JP2012026601A - 貯湯タンクおよび貯湯式温水器 - Google Patents

貯湯タンクおよび貯湯式温水器 Download PDF

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Abstract

【課題】貯湯タンク内に導入した水または湯の水流によって貯湯タンク内の水と湯との境界層が破壊される事態を回避する。
【解決手段】水Wcと湯Whとを貯留空間A内に貯留可能に構成されたタンク本体11を備えると共に、タンク本体11における下方側には、水Wcを導入するための給水口15と、貯留空間A内の水Wcを取水して加温装置に供給するための取水口16とが設けられ、かつタンク本体11における上方側には、湯Whを導入するための給湯口17と、貯留空間A内の湯Whを出湯するための出湯口18とが設けられると共に、水Wcおよび湯Whの通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、貯留空間A内における下方側に配設された状態でタンク本体11に固定され、貯留空間Aを、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1と、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A2〜A5とに仕切る仕切板12aを備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、加温すべき水および加温された湯の双方を貯留空間内に貯留可能に構成された貯湯タンク、およびその貯湯タンクを備えて構成された貯湯式温水器に関するものである。
この種の貯湯タンクを備えた貯湯式温水器として、特開平10−148399号公報に貯湯式電気温水器(以下、単に「温水器」ともいう)が開示されている。この温水器は、タンク本体の底壁部に給水口が設けられると共にタンク本体の上壁部に給湯口(湯を出湯する出湯口)が設けられた貯湯タンクと、貯湯タンク内に配設された電気ヒータとを備えている。この場合、上記の貯湯タンク内には、バッフル構造体が取り付けられている。このバッフル構造体は、給水口と所定の間隔を開けて対向配置された整流板を備え、給水口から貯湯タンク内に流入した水の動圧によって貯湯タンク内における整流板の位置が変位するように整流板を支持する構造(整流板支持構造)に形成されている。具体的には、このバッフル構造体は、給水口から流入した水の動圧が大きくなったときに給水口から離間する方向に整流板を移動させ、動圧が小さくなったときに給水口に接近する方向に整流板を移動させるように整流板が支持されている。
この場合、この種の貯湯タンクでは、ヒータ等の加温装置によって加温すべき水と、加温装置によって加温された湯との双方を、貯湯タンク内の連続する1つの貯留空間内に貯留する構成が採用されている。具体的には、加温すべき水を貯湯タンク(貯留空間)の下方に位置させると共に、加温された湯を貯湯タンク(貯留空間)の上方に位置させて、水と湯とが接した状態を維持して貯湯タンク(貯留空間)内に貯留する構成が採用されている。したがって、この種の貯湯タンクでは、貯留空間の下方に位置する水と上方に位置する湯とを物理的に隔離する隔離材が存在しないため、給水口から貯湯タンク内に勢い良く水が流入したときに、下方に位置している水と上方に位置している湯との境界(境界層)が水流によって破壊されて、水と湯とが混合される事態を招くおそれがある。このような状態では、水と混合した湯の量だけ、出湯可能な湯の量が減少する。
一方、従来の温水器では、上記したように、整流板を有するバッフル構造体が貯湯タンク内に取り付けられている。したがって、この温水器では、出湯に際して給水口から貯湯タンク内に水が導入された際に、貯湯タンク内に上向きに流入した水が整流板に当接して、その進行方向が横向きに変化させられる。これにより、従来の温水器では、給水口から貯湯タンク内に流入した水が境界層に向けて貯湯タンク内を勢い良く流動するのを阻止して、上記の境界層が水流によって破壊される事態を回避しようとしている。
特開平10−148399号公報(第4−5頁、第1−5図)
ところが、従来の温水器には、以下の解決すべき課題が存在する。すなわち、従来の温水器では、整流板(バッフル構造体)を給水口に対向配置して貯湯タンク内に取り付けて給水口から流入する水を整流板に当接させて進行方向を横向きに変化させることで、給水口からの水流によって境界層が破壊される事態を回避しようとしている。しかしながら、従来の温水器では、給水口から流入した水の進行方向が整流板によって上向きから横向きに変化させられるものの、貯湯タンク内を横向きに流動した水がタンク本体の内壁面に当接した際に、その進行方向が上下方向に変化する。この場合、給水口から貯湯タンクに流入する水の流量が多いときには、内壁面に沿って貯湯タンク内を移動する水の流量も増加する。このため、従来の温水器では、給水口から流入した水が境界層に向かって貯湯タンク内を流動するのを回避するために整流板(バッフル構造体)を設けているにも拘わらず、貯湯タンクの内壁面に沿って流動する水流によって境界層が破壊されることがあるという問題点が存在する。
一方、今日では、加温装置としてのヒートポンプを備えた貯湯式温水器が普及し始めている。この貯湯式温水器では、従来の温水器とは異なり、加温装置としてのヒートポンプが貯湯タンクとは別体に配設されて、貯湯タンク内の水を取水してヒートポンプによって加温することで湯を生成した後に、生成した湯を貯湯タンクに導入して貯湯する構成が採用されている。このような構成の貯湯式温水器では、ヒートポンプによる水の加温効率が日々向上しており、単位時間当りに貯湯タンク内に導入可能な湯量が増加する傾向がある。したがって、この種の貯湯式温水器では、従来の温水器における「給水口からの水の水流による境界層の破壊」の問題と同様にして、貯湯タンクに設けられた給湯口(ヒートポンプによって加温された湯を貯湯タンクに導入するための導入口)から貯湯タンク内に流入した湯の水流によって境界層が破壊される事態を招くおそれがある。
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、貯湯タンク内に導入した水または湯の水流によって貯湯タンク内の水と湯との境界層が破壊される事態を回避し得る貯湯タンクおよび貯湯式温水器を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の貯湯タンクは、加温装置によって加温すべき水と当該加温装置が当該水を加温して生成した湯とを貯留空間内に貯留可能に構成されたタンク本体を備えると共に、当該タンク本体における下方側には、前記水を前記貯留空間内に導入するための給水口と、前記貯留空間内の前記水を取水して前記加温装置に供給するための取水口とが設けられ、かつ前記タンク本体における上方側には、前記加温装置によって加温された前記湯を前記貯留空間内に導入するための給湯口と、前記貯留空間内の前記湯を出湯するための出湯口とが設けられている貯湯タンクであって、前記水および前記湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、前記貯留空間内における下方側に配設された状態で前記タンク本体に固定されると共に、当該貯留空間を、前記給水口および前記取水口の側の第1の空間と、前記給湯口および前記出湯口の側の第2の空間とに仕切る第1の仕切板を備えている。
