JP2012009494A - 光電変換素子の製造方法及び光電変換半導体層付き基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】光電変換層表面のダメージが少なく、光電変換効率の良好なカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換素子を製造する。
【解決手段】本発明の光電変換素子の製造方法は、基板上に下部電極と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層と、バッファ層と、透光性導電層と、上部電極との積層構造を有する光電変換素子の製造方法において、前記光電変換半導体層を多元蒸着法によって成膜する工程(A)と、該光電変換半導体層のバッファ層側の表面が大気に曝される前に、該表面の略全面を覆うように保護膜を成膜する工程(B)と、該工程(B)実施後に得られる保護膜付き基板を大気中に取り出す工程(C)と、前記光電変換半導体層上に前記バッファ層を液相法により成膜する工程(D)とを順次有する。
【選択図】図1A
【解決手段】本発明の光電変換素子の製造方法は、基板上に下部電極と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層と、バッファ層と、透光性導電層と、上部電極との積層構造を有する光電変換素子の製造方法において、前記光電変換半導体層を多元蒸着法によって成膜する工程(A)と、該光電変換半導体層のバッファ層側の表面が大気に曝される前に、該表面の略全面を覆うように保護膜を成膜する工程(B)と、該工程(B)実施後に得られる保護膜付き基板を大気中に取り出す工程(C)と、前記光電変換半導体層上に前記バッファ層を液相法により成膜する工程(D)とを順次有する。
【選択図】図1A
Description
本発明は、化合物半導体系光電変換素子の製造方法及び、化合物半導体系光電変換素子の製造に好適な光電変換半導体層付き基板に関するものである。
光電変換層とこれに導通する電極とを備えた光電変換素子が、太陽電池等の用途に使用されている。光電変換層としては、従来からSi系が主流であったが、近年、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなるCISあるいはCIGS系等のカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換層が、光吸収効率が高く、また、フレキシブル基板にも成膜が容易であることから注目されている。
CI(G)Sは、一般式Cu1−zIn1−xGaxSe2−ySy(式中、0≦x≦1,0≦y≦2,0≦z≦1)で表される化合物半導体であり、x=0のときがCIS系、x>0のときがCIGS系である。本明細書では、CISとCIGSとを合わせて「CI(G)S」と表記してある。
CI(G)S系等の従来の薄膜系光電変換素子においては一般に、光電変換層とその上に形成される透光性導電層(透明電極)との間にバッファ層が設けられている。バッファ層の役割としては、(1)光生成キャリアの再結合の防止、(2)バンド不連続の整合、(3)格子整合、及び(4)光電変換層の表面凹凸のカバレッジ等が考えられる。
CI(G)S層は、主に、真空蒸着法やスパッタ法等の気相法により成膜される。これに対し、バッファ層は、表面凹凸のカバレッジ性が良好であることから、化学浴析出法(CBD:Chemical Bath Deposition法)等の液相法により通常成膜されている。
例えば、特許文献1では、CIS系太陽電池の製造方法において、光電変換層を蒸着により成膜した後、CBD法により、亜鉛含有化合物と、硫黄含有化合物と、アンモニウム塩とを含む反応液を用いたZn(O,OH,S)バッファ層の製造方法が開示されている。
一方、CI(G)S層は、表面にセレン化銅や硫化銅等の異相が形成されやすく、この異相の存在により光電変換効率が低下することが知られている。従って、CBD法によるバッファ層の成膜前の前処理として上記異相を除去する表面処理を実施する方法や(例えば特許文献2)、異相の形成を抑制するために、CI(G)S層表面にカドミウムドープ層をイオンビームスパッタ法で成膜した後にバッファ層を成膜する方法が開示されている。(特許文献3)
しかしながら、バッファ層の成膜を液相法により行う場合は、CI(G)S層の表面が大気に曝された後に、バッファ層の成膜あるいはその前処理を実施することになる。CI(G)S表面は大気中に曝されると、バッファ層の形成の前処理や水洗によって取り除くことができない酸化物の生成や塵の付着などのダメージを受けやすく、光電変換効率の低下を招き、高い光電変換効率を得ることが難しい。更に、そのダメージの制御が困難であることから、信頼性の高い光電変換素子の製造が難しい。
また、かかる課題は、CI(G)S系に限らず、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなるカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換層を備える光電変換素子にも同様に存在する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光電変換層表面のダメージが少なく、光電変換効率の良好なカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換素子を製造する方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、光電変換層表面のダメージが少ない光電変換素子を製造可能であり、液相法によるバッファ層の成膜の前処理により除去可能な光電変換半導体層付き基板を提供することを目的とするものである。
本発明の光電変換素子の製造方法は、基板上に下部電極と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層と、バッファ層と、透光性導電層と、上部電極との積層構造を有する光電変換素子の製造方法において、
前記光電変換半導体層を多元蒸着法によって成膜する工程(A)と、
該光電変換半導体層のバッファ層側の表面が大気に曝される前に、該表面の略全面を覆うように保護膜を成膜する工程(B)と、
該工程(B)実施後に得られる保護膜付き基板を大気中に取り出す工程(C)と、
前記光電変換半導体層上に前記バッファ層を液相法により成膜する工程(D)とを順次有することを特徴とするものである。
前記光電変換半導体層を多元蒸着法によって成膜する工程(A)と、
該光電変換半導体層のバッファ層側の表面が大気に曝される前に、該表面の略全面を覆うように保護膜を成膜する工程(B)と、
該工程(B)実施後に得られる保護膜付き基板を大気中に取り出す工程(C)と、
前記光電変換半導体層上に前記バッファ層を液相法により成膜する工程(D)とを順次有することを特徴とするものである。
ここで、工程(B)において、「大気に曝される前に」とあるが、製造工程において、必ずその表面が大気に曝されると意味するものではなく、「その表面が大気に曝される場合には、その前に」との意味である。
また、工程(D)において、「前記光電変換半導体層上に前記バッファ層を成膜する」とあるが、光電変換半導体層上に直接バッファ層を成膜する場合、及び光電変換半導体上に保護膜等の他の層を介して成膜する場合の両方を意味するものとする。
