JP2012011104A - 義歯作製方法及び義歯粘膜床作製方法 - Google Patents

義歯作製方法及び義歯粘膜床作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】石膏の使用量を低減する。
【解決手段】作業模型10の埋没に低融点合金(スズ合金)16が用いられる。低融点合金16によって下フラスコ12に固定した作業模型10には可撓性フィルム18を介してレジンプレート20が載置される。このレジンプレート20は餅状の加熱重合レジンを板状に加圧成型することにより予め準備される。上フラスコ24は耐圧膜28を備え、この上フラスコ24はエア圧の供給を受けて耐圧膜28が膨出する。レジンプレート20を加熱重合させて成型する際には、レジンプレート20をガス圧によって作業模型10みに押し付けながら、下フラスコ12の低融点合金16を加熱する操作が行われる。
【選択図】図4

Description

本発明は、総義歯、部分床義歯に関し、より詳しくは義歯作製方法及び義歯粘膜床作製方法に関する。
義歯は人工歯とこれを支える義歯床とで構成されており、義歯床は、その一部に金属を用いた金属義歯床もあるが、金属義歯床であっても主要な材料としてレジンが用いられている。特許文献1は次の一回法による義歯製造方法を開示している。
(i)患者の口腔の印象採取;
(ii)印象から石膏を使って口腔模型を作製;
(iii)口腔模型の上にロウを盛って基礎床を作製;
(iv)基礎床の上にロウを盛って咬合床を作製;
(v)咬合器を使って調整;
(vi)人工歯を配列してワックス義歯を完成;
(vii)上下に分割可能なフラスコにワックス義歯(口腔模型)を石膏(埋没剤)で上下の石膏分割型を作る;
(viii)上下のフラスコを相互に固定することで型合わせした石膏型を脱ロウ処理して、石膏型に人工歯を残したキャビティを作る;
(ix)キャビティに加熱重合レジンを充填;
(x)相互に固定した上下のフラスコの周囲から熱を加えてキャビティ内の加熱重合レジンを重合硬化させることで義歯を作製;
(Xi)上下のフラスコを分離させて義歯(口腔模型)を取り出す;
(xii)口腔模型から取り外した義歯を研磨して仕上げる。
従来の他の義歯作製方法では、上記の工程(iii)の口腔模型の上にロウを盛って基礎床を作製する代わりに、使い捨てレジンで基礎床を作るのが一般的であり、この基礎床は、上記の工程(viii)で石膏型にキャビティを作る際に廃棄される。この使い捨て基礎床又はロウの基礎床を使う従来の義歯作製方法は、特許文献1や2でも指摘しているように、患者の口腔内での適合精度や咬合精度を確保するのが難しいという問題を有している。
適合精度を向上する目的で、特許文献3に開示の発明は、上記の加熱重合工程(x)においてフラスコを下方から加熱して口腔模型に接している加熱重合レジンの重合に方向性を与えることを提案している。すなわち、この特許文献3の発明は、口腔模型の表面温度が人工歯側の温度よりも高い温度となるように保ちながら加熱重合レジンを重合させることで、義歯の粘膜面の適合精度を高めることを提案している。
この特許文献3の発明で採用されているフラスコは有底であり、特許文献3に開示の技術は、上記の有底フラスコを鉄板の上に置いて、この鉄板を熱することにより石膏で埋没した口腔模型を下から加熱するものである。
特許文献4の発明は、透明の熱可塑性レジンのプレートを使って義歯粘膜床を先ず作り、この義歯粘膜床の上にアクリル系やポリカーボネート系などのレジンを介して人工歯を固定することを提案している。
具体的には、この特許文献4に開示の手法は、透明の熱可塑性レジンのプレートを口腔模型の上に置き、これを加熱しながら加圧又は真空吸引することで石膏模型の外形輪郭に沿った義歯粘膜床を作り、そして、この義歯粘膜床をそのまま使って、その上にアクリル系やポリカーボネート系などのレジンを介して人工歯を固定して義歯を製造するものである。
