JP2012008263A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】用紙の搬送方向に直交する方向における定着温度の温度ムラを低減することができる定着装置を提供すること。
【解決手段】加熱回転体9aと、加圧回転体9bと、加熱回転体9aの外面に沿って配置される誘導コイル71と、誘導コイル71を構成する線材を囲むように周回する磁路を形成する磁性体コア部72であって、誘導コイル71を挟んで加熱回転体9aの外面に対向する第1コア74と、第1コア74と並んで誘導コイル71の内周縁711Aの近傍に配置される第2コア73と、第1コア74と並んで誘導コイル71の内周縁711Aの近傍に配置される第3コア75と、を備え、第2コア73は、コア回転軸J4方向に並んで配置される複数の分割コア736であって、コア回転軸J4を中心に回転されることで複数の分割コア736の外面それぞれと加熱回転体9aの外面との距離を変更可能に配置される複数の分割コア736を有する。
【選択図】図5
【解決手段】加熱回転体9aと、加圧回転体9bと、加熱回転体9aの外面に沿って配置される誘導コイル71と、誘導コイル71を構成する線材を囲むように周回する磁路を形成する磁性体コア部72であって、誘導コイル71を挟んで加熱回転体9aの外面に対向する第1コア74と、第1コア74と並んで誘導コイル71の内周縁711Aの近傍に配置される第2コア73と、第1コア74と並んで誘導コイル71の内周縁711Aの近傍に配置される第3コア75と、を備え、第2コア73は、コア回転軸J4方向に並んで配置される複数の分割コア736であって、コア回転軸J4を中心に回転されることで複数の分割コア736の外面それぞれと加熱回転体9aの外面との距離を変更可能に配置される複数の分割コア736を有する。
【選択図】図5
Description
本発明は、定着装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
従来より、被転写材としての用紙に画像を形成(印刷)するための装置として、コピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機などの画像形成装置が知られている。画像形成装置においては、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電工程、帯電した感光体ドラムにレーザ光を照射して感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像の露光部にトナーを付着させて現像を行う現像工程、感光体ドラムの表面に付着したトナーから形成されるトナー画像を用紙へ転写する転写工程、及び用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着工程の各工程が順次行われることによって、用紙に画像が形成される。
上記の各工程のうち、定着工程では、用紙に転写されたトナー画像を構成するトナーを用紙に定着させるために、トナーに熱を与えてトナーを溶融させる必要がある。定着工程を行う定着装置として、従来から、加熱回転体と、加熱回転体との間でトナー画像が転写された用紙を挟持して定着ニップを形成する加圧回転体と、加熱回転体を加熱するハロゲンランプ等のヒータと、を備える定着装置が使用されている。
ところで、近年、定着装置における加熱回転体を加熱する方式として、加熱回転体をハロゲンランプにより加熱する方式のほかに、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH;induction heating)により加熱する方式が使用される場合がある。電磁誘導加熱(IH)方式においては、定着装置は、電磁誘導加熱により発熱される加熱回転体と、磁束を発生させる誘導コイルと、誘導コイルにより発生される磁束の経路である磁路を形成する磁性体コア(磁性体コア部)と、を備える。電磁誘導加熱(IH)方式を用いた定着装置によれば、ハロゲンランプを使用した加熱方式と比較して、急速な加熱が可能であると共に加熱の効率が高いという利点がある。
このような定着装置においては、加熱回転体の発熱量は、加熱回転体を通過する磁束の量に比例するといえる。また、加熱回転体を通過する磁束の量は、加熱回転体に対する誘導コイルや磁性体コアの位置関係によって異なる。そのため、加熱回転体と誘導コイルや磁性体コアとの距離が一定でない場合には、加熱回転体は、所定の発熱量を発生させることができない可能性があった。
電磁誘導加熱(IH)により加熱された定着装置においては、長時間使用されることによる定着装置における加熱により、磁性体コアが膨張したり変形したり、又は、磁性体コアを固定する接着剤の強度の低下等が生じて加熱回転体に対する磁性体コアの位置が変化する場合がある。特に、用紙の搬送方向に直交する方向(用紙幅方向)における位置ごとに加熱回転体に対する磁性体コアの位置が異なる場合には、用紙幅方向において加熱回転体の発熱量が異なることとなる。このような定着装置においては、用紙に転写されたトナー画像を構成するトナーを用紙に定着させる際において、用紙幅方向における定着温度にムラが生じる場合があった。
このような問題に対し、用紙のサイズに応じて用紙幅方向において定着温度を均一化することができる定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載される定着装置においては、小サイズの用紙を定着する際における通紙領域の外側における加熱回転体の過剰な温度上昇を防ぐために、小サイズの用紙の通紙領域よりも外側に配置される磁性体コアを、形状記憶合金のバネを所定温度以上の場合に変形させることにより、加熱回転体から離間させるように構成されている。
しかし、特許文献1に記載の定着装置においては、小サイズの用紙における通紙領域の外側において、加熱回転体に対する磁性体コアの位置を2段階に変更できるように構成されている。そのため、用紙幅方向における全域の温度ムラには対応していない。また、形状記憶合金のバネを使用しているため、バネの劣化やバネの温度特性の変化などにより、加熱回転体の発熱温度にバラツキが生じる可能性がある。
本発明は、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱により発熱される加熱回転体と、磁束を発生させる誘導コイルと、磁路を形成する磁性体コア部と、を有する定着装置において、用紙の搬送方向に直交する方向における定着温度の温度ムラを低減することができる定着装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱により発熱される環状の加熱回転体であって、該加熱回転体の周方向である第1周方向に回転可能な加熱回転体と、前記加熱回転体に対向して配置される環状の加圧回転体であって、該加圧回転体の周方向である第2周方向に回転可能であると共に、前記加熱回転体と定着ニップを形成する加圧回転体と、前記加熱回転体の外面から所定距離離間すると共に前記外面に沿って配置され、線材を巻き回して形成され、前記加熱回転体を発熱させるための磁束を発生させる誘導コイルと、前記誘導コイルにおける内周縁の内側と外周縁の外側とを通り該誘導コイルを構成する前記線材を囲むように周回する磁路を形成する磁性体コア部であって、前記誘導コイルにおける前記線材の部分を挟んで前記加熱回転体の外面に対向する1又は複数の第1コアと、前記磁路の周回方向において前記1又は複数の第1コアと並んで前記誘導コイルの内周縁の近傍に配置され、前記誘導コイルにおける前記線材の部分を挟まずに前記加熱回転体の外面から所定距離離間して前記加熱回転体の外面に対向する面を有する第2コアと、前記磁路の周回方向において前記1又は複数の第1コアと並んで前記誘導コイルの外周縁の近傍に配置され、前記誘導コイルにおける前記線材の部分を挟まずに前記加熱回転体の外面から所定距離離間して前記加熱回転体の外面に対向する面を有する第3コアであって、前記第1周方向に直交する方向に長い第3コアと、を有する磁性体コア部と、を備え、前記第2コアは、前記第1周方向に直交する方向に延びるように形成されるコア回転軸を中心に回転可能であると共に、前記コア回転軸方向に並んで配置される複数の分割コアであって、前記コア回転軸を中心に回転されることで該複数の分割コアの外面それぞれと前記加熱回転体の外面との距離を変更可能に配置される複数の分割コアを有する定着装置に関する。
また、前記分割コアは、前記コア回転軸に直交する方向における断面形状が略楕円形状であることが好ましい。
また、前記第1周方向に直交する方向に並んで配置され、前記加熱回転体の前記第1周方向に直交する方向における複数箇所の温度を検知する複数の温度検知部材と、前記複数の分割コアそれぞれを前記コア回転軸を中心に回転させる回転駆動部と、前記複数の温度検知部材により検知された温度に基づいて、前記複数の分割コアの外面それぞれと前記加熱回転体の外面との距離を変更させるよう前記回転駆動部を制御する駆動制御部と、を備えることが好ましい。
また、前記駆動制御部は、前記複数の温度検知部材のうちの所定の前記温度検知部材により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第1温度以上高い場合には、前記複数の分割コアのうちの前記所定の温度検知部材に対応する所定の前記分割コアの外面と前記加熱回転体の外面との距離が長くなるように前記所定の分割コアを回転させるよう前記回転駆動部を制御し、前記複数の温度検知部材のうちの所定の前記温度検知部材により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第2温度以上低い場合には、前記複数の分割コアのうちの前記所定の温度検知部材に対応する所定の前記分割コアの外面と前記加熱回転体の外面との距離が短くなるように前記所定の分割コアを回転させるよう前記回転駆動部を制御することが好ましい。
また、前記1又は複数の第1コアそれぞれは、前記磁路の周回方向において前記1又は複数の第1コアそれぞれと並んで配置される前記1又は複数の分割コアそれぞれに向かう方向、又は、前記磁路の周回方向において前記1又は複数の第1コアそれぞれと並んで配置される前記1又は複数の分割コアそれぞれから離れる方向に移動可能に構成され、前記1又は複数の分割コアの外面それぞれと前記1又は複数の第1コアそれぞれとが当接された状態を維持又は一定の距離を維持した状態で、前記1又は複数の第1コアそれぞれを移動させる移動部を備えることが好ましい。
また、前記移動部は、前記1又は複数の分割コアの外面それぞれと前記1又は複数の第1コアそれぞれとが当接した状態において、前記1又は複数の分割コアそれぞれに当接された状態を維持するように前記1又は複数の第1コアそれぞれを前記1又は複数の分割コアそれぞれに向かう方向に向けて付勢する1又は複数の付勢部材を有することが好ましい。
また、前記加熱回転体は、前記第1周方向に直交する方向に延びるように形成される第1回転軸を中心に回転可能な定着ローラと、前記定着ローラに対向して配置され、前記第1周方向に直交する方向に延びるように形成される第2回転軸を中心に回転可能な加熱ローラと、前記第1周方向に回転可能な環状の加熱回転ベルトであって、前記定着ローラと前記加熱ローラとに掛け渡される加熱回転ベルトと、を有して構成され、前記加圧回転体は、前記定着ローラに対向して配置され、前記第1周方向に直交する方向に延びるように形成される第3回転軸を中心に回転可能であると共に、前記定着ローラとにより前記加熱回転ベルトを挟み込んで定着ニップを形成する加圧ローラにより構成されることが好ましい。
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される1又は複数の像担持体と、前記1又は複数の像担持体に形成された静電潜像をトナー画像として現像する現像器と、前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的にシート状の被転写材に転写する転写部と、前記定着装置と、を備える画像形成装置に関する。
本発明によれば、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱により発熱される加熱回転体と、磁束を発生させる誘導コイルと、磁路を形成する磁性体コア部と、を有する定着装置において、用紙の搬送方向に直交する方向における定着温度の温度ムラを低減することができる定着装置を提供することができる。
また、本発明によれば、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、前記定着装置を備える画像形成装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態における画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための図である。
図1により、第1実施形態における画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための図である。
図1に示すように、第1実施形態における画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写部としての転写ローラ8と、定着装置9とを備える。
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、排紙部50とを備える。
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザスキャナユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラ8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザスキャナユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラ8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
レーザスキャナユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
レーザスキャナユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
現像器16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像を単色(通常はブラック)のトナーを用いて現像して、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラ17、トナー攪拌用の攪拌ローラ18等を有して構成される。
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。トナー供給部6と現像器16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラ8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。転写ローラ8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能に構成される。
感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が用紙Tに転写される。
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。除電器12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
定着装置9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着装置9は、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱により発熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
定着装置9の詳細については後述する。
定着装置9の詳細については後述する。
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの右側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの右側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
装置本体Mの右側(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍の装置本体Mに回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラ対53により用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着装置9までの第2搬送路L2と、定着装置9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻し搬送路Lbとを備える。
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻し搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部で、第1ローラ対54a及び第2ローラ対54bを有する。第1ローラ対54aの一方のローラと第2ローラ対54bの一方のローラとは兼用される。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻し搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部で、第1ローラ対54a及び第2ローラ対54bを有する。第1ローラ対54aの一方のローラと第2ローラ対54bの一方のローラとは兼用される。
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成と用紙Tの搬送のタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置される。センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラ対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2ローラ対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、転写ニップNにおいて未印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラ対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2ローラ対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、転写ニップNにおいて未印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側(図1において右側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを第3ローラ対53により装置本体Mの外部に排紙する。
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
次に、第1実施形態のプリンタ1における特徴部分である定着装置9に係る構成について詳細に説明する。図2は、第1実施形態のプリンタ1における定着装置9の各構成要素を説明するための断面図である。図3は、図2に示す定着装置9を用紙Tの搬送方向D1から視た図である。図4は、第1実施形態におけるセンターコア回転部155の構成を説明する図である。図5は、第1実施形態におけるセンターコア回転部155に関連する構成を説明する図である。
図2に示すように、定着装置9は、加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接(当接)される加圧回転体9bと、加熱ユニット70と、複数の温度検知部材としての複数の温度センサ95と、を備える。
加熱回転体9aは、環状に形成される。環状の加熱回転体9aには、円筒状の加熱回転体9aが含まれる。加熱回転体9aは、その周方向である第1周方向R1に回転可能に構成される。詳細については後述するが、加熱回転体9aは、後述する加熱ユニット70を用いることで、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH;induction heating)により発熱される。
加熱回転体9aは、加熱ローラ91と、加熱ローラ91から所定距離だけ離間(垂直方向下方側に離間)して配置される定着ローラ92と、加熱ローラ91と定着ローラ92とに掛け渡された加熱回転ベルト93と、を備える。
加熱ローラ91について説明する。図2に示すように、加熱ローラ91は、第1周方向R1に直交する方向D2に延びるように形成される第2回転軸J2を中心に、矢印の方向に回転可能に構成される。加熱ローラ91は、第2回転軸J2方向に延びるように形成される。第1周方向R1に直交する方向D2は、第1周方向R1に直交する方向であると共に、用紙Tの搬送方向D1と直交する方向でもある。本実施形態においては、第1周方向R1に直交する方向D2を「用紙幅方向D2」ともいう。
加熱ローラ91は、加熱ローラ本体911と、第2回転軸J2と同軸の不図示の軸部材と、を有する。加熱ローラ本体911は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される離型層と、を有する。
加熱ローラ本体911の金属部材は、電磁誘導加熱(IH)により発熱される構成とすることができる。また、加熱ローラ本体911の金属部材は、電磁誘導加熱により発熱されない構成とすることもできる。
加熱ローラ本体911の金属部材は、電磁誘導加熱(IH)により発熱される構成とすることができる。また、加熱ローラ本体911の金属部材は、電磁誘導加熱により発熱されない構成とすることもできる。
加熱ローラ本体911の円筒状の金属部材は、電磁誘導加熱により発熱される構成とする場合には、鉄等の強磁性材料により構成された金属管を用いることができる。また、加熱ローラ本体911の円筒状の金属部材は、電磁誘導加熱により発熱されない構成とする場合には、アルミニウム等の非磁性体により構成された金属管を用いることができる。
本実施形態においては、後述する加熱回転ベルト93の基材を強磁性材料で構成することにより、加熱回転体9aを電磁誘導加熱により発熱される構成としている。そして、加熱ローラ本体911は、電磁誘導加熱により発熱されない構成としている。なお、加熱ローラ91には、電磁誘導加熱により発熱された加熱回転ベルト93(後述)から熱が伝達され得る。
本実施形態においては、例えば、加熱ローラ本体911は、直径が30mm程度で厚さが0.3mm程度のアルミニウム(非磁性体)の金属管の外周面に、厚さ20μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂からなる離型層を設けることで形成している。
加熱ローラ91の軸部材(不図示)は、加熱ローラ本体911の両端部から第2回転軸J2方向の外側それぞれに突出して形成されている。加熱ローラ91の軸部材(不図示)は、プリンタ1における装置本体Mのケースやその他の部材により回転可能に支持される。これにより、加熱ローラ91は、第2回転軸J2を中心に回転可能となっている。
定着ローラ92について説明する。図2に示すように、定着ローラ92は、加熱ローラ91に対向して配置される。定着ローラ92は、加熱ローラ91における垂直方向下方側に加熱ローラ91から所定距離だけ離間して配置される。定着ローラ92は、用紙幅方向D2に延びるように形成される第1回転軸J1を中心に、矢印の方向に回転可能に構成される。定着ローラ92は、第1回転軸J1方向に延びるように形成される。
定着ローラ92は、定着ローラ本体921と、第1回転軸J1と同軸の不図示の軸部材と、を有する。定着ローラ本体921は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される弾性層と、を有する。なお、定着ローラ92には、電磁誘導加熱により発熱された加熱回転ベルト93(後述)から熱が伝達され得る。
本実施形態においては、例えば、定着ローラ本体921は、直径が27mm程度で厚さが2mm程度のアルミニウムの金属管の外周面に、厚さ9mm程度のシリコンスポンジゴム等からなる弾性層を設けることで構成される。
定着ローラ92の軸部材(不図示)は、定着ローラ本体921の両端部から第1回転軸J1方向の外側それぞれに突出して形成されている。定着ローラ92の軸部材(不図示)は、プリンタ1における装置本体Mのケースやその他の部材により回転可能に支持される。これにより、定着ローラ92は、第1回転軸J1を中心に回転可能となっている。
加熱回転ベルト93について説明する。図2に示すように、加熱回転ベルト93は、環状(無端ベルト状)に形成される。加熱回転ベルト93は、第1周方向R1に回転可能に構成される。加熱回転ベルト93は、加熱ローラ91と定着ローラ92とに掛け渡される。加熱回転ベルト93の内周面には、加熱ローラ91の外周面と、定着ローラ92の外周面とが当接する。加熱回転ベルト93は、耐熱性を有する。
本実施形態においては、加熱回転ベルト93は、基材がニッケル等の強磁性材料により形成される。加熱回転ベルト93は、例えば、厚さが35μm程度のニッケル(強磁性材料)からなる金属ベルトの外周面に、厚さが0.3mm程度のシリコンゴムの弾性層を設け、更に、この弾性層の外周面に、肉厚が30μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂製の耐熱性フィルムからなる離型層を設けることで構成される。
加熱回転ベルト93は、後述する加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、その基材が強磁性材料により構成されることで、加熱ユニット70の誘導コイル71により発生される磁束の磁路を形成する。これは、強磁性材料で形成される加熱回転ベルト93の基材の透磁率が、周辺の空気部分やアルミニウムで構成される加熱ローラ91の透磁率よりも高いためである。そして、誘導コイル71により発生される磁束は、磁路を形成する加熱回転ベルト93を通過する。
加熱回転ベルト93には、後述する誘導コイル71により発生された加熱回転ベルト93を通過する磁束により、電磁誘導によって渦電流(誘導電流)が発生する。加熱回転ベルト93には、渦電流が流れることで、加熱回転ベルト93が有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。このように、加熱回転ベルト93は、後述する加熱ユニット70によって電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により発熱される。
加圧回転体9bについて説明する。図2に示すように、加圧回転体9bは、環状に形成される。加圧回転体9bの環状には、円筒状が含まれる。加圧回転体9bは、その周方向である第2周方向R2に回転可能に構成される。加圧回転体9bは、加熱回転体9aと定着ニップFを形成する。
本実施形態においては、加圧回転体9bは、加圧ローラにより構成される。加圧ローラ9bは、加熱回転体9aにおける垂直方向下方側に加熱回転体9aに対向して配置される。加圧ローラ9bは、用紙幅方向D2に延びるように形成される第3回転軸J3を中心に、加圧ローラ9bの周方向である第2周方向R2に回転可能に構成される。加圧ローラ9bは、第3回転軸J3方向に延びるように形成される。
加圧ローラ9bは、その外周面が、加熱回転ベルト93の外周面(外面)に当接するように配置される。具体的には、加圧ローラ9bは、加熱回転ベルト93を介して定着ローラ92を押圧するように配置される。そして、加圧ローラ9bは、加熱回転ベルト93の一部を、定着ローラ92との間に挟み込む。加圧ローラ9bは、定着ローラ92との間に加熱回転ベルト93の一部を挟み込むことにより、加熱回転ベルト93とにより定着ニップFを形成する。
