JP2012026852A - 成分濃度測定方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】正確かつ境界状態の影響を受けない成分濃度測定を実現する。
【解決手段】レーザダイオード1は、被測定物11に光を照射する。音響センサ5は、被測定物11から発生する光音響信号を検出する。情報処理装置10は、第1の時刻で得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として位相を測定すると共に、任意の時間経過後の基準周波数の信号を測定信号として位相を測定する。情報処理装置10は、任意の時間経過後に測定される位相が第1の時刻において測定された位相と等しくなる測定信号の周波数を探索し、探索した周波数と基準周波数との変化量から、任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、被測定物に含まれる血液グルコース等の成分の濃度を連続モニターするための成分濃度測定方法および装置に関するものである。より詳細には、測定信号の位相情報に基づいて測定信号の周波数の変化量を求め、実質的に音速の変化量を求めることによって、CW測定系に固有の測定信号の強いバイアスを取り除き、CW測定系の主たる問題を無くす技術に関する。
糖尿病患者の血糖値を連続モニターするための方法として光音響法があり、簡単にまとめると、以下のような特徴がある。
(a)光音響法は、連続的な血液グルコース監視を提供する。
(b)糖尿病患者にとって無痛で、血液サンプルを必要とせず、糖尿病患者に不快感を与えることがない。
(c)他の光学的な技術と比べて、散乱メディアによる効率の悪化がない。
(d)光学と音響学の結合により高感度の特性を得ることができる。
光音響法には、パルス(pulse)法と連続波(continuous-wave、以下CWとする)法の二つの方式がある。パルス法には、高感度を得るために高い光パワーを使わなければいけないという欠点があった。一方、CW法には、反射表面のところの特性が変わると信号強度も変わる、すなわち再現性がないという欠点があった。しかし、高い光パワーは人体にとって安全性の面で問題になる可能性があるので、CW法を採用することが好ましい(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2008−125542号公報 特開2008−125543号公報 特開2008−145262号公報
CW法を採用する場合の主たる問題は、測定感度が境界条件への依存を示すことである。ここで、境界とは、人体の中で弾性波が反射される表面のことを言う。このような弾性波の反射は、音響インピーダンスZ1と異なる音響インピーダンスZ2との間の界面(例えば肉と骨の間の界面、液体と空気との間の界面)を波が伝播する度に生じる。CW法では、このような境界が存在すると、局所的な共鳴腔となり、結果的に光照射された領域の近くの内部で定在波が生じる。さらに、この定在波または共鳴のモードは、共鳴腔の寸法とその特性に強く依存する。
境界条件の正確かつ再現可能な制御は困難である。なぜならば、寸法は患者毎に変化し、また音響センサの検出部が数ミリメートル動くことは容易だからである。
以上のように、従来のCW法では、人体の血糖値等をモニタリングする際に、光音響波が人体の表面で多重反射するため、測定中の人体のインピーダンスや形状変化によって反射状態が変化し、測定信号にバイアスが生じる結果、算出した血糖値に誤差が生じるという問題点があった。
このような問題のため、光音響法を扱うほとんど全ての出版物ではパルス法の仕組みを開示しているが、前述のとおり、パルス法では高感度を得るために高い光パワーを使わなければならず、人体にとって安全性の面で問題になる可能性があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、高い光パワーを使わなくて済むというCW測定系の利点を維持しつつ、正確かつ境界状態の影響を受けない成分濃度測定を実現することができる成分濃度測定方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の成分濃度測定方法は、測定対象の成分の濃度が既知の被測定物に対して光を照射する第1の光照射ステップと、この第1の光照射ステップによって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する第1の光音響信号検出ステップと、この第1の光音響信号検出ステップで得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の位相を測定する第1の位相測定ステップと、任意の時間経過後に前記被測定物に対して光を照射する第2の光照射ステップと、この第2の光照射ステップによって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する第2の光音響信号検出ステップと、この第2の光音響信号検出ステップで得られた電気信号のうち前記基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の位相を測定する第2の位相測定ステップと、この第2の位相測定ステップで測定する位相が前記第1の位相測定ステップで測定した位相と等しくなる測定信号の周波数を探索する周波数探索ステップと、この周波数探索ステップで探索した周波数と前記基準周波数との変化量から、前記任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出する濃度導出ステップとを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定方法の1構成例において、前記第1、第2の位相測定ステップと前記周波数探索ステップとは、参照信号を発生する関