JP2011528895A - 新規化合物および方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、(i) Rv3616cタンパク質配列; (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片、を含む、潜伏TBの治療または予防用の、ポリペプチドに関する。他の態様では、本発明は、関連のポリヌクレオチド、融合タンパク質および潜伏結核の治療または予防方法に関する。

Description

発明の属する分野
本発明は、結核の治療または予防に使用するための、特に潜伏結核の治療または予防および結核の再活性化の予防または遅延に使用するためのポリペプチドおよびポリヌクレオチド(およびさらに関連する方法)に関する。本発明は、さらに、該ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを含む医薬組成物および免疫原性組成物、および結核(特に潜伏結核)の診断方法に関する。
発明の背景
結核(TB)は、Mycobacterium tuberculosisおよび他のマイコバクテリウム種の感染に起因する慢性感染症である。結核は途上国での主要な疾患であるだけでなく、世界の先進地域でも高まりつつある問題である。20億を超える人がTB bacilliに感染していると考えられ、毎年約920万の新規TB症例および170万人が死亡している。TB bacilliに感染している人の10%は活動性TBを発症し、各活動性TB患者は、毎年、平均10〜15人の他人を感染させる。年間発生率は世界的にピークに達したが、死亡数および症例数は人口増加のせいで依然として上昇している(World Health Organisation Tuberculosis Facts 2008)。
Mycobacterium tuberculosisは呼吸経路を通して個体に感染する。肺胞マクロファージは該細菌を飲み込むが、該細菌は、食胞が酸性リソソームと融合するのを阻害することによって生存および増殖することができる。CD4+およびCD8+ T細胞が関与する複雑な免疫応答が続き、最終的に、肉芽腫の形成が生じる。病原体としてのMycobacterium tuberculosisの成功の中心は、単離されているが、根絶されていない細菌が長期間持続することであり、それが個体においてその後の活動性TBの発生を引き起こしやすくする。
5%未満の感染個体が感染後の最初の年に活動性TBを発症する。肉芽腫は数十年持続し、これは酸素および栄養分を奪われた休止状態の生存Mycobacterium tuberculosisを含有すると考えられる。しかし、最近、大多数の休止状態の細菌が、身体中に広がる非マクロファージ細胞タイプに局在することが示唆された(Locht et al, Expert Opin. Biol. Ther. 2007 7(11):1665-1677)。活動性TBの発生は、宿主の天然免疫と病原体とのバランスが、例えば免疫抑制イベントの結果として変化した場合に生じる(Anderson P Trends in Microbiology 2007 15(1):7-13; Ehlers S Infection 2009 37(2):87-95)。
潜伏TBと活動性TBとの間のバランスを説明する動的仮説もまた提唱されている(Cardana P-J Inflammation & Allergy - Drug Targets 2006 6:27-39; Cardana P-J Infection 2009 37(2):80-86)。
感染はかなりの期間、無症候性であるが、活動性疾患は、最も一般的には、肺の急性炎症として現れ、疲労、体重減少、発熱および持続性の咳を生じさせる。治療しないと、深刻な合併症および死が典型的に生じる。
結核は、一般に、長期にわたる抗生物質治療を使用して制御することができるが、そのような治療は疾患の伝播を防ぐには十分ではない。感染個体は、ある期間、無症候性であるが、伝染性である。さらに、治療計画の順守が重要であるが、患者の行動はモニタリングが困難である。一部の患者は治療過程を完了せず、それにより、治療が無効になり、薬物耐性が発生する。
多剤耐性TB (MDR-TB)は、第一薬剤に反応しない病状である。全TB症例の5%はMDR-TBであり、毎年、推計490,000の新規MDR-TB症例が生じる。MDR-TBに加えて、第二薬剤に対する耐性が発生すると、広範囲に薬物耐性のTB (XDR-TB)が生じる。実質的に治療不可能なXDR-TBの40,000の新規症例が毎年生じていることが推定される(World Health Organisation Tuberculosis Facts 2008)。
抗生物質治療の全過程を完了しても、M. tuberculosisの感染が感染個体から根絶されず、再活性化されうる潜伏感染として残ることがある。
結核の伝播を抑制するために、有効なワクチン接種および疾患の正確な早期診断は最も重要である。
潜伏TB感染の診断は、通常、ツベルクリン皮膚検査を使用して達成され、該検査は、ツベルクリンタンパク質精製誘導体(PPD)への皮内曝露を含む。抗原特異的T細胞応答により、注射後48〜72時間までに注射部位で、マイコバクテリア抗原への曝露を示す、測定可能な硬化が生じる。しかし、この検査の感度および特異性は問題があり、BCGでワクチン接種された個体が、感染個体と常に容易に識別できるわけではない(BCGが潜伏感染に対して防御しないことを考慮するとこれは特に重要である)。一般に、BCGを受けたが、M. tuberculosisに感染していない個体は、直径10 mm未満のPPD反応を示し、一方、直径10 mmを超えるPPD反応を有する人はM. tuberculosisに感染していると考えられる。しかし、このルールは、直径10 mm未満のPPD反応を生じさせる、HIV感染のために免疫抑制された個体; または、非結核マイコバクテリアに感染した人が直径10 mmを超えるPPD反応を示しうる風土病流行国の個人には、当てはまらない。
近年の進歩で、インターフェロン-ガンマ放出に基づき、PPDよりもM. tuberculosisにより特異的な抗原、すなわちESAT-6およびCFP-10を使用する、in vitroのT細胞に基づくアッセイの開発が為されてきた。これらの高い特異性の検査は、ツベルクリン皮膚検査と少なくとも同程度の感度であると思われ、また、BCGワクチン接種による交差反応性が低いことを示す。潜伏TB診断の最近のレビューに関しては、Pai M et al Expert Rev. Mol. Diagn. 2006 6(3):413-422を参照のこと。しかし、ESAT-6/CFP-10は初期抗原であるため、ESAT-6/CFP-10に基づくアッセイは、最近感染した人において最適に実施されるのみである。結果的に、潜伏結核に特異的に関連する新規抗原の同定は、長期潜伏感染を検出できるより高感度なアッセイの開発を支援する。
結核の治療および予防、特に潜伏TBの治療および予防ならびにTBの再活性化の予防のための有効なストラテジーの必要性が依然として存在する。
発明の要旨
本発明は、一般に、潜伏TB抗原としてのRv3616cの同定、および潜伏TBの予防および治療ならびにTB再活性化の予防または遅延における、関連の方法および使用に関する。
本発明は、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含む、潜伏TBの治療または予防において医薬として使用するためのポリペプチドを提供する。
本発明の別の態様は、潜伏TBの治療または予防方法であって、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含む安全かつ有効な量のポリペプチドを、その必要がある被験体に投与するステップを含み、ここで該ポリペプチドは免疫応答、特にMycobacterium tuberculosisに対する免疫応答を誘発する、方法に関する。
潜伏TBの治療または予防のための医薬の製造における、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含むポリペプチドの使用は、本発明の別の態様である。
また、潜伏TBの治療または予防において医薬として使用するための、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の態様は、潜伏TBの治療または予防方法であって、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む安全かつ有効な量のポリヌクレオチドを、その必要がある被験体に投与するステップを含み、該ポリヌクレオチドは免疫応答、特にMycobacterium tuberculosisに対する免疫応答を誘発する、方法に関する。
潜伏TBの治療または予防のための医薬の製造における、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドの使用は、本発明の別の態様である。
さらに、以下のもの:
(a) 以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含むポリペプチド、または
(b) (a)のポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド;および
(c) 製薬的に許容される担体または賦形剤
を含む、潜伏TBの治療または予防において医薬として使用するための医薬組成物を提供する。
さらに、以下のもの:
(a) 以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含むポリペプチド、または
(b) (a)のポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド;および
(c) 非特異的免疫応答エンハンサー
を含む、潜伏TBの治療または予防において医薬として使用するための免疫原性組成物を提供する。
さらに、潜伏TBの診断(例えば、試験被験体由来の生物学的サンプル中の、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体またはその断片の存在を決定するステップを含む、潜伏結核の診断方法)に使用するための、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含むポリペプチドと特異的に結合する抗体またはその断片を提供する。
以下のステップ:
(i) 潜伏TB感染を有するとして被験体を同定するステップ(例えばPPDまたはT細胞ベースのアッセイによって)、および
(ii) 該被験体に安全かつ有効な量の本明細書に記載のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを(例えば医薬組成物または免疫原性組成物の形態で)投与するステップ
を含む、潜伏TBの治療方法も提供する。
また、試験被験体における潜伏TBの同定のための診断キットの製造における本発明のポリペプチドの使用も提供する。
一実施形態では、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物を投与される被験体は、活動性結核(例えば、M. tuberculosisによる活動性感染)を有しうる。第2の実施形態では、被験体は潜伏結核(例えば、M. tuberculosisによる休眠感染)を有しうる。第3の実施形態では、被験体は結核を有さなくてもよい(例えば、M. tuberculosisによる感染を有さなくてもよい)。
ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物を投与される被験体は、以前に結核のワクチン接種を受けていてよく(例えば、M. tuberculosisによる感染に対するワクチン接種を受けている)、例えば、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)でワクチン接種されていてもよい。あるいは、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは組成物を投与される被験体は、以前に結核のワクチン接種を受けていなくてもよく(例えば、M. tuberculosisによる感染に対するワクチン接種を受けていなくてもよい)、例えば、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)でワクチン接種されていなくてもよい。
