JP2012012643A - 堆積膜形成方法および堆積膜形成装置 - Google Patents

堆積膜形成方法および堆積膜形成装置 Download PDF

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Abstract


【課題】 比較的高い成膜速度で、特性ムラおよび欠陥の少ない良好な堆積膜を形成する。
【解決手段】 円柱状または円筒状の複数の基体の外周面に堆積膜を形成する堆積膜の形成方法であって、複数の前記基体を、各中心軸を平行にして、隣り合う前記基体間で前記外周面同士を間隙をおいて対向させた状態で、反応室内に配置する第1ステップと、該反応室内に前記堆積膜の原料ガスを連続的に供給するとともに排出する第2ステップと、隣り合う前記基体を前記中心軸回りに互いに逆方向に回転させて、前記間隙に流れ込む前記原料ガスの流れを生じさせる第3ステップと、対向する前記外周面間に電圧を印加して前記原料ガスを分解し、分解生成物からなる堆積膜を前記外周面に堆積させる第4ステップと、を含むことを特徴とする堆積膜の形成方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、堆積膜形成方法、および堆積膜形成装置に関する。
従来、電子写真用感光体は、円筒状などの基体の表面に、光導電層や表面層などを堆積膜として形成することにより製造されている。電子写真感光体等の堆積膜の形成方法としては、例えば下記特許文献1等に記載されたCVD装置を用いて、例えば1.0Pa〜100Paといった比較的高い真空中でプラズマを生成し、このプラズマによって原料ガスを分解し、分解生成物を基体に被着させる方法(いわゆるプラズマCVD法)が広く採用されている。
国際公開WO2006/134781
従来のような高真空中での堆積膜の形成方法において、電子写真感光体における光導電層や表面層の堆積速度を大きくするには、主に、原料ガスの分解を促進するため、プラズマのエネルギーを大きくしたり、基板温度を上昇させたり、成膜時に与えるエネルギーを高くしていた。
しかしながら、比較的高い真空状態、すなわち比較的低いガス密度で成膜する場合、空間に与えるエネルギーが大きくなり過ぎ、堆積および堆積後の膜にダメージを与えることになり、堆積膜の膜質が十分に高くできない場合もあった。近年、電子写真感光装置は、従来にも増して高画質、高速化、高耐久化等の高付加価値が追求されるようになってきており、これらの特性を満足するために成膜速度を下げることによる膜質改善を余儀なくされている。反面、堆積速度を小さくした場合には、製造効率が悪化し、製造コストの上昇を招くといった問題が生じていた。
本発明は、かかる課題を解決することを目的になされたものである。
上記課題を解決するために、円柱状または円筒状の複数の基体の外周面に堆積膜を形成する堆積膜の形成方法であって、複数の前記基体を、各中心軸を平行にして、隣り合う前記基体間で前記外周面同士を間隙をおいて対向させた状態で、反応室内に配置する第1ステップと、該反応室内に前記堆積膜の原料ガスを連続的に供給するとともに排出する第2ステップと、隣り合う前記基体を前記中心軸回りに互いに逆方向に回転させて、前記間隙に流れ込む前記原料ガスの流れを生じさせる第3ステップと、
対向する前記外周面間に電圧を印加して前記原料ガスを分解し、分解生成物からなる堆積膜を前記外周面に堆積させる第4ステップと、を含むことを特徴とする堆積膜の形成方法を提供する。
また、円柱状または円筒状の複数の基体の外周面に堆積膜を形成するための堆積膜形成装置であって、複数の前記基体を収容するための反応室と、該反応室内に収容される複数の前記基体を、各中心軸を平行にして、隣り合う前記基体の前記外周面同士を間隙をおいて対向させた状態で支持するとともに前記中心軸回りに回転させるための支持手段と、前
記反応室内に前記堆積膜の原料ガスを連続的に供給するためのガス供給手段と、対向する前記外周面間に電圧を印加するための電圧印加手段とを備え、前記支持手段は、隣り合う前記基体の対向する前記外周面同士が同一方向に沿って移動して前記間隙に流れ込む前記原料ガスの流れを生じさせるように、隣り合う前記基体を前記中心軸回りに互いに逆方向に回転させることを特徴とする堆積膜形成装置を併せて提供する。
