JP2012008159A - ディスプレイ用フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】
良好な反射防止性を有し、かつ低価格化が図られたディスプレイ用フィルターを提供する。
【解決手段】
基材フィルム、メッシュ状導電層、ハードコート層、及び高屈折率層と低屈折率層とからなる反射防止層をこの順に有するディスプレイ用フィルターであって、前記ハードコート層表面の中心線平均粗さRaが60nm未満で、かつ前記反射防止層を構成する高屈折率層と低屈折率層が単一層の相分離によって形成されたものである、ディスプレイ用フィルター。
【選択図】なし

Description

本発明は、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイの前面に装着されるディスプレイ用フィルターに関する。詳しくは、電磁波遮蔽性を有し、かつ反射防止性に優れる低価格のディスプレイ用フィルターに関し、特にプラズマディスプレイに好適なディスプレイ用フィルターに関する。
CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び有機ELディスプレイ等のディスプレイは、通常、その前面に、反射防止性、電磁波遮蔽性、あるいは近赤外線遮蔽性等の機能を有するディスプレイ用フィルターが装着されている。特にプラズマディスプレイは強度な電磁波が発生するため、電磁波遮蔽機能を有するディスプレイ用フィルターが通常用いられている。
また、ディスプレイ用フィルターには、蛍光灯等の外光の反射を防止するための反射防止機能やディスプレイ用フィルターに傷等が発生することを防止するためのハードコート機能も一般的に付与されている。
従来、ディスプレイ用フィルターとしては、電磁波遮蔽機能を有する電磁波遮蔽フィルム(基材フィルムに電磁波遮蔽層を積層したフィルム)と、反射防止性やハードコート性を有する光学フィルム(基材フィルムに反射防止層やハードコート層が積層されたフィルム)とが粘着剤層で積層されたディスプレイ用フィルターが一般に用いられている。
近年、ディスプレイの低価格化に伴ってディスプレイ用フィルターも低価格化が余儀なくされている。上記のような複数枚のフィルムからなるディスプレイ用フィルターに対して、電磁波遮蔽フィルムの電磁波遮蔽層(メッシュ状導電層)上に、直接に反射防止層やハードコート層等の表面層を積層することによって、基材フィルム数が低減されて低価格化が図られる。
上記の態様において、良好なハードコート性(耐擦傷性機能)と良好な反射防止性を確保するために、メッシュ状導電層上にハードコート層と反射防止層を積層することが知られている(特許文献1〜3)。上記特許文献1〜3には、メッシュ状導電層上に直接にハードコート層を塗工形成し、更にハードコート層上に高屈折率層と低屈折率層からなる反射防止層を積層することが開示されている。
一方、反射防止フィルムに用いられる反射防止層として、単一層の相分離によって高屈折率層と低屈折率層を形成することが知られている(例えば特許文献4、5)。この相分離タイプの反射防止層は、1つの層を1回塗工するだけで、高屈折率層と低屈折率層を相分離によって形成するというものである。
特開2007−243158号公報 特開2008−166733号公報 特開2009−223292号公報 特開2000−53921号公報 特開2008−70414号公報
上記特許文献1〜3に記載されているように、メッシュ状導電層上にハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層をそれぞれ積層する場合、通常、3回の塗工が必要であり、生産性が低くなると言う問題がある。そこで、メッシュ状導電層上に積層されたハードコート層上に、上記特許文献4、5に記載されている相分離タイプの反射防止層を積層することによって、塗工回数が軽減でき、生産性が向上する。
一方、メッシュ状導電層上に直接にハードコート層を積層すると、通常、メッシュ状導電層の凹凸構造に起因する、比較的大きな凹凸構造がハードコート層に形成される。このような比較的大きな凹凸構造を持ったハードコート層上に、上記した相分離タイプの反射防止層を塗工した場合、十分な反射防止性が得られないと言う問題が起こった。
従って、本発明の目的は、上記問題に鑑み、良好な反射防止性を有し、かつ低価格化が図られたディスプレイ用フィルターを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1)基材フィルム、メッシュ状導電層、ハードコート層、及び高屈折率層と低屈折率層とからなる反射防止層をこの順に有するディスプレイ用フィルターであって、前記ハードコート層表面の中心線平均粗さRaが60nm未満で、かつ前記反射防止層を構成する高屈折率層と低屈折率層が単一層の相分離によって形成されたものである、ディスプレイ用フィルター。
2)前記反射防止層側の視感反射率が2.0%未満である、前記1)のディスプレイ用フィルター。
3)前記メッシュ状導電層の厚みが8μm未満である、前記1)または2)のディスプレイ用フィルター。
本発明によれば、良好な反射防止性を有するディスプレイ用フィルターを生産性よく製造することができ、かつ基材フィルム数の低減が可能であるために低価格化を実現することができる。
本発明のディスプレイ用フィルターは、基材フィルム、メッシュ状導電層、ハードコート層、及び高屈折率層と低屈折率層とからなる反射防止層をこの順に有するディスプレイ用フィルターである。そして、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaは60nm未満で、ハードコート層上に積層される反射防止層は、単一層の相分離によって高屈折率層と低屈折率層が形成されたものである。
ここで、本発明の反射防止層を構成する高屈折率層と低屈折率層とは、お互いの屈折率を比較して、相対的に屈折率が高い方の層が高屈折率層であり、相対的に屈折率の低い方の層が低屈折率層である。
従来から一般的に用いられているメッシュ状導電層の厚みは9〜10μm程度であり、このような厚みのメッシュ状導電層が設けられた基材フィルムのメッシュ状導電層上にハードコート層を積層した場合、ハードコート層にはメッシュ状導電層のメッシュパターンの凹凸に起因する、比較的大きな凹凸構造が形成され、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaは比較的大きくなる。
上記したような中心線平均粗さRaが比較的大きいハードコート層表面に、単一層の相分離によって高屈折率層と低屈折率層を形成する反射防止層を積層した場合、十分な反射防止性が得られないということが判明した。詳細な理由は定かではないが、反射防止層の相分離性にハードコート層表面の中心線平均粗さRaの大きさが関係しており、Raが大きいと安定で均一な相分離が起こらないために十分な反射防止性が得られないと推測される。
そこで、鋭意検討した結果、メッシュ状導電層上に積層されたハードコート層表面の中心線平均粗さRaを60nm未満とすることによって、このハードコート層上に積層された反射防止層(単一層の相分離によって高屈折率層と低屈折率層を形成する反射防止層)が十分な反射防止性を発現することを見いだした。
