〔第1実施形態〕
〔ゲーム装置の構成および動作〕
図1は、本発明に係るゲームプログラムを適用しうるコンピュータの一例としての携帯ゲーム機1の外観図である。また、図2は、携帯ゲーム機1の一例としての制御ブロック図である。
携帯ゲーム機1は、図1に示すように、主に、本体2と、液晶モニタ部3と、入力部4と、カートリッジ装着部5と、通信部23とを有している。
本体2は、上部筐体2aと下部筐体2bとを有している。上部筐体2aと下部筐体2bとは、互いに開閉自在に連結されている。液晶モニタ部3は、上部筐体2aに設けられた第1液晶モニタすなわち上部液晶モニタ3aと、下部筐体2bに設けられた第2液晶モニタすなわち下部液晶モニタ3bとからなっている。ここでは、たとえば、上部液晶モニタ3aが非接触入力式のモニタすなわち非タッチパネル式のモニタになっており、下部液晶モニタ3bが接触入力式のモニタすなわちタッチパネル式のモニタになっている。非タッチパネル式のモニタは液晶パネルからなっており、タッチパネル式のモニタは液晶パネルとタッチパネルとからなっている。タッチパネル式のモニタでは、液晶パネルの表示面とタッチパネルのデータ入力面とは、積層一体型に構成されている。
なお、液晶モニタ部3の下部液晶モニタ3b(タッチパネル式のモニタ)は、接触入力式のモニタになっている。このため、この下部液晶モニタ3bに指示手段たとえばタッチペンや指等を接触させることにより、各種の入力に関する指示をすることができる。このように、液晶モニタ部3の下部液晶モニタ3bは、後述する入力部4と同様に、入力手段の1つになっている。すなわち、本実施形態では、液晶モニタ部3の下部液晶モニタ3bおよび入力部4が、入力手段となっている。
入力部4は、下部筐体2bの左側中央部に配置された十字状の方向指示釦4aと、下部筐体2bの左側上部に左右に配置されたセレクト釦4bおよびスタート釦4cと、下部筐体2bの右側中央部に配置された指示釦4dと、下部筐体2bの右側上部に配置された電源釦4eと、下部筐体2bの左右の隅角部に配置されたL釦4fおよびR釦4gとからなっている。
カートリッジ装着部5は下部筐体2bの下部に設けられている。このカートリッジ装着部5には、たとえばゲーム用カートリッジが装着可能になっている。通信部23は、本体2たとえば上部筐体2aに内蔵されている。この通信部23においては、たとえば、ローカルワイヤレスネットーワーク機能や、ワイヤレスLANによるインターネット接続機能等が提供される。
なお、携帯ゲーム機1には、音量調整用釦やイヤホンジャック等も設けられている。しかしながら、ここでは、これらの説明については省略する。
携帯ゲーム機1は、図2に示すように、制御装置10を内部に有している。制御装置10は、マイクロプロセッサを利用したCPU(Central Processing Unit)11と、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、画像処理回路14と、サウンド処理回路15とを有している。これらは、バス16を介してそれぞれが接続されている。
CPU11は、ゲームプログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理や制御を行う。ROM12は、ゲーム機1の基本的な制御(たとえば起動制御)に必要なプログラム等を格納する。RAM13は、CPU11に対する作業領域を確保する。画像処理回路14は、CPU11からの描画指示に応じて液晶モニタ部3を制御して、上部液晶モニタ3aおよび下部液晶モニタ3bの少なくともいずれか一方に所定の画像を表示する。
また、画像処理回路14にはタッチ入力検出回路14aが含まれている。タッチパネルに指示手段たとえばタッチペンや指等を直接的に接触させたときに、接触位置の座標データがタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、接触位置がCPU11に認識される。また、液晶パネルに表示された対象物の位置において、タッチパネルに指示手段を直接的に接触させると、対象物の座標データがタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、対象物がCPU11に認識される。なお、上記の接触位置の座標データを、RAM13に格納した上で、上記のCPU11による処理を実行しても良い。
サウンド処理回路15は、CPU11からの発音指示に応じたアナログ音声信号を生成してスピーカ22に出力する。通信制御回路20および通信インターフェイス21は、通信部23に含まれており、ゲーム機1を他のゲーム機等にワイヤレスで接続するために用いられる。通信制御回路20および通信インターフェイス21は、バス16を介してCPU11に接続されている。通信制御回路20および通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム機1をローカルワイヤレスネットーワーク又はワイヤレスLANによるインターネットに接続するための接続信号を制御し発信する。
バス16には、制御装置10とは別体の外部記憶装置17が接続される。たとえば、外部記憶装置17には、本体2たとえば下部筐体2bに着脱自在に装着されるゲーム用カートリッジ等がある。外部記憶装置17の内部には、記憶媒体としてのROM18と、書き換え可能なユーザ用メモリとしてのメモリ19が設けられる。ROM18には、コンピュータとしてのゲーム機1を機能させるためのゲームプログラムと、ゲームプログラムの実行に必要な各種データとが予め記録されている。この各種データには、各種の画像データ等が含まれている。メモリ19には、たとえばフラッシュメモリのような書き換え可能なメモリが使用される。このメモリ19には、たとえば、ゲームのセーブデータ等が必要に応じて記録される。
なお、外部記憶装置17の記憶媒体には、半導体記憶素子に限らず、磁気記憶媒体、光学式記憶媒体、光磁気記憶媒体等の各種の記憶媒体を使用してもよい。なお、バス16と各要素との間には必要に応じてインターフェイス回路が介在しているが、ここではそれらの図示は省略した。
以上のような構成のゲーム機1では、外部記憶装置17のROM18に記録されたゲームプログラムがロードされ、ロードされたゲームプログラムがCPU11で実行されることにより、プレイヤは様々なジャンルのゲームを液晶モニタ部3上で遊戯することができる。また、通信制御回路20を介して、ワイヤレスネットワークにゲーム機1を接続したり、他のゲーム機と通信ケーブル等を介して接続したりすることで、他のゲーム機との間でデータのやり取りや対戦型のゲームを行うことができる。
〔ゲーム装置における各種処理概要〕
本ゲーム機1において実行されるゲームは、たとえば、野球ゲームである。本ゲーム機1では、たとえば、監督がチームを指揮するタイプのゲームが、実行可能になっている。このゲームでは、監督の戦術(思考)が、試合イベントに反映される。図3は、以下に示す、本発明で主要な役割を果たす機能を、説明するための機能ブロック図である。なお、以下の各手段は、主に制御装置10において制御される。
命令データ格納手段50は、選手キャラクタの動作に関する複数の戦術命令データ(命令データ)を、RAM13に格納する機能を備えている。
この手段では、選手キャラクタの動作に関する複数の戦術命令データが、RAM13に格納される。たとえば、戦術命令データに対応する戦術命令としては、「ミート打ち」命令、「強振」命令、「セーフティバント」命令、「盗塁」命令、「エンドラン」命令、「ボールを見ていけ」命令等がある。また、他の戦術命令としては、「内角を攻めろ」命令、「外角を狙え」命令、「盗塁を警戒」命令、「低目を狙え」命令、「クサい所を狙え」命令、「1球はずせ」命令等がある。
各戦術命令は、戦術命令データによって管理される。たとえば、「ミート打ち」命令に対応する戦術命令データに対して、所定の数値たとえば「1」を割り当てることによって、この戦術命令が管理される。また、「強振」命令に対応する戦術命令データに対して、所定の数値たとえば「2」を割り当てることによって、この戦術命令が管理される。他の戦術命令に対応する戦術命令データに対しても、同様に所定の数値を割り当てることによって、他の戦術命令が管理される。
このように管理される各戦術命令は、後述する1つ又は複数の動作カテゴリに、分類される。具体的には、各戦術命令に対応する各戦術命令データは、後述する選択率データを介して、各動作カテゴリに対応する各動作カテゴリデータに関連付けられる。
なお、上記の所定の数値は、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
カテゴリデータ格納手段51は、ゲームのキャラクタの動作の特徴を分類するための複数の動作カテゴリデータを、RAM13に格納する機能を備えている。