本発明の堆積膜形成方法および堆積膜形成装置によれば、比較的高い成膜速度で、特性ムラおよび欠陥の少ない良好な堆積膜を形成することができる。本発明を用いることで、堆積膜の形成効率を向上させて、堆積膜の形成コストを低く抑えることができる。
本発明の堆積膜形成装置の一実施形態である、プラズマCVD装置2について説明する概略断面図である。 プラズマCVD装置2の構成を示す概略上断面図である。 図1および図2に示すプラズマCVDを用いて作製する電子写真感光体について説明する概略断面図である。 本発明の堆積膜形成装置の他の実施形態について説明する概略上断面図である。 本発明の堆積膜形成装置の他の実施形態について説明する概略上断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
以下においては、本発明について、電子写真感光体を形成する場合を例にとって、図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、本発明の堆積膜形成装置の一実施形態である、プラズマCVD装置2について説明する概略図である。図1は、プラズマCVD装置2の構成を示す概略側断面図、図2はプラズマCVD装置2の構成を示す概略上断面図である。図3は、図1および図2に示すプラズマCVDを用いて作製する電子写真感光体1について説明する概略断面図である。
まず最初に、プラズマCVD装置2を用いて作製する電子写真感光体1について説明しておく。図3に示した電子写真感光体1は、円筒状基体10の外周面に、電荷注入阻止層11、光導電層12および表面層13を順次積層形成したものである。
円筒状基体10は、感光体の支持母体となるものであり、少なくとも表面に導電性を有するものとして形成されている。この円筒状基体10は、たとえばアルミニウム(Al)、ステンレス(SUS)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、金(Au)、銀(Ag)などの金属材料、もしくは例示した金属材料を含む合金材料により、全体が導電性を有するものとして形成されている。
円筒状基体10はまた、樹脂、ガラス、セラミックなどの絶縁体の表面に例示した金属材料、あるいはITOおよびSnO2などの透明導電性材料による導電性膜を被着したものであってもよい。
例示した材料のうち、円筒状基体10を形成するための材料としては、Al系材料を用
いるのが最も好ましく、また円筒状基体10の全体をAl系材料により形成するのが好ましい。
そうすれば、電子写真感光体1を軽量かつ低コストで製造可能となり、その上、電荷注入阻止層11や光導電性層12をa−Si系材料により形成する場合には、それらの層と円筒状基体10との間の密着性が高くなって信頼性を向上させることができる。
電荷注入阻止層11は、円筒状基体10からのキャリア(電子)の注入を阻止するためのものであり、たとえばa−Si系材料により形成されている。この電荷注入阻止層11は、たとえばa−Siに、ドーパントとして硼素(B)、窒素(N)、あるいは酸素(O)を含有させたものとして形成されており、その厚みは2μm以上10μm以下とされている。
光導電層12は、レーザ光などの光照射によってキャリアを発生させるためのものであり、たとえばa−Si系材料、あるいはSe−Te、As2Se3などのa−Se系材料
により形成されている。ただし、電子写真特性(たとえば光導電性特性、高速応答性、繰り返し安定性、耐熱性あるいは耐久性)および表面層13をa−Si系に材料により形成した場合における表面層13との整合性を考慮した場合には、光導電層12は、a−Si、もしくはa−Siに炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)などを加えたa−Si系材料により形成するのが好ましい。また、光導電層12の厚みは、使用する光導電性材料および所望の電子写真特性により適宜設定すればよく、a−Si系材料を用いて光導電層12を形成する場合には、光導電層12の厚みは、たとえば5μm以上100μm以下、好適には10μm以上80μm以下とされる。
