JP2012020447A - 洗浄装置、印刷機、印刷方法および有機層形成方法 - Google Patents

洗浄装置、印刷機、印刷方法および有機層形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】洗浄液を適切に洗浄布に供給する洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄液供給機構30は、洗浄液タンク32と、洗浄液タンク32から洗浄液31を取り出す洗浄液取出ライン33と、入口部34a、吐出側出口部34bおよびタンク側出口部34cを含む流路切換機構34と、洗浄液吐出ライン35と、洗浄液戻りライン36と、流路切換機構34を制御する流路制御部37と、を有している。流路制御部37は、洗浄時において、流路切換機構34の入口部34aが吐出側出口部34bに連結され、これによって洗浄液31が洗浄液吐出ライン35を通って吐出ヘッド16に供給されるよう、流路切換機構34を制御する。また流路制御部37は、洗浄休止時において、流路切換機構34の入口部が34aタンク側出口部34cに連結され、これによって洗浄液31が洗浄液戻りライン36を通って洗浄液タンク32に戻されるよう、流路切換機構34を制御する。
【選択図】図6

Description

本発明は、印刷用の胴の外周面に付着したインキを洗浄する洗浄装置に関する。また本発明は、当該洗浄装置を備えた印刷機に関する。また本発明は、当該洗浄装置を用いて転写用胴の外周面に付着した有機層用のインキを洗浄する工程を備えた印刷方法および有機層形成方法に関する。
印刷装置におけるブランケット胴、版胴または圧胴などの胴を洗浄するための洗浄装置として、帯状の洗浄布を胴の外周面に押し付けて胴の洗浄を行う洗浄装置が知られている。このような洗浄装置は、一般に、洗浄布を巻き出す巻出ロールと、巻出ロールからの洗浄布を巻き取る巻取ロールと、巻出ロールと巻取ロールとの間に設けられ、洗浄布を胴の外周面に押し付ける押圧部と、を備えている。この場合、洗浄布は、巻出ロールから巻取ロールに向かって送られながら、胴の外周面に対して押し付けられる。これによって、胴の外周面上に付着したインキなどが洗浄される。
洗浄装置においては、洗浄布による洗浄効果を高めるため、一般に、胴の外周面に押し付けられる前の洗浄布に対して洗浄液が供給される。例えば、洗浄装置には、洗浄布に対して洗浄液を吐出するノズルと、ノズルに対して洗浄液を送る洗浄液供給機構と、を有する洗浄液供給部が設けられている。例えば特許文献1において、洗浄液を貯留するタンクと、タンクの洗浄液をノズルに送る送液路と、を含む洗浄液供給機構を備えた洗浄液供給部が開示されている。このような洗浄液供給部によって洗浄液が洗浄布に供給され、このことにより、胴の外周面に付着したインキなどに対する洗浄効果が高められる。
特開2001−26097号公報
一般に洗浄装置においては、使用される洗浄布の量を少なくするため、洗浄されるべき胴が存在する場合にのみ、巻出ロールから巻取ロールに向かって洗浄布が送られる。同様に、使用される洗浄液の量を少なくするため、洗浄布が送られている場合にのみ、洗浄液供給部により、洗浄布に対して洗浄液が供給される。
一般に、巻出ロールから巻取ロールに向かっての洗浄布の送り出しが開始されてから、洗浄液供給機構のタンクからノズルに向かっての洗浄液の供給が開始される。この場合、洗浄布の送り出しが開始されてから所定の期間の間、タンクからの洗浄液がノズルに到達していないことが考えられる。このため、洗浄布の送り出しが開始してから所定の期間の間に胴の外周面に対して押し付けられる洗浄布には、洗浄液が塗布されていないことになる。従って、胴の外周面に付着したインキを十分に洗浄することができず、このことにより、洗浄開始直後に送り出された洗浄布が無駄になってしまうことが考えられる。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る洗浄装置、印刷機、印刷方法および有機層形成方法を提供することを目的とする。
本発明は、印刷用の胴の外周面に付着したインクを洗浄する洗浄装置において、胴の外周面を洗浄する帯状の洗浄布を巻き出す巻出ロールと、前記巻出ロールからの洗浄布を巻き取る巻取ロールと、前記巻出ロールと前記巻取ロールとの間に設けられ、前記洗浄布を前記胴の外周面に押し付ける押圧部と、前記洗浄布に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、を備え、前記洗浄液供給部は、前記巻出ロールと前記押圧部との間に設けられ、洗浄液を前記洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、を有し、前記洗浄液供給機構は、洗浄液を貯留する洗浄液タンクと、前記洗浄液タンクから洗浄液を取り出す洗浄液取出ラインと、前記洗浄液取出ラインに連結された入口部、吐出側出口部およびタンク側出口部を含む流路切換機構と、一端が前記吐出側出口部にされ、他端が前記吐出ヘッドに連結された洗浄液吐出ラインと、一端が前記タンク側出口部にされ、他端が前記洗浄液タンクに連結された洗浄液戻りラインと、流路切換機構を制御する流路制御部と、を有し、流路制御部は、洗浄時において、流路切換機構の入口部が吐出側出口部に連結され、これによって洗浄液が洗浄液吐出ラインを通って吐出ヘッドに供給され、また洗浄休止時において、流路切換機構の入口部がタンク側出口部に連結され、これによって洗浄液が洗浄液戻りラインを通って洗浄液タンクに戻されるよう、流路切換機構を制御することを特徴とする洗浄装置である。
本発明による洗浄装置において、前記洗浄液供給部は、前記巻出ロールと前記押圧部との間に設けられ、第1の洗浄液を前記洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む第1の吐出ヘッドと、前記第1の吐出ヘッドに第1の洗浄液を供給する第1の洗浄液供給機構と、を含む第1の洗浄液供給部と、前記巻出ロールと前記押圧部との間に設けられ、第2の洗浄液を前記洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む第2の吐出ヘッドと、前記第2の吐出ヘッドに第2の洗浄液を供給する第2の洗浄液供給機構と、を含む第2の洗浄液供給部と、からなっていてもよい。
本発明による洗浄装置において、前記洗浄液供給部は、前記巻出ロールと前記押圧部との間に設けられ、洗浄液を前記洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに第1の洗浄液を供給する第1の洗浄液供給機構と、前記吐出ヘッドに第2の洗浄液を供給する第2の洗浄液供給機構と、を有していてもよい。
本発明による洗浄装置において、前記洗浄液供給部は、第1の洗浄液供給機構および第2の洗浄液供給機構と前記吐出ヘッドとの間に設けられ、第1の洗浄液供給機構からの第1の洗浄液または第2の洗浄液供給機構からの第2の洗浄液のいずれかを選択的に吐出ヘッドに送る洗浄液切換機構をさらに含んでいてもよい。
本発明による洗浄装置において、好ましくは、前記第2の洗浄液の沸点は、前記第1の洗浄液の沸点よりも低くなっている。この場合、洗浄時、洗浄液供給部により、はじめに、第1の洗浄液が前記洗浄布に供給され、その後、第2の洗浄液が前記洗浄布に供給される。
本発明による洗浄装置において、前記胴の外周面に付着したインキが、有機EL装置の正孔輸送層または発光層を形成するためのインキからなり、前記第1の洗浄液または第2の洗浄液のいずれか一方が、芳香族溶媒を含む有機溶剤からなっていてもよい。
本発明による洗浄装置において、前記胴の外周面に付着したインキが、有機EL装置の正孔注入層を形成するためのインキからなり、前記第1の洗浄液または第2の洗浄液のいずれか一方が、水を含む溶剤、若しくはアセトンを含む有機溶剤からなっていてもよい。
本発明は、被印刷物上にインキを印刷する印刷機において、複数のセルが形成されたインキ版と、前記インキ版にインキを供給するインキ供給部と、前記インキ供給部から供給されたインキを前記インキ版のセル内に充填させるドクターシステムと、前記インキ版に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、被印刷物上にインキを転移させる転写用胴と、転写用胴の外周面に付着したインキを洗浄する洗浄装置であって、上記記載の洗浄装置と、を備えたことを特徴とする印刷機である。
本発明は、被印刷物上にインキを印刷する印刷機において、複数のセルが形成された円筒状のインキ版胴と、前記インキ版胴にインキを供給するインキ供給部と、前記インキ供給部から供給されたインキを前記インキ版胴のセル内に充填させるドクターシステムと、前記インキ版胴に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、被印刷物上にインキを転移させる転写用胴と、インキ版胴の外周面に付着したインキを洗浄する洗浄装置であって、上記記載の洗浄装置と、を備えたことを特徴とする印刷機である。
本発明は、被印刷物上にインキを印刷する印刷方法において、被印刷物を準備する工程と、複数のセルが形成されたインキ版にインキを供給する工程と、前記インキ版のセル内にインキを充填させる工程と、転写用胴を前記インキ版に当接させることにより、転写用胴がインキ版の各セルからインキを受ける工程と、前記転写用胴のインキを被印刷物上に転移させる工程と、上記記載の洗浄装置を用いて、前記転写用胴の外周面に付着したインキを洗浄する工程と、を備えたことを特徴とする印刷方法である。
被印刷物上にインキを印刷する印刷方法において、被印刷物を準備する工程と、複数のセルが形成された円筒状のインキ版胴にインキを供給する工程と、前記インキ版胴のセル内にインキを充填させる工程と、転写用胴を前記インキ版胴に当接させることにより、転写用胴がインキ版胴の各セルからインキを受ける工程と、前記転写用胴のインキを被印刷物上に転移させる工程と、上記記載の洗浄装置を用いて、前記インキ版胴の外周面に付着したインキを洗浄する工程と、を備えたことを特徴とする印刷方法である。
本発明は、有機EL装置の有機層を形成する有機層形成方法において、有機EL装置用の基板を準備する工程と、有機層用のインキを、複数のセルが形成されたインキ版に供給する工程と、前記インキ版のセル内にインキを充填させる工程と、転写用胴を前記インキ版に当接させることにより、転写用胴がインキ版の各セルからインキを受ける工程と、前記転写用胴のインキを有機EL装置用の基板上に転移させる工程と、上記記載の洗浄装置を用いて、前記転写用胴の外周面に付着した有機層用のインキを洗浄する工程と、を備えたことを特徴とする有機層形成方法である。
