JP2012002349A - 動力伝達装置及び動力伝達装置の継手ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】徒に装置の大きさを大きくすることなく、メンテナンス作業の負荷を軽減しながら装置全体を有効に保護する。
【解決手段】ブッシュ(第1部材)68が中空部68Aを有すると共に、継軸(第2部材)66の外径d1がブッシュ68の中空部68Aの内径D1よりも僅かに大きな大きさに設定されることにより、ブッシュ68と継軸66とが締まり嵌めで嵌合され、且つブッシュ68の中空部68Aの内周及び継軸66の外周の少なくとも一方の表面に、所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑ると共に当該過大トルクがなくなったときに前記滑りが止んで再びブッシュ68と継軸66との間で前記所定値未満の本来のトルク伝達を行う表面処理が施される。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に風力発電設備の動力伝達装置のように、ときに過大な負荷が入力されることのある装置に適用するのに好適な動力伝達装置及び動力伝達装置の継手ユニットに関する。
特許文献1に、風力発電設備のナセル(発電室)のヨー制御、或いは風車ブレードのピッチ制御に使用する減速装置が開示されている。
風力発電設備は、自然環境下に設置されるため、ときに乱れた風や突風を受けたりすることがある。
この特許文献1では、風車ブレード側から設定値以上の過大トルクが入力されて来たときに、スリップカップリングを作動させ、駆動系の動力伝達を遮断して該駆動系の過負荷を防止する技術を開示している。このスリップカップリングは、滑った後で、そのまま繰り返し使うことは想定されておらず、滑ったことを検知するセンサを備え、次のメンテナンス停止時にスリップカップリングのメンテナンス作業が行われるべきことが示されるように工夫されている。
US2007−0098549A1(請求項1、段落[0015])
しかしながら、風力発電システムのメンテナンスはそう頻繁に行い得るものではなく、したがって、一度滑るとメンテナンス作業が必要となるシステムは極めて不便であり、結果として、スリップ開始の閾値を、巨大な台風等が来たときに初めて作動するような非常に高いレベルに設定せざるを得ないことになる。このことは、逆に言うならば、基本的な駆動系は、そのような過大負荷が掛かるまでは壊れずに稼働を続けるだけの耐久性を有していなければならない、ということであり装置の大型化を余儀なくされていた。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであって、特に一時的に大きな負荷が掛かる恐れのある状況で好適に適用される動力伝達装置において、徒に装置の大きさを大きくすることなく、メンテナンス作業の負荷を軽減し、且つ装置全体を有効に保護することをその課題としている。
本発明は、第1部材と第2部材との間で動力を伝達する動力伝達装置において、前記第1部材が中空部を有すると共に、前記第2部材の外径が前記第1部材の前記中空部の内径よりも僅かに大きな大きさに設定されることにより、前記第1部材と第2部材とが締まり嵌めで嵌合され、且つ前記第1部材の前記中空部の内周及び前記第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑ると共に当該過大トルクがなくなったときに前記滑りが止んで再び第1部材と第2部材との間で当該動力伝達装置において行われるべき本来のトルク伝達を行う表面処理を施した構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
上記スリップカップリングのように、動力伝達系に所定値以上の過大トルクが掛かったときに滑り出す構造の安全装置の場合、「滑る」というのは、装置を守るための緊急避難的動作であって、1度滑ってしまった場合には、以降は本来のトルク伝達が果たせなくなると考えられていた。実際、上記特許文献1でも、滑った後もメンテナンス作業無しで該スリップカップリングをそのまま繰り返し使用することは想定していない。
しかしながら、発明者の数多くの試験結果によれば、第1部材の中空部の内周及び第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、特定の表面処理を施した上で締まり嵌めを行うと、a)所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑りが発生する; b)当該過大トルクがなくなったときに前記滑りが止んで再び第1部材と第2部材との間で当該動力伝達装置において行われるべき本来のトルク伝達を行う; という2つの作用が繰り返し得られるという知見を得ることができた。これは、現実に過大なトルクを意図的に付加し、強制的な滑りを故意に発生させる試験を複数回繰り返した場合であっても、本来の伝達トルク容量を再び確保することができるような表面処理が実在することが確認されたことに基づく知見である(後に詳述)。
本発明によれば、装置全体を徒に大型化しなくても、一時的に入力されたエネルギの一部を伝達せずに逃がすことで装置内の各要素に当該過大なトルクが直接掛かってしまうのを防止でき、且つ自動復帰させることが可能である。
本発明によれば、徒に装置の大きさを大きくすることなく、メンテナンス作業の負荷を軽減しながら装置全体を有効に保護することができる。
