JP2011529005A - 位相同期によって制御されるエンジンを備える航空機 - Google Patents

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Abstract

本発明の航空機(50)は、二重反転回転翼を有するエンジンを少なくとも1つ備え、少なくとも1つのエンジンが少なくとも1つの楕円(70)に関係する不均衡を有する。上記航空機は、所定のエンジン速度で、楕円の、又は複数の楕円のうちの少なくとも1つの長軸(68)の少なくとも1つの所定の共通方向において、上記ダンパの2つの端部に対する速度が該ダンパの他の配置における当該速度よりも大きいような配置で取り付けられた少なくとも1つの振動ダンパ(64,66)を含んでいる。
【選択図】図7

Description

本発明は、二重反転回転翼を有するエンジンを少なくとも1つ備えた航空機に関する。
このようなエンジンとして、プロップファンタイプのターボプロップのような二重反転プロペラを備えたエンジン又はヘリコプターのような回転翼航空機のエンジンがある。
航空輸送産業において、エンジンによって生じる振動及び騒音を軽減すべく、多年にわたって調査研究が行われてきた。そして、様々な技術が用いられてきた。
パッシブ又はアクティブなバランシング技術も知られている。特許文献1の場合のように、この技術において、慣性的な又は空気力学的な不均衡が測定されたり補正されたりする。
他の「位相同期」技術も知られており、特許文献2、 特許文献3、特許文献4及び特許文献5の場合のように、複数のエンジン間の位相同期は、翼通過周波数において発生する騒音を制限する。エンジン制御システムによる、これらのバランシング技術や位相同期技術における主要な問題は、制御システムの遅れを、用いられるセンサ前の2つのブレードの通過を分離する期間よりも、かなり小さくしなければならないことである。しかしながら、このことは、産業上の利用を考えられていないことを意味している。
また、航空機内で発生する上記振動をフィルタリングし、及び、減衰させる技術も知られている。このような技術として、例えばアクティブウェイト、可変剛性又はレオロジー流体を用いたセミアクティブシステムがある(特許文献6参照)。これら技術は、センサ及び、アクティブ動作又はセミアクティブ動作を命令する制御アーキテクチャも含んでいる。これらの技術は、支持構造体上のアンバランス力の衝撃を制限するために発達してきた。
図1に示すように、まず1枚の円盤に対する不均衡問題について説明する。この図は、回転翼4、このケースでは8枚の回転翼、を備えるプロペラ2を形成する円盤を示している。上記プロペラは、該プロペラの主幾何対称軸に一致する軸6周りに自由に回転できる。上記プロペラは、該プロペラの重心が軸6上ではなく軸6から径方向にシフトしたようなバランス障害を有していると仮定する。この重心8は、図1に誇張して示すように、例えば回転翼4のうちの1枚に位置している。上記プロペラは、矢印10で示す方向に該プロペラの軸6周りを回転する。従って、重心8は、円盤の面内の軸6上のプロペラに対して径方向外側に向かって働き、点8を通過するアンバランス力12を発生させる。この力が方向10に沿って回転する。これが慣性不均衡である。その結果として、重心が回転中心に一致していない回転円盤において、慣性不均衡が、図1に示すような該円盤の面内で半径方向力を発生させる。
図2を参照に、空気力学的不均衡もあるかもしれない。それは、移動する回転盤がプロペラの回転翼表面のような軸受表面を備える場合である。上記軸受表面上の据え付け不良や形状不良によって空気力学的不均衡が発生する。回転翼の空気力学的変形のばらつき又は回転翼のピッチ角のばらつきという問題もある。上記空気力学的アンバランス力は、軸6から離れた位置にある点14において働く。このアンバランス力は、まず第1に、図2において符号16で示すプロペラの円盤の面外側に位置する牽引力の増分と、プロペラの円盤の面内に位置する抗力の増分18とで構成される。
これから、いくつかのバランシング技術についてより詳しく説明する。回転機(又は円盤)のアンバランス力の測定方法が分かっており、固定軸に対するアンバランス力の大きさと位相角とを区別する。これら技術の一つに、次のような例がある。特定の回転速度における振動を除外するために、まず回転機の不均衡の特性を測定する。そして、回転機が生み出すアンバランス力を測定又は計算する。これらの力は、例えば支持構造体に結びつけられている回転部に固定された参照座標系において、エンジン速度の周波数領域の正弦波励振で特徴づけられる。これら励振は、一般に、エンジン振動センサ(例えば、加速度計)又は一連の専用の加速度計を用いて測定される。従って、この円盤の不均衡は、図3に示すように、回転機の回転速度ωの固定された支持構造体の軸において大きさ(ゲイン)及び位相(φ)を単位として測定加速度R1によって表される。この図は、回転速度ω(rad/s)に対するゲイン(m/s)の第1の曲線グラフ20を示し、この速度に対する位相φ(rad)の第2の曲線グラフ22を示している。
