JP2012019021A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫化物半導体を用いる光電変換素子において、JV特性を向上させる。
【解決手段】光電変換素子10は、キャリア輸送層12と硫化物半導体材料で構成される光吸収層14とが接合された構造体16を、第1電極18と第2電極20とで挟み込んだものである。ここで、第1電極18は透明導電性材料からなるものであり、第2電極20はCuからなるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
従来より、硫化物半導体を用いた光電変換素子が知られている。硫化物半導体としては、CIGS,CIS,CZTSなどの多元系硫化物や、SnS,CdSなどの二元系硫化物が用いられる。多元系硫化物を用いた光電変換素子の電極には、通常Moが用いられる(例えば非特許文献1)。その理由は、多元系硫化物の膜を堆積させた後に、硫化水素などで処理するが、その処理工程においてガラス基板が損傷を受けるのを抑制するためである。一方、二元系硫化物を用いた光電変換素子の電極にも、通常MoやAuが用いられる(例えば非特許文献2)。
書籍"化合物薄膜太陽電池の最新技術"、和田隆博著、CMC出版 Jpn.J.Appl.Phys., vol.47(2008), p8723-8725
しかしながら、硫化物半導体を用いた光電変換素子の電極材料について、電流密度−電圧特性(JV特性)を向上させるという観点からの最適化は未だ十分検討されていない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、硫化物半導体を用いる光電変換素子において、JV特性を向上させることを主目的とする。
本発明の光電変換素子は、キャリア輸送層と硫化物半導体材料で構成される光吸収層とが接合された構造体を一対の電極で挟み込んだ光電変換素子であって、前記一対の電極のうち、キャリア輸送層側の電極は光透過性導電材料からなるものであり、光吸収層側の電極はCuからなるものである。ここで、硫化物半導体としては、例えばSnS,Sb23,CdS,FeS2などが挙げられる。
本発明の光電変換素子によれば、光吸収層側の電極としてAuを用いた場合と比較してJV特性が向上する。その理由は、定かではないが、硫化物半導体とCuとの部分的な反応により、電荷分離及びキャリア輸送のうち少なくとも一方に良好な影響を与える界面が形成されたと考えられる。具体的には、第1に、Cuと硫化物とが混ざった反応層が形成され、硫化物表面に存在した再結合の原因となる欠陥が抑制された可能性がある。第2に、Cuと硫化物とが反応し、徐々にバンドギャップが変わるダイヤグラムを形成している可能性がある。こうしたダイヤグラムは電荷分離に有利に働く。この点について、キャリア輸送層としてTiO2、光吸収層としてSnSを用いた光電変換素子のバンドダイヤグラムにつき、図8を用いて詳説する。図8(a)はCu電極を用いていない場合に想定されるバンドダイヤグラムを示し、図8(b),(c)はCu電極を用いた場合に想定されるバンドダイヤグラムを示す。図8(a)では、バンド端のキャリアは拡散伝導で外部回路に輸送される。つまり、光励起されたキャリアの駆動力はキャリアの濃度勾配だけである。一方、Cu電極を用いた場合、SnS/Cu界面が反応することでCu2S又はCu2-xS(0<x<2)が形成された可能性があるが、その場合には、Cu2SやCu2-xS(0<x<0.2)はSnSよりもバンドギャップが狭いため、図8(b)のようなバンドダイヤグラムになると考えられる。このバンドダイヤグラムでは、SnSのバンドギャップはCu電極に近づくにつれて徐々に狭くなっていくので、光励起されたキャリア(ここではホール)がバンドギャップの違いによりドリフトでCu電極方向へ流れていく。また、Cu−Sn−S化合物の種類によっては、あるいはCu2-xS(2>x>0.2)では、SnSに比べてバンドギャップが拡大するため、その場合には、図8(c)のようなバンドダイヤグラムになると考えられる。このバンドダイヤグラムでは、伝導帯の励起電子がドリフトによりTiO2側へ輸送される。したがって、Cu電極を採用することによって、図8(b),(c)のように徐々にバンドギャップが変わる構造が形成され、光励起されたキャリアが拡散伝導に加えてドリフト伝導によって高い確率で外部回路に取り出されると考えられる。