本発明の実施形態の一例に係る動力伝達装置が採用された風力発電設備の減速装置の全体断面図 上記減速装置が適用される風力発電設備の正面図 上記風力発電設備のナセルに上記減速装置が組み込まれている様子を示す斜視図 上記風力発電設備のヨー駆動装置の構造を示す要部断面図 図1の減速装置に適用されている本発明の実施形態の一例に係る動力伝達装置の要部断面図 本発明の実施形態の一例に係る継手ユニットの全体断面図 本発明の更に他の実施形態の一例に係る動力伝達装置が適用されている風力発電設備の減速装置の全体断面図 本発明の更に他の実施形態の一例に係る動力伝達装置が適用されている風力発電設備の減速装置の全体断面図 本発明の更に他の実施形態の一例に係る動力伝達装置が適用されている風力発電設備の減速装置の全体断面図
以下、本発明の実施形態の一例に係る動力伝達装置について詳細に説明する。
始めに、当該動力伝達装置が適用されている風力発電設備の概略から説明する。
図2及び図3を参照して、この風力発電設備10は、円筒支柱11の最上部にナセル(発電室)12を備える。ナセル12には、ヨー(Yaw)駆動装置14と、ピッチ(Pitch)駆動装置16が組み込まれている。ヨー駆動装置14は、円筒支柱11に対するナセル12全体の旋回角を制御するためのものであり、ピッチ駆動装置16は、ノーズコーン18に取り付けられる3枚の風車ブレード20のピッチ角を制御するためのものである。
この実施形態では、ヨー駆動装置14に本発明が適用されているため、ここではヨー駆動装置14について説明する。
このヨー駆動装置14は、モータ22及び出力ピニオン24付きの4個の減速装置G1〜G4及びそれぞれの出力ピニオン24と噛合する1個の旋回用の内歯歯車28を備える。各減速装置G1〜G4は、それぞれナセル12の本体側の所定の位置に固定されている。図4を合わせて参照して、各減速装置G1〜G4のそれぞれの出力ピニオン24が噛合している旋回用の内歯歯車28は、円筒支柱11側に固定されており、ヨーベアリング30の内輪を構成している。ヨーベアリング30の外輪30Aは、ナセル12の本体12A側に固定されている。なお、図4の符号25はヨー駆動装置14のブレーキ機構である。
この構成により、各減速装置G1〜G4のモータ22によって各出力ピニオン24を同時に回転させると、該出力ピニオン24が内歯歯車28と噛合しながら内歯歯車28の中心36(図3参照)に対して公転する。この結果、ナセル12全体を円筒支柱11に固定されている内歯歯車28の中心36の周りで旋回させることができる。これにより、ノーズコーン18を所望の方向(例えば風上の方向)に向けることができ、効率的に風圧を受けることができる。
前記減速装置G1〜G4は、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは減速装置G1について説明する。
図1を参照して、減速装置G1はモータ22、直交歯車機構40、平行軸減速機構42及び最終段減速機構44が動力伝達経路上でこの順にケーシングCa内に配置されている。なお、ケーシングCaは、高速側ケーシング体46と低速側ケーシング体48とに分離可能である。
以下、動力伝達経路上の順番に説明していく。モータ22のモータ軸50は、直交歯車機構40の入力軸を兼ねている。直交歯車機構40は、モータ軸50の先端に直切形成されたハイポイドピニオン52と、該ハイポイドピニオン52と噛合するハイポイドギヤ54とを備え、モータ軸50の回転方向を直角方向に変更している。ハイポイドギヤ54は、中間軸56に固定されている。中間軸56には、平行軸減速機構42のスパーピニオン58が直接形成されている。平行軸減速機構42は、このスパーピニオン58と、該スパーピニオン58と噛合するスパーギヤ60とを備えている。スパーギヤ60はキー61を介してホロー軸62に固定されている。ホロー軸62はキー64を介して継軸66と連結されている。
継軸66はブッシュ68と圧入嵌合している。本発明に係る動力伝達装置T1は、この実施形態においては、当該継軸66及びブッシュ68の結合部に適用されている。継軸66及びブッシュ68の構成については、後に詳述する。
最終段減速機構44は、ブッシュ68と一体的に回転する(該最終段減速機構44の)入力軸72、該入力軸72に設けられた2つの偏心体74、該偏心体74を介して偏心揺動する2枚の外歯歯車76、該外歯歯車76が内接噛合する内歯歯車78を備えている。2枚の外歯歯車76は、その偏心位相が丁度180度ずれており、互いに離反する方向に偏心した状態を維持しながら揺動回転する。内歯歯車78は、低速側ケーシング体48と一体化されている。内歯歯車78の内歯はそれぞれ円筒状の外ピン78Aによって構成されている。内歯歯車78の内歯の数(外ピン78Aの数)は、外歯歯車76の外歯の数より1だけ多い。外歯歯車76には内ピン80が遊嵌されている。内ピン80は、出力フランジ82と一体化され、該出力フランジ82は減速装置G1の出力軸84と一体化されている。この実施形態では、内歯歯車78が低速側ケーシング体48と一体化されているため、最終段減速機構44の入力軸72が回転すると外歯歯車76が偏心体74を介して揺動し、該外歯歯車76の内歯歯車に対する相対回転(自転)が、内ピン80及び出力フランジ82を介して出力軸84から取り出される構成とされている。出力軸84にはスプライン86を介して前出の出力ピニオン24が固定・連結されており、該出力ピニオン24が既に説明した旋回用の内歯歯車28(図3、図4)と噛合する構成とされている。
ここで、図5を合わせて参照して、継軸66及びブッシュ68を含む動力伝達装置T1の構成について詳細に説明する。