この特許文献4に開示の義歯作製方法によれば、患者の口腔に装着する義歯粘膜床を先ず作製し、そして、この義歯粘膜床をベースにして義歯を作り上げることから、一回法や使い捨て基礎床を用いた義歯作製方法に比べて、患者の口腔内での適合精度に優れた義歯を作ることができるという利点がある。
特開平10−287522号公報 特開2010−131320号公報 特開2002−85423号公報 特開2003−116884号公報
義歯の製造には上述したように石膏が多用されている。石膏は、器具を洗う水回りの作業環境を汚し、また、使用後は廃棄の対象となる。環境問題が叫ばれているなか、本願発明者は義歯作製工程を見直したなかで、本願発明を案出するに至ったものである。
本発明の目的は、フラスコに口腔模型を固定する埋没剤として石膏が用いられているが、この石膏の使用量を低減することのできる義歯作製方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、レジンの成型のためにフラスコを加熱する際に、レジンへの熱伝達効率を高めることのできる義歯作製方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、重合レジンを採用して義歯を作製するときに、このフラスコ内の重合レジンを、その重合に方向性を付与しながら硬化させることのできる義歯作製方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、重合レジンを採用して義歯の基礎となる義歯粘膜床を作製するときに、この義歯粘膜床の適合精度を高めることのできる義歯粘膜床作製方法を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
下フラスコと上フラスコを相互に固定した状態で加熱することにより下フラスコに固定した口腔模型を使ってレジンを成型して義歯を作製する義歯作製方法であって、
前記下フラスコに溶融低融点合金を充填する溶融合金充填工程と、
該下フラスコ内の溶融低融点合金の上に口腔模型を置く口腔模型設置工程と、
該口腔模型の下端部を前記溶融低融点合金の中に押し込んだ状態で前記下フラスコ内の溶融低融点合金を凝固させる口腔模型固定工程と、
下フラスコと上フラスコを相互に固定した状態で加熱して前記レジンを成型する際に、前記下フラスコの下方から前記低融点合金を加熱する成型工程とを含むことを特徴とする義歯作製方法を提供することにより達成される。
すなわち、本発明の義歯作製方法は、埋没剤として低融点合金を使うことで、石膏無しに口腔模型を下フラスコに固定することができ、また、この下フラスコの低融点合金を溶かして回収することで、この低融点合金を反復的に埋没剤として使用することができる。また、下フラスコの下から加熱することで低融点合金の伝熱作用を使って効率的に口腔模型を加熱してレジンの成型を行うことができる。
本発明の義歯作製方法は成型に加熱を伴うレジンに好適に適用できる。また、本発明の義歯作製方法は、一回法や使い捨て基礎床を用いた従来の義歯作製方法にも適用することができる。口腔模型は、患者の口腔の印象から作ったマスター模型であってもよいし、このマスター模型のコピーつまり作業模型であってもよい。本発明を適用できるレジンは、具体的には、熱可塑性レジン、常温重合レジン、加熱重合レジンを例示的に挙げることができる。常温重合又は加熱重合のレジンに本発明を適用した場合、レジンの重合のための加熱を下から行うことで低融点合金を通じて直接的に口腔模型を加熱することでき、この口腔模型の形状面側から重合を進行させることができ、このような重合の方向性を付与することで義歯の適合精度を高めることができる。
本発明の義歯作製方法を重合レジンの成型に適用する場合、重合レジンを予め板状に加圧成型したレジンプレートを用意するのがよい。プレート状の重合レジンを採用することで、口腔模型の上にレジンプレートを載置してこのレジンプレートを押圧又真空引きによって口腔模型の形状面に密着させながらレジンを重合させることができるため、義歯作製の作業効率を高めることができる。
