JP2012021811A - 濃度定量装置及び濃度定量方法並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の濃度定量装置である血糖値測定装置1は、皮膚に、この皮膚を構成する真皮層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光を照射する照射部5と、真皮層により放射される後方散乱光を選択する光散乱媒質層選択部7と、真皮層から放射される後方散乱光を受光する受光部8と、この後方散乱光の光強度を取得する光強度取得部9と、特定波長の光を照射した皮膚の真皮層における光吸収係数を算出する光吸収係数算出部12と、真皮層における光吸収係数から真皮層に含まれるグルコースの濃度を算出する濃度算出部13とを備えている。
【選択図】図1
Description
一方、高齢化社会の到来により、予防医学に対する要求の高まりを受けて、個人における代謝量管理の重要性が急速に増大している。中でも、血糖値計測は、糖尿病のごく初期段階での糖代謝の反応を評価することができ、糖尿病の早期診断に基づく早期治療を可能にしている。
また、血糖値を連続的に測定する方法としては、静脈に注射針を刺した状態で連続的に血糖値相応のグルコースの定量を行う機器が米国にて開発されており、現在臨床試験中である。しかし、静脈に注射針を刺したままにしているために、血糖値の測定中に針が抜ける危険性や感染症の危険性がある。
そこで、採血無しに頻繁に血糖値を測定することができ、しかも感染症の危険性が無い血糖値の測定装置の開発が求められている。さらには、簡単にかつ常時装着可能であり、小型化可能な血糖値の測定装置の開発が求められている。
この装置は、皮膚に近赤外の連続光を照射し、その光吸収量からグルコースの濃度を算出する装置である。具体的には、予めグルコース濃度と照射する近赤外光の波長と光の吸収量との関係を示す検量線を作成しておき、皮膚に近赤外の連続光を照射し、この皮膚からの戻り光をモノクロメーター等を用いてある波長域を走査し、その波長域の各波長に対する光の吸収量を求め、この各波長における光の吸収量と検量線とを比較することで、血液中のグルコース濃度、すなわち血糖値を算出している。
そこで、生体表面近傍の組織中のグルコース濃度を近赤外領域における光の吸収を利用して測定する場合に、近赤外光送受用の光ファイババンドルのプロ−ブ先端の測定面と生体の表面近傍組織との接触部分の温度を、ヒータ及び表面温度検知手段を用いて一定にする装置も提案されている(特許文献2参照)。
例えば、近赤外光送受用の光ファイババンドルのプロ−ブ先端の測定面と生体の表面近傍組織との接触部分の温度を、ヒータ及び表面温度検知手段を用いて一定にすれば、確かに、接触部分の温度は一定になるが、生体自体の温度が変化した場合、この生体の表面近傍組織の温度も変化して近赤外光に対する吸収係数が変化してしまい、やはり、生体中のグルコース濃度を精度よく測定することは難しい。
すなわち、本発明の濃度定量装置は、複数の光散乱媒質の層により構成される観測対象のうち、任意の層における目的成分の濃度を定量する濃度定量装置であって、前記観測対象に、前記任意の層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光を照射する照射手段と、前記光を照射することにより前記観測対象より放射される複数種の後方散乱光から前記任意の層より放射される後方散乱光を選択する光散乱媒質層選択手段と、前記任意の層から放射される後方散乱光を受光する受光手段と、前記受光手段が受光した光の強度を取得する光強度取得手段と、前記光強度取得手段が取得した光強度に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出する光吸収係数算出手段と、前記光吸収係数算出手段が算出した光吸収係数に基づいて、前記任意の層における前記目的成分の濃度を算出する濃度算出手段と、を備えてなることを特徴とする。
このように、観測対象に照射される光を、水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光とすることで、任意の層から放射される後方散乱光における水の影響を小さくすることができ、この後方散乱光を基に算出される観測対象の任意の層における目的成分の濃度においても、水の影響を小さくすることができる。したがって、目的成分の濃度における水の影響を低減することができ、目的成分の濃度を、非侵襲的に精度良く測定することができる。
前記光強度取得手段は、前記任意の層の複数の時刻t1〜tmにおける光強度を取得し、
