JP2012002024A - カッターブレード冷却機構、並びにこれを具えた舗装材切断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、カッター装置3におけるカッターブレード30を舗装面Pに作用させて、舗装面Pに切削溝Psを形成する装置において前記カッター装置3は、カッターブレード30と、これを駆動する主軸21と、カッターブレード30を主軸21に固定するための一対の押えボス35とを具え、この一対の各押えボス35は、外側面からカッターブレード30の支持面まで貫いて解放される複数の冷却孔352と、冷却ファン353とを具え、カッターブレード30の回転に伴う冷却ファン353の回転によって生じた空気流を、冷却孔352からカッターブレード30に向けて吹き出させ、冷却を行うようにしたことを特徴として成るものである。
【選択図】図4
Description
一方、切断処理を行う作業方式としては、カッターブレードの作用方向を舗装面の下から上に向けて行うアッパーカット方式と、逆に上から下に向けて行うダウンカット方式とが選択されている。
これらそれぞれの環境設定、切断方式ともに長短を有するものであり、概略的には、環境設定の面ではドライ環境での作業の方が作業時に発生する切削粉粒の処理が行い易く優れている。因みに、ウェット環境の作業処理では、切断粉粒は水と混ざり合い、これらは汚泥、汚水として処理されるべきものであり、当然処理コストを要するという問題がある。
一方切断方式でみると、ダウンカット方式の方が安定した作業を行うことができ、結果的に切断ないし切削深さを大きくとるときでも、技術上の問題が少なく優れている。因みにアッパーカット方式の場合には、ブレードの切断作用時に生ずる反作用のベクトルは、切断装置の進行方向の逆となっていることから、ブレードに負荷が掛かったときに、衝撃的に切断装置の全体が後退し、作業者にとって大きな危険をもたらす。このためアッパーカット方式の場合、比較的負荷の少ない、例えば浅溝切削等に限られることが多かった。
ところでこのようなドライ環境での深溝切削作業にあっては、カッターブレードには冷却に寄与する水が供給されず、その過熱が問題となるものであって、これに対処できる技術の開発の必要が生じてきた。
結果的にベンチュリー効果により吹出しスリットから出て、カッターブレードに指向する空気は、膨張に伴う温度低下にともに、流速の増加が図られ効果的にカッターブレードを効果的に冷却できる。
まず符号Mは、本発明が適用される舗装材切断装置であって、このものは、舗装面Pに作用し、切削溝Psを形成する。なお装置の名称としては、切断装置としたが切削溝等の場合もあり、必ずしも切断しない場合も生ずるが装置名称として慣用されていることから、舗装材切断装置Mとする。このものの概略は、まず直接切断作用を担う本体装置1を構成する本体ボディ10に対し車輪装置2が設けられ、適宜エンジン駆動あるいは作業者の押し引きによる移動が可能となっている。そして、本体ボディ10の側方部位にカッター装置3を設けるとともに、カッター装置3を囲みながら更にその後方に配置されるように切削粉粒除去装置5が付設され、更にこの本体装置1と別体の台車状の分離捕集装置6を具えている。そして、前記カッター装置3を舗装面Pに作用させ、切削溝Psを形成することに伴い切削粉粒P0 が発生するものである。加えてカッター装置3におけるカッターブレードは、舗装面Pの切削作用に伴い発熱する。
まず本体ボディ10は、シャーシフレーム100に対し、内部機構を覆うシュラウドカバー11が設けられ、この内部に図示を省略したが、原動機や、原動機から前記カッター装置3への駆動系統の諸装置や、操作伝達系の諸装置が設けられている。
そして本体ボディ10の前方に伸びるように倒伏自在のゲージロッド12を具えるものであり、このゲージロッド12は、先端にゲージ片121と舗装面P上を円滑に移動させるためのローラ122具えている。
また本体ボディ10には、その後方に延びる進行操作ハンドル13が具えられるとともに昇降操作ハンドル14を具える。
