JP2012017418A - 光波長選択吸収色素 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、所定の波長域に吸収極大を有する新規なロザリン誘導体またはその酸付加塩を含有する光波長選択吸収色素に関するものである。
一般に、ディスプレイやプロジェクターには、カラー画像を表示するために、または、カラー映像を投影するために、RGBに対応する3種類のカラーフィルターが用いられている。ところが、このようなカラーフィルターを用いても、RGBの間に位置する可視光領域の不要な波長を有する光が透過するので、ディスプレイやプロジェクターにおけるRGBの色純度が必ずしも高いとは言えない。そこで、RGBの間における余分な光を吸収する色素を開発できれば、RGBの色純度を高めることができると期待される。より詳しくは、GBの間に位置する480〜520nmの第1波長域、または、RGの間に位置する580〜620nmの第2波長域に吸収極大を有する色素である。
通常の技術常識では、第1波長域および第2波長域の両方に吸収極大を有する単独の色素は、まず存在しないと考えられるので、必然的に、第1波長域に吸収極大を有する色素と、第2波長域に吸収極大を有する色素とを併用することになる。ところが、波長域に応じて全く異なる分子骨格を有する色素を用意する場合には、各々の色素について、個別の合成プロセスが必要となり、光吸収特性の調整方法も個別に検討しなければならないという問題点がある。そこで、同一の分子骨格を有しながら、第1波長域または第2波長域に吸収極大を有する色素を開発することが重要である。
ところで、非特許文献1には、4個のピロール分子がメチン基を介して縮合した環状構造を有するポルフィンまたはその誘導体であるポルフィリンに対し、より大きい環状構造を有する拡張ポルフィリンの一種として、3個のビピロール分子がメチン基を介して縮合した環状構造を有するロザリンが開示されている。特に、非特許文献1には、3,3’−ジメチル−4,4’−ジエチル−2,2’−ビピロールとベンズアルデヒドを縮合させて得られるロザリン誘導体の塩酸塩7bが波長552.5nmに吸収極大を有することが記載されている。また、非特許文献2には、3,3’,4,4’−テトラエチルビピロールとベンズアルデヒドを縮合させて得られるロザリン誘導体3aの塩酸塩が第1波長域に属する波長490nmに吸収極大を有すること、および、3,3’,4,4’−テトラエチルビピロールと2,6−ジクロロベンズアルデヒドを縮合させて得られるロザリン誘導体3bが波長478nmに吸収極大を有することが記載されている。さらに、非特許文献3には、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(3,3’,4,4’−テトラエチルピロール)とベンズアルデヒドを縮合させて得られるロザリン誘導体13iが第1波長域に属する波長503.5nmに吸収極大を有することが記載されている。しかしながら、いずれの文献にも、これらのロザリン誘導体またはその酸付加塩が色素として有用であることは記載されていない。
なお、非特許文献4には、Pd触媒を用いて、2個のピロール分子がアリーレン基を介して縮合したビピロール誘導体を合成する方法が開示されている。しかしながら、この文献には、得られたビピロール誘導体と芳香族アルデヒドを縮合させてロザリン誘導体またはその酸付加塩を合成できることは記載されていない。
ジョナサン・エル・セスラー(Jonathan L.Sessler)、外5名,「ロザリン:新しい合成容易なヘキサピロール系拡張ポルフィリン(Rosarin:A New,Easily Prepared Hexapyrrolic Expanded Porphyrin)」,ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.),1992年,第114巻,第8306−8307頁
瀬恒潤一郎、外2名,「[48]ドデカフィリン−(1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.)および[64]ヘキサデカフィリン−(1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.):最大のシクロポリピロール類([48]Dodecaphyrin−(1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.)and[64]Hexadecaphyrin−(1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.1.0.):The Largest Cyclopolypyrroles)」,ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.),1999年,第121巻,第8957−8958頁
瀬恒潤一郎、外2名,「ポルフィリノイド類の多核Rh錯体の合成および動的構造(Synthesis and dynamic structure of multinuclear Rh complexes of porphyrinoids)」,ケミカル・コミュニケーション(Chem.Commun.),2008年,第1425−1427頁
瀬恒潤一郎、外4名,「Pd触媒を用いるクロスカップリングによるビス(ピロール−2−イル)アレーン類の合成(Synthesis of bis(pyrrol−2−yl)arenes by Pd−catalyzed cross coupling)」,テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),2006年,第47巻,第7541−7544頁
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、同一の分子骨格を有しながら、所定の波長域に吸収極大を有する光波長選択吸収色素を提供することにある。
本発明者らは、同一の分子骨格を有しながら、第1波長域または第2波長域に吸収極大を有する色素を開発するために、様々なロザリン誘導体について鋭意検討した結果、ロザリン誘導体の分子構造を適宜設計することにより、その光吸収特性を調整することができることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1):
[式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはアルキル基、Arはアリール基、Zは直接結合またはアリーレン基を表す;ただし、R1およびR2がエチル基、Arがフェニル基、Zが直接結合またはフェニル−1,4−ジイル基を表す場合を除く]
上記式(1)において、R1およびR2は、互いに独立して、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など、特に好ましくは、メチル基、エチル基またはイソブチル基を表す。
上記式(1)において、Arは、好ましくは、炭素数6〜12のアリール基、より好ましくは、炭素数6〜10のアリール基、具体的には、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基(例えば、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基など)、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基など、特に好ましくは、フェニル基またはハロゲン置換フェニル基(例えば、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基など)を表す。
上記式(1)において、Zは、好ましくは、炭素数6〜16のアリーレン基、より好ましくは、炭素数6〜14のアリーレン基、具体的には、フェニル−1,4−ジイル基、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基など、特に好ましくは、フェニル−1,4−ジイル基、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基または9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基を表す。