本発明において、メッシュ状導電層上に積層されたハードコート層表面の中心線平均粗さRaは小さい方が好ましく、具体的には50nm未満が好ましく、40nm未満がより好ましく、特に30nm未満が好ましい。中心線平均粗さRaの下限は特に限定されないが、実質的には5nm程度である。
本発明において、反射防止層が積層された側の視感反射率は2.0%未満が好ましく、1.5%未満がより好ましい。上記視感反射率の実質的な下限は0.1%程度である。
基材フィルム、メッシュ状導電層、ハードコート層及び反射防止層がこの順に積層された本発明の構成において、中心線平均粗さRaが60nm未満のハードコート層上に、反射防止層が単一層の相分離によって高屈折率層と低屈折率層が形成されると視感反射率は2.0%未満となり、良好な反射防止性が得られる。特に、ハードコート層の中心線平均粗さRaが50nm未満、より好ましくは40nm未満、更には30nm未満である場合、該ハードコート層上に本発明にかかる反射防止層を塗工することによって、高屈折率層と低屈折率層が明確に相分離しやすくなり、その結果、視感反射率が1.5%未満となり、優れた反射防止性が得られる。一方、相分離が不十分であると視感反射率は2.0%以上となり、良好な反射防止性が得られない。
(反射防止層)
本発明の反射防止層は、高屈折率層と低屈折率層とが単一層の相分離によって形成されたものである。即ち、1つの塗料組成物を1回塗布し、乾燥(乾燥後必要に応じて硬化する)するのみで、高屈折率層と低屈折率層とが相分離によって形成されたものである。
反射防止層はハードコート層上に直接に積層されることが好ましく、ハードコート層上に直接に塗工された反射防止層の塗料組成物は、乾燥過程で相分離して高屈折率層がハードコート層側に低屈折率層が外側に形成される。
以下、単一層の相分離によって高屈折率層と低屈折率層を形成することができる塗料組成物(以下、単に塗料組成物と言う)について説明する。
塗料組成物は、高屈折率層形成成分と低屈折率層形成成分を含む。
高屈折率層形成成分としては、例えば金属酸化物粒子が挙げられる。かかる金属酸化物粒子としては、チタン、ジルコニウム、亜鉛、錫、アンチモン、アルミニウム、セリウム、鉄、鉄、インジウム等の金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子の屈折率は、1.6以上が好ましく、更に1.7〜2.8が好ましく、かかる金属酸化物粒子の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、リンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物粒子は単独で用いても良いし、複数併用してもよい。
上記金属酸化物粒子は、フッ素で表面処理されていないことが好ましい。
上記金属酸化物粒子の平均粒子径は、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が特に好ましい。平均粒子径の下限は1nm程度である。
上記金属酸化物粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察によって求めた平均粒子径である。
低屈折率層形成成分としては、例えば、フッ素化合物により表面処理された無機粒子(以下、フッ素処理無機粒子と言う)が挙げられる。フッ素処理無機粒子に好適な無機粒子としては、Si,Na,K,Ca,およびMgから選択される元素を含む無機粒子が好ましく挙げられ、さらに好ましくは、シリカ粒子(SiO)、アルカリ金属フッ化物(NaF,KFなど)、およびアルカリ土類金属フッ化物(CaF、MgFなど)から選ばれる化合物を含む無機粒子であり、耐久性、屈折率などの点からシリカ粒子が特に好ましい。
フッ素処理無機粒子に用いられる無機粒子の平均粒子径は、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が特に好ましい。平均粒子径の下限は1nm程度である。上記無機粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察によって求めた平均粒子径である。
フッ素処理無機粒子に好適に用いられるシリカ粒子としては、中空シリカ粒子(粒子の内部に空洞を有するシリカ粒子)や多孔質シリカ粒子(粒子の表面及び内部に細孔を有するシリカ粒子)が好ましく、特に中空シリカ粒子が好ましい。
シリカ粒子をフッ素化合物により表面処理するための好ましい方法として、例えば、シリカ粒子を下記一般式(1)で示される化合物で処理し、更に下記一般式(2)で示される化合物で処理することが好ましい。
A−R−SiR (OR3−n 一般式(1)
B−R−Rf 一般式(2)
上記一般式(1)、(2)において、A、Bはエチレン性不飽和基を示し、R、Rは炭素数1から3のアルキレン基及びそれらから導出されるエステル構造を示し、R、Rは水素又は炭素数が1から4のアルキル基を示し、Rfはフルオロアルキル基を示し、nは0又は1又は2のいずれかを示し、それぞれ側鎖を構造中に持っても良い。
上記エチレン性不飽和基とは、光または熱などのエネルギーをうけて発生したラジカルなどにより化学反応する官能基であり、具体例としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。
一般式(1)の具体例としては、(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、及びこれら化合物中のメトキシ基が他のアルコキシル基あるいは水酸基に置換された化合物などが挙げられる。
一般式(2)の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロ−3−メトキシブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上述したように、高屈折率層形成成分として金属酸化物粒子と、低屈折率層形成成分としてフッ素処理無機粒子とを含有する塗料組成物をハードコート層上に塗工した場合、フッ素処理無機粒子は表面自由エネルギーが低いため空気側(ハードコート層とは反対側)へ移動して低屈折率層を形成し、ハードコート層側には金属酸化物粒子からなる高屈折率層が形成するものと考えられる。
塗料組成物には、更に、樹脂成分を含むことができる。樹脂成分としては、熱及び/または活性エネルギー線などにより、硬化可能な樹脂であることが好ましくい。また、上記したフッ素処理無機粒子や金属酸化物粒子を膜中に保持するという観点より、分子中に、アルコキシシラン、アルコキシシランの加水分解物、あるいは反応性二重結合を有している樹脂成分であることが好ましい。
塗料組成物には、更に、開始剤、硬化剤、あるいは触媒を含むことが好ましい。開始剤及び触媒は、フッ素化合物により表面処理された無機粒子であると樹脂成分との反応を促進したり、樹脂成分との間の反応を促進するために用いられる。開始剤としては、塗料組成物をアニオン、カチオン、ラジカル反応等による重合および/または縮合および/または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