レジンプレートに上から圧力を加えてレジンプレートを口腔模型の形状面に密着させるやり方を採用する場合に、ガス圧を使ってレジンプレートに押圧力を付与するのがよい。これによれば、レジンが重合によって収縮しても、この影響を受けることなく、常に且つ重合処理が終わるまでレジンを口腔模型の形状面に押し付けることができる。このことは、作成した義歯の適合精度を高めることを意味する。
患者の口腔の模型である作業模型の斜視図である。 下フラスコの斜視図である。 耐熱作業台の上に置いた下フラスコの中に溶融状態の低融点合金を充填している状態を示す図である。 下フラスコの中の溶融低融点合金の中に作業模型を押し込んで、作業模型の下端部を溶融低融点合金の中に沈めた状態で低融点合金の凝固を待つことを説明するための図である。 下フラスコの中の低融点合金が凝固し、この低融点合金によって作業模型が下フラスコの中に固定されている状態を示す図である。 義歯の基礎をなす義歯粘膜床を作成するのに、餅状の加熱重合レジンを板状に加圧成型したレジンプレートを使うことを説明するための図である。 レジンプレートを加熱重合させることで作製した義歯粘膜床を示す図である。 耐圧膜を備えた上フラスコの構造を説明するための分解斜視図である。 耐圧膜を備えた上フラスコを上下反転して示す図である。 加熱重合装置の上に上下のフラスコを互いに重ね合わせた状態でセットした状態を示す図であり、加熱重合装置の概要を説明するための図である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。本発明は、次の義歯作製方法に好適に適用される。
義歯作製方法の概要
工程1:患者の口腔の印象採取;
工程2:印象から石膏を使ってマスター模型を作製;
工程3:マスター模型にフィルムを密着させて印象を採取し、この印象に石膏を充填して図1に示す作業模型10を作製する。図示の作業模型10は総義歯に関する模型であるが、部分床義歯についても同様に本義歯作製方法を適用することができる。なお、この例では、作業模型10を使って義歯を作製するが、この作業模型10の作製を省いてマスター模型を使って義歯を作製するようにしてもよい;
工程4:金属製の短筒形状の下フラスコ12(図2)を耐熱作業台14の上に載置して、この下フラスコ12の中に溶融状態の低融点合金16(図3)を充填する。低融点合金の典型例はスズ合金であり、例えば200℃前後で液相になるSn-Pb合金、Sn-Cu合金、Sn-Bi合金、Sn-Ag合金を好適に採用することができる;
工程5:下フラスコ12の中の溶融した低融点合金16の上に作業模型10を置く。作業模型10は、溶融低融点合金16の表面張力で低融点合金16の上に浮いた状態になる;
工程6:作業模型10を上から押して作業模型10の下端部を低融点合金16の中に押し込んだ状態に保って低融点合金16が凝固するのを待つ(図4)。図5は、凝固した低融点合金16によって作業模型10が下フラスコ12の中に固定されている状態を示す;
工程7:低融点合金16によって下フラスコ12に固定された作業模型10に可撓性フィルム18(図6:例えばフッ素樹脂フィルム(シリコンゴムフィルム))を密着させる。ここに可撓性フィルム18とは、外部から力を加えることで作業模型10の形状面に沿って適度に伸びて作業模型10の表面に密着することのできる薄い膜という意味であり、可撓性フィルム18の膜厚は任意である。なお、可撓性フィルム18の代わりに離型剤を作業模型10の形状面に塗布してもよい;
工程8:工程7の可撓性フィルム18を介して餅状の加熱重合レジンを作業模型10の上に盛って指先で適度に形を整える。最も好ましくは、餅状の加熱重合レジンを加圧して薄い円板の形に成型した可撓性のレジンプレート20(図6)を予め用意し、このレジンプレート20を作業模型10の上に置く;
工程9:レジンプレート20の上から圧力を加えて作業模型に密着させた状態を保った状態で下フラスコ12を下から加熱してレジンプレート20を加熱重合させて加熱重合レジンの義歯粘膜床22(図7)を作る;
