JP2012016293A - 家禽用飼料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リュウキュウヤナギの葉又はその抽出物を含む家禽用飼料とする。
【選択図】なし
Description
この脛骨軟骨異形成症状に対する対策として、カルシウム、リン、ビタミンD等の給与や紫外線照射により骨の化骨を促進させる方法が行なわれている。
カロリー蛋白質比を減少させた飼料を給与する方法は、飼料中の粗蛋白質含量を増加することによってエネルギーの利用性を低下させて、腹腔内脂肪の増加を抑制しようとするものである。しかし、この方法では、腹腔内脂肪を減少させるとともに、屠体重量をも減少することが報告されている(非特許文献5〜7)。
カロリー制限した飼料を給与する方法や給餌量を制限する方法は、脂肪細胞の増殖あるいは肥大を抑制することにより腹腔内脂肪の増加を抑制しようとする方法である。しかし、これらの方法では、腹腔内脂肪を低減する明確な効果は認められないことが報告されている(非特許文献5〜7)。
したがって、飼育成績(育成率、増体、飼料摂取量、飼料要求率等)に影響を及ぼすことなく、腹腔内脂肪の増加を抑制する飼料や飼育方法の開発が望まれている。
例えば、本出願人は、採卵鶏において、リュウキュウヤナギの葉の給与によって血清中活性型ビタミンD3濃度を上昇して、卵殻質を改善する方法を提示している(特許文献1)。また、本出願人は、反芻動物にリュウキュウヤナギの葉を給与することによって、血清中の活性型ビタミンD3及びカルシウム濃度を上昇させて、低カルシウム血症に起因する疾患を予防又は緩和する方法を提案している(特許文献2)。また、特許文献3では、1,25−ジヒドロキシビタミンD3グリコシドを含有する飼料を給与して、脛骨の骨密度を上昇させたり、飼料要求率を改善したり、低カルシウム血症に起因する痙攣を予防する方法が提案されている。
また、ビタミンD3自体を給与した場合には家禽の胸肉の歩留まり等の改善が認められない一方、ビタミンD3の代謝物である25−ヒドロキシコレカルシフェロールを50から70μg/kg給与することにより、家禽の胸肉の歩留まりが増加することも報告されている(非特許文献10)。この文献では、25−ヒドロキシコレカルシフェロールの給与により血清中の25−ヒドロキシコレカルシフェロールが急速に増加するものの、活性型ビタミンD3との相関は認められなかったと報告されている。
また、25−ヒドロキシコレカルシフェロールは、腎臓での1α−ヒドロキシラーゼの厳格な制御と共に、ビタミンD3受容体によって、活性型ビタミンD3と識別されることから、副作用を回避する点で有利であるとの報告もある(非特許文献11)。
なお、海外で使用されている活性型ビタミンD3及び25−ヒドロキシコレカルシフェロールは合成品であり、現在、日本では、このような合成品は飼料添加物として認可されていない。
本発明はまた、家禽の胸肉歩留まりを増加させるため、又は脚弱を抑制するための飼料及び飼育方法を提供することを更なる目的とする。
また、本発明は、他の実施形態において、リュウキュウヤナギの葉又はその抽出物を含む、家禽の腹腔内脂肪割合を低下させる添加剤、又は当該添加剤の家禽の腹腔内脂肪割合を低下させるための使用を提供するものである。
本発明はまた、更に他の実施形態において、リュウキュウヤナギの葉又はその抽出物を含む飼料を給与する、腹腔内脂肪割合を低下させる飼育方法を提供するものである。
本発明はまた、更に他の実施形態において、リュウキュウヤナギの葉又はその抽出物を含む、家禽の胸肉歩留まりを増加させるための飼料、及び当該飼料を給与する、家禽の胸肉歩留まりを増加させる方法を提供するものである。
本発明はまた、更に他の実施形態において、リュウキュウヤナギの葉又はその抽出物を含む、家禽の腹腔内脂肪割合を低下させる、及び/又は家禽の胸肉歩留まりを増加させる飼料用添加剤を提供するものである。
上記溶媒抽出後においては、腹腔内脂肪割合を低下させる成分を含む抽出液を残渣から遠心分離や濾過などで分離することが好ましい。分離後の抽出液はそのまま飼料に添加しても良いし、当該抽出液を更に濃縮液又は濃縮乾燥物として用いても良い。濃縮液及び濃縮乾燥物は常圧又は減圧条件下で溶媒を蒸発させることで得られる。尚、本発明の葉溶媒抽出物は、抽出物の希釈又は濃縮倍率に応じて後述する活性型ビタミンD3換算値による添加量に従って調整することが好ましい。
