JP2012002729A - デュアル圧力センサ及び流量制御弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】デュアル圧力センサを成す圧力検出素子の温度を実測しなくても、温度補正された流体圧力を検出できるようにする。
【解決手段】相互に接触した状態で一体化された2つの圧力検出素子16A及び16Bの温度・圧力特性をそれぞれ表わす2つの関数f1及びf2の温度変数T及び圧力変数Pを互いに共通とし、各圧力検出素子16A及び16Bによる検出値S1及びS2がそれぞれ関数f1及びf2の解であるとして、各関数f1及びf2を連立して解くことで、流体の圧力を求める。
【選択図】図7
【解決手段】相互に接触した状態で一体化された2つの圧力検出素子16A及び16Bの温度・圧力特性をそれぞれ表わす2つの関数f1及びf2の温度変数T及び圧力変数Pを互いに共通とし、各圧力検出素子16A及び16Bによる検出値S1及びS2がそれぞれ関数f1及びf2の解であるとして、各関数f1及びf2を連立して解くことで、流体の圧力を求める。
【選択図】図7
Description
本発明の一態様は、気体や液体等の流体の圧力をセンシングする技術に関する。
2つの被測定圧力を検出する圧力センサ(デュアル圧力センサ)として例えば下記特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載のデュアル圧力センサは、2つの感圧ダイヤフラムチップを有し、2つの導圧管から導入された2つの被測定圧力がそれぞれの感圧ダイヤフラムに加えられる。このときの感圧ダイヤフラムの変位を例えば拡散型歪みゲージによって電気信号に変換することにより、被測定圧力に応じた検出信号を得ることができる。
このようなデュアル圧力センサは、2つの被測定圧力を検出できるから、両者の差分、つまりは差圧を求める差圧センサとしても利用できる。求められる差圧の一例としては、流量制御弁の上流側および下流側の流体の圧力差(つまりは差圧)が挙げられる。なお、流量制御弁の一例としては、下記特許文献2に記載のものが知られている。
ここで、流量制御弁の上流側及び下流側の流体圧力の差分(差圧)は、当該流量制御弁内を流れる流体の流量を求めるのに用いることができる。しかしながら、感圧ダイヤフラムを用いた圧力センサの出力特性には、個体毎にバラツキがあるのが通常であり、また、外部から受ける熱(つまりは温度変化)の影響も受け易い。
すなわち、感圧ダイヤフラムを用いた圧力センサは、印加圧力に応じてダイヤフラムに物理的な変位が生じることを利用して流体の圧力を検出する構成であるため、使用温度によって出力にオフセットが生じたり出力ゲインが変化したりする温度特性を有する。そのため、流体の流量を精度良く求めるには、個々の圧力センサの温度に応じた適切な補正(補償)を圧力センサの出力に施すことが求められる。
このような温度補正(補償)を行なうために、圧力センサには、例えば特許文献1に記載されるように、感圧ダイヤフラムの温度を検出(測定)する温度センサ(例えば抵抗素子等)が設けられることがある。しかしながら、2つの圧力センサ(感圧ダイヤフラム)を用いたデュアル圧力センサにおいて、そのような温度補正を行なうとすると、2つの圧力センサのそれぞれにつき温度センサを設けることになり、デュアル圧力センサの部品点数が多くなり、そのコストも高くなる。
そこで、本発明の目的の一つは、デュアル圧力センサを成す圧力検出素子の温度を実測しなくても、温度補正された流体圧力を検出できるようにすることにある。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
