JP2012029386A - 充電器 - Google Patents

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Abstract

【課題】常に最大の出力電力で充電を行い、短時間で充電を終了させることができる充電器を提供する。
【解決手段】バッテリーに供給される出力電流を制御するドライブ回路61と、ドライブ回路61にドライブ信号を送信するMPU部9とを備えた充電器であって、MPU部9は、バッテリーに入力できる許容電流等に基づいて算出した複数の最大出力電流の候補値のうち、最小値を目標出力電流値として設定し(ST7)、目標出力電流値と出力センサ73により検出された出力電流とのフィードバック演算を行い、目標出力電流値と出力電流との差分がゼロになるように出力電流を増減させるドライブ信号を生成する(ST9)ことを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、充電器に関し、特に、電気自動車等の電動車に搭載されたバッテリーを充電する充電器に関する。
従来の充電器として、スイッチングレギュレータを備えたものが知られている(例えば、特許文献1または2参照)。
これらの充電器では、交流電源から供給された交流の入力電流が、スイッチングレギュレータにより直流の出力電流に整流されてバッテリーに供給される。
なお、これらの充電器では、短時間で充電を終了させるために最大の出力電流をバッテリーに供給しようとしているが、スイッチングレギュレータに入力できる入力電流には上限(許容入力電流)があるため、入力電流がこの許容入力電流を超えないように、出力電圧の増加に応じて出力電流を低減させている。
また、他の充電器として、電子制御ユニットから受信した電流指令値に基づいてバッテリーを充電する充電器(例えば、特許文献3参照)が知られている。
この充電器では、交流の入力電流を整流した出力電流が、バッテリーの状態等に応じて決定された電流指令値と一致するように制御されてバッテリーに供給されている。
特開2007−221993号公報 特開2007−221992号公報 特開平7−23535号公報
しかしながら、上記特許文献1ないし3に記載の充電器は、いずれも充電器に設けられた素子等の耐性や、バッテリーの状態等に応じて一義的に決まる出力電流でバッテリーの充電が行われるものにすぎなかった。
そのため、充電中の周囲環境の影響や充電器の状態により必要以上に出力電流が低下してしまい、バッテリーに供給できる最大の出力電力で充電を行うことができなくなり、短時間で充電を終了させることができないという問題が生じていた。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、常にバッテリーに供給できる最大の出力電力で充電を行い、短時間で充電を終了させることが可能な充電器を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る充電器は、電動車を制御する電子制御ユニットからのCAN信号によって制御され、交流の入力電力に基づいて直流の出力電力を生成し、該出力電力を用いて電動車に搭載されたバッテリーを充電する充電器であって、
パワー部とパワー部を制御する制御部とを備え、
パワー部は、入力電力を整流して直流電力を生成する第1整流部と、フルブリッジ回路、および該フルブリッジ回路を駆動するドライブ回路から構成され、直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、交流電力を整流してバッテリーに供給される出力電力を生成する第2整流部と、第1整流部に入力された入力電流および入力電圧を検出する入力センサと、第2整流部から出力された出力電流および出力電圧を検出する出力センサとを有し、
制御部は、電子制御ユニットからCAN信号を受信するとともに、ドライブ回路にドライブ信号を送信するように構成され、出力電流の目標値の候補として、CAN信号に含まれる出力電流の指令値を第1候補値、パワー部に入力できる許容入力電流に基づいて算出した出力電流値を第2候補値、パワー部が出力できる許容出力電力に基づいて算出した出力電流値を第3候補値とし、これら候補値を含む複数の候補値から出力電流値が最小となる候補値を目標出力電流値として設定する目標出力電流値設定部と、目標出力電流値と出力センサにより検出された出力電流との差分がゼロになるようにドライブ信号を生成するドライブ信号生成部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、充電中の充電器を含む充電器の状態等が考慮された第1〜第3候補値を含む候補値の中から目標出力電流値が設定され、この目標出力電流値に一致する出力電流でバッテリーの充電が行われるので、常にバッテリーに供給できる最大の出力電力で充電を行うことができ、短時間で充電を終了させることができる。
