JP2012017410A - 熱伝導性樹脂組成物及びそれによる成形体 - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物及びそれによる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い熱伝導性を示す成形体を形成することができる熱伝導性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】窒化ホウ素粉体と樹脂とを含有する熱伝導性樹脂組成物において、特定の全細孔容積、特定のバルク密度、及び特定の波数における吸収強度比を有する窒化ホウ素粉体を特定の含有量で用い、この熱伝導性樹脂組成物から成形体を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、窒化ホウ素粉体を含有する熱伝導性樹脂組成物及びその成形体に関する。
電子装置からの熱の除去は、特にパーソナルコンピュータにおいて重要である。このような装置で発生する熱の除去には、熱伝導性の高い放熱材が用いられる。このような放熱材には、一般に、熱伝導性粒子を分散させた樹脂組成物の成形体が用いられる。電子装置に用いられる放熱材には、一般に高い熱伝導性と絶縁性とが求められる。
前記成形体を形成するための熱伝導性樹脂組成物は、一般に、熱伝導性粒子と樹脂とから構成される。このような熱伝導性樹脂組成物では、例えば生産性の観点から、熱伝導性粒子の含有量が低いことが求められている。このような高い熱伝導性、絶縁性等の他の所望の物性、及び生産性等の種々の問題に対して、熱伝導性粒子の粒子特性(例えば粒径、粒径分布、比表面積、及びアスペクト比等)の制御による解決が試みられているが、十分に高い熱伝導性を得る観点から、検討の余地が残されている。
このような熱伝導性樹脂組成物としては、例えば、特定の粒度分布を有する窒化ホウ素粉体を含有する樹脂組成物であって、例えば窒化ホウ素粉体の含有量が40体積%であるシリコーン樹脂組成物による成形体の熱伝導性が2W/(m・K)弱である樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)
また前記熱伝導性樹脂組成物としては、例えば、不規則非球状粒子をバインダで結合し、2未満のアスペクト比を有する球状窒化ホウ素凝集体を含有する樹脂組成物であって、例えば窒化ホウ素の含有量が約36質量%である樹脂組成物による成形体の熱伝導性が約2〜6W/(m・K)である樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また前記熱伝導性樹脂組成物としては、例えば、特定の特性を有する窒化ホウ素を含み得るフィラーを含有する樹脂組成物であって、例えばフィラーの含有量が30〜70体積%である樹脂組成物による成形体の熱伝導率がそれぞれ特定の値以上である樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
また前記熱伝導性樹脂組成物としては、例えば、特定の粒径、粒度分布を有する窒化ホウ素粉体を含有する樹脂組成物であって、例えば窒化ホウ素粉体の含有量が55体積%である樹脂組成物による成形体の熱伝導率が約6〜11W/(m・K)である樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
また前記熱伝導性樹脂組成物としては、例えば、表面積、粒度、タップ密度等の粒子特性の異なる二種の混合窒化ホウ素粉体を含有する樹脂組成物であって、例えば窒化ホウ素粉体の含有量が40体積%である樹脂組成物による成形体の熱伝導率が2〜13W/(m・K)である樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
また前記熱伝導性樹脂組成物としては、例えば、窒化ホウ素、アルミナ、ダイヤモンド、シリカを含有するエポキシ樹脂組成物であって、例えば窒化ホウ素の含有量が約20体積%であるエポキシ樹脂組成物による成形体の熱伝導率が1W/(m・K)である樹脂組成物が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
また前記熱伝導性樹脂組成物としては、例えば、表面処理した窒化ホウ素粉体を含有するエポキシ樹脂組成物やシリコーン樹脂組成物であって、例えば窒化ホウ素の含有量が約60〜70質量%であるエポキシ樹脂組成物による成形体の熱伝導率が約5W/(m・K)以下であるエポキシ樹脂組成物や、窒化ホウ素の含有量が約50〜60体積%であるシリコーン樹脂組成物による成形体の熱伝導率が約1〜6W/(m・K)以下であるシリコーン樹脂組成物が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
特開2005−343728号公報 特表2008−510878号公報 特開2003−221573号公報 特開2008−189818号公報 特表2010−505729号公報
