JP2012001755A - 軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料及びその作製方法 - Google Patents

軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料及びその作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料及びその作製方法を提供する。
【解決手段】炭化チタン粉末と硼化チタン粉末を、鉄とアルミニウムを含むFeAl合金あるいはFeAl金属間化合物を結合相として焼き固めて、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料を作製する方法であって、1)メカニカルアイロニングにより粉末を強制的に接着させること、あるいは2)ホットプレス又は通電焼結により直接加熱することにより、比較的低温での焼結あるいは短時間での焼結を可能として、鉄の硼化物である硼化鉄の生成を抑制して機械的強度を向上させることを特徴とする、軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法、及びその高熱伝導性硬質材料。
【選択図】図1

Description

本発明は、軽量で、耐酸化性に優れる硬質材料に関するものであり、更に詳しくは、耐酸化性に優れる硬質材料において、熱伝導性に優れる硬質粒子を、硬質粒子間及び結合相との反応を抑制して、複合化することで、熱伝導性及び強度を向上した硬質材料に関するものである。
本発明は、従来の硬質材料が、耐酸化性や高温での強度が劣ること、熱伝導率が低く熱の放散性が悪いこと、熱伝導率を改善したTiC−TiB−30mass%FeAl複合材料においても、結合相中の鉄とTiBが焼結中に反応し、硼化鉄が生成することで強度が低下し、実用硬質材料として用いることが難しいこと、などの問題があることに鑑みて、従来材と比較して、焼結時の鉄と硼化チタンの反応を抑制し、軽量、耐酸化性、高熱伝導率はそのままで、焼結時における硼化鉄の生成を抑制し、強度低下を抑制することで、強度を実用化レベルまで向上させた新しい硬質材料に関する新技術・新製品を提供するものである。
代表的な硬質材料として、炭化タングステンをコバルトで結合させた超硬合金がある。しかし、炭化タングステンの比重は大きいため、これを用いた超硬合金も非常に重いものとなり、金型などに用いた場合、運搬、取り付け作業において、作業者への大きな負担となる。一方、軽量な炭化チタンをニッケルで結合した硬質材料に、サーメットがある。
しかし、サーメットは、結合相に純金属を用いていることから、耐酸化性や高温での強度が劣る。また、炭化チタンの熱伝導率は低いため、サーメットの熱伝導率も低い。これは、上記硬質材料を、切削工具へ応用することを考えた場合、酸化による工具の劣化や切削時に生じる摩擦熱の放散性が悪く、熱応力が発生して、工具寿命を低下させることにつながる。また、上記硬質材料を、高温用金型へ応用する際にも、加熱した熱が金型にこもりやすく、金型寿命が低下することになる。
そこで、鉄とアルミニウムからなり、耐酸化性や高温強度に優れる金属間化合物を結合相として用いたサーメット材料が検討されている[非特許文献1]。更に、熱伝導率を改善したTiC−TiB−30mass%FeAl複合材料も開発されている[非特許文献2]。この材料の熱伝導率は、TiBの混合量により調整可能であるという特徴を有している。
しかし、この材料は、結合相中の鉄とTiBが焼結中に反応し、硼化鉄が生成することで強度が低下し、曲げ強度は0.8GPa程度しか示さないため、実用硬質材料として用いることは不可能であった。更に、このような硬質材料を作製するためには、高温で長時間の焼結を行う必要があり、炭化チタンと硼化チタンとの反応や結合金属相との反応が生じて、TiC−TiB−30mass%FeAlでは、緻密な焼結体ほど、強度が低下する傾向を示した。
しかし、硬質材料の強度は、焼結性に依存しており、硬質粒子−結合相間の反応は必要である。この矛盾する2つの現象を同時に解決することは難しく、これまで、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性の実用的な強度を有する硬質材料を作製することはできなかった。このようなことから、当技術分野においては、軽量で、耐酸化性に優れ、高熱伝導率を有し、強度が実用レベルまで向上した新しい硬質材料を作製する技術を開発することが強く要請されていた。
