JP2012002765A - パターン寸法測定装置及び輪郭線形成装置 - Google Patents

パターン寸法測定装置及び輪郭線形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、パターンサイズに応じてシュリンクの程度が異なる場合であっても、適正に寸法測定、或いはパターンエッジの輪郭線抽出を行うことを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するための一態様として、試料に電子ビームを走査することによって得られる信号に基づいて、試料上に形成されたパターンの寸法を測定するパターン寸法測定装置において、パターンの寸法値に、パターンの寸法に応じた補正量を加算することによって、パターン寸法値を補正する演算装置を備えたパターン寸法測定装置を提案する。
【選択図】 図20

Description

本発明は、パターン寸法測定装置及び輪郭線抽出装置に係り、特に、電子ビーム等の照射によってシュリンクするパターンであっても高精度に測定及び輪郭線形成を行い得るパターン寸法測定装置及び輪郭線抽出装置に関する。
近年、フォトリソグラフィーでは、フッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザ光に反応するフォトレジスト(以下「ArFレジスト」と呼ぶ)を用いて微細な回路パターンを加工している。このArFレジストには、電子線照射によりアクリル樹脂等が縮合反応をおこし体積が減少する現象が知られている(以下「シュリンク」と呼ぶ)。
特許文献1、及び特許文献2には、シュリンクを起こすパターンの実際の寸法値(即ち、シュリンク前の寸法値)を適正に求めるための手法として、測定回数とシュリンク量との関係を示すカーブを用意し、当該カーブを1回目以降の測定値にフィッティングすることによって、シュリンク前の寸法値(ゼロ回値)を推定する手法が説明されている。
WO03/021186号公報(対応米国特許USP7,659,508) WO03/098149号公報(対応米国特許USP7,285,777)
電子顕微鏡を用いた加工パターンの観察や測長を行う場合、画像取得時の電子線照射により、シュリンクが生じ、本来の寸法測定が特定できない問題がある。特許文献1及び2には、計測点で連続して複数回画像取得し、寸法変化よりフィティングカーブを作成し、シュリンク前の寸法である本来の寸法を推定する方法である。しかし、現在の微細な回路パターンにおいては、シュリンクがパターン寸法に依存し、微細であるほど高速に反応することが発明者らの検討によって明らかになった。即ち、パターンの寸法によっては、単なるフィッティングカーブを用いた推定法では、高い測定精度を維持できない可能性のあることが分かった。
以下にパターンサイズに応じてシュリンクの程度が異なる場合であっても、適正に寸法測定、或いはパターンエッジの輪郭線抽出を行うことを目的とした、パターン寸法測定装置、及び輪郭線抽出装置について説明する。
上記目的を達成するための一態様として、以下に、試料に電子ビームを走査することによって得られる信号に基づいて、前記試料上に形成されたパターンの寸法を測定するパターン寸法測定装置において、前記信号に基づいて得られる前記パターンの寸法値に、前記パターンの寸法に応じた補正量を加算することによって、前記パターン寸法値を補正する演算装置を備えたことを特徴とするパターン寸法測定装置を提案する。
また、上記目的を達成するための他の態様として、以下に、試料に電子ビームを走査することによって得られる信号に基づいて、前記試料上に形成されたパターンエッジの輪郭線を抽出する輪郭線形成部を備えた輪郭線抽出装置において、当該輪郭線形成部は、前記信号に基づいて得られた輪郭線を構成する複数の片、或いは部位毎に登録された補正量に基づいて、前記輪郭線を構成する各点の位置を補正し、当該補正された点に基づいて、新たな輪郭線を形成することを特徴とする輪郭線抽出装置を提案する。