前記工程(D)において、前記バッファ層を成膜する前に前記保護膜を除去することが好ましい。保護膜の除去は、前記バッファ層の成膜前に、該バッファ層の成膜面に表面処理を施す前処理工程を有する場合は、該前処理工程において前記保護膜を除去することが好ましく、かかる構成では、前記表面処理と前記保護膜の除去を同一の処理液にて実施することがより好ましい。前記保護膜の主成分が、セレン化銅である場合は、前記処理液として、KCN水溶液(不可避不純物を含んでもよい)を用いることにより、表面処理と保護膜の除去を同時に実施することができる。
本明細書において、「主成分」とは、含量80質量%以上の成分を意味する。
前記保護膜がセレン化銅を主成分とする場合は、固相状態となる成膜温度にて、前記保護膜を前記表面上に成膜することが好ましい。
本発明の光電変換素子の製造方法において、前記液相法は化学浴析出法であることが好ましい。
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、前記光電変換半導体層の主成分は、Cu及びAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、Al,Ga及びInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、S,Se,及びTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体であることが好ましい。
本発明の光電変換層つき基板は、光電変換半導体層と、バッファ層と、透光性導電層と、上部電極との積層構造を有する光電変換素子の製造に用いる光電変換半導体層付き基板であって、
基板上に、下部電極と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層と、
該光電変換半導体層の前記バッファ層を成膜する側の表面の略全面に形成された保護膜とを備え、
該保護膜が、前記バッファ層を化学浴析出法により成膜する前に該バッファ層を成膜する面の表面処理をする処理液により除去可能なものであることを特徴とするものである。
基板上に、下部電極と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層と、
該光電変換半導体層の前記バッファ層を成膜する側の表面の略全面に形成された保護膜とを備え、
該保護膜が、前記バッファ層を化学浴析出法により成膜する前に該バッファ層を成膜する面の表面処理をする処理液により除去可能なものであることを特徴とするものである。
本発明の光電変換素子の製造方法は、光電変換半導体層の成膜後、大気中に曝さずに光電変換半導体層の表面に保護膜を成膜する。従って、本発明によれば、バッファ層を液相法により成膜する際に、光電変換層表面を大気中に曝すことによる光電変換層表面のダメージを少なくし、光電変換効率の良好なカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換素子を製造することができる。
また、本発明の光電変換素子の製造方法の途中で得られる、大気中に取り出される光電変換半導体層付き基板は、光電変換半導体層の表面が保護膜により覆われているので、大気中に取り出して放置しておいても、光電変換層表面の大気曝露によるダメージを受けることがない。更に、保護膜を、液相法によるバッファ層の成膜の前処理により除去可能なものとすることにより、保護膜の除去工程を新たに必要とすることなく、光電変換効率の良好なカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換素子を製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
「光電変換素子の製造方法」
図面を参照して、本発明の光電変換素子の製造方法について説明する。図1A及び図1Bは、本発明にかかる一実施形態の光電変換素子の製造方法を示す概略断面図である。視認しやすくするため、各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
図面を参照して、本発明の光電変換素子の製造方法について説明する。図1A及び図1Bは、本発明にかかる一実施形態の光電変換素子の製造方法を示す概略断面図である。視認しやすくするため、各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
図1A,Bに示されるように、本発明の光電変換素子の製造方法は、基板10上に下部電極20と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層30と、バッファ層50と、透光性導電層60と、上部電極70との積層構造を有する光電変換素子3の製造方法において、
光電変換半導体層30を多元蒸着法によって成膜する工程(A)と、
光電変換半導体層30のバッファ層50側の表面30sが大気に曝される前に、表面30sの略全面を覆うように保護膜40を成膜する工程(B)と、
該工程(B)実施後に得られる保護膜付き基板1を大気中に取り出す工程(C)と、
前記光電変換半導体層30上にバッファ層40を液相法により成膜する工程(D)とを順次有することを特徴とする。
光電変換半導体層30を多元蒸着法によって成膜する工程(A)と、
光電変換半導体層30のバッファ層50側の表面30sが大気に曝される前に、表面30sの略全面を覆うように保護膜40を成膜する工程(B)と、
該工程(B)実施後に得られる保護膜付き基板1を大気中に取り出す工程(C)と、
前記光電変換半導体層30上にバッファ層40を液相法により成膜する工程(D)とを順次有することを特徴とする。
「背景技術」の項目において述べたように、CI(G)S等の化合物半導体系光電変換半導体層は、主に、真空蒸着法等の気相法により成膜されるのに対し、バッファ層は、化学浴析出法(CBD:Chemical Bath Deposition法)等の液相法により通常成膜される。
本発明の光電変換素子の製造方法において、光電変換半導体層30は、変換効率の良い光電変換半導体層の製造が可能な多元蒸着法により成膜する。多元蒸着法としては特に制限なく、三段階法やバイレイヤー法など、選択することができる。
また、バッファ層の成膜方法は特に制限されないが、安定した環境で適度な速度で成膜が可能な、化学浴析出法(CBD:Chemical Bath Deposition法)が好ましい。「CBD法」とは、一般式 [M(L)i] m+ ⇔ Mn++iL(式中、M:金属元素、L:配位子、m,n,i:正数を各々示す。)で表されるような平衡によって過飽和条件となる濃度とpHを有する金属イオン溶液を反応液として用い、金属イオンMの錯体を形成させることで、安定した環境でゆっくりと基板上に結晶を析出させる方法である。
通常、多元蒸着法による光電変換半導体層の成膜後は、そのまま蒸着装置から大気中に取り出され、光電変換半導体層表面の異相成分等を除去する前処理を施した後、液相法によるバッファ層成膜を実施する。従って、大気中に取り出されてからバッファ層成膜工程に入るまで(バッファ層成膜前の前処理を含む)の間に、光電変換半導体層表面が大気に曝されることになる。