図1は完全長配列を有するRv3616cペプチドアラインメントを示す。 図2はRv3616cペプチドに対するPBMC応答を示す。 図3は、21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)にIFN-ガンマおよび/またはIL-2および/またはTNF-アルファサイトカインを発現する免疫化CB6F1マウス由来のCD4およびCD8細胞のパーセンテージを示す。 図4は、免疫化CB6F1マウスでの抗原特異的CD4応答の21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)のサイトカインプロファイルを示す。 図5は、免疫化CB6F1マウスでの抗原特異的CD8応答の21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)のサイトカインプロファイルを示す。 図6は、35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)にIFN-ガンマおよび/またはIL-2および/またはTNF-アルファサイトカインを発現する免疫化CB6F1マウス由来のCD4およびCD8細胞のパーセンテージを示す。 図7は、免疫化CB6F1マウスでの抗原特異的CD4応答の35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)のサイトカインプロファイルを示す。 図8は、免疫化CB6F1マウスでの抗原特異的CD8応答の35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)のサイトカインプロファイルを示す。 図9は、21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)にIFN-ガンマおよび/またはIL-2および/またはTNF-アルファサイトカインを発現する免疫化C57BL/6マウス由来のCD4およびCD8細胞のパーセンテージを示す。 図10は、免疫化C57BL/6マウスでの抗原特異的CD4応答の21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)のサイトカインプロファイルを示す。 図11は、35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)にIFN-ガンマおよび/またはIL-2および/またはTNF-アルファサイトカインを発現する免疫化C57BL/6マウス由来のCD4およびCD8細胞のパーセンテージを示す。 図12は、免疫化C57BL/6マウスでの抗原特異的CD4応答の35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)のサイトカインプロファイルを示す。 図13は、免疫化C57BL/6マウスでの抗原特異的CD8応答の35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)のサイトカインプロファイルを示す。 図14は、ナイーブ(naive)なヒトおよび潜伏感染したヒトでの抗原特異的CD4 T細胞応答を示す。
記載した配列の説明
配列番号1: M. tuberculosis H37Rv株由来のRv3616cのポリペプチド配列
配列番号2: M. tuberculosis H37Rv株由来のRv3616cのポリヌクレオチド配列
配列番号3: M. tuberculosis CDC1551株由来のRv3616cのポリペプチド配列
配列番号4: M. tuberculosis F11株由来のRv3616cのポリペプチド配列
配列番号5: M. tuberculosis Haarlem A株由来のRv3616cのポリペプチド配列
配列番号6: M. tuberculosis C株由来のRv3616cのポリペプチド配列
配列番号7: BCG由来のRv3616cのポリペプチド配列
配列番号8: Mtb8.4のポリペプチド配列
配列番号9: Mtb9.8のポリペプチド配列
配列番号10: Mtb9.9のポリペプチド配列。
配列番号11: Ra12のポリペプチド配列
配列番号12: Ra35のポリペプチド配列
配列番号13: TbH9のポリペプチド配列
配列番号14: Mtb41のポリペプチド配列
配列番号15: ESAT-6のポリペプチド配列
配列番号16: Ag85Aのポリペプチド配列
配列番号17: Ag85Bのポリペプチド配列
配列番号18: アルファ-クリスタリンのポリペプチド配列
配列番号19: MPT64のポリペプチド配列。
配列番号20: Mtb32Aのポリペプチド配列
配列番号21: Ser/Ala突然変異成熟Mtb32Aのポリペプチド配列
配列番号22: TB10.4のポリペプチド配列
配列番号23: Mtb72fのポリペプチド配列
配列番号24: M72のポリペプチド配列
配列番号25: Mtb71fのポリペプチド配列
配列番号26: M92融合物のポリペプチド配列
配列番号27: M103融合物のポリペプチド配列
配列番号28: M114融合物のポリペプチド配列
配列番号29: 推定ヒトCD4細胞エピトープ1。
配列番号30: 推定ヒトCD4細胞エピトープ2
配列番号31: 推定ヒトCD4細胞エピトープ3
配列番号32: 推定ヒトCD4細胞エピトープ4
配列番号33: 推定ヒトCD4細胞エピトープ5
配列番号34: 推定ヒトCD4細胞エピトープ6
配列番号35: 推定ヒトCD4細胞エピトープ7
配列番号36: 推定ヒトCD4細胞エピトープ8
配列番号37: 推定ヒトCD4細胞エピトープ9
配列番号38: 推定ヒトCD4細胞エピトープ10
配列番号39: 推定ヒトCD4細胞エピトープ11。
配列番号40: 推定ヒトCD4細胞エピトープ12
配列番号41: 推定ヒトCD4細胞エピトープ13
配列番号42: 推定ヒトCD4細胞エピトープ14
配列番号43: 推定ヒトCD4細胞エピトープ15
配列番号44: 推定ヒトCD4細胞エピトープ16
配列番号45: 推定ヒトCD4細胞エピトープ17
配列番号46: 推定ヒトCD4細胞エピトープ18
配列番号47: 推定ヒトCD4細胞エピトープ19
配列番号48: 推定ヒトCD8細胞エピトープ1。
配列番号49: 推定ヒトCD8細胞エピトープ2
配列番号50: 推定ヒトCD8細胞エピトープ3
配列番号51: 推定ヒトCD8細胞エピトープ4
配列番号52: 推定ヒトCD8細胞エピトープ5
配列番号53: 推定ヒトCD8細胞エピトープ6
配列番号54: 推定ヒトCD8細胞エピトープ7
配列番号55: 推定ヒトCD8細胞エピトープ8
配列番号56: 推定ヒトCD8細胞エピトープ9
配列番号57: 推定ヒトCD8細胞エピトープ10
配列番号58: 推定ヒトCD8細胞エピトープ11。
配列番号59: 推定ヒトCD8細胞エピトープ12
配列番号60: 推定ヒトCD8細胞エピトープ13
配列番号61: 推定ヒトCD8細胞エピトープ14
配列番号62: 推定ヒトCD8細胞エピトープ15
配列番号63: 推定ヒトCD8細胞エピトープ16
配列番号64: 推定ヒトCD8細胞エピトープ17
配列番号65: 推定ヒトCD8細胞エピトープ18
配列番号66: 推定ヒトCD8細胞エピトープ19
配列番号67: 推定ヒトCD8細胞エピトープ20
配列番号68: 推定ヒトCD8細胞エピトープ21。
配列番号69: 推定ヒトCD8細胞エピトープ22
配列番号70: 推定ヒトCD8細胞エピトープ23
配列番号71: 推定ヒトCD8細胞エピトープ24
配列番号72: 推定ヒトCD8細胞エピトープ25
配列番号73: 推定ヒトCD8細胞エピトープ26
配列番号74: 推定ヒトCD8細胞エピトープ27
配列番号75: 推定ヒトCD8細胞エピトープ28
配列番号76: 推定ヒトCD8細胞エピトープ29
配列番号77: 推定ヒトCD8細胞エピトープ30
配列番号78: 推定ヒトCD8細胞エピトープ31。
配列番号79: 推定ヒトCD8細胞エピトープ32
配列番号80: 推定ヒトCD8細胞エピトープ33
配列番号81: 推定ヒトCD8細胞エピトープ34
配列番号82: 推定ヒトCD8細胞エピトープ35
配列番号83: 推定ヒトCD8細胞エピトープ36
配列番号84: 推定ヒトCD8細胞エピトープ37
配列番号85: 推定ヒトCD8細胞エピトープ38
配列番号86: 推定ヒトCD8細胞エピトープ39
配列番号87: 推定ヒトCD8細胞エピトープ40
配列番号88: 推定ヒトCD8細胞エピトープ41。
配列番号89: 推定ヒトCD8細胞エピトープ42
配列番号90: 推定ヒトCD8細胞エピトープ43
配列番号91: 推定ヒトCD8細胞エピトープ44
配列番号92: 推定ヒトCD8細胞エピトープ45
配列番号93: 推定ヒトCD8細胞エピトープ46
配列番号94: 推定ヒトCD8細胞エピトープ47
配列番号95: 推定ヒトCD8細胞エピトープ48
配列番号96: 推定ヒトCD8細胞エピトープ49
配列番号97: 推定ヒトCD8細胞エピトープ50
配列番号98: 推定ヒトCD8細胞エピトープ51。
配列番号99: 推定ヒトCD8細胞エピトープ52
配列番号100: 推定ヒトCD8細胞エピトープ53
配列番号101: 推定ヒトCD8細胞エピトープ54
配列番号102: 推定ヒトCD8細胞エピトープ55
配列番号103: 推定ヒトCD8細胞エピトープ56
配列番号104: 推定ヒトCD8細胞エピトープ57
配列番号105: 推定ヒトCD8細胞エピトープ58
配列番号106: 推定ヒトCD8細胞エピトープ59
配列番号107: 推定ヒトCD8細胞エピトープ60
配列番号108: 推定ヒトCD8細胞エピトープ61。
配列番号109: 推定ヒトCD8細胞エピトープ62
配列番号110: 推定ヒトCD8細胞エピトープ63
配列番号111: 推定ヒトCD8細胞エピトープ64
配列番号112: 推定ヒトCD8細胞エピトープ65
配列番号113: 推定ヒトCD8細胞エピトープ66
配列番号114: 推定ヒトCD8細胞エピトープ67
配列番号115: 推定ヒトCD8細胞エピトープ68
配列番号116: 推定ヒトCD8細胞エピトープ69
配列番号117: 推定ヒトCD8細胞エピトープ70
配列番号118: 推定ヒトCD8細胞エピトープ71。
配列番号119: 推定ヒトCD8細胞エピトープ72
配列番号120: 推定ヒトCD8細胞エピトープ73
配列番号121: 推定ヒトCD8細胞エピトープ74
配列番号122: 推定ヒトCD8細胞エピトープ75
配列番号123: 推定ヒトCD8細胞エピトープ76
配列番号124: 推定ヒトCD8細胞エピトープ77
配列番号125: 推定ヒトCD8細胞エピトープ78
配列番号126: 推定ヒトCD8細胞エピトープ79
配列番号127: ペプチド1
配列番号128: ペプチド2。
配列番号129: ペプチド3
配列番号130: ペプチド4
配列番号131: ペプチド5
配列番号132: ペプチド6
配列番号133: ペプチド7
配列番号134: ペプチド8
配列番号135: ペプチド9
配列番号136: ペプチド10
配列番号137: ペプチド11
配列番号138: ペプチド12。
配列番号139: ペプチド13
配列番号140: ペプチド14
配列番号141: ペプチド15
配列番号142: ペプチド16
配列番号143: ペプチド17
配列番号144: ペプチド18
配列番号145: ペプチド19
配列番号146: ペプチド20
配列番号147: ペプチド21
配列番号148: ペプチド22。
配列番号149: ペプチド23
配列番号150: ペプチド24
配列番号151: ペプチド25
配列番号152: ペプチド26
配列番号153: ペプチド27
配列番号154: ペプチド28
配列番号155: ペプチド29
配列番号156: ペプチド30
配列番号157: M. tuberculosis H37Rv株由来のRv1753cのポリペプチド配列
配列番号158: M. tuberculosis H37Rv株由来のRv2386cのポリペプチド配列
配列番号159: M. tuberculosis H37Rv株由来のRv2707cのポリペプチド配列。
詳細な説明
現在、生細菌でのワクチン接種は防御免疫を誘発するための最も効率的な方法である。この目的で用いられる最も一般的なマイコバクテリウムは、M. bovisの非病原性株であるカルメット・ゲラン桿菌(BCG)であり、それは60年以上前に開発された。しかし、BCGの安全性および効力は論争を生んでいる。BCGは、子供での深刻な疾患発現に対して防御するが、成体の生命での潜伏TBの確立または肺疾患の再活性化を防御しない。さらに、米国などのいくつかの国は、一般大衆にこの物質によりワクチン接種しない。
現在、臨床開発中のほとんどすべての新規作製TBワクチンは曝露前ワクチン(pre-exposure vaccines)として設計されている。これらには、事前のBCGワクチン接種によって誘発される追加免疫で特に有効であったサブユニットワクチン、および、より効率的でかつ/または安全な株をBCGの代わりに用いることを目的にする、進歩した生マイコバクテリアワクチンが含まれる。これらのワクチンは感染に対する抵抗性を向上させることを目的とするが、それらは、潜伏TB症例での曝露後(post-exposure)または治療用ワクチンとしての有効性が低いと思われる(Lin MY et al Endocrine, Metabolic & Immune Disorders - Drug Targets 2008 8:15-29)。
マイコバクテリウム感染の初期に強く発現されるいくつかのタンパク質は、動物ワクチン接種モデルで強い防御効力を提供することが示されている。しかし、感染初期に高度に発現される抗原でのワクチン接種は、感染後期に対処するために最適な免疫応答を提供しないかもしれない。感染後期の適切な抑制は、その時点で発現されている特定の抗原に特異的なT細胞を必要とする。
休眠性持続性細菌を直接標的にする曝露後ワクチンはTB再活性化の防御に役立ち、それにより、TB抑制を増強し、または感染の排除を可能にしさえする。したがって、潜伏TBを標的にするワクチンは、全体的なTB感染率を顕著にかつ経済的に減少させることができる。
後期抗原に基づくサブユニットワクチンを初期抗原と組み合わせて利用して、多相ワクチン(multiphase vaccine)を提供することもできる。あるいは、後期抗原を使用して、BCGワクチン接種を補完および改良することができる(BCG応答のブーストまたは進歩した組み換えBCG株の開発によって)。
Mtb40またはHTCC1としても知られるRv3616cは、結核に関連する免疫応答とこれまで関連付けられてきた(例えば、WO98/53075を参照)。Al-Attiyah et al. (Clin. Exp. Immunol. 2004 138:139-144)は、Rv3616cが、肺結核患者によりよく認識される(PMBC増殖およびIFN-ガンマ生産を通じて)ことを示した。Mustafa et al. (Infect. Immun. 2006 74(8):4566-4572)はM. bovisに感染しBCGワクチン接種したウシによるRv3616cの認識を調べた。