前記光吸収係数算出手段は、前記任意の層の光吸収係数を、下記の式(1)
から算出することを特徴とする。
このように、後方散乱光を時間分解計測することで、任意の層以外の層からの後方散乱光をノイズとして低減することができ、目的成分の濃度における水の影響を低減することができる。したがって、目的成分の濃度をさらに精度良く測定することができる。
前記光強度取得手段は、所定の時刻から少なくとも所定の時刻τの間の光強度を取得し、
前記光吸収係数算出手段は、前記任意の層の光吸収係数を、下記の式(2)
から算出することを特徴とする。
このように、後方散乱光を時間分解計測することで、任意の層以外の層からの後方散乱光をノイズとして低減することができ、目的成分の濃度における水の影響を低減することができる。したがって、目的成分の濃度をさらに精度良く測定することができる。
から算出することを特徴とする。
このように、時間分解計測した後方散乱光を用いて任意の層における目的成分の濃度を算出することで、目的成分の濃度における水の影響を低減することができる。したがって、目的成分の濃度をさらに精度良く測定することができる。
照射手段により、前記観測対象に、前記任意の層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光を照射し、次いで、光散乱媒質層選択手段により、前記光を照射することにより前記観測対象より放射される複数種の後方散乱光から前記任意の層より放射される後方散乱光を選択し、次いで、受光手段により、前記任意の層から放射される後方散乱光を受光し、次いで、光強度取得手段により、前記受光手段が受光した光の強度を取得し、次いで、光吸収係数算出手段により、前記光強度取得手段が取得した光強度に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出し、次いで、濃度算出手段により、前記光吸収係数算出手段が算出した光吸収係数に基づいて、前記任意の層における前記目的成分の濃度を算出する、ことを特徴とする。
このように、観測対象に照射される光を、任意の層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光とすることで、任意の層から放射された後方散乱光における水の影響を小さくすることができ、この後方散乱光を基に算出された観測対象の任意の層における目的成分の濃度においても、水の影響を小さくすることができる。したがって、目的成分の濃度における水の影響を低減することができ、目的成分の濃度を、非侵襲的に精度良くかつ効率良く測定することができる。
このように、任意の層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光を照射する照射手順を実行することで、任意の層から放射された後方散乱光における水の影響を小さくすることができ、この後方散乱光を基に算出された観測対象の任意の層における目的成分の濃度においても、水の影響を小さくすることができる。したがって、目的成分の濃度における水の影響を低減することができ、目的成分の濃度を、非侵襲的に精度良くかつ効率良く測定することができる。
本発明では、濃度定量装置として血糖値測定装置を、観測対象として人の手のひらの皮膚を、目的成分としてグルコースを、特定波長の光として特定波長の短時間パルス光を、それぞれ例に取り説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の血糖値測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
この血糖値測定装置1は、手のひら等の皮膚(観測対象)を構成する複数層のうちの真皮層(任意の層)に含まれるグルコース(目的成分)の濃度を非侵襲にて定量する装置であり、シミュレーション部2と、光路長分布記憶部(光路長分布記憶手段)3と、時間分解波形記憶部(時間分解波形記憶手段)4と、照射部(照射手段)5と、導光部6と、光散乱媒質層選択部(光散乱媒質層選択手段)7と、受光部(受光手段)8と、光強度取得部(光強度取得手段)9と、光路長取得部(光路長取得手段)10と、無吸収時光強度取得部(光強度モデル取得手段)11と、光吸収係数算出部(光吸収係数算出手段)12と、濃度算出部(濃度算出手段)13とを備えている。
光路長分布記憶部3は、皮膚に対して照射する短時間パルス光の、この皮膚を構成する各々の層における伝搬光路長分布のモデルを記憶する。ここでは、光吸収係数がゼロの皮膚モデルの伝搬光路長分布を記憶する。