加圧ローラ9bは、加圧ローラ本体941と、第3回転軸J3と同軸の不図示の軸部材と、を有する。加圧ローラ本体941は、円筒状の金属部材と、金属部材の外周面に形成される弾性層と、弾性層の外周面に形成される離型層と、を有する。
本実施形態においては、例えば、加圧ローラ9bは、直径が46mm程度のアルミニウムの金属管の外周面に、厚さ2mm程度のシリコンゴム等の弾性層を設け、更に、この弾性層の表面に厚さ50μm程度のPFAやPTFE等のフッ素樹脂からなる離型層を設けることで構成される。
加圧ローラ9bの軸部材(不図示)は、加圧ローラ本体941の両端部から第3回転軸J3方向の外側それぞれに突出して形成されている。加圧ローラ9bの軸部材(不図示)は、プリンタ1における装置本体Mのケースやその他の部材により第3回転軸J3を中心に回転可能に支持される。
また、加圧ローラ9bの軸部材(不図示)には、加圧ローラ9bを回転駆動させる回転駆動部(不図示)が接続される。この回転駆動部により、加圧ローラ9bが第2周方向R2に所定速度で回転駆動されると共に、加圧ローラ9bの回転に従動して、加圧ローラ9bの外周面に当接する加熱回転ベルト93が第1周方向R1に回転される。加熱回転ベルト93が回転されることにより、加熱回転ベルト93の内周面に当接する加熱ローラ91及び定着ローラ92は、加熱回転ベルト93の回転に従動して回転される。
加熱ユニット70について説明する。図2及び図3に示すように、加熱ユニット70は、誘導コイル71と、磁性体コア部72と、を備える。誘導コイル71は、加熱回転ベルト93から所定距離だけ離間すると共に加熱回転ベルト93の外周面(外面)に沿って配置される。誘導コイル71は、平面視(図2及び図3における上方から視た場合)において、用紙幅方向D2に長い形状に線材を巻き回して形成される。
誘導コイル71は、用紙Tの最大通紙領域において電磁誘導加熱(IH)により所定の発熱量を発生させるため、用紙幅方向D2において加熱回転ベルト93の長さよりも長く形成される。「最大通紙領域」とは、用紙幅方向D2において、定着ニップFを搬送される最大サイズの用紙Tが加熱回転ベルト93と加圧ローラ9bとに挟まれて通過する領域(通紙領域)のことである。
誘導コイル71は、銅製のリッツ線の線材を用紙幅方向D2に延びるように配置すると共に加熱回転ベルト93の周方向に沿って並ぶように配置した状態で巻き回して形成される。誘導コイル71は、加熱回転ベルト93における加熱ローラ91に掛け渡された部分(加熱ローラ91における垂直方向の上方側の略半周の外周面に掛け渡された部分)の外周面に対向して配置される。
詳細には、加熱回転ベルト93の垂直方向の最も上方に位置する部分(搬送方向D1における略中央)の上方側には、誘導コイル71の線材が配置されない用紙幅方向D2に長い領域が形成される。誘導コイル71の内周縁は、誘導コイル71の線材が配置されない領域を囲むように巻き回して形成される。そして、誘導コイル71は、線材を用紙幅方向D2に延びるように配置した状態で、誘導コイル71の内周縁から加熱回転ベルト93の周方向に沿って並ぶように巻き回して形成される。
誘導コイル71の外周縁は、加熱回転ベルト93における加熱ローラ91に掛け渡された部分の下方側の部分(加熱ローラ91における垂直方向の略中央の外周面に掛け渡された部分の近傍)の外周面に対向して巻き回して形成される。
誘導コイル71の外周縁は、加熱回転ベルト93における加熱ローラ91に掛け渡された部分の下方側の部分(加熱ローラ91における垂直方向の略中央の外周面に掛け渡された部分の近傍)の外周面に対向して巻き回して形成される。
本実施形態においては、誘導コイル71は、耐熱性の樹脂材料により形成された支持部材(図示せず)の上に、線材が巻き回されて固定される。支持部材は、加熱回転ベルト93における加熱ローラ91に掛け渡された部分の外周面(外面)に沿うような半円筒形状に形成され、加熱回転ベルト93から離間して配置される。
誘導コイル71は、不図示の誘導加熱用回路部に接続される。誘導コイル71には、誘導加熱用回路部から所定周波数の交流電流が印加される。誘導コイル71は、誘導加熱用回路部から交流電流が印加されることにより、加熱回転ベルト93を発熱させるための磁束を発生させる。
誘導コイル71は、基材が強磁性材料である加熱回転ベルト93及び磁性体コア部72(後述)が配置された領域を通るように、磁束を発生させる。これにより、誘導コイル71により発生された磁束は、加熱回転ベルト93及び磁性体コア部72(後述)により形成された磁束の経路である磁路に導かれる。
磁路は、誘導コイル71により発生された磁束が周回方向R3に周回するように加熱回転ベルト93及び磁性体コア部72(後述)により形成される。周回方向R3とは、誘導コイル71の内周縁の内側と外周縁の外側とを通り誘導コイル71の線材を囲むように周回する方向である。誘導コイル71により発生された磁束は、磁路を通過する。
誘導コイル71により発生された磁束は、誘導コイル71の内周縁の内側における線材が配置されない部分に対して、用紙Tの搬送方向D1の下流側及び上流側において互いに対称に周回方向R3に周回する2つの磁路を通過する2つの磁束を主体として構成される。
そして、用紙Tの搬送方向D1において下流側及び上流側に互いに対称に周回する2つの磁束は、後述するセンターコア73において合流する。誘導コイル71により発生された2つの磁束の方向は、用紙Tの搬送方向D1における下流側及び上流側に形成される2つの磁束が互いに対向する部分において、互いに同じ方向である。
誘導コイル71により発生される磁束は、誘導加熱用回路部(不図示)から所定周波数の交流電流が印加されるため、交流電流のプラス又はマイナスへの周期的な変動により、その大きさ及び方向が変化する。加熱回転ベルト93には、この磁束の変化により誘導電流(渦電流)が発生する。
磁性体コア部72は、周回方向R3に周回する磁路(図7参照)を形成する。磁性体コア部72は、誘導コイル71により発生される磁束が通る領域に配置されると共に、強磁性材料により形成されるため、誘導コイル71により発生される磁束の経路である磁路を形成する。これは、強磁性材料で形成される磁性体コア部72の透磁率が周辺の空気部分の透磁率よりも高いためである。そして、誘導コイル71により発生される磁束は、磁路を形成する磁性体コア部72を通過し、加熱回転ベルト93に導かれる。
また、磁性体コア部72は、誘導コイル71における内周縁の内側の線材が配置されない部分に対して対称に、搬送方向D1の上流側及び下流側に2つの磁路を形成する。
磁性体コア部72は、例えば、フェライト粉末を焼結して成形される強磁性材料からなるフェライト製の磁性体コアである。
磁性体コア部72は、例えば、フェライト粉末を焼結して成形される強磁性材料からなるフェライト製の磁性体コアである。
図2に示すように、磁性体コア部72は、第2コアとしてのセンターコア73と、複数の第1コアとしての複数のアーチコア74と、一対の第3コアとしてのサイドコア75と、を有する。
センターコア73は、用紙幅方向D2に視た場合に、加熱回転体9aの垂直方向の上方側において、用紙Tの搬送方向D1における略中央に配置される。
センターコア73は、用紙幅方向D2に視た場合に、加熱回転体9aの垂直方向の上方側において、用紙Tの搬送方向D1における略中央に配置される。
複数のアーチコア74及びサイドコア75それぞれは、センターコア73に対して、搬送方向D1における下流側及び上流側に対をなしてそれぞれ配置される。センターコア73、一対の複数のアーチコア74、74、一対のサイドコア75、75及び加熱回転ベルト93は、磁路の周回方向R3において並んで配置される。
センターコア73の詳細について説明する。センターコア73は、図2に示すように、周回方向R3において、後述するアーチコア74と加熱回転ベルト93との間における磁路(図7参照)を形成する。センターコア73は、誘導コイル71の内周縁に配置される線材711Aの内側の近傍に配置される。具体的には、センターコア73は、加熱回転ベルト93における搬送方向D1の中央において、加熱回転ベルト93に対して垂直方向の上方側に配置される。
センターコア73は、加熱回転ベルト93の外周面(外面)から所定距離だけ離間して加熱回転ベルト93の外周面に対向する。センターコア73は、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面に対向する外周面(外面)を有する。
また、図3乃至図5に示すように、センターコア73は、複数のセンター分割コア736を有する。複数のセンター分割コア736それぞれは、用紙幅方向D2に延びるように形成されるコア回転軸としてのセンターコア回転軸J4を中心に回転可能に構成される。
複数のセンター分割コア736それぞれは、用紙幅方向D2において所定の長さを有する筒状に形成されている。複数のセンター分割コア736それぞれは、センターコア回転軸J4に直交する方向における断面形状が略楕円形状に形成される。本実施形態においては、複数のセンター分割コア736それぞれの断面形状は、直径の長さが長い径である長径と、直径の長さが短い径である短径とを有する略楕円形状である。
複数のセンター分割コア736それぞれは、互いに当接又は近接した状態でセンターコア回転軸J4方向に並んで配置される。センターコア73は、複数のセンター分割コア736が用紙幅方向D2に並んだ状態で、用紙幅方向D2において、最大通紙領域よりも長く形成される。
本実施形態においては、図3に示すように、複数のセンター分割コア736は、用紙幅方向D2における一方側から他端側に順に、第1センター分割コア736A、第2センター分割コア736B、第3センター分割コア736C、第4センター分割コア736D、第5センター分割コア736E、第6センター分割コア736F、第7センター分割コア736G、第8センター分割コア736H及び第9センター分割コア736Iが互いに当接又は近接した状態で並んで配置される。
複数のセンター分割コア736それぞれは、センターコアシャフト735に回転可能に支持される。センターコアシャフト735は、用紙幅方向D2に延びるように形成される。センターコアシャフト735は、複数のセンター分割コア736それぞれの内周側における中空部に、複数のセンター分割コア736それぞれを貫通するように配置されている。センターコアシャフト735は、複数のセンター分割コア736の全てを用紙幅方向D2に貫くように配置される。これにより、複数のセンター分割コア736は、用紙幅方向D2に並んだ状態でセンターコアシャフト735に支持される。
センターコアシャフト735は、センターコア73の両端部から用紙幅方向D2の外側それぞれに突出する。センターコアシャフト735の両端部は、プリンタ1における装置本体Mのケースやその他の部材に固定される。これにより、センターコア73のセンター分割コア736それぞれは、センターコアシャフト735に対して相対的に回転可能である。
一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれは、断面形状が略楕円形状に形成されるため、センターコア回転軸J4を中心に回転することで、一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面(外面)それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更可能となっている。
具体的には、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれは、図4に示すように、センターコア回転部155によりセンターコア回転軸J4を中心に回転されることで、一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更可能である。
具体的には、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれは、図4に示すように、センターコア回転部155によりセンターコア回転軸J4を中心に回転されることで、一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更可能である。
図4に示すように、センターコア回転部155は、複数の回転用線材156と、複数の回転用軸部材157と、回転駆動部158と、不図示の複数の巻きバネと、を有する。複数の回転用線材156及び複数の回転用軸部材157は、耐熱性の樹脂材料により形成される。
複数の巻きバネ(不図示)は、センターコアシャフト735と複数のセンター分割コア736それぞれとの間に配置される。複数の巻きバネは、複数のセンター分割コア736それぞれの長径が垂直方向に沿って配置されるように、複数のセンター分割コア736それぞれをセンターコアシャフト735に付勢する。これにより、複数のセンター分割コア736それぞれは、外力が加えられていない場合には、長径が垂直方向に沿った状態で維持される。
複数の回転用線材156それぞれは、複数のセンター分割コア736それぞれから垂直方向に延びるように配置される。複数の回転用線材156の一端それぞれは、複数のセンター分割コア736の垂直方向における中央の外周面それぞれに固定される。複数の回転用線材156の他端それぞれは、後述する複数の回転用軸部材157の外周面それぞれに固定される。
複数の回転用軸部材157それぞれは、複数のセンター分割コア736それぞれにおける垂直方向の上方側に配置される。複数の回転用軸部材157それぞれは、用紙幅方向D2に延びるように形成される。複数の回転用軸部材157それぞれは、用紙幅方向D2に平行な軸を中心に回転可能に構成される。
複数の回転用軸部材157それぞれは、一端側がプリンタ1における装置本体Mのケースやその他の部材に回転可能に支持されると共に、他端側が後述する回転駆動部158に連結される。複数の回転用軸部材157が回転駆動部158により回転されることで、複数の回転用線材156それぞれは、複数の回転用軸部材157それぞれに巻き取られる。そして、複数の回転用線材156それぞれは、垂直方向に沿って移動される。