最近、全ゲノムM. tuberculosisゲノムのバイオインフォマティクス解析(Zvi et al. BMC Medical Genetics 2008 1:18)、および活動性および潜伏感染個体で差次的に発現されているタンパク質の試験(Schuck SD et al. PLoS ONE 2009 4(5):e5590)に基づいて、一連のM. tuberculosisワクチン候補が提唱された。
マクロファージがマイコバクテリウム免疫の主要エフェクターとして働くことが示されているが、T細胞はそのような免疫の支配的な誘導物質である。結核に対する防御でのT細胞の必須の役割は、CD4+ T細胞の関連する枯渇に起因する、ヒト免疫不全ウイルス感染個体でのTB再活性化の高い割合によって説明される。さらに、M. tuberculosisに対する一次免疫応答のピーク時にCD4+ T細胞の養子移入を行うと、T細胞欠損マウスでM. tuberculosisに対する防御が付与されることが示されている(Orme et al J. Exp. Med. 1983 158:74-83)。
マイコバクテリウム反応性CD4+ T細胞は、γ-インターフェロン(IFN-γ)の強力な生産者であることが示されていて、ひいては該γ-インターフェロンが、マウスでマクロファージの抗マイコバクテリア効果を引き起こすことが示されている(Flynn et al. J. Exp. Med. 1993 178:2249-2254)。ヒトでのIFN-γの役割はあまり明らかでないが、研究により、1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD3が、単独で、またはIFN-γもしくは腫瘍壊死因子-アルファと組み合わせて、ヒトマクロファージを活性化し、M. tuberculosis感染を阻害することが示されている。さらに、IFN-γが、1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD3を作製するようヒトマクロファージを刺激することが知られている。同様に、インターロイキン-12 (IL-12)は、M. tuberculosis感染に対する抵抗性の誘導において役割を果たすことが示されている。M. tuberculosis感染の免疫学のレビューに関しては、Chan & Kaufmann, Tuberculosis: Pathogenesis, Protection and Control (Bloom ed., 1994), Tuberculosis (2nd ed., Rom and Garay, eds., 2003), およびHarrison's Principles of Internal Medicine, Chapter 150, pp. 953-966 (16th ed., Braunwald, et al., eds., 2005)を参照のこと。
本発明は、全体として、潜伏TBに関連するTB抗原としてのRv3616cの同定、および潜伏TBの予防および治療ならびにTB再活性化の予防または遅延における、関連する方法および使用に関する。
したがって、本発明は、潜伏TBの治療または予防用の、Rv3616cタンパク質、その変異体もしくはその免疫原性断片、または該タンパク質、変異体もしくは断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。好適には、該使用は、特に潜伏TBの治療における使用である。あるいは、該使用は、TB再活性化の予防または遅延(特に例えば数か月、数年または無期限の、TB再活性化の遅延)における使用でありうる。
用語「結核菌群(tuberculosis complex)のマイコバクテリウム種」には、伝統的に結核疾患を引き起こすと考えられている種、ならびにAIDS患者などの免疫不全患者で結核および肺疾患を引き起こすマイコバクテリウム環境および日和見感染種が含まれ、例えば、M. tuberculosis、M. bovis、またはM. africanum、BCG、M. avium、M. intracellulare、M. celatum、M. genavense、M. haemophilum、M. kansasii、M. simiae、M. vaccae、M. fortuitum、およびM. scrofulaceumが含まれる(例えばHarrison's Principles of Internal Medicine, Chapter 150, pp. 953-966 (16th ed., Braunwald, et al., eds., 2005を参照のこと)。本発明は、特に、M. tuberculosisの感染に関する。
用語「活動性感染」とは、明らかな疾患症状および/または病変を有する(好ましくは明らかな疾患症状を有する)感染(例えばM. tuberculosisによる感染)を表す。
用語「不活動性感染」、「休眠感染」または「潜伏感染」とは、明らかな疾患症状および/または病変を有さない(好適には明らかな疾患症状を有さない)感染(例えばM. tuberculosisによる感染)を表す。
用語「初感染結核」とは、感染(例えばM. tuberculosisによる感染)直後の臨床疾患(疾患症状の発現)を表す。Harrison's Principles of Internal Medicine, Chapter 150, pp. 953-966 (16th ed., Braunwald, et al., eds., 2005)を参照のこと。
用語「二次結核」または「初感染後結核」とは、休眠性、不活動性または潜伏感染(例えばM. tuberculosisによる感染)の再活性化を表す。Harrison's Principles of Internal Medicine, Chapter 150, pp. 953-966 (16th ed., Braunwald, et al., eds., 2005)を参照のこと。
用語「結核再活性化」とは、(例えばツベルクリン皮膚検査、好適にはin vitroのT細胞に基づくアッセイにおいて)感染陽性であることが示されているが、明らかな疾患症状を有さない個体での疾患症状の遅れた発現を表す。陽性診断試験は、個体が感染していることを示すが、該個体は、結核を不活動性または潜伏期にするように十分に治療された活動性の疾患症状を以前に示していてもいなくてもよい。結核再活性化の予防、遅延または治療方法は、活動性の疾患症状を示す個体において開始できることが認識される。
用語「薬剤耐性」結核とは、結核の治療に有効ないわゆる「最前線(front-line)」化学療法剤(例えば、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、ストレプトマイシンおよびピラジナミド)の1種以上に対して、感染株が静的なままでないか、または死滅していない(すなわち耐性である)、感染(例えばM. tuberculosisによる感染)を表す。
用語「多剤耐性」結核とは、結核の治療に有効な「最前線」化学療法剤の2種以上に対して感染株が耐性である、感染(例えばM. tuberculosisによる感染)を表す。
「化学療法剤」とは、当技術分野で公知でかつ結核(例えばM. tuberculosisによる感染)を治療するために使用される薬理作用物質を表す。結核の治療に使用される例示的な薬理作用物質には、非限定的に、アミカシン、アミノサリチル酸、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、カナマイシン、ピラジナミド、リファマイシン(すなわち、リファンピン、リファペンチンおよびリファブチン)、ストレプトマイシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンおよびフルオロキノロンが含まれる。薬剤耐性でない結核の治療に使用される「第一線」または「最前線」化学療法剤には、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、ストレプトマイシンおよびピラジナミドが含まれる。1種以上の「第一線」薬物に対して薬剤耐性を示した結核の治療に使用される「第二次」化学療法剤には、オフロキサシン、シプロフロキサシン、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、アミカシン、カナマイシンおよびカプレオマイシンが含まれる。そのような薬理作用物質は、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Hardman and Limbird eds., 2001のChapter 48でレビューされている。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを表すために、本明細書中で互換的に使用される。該用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび非天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用されるのみならず、1個以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的化学模擬体(artificial chemical mimetic)であるアミノ酸ポリマーにも適用される。好適には、本発明のポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸残基、特に遺伝暗号によってコードされるアミノ酸のみからなる。
用語「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模擬体を表す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、ならびに後に修飾されたアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同一の基本的化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)と結合しているα炭素を有する化合物を表す。そのような類似体は修飾されたR基(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド主鎖を有するが、天然に存在するアミノ酸と同一の基礎本的化学構造を保持する。アミノ酸模擬体は、アミノ酸の一般的化学構造と異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能する化学物質を表す。好適には、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、特に天然に存在するアミノ酸であり、特に遺伝暗号によってコードされるアミノ酸である。
「核酸」は、一本鎖または二本鎖型の、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーを表す。該用語は、公知のヌクレオチド類似体または修飾された主鎖残基または結合を含有する核酸であって、合成の、天然に存在する、および非天然の核酸であり、参照核酸と類似の結合特性を有し、かつ参照ヌクレオチドと類似の様式で代謝される核酸を包含する。そのような類似体の例には、非限定的に、ホスホロチオアート、ホスホルアミダート、メチルホスホナート、キラルメチルホスホナート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が含まれる。好適には、用語「核酸」は、天然に存在するデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーを表す。
特に指定されない限り、具体的な核酸配列は、明示的に記載される配列のみならず、保存的に改変されたその変異体(例えば縮重コドン置換)および相補配列も暗黙的に包含する(好適には、明示的に記載される配列を表す)。特に、縮重コドン置換は、1個以上の選択した(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによって達成されうる(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換的に使用される。
本明細書中で、アミノ酸は、またはIUPAC-IUB 生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される一般に公知の3文字記号または1文字記号によって言及される。ヌクレオチドは、同様に、一般に受け入れられている1文字コードによって言及される。
本明細書中で使用される用語「Rv3616cタンパク質配列」は、配列番号1に記載されるポリペプチド配列または、結核菌群のマイコバクテリウム種、例えば、M. tuberculosis、M. bovis、またはM. africanumなどの種、または環境もしくは日和見性で、免疫が損なわれている宿主(例えばAIDS患者)で肺感染などの日和見感染を引き起こすマイコバクテリウム種、例えば、BCG、M. avium、M. intracellulare、M. celatum、M. genavense、M. haemophilum、M. kansasii、M. simiae、M. vaccae、M. fortuitum、およびM. scrofulaceum由来のそのホモログを意味する(例えばHarrison's Principles of Internal Medicine, Chapter 150, pp. 953-966, 16th ed., Braunwald, et al., eds., 2005を参照のこと)。