粉体粉末冶金協会講演概要集 平成20年度春季大会(2008),pp29 粉体及び粉末冶金、第56巻、「通電焼結で作製したTiB2添加TiC/Fe−Alサーメットの特性」、(2009)775
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、炭化チタン、硼化チタンを、鉄とアルミニウムからなるFeAl金属間化合物で結合した複合材料において、結合相の割合を小さくすること、結合相中の鉄の割合を小さくすること、あるいは硼化チタンの一部を熱伝導性に優れる炭化物系の硬質粒子で置き換えること、更に、短時間での焼結を行うことにより、硼化チタンと鉄との反応を抑制して、強度を向上させた、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性の硬質材料を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、軽量で、耐酸化性、熱伝導性に優れるTiC−TiB−(Fe−Al)複合材料において、結合金属相の割合を小さくする、硬質材料における鉄の割合を小さくする、あるいは硼化チタンの一部を炭化物系硬質材料に置き換えることにより、焼結時の鉄と硼化チタンの反応を抑制し、軽量で、耐酸化性、高熱伝導性を有し、強度を向上させた実用的な硬質材料を作製するための技術及びその製品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)炭化チタン粉末と硼化チタン粉末を、鉄とアルミニウムを含むFeAl合金あるいはFeAl金属間化合物を結合相として焼き固めて、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料を作製する方法であって、1)メカニカルアイロニングにより粉末を強制的に接着させること、あるいは2)ホットプレス又は通電焼結により直接加熱することにより、比較的低温での焼結あるいは短時間での焼結を可能として、鉄の硼化物である硼化鉄の生成を抑制して機械的強度を向上させることを特徴とする、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料の作製方法。
(2)鉄とアルミニウムを含む結合相が、鉄とアルミニウムの割合が重量比で6:1(Fe−13.9mass%Al)から2:1(Fe−33.3mass%Al)の範囲で、結晶構造がBCCあるいはB2構造を有し、鉄と硼化チタンとの反応を抑制した、前記(1)に記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
(3)鉄とアルミニウムを含む結合相を40質量%又はそれより少なくして、硼化鉄の生成を抑制した、前記(1)又は(2)に記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
(4)硼化チタンの一部を炭化物系の硬質粒子に置き換え、鉄と硼化チタンとの反応を抑制した、前記(1)から(3)のいずれかに記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
(5)炭化チタン粉末、硼化チタン粉末、鉄及びアルミニウムを機械的に混合することで、比較的低温、短時間での焼結を可能とし、硼化鉄の生成を抑制した、前記(1)から(4)のいずれかに記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
(6)原料粉末に通電し、比較的低温、短時間での焼結を行い、硼化鉄の生成を抑制した、前記(1)から(5)のいずれかに記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
(7)前記(1)から(6)のいずれかに記載の方法により作製した、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料であって、炭化チタンと硼化チタンを、鉄とアルミニウムを含むFeAl合金あるいはFeAl金属間化合物を結合相として焼き固めた構造を有し、鉄とアルミニウムを含む結合相の結晶構造がBCCあるいはB2構造であり、鉄の硼化物である硼化鉄の生成が抑制され、機械的強度が少なくとも1000MPaの曲げ強度であることを特徴とする高熱伝導性硬質材料。