表面層13は、電子写真感光体1の表面を保護するためのものであり、画像形成装置内での摺擦による削れに耐え得るように、たとえばa−SiCやa−SiNなどのa−Si系材料、あるいはa−Cなどにより形成されている。
この表面層13は、電子写真感光体1に照射されるレーザ光などの光が吸収されることのないように、照射される光に対して充分広い光学バンドギャップを有しており、また、画像形成における静電潜像を保持出来得る抵抗値(一般的には1011Ω・cm以上)を有している。
電子写真感光体1における電荷注入阻止層11、光導電層12および表面層13は、たとえば図1および図2に示したプラズマCVD装置2を用いることにより形成される。
プラズマCVD装置2は、真空反応室4と、支持手段3と、原料ガス供給手段6と、排気手段7と、電圧印加手段8と、を備えている。
真空反応室4は、円筒状基体10に対して堆積膜を形成するための空間である。本実施形態では、真空反応室4内部に、2つの円筒状基体10(10aおよび10b)が配置されている。円筒状基体10は、支持手段3に支持されることで、2つの円筒状基体10の各中心軸C(CaおよびCb)を平行にして、隣り合う円筒状基体10の外周面同士が指定の間隙をおいて対向させた状態で支持されている。本実施形態では、2つの円筒状基体10の外周面同士の間隙は、例えば0.1mm〜10mmと小さくされている。
支持手段3は、2つの支持体31aおよび31bと、各支持体31aおよび31bと各々接続された回転手段5aおよび5bと、を有している。以下、支持体31aおよび支持体31bに共通する構成について説明する場合は、単に支持体31と称する場合がある。支持体31は、円筒状基体10を支持するためのものであるとともに、第1導体として機
能するものである。この支持体31は、フランジ部30を有する中空状に形成されているとともに、円筒状基体10と同様な導電性材料により全体が導体として形成されている。支持体31は円筒状基体10と直接当接され、支持体31と円筒状基体10とは同電位とされる。
支持体31の内部には、ヒータ37が収容されている。ヒータ37は、円筒状基体10を加熱するためのものである。ヒータ37としては、たとえばニクロム線やカートリッジヒーターを使用することができる。
支持体31の温度は、たとえば支持体31に取り付けられた熱電対(図示略)によりモニタされており、この熱電対におけるモニタ結果の基づいて、ヒータ37をオン・オフさせることにより、円筒状基体10の温度が目的範囲、たとえば100℃以上500℃以下から選択される一定の範囲に維持される。
回転手段5aは、支持体31aを回転させるためのものであり、回転手段5bは、支持体31bを回転させるためのものである。以下、回転手段5aおよび回転手段5bに共通する構成について説明する場合は、単に回転手段5と称する場合がある。回転手段5は、回転モータ50(回転モータ50a、50b)および回転力伝達機構51を有している。回転モータ50は、円筒状基体10に回転力を付与するものである。この回転モータ50は、たとえば円筒状基体10を例えば100rpm以上5000rpm以下の回転数で回転させるように動作制御する。回転モータ50としては、公知の種々のものを使用することができる。
回転力伝達機構51は、回転モータ50からの回転力を円筒状基体10に伝達・入力するためのものであり、回転導入端子52、絶縁軸部材53を有している。回転導入端子52は、真空反応室4内の真空を保ちながら回転力を伝達するためのものである。このような回転導入端子52としては、回転軸を二重もしくは三重構造としてオイルシールやメカニカルシール等の真空シール手段を用いることができる。
絶縁軸部材53は、支持体3とプレート41との間の絶縁状態を維持しつつ、回転モータ50からの回転力を支持体3に入力するためものであり、たとえば絶縁部材44などの同様な絶縁材料により形成されている。