ワクチン接種された宿主間で高い有効率(efficacy rate)を確保するために、ワクチンの成分は、臨床的に重要な菌株(stains)間で十分に保存されるべきである。好適には、Rv3616cタンパク質はM. tuberculosis H37Rv由来である(すなわち配列番号1に記載のポリペプチド配列)か、または別のM. tuberculosis株(例えばCDC1551、F11、Haarlem AおよびC株)由来のそのホモログである。薬剤耐性(例えば、MDRまたは特にXDR)と関連するM. tuberculosisの菌株は、Rv3616cタンパク質配列の、特に価値ある基礎である。目的の菌株には、以下の菌株が含まれる。
CDC1551 - 伝播性および病原性株
Haarlemファミリー(例えばHaarlem A) - 過密なヒト集団で見出される薬剤耐性株。M. tuberculosis株のHaarlemファミリーのメンバーは、世界の多数の地域で見出されている。該ファミリーの最初の代表はHaarlem(オランダ)で発見された。
KZN4207 - KwaZulu-Natal(南アフリカ)の患者由来の薬剤感受性単離体
KZN1435 - KwaZulu-Natal(南アフリカ)の患者由来の多剤耐性(MDR)単離体
KZN605 - KwaZulu-Natal(南アフリカ)の患者由来の広範囲に薬剤耐性(XDR)の単離体
C - ニューヨーク市で高度に伝播した。ある研究では、この菌株が、注射薬物使用者の間でより一般的に認められ、反応性窒素中間体に耐性であることが見出された(Friedman et al. J. Infect. Dis. 1997 176(2):478-84)。
94_M4241A - 中国生まれの患者から1994年にサンフランシスコで単離された。この菌株はゲノム欠失解析によって以前に分析された(Gagneux et al., PNAS 2006 103(8):2869-2873)。
02_1987 - 韓国生まれの患者から2002年にサンフランシスコで単離された。この菌株はゲノム欠失解析によって以前に分析された(Gagneux et al., PNAS 2006 103(8):2869-2873)。
T92 - フィリピン生まれの患者から1999年にサンフランシスコで単離されたもの。この菌株はHirsh et al. PNAS 2004 101:4871-4876で発表された。
T85 - 中国生まれの患者から1998年にサンフランシスコで単離された。この菌株はHirsh et al. PNAS 2004 101:4871-4876で発表された。
EAS054 - インド生まれの患者から1993年にサンフランシスコで単離された。この菌株はゲノム欠失解析によって以前に分析された(Gagneux et al., PNAS 2006 103(8):2869-2873)。
Gagneux et al., PNAS 2006 103(8):2869-2873およびHerbert et al. Infect. Immun. 2007 75(12):5798-5805は、存在が知られている一連のM. tuberculosis株についての価値ある背景を提供する。
最も好適には、Rv3616cタンパク質は、配列番号1および3〜7に記載のポリペプチド配列から選択され、特に配列番号1および3〜6から選択され、例えば配列番号1である。
特に興味深いポリヌクレオチドは、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
をコードする配列を含む(例えば、該配列からなる)ポリヌクレオチドである。
ポリヌクレオチドは、好適には、配列番号2の変異体または、Rv3616cタンパク質の免疫原性断片をコードする配列番号2の断片を含む(例えば、それからなる)。
組み合わせ
本発明において有用なRv3616c関連ポリペプチドは、それらの免疫原性を増強するかまたは他の点でこれらの抗原を改良するように設計された他の成分をさらに含んでよい。例えば、ポリペプチド抗原の単離の改良は、抗原の一端に一続きのヒスチジン残基(hisタグとして一般に知られる)を付加することによって促進されうる。
用語「hisタグ」とは、参照配列内に挿入された一連のヒスチジン残基、典型的に6残基を表す。参照配列に関連する活性の破壊を最小にするために、hisタグは、典型的に、N末端に、通常は開始メチオニン残基の直後に、あるいはC末端に挿入される。それらは、通常、天然配列に対して異種性であるが、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー樹脂(IMAC)へのタンパク質の結合を改善することによって単離を容易にするため、組み込まれる。一般的に言えば、hisタグの存在または不存在は、参照タンパク質に対する望ましい免疫応答を誘発する観点からすれば重要ではない。しかし、hisタグそのものに対する有害反応のリスクを回避するために、hisタグの長さを最小にする、例えば4残基以下、特に2残基にする(かまたはhisタグの使用を完全に排除する)ことが最良と考えられる。
誘発される免疫応答の大きさおよび/または範囲を改良するために、当該組成物、ポリペプチドおよび核酸は、マイコバクテリウム種(特にM. tuberculosis)由来の複数コピーの本発明の抗原および/または追加の異種ポリペプチド(またはそれらをコードするポリヌクレオチド)を含むことができる。
当業者は、いくつかの成分が組み合わせて利用される場合、厳密な提供は変動することを認識する。例えば、Rv3616c成分および追加コピーの当該抗原または追加の異種抗原成分は、
(1) 2つの別個のポリペプチド成分として;
(2) 両ポリペプチド成分を含む融合タンパク質として;
(3) 1つのポリペプチドおよび1つのポリヌクレオチド成分として;
(4) 2つの別個のポリヌクレオチド成分として;
(5) 2つの別個のポリペプチド成分をコードする単一のポリヌクレオチドとして; または
(6) 両ポリペプチド成分を含む融合タンパク質をコードする単一のポリヌクレオチドとして
提供される。
この柔軟性は、3種以上の成分が組み合わせて使用される状況に等しく適用される。しかし、便宜上、いくつかの成分が存在する場合、それらは単一の融合タンパク質または、単一の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド内に含まれることがしばしば望ましい。本発明の一実施形態では、すべての抗原成分はポリペプチドとして(例えば単一の融合タンパク質中で)提供される。本発明の別の実施形態では、すべての抗原成分はポリヌクレオチド(例えば単一の融合タンパク質をコードするものなどの単一のポリヌクレオチド)として提供される。
核酸の部分に関して使用される場合の用語「異種性」とは、該核酸が、天然には互いに同一の関連性で見出されない2種以上の部分配列を含むことを示す。例えば、該核酸は、典型的に、組み換え生産され、新規機能的核酸を形成するように配置された無関係の遺伝子由来の2種以上の配列を有し、例えば、1供給源由来のプロモーターおよび別の供給源由来のコード領域を有する。同様に、異種タンパク質は、該タンパク質が、天然には互いに同一の関連性で見出されない2種以上の部分配列を含むことを示す(例えば融合タンパク質)。
「融合ポリペプチド」または「融合タンパク質」とは、共有結合によって、直接またはアミノ酸リンカーを介して連結された少なくとも2種の異種ポリペプチド(例えば少なくとも2種のマイコバクテリウム種ポリペプチド)を有するタンパク質を表す。融合タンパク質を構成するポリペプチドは、典型的に、C末端がN末端に連結されているが、C末端がC末端に、N末端がN末端に、またはN末端がC末端に連結されてもよい。融合タンパク質のポリペプチドは任意の順序であってよい。この用語はまた、融合タンパク質を構成する抗原の保存的に改変された変異体、多型変異体(polymorphic variants)、対立遺伝子、突然変異体、免疫原性断片、および種間ホモログを表す。Mycobacterium tuberculosis抗原はCole et al., Nature 393:537 (1998)に記載されており、該文献はMycobacterium tuberculosisゲノム全体を開示している。M. tuberculosis抗原に対応する他のマイコバクテリウム種由来の抗原は、例えば本明細書中に記載の配列比較アルゴリズム、または当業者に公知の他の方法、例えばハイブリダイゼーションアッセイおよび抗体結合アッセイを使用して同定することができる。
用語「融合(fused)」とは、融合タンパク質中の2つのポリペプチド間の共有結合による連結を表す。該ポリペプチドは、典型的に、ペプチド結合によって、互いに直接、またはアミノ酸リンカーを介して連結される。場合により、該ペプチドは、当業者に公知の非ペプチド共有結合性連結によって連結することができる。
Rv3616cと組み合わせることができる例示的なM. tuberculosis抗原には、以下の抗原:
(i) Mtb8.4 (DPVおよびRv1174cとしても知られる), このポリペプチド配列はWO97/09428の配列番号102(配列番号101にcDNA)およびColer et al Journal of Immunology 1998 161:2356-2364に記載される。特に興味深いのは、先導シグナルペプチド(leading signal peptide)(すなわちWO97/09428の配列番号102由来のアミノ酸残基15〜96)がない成熟Mtb8.4配列である。Mtb8.4の完全長ポリペプチド配列は配列番号8に示される;
(ii) Mtb9.8 (MSLおよびRv0287としても知られる), このポリペプチド配列はWO98/53075の配列番号109に記載され(MSLの断片はWO98/53075の配列番号110〜124に開示され、配列番号119および120が特に興味深い)、さらにColer et al Vaccine 2009 27:223-233に記載される(特に該文献中の図2に示される反応性断片)。Mtb9.8の完全長ポリペプチド配列は配列番号9に示される;
(iii) Mtb9.9 (Mtb9.9A、MTI、MTI-AおよびRv1793としても知られる), このポリペプチド配列は、WO98/53075の配列番号19およびAlderson et al Journal of Experimental Medicine 2000 7:551-559に記載される(MTIの断片はWO98/53075の配列番号17および51〜66に開示され、配列番号17、51、52、53、56および62〜65が特に興味深い)。MTIの多くのポリペプチド変異体は、WO98/53075の配列番号21、23、25、27、29および31およびAlderson et al Journal of Experimental Medicine 2000 7:551-559に記載される。Mtb9.9の完全長ポリペプチド配列は配列番号10に示される;
(iv) Ra12 (Mtb32A C末端抗原としても知られる), このポリペプチド配列は、WO01/98460の配列番号10およびSkeiky et al Journal of Immunology 2004 172:7618-7682に記載される。Ra12の完全長ポリペプチド配列は配列番号11に示される;
(v) Ra35 (Mtb32A N末端抗原としても知られる), このポリペプチド配列は、WO01/98460の配列番号8およびSkeiky et al Journal of Immunology 2004 172:7618-7682に記載される。Ra35の完全長ポリペプチド配列は配列番号12に示される;
(vi) TbH9 (Mtb39、Mtb39A、TbH9FLおよびRv1196としても知られる), このポリペプチド配列はWO97/09428の配列番号107に記載され、Dillon et al Infection and Immunity 1999 67(6):2941-2950およびSkeiky et al Journal of Immunology 2004 172:7618-7682にも記載される。TbH9の完全長ポリペプチド配列は配列番号13に示される;
(vii) Mtb41 (MTCC2およびRv0915cとしても知られる), このポリペプチド配列はWO98/53075の配列番号142(配列番号140にcDNA)およびSkeiky et al Journal of Immunology 2000 165:7140-7149に記載される。Mtb41の完全長ポリペプチド配列は配列番号14に示される;
(viii) ESAT-6 (esxAおよびRv3875としても知られる), このポリペプチド配列はWO97/09428の配列番号103(配列番号104にcDNA)およびSorensen et al Infection and Immunity 1995 63(5):1710-1717に記載される。ESAT-6の完全長ポリペプチド配列は配列番号15に示される;
(ix) Ag85複合抗原(例えばfbpAおよびRv3804cとしても知られるAg85A; またはfbpBおよびRv1886cとしても知られるAg85B), これは、例えば、Content et al Infection and Immunity 1991 59:3205-3212およびHuygen et al Nature Medicine 1996 2(8):893-898に述べられている。Ag85Aの完全長ポリペプチド配列は配列番号16に示される(残基43〜338の成熟タンパク質(すなわちシグナルペプチドを欠いている)が特に興味深い)。Ag85Bの完全長ポリペプチド配列は配列番号17に示される(残基41〜325の成熟タンパク質(すなわちシグナルペプチドを欠いている)が特に興味深い);