上記一態様によれば、パターンのサイズに応じて変化するシュリンク量に依らず、高精度にパターン寸法値を導出することが可能となる。また、上記他の態様によれば、複雑な形状を有するパターンであっても、シュリンク前の形状を正確に再現した輪郭線の抽出が可能となる。
電子ビーム照射によってシュリンクするパターンの測長値と測定回数との関係を示す図。 測長値と測定回数の関係を示すカーブ(シュリンクカーブ)に基づいて、シュリンク前の測長値を推定する例を説明する図。 微細パターンのシュリンクカーブの一例を説明する図。 微細パターンのシュリンクカーブに基づいて、シュリンク前の測長値を推定する例を説明する図。 微細パターンのシュリンク前寸法の推定値と、実際の寸法値との関係を説明する図。 ΔSカーブ作成工程を説明するフローチャート。 ΔSカーブを説明する説明図。 標準シュリンク量の算出工程を説明するフローチャート。 シュリンクカーブを用いた測長値推測工程を説明するフローチャート。 ホールパターンの測長値推測工程を説明するフローチャート。 OPCパターンのシュリンク例を説明する図。 OPCパターンのシュリンク例を説明する図。 シュリンク前輪郭線への補正工程を説明するフローチャート。 レジスト幅の検索を説明する図。 走査電子顕微鏡の概略説明図。 走査電子顕微鏡の制御装置の概略説明図。 輪郭線抽出法の一例を説明する図。 輪郭線抽出工程を説明するフローチャート。 シュリンク前輪郭線への補正法を説明する図。 シュリンク前寸法値の推定工程を説明する図。
以下、図面を用いて適正なシュリンクカーブを形成するための手法について説明する。図15は、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)の一態様を説明する図である。
電子源1501から引出電極1502によって引き出され、図示しない加速電極によって加速された電子ビーム1503は、集束レンズの一形態であるコンデンサレンズ1504によって、絞られた後に、走査偏向器1505により、試料1509上を一次元的、或いは二次元的に走査される。電子ビーム1503は試料台1508に内蔵された電極に印加された負電圧により減速されると共に、対物レンズ1506のレンズ作用によって集束されて試料1509上に照射される。
電子ビーム1503が試料1509に照射されると、当該照射個所から二次電子、及び後方散乱電子のような電子1510が放出される。放出された電子1510は、試料に印加される負電圧に基づく加速作用によって、電子源方向に加速され、変換電極1512に衝突し、二次電子1511を生じさせる。変換電極1512から放出された二次電子1511は、検出器1513によって捕捉され、捕捉された二次電子量によって、検出器1513の出力Iが変化する。この出力Iに応じて図示しない表示装置の輝度が変化する。例えば二次元像を形成する場合には、走査偏向器1505への偏向信号と、検出器1513の出力Iとの同期をとることで、走査領域の画像を形成する。
なお、図15の例では試料から放出された電子を変換電極にて一端変換して検出する例について説明しているが、無論このような構成に限られることはなく、例えば加速された電子の軌道上に、電子倍像管や検出器の検出面を配置するような構成とすることも可能である。
制御装置1514は、走査電子顕微鏡の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、ラインプロファイルと呼ばれる検出電子の強度分布に基づいて、試料上に形成されたパターンのパターン幅を測定する機能を備えている。