上記第2候補値は、パワー部に入力できる許容入力電流と入力センサにより検出された入力電圧とパワー部の効率との乗算値を、出力センサにより検出された出力電圧で除算した値に基づいて算出された出力電流値とし、上記第3候補値は、パワー部が出力できる許容出力電力を出力センサにより検出された出力電圧で除算した値とすることができる。
上記構成における複数の候補値には、パワー部が出力できる許容出力電流値である第4候補値が含まれていることが好ましい。
また、上記構成における複数の候補値には、入力電圧と入力電流との関係を示す入力電流関数に基づいて算出された出力電流値である第5候補値が含まれていることが好ましい。
さらに、上記構成における複数の候補値には、第1整流部、インバータ部、第2整流部のうちの少なくとも1つの温度を検出する温度センサにより検出された温度と出力電流との関係を示す温度テーブルに基づいて算出される出力電流値である第6候補値が含まれていることが好ましい。
これらの構成によれば、目標出力電流値となる複数の候補値に、パワー部が出力できる許容出力電流値(第4候補値)、入力電圧に応じて入力電流の上限が規定された入力電流関数に基づく出力電流値(第5候補値)、パワー部の温度に応じて出力電流の上限が規定された温度テーブルに基づく出力電流値(第6候補値)がさらに含まれる。
このため、入力電圧の低下により入力電流が過大となって充電が停止したり、温度上昇により充電器が損傷したりするのを防ぐことができる。
また、上記構成における制御部は、CAN信号に含まれる出力電圧の電圧指令値と出力センサにより検出された出力電圧とを比較して、出力センサにより検出された出力電圧が電圧指令値よりも高い場合に、ドライブ信号の生成を停止させる充電条件判定部をさらに有してもよい。
さらに、上記構成における制御部は、入力センサにより検出された入力電流または入力電圧、出力センサにより検出された出力電流または出力電圧、温度センサにより検出された温度のうちの少なくとも1つの異常を検知して、バッテリーの充電を停止させるための信号を電子制御ユニットに出力するフェイルセーフ部をさらに有してもよい。
この構成によれば、フェイルセーフ部により充電器の過電流、過電圧、過温度等の異常が検知されると、バッテリーの充電が停止されるので、充電器やバッテリーが損傷するのを防ぐことができる。
なお、本明細書における「パワー部に入力できる許容入力電流」とは、パワー部の種類や性能等、例えば、パワー部内に設けられたインバータ部等の仕様によって決まる、パワー部に入力できる最大の電流のことをいう。
このため、許容入力電流を超える電流がパワー部に入力されると、パワー部内部の素子が損傷したり、充電器の効率が極端に低下したりする。
また、本明細書における「パワー部が出力できる許容出力電流」や「パワー部が出力できる許容出力電力」等も同様のこととする。
一方、本明細書における「最大の出力電力」、「最大の出力電流」等とは、パワー部の種類や性能等により決まるものをいうが、パワー部の状態や、周囲環境の影響により、刻一刻と変わるものである。
本発明によれば、常にバッテリーに供給できる最大の出力電力で充電を行うことができ、短時間で充電を終了させることが可能な充電器を提供することができる。
本発明に係る充電器の構成を示すブロック図である。 本発明における第1整流部の構成を示す回路図である。 本発明におけるインバータ部および第2整流部の構成を示す回路図である。 本発明におけるMPU部の構成を示すブロック図である。 本発明に係る充電器の充電制御アルゴリズムを示すブロック図である。 本発明における入力電流関数(AC100V系の場合)を示す図である。 本発明における入力電流関数(AC200V系の場合)を示す図である。 本発明における温度テーブルを示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る充電器の好ましい実施形態について説明する。
[充電器を用いた充電システム全体の構成]
