JP2012006769A - 肥料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】作物の生育に適した肥料成分の供給を可能とする、複数の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物を提供すること。
【解決手段】2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物であって、
該2種の被覆粒状肥料の組合せが、
25℃における水中での溶出時に、一方の被覆粒状肥料の最大重量増加率と、他方の被覆粒状肥料の最大重量増加率との比が10以上となる2種の被覆粒状肥料の組合せである肥料組成物は、作物の生育に適した肥料成分の供給が可能である。
【選択図】なし
【解決手段】2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物であって、
該2種の被覆粒状肥料の組合せが、
25℃における水中での溶出時に、一方の被覆粒状肥料の最大重量増加率と、他方の被覆粒状肥料の最大重量増加率との比が10以上となる2種の被覆粒状肥料の組合せである肥料組成物は、作物の生育に適した肥料成分の供給が可能である。
【選択図】なし
Description
本発明は肥料組成物、詳しくは2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物に関する。
近年、農業就労人口の減少と高齢化、大規模化が進む状況の中、粒状肥料を樹脂で被覆して肥料成分の溶出を制御することにより利用効率を高め、追肥作業の省力を可能とする被覆粒状肥料が開発されている。これらの被覆粒状肥料には種々の肥料成分、肥効持続期間、溶出パターンを有するものが知られている。被覆粒状肥料の溶出制御機構に関連して溶出過程の重量変化に関する知見が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
そして作物に対して生育に必要な養分を必要な時期に供給できるよう、複数の肥料銘柄を配合する技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
栽培環境は決して一律の条件下には無く、多様な生産現場で毎年安定して作物を生育させる技術は重要性が高い。しかしながら栽培環境中で肥料成分の溶出に影響を及ぼす要因や溶出の特性は被覆粒状肥料によって異なり、いまだ作物の生育段階に応じて必要とされる養分と被覆粒状肥料からの肥料成分の供給とを十分に合致させることはできていない。
そして作物に対して生育に必要な養分を必要な時期に供給できるよう、複数の肥料銘柄を配合する技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
栽培環境は決して一律の条件下には無く、多様な生産現場で毎年安定して作物を生育させる技術は重要性が高い。しかしながら栽培環境中で肥料成分の溶出に影響を及ぼす要因や溶出の特性は被覆粒状肥料によって異なり、いまだ作物の生育段階に応じて必要とされる養分と被覆粒状肥料からの肥料成分の供給とを十分に合致させることはできていない。
「被覆肥料の溶出と被覆膜内外の水分の挙動」、日本土壌肥料学雑誌、第68巻、第1号、p.14−22
本発明は、作物の生育に適した肥料成分の供給を可能とする、複数の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、作物の生育に適した肥料成分の供給を可能とする、複数の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物を提供すべく検討の結果、該肥料組成物に含有される複数の被覆粒状肥料のうち、2種の被覆粒状肥料の水中での挙動において該2種の被覆粒状肥料の間に特定の相互関係を有する場合に優れた効果を奏することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下のものである。
[1] 2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物であって、
該2種の被覆粒状肥料の組合せが、
25℃における水中での溶出時に、一方の被覆粒状肥料の最大重量増加率と、他方の被覆粒状肥料の最大重量増加率との比が10以上となる2種の被覆粒状肥料の組合せである肥料組成物。
[2] 2種の被覆粒状肥料の組合せが、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料と、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料との組合せである[1]記載の肥料組成物。
[3] 少なくとも1種の被覆粒状肥料が、被覆粒状窒素肥料である[1]又は[2]記載の肥料組成物。