より具体的には、上記式(1)において、R1がイソブチル基、R2がメチル基、Arがフェニル基または2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、Zが直接結合、アントラセン−9,10−ジイル基または9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基を表す場合、および、R1およびR2がエチル基、Arがフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基または2,6−ジクロロフェニル基、Zがフェニル−1,4−ジイル基または1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基を表す場合が好ましい。
また、上記式(1)において、R1がイソブチル基、R2がメチル基、Arがフェニル基、Zが直接結合を表す場合、および、R1およびR2がエチル基、Arが2,6−ジクロロフェニル基、Zがフェニル−1,4−ジイル基を表す場合が特に好ましい。
本発明の光波長選択吸収色素は、例えば、ディスプレイのカラーフィルターやプロジェクターのスクリーンなどの用途に有用である。
本発明の光波長選択吸収色素は、480〜520nmの第1波長域および/または580〜620nmの第2波長域に吸収極大を有するので、例えば、ディスプレイのカラーフィルターやプロジェクターのスクリーンに用いた場合に、RGBの間における余分な光を吸収することから、RGBの色純度を高め、それにより、ディスプレイやプロジェクターの表示特性を向上させることができる。
また、本発明の光波長選択吸収色素は、同一の分子骨格を有するロザリン誘導体またはその酸付加塩を含有するので、同一の合成プロセスで製造することができ、しかも、同一の方法により光吸収特性を調整することができる。
≪光波長選択吸収色素≫
本発明の光波長選択吸収色素は、下記式(1):
本発明の光波長選択吸収色素は、下記式(1):
[式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはアルキル基、Arはアリール基、Zは直接結合またはアリーレン基を表す;ただし、R1およびR2がエチル基、Arがフェニル基、Zが直接結合またはフェニル−1,4−ジイル基を表す場合を除く]
で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩を含有し、かつ480〜520nmの第1波長域および/または580〜620nmの第2波長域に吸収極大を有することを特徴とする。
で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩を含有し、かつ480〜520nmの第1波長域および/または580〜620nmの第2波長域に吸収極大を有することを特徴とする。
ここで、「吸収極大」とは、ジクロロメタン中で測定した吸収スペクトルにおける吸収ピークのうち、最も吸光度が高い吸収ピークを意味する。
本発明者らは、上記式(1)で示されるロザリン誘導体の分子構造を適宜設計することにより、その光吸収特性を調整することができることを見出した。より詳しくは、上記式(1)において、Arで表される「アリール基」に置換基(例えば、ハロゲン原子)を導入すると、吸収極大の位置が約5〜50nmほど長波長側にシフトすること;Zを適当なアリーレン基に変更することにより、吸収極大の位置が約20〜150nmほど長波長側にシフトすること;酸を加えてプロトン化すると、すなわち酸付加塩を形成すると、吸収極大の位置が約10〜100nmほど長波長側にシフトすること;などである。
これらの知見を利用すれば、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩が第1波長域に吸収極大を有する場合や、第1波長域または第2波長域に吸収極大を有しない場合であっても、例えば、Arで表される「アリール基」に置換基(例えば、ハロゲン原子)を導入したり、Zで表されるアリーレン基の種類を変更したり、酸を加えてプロトン化したりすることにより、吸収極大の位置を第1波長域または第2波長域にシフトさせれば、得られたロザリン誘導体またはその酸付加塩は、本発明の光波長選択吸収色素に用いることができるようになる。このように、本発明の光波長選択吸収色素は、同一の方法により光吸収特性を調整することができる。
上記式(1)において、R1またはR2で表される「アルキル基」としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基、イソブチル基が特に好ましい。
上記式(1)において、Arで表される「アリール基」としては、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、具体的には、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基(例えば、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基など)、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。これらのアリール基のうち、フェニル基、ハロゲン置換フェニル基(例えば、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基など)が特に好ましい。
上記式(1)において、Zで表される「アリーレン基」としては、炭素数6〜16のアリーレン基が好ましく、炭素数6〜14のアリーレン基がより好ましく、具体的には、フェニル−1,4−ジイル基、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基などが挙げられる。これらのアリーレン基のうち、フェニル−1,4−ジイル基、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基が特に好ましい。
上記式(1)において、「ただし、R1およびR2がエチル基、Arがフェニル基、Zが直接結合またはフェニル−1,4−ジイル基を表す場合を除く」とは、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩から、非特許文献2に記載されたロザリン誘導体3aの塩酸塩および非特許文献3に開示されたロザリン誘導体13iを除外することを意味する。
本発明の光波長選択吸収色素において、第1波長域および/または第2波長域に吸収極大を有する成分は、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩である。上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。通常の技術常識では、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩が第1波長域および第2波長域の両方に吸収極大を有することは考えられないので、本発明の光波長選択吸収色素が第1波長域および第2波長域の両方に吸収極大を有するとは、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩のうち、第1波長域に吸収極大を有する第1成分と、第2波長域に吸収極大を有する第2成分とを併用することを意味する。
本発明の光波長選択吸収色素の態様としては、第1波長域に吸収極大を有する第1成分を用いる場合;第2波長域に吸収極大を有する第2成分を用いる場合;第1波長域に吸収極大を有する第1成分と第2波長域に吸収極大を有する第2成分とを併用する場合が挙げられる。いずれの場合も、第1成分および第2成分は、それぞれ単独で用いても2種以上を併用してもよい。このように、本発明の光波長選択吸収色素は、第1成分および/または第2成分について、2種以上を併用する場合であっても、各成分が同一の分子骨格を有するので、同一の合成プロセスで製造することができ、しかも、同一の方法により光吸収特性を調整することができるという利点を有する。
本発明の光波長選択吸収色素において、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩の含有量は、色素全体を100質量%として、通常は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、また、その上限は100質量%である。なお、第1波長域に吸収極大を有する第1成分と、第2波長域に吸収極大を有する第2成分とを併用する場合、その割合は、特に限定されるものではないが、例えば、両成分の合計量を100質量%として、第1成分:第2成分の比率が、好ましくは35〜65質量%:65〜35質量%、より好ましくは40〜60質量%:60〜40質量%、さらに好ましくは45〜55質量%:55〜45質量%である。