図1に示すように、本発明に係る充電器3を用いた充電システム1は、電子制御ユニット(EV−ECU)2と相互に通信可能な充電器3を備え、100V/200V系の商用交流電源から供給された交流の入力電力に基づいて直流の出力電力を生成し、その出力電力を用いて電気自動車に搭載されたバッテリー4を充電するシステムである。
充電器3は、第1整流部5、インバータ部6および第2整流部7を含むパワー部8と、MPU部9を含む制御部10から構成されている。
商用交流電源から供給された交流の入力電力は、第1整流部5で直流電力に整流されてインバータ部6に供給され、インバータ部6に設けられたフルブリッジ回路62により交流電力に変換される。
そして、変換された交流電力はトランスからなる昇圧回路(不図示)で昇圧されて第2整流部7に供給された後に、第2整流部7で整流および平滑されて直流の出力電力としてバッテリー4に供給される。
図2に示すように、第1整流部5は、ノイズフィルタ51と、ダイオードブリッジ回路Dと、アクティブフィルタ52と、電解コンデンサCから構成されている。
第1整流部5では、商用交流電源から供給された交流の入力電力が、ノイズフィルタ51を経由してダイオードブリッジ回路Dで直流電力に整流された後、アクティブフィルタ52に供給されて昇圧される。
そして、昇圧された直流電力が、電解コンデンサCで平滑されてインバータ部6に供給される。
また、第1整流部5は、力率改善用ICおよび周辺回路からなる力率改善部53と、ダイオードブリッジ回路Dで整流された後の入力電流および入力電圧を検出する入力センサ54と、温度検出用のサーミスタからなる温度センサ55と、入力電力の受電信号を検出する受電信号検出回路56と、起動スイッチSを有している。
図3に示すように、インバータ部6は、パルストランス等で構成されたドライブ回路61と、4個のIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のスイッチ素子がフルブリッジ接続されたフルブリッジ回路62と、温度検出用のサーミスタからなる温度センサ63と、微小抵抗Rに流れるフルブリッジ回路の過電流を検出する過電流保護回路64を有している。
インバータ部6では、第1整流部5から供給された直流電力が、フルブリッジ回路62で交流電力に変換された後、トランスTからなる昇圧回路で昇圧されて第2整流部7に供給される。ドライブ回路61は、MPU部9で生成されたドライブ信号に基づいて、フルブリッジ回路62の各スイッチ素子をON/OFFさせる。
第2整流部7は、ダイオードブリッジ回路Dと、LCフィルタ71と、ノイズフィルタ72から構成されている。第2整流部7では、インバータ部6から供給された交流電力が、ダイオードブリッジ回路Dで再び直流電力に変換される。そして、この直流電力は、LCフィルタ71で平滑された後にノイズフィルタ72を経由し、直流の出力電力としてバッテリー4に供給される。
また、第2整流部7は、ノイズフィルタ72を経由した出力電流および出力電圧を検出する出力センサ73と、温度検出用のサーミスタからなる温度センサ74と、出力電圧の過電圧を検出する過電圧保護回路75と、微小抵抗Rに流れる出力電流の過電流を検出する過電流保護回路76とを有している。
なお、入力センサ54、出力センサ73および温度センサ55、63、74により検出された入力電流等の情報は、MPU部9に送信されるとともに、MPU部9の周辺に設けられたEEPROMに監視情報として保存される。
[MPU部の構成]
図4に示すように、MPU部9は、充電制御部91と、フェイルセーフ部92と、ドライブ信号生成部93と、CAN信号受信部94と、CAN信号送信部95と、アナログ入力部96と、デジタル入力部97と、デジタル出力部98と、力率制御部99を有している。
アナログ入力部96には、入力センサ54により検出された入力電流および入力電圧、出力センサ73により検出された出力電流および出力電圧、温度センサ55、63、74により検出されたパワー部8の各モジュール(第1整流部5、インバータ部6および第2整流部7)の温度等のアナログ信号が入力される。
デジタル入力部97には、受電信号検出回路56により検出された受電信号、過電圧保護回路75や過電流保護回路64、76により検出された過電圧、過電流等に関するデジタル信号が入力される。また、CAN信号受信部94には、電子制御ユニット2から送信された出力電流の電流指令値、出力電圧の電圧指令値を含むCAN信号が入力される。