本発明のデュアル圧力センサの一態様は、第1の温度・圧力特性を有し、流体の圧力を検出する第1の圧力検出素子と、第2の温度・圧力特性を有し、前記流体の圧力を検出する第2の圧力検出素子と、前記第1及び第2の温度・圧力特性をそれぞれ表わす第1及び第2の関数の温度変数及び圧力変数を互いに共通とし、前記第1及び第2の圧力検出素子による検出値がそれぞれ前記第1及び第2の関数の解であると仮定して、前記各関数を連立して解くことで、前記流体の圧力を求める演算部と、前記演算部で求められた前記圧力を出力する出力部と、を備え、前記第1の圧力検出素子と前記第2の圧力検出素子とが相互に接触した状態で一体化されている。
ここで、前記演算部は、前記各関数を連立して解くことで前記第1及び第2の圧力検出素子の温度を更に求め、前記出力部は、前記求めた温度を前記演算部で求められた前記圧力とともに出力する、こととしてもよい。
また、本発明の流体制御弁の一態様は、内部に流路を有する弁本体と、前記弁本体内で動作することで前記流路を通過する流体の流量を制御する弁体とを有する流量制御弁において、前記弁本体内の前記弁体よりも上流側の流路を流れる流体を弁本体外周面へ導く上流側流体圧力導出路と、前記弁本体内の前記弁体よりも下流側の流路を流れる流体を弁本体外周面へ導く下流側流体圧力導出路と、上述した構成を具備する第1及び第2のデュアル圧力センサと、を備え、前記第1のデュアル圧力センサは、前記上流側流体圧力導出路を介して前記第1のデュアル圧力センサの第1及び第2の圧力検出素子のそれぞれに流体圧力を伝達可能に前記弁本体外周面に設けられ、前記第2のデュアル圧力センサは、前記下流側圧力導出路を介して前記第2のデュアル圧力センサの第1及び第2の圧力検出素子のそれぞれに流体圧力を伝達可能に前記弁本体外周面に設けられる。
本発明のデュアル圧力センサの一態様によれば、デュアル圧力センサを成す各圧力検出素子の温度をそれぞれ実測しなくても、温度補正された流体圧力を求めることができる。したがって、デュアル圧力センサを成す圧力検出素子毎に温度センサを設けずに済み、デュアル圧力センサ、ひいては流体制御弁の部品点数、コストを削減できる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
(一実施形態)
図1、図2及び図3は、それぞれ、一実施形態に係るデュアル圧力センサの模式的な正面図、平面図及び側面図であり、図4は図2のII−II線断面図、図5は図4のIII−III線平面図である。図4において、デュアル圧力センサ1は、例示的に、気密容器2と、気密容器2の内部に収納された2つの圧力センサユニット3A、3Bと、基板4と、を備えている。
図1、図2及び図3は、それぞれ、一実施形態に係るデュアル圧力センサの模式的な正面図、平面図及び側面図であり、図4は図2のII−II線断面図、図5は図4のIII−III線平面図である。図4において、デュアル圧力センサ1は、例示的に、気密容器2と、気密容器2の内部に収納された2つの圧力センサユニット3A、3Bと、基板4と、を備えている。
気密容器2は、図4に例示するように、開口部を有する有底箱型のケース7と、ケース7の開口部を気密に覆う蓋体8とを有する。蓋体8は、例示的に、凹陥部12を有する平板状に形成され、ケース7の開口部に図示を省略したシール部材を介して固定(例えばネジ止め)される。これにより、ケース7の開口部を気密に密封して、内部に一定圧力の圧力基準室9を形成することができる。なお、ケース7及び蓋体8は、それぞれ例えば合成樹脂によって成形することができる。また、蓋体8の凹陥部12とは反対側の面には、外部信号線13の一端を接続可能なコネクタ部14を設けることができる。
ケース7は、図5に示すように、例示的に、底板7aと、底板7aの各辺に沿って立設された4つの側板7b〜7eとを備えた矩形箱型に形成され、内部(圧力基準室9)に2つの圧力センサユニット3A及び3Bを互いの側面が相互に接するように並設することができる。