回転手段5aおよび5bは、2つの導電性基体10aおよび10bの外周面同士が、同一方向に沿って移動するように、隣り合う導電性基体10aと10bとを、中心軸CaおよびCb周りに、互いに逆方向に回転させる。
電圧印加手段8は、直流電源34aおよび34bと、制御部35とを備えて構成されている。直流電源34aは基体31aと電気的に接続され、直流電源34bは基体31bと電気的に接続されている。直流電源34aおよび34bは、公知の電源装置であり、制御部35が直流電源34aおよび34bを制御することにより、支持体31aと支持体31bとの間隙に電界が発生する。本実施形態では、例えば、支持体3aと支持体3bとの間隙に、直流のパルス電圧が印加される。
2つの円筒状基体10aと10bの間隙に対応し、原料ガス吹出手段45と、ガス吸入手段42(図1においては図示せず)とが設けられている。原料ガス吹出手段45は、図1における上端部が閉塞された筒状部材であり、図1における下側端部が原料ガス供給手段6に接続されている。原料ガス供給手段45には、各円筒状基体10の中心軸CaおよびCbに沿って、複数のガス吹き出し孔46が設けられており、原料ガス供給手段6から供給された原料ガスは、ガス吹き出し孔46を通じて真空反応室4内部に供給される。ガ
ス吸入手段42も、図1における上端部が閉塞された筒状部材であり、図1における下端側が、排気手段7と接続されている。ガス吸入手段42には、各円筒状基体10の中心軸CaおよびCbに沿って、複数のガス吸入孔44が設けられており、原料ガス供給手段6から供給された原料ガスが、ガス吸入孔44を通じて真空反応室4の外部に排出される。排気手段7は、真空反応室4のガスを外部に排出するためのものであり、メカニカルブースタポンプ71およびロータリーポンプ72を備えている。
原料ガス供給手段6は、複数の原料ガスタンク60,61,62,63、複数の配管60A,61A,62A,63A、バルブ60B,61B,62B,63B,60C,61C,62C,63C、および複数のマスフローコントローラ60D,61D,62D,63Dを備えたものであり、配管64およびガス導入口45を介して円筒状電極40に接続されている。各原料ガスタンク60〜63は、たとえばB2H6、H2(またはHe)、CH4あるいはSiH4が充填されたものである。
バルブ60B〜63B,60C〜63Cおよびマスフローコントローラ60D〜63Dは、真空反応室4に導入する各原料ガス成分の流量、組成およびガス圧を調整するためのものである。もちろん、原料ガス供給手段6においては、各原料ガスタンク60〜63に充填すべきガスの種類、あるいは複数の原料タンク60〜63の数は、円筒状基体10に形成すべき膜の種類あるいは組成に応じて適宜選択すればよい。
かかるプラズマCVD装置2を用いた堆積膜の形成方法について、円筒状基体10にa−Si膜が形成された電子写真感光体1(図3参照)を作製する場合を例にとって説明する。
まず、円筒状基体10に堆積膜(a−Si膜)を形成するにあたっては、複数の円筒状基体10(本実施形態では、円筒状基体10aおよび10bの2つ)を支持させた支持体3を、真空反応室4の内部にセットする。この際、複数の円筒状基体10aおよび10bを、各中心軸CaとCbとを平行にして、隣り合う円筒状基体10aと10bとの間で外周面同士を所定の間隙をおいて対向させた状態で、真空反応室4内に配置する。2つの円筒状基体10の外周面同士の間隙は、例えば0.1mm〜10mmと小さくされている。
次いで、円筒状基体10の加熱を開始する。円筒状基体10の加熱は、たとえばヒータ37に対して外部から電力を供給してヒータ37を発熱させることにより行なわれる。このようなヒータ37の発熱により、円筒状基体10が目的とする温度に昇温される。円筒状基体10の温度は、その表面に形成すべき膜の種類および組成によって選択されるが、たとえばa−Si膜を形成する場合には、100℃以上200℃以下の範囲に設定される。この温度範囲は、例えば1.0Pa以上100Pa以下と比較的高真空化の環境で行う、従来のCVD装置を用いた堆積膜形成方法における温度設定(およそ250℃以上300℃以下)よりも低い温度範囲になっている。このため、所定温度まで昇温させるまでの経過時間も比較的少なくされている。