(x) アルファ-クリスタリン(hspXおよびRv2031cとしても知られる), それはVerbon et al Journal of Bacteriology 1992 174:1352-1359およびFriscia et al Clinical and Experimental Immunology 1995 102:53-57に記載される(特に興味深いのは、残基71〜91、21〜40、91〜110および111〜130に対応する断片である)。アルファ-クリスタリンの完全長ポリペプチド配列は配列番号18に示される;
(xi) Mpt64 (Rv1980cとしても知られる), これはRoche et al Scandinavian Journal of Immunology 1996 43:662-670に記載される。MPT64の完全長ポリペプチド配列は配列番号19に示される(残基24〜228の成熟タンパク質(すなわちシグナルペプチドを欠いている)が特に興味深い):
(xii) Mtb32A, このポリペプチド配列は、WO01/98460の配列番号2(完全長)および配列番号4の残基8〜330 (成熟)に記載され、特に少なくとも1つの突然変異した触媒性トライアド(catalytic triad mutated) (例えば触媒性セリン残基、これは例えばアラニンに突然変異させることができる)を有する変異体である。Mtb32Aの完全長ポリペプチド配列は配列番号20に示される。Ser/Ala突然変異を有するMtb32Aの成熟型は配列番号21に示される;
(xiii) TB10.4, TB10.4の完全長ポリペプチド配列は配列番号22に示される;
(xiv) Rv1753c, Mycobacterium tuberculosis H37Rv由来のRv1753cの完全長ポリペプチド配列は配列番号157に示される;
(xv) Rv2386c, Mycobacterium tuberculosis H37Rv由来のRv2386cの完全長ポリペプチド配列は配列番号158に示される; および/または
(xvi) Rv2707c, Mycobacterium tuberculosis H37Rv由来のRv2707cの完全長ポリペプチド配列は配列番号159に示される
の1種以上(例えば1〜5、例えば1〜3、特に1種) (例えば(i)〜(xi)の1種以上)、
またはそれらの組み合わせ、例えば以下の組み合わせ(例えば(a)〜(g)のような組み合わせ):
(a) 例えばMtb72fなどの融合タンパク質の形態の、Ra12、TbH9およびRa35成分の組み合わせ。Mtb72fのポリペプチド配列はWO2006/117240の配列番号6(配列番号5にcDNA)およびSkeiky et al Journal of Immunology 2004 172:7618-7682 (該文献では、それは、精製を支援するために任意選択のHisタグを含み、本発明で利用される場合、好適には、Mtb72fは任意選択のヒスチジン残基を欠いている)に記載される。Mtb72fのポリペプチド配列は配列番号23に示される;
(b) 例えばM72などの融合タンパク質の形態の、Ra12、TbH9、およびSer/Ala突然変異Ra35(すなわち、その触媒性セリン残基がアラニンで置換されている)成分の組み合わせ。M72のポリペプチド配列は、WO2006/117240の配列番号4(配列番号3にcDNA)に記載され、該文献では、それは、製造を支援するために任意選択の二重ヒスチジンを含み、本発明で利用される場合、M72は二重ヒスチジンを含んでもよいが、好適には、M72は任意選択の二重ヒスチジンを欠いている(すなわちWO2006/117240の配列番号4由来の残基4〜725が特に興味深い)。M72のポリペプチド配列は配列番号24に示される;
(c) 例えばMtb71fなどの融合タンパク質の形態の、Mtb8.4、Mtb9.8、Mtb9.9およびMtb41成分の組み合わせ。Mtb71fのポリペプチド配列は、WO99/051748の配列番号16(配列番号15にcDNA)に記載され、該文献では、それは、精製を支援するために任意選択のHisタグを含み、本発明で利用される場合、好適には、Mtb71fはWO99/051748由来の配列番号16のアミノ酸残基9〜710に相当する。Mtb71fのポリペプチド配列は配列番号25に示される;
(d) 例えば融合タンパク質中での、Mtb72fまたはM72 (好適には発現を支援するための任意選択のヒスチジン残基を含まない)とMtb9.8およびMtb9.9との組み合わせ。M72-Mtb9.9-Mtb9.8融合物のポリペプチド配列は配列番号26に示され(M92融合物)、本発明で使用される場合、M72-Mtb9.9-Mtb9.8融合物は、場合により、製造を支援するために開始メチオニン残基に続いて二重ヒスチジンを含んでよい;
(e) 例えばMtb103fなどの融合タンパク質中での、Mtb72fまたはM72 (好適には発現を支援するための任意選択のヒスチジン残基を含まない)とAg85Bとの組み合わせ。Mtb103fのポリペプチド配列はWO03/070187の配列番号18(配列番号10にcDNA)に記載され、該文献では、それは、精製を支援するために任意選択のHisタグを含み、本発明で利用される場合、好適には、Mtb103fはWO03/070187由来の配列番号18のアミノ酸残基8〜1016に相当する。また、特に興味深いのは、M103、すなわちRa35成分中にSer/Ala突然変異を含むMtb103fであり、本発明で利用される場合、好適には、M103はWO03/070187由来の配列番号18のアミノ酸残基8〜1016に相当し、ここに、710位のSer残基がAlaで置換されている。M103のポリペプチド配列は配列番号27に示され、本発明で使用される場合、M72-Mtb9.9-Mtb9.8融合物は、場合により、製造を支援するために開始メチオニン残基に続いて二重ヒスチジンを含んでよい;
(f) 例えばMtb114fなどの融合タンパク質中での、Mtb72fまたはM72 (好適には発現を支援するための任意選択のヒスチジン残基を含まない)とMtb41との組み合わせ。Mtb114fのポリペプチド配列はWO03/070187の配列番号16(配列番号9にcDNA)に記載され、該文献では、それは、精製を支援するために任意選択のHisタグを含み、本発明で利用される場合、好適には、Mtb114fはWO03/070187由来の配列番号16のアミノ酸残基8〜1154に相当する。また、特に興味深いのは、M114、すなわちRa35成分中にSer/Ala突然変異を含むMtb114fであり、本発明で利用される場合、好適には、M114はWO03/070187由来の配列番号16のアミノ酸残基8〜1154に相当し、ここに、710位のSer残基がAlaで置換されている。M114のポリペプチド配列は配列番号28に示され、本発明で使用される場合、M72-Mtb9.9-Mtb9.8融合物は、場合により、製造を支援するために開始メチオニン残基に続いて二重ヒスチジンを含んでよい;
(g) 例えばDoherty et al Journal of Infectious Diseases 2004 190:2146-2153に記載の融合物での、Ag85BおよびESAT-6成分の組み合わせ; および/または
(h) 例えばDietrich et al Journal of Immunology 2005 174(10):6332-6339 190:2146-2153に記載の融合物での、Ag85BおよびTB10.4成分の組み合わせ
が含まれる。
Rv3616c成分およびRv1753c成分の組み合わせが特に興味深い。明らかに、そのような組み合わせは、場合により、他の追加の抗原成分(例えばM72成分)を含有してよい。
興味深い別の組み合わせはRv3616c成分およびM72成分を含む。
興味深い別の組み合わせはRv3616c成分およびRv2386c成分を含む。
興味深い他の組み合わせには、Rv3616c成分およびRv2707c成分を含むものが含まれる。
興味深い追加の組み合わせはRv3616c成分およびアルファ-クリスタリン成分を含む。
組み合わせは、上で(i)〜(xvi)および(a)〜(h)に記載の具体的配列に依拠する必要はなく、記載される配列の保存的に改変された変異体(例えば少なくとも70%の同一性、例えば少なくとも80%の同一性、特に少なくとも90%の同一性および特に少なくとも95%の同一性を有する)または免疫原性断片(例えば完全長抗原の少なくとも20%、例えば抗原の少なくとも50%、特に少なくとも70%および特に少なくとも80%)を使用して同じ実際の効果を達成できることを当業者は認識する。
上記の個別の各抗原配列はまた、Cole et al Nature 1998 393:537-544およびCamus Microbiology 2002 148:2967-2973に開示される。M. tuberculosis H37Rvのゲノムは、例えばWelcome Trust Sanger Institute website (www.sanger.ac.uk/Projects/M_tuberculosis/)および他から公的に入手可能である。
多数の上記抗原はまた、米国特許出願番号08/523,435, 08/523,436, 08/658,800, 08/659,683, 08/818,111, 08/818,112, 08/942,341, 08/942,578, 08/858,998, 08/859,381, 09/056,556, 09/072,596, 09/072,967, 09/073,009, 09/073,010, 09/223,040, 09/287,849およびPCT特許出願PCT/US98/10407, PCT/US98/10514, PCT/US99/03265, PCT/US99/03268, PCT/US99/07717, WO97/09428およびWO97/09429, WO98/16645, WO98/16646 (各文献は参照によりここに組み入れられる)に開示される。
本発明の組成物、ポリペプチド、および核酸は、他の供給源由来の追加のポリペプチドを含んでもよい。例えば、本発明の組成物および融合タンパク質は、ポリペプチドまたは、ポリペプチドをコードする核酸を含むことができ、該ポリペプチドは抗原、例えばインフルエンザウイルスタンパク質であるNS1の発現を増強する(例えばWO99/40188およびWO93/04175を参照のこと)。本発明の核酸は、選択された種、例えばヒト(in vivo発現の場合)または特定の細菌(ポリペプチド生産の場合)でのコドン選択に基づいて操作することができる。
Rv3616c成分は、結核(例えばM. tuberculosis感染)に対して有効な1種以上の化学療法剤とともに投与してもよい。そのような化学療法剤の例には、非限定的に、アミカシン、アミノサリチル酸、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、カナマイシン、ピラジナミド、リファマイシン(すなわち、リファンピン、リファペンチンおよびリファブチン)、ストレプトマイシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンおよびフルオロキノロンが含まれる。好ましい薬物の組み合わせを使用するそのような化学療法は、治療を行う医師の判断によって決定される。薬剤耐性ではない結核(例えばM. tuberculosis感染)の治療に使用される「第一線」化学療法剤には、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、ストレプトマイシンおよびピラジナミドが含まれる。1種以上の「第一線」薬物に対して薬剤耐性を示した結核(例えばM. tuberculosis感染)の治療に使用される「第二線」化学療法剤には、オフロキサシン、シプロフロキサシン、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、アミカシン、カナマイシンおよびカプレオマイシンが含まれる。
慣用の化学療法剤は、一般に、比較的長期間(約9か月)にわたって投与される。慣用の化学療法剤と本発明のRv3616c成分の投与とを組み合わせると、効力の低下なしに、化学療法治療期間を(例えば8か月、7か月、6か月、5か月、4か月、3か月またはそれ以下に)減らすことが可能になる。
カルメット・ゲラン桿菌(BCG)と組み合わせたRv3616c成分の使用は特に興味深い。例えば、Rv3616c (または本明細書中に記載のその変異体または断片)を組み換え発現する、改変されたBCGの形態での使用である。あるいは、Rv3616c成分を使用して、BCGワクチン接種との共投与によってかまたは予備的なBCGワクチン接種をブーストすることによって、BCGワクチン接種に対する被験体の応答を増強することができる。BCGワクチン接種に対する被験体の応答を増強するために使用される場合、Rv3616c成分は、明らかに、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの形態で(場合により上記の追加の抗原性成分と組み合わせて)提供されうる。
成分の組み合わせを一緒に投与する必要はなく、別々に、または組み合わせて; 同時に、逐次に、または短い期間内に; 同一の経路または異なる経路によって適用することができることを当業者は認識する。それにもかかわらず、便宜上、成分の組み合わせを単一の組成物として投与することが(投与方式が適合する場合)一般に望ましい。