ケース7の内面の4つの各隅角部と、対向する長辺側の側板7d及び7eの内面の長手方向中央部分とには、圧力センサユニット3A及び3Bを位置決めする三角柱状の位置決め用突出部10をそれぞれ設けてもよい。また、底板7aには、2つの挿通孔11a及び11bを圧力センサユニット3A及び3Bに対応して形成することができる。
圧力センサユニット3A及び3Bは、互いに同じ構成とすることができ、例示的に、圧力センサユニット3A(3B)は、台座15A(15B)と、感圧ダイヤフラムチップ16A(16B)と、各感圧ダイヤフラムチップ16A及び16Bに共通の出力補正回路17と、を備える。
台座15A(15B)は、例示的に、台座本体15A−1(15B−1)と、コネクタ部14から離れる方向に台座本体15A−1(15B−1)から突設した圧力導入部15A−2(15B−2)とを有する。台座本体15A−1(15B−1)と圧力導入部15A−2(15B−2)とは、例えば合成樹脂等によって一体的に形成することができる。
台座本体15A−1(15B−1)は、図4に例示するように、内部に連通路21a(21b)を有しており、当該連通路21a(21b)から感圧ダイヤフラムチップ16A(16B)に被測定圧力P1(P2)を導く小孔22a(22b)が形成されている。台座本体15A−1(15B−1)における連通路21a(21b)の容積を大きく形成することにより、被測定圧力P1(P2)の急激な変動を吸収、緩和し、感圧ダイヤフラムチップ16A(16B)のダイヤフラムが破損することを抑制できる。
圧力導入部15A−2(15B−2)は、例えば内面が円筒形状の圧力導入孔23a(23b)を有しており、圧力導入孔23a(23b)は、台座本体15A−1(15B−1)の連通路21a(21b)に連通している。これにより、連通路21a(21b)及び小孔22a(22b)を介して感圧ダイヤフラムチップ16A(16B)に被測定圧力P1(P2)を導くことができる。
感圧ダイヤフラムチップ16A及び16Bは、いずれも温度に応じて出力値である流体の検出圧力が変動する(例えば、温度が高くなるほどセンサ出力値が大きくなる傾向にある)出力特性を有する圧力検出素子(圧力センサ)の一例であり、例示的に、感圧部(ダイヤフラム)が形成された半導体基板(シリコン)と、拡散型歪みゲージとを備える。
拡散型歪みゲージは、前記ダイヤフラムの被測定圧力による歪みを、ピエゾ抵抗効果を利用して検出し電気信号に変換する。拡散型歪みゲージの出力信号は、基板4の電気回路に例えばボンディングワイヤ25a(25b)を介して電気的に接続される。
圧力センサの一例である感圧ダイヤフラムチップ16A(16B)は、台座本体15A−1(15B−1)の例えばコネクタ部14側の面に設けられ、小孔22a(22b)から被測定圧力P1(P2)がダイヤフラムの一方の面に印加される。なお、ダイヤフラムの他方の面には、気密容器2内の圧力が基準圧力として印加される。
出力補正回路17は、例えば基板4の前記電気回路の一部を成し、感圧ダイヤフラムチップ16A及び16Bによって検出された各被測定圧力を基に、温度補正された被測定圧力を求める。ただし、本例のデュアル圧力センサ1は、温度補正のために圧力センサ16A及び16Bの個々の温度を検出する温度センサは備えておらず、代わりに、所定の演算により温度を検出できるようになっている。その詳細については後述する。
以上のような圧力センサユニット3A及び3Bは、ケース7内において、例えば図5に示すように、台座本体15A−1及び15B−1がケース内面と位置決め用突出部10とによって位置決めされ、互いに対向する側面20aどうしが接触し、残り3つの側面20b〜20dがケース7の内面にそれぞれ接触し、台座本体15A−1及び15B−1の底面が底板7aの内面に接触する。このように、2つの台座本体15A−1及び15B−1の側面20aどうしを互いに接触させておくことで、2つの台座15A及び15Bの温度、ひいては圧力センサ16A及び16Bの温度を等しくすることができる。