次いで、原料ガス吹出手段45から原料ガスを吹き出すとともに、ガス吸入手段42から原料ガスを吸入する。同時に、回転手段5により支持体3を介して円筒状基体10を回転させる。
真空反応室4への原料ガスの供給は、バルブ60B〜63B,60C〜63Cの開閉状態を適宜制御しつつ、マスフローコントローラ60D〜63Dを制御することにより、原料ガスタンク60〜63の原料ガスを、所望の組成および流量で、配管60A〜63A,64およびガス導入口45を介して、原料ガス吹出手段45の内部に導入することにより行なわれる。
原料ガス吹出手段45の内部に導入された原料ガスは、複数のガス吹き出し孔46を介して、2つの円筒状基体10aと10bとの間隙部分に向けて吹き出される。複数のガス吹き出し孔46から噴出された原料ガスは、ガス吸入手段42のガス吸入孔44を通じて真空反応室4の外部に排出される。ガス吸収手段42を介しての排気により、真空反応室4におけるガス圧は、たとえば10,000Pa以上100,000Pa以下と、大気圧に近い比較的高めの圧力に設定する。例えば1.0Pa以上100Pa以下と比較的高真空化の環境で行う、従来のCVD装置を用いた堆積膜形成方法に比べ、成膜時の真空排気にかかる時間が少なくされている。
この状態で、回転手段5aおよび5bが、円筒状基体10aおよび10bを例えば100rpm以上5000rpm以下と比較的高速に回転させる。この際、上述のように、回転手段5aおよび5bは、2つの導電性基体10aおよび10bの外周面同士が、同一方向に沿って移動するように、隣り合う導電性基体10aと10bとを、中心軸CaおよびCb周りに、互いに逆方向に回転させる。
円筒状基体10aと10bとを、比較的高速にそれぞれ逆回転させることで、2つの円筒状基体10の間隙に、図2で示す矢印Gのような原料ガスの流れが形成される。この原料ガスの流れでは、例えば1.0Pa以上100Pa以下と比較的高真空化の環境で行う、従来のCVD装置を用いた堆積膜形成方法における原料ガスの濃度に比べて、原料ガスの濃度が飛躍的に高くなっている。プラズマCVD装置2では、2つの円筒状基体10の外周面同士の間隙は、例えば0.1mm〜10mmと近接した状態としつつ、各円筒状基体10を高速に互いに逆方向に回転させて、各円筒状基体10aと10bとの間隙に、比較的濃度の高い原料ガスの安定した流れが形成される。
2つの円筒状基体10の間隙に安定した原料ガスの流れが生じた状態で、制御部35が、直流電源34aおよび34bを制御し、支持体31aと支持体31bとの間隙に電界を発生させる。本実施形態では、例えば、支持体31aと支持体31bとの間隙に、直流のパルス電圧が印加される。支持体31aと円筒状基体10aは電気的に接続され、また、支持体31bと円筒状基体10bとも電気的に接続されている。このため、支持体31aと31bとの間の電位は、円筒状基体10aと10bとの間の電位差に等しく、円筒状基体10aと10bとの間に電界が発生する。円筒状基体10aと円筒状基体10bとの間の電界によって、この間隙領域にプラズマが生成され、このプラズマによって原料ガス成分が分解され、原料ガスの分解成分が円筒状基体10の表面に堆積される。
このように、2つの円筒状基体10aおよび10bの間隙に、安定した層流の原料ガスの流れを形成した状態で、この2つの円筒状基体の間隙にプラズマを生成することで、各円筒状基体10aおよび10bの表面に、原料ガスの分解生成物を堆積させることができる。円筒状の基体の中心軸を平行にして各々逆回転させることで、例えば円筒状の回転電極と平板とを対向させた間隙にガス流を形成する場合等に比べ、乱流等の少ない安定した層流を、これら円筒状基体の間隙に形成することができる。
円筒状基体10aと10bとの回転によって形成された、円筒状基体10aと10bとの間隙における流れでは、原料ガスの濃度が高く、円筒状基体10aと10bの双方に、高い成膜速度で堆積膜を形成することができる。また、原料ガス濃度が高いので、円筒状基体の温度を比較的低くしても、この間隙において十分な分解反応が起こり、膜欠陥等の少ない良好な堆積膜を形成することができる。本実施形態では、2つの円筒状基体10aおよび10bの双方に同時に、良好な堆積膜を高い成膜速度で形成することができる。