この手段は、ゲームのキャラクタの動作の特徴を分類するための複数の動作カテゴリデータが、RAM13に格納される。たとえば、動作カテゴリデータに対応する動作カテゴリとしては、たとえば、攻撃的な戦術命令が属する第1動作カテゴリ、守備的な戦術命令が属する第2動作カテゴリ、およびその他の戦術命令が属する第3動作カテゴリがある。このように、ここでは、複数の動作カテゴリ(第1動作カテゴリ、第2動作カテゴリ、第3動作カテゴリ)が存在しており、各戦術命令は、1つ又は複数の動作カテゴリに所属している。言い換えると、各戦術命令は、1つの動作カテゴリに所属する場合もあれば、複数の動作カテゴリにまたがって所属する場合もある。なお、第3動作カテゴリには、たとえば、走塁に関する戦術命令、および走者に対する戦術命令等が、所属する。
各動作カテゴリは、動作カテゴリデータによって管理される。たとえば、第1動作カテゴリに対応する動作カテゴリデータに対して、所定の数値たとえば「1」を割り当てることによって、第1動作カテゴリが管理される。同様に、第2動作カテゴリに対応する動作カテゴリデータ、および第3動作カテゴリに対応する動作カテゴリデータそれぞれに対して、所定の数値たとえば「2」および「3」を割り当てることによって、第2動作カテゴリおよび第3動作カテゴリが、管理される。
なお、上記の所定の数値は、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
選択率設定手段52は、複数の動作カテゴリそれぞれに含まれる1つ又は複数の戦術命令それぞれに対して、選択率データを設定する機能を備えている。
この手段では、複数の動作カテゴリそれぞれに含まれる1つ又は複数の戦術命令それぞれに対して、選択率データが設定される。具体的には、第1動作カテゴリ、第2動作カテゴリ、および第3動作カテゴリそれぞれに含まれる1つ又は複数の戦術命令それぞれに対して、選択率データが設定される。選択率データは、複数の戦術命令の中から、試合イベントで指示する戦術命令を選択する時に用いられるデータである。また、選択率データは、各戦術命令に対応する各戦術命令データと、各動作カテゴリに対応する各動作カテゴリデータとを関連付けるデータである。
なお、各戦術命令データと各動作カテゴリデータとの対応関係、および各戦術命令に設定される選択率データの値は、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
影響データ格納手段53は、複数の動作カテゴリそれぞれの重みに対応する複数の影響データを、RAM13に格納する機能を備えている。また、影響データ格納手段53は、範囲データ格納手段54を有している。範囲データ格納手段54は、複数の影響データの範囲を規定する範囲データを、RAM13に格納する機能を備えている。
この手段では、複数の動作カテゴリそれぞれの重みに対応する複数の影響データ、および複数の影響データの範囲を規定する範囲データが、RAM13に格納される。ここで、複数の影響データは、複数の動作カテゴリそれぞれが試合イベントに与える影響の程度を示す指標である。
たとえば、初期条件としての、第1動作カテゴリが試合イベントに与える影響の程度を示す第1影響データ、第2動作カテゴリが試合イベントに与える影響の程度を示す第2影響データ、および第3動作カテゴリが試合イベントに与える影響の程度を示す第3影響データが、RAM13に格納される。また、初期条件として、各影響データの下限値および上限値を規定するための、第1範囲データ、第2範囲データ、および第3範囲データが、RAM13に格納される。第1範囲データ、第2範囲データ、および第3範囲データそれぞれは、上限値および下限値から構成されている。
影響データ表示手段55は、影響データの値を相対的に表現するための相対データ画像を、画像データを用いて液晶モニタ部3に表示する機能を備えている。
この手段では、影響データの値を相対的に表現するための相対データ画像が、画像データを用いて液晶モニタ部3に表示される。この相対データ画像は、各動作カテゴリの影響を表現し且つ設定するためのものである。ここでは、相対データ画像が、たとえば三角形状のグラフ(以下では、戦術設定グラフと呼ぶ)で構成されている。なお、ここで用いられる画像データは、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
戦術設定グラフは範囲データに基づいて設定され、設定後の戦術設定グラフが液晶モニタ部3に表示される。また、範囲データが変更された場合には、戦術設定グラフは、変更後の範囲データに基づいて変更され、変更後の戦術設定グラフが液晶モニタ部3に表示される。
影響データ設定手段56は、複数の影響データの少なくともいずれか1つを設定することによって、全ての影響データを設定する機能を備えている。
この手段では、複数の影響データの少なくともいずれか1つを設定することによって、全ての影響データが設定される。詳細には、戦術設定グラフ上において、複数の影響データの少なくともいずれか1つを設定することによって、全ての影響データが設定される。より詳細には、戦術設定グラフ上において、複数の影響データのいずれか1つを設定することによって、複数の影響データの総計が一定になるように、他の影響データが設定される。具体的には、プレイヤが入力部4を操作することによって、戦術設定グラフのある1つの頂点と重心とを結ぶ線上の任意の一点を選択すると、この点に対応する動作カテゴリの影響データ、すなわち第1動作カテゴリ、第2動作カテゴリ、および第3動作カテゴリのいずれか1つの影響データが、設定される。すると、この影響データに基づいて、他の動作カテゴリの影響データが設定される。
思考命令選択手段57は、複数の戦術命令データの中から、所定数の戦術命令データを、ランダムに選択する機能を備えている。
この手段では、複数の戦術命令データの中から、所定数の戦術命令データが、ランダムに選択される。具体的には、乱数発生プログラムを用いて、所定数の戦術命令データが、ランダムに選択される。なお、乱数発生プログラムは、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
命令内容報知手段58は、戦術命令の内容を報知するための戦術画像(命令内容画像)を、画像データを用いて液晶モニタ部3に表示する機能を備えている。
この手段では、戦術命令データに対応する戦術命令を報知するための戦術画像が、画像データを用いて液晶モニタ部3に表示される。具体的には、所定数の戦術命令データそれぞれに対応するカード状の戦術画像が、液晶モニタ部3に表示される。また、後述するように対象戦術命令データが設定された場合、所定数の戦術画像が液晶モニタ部3に表示された状態において、対象戦術命令データに対応するカード状の戦術画像が、液晶モニタ部3において強調表示される。なお、ここで用いられる画像データは、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
命令設定手段59は、複数の影響データそれぞれが試合イベントに与える影響の程度に基づいて、複数の戦術命令の中の少なくともいずれか1つの戦術命令データを、対象戦術命令データとして設定する機能を備えている。
この手段では、複数の影響データそれぞれが試合イベントに与える影響の程度(重み)に基づいて、複数の戦術命令データの中の少なくともいずれか1つの戦術命令データが、対象戦術命令データとして設定される。詳細には、動作カテゴリの重みに対応する影響データに応じて、複数の動作カテゴリの中のいずれか1つの動作カテゴリが、対象動作カテゴリとして選択される。そして、所定数の戦術命令データの中から、対象動作カテゴリに含まれる1つ又は複数の戦術命令データが、選択される。そして、対象動作カテゴリに含まれる1つ又は複数の戦術命令データの中の少なくともいずれか1つの戦術命令データが、対象戦術命令データとして、設定される。
ここで、対象戦術命令データを設定するときには、対象動作カテゴリに含まれる1つ又は複数の戦術命令それぞれの選択率データが、用いられる。この選択率データに基づいて、最終的な命令データの選択確率が計算され、この選択確率に基づいて、対象動作カテゴリに含まれる1つ又は複数の戦術命令データの中の少なくともいずれか1つの戦術命令データが、対象戦術命令データとして設定される。
命令反映手段60は、対象戦術命令データに対応する対象戦術命令(最終指示命令)を、試合イベントに参加する選手キャラクタに指示することによって、戦術を試合イベントに反映する機能を備えている。
この手段では、対象戦術命令データに対応する対象戦術命令を、試合イベントに参加するキャラクタに指示することによって、戦術が試合イベントに反映される。具体的には、監督が戦術を指示するチームが、攻撃サイドである場合、対象戦術命令は、打者キャラクタおよび走者キャラクタの少なくともいずれか一方のキャラクタに対して、指示される。一方で、監督が戦術を指示するチームが、守備サイドである場合、対象戦術命令は、投手キャラクタに対して、指示される。
高頻度データ検出手段61は、複数の試合イベントにおいて使用頻度が高かった影響データを、検出する機能を備えている。
この手段では、複数の試合イベントにおいて使用頻度が高かった影響データが、検出される。具体的には、試合イベントが終了したときに、試合イベントにおいて使用頻度が最も高かった影響データが、検出される。そして、試合イベントが終了するごとに、この処理を繰り返し実行することによって、複数の試合イベントにおいて使用頻度が最も高かった影響データが、高頻度の影響データとして、検出される。