各台座15A及び15Bの圧力導入部15A−2及び15B−2は、底板7aの対応する挿通孔11a及び11bを介してケース7から突出し、対応する導圧管24A及び24Bにそれぞれ接続することができる。
基板4は、圧力センサユニット3A及び3Bとともにケース7内に収容され、例えば複数個の止めねじによって位置決め用突出部10に固定され、リード線28が蓋体8のコネクタ部14に接続される。
以上のようなデュアル圧力センサ1は、例えば弁本体内を流れる流体の流量を制御する流量制御弁と組み合わせて、弁本体内を流れる流体の流量を測定することができる。なお、流体は、気体(ガス)でもよいし、液体でもよい。流量制御弁の流路内を流れる流体の流量Qは、弁体の一次側(上流側)流路と二次側(下流側)流路中の流体の差圧と、弁体の開度で決まる流量係数(Cv)とから次式(1)によって算出することができる。
Q=A・Cv・√ΔP ・・・・(1)
ただし、Aは定数、ΔPは流体の上流側と下流側の圧力差である。
ただし、Aは定数、ΔPは流体の上流側と下流側の圧力差である。
当該式(1)による流量計測は、固定オリフィスを用いた差圧式流量計測に比べて、弁体の開度に応じて絞り効果が変わるために幅広い流量の測定が可能である。また、流量制御弁部の配管圧力が判るため、流量を測定する他に圧力異常などの診断にその情報を利用することもできる。
(デュアル圧力センサの適用例)
図6は、上述したデュアル圧力センサ1を適用可能な流量制御弁100の一例を示す断面図である。流量制御弁100は、例示的に、上流側及び下流側に配置された一対のシートリングによって弁体(ボールプラグ)を回動自在に支持するフローティングタイプの二方ボールバルブからなる流量制御弁である。フローティングタイプの弁は、全閉時に弁体が上流側流体圧によって下流側シートリングに押し付けられることにより、弁体と下流側シートリングとの接触によってシールを図ることができる。
図6は、上述したデュアル圧力センサ1を適用可能な流量制御弁100の一例を示す断面図である。流量制御弁100は、例示的に、上流側及び下流側に配置された一対のシートリングによって弁体(ボールプラグ)を回動自在に支持するフローティングタイプの二方ボールバルブからなる流量制御弁である。フローティングタイプの弁は、全閉時に弁体が上流側流体圧によって下流側シートリングに押し付けられることにより、弁体と下流側シートリングとの接触によってシールを図ることができる。
流量制御弁100は、例示的に、内部が流体102の流路103を形成する弁本体101と、弁本体101の内部において流路103を開閉する弁体104と、を有する。弁体104は、例えば弁軸107を有するボール形状の弁体であり、弁本体101内部で水平面内において弁軸107を中心に回動可能に配設されている。
弁体104は、例えば中空体であり、内部を流体102が通過できるよう流入側開口部と流出側開口部とを有している。弁軸107は、図示を省略したアクチュエータ等によって駆動されることにより、弁体104を矢印θ方向に所定の角度範囲(例えば90°等)内で回動可能である。
弁本体101の内部において、弁体104の上流側には、弁体104の外周面に接するよう上流側シートリング63が配設され、弁体104の下流側には、弁体の外周面に接するよう下流側シートリング65が配設されている。シートリング63及び65のそれぞれは、流路103の一部を成す中空構造を有しており、弁体104の前記開口部とそれぞれ連通する状態において流体102が弁体104の上流側から弁体104内部の流路を通過して弁体104の下流側へ流れる。弁体104の回動動作(回動角度)が制御されることによって、弁体104の上流側から下流側へ流路103を通過する流体の流量を制御することができる。
上流側シートリング63は上流側リテーナ64によって、下流側シートリング65は下流側リテーナ66によって、それぞれ弁本体101内において保持されている。上流側リテーナ64には、内周面と外周面とを貫通する貫通孔50が周方向に複数(例えば4つ)設けられており、当該貫通孔50に、弁体104へ向かう流体102の一部が流入する。