光電変換素子10の構成を示す概略断面図である。 電池モジュール100の構成を示す概略断面図である。 キャリア輸送層12,光吸収層14及び第2電極20の構造がナノ構造の場合の模式図である。 実施例1及び比較例1,2で作製した光電変換素子の構成を示す概略断面図である。 実施例1及び比較例1,2,3の波長とJVとの関係を表すグラフである。 実施例1及び比較例1の波長とIPCEとの関係を表すグラフである。 実施例1及び比較例1,2の波長とAPCEとの関係を表すグラフである。 バンドギャップダイヤグラムであり、(a)はCu電極を用いていないオリジナルのダイヤグラム、(b),(c)はCu電極を用いた場合に想定されるダイヤグラムである。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の光電変換素子10の構成を示す概略断面図である。
光電変換素子10は、キャリア輸送層12と光吸収層14とが接合された構造体16を、第1電極18と第2電極20とで挟み込んだものである。この光電変換素子10は、キャリア輸送層12と光吸収層14の周囲にシール材22を有している。
キャリア輸送層12は、光吸収層14で発生した電子を第1電極18へ輸送する層である。このキャリア輸送層12の材料としては、例えば、TiO2、ZnO、SnO2、ZnS、CdSなどに代表されるn型ワイドギャップ半導体材料が挙げられるが、これらのうちTiO2が好ましい。TiO2の結晶構造としては、例えば、ルチル型、アナターゼ型が挙げられ、これらのうちアナターゼ型が好ましい。その理由は、アナターゼ型及びルチル型のバンドギャップは、それぞれ3.2eV及び3.0eVであり、アナターゼ型のほうが伝導帯の下端のエネルギー準位が高く、開放端電圧が高いという報告や、太陽電池ではアナターゼ型がルチル型よりも効率が高いという報告があるからである(Chem.Mater., vol.14, p2930(2002))。TiO2粒子としては、アナターゼ型粒子を単独で使用してもよく、アナターゼ型とルチル型との混合粒子を使用してもよい。TiO2粒子の粒子径は5nm〜500nmとするのが好ましい。TiO2粒子の粒子径が5nm未満では、粒子径が上記範囲にある場合と比べて、キャリア輸送層12の細孔径が小さくなりすぎ、拡散抵抗が増大するおそれがある。一方、粒子径が500nmを超えると、粗大粒子によりキャリア輸送層12内の応力が増大して機械的強度が不足しキャリア輸送層12が剥がれやすくなるおそれがある。また、拡散抵抗をより低く抑えると共にキャリア輸送層12をより剥がれにくくするには、TiO2粒子の粒子径を10nm〜100nmとするのが好ましい。さらに、特開2000−106222号公報に記載されるように、粒子径の大きいTiO2粒子(10nm〜300nm)と粒子径の小さいTiO2粒子(10nm以下)とを混在させてもよい。この場合、キャリア輸送層12に入射する入射光が、大きい粒子によってキャリア輸送層12の内部で散乱されるためエネルギー変換効率が向上する。
光吸収層14は、キャリア輸送層12のうち第1電極18とは反対側に積層されたものである。この光吸収層14は、VI族化合物半導体材料である硫化物半導体材料からなるものであり、例えば、SnS,Sb23,CdS,FeS2からなる群より選ばれたものが挙げられるが、キャリア輸送層12とは異なる材料を選ぶ必要がある。これらのうち、SnSが好ましい。SnSは、可視光領域における光吸収係数が105cm-1、バンドギャップが1.1〜1.4eVであり、太陽電池の光吸収層として好適な光電子特性を有しているからである。
第1電極18は、透明基板19のうちキャリア輸送層12側に積層されている。この第1電極18の材質としては、光を透過する導電材料であれば特に限定されないが、例えば、ITO,FTO,アンチモンドープ酸化スズ(SnO2−Sb)等が挙げられる。また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン又は陰イオンをドープしたものや、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極を透明基板19上に設けたものも使用できる。なお、透明基板19としては、ガラス基板のほか、ガラス基板表面を適当に荒らすなどして光の反射を防止したものやすりガラス状の半透明のガラス基板などの光を透過する基板、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などを用いることもできるが、透明なガラス基板が好ましい。
第2電極20は、Cuからなるものである。この第2電極20の膜厚は、特に限定するものではないが、5−1000nmであることが好ましい。5nm未満では均質なCu薄膜を形成することが難しいからであり、1000nmを超えても性能が向上するわけではなく経済的見地から好ましくないからである。