(8)鉄とアルミニウムを含む結合相が、0超〜40重量%である、前記(7)に記載の高熱伝導性硬質材料。
(9)鉄とアルミニウムを含む結合相が、鉄とアルミニウムの割合が重量比でFe−13.9mass%Al〜33.3mass%Alである、前記(7)又は(8)に記載の高熱伝導性硬質材料。
次に、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、炭化チタンと硼化チタンを、鉄とアルミニウムを含むFeAl合金あるいはFeAl金属間化合物を結合相とした、軽量で、耐酸化性、熱伝導性に優れた複合材料において、機械的特性を改善するために、結合相や結合相中の鉄の割合を小さくすること、硼化チタンの一部を炭化物系硬質材料で置き換えること、短時間での焼結を行うことで、鉄−硼化チタン間の反応を抑制させ、実用的な、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料を作製することを特徴とするものである。
焼結で得られた硬質材料の硬度は、結合相の量に大きく左右される。結合相である鉄とアルミニウムを含む金属間化合物や合金からなる金属相の量は、0超〜40質量%であり、40重量%を超えると、硬度は、85HRAより小さくなり、硬質材料としての耐摩耗性が大きく低下する。また、結合相が多いと、高温での硬度が低下し、高温での使用には不向きとなる。更に、焼結時に、結合相と硬質粒子の反応が促進し、硼化鉄の生成量が増加し、機械的強度が低下することとなる。
一般に、硬質粒子と金属からなる超硬合金やサーメットなどの硬質材料は、硬質粒子粉末と金属粉末を均質に混合した後、プレス成形して、真空中において加熱することで、焼結して作製されている。複数の硬質粒子を含有する本願発明の高熱伝導性硬質材料では、硬質粒子相互の反応を抑制するために、低温での焼結が有効であると考えられる。
しかし、焼結で得られた硬質材料の強度は、硬質粒子と金属との界面反応で決定される場合が多く、十分な反応が進行するためには、高温が必要である。本発明者らは、この矛盾した2つの現象を同時に満足させるためには、硬質粒子と金属の界面反応を焼結前に促進させることが有効であると考えた。
これを実現するためには、硬質粒子と金属を強い力で撹拌し、機械的な力で硬質粒子と金属を接合することが効果的である。例えば、機械的合金化法(メカニカルアロイング)などは、その効果的な技術として例示でき、酸化を防止できる雰囲気中で、好適なエネルギーのもとで実施することが有効である。
得られた硬質材料粉末の焼結温度を更に低減するためには、真空焼結より、加圧力を利用したホットプレスや通電焼結などが有効であり、急速な加熱と冷却が実現できる通電焼結は、好適な焼結方法である。
また、焼結時に燃焼合成反応のような発熱反応を誘発させることも強固な界面を形成する上では有効である。特に、Fe−13.9〜33.0mass%Alの組成を有するFe−Al系金属間化合物は、燃焼合成反応で合成されることから、焼結中に金属間化合物相を合成することは、低温焼結に効果的である。
本発明では、1)メカニカルアイロニングにより粉末を強制的に接着させること、2)ホットプレスや通電焼結法により直接加熱することにより、比較的低温での焼結あるいは短時間での焼結を行うこと、が重要である。本発明は、従来材と比べて、1)軽量、耐酸化性、高熱伝導率はそのままで、2)硼化鉄の生成が抑制され、強度が実用レベルまで向上し、それにより、軽量で、耐酸化性に優れ、かつ強度が実用レベルに向上した高熱伝導硬質材料を提供することを可能としたものである。
焼結で得られる硬質材料の機械的特性、特に強度は、結合相の組成に大きく依存している。結合相となる(FeAl)金属間化合物あるいは合金のFe:Alの重量比は、6:1(Fe−13.9mass%Al)から2:1(Fe−33.3mass%Al)の範囲で、結晶構造は、BCCあるいはB2構造を有するものである。更に、置き換える炭化物系の硬質粒子の量は、TiBが5mass%以上、硬質材料に含まれるようにすることが望ましい。従来材であるFeAlは、DOと呼ばれる結晶構造を有しており、本発明の硬質材料と比べて、結合相の結晶構造が相違する。
Al量が、FeAl金属間化合物より少ない場合、硬質材料の結合相は、700℃を超える高温での耐酸化性が低下する。更に、鉄の量が増加することで、鉄と硼化チタンとの焼結時の反応が起こり、機械的強度は大幅に低下する。また、Al量が、FeAl金属間化合物より多い場合には、硬質材料の強度が低下する。更に、アルミニウム量が増加すると、硬質材料の熱伝導率は低下し、高熱伝導性という特性を維持できなくなる。