既に述べたように、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層30は、大気中に曝されると、大気中のゴミの付着や、表面の酸化などによりダメージを受ける。従って、現状はできるだけ光電変換半導体層30の表面が大気に曝される時間が少なくなるように、できるだけ速やかにバッファ層成膜工程を実施するようにしている。しかしながら、この方法では、光電変換半導体層30の表面は、大部分が大気中において露出される上、大気に曝される時間にもばらつきがあるため、ダメージの程度にもばらつきを生じる。従って、光電変換効率の低下及び面内均一性の低下が避けられない。
本発明では、多元蒸着法による光電変換半導体層30の成膜に引き続き、真空下にて保護膜40を光電変換半導体層30表面の略全面に成膜してから大気中に取り出す構成としている。従って、大気中に取り出された光電変換半導体層付き基板1の表面にはほとんど光電変換半導体層30が露出されていない。従って、光電変換半導体層30が大気に曝されることなくバッファ層成膜工程又はその前処理に入ることができるため、CI(G)S層の大気曝露によるダメージを非常に小さくすることができる。
ここで、「略全面」を覆うとしているが、本発明においては「全面」を覆っていることが最も効果的である。しかしながら、一部露出部分があったとしてもその大きさは小さくなるものの効果は得ることができる。
保護膜40としては、光電変換半導体層30の表面への成膜により該表面に大きなダメージを与えないものであり、光電変換半導体層30表面のカバレッジ性が良好なものであることが好ましい。
また、保護膜40は、その存在により光電変換素子特性に悪影響を及ぼさないもの、あるいは、その影響がわずかであるものは、保護膜40は除去可能なものでなくてもよい。かかる態様では、保護膜40で覆われている光電変換半導体層30の表面は大気曝露されることなく、バッファ層50を成膜することができる。
一方、保護膜40は、光電変換素子特性に好影響を与えるものでなければ除去されることが好ましい。かかる態様では、後工程の保護膜40の除去工程後、バッファ層50の成膜までの間に光電変換半導体層30の表面が大気に曝される可能性があるが、保護膜40の除去からバッファ層50の成膜までには、保護膜40の除去液の水洗工程があるのみであり、その間の光電変換半導体層30の表面の大気曝露時間及びその面積はわずかである。従って、保護膜40を成膜せずにバッファ層50の成膜工程を実施する従来の製造方法に比して、光電変換半導体層30の表面の大気曝露によるダメージを大幅に低減させ、光電変換効率の良好なカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換素子を製造することができる。
以下に、保護膜40を除去する態様を例に本発明の光電変換素子の製造方法を説明する。
以下に、保護膜40を除去する態様を例に本発明の光電変換素子の製造方法を説明する。
本実施形態の光電変換素子3の製造方法では、基板10上に下部電極層20が成膜された積層基板B上に、光電変換半導体層30、及び保護膜40の成膜を真空系気相成膜により実施した後(図1A)、保護膜40が表面に形成された光電変換半導体層付き基板1を大気中に取り出して、バッファ層50を成膜し、その後透明電極層60、取り出し電極70を形成する(図1B)。光電変換素子3において、窓層を有する構成としてもよいが本実施形態では説明を省略する。
図1Aは、真空系気相成膜を実施する成膜工程の態様の一例を模式的に示した概略図である。図1Aに示される成膜装置においては、直線状に順に連結配置された、基板導入室A0、光電変換半導体層多元蒸着室A30、保護膜成膜室A40および基板排出室A1からなる4つのチャンバーと、基板10上に下部電極層20積層基板Bを導入室A0から排出室A1に直線状に移動させる基板搬送機構Rとを備えている。
基板導入室A0および基板排出室A1は、それぞれ積層基板Bを導入するためのチャンバーおよび排出するためのチャンバーである。基板導入室A0には、光電変換半導体層蒸着前の積層基板Bを収納する処理前基板収納部として、複数枚の基板を収納可能な基板収納トレイT1が備えられ、基板排出室A1には、表面に保護膜40が成膜された光電変換半導体層付き基板1を収納する処理済基板収納部として、複数枚の基板を収納可能な基板収納トレイT2が備えられている。
基板導入室A0、多元蒸着室A30、保護膜成膜室A40および基板排出室A1は、必要に応じて排気装置(図示せず)によって略真空に排気される。例えば、基板導入室A0および排出室A1には内部を真空排気する排気ポンプとして、ターボ分子ポンプが備えられ、多元蒸着室A30、保護膜成膜室A40の各チャンバーには、内部を真空排気する排気ポンプとしての油拡散ポンプが備えられている(図示略)。
基板搬送機構Rは、搬送方向上流側である基板導入室A0から下流側である基板排出室A1に向かって積層基板Bを直線的に移動させるための機構であり、たとえば、ローラなどを備えた構成とすることができる。本実施形態においては、基板搬送機構Rは、成膜する積層基板の幅方向の両端を支えるべく2列に且つ基板搬送方向に沿って等間隔で配列された複数のコロと、各列のコロを接続したチェーン(図示略)とを有しており、チャンバー外のモーター(図示略)に回転導入端子を介して接続したチェーンが走行し、それによりコロが回転して積層基板Bを搬送するよう構成されている。
多元蒸着室A30、及び保護膜成膜室A40の基板搬送機構Rの下方にはそれぞれの気相成膜に用いる原料源S30,S40が設置されている。原料源の態様は、その気相成膜方法によって適した態様とすればよい。例えばスパッタ成膜である場合は、ターゲット、蒸着の場合は蒸着源が配置されればよい。
多元蒸着室A30は、光電変換半導体層30を成膜するチャンバーであり、S30は光電変換半導体層の構成元素の各蒸着源からなる蒸着源群を備えている。例えば、光電変換半導体層30がCIGS層である場合は、Cu、Ga、Inの各蒸着源からなる蒸着源群およびSe蒸着源が備えられている。
各蒸着源には、たとえば、蒸着用の坩堝を用いることができる。各蒸着源は、蒸気噴出開口を2以上備えるものであってもよい。各成膜室内にはヒータが取り付けられており(図示略)、温度制御が可能となっている。
<基板>
基板10は、搬送機構Rにより搬送可能な基板であれば、特に制限されず、ガラス基板、表面に絶縁膜が成膜されたステンレス等の金属基板、Alを主成分とするAl基材の少なくとも一方の面側にAl2O3を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl材が複合された複合基材の少なくとも一方の面側にAl2O3を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl膜が成膜された基材の少なくとも一方の面側にAl2O3を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、及びポリイミド等の樹脂基板等が挙げられる。