図16は、走査電子顕微鏡の制御装置1514の詳細を説明する図である。制御装置1514内には、演算部1603と記憶部1602が内蔵されている。装置条件制御部1603は、装置条件記憶部1610に記憶されている装置条件(電子ビームの加速電圧,倍率(視野の大きさ),ビーム電流,各レンズの集束条件、及びパターン測定の際の測定条件等)に基づいて、制御信号を生成する。測定部1604では、SEMによって得られた検出信号に基づいて、パターン幅を測定する。測定部1604では、検出信号に基づいて、ラインプロファイルを形成し、当該ラインプロファイルのピーク幅に基づいて、所望のパターンの寸法値を測定する。測定部1604における測定結果は、測定結果記憶部1611に記憶される。Sカーブ形成部1605は、測定部1604にて得られた測定結果に基づいて、横軸を測定回数、縦軸を寸法値とするカーブ(Sカーブ)を形成する。形成されたSカーブに関する情報は、測定結果記憶部1611に記憶される。測定値差分演算部1606では、異なる測定回数間の測定値の差分が計算される。その演算結果は、測定値差分記憶部1612に記憶される。寸法推定部1606では、Sカーブ形成部1605にて形成されたSカーブに基づいて、電子ビームを照射する前のパターン寸法を推定する。具体的な手法については後述する。推定結果は、寸法推定結果記憶部1613に記憶される。
ΔSカーブ形成部1608は、測定値差分演算部1606による演算結果を、横軸をパターンサイズ(或いは設計サイズ)、縦軸を測定値差分とするカーブ(ΔSカーブ)を形成する。具体的な選択法については後述する。
輪郭線形成部1609は、SEMによって得られた画像に基づいて、輪郭線を形成する。図17は、検出された電子に基づいて形成されるパターン画像から、輪郭線を抽出するための手法の一例を説明する図である。なお、この輪郭線抽出工程は、制御装置1514内で行うようにしても良いし、他の演算装置等で行うようにしても良い。輪郭線抽出には、図18のフローチャートに例示するように、先ずSEM画像を形成する(ステップ1801)。次にSEM画像上のパターン1701のエッジ部分に相当するホワイトバンド1702から第1の輪郭線(図示せず)を抽出する(ステップ1802)。なお、この第1の輪郭線の抽出手法としては、SEM像からビットマップデータで構成されたパターン像を抽出し、そのパターン像をベクトルデータで構成されたパターンデータに変換する方法が考えられる。
次に、形成された第1の輪郭線とレイアウトデータ1703とのベクトルデータ比較、或いはパターンマッチングによって、レイアウトデータ1703と第1の輪郭線との重ね合わせを行う(ステップ1803)。レイアウトデータ1703は、GDSフォーマット等で記憶された設計データの線分情報であり、データベース1614から読み出して適用する。このような重ね合わせを行った上で、輝度分布情報収集領域1704,1705を、第1の輪郭線の線分と垂直になるように設定し、輝度分布1706,1707を検出する(ステップ1804)。このように形成された輝度分布の所定の明るさを持つ画素を抽出しその位置を第2の輪郭線位置と定義することで、より正確な輪郭線の形成が可能となる(ステップ1805)。
なお、このような正確な輪郭線形成手法は、特開昭60−169977号公報,特開平6−325176号公報,特開平8−161508号公報,特開平9−204529号公報等に記載された既存の手法の適用が可能である。
なお、上述のように第1の輪郭線とレイアウトデータと重ね合わせることによって、線分単位でレイアウトデータと第1の輪郭線との対応付けが可能となる。レイアウトデータが持つ各線分の線分情報を、輪郭線の各線分情報とすることによって、輪郭線データを設計データと同じ所定のフォーマットにて登録することが可能となる。
上述のように、電子ビームを照射すると、体積が減少するパターンがある。例えば、ArFレジストに電子線を照射した場合の生じる体積の減少は、集束電子線のパターンへの加速電圧Vacc,電子線電流密度Ipd,ライン形状のパターンにおけるシュリンク量2S(片側のエッジでのシュリンク量をSとした場合の両エッジでのシュリンク量)に基づいて、式(1)を用いて求めることができる。
2S=K1・VaccK2・{1−exp(−(Ipd0.5・n/K3))} …(1)
ここで、2S:シュリンク量(両側)、Vacc:加速電圧(V)、K1,K2,K3:レジストによって決まるパラメータ、n:測定回数である。