Diamond & Related Materials, 14(2005) 1647−1653 広島県立総合技術研究所 西部工業技術センター研究報告 No.49(2006) 19
本発明は、高い熱伝導性を示す成形体を形成することができる熱伝導性樹脂組成物を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、樹脂組成物の貯蔵弾性率、樹脂成分の粘性率、及び窒化ホウ素粉体の含有量から求められる特定のパラメータが一定の値を上回る場合に、そのような条件の熱伝導性樹脂組成物が、窒化ホウ素粉体の含有量が低くても、従来になく高い熱伝導性を示すことを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、窒化ホウ素粉体と樹脂とを含有する熱伝導性樹脂組成物において、窒化ホウ素粉体の全細孔容積が0.80cm3/g以上であり、窒化ホウ素粉体のバルク密度が0.70g/cm3以下であり、窒化ホウ素粉体の、25℃において測定した拡散反射IRスペクトルにおいて、波数3,224cm-1における吸収強度I1の、波数1,670cm-1における吸収強度I2に対する比が0.060以下であり、窒化ホウ素粉体の含有量が25〜75質量%である熱伝導性樹脂組成物を提供する。
また本発明は、前記樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂である前記の熱伝導性樹脂組成物を提供する。
さらに本発明は、前記の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体を提供する。
本発明では、熱伝導性樹脂組成物に特定の物性を有する窒化ホウ素粉体を用いることから、このような特性を有さない窒化ホウ素粉体を含有する熱伝導性樹脂組成物による成形体に比べて、窒化ホウ素粉体の含有量が同じであってもより高い熱伝導性を有する成形体を提供することができる。
また本発明では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが、可撓性や絶縁性を有する成形体を形成し、成形体の汎用性を高める観点からより一層効果的である。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、窒化ホウ素粉体と樹脂とを含有する。
窒化ホウ素粉体の全細孔容積(以下「Vp」とも言う)は0.80cm3/g以上である。窒化ホウ素粉体のVpを0.80cm3/g以上とすることにより、熱伝導性樹脂組成物において樹脂が窒化ホウ素の内部に浸透して消費され、樹脂で構成される実質的なバインダ層の体積が少なくなり、熱伝導性が高くなり、所望の熱伝導率を得るための熱伝導性樹脂組成物中の窒化ホウ素粉体の含有量を低減させることが可能となる。例えば、45質量%で8W/(m・K)以上の熱伝導率を得ることが可能となる。
Vpが0.80cm3/gより小さい場合、樹脂で構成される実質的なバインダ層の体積が多くなり、所望の熱伝導率を得るためにより多量の窒化ホウ素粉体を熱伝導性樹脂組成物に配合することが必要となることがある。
Vpは、0.80cm3/g以上であればよいが、窒化ホウ素粉体のより少ない含有量で成形体における高い熱伝導率を得る観点から、0.80cm3/g以上2.0cm3/g以下であることが好ましく、0.80cm3/g以上1.5cm3/g以下であることがより好ましく、0.80cm3/g以上1.2cm3/g以下であることがさらに好ましい。
Vpは、粉体の全細孔容積を測定する通常の装置や方法を用いて測定することができ、例えば、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用い、室温で試料を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm〜500μmの全細孔容積として求めることができる。
Vpは、例えば、Vpが0.80cm3/g未満の窒化ホウ素粉体とVpが大きい窒化ホウ素粉体との混合や、Vpが0.80cm3/g未満の窒化ホウ素粉体を従来公知の方法で造粒することによりVpを0.80cm3/g以上とすることによって調整することができる。前記造粒には従来公知の造粒剤を用いることができる。
窒化ホウ素粉体のバルク密度(以下「ρb」とも言う)は0.70g/cm3以下である。窒化ホウ素粉体のρbを0.70g/cm3以下とすることにより、窒化ホウ素粉体のより少ない含有量でより高熱伝導率の樹脂組成物を得ることができる。ρbが0.70g/cm3より大きいと、熱伝導性樹脂組成物における窒化ホウ素粉体の分散性が悪く、成形体の品質のばらつきが大きくなることがある。
ρbは、窒化ホウ素粉体のハンドリング性を損なわない観点をさらに考慮すると、0.30g/cm3以上0.70g/cm3以下であることが好ましく、0.45g/cm3以上0.70g/cm3以下であることがより好ましく、0.55g/cm3以上0.70g/cm3以下であることがさらに好ましい。