[4] 被覆粒状窒素肥料が、被覆粒状尿素である[3]記載の肥料組成物。
[5] [1]〜[4]いずれか一項記載の肥料組成物を、イネの栽培場所に施用する工程を有してなる米の生産方法。
[6] [1]〜[4]いずれか一項記載の肥料組成物を、イネの移植前の水田に施用する工程を有してなる米の生産方法。
すなわち、本発明は以下のものである。
[1] 2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物であって、
該2種の被覆粒状肥料の組合せが、
25℃における水中での溶出時に、一方の被覆粒状肥料の最大重量増加率と、他方の被覆粒状肥料の最大重量増加率との比が10以上となる2種の被覆粒状肥料の組合せである肥料組成物。
[2] 2種の被覆粒状肥料の組合せが、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料と、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料との組合せである[1]記載の肥料組成物。
[3] 少なくとも1種の被覆粒状肥料が、被覆粒状窒素肥料である[1]又は[2]記載の肥料組成物。
[4] 被覆粒状窒素肥料が、被覆粒状尿素である[3]記載の肥料組成物。
[5] [1]〜[4]いずれか一項記載の肥料組成物を、イネの栽培場所に施用する工程を有してなる米の生産方法。
[6] [1]〜[4]いずれか一項記載の肥料組成物を、イネの移植前の水田に施用する工程を有してなる米の生産方法。
本発明により、作物の生育に適した肥料成分の供給を可能とする、複数の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物を提供することができる。
本発明の肥料組成物は、2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物であって、該2種の被覆粒状肥料の組合せが、25℃における水中での溶出時に、一方の被覆粒状肥料の最大重量増加率と、他方の被覆粒状肥料の最大重量増加率との比が10以上となる2種の被覆粒状肥料の組合せである肥料組成物である。
本発明の肥料組成物に含有される被覆粒状肥料とは、例えば、肥料成分を含有する粒状物(粒状肥料)が、樹脂、硫黄、ワックス、水溶性高分子、熔リン及びリン酸液等の被覆材により被覆され、当該肥料成分の溶出が制御されてなるものである。
かかる肥料成分としては、例えば、窒素、リン酸、カリウム、珪酸、マグネシウム、カルシウム、マンガン、ホウ素及び鉄などから任意の成分を含有する物質が挙げられる。窒素成分を含有する物質としては、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、石灰窒素、ホルムアルデヒド加工尿素肥料(UF)、アセトアルデヒド加工尿素肥料(CDU)、イソブチルアルデヒド加工尿素肥料(IBDU)及びグアニール尿素(GU)が挙げられる。その他の肥料成分を含有する物質としては、例えば、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、苦土過リン酸、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム及び塩リン安等のリン酸質肥料、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリソーダ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム及びリン酸カリウム等のカリウム質肥料、珪酸カルシウム等の珪酸質肥料、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウム等のマグネシウム質肥料、生石灰、消石灰及び炭酸カルシウム等のカルシウム質肥料、硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン及び鉱さいマンガン等のマンガン質肥料、ホウ酸及びホウ酸塩等のホウ素質肥料等の肥料取締法に定められる普通肥料(複合肥料を含む)並びに、鉄鋼スラグ等の含鉄肥料を挙げられる。
本発明に用いられる粒状肥料は、市販されているものを用いることもでき、また公知の造粒法により製造して用いることもできる。
粒状肥料を樹脂で被覆する方法としては、特に限定はなく公知の方法が用いられる。例えば、特開平9−208355号公報及び特開平10−158084号公報で記載される通り、流動装置や噴流動装置により、粒状肥料を流動状態にしたり、回転パン、回転ドラムなどにより粒状肥料を転動状態にせしめ、樹脂原料を滴下、噴霧等の方法で添加し、該粒状肥料を被覆し、樹脂原料を硬化することにより被覆粒状肥料を製造することができる。