範囲データ変更手段62は、検出された影響データの上限が大きくなるように、範囲データを変更する機能を備えている。
この手段では、検出された影響データ(高頻度の影響データ)に対応する範囲データの上限値が大きくなるように、範囲データが変更される。具体的には、高頻度の影響データが試合イベントを支配した試合数(支配試合数)に基づいて、範囲データの上限値が、初期条件の値と、最大値との間の値に、変更される。なお、支配試合数と範囲データの上限値との対応関係は、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
〔野球ゲームにおける戦術反映システムの概要〕
次に、野球ゲームにおける戦術反映システムの第1実施形態の内容について説明する。また、図12および図13に示すフローについても同時に説明する。なお、図12は野球ゲームの全体概要を説明するためのフローであり、図13は本システムを説明するためのフローである。本システムにおいて実行される処理は、主に、制御装置10において実行される。
まず、ゲーム機1の電源が投入され、ゲーム機1が起動されると、野球ゲームプログラムが、記録媒体10からRAM13にロードされ格納される。このときには、野球ゲームを実行する上で必要となる各種の基本ゲームデータも、同時に、記録媒体10からRAM13にロードされ格納される(S1)。
たとえば、基本ゲームデータには、3次元ゲーム空間用の各種の画像に関するデータが含まれている。3次元ゲーム空間用の各種の画像に関するデータには、たとえば、各種のオブジェクトのモデルデータ、たとえば、スタジアム用のモデルデータ、選手キャラクタ用のモデルデータ、観客用のモデルデータ、およびボール用のモデルデータ等が、含まれている。また、基本ゲームデータには、3次元ゲーム空間用のモデルデータを3次元ゲーム空間に配置するための位置座標データが、含まれている。また、基本ゲームデータには、3次元ゲーム空間に配置されたモデル(オブジェクト)を、液晶モニタ部3に表示するための画像データが、含まれている。画像データは、3次元ゲーム空間に配置されたモデルを、仮想カメラにより撮影することにより、生成される。さらに、基本ゲームデータには、上記システムで用いられる各種のデータも、含まれている。
なお、各モデルは、各モデルに対して固有に設定される識別データを用いて、CPU11により管理される。言い換えると、この識別データをCPU11に認識させることによって、モデル(オブジェクト)が特定され、モデル用の画像データがRAM13から読み出される。
続いて、RAM13に格納された野球ゲームプログラムが、基本ゲームデータに基づいて、CPU11により実行される(S2)。すると、野球ゲームの起動画面が液晶モニタ部3に表示される。すると、野球ゲームを実行するための各種の設定画面が液晶モニタ部3に表示される。ここでは、たとえば、野球ゲームのプレイモードを選択するためのモード選択画面が、液晶モニタ部3に表示される(図示しない)。このモード選択画面において、プレイヤが入力部4を操作することにより、プレイモードが決定される(S3)。プレイモードには、たとえば、12球団の中からチームを選択して1試合の対戦を楽しむ対戦モード、およびプレイヤが監督の立場で対戦を楽しむ監督モード等が、用意されている。
続いて、モード選択画面で選択されたプレイモードにおいて、各種のイベントが、CPU11により実行される(S4)。ここで実行される各種のイベントには、たとえば、自動制御プログラム(AIプログラム、Artificial Intelligence Program)に基づいてCPU11により自動制御されるイベントや、入力部4からの入力信号に基づいてプレイヤにより手動制御されるイベントがある。また、選手キャラクタの制御には、自動制御プログラムに基づいて選手キャラクタに命令を自動的に指示する自動制御や、入力部4からの入力信号に基づいて選手キャラクタに命令を直接的に指示する手動制御等がある。このように、本野球ゲームでは、入力部4からの指示や自動制御プログラムからの指示に応じて、イベントが制御されたり、選手キャラクタに命令が指示されたりするようになっている。
なお、ここに示す自動制御プログラムとは、プレイヤに代わって、イベントに関する命令および選手キャラクタに対する命令を自動的に制御するためのプログラムである。この自動制御プログラムは、ゲームプログラムにおいて予め用意されている。
続いて、選択されたプレイモードが終了したか否かが、CPU11により判断される(S5)。具体的には、プレイモードが終了したことを示す命令が発行されたか否かが、CPU11により判断される。そして、プレイモードが終了したことを示す命令が発行されたとCPU11により判断された場合(S5でYes)、ゲーム継続用のデータをRAM13に格納する処理が、CPU11により実行される。
そして、ゲーム継続用のデータがRAM13に格納されると、この野球ゲームを終了するか否かを選択する選択画面が、液晶モニタ部3に表示される(S6)。そして、この選択画面において、プレイヤが入力部4を操作することにより、野球ゲームの終了を示す項目が選択されると(S6でYes)、野球ゲームを終了するための処理がCPU11により実行される(S7)。一方で、この選択画面において、プレイヤが入力部4を操作することにより、野球ゲームの継続を示す項目が選択されると(S6でNo)、ステップ3(S3)のモード選択画面が、液晶モニタ部3に再表示される。
なお、プレイモードが終了するための命令が発行されたとCPU11に判断されない限り(S5でNo)、モード選択画面で選択されたプレイモードにおいて、各種のイベントがCPU11により実行される(S4)。
以下では、野球ゲームにおける戦術反映システムの具体的な内容について説明する。
ここでは、監督モードにおいて、本システムが機能する場合の例が、示される。この例では、あるチームをプレイヤが監督の立場で指揮し、相手チームをコンピュータが指揮する。相手チームに関する命令、たとえば相手チームの設定に関する命令や相手チームの選手キャラクタ等に対する命令等は、自動制御プログラムに基づいて、CPU11により実行される。
まず、監督モードが開始されると(S11)、チームを設定するためのチーム設定画面が、液晶モニタ部3たとえば下部液晶モニタ3bに表示される(図示しない)。そして、このチーム設定画面において、プレイヤが入力部4を操作することによって、自分が指揮する自チーム(Aチーム)および敵チーム(Bチーム)が、選択される(S12)。すると、RAM13に格納されたチーム用の識別データIDTが、CPU11に認識される。この認識処理によって、プレイヤが指揮するAチームと、このプレイヤのAチームと対戦するBチームとが、CPU11に認識され管理される。
なお、チーム用の識別データIDTには、ゲームプログラムにおいて予め規定された所定の値が、割り当てられる。たとえば、Aチーム用の識別データIDTには、「1」が割り当てられ、Bチーム用の識別データIDTには、「2」が割り当てられる。このようなチーム用の識別データIDTは、RAM13に格納されており、たとえば、チームの特定時や、チームの情報の特定時等に、RAM13から読み出され、割り当てられる。
続いて、スターティングメンバーを設定するためのメンバー設定画面が、液晶モニタ部3たとえば下部液晶モニタ3bに表示される(図示しない)。そして、このメンバー設定画面において、プレイヤが入力部4を操作することによって、スターティングメンバーが、選択される(S13)。また、この段階において、相手チームのスターティングメンバーも、選択される。相手チームのスターティングメンバーは、自動制御プログラムに基づいて、自動的に選択される。各チームの複数の選手キャラクタそれぞれは、互いに異なる識別データIDK(IDT)を有している。
選手キャラクタが、プレイヤによる指示又は自動制御プログラムに基づいて選択されると、RAM13に格納された、選手キャラクタ用の識別データIDK(IDT)が、CPU11に認識される。この認識処理によって、各選手キャラクタが、CPU11に認識され管理される。なお、選手用の識別データIDK(IDT)には、ゲームプログラムにおいて予め規定された所定の値が、割り当てられている。この選手用の識別データIDK(IDT)は、RAM13に格納されており、たとえば、各選手キャラクタの特定時や、各選手キャラクタの情報の特定時等に、RAM13から読み出される。
続いて、複数の戦術命令それぞれを管理するための戦術命令データCが、RAM13に格納される(S14)。ここでは、図4に示すように、複数の戦術命令として、「ミート打ち」、「強振」、「セーフティバント」、「盗塁」、「エンドラン」、「ボールを見ていけ」等が、用意されている。これらの戦術命令は、攻撃時に用いられる。また、複数の戦術命令として、「内角を攻めろ」、「外角を狙え」、「盗塁を警戒(クイック)」、「低目を狙え」、「クサい所を狙え」、「1球はずせ」等が、用意されている。これらの戦術命令は、守備時に用いられる。
