JP2012018959A - 有機光電変換素子、該素子を用いた太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率の高い有機光電変換素子を提供し、併せて、該素子を備えた太陽電池を提供する。
【解決手段】第一の電極と第二の電極の間に光電変換層と電荷輸送層を有する有機光電変換素子において、該電荷輸送層が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする有機光電変換素子。
【化1】
Figure 2012018959

【選択図】なし

Description

本発明は、有機光電変換素子、太陽電池に関し、更に詳しくは、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子、該素子を用いた太陽電池に関する。
近年の化石エネルギーの高騰によって、自然エネルギーから直接電力を発電できるシステムが求められており、単結晶・多結晶・アモルファスのSiを用いた太陽電池、GaAsやCIGS(銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体材料)などの化合物系の太陽電池、あるいは色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)などが提案・実用化されている。
しかしながら、これらの太陽電池で発電するコストは、未だ化石燃料を用いて発電・送電される電気の価格よりも高いものとなっており、普及の妨げとなっていた。また、基板に重いガラスを用いなければならないため、設置時に補強工事が必要であり、これらも発電コストが高くなる一因であった。
このような状況に対し、化石燃料による発電コストよりも低コストな発電コストを達成しうる太陽電池として、透明電極と対電極との間に電子供与体層(p型半導体層)と電子受容体層(n型半導体層)とが混合された光電変換層を挟んだバルクヘテロジャンクション型光電変換素子が提案され、5%を超える効率が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
これらのバルクヘテロジャンクション型太陽電池においては、陽極・陰極以外は塗布プロセスで形成されているため、高速、且つ、安価な製造が可能であると期待され、前述の発電コストの課題を解決できる可能性がある。更に、上記のSi系太陽電池・化合物半導体系太陽電池・色素増感太陽電池などと異なり、160℃より高温のプロセスがないため、安価、且つ、軽量なプラスチック基板上への形成も可能であると期待される。
他方で太陽電池には耐久性も要求されるが、未だ有機薄膜太陽電池の耐久性は不十分なものであり、改善が期待されている。
これまでの順層型の有機光電変換素子が多く報告されている。例えば、バソキュプロイン(BCP)からなる正孔ブロック層を挿入することで電荷の分離効率が向上し、光電変換効率を向上できるとの開示があるが(例えば、特許文献1参照)、素子の耐久性向上に関する記載はなく素子の耐久性の向上は見られなかった。
上記の課題に対して、通常の有機薄膜太陽電池を逆の順番に積層し、透明電極側から電子をとりだし、仕事関数の深い安定な金属電極側から正孔を取りだす、いわゆる逆層構成の有機薄膜太陽電池が提案されている(例えば、特許文献2及び非特許文献2参照)。
このような構成とすることで、不安定で酸化されやすい浅い仕事関数の金属を使用する必要がなくなり、電極起因の劣化が抑制され、大幅に寿命を向上できることが開示されている。
逆層構成では一般的に透明電極側に正孔阻止層(ホールブロック層)を積層することになるが、ここで用いる正孔阻止層(ホールブロック層)は、LUMO準位が浅すぎるものでは透明電極との仕事関数差が大きくオーミックな接続ができないことに由来するFFの低下が起こり、逆にLUMO準位が深いのもではビルトインポテンシャルの差が小さく十分なVocを発現させることができなかった。
この課題に対して、ITO表面に酸やアルカリで処理を行うことによりITOのWF(仕事関数)を調整する試みが報告されている(例えば、非特許文献3参照)。
この方法ではビルトインポテンシャルを確保することは可能であるがホールブロック能としては不十分であり、整流比が悪いことに起因するVocやFFの低下があり、ホールブロック層として十分に機能しているとは言えなかった。
更に、OLEDの電子輸送材料(フルオレン)の末端に水酸基を結合させることにより、末端の水酸基部分で金属電極表面に電気双極子を形成させ、金属電極の仕事関数を浅くすることにより電子注入を改良できるという効果を報告している(例えば、非特許文献4参照)。
ここで用いられているOLEDの素子構成は順層構成のみであり、更に電子輸送材料として開示しているのはフルオレンのホモポリマーのみで有機光電変換素子に適用するには電子移動度やホールブロック能の観点で十分なものではなかった。
また、逆層用のホールブロック層はBHJ層の下層に積層する必要があることから、BHJ層の溶媒に対する耐リンス性が求められる。通常の有機物のホールブロック材料はBHJ層溶媒への耐リンス性が乏しくBHJ層の下に積層出来ないとの課題があった。
米国特許第65800027B2号明細書 特開2009−146981号公報、金沢大 桑原 貴之等
Nature Mat.,vol.6(2007),p497、A.Heeger等 APPLIED PHYSICS LETTERS 89, p143517、NREL Shaheen等 APPLIED PHYSICS LETTERS 74, p881、University of Rochester Nuesch等 ADVANCED MATERIALS 2007、19、2010、University of Washington Huang等
本発明の目的は、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率の高い有機光電変換素子を提供することであり、併せて、該素子を備えた太陽電池及び光アレイセンサを提供することである。
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
1.第一の電極と第二の電極の間に光電変換層と電荷輸送層を有する有機光電変換素子において、
該電荷輸送層が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする有機光電変換素子。
Figure 2012018959
〔式中、A、Bは、各々6員の芳香族炭化水素環、5員の芳香族複素環または6員の芳香族複素環を表し、Xは、珪素原子、炭素原子または窒素原子を表し、L1、L2、L3は、各々アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、R1、R2は、各々ヒドロキシ基、チオール基または無置換のアミノ基を表す。〕
2.前記一般式(1)のXが珪素原子であることを特徴とする前記1に記載の有機光電変換素子。