バルブ60B〜63B,60C〜63Cおよびマスフローコントローラ60D〜63D
によって原料ガスの組成を適宜切り替えることにより、円筒状基体10の表面には、電荷注入阻止層11、光導電層12および表面保護層13を順次積層形成することができる。
たとえば、電荷注入阻止層11をa−Si系の堆積膜として形成する場合には、原料ガスとして、SiH4(シランガス)などのSi含有ガス、B2H6などのドーパント含有ガス、および水素(H2)やヘリウム(He)などの希釈ガスの混合ガスが用いられる。ドーパント含有ガスとしては、ホウ素(B)含有ガスの他に、窒素(N)あるいは酸素(O)含有ガスを用いることもできる。
光導電層12をa−Si系の堆積膜として形成する場合には、原料ガスとして、SiH4(シランガス)などのSi含有ガスおよび水素(H2)やヘリウム(He)などの希釈
ガスの混合ガスが用いられる。
光導電層12においては、ダングリングボンド終端用に水素(H)やハロゲン元素(F、Cl)を膜中に1原子%以上40原子%以下含有させるように、希釈ガスとして水素ガスを用い、あるいは原料ガス中にハロゲン化合物を含ませておいてもよい。
また、原料ガスには、暗導電率や光導電率などの電気的特性及び光学的バンドギャップなどについて所望の特性を得るために、周期律表第13族元素(以下「第13族元素」と略す)や周期律表第15族元素(以下「第15族元素」と略す)を含有させてもよく、上記諸特性を調整するために炭素(C)、酸素(O)などの元素を含有させてもよい。
第13族元素および第15族元素としては、それぞれホウ素(B)およびリン(P)が共有結合性に優れて半導体特性を敏感に変え得る点、および優れた光感度が得られるという点で望ましい。
電荷注入阻止層11に対して第13族元素および第15族元素を炭素(C)、酸素(O)などの元素とともに含有させる場合には、第13族元素の含有量は0.1ppm以上20000ppm以下、第15族元素の含有量は0.1ppm以上50000ppm以下となるように調整される。
また、光導電層12に対して第13族元素および第15族元素を炭素(C)、酸素(O)等の元素とともに含有させる場合、あるいは、電荷注入阻止層11および光導電層12に対して炭素(C)、酸素(O)等の元素を含有させない場合には、第13族元素は0.01ppm以上200ppm以下、第15族元素は0.01ppm以上100ppm以下となるように調整される。
なお、原料ガスにおける第13属元素あるいは第15属元素の含有量を経時的に変化させることにより、これらの元素の濃度について層厚方向にわたって勾配を設けるようにしてもよい。この場合には、光導電層12における第13族元素および第15族元素の含有量は、光導電層12の全体における平均含有量が上記範囲内であればよい。
また、光導電層12については、a−Si系材料に微結晶シリコン(μc−Si)を含んでいてもよく、このμc−Siを含ませた場合には、暗導電率・光導電率を高めることができるので、光導電層22の設計自由度が増すといった利点がある。このようなμc−Siは、先に説明した成膜方法を採用し、その成膜条件を変えることにより形成することができる。
表面層13をa−SiC系の堆積膜として形成する場合には、原料ガスとして、SiH4(シランガス)などのSi含有ガスおよびCH4などのC含有ガスの混合ガスを供給す
る。原料ガスにおけるSiとCとの組成比については、連続的あるいは間欠的に変化させてもよい。すなわち、Cの比率が高くなるほど成膜速度が遅くなる傾向があるため、表面層13における光導電層12に近い部分についてはC比率が低くなるようにしつつ、自由表面側についてはC比率が高くなるように表面層13を形成するようにしていもよい。
たとえば、表面層13の光導電層12側(界面側)においては、水素化アモルファスシリコンカーバイト(a−Si1−xCx:H)におけるx値(炭素比率)が0を超えて0.8未満の比較的Si構成比の高い第1のSiC層を堆積した後、x値(炭素比率)が0.95以上1.0未満程度までC濃度を高くした第2のSiC層を堆積した2層構造であってもよい。