ここでは、各戦術命令は、各戦術命令に対応する戦術命令データCに対して、所定の数値たとえば「1」から「12」までのいずれか1つの自然数を割り当てる処理が、CPU11により実行される。図4に示した、戦術命令データCと戦術命令との対応関係を示す対応データは、RAM13に格納されている。CPU11は、RAM13に格納された対応データに基づいて、戦術命令データCを認識し、各戦術命令を管理する。
続いて、複数の戦術命令それぞれを分類するための動作カテゴリを管理するための動作カテゴリデータMが、RAM13に格納される(S15)。具体的には、図5に示すように、3つの動作カテゴリが用意されており、3つの動作カテゴリそれぞれは、攻撃的な戦術命令が分類される第1動作カテゴリ、守備的な戦術命令が分類される第2動作カテゴリ、およびその他の戦術命令が分類される第3動作カテゴリである。第3動作カテゴリには、たとえば、走塁に関する戦術命令、および走者に対する戦術命令等が、分類される。
ここでは、各動作カテゴリに対応する動作カテゴリデータMに対して、所定の数値たとえば「1」から「3」までのいずれか1つの自然数を割り当てる処理が、CPU11により実行される。図5に示した、動作カテゴリデータMと動作カテゴリとの対応関係を示す対応データは、RAM13に格納されている。CPU11は、RAM13に格納された対応データに基づいて、動作カテゴリデータMを認識し、各動作カテゴリを管理する。
続いて、戦術命令が所属する動作カテゴリを管理するための管理データが、RAM13に格納される(S16)。管理データは、選択率データSRに対応している。ここでは、各戦術命令が所属する動作カテゴリごとに、管理データすなわち選択率データSRが用意されており、この選択率データSRが、各動作カテゴリの各戦術命令に対して割り当てられる(図6を参照)。
図6に示すように、複数の戦術命令データCそれぞれに対して、複数の選択率データSRが設定されている。各戦術命令データCにおける複数の選択率データCそれぞれは、各動作カテゴリデータMに関連付けて設定されている。たとえば、ある戦術命令データCと3つの動作カテゴリデータMとの関係(図6を参照)において、選択率データSRが所定の値たとえば0(ゼロ)でない項目が、戦術命令が動作カテゴリに所属する事項を示す項目になっている。一方で、戦術命令データCと3つの動作カテゴリデータMとの関係(図6を参照)において、選択率データSRが所定の値たとえば0(ゼロ)である項目が、戦術命令が動作カテゴリに所属しない事項を示す項目になっている。なお、各戦術命令は、1つの動作カテゴリに所属する場合もあれば、複数の動作カテゴリにまたがって所属する場合もある。
図6では、戦術命令が所属する動作カテゴリに対して、選択率データSRが設定されている。より具体的には、選択率データSRがゼロであるか否かによって、戦術命令の分類先を定義している。たとえば、図6の「ミート打ち」命令(C=1)においては、第3動作カテゴリに対する選択率データSRにはゼロが設定されており、第1動作カテゴリおよび第2動作カテゴリに対する選択率データSRには所定の値が設定されている。この場合、「ミート打ち」命令は、第1動作カテゴリおよび第2動作カテゴリに所属し、第3動作カテゴリには所属していない。他の戦術命令においても、同様に解釈することができ、たとえば、「1球はずせ」命令は、第2動作カテゴリおよび第3動作カテゴリに所属し、第3動作カテゴリには所属していない。
なお、上記の選択率データSRは簡略表記であり、正確には、選択率データはSR(M,C)と表記される。ここで、Mは上記の動作カテゴリデータであり、Cは上記の戦術命令データである。
続いて、複数の動作カテゴリそれぞれが試合イベントに与える影響の程度を示す複数の影響データE(i)、および複数の影響データEの範囲を規定する範囲データH(i,j)が、RAM13に格納される(S17)。
ここで、iは、影響データを識別するための識別番号である。iには、1から3のいずれか1つの自然数が割り当てられる。CPU11は、この識別番号iを認識し、各影響データE(i)を管理する。E(1)は第1影響データを示し、E(2)は第2影響データを示し、E(3)は第3影響データを示す。第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)についての詳細は、後述する。
jは、範囲データを識別するための識別番号である。jには、1又は2が割り当てられる。CPU11は、この識別番号jを認識し、各範囲データH(i,1)を管理する。H(i,1)は、範囲データの下限値を示し、H(i,2)は、範囲データの上限値を示す。範囲データH(i,j)についての詳細は、後述する。
具体的には、第1動作カテゴリが試合イベントに与える影響の程度を示す第1影響データE(1)、第2動作カテゴリが試合イベントに与える影響の程度を示す第2影響データE(2)、および第3動作カテゴリが試合イベントに与える影響の程度を示す第3影響データE(3)が、RAM13に格納される。また、各影響データの下限値および上限値を規定するための、第1範囲データH(1,j)、第2範囲データH(2,j)、および第3範囲データH(3,j)が、RAM13に格納される。第1範囲データH(1,j)、第2範囲データH(2,j)、および第3範囲データH(3,j)それぞれは、上限値および下限値から構成されている。
初期条件では、第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)が、所定の値たとえば33(%)に設定されている。また、初期条件では、第1範囲データの下限値H(1,1)、第2範囲データの下限値H(2,1)、および第3範囲データの下限値H(3,1)が、所定の値たとえば33(%)に設定されている。すなわち、初期条件では、第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)が、各範囲データH(i,1)の下限値の値に設定されている。また、第1範囲データの上限値H(1,2)、第2範囲データの上限値H(2,2)、および第3範囲データの上限値H(3,2)が、所定の値たとえば80(%)に設定されている。
なお、本実施形態では、第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)それぞれの値と、第1範囲データ、第2範囲データ、および第3範囲データそれぞれの下限値H(i,1)および上限値H(i,2)とは、小数点以下を切り捨てた値に設定される。また、初期条件としての各影響データE(i)の値は、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
続いて、上記のように、各種設定が終了すると、試合イベントを開始する命令が、CPU11から発行される(S18)。すると、図7に示すように、影響データE(i)の値を相対的に表現した戦術設定グラフ100が、画像データを用いて、液晶モニタ部3たとえば下部液晶モニタ3bに表示される(S19)。戦術設定グラフ100は、各動作カテゴリが試合イベントに与える影響の程度を表現する。また、戦術設定グラフ100では、各動作カテゴリの影響の程度が設定可能になっている。
戦術設定グラフ100は、範囲データH(i,j)に基づいて設定され、下部液晶モニタ3bに表示される。具体的には、三角形状の戦術設定グラフ100では、各頂点Q1,Q2,Q3が、第1動作カテゴリ、第2動作カテゴリ、および第3動作カテゴリそれぞれの上限値、すなわち範囲データの上限値H(i,2)に対応する点になっている。また、三角形状の戦術設定グラフ100の重心Gが、第1動作カテゴリ、第2動作カテゴリ、および第3動作カテゴリそれぞれの下限値、すなわち範囲データの下限値H(i,1)に対応する点になっている。
そして、第1動作カテゴリに対応する第1頂点Q1と重心Gとを結ぶ第1線分S1が、第1影響データE(1)を設定可能な範囲に対応している。第2動作カテゴリに対応する第2頂点Q2と重心Gとを結ぶ第2線分S2が、第2影響データE(2)を設定可能な範囲に対応している。第3動作カテゴリに対応する第3頂点Q3と重心Gとを結ぶ第3線分S3が、第3影響データE(3)を設定可能な範囲に対応している。初期状態の戦術設定グラフ100は、正三角形に設定されている。このような戦術設定グラフ100が、下部液晶モニタ3bに表示される。
なお、初期状態では、各影響データE(i)の値を示すポインタP(丸記号)が、重心Gの位置に設定されている。以下では、ポインタという文言は、ポインタ画像という意味で用いられる場合がある。
続いて、戦術設定グラフ100が下部液晶モニタ3bに表示された状態において、タッチペンや指等の指示手段を、ポインタPの内部において下部液晶モニタ3bに接触させ、この指示手段を下部液晶モニタ3b上において移動させると、下部液晶モニタ3bからRAM13へと、ポインタPの位置データが供給される。すると、移動後のポインタPを描画するための描画命令が、CPU11から発行され、移動後のポインタPが、下部液晶モニタ3bに表示される。