また、請求項2記載の貯湯タンクは、請求項1記載の貯湯タンクにおいて、前記給水口から前記第1の空間内に導入された前記水が当接可能に当該給水口および前記第1の仕切板の間に配設されて当該導入された水の進行方向を前記タンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第1の整流板を備えている。
また、請求項3記載の貯湯タンクは、加温装置によって加温すべき水と当該加温装置が当該水を加温して生成した湯とを貯留空間内に貯留可能に構成されたタンク本体を備えると共に、当該タンク本体における下方側には、前記水を前記貯留空間内に導入するための給水口と、前記貯留空間内の前記水を取水して前記加温装置に供給するための取水口とが設けられ、かつ前記タンク本体における上方側には、前記加温装置によって加温された前記湯を前記貯留空間内に導入するための給湯口と、前記貯留空間内の前記湯を出湯するための出湯口とが設けられている貯湯タンクであって、前記水および前記湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、前記貯留空間内における上方側に配設された状態で前記タンク本体に固定されると共に、当該貯留空間を、前記給湯口および前記出湯口の側の第3の空間と、前記給水口および前記取水口の側の第4の空間とに仕切る第2の仕切板を備えている。
さらに、請求項4記載の貯湯タンクは、請求項3記載の貯湯タンクにおいて、前記給湯口から前記第3の空間内に導入された前記湯が当接可能に当該給湯口および前記第2の仕切板の間に配設されて当該導入された湯の進行方向を前記タンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第2の整流板を備えている。
また、請求項5記載の貯湯タンクは、請求項1から4のいずれかに記載の貯湯タンクにおいて、前記水および前記湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、前記貯留空間内における上下方向の中央部に配設された状態で前記タンク本体に固定されると共に、当該貯留空間を、前記給水口および前記取水口の側の第5の空間と、前記給湯口および前記出湯口の側の第6の空間とに仕切る第3の仕切板を備えている。
さらに、請求項6記載の貯湯タンクは、請求項1から5のいずれかに記載の貯湯タンクにおいて、前記取水口から前記第1の空間内に逆流した前記水が当接可能に当該取水口および前記第1の仕切板の間に配設されて当該逆流した水の進行方向を前記タンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第3の整流板を備えている。
また、請求項7記載の貯湯式温水器は、請求項1から6のいずれかに記載の貯湯タンクと、前記加温装置と、前記取水口から前記貯留空間内の前記水を取水して前記加温装置に供給すると共に当該加温装置によって加温された前記湯を当該貯留空間内に導入するポンプとを備え、前記給水口から前記貯留空間内への前記水の給水圧力によって当該貯留空間内の前記湯を前記出湯口から出湯可能に構成されている。
請求項1記載の貯湯タンク、およびこの貯湯タンクを備えた貯湯式温水器によれば、水および湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、貯留空間内における下方側に配設された状態でタンク本体に固定されると共に、貯留空間を、給水口および取水口の側の第1の空間と、給湯口および出湯口の側の第2の空間とに仕切る第1の仕切板を備えたことにより、貯留空間内への水の導入に際して、タンク本体の底部と第1の仕切板との間の第1の空間に水が導入されるため、貯留空間内に流入した水が直ちに第1の仕切板よりも上方に移動する事態を回避することができると共に、第1の空間内の水圧によって第1の仕切板の全域においてほぼ均等に水が各孔を通過させられて第2の空間に移動する結果、水が上向きに移動する速度を十分に低下させることができる。したがって、貯留空間内に貯水されている水や貯留空間内に貯湯されている湯に向かって、給水口から導入した水が勢い良く流れ込む事態を回避することができるため、導入した水の水流によって水と湯との境界層が破壊される事態を回避することができる。
また、請求項2記載の貯湯タンク、およびこの貯湯タンクを備えた貯湯式温水器によれば、給水口から第1の空間内に導入された水が当接可能に給水口および第1の仕切板の間に配設されて導入された水の進行方向をタンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第1の整流板を備えたことにより、給水口から第1の空間内に上向きに流入した水の進行方向が第1の整流板によって変化させられた時点において、この水が貯留空間の上方側に貯湯されている湯に向かって移動する速度(貯留空間内における水の上向きの移動速度)が十分に低下させられる。この結果、導入した水の水流によって水と湯との境界層が破壊される事態を一層好適に回避することができる。
さらに、請求項3記載の貯湯タンク、およびこの貯湯タンクを備えた貯湯式温水器によれば、水および湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、貯留空間内における上方側に配設された状態でタンク本体に固定されると共に、貯留空間を、給湯口および出湯口の側の第3の空間と、給水口および取水口の側の第4の空間とに仕切る第2の仕切板を備えたことにより、貯留空間内への湯の導入に際して、タンク本体の天部と第2の仕切板との間の第3の空間に湯が導入されるため、貯留空間内に流入した湯が直ちに第2の仕切板よりも下方に移動する事態を回避することができると共に、第3の空間内の水圧によって第2の仕切板の全域においてほぼ均等に湯が各孔を通過させられて第4の空間に移動する結果、湯が下向きに移動する速度を十分に低下させることができる。したがって、貯留空間内に貯湯されている湯や貯留空間内に貯水されている水に向かって給湯口から導入した湯が勢い良く流れ込む事態を回避することができる。この結果、導入した湯の水流によって水と湯との境界層が破壊される事態を回避することができる。
また、請求項4記載の貯湯タンク、およびこの貯湯タンクを備えた貯湯式温水器によれば、給湯口から第3の空間内に導入された湯が当接可能に給湯口および第2の仕切板の間に配設されて導入された湯の進行方向をタンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第2の整流板を備えたことにより、給湯口から第3の空間内に下向きに流入した湯の進行方向が第2の整流板によって変化させられた時点において、この湯が貯留空間の下方側に貯水されている水に向かって移動する速度(貯留空間内における湯の下向きの移動速度)が十分に低下させられる。この結果、導入した湯の水流によって水と湯との境界層が破壊される事態を一層好適に回避することができる。