車輪装置2としては、装置後方に主輪21が設けられる。なお以下、本実施例では、作業者が前記進行操作ハンドル13を操舵した状態で舗装材切断装置Mを押し進めるものであり、その方向を前方と定義する。この主輪21は、自由転動するものであってもよいし、適宜操作の負荷等を考慮して駆動するものであってもよい。
更に主輪21の前方には、副輪22が設けられる。この副輪22は、副輪アーム23の先端に設けられるとともに、副輪アーム23の基部はアームピボット231において支持され、図示を省略するが、アームピボット231から延長するリンク部材等が副輪アーム23を一定角度回動させ、本体ボディ10を前上がり状態からほぼ水平状態に適宜の角度になるように設定できるものである。
因みに通常の舗装面Pの切断作業を行う際には、本体ボディ10はその下面をほぼ水平にした状態で作業がなされる。
カッター装置3は、カッターブレード30を主要部材とするものであり、このものは本体ボディ10の下面に取り付けられた軸受31によって支持される主軸32に取り付けられている。即ちこの主軸32に対して、図示を省略した原動機からプーリ33に回転が伝達され、主軸32が駆動され、カッターブレード30もそれに伴い回転するものである。この主軸32とカッターブレード30との固定構造は、カッターブレード30を押えボス35によって挟み込み、ロックナット36の締め込みにより固定するものであり、さらにこの押えボス35は、前記カッターブレード30を冷却する機構を具えている。即ちこの押えボス35は、カッターブレード30をその中心付近で充分保持することができる強度を有する部材であって、一対の押えボス35と、カッターブレード30とは、奥側の押えボス35に植設されたノックピン351により互いに位置決めされる。そして押えボス35には、カッターブレード30の冷却手段を設けるものであって、これは多数の冷却孔352と、その間におけるブリッジ状部を実質とする冷却ファン353とにより構成される。この冷却孔352は、押えボス35の外側面から、カッターブレード30の支持面まで貫いており、穴形状はカッターブレード30の挟み面(支持面)側が、絞られ、且つ外側端側に設けられる吹出しスリット354に連なっている。
因みに水冷のみを前提とした冷却機構の先行技術として前記特開2003−336212号があるが、このような形状設定となっておらず、冷却孔からの冷却風の導入作用は、全くない。
なお本発明の実施例においても水冷方式を兼用し得るよう、主軸32の導入孔32aに連通する冷却水供給スリット35aを軸心寄りに環状に形成してもよい。
まず後部サブフレーム51は、その後方に取付フック511を設けるものであり、このものは、本体ボディ10におけるシャーシフレーム100の後方の支持ロッド102に対し、係止するように取り付けられる。更に、後部サブフレーム51は、前記ブレードカバー52の直後方に中間閉塞板512を具えるものであり、舗装面Pの直上部においてブレードカバー52の後端と、ノズル支持ボックス55との間を塞ぐような形態となっている。この中間閉塞板512の両側にコロブラケット513が設けられており、ここに移動用コロ513aが取り付けられている。
前記表パネル520には、点検蓋520aを具えるとともに、裏パネル521に対し、カッターブレード30の主軸32が干渉しないように、軸抜けスリット521aが形成される。また裏パネル521には、前記ノズル引上げロッド58の力点となるリンクピボット521bをピン状に突出させる。
更に前記裏パネル521の部位には、取付枠523が設けられるものであり、このものは、上方を自由端とするように本体ボディ10から立設状態に設けられたブレードカバー支持板15に外嵌状態に嵌る枠体である。またブレードカバー52の前方には、コロブラケット524が設けられており、ここに移動用コロ524aが設けられている。一方その後方側には、一部膨らんだ形状の吸引導流部525を形成し、この上方に排除ダクト526を延長形成する。