よって、同一点を繰り返し画像取得し測定した場合の寸法変化は、図1のような変化をすることになり、この寸法変化をシュリンクカーブと呼ぶ。シュリンクカーブを、上記式(1)に基づいて近似すると、図2のように1回目の測長前の寸法値を推測することができる。また、1回目の測長で生じるシュリンク量、つまりシュリンク前寸法と1回目の測長値の差分をゼロシュリンクと呼ぶ。
しかし、発明者の実験において、測定線幅が100nm以下の微細なパターンにおいては、実際の計測結果が上記式(1)に従わなくなることが分かった。
図3は、微細なパターンを計測した場合のシュリンクカーブである。このカーブから式(1)にて推測されるゼロシュリンクは、図4のように非常に小さくなりシュリンクが生じないように見える。しかしながら本現象は、発明者の実験によりシュリンク速度が高速になり、図5のようにゼロシュリンクが大きいためにこのように見えることが分かった。また、本現象は、100nm以下の微細パターンで顕著に現れ、上記式では、現在のプロセスパターンのゼロシュリンクを推測できず、シュリンク前の寸法値を推測することができない。
実験結果によると、寸法に依存してシュリンク速度が高速化しており、観察条件(加速電圧,電流密度)が同一の場合、ゼロシュリンク(ΔS)は測定寸法に依存し、以下の式(2)で表すことができる。
ΔS=exp(−(CD0.5/K1)) …(2)
ここで、K1は、レジストの種類によって決まるパラメータである。本実施例では、線幅に依存せずシュリンク前の寸法値を推測する手順を示す。
本手法を用いて寸法の推測を行うために、使用するレジストと同一のレジストを用いてパターンニングをしたウェハを準備し、事前に線幅とシュリンク量の計測を行う。次に、事前測定結果より、近似曲線(ΔSカーブ)とゼロシュリンク量を算出する。
シュリンク前寸法値を推測する計測を行う場合には、上記、ΔSカーブと標準ゼロシュリンク量から補正値を算出し寸法値を推測する。以下に、手順を示す。
事前測定に必要となるものは、デザイン寸法を変化させたラインパターンである。例えば、50nmから150nmまで10nm刻みで寸法の変化させたラインパターンなどを準備する。ΔSカーブ算出シーケンスを図6に示す。寸法変化したパターン各々をそれぞれ連続2回測定し、それぞれの1回目の測長結果をCD1、2回目の測長結果をCD2として測長値を記録する。
本実施例にて求めるΔSカーブとは、1回目の測長値と2回目の測長値の差分を、異なるパターン寸法毎にプロットすることによって求められるものであり、ΔSカーブを作成する手法としては、上述のように、CD1とCD2に基づいて、CD1−CD2を演算し、ΔS(1-2)を求め、当該演算結果をプロットする。
計測後、パターン寸法CD1もしくは、デザインサイズとΔS(1-2)=CD1−CD2より、式(2)に従いΔSカーブ1を作成する。
この時、得られるΔSカーブ1を図7に例示する。ここでX軸は、1回目の測長結果となっているが、デザインサイズでも良い。次に標準ゼロシュリンク量2S(S)を算出するための代表パターンを決定する。代表パターンの決定シーケンスを図8に示す。
標準ゼロシュリンク量を決定するための代表パターンは、式(1)でシュリンク量を推測できるほどの十分な大きさがなければならず、ΔSカーブにおいて傾きがゼロになる寸法以上となる。また、経験上、100nm以上のラインパターンであれば寸法によるゼロシュリンクの変化が現れないため、100nm以上の任意の寸法値を持つパターンを、代表パターンとするようにしても良い。代表パターンの決定後、代表パターンを最低3回から通常5〜10回の連続測定を行いそれぞれの寸法値を記録する。
記録した寸法値を用いて式(1)よりシュリンク前の測長値CD0を推測後、CD0−CD1の値を標準ゼロシュリンク量とする。測定に使用したパターンが、ΔSカーブ取得ポイントと同様の場合、推測に用いる寸法値は、CD1,CD2にΔSカーブ取得時の寸法値を用いる。
また、同一ウェハ面内より代表パターンと同じ寸法パターンを複数個測定しその平均値を用いて標準ゼロシュリンク量を算出しても良い。