ρbは、粉体のバルク密度を測定する通常の装置や方法を用いて求めることができ、例えば、マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用い、予め容積を測定した専用セルに精秤した粉体試料を入れ、セルごとの質量を測定し、このセルを、減圧下(50μmHg以下)、室温で10分間減圧処理し、処理したセルに水銀を導入し、水銀導入後のセルを秤量し、導入された水銀の質量から水銀の容量を算出し、予め求めたセルの容量からこの水銀容量を差し引いて粉体試料の容量を算出し、この容量で粉体試料の質量を除することによって求めることができる。
ρbは、例えば、ρbが0.70g/cm3より大きい窒化ホウ素粉体とρbの小さい窒化ホウ素粉体との混合や、大きな粒子とそれによってできる間隙を埋めている小さい粒子とを含む窒化ホウ素粉体から小さな粒子を除去することや、均一な粒度分布を有する窒化ホウ素粉体の使用やそれらの混合、によって調整することができる。
窒化ホウ素粉体の、25℃において測定した拡散反射IRスペクトルにおいて、波数3,224cm-1における吸収強度I1の、波数1,670cm-1における吸収強度I2に対する比(すなわちI1/I2、以下「Q」とも言う)は0.060以下である。Qを0.060以下にすることにより、より少ない窒化ホウ素粉体の含有量でより高い熱伝導率の成形体を得ることができる。
窒化ホウ素粉体の拡散反射IRスペクトルにおいて、波数3,224cm-1における吸収強度I1はNH基に由来すると考えられる。また、波数1,670cm-1における吸収強度I2は、窒化ホウ素粉体に一般的に見られる高温でも安定な基準となるスペクトルの一つである。従って、その比であるQの大きさは、窒化ホウ素粉体中のNH基の量と相関していると考えられる。このQが小さいと、即ちNH量が相対的に少ないと、窒化ホウ素粉体と樹脂との親和性が小さくなるため、凝集性が適度に制御され、粉体同士が直接接触して熱伝導性の高い熱の通路(高熱伝導パス)を形成しやすくなるためと考えられる。Qが0.060より大きいと、窒化ホウ素粉体と樹脂との親和性が高くなるため、熱伝導性樹脂組成物において窒化ホウ素粉体が樹脂で覆われやすくなり、高熱伝導パスが形成されにくくなると考えられる。
Qは0.060以下であればよいが、窒化ホウ素粉体のより少ない含有量でより高い熱伝導率を得る観点から、0.040以下であることが好ましく、0.030以下であることがより好ましい。なお、Qの下限は、実質的に波数3,224cm-1における吸収強度I1が観測されない場合であって、0である。
Qは、粉体の拡散反射IRスペクトルを測定する通常の装置や方法によって求めることができ、例えば日本分光(株)製、加熱拡散反射付きフーリエ変換赤外分光光度計FT6200/FVを用い、粉体試料である窒化ホウ素粉体を希釈せずにそのままセルに充填し、その後、真空排気を行い、吸光度測光モードで室温にて拡散反射IRスペクトルを測定し、得られた吸収スペクトルにおいて、波数3,900〜4,000cm-1の吸収強度をベースラインとし、波数3,220〜3,240cm-1の範囲の主ピーク(最も吸収強度が大きいピーク)の吸収強度からベースラインの吸収強度を引くことによって波数3,224cm-1における吸収強度I1とし、波数1,657〜1,676cm-1の範囲の主ピークの吸収強度からベースラインの吸収強度を引くことによって波数1,670cm-1における吸収強度I2とし、I1をI2で除することによって求めることができる。
Qは、例えば、Qが0.060より大きい窒化ホウ素粉体を真空下で一定時間加熱する方法や、加熱した不活性ガス雰囲気下で窒化ホウ素粉体を循環させる方法や、不活性ガス流通下で窒化ホウ素粉体を一定時間加熱する方法や、酸性のガスや液体を用いて窒化ホウ素粉体中のNHの発生源物質を中和し、洗浄する方法、によって調整することができる。
Qの調整方法において、真空度については、特に制限はないが、10kPa以下が好ましく、1kPa以下がより好ましく、0.1kPa以下がさらに好ましい。また不活性ガスの種類は、特に制限はないが、工業的に利用しやすい観点から、窒素であることが好ましい。さらに不活性ガスを含んでなる混合ガスであってもよい。この場合、不活性ガスの割合は、90体積%以上が好ましく、95体積%以上がより好ましく、99体積%以上がさらに好ましい。
またQの調整方法において、不活性ガスの流通時の圧力や流通速度は、窒化ホウ素粉体が飛散せず、またNH発生源物質が気流によって窒化ホウ素粉体から除去される範囲であれば特に制限はない。また、加熱時における温度については、工業的に有利である時間内でQを所定の範囲に制御する観点から、80℃以上800℃未満であることが好ましい。800℃以上では、粉体に含まれる不純物等との反応や粉体の非晶質部分の結晶化等により粉体特性が変化し、窒化ホウ素粉体のパラメータを所定の範囲に制御することが困難になることがある。加熱温度は、80℃以上500℃未満であることがより好ましく、100℃以上300℃未満であることがさらに好ましく、150℃以上250℃未満であることがより一層好ましい。加熱時間も、特に制限はないが、所定の範囲へのQの制御と工業的に良好な作業との観点から、1時間以上24時間未満であることが好ましく、1時間以上12時間未満であることがより好ましく、2時間以上8時間未満であることがさらに好ましい。