本発明の光波長選択吸収色素が上記式(1)で示されるロザリン誘導体の酸付加塩を含有する場合、この酸付加塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩酸塩、過塩素酸塩、臭化水素酸塩などが挙げられる。これらの酸付加塩のうち、塩酸塩、過塩素酸塩が特に好ましい。
本発明の光波長選択吸収色素において、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩は、好ましくは約1×104M−1cm−1以上、より好ましくは約1×105M−1cm−1以上のモル吸光係数を有する。モル吸光係数をεで表すと、logεは、好ましくは4以上、より好ましくは5以上である。logεの上限は、特に限定されるものではないが、6を超えることはないと考えられる。
本発明の光波長選択吸収色素は、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩以外に、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、分散剤などの従来公知の各種添加剤を含有していてもよい。
≪光波長選択吸収色素の用途≫
本発明の光波長選択吸収色素は、480〜520nmの第1波長域および/または580〜620nmの第2波長域に吸収極大を有するので、RGBの間における光を吸収してRGBの色純度を高めることにより、例えば、ディスプレイやプロジェクターの表示特性を向上させることができる。より詳しくは、本発明の光波長選択吸収色素を、例えば、ディスプレイのカラーフィルターやプロジェクターのスクリーンの表面に塗布しておけば、本発明の光波長選択吸収色素がRGBの間における余分な光を吸収するので、RGBの色純度が高まり、その結果、ディスプレイに表示されるカラー画像やプロジェクターからスクリーンに投影されるカラー映像のコントラストなどの表示特性が向上する。それゆえ、本発明の光波長選択吸収色素は、例えば、ディスプレイのカラーフィルターやプロジェクターのスクリーンなどの用途に有用である。
本発明の光波長選択吸収色素は、480〜520nmの第1波長域および/または580〜620nmの第2波長域に吸収極大を有するので、RGBの間における光を吸収してRGBの色純度を高めることにより、例えば、ディスプレイやプロジェクターの表示特性を向上させることができる。より詳しくは、本発明の光波長選択吸収色素を、例えば、ディスプレイのカラーフィルターやプロジェクターのスクリーンの表面に塗布しておけば、本発明の光波長選択吸収色素がRGBの間における余分な光を吸収するので、RGBの色純度が高まり、その結果、ディスプレイに表示されるカラー画像やプロジェクターからスクリーンに投影されるカラー映像のコントラストなどの表示特性が向上する。それゆえ、本発明の光波長選択吸収色素は、例えば、ディスプレイのカラーフィルターやプロジェクターのスクリーンなどの用途に有用である。
≪光波長選択吸収色素の製造≫
上記式(1)で示されるロザリン誘導体は、例えば、触媒の存在下で、下記式(2):
上記式(1)で示されるロザリン誘導体は、例えば、触媒の存在下で、下記式(2):
[式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはアルキル基、Zは直接結合またはアリーレン基を表す]
で示されるビピロール誘導体と、下記式(3):
で示されるビピロール誘導体と、下記式(3):
[式中、Arはアリール基を表す]
で示される芳香族アルデヒドを環化縮合させ、脱水素化剤(酸化剤)を用いて、不飽和結合を含む環を脱水素的に酸化することにより、製造することができる。
で示される芳香族アルデヒドを環化縮合させ、脱水素化剤(酸化剤)を用いて、不飽和結合を含む環を脱水素的に酸化することにより、製造することができる。
上記式(2)で示されるビピロール誘導体および上記式(3)で示される芳香族アルデヒドは、従来公知の方法により合成するか、あるいは、市販品を利用することができる。特に、上記式(2)で示されるビピロール誘導体は、非特許文献4に記載された方法により、収率よく簡便に合成することができる。
上記式(2)で示されるビピロール誘導体および上記式(3)で示される芳香族アルデヒドは、水分の影響を避けるために、反応に先立って、予め乾燥しておくか、あるいは、再結晶や蒸留などにより、予め精製しておくことが好ましい。
上記反応においては、上記式(2)で示されるピピロール誘導体に対して、ほぼ当量または少し過剰の上記式(3)で示される芳香族アルデヒドを用いることが好ましい。具体的には、上記式(3)で示される芳香族アルデヒドの使用量は、上記式(2)で示されるビピロール誘導体1モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは1.02モル以上、さらに好ましくは1.04モル以上であり、また、好ましくは1.8モル以下、より好ましくは1.7モル以下、さらに好ましくは1.6モル以下である。上記式(3)で示される芳香族アルデヒドの使用量が少なすぎると、上記式(3)で示される芳香族アルデヒドが不足し、最終生成物の収率が低下することがある。逆に、上記式(3)で示される芳香族アルデヒドの使用量が多すぎると、上記式(3)で示される芳香族アルデヒドが過剰であり、製造コストが上昇することがある。
触媒としては、例えば、トリフルオロ酢酸、塩化チオニル、塩化オキサリルなどが挙げられる。これらの触媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの触媒のうち、トリフルオロ酢酸が特に好ましい。
触媒の使用量は、上記式(2)で示されるビピロール誘導体1モルに対して、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.05モル以上、さらに好ましくは0.1モル以上であり、また、好ましくは0.6モル以下、より好ましくは0.5モル以下、さらに好ましくは0.4モル以下である。触媒の使用量が少なすぎると、反応速度が遅く、反応が速やかに進行しないことがある。逆に、触媒の使用量が多すぎると、必要以上に触媒を用いることになり、製造コストが上昇することがある。
上記反応は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルフェニルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いも2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、ハロゲン化脂肪族炭化水素類が好ましく、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレンがより好ましく、ジクロロメタンが特に好ましい。
脱水素化剤としては、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラシアノ−1,4−ベンゾキノンなどのキノン類が挙げられる。これらの脱水素化剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの脱水素化剤のうち、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)が特に好ましい。
脱水素化剤の使用量は、上記式(2)で示されるビピロール誘導体1モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは1.5モル以上、さらに好ましくは2モル以上であり、また、好ましくは10モル以下、より好ましくは8モル以下、さらに好ましくは6モル以下である。脱水素化剤の使用量が少なすぎると、脱水素化剤の機能が充分に発揮されず、最終生成物の収率が低下することがある。逆に、脱水素化剤の使用量が多すぎると、必要以上に脱水素化剤を用いることになり、製造コストが上昇することがある。
上記反応は、通常、空気中で行われるが、水分の影響を避けるために、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。