シール材22は、キャリア輸送層12や光吸収層14が外気と接触するのを防止するためのものである。このシール材22としては、例えば、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂フィルム、あるいはエポキシ系接着剤を使用することができる。
次に、光電変換素子10の作用について説明する。キャリア輸送層12と光吸収層14との接合部付近には、伝導電子とホールとがお互いに拡散して結びつくことで打ち消し合った結果、伝導電子と正孔の少ない領域(空乏層)が形成される。この空乏層のうち、キャリア輸送層側は電子が足りなくなっているためプラスに帯電し、光吸収層側は余分に電子をもらっているためマイナスに帯電する。このため、空乏層には内部電界が生じる。光電変換素子10に光が当たると、その光のエネルギーによって半導体の価電子が励起され、新たに伝導電子と正孔が発生する(電荷生成)。太陽光の吸収を考えた場合、キャリア輸送層12はワイドバンドギャップなので、太陽光のほとんどが透過し、光吸収層14で吸収され、電荷が生成される。光吸収層14で発生した伝導電子は内部電界に導かれてキャリア輸送層12へ移動し、正孔は第2電極20へ移動する(キャリア輸送)。その結果、第1電極18と第2電極20との間に負荷を接続すると、負荷に応じた起電力が発生し電流が流れる。この起電力は光を当てている間持続される。
この光電変換素子10では、光吸収層14をなす硫化物半導体と第2電極20をなすCuとの部分的な反応により、電荷分離及びキャリア輸送のうち少なくとも一方に良好な影響を与える界面が形成されたと考えられる。具体的には、第1に、Cuと硫化物半導体とが混ざった反応層が形成され、硫化物半導体表面に存在した再結合の原因となる欠陥が抑制された可能性がある。第2に、Cuと硫化物半導体とが反応し、徐々にバンドギャップが変わるダイヤグラムを形成している可能性がある。こうしたダイヤグラムは電荷分離に有利に働く。この点については、図8を用いて既に説明したとおりである(発明の効果の欄を参照)。すなわち、Cuからなる第2電極20を採用することによって、図8(b),(c)のように徐々にバンドギャップが変わる構造が形成され、拡散伝導に加えてドリフト伝導によって光励起キャリアが高い確率で外部回路に取り出されると考えられる。
次に、光電変換素子10の製法について説明する。まず、スプレーコート法等の公知の薄膜製造技術を用いてガラス基板などの透明基板19に膜状の第1電極18を形成する。あるいは、第1電極18がコートされた透明基板19を購入してもよい。
続いて、第1電極18上にキャリア輸送層12を形成する。具体的には、所定の大きさ(例えば粒子径が20〜400nm程度)のn型ワイドギャップ半導体粒子を分散させた分散液を調製し、この分散液を第1電極18上にバーコーター法や印刷法などにより塗布し、乾燥後焼成することによりキャリア輸送層12を形成してもよい。あるいは、電子ビーム蒸着、抵抗加熱蒸着、スパッタ蒸着、クラスタイオンビーム蒸着等の物理堆積法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)等の化学堆積法により第1電極18上にn型ワイドギャップ半導体からなるキャリア輸送層12を形成してもよい。
続いて、キャリア輸送層12上に光吸収層14を形成する。具体的には、電子ビーム蒸着、抵抗加熱蒸着、スパッタ蒸着、クラスタイオンビーム蒸着等の物理堆積法又はCVDやCBD(Chemical Bath Deposition)、SILAR(Successive Ionic Layer Adsorption and Reaction)等の化学堆積法によりキャリア輸送層12上に硫化物半導体材料からなる薄膜を形成し、その後、加熱することにより光吸収層14を形成する。なお、蒸着は複数回繰り返してもよい。加熱条件は、硫化物半導体が表面改質層を持つように設定するのが好ましい。表面改質層を備えた硫化物半導体とは、硫化物半導体の表面に硫黄より電気陰性度の高い元素(例えばO,N,F,Cl又はBr、好ましくはO)が吸着したものである。具体的には、硫黄より電気陰性度の高い元素を含む雰囲気中で温度が180〜210℃になるように加熱してもよい。この場合、加熱対象物を180〜210℃の加熱炉内に入れ、その薄膜の温度が加熱炉の温度と略同じになるのに要する時間が経過したあとに加熱炉から取り出すようにしてもよい。あるいは、加熱対象物を210℃を超える温度(例えば400℃とか500℃)の加熱炉内に入れ、その薄膜の温度が180〜210℃に収まるような時間が経過したあとに加熱炉から取り出すようにしてもよい。