3.前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記1または2に記載の有機光電変換素子。
Figure 2012018959
〔式中、A1〜A8は、各々炭素原子または窒素原子を表し、Xは、珪素原子、炭素原子または窒素原子を表し、L1、L2、L3は、各々アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、R3、R4は、各々ヒドロキシ基、チオール基または無置換のアミノ基を表す。〕
4.前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記3に記載の有機光電変換素子。
Figure 2012018959
〔式中、Xは、珪素原子、炭素原子または窒素原子を表し、L1、L2、L3は、各々アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、R3、R4は、各々ヒドロキシ基、チオール基または無置換のアミノ基を表す。〕
5.前記電荷輸送層が前記第一の電極上に形成されることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
6.前記電荷輸送層が電子輸送層であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
7.前記一般式(1)で表される化合物が、重合体(ポリマー)であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
8.前記重合体が、共重合体(コポリマー)であることを特徴とする前記7に記載の有機光電変換素子。
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の有機光電変換素子からなることを特徴とする太陽電池。
本発明により、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率の高い有機光電変換素子を提供することができた。併せて、該素子を用いた太陽電池を提供することができた。
順層型の有機光電変換素子の一例を示す模式図である。 逆層型の有機光電変換素子の一例を示す模式図である。 タンデム型の光電変換層を備える有機光電変換素子の一例を示す模式図である。
本発明の有機光電変換素子においては、請求項1〜8のいずれか1項に規定の構成にすることにより、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率の高い有機光電変換素子を提供することができた。併せて、該素子を用いた太陽電池を提供することができた。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
本発明者等は、上記の問題点を鋭意検討の結果、第一の電極と第二の電極の間に光電変換層と電荷輸送層を有する有機光電変換素子において、該電荷輸送層が上記一般式(1)で表される化合物を含有することにより、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率の高い有機光電変換素子が得られることを見出した。
ここで、本発明に係る電荷輸送層としては、電荷(ここで、電荷とは、正孔(ホール)や電子のことを表す。)を輸送可能であればよいが、本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、電子輸送層または正孔阻止層(ホールブロック層)に含有されることが好ましい。
尚、本発明に係る電荷輸送層や、該電荷輸送層に含有される一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)のいずれかで表される化合物については後で詳細に説明する。
《有機光電変換素子及び該素子を用いた太陽電池》
本発明の有機光電変換素子及び該素子を用いた太陽電池について説明する。尚、本発明の太陽電池の層構成は、本発明の有機光電変換素子の層構成と同一の層構成が用いられる。
図1は、順層型の有機光電変換素子の一例を示す模式図である。図1において、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10は、基板11の一方面上に、透明電極(一般に陽極)12、正孔輸送層17、光電変換層14、電子輸送層18及び対極(一般に陰極)13が順次積層されている。
基板11は、順次積層された透明電極12、光電変換層14及び対極13を保持する部材である。本実施形態では、基板11側から光電変換される光が入射するので、基板11は、この光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材である。
基板11は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が用いられる。この基板11は必須ではなく、例えば、光電変換層14の両面に透明電極12及び対極13を形成することで、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10が構成されてもよい。
光電変換層14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合した光電変換層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能する。
ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
図1において、基板11を介して透明電極12から入射された光は、光電変換層14の光電変換層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
発生した電荷は内部電界、例えば、透明電極12と対極13の仕事関数が異なる場合では透明電極12と対極13との電位差によって、電子は電子受容体間を通り、また正孔は電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。
ここで、通常透明電極12の仕事関数は対極13の仕事関数よりも大きいため、正孔は透明電極12へ、電子は対極13へ輸送される。つまり対極13は仕事関数が浅く酸化されやすい金属がつかう必要がある。この金属が酸化されると、導電性がなくなったり、逆に仕事関数が深くなって相関の接触抵抗が大幅に増加して素子の電気特性が劣化してしまうことが、順層型素子において耐久性が低い大きな要因であった。
そこで、本発明者等は、図2に示すような逆層型の有機光電変換素子が上記のような問題点の解決の鍵になるのではと考えた。
即ち、透明電極12の仕事関数よりも対極13の仕事関数を大きくすることで、電子を透明電極12へ、正孔を対極13へと輸送するように設計することで、対極13を酸化されにくく安定な、仕事関数の大きい金属を使用することができることを見出した。