ブッシュ68は中空部68Aを備えており、本発明における第1部材に相当している。継軸66は、その先端部66Bが該中空部68Aに嵌合しており、本発明の第2部材に相当している。継軸66の先端部66Bの外径d1は、ブッシュ68の中空部68A(具体的には中空部68Aのうち継軸66の先端部66Bが嵌入される部分)の内径D1よりも僅かに大きな大きさに設定されている。即ち、継軸66とブッシュ68は締まり嵌めとなる寸法関係にあり、この実施形態では圧入によって嵌合される。
継軸66の先端部66Bにはリング状の溝66Aが複数本(この実施形態では4本)形成されている。この溝66Aの中を含め、継軸66の先端部66Bの外周には接着剤が塗布されている。より具体的に言うならば、接着剤は、継軸66の先端部66Bの外周に万遍なく塗布され、ブッシュ68が圧入されるときに摺り落とされた接着剤が、この溝66Aに隙間のない状態で充填される。接着剤としては、この実施形態では、振動する装置のねじの緩み止め等に用いる市販の接着剤(例えば、ヘンケルジャパン株式会社製、商品名:ロックタイト242、243等)が使用されている。
この構成により、継軸66とブッシュ68とが圧入(締まり嵌め)にて嵌合されていることと相まって、所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑ると共に、当該過大トルクがなくなったときに再び継軸66とブッシュ68との間で前記所定値までのトルクを伝達し得る状態に復帰させる構成を実現することができる。なお、本発明において、「当該過大トルクがなくなったときに滑りが止んで」とは、必ずしも入力されてくるトルクが所定値以下となったときに「直ちに滑りが止む」ことを意味するものではなく、「入力されてくるトルクが所定値よりもある程度低くなったときに滑りが止む」という概念を含んでいる。
発明者の試験では、上記構成により、過大トルクが掛かって例えば100回以上滑った後でも、該過大トルクがなくなる度に当初の伝達可能トルクと同等程度のトルクを伝達できる状態に復帰できることが実際に確認されている。また、締まり嵌めの程度、溝66Aの数、軸方向幅W1、軸方向間隔L1及び深さ(図示略)、溝以外の部分の表面粗さ、接着剤の接着強度、硬度(あるいは弾性係数)等を変更することにより、滑り出す閾値である前記所定値及び一度滑った後の復帰の程度が、変化することも確認されている。少なくとも、これらの調整により、所定値までのトルクを伝達し得る状態に復帰させることができる表面処理は可能である。
そして、発明者の更なる試験によれば、適正な表面処理を施したときは、前記所定値を超えた過大トルクが掛かって滑りが発生した場合に、滑りが継続している間、当該所定値相当のトルク伝達が維持され、滑りが止んだ後の復帰も完全に行われ得ることも確認されている。この特性は、例えば風力発電設備の動力伝達装置に適用した場合、風による過大トルクを逃がしながらもある程度はナセルの動きを制動でき、しかも滑りが止むと自動復帰できることを意味し、用途によっては非常に好ましい特性となる。
この滑りの発生→所定値相当のトルク伝達の維持、及び、滑りの中止→通常の(所定値未満の)トルク伝達を行い得る状態への復帰のメカニズムは、適正な「表面処理」により、ブッシュ68、継軸66、および接着剤の3者に対し、弾性変形できる範囲内でトルク伝達可能な応力の限界が生じるように圧力を掛けることができているためではないかと考えられる。要するに、i)入力されてくるトルクを受け止めるだけの「応力」が3者の結合部に発生しているうちは該トルクの「伝達」が可能であり、また、ii)入力されてくるトルクが結合部において発生し得る応力を超えて大きくなると、それ以上のトルクを伝達することができなくなって「滑り」が発生するが、弾性変形の応力分は、滑っていてもトルク伝達が維持でき、さらに、iii)そのときに第1部材と第2部材間の結合部に現に生じている変形が、当該結合部での弾性変形の範囲内であれば(未だ塑性変形していないレベルであれば)、過大トルクがなくなると当初のトルク伝達状態に復帰できる、というようなメカニズムが推察できる。いずれにしても、過大トルクが掛かったときに滑りが発生して所定値相当のトルク伝達が維持され、且つ過大トルクがなくなると滑りが止んで当初のトルク伝達状態に復帰できるような表面処理が実現可能なのは事実である。
この意味で、本発明における「第1部材の中空部の内周及び第2部材の外周の少なくとも一方の表面に施される表面処理」は、第1部材、第2部材自体に溝などの機械的凹凸を形成したりする狭義の表面処理のほか、接着剤を塗布する処理などの第1部材と第2部材の連結状態或いは弾性変形状態に影響を与える広義の表面処理を含む概念である。
換言するならば、本発明の表面処理は、「第1部材と第2部材の双方が共に弾性変形の範囲内で締まり嵌めでの嵌合が行われる表面処理」と捉えることもできる。すなわち、従来の圧入等の締まり嵌めは、「繰り返し滑らせる」という思想を有していないため、強固な一体化をできるだけ容易な作業で実現するために、一方(通常は中空部を有する第1部材)を、他方より軟らかくして「塑性変形」を伴った嵌合とされる。したがって、一度滑り出すと、伝達トルクは急激に低下する(滑り出したときのトルク値相当のトルク伝達を維持できない)。また、1度滑ってしまうと、過大トルクが除かれてたとえ滑りが止んでも当初の強固な一体化状態には復帰できない。