続いて、光吸収層14上に第2電極20を形成する。具体的には、電子ビーム蒸着、抵抗加熱蒸着、スパッタ蒸着、クラスタイオンビーム蒸着等の物理蒸着法又はCVD等の化学蒸着法により光吸収層14上にCuからなる薄膜状の第2電極20を形成してもよい。あるいは、所定の大きさのCu微粒子を分散させた分散液を調製し、この分散液を光吸収層14上にバーコーター法や印刷法などにより塗布し、乾燥後焼成することにより第2電極20を形成してもよい。そして、最後にキャリア輸送層12及び光吸収層14の側面をシール材22で被覆し、光電変換素子10が完成する。
以上詳述した本実施形態の光電変換素子10は、第2電極20としてCuを用いているため、第2電極20としてAuを用いた場合と比較してJV特性が向上する。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、一つの光電変換素子10について説明したが、図2に示すように複数の光電変換素子(以下、単セルという)110を直列に接続した電池モジュール100としてもよい。単セル110は、図2で一点鎖線で囲まれた部分である。この単セル110の各構成要素は、光電変換素子10の各構成要素の符号に100を加えたものであるため、その説明を省略する。但し、一つの単セル110の第2電極120は、セルの厚み方向に屈曲されて隣接する一方の単セル110の第1電極118と電気的に接続されているが、隣接する他方の単セル110の第1電極118や隣接する両方の単セル110の第2電極120とはシール材122により電気的に絶縁されている。また、透明基板119はすべての単セル110に共通の部材である。この電池モジュール100は、高出力が要求される場合に有効である。また、平面的なスペースに配置することが可能である。なお、電池を配置するスペースによっては、複数の光電変換素子10を縦方向に積み上げて直列接続してもよい。もちろん並列接続することも可能である。
上述した実施形態では、キャリア輸送層12及び光吸収層14の微細構造については触れなかったが、例えば、これらの層をスパッタや真空蒸着などの成膜技術を利用して順次形成した場合には、各層が略均一な厚みの膜として積層した構造となる。一方、キャリア輸送層12をスクリーン印刷とそれに続く加熱処理により凹凸を有する薄膜として形成し、光吸収層14をSILAR法により形成し、第2電極20を真空蒸着などの成膜技術を利用して形成した場合には、図3に示すようなナノ構造となる。このナノ構造では、複数の突起を有するキャリア輸送層12の表面が薄膜の光吸収層14で被覆されており、その突起同士の間に第2電極20が浸透している。こうしたナノ構造を作製する具体的な手順の一例を以下に示す。まず、ITOガラス基板を用意し、そのITOガラス基板にスクリーン印刷によりキャリア輸送層12としてTiO2微粒子薄膜を形成し、大気中150℃で10分間加熱後、同様に大気中450℃で2時間加熱する。その後、光吸収層14としてSnS薄膜をSILAR法で作製する。SILARは、以下のようにして行う。(1)TiO2微粒子薄膜が形成されたITOガラス基板を、SnCl2・2H2O水溶液(0.025M)に10秒浸漬した後、表面に吸着した余分な薬品を水洗する。(2)同様に、基板を、Na2S・9H2O水溶液(0.025M)に10秒浸漬した後、水洗する。(3)上記(1)、(2)を1サイクルとして、サイクル数を変えて膜厚を変化させる。その後、メッキ法により第2電極20を形成することにより、図3のナノ構造とすることができる。実際に、SILARプロセスのサイクル数に対する膜の色の変化を観察したところ、0サイクルではTiO2微粒子薄膜は透明であり、SILARプロセスによりTiO2微粒子薄膜の領域のみ変色し、サイクル数が増えるにしたがい色が濃くなっていった。また、SILARプロセスのサイクル数に対応してXRDスペクトルを測定したところ、サイクル数が2回以上で、斜方晶SnSの結晶に起因するピークが観察された。図3では、光吸収層14の膜厚は、上述した実施形態と同程度であるが、入り組んだ構造をしているので、光吸収層14を通過する光路長は上述した実施形態よりも長くなる。また、膜厚自体は薄いため、光励起により生じたキャリアの再結合を抑えることができ、キャリアを有効に外部回路へ取り出すことができる。
上述した実施形態では、キャリア輸送層12の材料として、n型ワイドギャップ半導体材料を例示したが、NiO,SnO,CuMO2(M=Al,Ga,In,Sc,Y),SrCu22などに代表されるp型ワイドギャップ半導体材料を用いてもよい。但し、光吸収層14と異なる材料を選択する必要がある。