さらに、請求項5記載の貯湯タンク、およびこの貯湯タンクを備えた貯湯式温水器によれば、水および湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、貯留空間内における上下方向の中央部に配設された状態でタンク本体に固定されると共に、貯留空間を、給水口および取水口の側の第5の空間と、給湯口および出湯口の側の第6の空間とに仕切る第3の仕切板を備えたことにより、貯留空間内に流入した水が直ちに第3の仕切板よりも上方に移動する事態を回避することができると共に、第5の空間内の水圧によって第3の仕切板の全域においてほぼ均等に水が各孔を通過させられて第6の空間に移動する結果、水が上向きに移動する速度を十分に低下させることができる。したがって、貯留空間内に貯湯されている湯に向かって、水が勢い良く流れ込む事態を回避することができるため、導入した水の水流によって水と湯との境界層が破壊される事態を一層好適に回避することができる。また、この貯湯タンク、および貯湯タンクを備えた貯湯式温水器によれば、貯留空間内に流入した湯が直ちに第3の仕切板よりも下方に移動する事態を回避することができると共に、第6の空間内の水圧によって第3の仕切板の全域においてほぼ均等に湯が各孔を通過させられて第5の空間に移動する結果、湯が下向きに移動する速度を十分に低下させることができる。したがって、貯留空間内に貯水されている水に向かって、湯が勢い良く流れ込む事態を回避することができるため、導入した湯の水流によって水と湯との境界層が破壊される事態を一層好適に回避することができる。
また、請求項6記載の貯湯タンク、およびこの貯湯タンクを備えた貯湯式温水器によれば、取水口から第1の空間内に逆流した水が当接可能に取水口および第1の仕切板の間に配設されて逆流した水の進行方向をタンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第3の整流板を備えたことにより、ポンプの逆回転等によって取水口から第1の空間内に上向きに逆流した水の進行方向が第3の整流板によって変化させられた時点において、この水が貯留空間の上方側に貯湯されている湯に向かって移動する速度(貯留空間内における水の上向きの移動速度)が十分に低下させられる。この結果、ポンプの逆回転等に起因して逆流した水の水流によって水と湯との境界層が破壊される事態を好適に回避することができる。
本発明の実施の形態に係る貯湯式温水器1(貯湯タンク2)の構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態に係る貯湯タンク2の水平断面図(仕切板12a〜12dの平面図)である。 本発明の実施の形態に係る貯湯式温水器1における貯湯タンク2の内部構造を示す垂直断面図である。 本発明の実施の形態に係る貯湯式温水器1における貯湯タンク2の整流板13aによる水Wcの整流について説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係る貯湯式温水器1における貯湯タンク2の整流板13bによる湯Whの整流について説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係る貯湯式温水器1における貯湯タンク2の整流板13cによる水Wcの整流について説明するための説明図である。 本発明の他の実施の形態に係る貯湯タンク2の水平断面図(仕切板32a〜32dの平面図)である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る貯湯タンクおよび貯湯式温水器の実施の形態について説明する。
図1に示す貯湯式温水器1は、貯湯タンク2、ヒートポンプ3および循環ポンプ4を備え、ヒートポンプ3によって加温した湯Wh(温水:「加温装置が水を加温して生成した湯」の一例)を貯湯タンク2内に貯湯しておき、この湯Whを任意のタイミングで所要量だけ出湯する構成が採用されている。貯湯タンク2は、タンク本体11、仕切板12a〜12dおよび整流板13a〜13cを備えている。タンク本体11は、図2,3に示すように、一例として、ステンレススチール等の金属材料で、円筒形に形成されて、図3に示すように、水Wcおよび湯Whを貯留可能な貯留空間Aが設けられている(つまり、水Wcと湯Whとを連続する1つの貯留空間A内に貯留可能に構成されている)。なお、実際には、タンク本体11を覆うようにして配設された断熱材や、タンク本体11および断熱材を覆うケーシング等を備えているが、「貯湯タンク」の構成についての理解を容易とするために、これらの図示および説明を省略する。
この場合、タンク本体11の底板11a(タンク本体11の底部)には、給水用配管5を介して上水道等の給水源からの水Wc(冷水:「加温装置によって加温すべき水」の一例)を貯留空間A内に導入するための給水口15と、取水用配管6を介して貯留空間A内の水Wcを取水してヒートポンプ3に供給するための取水口16とが設けられている(「タンク本体における下方側に給水口と取水口とが設けられ」との構成の一例)。これにより、この貯湯タンク2では、タンク本体11の給水口15から貯留空間Aにおける下方側に水Wcが導入されることとなる。なお、この貯湯式温水器1では、給水源からの水Wcの給水圧力を減圧する減圧弁(図示せず)が上記の給水用配管5に配設され、この減圧弁によって減圧された水Wcが給水口15から貯留空間A内に導入される構成が採用されている。
また、タンク本体11の天板11b(タンク本体11の天部)には、給湯用配管7を介してヒートポンプ3によって加温された湯Whを貯留空間A内に導入するための給湯口17と、出湯用配管8を介して貯留空間A内の湯Whを出湯するための出湯口18とが設けられている(「タンク本体における上方側に給湯口と出湯口とが設けられ」との構成の一例)。これにより、この貯湯タンク2では、タンク本体11の給湯口17から貯留空間Aにおける上方側に湯Whが導入されることとなる。
仕切板12aは、「第1の仕切板」の一例であって、図2に示すように、この貯湯タンク2では、「複数の孔が形成された板体」の一例である板状の金属メッシュで円板状に形成されて、網目が「複数の孔」である複数の小孔として機能するように構成されている。なお、この貯湯タンク2では、後述する仕切板12b〜12dが仕切板12aと同じ板体(板状の金属メッシュ)で円板状に形成されている。この場合、仕切板12aは、その外径Loがタンク本体11の内径Liと同径に形成されて、図3に示すように、貯留空間A内における下方側に配設された状態でタンク本体11に固定されている。具体的には、この仕切板12aは、貯留空間Aを、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1(「第1の空間」の一例)と、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A2〜A5(「第2の空間」の一例)とに仕切るように(貯留空間A1と、貯留空間A2〜A5とに区切るように)タンク本体11に固定されている。これにより、この貯湯タンク2では、貯留空間Aのうちの貯留空間A1内に給水口15から水Wcが導入されることとなる。