もっとも、本発明の飼料では、リュウキュウヤナギの葉又はその抽出物を添加することで、非特許文献13で記載されているカルシウム含有量より低い場合でも飼育成績が改善される。具体的には、飼料中のカルシウム含量を0.9重量%未満としてもリュウキュウヤナギの葉等の添加で飼育成績が改善され、より具体的には、リュウキュウヤナギの葉等を飼料中の活性型ビタミンD3換算値で15.0μg/kg〜25.0μg/kg含有させた場合、飼料中のカルシウム含量を、0.9重量%未満で0.5重量%以上、特に0.5重量%〜0.8重量%、更には0.5重量%〜0.6重量%としても上記文献で推奨されているカルシウム濃度を含有させた場合と同レベルの飼育成績を達成することができる。
試験には、チャンキー種の初生雛160羽を用い、40羽ずつ4処理区に分けた。飼料に配合したリュウキュウヤナギの葉の乾燥粉末は、市販されている「Panbonis」(登録商標)を使用し、当該製品は活性型ビタミンD3を10mg/kgの濃度で含有していた。
各処理区に給与した試験飼料の配合率及び成分値(設定値)は以下の表1〜3に示す通りである。
一方、1から3の試験区では、前期でカルシウム含量を0.56重量%まで低減した飼料、後期でカルシウム含量を0.53重量%まで低減した飼料を給与した。また、1区では、リュウキュウヤナギの乾燥粉末(活性型ビタミンD310mg/kg含有)を0.005重量%(活性型ビタミンD3換算値0.5μg/kg)添加した飼料を給与し、2区ではリュウキュウヤナギを0.05重量%(活性型ビタミンD3換算値5μg/kg)添加した飼料を給与し、3区ではリュウキュウヤナギを0.2重量%(活性型ビタミンD3換算値20μg/kg)添加した飼料を給与した。尚、各試験区への飼料の給与と飲水は、初生から7週齢までの期間、自由摂取とした。
測定項目は、育成率、増体重、飼料摂取量、飼料要求率、冷屠体重量、胸肉重量、モモ肉重量、ササミ重量及び腹腔内脂肪重量とした。
各試験項目の定義及び測定方法は以下の通りである。
試験終了時の生存羽数を試験開始時の供試羽数で除して育成率を求めた。
0週齢及び7週齢の時点で試験対象の家禽の重量を測定し、両体重の差を増体重とした。各区の数値は、平均値±標準偏差で表した。
0週齢及び7週齢までに摂取した一羽当たりの飼料の総量を計測した。各区の数値は、平均値±標準偏差で表した。
飼料摂取量を増体重で除して飼料要求率を求めた。
各試験区の家禽を7週齢の時点で屠殺・脱羽後、重量を測定した。各区の数値は、平均値±標準偏差で表した。
各試験区の家禽を7週齢の時点で屠殺・脱羽後、胸肉、モモ肉及びササミ部分を取り出し、各部の重量を測定した。それぞれの家禽について、胸肉、モモ肉及びササミ部分の重量をそれぞれ冷屠体重量で除して各部の歩留まりを求めた。各区の数値は、平均値±標準偏差で表した。
各試験区の家禽を7週齢の時点で屠殺・脱羽後、腹腔内の脂肪を取り出し、その重量を測定した。腹腔内脂肪の重量を冷屠体重量で除して腹腔内脂肪割合として算出した。各区の数値は、平均値±標準偏差で表した。
3−1.腹腔内脂肪割合の結果
低カルシウム飼料を給与した場合、リュウキュウヤナギの添加量を0.005重量%〜0.2重量%で添加したところ、0.005重量%添加で腹腔内脂肪割合が急激に低下し、また、添加量に応じて腹腔内脂肪割合が低下した。特に、リュウキュウヤナギを最も多く添加した3区(0.2重量%添加)で腹腔内脂肪割合が最も低下した。腹腔内脂肪割合の減少率は、対照区と比較すると、1区では26%、2区では30%、3区では35%だった。
以上の結果から、リュウキュウヤナギを0.005重量%〜0.2重量%(活性型ビタミンD3相当量として0.5μg/kg〜20μg/kg)添加することにより腹腔内脂肪割合が改善すると結論付けられた。試験結果を以下の表4にまとめて示す。