表面層13は、上述のようにa−C層として形成することもできる。この場合、原料ガスとしては、C2H2(アセチレンガス)あるいはCH4(メタンガス)などのC含有ガ
スが用いられる。
円筒状基体10に対する膜形成が終了した場合には、支持体3から円筒状基体10を抜き取ることにより、図1に示した電子写真感光体1を得ることができる。
本発明によれば、比較的高い成膜速度で、特性ムラおよび欠陥の少ない良好な堆積膜(電荷注入阻止層11、光導電層12および表面層13)を形成することができる。そのため、膜厚ムラが少なく良質な堆積膜を提供できるとともに、このような良質な堆積膜を備えた電子写真感光体1を提供できるようになる。
次に、本発明の第2の実施の形態について、図4を参照しつつ説明する。ただし、図4においては、図1ないし図3を参照して先に説明した電子写真感光1やプラズマCVD装置2と同様な要素などについて同一の符号を付してあり、以下における重複説明を省略する。
図4に示したプラズマCVD装置2'は、真空反応室4内に、4つの成膜処理部ブロッ
クGa〜Gdが配置されている。1つの成膜処理ブロックは、2つの支持体31aおよび31b、各支持体31aおよび31bの間隙に対して設けられた、原料ガス吹出手段45とガス吸入手段42とを備えている。各成膜処理ブロックGa〜Gdが備える各原料ガス吹出手段45は、原料ガス供給手段6と接続されている。各ブロックの原料ガス吹出手段45からは、原料ガス供給手段6から供給されたガスが、同時に吹き出す構成とされている。
各処理ブロックGa〜Gdは、真空反応室4内で、それぞれ十分に離間して配置されており、各ブロックにおける2つの支持体31の間隙に流れる反応ガスの流れが、他のブロックにおける反応ガスの流れから受ける影響は、十分に小さく抑えられている。また、図4に示す各支持体31のうち、異なるブロックにわたって隣り合った支持体31同士(図4中の破線矢印で対応づけられた基体同士)は、堆積膜の形成の最中に、どちらも同電位となるよう制御されている。このため、各ブロックにおける2つの支持体31aと31bとの間隙以外の空間では不要な電界が発生せず、不要な電解生成物の発生が抑制されている。真空反応質4内に、このように複数の成膜処理ブロックGa〜Gdを配置することで、多くの円筒状基体10の表面に同時に堆積膜を形成することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について、図5を参照しつつ説明する。ただし、図5においては、図1ないし図4を参照して先に説明した電子写真感光1やプラズマCVD装置2と同様な要素などについて同一の符号を付してあり、以下における重複説明を省略する。
図5に示したプラズマCVD装置2''は、真空反応室4内に、6つの成膜処理部ブロックHa〜Hfが配置されている。1つの成膜処理ブロックは、2つの支持体3aおよび3b、各支持体3aおよび3bの間隙に対して設けられた、原料ガス吹出手段45とガス吸入手段42とを備えている。各成膜処理ブロックHa〜Hfが備える各原料ガス吹出手段45は、原料ガス供給手段6と接続されている。各ブロックの原料ガス吹出手段45からは、原料ガス供給手段6から供給されたガスが、同時に吹き出す構成とされている。
第3の実施形態では、各処理ブロックを構成する複数の基体が、真空反応室4内部に同心円状に配列されている。この第3の実施形態では、異なるブロックにわたって隣り合った支持体3同士(図5中の破線矢印で対応づけられた基体同士)が、互いに中心軸回りに逆方向に回転するように構成されている。このため、異なるブロックにわたって隣り合った基体の間隙においても、対向する面同士が同じ方向に沿って移動する。
第3の実施形態では、異なるブロック間であっても、隣り合った基体の間隙における余分な乱流の発生が抑制されている。また、この第3の実施形態では、異なるブロックにわたって隣り合った支持体3同士(図5中の破線矢印で対応づけられた2つの基体)が、成膜中であっても同電位となるよう制御されている。このため、各ブロックにおける2つの支持体3aと3bとの間隙以外の空間では、不要な電界が発生し難い。