このように、指示手段の移動に連動して、ポインタPは移動する。すると、移動後のポインタPの位置データが示す位置に応じて、各影響データE(i)が設定される(S20)。これにより、監督(プレイヤ)の戦術が、設定される。
詳細には、戦術設定グラフ100の重心Gの位置に配置されたポインタPは、3つの頂点Q1,Q2,Q3のいずれか1つの頂点と重心Gとを結ぶ線分上において、移動する。具体的には、図8に示すように、ポインタPを上記の第1線分S1上で移動した場合、重心GとポインタPとを結ぶ直線の距離データr1と、ポインタPと第1頂点Q1とを結ぶ直線の距離データr2との比に基づいて、第1範囲データの下限値H(1,1)以上、第1範囲データの上限値H(1,2)以下の範囲で、第1影響データE(1)が設定される。すると、第1影響データE(1)に基づいて、他の動作カテゴリの第2影響データE(2)および第3影響データE(3)が、設定される。
より具体的には、上記のように、第1影響データE(1)が設定された場合、100(%)から第1影響データE(1)の値を減算し、減算結果に1/2を乗算する。そして、乗算結果を、第2影響データE(2)および第3影響データE(3)に割り当てることによって、他の動作カテゴリの影響データE(i)(第2影響データE(2)および第3影響データE(3))が、設定される。
このようにして、第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)が設定されると、各影響データE(i)はRAM13に格納される。なお、ポインタPを上記の第2線分S2上で移動した場合、又はポインタPを上記の第3線分S3上で移動した場合も同様にして、全ての動作カテゴリの影響データE(i)が、設定される。
本実施形態では、各影響データE(i)を、小数点以下を切り捨てた値に設定しているので、第1影響データE(1)と第2影響データE(2)と第3影響データE(3)とを合計した値が、100(%)にならない場合がある。この場合は、一定値である数値たとえば100(%)から、第1影響データE(1)と第2影響データE(2)と第3影響データE(3)とを合計した値を減算した値が、ポインタPによって設定した影響データE(i)に加算される。これにより、第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)の総計が一定値(100%)に、設定される。
なお、上記の2つの距離データの比を計算する処理、およびこの比に基づいて各範囲データの下限値H(i,1)と上限値H(i,2)との間で各影響データE(i)を設定する処理は、CPU11により実行される。また、各影響データE(i)を合計した値を100(%)に調整する処理も、CPU11により実行される。
上記のように、試合イベントを開始する命令がCPU11から発行され、監督の戦術(第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3))が設定されると、AチームとBチームとの対戦が、自動制御プログラムに基づいて、CPU11により実行される(S21)。すると、試合イベントの進行状況、たとえばイニング数および走者キャラクタの出塁状況が、CPU11により監視される。そして、この試合イベントの進行状況に基づいて、選手キャラクタに対する戦術命令の指示を許可するか否かが、CPU11により判断される(S22)。ここで、選手キャラクタに対する戦術命令の指示を許可された場合(S22でYes)、図9に示すように、打者キャラクタと投手キャラクタとが対戦する対戦画面が、液晶モニタ部3たとえば上部液晶モニタ3aに表示される(S23)。
具体的には、選手キャラクタに対する戦術命令の指示を許可するか否かの判断は、次のように実行される。まず、RAM13に格納されたイニング数NIがCPU11により認識され、イニング数NIが、1回から3回のいずれか1つであるか否かが、CPU11により判断される。そして、イニング数NIが、1回から3回のいずれか1つであった場合、ランナーが、二塁及び/又は三塁に存在しているか否かが、CPU11により判断される。そして、ランナーが、二塁及び/又は三塁に存在していた場合、打者キャラクタと投手キャラクタとが対戦する対戦画面が、液晶モニタ部3たとえば上部液晶モニタ3aに表示される。
次に、イニング数NIが、1回から3回のいずれでもなかった場合、イニング数NIが、4回から6回のいずれか1つであるか否かが、CPU11により判断される。そして、イニング数NIが、4回から6回のいずれか1つであった場合、ランナーが、一塁から三塁の少なくともいずれか1つに存在しているか否かが、CPU11により判断される。そして、ランナーが、一塁から三塁の少なくともいずれか1つに存在していた場合、対戦画面が、上部液晶モニタ3aに表示される。
続いて、イニング数NIが、4回から6回のいずれでもなかった場合、イニング数NIは7回以上となる。この場合、各打者キャラクタと投手キャラクタとの対戦画面が、上部液晶モニタ3aに表示される。
上述したランナーの出塁状況は、出塁状況を示す出塁データS(k)によって、CPU11により管理されている。kは、塁を識別するための識別番号である。たとえば、S(1)は一塁の出塁状況を示し、S(2)は二塁の出塁状況を示し、S(3)は三塁の出塁状況を示す。たとえば、ランナーが一塁に存在する場合、出塁データS(1)に、フラグが立てられる(S(1)=1)。また、ランナーが二塁に存在する場合、出塁データS(2)に、フラグが立てられる(S(2)=1)。さらに、ランナーが三塁に存在する場合、出塁データS(3)に、フラグが立てられる(S(3)=1)。この出塁データS(k)の値に基づいて、CPU11は出塁状況を管理する。
なお、上記のステップ22(S22)においてNoである場合、選手キャラクタを制御するための制御命令が、自動制御プログラムに基づいて、各選手キャラクタに対して指示される。すなわち、この場合は、各選手キャラクタが自動制御される。
上記のように、対戦画面が上部液晶モニタ3aに表示されると(図9(a)を参照)、複数の戦術命令の中から、所定数の戦術命令が、ランダムに選択される(S24)。具体的には、まず、乱数発生プログラムを用いて、3桁以上の自然数の乱数を生成する処理が、CPU11により実行される。そして、この乱数の下二桁と同じ数値を有する戦術命令データCが、CPU11により検索される。この処理を繰り返すことによって、所定数の戦術命令データCが、CPU11により抽出され、RAM13に格納される。ここでは、この処理を繰り返すことによって、5個の戦術命令データC、すなわち5個の戦術命令が、抽出される。
なお、乱数の下二桁と戦術命令データCの値とが一致しなかった場合は、戦術命令データCの値に一致する乱数が発生するまで、乱数を繰り返し発生させる。乱数発生プログラムは、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
続いて、戦術命令の内容を報知するための戦術画像が、画像データを用いて液晶モニタ部3に表示される(S25)。具体的には、図9(b)に示すように、ランダムに抽出された5個の戦術命令それぞれの内容を報知するためのカード状の戦術画像110が、下部液晶モニタ3bに表示される。また、戦術設定グラフ100を表示するためのアイコン画像120が、画像データを用いて、下部液晶モニタ3bに表示される。
この状態においては、戦術設定グラフ100を表示するためのアイコン画像120が、選択されたか否かが、判断される(S26)。具体的には、タッチペンや指等の指示手段が、アイコン画像120の内部において下部液晶モニタ3bに接触したか否かが、CPU11により判断される。ここで、タッチペンや指等の指示手段が、アイコン画像120の内部において下部液晶モニタ3bに接触した場合(S26でYes)、図7に示した戦術設定グラフ100が、下部液晶モニタ3bに表示される。この状態において、上述したように、戦術設定グラフ100においてポインタPを設定すると、設定後のポインタPの位置に応じて、各影響データE(i)が設定される(S27)。また、この画面では、戦術設定グラフ100が下部液晶モニタ3bに表示された状態においては、カード状の戦術画像110を再表示するためのアイコン画像が、下部液晶モニタ3bに表示されている(図示しない)。
このように、対戦画面が上部液晶モニタ3bに表示された場合には、戦術設定グラフ100を用いて各影響データE(i)を再設定することができる。なお、戦術設定グラフ100を用いて各影響データE(i)を再設定するか否かは、監督(プレイヤ)が任意に決定することができるので、必ずしも各影響データE(i)を再設定する必要はない。
なお、タッチペンや指等の指示手段が、戦術画像110が表示された状態において、所定の時間たとえば3.0(sec)が経過した場合(S26でNo)、後述するステップ28(S28)の処理が、CPU11により実行される。