次に、算出したΔSカーブ1と標準ゼロシュリンク量より、シュリンク補正式(3)を算出し、記憶する。
ΔS1=exp{−(CD1 0.5/K1)}+2S …(3)
次に、上記式(3)を用いた、測定時のシュリンク前測長値推測シーケンス図9に示す。
測長後、得られた寸法値を元に、事前取得していた式(3)よりCD1のゼロシュリンク量を算出し、表示することができる。これにより測定時は、1回の測長でシュリンク前の測長値を推測でき、最小限の電子線照射によるダメージに抑えることが可能となる。
本実施例では、代表パターンのシュリンクカーブを用いて、シュリンク前の寸法推定(計算)を行うために、40nm近傍のパターンにおけるオーバーシュリンク量を補正値の一部として導出する。オーバーシュリンク量とは、測定対象パターン(例えば1回目の測定で大きなシュリンクを発生させる40nm程度の幅を持つパターン)のシュリンク量と、代表パターンのシュリンク量との1回目の測定値と2回目の測定値の差分である。標準ゼロシュリンク量にオーバーシュリンク量を加算することによって、シュリンクが大きなパターンに対する補正量とする。
よって、式(4)を解くことによって、シュリンクが大きく発生する測定対象パターンのシュリンク量を推定することができる。
2S=2S(S)+ΔS …(4)
(2S(S):代表パターンの標準シュリンク量、2S:測定対象パターンのシュリンク量、ΔS:測定対象パターンのオーバーシュリンク量)
式(5)のように、以上のようにして求められた2Sを、測定対象パターンの測定値に加算することによって、シュリンク前のパターン寸法を推定することが可能となる。
CDe=CDx+2S …(5)
(CDe:シュリンク前のパターン寸法推定値、CDx:パターン寸法測定値)
なお、ΔSは、上述したように測定対象パターンの大きさによって変化するため、パターンの種類に応じて予め所定の記憶媒体に記憶しておき、演算時に読み出すようにすると良い。なお、ΔSは、パターンの実寸法によって変化するため、測定対象パターンの設計データのサイズに応じてその値を読み出すようにすると良い。また、ΔSとパターンサイズとの関係を示す近似曲線(関数)、或いはテーブルを予め作成しておき、当該関数とパターンのサイズに基づいて、ΔSを導出するようにしても良い。
また、パターンの実測値(CD1(1回目の測定値))と、ΔS(或いは2S)との関係を、予め関数化、或いはテーブル化しておき、実際の測定時に得られた実測値に基づいて、ΔS(或いは2S)を導出するようにしても良い。
図20は、微細なパターンのシュリンク補正量の算出工程と、当該補正量に基づいて測定値を補正することによって、シュリンク前のパターン寸法を推定する工程を説明するフローチャートである。
まず、複数のサイズのパターン(例えば、50nm〜150nmの寸法幅を持つパターン)について、CD1(1回目の測長値)とCD2(2回目の測長値)を測定する(ステップ2001)。次に各サイズについてCD1−CD2を演算し、横軸をパターンサイズ(設計サイズでも可)、縦軸をCD1−CD2とするグラフ上にプロット(ΔSカーブ1)を形成する(ステップ2002)。次に、ΔSカーブ1の傾きがゼロ、或いは傾きが所定値以下のポイントに相当するパターンサイズの選択(代表パターンの選択)を行う(ステップ2003)。この代表パターンは、第1のパターンサイズを持つ。次に代表パターンに対するn回の測定に基づいて、シュリンクカーブ(Sカーブ)を作成する(ステップ2004)。次に、代表パターンについて形成されたSカーブに基づいて、『標準ゼロシュリンク量(推定されるゼロ回値と1回目の測定値との差分)』を算出する(ステップ2005)。次に、代表パターンのCD1−CD2と、代表パターンに対して、パターンサイズが小なる複数のパターンのCD1−CD2との差分(ΔS:ΔS1〜ΔSn)を算出する(ステップ2006)。ここまでが、シュリンク補正量の算出ステップであり、所定の記憶媒体に上記情報を記憶する。なお、上記順番はシュリンク補正量を求める手法の一例に過ぎず、標準ゼロシュリンク量とΔSを別の順番で求めるようにしても良い。