下流側リテーナ66にも、内周面と外周面とを貫通する貫通孔51が周方向に複数(例えば4つ)設けられており、当該貫通孔51に、弁体104から流出した流体102の一部が流入する。
上流側リテーナ64の貫通孔50は、例えば上流側シートリング63近傍で弁本体101の肉厚内に内外を半径方向に貫通するように形成された2つの貫通孔24A及び24Bとそれぞれ連通している。したがって、上流側リテーナ64の貫通孔50に流入した流体102は、弁体104よりも上流側の2つの貫通孔24A及び24Bにそれぞれ伝達される。別言すれば、貫通孔50と弁体104よりも上流側の2つの貫通孔24A及び24Bの組とは、弁体104よりも上流側の流路を流れる流体102を弁本体外周面へ導く上流側流体圧力導出路の一例を成す。
一方、下流側リテーナ66の貫通孔51は、例えば下流側シートリング65近傍で弁本体101の肉厚内に内外を半径方向に貫通するように形成された2つの貫通孔24A及び24Bとそれぞれ連通している。したがって、下流側リテーナ66の貫通孔51に流入した流体102は、弁体104よりも下流側の2つの貫通孔24A及び24Bにそれぞれ伝達される。別言すれば、貫通孔51と弁体104よりも下流側の2つの貫通孔24A及び24Bの組とは、弁体104よりも下流側の流路を流れる流体102を弁本体外周面へ導く下流側流体圧力導出路の一例を成す。
上流側の2つの貫通孔24A及び24Bに対応して第1のデュアル圧力センサ1−1を、下流側の2つの貫通孔24A及び24Bに対応して第2のデュアル圧力センサ1−2を、それぞれ弁本体101に設けることができる。デュアル圧力センサ1−1及び1−2は、いずれも図1〜図5に例示した構成を有し、両者を区別しない場合には単に「デュアル圧力センサ1」と表記する。
この場合、図4及び図6から明らかなように、弁本体101において、弁体104よりも上流側に設けられた2つの貫通孔24A及び24Bは、第1のデュアル圧力センサ1−1における圧力導入部15A−2及び15B−2にそれぞれ接続される導圧管として機能する。同様に、弁体104よりも下流側に設けられた2つの貫通孔24A及び24Bは、第2のデュアル圧力センサ1−2における圧力導入部15A−2及び15B−2にそれぞれ接続される導圧管として機能する。
これにより、上流側流体圧力導出路の一例を成す貫通孔50と2つの貫通孔(導圧管)24A及び24Bとを通じて導かれた流体102の圧力P1が第1のデュアル圧力センサ1−1の圧力センサ16A及び16Bのそれぞれに印加される。また、下流側流体圧力導出路の一例を成す貫通孔51と2つの貫通孔24A及び24Bとを通じて導かれた流体102の圧力P2が第2のデュアル圧力センサ1−2の圧力センサ16A及び16Bのそれぞれに印加される。
圧力センサ16A及び16Bの各ダイヤフラムは、ダイヤフラムの片面側に印加された圧力P1又はP2に応じて歪み、この歪みにより拡散型歪みゲージの出力電圧が変化することで、圧力P1又はP2が検出される。なお、ダイヤフラムの反対面側には気密容器2内の圧力が基準圧力として印加されているので、各圧力センサ16A及び16Bの出力電圧は、それぞれ被測定圧力に相当する出力電圧となる。
デュアル圧力センサ1−1及び1−2をそれぞれ成す圧力センサ16A及び16Bの出力電圧は、それぞれ例えば図4に示す基板4に設けられた出力補正回路17に送られる。各デュアル圧力センサ1−1及び1−2の出力補正回路17は、圧力センサ16A及び16Bの出力電圧を基に、温度補正された出力電圧を求める。当該出力電圧は、例えば外部信号線13を介してデュアル圧力センサ1−1及び1−2に接続されている流量算出部61(図6参照)に与えられる。