次の測定方法は、「ベクトル影響係数法」と呼ばれる測定方法である。初期加速度R1(この初期加速度R1は、求められた不均衡による影響の結果を示している)を測定した後に、既知の重量の質量不均衡による測定加速度への影響を測定するために、該質量不均衡を回転系に付加する。例えば、単位質量の不均衡が位相角0°の円盤に加えられ、回転速度ωにおける新たな加速度R2(ゲイン及び位相)が測定される。ベクトル解は次のように計算される。
−初期の質量不均衡b1が加速度R1を生じさせ、
−初期の質量不均衡と単位質量あたりの質量不均衡の和(b1+b2)が加速度R2を生じさせ、
−単位質量あたりの質量不均衡b2が、加速度の差R2−R1を生じさせる。この問題に関して、図4を参照する。図4は、ベクトルR1,R2,R2−R1の直交座標系を示している。ベクトルR1,R2,R2−R1は、それぞれ位相φR1,φR2,φ(R2−R1)を有している。
ここで、この計算方法は、質量不均衡とそれに対応する測定加速度とは、線形関係にあることに注意する。
初期の質量不均衡と、結果として得られる補正質量とは、次のように計算される。
Figure 2011529005
より良い結果を得ると共に測定誤差を最小化するために、質量の付加と、加速度測定とを行うステップを数回、例えば加速度R3,R4を伴うように実行する。
ここで、慣性不均衡と空気力学的不均衡とを別々に測定すべきことに留意する。上述の手段は、慣性による質量不均衡の原因と回転翼の空気力学的特性による質量不均衡の原因とを区別するために、仮に回転速度の修正及びトルク要求の独立した補正が、追加で行われる場合に、これを行う手段となり得る。
同様に、回転機が2つ以上の回転翼を備えている場合に、各回転翼に対して同じアプローチを交互に実行する。この場合に、質量不均衡診断ソフトウェアプログラムが、均衡ベクトル解を提供する。この均衡ベクトル解は、第1の回転翼に対する1つの解ベクトル及び第2の回転翼に対する1つの解ベクトルを含んでいる。各解ベクトルは、1つの絶対値と1つの位相角とを含んでいる。この演算は、慣性不均衡を特徴づけ、そして、空気力学的不均衡を特徴づけるために実行される。
ここから、図5を参照して、2枚の二重反転円盤の不均衡問題について説明する。二重反転する2枚の円盤のうち1枚の円盤に関しては、各円盤の慣性不均衡によって、対応する円盤の面内において半径方向力が生じる。図5は、これら半径方向力PROP1 24及びPROP2 26を示しており、これら半径方向力は上記2枚の円盤に共通する回転軸6において働く。2枚の円盤は異なる方向に回転し、図5においてそれぞれ符号28,30で示されている。上記アンバランス力24,26も符号28,30で示す反対方向に回転している。
さて、回転機のオイル溜め又はその支持体から視た上記2つのアンバランス力PROP1及びPROP2の和である合力PROP 1 + 2について考える。この合力の絶対値は、2枚の円盤の相対位置によって変化する。時間とともに、この絶対値は軸6を中心とする楕円32を描き、楕円の短軸は力PROP1とPROP2との差の絶対値に等しく、長軸は力PROP1及びPROP2のそれぞれの絶対値の和に等しい。
ここで、2つの力PROP1及びPROP2のそれぞれの絶対値が等しい特別なケースについて考える。その結果として、上記楕円の短軸の長さはゼロであり、合力PROP1 + 2は2つの力の絶対値の和に等しく、純粋な振動慣性前進力になる。従って、上記楕円は線分になる。例えば、半径方向力PROP1(又はRdisc1)及びPROP2(又はRdisc2)が同相のときに位相φがゼロに等しい場合を考えると、合成半径方向力Rは次のように表わされる。
Figure 2011529005
加えて、面の外側の合成モーメントMは、次のように表される。
Figure 2011529005
例えば、平板の外側に位置する合成モーメントが円盤1の中心において表される。加えて、上記「leverarm」は円盤1及び2の面間の軸方向距離である。