数発生器とこの参照信号を入力とするロックインアンプとを用いることにより、前記第1、第2の光音響信号検出ステップで得られた電気信号から所望の周波数の測定信号を検出することを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定方法の1構成例において、前記濃度導出ステップは、前記周波数探索ステップで探索した周波数と前記基準周波数とから周波数変化率を算出し、この周波数変化率と測定対象の成分濃度が単位量変化したときの既知の周波数変化率とから、前記任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出することを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定方法の1構成例は、さらに、前記第1の光音響信号検出ステップで得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の振幅を測定する第1の振幅測定ステップと、前記第2の位相測定ステップで測定した位相が前記第1の位相測定ステップで測定した位相と等しい場合に、前記第2の光音響信号検出ステップで得られた電気信号のうち前記基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の振幅を測定する第2の振幅測定ステップと、この第2の振幅測定ステップで測定した振幅が前記第1の振幅測定ステップで測定した振幅と異なる場合に、前記基準周波数に最も近い周波数の振幅のピークを探索して、この探索したピークの周波数を新たな基準周波数とする周波数シフト校正手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定方法の1構成例は、さらに、前記第1の位相測定ステップで測定する位相が0になるように位相にオフセットを加える位相オフセット調整ステップを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置は、被測定物に対して光を照射する光照射手段と、この光照射によって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する光音響信号検出手段と、前記電気信号に含まれる測定信号の位相を測定する位相測定手段と、任意の時間経過後の前記測定信号の周波数を探索する周波数探索手段と、前記任意の時間経過後の前記測定信号の周波数の変化量から、測定対象の成分濃度を導出する濃度導出手段とを備え、前記光照射手段は、第1の時刻において測定対象の成分濃度が既知の前記被測定物に対して光を照射すると共に、任意の時間経過後に前記被測定物に対して光を照射し、前記位相測定手段は、前記第1の時刻において得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の位相を測定すると共に、前記任意の時間経過後の電気信号のうち前記基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の位相を測定し、前記周波数探索手段は、前記任意の時間経過後に測定される位相が前記第1の時刻において測定された位相と等しくなる測定信号の周波数を探索し、前記濃度導出手段は、前記周波数探索手段が探索した周波数と前記基準周波数との変化量から、前記任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出することを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例は、さらに、参照信号を発生する関数発生器と、前記参照信号を入力とし、前記電気信号から所望の周波数の測定信号を検出するロックインアンプとを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例において、前記濃度導出手段は、前記周波数探索手段が探索した周波数と前記基準周波数とから周波数変化率を算出し、この周波数変化率と測定対象の成分濃度が単位量変化したときの既知の周波数変化率とから、前記任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出することを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例は、さらに、前記電気信号に含まれる測定信号の振幅を測定する振幅測定手段と、前記測定信号の周波数シフトを校正する周波数シフト校正手段とを備え、前記振幅測定手段は、前記第1の時刻において得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の振幅を測定すると共に、前記任意の時間経過後に測定された位相が前記第1の時刻において測定された位相と等しい場合に、前記任意の時間経過後の電気信号のうち前記基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の振幅を測定し、前記周波数シフト校正手段は、前記任意の時間経過後に測定された振幅が前記第1の時刻において測定された振幅と異なる場合に、前記基準周波数に最も近い周波数の振幅のピークを探索して、この探索したピークの周波数を新たな基準周波数とすることを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例は、さらに、前記第1の時刻において測定する位相が0になるように位相にオフセットを加える位相オフセット調整手段を備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、測定信号の位相情報に基づいて測定信号の周波数の変化量を求め、この周波数の変化量から測定対象の成分濃度を導出することにより、CW法の測定系に固有の周波数シフトというバイアスを無くすことができ、高い光パワーを使わなくて済むというCW測定系の利点を維持しつつ、正確かつ境界状態の影響を受けない測定を実現することができる。本発明では、被測定物の中の境界状態がどのような状態であっても対応することができる。そして、本発明では、成分濃度を連続して測定することができ、また複数の光波長を用いた多変量解析の場合にいくつかの異なった周波数で利用することができる。本発明では、例えば血液グルコース濃度の非侵襲で連続した測定を行う場合に、ロバスト性を向上させることができる。