次に、実際の測定対象パターンの測長を実行する(ステップ2007)。次に、測定対象パターンの寸法値,標準ゼロシュリンク量、及びΔSに基づいて、式(5)等に基づいて、シュリンク前の寸法値を演算する(ステップ2008)。このようにして求められたシュリンク前寸法値を、所定の記憶媒体に記憶、及び図示しない表示装置に測長値(或いは推定値)として出力する(ステップ2009)。
本実施例では、標準ゼロシュリンク量(2S(S))と各パターンの寸法に依存したシュリンク量(ΔS)を実測値に加算することによって、トータルのシュリンク量を求める例を説明したが、その都度計算するのではなく、例えば、2S(S)+ΔSを予め各パターンの寸法(デザインサイズ、或いは実測値)毎に登録したテーブル、或いは関係式を用意しておき、測定された実測値(或いは測定対象パターンのデザインサイズ)に応じて、総シュリンク量をテーブルから読み出し、或いは関係式に基づいて演算を行うことによって、総シュリンク量を導出するようにしても良い。
以上のように、1回の測定(電子ビーム照射)によるシュリンクが大きく、フィッティングカーブによるゼロ回値の推定が困難なパターンであっても、予め標準ゼロシュリンク量やΔSを求めておくことにより、ゼロ回値の正確な推定が可能となる。また、標準ゼロシュリンク量とΔSを求めておけば、1回の測定でシュリンク前寸法の演算が可能となる。
実施例1は、微細ラインパターンのシュリンク前寸法の推測方法であるが、微細ホールパターンのシュリンク前寸法値の推測方法にも有効である。
複数個のホールが密集したパターンでは、ホール間隔が近づくほど、微細ラインパターンと同様の現象が見られる。密集ホールパターンの場合、ホールとホールの間がレジスト領域になり、ホール間隔が近づくほど、レジスト領域が微細になる。よってホールパターンにおいては、ホール寸法でなく、ホール間隔でΔSカーブを作成することができる。図6におけるCD1,CD2はそれぞれ測定ホールと周辺ホールとの間隔測定結果となる。標準ゼロシュリンク量の算出方法は同じ方法で算出することができる。測定時のシュリンク前測長値推測シーケンスを図10に示す。
ホール測長時に、同一画面内でホール測長とホール間隔測長を行いそれぞれの寸法値を記録する。ホール間隔をCD1とし、式(3)よりゼロシュリンク量を推測することができる。ホール測長結果は、ホール測長結果CD2と上記ゼロシュリンク量よりシュリンク前寸法CD(0)を算出し、表示する。
同様に、スペース測定時もホール測定同様にスペースとスペースの間隔で推測することができる。この場合、スペース間隔をCD1としてスペース測定結果をCD2としてシュリンク前寸法を推測することができる。
半導体パターンやフラットパネル等の転写に用いられるフォトマスクでは、パターン等の微細化に伴い、光近接効果(Optical Proximity Correction:OPC)の影響によって設計データに忠実なレジストパターンを形成することが困難になりつつある。このような課題に対し、補助パターン(OPCパターン)を付加することによって、適正なパターン形成を実現する試みがなされている。このようなOPCにおいては、実施例1,2のような一次元的な寸法測定だけではなく、二次元的な寸法測定に基づく形状評価の要求がある。このような形状評価に基づいて、マスクデザインの補正が行われる。このOPC測定では、SEM像からパターン輪郭線を抽出し、輪郭線に基づいて二次元形状を評価したり、輪郭線に基づく露光シミュレーションによる形状評価を行うことが知られている。
二次元測定を要するようなパターンの場合、計測パターン形状や周辺パターンが複雑であり、シュリンク量がパターンやパターンの部位ごとに異なる場合がある。即ち、ゼロシュリンク量がパターンやパターンの部位毎に異なる場合がある。本実施例では、パターンやパターンの部位毎に異なるシュリンク量に依らず、パターンエッジの輪郭抽出を高精度に行い得る輪郭線抽出法を説明する。