楕円の長軸方向は、アンバランス力PROP1及びPROP2の間の相対位相に依存する。例えば、2枚の円盤が、上記2つのアンバランス力が上下軸において同相であるように位置する場合、2枚の円盤の面における最大励振は、垂直に方向付けられる。対照的に、2枚の円盤が、上記2つのアンバランス力が上下軸において位相が180°ずれるように位置する場合、2枚の円盤の面における最大励振は、水平に方向付けられる。
上記2枚の二重反転円盤が空気力学的軸受表面を包含している場合、該円盤の面外側に位置する力は、各円盤の回転中心を通過するモーメントを発生させる。その結果、慣性不均衡のケースと同様に、半径方向力に対して表されたベクトル和の法則を、図6に示すように、空気力学的アンバランス力によって発生するモーメントに適用する。この図は、方向28に沿って回転する円盤1に関しかつ、符号38で表されるモーメント1、及び、方向42に沿って回転する円盤2に関しかつ、符号40で表されるモーメント2を示している。2つのモーメントのベクトル和モーメント1+2は、楕円44を表す。慣性不均衡又は空気力学的不均衡のいずれにおいても、2枚の円盤が同一速度で回転するとき、上記楕円の長軸は、例えばエンジン支持構造体に一致する固定軸に対して固定されたままになる。逆に、円盤の回転速度が同一でない場合、上記楕円は上記2枚の円盤の回転速度の差に等しい速度で回転する。
尚、2枚の円盤の面の外側に位置する回転力に加えて、局所的なモーメントが2枚の円盤の面間に発生する。これらモーメントの絶対値は、2枚の回転円盤間の距離に依存する。
国際公開第2006/017201号 米国特許第4689821号明細書 米国特許出願公開第2005/0065712号明細書 国際公開第2005/042959号 米国特許第00/5221185号明細書 米国特許第5490436号明細書
しかしながら、既知の振動減衰技術は相対的に非効率であり、特に二重反転する回転体を有するエンジンにおいて非効率である。
本発明の目的の1つは、支持構造体においてこのタイプのエンジンによって発生する振動を減衰させることである。
従って、本発明は、航空機の製造方法であって、上記航空機は、二重反転回転翼を有する少なくとも1つのエンジン(但し、上記エンジン又は複数のエンジンではそのうちの少なくとも1つのエンジンは、少なくとも1つの楕円に関する不均衡を有する)を備え、上記楕円の、又は複数の該楕円のうちの少なくとも1つの長軸の所定方向において、所定のエンジン速度で、上記ダンパの2つの端部の相対速度が、当該ダンパの他のいずれの配置における当該相対速度よりも大きくなるような配置で、少なくとも1つの振動ダンパを上記航空機に取り付けるステップを備えることを特徴とする航空機の製造方法を提供する。
結果として、上記ダンパの上記端部が当該ダンパが接続する上記航空機の部品の接触面を形成するので、上記ダンパの配置は振動の吸収が最大化されるように選択される。位相同期がこの方向に振動を導き、該振動が上記ダンパによって吸収される。結果として、振動が発生した場所で振動を減衰させ又は埋め合わせようとするよりも、むしろこの減衰の最も効率の良い方向において振動を減衰させている。この方向に振動を導くことによって、非常に高い減衰率が得られる。従って、航空機の支持構造体におけるエンジン振動の衝撃は、かなり減少する。上記アンバランス力が独立に現れる広い範囲にわたって実行する既知のバランシング技術、フィルタリング技術及び分散技術と違って、本発明は、アンバランス力の大きさ及び方向を制御して、有感振動をより低減するために振動吸収手段を最適化している。
上記ダンパ又は上記ダンパのうちの1つは、例えば、上記エンジンを支持するマストと上記エンジン自体との間、上記マストと上記機体との間、上記マストと他の箇所との間、上記マスト内の2つの箇所の間、上記エンジンを支持する2つの箇所の間等に配置されてもよい。
本発明は、航空機であって、二重反転回転翼を備える少なくとも1つのエンジン(但し、上記エンジン又は複数のエンジンではそのうちの少なくとも1つのエンジンは、少なくとも1つの楕円に関する不均衡を有する)、及び、上記楕円の、又は複数の該楕円のうちの少なくとも1つの長軸の所定方向において、所定のエンジン速度で、2つの端部の相対速度が、他のいずれの配置における当該相対速度よりも大きくなるような少なくとも1つの振動ダンパを備えることを特徴とする航空機も提供する。
上記ダンパの配置は、上記長軸の方向にかかわりなく、上記相対速度が上記ダンパの他のいずれの配置における相対速度よりも高いような配置であるのが好ましい。
これにより、振動の吸収がさらに効率良くなる。
