JP2012001992A - 金属製パネルおよび当該金属製パネルを用いた家具並びに建具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属製の第1と第2の帯状部材群10、20を、当該第1と第2の帯状部材群が直交するように格子状に編んでなる金属製パネル100であって、各第1と第2の帯状部材群10、20は、その交差部において、それぞれ交差する相手方の帯状部材の厚みと実質的に等しい距離だけ相手方から後退する段差部を有し、かつ、各段差部の縦壁部分が交差する相手方の帯状部材に向けて外側に開くように傾斜している。
【選択図】図1
Description
ところが、金属材料、特に板金により作製された家具や建具は、質感が冷やかな印象を与えると共に、木材による手作り製品に比べて安価なイメージが強く、また、一般に表面形状に変化がなく単調であるので、機能性や強度を重視する業務用のデスクや棚などでは採用されるものの、暖かさや落ち着きが要求される家庭用や、安価なイメージを嫌うホテルなどにおいては、金属製家具・建具の需要が多いとは言えない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、金属を用いて、その強度と質感を生かしながらも、極めてインテリア性が高く、安価なイメージを払拭して使用用途を拡大することができる金属製パネルおよび当該金属製パネルを用いた家具、建具を提供することを目的とする。
しかも、第1と第2の帯状部材の交差部に互いに段差部が形成されており、相互に相手方の段差部に入り込んで位置決めされるため、外力を受けても編み目が崩れにくく、一定の強度と幾何学的美観を維持することができる。
特に、各段差部の縦壁部が相手方の帯状部材に向かって開くように傾斜しているため、この部分が弾力的に曲がりやすく、また、そのテーパ作用により、編み込んだ帯状部材を他の帯状部材の段差部の底面まで案内しやすく、編み込み作業を極めて円滑にすることができるものである。
ここで、前記段差部の底面における、当該帯状部材の長手方向における長さが、交差する相手方の帯状部材の幅と等しいことが望ましい。これにより、交差部における帯状部材の位置決めを確実に行えるので、外力を受けても編み目がより乱れにくい。
ここで、第1と第2の帯状部材の表面にその長手方向に沿って、ヘアライン仕上げが施されているとしてもよい。ヘアライン仕上げは、金属の光沢を抑えるつや消しの作用があり、磨き仕上げのような光沢がないので、落ち着いた雰囲気で、より金属の質感を強調することができる。また、ヘアラインの延びる方向によっては、反射光が違って見えるので、金属製パネルの装飾性を増すことができる。
また、第1、第2の帯状部材が、厚みt[mm]が、0.6mm以上1.2mm以下であって、各帯状部材の幅をw[mm]としたとき、前記傾斜した縦壁部の当該帯状部材の長手方向における長さLs[mm]は、w×tの20%以上であって、かつ、前記縦壁部と段差部の底面とのなす角αが、25°以上27°以下であることが望ましい。
上記金属製パネルを使用して家具や建具を作製すれば、装飾性に優れ、かつ重厚感がある家具や建具が提供できる。
(1)金属製パネル100の構成
図1(a)は、当該金属製パネル100の構成を示す平面図である。
同図に示すように、金属製パネル100は、縦方向に伸びる複数本の金属製の帯状部材11〜15からなる第1帯状部材群10と、横方向に伸びる複数本の金属製の帯状部材21〜25からなる第2帯状部材群20とを、直交した状態で交互に編み込んで構成される。
各第1、第2帯状部材群10、20における帯状部材の幅、長さ、本数などは、それによって作製される家具もしくは建具の大きさによって異なるが、本例では、基本的な構造を説明するため、縦、横それぞれ5本ずつの帯状部材で構成している。また、本実施の形態では、各帯状部材は、ステンレス製のものを使用している。
同図に示すように、帯状部材25は、各帯状部材11〜15と重なる交差部において、交差する相手方の帯状部材11〜15が入り込むように上下交互に段差部251〜255が形成された形状になっている。
図2(a)は、上記帯状部材25の外観を示す斜視図であり、同図に示すように帯状部材25には、上下交互に凹入する段差部251〜255が、その長手方向に沿って等間隔で形成されており、各段差部251〜255の縦壁部(隣接する段差部との間の部分に相当)25a〜25dは、交差する相手方の帯状部材11〜15が入り込みやすいように外側に向かって開く方向に傾斜している。