かかる被覆材に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン等のポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のビニル重合物、ブタジエン重合物、イソプレン重合物、クロロプレン重合物、ブタジエン−スチレン共重合物、エチレン−プロピレン−ジエン共重合物、スチレン−イソプレン共重合物等のジエン系重合物、エチレン−プロピレン共重合物、ブテン−エチレン共重合物、ブテン−プロピレン共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物、エチレン−アクリル酸共重合物、エチレン−メタクリル酸共重合物、エチレン−メタクリル酸エステル共重合物、エチレン−一酸化炭素共重合物、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合物等のオレフィン共重合物、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合物、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合物等の塩化ビニル共重合物が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレア・メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂が挙げられる。
これらの樹脂からなる被覆材には、さらに必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、金属酸化物等の無機質粉末、耐候性改良剤、着色剤、結合剤、界面活性剤等を加えることもできる。
これらの樹脂からなる被覆材には、さらに必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、金属酸化物等の無機質粉末、耐候性改良剤、着色剤、結合剤、界面活性剤等を加えることもできる。
本発明の肥料組成物に含有される被覆粒状肥料に用いられる被覆材の量は、粒状肥料に対して通常2〜20重量%、好ましくは5〜16重量%程度である。被覆材の量が少ないと均一な被膜の形成が困難となり、被覆欠陥を生じる懸念が増大する。また被覆材の量が多いと、相対的に被覆粒状肥料における粒状肥料の含有量が減少し、施肥量が増大するため効率面からは望ましくない。
本発明における被覆粒状肥料の最大重量増加率とは、被覆粒状肥料の内部への水分の吸収及び当該水分に溶解した肥料成分の被覆粒状肥料外部への溶出の現象の過程で増減する被覆粒状肥料の重量増加量を、当該現象を生じる前の被覆粒状肥料の重量で除したものであり、具体的には次の測定方法により求められる。
[測定方法]
[工程1] 所定量の被覆粒状肥料と、該被覆粒状肥料の内部に吸収されると予測される水分と比して充分量の25℃に調整した蒸留水とを蓋のある容器に入れ、25℃で所定期間静置する(被覆粒状肥料及び蒸留水の合計重量を初期合計重量とする。)。
[工程2] 供試した被覆粒状肥料を取り出し、表面に付着した水をペーパーウエスなどで拭き取り、被覆粒状肥料の重量を測定する。
[工程3] 前記[工程2]で重量を測定した被覆粒状肥料、及び、該被覆粒状肥料との合計重量が初期合計重量と同量となる量の25℃に調整した蒸留水を蓋のある容器に入れ、25℃で所定期間静置させる。
[工程4] 前記[工程2]及び[工程3]の操作を被覆粒状肥料の重量増加が認められなくなるまで繰り返し行い、供試した被覆粒状肥料の測定期間中の最大重量を求める。
[工程5] 次式(1)により、最大重量増加率を求める。
Wini : 供試する被覆粒状肥料の初期重量
Wmax25 :供試した被覆粒状肥料の測定期間中の最大重量
Winc25 : 25℃における最大重量増加率(%)
[測定方法]
[工程1] 所定量の被覆粒状肥料と、該被覆粒状肥料の内部に吸収されると予測される水分と比して充分量の25℃に調整した蒸留水とを蓋のある容器に入れ、25℃で所定期間静置する(被覆粒状肥料及び蒸留水の合計重量を初期合計重量とする。)。
[工程2] 供試した被覆粒状肥料を取り出し、表面に付着した水をペーパーウエスなどで拭き取り、被覆粒状肥料の重量を測定する。
[工程3] 前記[工程2]で重量を測定した被覆粒状肥料、及び、該被覆粒状肥料との合計重量が初期合計重量と同量となる量の25℃に調整した蒸留水を蓋のある容器に入れ、25℃で所定期間静置させる。
[工程4] 前記[工程2]及び[工程3]の操作を被覆粒状肥料の重量増加が認められなくなるまで繰り返し行い、供試した被覆粒状肥料の測定期間中の最大重量を求める。
[工程5] 次式(1)により、最大重量増加率を求める。
Wini : 供試する被覆粒状肥料の初期重量
Wmax25 :供試した被覆粒状肥料の測定期間中の最大重量
Winc25 : 25℃における最大重量増加率(%)