工程10:下フラスコ12の中の低融点合金16を溶かして、下フラスコ12から低融点合金16を回収すると共に作業模型10(義歯粘膜床22)を取り出す;
工程11:作業模型10の上で成型された義歯粘膜床22を使って、その上に人工歯を配列して義歯を完成させる。
義歯粘膜床22の粘膜面つまり患者の口腔内の粘膜と当接する面に細かい凹凸を設けるのであれば、上述した工程3のマスター模型にフィルムを密着させて印象を採取する際に、マスター模型の形状面に例えばネットなどの小さな数多くの透孔を備えた編み目状の部材を配設した後に、フィルムを密着させて印象を採取すればよい。変形例として、上記の工程7において、作業模型10の形状面に上述した編み目状の部材を配設した後に可撓性フィルム18を密着させるようにしてもよい。
上記工程1乃至工程3は、JP特開2008−119210号公報に詳しく記載してあることから、このJP特開2008−119210号公報の開示をここに援用することでその説明を省略する。
図2を参照して、下フラスコ12はステンレス製である。下フラスコ12は上下に開放した横断面円形の短筒形状を有し、この下フラスコ12の周囲壁12aは下方に向かって徐々に内径が小さくなるように作られている。すなわち、下フラスコ12の上端開口12bの直径D1は下端開口12cの直径D2よりも僅かに大きい。下フラスコ12はその上端に周方向に延びるフランジ12dを有し、このフランジ12dを使って、工程7の可撓性フィルム18の固定が行われる。すなわち、工程7では、下フラスコ12の上から可撓性フィルム18を被せ、このフィルム18を、下フラスコ12の周囲壁12aに圧接するゴムリングで止めたときに、下フラスコ12のフランジ12dがゴムリングの抜け止めとして用いられる。
ステンレス製の下フラスコ12の中に充填した低融点合金16は凝固すると体積収縮する。そして、この低融点合金16の体積収縮によって、下フラスコ12の周囲壁12aと、凝固した低融点合金16との間に隙間ができる。
上記工程7において、作業模型10に可撓性フィルム18を密着させるのに、下フラスコ12の下端開口12cから真空引きするやり方を採用することができる。この具体的なやり方は、JP特開2008−119210号公報に説明があるので、その説明を省略する。
上記工程7の別のやり方として、下フラスコ12を、図外の密閉容器の中に収容し、この密閉容器の内部の圧力を高めることで、作業模型10に可撓性フィルム18を密着させるようにしてもよい。必要であれば、下フラスコ12の周囲壁12aと、凝固した低融点合金16との間に隙間を埋めるために、下フラスコ12内で凝固した低融点合金16の上に図外のシリコンゴムを盛って、このシリコンゴムで上記隙間を埋めるようにすればよい。勿論、下フラスコ12の下方から真空引きしながら、下フラスコ12の上から加圧エアに由来する圧力で可撓性フィルム18を押し付けるようにしてもよい。
上記の義歯作製方法は、上記のレジン設置工程8において、餅状に調製した加熱重合レジンを使用してもよいが、最も好ましいやり方として、加圧成型した餅状の加熱重合レジンプレート20を予め用意して、このレジンプレート20を作業模型10の上に設置するようにしてもよい。
図6を参照して、レジンプレート20を採用する場合、作業模型10の上に可撓性フィルム18を密着させ(上記工程7)、その上に加熱重合レジンプレート20を載置して(上記工程8)、このレジンプレート20を上から圧力を加えながら加熱重合させることにより(上記工程9)、加熱重合レジンからなる義歯粘膜床22(図7)を作製することができる。
レジンプレート20を使用するときに、加熱重合工程9で使用するのに適した上フラスコ24を図8、図9を参照して説明する。図8は上フラスコ24の分解斜視図であり(上フラスコ本体26は上下反転した状態で図示してある。)、図9は上フラスコ本体26とシリコンゴム膜28とを一体化した上フラスコ24を上下反転した状態で示す図である。