反応条件としては、上記反応が充分に進行する条件である限り、特に限定されるものではないが、例えば、反応温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは室温(20〜30℃)以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。反応時間は、環化縮合反応については、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、また、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下であり;脱水素反応については、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、また、好ましくは6時間以下、より好ましくは5時間以下である。反応圧力は、常圧、減圧または加圧のいずれでもよいが、好ましくは常圧である。
反応終了後、例えば、反応混合物を濾過し、残渣を有機溶媒で洗浄回収し、濾液と合わせる。次いで、反応生成物の溶液に希薄なアルカリ水溶液を加えて分液し、有機層を、必要に応じて、水洗し、そして、乾燥した後、濃縮または蒸発乾固する。最後に、必要に応じて、各種クロマトグラフィーや再結晶、再沈殿などの従来公知の方法で精製することにより、ロザリン誘導体が得られる。
ロザリン誘導体の酸付加塩を形成するには、例えば、得られたロザリン誘導体を有機溶媒に溶解した溶液に希薄な酸水溶液を加えればよい。酸水溶液としては、例えば、塩酸、過塩素酸、臭化水素酸などの約5%程度の希薄な水溶液が挙げられる。これらの酸水溶液のうち、塩酸、過塩素酸の希薄な水溶液が特に好ましい。
酸水溶液の使用量は、ロザリン誘導体を有機溶媒に溶解した溶液中に含まれるロザリン誘導体をプロトン化するのに充分な量であれば、特に限定されるものではないが、通常、ロザリン誘導体に対して、ほぼ当量または少し過剰の酸水溶液を用いることが好ましい。
酸を加えた後、例えば、反応混合物を分液し、有機層を、必要に応じて、水洗し、そして、無水硫酸ナトリウムなどで乾燥した後、濃縮または蒸発乾固する。最後に、必要に応じて、各種クロマトグラフィーや再結晶、再沈殿などの従来公知の方法で精製することにより、ロザリン誘導体の酸付加塩が得られる。
以上のようにして、上記式(1)で示されるロザリン誘導体またはその酸付加塩が得られる。得られたロザリン誘導体またはその酸付加塩が第1波長域または第2波長域に吸収極大を有しない場合には、上記したように、例えば、Arで表される「アリール基」に置換基(例えば、ハロゲン原子)を導入したり、Zで表されるアリーレン基の種類を変更したり、酸を加えてプロトン化したりすることにより、吸収極大の位置を第1波長域または第2波長域にシフトさせればよい。
そして、第1波長域または第2波長域に吸収極大を有するロザリン誘導体またはその酸付加塩を単独で用いるか、あるいは、2種以上を併用することにより、また、必要に応じて、さらに、従来公知の各種添加剤を混合することにより、本発明の光波長選択吸収色素が得られる。このように、本発明の光波長選択吸収色素は、同一の分子骨格を有するロザリン誘導体またはその酸付加塩を含有するので、同一の合成プロセスで製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(1)3,3’−ジイソブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ビピロールを用いたロザリン誘導体またはその酸付加塩の合成例
≪合成例1≫
容量50mLの二口なすフラスコに、3,3’−ジイソブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ビピロール(32.7mg,0.12mmol)を入れ、二方コックとセプタムをつけて真空乾燥した。このフラスコに、乾燥したジクロロメタン(10mL)、蒸留したベンズアルデヒド(13.8mg,0.13mmol)、トリフルオロ酢酸(3.9mg,0.034mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。その後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(108.9mg,0.48mmol)を加え、さらに2時間攪拌した。この反応混合物をセライトで濾過した後、残渣をジクロロメタンで洗浄して回収し、濾液と合わせた。反応生成物のジクロロメタン溶液(50mL)に5%NaOH水溶液30mLを加えて分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製した。ジクロロメタン−アセトンの容量比を1:0から2:1まで変化させた混合溶媒を溶離液として、茶色および紫色の画分を得た。茶色の画分を濃縮し、ヘキサンで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体12iを収率24%で得た。得られたロザリン誘導体12iは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arはフェニル基、Zは直接結合を表す]で示される非プロトン化体である。
容量50mLの二口なすフラスコに、3,3’−ジイソブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ビピロール(32.7mg,0.12mmol)を入れ、二方コックとセプタムをつけて真空乾燥した。このフラスコに、乾燥したジクロロメタン(10mL)、蒸留したベンズアルデヒド(13.8mg,0.13mmol)、トリフルオロ酢酸(3.9mg,0.034mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。その後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(108.9mg,0.48mmol)を加え、さらに2時間攪拌した。この反応混合物をセライトで濾過した後、残渣をジクロロメタンで洗浄して回収し、濾液と合わせた。反応生成物のジクロロメタン溶液(50mL)に5%NaOH水溶液30mLを加えて分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製した。ジクロロメタン−アセトンの容量比を1:0から2:1まで変化させた混合溶媒を溶離液として、茶色および紫色の画分を得た。茶色の画分を濃縮し、ヘキサンで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体12iを収率24%で得た。得られたロザリン誘導体12iは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arはフェニル基、Zは直接結合を表す]で示される非プロトン化体である。
12i:1H−NMR(δ,400MHz,CDCl3)12.1(br s,3H,NH),7.4−7.3(m,15H,メソ−フェニル−H),2.10(s,18H,CH 3),2.18−1.98(m,12H,CH 2CHMe2),1.85−1.66(m,6H,CH2CHMe2),0.77,0.75(d×2,18H×2,CH2CHMe 2)
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)470(4.90)nm
ESI−MS(C75H90N6+H+の実測値/理論値)1075.77/1075.73
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)470(4.90)nm
ESI−MS(C75H90N6+H+の実測値/理論値)1075.77/1075.73
さらに、得られたロザリン誘導体12iをジクロロメタン20mLに溶解し、5%過塩素酸10mLと混合して、プロトン化した。この混合物を分液して、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を留去した。残渣をエーテルで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体12iの過塩素酸塩(12i・3HClO4)を定量的に得た。
12i・3HClO4:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)501(5.11)nm
12i・3HClO4:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)501(5.11)nm
元素分析の結果(トリカチオン体:C75H90N6・3HClO4・2H2O)
理論値:C,63.75;H,6.92;N,5.95%
実測値:C,63.30;H,6.59;N,6.45%
理論値:C,63.75;H,6.92;N,5.95%
実測値:C,63.30;H,6.59;N,6.45%