本発明の肥料組成物には、25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が異なる2種以上の被覆粒状肥料が含有されるが、そのうち2種の被覆粒状肥料の25℃における水中での溶出時の最大重量増加率の比(当該2種の被覆粒状肥料の最大重量増加率のうち、高い数値を低い数値で除した値)が10以上、より具体的には例えば10以上300以下、10以上100以下となる関係を満たすものであり、より詳しくは次のものが挙げられる。
25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料と被覆粒状肥料の25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料との2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物;
被覆粒状肥料の25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が1〜10パーセントである被覆粒状肥料と被覆粒状肥料の25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料との2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物。
25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料と被覆粒状肥料の25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料との2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物;
被覆粒状肥料の25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が1〜10パーセントである被覆粒状肥料と被覆粒状肥料の25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料との2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物。
本発明の肥料組成物における、かかる2種の被覆粒状肥料の各々の含有量は、本発明の肥料組成物全量に対して、通常5〜95重量%であり、かかる2種の被覆粒状肥料の合計での含有量は、本発明の肥料組成物全量に対して通常10〜100重量%である。
本発明の肥料組成物の態様としては、例えば次のものが挙げられる。
肥料組成物全量に対する含有量が、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料が5〜30重量%であり、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料が60〜95重量%である肥料組成物;
肥料組成物全量に対する含有量が、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料が5〜30重量%であり、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料が60〜95重量%である肥料組成物;
肥料組成物全量に対する含有量が、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料が40〜50重量%であり、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料が40〜50重量%である肥料組成物;
肥料組成物全量に対する含有量が、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料が5〜30重量%であり、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料が5〜30重量%であり、肥料組成物の残量が被覆粒状肥料ではない速効性肥料である肥料組成物。
本発明の肥料組成物の態様としては、例えば次のものが挙げられる。
肥料組成物全量に対する含有量が、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料が5〜30重量%であり、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料が60〜95重量%である肥料組成物;
肥料組成物全量に対する含有量が、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料が5〜30重量%であり、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料が60〜95重量%である肥料組成物;