時間分解波形記憶部4は、皮膚に対して照射する短時間パルス光の時間分解波形のモデルを記憶する。ここでは、光吸収係数がゼロの皮膚モデルの時間分解波形を記憶する。
照射部5は、皮膚に、この皮膚を構成する真皮層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長λk(λ1、λ2…)の短時間パルス光を皮膚に対して照射する。ここで、短時間パルス光とは、パルス幅が100psec程度かそれ以下のパルス光を意味する。なお、短時間パルス光として0.1psecから数psecの範囲のパルス幅を持つパルス光を用いても良い。
光散乱媒質層選択部7は、導光部6により集光されかつ導光された皮膚から放射される複数種の後方散乱光から、真皮層により放射される後方散乱光を入出射間距離と生体内の深さ方向の到達距離との関係により選択する。
受光部8は、短時間パルス光が皮膚によって後方散乱した光を受光する。
ここで、この複数の時刻は、皮膚(観測対象)を構成する各々の層の伝搬光路長分布のピーク時間を含むことが好ましい。
このように、各々の層の伝搬光路長分布のピーク時間を含むことで、皮膚の複数の層から任意の層、例えば真皮層を効率的に選択することができる。
無吸収時光強度取得部11は、時間分解波形記憶部4から、短時間パルス光の時間分解波形のモデルの所定の時刻における光の強度を取得する。ここでは、時間分解波形記憶部4からある時刻における光強度を取得する。
光吸収係数算出部12は、特定波長λkの短時間パルス光を照射した皮膚の真皮層における光吸収係数を算出する。
から算出する。
ここで、第1層は表皮層、第2層は真皮層、第3層は皮下組織を示し、μ1は表皮層の光吸収係数、μ2は真皮層の光吸収係数、μ3は皮下組織の光吸収係数を示す。
この濃度算出部13では、皮膚の任意の層におけるグルコースの濃度を、下記の式(5)
から算出する。
ここで、第1層は表皮層、第2層は真皮層、第3層は皮下組織を示し、μ1は表皮層の光吸収係数、μ2は真皮層の光吸収係数、μ3は皮下組織の光吸収係数を示す。
一方、光路長取得部10は、光路長分布記憶部3から、皮膚モデルにおける伝搬光路長分布の時刻tにおける皮膚の各層の光路長を取得し、無吸収時光強度取得部11は、時間分解波形記憶部4から、皮膚モデルにおける短時間パルス光の時間分解波形の時刻tにおける光の強度を取得する。
これにより、真皮層以外の層によるノイズの影響を軽減して、真皮層に含まれるグルコースの濃度を算出することができる。
血糖値測定装置1は、血糖値を測定する前に、予め皮膚モデルの各層における伝搬光路長分布と時間分解波形とを算出しておく必要がある。
図2は、人の皮膚組織の断面を示す模式図であり、皮膚21は、概ね水を20%程度含み、残部が蛋白質からなる厚み0.3mm程度の表皮層22と、表皮層22下に形成され、概ね水を60%程度、蛋白質、脂質及びグルコースを含有する厚み1.2mm程度の真皮層(任意の層)23と、真皮層23下に形成され、概ね脂質を90%以上含み、残部が水からなる厚み3.0mm程度の皮下組織24とにより構成されている。
初めに、シミュレーション部2は、皮膚モデルを生成する。皮膚モデルの生成は、皮膚の各層の光散乱係数、光吸収係数及び厚みを決定することで行う。ここで、皮膚の各層の散乱係数及び厚みは、個体による差が少ないので、予めサンプルを取ることなどによって決定すると良い。
また、ここで用いる皮膚モデルの光吸収係数はゼロとする。その理由は、この皮膚モデルを用いて光吸収量を算出するからである。
図3では、横軸を光子の照射からの経過時間とし、縦軸を光路長の対数表示としている。
シミュレーション部2は、受光部8に到達した光子の各々の移動経路を、移動経路が通過する層毎に分類する。そして、シミュレーション部2は、単位時間毎に到達した光子の移動経路の平均長を分類された層毎に算出することで、図3に示すような皮膚の各層の伝搬光路長分布を算出する。
図4では、横軸を光子の照射からの経過時間とし、縦軸を受光部8が検出した光子数としている。
シミュレーション部2は、単位時間毎に受光部8に到達した光子の個数を算出することで、図4に示すような皮膚モデルの時間分解波形を算出する。
上述したような処理により、シミュレーション部2は、複数の波長に対して、皮膚モデルの伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出する。このとき、シミュレーション部2は、皮膚の主成分(水、たんぱく質、脂質、グルコース等)の吸収スペクトルの差が大きい波長について伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出すると良い。