基板10は、搬送機構Rにより搬送可能な基板であれば、特に制限されず、ガラス基板、表面に絶縁膜が成膜されたステンレス等の金属基板、Alを主成分とするAl基材の少なくとも一方の面側にAl2O3を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl材が複合された複合基材の少なくとも一方の面側にAl2O3を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl膜が成膜された基材の少なくとも一方の面側にAl2O3を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、及びポリイミド等の樹脂基板等が挙げられる。
後記するロールトゥトール方式にも適用可能とする場合は、基板に可撓性があるものであることが好ましく、表面に絶縁膜が成膜された金属基板、陽極酸化基板、及び樹脂基板等の可撓性基板が好ましい。
<下部電極成膜>
まず、基板10上に、下部電極20を成膜する。下部電極20の成膜方法は特に制限されないが、スパッタ法や蒸着法等の気相法が好ましい。下部電極20の主成分としては特に制限されず、Mo,Cr,W,及びこれらの組合わせが好ましく、Mo等が特に好ましい。下部電極20の膜厚は制限されず、200〜1000nm程度が好ましい。
まず、基板10上に、下部電極20を成膜する。下部電極20の成膜方法は特に制限されないが、スパッタ法や蒸着法等の気相法が好ましい。下部電極20の主成分としては特に制限されず、Mo,Cr,W,及びこれらの組合わせが好ましく、Mo等が特に好ましい。下部電極20の膜厚は制限されず、200〜1000nm程度が好ましい。
下部電極を蒸着により成膜する場合は、基板導入室A0の基板収納トレイT1には、基板10を格納しておき、下部電極成膜室を基板導入室A0と多元蒸着室A30との間に設ける態様としてもよい。
<基板導入>
基板導入室A0では、収納トレイT1に、基板10上に下部電極層20が成膜された積層基板B収納されており、収納トレイT1から、下部電極層20が蒸着面となるように、搬送機構Rに設置され、搬送方向に直線的に搬送される。必要に応じて基板導入室A0において加熱を行ってもよい。
基板導入室A0では、収納トレイT1に、基板10上に下部電極層20が成膜された積層基板B収納されており、収納トレイT1から、下部電極層20が蒸着面となるように、搬送機構Rに設置され、搬送方向に直線的に搬送される。必要に応じて基板導入室A0において加熱を行ってもよい。
<光電変換半導体層成膜 ―工程(A)―>
下部電極20が成膜された積層基板Bは、搬送機構Rによって多元蒸着室A30へと搬送される。
下部電極20が成膜された積層基板Bは、搬送機構Rによって多元蒸着室A30へと搬送される。
多元蒸着室A30では、積層基板Bは、加熱されると共に、下部電極20の蒸着源に対向する一面に蒸着源群から光電変換半導体層の構成元素が供給されて、多元蒸着法により光電変換半導体層30が成膜される。多元蒸着の方法は特に制限されず、三段階法やバイレイヤー法等、光電変換半導体層30を好適に成膜可能な方法を用いることができる。
光電変換半導体層30の主成分としては、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体であれば特に制限されず、高光電変換効率が得られることから、
Cu及びAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、
Al,Ga及びInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、
S,Se,及びTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体であることが好ましい。
Cu及びAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、
Al,Ga及びInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、
S,Se,及びTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体であることが好ましい。
上記化合物半導体としては、
CuAlS2,CuGaS2,CuInS2,
CuAlSe2,CuGaSe2,
AgAlS2,AgGaS2,AgInS2,
AgAlSe2,AgGaSe2,AgInSe2,
AgAlTe2,AgGaTe2,AgInTe2,
Cu(In,Al)Se2,Cu(In,Ga)(S,Se)2,
Cu1−zIn1−xGaxSe2−ySy(式中、0≦x≦1,0≦y≦2,0≦z≦1)(CI(G)S),
Ag(In,Ga)Se2,及びAg(In,Ga)(S,Se)2等が挙げられる。
CuAlS2,CuGaS2,CuInS2,
CuAlSe2,CuGaSe2,
AgAlS2,AgGaS2,AgInS2,
AgAlSe2,AgGaSe2,AgInSe2,
AgAlTe2,AgGaTe2,AgInTe2,
Cu(In,Al)Se2,Cu(In,Ga)(S,Se)2,
Cu1−zIn1−xGaxSe2−ySy(式中、0≦x≦1,0≦y≦2,0≦z≦1)(CI(G)S),
Ag(In,Ga)Se2,及びAg(In,Ga)(S,Se)2等が挙げられる。
光電変換半導体層30の膜厚は特に制限されず、1.0〜3.0μmが好ましく、2.3〜2.8μmが特に好ましい。
バイレイヤー法の場合、多元蒸着室A30をその組成に応じて複数の蒸着室に分離された態様とすることが好ましい。光電変換半導体層30が、CIGS層である場合を例に説明すると、例えば、第1の蒸着室にて、下部電極20上には、まず、Cu(In,Ga)Se2、CuxSeの各化合物が互いに相分離された状態で混合されてなる混合物(以下において、Cu(In,Ga)Se2:CuxSeと表記する。)であって、Cu含有量の多い混合物を成膜し、その後、第2の蒸着室にてCu蒸発量を第1の蒸着室におけるCu蒸発量よりも抑制し、堆積するCuが微量になるようにして、第1の蒸着室において先に堆積されているCuxSeをCu(In,Ga)Se2に転化させるように、各蒸着源の温度を制御して成膜する。ここで、Cu含有量の多いとは、目的とするCIGS膜の化学量論比と比較してCuが多いものであることを意味する。
なお、かかる構成では、Seが抜けやすいため、多元蒸着室A30においてはSeは所望のCIGS層の化学量論比よりも過剰に供給されるように、Se蒸着源の温度を制御する。
光電変換半導体層30が成膜された積層基板Bは、搬送機構Rにより保護膜成膜室A40に搬送されるが、保護膜40を成膜する際に、成膜面の温度が高すぎると光電変換半導体層30と保護膜40との界面において光電変換半導体層に影響を及ぼす変化を生じやすい。従って、光電変換半導体層30までが成膜された積層基板Bは、保護膜成膜室A40にて保護膜40の成膜が開始される前までに、基板温度が350℃程度まで下がるように自然炉冷させる。従って、多元蒸着室A30と保護膜成膜室A40との間には冷却室を設けた構成とすることが好ましい。
光電変換半導体層30がCIGS層である場合は、自然炉冷時に、Se蒸着源によりSeを供給させながら放射冷却させることが好ましいため、冷却室を設ける際には、Se蒸着源を備えた冷却室とすることが好ましい。炉冷中にCIGS膜面にSeを供給することにより、CIGS膜からのSeの再蒸発を防止して、Se欠陥発生を抑制することができる。