更にブレードカバー52は、その下端にはフランジ状の下部スカート527を設け、舗装面Pとの間の密閉状態を維持するものである。またブレードカバー52における周縁板522の上方には、取扱いの便に供するハンドル522aが設けられる。
この溝部処理機構53の主要部材は、閉鎖ノズル54であって、このものは、前記ノズルガイド56に係止する案内受けピン541と、閉鎖ノズル54を上方に位置させたときにその状態を維持するための固定ハンドル542とを具える。この閉鎖ノズル54を支持するノズル支持ボックス55とノズルガイド56について更に説明する。ノズル支持ボックス55は、前記ブレードカバー52の後方において舗装面Pに近接するように設けられた扁平な箱状のものであり、その上面に上部開口551を具えるとともに、下方に吸込スリット552を有する。この吸込スリット552は、切削溝Psにおける切削粉粒P0 を吸入するためのものであって、一例として、前後方向に長い溝線用スリット552aと、これと直交する溝脇用スリット552bとにより平面視で十字状に形成されている。
案内筒561は、前記閉鎖ノズル54をほぼ鞘状に収めるような形態を有するものであり、案内筒561はその一側面を更に立ち上げて立上げガイド562を形成する。この立上げガイド562は、その中央に上下に案内スリット563を設けるものであり、ここに前記閉鎖ノズル54における案内受けピン541を差し込み、その上下方向の移動案内を担う構造とする。
更にノズルガイド56の一例として前方には、溝部用排除ダクト57を設けるものであり、この下端は前記ノズル支持ボックス55内に連通するとともに、その側部にノズル引上げロッド58を遊持するロッドガイド571を形成する。ノズル引上げロッド58は、その中間部位を本体ボディ10における引上げ支点101に支持させるとともに、その一方の端部をブレードカバー52に設けたリンクピボット521bに係止させて力点とし、他端を閉鎖ノズル54の引上げ作用部581に係止させて、作用端とする。
更にこのジョイント63には、温度センサ63Sを設ける。これによって、切削粉粒P0 の大よその温度を検知し、カッターブレード30の発熱状態を知り、そのもののいわゆる焼き付きを防ぎ、安定した運転操作を行うようにする。温度センサ63Sの具体例としては、ジョイント63側面に取り付けられたデジタル表示ができる薄型のものや、取付面の温度を感知して、その温度に応じて発色状態を変化させるシールタイプのもの等が適用できる。
以下、このためのトロリー機構Tについて説明する。
このトロリーブラケット16は、このものは単独では、シャーシフレーム100に完全に取り付けられず、ロックブラケット17を介して最終的な固定が図られる。即ちこのロックブラケット17は、フレーム係止部171を奥部上向きに延長形成し、その反対側の端部に、前記下部フック163cと係止するフレーム係合部172が設けられる。そして、その中間部位には、ロックボルト173を設けている。このような取り付け構造の結果、トロリーブラケット16は、シャーシフレーム100に対し、溶接等の直付け状態ではなく、常時取り外し自在な構成を保っている。もちろんトロリーブラケット16は常時固定して具えられるように溶接固定がされてもよい。
一方固定枠163における上部フック163bは、シャーシフレーム100の上部メンバに載るような形状で係止している。そして、下部フック163cの上方に前記ロックブラケット17におけるフレーム係合部172を位置させるとともに、ロックボルト173を締め込み、その上端をシャーシフレーム100の下部メンバに押し当て、突っ張り状態とする。これによって、フレーム係合部172は、固定枠163における下部フック163cを下方に押し下げるようにし、結果的にトロリーブラケット16をシャーシフレーム100にロック状態に固定する。