これにより、複数の回転用線材156それぞれに固定された複数のセンター分割コア736それぞれは、複数の巻きバネ(不図示)それぞれの付勢力に抗してセンターコア回転軸J4を中心に所定方向に回転すると共に、複数の巻きバネそれぞれの付勢力により所定方向とは反対方向に回転する。複数のセンター分割コア736それぞれの回転角度は、複数の回転用軸部材157の回転量により設定される。
回転駆動部158は、複数の回転用軸部材157それぞれを別々に回転駆動可能に構成される。回転駆動部158は、例えば、複数のモータにより構成されている。なお、回転駆動部158は、これに制限されず、例えば、1つのモータから出力される回転駆動力を伝達状態又は非伝達状態に切り替える複数のクラッチを有し、複数の回転用軸部材157それぞれを別々に回転駆動するように構成してもよい。
回転駆動部158が複数の回転用軸部材157それぞれを回転することにより、複数の回転用線材156は、垂直方向に沿って移動される。これにより、回転駆動部158は、複数の回転用線材156それぞれに固定された複数のセンター分割コア736それぞれをセンターコア回転軸J4を中心に回転させる。
一対の複数のアーチコア74、74の詳細について説明する。一対の複数のアーチコア74、74それぞれは、図2に示すように、周回方向R3において、誘導コイル71に対して加熱回転ベルト93とは反対側(誘導コイル71の外側)の磁路(図7参照)を形成する。一対の複数のアーチコア74、74それぞれは、誘導コイル71により発生される磁束の外方側への漏れを低減して、加熱回転ベルト93に導くことができる。
一対の複数のアーチコア74、74それぞれは、誘導コイル71の線材の部分を挟んで加熱回転ベルト93の外周面に対向して配置される。一対の複数のアーチコア74、74は、用紙Tの搬送方向D1においてセンターコア73を挟むようにして、搬送方向D1における下流側及び上流側に対をなして配置される。一対の複数のアーチコア74、74それぞれは、加熱回転ベルト93の周方向に沿うように延びるアーチ状に形成される。
一対の複数のアーチコア74、74は、用紙Tの搬送方向D1においてセンターコア73に対して、搬送方向D1における下流側及び上流側において対称の形状を有している。
具体的には、一対の複数のアーチコア74、74は、用紙幅方向D2に視た場合に、用紙Tの搬送方向D1における下流側に配置される複数の下流側アーチコア741と、用紙Tの搬送方向D1における上流側に配置される複数の上流側アーチコア745とを有する。
具体的には、一対の複数のアーチコア74、74は、用紙幅方向D2に視た場合に、用紙Tの搬送方向D1における下流側に配置される複数の下流側アーチコア741と、用紙Tの搬送方向D1における上流側に配置される複数の上流側アーチコア745とを有する。
本実施形態においては、下流側アーチコア741は、下流側水平部742と、下流側傾斜部743とを有する。下流側水平部742は、用紙幅方向D2に視た場合に、センターコア73から搬送方向D1の下流側に所定距離だけ離間した位置から搬送方向D1の下流側に水平に所定距離だけ延びるように形成される。下流側傾斜部743は、用紙幅方向D2に視た場合に、下流側水平部742におけるセンターコア73とは反対側から連続して搬送方向D1の下流側に傾斜して直線状に延びるように形成される。下流側傾斜部743は、誘導コイル71の搬送方向D1の下流側における外周縁の外側近傍に向かうように延びている。
また、上流側アーチコア745は、上流側水平部746と、上流側傾斜部747とを有する。上流側水平部746は、用紙幅方向D2に視た場合に、センターコア73から搬送方向D1の上流側に所定距離だけ離間した位置から搬送方向D1の上流側に水平に所定距離だけ延びるように形成される。上流側傾斜部747は、用紙幅方向D2に視た場合に、上流側水平部746におけるセンターコア73とは反対側から連続して搬送方向D1の上流側に傾斜して直線状に延びるように形成される。上流側傾斜部747は、誘導コイル71の搬送方向D1の上流側における外周縁の外側近傍に向かうように延びている。
また、複数のアーチコア74それぞれは、図3に示すように、用紙幅方向D2に所定距離だけ離間して配置される。複数のアーチコア74それぞれは、最大通紙領域の全域において、用紙幅方向D2に互いに所定間隔をあけて並んで配置される。複数のアーチコア74それぞれは、搬送方向D1に視た場合に、用紙幅方向D2において所定幅を有して構成される。
複数のアーチコア74それぞれが用紙幅方向D2に所定距離だけ離間して配置されることで、誘導コイル71により発生される磁束は、用紙幅方向D2における複数のアーチコア74それぞれの間の空気部分をほとんど通過せずに、複数のアーチコア74それぞれにより形成された複数の磁路を通過する。
このように、複数のアーチコア74それぞれは、用紙幅方向D2に離間して周回方向R3において周回する複数の磁路を形成する。
このように、複数のアーチコア74それぞれは、用紙幅方向D2に離間して周回方向R3において周回する複数の磁路を形成する。
なお、用紙幅方向D2に離間して複数のアーチコア74それぞれを通った磁束は、センターコア73又は後述するサイドコア75が用紙幅方向D2に長く構成されるため、センターコア73又はサイドコア75により構成される磁路により用紙幅方向D2に均一化されるように分散又は合流された後に、加熱回転ベルト93に導かれる。
一対のサイドコア75、75の詳細について説明する。一対のサイドコア75、75それぞれは、図2に示すように、周回方向R3において、一対の複数のアーチコア74、74それぞれと加熱回転ベルト93との間における磁路(図7参照)を形成する。一対のサイドコア75、75それぞれは、加熱回転体9aに対して、用紙Tの搬送方向D1の下流側及び上流側において対をなして配置される。一対のサイドコア75、75それぞれは、周回方向R3において、一対の複数のアーチコア74、74それぞれに隣り合うように配置される。
一対のサイドコア75、75それぞれは、誘導コイル71における外周縁に配置される線材711Bの外側の近傍に配置される。一対のサイドコア75、75それぞれは、加熱回転ベルト93の外周面(外面)から所定距離だけ離間して加熱回転ベルト93の外周面に対向する。一対のサイドコア75、75それぞれは、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面に対向する面を有する。また、一対のサイドコア75、75それぞれは、用紙幅方向D2に長い略直方体形状に形成される。
一対のサイドコア75、75それぞれは、用紙幅方向D2において、最大通紙領域よりも長く形成される。一対のサイドコア75、75それぞれは、用紙幅方向D2の両端部近傍それぞれにおいて、耐熱性の樹脂材料により形成された不図示のコアホルダにより支持されて固定される。
このように構成されることで、一対のサイドコア75、75それぞれは、誘導コイル71により発生される磁束を加熱回転ベルト93に誘導して、誘導コイル71の外周縁の外側への磁束の漏れを低減することができる。
温度センサ95について説明する。温度センサ95は、加熱回転ベルト93の外周面の温度を検知する。本実施形態においては、図2及び図3に示すように、温度センサ95は、加熱回転ベルト93における加熱ローラ91に掛け渡された部分に対して第1周方向R1の下流側において、加熱回転ベルト93の外周面に対向して非接触の状態で配置される。温度センサ95は、用紙幅方向D2において、所定間隔ごとに複数配置される。複数の温度センサ95それぞれは、最大通紙領域の全域において、用紙幅方向D2に並んで配置される。
本実施形態においては、複数の温度センサ95は、図3に示すように、用紙幅方向D2における一方側から他端側に順に、第1温度センサ95A、第2温度センサ95B、第3温度センサ95C、第4温度センサ95D、第5温度センサ95E、第6温度センサ95F、第7温度センサ95G、第8温度センサ95H及び第9温度センサ95Iが同じ間隔ごとに離間して並んで配置される。第5温度センサ95Eは、加熱回転ベルト93の外周面における用紙幅方向D2の中央の部分に対向して配置される。
これにより、複数の温度センサ95は、加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2における複数箇所の外周面の温度を検知する。温度センサ95は、例えば、赤外線温度センサから構成される。
これにより、複数の温度センサ95は、加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2における複数箇所の外周面の温度を検知する。温度センサ95は、例えば、赤外線温度センサから構成される。
次に、定着装置9の制御に係る構成について説明する。
図5に示すように、定着装置9は、制御部100と、記憶部130とを有する。制御部100は、温度ムラ判定部102と、駆動制御部としてのセンターコア回転制御部101とを有する。
図5に示すように、定着装置9は、制御部100と、記憶部130とを有する。制御部100は、温度ムラ判定部102と、駆動制御部としてのセンターコア回転制御部101とを有する。
温度ムラ判定部102は、複数の温度センサ95それぞれに検知された温度情報に基づいて、加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2における外周面の温度に温度ムラがあるか否かを判定する。
具体的には、温度ムラ判定部102は、複数の温度センサ95のうちの所定の温度センサ95により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第1温度以上高い又は所定の第2温度以上低いか否かを判定する。所定の基準温度は、例えば、複数の温度センサ95により検知された複数の温度の平均値であってもよいし、複数の温度センサ95により検知された複数箇所の温度のうちの最高温度であってもよい。
センターコア回転制御部101は、複数の温度センサ95により検知された温度に基づいて、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更させるようにセンターコア回転部155の回転駆動部158を制御する。具体的には、センターコア回転制御部101は、温度ムラ判定部102の判定結果に基づいて、後述する記憶部130に記憶される情報を参照して、センターコア回転部155を制御する。
詳細には、センターコア回転制御部101は、複数の温度センサのうちの所定の温度センサ95により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第1温度以上高いと温度ムラ判定部102により判定された場合には、加熱回転ベルト93における所定温度以上高い箇所に対応するセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離が長くなるように、複数のセンター分割コア736のうちの所定の温度センサ95に対応するセンター分割コア736を回転させるようセンターコア回転部155の回転駆動部158を制御する。ここで、「対応するセンター分割コア736」とは、用紙幅方向D2において加熱回転ベルト93における所定温度以上高い温度が測定された位置と略同じ位置に配置されるセンター分割コア736である。
センターコア回転制御部101は、センター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93との距離を長くすることにより、加熱回転ベルト93の発熱量を少なくすることができる。
また、センターコア回転制御部101は、複数の温度センサのうちの所定の温度センサ95により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第2温度以上低いと温度ムラ判定部102により判定された場合には、加熱回転ベルト93における所定温度以上低い箇所に対応するセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離が短くなるように、複数のセンター分割コア736のうちの所定の温度センサ95に対応するセンター分割コア736を回転させるようセンターコア回転部155の回転駆動部158を制御する。ここで、「対応するセンター分割コア736」とは、用紙幅方向D2において加熱回転ベルト93における所定温度以上低い温度が測定された位置と略同じ位置に配置されるセンター分割コア736である。
センターコア回転制御部101は、センター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93との距離を短くすることにより、加熱回転ベルト93の発熱量を多くすることができる。
センターコア回転制御部101は、例えば、所定の基準温度が複数の温度センサ95により検知された複数の温度の平均値の場合には、加熱回転ベルト93の平均温度からの温度のバラツキを是正することができる。
また、センターコア回転制御部101は、所定の基準温度が複数の温度センサ95により検知された複数箇所の温度のうちの最高温度又は最低温度の場合には、例えば、センターコア回転制御部101は、加熱回転ベルト93の最高温度又は最低温度に加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2の他の部分の温度を近づけるような制御を行うことにより、加熱回転ベルト93の外周面の温度のバラツキを低減させることができる。
また、センターコア回転制御部101は、所定の基準温度が複数の温度センサ95により検知された複数箇所の温度のうちの最高温度又は最低温度の場合には、例えば、センターコア回転制御部101は、加熱回転ベルト93の最高温度又は最低温度に加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2の他の部分の温度を近づけるような制御を行うことにより、加熱回転ベルト93の外周面の温度のバラツキを低減させることができる。
記憶部130は、センターコア回転部155の回転駆動部158の動作量に関する情報を記憶する。例えば、記憶部130は、温度センサ95により検知された温度が所定の基準温度よりも所定温度以上高い場合又低い場合における複数のセンター分割コア736それぞれを回転させる方向及び回転量を記憶する。