<保護膜成膜 ―工程(B)―>
保護膜成膜室A40では、光電変換半導体層30の表面に、該表面の略全面を覆うように保護膜40を成膜する。保護膜40の厚みは、光電変換半導体層30の略全面を覆うことができる厚みであれば特に制限されないが、保護膜40を後工程において除去することを考慮すると、保護膜40の厚みは薄い方が好ましい。
保護膜成膜室A40では、光電変換半導体層30の表面に、該表面の略全面を覆うように保護膜40を成膜する。保護膜40の厚みは、光電変換半導体層30の略全面を覆うことができる厚みであれば特に制限されないが、保護膜40を後工程において除去することを考慮すると、保護膜40の厚みは薄い方が好ましい。
保護膜40の成膜方法としては特に制限されず、保護膜40の組成に応じて好適な方法を用いてよい。保護膜40としては、後工程のバッファ層50の成膜前に除去可能なものであれば特に制限されないが、液相で除去可能なものであること好ましい。特に、バッファ層50の成膜前に、バッファ層50の成膜面に形成された異相成分(例えば、光電変換層がCIGS層である場合はセレン化銅や硫化銅)や不純物等の除去を行うための表面処理を実施する態様では、該表面処理により同時に除去可能なものであることが好ましい。
本実施形態においても、上記光電変換層30の表面に異相成分や不純物の存在により光電変換効率が低下することを抑制するために、上記表面処理を実施する。表面処理では、光電変換半導体層30の異相成分を除去可能であり、且つ、基板10,下部電極層20,光電変換半導体層30の各層、及びこれらの積層構造に悪影響を与えない処理液を使用する。従って、保護膜40は、光電変換半導体層30の異相成分と同様の成分を主成分とするものである場合、又は、該異相成分を除去可能な処理液にて除去(溶解)可能な成分を主成分とするものであることが好ましい。
具体的には、光電変換半導体層30がCIGS層である場合は、CIGS層表面に形成される異相としては、セレン化銅や硫化銅が挙げられる。セレン化銅及び硫化銅を除去する処理液としては、KCN水溶液、アンモニア水、臭素水、多硫化アンモニウム溶液、多硫化ナトリウム溶液が知られており、中でもKCN水溶液は高い光電変換効率を実現しうる処理液であり、好ましい。従って、保護膜40は、セレン化銅、硫化銅、及び上記処理液により除去可能なものであることが好ましく、KCN水溶液で除去可能なものであることがより好ましい。保護膜40を、液相法によるバッファ層50の成膜の前処理により除去可能なものとすることにより、保護膜40の除去工程を新たに必要とすることなく、光電変換効率の良好なカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換素子3を製造することができる。
保護膜40がセレン化銅や硫化銅である場合は、CIGS層30と同様の蒸着源をそのまま利用することができるので、あらたに保護膜40成膜室を設けることなく、多元蒸着室30において蒸着条件を変化させるだけで、保護膜40を成膜することも可能であり、好ましい。一方、セレン化銅や硫化銅のように、CIGS層30に含まれる成分の保護膜40を成膜する場合には、硫化銅やセレン化銅が固相となる温度にて成膜することが好ましい。
図4は、セレン化銅の状態図(H. Rau et al., J. Solid State Chem. 1, 515(1970))を示したものである。図4に示されるLiquid phase 及びsolid/liquid region以外の条件であればセレン化銅が固相となる条件である。従って、523℃以下であれば、セレン化銅の組成によらず固相状態で成膜することができるため、好ましい。
また、硫化銅についても同様で、硫化銅の状態図(例えば、D.J. Chakrabati et al., Bulletin of Alloy Phase Diagrams Vol.4, No.3(1983))に示される、Liquid phase 及びsolid/liquid region以外の条件で成膜することが好ましい。
また、本出願人は、KCN水溶液が毒性の高い処理液であることを考慮し、アミノ基を有する化合物(以下、アミノ基含有化合物とする。)と過酸化水素とを含む処理液により、良好に上記表面処理を実施できることを見出した。かかる処理液としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ基含有化合物を含むものが挙げられる。これらのアミノ基含有化合物は、表面処理液中に1〜30質量%含まれることが好ましく、5〜25質量%含まれることがより好ましく、10〜20質量%含まれることが更に好ましい。また、過酸化水素は、表面処理液中に0.01〜10質量%含まれることが好ましく、好ましくは0.05〜8質量%含まれることがより好ましく、0.1〜5質量%含まれることが更に好ましい。
これらのアミン系表面処理液を前処理液として用いる場合は、これらのアミン系処理液にて容易に除去可能な保護膜40であることが好ましく、セレン化銅、硫化銅、インジウムセレン等を主成分とするものなどが挙げられる。
保護膜40が成膜されて得られた光電変換半導体層付き基板1は、基板排出室A1に搬送されてさらに放冷された後、成膜済基板収納トレイT2に収納される。
本実施形態では、以上のようにして、光電変換半導体層付き基板1を形成することができる。
本実施形態では、以上のようにして、光電変換半導体層付き基板1を形成することができる。
本実施形態の光電変換半導体層付き基板1は、光電変換半導体層の表面が保護膜40により覆われているので、大気中に取り出して放置しておいても、光電変換層表面の大気曝露によるダメージを受けることがない。
<バッファ層成膜 ―工程(C),(D)−>
次に、トレイT2に収納された光電変換半導体層付き基板1を大気中に取り出し(工程(C))、光電変換半導体層30上にバッファ層50を成膜する前に、前工程において成膜した保護膜40の除去及び、光電変換半導体層30の保護膜40成膜面の表面処理を行う。
次に、トレイT2に収納された光電変換半導体層付き基板1を大気中に取り出し(工程(C))、光電変換半導体層30上にバッファ層50を成膜する前に、前工程において成膜した保護膜40の除去及び、光電変換半導体層30の保護膜40成膜面の表面処理を行う。
既に述べたように、保護膜40の除去と、光電変換半導体層30の保護膜40成膜面の表面処理とは、同様の処理液により実施可能であることが好ましい。かかる処理液については既に工程(B)において説明したとおりである。
図1Bに示されるように、前処理ゾーンZ1において、前処理液L40の入った反応槽P中に、保護膜付き基板1を浸漬させて、保護膜40及び光電変換半導体層30表面の異相成分の除去を実施する。処理時間は、保護膜40の厚みに応じて適宜変更してよい。
次いで、保護膜40が除去され、異相除去の前処理が施された光電変換半導体層付き基板1を洗浄水Wの入った反応槽P中に浸漬させて洗浄し、速やかに、バッファ層成膜ゾーンZ2において、バッファ層50を液相法により成膜する。
本実施形態においてバッファ層50はCBD法により成膜する。バッファ層50としては、CdS、ZnS,Zn(S,O)及び/又はZn(S,O,OH)、SnS,Sn(S,O)及び/又はSn(S,O,OH)、InS,In(S,O)及び/又はIn(S,O,OH)等の、Cd,Zn,Sn,Inからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むことが好ましい。