具体的には、前記トロリーピン602は、台車60の台車シャーシ601の側面から突出するものであって、途中にロック溝603を有するとともに、このロック溝603に上から外閂状に挿入されるキープレート604を別途用意しておくものである。前記トロリーピン602がピン受孔162に挿入されたのち、保持板161の内側に出現したロック溝603に対し、上方からキープレート604を嵌め込み、その抜け外れを防止する。なお台車60の後方には、ジェネレータ68を同時に牽引するための牽引フック605を設けている。
もちろんジェネレータ68のみは、別途設置状態とすることが可能である。
まず第一の分離捕集ユニット65としてのサイクロン機構は、サイクロン本体651に対し、吸引口651aが設けられ、ここに前記集合吸込ホース64が接続される。そしてサイクロン本体651の排気口651bには、排気ホース657の一端を接続するとともに排気ホース657は、前記第二の分離捕集ユニット66に接続される。
サイクロン本体651は、その常法に従い固形物としての切削粉粒P0 をその重力差により下方に集中させて捕集し、排出する。サイクロン本体651の下方には、第一の捕集チャンバ652が設けられ、更に第一の捕集チャンバ652の下方には、籠状の第一の網目ボックス653が一例として二基設けられ、この各第一の網目ボックス653に対し、第一の集塵袋654が外被せ状態に取り付けられている。この第一の集塵袋654の上部開口部は、第一の捕集チャンバ652の下方に形成されている第一の袋掛けフランジ655に対し、第一の袋止めクランプ656により密着状態に固定される。
そしてその下方は、第一の分離捕集ユニット65と同様に第二の捕集チャンバ662、第二の網目ボックス663、第二の集塵袋664、第二の袋掛けフランジ665、第二の袋止めクランプ666が形成されている。なおこれらの構成は、第一の分離捕集ユニット65と同様であるのでその詳細な説明を省略する。
そして前記フィルタ装置ユニット661の排気口661bに接続されたブロワーホース667は、吸込ブロワー装置67に接続される。
ブロワーユニット672に至った気流は、前記第一の分離捕集ユニット65と、第二の分離捕集ユニット66とにより、充分切削粉粒P0 が除去されているので、ほぼ清浄な気体となっている。そして、ブロワー筐体671の下面等に設けられた排気面673から排気される。また前記ジェネレータ68は、ジェネレータ台車680に搭載された状態で取扱われるものであって、ジェネレータ台車680は、前記分離捕集装置6の台車60と連結して作業に供し得るように、倒伏自在であって前記牽引フック605に係合する連結バー681をその前方に具える。
現場作業では、切断すべき場所を案内する罫引き線等が付設される。一方装置等の準備としては、通常、現場までの搬送の際は、カッターブレード30は舗装材切断装置Mには取り付けられずに搬送するものであり、現場で取り付け準備をされる。
〈カッター装置3の取り付け〉
まずカッターブレード30を取り付けるにあたっては、本体装置1における前方を充分上昇させ、カッターブレード30が舗装面Pと干渉しない状態とする。具体的には、この操作は本体ボディ10における昇降操作ハンドル14を操作し、適宜のリンク機構等に接続されている車輪装置2における副輪22の副輪アーム23を立ち上げてゆき、主輪21を接地したまま本体ボディ10の前方を浮き上がらせるようにする。もちろんこのとき後部サブフレーム51と一体となったブレードカバー52、即ち実質的に見れば切削粉粒除去装置5は、取り付けられていない状態での作業である。
カッターブレード30を取り付けるにあたっては、主軸32に対し一対の押えボス35を用いてカッターブレード30を挟み込むようにして固定し、これを主軸32の先端のロックナット36を締め込みことによりカッターブレード30を固定する。
このようにしてカッターブレード30の取り付けが完了した後に、切削粉粒除去装置5が本体ボディ10に取り付けられる。