本発明は、有機EL装置の有機層を形成する有機層形成方法において、有機EL装置用の基板を準備する工程と、有機層用のインキを、複数のセルが形成された円筒状のインキ版胴に供給する工程と、前記インキ版胴のセル内にインキを充填させる工程と、転写用胴を前記インキ版胴に当接させることにより、転写用胴がインキ版胴の各セルからインキを受ける工程と、前記転写用胴のインキを有機EL装置用の基板上に転移させる工程と、上記記載の洗浄装置を用いて、前記インキ版胴の外周面に付着した有機層用のインキを洗浄する工程と、を備えたことを特徴とする有機層形成方法である。
本発明の洗浄装置によれば、洗浄布に洗浄液を供給する洗浄液供給部は、巻出ロールと押圧部との間に設けられ、洗浄液を洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む吐出ヘッドと、吐出ヘッドに洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、を有している。このうち洗浄液供給機構は、洗浄液を貯留する洗浄液タンクと、洗浄液タンクから洗浄液を取り出す洗浄液取出ラインと、洗浄液取出ラインに連結された入口部、吐出側出口部およびタンク側出口部を含む流路切換機構と、一端が吐出側出口部にされ、他端が吐出ヘッドに連結された洗浄液吐出ラインと、一端がタンク側出口部にされ、他端が洗浄液タンクに連結された洗浄液戻りラインと、流路切換機構を制御する流路制御部と、を有している。そして、流路制御部は、洗浄時において、流路切換機構の入口部が吐出側出口部に連結され、これによって洗浄液が洗浄液吐出ラインを通って吐出ヘッドに供給され、また洗浄休止時において、流路切換機構の入口部がタンク側出口部に連結され、これによって洗浄液が洗浄液戻りラインを通って洗浄液タンクに戻されるよう、流路切換機構を制御する。このように、洗浄休止時であっても、洗浄液供給機構において洗浄液が常に循環されている。このため、洗浄を再開する際、洗浄液供給機構が吐出ヘッドに対して即座に洗浄液を供給することができ、このことにより、洗浄の再開直後から吐出ヘッドが洗浄布に向かって洗浄液を吐出することができる。これによって、洗浄液が塗布されていない状態で胴の外周面に対して押し付けられる洗浄布の量を低減することができ、このことにより、無駄になる洗浄布の量を低減することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態における印刷機を示す図。 図2は、本発明の第1の実施の形態における洗浄装置を示す図。 図3は、図2の洗浄装置の洗浄液供給部を拡大して示す図。 図4は、図3に示す吐出口および吐出ヘッドの縦断面図。 図5は、図3に示す吐出口および吐出ヘッドのV−V線に沿った横断面図。 図6は、本発明の第1の実施の形態における洗浄液供給部の洗浄液供給機構を示す図。 図7は、図2に示す洗浄装置の洗浄布を矢印VI方向から見た場合を示す図。 図8は、図7に示す洗浄布のVII−VII線に沿った断面図。 図9は、図7に示す洗浄布を拡大して示す図。 図10は、本発明の第2の実施の形態における洗浄装置を示す図。 図11は、本発明の第2の実施の形態における洗浄液供給部の洗浄液供給機構を示す図。 図12は、本発明の第3の実施の形態における洗浄液供給部の洗浄液供給機構を示す図。 図13は、本発明の第3の実施の形態の変形例における洗浄液供給部の洗浄液供給機構を示す図。
第1の実施の形態
以下、図1乃至図9を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。はじめに図1を参照して、本発明による洗浄装置10を備えた印刷機1全体について説明する。
印刷機
図1に示すように、平台の枚葉印刷機1は、フレーム5と、フレーム5上に固定され、その上面に複数のセル3を有する平板状のグラビア版(インキ版)2と、フレーム5上に固定され、平板状の被印刷物9が載置される定盤6と、フレーム5上を矢印Pで示す印刷方向に沿って走行可能となるようフレーム5に設けられたブランケット胴(転写用胴)20と、を備えている。
また図1に示すように、グラビア版2上には、グラビア版2の上面にインキ4を供給するインキ供給部7と、インキ供給部7から供給されたインキ4をグラビア版2のセル3に充填させるドクターシステム8と、が設けられている。ドクターシステム8は、グラビア版2上のインキ4を図1における右方向に向かって掻く第1ドクター8aと、インキ4を図1における左方向に向かって掻く第2ドクター8bと、各ドクター8a,8bを上下方向に駆動可能なドクター駆動部8cと、を有している。
有機EL装置や有機薄膜トランジスタ(有機TFT)に用いられる有機層では膜の均一性が要求される。本実施の形態による平台の枚葉印刷機1は、そのような有機層を形成する際に用いることができる。例えば、被印刷物9は、有機ELに用いられる有機層を形成するための有機EL装置用の基板を含む。このような被印刷物9としては、例えば、何も載置されていないガラス基板や、有機ELや有機TFTに用いられる有機層の幾つかが既に形成されているガラス基板や、絶縁層および電極(ITOなど)が既に形成されているガラス基板や、何も形成されていないフィルム基板や、有機ELや有機TFTに用いられる有機層の幾つかが既に形成されているフィルム基板や、絶縁層および電極(ITOなど)が既に形成されているフィルム基板などを用いることができる。
図示はしないが、このようなこのようなガラス基板やフィルム基板などの被印刷物9に形成される有機層としては、例えば、発光層、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層などを挙げることができる。ここで、印刷により形成される各有機層の厚みは、例えば10〜1000nmの範囲内となっている。
インキ
次に、上述の有機層を印刷により形成するために用いられるインキ4について説明する。インキ4は、溶媒と、溶媒中に溶解された固形分からなっている。インキ4としては、例えば、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が1〜200cPの範囲内となっているインキ4が用いられる。このように、本実施の形態における印刷機1で用いられるインキ4は、一般的なインキよりも粘度が小さくなっている。尚、インキ4の粘度測定は、例えば、Physica社製の粘弾性測定装置MCR301型を用いて、測定温度23℃で定常流測定モードにより行うことができる。
また、印刷機1で用いられるインキ4において、使用している溶媒の表面張力が40dyne/cm以下、好ましくは20〜37dyne/cmの範囲内であり、かつ、沸点が150〜265℃、好ましくは170〜230℃の範囲内であることが好ましい。
なお、インキ4に使用している溶媒の表面張力が40dyne/cmを超えると、グラビア版2からブランケット胴20へのインキ4の受理性が低下することが考えられ、好ましくない。さらに、インキ4の溶媒の沸点が150℃未満であると、ブランケット胴20から被印刷物9に転移されたインキ4が直ちに乾燥し、これによって、インキ4により形成される有機層にスジが発生しやすくなることが考えられる。また、インキ4の溶媒の沸点が265℃を超えると、インキ4の乾燥が困難となり、乾燥ゾーンでの乾燥による被印刷物9等への影響が生じること、溶剤の残留を生じることなどが考えられ、好ましくない。尚、溶媒の表面張力の測定は、例えば、協和界面科学(株)製の表面張力計CBVP−Z型により、液温20℃で行うものとする。
(インキの固形分)
インキ4に用いる溶媒および固形分は、印刷機1によって被印刷物9上に形成する有機層に応じて適宜選択される。例えば、印刷機1によって有機発光デバイスの発光素子層の発光層を形成する場合、発光層用のインキ4の固形分として、下記のような色素系、金属錯体系、高分子系のものを挙げることができる。
(1)色素系発光材料
シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等が挙げられる。
(2)金属錯体系発光材料
アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等、または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体が挙げられる。
(3)高分子系発光材料
ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。
発光層用のインキ4における上述の固形分の含有量は、好ましくは、1.5〜4.0重量%の範囲で設定される。
また、印刷機1によって有機発光デバイスの発光素子層の正孔輸送層を形成する場合、正孔輸送層用のインキ4の固形分として、例えば、オキサジアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、チアゾール系、トリフェニルメタン系、スチリル系、ピラゾリン系、ヒドラゾン系、芳香族アミン系、カルバゾール系、ポリビニルカルバゾール系、スチルベン系、エナミン系、アジン系、トリフェニルアミン系、ブタジエン系、多環芳香族化合物系、スチルベン二量体等の材料が挙げられる。
また、印刷機1によって有機発光デバイスの発光素子層の正孔注入層を形成する場合、正孔注入層用のインキ4の固形分として、例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー等の誘電性高分子オリゴマー等、を挙げることができる。
(インキの溶媒)
また、印刷機1によって有機発光デバイスの発光素子層の発光層を形成する場合、インキ4の溶媒として、表面張力が上記の範囲(40dyne/cm以下)を満足し、かつ、沸点が上記の範囲(150〜265℃)を満足するもの、例えば、クメン、アニソール、n−プロピルベンゼン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、リモネン、p−シメン、o−ジクロロベンゼン、ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、安息香酸メチル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、アミルベンゼン、テトラリン、安息香酸エチル、フェニルヘキサン、シクロヘキシルベンゼン、安息香酸ブチル等を単独で使用することができる。また、混合溶媒を使用する場合には、混合比に応じた割合で計算した表面張力と沸点が上記の範囲を満足するものを使用する。例えば、表面張力がAdyne/cm、沸点がB℃の溶媒1と、表面張力がCdyne/cm、沸点がD℃の溶媒2とを3:7の重量比で混合した混合溶媒の場合、混合比に応じた割合で計算した表面張力[(A×3/10)+(C×7/10)]が上記の範囲(40dyne/cm以下)を満足し、かつ、混合比に応じた割合で計算した沸点[(B×3/10)+(D×7/10)]が上記の範囲(150〜265℃)を満足することが必要となる。したがって、混合溶媒を構成する個々の溶媒は、表面張力と沸点が上記の範囲から外れるものであってもよい。