図2は、逆層型の有機光電変換素子の一例を示す模式図であり、図2の素子では、前述のように仕事関数の関係を逆転させ、さらに図1における正孔輸送層17と電子輸送層18の位置を入れ替えた、図2に示されるような逆層構成の有機光電変換素子とすることで、対極の酸化に起因する素子の劣化を大幅に抑制することができ、順層型の素子よりも更に高い安定性を提供できるようになった。
なお、図1、図2には記載していないが、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、あるいは平滑化層等の他の層を有していてもよい。
更に、本発明の有機光電変換素子を太陽電池として用いる場合を想定し、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、図3に記載のように光電変換層を積層したタンデム型の構成としてもよい。尚、図3は、タンデム型の光電変換層を備える有機光電変換素子の一例を示す模式図である。
タンデム型構成の場合、基板11上に順次透明電極12、第1の光電変換層14′を積層した後、電荷再結合層15を積層した後、第2の光電変換層16、次いで対電極13を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。
第2の光電変換層16は、第1の光電変換層14′の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。
また、第1の光電変換層14′、第2の光電変換層16と各電極の間には、正孔輸送層17や電子輸送層18を有していても良いが、本発明においてはタンデム構成においてもそれぞれの光電変換層14′、16は。図2に示されるような逆層構成を有していることが好ましい。
尚、上記の図1〜3において、本発明に係る電荷輸送層とは、正孔(ホール)または電子を輸送することが可能な層であればよく、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔阻止層、電子注入層等を挙げることができるが、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率の高い有機光電変換素子を得る観点からは、本発明に係る一般式(1)で表される化合物を正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、正孔阻止層に含有させることが好ましく、特に好ましくは、電子輸送層や正孔阻止層(ホールブロック層ともいう)等の電子輸送の機能を有する層に含有させることが好ましい。
以下に、有機光電変換素子の構成層について述べる。
まず、本発明の有機光電変換素子に係る電荷輸送層として好ましく用いられる電子輸送層、正孔阻止層(ホールブロック層)等の電子輸送の機能を有する層について説明する。
尚、また、本発明に係る一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含有する電荷輸送層(好ましくは、電子輸送層、正孔阻止層(ホールブロック層)である)の膜厚は、2nm〜100nmの範囲に調整することが好ましい。
《電子輸送層、正孔阻止層(ホールブロック層)》
本発明の有機光電変換素子は、第一の電極と第二の電極の間に、バルクヘテロジャンクション層である光電変換層と電荷輸送層を設け、且つ、該電荷輸送層に一般式(1)で表される化合物を含有させることにより、光電変換層で発生した電子をより効率的に取り出すことが可能となる。
またバルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。このような電子輸送層は、正孔ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。
本発明に係る電子輸送層、正孔阻止層においては、上記一般式(1)、(2)または(3)で表されるいずれかの化合物が含有されることが好ましいが、従来公知の電子輸送材料、正孔阻止材料(電子輸送性を有する材料である)を併用してもよい。
このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を挙げることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体を用いることもできる。
本発明に係る電荷輸送層の好ましい態様である電子輸送層や正孔阻止層等を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
《一般式(1)で表される化合物》
本発明に係る電荷輸送層の好ましい態様である電子輸送層や正孔阻止層(ホールブロック層)の構成材料として用いられる一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)において、A、Bで各々表される6員の芳香族炭化水素環としてはベンゼン環が挙げられる。尚、ベンゼン環は後述する置換基を更に有していてもよい。
一般式(1)において、A、Bで各々表される5員または6員の芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
尚、これらの環は後述する置換基を有していても良い。
(置換基)
一般式(1)において、A、Bで各々表される6員の芳香族炭化水素環、5員または6員の芳香族複素環が更に有しても良い置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等、重合性の基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基等)が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、L1、L2、L3で各々表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
一般式(1)において、L1、L2、L3で各々表されるシクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基等が挙げられる。
一般式(1)において、L1、L2、L3で各々表されるアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、1−プロピニレン基、1−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ブチニレン基、2−ペンチニレン基、1−メチルエチニレン基、3−メチル−1−プロピニレン基、3−メチル−1−ブチニレン基等が挙げられる。
一般式(1)において、L1、L2、L3で各々表されるアリーレン基としては、例えば、例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が挙げられる。
一般式(1)において、L1、L2、L3で各々表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が挙げられる。