即ち、切削粉粒除去装置5の後部サブフレーム51における取付フック511をシャーシフレーム100の後方に設けられているロッド状の支持ロッド102に対し係止させ、一方前記本体ボディ10の側部に立ち上がるように設けられているブレードカバー支持板15に対し、ブレードカバー52の取付枠523を外嵌するようにして嵌込むものである。この嵌め込み自体は、本体ボディ10の前方が持ち上げられた状態であっても、ブレードカバー52の裏パネル521に設けられた軸抜けスリット521aにより主軸32あるいはカッターブレード30に干渉しないでブレードカバー52を被せられる。
このような固定ハンドル542が取り外されると、閉鎖ノズル54の案内受けピン541は、立上げガイド562における案内スリット563内を自由に動き得るので、下方に落下することになるが、実際にはノズル引上げロッド58の作用により上方に引き上げられた状態を維持する。
即ちノズル引上げロッド58は、本体ボディ10における引上げ支点101を支点とし、一方この本体ボディ10と相対的に降下した状態のブレードカバー52におけるリンクピボット521bによって一端が押し下げられ、結果的に他の作用端たる引上げ作用部581は、閉鎖ノズル54の案内受けピン541を下方から上方に押し上げるような形態となっており、閉鎖ノズル54の下方への移動を阻止している。
なお作業中にノズル支持ボックス55の下端面は、舗装面Pを無用に傷つけないように舗装面Pよりも僅かに浮いた状態に設定する必要がある。このため具体的には、ノズルガイド56の下方にあるレベル設定ブラケット564とレベル設定板565との固定位置を設定することによりその操作を行う。即ち、レベル設定板565の長孔565aを利用し、レベル設定板565をレベル設定ブラケット564に対し相対的に低く設定すれば、レベル設定板565が後部サブフレーム51の上縁に乗ることから、全体的にノズル支持ボックス55が上方に設定されることとなる。
更に分離捕集装置6についても、本体装置1に組み付けワンマン作業ができる状態とする。まず、作業開始前であり、舗装材切断装置Mは、本体装置1が、カッターブレード30の取り付けのためにその前方が扛上した姿勢である。この状態で接地して且つその基準位置が変わらない主輪21の側脇部に設けられているトロリーブラケット16に対し、台車60のトロリーピン602を係止させ、分離捕集装置6を側車状に本体装置1と連結させる。具体的には、トロリーピン602をトロリーブラケット16の保持板161に開口したピン受孔162に側方から嵌め込み、更に外閂状にキープレート604をトロリーピン602におけるロック溝603に差し込み、その抜け出しを阻止する。この状態では、トロリーブラケット16の保持板161の当接リブ161aと、台車シャーシ601とが緩当接し、本体装置1に台車シャーシ601がほぼ沿った状態での取り付けが図られ、本体装置1の移動に従い、分離捕集装置6も従動する。なおこの状態から本体装置1の先端が降下して作業姿勢となっても、台車60には影響しない。また、分離捕集装置6の台車60の後方には、牽引フック605を利用して、ジェネレータ台車680の連結バー681を係止させ、これを牽引する。
切断作業の開始にあたっては、全てのエンジン等の起動を行う。即ちジェネレータ68を起動し、吸込ブロワー装置67を起動させ、更に舗装材切断装置Mにおける原動機を起動させる。
一方、作業現場に据え付けた舗装材切断装置Mは、ゲージロッド12を前方に倒伏させてゲージ片121を適宜の罫引き線等に合わせて準備をする。このようにして始発点に設置された舗装材切断装置Mは、昇降操作ハンドル14を操作することにより扛起していた副輪アーム23を格納するようにし、副輪22のしまい込みにより前方を下げる状態に姿勢を変化させてゆく。このとき必要な舗装面Pの切り込み高さを設定できるような位置で昇降操作ハンドル14の操作を停止する。このような状態で、舗装面Pの切断をカッターブレード30によって行う。このカッターブレード30による切断形態は、舗装材切断装置Mを前進させながら、カッターブレード30の作用方向を、舗装面Pの上方から切り込み溝に向けて回転させるダウンカットの態様である。