[1]光電変換素子(以下、素子ともいう)の作製
・実施例1
作製した素子は、図4に示すように、ガラス基板(透明基板)上に、ITO(第1電極)、TiO2(キャリア輸送層)、SnS(光吸収層)、Cu(第2電極)が堆積されたものである。それぞれの膜厚は、ITO:145nm,TiO2:50nm,SnS:50nm,Cu:300nmである。以下に素子作製手順の詳細を示す。
(1)基板準備
有機溶媒中での超音波処理により,ITO基板(ITO薄膜を堆積したガラス基板)を洗浄した。
(2)TiO2薄膜形成
ITO基板の洗浄後、膜厚50nmのTiO2薄膜(キャリア輸送層)をRFマグネトロンスパッタ法により、表1の成膜条件Aで成膜した。成膜後、管状炉に試料を導入し、大気中にて500℃で30分間加熱した。
(3)SnS薄膜形成と後処理
その後、SnS薄膜(光吸収層)を表1の成膜条件Bで成膜した。成膜後、大気中で加熱処理を行った。具体的には、作製した試料を、あらかじめ230℃に保持した電気炉中央部へ挿入し、15分間放置した後(基板表面温度は200℃)、試料を取り出した。処理前後で試料の見た目(肉眼)は違いがなかったが、XPSによる表面の元素組成比を調べた結果、処理後は表面酸素濃度が増加していた。
(4)Cu電極形成
最後に、試料表面に膜厚300nmのCu薄膜電極(第2電極)を表1の成膜条件Cで形成した。電極形成後は、加熱処理などの後処理は行っていない。
・比較例1
上述した実施例1の(4)において、試料表面にAu薄膜(膜厚100nm)/CuI薄膜(膜厚100nm)の多層薄膜を表2の成膜条件Cで形成した以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。多層薄膜の形成は、以下の手順で実施した。まず、CuI薄膜を真空蒸着により堆積させた。CuIはタングステンボートに設置し、ボートの通電加熱により薄膜を堆積させた。その後、Au線をタングステンワイヤーに巻きつけ、そのタングステンワイヤーを通電加熱することでAuを蒸発させて堆積させた。
・比較例2
上述した実施例1の(4)において、試料表面にAu薄膜(膜厚100nm)を表3の成膜条件Cで形成した以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。具体的には、Au線をタングステンワイヤーに巻きつけ、そのタングステンワイヤーを通電加熱することでAuを蒸発させて堆積させた。
・比較例3
上述した実施例1の(4)において、試料表面にMo薄膜(膜厚300nm)を表4の成膜条件Cで形成した以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。具体的には、Moターゲットを用い、RFスパッタリングによりMo薄膜を堆積させた。
[2]太陽電池特性評価
実施例1及び比較例1,2,3で得られた素子の太陽電池特性をソーラーシミュレータで測定した。具体的には、各素子にソーラーシミュレーターで疑似太陽光(AM1.5,照度100mW/cm2)を照射しながら、JVの測定、入射光変換効率(IPCE,Incident Photon-to-electron Conversion Efficiency)の測定、分光光度計による反射率の測定を行った。また、吸収光変換効率(APCE,Absorbed Photon-to-electron Conversion Efficiency)の見積もりも行った。なお、IPCEは、素子に入射する光子数に対する外部回路に取り出されるキャリア数の比を表し、APCEは、素子が吸収する光子数に対する外部回路に取り出されるキャリア数の比を表す。
・JVの測定
実施例1及び比較例1,2の疑似太陽光照射時のJV特性を図5に示す。光吸収層側の電極にCu薄膜を用いた実施例1の場合、Au/CuI多層薄膜を用いた比較例1やAu薄膜を用いた比較例2やMo薄膜を用いた比較例3に比べて、高い短絡電流密度Jsc(電圧Vがゼロのときの電流密度J)と開放電圧Voc(電流密度Jがゼロのときの電圧V)が得られた。この結果から、光吸収層側の電極としてAu薄膜やMo薄膜やAu/CuI多層薄膜を用いた場合と比べて、Cu薄膜を用いた場合にはJV特性が向上することがわかる。なお、具体的な数値を表5に示す。表5中、「FF」は、フィルファクターであり、短絡電流密度Jscと開放電圧Vocとの積に対する最大電力の比である。
・IPCEの測定