流量算出部61では、デュアル圧力センサ1−1及び1−2のそれぞれから受信した温度補正済みの被測定圧力P1及びP2を減算して、両者の差圧ΔP(P1−P2)を求め、当該差圧ΔPを前記の式(1)に代入して演算処理することにより、流量制御弁100を流れる流体の流量Qを測定する。なお、弁体104の開度は、例えば図6に示す弁開度検出部60にて検出することができる。したがって、流量算出部61は、当該検出された開度によって式(1)で用いる流量係数Cvを決定することができる。
(温度補正処理)
次に、上述した出力補正回路17による温度補正処理の具体例について、図7及び図8を用いて詳述する。
次に、上述した出力補正回路17による温度補正処理の具体例について、図7及び図8を用いて詳述する。
図7は、出力補正回路17の一例を示すブロック図である。図7に示す出力補正回路17は、例示的に、圧力センサ16A及び16Bに対応するアナログ−デジタルコンバータ(ADC)171及び172と、記憶部173と、演算部174と、演算結果出力部175と、を備える。
ADC171は、一方の圧力センサ16Aの出力電圧をデジタル信号(S1)に変換し、ADC172は、他方の圧力センサ16Bの出力電圧をデジタル信号(S2)に変換する。
記憶部173は、一方の圧力センサ16Aの出力特性に関する情報と、他方の圧力センサ16Bの出力特性に関する情報とを記憶する。ここで、圧力センサ16A及び16Bの出力特性は、いずれも被測定圧力及び温度に依存して変動する(例えば、温度が高いほど検出圧力が高くなる傾向にある)から、圧力及び温度を変数とする関数により表わすことができる。
したがって、圧力センサ16A及び16Bの出力特性(温度・圧力特性)は、両圧力センサ16A及び16Bが同じ流体102の同じ部分の圧力を測定し、かつ、両圧力センサ16A及び16Bの温度が同一(同一とみなせる場合も含む)であれば、共通の圧力変数P及び温度変数Tを用いて関数f1(P,T)及び関数f2(P,T)とそれぞれ表わすことができる。
この点、本例において、1つのデュアル圧力センサ1−1(又は1−2)を成す両圧力センサ16A及び16Bは、図6に例示したように、それぞれ同じ上流側(下流側)の流体102の圧力を被測定圧力とし、かつ、図5に例示したように、互いに接触した状態で一体化されているから同一温度と扱うことができる。よって、記憶部173に記憶される「温度・圧力特性に関する情報」は、関数f1(P,T)及び関数f2(P,T)をそれぞれ定める定数と位置付けることができる。
関数f1(P,T)及び関数f2(P,T)は、圧力センサ16A及び16Bの出力特性をそれぞれ正確に表わせている必要は無く、例えば一次式や二次式、あるいはそれ以上の高次式によって近似された関数(近似式)によって表わされても構わない。例えば、それぞれ流体102が取り得る温度範囲内の複数の温度で予め実測した個々の圧力データ(例えば図8参照)を基に計算(例えばフィッティング)することで関数f1及びf2を求めることができる。なお、前記定数は、関数f1及びf2の別に、記憶部173の記憶領域(アドレス)を分けて記憶してもよいし、それぞれに対応する記憶部173に記憶してもよい。記憶部173には、例えばEEPROMを用いることができる。
演算部174は、各ADC171及び172の出力であるデジタル信号S1及びS2と、記憶部173に記憶された関数f1及びf2をそれぞれ定める定数とに基づいて、関数f1及び関数f2を連立して解くことで、温度補正(補償)された被測定圧力Pを求める。例示すると、演算部174は、下記の式(2)及び式(3)を連立して解くことで、圧力P及び温度Tの双方を求めることができる。
S1=f1(P,T) …(2)
S2=f2(P,T) …(3)
S1=f1(P,T) …(2)
S2=f2(P,T) …(3)