上記ダンパの配置は、所定の速度において、上記2つの端部の相対速度が上記長軸の他のいずれの方向における該相対速度よりも高い上記長軸の1つの方向があるのが好ましい。
上記ダンパの配置によって、振動吸収がより効率良くなる。
上記航空機は、好ましくは上記エンジンに取り付けられ、上記エンジンの振動を測定できる少なくとも1つのセンサを備え、上記航空機は、例えば互いに直交する方向の上記エンジンの振動を測定できる少なくとも2つセンサを備えるのが好ましい。
上記航空機は、上記長軸を一定の方向、好ましくは、上記相対速度が上記長軸の他のいずれの方向における該相対速度よりも高いような方向に保持するために、上記エンジン又は複数のエンジンではそのうちの少なくとも1つを制御できる手段を備えるのが好ましい。
本発明は、上記エンジン又は複数のエンジンではそのうちの少なくとも1つのエンジンが一定の方向に長軸を保持するように制御する航空機の制御方法を提供する。
本発明の他の特徴及び利点は、限定されない例示として与えられた以下の詳細な説明を解釈し、添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
従来の回転円盤の正面図である。 従来の回転円盤の斜視図である。 図1の回転円盤に係る回転速度に対する関数であるアンバランス力のゲイン及び位相を示すグラフである。 図1の円盤におけるアンバランス力をベクトル形式で示す図である。 図1の円盤におけるアンバランス力をベクトル形式で示す図である。 図1の円盤におけるアンバランス力をベクトル形式で示す図である。 本発明の実施形態に係る航空機の正面図である。 図7の航空機におけるエンジンを制御するアーキテクチャを示す図である。
図7、8に示すように、本発明に係る航空機50は、主要構造部52、特に機体54を備えている。本実施例において、この航空機は、機体54の中央垂直面に対して対称に配置されたエンジン56を、ここでは2つ、備えている。この実施例において、各エンジン56は、符号58a,58bで示す2つの二重反転プロペラを備えたプロップファン型ターボプロップである。この2つのプロペラは、共通軸60を基準として同軸上に配置されており、前方プロペラ58aが後方プロペラ58bの前側に配置されている。2つのプロペラは、それぞれ回転翼61を有している。これら回転翼は、互いに反対方向に回転する。各エンジン56は、マスト(又はパイロン)62によって機体54に接続されている。
ここから、図7に示されたエンジン56の配置と関連する配置について、図示されない他のエンジンも同様の配置であることを踏まえて説明する。
2つの振動ダンパ64及び66は、エンジン56に付随している。この振動ダンパは、エンジンによって生じた振動が機体54へと伝達するのを最小化するために取り付けられている。上記のように、これら振動は、各プロペラ58a及び58bに関連する不均衡によって発生する。各プロペラは、慣性不均衡、空気力学的不均衡又はそのいずれも有している。この振動ダンパは、振動を分散又は遮断する構成要素からなる。例えば、サスペンション装置が用いられる。
振動減衰率は、支持構造体上の各ダンパの配置に依存するであろう。この配置は振動ダンパの位置及びその方向からなり、従って、両パラメータは、(ダンパの所定位置において、ある方向がその他の方向よりもより有利なように、逆に、ダンパの所定方向において、ある位置がその他の位置よりも有利なように)各ダンパについて選択されなければならない。上記のように、エンジンによって伝達された振動は、これらの振動を発生させる不均衡に関連する楕円70の特に長軸68の方向によって特徴づけられる。従って、これらは、長軸68の方向及びその長さに依存する。以下においては、エンジンの巡航速度が所定速度に固定された場合を仮定する。
各振動ダンパ64,66の配置は、この所定のエンジン速度において、長軸68の方向にかかわりなく、該振動ダンパの縁部又は2つの端部の相対速度が該振動ダンパの他のいずれの配置における該相対速度よりも大きくなるように選択されている。ここで仮定している上記端部は、それぞれ関連するエンジン56及び機体に近い方が好ましい。振動は、エンジンに近い振動ダンパの上流端から該振動ダンパに入り、完全に又は部分的に減衰しながら機体に近い振動ダンパの下流端に出る。この高い相対速度は、振動ダンパがエンジンから発生した振動の良質な吸収器であることを意味する。
本実施例において、所定のエンジン速度において、ダンパの両端部間の相対速度が他の長軸方向における該相対速度よりも高い長軸の1つの方向があるように各振動ダンパの配置を選択する。
この特定の方向は、図7に示されている。