図2(b)は、図1(a)の帯状部材25と帯状部材13の交差部32におけるX−X線における矢視方向における部分拡大断面図である。
また、段差部253の縦壁部25b、25cは、外側に開くように傾斜しており、その長手方向における長さL2、L3は共に等しくなっている。
Dが相手方の帯状部材の厚みとほぼ同じ寸法に設定されているため、これらを編み込んでなる金属製パネル100の上下面は、ほぼ平坦な面となり、編み製品でありながら表面の凹凸が少ないパネルを提供できる。なお、本例では一番端の段差部には、外側に位置する縦壁部を設けていないが、設けても構わない。
したがって、いままで金属材料を、例えば椅子の座面として使用することは、その剛性のため、座り心地が悪く敬遠されていたが、本実施の形態にかかる金属製パネル100を椅子の座面に使用することにより、装飾性のみならず座り心地が大幅に改善される。
(2)各部の寸法
ところで、実際に金属製の帯状部材を格子状に編み込むことは容易ではない。
具体的に、例えば、第2帯状部材群20の5本の帯状部材21〜25を図1(a)のような間隔をおいて平行に配置し、第1帯状部材群10の一本目の帯状部材11を、その段差部が第2帯状部材群の段差部と交互に向かい合うようにして重ねた後、これを適当な冶具で挟み込んで固定し、その後、第2帯状部材群の各帯状部材を上下方向に交互に曲げて、次の第1帯状部材群10の帯状部材12を向かい合う段差部同士が重なるようにして差し入れて、その後、第2帯状部材群の各帯状部材帯状部材21〜25を上下反対方向に曲げて、次の第1帯状部材群10の帯状部材を差し入れて行く編み込み動作を繰り返す。
したがって、図2(b)で言えば、縦壁部の長手方向の長さL2、L3が長いほど、上下に曲げやすく編み込みが容易となる。
一方、縦壁部25b、25cの傾斜が緩くなり過ぎると、外力を受けると帯状部材13が、帯状部材25の長手方向に滑って移動しやすくなって、段差部253による交差する相手方の帯状部材の位置決め効果が薄れ、正面から見たときに特定の帯状部材の直線性が歪んで編み目が乱れて、第1帯状部材群10と第2帯状部材群20が直交してなる幾何学的な美観を損なうおそれがある。
実際問題として編み込みが可能な帯状部材の厚みtは、図2に示すような段差部の加工形状を維持しつつ、曲げ作業が容易なことが望まれ、この観点から厚みtは、0.6mm〜1.2mmの範囲が適当であり、これに応じて、L2(L3)について上記条件A、Bを満たすような適当な値が決定される。
なお、金属製パネル100の表面が完全に平坦となるためには、上記段差部の深さDと帯状部材の厚さtが完全に等しければよい筈であるが、実際には、編み込み時において上下に曲げながら編み込んで行くので、大部分は縦壁部の傾斜部で撓むとはいえ、段差部の底面部分においても少なからず湾曲し、交差して重ねたときに相手方の帯状部材との間で微小ながらも「浮き」が生じる場合がある。ここで、この「浮き」が組立誤差の主要部分を占めていると考えられ、本願発明者は、この誤差を平均的に、0.2mm見込んでいれば、表面の平坦性がほぼ確保できることを確認した。この組立誤差は、帯状部材の素材や厚みや幅によって微妙に異なると考えられるが、当業者であればそれぞれの条件の下で実験により容易に取得できる値である。
(3)金属製パネル100を用いて製作した家具
上述のような金属製パネル100を利用して装飾性と機能性、耐久性に優れた家具を製作することができる。
本例では、鉄などの金属製の角材を溶接して脚部と座面の周囲の骨格を形成し、その表面を金属製パネル100で覆うようにして椅子を製作している。
上述のように金属製パネル100は、平面性が高く、しかも、適度の弾力性を有するため、金属製とは思えない座り心地がよい座面201を形成することができる。それでいて、金属の質感を維持しつつ、装飾性に優れており、家庭などにおいてもインテリア性の高い椅子として違和感なく受け入れられる。また、金属であるが故に、丈夫で耐久性があり、また、特に夏には、清涼感が得られる。
金属製パネル100を折り加工して姿見のフレーム301を作製した後、内部に姿見の鏡302を嵌め込んで接着剤などで固定している。
フレーム301の背部にスタンドを取り付けたり、もしくは直接壁に取付けて用いる。
本例によれば、鏡に写った自分の姿の周りに、金属の地肌の質感のある格子が輝いて見えて、豪華さを強調することができる。