このようなインキ4を用いて印刷機1により被印刷物9上に有機層を形成する場合、はじめに、インキ4がインキ供給部7からグラビア版2の上面に供給される。次に、ドクターシステム8の第1ドクター8aにより、インキ4がグラビア版2のセル3に充填される。その後、ブランケット版胴20がグラビア版2上を走行し、これによって、ブランケット版胴20の外周面20aによりグラビア版2のセル3内のインキ4が受理される。
次に、ブランケット胴20が被印刷物9上を走行する。これによって、ブランケット版胴20の外周面20a上のインキ4が被印刷物9上に転移される。その後、転移されたインキ4を適宜乾燥させることにより、被印刷物9上に有機層が形成される。
ここで、インキ4を被印刷物9上に転移させた後のブランケット版胴20の外周面20aには、通常、所定量のインキ4が残存している。このような残存インキ4を除去するため、印刷機1には、図1に示すように、ブランケット版胴20の外周面20aに付着したインキ4を洗浄するための洗浄装置10が設けられている。以下、本実施の形態による洗浄装置10について詳細に説明する。
洗浄装置
図2は、図1の印刷機1の洗浄装置10を拡大して示す図である。図2に示すように、洗浄装置10は、ブランケット版胴20の外周面20aを洗浄する帯状の洗浄布25を巻き出す巻出ロール11と、巻出ロール11からの洗浄布25を巻き取る巻取ロール12と、巻出ロール11と巻取ロール12との間に設けられ、洗浄布25をブランケット版胴20の外周面20aに押し付ける押圧部13と、洗浄布25に洗浄液31(図4参照)を供給する洗浄液供給部14と、を備えている。
図2に示すように、巻出ロール11からの洗浄布25は、ガイドロール21、洗浄液供給部14、および押圧部13を介して巻取ロール12へ送られる。ここで押圧部13は、図2に示すように、洗浄布25をブランケット版胴20の外周面20aに押し付ける押圧ヘッド13aと、押圧ヘッド13aにその一端が固定されたエアシリンダ13bと、エアシリンダ13bの他端に接続されるとともにエアシリンダ13bを伸縮させる駆動部13cと、を有している。また図2に示すように、洗浄布25の両面のうち、洗浄時にブランケット胴20に接する面が表面25aとなっており、表面25aの反対側の面が裏面25bとなっている。
洗浄液供給部
図3は、図2の洗浄装置10の洗浄液供給部14を拡大して示す図である。図2および図3に示すように、洗浄液供給部14は、洗浄液31を貯留する吐出ヘッド16と、巻出ロール11と押圧部13との間に設けられ、吐出ヘッド16に貯留された洗浄液31を洗浄布25に向かって吐出する吐出口15と、吐出ヘッド16に洗浄液31を供給する洗浄液吐出ライン35を含む洗浄液供給機構(後述)と、を有している。このうち吐出口15は、図3に示すように、洗浄布25に当接した状態で洗浄布25に対して洗浄液31を吐出するよう構成されている。例えば、吐出口15は、巻出ロール11から巻取ロール12に向かって送られる洗浄布25に常に当接するよう配置されている。
後述するように、洗浄液供給機構の洗浄液タンクからの洗浄液が、洗浄液吐出ライン35を介して吐出ヘッド16に供給される。この洗浄液吐出ライン35には、図3に示すように、洗浄液吐出ライン35から吐出ヘッド16への洗浄液31の流れを遮蔽することができる遮蔽弁39が設けられている。このため、巻出ロール11から巻取ロール12への洗浄布25の送りが休止されている時、すなわち洗浄装置10による洗浄が休止されている時、洗浄液タンク内の洗浄液31が吐出ヘッド16に供給されるのを停止することができる。このことにより、洗浄液供給部14の吐出口15から洗浄布25に対して洗浄液31が無駄に吐出されるのを防ぐことができる。
(吐出ヘッドおよび吐出口)
次に、図4および図5を参照して、洗浄液供給部14の吐出ヘッド16および吐出口15についてより詳細に説明する。図4は、図3に示す洗浄液供給部14の吐出ヘッド16および吐出口15を示す縦断面図であり、図5は、図3に示す洗浄液供給部14の吐出ヘッド16および吐出口15のV−V線に沿った横断面図である。
図4および図5に示すように、吐出ヘッド16の側面には開口部16aが形成されており、この開口部16aに吐出口15が接続されている。また吐出ヘッド16内には、少なくともその一部分が吐出口15と同一水平面上に位置する制限部材16bが挿入されている。
このように吐出ヘッド16内に制限部材16bを挿入することにより、吐出ヘッド16の体積および表面積を十分に大きくするとともに、吐出ヘッド16に貯留される洗浄液31の体積をより小さくすることが可能となる。
この場合、吐出ヘッド16の体積および表面積を十分に大きくすることにより、吐出ヘッド16に接続される吐出口15または洗浄液吐出ライン35として、より大きな吐出口15または洗浄液吐出ライン35を選択することが可能となる。また、吐出ヘッド16の外側表面上の様々な場所に吐出口15または洗浄液吐出ライン35を接続することが可能となる。すなわち、吐出ヘッド16の体積および表面積を十分に大きくすることにより、吐出ヘッド16に洗浄液供給部14の様々な構成要素を接続する際の自由度を高くすることができる。
一方、吐出ヘッド16に貯留される洗浄液31の体積を小さくすることにより、吐出口16からの意図しない洗浄液31の漏れを抑制することができる。例えば、洗浄装置10による洗浄が休止されている場合に、何らかの原因により吐出ヘッド16が振動すると、吐出ヘッド16内に貯留されている洗浄液31の液面が振動し、これによって洗浄液31が吐出口15から漏れることが考えられる。ここで本実施の形態によれば、吐出ヘッド16に貯留される洗浄液31の体積が制限部材16bにより制限されており、このため、制限部材16bが挿入されていない場合に比べて、吐出口15から漏れる洗浄液31の量を低減させることができる。この効果は、制限部材16bを、少なくともその一部分が吐出口15と同一水平面上に位置するよう配置することにより、より顕著になると考えられる。吐出口15と同一の水平面上における吐出ヘッド16の断面積(洗浄液31を貯留可能な部分の面積)をより小さくすることにより、吐出ヘッド16の振動時に吐出口15よりも高い位置まで移動する洗浄液31の量をより少なくすることができると考えられるからである。
なお、制限部材16bは、好ましくは、より吐出口15側に偏らせて配置される。具体的には、制限部材16bと開口部16aとの間の間隔dが、制限部材16bと吐出ヘッド16の内側表面との間の間隔dよりも小さくなるよう、制限部材16bが配置される。これによって、吐出ヘッド16の振動時に吐出口15から漏れる洗浄液31の量をより低減させることができる。
なお、洗浄が休止されている場合に制限部材16bにより洗浄液31の漏れが低減される効果について説明したが、これに限られることはない。例えば洗浄時であっても、制限部材16bを設けることにより、吐出ヘッド16が振動した場合に、意図されている量よりも多い量の洗浄液31が吐出口15から洗浄布25に対して吐出されるのを防ぐことができる。
制限部材16bを構成する材料が特に限られることはなく、用いられる洗浄液31の特性などに応じて適宜材料が選択される。例えば制限部材16bの材料としてステンレス鋼が用いられる。また制限部材16bの形状が特に限られることはなく、吐出ヘッド16の形状や、求められる体積などに応じて、適宜形状が設計される。例えば、板状、棒状などの制限部材16bが用いられる。
洗浄液供給機構
次に図6を参照して、吐出ヘッド16に洗浄液31を供給する洗浄液供給機構30について詳細に説明する。
図6に示すように、洗浄液供給機構30は、洗浄液31を貯留する洗浄液タンク32と、洗浄液タンク32から洗浄液31を取り出す洗浄液取出ライン33と、洗浄液取出ライン33に連結された入口部34a、吐出側出口部34bおよびタンク側出口部34cを含む流路切換機構34と、一端35aが吐出側出口部34bにされ、他端35bが吐出ヘッド16に連結された洗浄液吐出ライン35と、一端36aがタンク側出口部34cにされ、他端36bが洗浄液タンク31に連結された洗浄液戻りライン36と、流路切換機構34を制御する流路制御部37と、を有している。また図6に示すように、洗浄液吐出ライン35には、洗浄液吐出ライン35を通る洗浄液31の流量を計測する流量計38が取り付けられている。なお図示はしないが、洗浄液吐出ライン35および洗浄液戻りライン36には、各ライン35,36を通る洗浄液31の流量を調整する調整弁が設けられていてもよい。
また図6に示すように、洗浄液取出ライン33にはポンプ33aが設けられており、このポンプ33aによって、洗浄液タンク32から洗浄液31が取り出される。また、ポンプ33aと流路切換機構34との間にはフィルター33bが介挿されており、このフィルター33bによって、洗浄液31に含まれるゴミなどの不純物が取り除かれる。
流路切換機構34は、洗浄液タンク32から取り出された洗浄液31を、吐出ヘッド16に向けて送るか、または洗浄液タンク32に戻すかを自在に切り換えるためのものである。上述のように、流路切換機構34は、洗浄液タンク32からの洗浄液31が入力される入口部34aと、吐出ヘッド16に向けて洗浄液31を送り出す吐出側出口部34bと、洗浄液タンク32に向けて洗浄液31を送り出すタンク側出口部34cと、を含んでいる。この流路切換機構34には、上述のように、流路切換機構34における洗浄液31の流路の切換を制御する流路制御部37が設けられている。この流路制御部37は、洗浄装置10における洗浄の実施または休止を制御する洗浄制御部50からの信号に基づいて、洗浄液31が吐出側出口部34bまたはタンク側出口部34cのいずれか一方から送り出されるよう、流路切換機構34を制御する。
このような流路切換機構34の具体的な構成が特に限られることはなく、流路を切り換えるための様々な手段が用いられる。例えば図6に示すように、流路切換機構34が、常時閉電磁弁34dと常時開電磁弁35eとから構成されていてもよい。ここで常時閉電磁弁34dとは、例えば、流路制御部37から常時閉電磁弁34dに送られる電気信号がlowレベルの場合に常時閉電磁弁34dの入口ポートと出口ポートとの間を遮断し、当該電気信号がhighレベルの場合に常時閉電磁弁34dの入口ポートと出口ポートとの間を連通させるものである。一方、常時開電磁弁34eとは、例えば、流路制御部37から常時開電磁弁34eに送られる電気信号がlowレベルの場合に常時開電磁弁34eの入口ポートと出口ポートとの間を連通させ、当該電気信号がhighレベルの場合に常時開電磁弁34eの入口ポートと出口ポートとの間を遮断するものである。
図6に示すように、常時閉電磁弁34dおよび常時開電磁弁35eの入口ポートが各々、流路切換機構34の入口部34aを構成している。また、常時閉電磁弁34dの出口ポートが、流路切換機構34の吐出側出口部34bを構成し、常時開電磁弁34eの出口ポートが、流路切換機構34のタンク側出口部34cを構成している。
この場合、流路制御部37は、洗浄装置10による洗浄が実施される時、highレベルの電気信号を流路切換機構34に送る。これによって、常時閉電磁弁34dの入口ポートと出口ポートとの間が連通される。すなわち、流路切換機構34の入口部34aが吐出側出口部34bに連結され、このことにより、洗浄液31が洗浄液吐出ライン35を通って吐出ヘッド16に供給される。