肥料組成物全量に対する含有量が、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料が40〜50重量%であり、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料が40〜50重量%である肥料組成物;
肥料組成物全量に対する含有量が、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料が5〜30重量%であり、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料が5〜30重量%であり、肥料組成物の残量が被覆粒状肥料ではない速効性肥料である肥料組成物。
25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料及び25℃における水中での溶出時の最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料は、それぞれ前記した被覆粒状肥料の製造方法で得られる被覆粒状肥料を、前記した測定方法により最大重量増加率を求め、各々の数値の規定に適合する被覆粒状肥料を選択し、本発明に用いることができる。具体的には例えば、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料を特開昭51−75674号公報及び特開昭54−97260号公報に記載の方法で製造される被覆粒状肥料から前記の測定方法で該当するものから選択し、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料を特開2007−210960号公報、特開2008−7370号公報、特開2008−31012号公報、特開2008−31034号公報、特開2008−56555号公報又は特開2008−69068号公報に記載の方法で製造される被覆粒状肥料から前記の測定方法で該当するものから選択し、これらの被覆粒状肥料を組合せることにより、一方の被覆粒状肥料の最大重量増加率と、他方の被覆粒状肥料の最大重量増加率との比が10以上となる2種の被覆粒状肥料として本発明の肥料組成物に用いることができる。
本発明の肥料組成物には、25℃における水中での溶出時に、一方の被覆粒状肥料の最大重量増加率と、他方の被覆粒状肥料の最大重量増加率との比が10以上となる2種の被覆粒状肥料とともに、さらに一般に市販されている速効性肥料及び/又は緩効性肥料を含有することができ、また殺虫剤、除草剤、殺菌剤、植物生長調整剤等の生理活性物質を含有することもできる。
本発明の肥料組成物は、含有される被覆粒状肥料及びその他の任意に含有される物質の各々を良好な混合度が得られる公知の方法や設備を用いて混合することにより得られる。本発明の肥料組成物の粒径は、通常1〜10mm、好適には1〜5mmの範囲である。本発明の肥料組成物に含有される被覆粒状肥料及びその他の任意に含有される成分を含む粒状物のそれぞれの粒度及び形状は、混合性の良否を判断するために従来使用されている基準により選択される。
本発明の肥料組成物は、作物に対して生育に必要な肥料成分を供給する目的で作物の生産に使用する。ここで作物としては例えば、イネ、トウモロコシ及びムギの穀物類、葉菜、果菜及び根菜の野菜類、豆類、果樹類並びに花卉類が挙げられる。
本発明の肥料組成物はそれぞれの作物に於いて公知の栽培方式に用いることが出来る。例えば作物がイネである場合の栽培方式としては、移植栽培、湛水直播栽培、乾田直播栽培等が挙げられる。
本発明の肥料組成物は、公知の方法や手段により作物の栽培場所に施用される。ここで作物の栽培場所とは、作物生産が行われる圃場区画であり、作物の根が存在または近接して存在するか、将来、根の伸長により、該根が存在または近接して存在することが予想される圃場作土または培地の部分を意味する。例えば作物がイネである場合の栽培場所としては水田が挙げられる。
本発明の肥料組成物の施用位置及び施用時期は、作物の栄養特性、労働効率、環境条件等に応じて、適したものを選択すれば良いが、施用位置としては例えば、表面施肥、全層施肥、深層施肥、作条施肥、側条施肥、条間施肥及び肌肥等があげられる。農作業の省力化の観点から好ましい施用時期としては基肥の時期が挙げられる。
作物がイネである場合、基肥の時期とは、イネの苗を本田に移植又はイネの籾を本田に播種する時点より遡って1ヶ月前から移植または播種が行われた2週間後までの期間、好ましくは遡って2週間前から移植または播種が行われる時点までの期間が挙げられる。早すぎても遅すぎても作物による肥料成分の利用効率が低下するため好ましくない。