窒化ホウ素粉体の含有量は25〜75質量%である。窒化ホウ素粉体の含有量が25質量%未満であると、熱伝導性樹脂組成物による成形体の十分な熱伝導率が得られないことがある。窒化ホウ素粉体の割合が75質量%を超えると、熱伝導性樹脂組成物の成形性が低下することがある。窒化ホウ素粉体の含有量は、25質量%以上75質量%以下であればよいが、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
樹脂には、放熱材等の熱伝導性樹脂組成物による成形体に一般に用いられる樹脂成分やゴム成分を用いることができる。樹脂は一種でも二種以上でもよい。
樹脂成分としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルアミドイミド樹脂、ポリエーテルアミド樹脂及びポリエーテルイミド樹脂が挙げられる。また、それらのブロック共重合体、グラフト共重合体等の共重合体も含まれる。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、及びフェノール樹脂が挙げられる。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロ・スルホン化ポリエチレン、及びポリウレタンゴムが挙げられる。
樹脂は、成形体の耐熱性の観点から、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂におけるJIS K 7236により求められるエポキシ当量は、工業的に入手しやすい観点から、50〜20,000g/当量であることが好ましく、100〜18,000g/当量であることがより好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及び多官能型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ樹脂は二種類以上を混合して用いてもよく、このような場合は、混合物のエポキシ当量が上記範囲であればよい。樹脂は、各種変性剤による変性自由度が高く、効果収縮が小さく寸法安定性に優れる、金属や磁器等に対する接着力が高い、機械的強度が高い、電気絶縁性に優れる、耐熱性に優れる、耐摩耗性に優れる、耐薬品性、耐水性、耐湿性に優れる、可撓性に優れている等の特長を有する成形体を形成する観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、さらなる成分を含有していてもよい。このようなさらなる成分としては、例えば、液晶エポキシ樹脂等の、前記の樹脂に機能性を付与した機能性樹脂、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、繊維状窒化ホウ素等の窒化物粒子、アルミナ、繊維状アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の絶縁性金属酸化物、ダイヤモンド、フラーレン等の絶縁性炭素成分、樹脂硬化剤、樹脂硬化促進剤、及び溶剤が挙げられる。
機能性樹脂は、熱伝導性樹脂組成物や成形体における機能性の発現の観点から、25〜65質量%の含有量で用いられる。窒化物粒子は、成形性と熱伝導性のバランスの観点から、10〜50質量%の含有量で用いられる。前記下限未満では樹脂組成物の熱伝導性が低くなることがあり、前記上限を超えると成形性が悪くなることがある。絶縁性金属酸化物は、成形性と熱伝導性のバランスの観点及び比重の観点から、10〜50質量%の含有量で用いられる。前記下限未満では樹脂組成物の熱伝導性が低くなることがあり、前記上限を超えると成形性が悪くなることがあり、また比重が大きくなる。絶縁性炭素成分は、成形性と熱伝導性のバランスの観点から、10〜50質量%の含有量で用いられる。前記下限未満では樹脂組成物の熱伝導性が低くなることがあり、前記上限を超えると成形性が悪くなることがある。
樹脂硬化剤は、用いられる樹脂の種類に応じて適宜に選ばれる。例えばエポキシ樹脂用の樹脂硬化剤としては、酸無水物系硬化剤やアミン系硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、例えば、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、及びベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン及びジシアンジアミドが挙げられる。エポキシ樹脂用の硬化剤であれば、通常、エポキシ樹脂に対して当量比で、0.3〜1.5の範囲で配合される。