一方、流路制御部37は、洗浄装置10による洗浄が休止される時、lowレベルの電気信号を流路切換機構34に送る。これによって、常時開電磁弁34eの入口ポートと出口ポートとの間が連通される。すなわち、流路切換機構34の入口部34aがタンク側出口部34cに連結され、このことにより、洗浄液31が洗浄液戻りライン36を通って洗浄液タンク32に戻される。
本実施の形態において、上述の流路切換機構34は、可能な限り吐出ヘッド16の近傍に設けられている。これによって、後述するように、洗浄装置10による洗浄が再開される際、洗浄液供給機構30が吐出ヘッド16に対して即座に洗浄液31を供給することが可能となる。
洗浄液
本実施の形態による洗浄装置10において用いられる洗浄液31は、ブランケット胴20の外周面20aに付着するインキ4の特性に応じて適宜選択される。例えば、有機EL装置の正孔輸送層または発光層を形成するためのインキが用いられる場合、洗浄液31として、トルエンなどの芳香族溶媒を含む有機溶剤が用いられる。また、有機EL装置の正孔注入層を形成するためのインキが用いられる場合、洗浄液として、水を含む溶剤、若しくはアセトンを含む有機溶剤が用いられる。
なおトルエンなどの芳香族溶媒は、常温で高い揮発性を有するとともに、その引火点が低い液体である。このため、トルエンなどの芳香族溶媒を含む洗浄液31を噴射により、とりわけ圧縮噴射により洗浄布25に対して供給することは大きな危険を伴う。
ここで本実施の形態によれば、上述のように、洗浄液供給部14の吐出口15は、洗浄布25に当接した状態で洗浄液31を吐出するよう構成されている。このため、トルエンなどの芳香族溶媒を含む洗浄液31を洗浄布25に供給する際、トルエンなどの芳香族溶媒を含む洗浄液31が引火することはない。このように本実施の形態によれば、吐出口15を洗浄布25に当接させて洗浄液31を洗浄布25に供給することにより、様々な種類の洗浄液31を利用することを可能としている。
洗浄布
次に図7乃至図9を参照して、本実施の形態による洗浄装置10において用いられる洗浄布25についてより詳細に説明する。図7は、図2に示す洗浄装置10の洗浄布25を矢印VI方向から見た場合を示す図であり、図8は、図7に示す洗浄布25のVII−VII線に沿った断面図であり、図9は、図7に示す洗浄布25を拡大して示す図である。
図7に示すように、洗浄布25は、多数の繊維26を規則的に3次元交絡させることにより構成されている。図8に示すように、洗浄布25を構成する各繊維26の繊維径はtとなっており、洗浄布25を構成する各繊維26の3次元交絡の交絡長さはtとなっている。ここで「繊維径t」とは、洗浄布25の法線方向Dにおける各繊維26の厚みのことである。また「3次元交絡の交絡長さt」とは、3次元交絡している繊維26が洗浄布25の表面25aまたは裏面25bのどちらか一方に露出する際の露出部分の長さのことである。
好ましくは、繊維径tの平均値は100〜300μmの範囲内となっている。なお繊維径tの平均値は、例えば、任意の10箇所において測定された繊維径tを平均することにより算出される。
また好ましくは、3次元交絡の交絡長さtは100〜300μmの範囲内となっている。なお図7および図8においては、多数の繊維26が規則的に3次元交絡されている例を示したが、これに限られることはなく、図示はしないが、多数の繊維26が不規則に3次元交絡されていてもよい。この場合、好ましくは、3次元交絡の交絡長さtの平均値が100〜300μmの範囲内となっている。3次元交絡の交絡長さtの平均値は、例えば、任意の10箇所において、繊維26が洗浄布25の表面25aまたは裏面25bのどちらか一方に露出する際の露出部分の長さを測定し、これらの測定値を平均することにより算出される。
次に、洗浄布25を構成する各繊維26の好ましい形態について説明する。図9に示すように、洗浄布25を構成する各繊維26は、多数の単位繊維26aを束ねることにより形成されている。このように多数の単位繊維26aから繊維26が構成される場合、洗浄布25の端部において、いくつかの単位繊維26aがほぐれて洗浄布25から外側に突出することが考えられる。このような状態の洗浄布25を用いてブランケット胴20の洗浄を行うと、突出した単位繊維26aが洗浄布25から分離されてブランケット胴20の外周面20aに付着することがある。その後、外周面20aに単位繊維26aが付着した状態のブランケット胴20を用いて有機EL装置の発光層などを形成すると、形成された発光層などに単位繊維26aが混入し、これによって発光不良などの不具合が生じることがある。
単位繊維26aの混入による上述のような不具合を防ぐため、好ましくは、突出する単位繊維26aの太さは5μmよりも小さくなっており、また、突出する単位繊維26aの突出長さは100μmよりも短くなっている。これによって、単位繊維26aの混入に起因する発光不良などの不具合が生じるのを防ぐことができる。
洗浄布25を構成する繊維26の材料は、洗浄液の特性、ブランケット胴20の材質などに応じて適宜選択される。例えば、洗浄布25を構成する繊維26として、ポリエステル系繊維が100%用いられてもよく、若しくは、ポリエステル系繊維とポリアミド系繊維との組合せが用いられてもよい。ポリアミド系繊維としては、例えばナイロンが用いられる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、はじめに、印刷機1により被印刷物9上にインキ4を印刷し、これによって被印刷物9上に有機層を形成する方法について説明する。次に、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4を洗浄装置10により洗浄する方法について説明する。
印刷方法
はじめに、有機EL装置用の基板などの被印刷物9を定盤6上に載置し、次に、インキ供給部7により、インキ4をグラビア版2の上面に供給する。その後、ドクターシステム8の第1ドクター8aにより、インキ4をグラビア版2のセル3内に充填させる。次に、グラビア版2上においてブランケット版胴20を走行させる。これによって、ブランケット版胴20の外周面20a上にグラビア版2のセル3内のインキ4が受理される。
次に、被印刷物9上においてブランケット胴20を走行させる。これによって、ブランケット版胴20の外周面20a上のインキ4が被印刷物9上に転移される。その後、転移されたインキ4を適宜乾燥させることにより、被印刷物9上に有機層が形成される。
上述のようにブランケット胴20が印刷のために用いられる間、洗浄装置10による洗浄は休止されている。すなわち、巻出ロール11から巻取ロール12に向かっての洗浄布25の送り出しは休止されており、また、洗浄液供給部14から洗浄布25への洗浄液31の供給も休止されている。このように洗浄装置10による洗浄が休止されている間であっても、洗浄液供給機構30においては、その内部で洗浄液31が循環されている。具体的には、流路制御部37により、lowレベルの電気信号が流路切換機構34に送られており、これによって、常時開電磁弁34eの入口ポートと出口ポートとの間が連通されている。このため、流路切換機構34の入口部34aがタンク側出口部34cに連結されており、このことにより、洗浄液31が洗浄液戻りライン36を通って洗浄液タンク32に戻されている。すなわち、洗浄液供給機構30において洗浄液31が循環されている。
胴の洗浄方法
次に、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4を洗浄装置10により洗浄する方法について説明する。まず図1に示すように、外周面20aにインキ4が付着したブランケット胴20を、洗浄装置10の下方まで移動させる。次に、洗浄装置10を下方に移動させる。その後、巻出ロール11から巻取ロール12へ向けて帯状の洗浄布25を送り出す。同時に、洗浄液供給部14から洗浄布25への洗浄液31の供給を開始する。
具体的には、はじめに洗浄制御部50により、洗浄装置10による洗浄動作が再開されるという情報に関する信号が、洗浄液供給機構30の流路制御部37に送られる。その後、流路制御部37により、highレベルの電気信号が流路切換機構34に送られる。これによって、常時開電磁弁34eの入口ポートと出口ポートとの間が遮断され、同時に常時閉電磁弁34dの入口ポートと出口ポートとの間が連通される。このため、流路切換機構34の入口部34aが吐出側出口部34bに連結される。
さらに、洗浄液吐出ライン35に設けられた遮蔽弁39を開放する。これによって、洗浄液31が洗浄液吐出ライン35を通って吐出ヘッド16に供給される。
洗浄液供給機構30から供給される洗浄液31により、吐出ヘッド16内に貯留される洗浄液31の液面が上昇する。洗浄液31の液面が吐出口15と同一の水平面上に到達すると、洗浄液31が吐出口15から吐出される。
ここで本実施の形態によれば、上述のように、吐出口15は、洗浄布25に当接するよう配置されている。このため、吐出口15から吐出される洗浄液31は全て洗浄布25に供給される。このように本実施の形態によれば、洗浄液供給機構30から吐出ヘッド16に供給される洗浄液31を確実に洗浄布25に対して供給することができる。このため、洗浄液供給機構30から吐出ヘッド16に供給される、単位時間あたりの洗浄液の量を、洗浄において必要とされる、単位時間あたりの洗浄液の量にほぼ等しく設定することができる。このことにより、噴射により洗浄液31を洗浄布25に対して供給する場合に比べて、無駄になる洗浄液31の量を低減させることができ、このことにより、洗浄に要するコストを下げることができる。
洗浄液供給部14からの洗浄液31を受理した洗浄布25は、その後、図2に示すように押圧部13に送られる。押圧部13においては、駆動部13cによりエアシリンダ13bを駆動することにより、洗浄液31が滲みこんだ洗浄布25がブランケット胴20の外周面20aに押し付けられる。これによって、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4が洗浄される。
ブランケット胴20の外周面20aに押し付けられた後の洗浄布25は、図2に示すように、巻取ロール12により巻き取られる。一方、洗浄液31が滲みこんだ洗浄布25により洗浄されたブランケット胴20の外周面20aは、エアブロワー22からの風により乾燥される。ここで本実施の形態によれば、上述のように、洗浄において必要とされる量の洗浄液31のみが洗浄布25に供給されている。すなわち、ブランケット胴20の外周面20aに塗布される洗浄液31の量が最適化されている。このため、エアブロワー22における乾燥の際、ブランケット胴20の外周面20a上に多量の洗浄液31が付着していることはなく、このことにより、エアブロワー22により、外周面20a上の洗浄液31を確実に乾燥させることができる。従って、その後の印刷において、被印刷物9上にインキ4を均一な厚さで印刷することができる。
