し、担体に棲息する嫌気性菌により有機物がメタンガス等のガスに変換され、該ガスは液表面の近傍で回転する回転翼4により担体より取り除かれる。
そしてガスが取り除かれた担体は、処理水に伴われて降下し開口8a、7を経て担体分離部5の箱体6内に流入する。
ここで、回転翼4の下方で且つ処理槽2内の周辺部において担体が高速の旋回流と下降流を生ずる位置に開口部7を設けることが好ましく、これにより担体が該開口部7より容易に抜け出ししない。
該箱体6内においては、処理槽2内における回転翼3によるフローの影響を殆んど受けずに処理水の流速が低下し、該処理水より比重の大の担体は降下していき該処理水より分離していく。
そして前記箱体6は特に前面板6cが傾斜して上方に位置するに従って背面板6bからの間隔が大となっているので、処理水は上方に移行するに従って流速が低下して担体の降下分離が促進され、更に図6に示すフローの如く、処理水は第1、第2返り板10b、10cによりこれら返り板10b、10cの先端側で迂回して上昇し、最後に分離板10aの先端側で更に迂回するようにしたので、処理水の流速は更に低下して担体の降下分離が更に促進して分離板10aの上方では担体が完全に分離し処理水のみが排出管路9より排出され、担体が処理系の外へ排出されることがない。
又、開口部7を覆うカバー体8により下方側を開口8bに形成したので、箱体6内に沈下した担体は該開口8bより容易に処理槽2内に流出除去できる。
尚、前記箱体6は上記実施例で前面板6cが傾斜した例を示したが該前面板6cが垂直面であってもよい。
又、担体分離部5において、第1、第2返り板10b、10cが設けてなくても単体の分離が十分可能な場合は、これら第1、第2返り板10b、10cがなくてもよい。又分離板10aについてもメンテナンスを考慮して着脱式に形成してもよい。
次に発明者は槽容積100Lのメタン処理槽を製作し、同槽へはポリビニアルコール系ゲル担体(4mm)を20L投入した。担体を流動させる撹拌翼は水面下へ設置した。処理フローは酸生成+メタン発酵とし、嫌気性排水処理試験を実施した。排水負荷はCODcr=3000mg/L、100L/日から運転開始し、その後、段階的に原水濃度を上げる方式で負荷を上げ、最大CODcr=50000mg/Lまで上昇させた。同フローによる生物処理性はCODcr除去率=90%を概ね推移し非常に良好であった。嫌気性処理した場合、原水の有機物はメタンガスと炭酸ガスに分解される。本試験においても原水CODcr=15000mg/L(CODcr容積負荷=15kg/m3・日)を超えたあたりから槽内におけるガス生成が目視で判別できるほど進行した。その後も濃度を段階的に上昇させたが、CODcr容積負荷=50kg/m3・日においてもメタン発酵槽内のゲル内部および表面から生成するガスあるいは槽内で浮遊するガスは槽上部で分離され、担体はスロープ式担体分離エリアで分離され、系外に排出されることなく運転できた。
又実施例1による方法と、従来のUASB法とEGSB法との比較結果は下記の通りである。
Figure 2012030155
本発明によると、担体の系外への流出がなく安定に処理することが可能となり、実施例1においても反応槽のCODcr容積負荷が40kg/m3・日以上と従来の処理方法(UASB、EGSB)よりも高負荷で処理できた。これは担体が流出しないのに加え、撹拌効率が向上したために基質等の接触効率が高まったためと推定される。
本発明の排水処理装置又は排水処理方法は、嫌気処理に加え、好気処理、脱窒・硝化処理などでも活用することができ、用途も電子産業、食品、畜産、農業、オフィス、下水など、産業排水や生活排水において利用可能である。
1 排水処理装置
2 処理槽
3 静翼
4 回転翼
5 担体分離部
6 箱体
6b 背面板
6c 前面板
10a 分離板

Claims (4)

  1. 槽底部に放射状に延びる静翼と槽内の液面下方付近に回転翼を具備する処理槽において前記回転翼より下方位置の槽側壁面に開口部を設けると共に、該槽壁面の外部に該開口部に連通する担体分離部を設けた排水処理装置。
  2. 前記担体分離部は、背面板が前記処理槽の周面に当接し前面板が前記背面板との間隙が上方になるに従って大となるように傾斜している箱体からなる請求項1に記載の排水処理装置。
  3. 前記箱体内の上方部に分離板を横設した請求項2に記載の排水処理装置。
  4. 槽底部に放射状に延びる静翼と槽内の液面下方付近に回転翼を具備する処理槽において、該処理槽内の処理水中の担体は前記回転翼により流動し、該処理槽内で生成するガスは該回転翼で担体から除去され、ガスを除去した担体は、前記回転翼より下方位置の槽側壁面に形成の該処理槽内に連通する開口部を有する担体分離部内で処理水から降下分離されて処理系外に流出しない排水処理方法。
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