作物がイネである場合、米はイネの栽培によって得られる果実である籾を収穫し、籾殻を取り去って調製した穀粒を指す。藁は籾以外の茎葉部分を指す。米の生産はイネの栽培に関する工程と米の収穫調製に関わる工程からなる。収穫調製の具体的な作業である刈取、脱穀、選別、乾燥、籾摺りなどは公知の方法や手段により実施できる。毎年安定して作物を生育させて収益を得るためには、藁を生む栄養成長と籾を生む生殖生長のバランスを取る必要がある。例えば藁が多いと刈取労力が増す。本発明の肥料組成物はイネを栽培する工程に用い、藁と籾、言い換えると藁および籾殻と米との間の配分を最適化し、収穫調製の工程を含めて生産効率を改善する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の各被覆粒状肥料の最大重量増加率は、次の本測定方法により求めた。
[本測定方法]
(工程1) 被覆粒状肥料1.00gと、25℃に調整した蒸留水13.3mlとを蓋のある容器に入れ、25℃で7日間静置する(被覆粒状肥料及び蒸留水の合計重量14.3g)。
(工程2) 供試した被覆粒状肥料を取り出し、表面に付着した水をペーパーウエスなどで拭き取り、被覆粒状肥料の重量を測定する。
(工程3) 前記(工程2)で重量を測定した被覆粒状肥料、及び、該被覆粒状肥料との合計重量が14.3gとなる量の25℃に調整した蒸留水を蓋のある容器に入れ、25℃で7日間静置させる。
(工程4) 前記(工程2)及び(工程3)の操作を被覆粒状肥料の重量増加が認められなくなるまで繰り返し行い、供試した被覆粒状肥料の測定期間中の最大重量を求める。
(工程5) 次式(1’)により、最大重量増加率を求める。
Wmax25 :供試した被覆粒状肥料の測定期間中の最大重量
Winc25 : 25℃における最大重量増加率(%)
なお、実施例中の各被覆粒状肥料の最大重量増加率は、次の本測定方法により求めた。
[本測定方法]
(工程1) 被覆粒状肥料1.00gと、25℃に調整した蒸留水13.3mlとを蓋のある容器に入れ、25℃で7日間静置する(被覆粒状肥料及び蒸留水の合計重量14.3g)。
(工程2) 供試した被覆粒状肥料を取り出し、表面に付着した水をペーパーウエスなどで拭き取り、被覆粒状肥料の重量を測定する。
(工程3) 前記(工程2)で重量を測定した被覆粒状肥料、及び、該被覆粒状肥料との合計重量が14.3gとなる量の25℃に調整した蒸留水を蓋のある容器に入れ、25℃で7日間静置させる。
(工程4) 前記(工程2)及び(工程3)の操作を被覆粒状肥料の重量増加が認められなくなるまで繰り返し行い、供試した被覆粒状肥料の測定期間中の最大重量を求める。
(工程5) 次式(1’)により、最大重量増加率を求める。
Wmax25 :供試した被覆粒状肥料の測定期間中の最大重量
Winc25 : 25℃における最大重量増加率(%)
参考例1
粒状尿素(粒径2〜4mm)を、熱風発生機を付設した温度制御可能な転動型攪拌装置に仕込み、転動させながら、約70℃に加熱した。次いで、ポリメリックMDI[住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V10]、ポリエーテル型ポリオール[住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミフェンTM]及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの混合物(重量比47:52:1)を、転動状態にある上記粒状肥料に分割して添加し、粒状尿素の重量に対して10.5重量%相当のポリウレタン樹脂被膜を該粒状肥料の表面に形成させ、ここに粒状尿素の重量に対して0.02%相当の界面活性剤[花王(株)製、商品名:エマール10パウダー]と粒状尿素の重量に対して0.08%相当のクレイ[昭和鉱業(株)製、商品名:特雪カットクレー]を添加し、被覆粒状肥料(以下、被覆粒状肥料Aと記す。)を製造した。
被覆粒状肥料Aは25℃水中で肥料成分が80%溶出するまでに約140日を要し、最大重量増加率は39パーセントだった。
粒状尿素(粒径2〜4mm)を、熱風発生機を付設した温度制御可能な転動型攪拌装置に仕込み、転動させながら、約70℃に加熱した。次いで、ポリメリックMDI[住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミジュール44V10]、ポリエーテル型ポリオール[住化バイエルウレタン(株)製、商品名:スミフェンTM]及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの混合物(重量比47:52:1)を、転動状態にある上記粒状肥料に分割して添加し、粒状尿素の重量に対して10.5重量%相当のポリウレタン樹脂被膜を該粒状肥料の表面に形成させ、ここに粒状尿素の重量に対して0.02%相当の界面活性剤[花王(株)製、商品名:エマール10パウダー]と粒状尿素の重量に対して0.08%相当のクレイ[昭和鉱業(株)製、商品名:特雪カットクレー]を添加し、被覆粒状肥料(以下、被覆粒状肥料Aと記す。)を製造した。