開始剤、硬化剤、触媒は、公知または周知のものを使用できる。また、複数の開始剤を同時に用いても良いし、単独で用いても良い。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤や光重合開始剤を併用しても良い。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸、酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、アリールケトン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
塗料組成物には、更に、各種シランカップリング剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を必要に応じて適宜添加しても良い。
本発明の反射防止層の厚みは、0.05〜0.5μmの範囲が好ましく、0.1〜0.4μmの範囲がより好ましく、特に0.1〜0.3μmの範囲が好ましい。
また、反射防止層は、ハードコート層上に直接に塗工によって積層されることが好ましい。
(ハードコート層)
本発明のハードコート層は、メッシュ状導電層が設けられた基材フィルムのメッシュ状導電層上に積層される。ハードコート層は、メッシュ状導電層上に直接に塗工によって積層されることが好ましい。
ハードコート層表面の中心線平均粗さRaは、60nm未満とすることが重要である。従って、ハードコート層は、メッシュ状導電層の凸部(細線部)と凹部(細線部と細線部で囲まれた開口部)を十分に被覆して、できるだけ平坦化し、メッシュ状導電層の凹凸構造に起因する凹凸構造がハードコート層表面にあまり現れないように、ハードコート層の厚みや塗工液物性、塗工乾燥条件等を選択する必要がある。
また、ハードコート層の厚みは、メッシュ状導電層の厚みに応じて適宜設定することが重要である。
従来から一般的に用いられているメッシュ状導電層は、厚みが9〜10μmの銅箔をエッチングしてメッシュパターンに加工されたものであり、このような厚みのメッシュ状導電層上にハードコート層を積層した場合、ハードコート層の厚みが20μm以上であっても、安定的に中心線平均粗さRaが60nm未満のハードコート層を形成することはできない。
本発明に用いられるメッシュ状導電層は、詳しくは後述するが、厚みは8μm未満が好ましく、7μm未満がより好ましく、特に6μm未満が好ましい。メッシュ状導電層の厚みを8μmより小さくすることによって、メッシュ状導電層上に積層されるハードコート層の厚みをあまり大きくせずとも中心線平均粗さRaを60nm未満にすることが可能である。ハードコート層の厚みが20μmより大きくなると、ディスプレイ用フィルターにカールが発生し易くなるという問題がある。
従って、本発明のハードコート層の厚みは、20μm以下が好ましく、18μm以下がより好ましく、特に16μm以下が好ましい。ハードコート層の厚みの下限は、メッシュ状導電層の凹凸を埋めて平坦化し、中心線平均粗さRaを60nm未満とするためには、3μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましい。
上記したように、メッシュ状導電層の厚みに応じてハードコート層の厚みを設定することが好ましい。例えば、メッシュ状導電層の厚みが3μm未満の場合は、ハードコート層の厚みは、3μm以上12μm以下の範囲で調整することが好ましく、4μm以上10μm以下の範囲で調整することがより好ましく、特に4μm以上8μm以下の範囲で調整することが好ましい。
また、メッシュ状導電層の厚みが3μm以上8μm未満の場合は、ハードコート層の厚みは、5μm以上20μm以下の範囲で調整することが好ましく、5μm以上18μm以下の範囲で調整することがより好ましく、特に6μm以上16μm以下の範囲で調整することが好ましい。
本発明において、メッシュ状導電層上に積層されるハードコート層の厚みは、メッシュ状導電層の開口部の重心における厚みである。
本発明のハードコート層は、樹脂成分として熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましく、特に、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のエチレン性不飽和基を有する、モノマー、オリゴマー、プレポリマーを適宜混合した組成物を用いることができる。
モノマーの例としては、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ(メタ)アクリレート等の単官能アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)トリアクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパン安息香酸エステル等の多官能アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート等のウレタンアクリレート等を挙げることができる。
オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルキット(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記した、モノマー、オリゴマー、プレポリマーは、単独もしくは複数混合して使用してもよいが、3官能以上の多官能モノマーを用いることが好ましい。
上記した、モノマー、オリゴマー、プレポリマーの重合を開始させるために、光重合開始剤を含有することが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
本発明にかかるハードコート層は、金属あるいは金属酸化物からなる粒子はあまり含有しないことが好ましい。金属あるいは金属酸化物からなる粒子を比較的多く含有するハードコート層をメッシュ状導電層上に積層した場合、メッシュ状導電層の細線部上に比較的大きな盛り上がりを形成することがあり、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaを60nm未満に安定的に生産することが難しくなる場合がある。また、金属あるいは金属酸化物からなる粒子を比較的多く含有するハードコート層は透明感を低下する場合がある。
従って、本発明にかかるハードコート層における金属あるいは金属酸化物からなる粒子の含有量は少ない方が好ましく、具体的にはハードコート層の固形分総量100質量%に対して20質量%未満であることが好ましく、10質量%未満であることがより好ましく、更に5質量%未満であることが好ましく、全く含有しないことが特に好ましい。
上記の金属あるいは金属酸化物からなる粒子としては、例えば、チタン、ジルコニウム、亜鉛、錫、アンチモン、アルミニウム、セリウム、鉄、鉄、インジウム等の金属あるいは金属酸化物からなる粒子が挙げられる。上記金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、リンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛等が挙げられる。
(メッシュ状導電層)