仕切板12bは、「第2の仕切板」の一例であって、図2に示すように、上記の仕切板12aと同様にして、その外径Loがタンク本体11の内径Liと同径に形成されて、図3に示すように、貯留空間A内における上方側に配設された状態でタンク本体11に固定されている。具体的には、この仕切板12bは、貯留空間Aを、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A5(「第3の空間」の一例)と、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1〜A4(「第4の空間」の一例)とに仕切るように(貯留空間A5と、貯留空間A1〜A4とに仕切るように)タンク本体11に固定されている。これにより、この貯湯タンク2では、貯留空間Aのうちの貯留空間A5内に給湯口17から湯Whが導入されることとなる。
仕切板12c,12dは、それぞれ「第3の仕切板」に相当し、図2に示すように、上記の仕切板12a,12bと同様にして、その外径Loがタンク本体11の内径Liと同径に形成されている。この場合、図3に示すように、仕切板12cは、貯留空間A内における上下方向の中央部(この例では、中央部下方寄り)に配設された状態でタンク本体11に固定されると共に、貯留空間Aを、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1,A2(「第5の空間」の一例)と、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A3〜A5(「第6の空間」の一例)とに仕切る(貯留空間A1,A2と、貯留空間A3〜A5とに仕切る)。また、仕切板12dは、貯留空間A内における上下方向の中央部(この例では、中央部上方寄り)に配設された状態でタンク本体11に固定されると共に、貯留空間Aを、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1〜A3(「第5の空間」の他の一例)と、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A4,A5(「第6の空間」の他の一例)とに仕切る(貯留空間A1〜A3と、貯留空間A4,A5とに区切る)。
整流板13aは、「第1の整流板」の一例であって、図3に示すように、給水口15から貯留空間A1内に導入された水Wcが当接可能に給水口15および仕切板12の間に配設されている。この整流板13aは、図4に示すように、給水口15から貯留空間A1内に導入された水Wcの進行方向(この例では、上向き)をタンク本体11の上下方向と交差する矢印i1の向き(タンク本体11の径方向に放射状に拡がる向き:以下、「横向き」ともいう)に変化させる。また、整流板13bは、「第2の整流板」の一例であって、図3に示すように、給湯口17から貯留空間A5内に導入された湯Whが当接可能に給湯口17および仕切板12bの間に配設されている。この整流板13bは、図5に示すように、給湯口17から貯留空間A5内に導入された湯Whの進行方向(この例では、下向き)をタンク本体11の上下方向と交差する矢印i2の向き(タンク本体11の径方向に放射状に拡がる向き:以下、「横向き」ともいう)に変化させる。
さらに、整流板13cは、「第3の整流板」の一例であって、図3に示すように、循環ポンプ4の逆回転等に起因して取水口16から貯留空間A1内に逆流した水Wcが当接可能に取水口16および仕切板12の間に配設されている。この整流板13cは、図6に示すように、取水口16から貯留空間A1内に逆流した水Wcの進行方向(この例では、上向き)をタンク本体11の上下方向と交差する矢印i3の向き(タンク本体11の径方向に放射状に拡がる向き:以下、「横向き」ともいう)に変化させる。なお、この貯湯タンク2では、一例として、整流板13a,13cが図示しないステーを介してタンク本体11の底板11aに固定されると共に、整流板13bが図示しないステーを介してタンク本体11の天板11bに固定されている。
ヒートポンプ3は、「加温装置」の一例であって、図1に示すように、空気熱交換器21、圧縮機22、水熱交換器23および膨張弁24を備え、これらが冷媒配管25a〜25dを介して直列的に接続されている。なお、ヒートポンプ3の詳細な構成については公知のため、その図示および説明を省略する。この場合、ヒートポンプ3の水熱交換器23は、取水用配管6を介して貯湯タンク2のタンク本体11における下方側(この例では、底板11a)に接続されると共に、給湯用配管7を介してタンク本体11における上方側(この例では、天板11b)に接続されている。循環ポンプ4は、「ポンプ」の一例であって、この貯湯式温水器1では、一例として、ヒートポンプ3における水熱交換器23の上流側(取水用配管6)に取り付けられている。また、循環ポンプ4は、図示しないコントローラの制御に従い、取水口16から貯留空間A内の水Wcを取水して水熱交換器23に供給すると共に、水熱交換器23によって加温された湯Whを貯留空間Aに導入される。
この貯湯式温水器1の使用に際しては、貯湯タンク2、ヒートポンプ3および循環ポンプ4等の設置が完了した状態において、給水用配管5を介して給水口15から貯湯タンク2内に水Wcを導入する。この際には、貯湯タンク2の貯留空間A内が水Wcで満たされると共に、取水用配管6内、給湯用配管7内および出湯用配管8内にも水Wcが満たされた状態となる。この場合、この貯湯式温水器1では、前述したように、給水用配管5が減圧弁を介して上水道配管に接続されている。したがって、貯湯タンク2の貯留空間A内などが水Wcや湯Whで満たされた状態においては、貯留空間A内などに減圧弁によって減圧された上水道設備からの水圧が加わった状態(加圧された状態)となる。なお、水Wcの導入時における貯留空間A内や各配管6〜8内のエア抜き処理については、その説明を省略する。
次いで、貯留空間A内の水Wcをヒートポンプ3によって加温して、貯留空間A内に湯Whを貯湯する。具体的には、図示しない操作部を操作してヒートポンプ3および循環ポンプ4を作動させる。この際には、ヒートポンプ3内において冷媒(一例として二酸化炭素)が循環させられることにより、水熱交換器23内が高温となる。また、循環ポンプ4が取水用配管6を介して貯留空間A内の水Wcを取水口16から取水して水熱交換器23に供給し、水熱交換器23内において冷媒と熱交換して加温された湯Whを、給湯用配管7を介して貯留空間A内に導入する。
この際に、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、給湯口17と対向するように整流板13bが貯留空間A5内に配設されている。したがって、図5に示すように、給湯口17から貯留空間A5内に流入した湯Whは、貯留空間A5内を下向きに移動して整流板13bの上面に当接する。これにより、整流板13bによって湯Whの進行方向が変化させられて、湯Whが整流板13bの上面に沿って矢印i2の向き(横向き)に移動させられる。
また、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、貯留空間Aにおける上方側(天板11b寄り)に金属メッシュで円板状に形成された仕切板12bが固定されている。したがって、給湯口17から流入した湯Whが整流板13bによって進行方向を横向きに変化させられて、この湯Whがタンク本体11の内壁面に当接して、内壁面に沿ってタンク本体11の上下方向に移動したときに、上向きに移動した湯Whが天板11bに当接し、下向きに移動した湯Whが仕切板12bに当接することとなる。このため、循環ポンプ4の回転数を上げて給湯口17からの湯Whの導入量(給湯口17から導入する単位時間当りの湯Whの流量)を増加させた場合においても、この湯Whが貯留空間A5から貯留空間A4に向かって貯留空間A内を下向きに勢い良く流動する事態が回避される。