続いて、戦術画像110を再表示するためのアイコン画像が選択されたか否かが、判断される。具体的には、タッチペンや指等の指示手段が、アイコン画像の内部において下部液晶モニタ3bに接触したか否かが、CPU11により判断される。ここで、タッチペンや指等の指示手段が、アイコン画像の内部において下部液晶モニタ3bに接触した場合、戦術画像110が下部液晶モニタ3bに再表示される。すなわち、戦術設定グラフ100において各影響データE(i)を再設定した後に、指示手段をアイコン画像の内部において下部液晶モニタ3bに接触させると、5個の戦術画像110が、下部液晶モニタ3bに再表示される。
続いて、複数の影響データE(i)それぞれが示す影響の程度(重み)に基づいて、複数の戦術命令の中の少なくともいずれか1つの戦術命令が、対象戦術命令として設定される(S28)。詳細には、第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)それぞれに基づいて、第1動作カテゴリ、第2動作カテゴリ、および第3動作カテゴリの中のいずれか1つの動作カテゴリが、対象動作カテゴリとして選択される。
具体的には、乱数発生プログラムを用いて、1から100までの範囲内における1つの乱数(自然数)を生成する処理が、CPU11により実行される。そして、この乱数が1以上且つ第1影響データE(1)の値以下の場合、第1動作カテゴリに対応する動作カテゴリデータM(=1)が、対象動作カテゴリデータMtとして、CPU11に認識される。
また、この乱数が、第1影響データE(1)の値より大きく且つ第1影響データE(1)と第2影響データE(2)とを合計した値以下の場合、第2動作カテゴリに対応する動作カテゴリデータM(=2)が、対象動作カテゴリデータMtとして、CPU11に認識される。さらに、この乱数が、第2影響データE(2)の値より大きく且つ第1影響データE(1)と第2影響データE(2)と第3影響データE(3)とを合計した値以下の場合、第3動作カテゴリに対応する動作カテゴリデータM(=3)が、対象動作カテゴリデータMtとして、CPU11に認識される。このように、CPU11は、動作カテゴリデータMの認識によって、対象動作カテゴリを管理している。
なお、乱数発生プログラムは、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
続いて、5個の戦術命令の中から、対象動作カテゴリに含まれる1つ又は複数の戦術命令が、選択される。すると、対象動作カテゴリに含まれる1つ又は複数の戦術命令それぞれの選択率データSR(Mt,C)が、認識される。ここで、Mtは、上述した対象動作カテゴリデータである。そして、この選択率データSR(Mt,C)に基づいて、対象動作カテゴリに含まれる1つ又は複数の戦術命令データCの中のいずれか1つの戦術命令データCが、対象戦術命令データCtとして設定される。
具体的には、対象動作カテゴリに含まれる各戦術命令の選択率データSR(Mt,C)を、対象動作カテゴリに含まれる全ての戦術命令の選択率データSR(Mt,C)の合計(=ΣSR(Mt,C))で除算することによって、対象動作カテゴリに含まれる全選択率データΣSR(Mt,C)に対する、各選択率データSR(Mt,C)の比率R(C)(=SR(Mt,C)/ΣSR(Mt,C))を、決定する。そして、ここで決定された各選択率データの比率R(C)、すなわち上記の除算結果である選択確率に基づいて、対象戦術命令が設定される。
より具体的には、対象動作カテゴリに含まれる戦術命令が、1つである場合、上記の選択率データの比率R(C)は100(%)であるので、この戦術命令に対応する戦術命令データCがCPU11に認識され、対象戦術命令が決定される。一方で、対象動作カテゴリに含まれる戦術命令が、複数である場合、各戦術命令の選択率データの比率R(C)に応じて、戦術命令が対象戦術命令として設定される。
ここで、対象動作カテゴリに含まれる戦術命令が複数である場合の設定例を、示すと、対象動作カテゴリに含まれる複数の戦術命令が、「ミート打ち」命令および「強振」命令である場合、「ミート打ち」命令の選択率データSR(Mt,1)の比率R(1)は、44(%)(=100×80/(80+100))となり、「強振」命令の選択率データSR(2)の比率は、55(%)(=100×100/(80+100))となる。この場合、2つの比率R(1),R(2)の合計が、100(%)となっていないので、ここでは、大きい方の選択率データSR(Mt,2)の比率R(2)、すなわち「強振」命令の選択率データSR(Mt,2)の比率R(2)を、56(%)に変更することによって、2つの比率R(1),R(2)の合計が、100(%)となるように調整される。
そして、各戦術命令の選択率データSR(Mt,C)の比率R(C)が決定されると、乱数発生プログラムを用いて、1から100までの範囲内における1つの乱数(自然数)を生成する処理が、CPU11により実行される。この乱数が、1以上且つ「ミート打ち」命令の選択率データSR(Mt,1)の比率R(1)以下の場合、「ミート打ち」命令に対応する戦術命令データCt(対象戦術命令データ)が、CPU11に認識され、「ミート打ち」命令が対象戦術命令として設定される。また、この乱数が、「ミート打ち」命令の選択率データSR(Mt,1)の比率R(1)より大きく、且つ「ミート打ち」命令の選択率データSR(Mt,1)の比率R(1)と「強振」命令の選択率データSR(Mt,2)の比率R(2)とを合計した値以下の場合、「強振」命令に対応する戦術命令データCt(対象戦術命令データ)が、CPU11に認識され、「強振」命令が対象戦術命令として設定される。
ここでは、対象動作カテゴリに含まれる複数の戦術命令が、「ミート打ち」命令および「強振」命令である場合の例を示したが、複数の戦術命令の組み合わせが、他の組み合わせであっても、上記と同様の形態で、対象戦術命令を設定することができる。
上記のようにして、対象戦術命令データCtがCPU11に認識され、対象戦術命令(最終指示命令)が設定されると、対象戦術命令データに対応する戦術画像110が、強調表示される(S29)。このようにして、選手キャラクタに指示される対象戦術命令が、プレイヤ(監督)に報知される。すると、対象戦術命令が、選手キャラクタに対して指示される(S30)。詳細には、監督が戦術を指示するチームが、攻撃サイドである場合、対象戦術命令は、打者キャラクタおよび走者キャラクタの少なくともいずれか一方の選手キャラクタに対して、指示される。一方で、監督が戦術を指示するチームが、守備サイドである場合、対象戦術命令は、投手キャラクタに対して、指示される。
なお、ここでは、1つの対象戦術命令データCtに対応する対象戦術命令が、選手キャラクタに対して指示される場合の例を示したが、複数の対象戦術命令を設定して、これら複数の対象戦術命令を選手キャラクタに指示できるようにしても良い。この場合、上記の選択確率を用いて複数の対象戦術命令データCtを設定することにより、複数の対象戦術命令を、選手キャラクタに同時に指示することができる。
ここで、対象戦術命令は、自動制御プログラムによって自動制御されている選手キャラクタに対する割込命令に、相当する。すなわち、自動制御プログラムに基づいて各選手キャラクタに対して自動的に発行される複数の制御命令において、対象戦術命令に対応する制御命令が、対象戦術命令に置き換えられる。このように、対象戦術命令は、自動制御プログラムによる制御命令より優先され、対象となる選手キャラクタに対して実行される。
具体的には、対象戦術命令が、「ミート打ち」命令又は「強振」命令であった場合、この命令が打者キャラクタに対して指示される。すると、ミートカーソルが、所定の大きさに、拡大又は縮小される。また、対象戦術命令が「セーフティバント」命令であった場合、この命令が打者キャラクタに対して指示される。すると、バットとボールとの反発力を示すデータが、バント用の反発力データに変更される。
また、対象戦術命令が「盗塁」命令であった場合、この命令が走者キャラクタに対して指示される。すると、投手キャラクタが投球を開始したときに、走者キャラクタが盗塁を実行する。また、対象戦術命令が「エンドラン」命令であった場合、この命令が打者キャラクタおよび走者キャラクタに対して指示される。すると、打者キャラクタはスイングを行い、走者キャラクタは、投手キャラクタが投球を開始したときに、次に塁に向けてスタートする。さらに、対象戦術命令が「ボールを見ていけ」命令であった場合、この命令が打者キャラクタに対して指示される。すると、打者キャラクタは、ボールを見逃す。
また、対象戦術命令が、「内角を攻めろ」命令、「外角をねらえ」命令、「低めをねらえ」命令、および「クサいところをねらえ」命令のいずれかであった場合、この命令が投手キャラクタに対して指示される。すると、投手キャラクタは、命令に対応するコースにボールを投球する。また、対象戦術命令が、「盗塁を警戒」命令であった場合、この命令が投手キャラクタに対して指示される。すると、投手キャラクタは、クイックモーションで投球を行う。さらに、対象戦術命令が、「1球はずせ」命令であった場合、この命令が投手キャラクタに対して指示される。すると、投手キャラクタは、ストライクゾーンから外れたコースにボールを投球する。