このようなカッターブレード30による切断作業は、ドライ環境で行われることから、ウェット環境のような水による冷却が期待できず、切削作業による熱の影響を受け易い。しかしながら、この実施例では、カッターブレード30を支持する押えボス35には、冷却孔352及び冷却ファン353が形成されており、これがタービン状に冷却風を生起させ、冷却孔352の先端の吹出しスリット354からカッターブレード30に指向するように供給する。これによって、カッターブレード30は、常に強制空冷状態となり、安定した作動がなされる。特に狭い吹出しスリット354を通過する空気は、この部位がベンチュリーとなり、通過後の膨張による温度低下を伴うとともに、流速の増加も加わり、効果的にカッターブレード30を冷却する。
このようなカッターブレード30による切削作業が進行すると、切削粉粒P0 が生じるものであるが、このものは、次のように除去される。
まず切削粉粒P0 の挙動としては、ダウンカットであるから、当然ながらカッターブレード30の外周部の接線方向に従って導かれるものであり、舗装材切断装置Mの後方に切削粉粒P0 が案内されて飛ばされてくる。このとき、ドライ環境であると切削粉粒P0 が飛ばされた部位は、既に切削溝Psが形成されており、そこからの切削粉粒P0 の飛散が激しいのであるが、本発明では、切削粉粒除去装置5によりその飛散が完全に防止される。
具体的には、まずカッターブレード30を囲む周辺のブレードカバー52は、その後方に吸引導流部525として幾分かチャンバ状に広げた部分を具えており、この部位において切削粉粒P0 は、排除ダクト526からブレード側吸込ホース61によって吸い出されていく。そして、このとき前記切削溝Psに対しては、上下方向に自由状態に動き得る閉鎖ノズル54が嵌り込むようになり、後端部の空間を閉鎖したような状態を呈する。
この結果切削溝Psから切削粉粒P0 の飛散は防止されるとともに、ここからの外気吸入が阻止されることから、吸込ブロワー装置67による負圧吸引もより効果的になされている。
この状態は、格別固定するわけではなく、閉鎖ノズル54の自由な動きを確保するためには、ノズル支持ボックス55は、単に斜めに置かれた状態とされる。しかしながら、ノズル支持ボックス55における後部ほぼ中心に設けられた当接突起553が、後部サブフレーム51における当接受部514に当接する際に、前記当接受部514が幾分か斜めに形成されていることから、これらを当接した状態でセットするだけで、ノズル支持ボックス55は斜めの姿勢がそのまま維持される。その理由は、閉鎖ノズル54が切削溝Ps内を進行する際、幾分かその側壁面に摺接してノズル支持ボックス55は、常に後方に戻されがちになり、一方当接受部514が斜めに形成されていることから、これに効してノズル支持ボックス55の姿勢を変えることは、当接突起553が当接受部514の傾斜面を動く力に抗してせり上がる状態となり、このような動きは殆んど生じない。これによって実質的には比較的ルーズな状態でノズル支持ボックス55をセットした状態であっても斜めの姿勢が維持される。
このようにして、切削粉粒除去装置5から除去されてきた切削粉粒P0 は、分離捕集装置6によって搬送気体から外れ個体として回収される。
まず、ブレード側吸込ホース61と溝側吸込ホース62とは、ジョイント63により合流し、集合吸込ホース64によって第一の分離捕集ユニット65に案内される。なおこのときジョイント63に温度センサ63Sを設けておくときには、切削粉粒P0 の温度状態が検出でき、結果的にカッターブレード30の熱負荷を知ることができる。当然この負荷状態に応じて作業状況を変え、不具合の発生を未然に防止する。そして第一の分離捕集ユニット65は、サイクロン作用によりその分離を行うものであり、サイクロン装置の作動常法にしたがいその下方に切削粉粒P0 が捕集され、第一の捕集チャンバ652を経て、第一の網目ボックス653に取り付けられていた第一の集塵袋654内に順次固粒状の切削粉粒P0 が集められる。そして、かなりの確立で切削粉粒P0 が除去された搬送気体は、排気ホース657から第二の分離捕集ユニット66たるフィルタ装置ユニット661に至る。