また、本発明では、関数発生器とロックインアンプとを用いることにより、高い周波数精度を得ることができ、正確かつ境界状態の影響を受けない成分濃度測定を実現することができる。
また、本発明では、周波数探索ステップで探索した周波数と基準周波数とから周波数変化率を算出することにより、この周波数変化率と測定対象の成分濃度が単位量変化したときの既知の周波数変化率とから、任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出することができる。
また、本発明では、第2の振幅測定ステップで測定した振幅が第1の振幅測定ステップで測定した振幅と異なる場合に、基準周波数に最も近い周波数の振幅のピークを探索して、この探索したピークの周波数を新たな基準周波数とすることにより、測定対象の成分濃度変化以外の他の影響によって生じる測定信号の周波数シフトを校正することができる。
また、本発明では、第1の位相測定ステップで測定する位相が0になるように位相にオフセットを加えることにより、周波数探索ステップの処理を容易にすることができる。
音響センサから出力される測定信号の振幅と血液グルコース濃度との関係を示す図である。 2つの異なった血液グルコース濃度における測定信号の変化を示す図である。 本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置の情報処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置による実験結果の1例を示す図である。
[発明の原理]
図1に、音響センサから出力される測定信号の振幅と血液グルコース濃度との関係を示す。ここでは、人体または人体の一部である被測定物に光を照射したときに、光音響効果によって被測定物から発生する光音響信号を音響センサで検出し、音響センサから出力される電気信号(測定信号)を得ている。図1において、100,101,102,103はそれぞれ測定信号の周波数が479kHz、480kHz、481kHz、482kHzの場合の特性である。
従来のように、血液グルコース濃度の測定に、任意の固定された周波数の測定信号を使用する場合では、図1に示すように、血液グルコース濃度の測定感度と、測定信号振幅−血液グルコース濃度特性の直線性とは、測定信号の周波数に強く依存する。すなわち、測定信号の選ばれた周波数によって、音響センサの応答は強く異なる。図1の結果は1つの光波長だけで得た結果であるが、CW法を採用する場合は、いつも同じような現象が現れる。
本発明では、測定信号の周波数を調整する手段として、新たに関数発生器(ファンクションジェネレータ)を用いることを特徴とする。この関数発生器は、最高で1MHzの周波数の参照信号を発生し、またmHzオーダーの高い周波数精度を有することが好ましい。
次に、時間と共に血液グルコース濃度が変化すると、測定信号は以下のように変化する。図2(A)、図2(B)に、2つの異なった血液グルコース濃度Ow,Ogにおける測定信号の変化を示す。図2(A)、図2(B)において、200は血液グルコース濃度Owの場合の測定信号の特性を示し、201は血液グルコース濃度Ogの場合の測定信号の特性を示している。
測定信号の振幅情報に関しては、血液グルコース濃度の変化に応じて振幅のピーク周波数がΔfだけシフトし、また振幅のピーク値がΔVだけシフトする。時間と共に血液グルコース濃度が増加した場合には、ピーク周波数は高周波側へとシフトし、血液グルコース濃度が減少した場合には、ピーク周波数は低周波側へとシフトする。また、Δfは光学波長に依存する。
一方、測定信号の位相情報は、血液グルコース濃度の変化に応じて周波数軸に沿ってシフトする。時間の経過と共に血液グルコース濃度が減少した場合には、位相情報は低周波側へとシフトし、血液グルコース濃度が増加した場合には、位相情報は高周波側へとシフトする。
このように、グルコース濃度の変化には2つのシフトをもたらす効果がある。すなわち、振幅と位相の両方に現れるX軸(周波数)に沿ってシフトする効果と、振幅だけに現れるY軸(振幅)に沿ってシフトする効果である。振幅情報において2つのシフトを区別することは困難であるが、位相情報は周波数シフトだけを受ける。
そこで、本発明の成分濃度測定方法では、測定信号の位相情報に基づいて測定信号の周波数の変化量を求め、この周波数の変化量から血液グルコース濃度の正確な測定を実行する。
次に、本発明の成分濃度測定の手順について説明する。まず、最初の測定においては、被測定物にレーザ光を照射し、光音響効果によって被測定物から発生する光音響信号を音響センサで検出する際に、音響センサの広い周波数測定スパン(例えば200−600kHzの範囲)で光音響信号の測定を実施する。
光音響信号の多重反射により、音響センサから出力される測定信号の振幅情報には複数のピークが現れる。これらのうちの1つのピークを選択して、この選択したピークの周波数の近くに、関数発生器から発生する参照信号の周波数を決める。このピークの周波数を基準周波数f0と呼ぶ。ここで、重要なパラメータは、基準周波数f0における測定信号の振幅A0と基準周波数f0における測定信号の位相P0である。このとき、測定信号の位相P0を0に設定するために、後述のように被測定物に照射するレーザ光の位相にオフセットを加えることが好ましい。そして、振幅A0と位相P0(P0=0)と周波数f0とを記録しておく。