このように本実施の形態によれば、上述のように、洗浄装置10による洗浄が休止されている間であっても、洗浄液供給機構30の内部において洗浄液31が常に循環されている。このため、洗浄装置10による洗浄を再開する際、洗浄液供給機構30が吐出ヘッド16に対して即座に洗浄液31を供給することができ、このことにより、洗浄の再開直後から吐出ヘッド16の吐出口15が洗浄布25に向かって洗浄液31を吐出することができる。これによって、洗浄液31が塗布されていない状態でブランケット胴20の外周面20aに対して押し付けられる洗浄布25の量を低減することができ、このことにより、無駄になる洗浄布25の量を低減することができる。このように無駄になる洗浄布25の量を低減することにより、ブランケット胴20の洗浄に要するコストを下げることができる。
また本実施の形態によれば、洗浄装置10の洗浄液供給部14は、巻出ロール11と押圧部13との間に設けられ、洗浄液31を洗浄布25に向かって吐出する吐出口15を有している。この吐出口15は、洗浄布25に当接した状態で洗浄液31を吐出するよう構成されている。このため、洗浄液31を必要な量だけ精度良く洗浄布25に供給することができ、このことにより、無駄になる洗浄液31の量を削減することができる。さらに、ブランケット胴20の外周面20aに残留する洗浄液31の量を低減させる、または残留量をほぼゼロにすることができ、このことにより、その後に当該ブランケット胴20により転写されるインキ4の厚みにムラが生じるのを防ぐことができる。
また本実施の形態によれば、洗浄液供給部14の吐出口15は、吐出ヘッド16の側面に形成された開口部16aに接続されており、また吐出ヘッド16内には、吐出口15と同一水平面上に位置する制限部材16bが挿入されている。このため、吐出ヘッド16の体積および表面積を十分に大きくするとともに、吐出ヘッド16に貯留される洗浄液31の体積を小さくすることができる。このことにより、吐出ヘッド16に洗浄液供給部14の様々な構成要素を接続する際の自由度を高くすることができ、また、吐出ヘッド16が振動した際などに吐出口15から漏れる洗浄液31の量を低減することができる。
第1の比較の形態
次に、本実施の形態の効果を比較の形態と比較して説明する。はじめに、第1の比較の形態として、洗浄装置による洗浄が休止されている間、洗浄液供給機構の内部において洗浄液31が循環されない形態を考える。このような形態においては、洗浄装置による洗浄が休止されている間、洗浄液供給機構のポンプ33aが停止されている。そして、洗浄装置による洗浄が再開されてはじめて、洗浄液供給機構のポンプ33aが駆動される。
一般に、流体を吸い上げるためのポンプを一旦停止させ、その後に駆動を再開させた場合、ポンプにより吸い上げられる流体の流量が所望の流量になるまでに所定の時間を要する。このため、第1の比較の形態においては、洗浄装置による洗浄が再開されてから、洗浄液供給機構により洗浄液31が吐出ヘッド16に供給されるまで、所定の時間を要することになる。これによって、洗浄液31が塗布されていない状態でブランケット胴20の外周面20aに対して押し付けられる洗浄布25が大量に発生し、従って、大量の洗浄布25が無駄になってしまうことが考えられる。
これに対して、本実施の形態によれば、洗浄装置10による洗浄が休止されている間であっても、洗浄液供給機構30の内部において洗浄液31が常に循環されている。すなわち、洗浄液供給機構30のポンプ33aが常に駆動されている。このため、洗浄装置10による洗浄を再開する際、洗浄液供給機構30が吐出ヘッド16に対して即座に洗浄液31を供給することができ、このことにより、洗浄の再開直後から吐出ヘッド16の吐出口15が洗浄布25に向かって洗浄液31を吐出することができる。これによって、洗浄液31が塗布されていない状態でブランケット胴20の外周面20aに対して押し付けられる洗浄布25の量を低減することができ、このことにより、無駄になる洗浄布25の量を低減することができる。
第2の比較の形態
次に、第2の比較の形態として、巻出ロール11から巻取ロール12に向かって洗浄布25が送られている間だけでなく、洗浄布25が停止されている間も、洗浄液供給機構により洗浄液31が吐出ヘッド16に供給される形態を考える。このような形態においては、洗浄布25が停止されている間、所要量を超える洗浄液31が洗浄布25に対して塗布されることになる。このように洗浄液31が過剰に塗布された洗浄布25によりブランケット胴20が洗浄されると、ブランケット胴20の外周面20aに多量の洗浄液31が付着し、このため、ブランケット胴20の外周面20aに付着した洗浄液31が完全に乾かないことが考えられる。この場合、ブランケット胴20の外周面20aに残留している洗浄液31に起因して、当該ブランケット胴20を用いてその後に被印刷物9に転写されるインキ4の厚みにムラが生じることが考えられる。
これに対して、本実施の形態によれば、巻出ロール11から巻取ロール12に向かっての洗浄布25の送り出しが再開されてはじめて、洗浄液供給機構30による洗浄液31の吐出ヘッド16への供給が再開される。このため、洗浄液31を必要な量だけ精度良く洗浄布25に供給することができ、このことにより、無駄になる洗浄液31の量を削減することができる。さらに、ブランケット胴20の外周面20aに残留する洗浄液31の量を低減させる、または残留量をほぼゼロにすることができ、このことにより、その後に当該ブランケット胴20により被印刷物9に転写されるインキ4の厚みにムラが生じるのを防ぐことができる。
第2の実施の形態
次に図10および図11を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図10は、本発明の第2の実施の形態における洗浄装置を示す図であり、図11は、本発明の第2の実施の形態における洗浄液供給部の洗浄液供給機構を示す図である。
図10および図11に示す第2の実施の形態は、洗浄装置10が、第2洗浄液を洗浄布に供給する第2洗浄液供給部をさらに備えた点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。図10および図11に示す第2の実施の形態において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
洗浄装置
図10に示すように、洗浄装置10は、洗浄布25に第1洗浄液(第1の洗浄液)31aを供給する第1洗浄液供給部(第1の洗浄液供給部)14と、洗浄布25に第2洗浄液(第2の洗浄液)31bを供給する第2洗浄液供給部(第2の洗浄液供給部)17と、を有している。このうち第1洗浄液供給部14は、巻出ロール11と押圧部13との間に設けられ、第1洗浄液31aを洗浄布25に向かって吐出する吐出口15を含む第1吐出ヘッド(第1の吐出ヘッド)16と、第1吐出ヘッド16に第1洗浄液31aを供給する第1洗浄液供給機構(第1の洗浄液供給機構)30Aと、を有している。また第2洗浄液供給部17は、巻出ロール11と押圧部13との間に設けられ、第2洗浄液31bを洗浄布25に向かって吐出する吐出口18を含む第2吐出ヘッド(第2の吐出ヘッド)19と、第2吐出ヘッド19に第2洗浄液31bを供給する第2洗浄液供給機構(第2の洗浄液供給機構)30Bと、を有している。
本実施の形態による洗浄装置10においては、第1洗浄液31a、第2洗浄液31bという2種類の洗浄液を用いることにより、洗浄効果がより高められている。例えば、第1洗浄液31aとして、一般的な洗浄用の溶剤が用いられ、第2洗浄液31bとして、第1洗浄液31aよりも沸点が低い溶剤が用いられる。このように沸点の異なる2種類の洗浄液31a,31bにより洗浄が実施される場合、はじめに、洗浄布25に第1洗浄液31aが供給され、これによって、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4の大半が取り除かれる。その後、第2洗浄液31bが洗浄布25に供給される。ここで、上述のように、第2洗浄液31bの沸点は第1洗浄液31aの沸点よりも低くなっている。このため、洗浄布25を介してブランケット胴20の外周面20aに付着した第2洗浄液31bが蒸発して消散するのに要する時間は、第1洗浄液31aが蒸発して消散するのに要する時間よりも短くなっている。従って、後述するように、ブランケット胴20の外周面20aを洗浄布25により乾拭きするのに要する時間を短くすることができる。これによって、ブランケット胴20を洗浄および乾拭きするために使用される洗浄布25の量を低減させることができ、このことにより、洗浄に要するコストを下げることができる。
洗浄液供給機構
次に図11を参照して、第1吐出ヘッド16に第1洗浄液31aを供給する第1洗浄液供給機構30A、および、第2吐出ヘッド19に第2洗浄液31bを供給する第2洗浄液供給機構30Bについて説明する。
図11に示すように、本実施の形態における第1洗浄液供給機構30Aおよび第2洗浄液供給機構30Bにおいては、洗浄液として第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bが用いられる。また図11に示すように、第1洗浄液供給機構30Aの洗浄液吐出ライン35の他端35bは第1吐出ヘッド16に連結され、第2洗浄液供給機構30Bの洗浄液吐出ライン35の他端35bは第2吐出ヘッド19に連結されている。本実施の形態における第1洗浄液供給機構30Aおよび第2洗浄液供給機構30Bにおいて、他の構成は、図1乃至図9に示す第1の実施の形態における洗浄液供給機構30と略同一となっている。本実施の形態における第1洗浄液供給機構30Aおよび第2洗浄液供給機構30Bに関して、図1乃至図9に示す第1の実施の形態における洗浄液供給機構30と同一部分には同一符号が付され、詳細な説明は省略される。
洗浄液
次に、第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bについて説明する。本実施の形態においては、後述するように、洗浄時、はじめに、第1洗浄液供給部14により第1洗浄液31aが洗浄布25に供給される。第1洗浄液31aを用いた洗浄によりブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4の大部分が除去されると、洗浄布25への第1洗浄液31aが停止され、その後、第2洗浄液供給部17により第2洗浄液31bが洗浄布25に供給される。そして、第2洗浄液31bを用いた洗浄により、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4が完全に除去される。その後、ブランケット胴20の外周面20aに残っている第2洗浄液31bが、風の吹き付けや洗浄布25による乾拭きなどによって取り除かれる。
第2洗浄液31bとしては、第1洗浄液31aよりもその沸点が低い洗浄液が用いられる。このように、洗浄の後半に用いる洗浄液として、沸点の低い第2洗浄液31bを採用することにより、ブランケット胴20の外周面20aに残っている洗浄液の除去が容易となる。