上フラスコ24は、下方に開放した有底円筒体の形状を備えたステンレス製の本体26と、この本体26の下端開口26aに嵌合可能なように成型された可撓性の耐圧膜28(典型例はシリコンゴム膜)とで構成される。上フラスコ24の下端は、上述した下フラスコ12の上端と同一の直径を備えている。
上フラスコ24の下端開口24aには、成型品である耐圧膜からなるシリコンゴム膜28が嵌合され、そして、このシリコンゴム膜28によって上フラスコ24の内部空間は外部からある程度の気密状態が維持される。なお、上フラスコ24を下フラスコ12の上に位置決めし、ついで上フラスコ24と下フラスコ12を後に説明するプレス機構で押し下げたときには、次に説明する構造によって上フラスコ24の内部空間はシリコンゴム膜28によって気密状態に維持される。
図8を参照して、上フラスコ本体26の周囲壁の下端(図8では上フラスコ本体26を上下反転させて描いてあるため、図面上は上端)に段部26cが形成されている。そして、この段部26cと相補的な形状のフランジ28aがシリコンゴム膜28に形成されており、フランジ28aの肉厚は、段部26cの深さ(上下高さ)よりも若干大きい。
シリコンゴム膜28のフランジ28aを上フラスコ本体26の段部26cに嵌め込むことによりシリコンゴム膜28が脱着可能に上フラスコ24に組み込まれる。これにより、シリコンゴム膜28が劣化したときには、新しいシリコンゴム膜28に取り替えることができる。また、シリコンゴム膜28のフランジ28aが上フラスコ本体26の段部26cの深さ(上下高さ)よりも肉厚であるため、上フラスコ24を下フラスコ12に対して上から押し付けることで、上フラスコ24の内部空間がシリコンゴム膜28によって気密状態にされる。
上フラスコ本体26のガス出入り口26b(図8)には導管30が連結され、この導管30を通じて図外の加圧エア源つまりコンプレッサからの加圧エアが上フラスコ24の内部空間に供給される。上フラスコ24が加圧エアを受け入れるとシリコンゴム膜(可撓性耐圧膜)28は下方に向けて膨出する。図9は上フラスコ24に加圧エアを供給してシリコンゴム膜(可撓性耐圧膜)28を膨出させた状態を示す。導管30には手動バルブ32が介装されている。この手動バルブ32を操作することにより、上フラスコ24に供給する加圧エアを制御することができる。好ましくは、導管30の端には雄雌嵌合形式の迅速継ぎ手34が取り付けられる(図9)。
図10は、上記の工程9に用いる加熱重合装置40の概要を示す図である。加熱重合装置40は耐熱金属プレート42を有し、この耐熱金属プレート42の典型例は鉄板である。図示を省略したが、上下に重ね合わせた上下のフラスコ12、24を上から押圧するプレス機構を有している。このプレス機構は自動であってもよいが、作業者が操作することのできる手動プレス機構が一般的に採用される。
加熱重合装置40は、また、耐熱金属プレート42を加熱するためのコイル44(電熱コイル)を有し、この加熱コイル44への電源供給はコントローラ48によって制御される。コントローラ48には、耐熱金属プレート42の温度を検出する温度センサ46からの信号が入力される。また、コントローラ48にはタイマ50から信号が入力される。耐熱金属プレート42は、温度センサ46によって所定の温度範囲に保たれる。また、タイマ50をユーザが設定することにより、この設定時間が経過すると加熱コイル44への電源供給が停止される。
加熱重合装置40は、温度センサ46及びコントローラ48の代わりにバイメタルサーモスタットを採用して、このバイメタルサーモスタットによって加熱コイル44への電源供給を制御して耐熱金属プレート42の温度を制御するようにしてもよい。
加熱重合装置40は圧力調整弁(レギュレータ)52を有し、この圧力調製弁52にはコンプレッサー(図示せず)から加圧エアが供給される。圧力調製弁52にはフレキシブル耐圧チューブ54が接続され、このフレキシブル耐圧チューブ54の端には雄雌式の迅速継ぎ手(図示せず)が設けられており、このフレキシブル耐圧チューブ54の端は上述した上フラスコ24の導管30に脱着自在に接続される。