なお、アナログ入力部96、デジタル入力部97およびCAN信号受信部94では、アナログ信号、デジタル信号およびCAN信号が、それぞれ対応する物理量をもった内部信号に変換されるが、説明の便宜上、以下、アナログ信号、デジタル信号およびCAN信号のまま説明する。
充電制御部91は、目標出力電流値設定部91Aと充電条件判定部91Bから構成されている。充電制御部91には、アナログ入力部96を経由したアナログ信号と、CAN信号受信部94を経由したCAN信号が入力される。
目標出力電流値設定部91Aでは、上記アナログ信号およびCAN信号に基づいて各種演算が行われ、目標出力電流値が設定される。
目標出力電流値には、6つの出力電流候補値、すなわち、CAN信号に含まれる出力電流の電流指令値(第1候補値)と、パワー部8に入力できる許容入力電流に基づいて算出した出力電流値(第2候補値)と、パワー部8が出力できる許容出力電力に基づいて算出した出力電流値(第3候補値)と、パワー部8が出力できる許容出力電流値(第4候補値)と、入力電圧と入力電流との関係を示す入力電流関数に基づいて算出された出力電流値(第5候補値)と、温度センサ55、63、74により検出された温度の最大値と出力電流との関係を示す温度テーブルに基づいて算出された出力電流値(第6候補値)のうちの最小値が設定される。
なお、第1候補値ないし第6候補値の具体的な算出方法については、後段の充電制御アルゴリズムのところで詳しく説明する。
充電条件判定部91Bでは、上記アナログ信号およびCAN信号に基づいて充電の開始(または継続)および停止が判定される。具体的には、CAN信号に含まれる出力電圧の電圧指令値と出力センサ73により検出された実際の出力電圧との比較が行われ、出力センサ73により検出された出力電圧が電圧指令値よりも高い場合に、後述するドライブ信号生成部93でドライブ信号が生成されるのを停止させる。
一方、出力センサ73により検出された出力電圧が電圧指令値よりも低い場合には、目標出力電流値設定部91Aで設定された目標出力電流値がドライブ信号生成部93に出力される。
なお、充電を開始する場合には、充電条件判定部91Bで生成された充電起動信号が、デジタル出力部98を経由して第1整流部5に入力されることにより、起動スイッチSがONされる。
ドライブ信号生成部93では、目標出力電流値設定部91Aで設定された目標出力電流値と出力センサ73により検出された出力電流とのフィードバック演算(PID演算)によるフィードバック制御が行われ(図5のST9参照)、目標出力電流値と出力センサ73により検出された出力電流との差分がゼロになるように出力電流を増減させるドライブ信号が生成される。生成されたドライブ信号は、インバータ部6のドライブ回路61に出力される。
フェイルセーフ部92は、故障診断部92Aと、冷却要求制御部92Bから構成されている。
故障診断部92Aでは、アナログ入力部96を経由したアナログ信号と、デジタル入力部97を経由したデジタル信号と、CAN信号受信部94を経由したCAN信号に基づいて、入力センサ54、出力センサ73および温度センサ55、63、74等の故障状態が検知されたり、パワー部8の各モジュールの異常電圧等が検知されたりする。
故障診断部92Aで検知された故障状態や、異常電圧等の情報は、MPU部9の周辺に設けられたRAMやEEPROMに記憶される。また、故障診断部92Aで各モジュールの温度上昇が検知された場合は、冷却要求制御部92Bから各モジュールの温度上昇を抑えるための冷却要求が、CAN信号送信部95に出力される。
力率制御部99では、力率を高めるために、出力センサ73により検出された出力電圧と、入力センサ54により検出された入力電圧に基づいて第1整流部5の力率改善部53に出力されるドライブ信号が生成される。
なお、力率改善部53では、そのドライブ信号に基づいてアクティブフィルタ52を構成するスイッチ素子がON/OFFされることで、アクティブフィルタ52から出力される直流電圧が増幅されて力率が改善される。
上記のように、充電器3では、充電中のパワー部8の状態等が考慮された複数の候補値の中から目標出力電流値を設定し、ドライブ信号生成部93で生成されたドライブ信号に基づいて、インバータ部6で出力電流と目標出力電流値を一致させることができるので、常にバッテリー4に供給できる最大の出力電力で充電を行うことができ、短時間で充電を終了させることができる。
[充電制御アルゴリズム]