一般式(1)において、L1、L2、L3で各々表される基の中で、L1として好ましいのは、アルキレン基であり、特に好ましいのは、炭素数1〜6のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等)であり、L2、L3として好ましいのは炭素数1〜3のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)である。
尚、一般式(1)において、L1、L2、L3で各々表される基は、更に、一般式(1)において、A、Bで各々表される6員の芳香族炭化水素環、5員または6員の芳香族複素環が更に有しても良い置換基を有していても良い。
尚、一般式(1)は単体で重合体(ポリマー)を形成していても良いし、他の母核と共重合体(コポリマー)を形成していても良い。
このような構造を有する化合物は、非特許文献4等を参考して合成可能である。
(重合体または共重合体の分子量)
実用上分子量によって定義をする際、本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、好ましくは重量平均分子量が3000以下の化合物を低分子化合物と区分する。より好ましくは2500以下、さらに好ましくは2000以下である。他方、分子量が3000以上、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは10000以上の化合物を高分子化合物と区分する。
なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の重合体の重量平均分子量(Mw)の測定は、THF(テトラヒドロフラン)をカラム溶媒として用いるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて分子量測定を行うことができる。
具体的には、測定試料を1mgに対してTHF(脱気処理を行ったものを用いる)を1ml加え、室温下にてマグネチックスターラーを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45μm〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)装置に注入する。
GPC測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。
カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard column等の組合せ等が好ましい。
検出器としては、屈折率検出器(RI検出器)、あるいはUV検出器が好ましく用いられる。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いることが好ましい。
本発明では、下記の測定条件にて分子量測定を行った。
(測定条件)
装置:東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super HM−M
検出器:RI及び/またはUV
溶出液流速:0.6ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料量:100μl
検量線:標準ポリスチレンにて作製:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルを用いて検量線(校正曲線ともいう)を作成、分子量の算出に使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の中でも、好ましく用いられるのは上記一般式(2)で表される化合物である。
《一般式(2)で表される化合物》
本発明に係る一般式(2)で表される化合物について説明する。
一般式(2)において、L1、L2、L3で各々表される基は、一般式(1)において、L1、L2、L3は、各々アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基と各々同義である。
一般式(2)において、A〜Aは置換または無置換の炭素原子または窒素原子を表すが、α位、γ位、δ位のいずれかを窒素原子が置換する構造(6員の含窒素芳香族複素環)が好ましい。
6員の含窒素芳香族複素環としては、窒素原子数が1〜3の範囲が好ましいが、化合物の安定性から、A1〜A4と2つの炭素原子で構成される環、A5〜A8と2つの炭素原子で構成される環のいづれかの窒素原子数は1〜2であることが好ましく、更に好ましくは1つである。
また、窒素原子が占める位置としては、中央の5員環のXで表される原子に近い側からα位、β位、γ位、δ位とした場合α位またはδ位が好ましく、最も好ましくはδ位である。
一般式(2)で表される化合物の中でも、更に好ましく用いられるのは上記一般式(3)で表される化合物である。
《一般式(3)で表される化合物》
本発明に係る一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)において、L1、L2、L3で各々表される基は、一般式(2)において、L1、L2、L3は、各々アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基と各々同義である。
以下、一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2012018959
Figure 2012018959
Figure 2012018959
Figure 2012018959
Figure 2012018959
Figure 2012018959
Figure 2012018959
上記の具体例において、n、mは2〜100を表す。
実用上分子量によって定義をする際には、好ましくは分子量が3000以下の化合物を低分子化合物と区分する。より好ましくは2500以下、さらに好ましくは2000以下である。他方、分子量が3000以上、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは10000以上の化合物を高分子化合物と区分する。なお、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
このような構造を有する化合物は、非特許文献4等を参考として合成することができる。
《p型半導体材料》
本発明の有機光電変換素子の光電変換層(発電層、バルクヘテロジャンクション層)に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号、国際公開第03/28125号、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008000664に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。