言い換えると、各振動ダンパで生じる減衰は、次の2つの変数に依存する関数と考えられる。
−支持構造体上の振動ダンパの配置、及び、
−楕円の長軸68の方向。
各振動ダンパの配置は、従って、振動の吸収が長軸68の方向にかかわりなく無条件に最大値に達するように選択される。この選択は、例えばモデリングや数値解析の後に行われる。
本実施例及び図示されたように、振動ダンパは、機体54に隣接したマスト62の基端に配置されている。これらダンパは、マスト62に付加される特定の部品に置き換わり、そして、本質的に振動自体を減衰する後者によって構成されていない。
それから、航空機の運転時に、エンジンは、上記の速度において、長軸68が上記のより好ましい方向に置かれている固定位置において楕円70が方向付けられるように制御される。
図8に示すように、各振動センサ72は、関連するプロペラの励振面に可能な限り近くなるようにプロペラ58a,58bに設けられている。この振動センサ72は、エンジンの固定部に取り付けられている。各センサは、エンジンのオイル溜めに対する関連するプロペラの半径方向の加速度を測定できる。
図示されない変形例において、2つのセンサ(即ちエンジンにおいて4つ全て)は、各プロペラに関連付けられており、互いに垂直であって互いに上記軸60に垂直な2つの径方向加速度を測定するために配置されている。
各エンジンもマスト加速度計74に関連付けられており、マスト62上に配置されている。この場合、3つの加速度計があり、そのうちの2つがマストの先端近傍に配置され、もう1つがマストの基端近傍に配置されている。
航空機は、本ケースでは、EEC(Electronic Engine Controller)タイプのユニットで構成された制御手段76を備えている。ユニット76は、各センサ72からのデータを受信するために、配線78によってセンサ72に接続されている。ユニット76は、配線80によってプロペラの従来部品にも接続されており、プロペラの角度の位置及び1分間あたりの回転速度に関する情報を受信する。ユニット76は、各配線82,84,86及び88を経由して巡航速度における大気、大気サンプリング要求、推進力要求及び航空機に関するデータも受信する。
航空機は、3つの各加速時計74からマスト62を伝達する振動を示す加速度データを受信するために、配線92を経由して上記各加速時計74に接続された位相同期ユニット90も備えている。上記ユニット90はまた、各プロペラ58a,58bに関する位置及び速度データを受け取るために、配線94を経由して制御ユニット76に接続されている。配線96は、位相同期ユニットが前方及び後方プロペラの設定速度を制御手段に伝送するのを許容する。
上記ユニット76は、各プロペラの位相を調整するために、燃料回路内で燃料流量を制御できる。従って、ユニット76は、ユニット76をエンジンに接続する配線77を経由して、エンジン内の燃料流量並びに前方及び後方プロペラのピッチ角を制御するために受信したデータを取り入れる。
上記ユニット76及び90は、それぞれハードディスクやフラッシュメモリのような情報記憶媒体に記憶された少なくとも1つのプログラムを備えた電気的な制御手段からなるマイクロプロセッサを形成している。プログラムのうちの少なくとも1つは、コンピュータを構成するこれら手段において実行されたときに、本発明による方法の全て又は一部の実行を制御することができるコード化された命令を含む。
配線82,84,86,88,94及び96は、航空機搭載のデータ通信ネットワークの一部である。該データ通信ネットワークは、例えばAFDX(Avionics Full Duplex Switch)型ネットワークである。
エンジン56を制御するために、位相同期ユニット90は、2つのプロペラのそれぞれについて記録された位置及び速度データを取得する。位相同期ユニット90は、2つのプロペラの正確な相対位相及び到達すべき位相を決定する。以上のとおり、位相同期ユニット90は、楕円70の正確な角度位置及び到達すべき角度位置も計算する。位相同期ユニット90は、長軸68を上述した一定の方向に設置し又は保持するために、設定値を制御ユニット76に伝送する。この方向は、アブソーバの両端の相対速度がその他のいかなる長軸の方向における該相対速度よりも高くなるような方向である。