被覆粒状肥料Aは25℃水中で肥料成分が80%溶出するまでに約140日を要し、最大重量増加率は39パーセントだった。
参考例2
平均分子量が1200のポリカプロラクトンジオール[ダイセル化学工業(株)製、商品名:Placcel212]1859.0gを70℃にて加熱溶融し、70℃に加温したひまし油[豊国製油(株)製、商品名:工業用一号ひまし油]1308.5g、1,4−ブタンジオール[BASF出光(株)製、商品名:1,4−BDO]279.5g、脂肪酸2エチルヘキシル[伊藤製油(株)製、商品名:リックサイザーA-183]100.0gおよび2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール[化薬アクゾ(株)、商品名:TAP]15.0gと混合し、ポリオール混合物を得た。粒状尿素(粒径約3mm、1g当たりの粒数約60個)50kgを回転槽に仕込み、転動状態にして、該粒状尿素を熱風により約66℃まで加熱した後、流動パラフィン[(株)松村石油研究所製、商品名:モレスコホワイトP−260]500gを添加し、10分間転動状態を継続した。次に、70℃に加温した前述のポリオール混合物689.4gと70℃に加温した芳香族ジイソシアネート[住化バイエルウレタン(株)製、商品名:Sumidur44S]310.7gを素早く攪拌混合した未硬化ウレタンを添加し、8分間以上、加熱条件下で転動状態を維持した。更に、未硬化ウレタン樹脂の添加、及び加熱条件下での転動状態の維持を繰り返して、添加した未硬化ウレタン樹脂の総量が5000.5gになるまで行った。その後、室温付近まで冷却し、被覆粒状肥料(以下、被覆粒状肥料Bと記す。)を得た。
被覆粒状肥料Bは25℃水中で肥料成分が80%溶出するまでに約100日を要し、最大重量増加率は541パーセントだった。
平均分子量が1200のポリカプロラクトンジオール[ダイセル化学工業(株)製、商品名:Placcel212]1859.0gを70℃にて加熱溶融し、70℃に加温したひまし油[豊国製油(株)製、商品名:工業用一号ひまし油]1308.5g、1,4−ブタンジオール[BASF出光(株)製、商品名:1,4−BDO]279.5g、脂肪酸2エチルヘキシル[伊藤製油(株)製、商品名:リックサイザーA-183]100.0gおよび2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール[化薬アクゾ(株)、商品名:TAP]15.0gと混合し、ポリオール混合物を得た。粒状尿素(粒径約3mm、1g当たりの粒数約60個)50kgを回転槽に仕込み、転動状態にして、該粒状尿素を熱風により約66℃まで加熱した後、流動パラフィン[(株)松村石油研究所製、商品名:モレスコホワイトP−260]500gを添加し、10分間転動状態を継続した。次に、70℃に加温した前述のポリオール混合物689.4gと70℃に加温した芳香族ジイソシアネート[住化バイエルウレタン(株)製、商品名:Sumidur44S]310.7gを素早く攪拌混合した未硬化ウレタンを添加し、8分間以上、加熱条件下で転動状態を維持した。更に、未硬化ウレタン樹脂の添加、及び加熱条件下での転動状態の維持を繰り返して、添加した未硬化ウレタン樹脂の総量が5000.5gになるまで行った。その後、室温付近まで冷却し、被覆粒状肥料(以下、被覆粒状肥料Bと記す。)を得た。
被覆粒状肥料Bは25℃水中で肥料成分が80%溶出するまでに約100日を要し、最大重量増加率は541パーセントだった。
製造例1
いずみ化成404号(窒素−燐酸−加里 14−20−14;住友化学(株)製)、すずらん特号(窒素−燐酸−加里 6−20−20;住友化学(株)製)、樹脂被覆粒状窒素肥料B(窒素−燐酸−加里 41−0−0)及び樹脂被覆粒状窒素肥料A(窒素−燐酸−加里 41−0−0)を、重量比36:31:22:11の割合で混合した肥料組成物(以下、本発明肥料組成物と記す。)を得た。
いずみ化成404号(窒素−燐酸−加里 14−20−14;住友化学(株)製)、すずらん特号(窒素−燐酸−加里 6−20−20;住友化学(株)製)、樹脂被覆粒状窒素肥料B(窒素−燐酸−加里 41−0−0)及び樹脂被覆粒状窒素肥料A(窒素−燐酸−加里 41−0−0)を、重量比36:31:22:11の割合で混合した肥料組成物(以下、本発明肥料組成物と記す。)を得た。
参考製造例1
肥料成分が80%溶出するまでに100日を要するとされる被覆尿素を含有する肥料組成物(くみあい水稲専用LPコートSS入り複合444−D80号;窒素−燐酸−加里 14−14−14;チッソ旭肥料(株)製)から樹脂で被覆された肥料(以下、被覆粒状肥料Cと記す。)を選別した。被覆粒状肥料Cの最大重量増加率は9パーセントだった。