第1洗浄液31aに用いられる洗浄液としては、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4に対する洗浄力の強い洗浄液が選択される。一方、第2洗浄液31bに用いられる洗浄液としては、第1洗浄液31aと同系統の洗浄液であって、かつ、第1洗浄液31aよりも沸点の低い洗浄液が選択される。
第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bの組合せは、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4の種類に応じて適宜設定される。
例えば、正孔輸送層または発光層を形成するためのインキ4が用いられる場合、第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bとして以下の組み合わせの芳香族溶媒を含む有機溶媒が用いられる。
第1洗浄液31a:トルエン(沸点110.6°)
第2洗浄液31b:テトラヒドロフラン(沸点66°)
また、正孔注入層を形成するためのインキ4が用いられる場合、第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bとして以下のような組み合わせの溶媒が用いられる。
第1洗浄液31a:水(沸点100°)
第2洗浄液31b:アセトン(沸点56°)
または、
第1洗浄液31a:水(沸点100°)
第2洗浄液31b:イソプロピルアルコール(沸点82°)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4を洗浄装置10により洗浄する方法について説明する。なお図1乃至図9に示す第1の実施の形態の場合と同様に、洗浄装置10による洗浄が休止されている場合であっても、第1洗浄液供給機構30Aおよび第2洗浄液供給機構30Bの内部において、第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bが各々循環されている。
胴の洗浄方法
まず、外周面20aにインキ4が付着したブランケット胴20を、洗浄装置10の下方まで移動させる。次に、洗浄装置10を下方に移動させる。その後、巻出ロール11から巻取ロール12へ向けて帯状の洗浄布25を送り出す。同時に、第1洗浄液供給部14から洗浄布25への第1洗浄液31aの供給を開始する。第1洗浄液供給部14から洗浄布25への第1洗浄液31aの供給を開始する具体的な方法は、洗浄液供給部14から洗浄布25への洗浄液31の供給を開始する方法と略同一であるので、詳細な説明は省略する(上述の第1の実施の形態を参照)。
第1洗浄液供給部14からの第1洗浄液31aを受理した洗浄布25は、その後、押圧部13に送られる。押圧部13においては、駆動部13cによりエアシリンダ13bを駆動することにより、第1洗浄液31aが滲みこんだ洗浄布25がブランケット胴20の外周面20aに押し付けられる。これによって、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4が洗浄される。
その後、洗浄制御部50からの信号に基づいて、第1洗浄液供給部14から洗浄布25への第1洗浄液31aの供給が休止され、同時に、第2洗浄液供給部17から洗浄布25への第2洗浄液31bの供給が開始される。
具体的には、洗浄制御部50からの信号に基づいて、第1洗浄液供給機構30Aの流路制御部37により、lowレベルの電気信号が第1洗浄液供給機構30Aの流路切換機構34に送られる。これによって、第1洗浄液供給機構30Aの流路切換機構34において、入口部34aと吐出側出口部34bとの間が遮断され、同時に、入口部34aとタンク側出口部34cとの間が連通される。これによって、第1洗浄液供給機構30Aから第1吐出ヘッド16への第1洗浄液31aの供給が休止され、また、第1洗浄液供給機構30Aの内部における第1洗浄液31aの循環が開始される。
また、洗浄制御部50からの信号に基づいて、第2洗浄液供給機構30Bの流路制御部37により、highレベルの電気信号が第2洗浄液供給機構30Bの流路切換機構34に送られる。これによって、第2洗浄液供給機構30Bの流路切換機構34において、入口部34aとタンク側出口部34cとの間が遮断され、同時に、入口部34aと吐出側出口部34bとの間が連通される。これによって、第2洗浄液供給機構30Bの内部における第2洗浄液31bの循環が休止され、また、第2洗浄液供給機構30Bから第2吐出ヘッド19への第2洗浄液31bの供給が開始される。
第2洗浄液供給部17からの第2洗浄液31bを受理した洗浄布25は、その後、押圧部13に送られる。押圧部13においては、駆動部13cによりエアシリンダ13bを駆動することにより、第2洗浄液31bが滲みこんだ洗浄布25がブランケット胴20の外周面20aに押し付けられる。これによって、ブランケット胴20の外周面20aに残留しているインキ4が完全に洗浄される。また、ブランケット胴20の外周面20aに、沸点の低い第2洗浄液31bが付着する。
ブランケット胴20の外周面20a上のインキ4が完全に除去されると、第2洗浄液供給部17から洗浄布25への第2洗浄液31bの供給が休止される。その後、ブランケット胴20の外周面20aに、エアブロワー22からの風が吹き付けられる。また、ブランケット胴20の外周面20aが、洗浄液が塗布されていない洗浄布25により乾拭きされる。これによって、ブランケット胴20の外周面20aに付着した第2洗浄液31bが取り除かれる。
このように本実施の形態によれば、第1洗浄液31a、第2洗浄液31bという2種類の洗浄液が用いられる。このように2種類の洗浄液を用いることにより、洗浄装置10の洗浄効果をより高くすることができる。例えば、はじめに一般的な洗浄用の溶剤からなる第1洗浄液31aを用いて洗浄を実施し、その後に、第1洗浄液31aよりも沸点が低い第2洗浄液31bを用いて洗浄を実施することにより、ブランケット胴20の外周面20aに付着した洗浄液を容易に取り除くことができる。このため、ブランケット胴20の外周面20aを洗浄布25により乾拭きするのに要する時間を短くすることができる。これによって、ブランケット胴20を洗浄および乾拭きするために使用される洗浄布25の量を低減させることができ、このことにより、洗浄に要するコストを下げることができる。
また本実施の形態によれば、第1の実施の形態における洗浄液供給機構30と同様に、洗浄装置10による洗浄が休止されている間であっても、洗浄液供給機構30A,30Bの内部において洗浄液31a,31bが常に循環されている。このため、洗浄装置10による洗浄を再開する際、第1洗浄液供給機構30Aが第1吐出ヘッド16に対して即座に第1洗浄液31aを供給することができる。また、使用する洗浄液を第1洗浄液31aから第2洗浄液31bに切り替える際、第2洗浄液供給機構30Bが第2吐出ヘッド19に対して即座に第2洗浄液31bを供給することができる。これによって、洗浄液が塗布されていない状態でブランケット胴20の外周面20aに対して押し付けられる洗浄布25の量を低減することができ、このことにより、無駄になる洗浄布25の量を低減することができる。このように無駄になる洗浄布25の量を低減することにより、ブランケット胴20の洗浄に要するコストを下げることができる。
なお本実施の形態において、洗浄布25への第1洗浄液31aの供給が休止された後、洗浄液25への第2洗浄液31bの供給が開始される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、洗浄布25に対して第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bが共に供給される期間が存在していてもよい。
第3の実施の形態
次に図12を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで図12は、本発明の第3の実施の形態における洗浄液供給部の洗浄液供給機構を示す図である。
図12に示す第3の実施の形態は、洗浄装置10の洗浄液供給部14が、第2洗浄液を吐出ヘッドに供給する第2洗浄液供給機構をさらに有する点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。図12に示す第3の実施の形態において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
洗浄液供給機構
図12に示すように、洗浄液供給部14は、吐出ヘッド16に第1洗浄液(第1の洗浄液)31aを供給する第1洗浄液供給機構(第1の洗浄液供給機構)30Aと、吐出ヘッド16に第2洗浄液(第2の洗浄液)31bを供給する第2洗浄液供給機構(第2の洗浄液供給機構)30Bと、を有している。このため本実施の形態によれば、吐出ヘッド16から洗浄布25に対して、第1洗浄液31a、第2洗浄液31bという2種類の洗浄液を供給することができる。このように2種類の洗浄液を用いてブランケット胴20の外周面20aを洗浄することにより、図10および図11に示す第2の実施の形態の場合と同様に、洗浄効果をより高めることができる。
上述のように、本実施の形態における第1洗浄液供給機構30Aおよび第2洗浄液供給機構30Bにおいては、洗浄液として第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bが用いられる。また図12に示すように、第1洗浄液供給機構30Aの洗浄液吐出ライン35の他端35bは吐出ヘッド16に連結され、第2洗浄液供給機構30Bの洗浄液吐出ライン35の他端35bも吐出ヘッド16に連結されている。本実施の形態における第1洗浄液供給機構30Aおよび第2洗浄液供給機構30Bにおいて、他の構成は、図1乃至図9に示す第1の実施の形態における洗浄液供給機構30、または図10および図11に示す第2の実施の形態における洗浄液供給機構30A,30Bと略同一となっている。本実施の形態における第1洗浄液供給機構30Aおよび第2洗浄液供給機構30Bに関して、図1乃至図9に示す第1の実施の形態における洗浄液供給機構30、または図10および図11に示す第2の実施の形態における洗浄液供給機構30A,30Bと同一部分には同一符号が付され、詳細な説明は省略される。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4を洗浄装置10により洗浄する方法について説明する。なお図10および図11に示す第2の実施の形態の場合と同様に、洗浄装置10による洗浄が休止されている場合であっても、第1洗浄液供給機構30Aおよび第2洗浄液供給機構30Bの内部において、第1洗浄液31aおよび第2洗浄液31bが各々循環されている。
胴の洗浄方法