さらに、貯留空間A5内に湯Whが導入されているときには、仕切板12bよりも下方側の貯留空間A4の水圧よりも貯留空間A5内の水圧の方が高い状態となる。このような状態では、貯留空間A5内に生じている水圧によって、貯留空間A5内の湯Whが、仕切板12bの各小孔を通過させられて貯留空間A4内に徐々に移動する。この際には、タンク本体11における貯留空間A5内の内壁面、天板11bの下面および仕切板12bの上面の全域に対してほぼ均等に水圧が加わることとなる。したがって、仕切板12bの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に湯Whが各小孔を通過させられることとなる。これにより、貯留空間A5から貯留空間A4に向けて移動する湯Whの流速が十分に低下した状態となる。
また、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、貯留空間Aにおける上下方向の中央部上方寄りに、金属メッシュで円板状に形成された仕切板12dが固定されている。したがって、貯留空間A5から貯留空間A4内に湯Whが移動させられているときには、仕切板12dよりも下方側の貯留空間A3の水圧よりも貯留空間A4内の水圧の方が高い状態となる。このような状態では、貯留空間A4内に生じている水圧によって、貯留空間A4内の湯Whが、仕切板12dの各小孔を通過させられて貯留空間A3内に徐々に移動する。この際には、タンク本体11における貯留空間A4内の内壁面、仕切板12bの下面および仕切板12dの上面の全域に対してほぼ均等に水圧が加わることとなる。したがって、仕切板12dの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に湯Whが各小孔を通過させられることとなる。これにより、貯留空間A4から貯留空間A3に向けて移動する湯Whの流速が十分に低下した状態となる。
さらに、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、貯留空間Aにおける上下方向の中央部下方寄りに、金属メッシュで円板状に形成された仕切板12cが固定されている。したがって、貯留空間A4から貯留空間A3内に湯Whが移動させられているときには、仕切板12dよりも下方側の貯留空間A2の水圧よりも貯留空間A3内の水圧の方が高い状態となる。このような状態では、貯留空間A3内に生じている水圧によって、貯留空間A3内の湯Whが、仕切板12cの各小孔を通過させられて貯留空間A2内に徐々に移動する。この際には、タンク本体11における貯留空間A3内の内壁面、仕切板12dの下面および仕切板12cの上面の全域に対してほぼ均等に水圧が加わることとなる。したがって、仕切板12cの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に湯Whが各小孔を通過させられることとなる。これにより、貯留空間A3から貯留空間A2に向けて移動する湯Whの流速が十分に低下した状態となる。
この場合、この貯湯タンク2では、上記したように、給湯口17から貯留空間A(A5)内に導入された湯Whが整流板13bに当接して進行方向を横向きに変化させられることにより、貯留空間A内における湯Whの下方に向かう移動速度が十分に低下させられる。また、給湯口17から湯Whが順次導入されることにより、貯留空間A5内に導入された湯Whが仕切板12bの各小孔を通過して貯留空間A4内に移動する際にも、仕切板12bの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に湯Whが各小孔を通過させられるため、貯留空間A内における湯Whの下方に向かう移動速度が一層低下させられる。さらに、貯留空間A4内に移動させられた湯Whが仕切板12dを通過して貯留空間A3内に移動する際や、貯留空間A3内に移動させられた湯Whが仕切板12cを通過して貯留空間A2内に移動する際にも、仕切板12d,12cの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に湯Whが各小孔を通過させられるため、貯留空間A内における湯Whの下方に向かう移動速度がさらに低下させられる。
したがって、貯留空間A(A1)内の水Wcが循環ポンプ4によって取水口16から取水され、この水Wcがヒートポンプ3によって加温されて湯Whとして給湯口17から貯留空間A(A5)内に導入されることで、貯留空間A内における水Wcの量に対する湯Whの量が徐々に増加する際に、貯留空間A内に貯水されている水Wcに向かって湯Whが勢い良く流動する事態が回避される。これにより、湯Whおよび水Wcが混合される事態を招くことなく、貯留空間Aの上方側に湯Whが貯湯され、かつ、貯留空間Aの下方側に水Wcが貯水された状態が維持されて、貯留空間A内に十分な量の湯Whが貯湯される。なお、この貯湯式温水器1では、貯留空間A内のすべての水Wcが取水口16から取水されて湯Whがヒートポンプ3に供給される事態(ヒートポンプ3が過負荷状態となる事態)を回避するために、一例として、取水用配管6内に設けた図示しない温度センサによる検出温度が規定温度(ヒートポンプ3に供給すべき水Wcの温度よりも高い温度)に達したときに循環ポンプ4が自動停止する構成が採用されている。
この場合、湯Whおよび水Wcが混合される事態を招くことなく、貯留空間Aの上方側に湯Whが貯湯され、かつ、貯留空間Aの下方側に水Wcが貯水された状態が維持される貯湯タンク2を有する貯湯式温水器1では、湯Whと混合されて温度上昇した水(以下、混合されていない水Wcと区別するために、「水Wm」ともいう)が取水口16から取水されて水熱交換器23に供給されることなく、常に、低温の水Wcが水熱交換器23に供給される。したがって、ヒートポンプ3の加熱能力が十分に残存している状態において、水Wmが水熱交換器23に供給されるのを阻止するための安全装置が機能して循環ポンプ4やヒートポンプ3の動作を停止させる事態を招くことがないため、十分な量の湯Whを貯湯タンク2内に貯湯するのに要する時間が長時間となる事態や、ヒートポンプ3の加熱効率の低下を招く事態が回避される。
一方、貯湯された湯Whを出湯する際には、一例として、出湯用配管8の下流側に設けられた図示しない開閉弁を開放操作する。この場合、前述したように、貯留空間A内には、給水用配管5を介して水圧が加えられた状態(加圧された状態)となっている。したがって、出湯用配管8の先の開閉弁が開放操作されたときには、給水用配管5を介して加えられている水圧によって、貯留空間Aにおける上方側に貯湯されている湯Whが出湯口18から出湯用配管8に出湯される(「給水口から貯留空間内への水の給水圧力によって貯留空間内の湯を出湯口から出湯可能に構成されている」との構成の例)。