弾性変形の範囲内での締まり嵌めによる嵌合か否かは、例えば、第1部材と第2部材の「嵌合」と「引き離し」を繰り返したときに、それぞれが元の状態に復帰するか否かで判断できる。「弾性変形の範囲内での嵌合」がなされているときは、嵌合と引き離しを繰り返しても、第1部材の内周と第2部材の外周は、引き離したときに、双方とも、その都度嵌合前の内径及び外径にそれぞれ戻る。
図6に示されるように、この実施形態に係る継軸66は、ホロー軸62との連結部66Dを有している。連結部66Dには継軸66とホロー軸62とを連結するための前述したキー64が収容されるキー溝66Cが形成されている。また、ブッシュ68は、その反ホロー軸側に最終段減速機構44の入力軸72が嵌合する連結部68Cを有している。該連結部68Cにはブッシュ68と入力軸72(のスプライン70)とを連結するためのスプライン68Bが形成されている。即ち、継軸66とブッシュ68は、一対(1セット)の「継手ユニット67」を構成している。継手ユニット67を構成することによって得られる作用効果については後述する。
なお、図1に戻って、この実施形態では、継軸66とブッシュ68は、独立した継ケーシング46Aに収容されている。この継ケーシング46Aには、窓46A1が形成されており、継ケーシング46Aの外部から継軸66とブッシュ68を観察可能である。継軸66とブッシュ68には、両者66、68に跨がるように「印」が付けられており、その印の位置がずれているか否かを窓46A1から観察することで、該継軸66とブッシュ68が滑ったことが念のため確認できるようになっている。
次に、この実施形態に係る動力伝達装置T1を含む減速装置G1の作用を説明する。
モータ22のモータ軸50の回転は、直交歯車機構40のハイポイドピニオン52及びハイポイドギヤ54の噛合によって初段減速され、同時に回転軸の方向が90度変更されて平行軸減速機構42の中間軸56に伝達される。
中間軸56の回転は、スパーピニオン58及びスパーギヤ60の噛合によって減速され、キー61によってホロー軸62に伝達される。ホロー軸62の回転は、継軸66のキー溝66Cに嵌入されたキー64を介して継軸66へと伝達される。継軸66の回転は、溝66A内に充填された接着剤と圧入による嵌合によりブッシュ68に伝達され、該ブッシュ68の内周側のスプライン68B及び入力軸外周のスプライン70を介して最終段減速機構44の入力軸72に伝達される。
最終段減速機構44の入力軸72が回転すると、偏心体74を介して外歯歯車76が(内歯歯車78に内接しながら)揺動回転するため、内歯歯車78との噛合位置が順次ずれてゆく現象が生じる。この結果、最終段減速機構44の入力軸72が1回回転する毎に、外歯歯車が1体揺動し、(固定状態にある)内歯歯車78に対して1歯分ずつ位相がずれて行くようになる(自転成分が発生する)。この自転成分を内ピン80、出力フランジ82を介して出力軸84側に取り出すことにより、最終段減速機構44での減速が実現される。出力軸84の回転はスプライン86を介して出力ピニオン24に伝達される。出力ピニオン24は旋回用の内歯歯車28と噛合しており、且つ、該内歯歯車28は、円筒支柱11側に固定されているため、結局、反作用によって該円筒支柱11に対してナセル12自体が水平方向に回転する。
ここで、突風等が風車ブレード20に作用することによってナセル12を旋回させようとする巨大なトルクがヨー駆動用の減速装置G1の出力ピニオン24側から入力されて来たとする。この巨大な「外的負荷」は、該減速装置G1の最終段減速機構44を逆から駆動し、スプライン70、68Bを介してブッシュ68を回転させる。この回転トルクが、想定内(所定値以下)のトルクであれば、ブッシュ68と継軸66との間で滑りは発生せず、トルクはそのまま減速装置G1の平行軸歯車機構42側へと更に伝達されて行き、最後にモータ22に付設された図示せぬブレーキ装置によって受け止められる。この結果、風によるナセル12の動きは確実に制動される。また、この場合、減速装置G1の各部には特に異常は発生しない。
しかし、所定値を超えるトルクが出力ピニオン24側(ブッシュ68側)から入力されて来ると、(そのままでは減速装置G1の各部には異常が発生する恐れがあるということで)ブッシュ68と継軸66との間で滑りが発生する。そのため、出力ピニオン24側からの過大トルクの一部をここで逃がすことができる。したがって、ナセル12は多少風に従って水平回転するが、モータや歯車機構の破損等が防止できる(このとき、モータ22側にまで伝達されてくる所定値相当のトルクを制動することによって相応の制動力をナセル12に付与することができる)。また、暴風が止んだときには、ブッシュ68と継軸66は本来のトルク伝達状態に自動的に復帰するため、そのまま風力発電を継続することができる。
本実施形態に係る動力伝達装置T1によれば、過大トルク対策のためにセンサや電気的制御系が不要であるため、落雷や浸水等で制御系がダメージを受け易いような悪天候状態でも信頼性の高い作動が可能である。
なお、継ケーシング46Aに形成された窓46A1から、前回メンテナンス時から今回のメンテナンスまでの間に継軸66とブッシュ68が滑ったか否かが確認できるため、メンテナンス時の作業者への注意喚起を行わせることができる。
ここで、この実施形態においては、本発明に係る動力伝達装置T1が、「継手ユニット67」の形で具現されている。このため、工場での製造段階で設定通りのトルク伝達特性及びトルク復帰特性が得られるように確認・調整することが可能であり、万一不良が発生した場合でも、現場(狭いナセル内)では単に「一部品」として交換するだけで済むというメリットが得られる。