本発明では、従来材と比較して、1)結合相の割合を少なくすること、2)結合相中の鉄の割合を少なくすること、3)TiBの一部を炭化物系の硬質粒子に置き換えること、4)短時間での焼結を行うこと、が重要である。ここで、結合相の割合は、40mass%以下であることが好ましく、結合相中の鉄の割合は、86.1mass%以下であることが好ましい。TiBの一部に置き換える炭化物系の硬質粒子としては、WC,SiC,TiCN,MoC,VC,BC,Cr,TaC,ZrC,FeC,NbC及びHfCが好適である。更に、置き換える炭化物系の硬質粒子の量は、TiBが5mass%以上、硬質材料に含まれるようにすることが望ましい。
そして、結合相のFeAl金属間化合物あるいは合金は、Fe−13.9〜33.0mass%Alの組成範囲において、700℃を超える高温でも耐酸化性が低下することがなく、また、機械的強度が低下せず、更に、熱伝導率は低下せず、高強度で、高熱伝導性という特性が維持される。
本発明は、炭化チタン、硼化チタンを、鉄とアルミからなるFeAl金属間化合物で複合化した硬質材料に対して、結合相や結合相中の鉄の割合を減らすこと、あるいは硼化チタンの一部を炭化物系の硬質材料に置き換えることで、軽量で、熱伝導性、耐酸化性に優れた高強度の硬質材料を作製するものである。
従来、炭化チタンをニッケルで複合化した硬質材料には、サーメットがあるが、純金属が結合相として用いられるため、500℃を超える高温域での利用は、酸化や軟化の問題から適用が困難であった。そこで、結合相を耐酸化性に優れる金属間化合物で置き換え、更に、熱伝導性に優れる硼化チタンを添加することで、軽量で、耐酸化性、熱伝導性に優れた硬質材料を作製することができる。
しかしながら、この種の硬質材料は、鉄と硼素の反応により、硼化鉄が形成され、強度が低下するという問題を有しており、その解決が求められていた。そこで、本発明では、結合相や結合相中の鉄の割合を減らすこと、あるいは硼化チタンの一部を炭化物系硬質材料に置き換えることで、強度を向上させることに成功し、実用的な、軽量で、耐酸化性、熱伝導性に優れた硬質材料を作製することに成功した。
本発明による硬質材料を金型へ適用することで、加工温度を高くすることが可能となり、加工時の素材の変形抵抗も小さくなり、省エネルギーで加工を行うことが可能となる。更に、本発明の硬質材料は、耐熱性の効果で、従来、冷却のため、湿式の環境でしか加工できなかった作業が、乾式で実施することができ、環境への負荷も小さくすることが可能となる、また、本発明の硬質材料は、軽量であるため、金型の運搬、取り付けにかかる作業者の負担を大幅に軽減できる、という利点を有する。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)軽量で、熱伝導性、耐酸化性に優れた高強度の硬質材料を製造し、提供することができる。
(2)従来材と比較して、軽量、耐酸化性、高熱伝導率はそのままで、硼化鉄の生成が抑制され、強度が実用レベルにまで向上した新規硬質材料を提供することができる。
(3)従来材に比べて、結合相や結合相中の鉄の割合を減らすこと、あるいは硼化チタンの一部を炭化物硬質材料に置き換えることで、強度を向上させることが可能となった。
(4)本発明の硬質材料を金型へ適用することで、加工温度を高くすることが可能となり、加工時の素材の変形抵抗も少さくなり、省エネルギーで加工を行うことが実現できる。
(5)耐熱性の効果で、従来、湿式での環境でしかできなかった作業を、乾式で実施することが可能となり、環境への負荷を小さくすることができる。
(6)軽量であるため、金型の運搬、取り付けにかかる作業者の負担を大幅に軽減することができる。
TiB−30mass%(Fe−15mass%Al)焼結体(上)と、TiB−30mass%(Fe−33mass%Al)焼結体(下)のX線回折パターンである。
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。すなわち、本発明は、本発明の技術思想の範囲で、以下の実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