すなわち、一方の圧力センサ16Aの出力値(検出値)S1が当該圧力センサ16Aの温度・圧力特性を表わす関数f1の解であり、他方の圧力センサ16Bの出力値(検出値)S2が当該圧力センサ16Bの温度・圧力特性を表わす関数f2の解であると仮定して、両関数f1及びf2を連立して解くことで、温度センサを用いずに、温度補正された流体圧力Pの検出値を得ることができる。
なお、上流側のデュアル圧力センサ1−1の演算部174によって求められた温度補正済み圧力Pの検出値は上流側流体圧力P1の検出信号として位置付けられ、下流側のデュアル圧力センサ1−2の演算部174によって求められた温度補正済み圧力Pの検出値は下流側流体圧力P2の検出信号として位置付けられる。
演算結果出力部175は、演算部174によって求められた圧力P及び温度Tのうち、少なくとも圧力Pを検出結果として出力する。当該検出結果は、例えば、流量算出部61に与えられる。したがって、流量算出部61には、各デュアル圧力センサ1−1及び1−2の演算結果出力部175から温度補正済みの検出圧力P1及びP2が少なくとも受信される。流量算出部61による圧力P1及びP2に基づく流量算出法については既述のとおりである。
なお、演算結果出力部175は、圧力Pとともに演算部174で求められた温度Tを外部(例えば流量算出部61)に出力することもできる。温度Tを受信した流量算出部61は、当該温度Tと前記の式(1)により求めた流量とに基づいて、流量制御弁100の流路103を流れる流体102の熱量を算出することも可能になる。また、受信した温度Tは、例えば当該温度Tの情報を所定の外部表示器(図示省略)等に出力して、圧力センサ16A及び16Bの温度情報としてオペレータ等のユーザに提示することも可能である。また、当該温度情報を所定の温度制御に用いることも可能である。
以上のように、本実施形態のデュアル圧力センサ1によれば、当該デュアル圧力センサ1を成す圧力センサ16A及び16Bの温度・圧力特性が相違することを利用して、温度センサを用いずに、温度補正された流体圧力の検出値を得ることが可能となる。したがって、デュアル圧力センサ1、ひいては流量制御弁100の部品点数、コストを削減することができる。
ところで、流量制御弁100を例えば空調システムの熱源と空調機との間の配管途中に設置した場合に、流量制御弁100内の流路103には、時期によって低温流体〔冷水(5℃〜20℃程度)〕が流れる場合と高温流体〔温水(40℃〜60℃程度)〕が流れる場合とがある。一方、デュアル圧力センサ1を成す圧力センサ16A及び16Bは、高精度に検出結果が得られる温度範囲が限られている。
そのため、例えば、上記のように時期によって低温流体及び高温流体のいずれか一方が選択的に流れる場合に、圧力センサ16A及び16Bが低温流体及び高温流体の一方の温度範囲で高精度な検出結果が得られるように適正化されている状態で、他方の温度範囲の流体の圧力を検出すると、検出精度が大きく劣化する。これに対し、圧力センサ16A及び16Bを、低温流体と高温流体との中間温度で高精度な検出結果が得られるように適正化しておくと、低温流体及び高温流体の一方の温度範囲に適正化する場合よりも最大誤差を小さくできるものの、いずれの温度範囲の流体についても許容できない誤差が生じ得る。
そこで、低温流体及び高温流体のいずれについても高精度な出力を得るには、低温流体の温度範囲に検出精度が適正化された低温用のデュアル圧力センサ1と、高温流体の温度範囲に検出精度が適正化された高温用のデュアル圧力センサ1とを流量制御弁100の上流側及び下流側のそれぞれに取り付けることが考えられる(合計8つのデュアル圧力センサを取り付けることになる)。
このような場合であっても、本例のデュアル圧力センサ1であれば、各デュアル圧力センサ1を成す2つの圧力センサ16A及び16B毎に温度センサ(合計16個)を設けなくてよいから、温度センサを用いる場合に比して流量制御弁100のコストを低減することができる。