樹脂硬化促進剤は、用いられる樹脂や樹脂硬化剤の種類に応じて適宜に選ばれる。例えば前記酸無水系硬化剤用の樹脂硬化促進剤としては、例えば三フッ化ホウ素モノエチルアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。エポキシ樹脂用の硬化促進剤であれば、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部の含有量で用いられる。
溶剤は、熱伝導性樹脂組成物の粘度を下げる観点から用いることができる。溶剤には、公知の溶剤の中から樹脂を溶解する溶剤が用いられる。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、フェノール、及びヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられる。溶剤は、樹脂100質量部に対して、0〜10,000質量部の含有量で用いられる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、前記の窒化ホウ素粉体、樹脂、及び必要に応じてさらなる成分を撹拌や混錬によって均一に混合することによって得ることができる。例えば前記の樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、単軸又は二軸混錬機等の一般的な混錬機を用いて、熱可塑性樹脂の溶融温度以上で前記の材料を混錬することによって本発明の熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。
また例えば前記の樹脂がエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂である場合には、窒化ホウ素粉体と硬化前の樹脂とを均一に混合することによって、又は得られる混合物を硬化させることによって、本発明の熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の成形体は、前記の本発明の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる。成形体の成形は、樹脂組成物の成形に一般に用いられる方法を利用して、熱伝導性樹脂組成物の状態や樹脂の種類に応じて適宜に行うことができる。
例えば、可塑性や流動性を有する熱伝導性樹脂組成物による成形体の成形は、熱伝導性樹脂組成物を所望の形状で、例えば型へ収容した状態で、硬化させることによって行うことができる。このような成形体の製造では、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、及び圧縮成形を利用することができる。前記の樹脂がエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂である場合では、成形体の成形、すなわち硬化は、それぞれの硬化温度条件で行うことができる。前記の樹脂が熱可塑性樹脂である場合では、成形体の成形は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度及び所定の成形速度や圧力の条件で行うことができる。
また前記成形体は、熱伝導性樹脂組成物の硬化物を所望の形状に削り出すことによって得ることができる。
実施例に用いた材料を以下に示す。
・ビスフェノール系エポキシ樹脂(主剤)(a):三菱化学(株)製 jER 828
・エポキシ樹脂硬化剤(酸無水物系)(b−1):三菱化学(株)製 jERキュア YH300
・エポキシ樹脂硬化剤(アミン系)(b−2):三菱化学(株)製 jERキュア RX221PF
・硬化促進剤(c):三菱化学(株)製 jERキュア EMI24
・粉体A:下記粉体Eを、ヤマト科学(株)製 角型真空定温乾燥機DP23を用いて、0.1kPa以下、200℃で2時間処理を行った粉体。
・粉体B:下記粉体Fを、ヤマト科学(株)製 角型真空定温乾燥機DP23を用いて、0.1kPa以下、200℃で2時間処理を行った粉体。
・粉体C:下記粉体Aと粉体Bを質量比70:30で混合した粉体。
・粉体D:下記粉体Hを、ヤマト科学(株)製 角型真空定温乾燥機DP23を用いて、0.1kPa以下、200℃で2時間処理を行った粉体。
・粉体E:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PTX60
・粉体F:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PTX180・粉体G:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT110
・粉体H:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PTX25
・粉体I:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 窒化ホウ素PT670
粉体A〜Iの全細孔容積Vpを測定した。マイクロメリテックス社製 オートポアIV9520型を用い、室温で試料を減圧下(50μmHg以下)で10分間減圧処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定して、ポアサイズ10nm〜500μmの全細孔容積を求めた。