バッファ層成膜ゾーンには、上記CBD法に用いる反応液L50の入った反応槽Pが設置されている。
CBD法において、上記バッファ層の構成物質の析出温度は、70℃以上であることが好ましい。反応温度が70℃未満では反応速度が遅くなり、薄膜が成長しない、あるいは薄膜成長しても実用的な反応速度で所望の厚み(例えば50nm以上)を得るのが難しくなる。反応液L50が水系の液体であるため、90℃以下であることが好ましい。
CBD法において、上記バッファ層の構成物質の析出温度は、70℃以上であることが好ましい。反応温度が70℃未満では反応速度が遅くなり、薄膜が成長しない、あるいは薄膜成長しても実用的な反応速度で所望の厚み(例えば50nm以上)を得るのが難しくなる。反応液L50が水系の液体であるため、90℃以下であることが好ましい。
反応液L50は、バッファ層50がCdSを主成分とするものである場合は、CdSO4水溶液,チオ尿素水溶液,アンモニア水溶液を所定量混合した反応液が挙げられる。かかる反応液L50としては、例えば、CdSO40.0001M,チオ尿素水溶液0.10M,アンモニア水溶液2.0M含むものが挙げられ、この場合、反応温度80℃であれば、反応時間は15〜20分程度とすればよい。
CdSは、バッファ層として好適な材料であるが、Cdは毒性が強く環境負荷の点では好ましくない。従ってバッファ層50としては、Zn(S,O)及び/又はZn(S,O,OH)を主成分とするZn化合物層がより好ましい。
バッファ層50がZn(S,O)及び/又はZn(S,O,OH)を主成分とするZn化合物層である場合は、CBD法において、反応温度を70〜95℃として成膜することが好ましく、その後、150℃〜220℃以下の温度にて、5〜90分間アニール処理を施すことがより好ましい。CBD法によるZn(S,O)及び/又はZn(S,O,OH)を主成分とするZn化合物層の製造方法については、本発明者らが出願した特願2009−112203を参照されたい。特願2009−112203に示される製造方法により製造されたZn系バッファ層は、下地を良好に被覆し、実用的な反応速度で成膜することができる。
<透光性導電層成膜>
次いで、バッファ層50まで成膜された積層基板を水洗して乾燥させた後、スクライブ処理ゾーンにおいてスクライブ処理を施した後、透光性導電層成膜ゾーンZ3にて、透光性導電層60を成膜する。
次いで、バッファ層50まで成膜された積層基板を水洗して乾燥させた後、スクライブ処理ゾーンにおいてスクライブ処理を施した後、透光性導電層成膜ゾーンZ3にて、透光性導電層60を成膜する。
透光性導電層(透明電極)60は、光を取り込むと共に、下部電極20と対になって、光電変換層30で生成された正孔・電子対が流れる電極として機能する層である。透光性導電層60の組成としては特に制限されず、ZnO:Al等のn−ZnO等が好ましい。透光性導電層60の膜厚は特に制限されず、50nm〜2μmが好ましい。透光性導電層60の成膜方法としては特に制限されないが、スパッタ法等の気相法でもよいし液相法でもよい。
<上部電極形成工程>
次に、透光性導電層60が成膜された積層体2に、上部電極70をパターン形成して光電変換素子3を得る。上部電極70の主成分としては特に制限されず、Al等が挙げられる。上部電極70の膜厚は特に制限されず、0.1〜3μmが好ましい。
次に、透光性導電層60が成膜された積層体2に、上部電極70をパターン形成して光電変換素子3を得る。上部電極70の主成分としては特に制限されず、Al等が挙げられる。上部電極70の膜厚は特に制限されず、0.1〜3μmが好ましい。
以上のようにして、光電変換素子3を製造することができる。
光電変換素子3は、太陽電池等に好ましく使用することができる。光電変換素子1に対して必要に応じて、カバーガラス、保護フィルム等を取り付けて、太陽電池とすることができる。
光電変換素子3は、太陽電池等に好ましく使用することができる。光電変換素子1に対して必要に応じて、カバーガラス、保護フィルム等を取り付けて、太陽電池とすることができる。
上記したように、本実施形態の光電変換素子3の製造方法は、光電変換半導体層30の成膜後、大気中に曝さずに光電変換半導体層30の表面30sに保護膜40を成膜する。従って、本実施形態によれば、バッファ層50を液相法により成膜する際に、光電変換層表面30sを大気中に曝すことによる光電変換層表面30sのダメージを少なくし、光電変換効率の良好なカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換素子3を製造することができる。
また、本実施形態の光電変換素子3の製造方法の途中で得られる、大気中に取り出される光電変換半導体層付き基板1は、光電変換半導体層30の表面30sが保護膜40により覆われているので、大気中に取り出して放置しておいても、光電変換層表面30sが大気曝露によりダメージを受けることがない。更に、保護膜40を、液相法によるバッファ層50の成膜の前処理により除去可能なものとすることにより、保護膜40の除去工程を新たに必要とすることなく、光電変換効率の良好なカルコパイライト構造の化合物半導体系光電変換素子3を製造することができる。
本発明の光電変換素子の製造方法は、基板10として可撓性を有する基板を用いる場合は、大面積の基板上に連続成膜可能なロール・トゥ・ロール(Roll-to-Roll)方式を採用することが可能である。
ロール・トゥ・ロール方式とは、ロール状に巻かれた可撓性基板を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間のプロセスを実施する方式であり、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、簡易に量産が可能であり好ましい。ロール・トゥ・ロール方式では、基材は各工程間を間欠的、或いは連続的に流れるため各工程を互いに連結でき、基材搬送に伴う作業の削減や装置の小型化が可能となる。
図3Aは、上記実施形態において説明した図1Aに対応する部分の製造をロール・トゥ・ロール方式にて実施した場合の一例を示した断面フロー図、図3Bは、上記実施形態において説明した図1Bに対応する部分において、透光性導電層60、までの成膜をロール・トゥ・ロール方式にて実施した場合の一例を示した断面フロー図である。
図3Aに示される態様は、可撓性長尺基板10に下部電極層20が既に成膜された積層長尺基板Bが、巻き出しロール101に設置されており、巻き出しロール101から巻き出された積層基板Bは、ガイドロール200により導かれて成膜ゾーンに搬送され、積層基板Bの表面に、光電変換半導体層30、保護膜40が連続成膜された後、巻き取りロール102により巻き取られる構成である。
図3Aにおける、各真空チャンバーは図1Aと同様、基板導入室A0、多元蒸着室A30、保護膜成膜室A40、及び基板排出室A1であり、基板の導入、搬送、排出の方法が異なる以外、枚葉式と同様にして光電変換半導体層付き基板1を製造することができる。複数のガイドロール200は、長尺基板10の搬送方向の調整が必要な箇所に適宜配置されている。また、枚葉式と同様、多元蒸着室A30、及び保護膜成膜室A40の下方にはそれぞれの気相成膜に用いる原料源S20,S30,S40が設置されている。