また、貯留空間A内の湯Whが出湯されるのに伴い、給水用配管5を介して給水口15から貯留空間A内に水Wcが導入される。この際に、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、給水口15と対向するように整流板13aが貯留空間A1内に配設されている。したがって、図4に示すように、給水口15から貯留空間A1内に流入した水Wcは、貯留空間A1内を上向きに移動して整流板13aの下面に当接する。これにより、整流板13aによって水Wcの進行方向が変化させられて、水Wcが整流板13aの下面に沿って矢印i1の向き(横向き)に移動させられる。
また、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、貯留空間Aにおける下方側(底板11a寄り)に金属メッシュで円板状に形成された仕切板12aが固定されている。したがって、給水口15から流入した水Wcが整流板13aによって進行方向を横向きに変化させられて、この水Wcがタンク本体11の内壁面に当接して、内壁面に沿ってタンク本体11の上下方向に移動したときに、下向きに移動した水Wcが底板11aに当接し、上向きに移動した水Wcが仕切板12aに当接することとなる。これにより、出湯口18からの湯Whを勢い良く出湯し、これに起因して給水口15からの水Wcの導入量(給水口15から導入する単位時間当りの水Wcの流量)が増加した場合においても、この水Wcが貯留空間A1から貯留空間A2に向かって貯留空間A内を上向きに勢い良く流動する事態が回避される。
さらに、貯留空間A1内に水Wcが導入されているときには、仕切板12aよりも上方側の貯留空間A2の水圧よりも貯留空間A1内の水圧の方が高い状態となる。このような状態では、貯留空間A1内に生じている水圧によって、貯留空間A1内の水Wcが、仕切板12aの各小孔を通過させられて貯留空間A2内に徐々に移動する。この際には、タンク本体11における貯留空間A1内の内壁面、底板11aの上面および仕切板12aの下面の全域に対してほぼ均等に水圧が加わることとなる。したがって、仕切板12aの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に水Wcが各小孔を通過させられることとなる。これにより、貯留空間A1から貯留空間A2に向けて移動する水Wcの流速が十分に低下した状態となる。
また、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、貯留空間Aにおける上下方向の中央部下方寄りに、金属メッシュで円板状に形成された仕切板12cが固定されている。したがって、貯留空間A1から貯留空間A2内に水Wcが移動させられているときには、仕切板12cよりも上方側の貯留空間A3の水圧よりも貯留空間A2内の水圧の方が高い状態となる。このような状態では、貯留空間A2内に生じている水圧によって、貯留空間A2内の水Wcが、仕切板12cの各小孔を通過させられて貯留空間A3内に徐々に移動する。この際には、タンク本体11における貯留空間A2内の内壁面、仕切板12cの下面および仕切板12aの上面の全域に対してほぼ均等に水圧が加わることとなる。したがって、仕切板12cの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に水Wcが各小孔を通過させられることとなる。これにより、貯留空間A2から貯留空間A3に向けて移動する水Wcの流速が十分に低下した状態となる。
さらに、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、貯留空間Aにおける上下方向の中央部上方寄りに、金属メッシュで円板状に形成された仕切板12dが固定されている。したがって、貯留空間A2から貯留空間A3内に水Wcが移動させられているときには、仕切板12dよりも上方側の貯留空間A4の水圧よりも貯留空間A3内の水圧の方が高い状態となる。このような状態では、貯留空間A3内に生じている水圧によって、貯留空間A3内の水Wcが、仕切板12dの各小孔を通過させられて貯留空間A4内に徐々に移動する。この際には、タンク本体11における貯留空間A3内の内壁面、仕切板12dの下面および仕切板12cの上面の全域に対してほぼ均等に水圧が加わることとなる。したがって、仕切板12dの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に水Wcが各小孔を通過させられることとなる。これにより、貯留空間A3から貯留空間A4に向けて移動する水Wcの流速が十分に低下した状態となる。
この場合、この貯湯タンク2では、上記したように、給水口15から貯留空間A(A1)内に導入された水Wcが整流板13aに当接して進行方向を横向きに変化させられることにより、貯留空間A内における水Wcの上方に向かう移動速度が十分に低下させられる。また、給水口15から水Wcが順次導入されることにより、貯留空間A1内に導入された水Wcが仕切板12aの各小孔を通過して貯留空間A2内に移動する際にも、仕切板12aの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に水Wcが各小孔を通過させられるため、貯留空間A内における湯Whの上方に向かう移動速度が一層低下させられる。さらに、貯留空間A2内に移動させられた水Wcが仕切板12cを通過して貯留空間A3内に移動する際や、貯留空間A3内に移動させられた水Wcが仕切板12dを通過して貯留空間A4内に移動する際にも、仕切板12c,12dの外縁部から中心部までの全域においてほぼ均等に水Wcが各小孔を通過させられるため、貯留空間A内における水Wcの上方に向かう移動速度がさらに低下させられる。
したがって、貯留空間A(A5)内の湯Whが出湯口18から出湯用配管8に出湯され、これに伴って給水口15から貯留空間A(A1)内に水Wcが導入されることで、貯留空間A内における湯Whの量に対する水Wcの量が徐々に増加する際に、貯留空間A内に貯湯されている湯Whに向かって水Wcが勢い良く流動する事態が回避される。これにより、水Wcおよび湯Whが混合される事態を招くことなく、貯留空間Aの上方側に湯Whが貯湯され、かつ、貯留空間Aの下方側に水Wcが貯水された状態が維持されて、貯留空間A内に十分な量の水Wcが導入される。この場合、湯Whおよび水Wcが混合される事態を招くことなく、貯留空間Aの上方側に湯Whが貯湯され、かつ、貯留空間Aの下方側に水Wcが貯水された状態が維持される貯湯タンク2を有する貯湯式温水器1では、湯Whと水Wcとが混合された水Wmが殆ど存在しない。したがって、水Wcと混合されて水Wmとなってしまう湯Whの湯量が少量のため、出湯口18から出湯すべき高温の湯Wh(出湯に適した温度の湯Wh)の湯量が減少する事態が回避される。
一方、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、循環ポンプ4の逆回転時などに、水熱交換器23内の水Wcなどが取水用配管6を介して取水口16から貯留空間A内に逆流させられる。この際に、この貯湯式温水器1(貯湯タンク2)では、取水口16と対向するように整流板13cが貯留空間A1内に配設されている。したがって、図6に示すように、取水口16から貯留空間A1内に逆流した水Wcは、貯留空間A1内を上向きに移動して整流板13cの下面に当接する。これにより、整流板13cによって水Wcの進行方向が変化させられて、水Wcが整流板13cの下面に沿って矢印i3の向き(横向き)に移動させられる。