また、肥料成分が80%溶出するまでに140日を要するとされる被覆尿素を含有する肥料組成物(くみあいLPコート入り複合444−E80号;窒素−燐酸−加里 14−14−14;チッソ旭肥料(株)製)から樹脂で被覆された肥料(以下、被覆粒状肥料Dと記す。)を選別した。被覆粒状肥料Dの最大重量増加率は5パーセントだった。
いずみ化成404号、すずらん特号、樹脂被覆粒状窒素肥料C(窒素−燐酸−加里 40−0−0)及び樹脂被覆粒状窒素肥料D(窒素−燐酸−加里 42−0−0)を、重量比36:31:23:10の割合で混合した肥料組成物(以下、比較肥料組成物と記す。)を得た。
肥料成分が80%溶出するまでに100日を要するとされる被覆尿素を含有する肥料組成物(くみあい水稲専用LPコートSS入り複合444−D80号;窒素−燐酸−加里 14−14−14;チッソ旭肥料(株)製)から樹脂で被覆された肥料(以下、被覆粒状肥料Cと記す。)を選別した。被覆粒状肥料Cの最大重量増加率は9パーセントだった。
また、肥料成分が80%溶出するまでに140日を要するとされる被覆尿素を含有する肥料組成物(くみあいLPコート入り複合444−E80号;窒素−燐酸−加里 14−14−14;チッソ旭肥料(株)製)から樹脂で被覆された肥料(以下、被覆粒状肥料Dと記す。)を選別した。被覆粒状肥料Dの最大重量増加率は5パーセントだった。
いずみ化成404号、すずらん特号、樹脂被覆粒状窒素肥料C(窒素−燐酸−加里 40−0−0)及び樹脂被覆粒状窒素肥料D(窒素−燐酸−加里 42−0−0)を、重量比36:31:23:10の割合で混合した肥料組成物(以下、比較肥料組成物と記す。)を得た。
試験例1
本発明肥料組成物を2009年6月4日に兵庫県加西市の水田圃場へ窒素成分量として10アールあたり8.7kgとなるよう全量元肥施用し、全層混和して代かきを行った。試験は1肥料につき3.4m×5.0mの区画で行った。水稲(品種:ヒノヒカリ)の中苗を用いて6月8日に60株/坪で機械移植し、慣行の水管理や防除管理を行って水稲を栽培した。10月9日に試験区内の5ヶ所から連続7株ずつ刈り取り、脱穀、籾摺り、1.8mmでの篩別を行い、精玄米重を測定し、水分15重量%に補正して面積あたりの収量を算出した。また全重が中庸だった3ヶ所分につき、籾重と藁重から食用部位の生産効率(籾重/藁重)を算出した。
本発明肥料組成物の代わりに比較肥料組成物を用いたこと以外は、試験例1と同様に水稲を栽培し、精玄米重及び生産効率を算出した。
また、本発明肥料組成物を用いないこと以外は試験例1と同様に水稲を栽培し、精玄米重及び生産効率を算出した。
それらの結果を[表1]に示す。
本発明肥料組成物を2009年6月4日に兵庫県加西市の水田圃場へ窒素成分量として10アールあたり8.7kgとなるよう全量元肥施用し、全層混和して代かきを行った。試験は1肥料につき3.4m×5.0mの区画で行った。水稲(品種:ヒノヒカリ)の中苗を用いて6月8日に60株/坪で機械移植し、慣行の水管理や防除管理を行って水稲を栽培した。10月9日に試験区内の5ヶ所から連続7株ずつ刈り取り、脱穀、籾摺り、1.8mmでの篩別を行い、精玄米重を測定し、水分15重量%に補正して面積あたりの収量を算出した。また全重が中庸だった3ヶ所分につき、籾重と藁重から食用部位の生産効率(籾重/藁重)を算出した。
本発明肥料組成物の代わりに比較肥料組成物を用いたこと以外は、試験例1と同様に水稲を栽培し、精玄米重及び生産効率を算出した。
また、本発明肥料組成物を用いないこと以外は試験例1と同様に水稲を栽培し、精玄米重及び生産効率を算出した。
それらの結果を[表1]に示す。
Claims (6)
- 2種の被覆粒状肥料を含有する肥料組成物であって、
該2種の被覆粒状肥料の組合せが、
25℃における水中での溶出時に、一方の被覆粒状肥料の最大重量増加率と、他方の被覆粒状肥料の最大重量増加率との比が10以上となる2種の被覆粒状肥料の組合せである肥料組成物。 - 2種の被覆粒状肥料の組合せが、最大重量増加率が0.1〜10パーセントである被覆粒状肥料と、最大重量増加率が100〜1000パーセントである被覆粒状肥料との組合せである請求項1記載の肥料組成物。
- 少なくとも1種の被覆粒状肥料が、被覆粒状窒素肥料である請求項1又は2記載の肥料組成物。
- 被覆粒状窒素肥料が、被覆粒状尿素である請求項3記載の肥料組成物。
- 請求項1〜4いずれか一項記載の肥料組成物を、イネの栽培場所に施用する工程を有してなる米の生産方法。
- 請求項1〜4いずれか一項記載の肥料組成物を、イネの移植前の水田に施用する工程を有してなる米の生産方法。
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- 2010-06-22 JP JP2010141413A patent/JP2012006769A/ja active Pending
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