メッシュ状導電層は、ディスプレイから発生される電磁波を遮蔽する役目を有する。その意味において、メッシュ状導電層の表面抵抗率は低い方が好ましい。具体的には、メッシュ状導電層の表面抵抗率は3Ω/□以下が好ましく、1Ω/□以下がより好ましく、特に0.5Ω/□以下が好ましい。メッシュ状導電層の表面抵抗率の現実的な下限は0.01Ω/□程度である。
メッシュ状導電層の厚みは、メッシュ状導電層上に積層されるハードコート層の厚みをあまり大きくせずにハードコート層表面の中心線平均粗さRaを60nm未満とするという観点から、小さい方が好ましい。具体的には、メッシュ状導電層の厚みは、8μm未満が好ましく、7μm未満がより好ましく、更に6μm未満が好ましい。
一方、良好な電磁波遮蔽性を確保するという観点からは、メッシュ状導電層の厚みは0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、更に0.8μm以上が好ましく、特に1μm以上が好ましい。
メッシュ状導電層の線幅は、3〜50μm程度が適当であり、5〜40μmの範囲が好ましく、6〜30μmの範囲がより好ましく、特に8〜25μmの範囲が好ましい。メッシュ状導電層のピッチ(隣接する細線部と細線部との距離)は、50〜500μmの範囲が適当であり、75〜450nmの範囲が好ましく、100〜350μmの範囲が更に好ましい。
メッシュ状導電層のメッシュパターンの形状(開口部の形状)は、例えば、正方形、長方形、菱形等の4角形からなる格子状メッシュパターン、三角形、5角形、6角形、8角形、12角形のような多角形からなるメッシュパターン、円形、楕円形からなるメッシュパターン、前記の複合形状からなるメッシュパターン、及びランダムメッシュパターンが挙げられる。上記の中でも、4角形からなる格子状メッシュパターン、6角形からなるメッシュパターンが好ましく、更に規則的なメッシュパターンが好ましく用いられる。
メッシュ状導電層の製造方法としては、公知の方法を用いることができるが、基材フィルム上に接着剤を介在させずにメッシュ状導電層を形成して積層する製造方法が好ましい。かかる製造方法として、1)基材フィルム上に気相製膜法及び/またはメッキ法により金属薄膜を形成した後にエッチング処理してメッシュパターン化する方法、2)基材フィルム上に形成されたメッシュパターン状の無電解メッキ触媒層に無電解メッキを施す方法が好ましく用いられる。
上記1)の製造方法は、基材フィルム上に気相製膜法及び/またはメッキ法により金属薄膜を形成した後にエッチング処理してメッシュパターン化する方法であり、具体的には、基材フィルム上に金属薄膜を気相製膜法及び/またはメッキ法によって形成し、更にこの金属薄膜上にレジストパターンを形成した後、金属薄膜をエッチングする方法である。
基材フィルム上に金属薄膜を形成する方法として、気相製膜法、メッキ法のどちらか一方、あるいは気相製膜法とメッキ法とを併用する方法を用いることができるが、気相製膜法のみで金属薄膜を形成することが好ましい。気相法製膜法で金属薄膜を形成することによって、表面抵抗率が小さいメッシュ状導電層を薄膜で形成することができる。
気相製膜法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等が挙げられ、これらの1つの方法あるいは2以上の方法を組み合わせて用いることができる。本発明では、スパッタリング、イオンプレーティング、及び真空蒸着が好ましく、特にスパッタリング及び真空蒸着が好ましい。
金属薄膜を形成するための金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタンなどの金属の内、1種または2種以上を組合せた合金あるいは多層のものを使用することができる。これらの中でも、良好な電磁波シールド性が得られ、メッシュパターン加工が容易で、かつ低価格であるなどの点から、銅が好ましく用いられる。
また、金属薄膜の金属として銅を用いる場合は、基材フィルムと銅薄膜との間に、0.005〜0.1μmの厚みのニッケル薄膜を用いるのが好ましい。つまり、金属薄膜の金属として銅を用いる場合は、ニッケル薄膜と銅薄膜の積層構成とすることが好ましい。これによって、基材フィルムと銅薄膜の接着性が向上する。
また、金属薄膜の表面に、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物等の金属化合物を、気相製膜法で積層することができる。この金属化合物の積層によって、金属薄膜の反射色を調整することができる。かかる金属化合物としては、金、白金、銀、水銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、スズ、亜鉛、インジウム、パラジウム、イリジウム、コバルト、タンタル、アンチモン、及びチタン等の金属の酸化物、窒化物、あるいは硫化物が挙げられる。
上記の金属化合物の厚みは、0.005〜0.1μmの範囲が好ましく、0.01〜0.1μmの範囲がより好ましい。この金属化合物層は、金属薄膜の一部を構成し、更にメッシュ状導電層の一部を構成する。メッシュ状導電層の表面に金属化合物層を設けることは、干渉縞低減の観点から好ましい。
金属薄膜上にはレジストパターンが形成される。かかるレジストパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフ法や印刷法がある。
上記フォトリソグラフ法は、金属薄膜上にフォトレジスト層を積層し、所望のパターンのフォトマスクを介して露光、あるいはレーザーで直接に走査露光し、現像してレジストパターンを形成する方法である。金属薄膜上にフォトレジスト層を積層する方法としては、例えば、金属薄膜上にレジストフィルムを貼り付ける方法、あるいは液状レジストを塗布する方法が用いられる。
フォトレジスト層としては、露光部分が硬化し未露光部分が現像によって溶解するネガレジスト、あるいは逆に露光部分が現像によって溶解するポジレジストを用いることができる。フォトレジスト層の現像処理における環境問題を考慮すると、アルカリ現像型フォトレジストが好ましい。
フォトレジスト層の現像に用いられる現像液としては、アルカリ現像液が好ましい。かかるアルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができ、具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物を、0.5〜5質量%含有するアルカリ性水溶液を用いることができる。一般的には、上記炭酸塩を0.1〜3質量%程度含有する弱アルカリ性水溶液が用いられている。現像温度は、10〜50℃程度が適当であり、一般的には20〜40℃の範囲である。
金属薄膜上にレジストパターンを印刷法で形成する方法は、紫外線や電子線等で硬化する樹脂とアルカリ可溶性樹脂を含むインキをグラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の印刷法により所望のレジストパターンを金属薄膜上に形成する方法である。上記の印刷法の中でも、生産性よく高精細で連続的にメッシュパターンが形成できることからグラビア印刷が好ましく用いられる。