加熱重合装置40の使用方法は次の通りである。
工程(i):耐熱金属プレート42の上に、上下に重ね合わせた下フラスコ12、上フラスコ24を載置する。下フラスコ12は、その下端が上端よりも小さな内径を有しているため、凝固した低融点合金16が下方から脱落することはない。凝固した低融点合金16が下フラスコ12の中で回転したり脱落するのを防止するために、下フラスコ12の周囲壁12aから径方向内方に突出する単一又は複数の爪を設けるようにしてもよい;
工程(ii):上下のフラスコ12、24を上から押し付けた状態を維持する;
工程(iii):上フラスコ24の手動バルブ32を操作して、加圧エア源(コンプレッサ)から加圧エアを上フラスコ24の内部に供給して上フラスコ24の内部空間の圧力を所定のガス圧まで上昇させて、このガス圧を維持して前記上フラスコ24の可撓性耐圧膜28を膨出させ、この可撓性耐圧膜28を介してガス圧によってレジンプレート20を作業模型10に押し付ける;
工程(iv):加熱コイル44に電源を供給して耐熱金属プレート42を例えば120℃に保つ。耐熱金属プレート42の上に位置する上下のフラスコ12、24の周囲及び上方は雰囲気に晒されている。
付加的に、工程(iii)において下フラスコ12の下方から真空引きしてもよい。
図10では図示を省略したが、加熱重合装置40は手動のプレス機構を備えており、上記の工程(ii)は、加熱重合装置40の上記プレス機構を使って上下に重ね合ったフラスコ12、24を上から押圧して耐熱金属プレート42に押し付けた状態に保つことができる。
タイマ50で設定した時間が経過して上下のフラスコ12、24が適度に冷えたら、上フラスコ24への加圧エアの供給を停止して上フラスコ24内のガス圧を外部に解放し、また、上記プレス機構を手動で解放した後に、上下のフラスコ12、24を加熱重合装置40から取り出す。
上下フラスコ12、24を使って加熱重合処理することにより作製した義歯粘膜床22は、その後、これを使って義歯が作製される(上記工程11)。義歯粘膜床22と人工歯は常温即時重合レジンを使って固定してもよいが、常温重合レジンや加熱重合レジンを使って人工歯を義歯粘膜床22に固定するようにしてもよい。
上記の加熱重合工程9において、加熱重合レジンを熱処理して重合させる際に、加熱重合装置40の耐熱金属プレート42を熱することにより、この熱が耐熱金属プレート42に接している低融点合金16(下フラスコ12)を通じて良好な熱伝達効率の下で作業模型10に伝わり、この作業模型10の形状面を介して加熱重合レジンプレート20に熱伝達される。他方、上フラスコ24の周囲は雰囲気に晒されているため、加熱重合レジンプレート20は作業模型10の形状面に接している下面の温度を上面よりも相対的に高い温度状態に保ちながら加熱重合レジンプレート20の重合を進行させることができる。
耐圧膜28を備えた上フラスコ24を使ってガス圧によって加熱重合レジンプレート20を作業模型10に押し付ける場合には、加熱重合レジンプレート20の上面を実質的にガス(エア)によって断熱することになり、これにより加熱重合処理の過程において、加熱重合レジンプレート20は作業模型10の形状面に接している下面の温度を上面よりも相対的に高い温度状態に保ち続けることができる。
したがって、上フラスコ24によって作業模型10の形状面に強く押し付けられている加熱重合レジンプレート20の重合に方向性を与えることができ、作業模型10の形状面の側から加熱重合レジンプレート20の重合を進行させることができる。このことは、加熱重合レジンからなる義歯粘膜床22の粘膜面側から重合を開始させることであり、前述した特許文献3に開示の発明の教えに従えば、義歯粘膜床22の適合精度を向上することができる。
特に可撓性耐圧膜28を備えた上フラスコ24を採用して、ガス圧によって加熱重合レジンプレート20を作業模型10の形状面に強く押し付けるときには、この加熱重合レジンプレート20の加熱重合処理が終わるまで終始ガス圧によって加熱重合レジンプレート20を押圧することができる。したがって、加熱重合レジンが重合によって収縮したとしても、このレジンの収縮の影響を受けることなく加熱重合レジンプレート20に圧力を加え続けることができる。このことによって義歯粘膜床22の適合精度を向上できるのは言うまでもない。