また、発電層上に電子輸送層を塗布で製膜する場合、電子輸送層溶液が発電層を溶かしてしまうという課題があるため、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料を用いても良い。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
《n型半導体材料》
本発明の有機光電変換素子の光電変換層の形成に用いられるn型半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
しかし、この中でもn型半導体材料としては、各種のp型半導体材料と高速(〜50フェムト秒)且つ効率的に電荷分離を行うことができる、フラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、及びこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基(アリール基、芳香族炭化水素基等ともいう)、芳香族複素環基(ヘテロアリール基ともいう)、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でも、N−Methylfulleropyrrolidine、下記構造式で表される[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−n−ヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン、J.Amer.Chem.Soc.,(2009)vol.130,p15429に記載のSIMEF、Appl.Phys.Lett.,Vol.87(2005)、p203504に記載のC60MC12等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
Figure 2012018959
《光電変換層の作製方法》
本発明の有機光電変換素子の光電変換層(本発明では、電子受容体と電子供与体とが混合されたような光電変換層、バルクヘテロジャンクション層が好ましい)の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また、塗布法は製造速度にも優れている。
この際に使用する塗布方法に制限はないが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スプレ−コート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングできる。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、光電変換層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、光電変換層の正孔と電子(キャリア)の移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
光電変換層は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、前述したような塗布後に不溶化できるような材料を用いることで形成可能である。
《正孔輸送層(電子ブロック層)》
本発明の有機光電変換素子は、光電変換層と陽極との中間には正孔輸送層を、光電変換層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
尚、正孔輸送層も本発明に係る電荷輸送層の一例であり、上記一般式(1)、(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含有していてもよい。
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層としては、スタルクヴイテック製、商品名BaytronP等のPEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)−PSS(ポリスチレンスルホン酸)、ポリアニリン及びそのドープ材料、国際公開第06/019270号等に記載のシアン化合物、などを用いることができる。
尚、光電変換層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、光電変換層で生成した電子を陽極側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能が付与される。
このような正孔輸送層は電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用する方が好ましい。
このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、光電変換層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。光電変換層を形成する前に、下層に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
また、同様に正孔を輸送する特性から10−4よりも高い正孔移動度を有していることが好ましく、また電子を阻止する特性から、電子移動度が10−6よりも低い化合物を用いることが好ましい。
《その他の層》
本発明の有機光電変換素子のその他の構成層について説明する。
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
《電極》
本発明の有機光電変換素子においては、少なくとも第一の電極、第二の電極を有する。また、タンデム構成をとる場合には、中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。なお、本発明においては、主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。
また、透光性があるかどうかといった機能から、透光性のある電極を透明電極と呼び、透光性のない電極を対電極と呼び分ける場合がある。本発明においては、逆層構成であるため、透光性のある透明電極をカソードとして使用し、透光性のない対電極はアノードとして使用する。
(透明電極(カソード))
本発明の透明電極は、好ましくは380nm〜800nmの光を透過する電極である。
透明電極の構成材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、AZO、FTO、SnO、ZnO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au、Pt等の非常に薄い金属層または金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ等のナノワイヤやナノ粒子を含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等を用いることができる。