巻き取りロール102には、表面に保護膜40が成膜された長尺の光電変換半導体層付き基板1が巻き取られている。次に、この巻き取りロール102で巻き取られた光電変換半導体層付き基板1を、図3Bの巻き出しロールとして設置し、液相法によるバッファ層50の成膜を実施した後、巻き取りロール103により巻き取る。
図3Bにおいて、上流側から、前処理ゾーンZ1、バッファ層成膜ゾーンZ2が備えられており、各ゾーンの反応槽Pには、それぞれ、バッファ層前処理液L40、バッファ層成膜用反応液L50が備えられており、全ての反応槽に、光電変換半導体層付き基板1の処理領域を反応液中に浸漬させるためのドラムDが配置されている。各反応液は、それぞれの処理温度、析出温度に調温されている(調温手段は図示略)。また、各工程後に基板の洗浄および乾燥を必要に応じて行うために、各反応槽Pの下流側には、洗浄シャワー111、ドライヤー112が適宜備えられている。
まず、光電変換半導体層付き基板1は、巻き出しロール102から繰り出されてガイドロール200により前処理ゾーンZ1にて、上記したバッファ層の前処理液L40(例えば、KCN水溶液)が備えられた反応槽に浸漬されて、保護膜40及び光電変換半導体層30の表面の異相成分が除去された後、ガイドロール200により導かれて洗浄シャワー111が配置された洗浄ゾーンに搬送され、表面の処理液L40が水洗される。
水洗後、保護膜40が除去された光電変換半導体層付き基板1は、バッファ層成膜ゾーンZ2に搬送され、バッファ層成膜用反応液L50中に供給されて、CBD法によりバッファ層50が成膜される。バッファ層40が成膜された積層基板は、洗浄シャワー111によりバッファ層40の表面を水洗された後、ドライヤー112により乾燥され、ガイドロール200により導かれて巻き取りロール103に巻き取られる。
次に、枚様式と同様に、巻き取りロール103に巻き取られたバッファ層付き基板に、スクライブ処理を施し、次いで、スパッタリング法等によりAlドープ導電性酸化亜鉛薄膜をする。最後に上部電極としてAl電極を蒸着法により形成して光電変換素子(単セルの太陽電池)を得る。
図3A及び図3Bに示したロール・トゥ・ロール方式の製造方法は、基板の態様及び搬送方法が異なる以外は、上記枚葉式と同様である。従って、上記枚葉式の場合と同様の効果を奏する。
「設計変更」
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
上記実施形態では、光電変換半導体層、保護膜までを連続した真空チャンバーにて成膜する態様について説明したが、光電変換半導体層が大気曝露されずに保護膜が形成されれば、その他の態様は限定されない。
また、上記ロール・トゥ・ロール方式においては、保護膜の除去工程から透光性導電膜の成膜までをインラインにて実施する態様について説明したが、保護膜の除去とバッファ層の成膜までがインラインにて実施されれば、その他の態様は限定されない。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
ソーダライムガラス(SLG)基板上(厚さ1mm)に、スパッタ法によりMo下部電極を0.8μm厚で成膜した。次に、MBE装置(エピクエスト社製)にて、基板温度を520℃とし、多元蒸着法により下部電極上に膜厚2.0μmのCu(In0.5Ga0.5)Se2層を成膜し、引き続き同一装置内にて、蒸着条件を変更してセレン化銅(CuxSe)または硫化銅(CuxS)を成膜して、CIGS層上に保護膜を形成した。
(実施例1)
ソーダライムガラス(SLG)基板上(厚さ1mm)に、スパッタ法によりMo下部電極を0.8μm厚で成膜した。次に、MBE装置(エピクエスト社製)にて、基板温度を520℃とし、多元蒸着法により下部電極上に膜厚2.0μmのCu(In0.5Ga0.5)Se2層を成膜し、引き続き同一装置内にて、蒸着条件を変更してセレン化銅(CuxSe)または硫化銅(CuxS)を成膜して、CIGS層上に保護膜を形成した。
セレン化銅の蒸着条件は、基板温度450℃、Cu蒸着温度1250℃、Se蒸着温度185℃とした。硫化銅の蒸着条件は、基板温度450℃、Cu蒸着温度1250℃、S蒸着温度150℃とした。
次いで、KCN水溶液(10質量%)中に上記保護膜付き基板を10分間浸漬させた後、純水を用いて2度洗浄を行って保護膜を除去し、速やかにバッファ層の成膜をCBD法により実施した。
バッファ層の成膜は、予め下記組成の反応液1を85℃に調温しておき、保護膜が除去されてCIGS層が露出された基板をできるだけ大気に曝されないように速やかに、反応液1中に浸漬させ、15分間CdSバッファ層を析出させた。析出後取り出し、水洗シャワーにて表面を洗浄したのちドライヤーにて乾燥させ、膜厚65nmのCdSバッファ層を形成した。膜厚は、作製した試料の厚み方向の断面をSEM観察することにより確認した。
反応液1:CdSO4(0.0001M)、チオ尿素(0.10M)、アンモニア(2.0M)。ここで、単位Mは体積モル濃度(mol/L)を示す。
反応液1:CdSO4(0.0001M)、チオ尿素(0.10M)、アンモニア(2.0M)。ここで、単位Mは体積モル濃度(mol/L)を示す。
バッファ層上にさらにn−ZnO層(透光性電極層:膜厚550nm)を順次積層し、最後にAlからなる取り出し電極(上部電極:膜厚1μm)を形成し、単セルの太陽電池を作製した。作製した太陽電池にソーラーシミュレーターでAM1.5相当の光を照射し、得られた最大電力と有効面積から出力密度を算出し、試料面での光強度1kW/m2で除した値を、光電変換効率とした。得られた太陽電池の変換効率を測定したところ、16%であった。
各層の成膜条件を以下に示す。
[透光性導電層の成膜及び取り出し電極の形成]
スパッタリング法により膜厚300nmのAlドープ導電性酸化亜鉛薄膜をした。最後に上部電極としてAl電極を蒸着法により形成して光電変換素子(単セルの太陽電池)を作製した。
スパッタリング法により膜厚300nmのAlドープ導電性酸化亜鉛薄膜をした。最後に上部電極としてAl電極を蒸着法により形成して光電変換素子(単セルの太陽電池)を作製した。
(比較例1)
実施例1と同様にして、SLG基板上に、Mo下部電極及びCIGS層を成膜した。CIGS成膜後、基板を1ヶ月間大気中に放置した後、実施例1と同様にして太陽電池セルを作製して、同一条件で変換効率を測定した。その結果、実施例1に比して変換効率が1%低いことが確認された。なお、比較例1では、保護膜を形成していないので保護膜の除去工程は実施しなかったが、同様のKCN水溶液を用いてCIGS層表面の異相を除去する前処理は実施した。
実施例1と同様にして、SLG基板上に、Mo下部電極及びCIGS層を成膜した。CIGS成膜後、基板を1ヶ月間大気中に放置した後、実施例1と同様にして太陽電池セルを作製して、同一条件で変換効率を測定した。その結果、実施例1に比して変換効率が1%低いことが確認された。なお、比較例1では、保護膜を形成していないので保護膜の除去工程は実施しなかったが、同様のKCN水溶液を用いてCIGS層表面の異相を除去する前処理は実施した。
(評価)