上記のようにして、金属薄膜上にレジストパターンを形成した後、金属薄膜をエッチング処理することによってメッシュ状導電層が形成される。最後に、メッシュ状導電層上に残るレジストパターンが剥離除去される。エッチング処理方法としては、ケミカルエッチング法がある。ケミカルエッチング法とは、レジストパターンのレジストが被覆されていない部分の金属をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液等がある。メッシュ状導電層上に残ったレジストパターンの剥離除去には、通常、1〜4質量%程度の水酸化ナトリウムを含有するアルカリ水溶液が用いられる。
また、上記したレジストパターンを形成するためのレジストに、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料を含有させて、黒色化することができる。この黒色化されたレジストパターンは、除去せずに、メッシュ状導電層上にそのまま残すことによって、後述する黒化処理を省略することができる。本発明においては、上記メッシュ状導電層上に存在する黒色レジストパターンは、メッシュ状導電層の一部を構成する。
次に、メッシュ状導電層の好ましい製造方法の1つである、上記2)の製造方法について説明する。この製造方法は、基材フィルム上に形成されたメッシュパターン状の無電解メッキ触媒層に無電解メッキを施す方法である。この方法は、先ず、基材フィルム上にメッシュパターン状の無電解メッキ触媒層が形成される。
基材フィルム上にメッシュパターン状の無電解メッキ触媒層を形成する方法としては、a)基材フィルム上に無電解メッキ触媒インキでパターン印刷する方法、b)基材フィルム上に還元剤を含有するインキによりパターン印刷を行って還元剤含有パターン層を形成し、次いで還元剤含有パターン層上に、還元により無電解めっき触媒になり得る金属イオンを含む金属イオン溶液を塗布し、前記還元剤と金属イオンとの接触により該金属イオンを還元して無電解めっき触媒層を形成させる方法である。
上記a)の方法に用いられる無電解めっき触媒インキとしては、無電解めっき触媒、バインダー樹脂、及び有機溶剤を含むインキが挙げられる。無電解めっき触媒としては、高い触媒活性が得られることから、パラジウム、銀、白金、および金などの金属原子の塩化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、アンモニウム塩などのアンミン錯体などが用いられる。特に、パラジウム化合物が好ましく、更に塩化パラジウムが好ましい。この他、無電解めっき触媒としては、複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物を用いることもできる。前記複合金属酸化物としては、PdSiO、AgSiO、PdTiO、AgTiO、PdZrO及びAgTiOなどが挙げられる。バインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
上記無電解メッキ触媒インキを印刷するのに用いられる印刷方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、静電印刷等の公知の印刷方法が挙げられる。これらの中でも、生産性よく高精細で連続的にメッシュパターンが形成できることからグラビア印刷が好ましく用いられる。
上記b)の方法に用いられる還元剤を含有するインキとしては、還元剤、バインダー樹脂及び溶剤が含むインキが挙げられる。還元剤としては、無電解めっき触媒になり得る金属のイオンと接触することで、該金属イオンを金属に還元し自らは酸化反応を起こすことのできる物質であれば特に限定されない。例えば、Pb、Sn、Ni、Co、Zn、Ti、Cu等の触媒金属より電気化学的に卑な金属の粒子や、Sn(II)、Fe(II)の塩等が挙げられる。これらの中でも、Sn(II)及びFe(II)からなる群から選ばれる金属の塩が好ましく、更にSn(II)の塩が好ましく用いられる。上記金属の塩としては、塩化物、硫酸塩、蓚酸塩、酢酸塩等が挙げられ、より好ましくは塩化物又は硫酸塩が挙げられる。特に好ましい金属塩としては、SnCl及びSnSOからなる群から選ばれる金属塩が用いられる。バインダー樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂物、酢酸ビニル、塩化ビニル、PVA、PVB等のビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。
上記の還元剤を含有するインキを印刷するのに用いられる印刷方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、静電印刷等の公知の印刷方法が挙げられる。これらの中でも、生産性よく高精細で連続的にメッシュパターンが形成できることからグラビア印刷が好ましく用いられる。
上記のようにして基材フィルム上に形成された還元剤含有パターン層上に、還元により無電解めっき触媒になり得る金属イオンを含む金属イオン溶液を塗布し、前記還元剤と金属イオンとの接触により該金属イオンを還元して無電解めっき触媒層を形成させる。かかる金属イオン溶液に含まれる金属イオンとしては、Ag、Au、Pd、Pt、Rhなどの金属のイオンが挙げられる。これらの中でも、Pd(II)イオン、Ag(I)イオンが好ましく用いられる。上記金属イオンを含む溶液は、金属塩を溶液に溶解することにより得られる。用いられる金属塩としては、塩化物、臭化物、酢酸塩、硝酸塩、クエン酸塩等が挙げられる。具体的には、PdCl、PdBr、Pd(CHCOO)等のPd(II)塩、CHCOOAg、AgNO、クエン酸銀(I)等のAg(I)塩、等が挙げられる。金属イオン溶液で使用する溶媒としては、水が好ましい。また、上記金属イオン溶液中における金属塩の濃度は、用いる金属塩の種類により異なるが、PdCl2を用いる場合は、PdCl2を0.01〜3g/lの濃度となるように配合するのが好ましい。また、同時に金属塩を溶解する目的で塩酸を配合するのが好ましい。塩酸の配合割合としては、例えば35%塩酸を1〜30ml/l程度配合するのが好ましい。
上記金属イオン溶液は、還元剤含有パターン層上に塗布し、該金属イオン溶液中に含まれる金属イオンを還元剤と接触させることにより該金属イオンが還元されて触媒金属となり、メッシュパターン状の無電解めっき触媒層が形成される。
上記b)の方法については、例えば特開2009−123408号公報に記載されており、本発明に用いることが可能である。
上述のa)あるいはb)の方法で、基材フィルム上にメッシュパターン状の無電解メッキ触媒層が形成された後、無電解メッキが施される。無電解メッキに用いられる金属としては、銅、ニッケル、金、銀、錫、亜鉛、もしくはそれらの合金が挙げられる。これらの中でも銅が好ましく用いられる。この無電解メッキによって、基材フィルム上にメッシュ状導電層が形成される。更に、上記で形成されたメッシュ状導電層上に電解銅メッキを施すことができ、更に、メッシュ状導電層表面を黒化するために、黒色合金(亜鉛−ニッケル合金、ニッケル−錫合金等)をメッキすることができる。この黒色合金メッキを施すことにより、以下の黒化処理を省略することができる。
メッシュ状導電層に上記の黒色合金メッキあるいは以下の黒化処理を施すことは、干渉縞低減の観点から好ましい。