また、粉体A〜Iのバルク密度ρbを測定した。マイクロメリテックス社製 オートポアIV 9520型を用いて粉体A〜Iのバルク密度を測定した。予め容積を測定した専用セルに精秤した粉体試料を入れ、セルごとの質量を測定した。このセルを、減圧下(50μmHg以下)、室温で10分間減圧処理をした後、水銀を導入した。水銀導入後のセルを秤量し、導入された水銀の質量から水銀の容量を算出し、予め求めたセルの容量からこの水銀容量を差し引いて、粉体試料の容量とした。この容量で粉体試料の質量を除してバルク密度を算出した。
また、粉体A〜Iの拡散反射IRスペクトルを測定した。日本分光(株)製 加熱拡散反射付きフーリエ変換赤外分光光度計FT6200/FVを用い、粉体試料は希釈せずにそのままセルに充填し、その後、真空排気を行い、吸光度測光モードで室温にて粉体A〜Iの拡散反射IRスペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルの波数3,220〜3,240cm-1の範囲の主ピークの吸収強度をI1とし、波数1,657〜1,676cm-1の範囲の主ピークの吸収強度をI2とし、I1をI2で除した値I1/I2(Q)を計算した。なお、I1、I2は、それぞれ、波数3,900〜4,000cm-1の吸収強度をベースラインとして、それを差し引いた値とした。
粉体A〜Iの各特性値を表1に示す。
Figure 2012017410
[実施例1]
ビスフェノール系エポキシ樹脂(a)100質量部に対して、エポキシ樹脂硬化剤(b−1)を80質量部配合し、(株)シンキー製 自転・公転真空ミキサーARV−310を用いて、2,000rpmで2分間混合した後に、硬化促進剤(c)を2質量部添加し、同じミキサーを用い、2,000rpmで2分間混合し、エポキシ混合物を得た。
得られたエポキシ混合物に、粉体の質量%が45.1質量%となるように粉体Aを添加し、日陶科学(株)製 自動乳鉢ANM−150で5分間混合して熱伝導性樹脂組成物1を得た。この熱伝導性樹脂組成物1を金型に入れ、温度150℃、プレス圧力15MPaで1時間加圧硬化させ、約40mm角で厚さ約5〜10mmの成形品を作製した。作製した成形品を切り出して、直径12mm、厚み約1.5mmの円盤状に成形して成形体1を得た。得られた成形体1の熱伝導率Wを、アルバック理工(株)製 全自動レーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000を用いて測定した。成形体1の熱伝導率は8.4W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物1の組成、粉体の特性、及び成形体1の熱伝導率を表2に示す。
[実施例2]
粉体Aに代えて粉体Bを用いる以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物2及び成形体2を得た。そして実施例1と同様に成形体2の熱伝導率を測定したところ、成形体2の熱伝導率は14.5W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物2の組成、粉体の特性、及び成形体2の熱伝導率を表2に示す。
[実施例3]
粉体Aに代えて粉体Cを用いる以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物3及び成形体3を得た。そして実施例1と同様に成形体3の熱伝導率を測定したところ、成形体3の熱伝導率は10.8W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物3の組成、粉体の特性、及び成形体3の熱伝導率を表2に示す。
[実施例4]
粉体Aに代えて粉体Dを用い、粉体Dの含有量を65.7質量%とした以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物4及び成形体4を得た。そして実施例1と同様に成形体4の熱伝導率を測定したところ、成形体4の熱伝導率は9.8W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物4の組成、粉体の特性、及び成形体4の熱伝導率を表3に示す。
[実施例5]
粉体Dに代えて粉体Bを用いた以外は実施例4と同様にして熱伝導性樹脂組成物5及び成形体5を得た。そして実施例1と同様に成形体5の熱伝導率を測定したところ、成形体5の熱伝導率は28.0W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物5の組成、粉体の特性、及び成形体5の熱伝導率を表3に示す。
[実施例6]
粉体Dに代えて粉体Cを用いた以外は実施例4と同様にして熱伝導性樹脂組成物6及び成形体6を得た。そして実施例1と同様に成形体6の熱伝導率を測定したところ、成形体6の熱伝導率は17.8W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物6の組成、粉体の特性、及び成形体6の熱伝導率を表3に示す。