図11はOPCパターンの一例である。T字型の部分がArFレジストで形成されたパターンを例に説明する。T字パターンのシュリンクは、図11のポイントA,B,Cそれぞれにおいてレジストの線幅が異なるためにゼロシュリンク量が異なる。よって、輪郭線抽出のためのSEM像を取得すると、シュリンク量は、A>B>Cの順で大きくなり、線幅の小さなAはよりシュリンクし、線幅の大きいCはシュリンクしにくくなる。このSEM像から輪郭線抽出を行うと、本来得られる輪郭線よりポイントAではより内側へ入り込んだ輪郭線となってしまう。
また、図12のようにホールパターンが並んだ場合も、同様に一様なシュリンクとならない。ホールパターンの場合、周辺がレジストとなるため周辺パターン密度によりシュリンクが異なる。
ホール上部は、レジストが広がっているのに対してホール側部は、別のホールが並んでいるためレジスト量が少なくなっている。よってゼロシュリンク量は水平方向に対して垂直方向が大きくなるためシュリンク後は、楕円形状のSEM像となり、本来と異なる輪郭線抽出となってしまう。
本実施例では、このようなOPCパターンで正しい輪郭線へ補正する方法を示す。図13にシーケンスを示す。輪郭線補正を行うためには、実施例1同様にラインパターンを用いたΔSカーブを作成と標準ゼロシュリンク量の計測を行っておき、式(3)を取得しておく。次に輪郭線を抽出するためのSEM画像を取得し、パターンエッジに追従したエッジ点検出し輪郭線を抽出する。抽出した各エッジ点より、図14のように、パターンに垂直方向でレジスト方向に対してエッジ検出を行い、レジスト幅CD1を計測する。次に各エッジ点のレジスト幅をCD1として式(3)より寸法値を推測する。エッジが検出できない場合、レジスト量は無限にあると考えパターン形状,密度による影響を受けないと考え標準ゼロシュリンク量を補正値とする。なお、ΔSは、両エッジの変化をシュリンクとしているため片側エッジ単体のゼロシュリンクは、ゼロシュリンクの半分の値となる。
次に取得したSEM像の倍率より補正量をピクセルへ変換し、現在のエッジ位置よりエッジ検出方向に対して、補正量の分だけエッジ位置をずらす。この補正を全エッジ点に行い、新たな輪郭線を表示する。これによりパターン形状と周辺パターンに依存せずシュリンク前の輪郭線を抽出することが可能となる。
図19は、図18の工程を経て形成された輪郭線(第2の輪郭線)に基づいて、シュリンク量を加味した輪郭線(第3の輪郭線)を形成する工程を説明する図である。まず、第2の輪郭線1901上の各点1902(画素)について、各線分に割り当てられた補正量を導出する(図19(2))。各点が属する片の属性情報は、第2の輪郭線を形成したときに、レイアウトデータ1703に基づいて、予め第2の輪郭線1901上の各片に付加されているので、その情報を利用する。各片の補正量は、予め所定の記憶媒体に記憶しておき、各点1902の指定に基づいて、読み出されるようにする。本例の場合、最も長いパターン寸法1903の補正量1904が最も小さく、2番目に長いパターン寸法1905の補正量1906が2番目に小さい。また、パターン寸法1903,1905のより短い寸法1907の補正量1908は、3つの補正量の中で最も小さいものとなっている。上述したように、パターン寸法が小さい程、シュリンクが大きく発生する傾向にあるため、補正量もそのように登録しておく。各片の補正量は、近接するパターンの存在等によっても変化するため、少なくともパターン寸法と、他のパターンの位置の組み合わせ毎に登録しておき、輪郭線を形成するパターン部位の状況に応じて、適用するようにすると良い。
各点の補正量は、レイアウトデータ1703の各片の垂直方向の補正量を登録しておくことが望ましい。次に、補正によって位置調整された補正点1909を繋ぎ合わせるように、第3の輪郭線1910を形成する(図19(3),(4))。輪郭線補正量は、輪郭線補正量記憶部1615に予め記憶しておき、必要に応じて読み出せるようにしておく。補正量は、同じ材質からなるパターンの各部位について実際に測定した結果から補正量を抽出するようにすると良い。