なお、図3、4の例では、第1帯状部材群10と第2帯状部材群20の交差部32ではなく、帯状部材が二重に重なっていない編み目の部分で折るように寸法が決められており、折り曲げ加工が容易となっている。
また、このような円筒や、断面が多角形の筒状に加工した場合には、さらに底を設けて、傘立てや、くず入れとして利用することも可能であろう。
(4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明の内容が、上記実施の形態に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を考えることもできる。
ヘアライン仕上げは、金属表面に、所定の研磨道具により一定方向に連続的に髪の毛のような細い研磨の条痕を残した仕上げをすることによりなされ、金属の光沢を抑えるつや消しの作用がある。磨き仕上げのような光沢がないので、落ち着いた雰囲気で、より金属の質感を強調することができる。
しかし、使用される金属材料は、ステンレスに限定されないことはいうまでもない。通常の鉄材であっても、表面に適当な防錆加工を施すことによって使用可能である。
図7の例は、第1帯状部材群10の帯状部材としてステンレス、第2帯状部材群20の帯状部材として銅を使用した例を示している。
この場合には、異なる金属の質感と色目により趣のある市松模様を形成することができ、装飾品としての付加価値が増す。
この場合でも交差部における段差部の底面の長さL1と、交差する相手方の帯状部材の幅Wとを同じにし、当該段差部の深さDを交差する相手方の帯状部材の厚みtと実質的に同じにすることにより、表面と裏面における平面性の高い金属製パネル100を得ることができる。
(4−5)なお、上記では、全ての帯状部材が金属である場合について述べたが、場合によっては、その一部または全部を樹脂材料で代替することも可能である。
20 第2帯状部材群
11〜15、21〜25 帯状部材
25a〜25d 縦壁部
251〜255、151〜155 段差部
31 編み目
32 交差部
100〜102 金属製パネル
200 椅子
300 姿見
400 ランプシェード
Claims (9)
- 金属製の第1と第2の帯状部材を、当該第1と第2の帯状部材が直交するように格子状に編んでなる金属製パネルであって、
各第1と第2の帯状部材は、その交差部において、それぞれ交差する相手方の帯状部材の厚みと等しい距離だけ相手方から後退する段差部を有し、かつ、各段差部の縦壁部分が交差する相手方の帯状部材に向かって外側に開くように傾斜している
ことを特徴とする金属製パネル。 - 前記段差部の底面における、当該帯状部材の長手方向における長さが、交差する相手方の帯状部材の幅と等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の金属製パネル。 - 第1と第2の帯状部材の幅および/または厚みがそれぞれ等しい
ことを特徴とする請求項1または2に記載の金属製パネル。 - 前記第1と第2の帯状部材の少なくとも一方はステンレス製であることを特徴とする
請求項1から3のいずれかに記載の金属製パネル。 - 第1と第2の帯状部材の表面にその長手方向に沿って、ヘアライン仕上げが施されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の金属製パネル。 - 第1と第2の帯状部材に使用される金属として、色目の異なる2種類の金属が選択されていること
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の金属製パネル。 - 第1、第2の帯状部材は、厚みt[mm]が、0.6mm以上1.2mm以下であって、各帯状部材の幅をw[mm]としたとき、前記傾斜した縦壁部の当該帯状部材の長手方向における長さLs[mm]は、w×tの20%以上であって、かつ、前記縦壁部と段差部の底面とのなす角αが、25°以上27°以下である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の金属製パネル。 - 請求項1から7のいずれかに記載された金属製パネルを使用してなる家具。
- 請求項1から8のいずれかに記載された金属製パネルを使用してなる建具。
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