まず、外周面20aにインキ4が付着したブランケット胴20を、洗浄装置10の下方まで移動させる。次に、洗浄装置10を下方に移動させる。その後、巻出ロール11から巻取ロール12へ向けて帯状の洗浄布25を送り出す。同時に、第1洗浄液供給機構30Aから吐出ヘッド16への第1洗浄液31aの供給を開始し、これによって、洗浄液供給部14から洗浄布25への第1洗浄液31aの供給を開始する。第1洗浄液供給機構30Aから吐出ヘッド16への第1洗浄液31aの供給を開始する具体的な方法は、洗浄液供給機構30から吐出ヘッド16への洗浄液31の供給を開始する方法と略同一であるので、詳細な説明は省略する(上述の第1の実施の形態を参照)。
洗浄液供給部14からの第1洗浄液31aを受理した洗浄布25は、その後、押圧部13に送られる。押圧部13においては、駆動部13cによりエアシリンダ13bを駆動することにより、第1洗浄液31aが滲みこんだ洗浄布25がブランケット胴20の外周面20aに押し付けられる。これによって、ブランケット胴20の外周面20aに付着したインキ4が洗浄される。
その後、洗浄制御部50からの信号に基づいて、第1洗浄液供給機構30Aから吐出ヘッド16への第1洗浄液31aの供給が休止され、同時に、第2洗浄液供給機構30Bから吐出ヘッド16への第2洗浄液31bの供給が開始される。
具体的には、洗浄制御部50からの信号に基づいて、第1洗浄液供給機構30Aの流路制御部37により、lowレベルの電気信号が第1洗浄液供給機構30Aの流路切換機構34に送られる。これによって、第1洗浄液供給機構30Aの流路切換機構34において、入口部34aと吐出側出口部34bとの間が遮断され、同時に、入口部34aとタンク側出口部34cとの間が連通される。これによって、第1洗浄液供給機構30Aから吐出ヘッド16への第1洗浄液31aの供給が休止され、また、第1洗浄液供給機構30Aの内部における第1洗浄液31aの循環が開始される。
また、洗浄制御部50からの信号に基づいて、第2洗浄液供給機構30Bの流路制御部37により、highレベルの電気信号が第2洗浄液供給機構30Bの流路切換機構34に送られる。これによって、第2洗浄液供給機構30Bの流路切換機構34において、入口部34aとタンク側出口部34cとの間が遮断され、同時に、入口部34aと吐出側出口部34bとの間が連通される。これによって、第2洗浄液供給機構30Bの内部における第2洗浄液31bの循環が休止され、また、第2洗浄液供給機構30Bから吐出ヘッド16への第2洗浄液31bの供給が開始される。
このようにして、吐出ヘッド16に第2洗浄液31bが供給され、これによって、吐出ヘッド16から洗浄布25に第2洗浄液31bが供給される。
洗浄液供給部14からの第2洗浄液31bを受理した洗浄布25は、その後、押圧部13に送られる。押圧部13においては、駆動部13cによりエアシリンダ13bを駆動することにより、第2洗浄液31bが滲みこんだ洗浄布25がブランケット胴20の外周面20aに押し付けられる。これによって、ブランケット胴20の外周面20aに残留しているインキ4が完全に洗浄される。また、ブランケット胴20の外周面20aに、沸点の低い第2洗浄液31bが付着する。
ブランケット胴20の外周面20a上のインキ4が完全に除去されると、第2洗浄液供給機構30Bから吐出ヘッド16への第2洗浄液31bの供給が休止される。その後、ブランケット胴20の外周面20aに、エアブロワー22からの風が吹き付けられる。また、ブランケット胴20の外周面20aが、洗浄液が塗布されていない洗浄布25により乾拭きされる。これによって、ブランケット胴20の外周面20aに付着した第2洗浄液31bが取り除かれる。
このように本実施の形態によれば、第1洗浄液31a、第2洗浄液31bという2種類の洗浄液が用いられる。このように2種類の洗浄液を用いることにより、洗浄装置10の洗浄効果をより高くすることができる。例えば、はじめに一般的な洗浄用の溶剤からなる第1洗浄液31aを用いて洗浄を実施し、その後に、第1洗浄液31aよりも沸点が低い第2洗浄液31bを用いて洗浄を実施することにより、ブランケット胴20の外周面20aに付着した洗浄液を容易に取り除くことができる。このため、ブランケット胴20の外周面20aを洗浄布25により乾拭きするのに要する時間を短くすることができる。これによって、ブランケット胴20を洗浄および乾拭きするために使用される洗浄布25の量を低減させることができ、このことにより、洗浄に要するコストを下げることができる。
また本実施の形態によれば、第1の実施の形態における洗浄液供給機構30と同様に、洗浄装置10による洗浄が休止されている間であっても、洗浄液供給機構30A,30Bの内部において洗浄液31a,31bが常に循環されている。このため、洗浄装置10による洗浄を再開する際、第1洗浄液供給機構30Aが吐出ヘッド16に対して即座に第1洗浄液31aを供給することができる。また、使用する洗浄液を第1洗浄液31aから第2洗浄液31bに切り替える際、第2洗浄液供給機構30Bが吐出ヘッド16に対して即座に第2洗浄液31bを供給することができる。これによって、洗浄液が塗布されていない状態でブランケット胴20の外周面20aに対して押し付けられる洗浄布25の量を低減することができ、このことにより、無駄になる洗浄布25の量を低減することができる。このように無駄になる洗浄布25の量を低減することにより、ブランケット胴20の洗浄に要するコストを下げることができる。
変形例
なお本実施の形態において、第1洗浄液供給機構30Aの洗浄液吐出ライン35および第2洗浄液供給機構30Bの洗浄液吐出ライン35が共に直接に吐出ヘッド16に連結されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図13に示すように、第1洗浄液供給機構30Aの洗浄液吐出ライン35および第2洗浄液供給機構30Bの洗浄液吐出ライン35と、吐出ヘッド16との間に、第1洗浄液供給機構30Aからの第1洗浄液31aまたは第2洗浄液供給機構30Bからの第2洗浄液31bのいずれか一方を選択的に吐出ヘッド16に送る洗浄液切換機構55が設けられていてもよい。
図13に示すように、洗浄液切換機構55は、第1洗浄液供給機構30Aからの第1洗浄液31aが入力される第1洗浄液入口部55aと、第2洗浄液供給機構30Bからの第2洗浄液31bが入力される第2洗浄液入口部55bと、吐出ライン57を介して吐出ヘッド16に第1洗浄液31aまたは第2洗浄液31bのいずれか一方を選択的に送り出す出口部55cと、を含んでいる。吐出ライン57には、吐出ライン57を通る洗浄液の流量を計測する流量計58と、吐出ライン57から吐出ヘッド16への洗浄液の流れを遮蔽することができる遮蔽弁59と、が設けられている。また洗浄液切換機構55には、図13に示すように、洗浄液切換機構55から吐出ヘッド16に送られる洗浄液を切り換える洗浄液切換制御部56が設けられている。この洗浄液切換制御部56は、洗浄制御部50からの信号に基づいて、第1洗浄液31aまたは第2洗浄液31bのいずれか一方が洗浄液切換機構55から吐出ヘッド16に送られるよう、洗浄液切換機構55を制御する。このような洗浄液切換機構55を設けることにより、第1洗浄液31aと第2洗浄液31bとが混ざるのを抑制することができる。
このような洗浄液切換機構55の具体的な構成が特に限られることはなく、流路を切り換えるための様々な手段が用いられる。例えば図13に示すように、洗浄液切換機構55が、常時閉電磁弁55dと常時開電磁弁55eとから構成されていてもよい。常時閉電磁弁55dおよび常時開電磁弁55eは、上述の流路切換機構34における時閉電磁弁34dおよび常時開電磁弁35eと略同一であるので、詳細な説明は省略する。
その他の変形例
なお上記第2および第3の実施の形態において、第1洗浄液31a、第2洗浄液31bという2種類の洗浄液が用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、3種類または4種類以上の洗浄液が用いられてもよい。
また上記各実施の形態において、印刷機1により被印刷物9上に有機層が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、印刷機1により様々な層を被印刷物9上に形成することができる。この場合、被印刷物9上に形成される層に応じて、用いられるインキ4が適宜選択される。また、用いられるインキ4に応じて、洗浄装置10で使用される洗浄液が適宜選択される。
また本実施の形態において、洗浄装置10によりブランケット胴20が洗浄される例を示した。しかしながら、洗浄装置10の洗浄対象がブランケット胴20に限られることはなく、圧胴、フレキソ版胴を含む版胴など、印刷装置において用いられる様々な胴を洗浄装置10により洗浄することができる。これらの胴が、平台の枚葉印刷機において用いられる胴に限られることはなく、様々な方式の印刷機で用いられる胴が洗浄装置10により洗浄され得る。また、洗浄対象となる胴に応じて、洗浄装置10において用いられる洗浄布25の種類などが適宜選択される。
また本実施の形態において、印刷機が、その上面に複数のセルを有するグラビア版(インキ版)と、グラビア版のセルからインクを受理するブランケット胴(転写用胴)と、を備えたグラビア印刷用の印刷機からなる例を示した。しかしながら、印刷機の方式がグラビア印刷に限られることはなく、周知の様々な印刷方式が利用されえる。例えば、印刷機が、その上面に複数のセルを有するアニロックス版(インキ版)と、グラビア版のセルからインクを受理するフレキソ版を有する版胴(転写用胴)と、を備えたフレキソ印刷用の印刷機からなっていてもよい。
また本実施の形態において、印刷機が、その上面に複数のセルを有する平板状のインキ版(グラビア版、アニロックス版など)を備えた印刷機からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、印刷機が、その外周面に複数のセルを有するロール状のインキ版を備えた印刷機からなっていてもよい。この場合、被印刷物の供給方式が枚葉に限られることはなく、連続したシート状の被印刷物が供給されてもよい。
また本実施の形態において、洗浄液供給部の吐出口が、巻出ロール11から巻取ロール12に向かって送られる洗浄布25に常に当接するよう配置されている例を示した。
しかしながら、これに限られることはなく、洗浄布に対して洗浄液を吐出する際にのみ吐出口が洗浄布25に当接していてもよい。例えば、吐出口が移動自在または伸縮自在となるよう洗浄液供給部を構成し、これによって、洗浄装置10の動作中のみ吐出口が洗浄布25に当接するようにしてもよい。
若しくは、洗浄液供給部の吐出口が、洗浄布25から常に離されていてもよい。この場合、洗浄液が、吐出口からの噴射などにより洗浄布25に供給されてもよい。この場合、噴射された場合であっても引火することのない溶剤が洗浄液として用いられる。
また本実施の形態において、吐出ヘッド内に制限部材が挿入されている例を示した。この場合、制限部材の体積が固定となっている必要はなく、制限部材の体積が状況に応じて変化可能となっていてもよい。例えば、洗浄が停止されている場合における制限部材の体積が、洗浄中における制限部材の体積よりも大きくなるよう、制限部材を構成してもよい。このことにより、吐出口からの洗浄液の漏れ量または吐出量を、状況に応じて最適に制限することができる。