本発明にかかるメッシュ状導電層は、黒化処理されたものであってもよい。ここで、黒化処理とは、メッシュ状導電層を構成する金属表面を化学的に処理して黒化するものである。黒化処理としては例えば、酸化処理、硫化処理等が挙げられる。上記酸化処理としては、次亜塩素酸塩又は亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液、ペルオキソ二硫酸と水酸化ナトリウムの混合水溶液等を用いることができるが、経済性の点から、次亜塩素酸塩又は亜塩素酸塩と水酸化ナトリウムの混合水溶液を用いることが好ましい。上記硫化処理としては、硫酸カリウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム等の水溶液を使用することができるが、好ましくは、硫酸カリウム及び硫酸アンモニウムであり、特に低温で使用可能である点から、硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。
本発明にかかるメッシュ状導電層は、ディスプレイに設置したときに透光部となる部分以外、つまり画像表示領域以外の部分や額縁印刷に隠れた部分は、必ずしもメッシュパターンを有している必要がなく、これらの部分はパターニングされていない、例えば金属ベタであっても良い。しかし、メッシュ状導電層上に表面層を生産性よく均一に連続塗工するというという観点から、メッシュ状導電層は連続的にメッシュパターンが形成されていることが好ましい。
上記の連続的にメッシュパターンが形成されているとは、例えば、長尺の基材フィルムの長手方向にメッシュ状導電層のメッシュパターンが途切れることなく連続的に形成されていることを言う。
(基材フィルム)
本発明のディスプレイ用フィルターに用いられる基材フィルムとしては、プラスチックフィルムが好ましい。かかるプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。また、上記の樹脂からなる層が2層以上積層された積層プラスチックフィルムであってもよい。
プラスチックフィルムの厚みとしては、50〜300μmの範囲が適当であるが、コスト及びディスプレイ用フィルターの剛性を確保するという観点から90〜250μmの範囲が特に好ましい。
本発明に用いられるプラスチックフィルムは、前述したメッシュ状導電層、ハードコート層あるいは後述する近赤外線遮蔽層等との密着性(接着強度)を強化するための易接着層(プライマー層)を有するプラスチックフィルムが好ましい。
本発明にかかるディスプレイ用フィルターは、基材フィルムとして1枚のみのプラスチックフィルムを用いるのが好ましい。
基材フィルムとして、易接着層が積層されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合、メッシュ状導電層が設けられる面の易接着層は、屈折率が1.54以上1.62未満であることが好ましく、1.55以上1.60未満であることがより好ましい。
上述した本発明のハードコート層の屈折率は、1.45以上1.54未満であることが好ましく、上記したように易接着層の屈折率を1.54以上1.62未満とすることにより、干渉縞の発生が抑制される。上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの屈折率は、1.62以上1.67以下の範囲であることが好ましい。
易接着層は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂で形成することができる。易接着層の屈折率の調整は、例えば、金属酸化物、硫黄原子や芳香族環を含む樹脂等の高屈折率化合物を含有させることによって行うことができるが、特に芳香族環(ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環等)を含む樹脂(例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等)を含有させることが好ましく、特に芳香族環を含むポリエステル樹脂を含有させることが好ましい。
易接着層は、更に架橋剤を含有することが好ましい。かかる架橋剤としては、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。これらの中でも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤が好ましく用いられる。
易接着層は、更に易滑性や耐ブロッキング性の向上のために、無機微粒子を含有することが好ましい。かかる無機微粒子としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。
易接着層の厚みは、5〜300nmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましい。
(近赤外線遮蔽層)
基材フィルムのメッシュ状導電層とは反対面に、近赤外線遮蔽層を有することが好ましい。かかる近赤外線遮蔽層は、波長800〜1100nmの範囲における平均透過率が20%以下となるように調整するのが好ましい。
近赤外線遮蔽層は、近赤外線吸収剤を含む樹脂層であってもよいし、近赤外線吸収剤を含む粘着剤層であってもよい。また、ハードコート層に近赤外線吸収剤を含有させてハードコート層に近赤外線遮蔽機能を付与してもよい。
近赤外線吸収剤としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物等の有機系近赤外線吸収剤、あるいは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、硫化亜鉛、セシウム含有酸化タングステン等の無機系近赤外線吸収剤を用いることができる。
樹脂バインダーとしては、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が好ましく用いられ、中でも(メタ)アクリル系樹脂が好適である。
粘着剤としては、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ポリビニルブチラール系、エチレン−酢酸ビニル系等の粘着剤層を用いることができる。特にアクリル系粘着剤が好ましい。
近赤外線遮蔽層には、更に、570〜610nmに極大吸収を有する色素、例えばテトラアザポルフィリン系色素を含有させることが好ましい。前記吸収極大波長における透過率は30%以下となるように調整することが好ましい。
また、近赤外線遮蔽層には、500nm付近、550nm付近に吸収を有する色素を含有させて色補正機能を付与することができる。
(粘着剤層)
本発明のディスプレイ用フィルターは、基材フィルムに対してメッシュ状導電層とは反対側の最表面に粘着剤層を有することが好ましい。かかる粘着剤層は、本発明のディスプレイ用フィルターを、ディスプレイに直接にあるいはガラス板やアクリル板等の高剛性の透明基板を介して間接的に貼り付ける役目(貼着用粘着剤層)を有する。本発明のディスプレイ用フィルターは、ディスプレイ用フィルターに直接に貼り付けられることが好ましい。
また、上記の近赤外線遮蔽層が粘着剤層である場合は、この粘着剤層が上記の貼着用粘着剤層の役目を兼ねることができる。