本合成例で得られたロザリン誘導体12iの過塩素酸塩(12i・3HClO4)は、第1波長域に吸収極大を有するので、本発明の光波長選択吸収色素として有用である。
≪合成例2≫
合成例1において、ベンズアルデヒドに代えてペンタフルオロベンズアルデヒドを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、ロザリン誘導体12jを収率33%で得た。ロザリン誘導体12jは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arは2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、Zは直接結合を表す]で示される非プロトン化体である。
12j:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)470(4.72)nm
合成例1において、ベンズアルデヒドに代えてペンタフルオロベンズアルデヒドを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、ロザリン誘導体12jを収率33%で得た。ロザリン誘導体12jは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arは2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、Zは直接結合を表す]で示される非プロトン化体である。
12j:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)470(4.72)nm
さらに、合成例1と同様にして、ロザリン誘導体12jの過塩素酸塩(12j・3HClO4)を定量的に得た。
12j・3HClO4:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)517(4.84)nm
12j・3HClO4:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)517(4.84)nm
本合成例で得られたロザリン誘導体12jの過塩素酸塩(12j・3HClO4)は、第1波長域に吸収極大を有するので、本発明の光波長選択吸収色素として有用である。
≪合成例3≫
合成例1において、ベンズアルデヒドに代えて2,6−ジクロロベンズアルデヒドを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、ロザリン誘導体12kを収率15%で得た。
合成例1において、ベンズアルデヒドに代えて2,6−ジクロロベンズアルデヒドを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、ロザリン誘導体12kを収率15%で得た。
ロザリン誘導体12kは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arは2,6−ジクロロフェニル基、Zは直接結合を表す]で示される非プロトン化体である。
12k:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)477(4.70)nm
12k:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)477(4.70)nm
さらに、合成例1と同様にして、ロザリン誘導体12kの過塩素酸塩(12k・3HClO4)を定量的に得た。
12k・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)522(4.92)nm
12k・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)522(4.92)nm
(2)1,4−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ベンゼンを用いたロザリン誘導体またはその酸付加塩の合成例
≪合成例4≫
容量150mLの二口なすフラスコに、1,4−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ベンゼン(150.6mg,0.47mmol)を入れ、二方コックとセプタムをつけて真空乾燥した。このフラスコに、乾燥したジクロロメタン(30mL)、蒸留したペンタフルオロベンズアルデヒド(119.6mg,0.61mmol)、トリフルオロ酢酸(14.8mg,0.13mmol)を加え、室温で20時間攪拌した。その後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(424.5mg,1.87mmol)を加え、さらに2時間攪拌した。この反応混合物をセライトで濾過した後、残渣をジクロロメタンおよびアセトンで洗浄して回収し、濾液と合わせた。反応生成物のジクロロメタン−アセトン溶液(100mL)を5%HClO4水溶液(20mL)、5%NaOH水溶液(20mL)で順次洗浄して分液した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して精製した。ジクロロメタンで溶離してくる赤色の画分を濃縮し、ヘキサンで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体13jを収率42%で得た。ロザリン誘導体13jは、上記式(1)[式中、R1およびR2はエチル基、Arは2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、Zはフェニル−1,4−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
容量150mLの二口なすフラスコに、1,4−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ベンゼン(150.6mg,0.47mmol)を入れ、二方コックとセプタムをつけて真空乾燥した。このフラスコに、乾燥したジクロロメタン(30mL)、蒸留したペンタフルオロベンズアルデヒド(119.6mg,0.61mmol)、トリフルオロ酢酸(14.8mg,0.13mmol)を加え、室温で20時間攪拌した。その後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(424.5mg,1.87mmol)を加え、さらに2時間攪拌した。この反応混合物をセライトで濾過した後、残渣をジクロロメタンおよびアセトンで洗浄して回収し、濾液と合わせた。反応生成物のジクロロメタン−アセトン溶液(100mL)を5%HClO4水溶液(20mL)、5%NaOH水溶液(20mL)で順次洗浄して分液した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して精製した。ジクロロメタンで溶離してくる赤色の画分を濃縮し、ヘキサンで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体13jを収率42%で得た。ロザリン誘導体13jは、上記式(1)[式中、R1およびR2はエチル基、Arは2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、Zはフェニル−1,4−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
13j:1H−NMR(δ,400MHz,CDCl3)12.09(br s,1H×3,NH),7.75(s,4H×3,ブリッジ−C6 H 4),2.52(q,J=7.3Hz,2H×6,CH 2CH3),1.86(q,J=7.4Hz,2H×6,CH 2CH3),1.06(t,J=7.4Hz,3H×6,CH2CH 3),0.87(t,J=7.4Hz,3H×6,CH2CH 3)
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)512(5.05)nm
ESI−MS(MeOH中,C87H76N6F15+H+の実測値/理論値)1489.60/1489.59
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)512(5.05)nm
ESI−MS(MeOH中,C87H76N6F15+H+の実測値/理論値)1489.60/1489.59
元素分析の結果(C87H75N6F15)
理論値:C,70.15;H,5.07;N,5.64%
実測値:C,70.93;H,5.07;N,5.55%
理論値:C,70.15;H,5.07;N,5.64%