ここで、本当のグルコース濃度値は分からないので、同時に血液グルコース濃度を確認するために標準測定を実行して、基準濃度G0(g/dl)を得る。これで、基準濃度G0(g/dl)で基準周波数f0における振幅A0と位相P0(P0=0)とが得られたことになる。
次に、任意の時間経過後の時刻tにおいて基準周波数f0における測定を実施する。測定信号の位相は基準周波数f0において0に設定されたので、時刻tにおいてグルコース濃度がG1(g/dl)に変化すれば、基準周波数f0における測定信号の位相P1は0ではなくなる。ここで、位相P0に対して位相P1が大きい場合は測定信号の周波数を増加すべきことを意味し、位相P0に対して位相P1が小さい場合は測定信号の周波数を減少すべきことを意味している。そこで、時刻tにおける測定信号の位相P1がP0と等しくなるように(ここでは、0になるように)関数発生器で測定周波数を変更する。位相P1がP0と等しくなる周波数をf1とする。そして、周波数f1における測定信号の振幅A1と位相P1(P1=P0=0)とを記録しておく。
グルコース濃度の変化に伴う測定信号の周波数変化率Δf/f=(f1−f0)/f0は、グルコース濃度の変化に伴う光音響信号の音速変化率Δv/v=(v(G1)−v(G0))/v(G0)に比例する。ここで、v(G0)はグルコース濃度G0(g/dl)のときの音速、v(G1)はグルコース濃度G1(g/dl)のときの音速である。そして、後述のように測定信号の周波数変化率Δf/fから、血液グルコース濃度を推定することができる。
音速を利用して血液グルコース濃度を推定する場合、この推定の過程は共鳴腔の寸法や共鳴モードの影響を受けない。光学波長は、共鳴腔の寸法や共鳴モードと関係するが、何らかの明確な目的があれば、自由に光学波長を選択することもできる。
光学波長の選択に関して説明する。音速を利用した血液グルコース濃度の測定は有効な測定法であるが、血しょう成分の変化も音速の変化に通じる可能性が高い。米国特許5119819号(G.H.Thomas et al.,“Method and apparatus for non-invasive monitoring of blood glucose”,1992)に開示された技術では、グルコース以外の血しょう成分濃度はゆっくりと変わるので、グルコース濃度測定の間、他の成分は一定の濃度レベルにあるという仮定をしている。この仮定は短時間の測定では成立する可能性があるが、本発明のように、血液グルコース濃度を連続的にモニターする場合にはドリフト(グルコース濃度変化以外の他の影響によって生じる測定信号の周波数シフト)が発生する可能性が高くなる。本発明では、このドリフトの問題の解決のため、次の2つのアプローチを提案する。
(A)ドリフトを修正するために、定期的(数時間毎)に標準的な測定方法で血液グルコース濃度を測定し、血液成分の新しい値に従って成分濃度測定装置を再調整する。
(B)振幅信号を用いるために光学波長を慎重に選択し、血しょう成分を同時に検出する。
本発明では、校正測定を定期的に必要とするが、この校正は1日あたり数回以上必要なものではないので、上記の(B)の方法は好ましい。(B)の方法は、米国特許4506543号(A.J.Kamp et al.,“Analysis of salt concentrations”,1985)に開示された技術と類似のものであるが、本発明では、同じ実験データから両方の測定が同時にできる。
上述の方法では、P1やP0といった位相情報だけを考慮する。しかしながら、血液グルコース濃度が既知のときの周波数f0における測定信号の振幅A0と、周波数f1における測定信号の振幅A1とを比較すれば、主に光の吸収の変化による信号強度の違いから濃度測定を行うことができる。
例えば2個の化合物a,bが混ざり合っている被測定物の場合を考える。化合物a,bは、音速パラメータに影響を与える。しかし、2個の化合物a,bが異なる光吸収比を示す光学波長を選ぶならば、化合物a,bの濃度という2つの未知パラメータを有する2つの方程式が得られる。一方の方程式は、第1の時刻と第2の時刻との間の音速の差の方程式であり、もう1つの方程式は、第1の時刻と第2の時刻との間の信号振幅の差の方程式である。他のすべての化合物を一定濃度であると仮定すれば、化合物a,bの濃度を明確に決定することができる。
3個の化合物a,b,cが混ざり合っている被測定物の場合、2つの異なる光学波長を必要とする。位相の測定は、2つの光学波長を用いる場合において1つの方程式だけをもたらすのと同じ結果を与える。しかしながら、3個の化合物a,b,cが異なる光吸収比を示す2つの光学波長を選ぶことで、さらに2つの方程式を得ることができる。
このように、n個の光学波長を使用すれば、(n+1)個の化合物の濃度を測定することができる。ただし、この測定は、測定時間が全ての化合物の一定の濃度を保証できるくらい短い場合に限る。
次に、グルコース濃度の変化に伴う測定信号の周波数変化が、グルコース濃度の変化に伴う光音響信号の音速変化と関係することについて説明する。被測定物に光を照射したときに音響センサで得られる電気信号には複数のピークが現れるが、このピークは小空間に光音響エネルギーが閉じ込められることによるものである。そして、共鳴モードは複数の反射により形成される。まず、光音響エネルギーが閉じ込められる空間のモデルとして、互いに平行で無限に長い2つの平面を用いる。2つの平面の距離はLである。この単純な条件では、以下の式が成立する。
L=(nλ)/2 ・・・(1)
ここで、nは正の整数、λは音響信号の波長である。音響信号の速度をvac、n番目のモードの共振周波数をfとすると、音響信号の波長λは次式で表される。
λ=vac/f ・・・(2)
式(1)、式(2)より、次式が得られる。
f=(nvac)/2L ・・・(3)
式(3)より、共振周波数fは、音響信号の速度vacに比例することが分かる。