また、下フラスコ12だけでなく、上フラスコ24でも石膏を使用していないため、石膏の使用量を削減できるだけでなく、作業環境の汚染の問題を軽減することができる。勿論、耐圧膜28を備えた上フラスコ24は何回でも使用できるのは言うまでもないが、下フラスコ12においても低融点合金16を反復的に再利用が可能である。
また、義歯粘膜床22と人工歯との間に介在させる材料として加熱重合レジンを採用したときには、この加熱重合レジンを重合させるために加熱処理することになり、このことは加熱重合レジンからなる義歯粘膜床22に対して二回、加熱処理を施すことになることから義歯粘膜床22の残留モノマーを低減することができる。
以上、低融点合金16を使って作業模型10を下フラスコ12に埋没するやり方を使って加熱重合レジンの義歯粘膜床22の作製方法の一例を説明したが、加熱重合工程9で使用する上フラスコ24に関して、例えば、作業模型10を作製するときにできた印象(シリコーン印象材)を上フラスコ24に石膏で固定して、この印象を介して加熱重合レジンプレート20を加圧するようにしてもよい。
義歯粘膜床22を作製するのに、予め加圧成型した餅状の加熱重合レジンプレート20を使用したが、これに代えて、作業模型10の上に餅状の加熱重合レジンを盛って、これを手で作業模型10の形状面に押し付けながら手で予備成型するようにしてもよい。
当業者であれば容易に理解できるように、義歯粘膜床22の材料として常温重合レジン(俗称:流し込みレジン)を採用するときにも上述した義歯作製方法を採用できるが、この常温重合レジンの加熱重合温度は約50℃であることから、下フラスコ12に充填する低融点合金としてメロット合金(融点は約94℃)を採用することができる。なお、常温重合レジンを採用したときには、凝固した低融点合金が保有する熱を利用して常温重合レジンの重合を行うことができるようであれば、下フラスコ12を加熱重合装置40で加熱する必要はない。この場合には可撓性耐圧膜28を備えた上フラスコ24と、作業模型10を固定した下フラスコ12とを位置決めして相互に固定した状態で上フラスコ24に圧縮エアを供給するだけで常温重合レジンの重合を完了させることができる。
上記の加熱重合レジンと同様に常温重合レジンを予め板状に加圧成型したものを採用できるが、常温重合レジンを流し込み又は注入法によって上下のフラスコの中に充填してもよい。
また、ここに援用したJP特開2008−119210号公報には、熱可塑性レジンプレートを使って義歯粘膜床を作製する手法が開示されているが、この熱可塑性レジンプレートを成型する際に、上述した低融点合金16を埋没材として使用する下フラスコ12を採用することができる。
また、作業模型10の上に置いた熱可塑性レジンプレートを成型する際に熱可塑性レジンプレートを上から押し付けて成型するのに、上述した可撓性耐圧膜28を備えたガス圧方式の上フラスコ24を使うことができる。この場合に、下フラスコ12に作業模型10の埋没剤として低融点合金16を採用することで熱可塑性レジンプレートに対する熱伝達効率を高めることができる。
低融点合金16を埋没材として使って下フラスコ12に作業模型10を固定して、その上に熱可塑性レジンプレートを置き、下フラスコ12の下から加熱して低融点合金16を通じて熱可塑性レジンプレートを加熱してこれを成型する際に、この熱可塑性レジンプレートを作業模型10の形状面に密着させるのに、上述した耐圧膜28を備えたガス圧方式の上フラスコ24に限定されず、真空引きや他の物理的な加圧方法を採用することができる。
他の変形例として、低融点合金を埋没材として使用する下フラスコ12は、従来例で説明した一回法や使い捨て基礎床を使った義歯作製方法にも好適に適用して、下フラスコ12の下から加熱することで重合レジン(加熱重合レジン又は常温重合レジン)の重合に方向性を与えながら成型することができる。
