JP2012025719A - プロトンポンプ阻害剤 - Google Patents
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Abstract
安全性の点で心配がなく、長期にわたって日常的に摂取可能なプロトンポンプ阻害剤を提供すること。
【解決手段】
ウルソール酸を有効成分とするプロトンポンプ阻害剤。
【選択図】 なし
Description
前記課題を解決する本願第一の発明は、ウルソール酸を有効成分とするプロトンポンプ阻害剤である。本願第一の発明は、ウルソール酸を1000μM以上含有することが好ましい。
前記課題を解決する本願第二の発明は、ウルソール酸を有効成分とする抗潰瘍剤である。
前記課題を解決する本願第三の発明は、ウルソール酸を有効成分とする、潰瘍の予防及び/又は治療のための飲食品である。
[1]
ウルソール酸を有効成分とするプロトンポンプ阻害剤。
[2]
1回の投与量(摂取量)として1000μmol(460mg)以上のウルソール酸を有効成分として含有する[1]に記載のプロトンポンプ阻害剤。
[3]
ウルソール酸を投与することを含んでなる、プロトンポンプを阻害する方法。
[4]
ウルソール酸を1000μM(460mg/L)以上の濃度で投与する、[3]に記載の方法。
[5]
ウルソール酸を経口投与する、[3]又は[4]に記載の方法。
[6]
プロトンポンプを阻害するための、ウルソール酸の使用。
[7]
プロトンポンプ阻害剤を製造するための、ウルソール酸の使用。
ウルソール酸(3β−ヒドロキシウルサ−12−エン−28−酸、3β−ヒドロキシ−19β−メチル−30−ノルオレアナ−12−エン−28−酸)は、植物や果物に含まれる分子量約456.7のトリテルペンであって、図1に示す構造式で表される物質である。本発明のウルソール酸として、市販のウルソール酸を用いることができる。本発明のウルソール酸として、ウルソール酸又はその塩を使用することができる。本発明のウルソール酸として、ウルソール酸又は製薬上許容される塩を使用することができる。
本発明のプロトンポンプ阻害剤は、強力な胃酸分泌抑制作用を有することから、消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、食道炎を伴わない胃食道逆流症(Symptomatic GERD)、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)胃癌、胃MALTリンパ腫、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍、手術後ストレスによる胃酸過多と潰瘍、急性ストレス潰瘍、ストレス性潰瘍、胃粘膜病変、胃痛、胸焼け、胃もたれ、むかつき等の治療に用いることができる。
プロトンポンプ阻害率は以下の方法で測定される。
プロトンポンプ阻害活性の測定方法はNagayaらの方法(J.Pharmacol.Exp.Ther.248,799−805,(1989))に基づいて、市販の試薬とキットを用いて行う。
酵素(プロトンポンプ)として、ブタの胃等から抽出されたH+/K+ATPaseを用いる。
続いて、試料のDMSO溶液を緩衝液(20mM Tris−HCl,5mM MgCl2,20mM KCl,100mM NaCl)中に混和し、さらに酵素(最終濃度30mU/ml)を添加し、37℃、15分間のインキュベーションを行う。試料は、最終濃度が1000μM(460mg/L)となるようにした。
その後、ATP(最終濃度3mM)を添加して37℃で60分間反応させた後、生成した無機リン酸量(後記する式中のA)を測定する。なお、酵素やATPの最終濃度とは、酵素やATPを混合した混合溶液中の濃度を指す。
A :試料の無機リン酸量
Ba:試料を添加して酵素を添加せずに測定した無機リン酸量
Bc:試料及び酵素を添加せずに測定した無機リン酸量
本発明のプロトンポンプ阻害剤は単独で使用することができ、他のプロトンポンプ阻害剤と併用することもできる。本発明のプロトンポンプ阻害剤と2種の抗生剤と併用して、いわゆる3剤併用療法としても使用することができる。
本発明のプロトンポンプ阻害剤は、食品由来であることから安心して使用することができ、安価で入手しやすい。
本発明のプロトンポンプ阻害剤は、ウルソール酸、若しくはこれらを製剤学的に許容される製剤担体と組み合わせて、経口または経管によりヒトを含む哺乳動物に投与することができる。本発明の医薬製剤の投与単位形態は特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、点眼剤、点鼻剤等を例示できる。製剤化にあたっては製剤担体として通常の薬剤に汎用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、流動性促進剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料、希釈剤、界面活性剤、注射剤用溶剤等の添加剤を使用できる。これらを用いて常法に従ってプロトンポンプ阻害剤の製剤を製造することができる。
本発明の製剤の投与方法は特に限定されず、各種製剤形態、投与対象者(例えば、胃潰瘍の患者)の年齢、性別、その他の条件、投与対象者の栄養状態又は症状の程度等に応じて決定される。
本発明の飲食品には、有効成分であるウルソール酸の他、例えば、ラクチュロース、マルチトール、及びラクチトール等のアルコール吸収抑制性の糖類、およびそれ以外の糖類、例えばデキストリン、デンプン等;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を含有させることができる。