(ディスプレイ用フィルターの構成)
本発明にかかるディスプレイ用フィルターは、1枚のみの基材フィルムからなる1枚基材フィルターであることが好ましい。かかる1枚基材フィルターの好ましい構成例のいくつかを例示するが、本発明はこれらに限定されない。
1)粘着剤層/近赤外線遮蔽層/基材フィルム/メッシュ状導電層/ハードコート層/反射防止層
2)近赤外線遮蔽機能を有する粘着剤層/基材フィルム/メッシュ状導電層/ハードコート層/反射防止層
3)粘着剤層/基材フィルム/メッシュ状導電層/近赤外線遮蔽機能を有するハードコート層/反射防止層
尚、本発明のディスプレイ用フィルターは、その製造過程や物流過程で、離型フィルムあるいは保護フィルムを粘着剤層及び反射防止層の表面に積層することができるが、これらの離型フィルムや保護フィルムは最終的には剥離除去されるので、上記構成例から除外している。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(評価方法)
(1)ハードコート層の中心線平均粗さRaの測定
JIS B0601(1982)に基づき、表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)を用いて測定した。ハードコート層の上に反射防止層を設けていないサンプルを用意した。サンプルの5箇所について計測し、その平均値を求め、表面層表面の中心線平均粗さRaとした。なお測定の際は、サンプルの粘着剤層側を厚み2.5mmのガラス板に貼り付けたものを用いた。また、上記の計測に際し、測定針の移動方向を、メッシュ状導電層の細線部に平行で、かつメッシュ状導電層の開口部のほぼ中心を通るようにセットし、測定した。
<測定条件>
送り速さ;0.5mm/S
評価長さ;8mm
カットオフ値λc;
Raが20nm以下の場合、λc=0.08mm
Raが20nmより大きく100nm以下の場合、λc=0.25mm
上記測定条件で測定するに際し、まずカットオフ値λc=0.25mmで測定し、その結果、Raが20nmより大きい場合はそのRaを採用する。一方、上記測定の結果、Raが20nm以下の場合は、λc=0.08mmで再測定し、そのRaを採用する。
(2)ハードコート層及び反射防止層の厚みの測定
サンプルのメッシュ状導電層の開口部の重心を通るようにミクロトームにてサンプル断面を切り出し、その断面を電解放射型走査電子顕微鏡((株)日立製S―800、加速電圧26kV、観察倍率3000倍)にて観察し、ハードコート層と反射防止層の厚みを計測した。各実施例及び比較例について、20cm×20cmサイズのサンプル1枚から任意の5箇所について計測し平均した。
(3)メッシュ状導電層の厚みの測定
ミクロトームにてサンプル断面を切り出し、その断面を電解放射型走査電子顕微鏡((株)日立製S―800、加速電圧26kV、観察倍率3000倍)にて観察し、導電性メッシュの厚みを計測した。各実施例及び比較例について、20cm×20cmサイズのサンプル1枚から任意の5箇所について計測し平均した。
(4)メッシュ状導電層の線幅、ピッチの測定
(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープ(VHX−200)を用いて、倍率450倍で表面観察を行った。その測長機能を用いて、格子状メッシュ状導電層の線幅とピッチを測長した。各実施例及び比較例について、20cm×20cmサイズのサンプル1枚から、任意の10箇所について計測し平均した。
(5)反射防止層側の視感反射率の測定
<評価用サンプルの作成>
各サンプルの粘着剤層側をガラス板に貼り付け、該ガラス板の反対面(ディスプレイ用フィルターサンプルが貼り付けられた面とは反対側の面)に黒テープ(日東電工製 No.21トク(BC))を貼り付けて評価用サンプルを作製した。
<測定>
分光光度計(島津製作所製、UV3150PC)を用いて、測定面から5度の入射角で波長380〜780nmの範囲で反射率(片面反射)を算出し、視感反射率(JIS Z8701−1999において規定されている反射の刺激値Y)を求めた。分光光度計で分光立体角を測定し、JIS Z8701−1999に従って反射率(片面光線反射)を算出する。算出式は以下の通りである。
T=K・ ∫S(λ)・y(λ)・ R(λ) ・dλ (ただし、積分区間は380〜780nm)
T:片面光線反射率
S(λ) :色の表示に用いる標準の光の分布
y(λ) :XYZ表示系における等色関数
R(λ) :分光立体角反射率。
<評価>
上記で求めた視感反射率を以下の基準で評価した。
○;1.5%未満
△;1.5%以上2.0%未満
×;2.0%以上。
(実施例1)
以下の要領でディスプレイ用フィルターを作製した。
<メッシュ状導電層の作製>
両面に易接着層が積層された光学用易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製の「ルミラー(登録商標)U46」;厚み100μm)の一方の面に、スパッタリング法によるニッケル層(厚み0.01μm)、真空蒸着法による銅層(厚み1.5μm)、スパッタリング法による窒化銅層(厚み0.03μm)をこの順に製膜した。続いて、上記の窒化銅層の表面にレジスト層(アルカリ現像型ネガレジストフィルム)を積層し、正方形の格子状メッシュパターンのマスクを介してレジスト層を露光、現像し、次いでエッチング処理を施し、最後にレジスト層を剥離除去して、メッシュ状導電層を作製した。このメッシュ状導電層は、開口部が正方形の格子状パターンであり、厚みが1.5μm、線幅が20μm、ピッチが300μmであった。
<ハードコート層の積層>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを50質量部、ウレタンアクリレートを50質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)3質量部を有機溶媒(メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの混合溶媒)で溶解希釈して、粘度(23℃)は7mPa・sの塗料を得た。この塗料の屈折率は1.51であった。
上記塗料を、上記で作製したメッシュ状導電層が設けられた基材フィルムのメッシュ状導電層上にグラビアコーターで塗工し、100℃で乾燥後、紫外線を照射して硬化させてハードコート層を形成した。このハードコート層の厚み(乾燥硬化後の厚み)は5μmであり、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaは15nmであった。
<反射防止層の積層>
上記ハードコート層上に下記の反射防止層用塗料をグラビアコーターで塗工し、100℃で乾燥後、紫外線を照射して硬化させて反射防止層を形成した。反射防止層の厚み(乾燥硬化後の厚み)は0.2μmであり、反射防止層表面の中心線平均粗さRaは15nmであった。
<反射防止層用塗料>
下記の高屈折率層形成成分と低屈折率層形成成分とを質量比で6:4となるように混合した溶液100質量部に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを1質量部添加して、塗料を調製した。
<高屈折率層形成成分>