この装置では、吸込ブロワー装置67により吸込まれているブロワーホース667によりフィルタエレメント661cが吸引状態となり、その外面側にフィルタエレメント661cを通過しない切削粉粒P0 が付着して捕捉される。このような状態で適宜フィルタエレメント661cの表面に切削粉粒P0 が溜まり、且つ作業中断して吸込ブロワー装置67による吸込みを解除した状態で、ふるい落とし用の操作ハンドル661dを操作し、フィルタエレメント661cの表面をふるい落とし板661eでたたくような操作して、その表面に付着した切削粉粒P0 を下方に落下させる。この切削粉粒P0 は、第二の分離捕集ユニット66の第二の捕集チャンバ662から第二の網目ボックス663を通り、第二の集塵袋664に捕集される。このように集塵袋654、664を用いて切削粉粒を捕集した後には、この集塵袋654、664ごと、切削粉粒P0 の廃棄ができ、その取扱いが容易である。
なおこの集塵袋654、664ともに設定状態では、吸込ブロワー装置67の作動により内側が負圧状態となり、それぞれの網目ボックス653、663に外側から密着した状態を呈する。この結果切削粉粒P0 が外に漏洩することが防止されている。
本発明が適用される舗装材切断装置Mは、以上述べた実施の形態を一つの基本的な形態とするものであるが、必ずしも上述の形態に限定されるものではなく、次のような改変が考えられる。
例えば、切削粉粒除去装置5は、ブレードカバー52と溝部処理機構53とでそれぞれに切削粉粒P0 の回収用のダクトを設けており、このような構成により確実に切削粉粒P0 を回収する点では好ましいが、分離捕集装置6や吸込ブロワー装置67の性能仕様等に応じて、ブレードカバー52と溝部処理機構53との中間位置に一本の排除ダクトを設ける形態としても、もとより差し支えない。
なお実施例によれば、従来の既存の装置のブレードカバーに変えて、後部サブフレーム51を延長した切削粉粒除去装置5に単純に付け替えることにより、ドライ環境での舗装材切断作業が可能となるものである。
また本発明の要旨とは外れるが、分離捕集装置6についても直列状に2段に亘って分離捕集装置6を設けているが、2段以上としてもよいし、1段のみとすることも差し支えない。
更に図11、12に示すものは、本発明の要旨から外れる参考形態であるが多段作業を考慮した形態である。
即ち実際の作業において、予め浅く予備切削をした後、更に深く切り込むような場合、図12に示すように進行方向前方に予備の切削溝Psが既に幅D0 と幅狭に形成される。この後、次の作業で深く切り込む場合、多くはカッターブレード30の刃幅は広く(例えばD1 )、従って切削粉粒P0 の一部は、前方に噴出する。これを効果的に捕捉すべく、前記ブレードカバー52の前方に前覆板52Aを延長形成し、その上方に吸引を行うダクト52Bを設け、ここに前方吸引ホース61Aを設けるものである。
P 舗装面
Ps 切削溝
P0 切削粉粒
P1 残留切削粉粒
D0 (予備の切削溝の)幅
D1 (切削溝の)幅
T トロリー機構
1 本体装置
2 車輪装置
3 カッター装置
5 切削粉粒除去装置
6 分離捕集装置
1 本体装置
10 本体ボディ
100 シャーシフレーム
101 引上げ支点
102 支持ロッド
11 シュラウドカバー
12 ゲージロッド
121 ゲージ片
122 ローラ
13 進行操作ハンドル
14 昇降操作ハンドル
15 ブレードカバー支持板
16 トロリーブラケット
161 保持板
161a 当接リブ
162 ピン受孔
163 固定枠
163a ボルト孔
163b 上部フック
163c 下部フック
164 接続ステー
17 ロックブラケット
171 フレーム係止部
172 フレーム係合部
173 ロックボルト
2 車輪装置
21 主輪
22 副輪
23 副輪アーム
231 アームピボット
3 カッター装置
30 カッターブレード
31 軸受