実測値:C,70.93;H,5.07;N,5.55%
さらに、得られたロザリン誘導体13jをジクロロメタン20mLに溶解し、5%塩酸10mLと混合して、プロトン化した。この混合物を分液して、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を留去した。残渣をエーテルで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体13jの塩酸塩(13j・3HCl)を定量的に得た。
13j・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)589(5.25)nm
13j・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)589(5.25)nm
本合成例で得られたロザリン誘導体13jは、第1波長域に吸収極大を有するので、また、ロザリン誘導体13jの塩酸塩(13j・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するので、いずれも本発明の光波長選択吸収色素として有用である。
≪合成例5≫
合成例4において、ペンタフルオロベンズアルデヒドに代えて2,6−ジクロロベンズアルデヒドを用いたこと以外は、合成例4と同様にして、ロザリン誘導体13kを収率36%で得た。ロザリン誘導体13kは、上記式(1)[式中、R1およびR2はエチル基、Arは2,6−ジクロロフェニル基、Zはフェニル−1,4−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
合成例4において、ペンタフルオロベンズアルデヒドに代えて2,6−ジクロロベンズアルデヒドを用いたこと以外は、合成例4と同様にして、ロザリン誘導体13kを収率36%で得た。ロザリン誘導体13kは、上記式(1)[式中、R1およびR2はエチル基、Arは2,6−ジクロロフェニル基、Zはフェニル−1,4−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
13k:1H−NMR(δ,400MHz,CDCl3)12.28(br s,1H×3,NH),7.77(s,4H×3,ブリッジ−C6 H 4),7.34−7.45(m,3H×3,メソ−フェニル−H),2.52(q,J=7.4Hz,2H×6,CH 2CH3),1.81(q,J=7.4Hz,2H×6,CH 2CH3),1.06(t,J=7.5Hz,3H×6,CH2CH 3),0.79(t,J=7.5Hz,3H×6,CH2CH 3)
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)511(5.01)nm
ESI−MS(MeOH中,C87H85N6Cl6+H+の実測値/理論値)1427.63/1427.49
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)511(5.01)nm
ESI−MS(MeOH中,C87H85N6Cl6+H+の実測値/理論値)1427.63/1427.49
元素分析の結果(C87H84N6Cl6)
理論値:C,73.26;H,5.94;N,5.89%
実測値:C,73.13;H,6.13;N,5.98%
理論値:C,73.26;H,5.94;N,5.89%
実測値:C,73.13;H,6.13;N,5.98%
さらに、合成例4と同様にして、ロザリン誘導体13kの塩酸塩(13k・3HCl)を定量的に得た。
13k・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)582(5.24)nm
13k・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)582(5.24)nm
本合成例で得られたロザリン誘導体13kは、第1波長域に吸収極大を有するので、また、ロザリン誘導体13kの塩酸塩(13k・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するので、いずれも本発明の光波長選択吸収色素として有用である。
(3)4,4’−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ビフェニルを用いたロザリン誘導体またはその酸付加塩の合成例
≪合成例6≫
容量200mLの二口なすフラスコに、4,4’−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ビフェニル(150.3mg,0.38mmol)を入れ、二方コックとセプタムをつけて真空乾燥した。このフラスコに、乾燥したジクロロメタン(40mL)、蒸留したベンズアルデヒド(64.7mg,0.61mmol),トリフルオロ酢酸(10.3mg,0.09mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。その後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(347.3mg,1.53mmol)を加え、さらに4時間室温で攪拌した。反応混合物は濃青色に変化した。この反応混合物をセライトで濾過した後、残渣をジクロロメタンで洗浄して回収し、濾液と合わせた。反応生成物のジクロロメタン溶液(100mL)を5%HClO4水溶液(20mL)、5%NaOH水溶液(20mL)で順次洗浄して分液した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して精製した。ジクロロメタン−ジエチルエーテルの容量比を10:1とした混合溶媒で溶離してくる赤色の画分を濃縮し、ヘキサンで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体15iを収率52%で得た。ロザリン誘導体15iは、上記式(1)[式中、R1およびR2はエチル基、Arはフェニル基、Zは1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
容量200mLの二口なすフラスコに、4,4’−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ビフェニル(150.3mg,0.38mmol)を入れ、二方コックとセプタムをつけて真空乾燥した。このフラスコに、乾燥したジクロロメタン(40mL)、蒸留したベンズアルデヒド(64.7mg,0.61mmol),トリフルオロ酢酸(10.3mg,0.09mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。その後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(347.3mg,1.53mmol)を加え、さらに4時間室温で攪拌した。反応混合物は濃青色に変化した。この反応混合物をセライトで濾過した後、残渣をジクロロメタンで洗浄して回収し、濾液と合わせた。反応生成物のジクロロメタン溶液(100mL)を5%HClO4水溶液(20mL)、5%NaOH水溶液(20mL)で順次洗浄して分液した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して精製した。ジクロロメタン−ジエチルエーテルの容量比を10:1とした混合溶媒で溶離してくる赤色の画分を濃縮し、ヘキサンで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体15iを収率52%で得た。ロザリン誘導体15iは、上記式(1)[式中、R1およびR2はエチル基、Arはフェニル基、Zは1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
15i:1H−NMR(δ,400MHz,CDCl3)12.75(br s,3H,NH),7.74,7.81(d×2,12H×2,J=8.5Hz,ブリッジ−C6 H 4),7.56−7.42(m,15H,メソ−フェニル−H),2.60,1.67(q×2,12H×2,J=7.4Hz,CH 2CH3),1.14,0.73(t×2,18H×2,J=7.5,7.3Hz,CH2CH 3)
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)517(5.18)nm
ESI−MS(C105H102N6+H+の実測値/理論値)1448.63/1448.83