また、工場内での実際のスリップ試験にて得られたトルク特性に基づいて、複数の継手ユニットから当該減速装置G1にとって最も妥当なトルク特性を現に有する継手ユニット67を「選択する」ことも可能である。
更には、(風力発電の用途に限定せず)継手ユニット(67)を単体で量販する場合には、実測されたトルク特性に基づいて個々の継手ユニット(67)を分類することにより、実トルク特性をベースとして製品を差別化することも可能である。
いずれの場合においても、このような調整や選択を工場内で実行できることにより、取り扱いが容易で、且つトルク特性の再現性、信頼性の極めて高い「継手ユニット67」を得ることができる。
但し、本発明に係る動力伝達装置T1は、必ずしもこのような「継手ユニット」の形式による必要はなく、例えば、減速装置の入力軸、中間軸、出力軸等の軸に直接組み込んで一層の省スペース化を図るようにすることもできる。図7に、その例を示す。
この実施形態に係る動力伝達装置T2では、減速装置G10の平行軸歯車機構100のホロー軸102を本発明に係る動力伝達装置T2の(中空部102Aを有する)第1部材として機能させるとともに、最終段減速機構104の入力軸106を第2部材として直接機能させるようにしている。図7の円B内に拡大図示されるように、入力軸106では、先の実施形態における継軸66と同様の溝106Aが複数(この例では7個)形成されており、該溝106A内には接着剤が充填されている。この溝106Aと接着剤と圧入に関する基本的な構成は、先の実施形態と同様である。
なお、この実施形態においては、円A内に拡大図示されるように、内歯歯車108の内歯を構成する外ピン108Aと同一径のローラ110が該外ピン108Aと同軸に延在され、このローラ110が、出力フランジ112の軸受の機能を果たしている。その他の構成については、先の実施形態と同様であるため、図7において同一または類似する部分に同一の符号を付すにとどめ、重複説明を省略する。
この実施形態に係る構造によれば、先の実施形態において「継手ユニット」として占有されていた空間がなくなり、装置全体の大きさを、よりコンパクト化できるようになると共に、部品点数も低減できる。
なお、本発明に係る動力伝達装置が組み込まれる装置は、上述したような減速装置には限定されない。図8に、本発明の更に他の実施形態の一例を示す。
この実施形態では、2段の揺動内接式の遊星歯車機構によって構成される減速装置G20に、本発明に係る動力伝達装置T3、T4が組み込まれている。前段及び後段の遊星歯車機構120、124の基本的な構成は先の実施形態における最終段減速機構44と同様である。
この実施形態においては、前段の遊星歯車機構120の出力フランジ122を本発明に係る動力伝達装置T3の(中空部122Aを有する)第1部材として機能させるとともに、後段の遊星歯車機構124の入力軸126を第2部材として機能させるようにしている。図8の円A内に拡大図示するように、後段の遊星歯車機構124の入力軸126には、溝126Aが複数形成されており、該溝126A内を含め、入力軸126の外周に接着剤が塗布された上で該入力軸126と出力フランジ122が圧入によって締まり嵌めで嵌合される。
また、この実施形態では、後段の遊星歯車機構124の出力ピニオン128を本発明に係る動力伝達装置T4の(中空部128Aを有する)第1部材として機能させるとともに、後段の遊星歯車機構124の出力軸130を第2部材として機能させている。後段の遊星歯車機構124の出力軸130にも溝130Aが複数形成されており、該溝130A内を含めて出力軸130の外周に接着剤が塗布された上で該出力軸130と出力ピニオン128が締まり嵌めで圧入嵌合される。
このような減速装置においても、このような構成によって本発明で意図するスリップ後のトルク復帰の可能な表面処理を施すことは可能であり、本発明本来の効果を相応に得ることができる。
また、この実施形態においても、最初の実施形態と比較して、「継手ユニット」として占有されていた空間がない分、装置全体をよりコンパクト化できるようになると共に、部品点数も低減できる。
図9に、本発明の更に他の実施形態の一例を示す。
この実施形態では、4段の単純遊星歯車機構141〜144によって構成される減速装置G30に、本発明に係る動力伝達装置T5、T6が組み込まれている。
即ち、この実施形態では、初段の単純遊星歯車機構141の出力キャリヤ150を本発明に係る動力伝達装置T5の(中空部150Aを有する)第1部材として機能させるとともに、第2段の単純遊星歯車機構142の入力軸152を第2部材として機能させるようにしている。第2段の単純遊星歯車機構142の入力軸152には溝(図示略)が複数形成されており、該溝内を含めて入力軸152の外周に接着剤が塗布された上で該入力軸152と出力キャリヤ150が締まり嵌めで圧入嵌合されている。
また、この実施形態では、第2段の単純遊星歯車機構142の出力キャリヤ156を本発明に係る動力伝達装置T6の(中空部156Aを有する)第1部材として機能させるとともに、第3段の単純遊星歯車機構143の入力軸158を第2部材として機能させるようにしている。第3段の単純遊星歯車機構143の入力軸158には溝(図示略)が複数形成されており、該溝内を含めて入力軸158の外周に接着剤が塗布された上で該入力軸158と出力キャリヤ156が締まり嵌めで圧入嵌合されている。
このような構成の減速装置G30に対しても本発明は適用でき、相応の効果を得ることができる。なお、この実施形態においても、上記適用位置に代えて、あるいは上記適用位置に加えて、先の実施形態に係る動力伝達装置T4と同様に、最後段の遊星歯車機構144の出力ピニオン160を本発明に係る(中空部160Aを有する)第1部材として機能させるとともに、最後段の遊星歯車機構144の出力軸162を第2部材として機能させるようにしてもよい。