次に、図5を参照して、本発明に係る充電器3を用いた充電システム1の充電制御アルゴリズムについて説明する。充電システム1では、バッテリー4に供給する出力電力の制御が、下記のステップで行われる。
まず、目標出力電流値設定部91AにCAN信号に含まれる出力電流の指令値が目標出力電流値の第1候補値として設定される。また、目標出力電流値設定部91Aで、アナログ入力部96を経由したアナログ信号に基づいて、目標出力電流値の第2候補値ないし第6候補値が算出される(ST2〜ST6)。
第2候補値は、パワー部8に入力できる許容入力電流に基づいて算出される。具体的には、入力センサ54により検出された入力電圧と、パワー部8に入力できる許容入力電流(本実施形態では、14.3A)と、パワー部8の効率から出力電力が算出され(ST1)、この出力電力と、出力センサ73により検出された出力電圧と、パワー部8の効率のバラツキ等を補正するK値から第1候補値が算出される(ST2)。
本実施形態におけるパワー部8の効率は、100V系の商用交流電源を用いた場合85%となり、200V系の商用交流電源を用いた場合88%となる。
また、本実施形態におけるK値は、入力センサ54により検出された入力電流に応じて0.9〜1.1の間で設定される可変値である。
なお、本実施形態では、パワー部8の効率とK値を分けて演算しているが、ST1でK値を含めたパワー部8の効率を用いて演算してもよい。
第3候補値は、パワー部8が出力できる許容出力電力と、出力センサ73により検出された出力電圧から算出され(ST3)、第4候補値は、パワー部8が出力できる許容出力電流から算出される(ST4)。
第5候補値は、入力センサ54により検出された入力電圧と、入力電流関数に基づいて算出された入力電流の上限値と、パワー部8の効率と、出力センサ73により検出された出力電圧から算出される(ST5)。
パワー部8には、外部環境の変化等により入力電圧が低下した場合に、入力電流が過大となってブレーカーが作動し、充電が停止してしまうのを防ぐために、入力電圧を変数とし、この入力電圧に応じて入力電流の上限値が設定される電圧リミットモードが設けられている。
入力電流関数は、この電圧リミットモードを考慮した入力電圧と入力電流の関係を示す関数である。
図6に100V系の商用交流電源を用いた場合の入力電流関数の一例を示す。
同図に示すように、入力電流関数に基づいて算出される入力電流は、入力電圧が95V以上の場合、パワー部8に入力できる許容入力電流(最大電流)となり、入力電圧が95Vより小さく、かつ85V以上の場合、電圧リミットモードにより制限された電流となり、入力電圧が85Vより小さい場合、ゼロ(充電停止)となる。
また、図7に200V系の商用交流電源を用いた場合の入力電流関数の一例を示す。
同図に示すように、この場合の入力電流は、入力電圧が182V以上の場合、パワー部8に入力できる許容入力電流(最大電流)となり、入力電圧が182Vより小さく、かつ172V以上の場合、電圧リミットモードにより制限された電流となり、入力電圧が172Vより小さい場合、ゼロ(充電停止)となる。
第6候補値は、温度センサ55、63、74により検出された温度と出力電流との関係を示す温度テーブルに基づいて算出される(ST6)。
パワー部8には、各モジュール(第1整流部5、インバータ部6および第2整流部7)の温度が上昇した場合に、出力電流を直線的または段階的に減少させていく温度リミットモードが設けられており、これにより、パワー部8の内部損失(発熱量)が減っていくため、各モジュールの温度上昇を防ぎながらバッテリー4の充電を安全に継続することができる。
温度テーブルでは、この温度リミットモードが考慮されている。
図8に示すように、温度テーブルにおける出力電流は、温度センサ55、63、74により検出された温度の最大値があらかじめ設定された温度(95℃)以下の場合、パワー部8が出力できる許容出力電流(最大電流)となり、95℃より大きく、かつ充電停止温度(105℃)より小さい場合、温度リミットモードにより制限された負の傾きをもつ電流となり、充電停止温度(105℃)以上の場合、ゼロ(充電停止)となる。
なお、上記第5候補値および第6候補値は、第1候補値ないし第4候補値に基づく出力電流をさらに制限したものであり、外部環境の変化等により入力電圧が低下した場合や、温度が上昇した場合にバッテリー4に供給できる最大の出力電流である。