育成率は、対照区と比較して、カルシウム含量を減少させた1〜3区で、それぞれ18%、36%、8%低い値を示したが、リュウキュウヤナギを0.2重量%添加した3区では、1区及び2区より育成率が改善した。増体重は、対照区と比較して、1区で9%、2区で6%低い値を示したが、リュウキュウヤナギの添加量に比例して改善され、リュウキュウヤナギを0.2重量%添加した3区では、対照区と同等の値を示した(図1も参照)。また、飼料摂取量も同様に、対照区と比較して、1区で9%、2区で7%低い値を示したが、リュウキュウヤナギの添加量に依存して増加し、リュウキュウヤナギを0.2重量%添加した3区では、対照区と同等の値を示した。飼料要求率は、対照区とカルシウム含量を減少させた1〜3区で差異は認められなかった。試験結果を以下の表5にまとめて示す。
胸肉歩留まりは、対照区と比較して、1区では3%、2区では5%、3区では12%増加し、リュウキュウヤナギの添加量と胸肉歩留まりの間には用量依存的な関係が認められた(図2及び3参照)。モモ肉歩留まりとササミ歩留まりは、対照区とリュウキュウヤナギを添加した1〜3区で差異は認められなかった。三品歩留まり(胸肉、モモ肉、ササミ)は、リュウキュウヤナギを添加した1〜3区で対照区と比べて胸肉歩留まりが増加したことから、対照区より高い値を示した。
(回帰式)
y=−23.862x2+13.755x+17.102(R2=0.9564)
y;胸肉歩留まり(%)
x;リュウキュウヤナギの添加量(重量%)
低カルシウム飼料を給与した場合、リュウキュウヤナギの乾燥粉末を0.005重量%添加することにより、腹腔内脂肪割合が急激に低下し、その後0.2重量%まで添加量を増加することにより、腹腔内脂肪割合が添加量に応じて低下することが分かった。
また、飼育成績では、リュウキュウヤナギを0.2重量%添加することにより、育成率、増体及び飼料摂取量が、日本飼養標準・家禽(2004年版)の養分要求量通りカルシウムを含有する飼料を給与した場合と同等の成績が得られることが分かった。
また、歩留まり成績では、リュウキュウヤナギを0.005重量%〜0.2重量%添加すると、添加量に比例して胸肉歩留まりが増加することが分かった。リュウキュウヤナギの添加量と胸肉歩留まりの回帰式から、リュウキュウヤナギを0.001重量%添加することにより、胸肉歩留まりが対照区より1.2%改善することが分かった。
したがって、リュウキュウヤナギを0.001重量%〜0.2重量%(活性型ビタミンD3相当量として0.1μg/kg〜20μg/kg)添加することにより、飼育成績を維持又は向上させながら、胸肉の歩留まりと腹腔内脂肪割合をも改善し得ることが分かり、0.005重量%〜0.2重量%(活性型ビタミンD3相当量として0.5μg/kg〜20μg/kg)添加するのが更に効果的であり、0.2重量%(活性型ビタミンD3相当量として20μg/kg)添加するのが最も効果的であると考えられた。
Claims (9)
- リュウキュウヤナギ(Solanum glaucophyllum)の葉又はその抽出物を含む、家禽の腹腔内脂肪割合を低下させるための飼料。
- リュウキュウヤナギ(Solanum glaucophyllum)の葉又はその抽出物を含む、家禽の胸肉歩留まりを増加させるための飼料。
- 更に家禽の胸肉歩留まりを増加させるための請求項1に記載の飼料。
- 前記家禽が鶏、七面鳥、あひる、鴨、ダチョウ、ガチョウ、キジ、ホロホロチョウ又は鶉である請求項1から3の何れか1項に記載の飼料。
- リュウキュウヤナギ(Solanum glaucophyllum)の葉又はその抽出物を含む飼料を給与する、腹腔内脂肪割合を低下させる方法。
- リュウキュウヤナギ(Solanum glaucophyllum)の葉又はその抽出物を含む飼料を給与する、家禽の胸肉歩留まりを増加させる方法。
- 更に家禽の胸肉歩留まりを増加させる請求項5に記載の方法。
- リュウキュウヤナギ(Solanum glaucophyllum)の葉又はその抽出物を含む、家禽の腹腔内脂肪割合を低下させる飼料用添加剤。
- リュウキュウヤナギ(Solanum glaucophyllum)の葉又はその抽出物を含む、家禽の胸肉歩留まりを増加させる飼料用添加剤。
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