1 印刷機
2 グラビア版
3 セル
4 インキ
5 フレーム
6 定盤
7 インキ供給部
8 ドクターシステム
8a 第1ドクター
8b 第2ドクター
8c ドクター駆動部
9 被印刷物
10 洗浄装置
11 巻出ロール
12 巻取ロール
13 押圧部
13a 押圧ヘッド
13b エアシリンダ
13c 駆動部
14 (第1)洗浄液供給部
15 吐出口
16 (第1)吐出ヘッド
16a 開口部
16b 制限部材
17 第2洗浄液供給部
18 吐出口
19 第2吐出ヘッド
20 ブランケット胴
20a 外周面
22 エアブロワー
25 洗浄布
25a 表面
25b 裏面
26 繊維
26a 単位繊維
30 洗浄液供給機構
31 洗浄液
31a 第1洗浄液
31b 第2洗浄液
32 洗浄液タンク
33 洗浄液取出ライン
33a ポンプ
33b フィルター
34 流路切換機構
34a 入口部
34b 吐出側出口部
34c タンク側出口部
34d 常時閉電磁弁
34e 常時開電磁弁
35 洗浄液吐出ライン
35a 一端
35b 他端
36 洗浄液戻りライン
36a 一端
36b 他端
37 流路制御部
38 流量計
39 遮蔽弁
50 洗浄制御部
55 洗浄液切換機構
55a 出口部
55b 第1洗浄液入口部
55c 第2洗浄液入口部
55d 常時開電磁弁
55e 常時閉電磁弁
56 洗浄液切換制御部
57 吐出ライン

Claims (13)

  1. 印刷用の胴の外周面に付着したインクを洗浄する洗浄装置において、
    胴の外周面を洗浄する帯状の洗浄布を巻き出す巻出ロールと、
    前記巻出ロールからの洗浄布を巻き取る巻取ロールと、
    前記巻出ロールと前記巻取ロールとの間に設けられ、前記洗浄布を前記胴の外周面に押し付ける押圧部と、
    前記洗浄布に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、を備え、
    前記洗浄液供給部は、前記巻出ロールと前記押圧部との間に設けられ、洗浄液を前記洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、を有し、
    前記洗浄液供給機構は、洗浄液を貯留する洗浄液タンクと、前記洗浄液タンクから洗浄液を取り出す洗浄液取出ラインと、前記洗浄液取出ラインに連結された入口部、吐出側出口部およびタンク側出口部を含む流路切換機構と、一端が前記吐出側出口部にされ、他端が前記吐出ヘッドに連結された洗浄液吐出ラインと、一端が前記タンク側出口部にされ、他端が前記洗浄液タンクに連結された洗浄液戻りラインと、流路切換機構を制御する流路制御部と、を有し、
    流路制御部は、洗浄時において、流路切換機構の入口部が吐出側出口部に連結され、これによって洗浄液が洗浄液吐出ラインを通って吐出ヘッドに供給され、また洗浄休止時において、流路切換機構の入口部がタンク側出口部に連結され、これによって洗浄液が洗浄液戻りラインを通って洗浄液タンクに戻されるよう、流路切換機構を制御することを特徴とする洗浄装置。
  2. 前記洗浄液供給部は、
    前記巻出ロールと前記押圧部との間に設けられ、第1の洗浄液を前記洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む第1の吐出ヘッドと、前記第1の吐出ヘッドに第1の洗浄液を供給する第1の洗浄液供給機構と、を含む第1の洗浄液供給部と、
    前記巻出ロールと前記押圧部との間に設けられ、第2の洗浄液を前記洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む第2の吐出ヘッドと、前記第2の吐出ヘッドに第2の洗浄液を供給する第2の洗浄液供給機構と、を含む第2の洗浄液供給部と、からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  3. 前記洗浄液供給部は、前記巻出ロールと前記押圧部との間に設けられ、洗浄液を前記洗浄布に向かって吐出する吐出口を含む吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに第1の洗浄液を供給する第1の洗浄液供給機構と、前記吐出ヘッドに第2の洗浄液を供給する第2の洗浄液供給機構と、を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  4. 前記洗浄液供給部は、第1の洗浄液供給機構および第2の洗浄液供給機構と前記吐出ヘッドとの間に設けられ、第1の洗浄液供給機構からの第1の洗浄液または第2の洗浄液供給機構からの第2の洗浄液のいずれかを選択的に吐出ヘッドに送る洗浄液切換機構をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
  5. 前記第2の洗浄液の沸点は、前記第1の洗浄液の沸点よりも低くなっており、
    洗浄時、洗浄液供給部により、はじめに、第1の洗浄液が前記洗浄布に供給され、その後、第2の洗浄液が前記洗浄布に供給されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の洗浄装置。
  6. 前記胴の外周面に付着したインキが、有機EL装置の正孔輸送層または発光層を形成するためのインキからなり、
    前記第1の洗浄液または第2の洗浄液のいずれか一方が、芳香族溶媒を含む有機溶剤からなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の洗浄装置。
  7. 前記胴の外周面に付着したインキが、有機EL装置の正孔注入層を形成するためのインキからなり、
    前記第1の洗浄液または第2の洗浄液のいずれか一方が、水を含む溶剤、若しくはアセトンを含む有機溶剤からなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の洗浄装置。
  8. 被印刷物上にインキを印刷する印刷機において、
    複数のセルが形成されたインキ版と、
    前記インキ版にインキを供給するインキ供給部と、
    前記インキ供給部から供給されたインキを前記インキ版のセル内に充填させるドクターシステムと、
    前記インキ版に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、被印刷物上にインキを転移させる転写用胴と、
    転写用胴の外周面に付着したインキを洗浄する洗浄装置であって、請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄装置と、を備えたことを特徴とする印刷機。
  9. 被印刷物上にインキを印刷する印刷機において、
    複数のセルが形成された円筒状のインキ版胴と、
    前記インキ版胴にインキを供給するインキ供給部と、
    前記インキ供給部から供給されたインキを前記インキ版胴のセル内に充填させるドクターシステムと、
    前記インキ版胴に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、被印刷物上にインキを転移させる転写用胴と、
    インキ版胴の外周面に付着したインキを洗浄する洗浄装置であって、請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄装置と、を備えたことを特徴とする印刷機。
  10. 被印刷物上にインキを印刷する印刷方法において、
    被印刷物を準備する工程と、
    複数のセルが形成されたインキ版にインキを供給する工程と、
    前記インキ版のセル内にインキを充填させる工程と、
    転写用胴を前記インキ版に当接させることにより、転写用胴がインキ版の各セルからインキを受ける工程と、
    前記転写用胴のインキを被印刷物上に転移させる工程と、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄装置を用いて、前記転写用胴の外周面に付着したインキを洗浄する工程と、を備えたことを特徴とする印刷方法。
  11. 被印刷物上にインキを印刷する印刷方法において、
    被印刷物を準備する工程と、
    複数のセルが形成された円筒状のインキ版胴にインキを供給する工程と、
    前記インキ版胴のセル内にインキを充填させる工程と、
    転写用胴を前記インキ版胴に当接させることにより、転写用胴がインキ版胴の各セルからインキを受ける工程と、
    前記転写用胴のインキを被印刷物上に転移させる工程と、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄装置を用いて、前記インキ版胴の外周面に付着したインキを洗浄する工程と、を備えたことを特徴とする印刷方法。
  12. 有機EL装置の有機層を形成する有機層形成方法において、
    有機EL装置用の基板を準備する工程と、
    有機層用のインキを、複数のセルが形成されたインキ版に供給する工程と、
    前記インキ版のセル内にインキを充填させる工程と、
    転写用胴を前記インキ版に当接させることにより、転写用胴がインキ版の各セルからインキを受ける工程と、
    前記転写用胴のインキを有機EL装置用の基板上に転移させる工程と、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄装置を用いて、前記転写用胴の外周面に付着した有機層用のインキを洗浄する工程と、を備えたことを特徴とする有機層形成方法。
  13. 有機EL装置の有機層を形成する有機層形成方法において、
    有機EL装置用の基板を準備する工程と、
    有機層用のインキを、複数のセルが形成された円筒状のインキ版胴に供給する工程と、
    前記インキ版胴のセル内にインキを充填させる工程と、
    転写用胴を前記インキ版胴に当接させることにより、転写用胴がインキ版胴の各セルからインキを受ける工程と、
    前記転写用胴のインキを有機EL装置用の基板上に転移させる工程と、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の洗浄装置を用いて、前記インキ版胴の外周面に付着した有機層用のインキを洗浄する工程と、を備えたことを特徴とする有機層形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018221156A1 (ja) * 2017-05-31 2018-12-06 株式会社Screenホールディングス クリーニング装置、クリーニング方法、印刷装置および印刷方法

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