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび組成物は、通常、ヒトに投与されるが、他の哺乳類でも有効であり、該哺乳類には、家畜哺乳類(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、チンチラ)および農業用の哺乳類(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ)が含まれる。
免疫原性断片
T細胞エピトープは、T細胞(例えばCD4+またはCD8+ T細胞)によって認識されるアミノ酸の短い連続鎖である。T細胞エピトープの同定は、当業者に周知のエピトープマッピング実験によって達成することができる(例えば、Paul, Fundamental Immunology, 3rd ed., 243-247 (1993); Beiβbarth et al Bioinformatics 2005 21(Suppl. 1):i29-i37を参照のこと)。
あるいは、実施例で記載される方法を使用してエピトープを予測することができる。
結核でのT細胞応答の重大な関与の結果として、少なくとも1つのT細胞エピトープを含有する完全長Rv3616cポリペプチドの断片は免疫原性であり、免疫防御に貢献しうることが容易に明らかである。本明細書中では、そのような断片を免疫原性断片と称する。
本発明の免疫原性断片は、典型的に、完全長ポリペプチド配列由来の少なくとも9個の連続アミノ酸(例えば少なくとも10個)、例えば少なくとも12個の連続アミノ酸(例えば少なくとも15個または少なくとも20個の連続アミノ酸)、特に少なくとも50個の連続アミノ酸、例えば少なくとも100個の連続アミノ酸(例えば少なくとも200個の連続アミノ酸)を含む。好適には、免疫原性断片は、完全長ポリペプチド配列の長さの少なくとも20%、例えば少なくとも50%、少なくとも70%または少なくとも80%である。
多様な非近交集団、例えばヒトでは、種々のHLA型により、特定のエピトープが集団のすべてのメンバーによって認識されないことになることが理解される。結果的に、ポリペプチドに対する認識のレベルおよび免疫応答の規模を最大化するために、免疫原性断片は完全長配列由来の複数のエピトープ(好適にはすべてのエピトープ)を含むことが一般に望ましい。
有用なRv3616cタンパク質の特定の断片には、少なくとも1つのCD4+エピトープ、好適には少なくとも2つのCD4+エピトープおよび特にすべてのCD4+エピトープ(例えば、実施例および配列番号29〜47に記載のエピトープ、特に複数のHLA対立遺伝子と関連しているもの、例えば2、3、4、5またはそれ以上の対立遺伝子と関連しているもの)を含む断片が含まれる。
有用なRv3616cタンパク質の他の断片には、少なくとも1つのCD8エピトープ、好適には少なくとも2つのCD8エピトープおよび特にすべてのCD8エピトープ(例えば実施例および配列番号48〜126に記載のエピトープ、特に複数のHLA対立遺伝子に関連しているもの、例えば2、3、4、5またはそれ以上の対立遺伝子に関連しているもの)を含む断片が含まれる。
完全長ポリペプチドの個別の断片が使用される場合、そのような断片は、リンパ球増殖、培養上清中のサイトカインの生産(ELISA、CBA等によって測定される)または細胞内および細胞外染色(例えばCD3、CD4、CD8、IL2、TNFa、IFNg、CD40L、CD69などの免疫マーカーに特異的な抗体を使用する)およびその後のフローサイトメーターでの分析によるTおよびB細胞応答の特徴付けによって細胞の活性化を測定する、特異的抗原でのPBMCまたは全血のin vitro再刺激アッセイ(例えば数時間〜2週間までの範囲の期間、例えば1日まで、1日〜1週間または1〜2週間の再刺激)において参照配列の活性の少なくとも20%、好適には少なくとも50%および特に少なくとも75%(例えば少なくとも90%)の応答を誘発する場合に免疫原性であるとする。好適には、断片は、T細胞増殖および/またはIFN-ガンマ生産アッセイにおいて参照配列の活性の少なくとも20%、好適には少なくとも50%および特に少なくとも75%(例えば少なくとも90%)の応答を誘発する場合に免疫原性であるとする。
ある状況では、完全長ポリペプチドの複数の断片(重複してもしなくてもよく、完全長配列の全体をカバーしてもしなくてもよい)を使用して、完全長配列そのものと等価の生物学的応答を得ることができる。例えば、上記の少なくとも2つの免疫原性断片(例えば3、4または5つ)であって、PBMCまたは全血のin vitro再刺激アッセイ(例えばT細胞増殖および/またはIFN-ガンマ生産アッセイ)において参照配列の少なくとも50%、好適には少なくとも75%および特に少なくとも90%の活性を合わせて提供する断片である。
配列番号127〜156のペプチドは特定の目的の断片(特に配列番号127〜133および143〜156に示すもの)である。
変異体
「変異体」または「保存的に改変された変異体」は、アミノ酸および核酸配列の両者に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された変異体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を表すか、または、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列を表す。
遺伝暗号の縮重のせいで、多数の機能的に同一の核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべてアミノ酸アラニンをコードする。ゆえに、コドンによってアラニンが指定される各位置で、コードされるポリペプチドを変化させることなく、該コドンを、対応する上記コドンのいずれかに改変することができる。そのような核酸変異は、「サイレント」または「縮重」変異体を生じさせ、それは保存的に改変された変異の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列は、該核酸のすべての可能なサイレント変異も説明する。核酸中の各コドン(通常はメチオニンに関する唯一のコドンであるAUGおよび、通常はトリプトファンに関する唯一のコドンであるTGGを除く)は、機能的に同一の分子を得るように改変することができることを当業者は認識する。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載される各配列に暗黙的に含まれる。
本発明のポリヌクレオチドは、参照配列と比較して、いくつかのサイレント変異を含むことができる(例えば、1〜50、例えば1〜25、特に1〜5、および特に1コドン(群)を改変しうる)。本発明のポリヌクレオチドは、参照配列と比較して、いくつかのサイレントでない保存的変異を含むことができる(例えば、1〜50、例えば1〜25、特に1〜5、および特に1コドン(群)を改変しうる)。サイレントでない変異は、(アミノ酸残基の置換、欠失または付加によって)コードされるアミノ酸配列に変化を生じさせる変異である。当業者は、特定のポリヌクレオチド配列がサイレント変異およびサイレントでない保存的変異の両者を含むことができることを認識する。
タンパク質配列の変異体に関して、単一アミノ酸または少ないパーセンテージのアミノ酸を変化させ、付加するか、または欠失させる、ポリペプチドへの個別の置換、欠失または付加は、該改変(群)が、あるアミノ酸と、機能的に類似のアミノ酸との置換または該変異体の生物学的機能に実質的に影響を与えない残基の置換/欠失/付加を生じさせる場合に「保存的に改変された変異体」であることを当業者は認識する。
機能的に類似のアミノ酸を記載する保存的置換表は当技術分野において周知である。そのような保存的に改変された変異体は、本発明の多型変異体、種間ホモログ、および対立遺伝子に追加されるものであり、それらを排除しない。
本発明のポリペプチドは、参照配列と比較して、いくつかの保存的置換を含むことができる(例えば、1〜50、例えば1〜25、特に1〜10、および特に1アミノ酸残基(群)を改変しうる)。一般に、そのような保存的置換は、下で指定されるアミノ酸分類の1つに入るが、ある状況では、抗原の免疫原性特性に実質的に影響することなく、他の置換も可能である。以下の8群はそれぞれ、典型的に互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:
(1) アラニン(A), グリシン(G);
(2) アスパラギン酸(D), グルタミン酸(E);
(3) アスパラギン(N), グルタミン(Q);
(4) アルギニン(R), リシン(K);
(5) イソロイシン(I), ロイシン(L), メチオニン(M), バリン(V);
(6) フェニルアラニン(F), チロシン(Y), トリプトファン(W);
(7) セリン(S), スレオニン(T); および
(8) システイン(C), メチオニン(M)
(例えばCreighton, Proteins 1984を参照のこと)。
好適には、そのような置換はエピトープの領域中に存在せず、したがって抗原の免疫原性特性に大きな影響を有さない。
タンパク質変異体は、参照配列と比較して追加のアミノ酸が挿入されている変異体を含んでもよく、例えば、そのような挿入は、1〜10個の位置(例えば1〜5個の位置、好適には1または2個の位置、特に1個の位置)に存在し、かつ、例えば、各位置での50個以下(例えば20個以下、特に10個以下、特に5個以下)のアミノ酸の付加を含んでよい。好適には、そのような挿入はエピトープの領域中に存在せず、したがって抗原の免疫原性特性に大きな影響を有さない。挿入の一例には、目的の抗原の発現および/または精製を支援するためのヒスチジン残基の短い鎖(例えば2〜6残基)が含まれる。
タンパク質変異体は、参照配列と比較してアミノ酸が欠失している変異体を含み、例えば、そのような欠失は、1〜10個の位置(例えば1〜5個の位置、好適には1または2個の位置、特に1個の位置)に存在し、かつ、例えば、各位置での50個以下(例えば20個以下、特に10個以下、特に5個以下)のアミノ酸の欠失を含んでよい。好適には、そのような欠失はエピトープの領域中に存在せず、したがって抗原の免疫原性特性に大きな影響を有さない。
当業者は、特定のタンパク質変異体が、置換、欠失および付加(またはそれらの任意の組み合わせ)を含んでよいことを認識する。
抗原のエピトープ領域の決定方法は実施例で説明され、例証される。
変異体は、好ましくは、関連する参照配列に対して、少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同一性(例えば少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%)を示す。
2以上の核酸またはポリペプチド配列の関連で、用語「同一の」または「同一性」パーセントとは、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用するかまたはマニュアルアライメントおよび目視検査によって測定される、比較ウインドウ、または指定領域にわたる最大一致に関して比較およびアライメントされた場合に、同一であるかまたは指定のパーセンテージの同一アミノ酸残基またはヌクレオチド(すなわち、指定領域にわたる70%の同一性、場合により75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性)を有する2以上の配列またはサブシークエンスを表す。そのような配列は「実質的に同一」であると称される。この定義はまた、試験配列の相補配列を表す。場合により、同一性は、少なくとも約25〜約50アミノ酸またはヌクレオチド長の領域にわたって、または場合により75〜100アミノ酸またはヌクレオチド長の領域にわたって存在する。好適には、参照配列の全体の長さに相当するウインドウにわたって比較を実施する。
配列比較では、典型的に1配列は参照配列として働き、その参照配列に対して、試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列をコンピュータに入力し、必要であれば部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用するか、または別のパラメータを指定することができる。配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを算出する。
本明細書中で使用される「比較ウインドウ」とは、2つの配列が最適にアライメントされた後に、配列が同数の連続した位置の参照配列と比較されるセグメントを指す。比較のための配列のアライメント方法は当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアライメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによって、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアライメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似度法の検索によって、前記アルゴリズムのコンピュータ実装(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA (Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI))によって、またはマニュアルアライメントおよび目視検査によって行うことができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1995 supplement)を参照のこと)。