また、シュリンク量がある部分において一定と見なせる領域が存在するのであれば、片毎ではなくパターンの部位単位で補正量を登録しておくようにしても良い。
以上のような構成によれば、パターン、或いはパターンの部位毎にシュリンク量が異なるような場合であっても、高精度に輪郭線形成を行うことが可能となる。
1501 電子源
1502 引出電極
1503 電子ビーム
1504 コンデンサレンズ
1505 走査偏向器
1506 対物レンズ
1507 試料室
1508 試料台
1509 試料
1510 電子
1511 二次電子
1512 変換電極
1513 検出器

Claims (10)

  1. 試料に電子ビームを走査することによって得られる信号に基づいて、前記試料上に形成されたパターンの寸法を測定するパターン寸法測定装置において、
    前記信号に基づいて得られる前記パターンの寸法値に、前記パターンの寸法に応じた補正量を加算することによって、前記パターン寸法値を補正する演算装置を備えたことを特徴とするパターン寸法測定装置。
  2. 請求項1において、
    前記演算装置は、第1のサイズのパターンに電子ビームを照射したときの第1のシュリンク量に基づく補正量、或いは当該第1のシュリンク量に、当該第1のサイズより小さなパターンのサイズに応じて記憶された第2のシュリンク量を加算した補正量を用いて、前記パターンの寸法値を補正することを特徴とするパターン寸法測定装置。
  3. 請求項2において、
    前記演算装置は、前記第1のサイズのパターンの第1回目の電子ビーム照射による測定値と第2回目の電子ビーム照射による測定値の差分と、前記第2のサイズのパターンの第1回目の電子ビーム照射による測定値と第2回目の電子ビーム照射による測定値の差分との差異に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とするパターン寸法測定装置。
  4. 請求項2において、
    前記演算装置は、前記第1のサイズのパターンに対する複数回の測定に基づいて、測定回数に対するシュリンク量を示すシュリンクカーブを形成し、当該シュリンクカーブに基づいて、当該第1のサイズのパターンの電子ビーム照射前の寸法値を演算することを特徴とするパターン寸法測定装置。
  5. 請求項4において、
    前記演算装置は、前記第1のサイズのパターンの電子ビーム照射前の寸法値と、第1回目の電子ビーム照射による測定値との差分に基づいて、前記補正量を演算することを特徴とするパターン寸法測定装置。
  6. 請求項1において、
    前記演算装置は、前記試料上に形成されたパターンに対する第1回目の電子ビーム照射による寸法値に、前記補正量を加算することによって、前記パターン寸法値を補正することを特徴とするパターン寸法測定装置。
  7. 試料に電子ビームを走査することによって得られる信号に基づいて、前記試料上に形成されたパターンエッジの輪郭線を抽出する輪郭線形成部を備えた輪郭線抽出装置において、
    当該輪郭線形成部は、前記信号に基づいて得られた輪郭線を構成する複数の片、或いは部位毎に登録された補正量に基づいて、前記輪郭線を構成する各点の位置を補正し、当該補正された点に基づいて、新たな輪郭線を形成することを特徴とする輪郭線抽出装置。
  8. 請求項7において、
    前記輪郭線形成部は、前記信号に基づいて形成される画像のエッジ部を細線化することによって、前記輪郭線を抽出することを特徴とする輪郭線抽出装置。
  9. 請求項7において、
    前記補正量は、前記試料に対する電子ビームの照射によって発生するシュリンク量に基づいて得られるものであることを特徴とする輪郭線抽出装置。
  10. 請求項7において、
    前記補正量は、前記片によって形成されるパターンの幅が小さい程、大きくなることを特徴とする輪郭線抽出装置。
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