総義歯、部分床義歯の作製に適用することができる。
10 作業模型
12 下フラスコ
14 耐熱作業台
16 低融点合金(スズ合金)
18 可撓性フィルム
20 加熱重合レジンプレート
22 義歯粘膜床
24 上フラスコ
28 可撓性耐圧膜(シリコンゴム膜)

Claims (8)

  1. 下フラスコと上フラスコを相互に固定した状態で加熱することにより下フラスコに固定した口腔模型を使ってレジンを成型して義歯を作製する義歯作製方法であって、
    前記下フラスコに溶融低融点合金を充填する溶融合金充填工程と、
    該下フラスコ内の溶融低融点合金の上に口腔模型を置く口腔模型設置工程と、
    該口腔模型の下端部を前記溶融低融点合金の中に押し込んだ状態で前記下フラスコ内の溶融低融点合金を凝固させる口腔模型固定工程と、
    下フラスコと上フラスコを相互に固定した状態で加熱して前記レジンを成型する際に、前記下フラスコの下方から前記低融点合金を加熱する成型工程とを含むことを特徴とする義歯作製方法。
  2. 前記重合レジンが常温重合レジン又は加熱重合レジンである、請求項1に記載の義歯作製方法。
  3. 前記重合レジンを予め板状に加圧成型したレジンプレートを用意し、
    前記口腔模型固定工程において低融点合金で下フラスコに固定した口腔模型の上に前記レジンプレートを載置し、
    前記成型工程では、前記レジンプレートを前記口腔模型の形状面に密着させながら、前記下フラスコの下方から前記低融点合金を加熱する、請求項2に義歯作製方法。
  4. 前記レジンプレートを上から圧力を加えることにより、前記レジンプレートを前記口腔模型の形状面に密着させる、請求項3に記載の義歯作製方法。
  5. 前記圧力がガス圧であり、前記レジンプレートをガス圧によって押圧しながら前記成型工程において前記下フラスコの下方から前記低融点合金を加熱する、請求項4に記載の義歯作製方法。
  6. 前記レジンプレートと前記口腔模型の形状面との間に可撓性フィルムが介装されている、請求項5に記載の義歯作製方法。
  7. 前記口腔模型の形状面の上に編み目状の部材を置いた後に、該口腔模型と前記レジンプレートとの間に可撓性フィルムが介装される、請求項6に記載の義歯作製方法。
  8. 金属製の上下に開放した短筒形状の下フラスコと、重合レジンを加圧成型したレジンプレートとを用意し、
    該下フラスコを耐熱作業台の上に載置して、該下フラスコの中に溶融状態の低融点合金を充填する工程と、
    前記下フラスコの中の溶融した低融点合金の上に口腔模型を置く工程と、
    該口腔模型を上から押して該口腔模型の下端部を溶融低融点合金の中に押し込んだ状態に保って低融点合金が凝固するのを待つ工程と、
    前記低融点合金によって下フラスコに固定された口腔模型に可撓性フィルムを密着させる工程と、
    前記口腔模型の上に前記レジンプレートを載置する工程と、
    前記下フラスコの上に上フラスコを置いてこれら上下のフラスコを相互に固定する工程と、
    前記上下のフラスコの中の前記レジンプレートをガス圧を使って上から圧力を加えながら、前記下フラスコを下方から加熱して前記レジンプレートを加熱重合させる加熱工程とを有することを特徴とする義歯粘膜床の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2536231A (en) * 2015-03-09 2016-09-14 Davis Schottlander & Davis Ltd Process for producing a denture
CN110638543A (zh) * 2019-11-05 2020-01-03 江苏福隆数齿科技有限公司 一种利用树脂工作模型的义齿加工工艺

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