本明細書において、プロトンポンプはH+/K+ ATPaseと言い換えることができるから、本発明のプロトンポンプ阻害剤は、H+/K+ATPase阻害剤またはATPase阻害剤と言い換えることができる。
〔実施例1〕
(錠剤)
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製)118g、ピロリン酸第二鉄(富田製薬社製)2g、アスコルビン酸(DSMニュートリションジャパン社製)40g、微結晶セルロース40g(旭化成ケミカルズ社製)、還元麦芽糖水飴(東和化成社製)300g、ウルソール酸(東京化成社製)500gを均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製)を使用して、錠剤1錠当り1gとするプロトンポンプ阻害活性を有する錠剤950錠(約950g)を製造した。
錠剤1g中のウルソール酸の含有量は500mg(1095μモル)であった。
(パン)
小麦粉(日清製粉社製)3000g、ウルソール酸(東京化成社製)30g、イースト(三共社製)60g、イーストフード(キリン協和フーズ社製)3g、砂糖(大日本明治製糖社製)150g、食塩(塩事業センター社製)60g、ショートニング(ミヨシ油脂社製)150g、脱脂粉乳(森永乳業社製)60g、水2070gを用いて、常法によりドウを作成し、成型、焙焼してパンを製造した。パン100gに含まれるウルソール酸の含有量は590mg(1290μモル)であった。
〔試験例1〕
本試験は、ウルソール酸のプロトンポンプ阻害活性を確認することを目的とした。
(1)試料及び酵素の調製
試験試料として、ウルソール酸(東京化成社製)を用いた。また、対照試料として化学構造が類似するオレアノール酸(東京化成社製)を用いた。
酵素(プロトンポンプ)として、ブタの胃から抽出されたH+/K+ATPase(SCIPAC社製)を用いた。
プロトンポンプ阻害活性の測定方法はNagayaらの方法(J.Pharmacol.Exp.Ther.248,799−805,(1989))に基づいて、市販の試薬とキットを用いて行った。
なお、下記に記載する酵素やATPの最終濃度とは、酵素やATPを混合した混合溶液中の濃度を指す。
続いて、試料のDMSO溶液を緩衝液(20mM Tris−HCl,5mM MgCl2,20mM KCl,100mM NaCl)中に混和し、さらに酵素(最終濃度30mU/ml)を添加し、37℃、15分間のインキュベーションを行った。試料は、最終濃度が1000μM(460mg/L)となるようにした。
その後、ATP(最終濃度3mM)を添加して37℃で60分間反応させた後、生成した無機リン酸量(後記する式中のA)を測定した。
A :試料の無機リン酸量
Ba:試料を添加して酵素を添加せずに測定した無機リン酸量
Bc:試料及び酵素を添加せずに測定した無機リン酸量
本試験の結果は表1に示すとおりである。
ウルソール酸はプロトンポンプ阻害率が75%となり、顕著なプロトンポンプ阻害活性を示した。
一方、オレアノール酸のプロトンポンプ阻害率は17%と低いもので、本発明におけるプロトンポンプ阻害活性は有していなかった。
本試験から、ウルソール酸が顕著なプロトンポンプ阻害活性を有していることが明らかになった。
本試験は、ウルソール酸のウレアーゼ阻害活性について確認するために行った。
(1)試料の調製
試料として、ウルソール酸(東京化成社製)及びタンニン(和光純薬社製)を用いた。
なお、タンニンはウレアーゼ阻害活性を有することが知られている。
ウレアーゼ活性の測定方法は、Ahmadらの方法(Chem.Pharm.Bull.51(6)719−723)に基づいて、ウレアーゼが尿素から生成するアンモニアを定量する方法で行った。
市販のウレアーゼ(長瀬生化学工業社製)及び尿素(SIGMA社製)を試料と混和し、37℃、20分の条件で反応させた。得られた反応物について、アンモニア定量試薬(和光純薬社製)を用い、630nmの吸光値を吸光光度計(コロナ社製)で測定した。
コントロールとして、試料を混和せずにウレアーゼのみで活性を測定し、測定値を比較して各サンプルの酵素阻害活性を算出した。この他、ブランク値として酵素と試料のみを混和したものについて吸光値を測定した。
A:ウレアーゼ及び尿素を添加した場合の吸光値
B:ウレアーゼ及び試料を添加した場合の吸光値
C:ウレアーゼ、試料、及び尿素を添加した場合の吸光値
本試験の結果は図1に示すとおりである。
タンニンは、39.1μg/mL、625μg/mL、1250μg/mLの3点で試験した。
タンニンの濃度が39.1μg/mLのときは相対活性が1.0であったが、625μg/mLのときの相対活性が0.7、1250μg/mLのときの相対活性が0.24と濃度依存的にウレアーゼ阻害活性が高くなった。
一方、ウルソール酸では、濃度が31.3μg/mL、500μg/mL、1000μg/mLの3点で試験したが、いずれの場合もウレアーゼ阻害活性は見られなかった。
このように、ウルソール酸が、ウレアーゼ阻害活性を持たないことが確認された。
Claims (1)
- ウルソール酸を有効成分とするプロトンポンプ阻害剤。
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JP2007527407A (ja) * | 2003-05-22 | 2007-09-27 | メタプロテオミクス, エルエルシー | 炎症を軽減するためおよび胃腸毒性の処置または予防のための抗炎症性薬学的組成物 |
JP2008024690A (ja) * | 2006-07-25 | 2008-02-07 | Hidefumi Kojima | 胃酸分泌抑制剤 |
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