次に、第1実施形態における定着装置9を含むプリンタ1の動作について説明する。
本実施形態において、プリンタ1は、電源がONされると、電源部(図示せず)から帯電部10、レーザスキャナユニット4、現像器16、転写ローラ8、プリンタ制御部(図示せず)、定着装置9それぞれに電力が供給される。そして、プリンタ制御部からの制御信号により帯電部10、レーザスキャナユニット4、現像器16、転写ローラ8、定着装置9がそれぞれ制御される。
本実施形態において、プリンタ1は、電源がONされると、電源部(図示せず)から帯電部10、レーザスキャナユニット4、現像器16、転写ローラ8、プリンタ制御部(図示せず)、定着装置9それぞれに電力が供給される。そして、プリンタ制御部からの制御信号により帯電部10、レーザスキャナユニット4、現像器16、転写ローラ8、定着装置9がそれぞれ制御される。
具体的には、本実施形態のプリンタ1において、レジストローラ対80から送り出された用紙Tは、第1搬送路L1を通って感光体ドラム2と転写ローラ8との間の転写ニップNへ搬送される。このように用紙Tが感光体ドラム2へ向かって搬送されるとき、まず、帯電部10が、感光体ドラム2の表面全体を帯電させると共に、レーザスキャナユニット4が、レーザ光源(図示せず)から感光体ドラム2へ向けてレーザ光を照射し、感光体ドラム2の表面に形成すべき画像に対応した静電潜像を形成する。
続けて、現像器16は、帯電したトナーを現像ローラ17により感光体ドラム2へ供給する。これにより、感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。
続いて、転写ローラ8は、感光体ドラム2と転写ローラ8との間を通過する用紙Tに、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像を転写する。
続いて、転写ローラ8は、感光体ドラム2と転写ローラ8との間を通過する用紙Tに、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像を転写する。
そして、トナー画像が転写された用紙Tは、第2搬送路L2を通って定着装置9へ向けて搬送される。具体的には、トナー画像が形成された用紙Tは、定着装置9における加熱回転ベルト93と加圧ローラ9bとにより形成される定着ニップFへ向けて搬送される。
次に、本実施形態における定着装置9の制御フローについて、図6から図9を参照しながら説明する。図6は、本実施形態におけるセンター分割コア736を回転させて加熱回転ベルト93との距離を変更する動作フローを示すフローチャートである。図7は、本実施形態の定着装置9の誘導コイル71により発生される周回方向R3における磁束の磁路を説明するための図である。図8Aは、本実施形態の定着装置9のセンター分割コア736が初期回転位置に位置されることによりセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離が初期距離K0である場合を説明する図である。図8Bは、図8Aに示す状態からセンター分割コア736をα1°回転させて、センター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離を長く(第1距離K1)した場合を説明するための図である。図8Cは、図8Aに示す状態からセンター分割コア736をα2°回転させて、センター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離を長く(第2距離K2)した場合を説明するための図である。図9は、複数のセンター分割コア736を回転させる制御を行った場合と複数のセンター分割コア736を回転させる制御を行わない場合とにおいて、加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2における外周面の温度を比較した図である。
まず、ステップST1において、加熱回転ベルト93が回転される。具体的には、プリンタ制御部(不図示)から出力された所定の制御信号を定着装置9が受信した場合、電源部から駆動制御部(不図示)への電力の供給が開始される。駆動制御部への電力の供給が開始されると、回転駆動部(不図示)により加圧ローラ9bが回転駆動される。加圧ローラ9bの回転駆動に伴って加熱回転ベルト93は、従動して回転される。そして、加熱回転ベルト93の回転により、加熱ローラ91及び定着ローラ92は、従動して回転される。また、複数の温度センサ95は、加熱回転ベルト93の外周面の複数箇所の温度の検知を開始する。
ここで、本実施形態においては、センターコア73の複数のセンター分割コア736それぞれは、電源部から駆動制御部(不図示)への電力の供給が開始された状態において、長径が垂直方向に沿って配置された状態で複数の巻きバネそれぞれにより付勢されている。本実施形態においては、複数のセンター分割コア736それぞれの長径が垂直方向に沿った状態で位置付けされている位置を複数のセンター分割コア736それぞれにおける「初期回転位置」という。つまり、センターコア73の複数のセンター分割コア736それぞれは、初期回転位置において、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離が最も短い距離である初期距離K0となるように位置付けされている(図8A参照)。
ステップST2において、プリンタ制御部(不図示)から出力された所定の制御信号を定着装置9が受信した場合、駆動制御部(不図示)への電力の供給と同時に、定着装置9は、発熱動作を開始する。具体的には、プリンタ制御部はプリンタ1における電源ON信号又は画像形成指示情報等を受信した場合、定着装置9は、誘導加熱用回路部(不図示)に対し、発熱動作を開始させる指示をする。例えば、定着装置9は、温度センサ95に検知される加熱回転ベルト93の外周面の温度に基づいて、誘導加熱用回路部を制御する。
これにより、誘導コイル71には、誘導加熱用回路部(不図示)から交流電流が印加される。誘導コイル71は、誘導加熱用回路部から交流電流が印加されることにより、加熱回転ベルト93を発熱させるための磁束を発生させる。誘導コイル71により発生される磁束は、誘導加熱用回路部から所定周波数の交流電流が誘導コイル71に印加されるため、その大きさ及び方向が変化する。
ここで、強磁性材料を主体として形成される加熱回転ベルト93及び磁性体コア部72により、誘導コイル71の内周縁の内側と外周縁の外側とをつなぐように周回方向R3に周回する磁路が形成される。そのため、誘導コイル71により発生された磁束は、加熱回転ベルト93及び磁性体コア部72により形成された磁路を通過する。
具体的には、図7に示すように、誘導加熱用回路部(不図示)により印加される交流電流がプラスの場合には、例えば、誘導コイル71に発生された磁束は、加熱回転ベルト93における加熱ローラ91に掛け渡された部分を通りセンターコア73へ導かれ、センターコア73を通ってアーチコア74へ導かれ、アーチコア74を通ってサイドコア75へ導かれる。そして、サイドコア75を通った磁束は、加熱回転ベルト93へ導かれる。
そして、用紙幅方向D2に離間して複数のアーチコア74それぞれを通った磁束は、サイドコア75が用紙幅方向D2に長く構成されるため、サイドコア75により構成される磁路により用紙幅方向D2に均一化されるように分散又は合流された後に、加熱回転ベルト93に導かれる。
一方、誘導加熱用回路部により印加される交流電流がマイナスの場合には、例えば、誘導コイル71に発生された磁束は、交流電流がプラスの場合における方向とは反対方向であって、加熱回転ベルト93における加熱ローラ91に掛け渡された部分、サイドコア75、アーチコア74及びセンターコア73を通り加熱回転ベルト93へ導かれる。
そして、磁路を通過する磁束の大きさと方向が変化することにより、加熱回転ベルト93における垂直方向の上方側の部分には、電磁誘導により渦電流(誘導電流)が発生する。加熱回転ベルト93には、渦電流が流れることで、加熱回転ベルト93が有する電気抵抗によりジュール熱が発生する。このように、加熱回転ベルト93は、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱(IH)により発熱される。
ここで、加熱回転ベルト93の発熱量は、加熱回転ベルト93を通過する磁束の量に比例するといえる。加熱回転ベルト93を通過する磁束の量は、加熱回転ベルト93(加熱回転体9a)の外周面に対する磁性体コア部72や誘導コイル71の位置に影響される。
特に、長時間使用されることによる定着装置9の加熱により、磁性体コア部72が膨張したり変形したり、又は、磁性体コア部72を固定する接着剤の強度の低下等が生じて、用紙幅方向D2において、加熱回転ベルト93に対する磁性体コア部72の位置が変化する場合がある。この場合には、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の外周面の温度に温度ムラが生じる場合がある。用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の外周面の温度に温度ムラが生じた場合には、用紙Tにトナー画像を定着させる際において、用紙幅方向D2における定着温度に温度ムラが生じる可能性が高い。
ステップST3において、温度ムラ判定部102は、複数の温度センサ95により検知される温度情報に基づいて、複数の温度センサ95のうちの所定の温度センサ95により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第1温度以上高い又は所定の第2温度以上低いか否かを判定する。これにより、温度ムラ判定部102は、加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2における外周面の温度に温度ムラがあるか否かを判定する。温度ムラ判定部102は、検知された温度が所定の基準温度よりも所定温度以上高い又は所定温度以上低い場合に、温度ムラがあると判定する。
本実施形態においては、所定の基準温度は、例えば、複数の温度センサ95により検知された複数の温度のうちの最低温度である。温度ムラ判定部102は、検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第1温度以上高い場合に、温度ムラがあると判定する。
温度ムラ判定部102により温度ムラがあると判定された場合(YES)には、用紙幅方向D2における温度ムラを低減するため、ステップST4へ進む。温度ムラ判定部102により温度ムラがないと判定された場合(NO)には、ステップST5へ進む。
ステップST4において、センターコア回転制御部101は、温度ムラ判定部102により温度ムラあると判定されたため、記憶部130に記憶される情報を参照して、センターコア回転部155を制御する。具体的には、センターコア回転制御部101は、記憶部130に記憶される情報を参照して、センターコア回転部155の回転駆動部158を回転駆動して、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれをセンターコア回転軸J4を中心に回転させることで、一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を調整する。
詳細には、センターコア回転制御部101は、加熱回転ベルト93の外周面における所定箇所の温度が最低温度よりも所定の第1温度以上高いと温度ムラ判定部102により判定されたため、加熱回転ベルト93における第1温度以上高い温度が測定された箇所に対応する所定のセンター分割コア736を回転させるようにセンターコア回転部155の回転駆動部158を制御する。
例えば、センターコア回転制御部101は、加熱回転ベルト93の外周面における所定箇所の温度が最低温度よりも第1A温度(後述する第1B温度よりも高い温度)以上高い場合には、記憶部130に記憶される情報を参照して、対応するセンター分割コア736を初期回転位置からセンターコア回転軸J4を中心に第1角度α1だけ回転させる。これにより、図8Bに示すように、加熱回転ベルト93の外周面とセンター分割コア736との距離を、初期回転位置における初期距離K0から第1距離K1に変更する。第1距離K1は、初期距離K0よりも長い距離である(初期距離K0<第1距離K1)。
また、センターコア回転制御部101は、加熱回転ベルト93の外周面における所定箇所の温度が最低温度よりも第1B温度(第1A温度よりも低い温度)以上且つ第1A温度よりも低い場合には、記憶部130に記憶される情報を参照して、センター分割コア736を初期回転位置からセンターコア回転軸J4を中心に第2角度α2だけ回転させる。これにより、図8Cに示すように、加熱回転ベルト93の外周面とセンター分割コア736との距離を、初期回転位置における初期距離K0から第2距離K2に変更する。第2距離K2は、第1距離K1よりも短く、且つ、初期距離K0よりも長い距離である(初期距離K0<第2距離K2<第1距離K1)。
なお、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれの断面形状が略楕円形状に形成されるため、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれの回転角度を細かく調整することができる。これにより、加熱回転ベルト93の外周面と一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれとの距離は、細かく調整されることが可能である。
本実施形態においては、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれは、加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間して配置されている。つまり、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれは、加熱回転ベルト93との間に空気部分を挟んだ状態で、加熱回転ベルト93の外周面に対向している。