上記したように、保護膜の形成により、光電変換効率の低下が抑制されることが確認された。また、図4(a),(b),(c)に、保護膜形成前、保護膜形成後、保護膜除去後の光電変換半導体層付き基板の断面SEM像を示す。図(a)と(c)とにより、CIGS層表面のセレン化銅の層(保護膜)がKCN処理により良好に除去されていることが確認された。
上記したように、保護膜の形成により、光電変換効率の低下が抑制されることが確認された。また、図4(a),(b),(c)に、保護膜形成前、保護膜形成後、保護膜除去後の光電変換半導体層付き基板の断面SEM像を示す。図(a)と(c)とにより、CIGS層表面のセレン化銅の層(保護膜)がKCN処理により良好に除去されていることが確認された。
更に、図4(b)と(c)の表面のXRD測定を実施して、セレン化銅層の有無を確認した。図5は、入射角0.35度にて測定したXRDスペクトルである。図示されるように、セレン化銅保護膜が成膜されている(b)では、セレン化銅由来のピークがはっきりと確認されるのに対し、保護膜が除去された(c)では、CIGS由来のピークのみが検出された。
(実施例2)
基板として厚さ0.3mmの陽極酸化アルミナ基板を用いた以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。陽極酸化アルミナ基板は、JIS1N99材(日本軽金属社製、純度99.99質量%アルミニウム板)を用い、液温55℃、0.1Mシュウ酸水溶液を電解浴中にて電圧40Vの条件で5分間陽極酸化処理を実施した。陽極酸化アルミナ被膜は、5μmであった。
基板として厚さ0.3mmの陽極酸化アルミナ基板を用いた以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。陽極酸化アルミナ基板は、JIS1N99材(日本軽金属社製、純度99.99質量%アルミニウム板)を用い、液温55℃、0.1Mシュウ酸水溶液を電解浴中にて電圧40Vの条件で5分間陽極酸化処理を実施した。陽極酸化アルミナ被膜は、5μmであった。
(実施例3)
基板として、厚さ0.3mmのポリイミド基板を用い、CIGS層の成膜温度を400℃とした以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
基板として、厚さ0.3mmのポリイミド基板を用い、CIGS層の成膜温度を400℃とした以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
本発明の光電変換素子の製造方法は、太陽電池、及び赤外センサ等に使用される光電変換素子等の用途に好ましく適用できる。
1 光電変換半導体層付き基板
2 積層基板
3 光電変換素子(太陽電池)
10 基板(陽極酸化基板)
20 下部電極層
30 光電変換半導体層
40 保護膜
50 バッファ層
60 透光性導電層
70 上部電極(取り出し電極)
2 積層基板
3 光電変換素子(太陽電池)
10 基板(陽極酸化基板)
20 下部電極層
30 光電変換半導体層
40 保護膜
50 バッファ層
60 透光性導電層
70 上部電極(取り出し電極)
Claims (12)
- 基板上に下部電極と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層と、バッファ層と、透光性導電層と、上部電極との積層構造を有する光電変換素子の製造方法において、
前記光電変換半導体層を多元蒸着法によって成膜する工程(A)と、
該光電変換半導体層のバッファ層側の表面が大気に曝される前に、該表面の略全面を覆うように保護膜を成膜する工程(B)と、
該工程(B)実施後に得られる保護膜付き基板を大気中に取り出す工程(C)と、
前記光電変換半導体層上に前記バッファ層を液相法により成膜する工程(D)とを順次有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 前記工程(D)において、前記バッファ層を成膜する前に前記保護膜を除去することを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記工程(D)において、前記バッファ層の成膜前に、該バッファ層の成膜面に表面処理を施す前処理工程を有し、該前処理工程において前記保護膜を除去することを特徴とする請求項2に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記前処理において、前記表面処理と前記保護膜の除去を同一の処理液にて実施することを特徴とする請求項3に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記処理液として、KCN水溶液(不可避不純物を含んでもよい)を用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記保護膜の主成分がセレン化銅または硫化銅であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記保護膜が固相状態となる成膜温度にて、前記保護膜を前記表面上に成膜することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記液相法が化学浴析出法であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記光電変換半導体層の主成分が、
Cu及びAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、
Al,Ga及びInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、
S,Se,及びTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。 - 基板上に下部電極と、光電変換半導体層と、バッファ層と、透光性導電層と、上部電極との積層構造を有する光電変換素子の製造に用いる光電変換半導体層付き基板であって、
基板上に、下部電極と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体を主成分とする光電変換半導体層と、
該光電変換半導体層の前記バッファ層を成膜する側の表面の略全面に形成された保護膜とを備え、
該保護膜が、前記バッファ層を化学浴析出法により成膜する前に該バッファ層を成膜する面の表面処理をする処理液により除去可能なものであることを特徴とする光電変換半導体層付き基板。 - 前記保護膜が、KCN水溶液により除去可能なものであることを特徴とする請求項10に記載の光電変換半導体層付き基板。
- 前記保護膜の主成分が、セレン化銅であることを特徴とする請求項10又は11に記載の光電変換半導体層付き基板。
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JP2015056512A (ja) * | 2013-09-12 | 2015-03-23 | セイコーエプソン株式会社 | 光電変換装置及びその製造方法並びに電子機器 |
JP2015220371A (ja) * | 2014-05-19 | 2015-12-07 | 国立大学法人 筑波大学 | 半導体装置およびその製造方法 |
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