なお、対象戦術命令が各選手キャラクタに対して指示された場合、各選手キャラクタを制御するために必要となる他の制御命令は、自動制御プログラムに基づいて、各選手キャラクタに対して指示される。すなわち、対象戦術命令が各選手キャラクタに対して指示された場合は、対象戦術命令と、この対象戦術命令を除いた他の制御命令(自動制御プログラムによる制御命令)によって、各選手キャラクタは制御される。
続いて、対象戦術命令が選手キャラクタに対して指示した結果が、上部液晶モニタ3aに表示された対戦画面に表示される(図示しない)。たとえば、対象戦術命令が打者キャラクタ及び/又は走者キャラクタに対して指示された場合、次に示す内容の画像が、上部液晶モニタ3bに表示される。打者キャラクタが、ボールを打ち返した場合には、対戦状態、飛球状態、および飛球結果が、上部液晶モニタ3bに表示される。また、走者キャラクタが走塁を行った場合には、対戦状態、走塁状態、および走塁結果が、上部液晶モニタ3bに表示される。さらに、打者キャラクタがボールを見送った場合には、対戦状態およびその結果がカウントされる。
一方で、対象戦術命令が投手キャラクタに対して指示された場合、次に示す内容の画像が、上部液晶モニタ3bに表示される(図示しない)。投手キャラクタが、投球コースに関する対象戦術命令に基づいて投球する場合、対戦状態および投球結果が、上部液晶モニタ3bに表示される。また、投手キャラクタが、モーションに関する対象戦術命令に基づいて投球する場合も、対戦状態および投球結果が、上部液晶モニタ3bに表示される。
なお、試合イベントにおける対戦が、自動制御プログラムに基づいてCPU11により制御されているときには、スコアボード画像が、画像データを用いて上部液晶モニタ3bに表示されている。そして、1回が終了するごとに、その回の結果すなわち点数が、スコアボード上に表示される。そして、上記のステップ22(S22)の条件が満足された場合には、スコアボード画像が消去され、対戦画面が、上部液晶モニタ3bに表示される。
続いて、試合イベントが終了したか否かが、判断される(S31)。そして、試合イベントが終了した場合(S31でYes)、この試合イベントにおいて最も使用頻度の高かった影響データE(i)に関連付けられた頻度データDh(i)を、インクリメントする処理が、CPU11により実行される(S32)。この処理は、各試合イベントが終了したときに実行される。そして、所定数の試合イベントが終了したか否かが、CPU11により判断される(S33)。ここで、所定数の試合イベントが実行された場合(S33でYes)、頻度データDh(i)に基づいて、高頻度の影響データEm(i)に対応する範囲データが変更され(S34)、この範囲データに基づいて、戦術設定グラフ用の画像データの形状が変更される(S35)。そして、変更後の画像データが、RAM13に格納される。なお、ここで変更された画像データは、次の試合イベントにおいて戦術設定グラフ100が下部液晶モニタ3bに表示されるときに、用いられる。
なお、ステップ31でNoの場合、ステップ22(S22)の処理が、CPU11により実行される。また、ステップ33でNoの場合、後述するステップ36(S36)の処理が、CPU11により実行される。
ここで、上記のステップ32(S32)からステップ35(S35)までの処理についての詳細を、以下に示しておく。試合イベントが終了した場合(S31でYes)、この試合イベントにおいて、第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)の中で、最も使用頻度の高かった影響データE(im)が、検出される。
たとえば、1つの試合イベントにおいて各影響データE(i)が支配した回数を示すイニング数データNJ(i)が、CPU11により計算され、最も大きいイニング数データNJ(i)を有する影響データE(i)(第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)のいずれか1つ)が、最も使用頻度の高かった影響データE(im)として、CPU11により検出される。
具体的には、1つの回の中で最も多くの対戦に影響した影響データE(i)を、その回を支配した影響データE(i)とし、この影響データE(i)に対応するイニング数データNJ(i)をインクリメントする処理が、CPU11により実行される。この処理を、1つの試合イベントの全ての回において実行することによって、1つの試合イベントにおいて各影響データE(i)が支配した回数を示すイニング数データNJ(i)が、計算される。最も大きいイニング数データNJ(i)を有する影響データE(i)が、最も使用頻度の高かった影響データE(im)として、CPU11により検出される。すると、ここで検出された影響データE(im)に関連付けられた頻度データDh(im)をインクリメントする処理が、CPU11により実行される(S32)。
ここで、imは、1つの試合イベントにおいて最も使用頻度の高かった影響データを定義するための変数であり、1から3までのいずれか1つの自然数をとる。なお、頻度データDh(i)の初期値はゼロ(0)である。以下では、第1影響データ用の頻度データDh(1)、第2影響データ用の頻度データDh(2)、および第3影響データ用の頻度データDh(3)それぞれを、第1頻度データ、第2頻度データ、第3頻度データと呼ぶ。
続いて、所定数の試合イベントが実行されたか否かが、判断される(S33)。具体的には、10試合分の試合イベントが終了したか否かが、CPU11により判断される。そして、10試合分の試合イベントが終了した場合、第1頻度データDh(1)、第2頻度データDh(2)、および第3頻度データDh(3)の中から、最大頻度データDhm(i)が、CPU11により検出される。そして、最大頻度データDhm(i)を有する影響データEm(i)が、高頻度の影響データとして、CPU11により検出される。そして、最大頻度データDhm(i)および高頻度の影響データEm(i)が、RAM13に格納される。なお、最大頻度データDhm(i)は、高頻度の影響データEm(i)が試合イベントを支配した支配試合数に、対応している。
続いて、高頻度の影響データEm(i)に対応する範囲データの上限値H(i,2)が大きくなるように、範囲データH(i,j)が変更される(S34)。具体的には、上記の支配試合数に基づいて、範囲データの上限値H(i,2)を、初期条件の値と最大値との間の値に変更する処理が、CPU11により実行される。ここでは、図10に示すように、高頻度の影響データEm(i)に対応する範囲データの上限値H(i,2)が、たとえば、80(%)と100(%)との間の値に、変更される。詳細には、高頻度の影響データEm(i)に対応する範囲データの上限値H(i,2)が、たとえば、85(%)と95(%)との間の値に、変更される。
なお、図10に示した、支配試合数Dhm(i)と範囲データの上限値H(i,2)との対応関係は、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
すると、範囲データの上限値H(i,2)の変更に応じて、戦術設定グラフ100の頂点Q1,Q2,Q3と重心Gとを結ぶ線分の長さが変更される(S35)。たとえば、第1範囲データの上限値H(1,2)が変更された場合は、この変更量に比例して、第1頂点Q1と重心Gとを結ぶ第1線分S1の長さが延長される。また、第2範囲データの上限値H(2,2)が変更された場合は、この変更量に比例して、第2頂点Q2と重心Gとを結ぶ第2線分S2の長さが延長される。さらに、第3範囲データの上限値H(3,2)が変更された場合は、この変更量に比例して、第3頂点Q3と重心Gとを結ぶ第2線分S2の長さが延長される。
このようにして、戦術設定グラフ用の画像データの形状が、変更され、変更後の画像データがRAM13に格納される。ここでRAM13に格納された画像データは、上述したステップ19(S19)およびステップ26でYes(S26でYes)の場合において、RAM13から読み出され、下部液晶モニタ3bに表示される。すなわち、所定数の試合イベント(ex. 10試合イベント)ごとに、監督(プレイヤ)の戦術の特徴が、戦術設定グラフに反映される。なお、図11には、第1影響データE(1)が試合イベントを最も支配していた場合に設定される戦術設定グラフ、すなわち監督が攻撃的な戦術を多用した場合に設定される戦術設定グラフが、一例として示されている。
続いて、監督モードを終了するための命令が、プレイヤによる入力部4の操作によって、指示されたか否かがが、CPU11により判断される(S36)。そして、監督モードを終了するための命令が、プレイヤにより指示された場合(S36でYes)、監督モードにおける、各種データ、および本システムで使用するデータを含む継続用のデータ等が、RAM13に格納され(S37)、監督モードが終了する。ここで、RAM13に格納されたデータを、外部記憶装置17たとえばメモリ19に格納するようにしても良い。
なお、ステップ36でNoの場合、ステップ18(S18)の処理がCPU11により実行される。ここでは、ステップ36でNoのときにステップ18(S18)の処理が実行される場合の例を示したが、ステップ36でNoのときにステップ11(S11)の処理を実行するようにしても良い。