ここで、加熱回転ベルト93の外周面と一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれとの距離である空気部分の大きさの変動は、他の磁性体コア間の空気部分(例えば、センターコア73とアーチコア74との間の空気部分、アーチコア74とサイドコア75との間の空気部分、加熱回転ベルト93の外周面とサイドコア75の外面との間の空気部分)の大きさの変動と比較して、加熱回転ベルト93の発熱量に対する影響が最も大きい。つまり、加熱回転ベルト93の外周面と一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれとの距離に対しての加熱回転ベルト93の発熱量の感度は、他の磁性体コア間の空気部分の距離の変動に対するものと比べて大きくなっている。
従って、本実施形態における定着装置9は、加熱回転ベルト93に対する一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれの距離を調整することにより、空気部分の大きさを変更して加熱回転ベルト93の発熱量を好適に調整することができる。
特に、センターコア73は、一対の複数のアーチコア74、74により形成される異なる2つの磁路を通過する2つの磁束が合流される磁路である。従って、加熱回転ベルト93の外周面と一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれとの距離を変更することにより、加熱回転ベルト93の発熱量を調整する意義は、大きい。
具体的には、加熱回転ベルト93の発熱量は、加熱回転ベルト93の外周面とセンター分割コア736との距離が長い場合には、加熱回転ベルト93の外周面とセンター分割コア736との距離が短い場合と比べて、少ない。
そのため、加熱回転ベルト93の外周面における温度が高い箇所については、加熱回転ベルト93の外周面とセンター分割コア736の外周面との距離を長くする制御を行う。また、加熱回転ベルト93の外周面における温度が低い箇所については、加熱回転ベルト93の外周面とセンター分割コア736の外周面との距離を短くする制御を行う。これにより、加熱回転ベルト93の外周面の発熱量を用紙幅方向D2において調整することができる。
そのため、加熱回転ベルト93の外周面における温度が高い箇所については、加熱回転ベルト93の外周面とセンター分割コア736の外周面との距離を長くする制御を行う。また、加熱回転ベルト93の外周面における温度が低い箇所については、加熱回転ベルト93の外周面とセンター分割コア736の外周面との距離を短くする制御を行う。これにより、加熱回転ベルト93の外周面の発熱量を用紙幅方向D2において調整することができる。
従って、誘導コイル71、アーチコア74又はサイドコア75が熱等により変形したり固定位置が移動した場合であっても、加熱回転ベルト93の外周面と一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれとの距離を調整することにより、加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2における外周面の温度ムラを低減することができる。
さらに、センターコア回転制御部101は、センターコア回転軸J4方向に並んで配置される一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれを回転させることで、加熱回転ベルト93の発熱量を調整することができる。そのため、センターコア回転制御部101は、このような制御を用紙幅方向D2の全域にわたって行うことができる。これにより、用紙幅方向D2において加熱回転ベルト93の外周面の温度ムラを低減することができる。
例えば、図9に示すように、本実施形態の定着装置9(図9に示す実線)は、一つ又は複数のセンター分割コア736を回転させる制御を行わない場合(図9に示す点線)と比較して、用紙幅方向D2の中央部分の温度を低下させることにより、用紙幅方向D2の全域において、加熱回転ベルト93の外周面の温度ムラを低減することができる。このように、定着装置9は、用紙幅方向D2において加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。
ステップST4におけるセンターコア回転制御部101がセンターコア回転部155を制御して一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれを回転させた後に、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれを回転させることにより温度ムラが解消しているかを確認するため、ステップST3に戻る。
ステップST5において、定着装置9は、用紙幅方向D2において温度ムラが低減された状態で、定着ニップFにおいて所定の定着温度に加熱される。具体的には、加熱回転ベルト93の回転により、加熱回転ベルト93における電磁誘導加熱(IH)により発熱された部分は、定着装置9における加熱回転体9a(加熱回転ベルト93)と加圧ローラ9bとにより形成される定着ニップFに向けて順次移動される。また、加熱回転ベルト93に当接する加熱ローラ91、定着ローラ92及び加圧ローラ9bには、電磁誘導加熱により発熱された加熱回転ベルト93の熱が伝達される。
定着装置9は、定着ニップFにおいて、所定の温度になるように、温度センサ95に検知される加熱回転ベルト93の外周面の温度に基づいて、誘導加熱用回路部(不図示)を制御している。このように、定着装置9は、電磁誘導加熱により発熱された加熱回転ベルト93により、定着ニップFにおいて所定の温度になるように加熱される。
ステップST6において、トナー画像が形成された用紙Tは、定着装置9における定着ニップFに導入される。そして、定着ニップFにおいて、トナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。これにより、制御が終了する。
本実施形態のプリンタ1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態におけるプリンタ1においては、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱により発熱される第1周方向R1に回転可能な加熱回転ベルト93と、加熱回転ベルト93に対向して配置され第2周方向R2に回転可能な加圧ローラ9bと、加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間すると共に加熱回転ベルト93の外周面に沿って配置され、線材を巻き回して形成され、加熱回転ベルト93を発熱させるための磁束を発生させる誘導コイル71と、誘導コイル71における内周縁の内側と外周縁の外側とを通り誘導コイル71を構成する線材を囲むように周回方向R3に周回する磁路を形成する磁性体コア部72であって、誘導コイル71における線材の部分を挟んで加熱回転ベルト93の外周面に対向する複数のアーチコア74と、周回方向R3において複数のアーチコア74と並んで誘導コイル71の内周縁711Aの近傍に配置され、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間して加熱回転ベルトの外周面に対向する面を有するセンターコア73と、周回方向R3において複数のアーチコア74と並んで誘導コイル71の外周縁711Bの近傍に配置され、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間して加熱回転ベルトの外周面に対向する面を有するサイドコア75と、を有する磁性体コア部72と、を備え、前記センターコア73は、用紙幅方向D2に延びるように形成されるセンターコア回転軸J4を中心に回転可能であると共にセンターコア回転軸J4方向に並んで配置される複数のセンター分割コア736であって、センターコア回転軸J4を中心に回転されることで複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更可能に配置される複数のセンター分割コア736を有する。
本実施形態におけるプリンタ1においては、電磁誘導を利用した電磁誘導加熱により発熱される第1周方向R1に回転可能な加熱回転ベルト93と、加熱回転ベルト93に対向して配置され第2周方向R2に回転可能な加圧ローラ9bと、加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間すると共に加熱回転ベルト93の外周面に沿って配置され、線材を巻き回して形成され、加熱回転ベルト93を発熱させるための磁束を発生させる誘導コイル71と、誘導コイル71における内周縁の内側と外周縁の外側とを通り誘導コイル71を構成する線材を囲むように周回方向R3に周回する磁路を形成する磁性体コア部72であって、誘導コイル71における線材の部分を挟んで加熱回転ベルト93の外周面に対向する複数のアーチコア74と、周回方向R3において複数のアーチコア74と並んで誘導コイル71の内周縁711Aの近傍に配置され、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間して加熱回転ベルトの外周面に対向する面を有するセンターコア73と、周回方向R3において複数のアーチコア74と並んで誘導コイル71の外周縁711Bの近傍に配置され、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間して加熱回転ベルトの外周面に対向する面を有するサイドコア75と、を有する磁性体コア部72と、を備え、前記センターコア73は、用紙幅方向D2に延びるように形成されるセンターコア回転軸J4を中心に回転可能であると共にセンターコア回転軸J4方向に並んで配置される複数のセンター分割コア736であって、センターコア回転軸J4を中心に回転されることで複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更可能に配置される複数のセンター分割コア736を有する。
そのため、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれを回転させることにより、一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93との距離を変更することができる。これにより、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。従って、定着装置9は、用紙幅方向D2における定着温度の温度ムラを低減することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、センター分割コア736は、センターコア回転軸J4に直交する方向における断面形状が略楕円形状である。そのため、センター分割コア736を回転させる角度を調整することにより、一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93との距離を細かく調整することができる。これにより、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを一層低減することができる。従って、定着装置9は、用紙幅方向D2における定着温度の温度ムラを低減することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、用紙幅方向D2に並んで配置され、加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2における複数箇所の温度を検知する複数の温度センサ95と、複数のセンター分割コア736それぞれをセンターコア回転軸J4を中心に回転させる回転駆動部158と、複数の温度センサ95により検知された温度に基づいて、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更させるよう回転駆動部158を制御するセンターコア回転制御部101と、を備える。そのため、センターコア回転制御部101は、複数のセンター分割コア736それぞれの回転角度を調整して、用紙幅方向D2における全域において加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。これにより、定着装置9は、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、センターコア回転制御部101は、複数の温度検知部材のうちの所定の温度センサ95により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第1温度以上高い場合には、所定の温度センサ95に対応するセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離が長くなるようにセンター分割コア736を回転させるよう回転駆動部を制御し、複数の温度検知部材のうちの所定の温度センサ95により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第2温度以上低い場合には、所定の温度センサ95に対応するセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離が短くなるようにセンター分割コア736を回転させるよう回転駆動部を制御する。