このように、この貯湯タンク2、および貯湯タンク2を備えた貯湯式温水器1によれば、水Wcおよび湯Whの通過が可能な複数の小孔が形成された板体で構成されて、貯留空間A内における下方側に配設された状態でタンク本体11に固定されると共に、貯留空間Aを、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1と、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A2〜A5とに仕切る仕切板12aを備えたことにより、貯留空間A内への水Wcの導入に際して、タンク本体11の底板11aと仕切板12aとの間の貯留空間A1に水Wcが導入されるため、貯留空間A内に流入した水Wcが直ちに仕切板12aよりも上方に移動する事態を回避することができると共に、貯留空間A1内の水圧によって仕切板12aの全域においてほぼ均等に水Wcが各小孔を通過させられて貯留空間A2に移動する結果、水Wcが上向きに移動する速度を十分に低下させることができる。したがって、給水口15から導入した水Wcが、貯留空間A内に貯水されている水Wcや貯留空間A内に貯湯されている湯Whに向かって勢い良く流れ込む事態を回避することができるため、導入した水Wcの水流によって水Wcと湯Whとの境界層が破壊される事態を回避することができる。
また、この貯湯タンク2、および貯湯タンク2を備えた貯湯式温水器1によれば、給水口15から貯留空間A1内に導入された水Wcが当接可能に給水口15および仕切板12aの間に配設されて導入された水Wcの進行方向をタンク本体11の上下方向と交差する向き(この例では、横向き)に変化させる整流板13aを備えたことにより、給水口15から貯留空間A1内に上向きに流入した水Wcの進行方向が整流板13aによって変化させられた時点において、この水Wcが貯留空間Aの上方側に貯湯されている湯Whに向かって移動する速度(貯留空間A内における水Wcの上向きの移動速度)が十分に低下させられる。この結果、導入した水Wcの水流によって水Wcと湯Whとの境界層が破壊される事態を一層好適に回避することができる。
さらに、この貯湯タンク2、および貯湯タンク2を備えた貯湯式温水器1によれば、水Wcおよび湯Whの通過が可能な複数の小孔が形成された板体で構成されて、貯留空間A内における上方側に配設された状態でタンク本体11に固定されると共に、貯留空間Aを、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A5と、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1〜A4とに仕切る仕切板12bを備えたことにより、貯留空間A内への湯Whの導入に際して、タンク本体11の天板11bと仕切板12bとの間の貯留空間A5に湯Whが導入されるため、貯留空間A内に流入した湯Whが直ちに仕切板12bよりも下方に移動する事態を回避することができると共に、貯留空間A5内の水圧によって仕切板12bの全域においてほぼ均等に湯Whが各小孔を通過させられて貯留空間A4に移動する結果、湯Whが下向きに移動する速度を十分に低下させることができる。したがって、給湯口17から導入した湯Whが、貯留空間A内に貯湯されている湯Whや貯留空間A内に貯水されている水Wcに向かって勢い良く流れ込む事態を回避することができる。この結果、導入した湯Whの水流によって水Wcと湯Whとの境界層が破壊される事態を回避することができる。
また、この貯湯タンク2、および貯湯タンク2を備えた貯湯式温水器1によれば、給湯口17から貯留空間A5内に導入された湯Whが当接可能に給湯口17および仕切板12bの間に配設されて導入された湯Whの進行方向をタンク本体11の上下方向と交差する向き(この例では、横向き)に変化させる整流板13bを備えたことにより、給湯口17から貯留空間A5内に下向きに流入した湯Whの進行方向が整流板13bによって変化させられた時点において、この湯Whが貯留空間Aの下方側に貯水されている水Wcに向かって移動する速度(貯留空間A内における湯Whの下向きの移動速度)が十分に低下させられる。この結果、導入した湯Whの水流によって水Wcと湯Whとの境界層が破壊される事態を一層好適に回避することができる。
さらに、この貯湯タンク2、および貯湯タンク2を備えた貯湯式温水器1では、水Wcおよび湯Whの通過が可能な複数の小孔が形成された板体で構成されて、貯留空間A内における上下方向の中央部(この例では、中央部下方寄り)に配設された状態でタンク本体11に固定されると共に、貯留空間Aを、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1,A2と、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A3〜A5とに仕切る仕切板12c、並びに、貯留空間A内における上下方向の中央部(この例では、中央部上方寄り)に配設された状態でタンク本体11に固定されると共に、貯留空間Aを、給水口15および取水口16の側の貯留空間A1〜A3と、給湯口17および出湯口18の側の貯留空間A4,A5とに仕切る仕切板12dを備えている。
したがって、この貯湯タンク2、および貯湯タンク2を備えた貯湯式温水器1によれば、貯留空間A内に流入した水Wcが直ちに仕切板12c,12dよりも上方に移動する事態を回避することができると共に、貯留空間A2内の水圧によって仕切板12cの全域においてほぼ均等に水Wcが各小孔を通過させられて貯留空間A3に移動すると共に、貯留空間A3内の水圧によって仕切板12dの全域においてほぼ均等に水Wcが各小孔を通過させられて貯留空間A4に移動する結果、水Wcが上向きに移動する速度を十分に低下させることができる。したがって、貯留空間A内に貯湯されている湯Whに向かって、水Wcが勢い良く流れ込む事態を回避することができるため、導入した水Wcの水流によって水Wcと湯Whとの境界層が破壊される事態を一層好適に回避することができる。また、この貯湯タンク2、および貯湯タンク2を備えた貯湯式温水器1によれば、貯留空間A内に流入した湯Whが直ちに仕切板12d,12cよりも下方に移動する事態を回避することができると共に、貯留空間A4内の水圧によって仕切板12dの全域においてほぼ均等に湯Whが各小孔を通過させられて貯留空間A3に移動すると共に、貯留空間A3内の水圧によって仕切板12cの全域においてほぼ均等に湯Whが各小孔を通過させられて貯留空間A2に移動する結果、湯Whが下向きに移動する速度を十分に低下させることができる。したがって、貯留空間A内に貯水されている水Wcに向かって、湯Whが勢い良く流れ込む事態を回避することができるため、導入した湯Whの水流によって水Wcと湯Whとの境界層が破壊される事態を一層好適に回避することができる。
また、この貯湯タンク2、および貯湯タンク2を備えた貯湯式温水器1によれば、取水口16から貯留空間A1内に逆流した水Wcが当接可能に取水口16および仕切板12aの間に配設されて逆流された水Wcの進行方向をタンク本体11の上下方向と交差する向き(この例では、横向き)に変化させる整流板13cを備えたことにより、取水口16から貯留空間A1内に上向きに逆流した水Wcの進行方向が整流板13cによって変化させられた時点において、この水Wcが貯留空間Aの上方側に貯湯されている湯Whに向かって移動する速度(貯留空間A内における水Wcの上向きの移動速度)が十分に低下させられる。この結果、循環ポンプ4の逆回転等に起因して逆流した水Wcの水流によって水Wcと湯Whとの境界層が破壊される事態を好適に回避することができる。