横方向閉じ込めを導入したときは、光音響エネルギーが閉じ込められる空間が円筒空洞の場合のみ共振周波数fjを以下のように表すことができる。
Figure 2012026852
ここで、j=(nmq)であり、n,m,qはそれぞれラジアル(radial)方位、方位(azimuth)、縦モードの番号である。Rは円筒の半径、Lは円筒の長さである。αmnは方程式のn+1番目の根である。
Figure 2012026852
式(5)において、Jmはm次のベッセル関数である。m=n=0のとき、f00qはq番目の縦モードの共振周波数となる。重要な事実は、音響信号の共振周波数fが音響信号の速度vacに線形的に依存することである。つまり、音響信号の速度vacの変化の結果、音響信号の共振周波数fに変化が生じるので、次式の関係が得られる。
Δf/f=Δvac/vac ・・・(6)
音響信号の速度vacとグルコース濃度とは、線形関係にある。さらに、音響信号の速度vacの変化と共振周波数fの変化とには式(6)に示した関係があるので、グルコース濃度の変化が音響信号の周波数の変化に線形的につながることが分かる。
以上により、本発明では、測定信号の周波数の変化からグルコース濃度を導出する。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図3は本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成を示すブロック図である。
成分濃度測定装置は、レーザ光を放射する光照射手段となるレーザダイオード1と、レーザダイオード1を駆動するLDドライバ2と、レーザダイオード1から放射されたレーザ光を導く光ファイバ3と、光ファイバ3を固定して、人体または人体の一部である被測定物11にレーザ光を照射する光ファイバホルダ4と、光音響効果によって被測定物11から発生する光音響信号を検出し、音圧に比例した電気信号に変換する光音響信号検出手段となる音響センサ5と、音響センサ5から出力された電気信号を増幅する増幅器6と、参照信号を発生する関数発生器7と、増幅器6の出力信号と関数発生器7から出力された参照信号とを入力として、増幅器6の出力信号から所望の周波数の測定信号を検出するロックインアンプ8と、LDドライバ2に駆動電流を供給する電圧−電流コンバータ9と、関数発生器7およびロックインアンプ8を制御すると共に、ロックインアンプ8が検出した測定信号を処理して血液グルコース濃度を導出するコンピュータからなる情報処理装置10とから構成される。音響センサ5の例としては、マイクロホンがある。
図4は情報処理装置10の構成を示すブロック図である。情報処理装置10は、関数発生器7を制御する関数発生器制御部20と、測定信号の振幅を測定する振幅測定部21と、測定信号の位相を測定する位相測定部22と、位相のオフセットを調整する位相オフセット調整部23と、測定信号の振幅と位相と周波数の情報を記録する情報記録部24と、測定信号の周波数の変化から血液グルコース濃度を導出するグルコース濃度導出部25と、測定信号の周波数シフトを校正する周波数シフト校正部26と、情報記憶のための記憶部27とを有する。関数発生器制御部20は、周波数探索手段を構成している。
以下、本実施の形態の成分濃度測定装置の動作について説明する。図5は成分濃度測定装置の動作を示すフローチャートである。
まず、LDドライバ2から駆動電流が供給されると、レーザダイオード1はレーザ光を放射する。従来のCW法と同様に、レーザダイオード1から放射されるレーザ光は連続波である。このレーザ光は、光ファイバ3によって導かれ、被測定物11に照射される(図5ステップS1)。音響センサ5は、被測定物11から発生する光音響信号を検出し、増幅器6は、音響センサ5から出力された電気信号を増幅する。ロックインアンプ8は、増幅器6の出力に含まれる信号のうち、関数発生器7から出力される参照信号によって決まる周波数の測定信号を検出する。
情報処理装置10の関数発生器制御部20は、関数発生器7が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、ロックインアンプ8が検出する測定信号の周波数を漸次変化させる周波数掃引を行う(図5ステップS2)。こうして、測定信号の共鳴ピークを探索する。
次に、測定信号の振幅のピークを見つけたときに、情報処理装置10の振幅測定部21は、このピークの周波数(基準周波数f0)における測定信号の振幅A0を測定し(図5ステップS4)、位相測定部22は、基準周波数f0における測定信号の位相P0を測定する(ステップS5)。
このような測定の前に、情報処理装置10の位相オフセット調整部23は、ロックインアンプ8を通じて電圧−電流コンバータ9を制御し、LDドライバ2からレーザダイオード1に供給される駆動電流の位相を変化させ、被測定物11に照射するレーザ光の位相を変化させることにより、測定信号の位相P0を0に設定することが好ましい(図5ステップS3)。
情報記録部24は、振幅測定部21が測定した振幅A0と、位相測定部22が測定した位相P0(P0=0)と、ピークの周波数(基準周波数f0)とを記憶部27に記憶させる(図5ステップS6)。
次に、被測定物11に対して標準的な血糖測定法を実施し、基準濃度X(g/dl)を得る(図5ステップS7)。これで、基準濃度X(g/dl)で基準周波数f0における振幅A0と位相P0(P0=0)とが得られたことになる。標準的な血糖測定法を実施するには、血糖測定器の本体に、グルコースセンサーを差し込み、針を専用の機械(または本体)にセットして、指などから採血し、グルコースセンサーに血を吸収させる。標準的な血糖測定法は、既知濃度のグルコース液を標準校正液として機械動作確認用に用いる。初期動作時に機械が正常に動いているかを確認したり、血糖値が異常値にあるか(正常に機械が動作しているか)を確認したりするときに用いる。