硼化チタン粉末、鉄粉末、アルミニウム粉末を、TiB−30mass%(Fe−Al)組成になるように秤量し、乳鉢による混合を行った後、内径10mm、外径30mm、高さ30mmの黒鉛型に充填して、通電焼結で、10mmφ×4mmの焼結体を作製した。
焼結は、真空中で行い、30MPaの加圧下で加熱し、1250℃で、1分間保持した。なお、Feに対するAlの割合は、15mass%Al、25mass%Al、33mass%Alとした。得られた焼結体の構成相をX線回折により分析し、密度、比熱、熱拡散率から、熱伝導率を求めた。
TiB−30mass%(Fe−15mass%Al)焼結体(上)と、TiB−30mass%(Fe−33mass%Al)焼結体(下)のX線回折パターンを、図1に示す。構成相は、TiBが支配的であり、結合相であるFeAl金属間化合物の生成が認められる。一部、FeBが生成しているが、硬質相は、TiB以外には変化していない。
TiB−30mass%(Fe−15mass%Al)焼結体は、密度が4.75g/cmで、熱伝導率は69.7W/mKを示した。また、TiB−30mass%(Fe−25mass%Al)焼結体は、密度が4.73g/cmで、熱伝導率は61.7W/mKを示した。TiB−30mass%(Fe−33mass%Al)焼結体では、密度が3.11g/cmで、熱伝導率は、56.0W/mKであった。
いずれの焼結体も、軽量であり、高い熱伝導性を示した。結合相のアルミニウム量が増加するにしたがって、密度は軽くなっており、熱伝導率は、若干低下した。また、得られた焼結体は、いずれも大気中で900℃に加熱した場合の酸化増量は、TiB−30mass%Fe焼結体の5%以下であり、高い耐酸化性を示した。
硬質粒子に、TiC、WC、TiBを用い、TiB−14.3mass%TiC−37.1mass%WC−25.9mass%Fe−8.4mass%Al組成になるように、原料粉末であるTiB、TiC、WC、Fe及びAlを秤量した後、遊星型ボールミルで混合を行った。
得られた粉末8gを、25mm×25mm×4mmの焼結体が作製できる黒鉛製型に充填した。黒鉛製のパンチを用いて、原料粉末を上下から40MPaで加圧しながら通電により加熱した。焼結は、真空中で、1250℃、保持時間は、3分の条件で行った。
得られた焼結体から、3mm×4mm×25mmの試験片を切り出し、3点曲げによる強度測定を行った。焼結体は、1254MPaの曲げ強度を示し、ロックウェルAスケールにおける硬度は、90.4HRAと、高強度で、高硬度であった。また、結合相中の鉄の含有量を減らし、TiBの一部をWCで置き換えることで、硼化鉄の生成が抑制されていることが分かった。
硬質粒子に、TiC、WC、TiBを用い、TiB−17.1mass%TiC−42.9mass%WC−25.9mass%Fe−8.4mass%Al組成になるように、原料粉末であるTiB、TiC、WC、Fe及びAlを秤量した後、遊星型ボールミルで混合を行った。
得られた粉末8gを、25mm×25mm×4mmの焼結体が作製できる黒鉛製型に充填した。黒鉛製のパンチを用いて、原料粉末を上下から40MPaで加圧しながら通電により加熱した。焼結は、真空中で、1250℃、保持時間は、3分の条件で行った。
得られた焼結体から、3mm×4mm×25mmの試験片を切り出し、3点曲げによる強度測定を行った。焼結体は、1392MPaの曲げ強度を示し、ロックウェルAスケールにおける硬度は、89.0HRAと、高強度で、高硬度であった。また、結合相中の鉄の含有量を減らし、TiBの一部をWCで置き換えることで、硼化鉄の生成が抑制されていることが分かった。
硬質粒子に、TiC,TiBを用い、TiC−30mass%TiB−30.3mass%Fe−9.7mass%Al組成になるように原料粉末であるTiC,TiB,Fe及びAlを秤量したのち、遊星型ボールミルで混合を行った。得られた粉末8gを25mm×25mm×4mmの焼結体が作製できる黒鉛製型に充填した。黒鉛製のパンチを用いて、原料粉末を、40MPaで加圧しながら通電を行い、加熱した。焼結は、真空中で1280℃、保持時間2分の条件で行った。
得られた焼結体から3mm×4mm×25mmの試験片を切り出し、3点曲げによる強度測定を行った。焼結体は、1023MPaの曲げ強度を示し、ロックウェルAスケールにおける硬度は、88.3HRAであり、高強度で高硬度であった。