図5では、横軸を照射する光の波長(μm)とし、縦軸を照射する光の皮膚への浸透深さ(cm)とし、水に向かって光を入射した場合、入射時の光強度が1/10に減少するまでに進む浸透深さを赤外域の各波長の光に対して示している。
例えば、3.0μm付近の波長帯域の光では、浸透深さが2×10−3cm程度と浅く、水に吸収され易いことが分かる。
図6によれば、グルコースの吸収係数は波長が1600nmのときに極大となり、水の吸収係数は波長が1450nmのときに極大となることがわかる。
したがって、シミュレーション部2は、例えば1400nm、1450nm、1500nm、1600nm、1680nm、1720nm、1740nmというように皮膚の主成分の吸収スペクトルの差が大きい波長について伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出すると良い。
この図によれば、真皮層23の吸収スペクトルには、波長1450nm付近に極大値があり、その吸収係数値は水の吸収係数の60%程度の値なので、真皮層23の吸収の60%は水分によるものと考えられる。また、表皮層22の吸収スペクトルにおいても、波長1450nm付近に真皮層23の1/3程度の大きさの極大値があり、その吸収係数値は水の吸収係数の20%程度の値なので、表皮層22の吸収の20%は水分によるものと考えられる。一方、皮下組織24の吸収スペクトルでは、波長1450nm付近に真皮層23の1/10程度の大きさの極大値しかなく、その吸収係数値は水の吸収係数の数%程度の値なので、皮下組織24の吸収の数%程度が水分によるものと考えられる。
図8は、水の吸光度スペクトルの温度依存性を示す図であり、図中、Aは41℃における水の吸光度スペクトル、Bは21℃における水の吸光度スペクトルである。
ここでは、セル長が0.5mmの光学セルを用い、光学セルホルダとして温調ユニットタイプのものを用い、恒温循環槽を用いて±0.1℃の範囲で温度調節を行い、紫外可視近赤外分光光度計 Lambda 900S(パーキンエルマー社製)を用いて41℃及び21℃各々における水の吸光度スペクトルを測定した。
図8によれば、水の吸光度スペクトルの極大値は、21℃では波長1450nm付近にあり、温度が21℃より高くなるにしたがって、極大値が1450nmより短波長側にシフトすることが分かる。
図9は、水の吸光度スペクトルの差の温度依存性を示す図であり、図中、Aは25℃における水の吸光度スペクトルと21℃における水の吸光度スペクトルとの差を、Bは31℃における水の吸光度スペクトルと21℃における水の吸光度スペクトルとの差を、Cは37℃における水の吸光度スペクトルと21℃における水の吸光度スペクトルとの差を、Dは41℃における水の吸光度スペクトルと21℃における水の吸光度スペクトルとの差を、それぞれ示している。
その結果、血糖値を100mg/dl、測定精度を±5%としたときの温度変化に対して安定とみなせる波長範囲は、1445±0.025nm、1782±0.1nmであることが分かった。
また、この濃度では、グルコースと水の体積比率が6:100と大きく、無視できない。このように、試料側の水の体積が参照側の水の体積と比べて減少しているので、水の吸光度の大きい1400〜1500nm付近と1900nm以上の波長領域では、吸光度スペクトル差が大きく負になっている。この体積減少は、セル長1mmに対して0.057mmの減少に相当している。そこで、グルコース水溶液の吸光度スペクトルの測定値に、この体積減少及び温度の補正を行うと、図10中、Bに示す補正値となり、固体のグルコースの吸光度スペクトルに近似したものとなる。
このように、グルコース水溶液の吸光度スペクトルの測定値を温度補正及び体積補正することにより、グルコース単体の吸光度スペクトルに近いものが得られる。
まず、被測定者が血糖値測定装置1を手首等の皮膚に当て、測定開始スイッチ(図示せず)の押下等により血糖値測定装置1を動作させる。
ここでは、照射部5が、皮膚21に対して、この皮膚21を構成する真皮層23における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長λkの短時間パルス光を照射する(ステップS1)。
この特定波長λkとしては、例えば、図9にて得られた1445nm、1782nmのいずれか、または双方の波長を用いることが好ましい。
光散乱媒質層選択部7では、導光部6により集光されかつ導光された皮下組織22、真皮層23及び表皮層24各々から放射される後方散乱光から、真皮層23により放射される後方散乱光をより多く含む信号光を選択する(ステップS2)。