ここで、異なる発振波長のレーザダイオード1を複数用いる場合には、各波長についてステップS2〜S6の処理をそれぞれ実施すればよい。
次に、ステップS1〜S6の最初の測定から任意の時間経過後の時刻tにおける測定について説明する。最初の測定の場合と同様に、被測定物11にレーザ光を照射する(図5ステップS8)。ここでは、LDドライバ2からレーザダイオード1に供給する駆動電流の位相をステップS3の場合と同じにすることにより、被測定物11に照射されるレーザ光の位相をステップS3の場合と同じにしている。
情報処理装置10の関数発生器制御部20は、関数発生器7が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、ロックインアンプ8に基準周波数f0の測定信号を検出させる。情報処理装置10の位相測定部22は、基準周波数f0における測定信号の位相P1を測定する(図5ステップS9)。測定信号の位相P1が位相P0(P0=0)と等しい場合、時刻tにおける血液グルコース濃度は基準濃度X(g/dl)と同じとなる。
一方、測定信号の位相P1が位相P0(P0=0)と異なる場合、情報処理装置10の関数発生器制御部20は、関数発生器7が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、測定信号の位相P1がP0と等しくなる(ここでは、位相P1が0になる)測定信号の周波数を探す(図5ステップS10)。位相P1がP0と等しくなる周波数をf1とする。
周波数f1を見つけたときに、情報処理装置10の振幅測定部21は、周波数f1における測定信号の振幅A1を測定する(図5ステップS11)。
そして、情報記録部24は、振幅測定部21が測定した振幅A1と、測定信号の位相P1(P1=P0=0)と、周波数f1とを記憶部27に記憶させる(図5ステップS12)。
情報処理装置10の記憶部27には、血液グルコース濃度が単位量(1(g/dl))変化したときの測定信号の周波数変化率が予め記憶されている。このような周波数変化率のデータは、標準的な血糖測定法を実施することにより、予め求めることができる。本実施の形態では、記憶部27に記憶されている周波数変化率を0.18(%/g/dl)とする。
情報処理装置10のグルコース濃度導出部25は、時刻tにおける血液グルコース濃度Y(g/dl)を導出する(図5ステップS13)。まず、グルコース濃度導出部25は、測定信号の周波数変化率(f1−f0)/f0×100を算出する。そして、グルコース濃度導出部25は、次式により時刻tにおける血液グルコース濃度Y(g/dl)を算出する。
Y=((f1−f0)/f0×100)/0.18+X ・・・(7)
つまり、測定信号から求めた周波数変化率を記憶部27に記憶されている周波数変化率0.18(%/g/dl)で割ることにより、血液グルコース濃度の変化量を求めることができ、この変化量を基準濃度X(g/dl)に加えることにより、時刻tにおける血液グルコース濃度Yを算出することができる。
以上で、本実施の形態の成分濃度測定装置の処理が終了する。図5のステップS8〜S13の処理を繰り返し実施すれば、血液グルコース濃度を連続でモニターすることができる。なお、ステップS1〜S13の処理の順番は1例であって、図5の例に限るものではない。
本実施の形態では、測定信号の振幅を測定しなくてもよい。ただし、血液グルコース濃度に変化が生じていない場合について、振幅A0と振幅A1とを使うことにより、グルコース濃度変化以外の他の影響によって生じる測定信号の周波数シフトを校正することができる。以下、この周波数シフトの校正について説明する。
グルコース濃度変化以外の他の成分が混合している場合において、グルコース濃度変化による測定信号の位相変化を打ち消され、ステップS9において測定信号の位相P1を測定したときに位相P1が位相P0(P0=0)と等しい場合が生じる。この場合は、情報処理装置10の振幅測定部21は、基準周波数f0における測定信号の振幅A1を測定する。測定信号の振幅A1が振幅A0と異なる場合、測定信号の振幅A1からグルコース以外の他の成分、例えば、アルブミンなどの成分を推定することができる。
グルコース濃度変化以外の他の成分が混合している場合において、測定信号の位相P1と位相P0(P0=0)とが異なる場合は、情報処理装置10の周波数シフト校正部26は、関数発生器7が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、ロックインアンプ8が検出する測定信号の周波数を漸次変化させる周波数掃引を行い、基準周波数f0に最も近いピークを探索する。
周波数シフト校正部26は、測定信号の振幅のピークを見つけたときに、このピークの周波数を新たな基準周波数f0とする。こうして、基準周波数f0を更新することができ、グルコース濃度変化以外の他の影響によって生じる測定信号の周波数シフトを校正することができる。
血液グルコース濃度が変化してしまうと校正ができなくなるので、定期的(例えば数時間毎)にステップS1〜S7の処理を実施して、振幅A0と位相P0と基準周波数f0とを適宜更新すればよい。
図6(A)、図6(B)は本実施の形態の成分濃度測定装置による実験結果の1例を示す図である。
まず、最初に、純粋な水を被測定物11として、図5のステップS1〜S6の処理を実施した。ここでは、被測定物11を円柱状のガラスセルの中に封入した。言うまでもなく、水の血液グルコース濃度は0(g/dl)である。このときの測定結果を図6(A)に示す。図6(A)における600が純粋な水の場合の測定信号の位相を示している。ここでは、ステップS2で説明したとおり、測定信号の共鳴ピークを探索するために、測定信号の周波数を変化させる周波数掃引を行った。そして、1つのピークとして481kHzのピークを選択した。