この実施形態においても、本発明特有の効果を得ることができ、しかも動力伝達経路に直接組み込まれているので、部品点数の増大を防止することができ、装置全体のコンパクト化も維持することができる。
このように、本発明においては、どのような駆動系のどのような個所に本発明を適用するかについては、特に限定されない。但し、これまでの実施形態のように、モータと同一の回転速度で回転するような(高速で回転するような)個所でない方がより好ましい。これは、スリップが発生したときに高速な摺動が発生するのは、好ましくないためである。
表面処理の仕方については、要は、第1部材の中空部の内周及び第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑ると共に、当該過大トルクがなくなったときに再び第1部材と第2部材との間で前記所定値までの本来のトルクを伝達する表面処理を施すのであるならば、具体的な処理は特に上記実施形態での例に限定されない。上記実施形態において例示されていた溝を形成する表面処理は、製造が容易である上に、滑ったときの機械的損傷が少なく、接着剤等を併用する際の保持空間を形成可能という点で好適であるが、溝を形成する処理以外の処理としては、例えば、ショットピーニングやローレット加工のようなものがある。また、大きめの研磨石を用いたバレル研磨も有効である。これらの「部材の表面に機械的凹凸を形成する処理」は、特に、溝の形成と併用して溝以外の表面を処理する例としても好適である。勿論、溝に代えてこれらの手法のみを採用しても良い。また、(第1部材の外周にではなく)第2部材の中空部の内周の方にこのような(溝を含む)機械的凹凸を形成しても良い。特に、図8の動力伝達装置T4のように、扱うトルクの大きいところでは、内周に形成する方がよい。当然に、第1部材、第2部材の双方に形成しても良い。こうした「部材の表面に機械的凹凸を形成する処理」は、「嵌合作業」の難易度をより低めに維持しつつ、所定値を高く確保するという観点で有効である。
一方、接着剤の塗布のように、第1部材と第2部材の連結状態や弾性変形状態に影響を与える表面処理は、本発明にとって非常に有効に機能する場合がある。接着剤の塗布のほか、高粘性の充填剤の塗布、硬質のフィルムやシートの介在などがこれに当たる。例えば、いわゆるトラクションドライブ用のオイルの中で特に高い剪断応力の期待できるオイルを充填剤として用いるのも、例えば滑りの時間が比較的長くなるような用途等においては有効な場合がある。なお、本発明に係る表面処理は、溝等の機械的凹凸等の併用が好ましいが、接着剤等の塗布のみでも良い。
また、接着剤を全く使わなくても、素材の選択と製造手法の工夫により本発明は実現可能である。発明者は、前述した構成に係る風力発電設備のヨー駆動用の減速装置として使用可能な動力伝達装置において種々の試験を実際に行ったところ、例えば、第1部材として軸受鋼(例えば、JIS G 4805のSUJ2)を用いて、焼き入れ・焼き戻し後に研削を施したものを採用し、第2部材として浸炭鋼(例えば、JIS G 4053のSCM420)を用いて、浸炭、焼き入れ・焼き戻し後バレル研磨したものを採用し、弾性変形の範囲内で圧入嵌合することにより、少なくとも数10回以上に亘る高い再現結果を得た。なお、この試験例においては、具体的には、第1部材の内径及び第2部材の外径を、第1、第2部材の双方が弾性変形の範囲内で圧入でき、かつ、風力発電設備のヨー駆動装置の減速装置として滑るべきトルク(所定値)で滑るように設定した。なお、当該「所定値」は、上記実施形態のヨー駆動装置の場合、最終段減速機構44の減速比等を考慮すると、400Nm〜600Nmであるが、本試験では、500Nmに設定した。
この繰り返し試験において、A)さまざまな大きさの過大トルクを与えても、滑りが発生している間は、ほぼ500Nmのトルク伝達を前記「所定値相当のトルク」として維持・確保できる; B)過大トルクの付加を中止して500Nmに至らない通常レベルのトルクが与えられたときは、滑らずに動力伝達ができる状態に復帰できる; という作用を、極めて高い再現性で実際に繰り返し実現し得ることが確認されている。
なお、上記実施形態においては、締まり嵌めを実現するために、簡易且つ低コストな「圧入」による嵌合を採用していたが、より強い嵌合(より強いトルク伝達)が必要なときは、焼き嵌め、冷やし嵌め等による嵌合が有効である。
要するならば、本発明の機能を有効に実現するための条件としては、(1)第1部材と第2部材とが弾性変形の範囲内で締まり嵌めによって嵌合できる;(2)通常駆動時に伝達すべき最大トルクよりも大きくかつ装置が破損する恐れのあるトルクよりも小さいという範囲内で滑り始めるトルクを「所定値」として設定できる;という2つの条件を両立できるように素材および表面処理を選定すればよいということである。この観点で、既に説明した広義の表面処理を「別途」施さなくても、素材そのものが既に上記(1)(2)の条件を両立させ得る適正な表面状態を有しているならば、当該素材の選択のみで本発明の機能を実現できる場合もある。例えば、高価ではあるが、タングステン、またはタングステンを含む素材(超硬合金や高速度鋼など)、或いはチタンを含む素材等は、要求された形状に通常の製造手法で製造するだけで、上記(1)(2)の条件を両立し得る特性を得ることができる場合がある。なお、繰り返し滑ってもできるだけ長期に亘って焼き付きを生じさせないような焼き付き防止処理等の工夫は、勿論並行してなされてよい。