以上詳述したように、本発明は、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料及びその作製方法に係るものであり、本発明により、軽量で、熱伝導性、耐酸化性に優れた高強度の硬質材料を製造し、提供することができる。本発明により、従来材と比較して、軽量、耐酸化性、高熱伝導率はそのままで、硼化鉄の生成が抑制され、強度が実用レベルにまで向上した新規硬質材料を提供することができ、従来材に比べて、結合相や結合相中の鉄の割合を減らすこと、あるいは硼化チタンの一部を炭化物系の硬質材料に置き換えることで、強度を向上させることができる。本発明の硬質材料を金型へ適用することで、加工温度を高くすることが可能となり、加工時の素材の変形抵抗も少さくなり、省エネルギーで加工を行うことが可能であり、耐熱性の効果で、従来、湿式での環境でしかできなかった作業を、乾式で実施することが可能となり、環境への負荷を小さくすることができる。本発明の硬質材料は、軽量であるため、金型の運搬、取り付けにかかる作業者の負担を大幅に軽減することができる。本発明は、耐酸化性に優れる硬質材料において、熱伝導性に優れる硬質粒子を、硬質粒子間及び結合相との反応を抑制して、複合化することで、熱伝導性及び強度を向上した硬質材料を提供するものとして有用である。

Claims (9)

  1. 炭化チタン粉末と硼化チタン粉末を、鉄とアルミニウムを含むFeAl合金あるいはFeAl金属間化合物を結合相として焼き固めて、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料を作製する方法であって、1)メカニカルアイロニングにより粉末を強制的に接着させること、あるいは2)ホットプレス又は通電焼結により直接加熱することにより、比較的低温での焼結あるいは短時間での焼結を可能として、鉄の硼化物である硼化鉄の生成を抑制して機械的強度を向上させることを特徴とする、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料の作製方法。
  2. 鉄とアルミニウムを含む結合相が、鉄とアルミニウムの割合が重量比で6:1(Fe−13.9mass%Al)から2:1(Fe−33.3mass%Al)の範囲で、結晶構造がBCCあるいはB2構造を有し、鉄と硼化チタンとの反応を抑制した、請求項1に記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
  3. 鉄とアルミニウムを含む結合相を40質量%又はそれより少なくして、硼化鉄の生成を抑制した、請求項1又は2に記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
  4. 硼化チタンの一部を炭化物系の硬質粒子に置き換え、鉄と硼化チタンとの反応を抑制した、請求項1から3のいずれかに記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
  5. 炭化チタン粉末、硼化チタン粉末、鉄及びアルミニウムを機械的に混合することで、比較的低温、短時間での焼結を可能とし、硼化鉄の生成を抑制した、請求項1から4のいずれかに記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
  6. 原料粉末に通電し、比較的低温、短時間での焼結を行い、硼化鉄の生成を抑制した、請求項1から5のいずれかに記載の軽量で耐酸化性に優れる高熱伝導性硬質材料の作製方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の方法により作製した、軽量で、耐酸化性に優れる、高熱伝導性硬質材料であって、炭化チタンと硼化チタンを、鉄とアルミニウムを含むFeAl合金あるいはFeAl金属間化合物を結合相として焼き固めた構造を有し、鉄とアルミニウムを含む結合相の結晶構造がBCCあるいはB2構造であり、鉄の硼化物である硼化鉄の生成が抑制され、機械的強度が少なくとも1000MPaの曲げ強度であることを特徴とする高熱伝導性硬質材料。
  8. 鉄とアルミニウムを含む結合相が、0超〜40重量%である、請求項7に記載の高熱伝導性硬質材料。
  9. 鉄とアルミニウムを含む結合相が、鉄とアルミニウムの割合が重量比でFe−13.9mass%Al〜33.3mass%Alである、請求項7又は8に記載の高熱伝導性硬質材料。
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