有用なアルゴリズムの一例はPILEUPである。PILEUPは、関連性および配列同一性パーセントを示すために、プログレッシブペアワイズアライメントを使用して、関連配列の群からマルチプル配列アライメントを作製する。それはまた、アライメントの作製に使用されるクラスタリング関係を示すツリーまたはデンドグラム(dendogram)をプロットする。PILEUPでは、Feng & Doolittle, J. Mol. Evol. 35:351-360 (1987)のプログレッシブアライメント法の単純化を使用する。使用される方法は、Higgins & Sharp, CABIOS 5:151-153 (1989)に記載の方法に類似している。該プログラムは、それぞれの最大長が5,000ヌクレオチドまたはアミノ酸である300配列までをアライメントすることができる。マルチプルアライメント手順は、最も類似している2配列のペアワイズアライメントで出発し、アライメントされた2配列のクラスターを得る。次いでこのクラスターを、次に最も関連している配列またはアライメントされた配列のクラスターとアライメントする。個々の2配列のペアワイズアライメントを単純に拡張することによって2クラスターの配列をアライメントする。最終アライメントは、一連のプログレッシブペアワイズアライメントによって達成される。該プログラムは、配列比較の領域に関する具体的配列およびそのアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定し、かつプログラムパラメータを指定することによって実行される。PILEUPを使用して、参照配列を他の試験配列と比較し、以下のパラメータ: デフォルトギャップウェイト(3.00)、デフォルトギャップレングスウェイト(0.10)、加重エンドギャップ(weighted end gaps)を使用して配列同一性パーセント関係を決定する。PILEUPはGCG配列解析ソフトウェアパッケージ、例えばバージョン7.0 (Devereaux et al., Nuc. Acids Res. 12:387-395 (1984))から入手することができる。
配列同一性および配列類似性パーセントを決定するために好適なアルゴリズムの別の例はBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、それらは、それぞれ、Altschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389-3402 (1977)およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載される。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information (www.ncbi.nlm.nih.gov/のウェブサイト)から公的に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中の同一の長さのワードとアライメントされた場合に、いくらかの正値の閾値スコアTに適合するか、またはそれを満たす、クエリ配列中の長さWのショートワードを特定することによってハイスコア配列ペア(HSP)を特定することを含む。Tは隣接ワードスコア閾値と称される(Altschul et al., 上記)。これらの初期隣接ワードヒットは、それらを含む、より長いHSPを発見するための検索を開始するためのシードとして機能する。該ワードヒットを、累積アライメントスコアが増加しうる限り、各配列に沿って両方向に伸長する。累積スコアは、ヌクレオチド配列では、パラメータM (適合残基のペアに関する報酬スコア; 常に> 0)およびN (ミスマッチ残基に関するペナルティースコア; 常に< 0)を使用して算出する。アミノ酸配列では、スコア行列を使用して累積スコアを算出する。累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下した場合; 1種以上の負のスコアの残基アライメントの蓄積に起因して累積スコアがゼロ以下になった場合; またはいずれかの配列の末端に達した場合に、ワードヒットの各方向の伸長を停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXはアライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)では、デフォルトとして、ワードレングス(W) 11、期待値(expectation) (E)または10、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワードレングス3、および期待値(E) 10、およびBLOSUM62スコア行列(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照のこと)アライメント(B) 50、期待値(E) 10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。
BLASTアルゴリズムはまた、2配列間の類似性の統計解析を実施する(例えばKarlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の一基準は最小合計確率(smallest sum probability) (P(N))であり、それは2ヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の適合が偶然によって生じる確率の指標を提供する。例えば、核酸は、試験核酸と参照核酸の比較において最小合計確率が、約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満であれば、参照配列に類似しているとする。
本発明はまた、潜伏TBの治療または予防のための、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含むポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列の相補物に、中程度にストリンジェントな条件下(例えば高度にストリンジェントな条件下)で選択的にハイブリダイズする第1のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドにおよぶ。
フレーズ「高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、典型的に核酸の複雑な混合物中で、プローブがその標的部分配列にハイブリダイズし、他の配列にはハイブリダイズしない条件を表す。高度にストリンジェントな条件は配列依存的であり、種々の状況で異なる。長い配列ほど高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範囲にわたる指針はTijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes, "Overview of principles of hybridisation and the strategy of nucleic acid assays" (1993)に見出せる。一般に、高度にストリンジェントな条件は、指定のイオン強度pHでの具体的配列の熱融点(Tm)より約5〜10℃低いように選択される。Tmは、平衡状態で、標的に相補的なプローブの50%が標的配列にハイブリダイズする(指定のイオン強度、pH、および核酸濃度条件下の)温度である(標的配列が過剰に存在する場合、Tmでは、平衡状態でプローブの50%が占有される)。高度にストリンジェントな条件は、pH 7.0〜8.3で塩濃度が約1.0 Mナトリウムイオン未満であり、典型的に約0.01〜1.0 Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、かつ温度が短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)の場合は少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば50ヌクレオチドを超える)の場合は少なくとも約60℃である条件である。高度にストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤を加えることによって達成してもよい。選択的または特異的ハイブリダイゼーションでは、陽性シグナルはバックグラウンドの少なくとも2倍であり、場合によりバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。
典型的な高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下の通りであってよい: 50%ホルムアミド、5x SSC、および1% SDS、42℃でのインキュベーション、または、5x SSC、1% SDS、65℃でのインキュベーション、ならびに0.2x SSC、および0.1% SDSで65℃での洗浄。
高度にストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一であれば、依然として機能的に等価である。このことは、例えば、核酸のコピーが遺伝暗号によって許容される最大コドン縮重度を使用して作製された場合に起こる。そのような場合、核酸は、典型的に、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。
典型的な「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、37℃の40%ホルムアミド、1 M NaCl、1% SDSのバッファー中でのハイブリダイゼーション、および45℃の1X SSCでの洗浄を含む。陽性ハイブリダイゼーションはバックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、類似のストリンジェンシーの条件を提供するために代替のハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を利用できることを容易に認識する。
フレーズ「選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」とは、該配列が複雑な混合物(例えばトータル細胞性またはライブラリーDNAもしくはRNA)中に存在する場合に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特定のヌクレオチド配列に対してのみ、分子が結合し、二重鎖形成するか、またはハイブリダイズすることを表す。
任意のイベントで、ポリペプチド配列の変異体は、参照配列と本質的に同一の活性を有する(ポリヌクレオチドの場合、変異体ポリヌクレオチド配列は、参照配列と本質的に同一の活性を有するポリペプチドをコードする)。本質的に同一の活性とは、リンパ球増殖、培養上清中のサイトカインの生産(ELISA、CBA等によって測定される)または細胞内および細胞外染色(例えばCD3、CD4、CD8、IL2、TNFa、IFNg、CD40L、CD69などの免疫マーカーに特異的な抗体を使用する)およびその後のフローサイトメーターでの分析によるTおよびB細胞応答の特徴付けによって細胞の活性化を測定する、特定の抗原でのPBMCまたは全血のin vitro再刺激アッセイ(例えば数時間〜2週間までの範囲の期間、例えば1日まで、1日〜1週間または1〜2週間の再刺激)での、参照配列の少なくとも50%、好適には少なくとも75%および特に少なくとも90%の活性を意味する。好適には、本質的に同一の活性とは、T細胞増殖および/またはIFN-ガンマ生産アッセイでの参照配列の少なくとも50%、好適には少なくとも75%および特に少なくとも90%の活性を意味する。
ポリヌクレオチド組成物
本明細書中で使用される用語「ポリヌクレオチド」とは、特定の種のトータルゲノムDNAから単離されている分子を表す。したがって、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとは、1種以上のコード配列を含むが、該ポリヌクレオチドの入手元の種のトータルゲノムDNAから実質的に単離されているか、または精製されているポリヌクレオチドセグメントを表す。
当業者によって理解されるように、本発明で有用なポリヌクレオチドは、ゲノム配列、ゲノム外およびプラスミドによってコードされる配列および小さい操作された遺伝子セグメントであって、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現するか、またはそれらを発現するように作り変えられているものを含んでよい。そのようなセグメントは天然から単離するか、または人の手によって合成的に改変することができる。
本明細書中で使用される「単離された」とは、ポリヌクレオチドが他のコード配列から実質的に分離されていること、およびポリヌクレオチドが、大部分の無関係のコードDNA、例えば大きい染色体断片または他の機能的遺伝子またはポリペプチドコード領域を含まないことを意味する。単離された核酸は、該遺伝子に隣接しかつ該遺伝子以外のタンパク質をコードする他のオープンリーディングフレームから分離される。当然、これは、元来単離されているDNAセグメントを表し、人の手によってセグメントに後に付加された遺伝子またはコード領域を排除しない。