続いて、血液グルコース濃度が2(g/dl)の水液中グルコースを被測定物11として、図5のステップS8,S9の処理を実施した。上記の純粋な水の場合と同様に、被測定物11を円柱状のガラスセルの中に封入した。ここでは、測定信号の周波数の解像度を1kHzとした。図3に示した関数発生器7を設けない場合でも、実験結果を得ることはできるが、関数発生器7を設けない場合には、1kHzという高い周波数精度を得ることはできない。図6(A)における601が2(g/dl)の水液中グルコースの場合の測定信号の位相を示している。
図6(A)から分かるように、純粋な水に対して2(g/dl)の水液中グルコースの場合、一定に保たれた円柱セル寸法にもかかわらず、測定信号の位相情報の周波数シフトは明らかである。また、図6(A)では図示していないが、測定信号の振幅情報も周波数シフトしている。
ステップS10の処理により、2(g/dl)の水液中グルコースの場合の測定信号の位相P1が純粋な水の場合の測定信号の位相P0と等しくなる測定周波数f1を探す。図6(A)における602は、純粋な水の場合の測定信号の位相P0と重なるように周波数シフトさせたときの、2(g/dl)の水液中グルコースの測定信号の位相を示している。
周波数f1が確定すれば、図5のステップS13の処理により、血液グルコース濃度を導出することができる。
次に、異なる血液グルコース濃度、異なる光学波長および異なる円柱状ガラスセルの寸法において測定信号の周波数変化率を測定した結果を図6(B)に示す。図6(B)における603は光学波長が1610nmで被測定物11を封入した円柱状ガラスセルの長さが15.7mmの場合の測定信号の周波数変化率を示し、604は光学波長が1380nmでガラスセルの長さが7mmの場合の測定信号の周波数変化率を示し、605は光学波長が1610nmでガラスセルの長さが7mmの場合の測定信号の周波数変化率を示している。
1kHzの周波数精度で65(mg/dl)から2(g/dl)まで血液グルコース濃度を測定できた。2つの光学波長1610nmと1380nmを選んだ理由は、水が2つの光学波長に対して等しい光吸収率を示し、グルコースが2つの光学波長に対して異なる光吸収率を示すからである。
図6(B)における606は、603〜605の測定結果の線形回帰から得られた直線であり、この直線の傾きは0.18であった。情報処理装置10の記憶部27に記憶されている周波数変化率の値0.18(%/g/dl)は、以上のような実験によって予め得られたものである。この周波数変化率の値は、文献で報告されている値(0.15−0.28(%/g/dl))とほぼ一致している。
以上のように、本実施の形態では、測定信号の位相情報に基づいて測定信号の周波数の変化量を求め、この周波数の変化量から血液グルコース濃度を導出することにより、高い光パワーを使わなくて済むというCW測定系の利点を維持しつつ、正確かつ境界状態の影響を受けない測定を実現することができる。
なお、本実施の形態では、測定する成分の1例として血液グルコースを例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、本発明は、被測定物に含まれる成分分析に幅広く適用可能である。
本実施の形態の情報処理装置10は、例えばCPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このようなコンピュータを動作させるためのプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供される。CPUは、読み込んだプログラムを記憶装置に書き込み、このプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、血液グルコース等の成分の濃度を連続モニターする技術に適用することができる。
1…レーザダイオード、2…LDドライバ、3…光ファイバ、4…光ファイバホルダ、5…音響センサ、6…増幅器、7…関数発生器、8…ロックインアンプ、9…電圧−電流コンバータ、10…情報処理装置、20…関数発生器制御部、21…振幅測定部、22…位相測定部、23…位相オフセット調整部、24…情報記録部、25…グルコース濃度導出部、26…周波数シフト校正部、27…記憶部。

Claims (10)

  1. 測定対象の成分の濃度が既知の被測定物に対して光を照射する第1の光照射ステップと、
    この第1の光照射ステップによって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する第1の光音響信号検出ステップと、
    この第1の光音響信号検出ステップで得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の位相を測定する第1の位相測定ステップと、
    任意の時間経過後に前記被測定物に対して光を照射する第2の光照射ステップと、
    この第2の光照射ステップによって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する第2の光音響信号検出ステップと、
    この第2の光音響信号検出ステップで得られた電気信号のうち前記基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の位相を測定する第2の位相測定ステップと、
    この第2の位相測定ステップで測定する位相が前記第1の位相測定ステップで測定した位相と等しくなる測定信号の周波数を探索する周波数探索ステップと、
    この周波数探索ステップで探索した周波数と前記基準周波数との変化量から、前記任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出する濃度導出ステップとを備えることを特徴とする成分濃度測定方法。
  2. 請求項1記載の成分濃度測定方法において、