[実施例7]
ビスフェノール系エポキシ樹脂(a)100質量部に対して、エポキシ樹脂硬化剤(b−2)を35質量部配合し、(株)シンキー製 自転・公転真空ミキサーARV−310で2000rpmで2分間混合した後に、このエポキシ混合物に粉体Bを、粉体の含有量が32.4質量%となるように添加して熱伝導性樹脂組成物7を得、さらに同じミキサー中で、回転数2,000rpmで4分間攪拌しながら硬化させ、硬化物を得た。そして得られた硬化物を実施例1と同様に円盤状に成形して成形体7を得た。得られた成形体7の熱伝導率を実施例1と様に測定したところ、成形体7の熱伝導率は3.0W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物7の組成、粉体の特性、及び成形体7の熱伝導率を表4に示す。
[比較例1]
粉体Aに代えて粉体Eを用いる以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C1及び成形体C1を得た。そして実施例1と同様に成形体C1の熱伝導率を測定したところ、成形体C1の熱伝導率は5.9W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C1の組成、粉体の特性、及び成形体C1の熱伝導率を表2に示す。
[比較例2]
粉体Bに代えて粉体Fを用い、かつ粉体の含有量が45.1質量%となるように粉体Fを添加した以外は実施例7と同様にして熱伝導性樹脂組成物C2を得て、また成形体C2を得た。得られた成形体C2の熱伝導率を実施例1と同様に測定したところ、成形体C2の熱伝導率は3.0W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C2の組成、粉体の特性、及び成形体C2の熱伝導率を表2に示す。
[比較例3]
粉体Fに代えて粉体Gを用いた以外は比較例2と同様にして熱伝導性樹脂組成物C3及び成形体C3を得た。そして実施例1と同様に成形体C3の熱伝導率を測定したところ、成形体C3の熱伝導率は2.1W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C3の組成、粉体の特性、及び成形体C3の熱伝導率を表2に示す。
[比較例4]
粉体Dに代えて粉体Hを用いた以外は実施例4と同様にして熱伝導性樹脂組成物C4及び成形体C4を得た。そして実施例1と同様に成形体C4の熱伝導率を測定したところ、成形体C4の熱伝導率は9.1W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C4の組成、粉体の特性、及び成形体C4の熱伝導率を表3に示す。
[比較例5]
粉体Dに代えて粉体Fを用いた以外は実施例4と同様にして熱伝導性樹脂組成物C5及び成形体C5を得た。そして実施例1と同様に成形体C5の熱伝導率を測定したところ、成形体C5の熱伝導率は23.4W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C5の組成、粉体の特性、及び成形体C5の熱伝導率を表3に示す。
[比較例6]
粉体Dに代えて粉体Gを用いた以外は実施例4と同様にして熱伝導性樹脂組成物C6及び成形体C6を得た。そして実施例1と同様に成形体C6の熱伝導率を測定したところ、成形体C6の熱伝導率は7.0W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C6の組成、粉体の特性、及び成形体C6の熱伝導率を表3に示す。
[比較例7]
粉体Bに代えて粉体Fを用いた以外は実施例7と同様にして熱伝導性樹脂組成物C7を得て、また成形体C7を得た。得られた成形体C7の熱伝導率を実施例1と同様に測定したところ、成形体C7の熱伝導率は1.1W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C7の組成、粉体の特性、及び成形体C7の熱伝導率を表4に示す。
[比較例8]
粉体Bに代えて粉体Iを用いた以外は実施例7と同様にして熱伝導性樹脂組成物C8を得て、また成形体C8を得た。得られた成形体C8の熱伝導率を実施例1と同様に測定したところ、成形体C8の熱伝導率は1.0W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C8の組成、粉体の特性、及び成形体C8の熱伝導率を表4に示す。
[比較例9]
粉体Bに代えて粉体Dを用い、かつ粉体の含有量が17.6質量%となるように粉体Dを添加した以外は実施例7と同様にして熱伝導性樹脂組成物C9を得て、また成形体C9を得た。得られた成形体C9の熱伝導率を実施例1と同様に測定したところ、成形体C9の熱伝導率は0.6W/(m・K)であった。熱伝導性樹脂組成物C9の組成、粉体の特性、及び成形体C9の熱伝導率を表5に示す。
[比較例10]