実施例1及び比較例1のIPCE特性を図6に示す。図6から明らかなように、光吸収側の電極にAu/CuI多層薄膜を用いた比較例1と比べて、Cu薄膜を用いた実施例1では全波長でIPCEが高いことがわかる。また、実施例1及び比較例1の両者とも380nm付近に共通したTiO2に起因するピークが観察されたが、580nm付近のピークは実施例1では観察されたのに対して比較例1では観察されなかった。更に、比較例1では、約870nmでIPCEがゼロとなったものの、実施例1では約1000nmでIPCEがゼロとなった。このことから、実施例1では、比較例1よりも130nmも長い長波長光を有効利用して光電変換しているといえる。
一方、実施例1で700nm以上でIPCEが減少するのは、Cu電極での長波長光の反射によるものと考えられる。すなわち、700nm以上の長波長におけるSnSの光吸収係数は104/cmオーダー以下であり、700nm未満の短波長よりも一桁以上低いため、SnSの膜厚が薄いと長波長光を全て吸収させることができないからだと考えられる。それでは、SnSの膜厚を増加させれば長波長光を全て吸収できるかというと、そうではない。単純に膜厚を増やすと、光励起で生じたキャリアが輸送される途中で再結合する確率が増加してしまうので、短波長光の損失を助長してしまう。したがって、700nm以上の波長領域では、光マネジメントという観点から素子構造(例えばキャリア輸送層や光吸収層の膜厚、図3のような複合ナノ構造)を最適化することで、長波長光の有効利用が可能になると予想される。
・APCEの見積もり
実施例1及び比較例1,2のAPCEを見積もるにあたり、まず、素子のITOガラス側から光照射したときの反射率Rを分光光度計により求め、この反射率Rを1から差し引いた値を素子内部に吸収された割合つまり吸収率A(=1−R)とした。IPCEを吸収率Aで除した値をAPCEとした。実施例1及び比較例1,2のAPCE特性を図7に示す。実施例1では、430〜700nmでAPCEはほぼ100%であった。このことは、この波長範囲では実施例1の素子は吸収した太陽光をほぼ100%電気出力として取り出せることを意味する。また、実施例1では、400〜800nmでAPCEは80%以上であったことから、幅広い波長領域で高い光電変換のポテンシャルを持っていることがわかる。一方、比較例1,2では、実施例1よりも全波長領域でAPCEが低かった。このように電極材料によってAPCEが異なるということは、電極材料が光吸収層(SnS)の電荷輸送に大きな影響を与えていることを意味している。すなわち、光吸収層とCu電極との部分的な反応により、電荷分離及びキャリア輸送のうち少なくとも一方に良好な影響を与える界面が形成されたと考えられる。具体的には、第1に、CuとSnSとが混ざった反応層が形成され、SnS表面に存在した再結合の原因となる欠陥が抑制された可能性がある。第2に、CuとSnSとが反応し、徐々にバンドギャップが変わるダイヤグラムを形成している可能性がある(なお、バンドダイヤグラムについては、図8及び発明の効果の欄を参照)。
本発明の光電変換素子は、例えば家庭用、オフィス用、工場用の各種電化製品の電源や電気自動車、ハイブリッド自動車、電動自転車などのバッテリのほか、ソーラーパネルなどに利用可能である。
10 光電変換素子、12 キャリア輸送層、14 光吸収層、16 構造体、18 第1電極、19 透明基板、20 第2電極、22 シール材、100 電池モジュール、110 単セル、112 キャリア輸送層、114 光吸収層、116 構造体、118 第1電極、119 透明基板、120 第2電極、122 シール材。

Claims (3)

  1. キャリア輸送層と硫化物半導体材料で構成される光吸収層とが接合された構造体を一対の電極で挟み込んだ光電変換素子であって、
    前記一対の電極のうち、キャリア輸送層側の電極は光透過性導電材料からなるものであり、光吸収層側の電極はCuからなるものである、
    光電変換素子。
  2. 前記光吸収層は、硫化物半導体材料で構成され、
    前記キャリア輸送層は、n型ワイドギャップ半導体材料又はp型ワイドギャップ半導体材料であって前記光吸収層とは異なる材料で構成される、
    請求項1記載の光電変換素子。
  3. 前記光吸収層は、SnS,Sb23,CdS及びFeS2からなる群より選ばれた硫化物材料で構成され、
    前記キャリア輸送層は、TiO2,ZnO,SnO2,ZnS及びCdSからなる群より選ばれたn型ワイドギャップ半導体材料で構成される、
    請求項2記載の光電変換素子。
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