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)517(5.18)nm
ESI−MS(C105H102N6+H+の実測値/理論値)1448.63/1448.83
元素分析の結果(C105H102N6)
理論値:C,87.10;H,7.10;N,5.80%
実測値:C,86.99;H,7.00;N,5.59%
理論値:C,87.10;H,7.10;N,5.80%
実測値:C,86.99;H,7.00;N,5.59%
さらに、得られたロザリン誘導体15iをジクロロメタン20mLに溶解し、5%塩酸10mLと混合して、プロトン化した。この混合物を分液して、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を留去した。残渣をエーテルで再沈殿させることにより、ロザリン誘導体15iの塩酸塩(15i・3HCl)を定量的に得た。
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)604(5.44)nm
UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)604(5.44)nm
本合成例で得られたロザリン誘導体15iは、第1波長域に吸収極大を有するので、また、ロザリン誘導体15iの塩酸塩(15i・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するので、いずれも本発明の光波長選択吸収色素として有用である。
(4)9,10−ビス(3−イソブチル−4−メチルピロール−2−イル)アントラセンを用いたロザリン誘導体またはその酸付加塩の合成例
≪合成例7≫
合成例6において、4,4’−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ビフェニルに代えて9,10−ビス(3−イソブチル−4−メチルピロール−2−イル)アントラセンを用いたこと以外は、合成例6と同様にして、ロザリン誘導体14iを収率22%で得た。ロザリン誘導体14iは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arはフェニル基、Zはアントラセン−9,10−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
14i:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)501(4.66)nm
合成例6において、4,4’−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ビフェニルに代えて9,10−ビス(3−イソブチル−4−メチルピロール−2−イル)アントラセンを用いたこと以外は、合成例6と同様にして、ロザリン誘導体14iを収率22%で得た。ロザリン誘導体14iは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arはフェニル基、Zはアントラセン−9,10−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
14i:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)501(4.66)nm
さらに、合成例6と同様にして、ロザリン誘導体14iの塩酸塩(14i・3HCl)を定量的に得た。
14i・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)546(4.85)nm
14i・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)546(4.85)nm
本合成例で得られたロザリン誘導体14iは、第1波長域に吸収極大を有するので、本発明の光波長選択吸収色素として有用である。
(5)2,7−ビス(3−イソブチル−4−メチルピロール−2−イル)−9,9−ジメチルフルオレンを用いたロザリン誘導体またはその酸付加塩の合成例
≪合成例8≫
合成例6において、4,4’−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ビフェニルに代えて2,7−ビス(3−イソブチル−4−メチルピロール−2−イル)−9,9−ジメチルフルオレンを用いたこと以外は、合成例6と同様にして、ロザリン誘導体16iを収率39%で得た。ロザリン誘導体16iは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arはフェニル基、Zは9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
16i:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)529(5.16)nm
合成例6において、4,4’−ビス(3,4−ジエチルピロール−2−イル)ビフェニルに代えて2,7−ビス(3−イソブチル−4−メチルピロール−2−イル)−9,9−ジメチルフルオレンを用いたこと以外は、合成例6と同様にして、ロザリン誘導体16iを収率39%で得た。ロザリン誘導体16iは、上記式(1)[式中、R1はイソブチル基、R2はメチル基、Arはフェニル基、Zは9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基を表す]で示される非プロトン化体である。
16i:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)529(5.16)nm
さらに、合成例6と同様にして、ロザリン誘導体16iの塩酸塩(16i・3HCl)を定量的に得た。
16i・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)592(5.23)nm
16i・3HCl:UV/Vis(CH2Cl2)λmax(logε)592(5.23)nm
本合成例で得られたロザリン誘導体16iの塩酸塩(16i・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するので、本発明の光波長選択吸収色素として有用である。
合成例1〜8で得られたロザリン誘導体およびその酸付加塩の吸収極大およびモル吸光係数を表1に示す。
表1において、Me−はメチル基、Et−はエチル基、i−Bu−はイソブチル基、Ph−はフェニル基、F5−Ph−は2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、Cl2−Ph−は2,6−ジクロロフェニル基、−Ph−はフェニル−1,4−ジイル基、−bi−Ph−は1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基、−Ac−はアントラセン−9,10−ジイル基、−di−Me−Fr−は9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基、対カチオンはロザリン誘導体が酸付加塩を形成した場合に付加した酸に由来するカチオンを表す。また、λmaxは吸収極大、logεはモル吸光係数εの常用対数を表す。さらに、吸収極大の数値に付された記号「*1」は当該ロザリン誘導体またはその酸付加塩の吸収極大が480〜520nmの第1波長域に属することを表し、吸収極大の数値に付された記号「*2」は当該ロザリン誘導体またはその酸付加塩の吸収極大が580〜620nm第2波長域に属することを表す。