上記のような第1実施形態では、攻撃的な戦術命令が属する第1動作カテゴリ、守備的な戦術命令が属する第2動作カテゴリ、および走塁に関する戦術命令が属する第3動作カテゴリそれぞれの影響データEm(i)に基づいて、攻撃的な戦術命令データC、守備的な戦術命令データC、および走塁に関する戦術命令データCのいずれか1つの戦術命令データCが、対象戦術命令データCtとして、設定される。そして、ここで設定された対象戦術命令データCtが、選手キャラクタに対して指示される。これにより、プレイヤは影響データE(i)を設定するだけで、自分の戦術を、選手キャラクタに対して容易に伝達することができる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態の内容について説明する。ゲーム装置の構成および動作については、第1実施形態と同じである。
ゲーム装置における各種処理概要については、第2実施形態は、選択率設定手段52および思考命令選択手段57を備えていない。また、第2実施形態のその他の手段は、第1実施形態の命令設定手段59を除いて、第1実施形態の手段と同じであるため、同じ手段については、詳細な説明を省略する。なお、本システムにおいて実行される処理は、主に、制御装置10において実行される。
第2実施形態では、命令設定手段159が、第1実施形態とは異なる。第2実施形態の命令設定手段159は、複数の影響データそれぞれが試合イベントに与える影響の程度に基づいて、複数の戦術命令の中の少なくともいずれか1つの戦術命令データCを、対象戦術命令データCtとして設定する機能を備えている。
詳細には、この手段では、複数の影響データそれぞれに対応する比率で、複数の動作カテゴリそれぞれに含まれる1つ又は複数の戦術命令データCが選択される。そして、選択された1つ又は複数の戦術命令データCの中の少なくともいずれか1つの戦術命令データCが、対象戦術命令データCtとして、設定される。
ここで、対象戦術命令データCtを設定するときには、入力部4からの入力信号又は乱数を用いた計算に基づいて、選択された1つ又は複数の戦術命令データCの中の少なくともいずれか1つの戦術命令データCが、対象戦術命令データCtとして、設定される。
野球ゲームにおける戦術反映システムの概要については、第2実施形態の野球ゲームの全体概要は、第1実施形態と同じであるため、説明は省略する。また、第2実施形態では、第1実施形態のステップ24(S24)からステップ28(S28)までの処理が、第1実施形態とは異なる。このため、この部分についてのみ、詳細な説明を行う。なお、ここで説明する処理に関するフローは、図14に示す。また、第1実施形態と同じ内容については、同じ符号を付している。
第2実施形態では、ステップ23(S23)の処理がCPU11により実行されると、全影響データΣE(i)に対する各影響データE(i)の比率(=E(i)/ΣE(i))に応じて、1つの動作カテゴリごとに1つ又は複数のカテゴリ枠を設定する処理が、CPU11により実行される(S114)。ここでは、各動作カテゴリのカテゴリ枠を総計した数は、所定数たとえば5個に設定されている。CPU11は、カテゴリ枠の数は、枠データW(i)によって管理する。この枠データW(i)の上限値は、所定数たとえば5である。なお、ここに示すΣE(i)は、「ΣE(i)=E(1)+E(2)+E(3)」を示す記号である。
この場合、たとえば、第1影響データE(1)、第2影響データE(2)、および第3影響データE(3)それぞれが、60(%)、20(%)、20(%)である例を用いて説明すると、第1動作カテゴリ用のカテゴリ枠に対する第1枠データW(1)には、3(=5×60/100)が割り当てられる。また、第2動作カテゴリ用のカテゴリ枠に対する第2枠データW(2)には、1(=5×20/100)が割り当てられる。さらに、第3動作カテゴリ用のカテゴリ枠に対する第3枠データW(3)には、1(=5−3−1)が割り当てられる。このように、影響データE(i)が大きい順に、枠データW(i)が設定される。
ここで、各影響データE(i)の配分によっては、枠データW(i)が小数になる場合がある。この場合は、小数点以下を切り捨てて、枠データW(i)を設定する。ここでは、最も小さな影響データE(i)に対応する枠データW(i)は、枠データW(i)の上限値から、最も小さな影響データE(i)に対応する枠データW(i)を除いた他の枠データW(i)の合計を減算することによって、算出される。これにより、枠データW(i)が小数になることがあっても、複数の枠データW(i)の合計を、所定数たとえば5個に設定することができる。なお、枠データW(i)は、ゼロ以上且つ所定数以下の自然数をとる。
上記のようにして、各影響データE(i)に対応する枠データW(i)が設定されると、各動作カテゴリの枠データW(i)が示す枠数に応じた戦術命令が、CPU11によりランダムに選択される(S115)。たとえば、上記の例では、第1枠データW(1)は3(個)であるので、第1動作カテゴリに含まれる3個の戦術命令データCが、ランダムに抽出される。同様に、第2動作カテゴリに含まれる1個の戦術命令データC、および第3動作カテゴリに含まれる1個の戦術命令データCそれぞれが、ランダムに抽出される。
ここで、戦術命令データCは、乱数発生プログラムを用いて、ランダムに抽出される。第1動作カテゴリでは、乱数発生プログラムによって生成された乱数の下二桁の値と同じ値を有する戦術命令データCが、3個抽出される。また、第2動作カテゴリでは、乱数の下二桁の値と同じ値を有する戦術命令データCが、1個抽出される。さらに、第3動作カテゴリでは、乱数の下二桁の値と同じ値を有する戦術命令データCが、1個抽出される。なお、この乱数発生プログラムは、ゲームプログラムにおいて予め規定されており、ゲームプログラムがロードされたときに、外部記憶装置17のROM18から読み出され、RAM13に格納されている。
続いて、所定数の戦術命令データC、たとえば5個の戦術命令データCが、設定されると、5個の戦術命令データCの中のいずれか1つの戦術命令データCが、ランダムに選択される。そして、ここで選択された戦術命令データCが、対象戦術命令データCtとして、設定される(S116)。ここで、5個の戦術命令データCの中から1つの戦術命令データCをランダムに選択するには、上述した乱数発生プログラムが用いられる。たとえば、乱数発生プログラムによって生成された乱数の下二桁の値と同じ値を有する戦術命令データCが、対象戦術命令データCtとして、設定される。
上記のように、対象戦術命令データCtが設定されると、第1実施形態のステップ29(S29)の処理が、CPU11により実行される。
上記のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、上記の第2実施形態では、所定数の戦術命令データC(ex. 5個の戦術命令データC)の中のいずれか1つの戦術命令データCが、ランダムに選択される場合の例を示したが、所定数の戦術命令データCの中のいずれか1つの戦術命令データCは、入力部4からの入力信号に基づいて、選択されるようにしても良い。この場合は、プレイヤが入力部4の所定のボタンを操作することによって、最終的な戦術命令データCtが選択される。
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、ゲームプログラムを適用しうるコンピュータの一例としての携帯ゲーム機を用いた場合の例を示したが、コンピュータは、前記実施形態に限定されず、モニタが別体に構成されたゲーム装置、モニタが一体に構成されたゲーム装置、ゲームプログラムを実行することによってゲーム装置として機能するパーソナルコンピュータやワークステーションなどにも同様に適用することができる。
(b)前記実施形態では、入力手段として接触入力式のモニタを用いる場合の例が示されたが、入力手段は、前記実施形態に限定されず、どのようにしても良い。たとえば、接触入力式のモニタからの入力に代えて、ボタン等の入力部からの入力を行って良い。
(c)前記実施形態では、戦術設定グラフ100の各頂点Q1,Q2,Q3と重心Gとを結ぶ線上において、ポインタPを移動することによって、各影響データE(i)を設定する場合の例を示したが、各影響データE(i)の設定形態は、前記実施形態に限定されず、どのようにしても良い。たとえば、図15に示すように、戦術設定グラフ200の内部の任意の一点をポインタPで指示することによって、各影響データE(i)を設定するようにしても良い。この場合、戦術設定グラフ200を構成する各辺と、戦術設定グラフ200を構成する各辺の中点およびポインタPを結ぶ線とで囲まれた3つの多角形の面積SP1,SP2,SP3の比率に応じて、各影響データE(i)を設定される。
(d)本発明には、前述したようなゲームを実行するプログラムおよびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も含まれる。この記録媒体としては、カートリッジ以外に、たとえば、コンピュータ読み取り可能なフレキシブルディスク、半導体メモリ、CD−ROM、DVD、MO、ROMカセット、その他のものが挙げられる。