ST1〜ST6で各候補値が算出されると、目標出力電流値設定部91Aで、CAN信号受信部94に入力されたCAN信号に含まれる電流指令値(第1候補値)と、第2候補値ないし第6候補値が比較される。
第1候補値ないし第6候補値からなる6つの候補値は、それぞれ異なる条件下で算出されたバッテリー4に供給できる最大の出力電流値であり、バッテリー4に供給される出力電流がこれら6つの候補値のいずれかの値を超えると、パワー部8やバッテリー4に負担がかかってしまうおそれがある。このため、目標出力電流値設定部91Aでは、これら6つの候補値のうち、最小値が目標出力電流値(目標値A)として設定される(ST7)。
続いて、充電条件判定部91Bでは、CAN信号に含まれる出力電圧の電圧指令値と出力センサ73により検出された実際の出力電圧との比較が行われ、充電の開始(継続)および停止が判定される(ST8)。
具体的には、出力センサ73により検出された出力電圧が電圧指令値よりも高い場合は、充電停止と判定され、ドライブ信号生成部93におけるドライブ信号の生成が停止させられる。
一方、出力センサ73により検出された出力電圧が電圧指令値よりも低い場合は、充電継続と判定され、目標出力電流値設定部91Aで設定された目標出力電流値がドライブ信号生成部93に出力される。
充電継続と判定されると、ドライブ信号生成部93では、目標出力電流値設定部91Aで設定された目標出力電流値と出力センサ73により検出された出力電流のフィードバック演算(PID演算)によるフィードバック制御が行われ、目標出力電流値と出力センサ73により検出された出力電流との差分がゼロになるように出力電流を増減させるドライブ信号が生成される(ST9)。
具体的には、目標出力電流値設定部91Aで設定された目標出力電流値と出力センサ73により検出された出力電流との差分から得られるエラー値に対して、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)の演算が行われ、それぞれ加算される。
そして、この加算された値を用いて、ドライブ信号生成部93に設けられたマルチファンクションタイマーユニット(MTU)により2相のドライブ信号が生成される。
なお、故障診断部92Aで、入力センサ54、出力センサ73および温度センサ55、63、74の故障が検知されたり、パワー部8の各モジュールの電圧異常等が検知されたりした場合、ドライブ信号生成部93では、目標出力電流値設定部91Aで設定された目標出力電流値および出力センサ73により検出された出力電流が更新されず、故障や異常が検知される前の目標出力電流値および出力電流を用いてフィードバック制御が行われる。
上記のように、本発明に係る充電器3を用いた充電システム1によれば、第1候補値ないし第4候補値に基づいて目標出力電流値を設定することで、充電中のパワー部8の状態等を考慮して出力電流を最大にすることができる。
また、上記候補値に第5候補値および第6候補値を含めて目標出力電流値を設定することで、第1候補値ないし第4候補値で設定された出力電流を制限して安全にバッテリー4を充電することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態に係る充電器3では、目標出力電流値の候補値として、第1候補値ないし第6候補値の6つが含まれているが、少なくとも第1候補値ないし第3候補値が含まれていれば、常にバッテリーに供給できる最大の出力電力で充電を行うことができ、短時間で充電を終了させることができる。ただし、充電器3をより安全に動作させるためには第4候補値ないし第6候補値も必要になる。
また、上記実施形態に係る充電器3では、ドライブ信号生成部93で生成されたドライブ信号がドライブ回路61に直接入力されているが、故障診断部92Aでパワー部8の各モジュールの故障や異常が検知された場合に動作するラッチ回路を経由させて、ドライブ信号生成部93から出力されるドライブ信号をブロック可能としてもよい。
1 充電システム
2 電子制御ユニット
3 充電器
4 バッテリー
5 第1整流部
6 インバータ部
7 第2整流部
8 パワー部
9 MPU部
10 制御部
54 入力センサ
55 温度センサ
61 ドライブ回路
62 フルブリッジ回路
63 温度センサ
73 出力センサ
74 温度センサ
91 充電制御部
91A 目標出力電流値設定部
91B 充電条件判定部
92 フェイルセーフ部
92A 故障診断部
92B 冷却要求制御部
93 ドライブ信号生成部
94 CAN信号受信部