表1から明らかなように、ロザリン誘導体12iは、第1波長域より短波長側に吸収極大を有するが、過塩素酸を加えてプロトン化することにより、吸収極大の位置が470nmから31nmだけ長波長側にシフトして501nmとなり、得られたロザリン誘導体12iの過塩素酸塩(12i・3HClO4)は、第1波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体12jは、第1波長域より短波長側に吸収極大を有するが、過塩素酸を加えてプロトン化することにより、吸収極大の位置が470nmから47nmだけ長波長側にシフトして517nmとなり、得られたロザリン誘導体12jの過塩素酸塩(12j・3HClO4)は、第1波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体13jは、第1波長域に吸収極大を有するが、塩酸を加えてプロトン化することにより、吸収極大の位置が512nmから77nmだけ長波長側にシフトして589nmとなり、得られたロザリン誘導体13jの塩酸塩(13j・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体13kは、第1波長域に吸収極大を有するが、塩酸を加えてプロトン化することにより、吸収極大の位置が511nmから71nmだけ長波長側にシフトして582nmとなり、得られたロザリン誘導体13kの塩酸塩(13k・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体15iは、第1波長域に吸収極大を有するが、塩酸を加えてプロトン化することにより、吸収極大の位置が517nmから87nmだけ長波長側にシフトして604nmとなり、得られたロザリン誘導体15iの塩酸塩(15i・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体16iは、第2波長域より短波長側に吸収極大を有するが、塩酸を加えてプロトン化することにより、吸収極大の位置が529nmから63nmだけ長波長側にシフトして592nmとなり、得られたロザリン誘導体16iの塩酸塩(16i・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するようになる。
また、ロザリン誘導体3bは、第1波長域より短波長側に吸収極大を有するが、Zを直接結合からフェニル−1,4−ジイル基に変更することにより、吸収極大の位置が478nmから33nmだけ長波長側にシフトして511nmとなり、得られたロザリン誘導体13kは、第1波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体3aは、第1波長域より短波長側に吸収極大を有するが、Zを直接結合から1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基に変更することにより、吸収極大の位置が472.5nmから44.5nmだけ長波長側にシフトして517nmとなり、得られたロザリン誘導体15iは、第1波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体3aの塩酸塩(3a・3HCl)は、第1波長域に吸収極大を有するが、Zを直接結合から1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基に変更することにより、吸収極大の位置が490nmから114nmだけ長波長側にシフトして604nmとなり、得られたロザリン誘導体15iの塩酸塩(15i・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体12iは、第1波長域より短波長側に吸収極大を有するが、Zを直接結合からアントラセン−9,10−ジイル基に変更することにより、吸収極大の位置が470nmから31nmだけ長波長側にシフトして501nmとなり、得られたロザリン誘導体14iは、第1波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体14iの塩酸塩(14i・3HCl)は、第2波長域の短波長側に吸収極大を有するが、Zをアントラセン−9,10−ジイル基から9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基に変更することにより、吸収極大の位置が546nmから46nmだけ長波長側にシフトして592nmとなり、得られたロザリン誘導体16iの塩酸塩(16i・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するようになる。
さらに、ロザリン誘導体13iは、第1波長域に吸収極大を有するが、Arをフェニル基から2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基に変更することにより、吸収極大の位置が503.5nmから8.5nmだけ長波長側にシフトして512nmとなり、得られたロザリン誘導体13jは、第1波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体13iは、第1波長域に吸収極大を有するが、Arをフェニル基から2,6−ジクロロフェニル基に変更することにより、吸収極大の位置が503.5nmから7.5nmだけ長波長側にシフトして511nmとなり、得られたロザリン誘導体13kは、第1波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体13iの塩酸塩(13i・3HCl)は、第2波長域より短波長側に吸収極大を有するが、Arをフェニル基から2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基に変更することにより、吸収極大の位置が559nmから30nmだけ長波長側にシフトして589nmとなり、得られたロザリン誘導体13jの塩酸塩(13j・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するようになる。ロザリン誘導体13iの塩酸塩(13i・3HCl)は、第2波長域より短波長側に吸収極大を有するが、Arをフェニル基から2,6−ジクロロフェニル基に変更することにより、吸収極大の位置が559nmから23nmだけ長波長側にシフトして582nmとなり、得られたロザリン誘導体13kの塩酸塩(13k・3HCl)は、第2波長域に吸収極大を有するようになる。
以上のことから、上記式(1)において、Arで表される「アリール基」に置換基(例えば、ハロゲン原子)を導入したり、Zで表されるアリーレン基の種類を変更したり、酸を加えてプロトン化したりすることにより、本発明の光波長選択吸収色素に有用なロザリン誘導体またはその酸付加塩が得られることがわかる。
本発明の光波長選択吸収色素は、例えば、ディスプレイのカラーフィルターやプロジェクターのスクリーンなどの用途に有用であり、カラー画像の表示やカラー映像の投影に関する技術分野で多大の貢献をなすものである。
Claims (9)
- 上記式(1)において、R1およびR2が、互いに独立して、炭素数1〜6のアルキル基、Arが炭素数6〜12のアリール基、Zが直接結合または炭素数6〜16のアリーレン基を表す、請求項1に記載の光波長選択吸収色素。
- 上記式(1)において、R1およびR2が、互いに独立して、メチル基、エチル基またはイソブチル基、Arがフェニル基またはハロゲン置換フェニル基、Zが直接結合、フェニル−1,4−ジイル基、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基または9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基を表す、請求項2に記載の光波長選択吸収色素。
- 上記式(1)において、R1がイソブチル基、R2がメチル基、Arがフェニル基または2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、Zが直接結合、アントラセン−9,10−ジイル基または9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル基を表す、請求項3に記載の光波長選択吸収色素。
- 上記式(1)において、R1がイソブチル基、R2がメチル基、Arがフェニル基、Zが直接結合を表す、請求項4に記載の光波長選択吸収色素。
- 上記式(1)において、R1およびR2がエチル基、Arがフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基または2,6−ジクロロフェニル基、Zがフェニル−1,4−ジイル基または1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル基を表す、請求項3に記載の光波長選択吸収色素。
- 上記式(1)において、R1およびR2がエチル基、Arが2,6−ジクロロフェニル基、Zがフェニル−1,4−ジイル基を表す、請求項6に記載の光波長選択吸収色素。
- ディスプレイのカラーフィルター用である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光波長選択吸収色素。
- プロジェクターのスクリーン用である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光波長選択吸収色素。
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