また、上記実施形態では、ヨー駆動用の減速装置に本発明が適用された例が示されていたが、本発明は、例えば、ピッチ駆動装置の減速装置にも同様に適用可能であり、更には、風力発電以外の用途、特に、一時的に過負荷状態となる恐れが高い用途において同様に適用することができる。すなわち、発明の作用効果の面から推し図るならば、例えば、鉱山用のコンベアや加工機械の切り粉のコンベアのような、異物を噛み込んだときに過大トルクが発生し易いような用途にも適用することができる。また、デッキクレーンの旋回、シールド掘削機のドリル駆動、建設用のショベルの旋回等の用途にも適用可能である。すなわち、これらの用途においても、作業中に、風の影響を受けたり、重量物の慣性力の影響を受けたり、あるいは障害物や地中の岩石等に衝突して作業対象物側から突然大きな反力を受けたりすることによって負荷側から一時的に強いトルクを受ける状況が形成され得るからである。本発明では、このような用途においても適用することができ、同様な作用効果が得られる。
なお、本発明の趣旨から、本発明に係る「所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑ると共に当該過大トルクがなくなったときに滑りが止んで再び第1部材と第2部材との間で当該動力伝達装置において行われるべき本来のトルク伝達を行う」の文言は、以下のように解釈されるべきである。
すなわち、「所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑る」は、滑りが発生している間においては、当該所定値相当のトルクを伝達することは、必ずしも必要ではなく、該所定値相当トルクよりも、更には通常時に伝達されるトルクよりも小さいトルクしか伝達しなくてもよい。
また、既に述べたように、「当該過大トルクがなくなったときに滑りが止んで」は、必ずしも入力されてくるトルクが所定値以下となったときに「直ちに滑りが止む」ことを意味するものではなく、「入力されてくるトルクが所定値よりもある程度低くなったときに滑りが止む」という概念を含んでいる。
さらに、「再び第1部材と第2部材との間で当該動力伝達装置において行われるべき本来のトルク伝達を行う」は、必ずしも100%のトルク復帰が確保されることは要求しておらず、動力伝達装置の駆動対象物を駆動するのに必要なトルクを伝達可能な状態に復帰すればよいことを意味している。より具体的には、例えば、「滑り出す所定値(滑り出すトルク)」は、繰り返しにより変化してもよい。すなわち、本発明おいては、「所定値」は、通常駆動時に想定される最大の伝達トルクよりも大きく、かつ、装置が破損する恐れのある伝達トルクよりも小さい範囲で設定されればよいので、(滑りが止んだ後)この範囲内に属する「所定値」まで滑らない状態に復帰できるのであれば、当該「所定値」自体は滑りの繰り返しによって変化してもよい。例えば、実施形態として例示していたような風力発電設備のヨー駆動装置は、滑りを発生させる設定値は、通常のモータの出力によって伝達されるトルクに対して十分大きいことから、復帰後のトルクが当初のトルクより多少低下したとしても、全く問題なくモータ側からのトルクによってナセルを駆動・旋回させることができる。ヨー駆動装置において問題なくナセルを駆動・旋回できるならば、「再び当該動力伝達装置において行われるべき本来のトルク伝達を行う」状態に復帰したと考えて良い。
また、「再び」の文言と関連し、復帰の回数も用途に大きく影響される。滑りが発生する頻度自体がもともとそう高くない用途、例えば、実施形態として例示していたような風力発電設備のヨー駆動装置のような用途の場合は、数回程度滑っても再び第1部材と第2部材との間でナセルの旋回を駆動し得る本来のトルク伝達ができる程度に復帰できるならば、事実上殆ど支障なくヨー駆動装置としての機能を果たすことができ、風力発電設備の稼働を継続することができる。しかし、コンベアの異物噛み込み時の過大トルクの発生のように、比較的頻繁に過大トルクが発生する用途においては、例えば数百回、場合によっては数千回程度の回復が要求されると考えられる。要は、当該動力伝達装置の用途(滑りが発生する頻度)との関係において、当該動力伝達装置の通常の稼働が大きな支障なく継続できる回数復帰できれば、本発明に係る「再び第1部材と第2部材との間で当該動力伝達装置において行われるべき本来のトルク伝達を行う」と言い得ると考えてよい。
10…風力発電設備
11…円筒支柱
12…ナセル(発電室)
14…ヨー駆動装置
16…ピッチ駆動装置
18…ノーズコーン
20…風車ブレード
22…モータ
24…出力ピニオン
66…継軸(第2部材)
66A…溝
68…ブッシュ(第1部材)

Claims (16)

  1. 第1部材と第2部材との間で動力を伝達する動力伝達装置において、
    前記第1部材が中空部を有すると共に、
    前記第2部材の外径が前記第1部材の前記中空部の内径よりも僅かに大きな大きさに設定されることにより、前記第1部材と第2部材とが締まり嵌めで嵌合され、且つ
    前記第1部材の前記中空部の内周及び前記第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑ると共に当該過大トルクがなくなったときに前記滑りが止んで再び第1部材と第2部材との間で当該動力伝達装置において行われるべき本来のトルク伝達を行う表面処理を施した