95 CAN信号送信部
96 アナログ入力部
97 デジタル入力部
98 デジタル出力部
99 力率制御部

Claims (7)

  1. 電動車を制御する電子制御ユニットからのCAN信号によって制御され、交流の入力電力に基づいて直流の出力電力を生成し、該出力電力を用いて前記電動車に搭載されたバッテリーを充電する充電器であって、
    パワー部と前記パワー部を制御する制御部とを備え、
    前記パワー部は、
    前記入力電力を整流して直流電力を生成する第1整流部と、
    フルブリッジ回路、および該フルブリッジ回路を駆動するドライブ回路から構成され、前記直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、
    前記交流電力を整流して前記バッテリーに供給される前記出力電力を生成する第2整流部と、
    前記第1整流部に入力された入力電流および入力電圧を検出する入力センサと、前記第2整流部から出力された出力電流および出力電圧を検出する出力センサとを有し、
    前記制御部は、前記電子制御ユニットから前記CAN信号を受信するとともに、前記ドライブ回路にドライブ信号を送信するように構成され、
    前記出力電流の目標値の候補として、前記CAN信号に含まれる前記出力電流の指令値を第1候補値、
    前記パワー部に入力できる許容入力電流に基づいて算出した出力電流値を第2候補値、
    前記パワー部が出力できる許容出力電力に基づいて算出した出力電流値を第3候補値とし、
    これら候補値を含む複数の候補値から出力電流値が最小となる候補値を目標出力電流値として設定する目標出力電流値設定部と、
    前記目標出力電流値と前記出力センサにより検出された出力電流との差分がゼロになるように前記ドライブ信号を生成するドライブ信号生成部とを有することを特徴とする充電器。
  2. 前記第2候補値は、前記パワー部に入力できる許容入力電流と前記入力センサにより検出された入力電圧と前記パワー部の効率との乗算値を、前記出力センサにより検出された出力電圧で除算した値に基づいて算出された出力電流値であり、
    前記第3候補値は、前記パワー部が出力できる許容出力電力を前記出力センサにより検出された出力電圧で除算した値であることを特徴とする請求項1に記載の充電器。
  3. 前記パワー部が出力できる許容出力電流値を第4候補値とし、前記複数の候補値に前記第4候補値が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の充電器。
  4. 前記入力電圧と前記入力電流との関係を示す入力電流関数に基づいて算出された出力電流値を第5候補値とし、前記複数の候補値に前記第5候補値が含まれることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の充電器。
  5. 前記パワー部は、前記第1整流部、前記インバータ部、前記第2整流部のうちの少なくとも1つの温度を検出する温度センサをさらに含み、
    前記温度センサにより検出された温度と前記出力電流との関係を示す温度テーブルに基づいて算出される出力電流値を第6候補値とし、前記複数の候補値に前記第6候補値が含まれることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の充電器。
  6. 前記制御部は、前記CAN信号に含まれる前記出力電圧の電圧指令値と前記出力センサにより検出された出力電圧とを比較して、前記出力センサにより検出された出力電圧が前記電圧指令値よりも高い場合に、前記ドライブ信号の生成を停止させる充電条件判定部をさらに有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の充電器。
  7. 前記制御部は、前記入力センサにより検出された入力電流または入力電圧、前記出力センサにより検出された出力電流または出力電圧、前記温度センサにより検出された温度のうちの少なくとも1つの異常を検知して、前記バッテリーの充電を停止させるための信号を前記電子制御ユニットに出力するフェイルセーフ部をさらに有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の充電器。
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