粉体Aに代えて粉体Bを用い、かつ粉体の含有量が80.0質量%となるように粉体Bを添加した以外は実施例1と同様にして熱伝導性樹脂組成物C10を得た。この熱伝導性樹脂組成物C10を用いて実施例1と同様に成形体を作製しようとしたところ、均一な成形体が得られず、成形体を得ることができなかった。熱伝導性樹脂組成物C10の組成、及び粉体の特性を表5に示す。
Figure 2012017410
表2から、窒化ホウ素粉体の含有量が45.1質量%の場合、全細孔容積Vpが0.8cm3/g以上であり、バルク密度ρbが0.7g/cm3以下であり、かつ前記吸収強度比Qが0.060以下である窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率は、前記吸収強度Qが0.060より大きい窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率や、全細孔容積Vpが0.8cm3/g未満の窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率よりも大きいことが分かる。
Figure 2012017410
表3における実施例4と比較例4、及び実施例5と比較例5の対比から、窒化ホウ素粉体の含有量が65.7質量%の場合、全細孔容積Vpが0.8cm3/g以上であり、バルク密度ρbが0.7g/cm3以下であり、前記吸収強度比Qが0.060以下である窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成型体の熱伝導率は、前記吸収強度比Qが0.060を超える窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率よりも大きくことが分かる。
また表3における比較例6から、前記吸収強度比Qが0.060以下であるものの、全細孔容積Vpが0.8cm3/g未満である窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率は、窒化ホウ素粉体の含有量が同じである実施例4〜6における熱伝導率の値に比べて小さいことが分かる。
Figure 2012017410
表4における実施例7と比較例7の対比より、窒化ホウ素粉体の含有量が32.4質量%の場合においても、全細孔容積Vpが0.8cm3/g以上であり、バルク密度ρbが0.7g/cm3以下であり、前記吸収強度比Qが0.060以下である窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成型体の熱伝導率は、前記吸収強度比Qが0.060を超える窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成型体の熱伝導率よりも大きいことが分かる。
また表4における比較例8から、前記吸収強度比Qが0.060以下であるものの、全細孔容積Vpが0.8cm3/g未満であり、バルク密度ρbが0.7g/cm3を超える窒化ホウ素粉体を用いた熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率は、窒化ホウ素粉体の含有量が同じである実施例7における熱伝導率の値に比べて小さいことが分かる。
Figure 2012017410
表5における比較例9から、全細孔容積Vpが0.8cm3/g以上であり、バルク密度ρbが0.7g/cm3以下であり、前記吸収強度比Qが0.060以下である窒化ホウ素粉体を用いても、窒化ホウ素粉体の含有量が25質量%未満である場合では、このような熱伝導性樹脂組成物による成形体の熱伝導率は小さいことが分かる。
また表5における比較例10から、全細孔容積Vpが0.8cm3/g以上であり、バルク密度ρbが0.7g/cm3以下であり、前記吸収強度比Qが0.060以下である窒化ホウ素粉体を用いても、窒化ホウ素粉体の含有量が75質量%を超える場合では、窒化ホウ素粉体が均一に分散した成形体の形成に支障を来すことがあることが分かる。
本発明では、窒化ホウ素粉体に特定の窒化ホウ素粉体を用いることによって、窒化ホウ素粉体のより少ない含有量で成形体において高い熱伝導性が得られることから、本発明は、例えば電子装置の放熱材等の、このような成形体を利用する技術分野のさらなる発展をもたらすことが期待される。

Claims (3)

  1. 窒化ホウ素粉体と樹脂とを含有する熱伝導性樹脂組成物において、
    窒化ホウ素粉体の全細孔容積が0.80cm3/g以上であり、
    窒化ホウ素粉体のバルク密度が0.70g/cm3以下であり、
    窒化ホウ素粉体の、25℃において測定した拡散反射IRスペクトルにおいて、波数3,224cm-1における吸収強度I1の、波数1,670cm-1における吸収強度I2に対する比が0.060以下であり、
    窒化ホウ素粉体の含有量が25〜75質量%であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる成形体。
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