アンチモン含有酸化スズであるオプスターTU4005(JSR(株)製)を固形分濃度6質量%なるようにメチルエチルケトン:イソプロパノール混合液(混合比=1:1)にて希釈し、高屈折率層形成成分を調製した。
<低屈折率層形成成分>
中空シリカであるスルーリアTR−113(触媒化成工業(株)製:固形分20重量%)20質量部にメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン4.4質量部と5質量%蟻酸水溶液1.8質量部を混合し70℃にて1時間撹拌した。ついで、2−ペルフルオロオクチルエチルアクリレート4.6質量部及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を加えた後、30分間70℃にて加熱撹拌した。その後、イソプロピルアルコールを333質量部加え希釈し、固形分濃度3.8質量%の低屈折率層形成成分を調製した
<ディスプレイ用フィルターの作製>
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのメッシュ状導電層及びハードコート層が形成されている面とは反対面に、下記の近赤外線遮蔽機能を有する粘着剤層を積層してディスプレイ用フィルターを作製した。
<近赤外線遮蔽機能を有する粘着剤層の積層>
アクリル系粘着剤200質量部(粘着剤成分に換算した量として)に、ジイモニウム系近赤外線吸収色素を3質量部、フタロシアニン系近赤外線吸収色素を1質量部、570〜610nmに極大吸収波長を有するネオン光カット色素としてテトラアザポルフィリン(三井化学(株)製、商品名「PD−320」)0.3質量部を混合したものを乾燥厚みが25μmとなるように、離型PETフィルム(厚み38μm)上にスロットダイコーターで塗工し、乾燥して粘着剤層を形成した。次に、この離型PETフィルムに塗工された粘着剤層を、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのメッシュ状導電層及び表面層が形成されている面とは反対面に積層した。
(実施例2)
実施例1のハードコート層の厚みを4.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。このハードコート層表面の中心線平均粗さRaは25nmで、反射防止層表面の中心線平均粗さRaは25nmであった。
(実施例3)
実施例1のハードコート層の厚みを4μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。このハードコート層表面の中心線平均粗さRaは50nmで、反射防止層表面の中心線平均粗さRaは50nmであった。
(比較例1)
実施例1のハードコート層の厚みを2.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。このハードコート層表面の中心線平均粗さRaは80nmで、反射防止層表面の中心線平均粗さRaは80nmであった。
(実施例4)
以下の要領でディスプレイ用フィルターを作製した。
<メッシュ状導電層の作製>
<メッシュパターン状の無電解メッキ触媒層の形成>
両面に易接着層が積層された光学用易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製の「ルミラー(登録商標)U46」;厚み100μm)の一方の面に、ポリエステル樹脂と該ポリエステル樹脂に対して無電解メッキ触媒(塩化パラジウム)を10質量%含む無電解めっき触媒インキをメッシュパターン状にグラビア印刷し、加熱乾燥してメッシュパターン状の無電解めっき触媒層を形成した。このメッシュパターン状の無電解めっき触媒層は、開口部が正方形の格子状パターンであり、線幅が20μm、ピッチが300μmであった。
<銅メッキ>
上記無電解めっき触媒層を5%の硫酸により脱脂処理した後、無電解銅メッキを施して無電解メッキ触媒層上に無電解銅メッキ層を形成した。続いて、上記無電解銅メッキ層上に電解銅メッキを施して電解銅メッキを形成した。上記無電解銅メッキ層と電解銅メッキ層の合計の厚みは2μmであった。
<黒化層の形成>
上記の電解銅メッキ層上に、更にニッケル−亜鉛合金メッキを施して、黒化層を有するメッシュ状導電層を作製した。このメッシュ状導電層は、厚みが4.5μm、線幅は23μm、ピッチが297μmであった。
<ハードコート層の積層>
上記のメッシュ状導電層上に、実施例1と同様のハードコート層を厚みが16μmとなるように積層したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を積層した。このハードコート層表面の中心線平均粗さRaは15nmであった。
<反射防止層の積層>
上記ハードコート層上に実施例1と同様の反射防止層を積層した。この反射防止層表面の中心線平均粗さRaは15nmであった。
<ディスプレイ用フィルターの作製>
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムのメッシュ状導電層及びハードコート層が形成されている面とは反対面に、実施例1と同様の近赤外線遮蔽機能を有する粘着剤層を積層してディスプレイ用フィルターを作製した。
(比較例2)
実施例4のハードコート層の厚みを11μmに変更した以外は、実施例4と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。このハードコート層表面の中心線平均粗さRaは80nmで、反射防止層表面の中心線平均粗さRaは80nmであった。
(評価)
上記で作製した実施例及び比較例のそれぞれのサンプルについて、反射防止層側の視感反射率について測定をおこなった。その結果を表1に示す。
Figure 2012008159
表1から、本発明の実施例はいずれもハードコート層表面の中心線平均粗さRaが60nm未満で、反射防止層側の視感反射率が2.0%未満であり、良好な反射防止性を示した。特に実施例1、2、4は、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaが更に50nm未満であり、反射防止層側の視感反射率が1.5%未満であり、優れた反射防止性を示した。
一方、比較例1、2は、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaが60nm以上で、反射防止層側の視感反射率が2.0%以上であり、反射防止性が劣っていた。

Claims (3)

  1. 基材フィルム、メッシュ状導電層、ハードコート層、及び高屈折率層と低屈折率層とからなる反射防止層をこの順に有するディスプレイ用フィルターであって、前記ハードコート層表面の中心線平均粗さRaが60nm未満で、かつ前記反射防止層を構成する高屈折率層と低屈折率層が単一層の相分離によって形成されたものである、ディスプレイ用フィルター。
  2. 前記反射防止層側の視感反射率が2.0%未満である、請求項1のディスプレイ用フィルター。
  3. 前記メッシュ状導電層の厚みが8μm未満である、請求項1または2のディスプレイ用フィルター。
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