また、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせてカソードとすることもできる。
(対電極(アノード))
陰極は導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。
カソードである透明電極の仕事関数がおよそ−5.0eV〜−4.0eVであるため、バルクヘテロジャンクション層で生成したキャリアが拡散してそれぞれの電極に到達するためには、ビルトインポテンシャル、すなわちアノードとカソード間の仕事関数の差がなるべく大きいことが好ましい。
したがって、アノードの導電材としては、仕事関数の大きい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、金、銀、銅、白金、ロジウム、インジウム、ニッケル、パラジウム等が挙げられる。
これらの中で、正孔の取り出し性能、光の反射率、及び酸化等に対する耐久性の点から、銀が最も好ましい。
アノードはこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
また、アノード側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の陰極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性陰極とすることができる。
(中間電極)
また、前記図3のようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記陽極で用いたような材料(ITO、AZO、FTO、SnO、ZnO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au、Pt等の非常に薄い金属層または金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ等のナノワイヤやナノ粒子を含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
なお、前述した正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで中間電極(電荷再結合層)として働く組み合わせもあり、このような構成とすると1層形成する工程を省くことができ好ましい。
(基板)
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。
基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380nm〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。
中でも、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
(光学機能層)
本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてよい。光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層などを設けてもよい。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。
屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。
易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させる観点から2層以上の構成が好ましい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列するが、回折効果の発生による色づきの防止や、適切な厚みに調整する観点からは、一辺は10μm〜100μmが好ましい。
また、光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
(パターニング)
本発明に係る電極、光電変換層(発電層ともいう)、正孔輸送層、電子輸送層等をパターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
光電変換層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取ってもよいし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしてもよい。
電極材料などの不溶性の材料の場合は、電極を真空堆積時にマスク蒸着を行い、エッチングまたはリフトオフ等の公知の方法によってパターニングすることができる。また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成してもよい。
(封止)
また、作製した有機光電変換素子が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、有機光電変換素子だけでなく有機エレクトロルミネッセンス素子などで公知の手法によって封止することが好ましい。
例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化珪素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《有機光電変換素子SC−101の作製》:比較例
特開2009−146981号公報の記載を参考として、以下のようにして逆層型の有機光電変換素子を作製した。
(TiOx層の作製):電子輸送層として作製
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積したもの(表面抵抗率13Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。
パターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次いで、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下でこの透明基板上に、以下の手順で作成した150mMのTiOx前駆体溶液をスピンコート(回転速度2000rpm、回転時間60s)し、所定のパターンに拭き取りを行った。
次に、空気中で放置してTiOx前駆体を加水分解させ、続いて、TiOx前駆体を150℃で1時間加熱処理して30nmのTiOx層を電子輸送層として得た。
(TiOx前駆体の調製:ゾルゲル法)
先ず、100ml三口フラスコに2−メトキシエタノール12.5mlと、6.25mmolのチタニウムテトライソプロポキシドとを入れ、氷浴中で10分間冷却した。次に、12.5mmolのアセチルアセトンをゆっくり加えて、氷浴中で10分間撹拌した。
次に、混合溶液を80℃で2時間加熱後、1時間還流した。最後に、室温まで冷却し、メトキシエタノールを用いて所定の濃度(150m)に調整した。TiOx前駆体を得た。なお、上記工程は全て窒素雰囲気で行った。