そのため、複数の温度センサのうちの所定の温度センサ95により測定された温度が所定の基準温度から所定の第1温度以上高い場合に、所定の温度センサ25に対応するセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離を長くなるように変更することにより加熱回転ベルト93の発熱量を下げることができる。また、複数の温度センサのうちの所定の温度センサ95により測定された温度が所定の基準温度から所定の第2温度以上低い場合に、所定の温度センサ25に対応するセンター分割コア736の外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離を短くなるように変更することにより加熱回転ベルト93の発熱量を上げることができる。これにより、定着装置9は、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、センターコア73は、誘導コイル71の内周縁の近傍に配置される。そのため、加熱回転ベルト93の外周面と一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれとの距離に対しての加熱回転ベルト93の発熱量の影響(感度)は、他の磁性体コア間の空気部分と比べて大きくなっている。従って、一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更することにより、加熱回転ベルト93の発熱量を好適に調整することができる。
また、センターコア73は、一対の複数のアーチコア74、74により形成される異なる2つの磁路を通過する磁束が合流される磁路である。そのため、誘導コイル71、アーチコア74又はサイドコア75が熱等により変形したり固定位置が移動した場合であっても、加熱回転ベルト93の外周面と一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと距離を調整することにより、加熱回転ベルト93の用紙幅方向D2における外周面の温度ムラを好適に低減することができる。
また、本実施形態のプリンタ1においては、加熱回転体9aは、第1回転軸J1を中心に回転可能な定着ローラ92と、定着ローラ92に対向して配置され、第2回転軸J2を中心に回転可能な加熱ローラ91と、第1周方向R1に回転可能な加熱回転ベルト93であって、定着ローラ92と加熱ローラ91とに掛け渡される加熱回転ベルト93と、を有して構成され、加圧回転体9bは、定着ローラ92に対向して配置され、第3回転軸J3を中心に回転可能であると共に、定着ローラ92とにより加熱回転ベルト93を挟み込んで定着ニップFを形成する加圧ローラ9bにより構成される。そのため、熱容量の小さい加熱回転ベルト93を電磁誘導加熱(IH)により発熱させる構成とすることができる。これにより、定着装置9は、ウォームアップ時間の短縮(急速な加熱)が可能となる。
以下に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は援用される。
本発明の第2実施形態について説明する。図10Aは、第2実施形態のプリンタ1における定着装置9Aの各構成要素を説明するための断面図である。図10Bは、図10Aに示す定着装置9Aにおける複数のアーチコア74を複数のセンター分割コア736の回転に追従させて移動させた状態を説明する図である。
第2実施形態における定着装置9Aにおいては、複数のアーチコア74が移動可能に構成される点、及び複数のアーチコア74それぞれを移動させる移動部としてのアーチコア移動部820を備える点において第1実施形態における定着装置9とは異なる。
第2実施形態における定着装置9Aにおいては、図10A及び図10Bに示すように、複数のアーチコア74それぞれは、周回方向R3においてセンターコア73における複数のセンター分割コア736それぞれに並んだ状態で、複数のセンター分割コア736それぞれに当接して配置される。具体的には、複数のアーチコア74それぞれにおける複数のセンター分割コア736それぞれに隣接して対向する面が複数のセンター分割コア736の外周面に当接している。
また、一つ又は複数のアーチコア74それぞれは、周回方向R3において一つ又は複数のアーチコア74それぞれと並んで配置される一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれに向かう方向、又は、周回方向R3において一つ又は複数のアーチコア74それぞれと並んで配置される一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれから離れる方向に移動可能に構成される。一つ又は複数のアーチコア74それぞれは、一つ又は複数のアーチコア74それぞれにおける誘導コイル71の外周縁の近傍側において、支点軸810を中心に回動可能に支持される。
一つ又は複数のアーチコア74それぞれは、後述するアーチコア移動部820により支点軸810を中心に回動されることにより、周回方向R3において一つ又は複数のアーチコア74それぞれと並んで配置される一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれに向かう方向、又は、周回方向R3において一つ又は複数のアーチコア74それぞれと並んで配置される一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれから離れる方向に移動される。
アーチコア移動部820は、一つ又は複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと一つ又は複数のアーチコア74それぞれとが当接された状態を維持した状態で、一つ又は複数のアーチコア74それぞれを移動させる。アーチコア移動部820は、複数の付勢部材821と、固定板部材822とを有する。
固定板部材822は、一対の複数のアーチコア74、74に対して搬送方向D1における下流側及び上流側に対をなして配置される。一対の固定板部材822は、複数のアーチコア74における垂直方向の上方側の外面から搬送方向D1の下流側及び上流側に離間して、複数のアーチコア74における垂直方向の上方側の外面に対向して配置される。固定板部材822は、用紙幅方向D2に延びるように形成され、プリンタ1における装置本体Mのケースやその他の部材に固定される。
複数の付勢部材821それぞれは、複数のアーチコア74それぞれにおける垂直方向の上方側の外面と固定板部材822との間に配置される。そのため、複数の付勢部材821それぞれは、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと複数のアーチコア74それぞれとが当接した状態において、複数のセンター分割コア736それぞれに当接された状態を維持するように複数のアーチコア74それぞれを複数のセンター分割コア736それぞれに向かう方向に向けて付勢する。
これにより、図10A及び図10Bに示すように、一つ又は複数のアーチコア74それぞれは、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれに当接された状態を維持しつつ、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれの回転に追従して移動する。従って、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれと一つ又は複数のアーチコア74それぞれとの距離は、変化しない状態で維持される。
ここで、加熱回転ベルト93の発熱量は、加熱回転ベルト93を通過する磁束の量に比例するといえる。また、加熱回転ベルト93を通過する磁束の量は、複数のアーチコア74それぞれと複数のセンター分割コア736それぞれとの間の距離に影響される。そのため、複数のアーチコア74それぞれが複数のセンター分割コア736それぞれに当接された状態で維持されるため、複数のアーチコア74それぞれと複数のセンター分割コア736それぞれとの間の距離は、変化しない。これにより、複数のアーチコア74それぞれと複数のセンター分割コア736それぞれとの距離に起因する加熱回転ベルト93の発熱量については、変化しない状態となる。
その結果、本実施形態における定着装置9Aは、複数のセンター分割コア736それぞれと複数のアーチコア74それぞれとの距離を維持した状態、つまり、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと複数のアーチコア74それぞれとを接触させた状態で、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更することで、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の発熱量を精度よく調整することができる。
第2実施形態のプリンタ1によれば、第1実施形態で示した効果の他に、次のような効果が奏される。
第2実施形態のプリンタ1においては、複数のアーチコア74それぞれは、周回方向R3において複数のアーチコア74それぞれと並んで配置される複数のセンター分割コア736それぞれに向かう方向、又は、周回方向R3において複数のアーチコア74それぞれと並んで配置される複数のセンター分割コア736それぞれから離れる方向に移動可能に構成され、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと複数のアーチコア74それぞれとが当接された状態を維持又は一定の距離を維持した状態で、複数のアーチコア74それぞれを移動させるアーチコア移動部820を備える。そのため、複数のセンター分割コア736それぞれと複数のアーチコア74それぞれとの距離を変化しない状態で維持することができる。これにより、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更することで、複数のセンター分割コア736それぞれと複数のアーチコア74それぞれとの距離を維持することにより、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の発熱量を精度よく調整することができる。これにより、定着装置9Aは、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。
第2実施形態のプリンタ1においては、複数のアーチコア74それぞれは、周回方向R3において複数のアーチコア74それぞれと並んで配置される複数のセンター分割コア736それぞれに向かう方向、又は、周回方向R3において複数のアーチコア74それぞれと並んで配置される複数のセンター分割コア736それぞれから離れる方向に移動可能に構成され、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと複数のアーチコア74それぞれとが当接された状態を維持又は一定の距離を維持した状態で、複数のアーチコア74それぞれを移動させるアーチコア移動部820を備える。そのため、複数のセンター分割コア736それぞれと複数のアーチコア74それぞれとの距離を変化しない状態で維持することができる。これにより、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更することで、複数のセンター分割コア736それぞれと複数のアーチコア74それぞれとの距離を維持することにより、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の発熱量を精度よく調整することができる。これにより、定着装置9Aは、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。
また、アーチコア移動部820は、複数のセンター分割コア736の外周面それぞれと複数のアーチコア74それぞれとが当接した状態において、複数のセンター分割コア736それぞれに当接された状態を維持するように一つ又は複数のアーチコア74それぞれを一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれに向かう方向に向けて付勢する一つ又は複数の付勢部材821を有する。そのため、付勢部材821により付勢する簡易な構成により、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の発熱量を精度よく調整することができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態のプリンタ1における定着装置9Bの各構成要素を説明するための断面図である。
第3実施形態のセンターコア73Aについて説明する。第3実施形態のセンターコア73Aは、用紙幅方向D2に長い略円筒状に形成される。センターコア73Aは、用紙幅方向D2において、最大通紙領域よりも長く形成される。
センターコア73Aは、センターコアシャフト735Aに固定されて支持される。センターコアシャフト735Aは、用紙幅方向D2に延びるように形成される。センターコアシャフト735Aは、センターコア73Aの内周側における中空部に、センターコア73Aを貫通するように配置されている。センターコアシャフト735Aは、センターコア73Aの両端部から用紙幅方向D2の外側それぞれに突出する。センターコアシャフト735Aの両端部は、プリンタ1における装置本体Mのケースやその他の部材に固定される。
第3実施形態の一対のサイドコア75A、75Aについて説明する。第3実施形態のサイドコア75Aに係る構成は、第1実施形態におけるセンターコア73とは、配置される位置について異なる。しかし、第3実施形態のサイドコア75Aに係る主な構成は、第1実施形態におけるセンターコア73に係る構成と同様の構成である。そのため、第3実施形態のサイドコア75Aの複数のサイド分割コア756の説明については、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態におけるセンターコア73のセンター分割コア736に関する構成の説明が適宜適用又は援用される。
第3実施形態の一対のサイドコア75A、75Aは、前述の第1実施形態の一対のサイドコア75、75と同様に、誘導コイル71における外周縁に配置される線材711Bの外側の近傍に配置される。一対のサイドコア75A、75Aそれぞれは、誘導コイル71における線材の部分を挟まずに加熱回転ベルト93の外周面(外面)から所定距離だけ離間して加熱回転ベルト93の外周面に対向する面を有して配置される。
第3実施形態のサイドコア75Aは、複数のサイド分割コア756を有する。複数のサイド分割コア756それぞれは、用紙幅方向D2に延びるように形成されるコア回転軸としてのサイドコア回転軸J5を中心に回転可能に構成される。