1…デュアル圧力センサ、2…気密容器、3A,3B…圧力センサユニット、4…基板、7…ケース、7a…底板、7b〜7e…側板、8…蓋体、9…圧力基準室、10…位置決め用突出部、11a…挿通孔、12…凹陥部、13…外部信号線、14…コネクタ部、15A,15B…台座、15A−1,15B−1…台座本体、15A−2,15B−2…圧力導入部、16A,16B…感圧ダイヤフラムチップ(圧力検出素子;圧力センサ)、17…出力補正回路、20a〜20d…側面、21a,21b…連通路、22a,22b…小孔、23a,23b…圧力導入孔、24A,24B…貫通孔(導圧管)、25a,25b…ボンディングワイヤ、28…リード線、50,51…貫通孔、60…弁開度検出部、61…流量算出部、63…上流側シートリング、64…上流側リテーナ、65…下流側シートリング、66…下流側リテーナ、100…流量制御弁、101…弁本体、102…流体、103…流路、104…弁体、107…弁軸、171,172…アナログ−デジタルコンバータ(ADC)、173…記憶部、174…演算部、175…演算結果出力部
Claims (3)
- 第1の温度・圧力特性を有し、流体の圧力を検出する第1の圧力検出素子と、
第2の温度・圧力特性を有し、前記流体の圧力を検出する第2の圧力検出素子と、
前記第1及び第2の温度・圧力特性をそれぞれ表わす第1及び第2の関数の温度変数及び圧力変数を互いに共通とし、前記第1及び第2の圧力検出素子による検出値がそれぞれ前記第1及び第2の関数の解であると仮定して、前記各関数を連立して解くことで、前記流体の圧力を求める演算部と、
前記演算部で求められた前記圧力を出力する出力部と、を備え、
前記第1の圧力検出素子と前記第2の圧力検出素子とが相互に接触した状態で一体化されている、
デュアル圧力センサ。 - 前記演算部は、前記各関数を連立して解くことで前記第1及び第2の圧力検出素子の温度を更に求め、
前記出力部は、前記求めた温度を前記演算部で求められた前記圧力とともに出力する、請求項1に記載のデュアル圧力センサ。 - 内部に流路を有する弁本体と、前記弁本体内で動作することで前記流路を通過する流体の流量を制御する弁体とを有する流量制御弁において、
前記弁本体内の前記弁体よりも上流側の流路を流れる流体を弁本体外周面へ導く上流側流体圧力導出路と、
前記弁本体内の前記弁体よりも下流側の流路を流れる流体を弁本体外周面へ導く下流側流体圧力導出路と、
請求項1又は2に記載の構成を具備する第1及び第2のデュアル圧力センサと、を備え、
前記第1のデュアル圧力センサは、前記上流側流体圧力導出路を介して前記第1のデュアル圧力センサの第1及び第2の圧力検出素子のそれぞれに流体圧力を伝達可能に前記弁本体外周面に設けられ、
前記第2のデュアル圧力センサは、前記下流側圧力導出路を介して前記第2のデュアル圧力センサの第1及び第2の圧力検出素子のそれぞれに流体圧力を伝達可能に前記弁本体外周面に設けられる、流体制御弁。
Priority Applications (1)
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JP2010139148A JP2012002729A (ja) | 2010-06-18 | 2010-06-18 | デュアル圧力センサ及び流量制御弁 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2010139148A Pending JP2012002729A (ja) | 2010-06-18 | 2010-06-18 | デュアル圧力センサ及び流量制御弁 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2010
- 2010-06-18 JP JP2010139148A patent/JP2012002729A/ja active Pending
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