(光電変換層の作製)
次いで、TiOx層の上クロルベンゼンにp型半導体材料として、P3HT(プレクトストロニクス製、プレックスコアOS2100)を1.0質量%、n型半導体材料としてPCBM(フロンティアカーボン製、Nanon Spectra E100H)を0.8質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過をかけながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分乾燥し、光電変換層を得た。
(正孔輸送層の作製)
得られた光電変換層(有機半導体層ともいう)の上に有機溶剤系PEDOT:PSSの分散液(化研産業製、エノコートHC200)をスピンコート(2000rpm、60s)して導電性ポリマー層を成膜し、風乾して正孔輸送層を作製した。
次に、正孔輸送層の上に銀電極層を膜厚約100nmになるように真空蒸着を行った後、150℃で10分間加熱処理を行い、逆層型の有機光電変換素子SC−101を作製した。
(有機光電変換素子SC−101の評価)
得られた有機光電変換素子SC−101の評価は、以下のように太陽電池として評価した。
得られた有機光電変換素子1は、封止を行わずに、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率を測定した。
《有機光電変換素子SC−102の作製》:比較例
ガラス基板上にパターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。
(正孔輸送層の作製)
この透明基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を30nmの膜厚でスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥し、正孔輸送層を作製した。
(光電変換層の作製)
これ以降は、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を140℃で3分間加熱処理した。クロロベンゼンにp型半導体材料として、プレクストロニクス社製プレックスコアOS2100を1.5質量%、n型半導体材料としてフロンティアカーボン社製E100(PCBM)を1.5質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過をかけながら500rpmで60秒、ついで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分放置し、光電変換層を作製した。
(正孔阻止層(ホールブロック層の作製))
次にアルドリッチ社製バトクプロイン(BCP)を0.5質量%の比率で2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールと混合した溶液を1500rpmでスピンコートし、膜厚10nmの正孔ブロック層(ホールブロック層)を作製した。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。2mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように素子をセットし、10−3Pa以下にまでに真空蒸着機内を減圧した後、Alを100nmを蒸着した。最後に120℃で30分間の加熱を行い、比較の有機光電変換素子SC−102を得た。なお蒸着速度は2nm/秒で蒸着し、2mm角のサイズとした。
得られた有機光電変換素子SC−102は、窒素雰囲気下でアルミニウムキャップとUV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出した。
(有機光電変換素子SC−102の評価)
得られた有機光電変換素子SC−102は、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率を測定した。
《有機光電変換素子SC−103の作製》:実施例
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積したもの(表面抵抗率13Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。
(正孔輸送層の作製)
パターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
PEDOT−PSS(poly(3,4−ethylenedioxythiophene)−poly(styrenesulfonate))の水分散液(スタルク社製BaytronP4083)をスピンコーターでITO上に塗布し、続けて140℃で10分間乾燥させた。膜厚はスピンコーターの回転速度を調整し、膜厚約30nmのPEDOT−PSS膜を製膜した。PEDOT−PSS膜は大気中で塗布及び乾燥し、正孔輸送層を透明電極の上に作製した。
正孔輸送層の形成はクリーンルーム内の大気中で行った。
(光電変換層の作製)
その後、O及びHO濃度が1ppm以下に制御された窒素グローブボックス中に移して、上記の正孔輸送層の上に下記にようにして光電変換層以降を製膜した。
クロルベンゼンにp型半導体材料として、P3HT(プレクトストロニクス製、プレックスコアOS2100)を1.0質量%、n型半導体材料としてPCBM(フロンティアカーボン製、Nanon Spectra E100H)を0.8質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタで濾過をかけながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分乾燥し、光電変換層を得た。
(正孔阻止層(ホールブロック層ともいう)の作製
更に、化合物1を溶液濃度が0.2質量%になるようにエタノールと超純水1:4の混合溶媒に溶かして溶液を調液し光電変換層上に1500rpm30秒間スピンコート法で製膜を行い、膜厚20nmの正孔阻止層(ホールブロック層)を製膜した。
次いで、真空蒸着装置を用いてアルミニウムをシャドウマスクを通してパターン蒸着し、金属電極を形成した後、150℃で10分間加熱処理を行うことで、順層型の有機光電変換素子SC−103を作製した。
(有機光電変換素子SC−103の評価)
得られた有機光電変換素子SC−103の評価は、以下のように太陽電池として評価した。
得られた有機光電変換素子SC−103は、エポキシ樹脂とガラスキャップで封止を行い、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率を測定した。
《有機光電変換素子SC−104の作製》:実施例
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積したもの(表面抵抗率13Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。
パターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
(正孔阻止層(ホールブロック層)の作製)
次に、化合物14の化合物を溶液濃度が0.2質量%になるようにエタノールと超純水1:4の混合溶媒に溶かして溶液を調液し1500rpm30秒間スピンコート法で製膜を行い、膜厚20nmの正孔阻止層(ホールブロック層)を作製した。
(光電変換層の作製)
次いで、ホールブロック層の上クロルベンゼンにp型半導体材料として、P3HT(プレクトストロニクス製、プレックスコアOS2100)を1.0質量%、n型半導体材料としてPCBM(フロンティアカーボン製、Nanon Spectra E100H)を0.8質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過をかけながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分乾燥し、光電変換層を得た。
(正孔輸送層の作製)
次に、有機半導体層の上に有機溶剤系PEDOT:PSSの分散液(化研産業製、エノコートHC200)をスピンコート(2000rpm、60s)し風乾して正孔輸送層を成膜した。
(銀電極の作製)
次に、導電性ポリマー層の上に銀電極層を膜厚約100nmになるように真空蒸着を行ったのち、150℃で10分間加熱処理を行うことで、逆層型の有機光電変換素子SC−104を作製した。
(有機光電変換素子SC−104の評価)
得られた有機光電変換素子SC−104の評価は、以下のように太陽電池として評価した。
得られた有機光電変換素子SC−104は、エポキシ樹脂とガラスキャップで封止を行い、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率を測定した。
《有機光電変換素子SC−105〜SC−110の作製》:実施例
有機光電変換素子SC−104の作製において、化合物14を表1に示す化合物に変更した以外は同様にして、有機光電変換素子SC−105〜SC−110を各々作製した。
(有機光電変換素子SC−105〜SC−110の評価)
得られた有機光電変換素子SC−105〜SC−110の評価は、以下のように太陽電池として評価した。
得られた有機光電変換素子SC−105〜SC−110は、各々エポキシ樹脂とガラスキャップで封止を行い、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率を測定した。
また、有機光電変換素子SC−101〜SC−110の耐久性の評価については、別途、下記にようにして評価した。
(耐久性評価)
上記で得られた有機光電変換素子SC−101〜SC−110の各々について太陽電池としての特性をソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、初期の変換効率を測定した。
更に、この時の初期変換効率を100とし、第一電極と第二電極との間に抵抗を接続したまま100mW/cmの照射強度で100h照射し続けた後の変換効率を評価し、相対低下効率を算出した。
相対低下効率(%)=(1−暴露後の変換効率/暴露前の変換効率)×100
上記から得られた結果を表1に示す。
Figure 2012018959
表1から、比較の有機光電変換素子SC−101、SC−102に比べて、本発明の有機光電変換素子SC−103〜SC−110は、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率lが高く、太陽電池としての優れた特性を示すことがわかった。
10 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子
11 基板
12 透明電極(陽極)
13 対電極(陰極)
14 光電変換層
14′ 第1の光電変換層
15 電荷再結合層
16 第2の光電変換層
17 正孔輸送層
18 電子輸送層

Claims (9)

  1. 第一の電極と第二の電極の間に光電変換層と電荷輸送層を有する有機光電変換素子において、
    該電荷輸送層が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする有機光電変換素子。
    Figure 2012018959
    〔式中、A、Bは、各々6員の芳香族炭化水素環、5員の芳香族複素環または6員の芳香族複素環を表し、Xは、珪素原子、炭素原子または窒素原子を表し、L1、L2、L3は、各々アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、R1、R2は、各々ヒドロキシ基、チオール基または無置換のアミノ基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)のXが珪素原子であることを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
  3. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機光電変換素子。
    Figure 2012018959
    〔式中、A1〜A8は、各々炭素原子または窒素原子を表し、Xは、珪素原子、炭素原子または窒素原子を表し、L1、L2、L3は、各々アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、R3、R4は、各々ヒドロキシ基、チオール基または無置換のアミノ基を表す。〕
  4. 前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項3に記載の有機光電変換素子。
    Figure 2012018959
    〔式中、Xは、珪素原子、炭素原子または窒素原子を表し、L1、L2、L3は、各々アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、R3、R4は、各々ヒドロキシ基、チオール基または無置換のアミノ基を表す。〕
  5. 前記電荷輸送層が前記第一の電極上に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  6. 前記電荷輸送層が電子輸送層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  7. 前記一般式(1)で表される化合物が、重合体(ポリマー)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  8. 前記重合体が、共重合体(コポリマー)であることを特徴とする請求項7に記載の有機光電変換素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機光電変換素子からなることを特徴とする太陽電池。
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