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1において、
    前記表面処理が、前記所定値を超えた過大トルクが掛かって前記滑りが発生しているときに、前記第1部材と第2部材との間で、前記所定値相当のトルク伝達を維持する表面処理であることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項2において、
    前記表面処理が、前記第1部材と第2部材の双方が共に弾性変形の範囲内で前記締まり嵌めでの嵌合が行われる表面処理である
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記表面処理が、前記第1部材の前記中空部の内周及び前記第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、機械的凹凸を形成する処理を含む
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項4において、
    前記機械的凹凸を形成する処理が、前記第1部材の前記中空部の内周及び前記第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、リング状の溝を形成する処理を含む
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記表面処理が、前記第1部材の前記中空部の内周及び前記第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、接着剤を塗布する処理を含む
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  7. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記表面処理が、前記第1部材の前記中空部の内周及び前記第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、前記機械的凹凸を形成する処理に、接着剤を塗布する処理を併用した表面処理である
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、
    前記締まり嵌めが、圧入によって実現されている
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかにおいて、
    前記第1部材と第2部材がケーシング内に収容されており、且つ、
    該ケーシングに、該第1部材と第2部材が滑ったことを確認するための窓が形成されている
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載された動力伝達装置を、自身の駆動力伝達系の一部として有する風力発電設備の動力伝達装置。
  11. 第1部材と第2部材との間で動力を伝達する動力伝達装置において、
    前記第1部材が中空部を有すると共に、
    前記第2部材の外径が前記第1部材の前記中空部の内径よりも僅かに大きな大きさに設定されることにより、前記第1部材と第2部材の双方が共に弾性変形の範囲内でかつ所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑る強さの締まり嵌めで嵌合された
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  12. 請求項11において、
    前記第1部材の前記中空部の内周及び前記第2部材の外周の少なくとも一方の表面に、前記強さの締まり嵌めでの嵌合を行うための表面処理が施されている
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  13. 軸部材と中空部を有するブッシュとで構成され、
    前記軸部材の外径が前記ブッシュの前記中空部の内径よりも僅かに大きな大きさに設定されることにより、前記ブッシュと軸部材とが締まり嵌めで嵌合され、
    前記ブッシュの前記中空部の内周及び前記軸部材の外周の少なくとも一方の表面に、所定値を超える過大トルクが第1、第2部材のいずれかの側から入力されたときに滑ると共に当該過大トルクがなくなったときに前記滑りが止んで再び第1部材と第2部材との間で当該動力伝達装置において行われるべき本来のトルク伝達を行う表面処理が施されている
    ことを特徴とする動力伝達装置の継手ユニット。
  14. 軸部材と中空部を有するブッシュとで構成され、
    前記軸部材の外径が前記ブッシュの前記中空部の内径よりも僅かに大きな大きさに設定されることにより、前記ブッシュと軸部材の双方が共に弾性変形の範囲内でかつ所定値を超えた過大トルクが掛かったときに滑る強さの締まり嵌めで嵌合された
    ことを特徴とする動力伝達装置の継手ユニット。
  15. 請求項14において、
    前記ブッシュの前記中空部の内周及び前記軸部材の外周の少なくとも一方の表面に、前記強さの締まり嵌めでの嵌合を行うための表面処理が施されている
    ことを特徴とする動力伝達装置の継手ユニット。
  16. 請求項13〜15のいずれかにおいて、
    前記軸部材及びブッシュのそれぞれが、他の動力伝達軸と連結可能な連結部を備えている
    ことを特徴とする動力伝達装置の継手ユニット。
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