ここで、光強度取得部9が光強度を取得する時刻t1〜tmは、真皮層23から放射される後方散乱光のピークとなる時刻を含むことが好ましい。すなわち、照射部5が特定波長λ1の短時間パルス光を照射した時刻に、真皮層23の光路長が極大となる時間を加算した時刻とすることが好ましい。
から算出する(ステップS5)。
ここでは、第1層は表皮層、第2層は真皮層、第3層は皮下組織を示し、μ1は表皮層の光吸収係数、μ2は真皮層の光吸収係数、μ3は皮下組織の光吸収係数を示す。
ここでは、例えば、単一波長での主要成分の光吸収係数と、各層の光吸収係数との関係から、グルコースの濃度を算出する場合について説明する。
下記の式(9)は、皮膚の光吸収係数が、水、グルコース、蛋白質、脂質及びその他の成分各々の波長に関する関数とその係数との積の和であることを示している。
式(16)中、εWは水の光吸収係数、εGはグルコースの光吸収係数、εPは蛋白質の光吸収係数、εLは脂質の光吸収係数、μL1は表皮の光吸収係数、μL2は真皮の光吸収係数、μL3は皮下組織の光吸収係数である。なお、皮膚主成分の光吸収係数、皮膚の層はさらに追加されても良い。
ここでは、真皮層23に含まれるグルコースの濃度を下記の式(17)
から算出する(ステップS7)。
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。
また、このコンピュータプログラムを通信回線によりコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
図12は、本発明の第2の実施形態の血糖値測定装置の構成を示す概略ブロック図であり、本実施形態の血糖値測定装置31が第1の実施形態の血糖値測定装置1と異なる点は、光強度取得部9及び光吸収係数算出部12を、これらとは異なる機能を有する光強度取得部(光強度取得手段)32及び光吸収係数算出部(光吸収係数算出手段)33に替えた点である。
光吸収係数算出部33は、特定波長λkの短時間パルス光を照射した皮膚の真皮層における光吸収係数を算出する。
から算出する。
ここで、第1層は表皮層、第2層は真皮層、第3層は皮下組織を示し、μ1は表皮層の光吸収係数、μ2は真皮層の光吸収係数、μ3は皮下組織の光吸収係数を示す。
この手順では、光散乱媒質層選択部7が皮下組織22、真皮層23及び表皮層24各々から放射される後方散乱光から、真皮層23により放射される後方散乱光を選択する(ステップS2)手順までが図11に示す手順と同一であるから、説明を省略する。
次いで、この受光部8が受光を完了したことを光強度取得部32に知らせると、この光強度取得部32では、真皮層23から放射される後方散乱光の照射開始から少なくとも所定の時刻τの間の受光強度の時間変化を取得する(ステップS12)。
から算出する(ステップS13)。
から算出する(ステップS15)。
例えば、上記の各実施形態では、濃度定量装置として血糖値測定装置を、観測対象として人の手のひらの皮膚を、目的成分としてグルコースを、特定波長の光として特定波長の短時間パルス光を、それぞれ取ることで、皮膚の真皮層に含まれるグルコースの濃度を測定する場合について説明したが、これに限らず、濃度定量方法を、複数の光散乱媒質の層から形成される観測対象の任意の層における目的成分の濃度を定量する他の装置に用いてもよく、特定波長の短時間パルス光を、特定波長の連続光に替えてもよい。
例えば、携帯型の皮膚主成分の濃度測定装置に適用した場合、皮膚疾患の検査や診断や治療に有効利用することが可能である。
Claims (7)
- 複数の光散乱媒質の層により構成される観測対象のうち、任意の層における目的成分の濃度を定量する濃度定量装置であって、
前記観測対象に、前記任意の層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光を照射する照射手段と、
前記光を照射することにより前記観測対象より放射される複数種の後方散乱光から前記任意の層より放射される後方散乱光を選択する光散乱媒質層選択手段と、
前記任意の層から放射される後方散乱光を受光する受光手段と、
前記受光手段が受光した光の強度を取得する光強度取得手段と、
前記光強度取得手段が取得した光強度に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出する光吸収係数算出手段と、
前記光吸収係数算出手段が算出した光吸収係数に基づいて、前記任意の層における前記目的成分の濃度を算出する濃度算出手段と、
を備えてなることを特徴とする濃度定量装置。 - 前記光を短時間パルス光とし、さらに、