32 主軸
32a 導入孔
33 プーリ
35 押えボス
35a 冷却水供給スリット
351 ノックピン
352 冷却孔
353 冷却ファン
354 吹出しスリット
36 ロックナット
5 切削粉粒除去装置
51 後部サブフレーム
511 取付フック
512 中間閉塞板
513 コロブラケット
513a 移動用コロ
514 当接受部
52 ブレードカバー
52A 前覆板
52B ダクト
520 表パネル
520a 点検蓋
521 裏パネル
521a 軸抜けスリット
521b リンクピボット
522 周縁板
522a ハンドル
523 取付枠
524 コロブラケット
524a 移動用コロ
525 吸引導流部
526 排除ダクト
527 下部スカート
53 溝部処理機構
54 閉鎖ノズル
541 案内受けピン
542 固定ハンドル
55 ノズル支持ボックス
551 上部開口
552 吸込スリット
552a 溝線用スリット
552b 溝脇用スリット
553 当接突起
56 ノズルガイド
560 ベースプレート
561 案内筒
562 立上げガイド
563 案内スリット
564 レベル設定ブラケット
565 レベル設定板
565a 長孔
566 ボルト
57 溝部用排除ダクト
571 ロッドガイド
58 ノズル引上げロッド
581 引上げ作用部
6 分離捕集装置
60 台車
600 車輪
601 台車シャーシ
602 トロリーピン
603 ロック溝
604 キープレート
605 牽引フック
61 ブレード側吸込ホース
61A 前方吸引ホース
62 溝側吸込ホース
63 ジョイント
63S 温度センサ
64 集合吸込ホース
65 第一の分離捕集ユニット
651 サイクロン本体
651a 吸引口
651b 排気口
652 第一の捕集チャンバ
653 第一の網目ボックス
654 第一の集塵袋
655 第一の袋掛けフランジ
656 第一の袋止めクランプ
657 排気ホース
66 第二の分離捕集ユニット
661 フィルタ装置ユニット
661a 吸込口
661b 排気口
661c フィルタエレメント
661d 操作ハンドル
661e ふるい落とし板
662 第二の捕集チャンバ
663 第二の網目ボックス
664 第二の集塵袋
665 第二の袋掛けフランジ
666 第二の袋止めクランプ
667 ブロワーホース
67 吸込ブロワー装置
671 ブロワー筐体
672 ブロワーユニット
673 排気面
68 ジェネレータ
680 ジェネレータ台車
681 連結バー
Claims (4)
- カッター装置におけるカッターブレードを舗装面に作用させて、舗装面に切削溝を形成する装置において
前記カッター装置は、カッターブレードと、これを駆動する主軸と、カッターブレードを主軸に固定するための一対の押えボスとを具え、この一対の各押えボスは、外側面からカッターブレードの支持面まで貫いて解放される複数の冷却孔と、冷却ファンとを具え、カッターブレードの回転に伴う冷却ファンの回転によって生じた空気流を、冷却孔からカッターブレードに向けて吹き出させ、カッターブレードの冷却を行うようにしたことを特徴とするカッターブレード冷却機構。
- 前記冷却孔は、押えボスにおける外側面から、カッターブレードの支持面に向い外周に向って窄まりながら、外周部寄りには吹出しスリットを形成した形状であることを特徴とする前記請求項1記載のカッターブレード冷却機構。
- 前記冷却孔幅は、冷却ファン幅より大きな寸法設定とされていることを特徴とする前記請求項1または2記載のカッターブレード冷却機構。
- 本体ボディの下方に車輪装置を設け、また本体ボディ側方にカッター装置を設け、更に本体ボディ内にカッター装置の駆動源装置を設け、カッター装置におけるカッターブレードを舗装面に作用させて舗装面に切削溝を形成する本体装置に対し、
前記請求項1から3記載のカッターブレード冷却機構を具えたことを特徴する舗装材切断装置。
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