    前記第1、第2の位相測定ステップと前記周波数探索ステップとは、参照信号を発生する関数発生器とこの参照信号を入力とするロックインアンプとを用いることにより、前記第1、第2の光音響信号検出ステップで得られた電気信号から所望の周波数の測定信号を検出することを特徴とする成分濃度測定方法。
  3. 請求項1または2記載の成分濃度測定方法において、
    前記濃度導出ステップは、前記周波数探索ステップで探索した周波数と前記基準周波数とから周波数変化率を算出し、この周波数変化率と測定対象の成分濃度が単位量変化したときの既知の周波数変化率とから、前記任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出することを特徴とする成分濃度測定方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の成分濃度測定方法において、
    さらに、前記第1の光音響信号検出ステップで得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の振幅を測定する第1の振幅測定ステップと、
    前記第2の位相測定ステップで測定した位相が前記第1の位相測定ステップで測定した位相と等しい場合に、前記第2の光音響信号検出ステップで得られた電気信号のうち前記基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の振幅を測定する第2の振幅測定ステップと、
    この第2の振幅測定ステップで測定した振幅が前記第1の振幅測定ステップで測定した振幅と異なる場合に、前記基準周波数に最も近い周波数の振幅のピークを探索して、この探索したピークの周波数を新たな基準周波数とする周波数シフト校正手段とを備えることを特徴とする成分濃度測定方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の成分濃度測定方法において、
    さらに、前記第1の位相測定ステップで測定する位相が0になるように位相にオフセットを加える位相オフセット調整ステップを備えることを特徴とする成分濃度測定方法。
  6. 被測定物に対して光を照射する光照射手段と、
    この光照射によって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する光音響信号検出手段と、
    前記電気信号に含まれる測定信号の位相を測定する位相測定手段と、
    任意の時間経過後の前記測定信号の周波数を探索する周波数探索手段と、
    前記任意の時間経過後の前記測定信号の周波数の変化量から、測定対象の成分濃度を導出する濃度導出手段とを備え、
    前記光照射手段は、第1の時刻において測定対象の成分濃度が既知の前記被測定物に対して光を照射すると共に、任意の時間経過後に前記被測定物に対して光を照射し、
    前記位相測定手段は、前記第1の時刻において得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の位相を測定すると共に、前記任意の時間経過後の電気信号のうち前記基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の位相を測定し、
    前記周波数探索手段は、前記任意の時間経過後に測定される位相が前記第1の時刻において測定された位相と等しくなる測定信号の周波数を探索し、
    前記濃度導出手段は、前記周波数探索手段が探索した周波数と前記基準周波数との変化量から、前記任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出することを特徴とする成分濃度測定装置。
  7. 請求項6記載の成分濃度測定装置において、
    さらに、参照信号を発生する関数発生器と、
    前記参照信号を入力とし、前記電気信号から所望の周波数の測定信号を検出するロックインアンプとを備えることを特徴とする成分濃度測定装置。
  8. 請求項6または7記載の成分濃度測定装置において、
    前記濃度導出手段は、前記周波数探索手段が探索した周波数と前記基準周波数とから周波数変化率を算出し、この周波数変化率と測定対象の成分濃度が単位量変化したときの既知の周波数変化率とから、前記任意の時間経過後の測定対象の成分濃度を導出することを特徴とする成分濃度測定装置。
  9. 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の成分濃度測定装置において、
    さらに、前記電気信号に含まれる測定信号の振幅を測定する振幅測定手段と、
    前記測定信号の周波数シフトを校正する周波数シフト校正手段とを備え、
    前記振幅測定手段は、前記第1の時刻において得られた電気信号のうち振幅が最大となる基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の振幅を測定すると共に、前記任意の時間経過後に測定された位相が前記第1の時刻において測定された位相と等しい場合に、前記任意の時間経過後の電気信号のうち前記基準周波数の信号を測定信号として、この測定信号の振幅を測定し、
    前記周波数シフト校正手段は、前記任意の時間経過後に測定された振幅が前記第1の時刻において測定された振幅と異なる場合に、前記基準周波数に最も近い周波数の振幅のピークを探索して、この探索したピークの周波数を新たな基準周波数とすることを特徴とする成分濃度測定装置。
  10. 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の成分濃度測定装置において、
    さらに、前記第1の時刻において測定する位相が0になるように位相にオフセットを加える位相オフセット調整手段を備えることを特徴とする成分濃度測定装置。
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