従って、本発明は二重反転回転翼の不均衡振動を低減させる直接的なアプローチを提供することがわかる。振動吸収を最大化する振動ダンパの配置が最初に決定され、それから、振動がこの方向に導かれるように2つのプロペラの位相同期が制御される。言い換えると、楕円の長軸は、適切な方向に方向付けられる。本発明は、従って、振動を制御するための配置を示し、この配置は、最適な方向及び部位に配置された振動ダンパのポテンシャル、及び励振力の方向を設定するための位相同期の能力を組み合わせている。所定の方向に導かれた振動エネルギーは、この方向に最適化された動きをする振動ダンパを用いることによって消失する。これらの条件下では、最小限のエネルギーが航空機の支持構造体、特に機体54に伝達される。エンジン内に現れるエネルギー量も減衰される。
空気力学的不均衡の楕円を考慮せず、エンジンの慣性不均衡の楕円を考慮して、本発明の実施形態の一例を説明してきた。同様の処置は、逆の状況、即ち空気力学的不均衡を考慮して、慣性不均衡を考慮しない状況にも用いられる。最後に、両タイプの不均衡は、振動ダンパの位置を決定するために考慮される。よって、エンジンは、2つの楕円が最適な方向に、すなわち2つの発生源からの振動が効率よく吸収されるような方向に方向付けられるように制御されなければならない。
言うまでもなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で数々の変更がなされてもよい。本発明は、互いに独立した2つ以上の回転部を備えたエンジンに適用できる。ダンパ64,66の数は、1又は3以上であってもよい。

Claims (9)

  1. 航空機(50)の製造方法であって、
    上記航空機は、二重反転回転翼(58a,58b)を有する少なくとも1つのエンジン(56)(但し、上記エンジン又は複数のエンジンではそのうちの少なくとも1つのエンジンは、少なくとも1つの楕円(70)に関する不均衡を有する)を備え、
    上記楕円の、又は複数の該楕円のうちの少なくとも1つの長軸(68)の所定方向において、所定のエンジン速度で、上記ダンパの2つの端部の相対速度が、当該ダンパの他のいずれの配置における当該相対速度よりも大きくなるような配置で、少なくとも1つの振動ダンパ(64,66)を上記航空機に取り付けるステップを備えることを特徴とする航空機(50)の製造方法。
  2. 航空機(50)であって、
    二重反転回転翼(58a,58b)を備える少なくとも1つのエンジン(56)(但し、上記エンジン又は複数のエンジンではそのうちの少なくとも1つのエンジンは、少なくとも1つの楕円(70)に関する不均衡を有する)、及び、
    上記楕円の、又は複数の該楕円のうちの少なくとも1つの長軸(68)の所定方向において、所定のエンジン速度で、2つの端部の相対速度が、他のいずれの配置における当該相対速度よりも大きくなるような少なくとも1つの振動ダンパ(64,66)を備えることを特徴とする航空機(50)。
  3. 請求項2記載の航空機であって、
    上記ダンパ(64,66)の配置は、上記長軸(68)の方向にかかわりなく、上記相対速度が該ダンパの他のいずれの配置における該相対速度よりも高いような配置であることを特徴とする航空機。
  4. 請求項2又は3記載の航空機であって、
    上記ダンパ(64,66)の配置は、所定の速度において、2つの端部の相対速度が他のいずれの長軸方向における該相対速度よりも大きい長軸(68)の1つの方向が存在するような配置であることを特徴とする航空機。
  5. 請求項2乃至4のいずれか1項記載の航空機であって、
    好ましくは上記エンジン(56)に取り付けられかつ、該エンジンの振動を測定可能な、少なくとも1つのセンサ(72)を備え、
    例えば上記航空機は、互いに直交する方向の上記エンジンの振動を測定可能な少なくとも2つのセンサを備えることを特徴とする航空機。
  6. 請求項2乃至5のいずれか1項記載の航空機であって、
    上記長軸(68)を一定の方向、好ましくは他の長軸方向において相対速度がより大きい方向に保持するために、上記エンジン又は複数のエンジン(56)のうちの少なくとも1つを制御することが可能な手段(90,76)を備えることを特徴とする航空機。
  7. 請求項2乃至6のいずれか1項記載の航空機を制御する制御方法であって、
    上記エンジン(56)又は複数のエンジンではそのうちの少なくとも1つのエンジンが一定の方向に長軸(68)を保持するように制御することを特徴とする制御方法。
  8. コンピュータで実行したときに、請求項1又は7記載の方法の実行を制御可能な命令で構成されているコンピュータプログラム。
  9. 請求項8記載のコンピュータプログラムを記憶していることを特徴とする情報記憶媒体。
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