第3の実施形態では、真空反応室4内に、複数の成膜処理ブロックHa〜Hfを比較的近接させて配置しているが、隣り合うブロックの間隙におけるガスの流れの乱れや、余分な電界の発生も抑制されている。第3の実施形態でも、複数の円筒状基体10の表面に同時に、比較的高い成膜速度で、堆積膜を安定して形成することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良が可能である。
たとえば、電圧印加手段は、直流のパルス電圧を印加することに限定されず、例えば13.56MHz等の高周波電圧を印加する構成であってもよい。また、反応室内に配置する基体の数や配置位置・姿勢、原料ガス供給手段の構成なども特に限定されない。
また、本発明は、円筒状基体以外の形態の基体に堆積膜を形成して電子写真感光体を形成する場合、あるいは電子写真感光体以外の目的に使用するために、基体に対して堆積膜を形成する場合にも適用することができる。
1 電子写真感光体
10 円筒状基体(堆積膜形成対象物)
11 電荷注入阻止層(堆積膜)
12 光導電層(堆積膜)
13 表面層(堆積膜)
2 プラズマCVD装置(堆積膜形成装置)
31a、31b 支持体
34a、34b 直流電源
35 制御部
4 真空反応室(反応室)
40 円筒状電極(第2導体)
5a、5b 回転手段
6 原料ガス供給手段
7 排気手段
8 電圧印加手段

Claims (5)

  1. 円柱状または円筒状の複数の基体の外周面に堆積膜を形成する堆積膜の形成方法であって、
    複数の前記基体を、各中心軸を平行にして、隣り合う前記基体間で前記外周面同士を間隙をおいて対向させた状態で、反応室内に配置する第1ステップと、
    該反応室内に前記堆積膜の原料ガスを連続的に供給するとともに排出する第2ステップと、
    隣り合う前記基体を前記中心軸回りに互いに逆方向に回転させて、前記間隙に流れ込む前記原料ガスの流れを生じさせる第3ステップと、
    対向する前記外周面間に電圧を印加して前記原料ガスを分解し、分解生成物からなる堆積膜を前記外周面に堆積させる第4ステップと、
    を含むことを特徴とする堆積膜の形成方法。
  2. 円柱状または円筒状の複数の基体の外周面に堆積膜を形成するための堆積膜形成装置であって、
    複数の前記基体を収容するための反応室と、
    該反応室内に収容される複数の前記基体を、各中心軸を平行にして、隣り合う前記基体の前記外周面同士を間隙をおいて対向させた状態で支持するとともに前記中心軸回りに回転させるための支持手段と、
    前記反応室内に前記堆積膜の原料ガスを連続的に供給するためのガス供給手段と、
    対向する前記外周面間に電圧を印加するための電圧印加手段と
    を備え、
    前記支持手段は、隣り合う前記基体の対向する前記外周面同士が同一方向に沿って移動して前記間隙に流れ込む前記原料ガスの流れを生じさせるように、隣り合う前記基体を前記中心軸回りに互いに逆方向に回転させることを特徴とする堆積膜形成装置。
  3. 前記ガス供給手段は、隣り合う前記基体の対向する前記外周面間の少なくとも1つに対する前記同一方向の上流側に配置されていることを特徴とする請求項2記載の堆積膜形成装置。
  4. 前記同一方向の下流側にガス排気手段が配置されていることを特徴とする請求項3記載の堆積膜形成装置。
  5. 前記支持手段は、複数の前記基体を同心円状に配置して支持することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の堆積膜形成装置。
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CN110885973A (zh) * 2018-09-11 2020-03-17 上海引万光电科技有限公司 化学气相沉积设备
CN114855271A (zh) * 2022-04-22 2022-08-05 浙江求是半导体设备有限公司 外延生长装置

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