なお、金属メッシュで円板状に形成された仕切板12a〜12dを「第1の仕切板」、「第2の仕切板」および「第3の仕切板」として備えた構成を例に挙げて説明したが、「仕切板」の構成はこれに限定されず、一例として、図7に示すように、複数の小孔Hが形成された仕切板32a〜32dを上記の仕切板12a〜12dに代えて、「第1の仕切板」、「第2の仕切板」および「第3の仕切板」として使用することができる。なお、仕切板32a〜32d以外の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。この仕切板32a〜32dは、その外径Loがタンク本体11の内径Liと同径に形成されて、貯留空間A内の各部に配設された状態でタンク本体11に固定されている。したがって、上記の仕切板12a〜12dを有する貯湯タンク2と同様の効果を奏することができる。また、布状の素材で形成した「仕切板」、および水や湯の通過が可能な樹脂素材で形成した「仕切板」を使用することもできる。これらの「仕切板」を使用した貯湯タンク(図示せず)においても、上記の仕切板12a〜12dを有する貯湯タンク2と同様の効果を奏することができる。
また、「第3の仕切板」に相当する2枚の仕切板12c,12dを備えた貯湯タンク2を例に挙げて説明したが、「第3の仕切板」の枚数は、1枚、または、3枚以上の複数枚とすることもできる。さらに、「第1の仕切板」や「第2の仕切板」による上記の効果が十分に奏される場合には、「第3の仕切板」を不要とすることもできる。また、「第1の仕切板」に相当する仕切板12a、および「第2の仕切板」に相当する仕切板12bの双方を備えた例について説明したが、「第1の仕切板」および「第2の仕切板」のいずれか一方だけを配設して貯湯タンクを構成することもできる(図示せず)。
さらに、「第1の整流板」に相当する整流板13a、および「第2に整流板」に相当する整流板13bの2枚を備えた貯湯タンク2を例に挙げて説明したが、仕切板12aによって奏される上記の効果が十分である場合には、整流板13a(第1の整流板)を不要とし、仕切板12bによって奏される上記の効果が十分である場合には、整流板13b(第2の整流板)を不要とすることもできる。加えて、加温装置としてのヒートポンプ3を備えた貯湯式温水器1、および加温装置としてのヒートポンプ3が加温した湯Whを貯湯する貯湯タンク2について説明したが、「加温装置」はこれに限定されず、電気式加温装置(電気ヒータによって水を加温して湯を生成する装置)、および燃焼式加温装置(石油や重油を燃料として燃焼させて水を加温して湯を生成する装置)などの各種加温装置がこれに含まれる。
1 貯湯式温水器
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプ
4 循環ポンプ
11 タンク本体
11a 底板
11b 天板
12a〜12d,32a〜32d 仕切板
13a〜13c 整流板
15 給水口
16 取水口
17 給湯口
18 出湯口
A,A1〜A5 貯留空間
H 小孔
Wc 水
Wh 湯

Claims (7)

  1. 加温装置によって加温すべき水と当該加温装置が当該水を加温して生成した湯とを貯留空間内に貯留可能に構成されたタンク本体を備えると共に、当該タンク本体における下方側には、前記水を前記貯留空間内に導入するための給水口と、前記貯留空間内の前記水を取水して前記加温装置に供給するための取水口とが設けられ、かつ前記タンク本体における上方側には、前記加温装置によって加温された前記湯を前記貯留空間内に導入するための給湯口と、前記貯留空間内の前記湯を出湯するための出湯口とが設けられている貯湯タンクであって、
    前記水および前記湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、前記貯留空間内における下方側に配設された状態で前記タンク本体に固定されると共に、当該貯留空間を、前記給水口および前記取水口の側の第1の空間と、前記給湯口および前記出湯口の側の第2の空間とに仕切る第1の仕切板を備えている貯湯タンク。
  2. 前記給水口から前記第1の空間内に導入された前記水が当接可能に当該給水口および前記第1の仕切板の間に配設されて当該導入された水の進行方向を前記タンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第1の整流板を備えている請求項1記載の貯湯タンク。
  3. 加温装置によって加温すべき水と当該加温装置が当該水を加温して生成した湯とを貯留空間内に貯留可能に構成されたタンク本体を備えると共に、当該タンク本体における下方側には、前記水を前記貯留空間内に導入するための給水口と、前記貯留空間内の前記水を取水して前記加温装置に供給するための取水口とが設けられ、かつ前記タンク本体における上方側には、前記加温装置によって加温された前記湯を前記貯留空間内に導入するための給湯口と、前記貯留空間内の前記湯を出湯するための出湯口とが設けられている貯湯タンクであって、
    前記水および前記湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、前記貯留空間内における上方側に配設された状態で前記タンク本体に固定されると共に、当該貯留空間を、前記給湯口および前記出湯口の側の第3の空間と、前記給水口および前記取水口の側の第4の空間とに仕切る第2の仕切板を備えている貯湯タンク。
  4. 前記給湯口から前記第3の空間内に導入された前記湯が当接可能に当該給湯口および前記第2の仕切板の間に配設されて当該導入された湯の進行方向を前記タンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第2の整流板を備えている請求項3記載の貯湯タンク。
  5. 前記水および前記湯の通過が可能な複数の孔が形成された板体で構成されて、前記貯留空間内における上下方向の中央部に配設された状態で前記タンク本体に固定されると共に、当該貯留空間を、前記給水口および前記取水口の側の第5の空間と、前記給湯口および前記出湯口の側の第6の空間とに仕切る第3の仕切板を備えている請求項1から4のいずれかに記載の貯湯タンク。
  6. 前記取水口から前記第1の空間内に逆流した前記水が当接可能に当該取水口および前記第1の仕切板の間に配設されて当該逆流した水の進行方向を前記タンク本体の上下方向と交差する向きに変化させる第3の整流板を備えている請求項1から5のいずれかに記載の貯湯タンク。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の貯湯タンクと、前記加温装置と、前記取水口から前記貯留空間内の前記水を取水して前記加温装置に供給すると共に当該加温装置によって加温された前記湯を当該貯留空間内に導入するポンプとを備え、
    前記給水口から前記貯留空間内への前記水の給水圧力によって当該貯留空間内の前記湯を前記出湯口から出湯可能に構成されている貯湯式温水器。
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