前記観測対象に対して照射する前記短時間パルス光の、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層における伝搬光路長分布のモデルを記憶する光路長分布記憶手段と、
前記観測対象に対して照射する前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルを記憶する時間分解波形記憶手段と、
前記光路長分布記憶手段から、前記伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長を取得する光路長取得手段と、
前記時間分解波形記憶手段から、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度を取得する光強度モデル取得手段とを備え、
前記光強度取得手段は、前記任意の層の複数の時刻t1〜tmにおける光強度を取得し、
前記光吸収係数算出手段は、前記任意の層の光吸収係数を、下記の式(1)
から算出することを特徴とする請求項1記載の濃度定量装置。 - 前記光強度取得手段が光強度を取得する複数の時刻は、前記複数の光散乱媒質の各々の層の伝搬光路長分布のピーク時間を含むことを特徴とする請求項2記載の濃度定量装置。
- 前記光を短時間パルス光とし、さらに、
前記観測対象に対して照射する前記短時間パルス光の、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層における伝搬光路長分布のモデルを記憶する光路長分布記憶手段と、
前記観測対象に対して照射する前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルを記憶する時間分解波形記憶手段と、
前記光路長分布記憶手段から、前記伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長を取得する光路長取得手段と、
前記時間分解波形記憶手段から、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度を取得する光強度モデル取得手段とを備え、
前記光強度取得手段は、所定の時刻から少なくとも所定の時間τの間の光強度の時間変化を取得し、
前記光吸収係数算出手段は、前記任意の層の光吸収係数を、下記の式(2)
から算出することを特徴とする請求項1記載の濃度定量装置。 - 複数の光散乱媒質の層により構成される観測対象のうち、任意の層における目的成分の濃度を定量する濃度定量方法であって、
照射手段により、前記観測対象に、前記任意の層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光を照射し、
次いで、光散乱媒質層選択手段により、前記光を照射することにより前記観測対象より放射される複数種の後方散乱光から前記任意の層より放射される後方散乱光を選択し、
次いで、受光手段により、前記任意の層から放射される後方散乱光を受光し、
次いで、光強度取得手段により、前記受光手段が受光した光の強度を取得し、
次いで、光吸収係数算出手段により、前記光強度取得手段が取得した光強度に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出し、
次いで、濃度算出手段により、前記光吸収係数算出手段が算出した光吸収係数に基づいて、前記任意の層における前記目的成分の濃度を算出する、
ことを特徴とする濃度定量方法。 - 複数の光散乱媒質の層により構成される観測対象のうち、任意の層における目的成分の濃度を定量する濃度定量装置のコンピュータに、
前記観測対象に、前記任意の層における水の吸収係数の温度変化が小さい特定波長の光を照射する照射手順、
前記光を照射することにより前記観測対象より放射される複数種の後方散乱光から前記任意の層より放射される後方散乱光を選択する光散乱媒質層選択手順、
前記任意の層から放射される後方散乱光を受光する受光手順、
前記受光手段が受光した光の強度を取得する光強度取得手順、
前記光強度取得手段が取得した光強度に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出する光吸収係数算出手順、
前記光吸収係数算出手段が算出した光吸収係数に基づいて、前記任意の層における前記目的成分の濃度を算出する濃度算出手順、
を実行させることを特徴とするプログラム。
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