複数のサイド分割コア756それぞれは、用紙幅方向D2において所定の長さを有する筒状に形成されている。複数のサイド分割コア756それぞれは、サイドコア回転軸J5に直交する方向における断面形状が略楕円形状に形成される。本実施形態においては、複数のサイド分割コア756それぞれの断面形状は、直径の長さが長い径である長径と、直径の長さが短い径である短径とを有する略断面形状である。
複数のサイド分割コア756それぞれは、互いに当接又は近接した状態でサイドコア回転軸J5方向に並んで配置される。サイドコア75は、複数のサイド分割コア756が用紙幅方向D2に並んだ状態で、用紙幅方向D2において、最大通紙領域よりも長く形成される。
複数のサイド分割コア756それぞれは、サイドコアシャフト755に回転可能に支持される。サイドコアシャフト755は、用紙幅方向D2に延びるように形成される。
複数のサイド分割コア756それぞれは、断面形状が略楕円形状に形成されるため、サイドコア回転軸J5を中心に回転することで、複数のサイド分割コア756の外周面(外面)それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更可能に配置される。
複数のサイド分割コア756を回転させる不図示のサイドコア回転部に関する構成は、前述の第1実施形態におけるセンターコア回転部155に係る構成と同様であるため、第1実施形態におけるセンターコア回転部の説明を援用して説明を省略する。また、サイドコア回転部(不図示)を制御する駆動制御部としての不図示のサイドコア回転制御部に関する構成についても、前述の第1実施形態におけるセンターコア回転制御部101に係る構成と同様であるため、第1実施形態におけるセンターコア回転制御部101の説明を援用して説明を省略する。
第3実施形態においては、複数のサイド分割コア756それぞれは、加熱回転ベルト93の外周面から所定距離だけ離間して配置されている。つまり、サイド分割コア756それぞれは、加熱回転ベルト93との間に空気部分を挟んだ状態で、加熱回転ベルト93の外周面に対向している。
ここで、加熱回転ベルト93の外周面とサイド分割コア756の外周面それぞれとの距離である空気部分の大きさの変動は、他の磁性体コア間の空気部分(例えば、センターコア73Aとアーチコア74との間の空気部分、アーチコア74とサイドコア75Aとの間の空気部分)の大きさの変動と比較して、加熱回転ベルト93の外周面とセンターコア73Aの外周面との間の空気部分の大きさの変動の次に、加熱回転ベルト93の発熱量に対する影響が大きい。つまり、加熱回転ベルト93の外周面とサイド分割コア756の外周面それぞれとの距離に対しての加熱回転ベルト93の発熱量の感度は、加熱回転ベルト93の外周面とセンターコア73Aの外周面との間の空気部分の大きさの変動の次に大きくなっている。
従って、本実施形態における定着装置9は、加熱回転ベルト93に対するサイド分割コア756それぞれの距離を調整することにより、空気部分の大きさを変更して加熱回転ベルト93の発熱量を好適に調整することができる。
第3実施形態のプリンタ1によれば、第1実施形態で示した効果の他に、次のような効果が奏される。
第3実施形態のプリンタ1においては、サイドコア75は、誘導コイル71の外周縁の近傍に配置される。そのため、加熱回転ベルト93の外周面とサイド分割コア756の外周面それぞれとの距離に対しての加熱回転ベルト93の発熱量の影響(感度)は、他の磁性体コア間の空気部分と比べて、加熱回転ベルト93の外周面とセンターコア73の外周面との間の空気部分の大きさの変動の次に大きくなっている。従って、サイド分割コア756の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更することにより、加熱回転ベルト93の発熱量を好適に調整することができる。これにより、定着装置9Bは、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。
第3実施形態のプリンタ1においては、サイドコア75は、誘導コイル71の外周縁の近傍に配置される。そのため、加熱回転ベルト93の外周面とサイド分割コア756の外周面それぞれとの距離に対しての加熱回転ベルト93の発熱量の影響(感度)は、他の磁性体コア間の空気部分と比べて、加熱回転ベルト93の外周面とセンターコア73の外周面との間の空気部分の大きさの変動の次に大きくなっている。従って、サイド分割コア756の外周面それぞれと加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更することにより、加熱回転ベルト93の発熱量を好適に調整することができる。これにより、定着装置9Bは、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを低減することができる。
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の第1実施形態においては、センターコア回転制御部101は、複数の温度センサ95により検知された温度に基づいて、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれの外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更するようにセンターコア回転部155を制御しているが、これに制限されない。例えば、センターコア回転制御部101は、磁気センサにより検知された磁束の量又は磁界の大きさに基づいて、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれの外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更するようにセンターコア回転部155を制御してもよい。
例えば、前述の第1実施形態においては、センターコア回転制御部101は、複数の温度センサ95により検知された温度に基づいて、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれの外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更するようにセンターコア回転部155を制御しているが、これに制限されない。例えば、センターコア回転制御部101は、磁気センサにより検知された磁束の量又は磁界の大きさに基づいて、一つ又は複数のセンター分割コア736それぞれの外周面と加熱回転ベルト93の外周面との距離を変更するようにセンターコア回転部155を制御してもよい。
また、前述の第1実施形態においては、第2コアをセンターコア73により構成している。また、前述の第3実施形態においては、第2コアをサイドコア75により構成している。しかし、本発明は、これに制限されない。例えば、第2コアをセンターコア73及びサイドコア75の両方で構成することにより、用紙幅方向D2における加熱回転ベルト93の温度ムラを一層低減することができる。
また、前述の第1実施形態においては、サイドコア75が略直方体形状に形成されているが、これに制限されない。例えば、サイドコア75は、用紙幅方向D2に長い円筒形状又は円柱形状に形成されていてもよい。
また、前述の実施形態において、加熱回転ベルト89を、強磁性材料を主体とする構成としているが、これに制限されない。例えば、加熱ローラ91を、強磁性材料を主体とする構成とすることで、加熱回転ベルト89を、非磁性材料を主体とする構成としてもよい。
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、プリンタ以外に、コピー機、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
1……プリンタ(画像形成装置)、2……感光体ドラム(像担持体)、8……転写ローラ(転写部)、9……定着装置、9a……加熱回転体、9b……加圧回転体、加圧ローラ、16……現像器、71……誘導コイル、72……磁性体コア部、73……センターコア(第2コア)、74……アーチコア(第1コア)、75……サイドコア(第3コア)、91……加熱ローラ、92……定着ローラ、93……加熱回転ベルト、95……温度センサ(温度検知部材)、101……センターコア回転制御部(駆動制御部)、158……回転駆動部、736……センター分割コア(分割コア)、756……サイド分割コア(分割コア)、820……移動部(アーチコア移動部)、821……付勢部材、D2……用紙幅方向(第1周方向R1に直交する方向)、R1……第1周方向、R2……第2周方向、R3……周回方向、T……用紙(被転写材)
Claims (8)
- 電磁誘導を利用した電磁誘導加熱により発熱される環状の加熱回転体であって、該加熱回転体の周方向である第1周方向に回転可能な加熱回転体と、
前記加熱回転体に対向して配置される環状の加圧回転体であって、該加圧回転体の周方向である第2周方向に回転可能であると共に、前記加熱回転体と定着ニップを形成する加圧回転体と、
前記加熱回転体の外面から所定距離離間すると共に前記外面に沿って配置され、線材を巻き回して形成され、前記加熱回転体を発熱させるための磁束を発生させる誘導コイルと、
前記誘導コイルにおける内周縁の内側と外周縁の外側とを通り該誘導コイルを構成する前記線材を囲むように周回する磁路を形成する磁性体コア部であって、
前記誘導コイルにおける前記線材の部分を挟んで前記加熱回転体の外面に対向する1又は複数の第1コアと、
前記磁路の周回方向において前記1又は複数の第1コアと並んで前記誘導コイルの内周縁の近傍に配置され、前記誘導コイルにおける前記線材の部分を挟まずに前記加熱回転体の外面から所定距離離間して前記加熱回転体の外面に対向する面を有する第2コアと、
前記磁路の周回方向において前記1又は複数の第1コアと並んで前記誘導コイルの外周縁の近傍に配置され、前記誘導コイルにおける前記線材の部分を挟まずに前記加熱回転体の外面から所定距離離間して前記加熱回転体の外面に対向する面を有する第3コアであって、前記第1周方向に直交する方向に長い第3コアと、を有する磁性体コア部と、を備え、
前記第2コアは、
前記第1周方向に直交する方向に延びるように形成されるコア回転軸を中心に回転可能であると共に、前記コア回転軸方向に並んで配置される複数の分割コアであって、前記コア回転軸を中心に回転されることで該複数の分割コアの外面それぞれと前記加熱回転体の外面との距離を変更可能に配置される複数の分割コアを有する
定着装置。 - 前記分割コアは、前記コア回転軸に直交する方向における断面形状が略楕円形状である
請求項1に記載の定着装置。 - 前記第1周方向に直交する方向に並んで配置され、前記加熱回転体の前記第1周方向に直交する方向における複数箇所の温度を検知する複数の温度検知部材と、
前記複数の分割コアそれぞれを前記コア回転軸を中心に回転させる回転駆動部と、
前記複数の温度検知部材により検知された温度に基づいて、前記複数の分割コアの外面それぞれと前記加熱回転体の外面との距離を変更させるよう前記回転駆動部を制御する駆動制御部と、を備える
請求項1又は2に記載の定着装置。 - 前記駆動制御部は、
前記複数の温度検知部材のうちの所定の前記温度検知部材により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第1温度以上高い場合には、前記複数の分割コアのうちの前記所定の温度検知部材に対応する所定の前記分割コアの外面と前記加熱回転体の外面との距離が長くなるように前記所定の分割コアを回転させるよう前記回転駆動部を制御し、
前記複数の温度検知部材のうちの所定の前記温度検知部材により検知された温度が所定の基準温度よりも所定の第2温度以上低い場合には、前記複数の分割コアのうちの前記所定の温度検知部材に対応する所定の前記分割コアの外面と前記加熱回転体の外面との距離が短くなるように前記所定の分割コアを回転させるよう前記回転駆動部を制御する
請求項3に記載の定着装置。 - 前記1又は複数の第1コアそれぞれは、前記磁路の周回方向において前記1又は複数の第1コアそれぞれと並んで配置される前記1又は複数の分割コアそれぞれに向かう方向、又は、前記磁路の周回方向において前記1又は複数の第1コアそれぞれと並んで配置される前記1又は複数の分割コアそれぞれから離れる方向に移動可能に構成され、
前記1又は複数の分割コアの外面それぞれと前記1又は複数の第1コアそれぞれとが当接された状態を維持又は一定の距離を維持した状態で、前記1又は複数の第1コアそれぞれを移動させる移動部を備える
請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。 - 前記移動部は、
前記1又は複数の分割コアの外面それぞれと前記1又は複数の第1コアそれぞれとが当接した状態において、前記1又は複数の分割コアそれぞれに当接された状態を維持するように前記1又は複数の第1コアそれぞれを前記1又は複数の分割コアそれぞれに向かう方向に向けて付勢する1又は複数の付勢部材を有する
請求項5に記載の定着装置。 - 前記加熱回転体は、
前記第1周方向に直交する方向に延びるように形成される第1回転軸を中心に回転可能な定着ローラと、
前記定着ローラに対向して配置され、前記第1周方向に直交する方向に延びるように形成される第2回転軸を中心に回転可能な加熱ローラと、
前記第1周方向に回転可能な環状の加熱回転ベルトであって、前記定着ローラと前記加熱ローラとに掛け渡される加熱回転ベルトと、を有して構成され、
前記加圧回転体は、前記定着ローラに対向して配置され、前記第1周方向に直交する方向に延びるように形成される第3回転軸を中心に回転可能であると共に、前記定着ローラとにより前記加熱回転ベルトを挟み込んで定着ニップを形成する加圧ローラにより構成される
請求項1から6のいずれかに記載の定着装置。 - 表面に静電潜像が形成される1又は複数の像担持体と、
前記1又は複数の像担持体に形成された静電潜像をトナー画像として現像する現像器と、
前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的にシート状の被転写材に転写する転写部と、
請求項1から7のいずれかに記載の定着装置と、を備える
画像形成装置。
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