当業者に認識されるように、ポリヌクレオチドは一本鎖(コードまたはアンチセンス)または二本鎖であってよく、DNA (ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であってよい。RNA分子には、イントロンを含みかつDNA分子に一対一様式で対応するHnRNA分子、およびイントロンを含まないmRNA分子が含まれる。追加のコードまたは非コード配列は、必要はないが、本発明のポリヌクレオチドの範囲内に存在してよく、ポリヌクレオチドは、必要はないが、他の分子および/または支持材料に連結されていてよい。
ポリヌクレオチドは、天然配列(すなわちマイコバクテリウム抗原またはその部分をコードする内因性配列)を含むか、または、そのような配列の変異体、または生物学的もしくは機能的に等価な配列を含んでよい。ポリヌクレオチド変異体は、以下でさらに記載されるように、好ましくはコード対象のポリペプチドの免疫原性が参照タンパク質と比べて減少しないような、1以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含んでよい。コード対象のポリペプチドの免疫原性に対する影響は、本明細書中で記載されるように、一般に評価することができる。
追加の実施形態では、本発明は、本明細書中で開示される1以上の配列に対して同一のまたは相補的な配列の種々の長さの連続鎖を含む、単離されたポリヌクレオチドおよびポリペプチドを提供する。例えば、本発明は、本明細書中で開示される参照配列の少なくとも約30、40、50、75、100、150、200、300、400、500または1000またはそれ以上ならびにそれらの間のすべての中間の長さの連続するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。この関連で「中間の長さ」とは、引用される値の間の任意の長さ、例えば30、31、32、など; 50、51、52、53、など; 100、101、102、103、など; 150、151、152、153、など; 200〜500; 500〜1,000のすべての整数を含む、など、を意味することが容易に理解される。
さらに、遺伝暗号の縮重の結果として、本明細書中に記載のポリペプチドをコードする多数のヌクレオチド配列が存在することが当業者に理解される。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列に対して比較的低い同一性を有する。それにもかかわらず、コドン使用の差異のせいで様々であるポリヌクレオチド、例えばヒトおよび/または霊長類のコドン選択に最適化されたポリヌクレオチドは本発明によって具体的に想定される。さらに、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換などの1以上の突然変異の結果として改変されている内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、その必要はないが、改変された構造または機能を有してよい。対立遺伝子は、標準的技術(例えばハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を使用して特定される。
ポリヌクレオチドの同定および特徴付け
ポリヌクレオチドは、任意の種々の十分に確立された技術を使用して、同定、製造および/または操作することができる。例えば、以下でさらに詳細に記載されるように、cDNAのマイクロアレイのスクリーニングによってポリヌクレオチドを同定することができる。そのようなスクリーニングは、例えば、Synteniマイクロアレイ(Palo Alto, CA)を製造元の指示にしたがって使用して実施することができる(本質的にSchena et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614-10619 (1996)およびHeller et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150-2155 (1997)に記載される通りである)。あるいは、M. tuberculosis細胞などの本明細書中に記載のタンパク質を発現する細胞から調製されたcDNAからポリヌクレオチドを増幅することができる。そのようなポリヌクレオチドをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅することができる。このアプローチでは、本明細書中で提供される配列に基づいて配列特異的プライマーを設計し、購入または合成することができる。
増幅されたポリヌクレオチド部分を使用し、周知の技術を使用して好適なライブラリー(例えばM. tuberculosis cDNAライブラリー)から完全長遺伝子を単離することができる。そのような技術では、増幅に好適な1以上のポリヌクレオチドプローブまたはプライマーを使用してライブラリー(cDNAまたはゲノム)をスクリーニングする。好ましくは、大きい分子を含むようにライブラリーをサイズ選択する。遺伝子の5'および上流領域の同定では、ランダムプライムライブラリー(random primed libraries)も好ましい。ゲノムライブラリーは、イントロンを取得して5'配列を伸長するために好ましい。
ハイブリダイゼーション技術では、周知の技術を使用して部分配列を(例えばニックトランスレーションまたは32Pでの末端標識によって)標識する。次いで、一般に、変性細菌コロニーを含むフィルター(またはファージプラークを含むローン(lawns))を標識プローブとハイブリダイズさせることによって細菌性またはバクテリオファージライブラリーをスクリーニングする(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2000)を参照のこと)。ハイブリダイズしたコロニーまたはプラークを選択し、増幅させ、さらなる分析のためにDNAを単離する。cDNAクローンを分析して、例えば部分配列由来のプライマーおよびベクター由来のプライマーを使用するPCRによって追加の配列の量を決定することができる。1以上のオーバーラップクローンを同定するために制限酵素地図および部分配列を作製することができる。次いで標準的技術を使用して完全配列を決定し、該技術には、一連の欠失クローンの作製が含まれる。次いで、得られたオーバーラップ配列を単一の連続配列に組み立てることができる。周知の技術を使用して好適な断片をライゲートすることによって完全長cDNA分子を作製することができる。
あるいは、部分cDNA配列から完全長コード配列を取得するための多数の増幅技術が存在する。そのような技術では、概して、PCRによって増幅を実施する。任意の種々の市販のキットを使用して、増幅ステップを実施することができる。例えば当技術分野で周知のソフトウェアを使用してプライマーを設計することができる。プライマーは、好ましくは、22〜30ヌクレオチド長であり、少なくとも50%のGC含量を有し、約68℃〜72℃の温度で標的配列にアニーリングする。増幅された領域を上記のようにシークエンシングし、オーバーラップ配列を連続配列に組み立てることができる。
そのような増幅技術の1つはインバースPCR (Triglia et al., Nucl. Acids Res. 16:8186 (1988)を参照のこと)であり、該PCRでは、制限酵素を使用して遺伝子の既知領域の断片を作製する。次いで該断片を分子内ライゲーションによって環化し、既知領域由来の多岐にわたるプライマーを用いるPCRの鋳型として使用する。代替のアプローチでは、リンカー配列に対するプライマーおよび既知領域に特異的なプライマーを用いる増幅によって、部分配列に隣接する配列を回収する。増幅された配列を、典型的に、同一のリンカープライマーおよび既知領域に特異的な第2プライマーを用いる第2ラウンドの増幅に付する。既知配列から逆方向の伸長を惹起する2つのプライマーを用いる、この手順のバリエーションはWO 96/38591に記載される。別のそのような技術は、「cDNA末端の高速増幅」、すなわちRACEとして知られる。この技術は、既知配列の5'および3'の配列を特定するために、内部プライマーおよび外部プライマーの使用を含み、それはポリA領域またはベクター配列にハイブリダイズする。追加の技術には、キャプチャーPCR (Lagerstrom et al., PCR Methods Applic. 1:111-19 (1991))およびウォーキングPCR (Parker et al., Nucl. Acids. Res. 19:3055-60 (1991))が含まれる。増幅を用いる他の方法を用いて完全長cDNA配列を取得してもよい。
所定の場合、発現配列タグ(EST)データベース、例えばGenBankから入手可能なデータベースにおいて提供される配列の分析によって完全長cDNA配列を取得することが可能である。オーバーラップESTの検索は、一般に、周知のプログラム(例えばNCBI BLAST検索)を使用して実施することができ、そのようなESTを使用して、連続する完全長配列を作製することができる。完全長DNA配列はゲノム断片の分析によって取得してもよい。
宿主細胞でのポリヌクレオチドの発現
ポリペプチド、または融合タンパク質もしくはその機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列またはその断片を組み換えDNA分子中で使用して、適切な宿主細胞でのポリペプチドの発現を指令することができる。遺伝暗号の固有の縮重度に起因して、実質的に同一または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を作製し、これらの配列を使用して所定のポリペプチドをクローニングし、発現することができる。
当業者に理解されるように、非天然に存在するコドンを有する、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を製造することが有益である場合がある。例えば、特定の原核生物または真核生物宿主によって好まれるコドンを選択して、タンパク質発現の割合を増加させるか、または望ましい特性、例えば天然に存在する配列から作製された転写物の半減期より長い半減期を有する組み換えRNA転写物を生産することができる。
さらに、当技術分野で一般に公知の方法を使用してポリヌクレオチド配列を操作し、種々の理由で、ポリペプチドをコードする配列を改変することができ、その理由には、非限定的に、クローニング、プロセシング、および/または遺伝子産物の発現を修飾するための改変が含まれる。例えば、ランダム断片化によるDNAシャフリングおよび遺伝子断片および合成オリゴヌクレオチドのPCRアセンブリを使用して、ヌクレオチド配列を操作することができる。さらに、部位特異的突然変異誘発を使用して、新規制限部位を挿入し、グリコシル化パターンを変化させ、コドン優先度を変化させ、スプライスバリアントを製造するか、または突然変異を導入する、などを行うことができる。
天然、改変、または組み換え核酸配列を、融合タンパク質をコードする異種配列にライゲートすることができる。例えば、ポリペプチド活性のインヒビターに関してペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体によって認識されるキメラタンパク質をコードすることが有用である。ポリペプチドをコードする配列と異種タンパク質配列との間に位置する切断部位を含むように融合タンパク質を操作して、該ポリペプチドを異種部分から切断して精製できるようにしてもよい。
当技術分野で周知の化学的方法を使用して、所望のポリペプチドをコードする配列を全体的または部分的に合成することができる(Caruthers, M. H. et al., Nucl. Acids Res. Symp. Ser. pp. 215-223 (1980), Horn et al., Nucl. Acids Res. Symp. Ser. pp. 225-232 (1980)を参照のこと)。あるいは、ポリペプチドのアミノ酸配列、またはその部分を合成するための化学的方法を使用してタンパク質そのものを製造することができる。例えば、種々の固相技術(Roberge et al., Science 269:202-204 (1995))を使用してペプチド合成を実施することができ、例えばABI 431A Peptide Synthesizer (Perkin Elmer, Palo Alto, CA)を使用して自動合成を達成することができる。
新しく合成されたペプチドを、調製用高性能液体クロマトグラフィー(例えばCreighton, Proteins, Structures and Molecular Principles (1983))または当技術分野で利用可能な他の匹敵する技術によって実質的に精製することができる。アミノ酸分析またはシークエンシング(例えばエドマン分解手順)によって合成ペプチドの組成を確認することができる。さらに、ポリペプチドのアミノ酸配列、またはその任意の部分を直接合成中に改変し、かつ/または化学的方法を使用して他のタンパク質由来の配列、またはその任意の部分と組み合わせて変異体ポリペプチドを得ることができる。
所望のポリペプチドを発現するために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または機能的等価物を適切な発現ベクター、すなわち挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入することができる。当業者に周知の方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列および適切な転写および翻訳調節要素を含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、in vitro組み換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組み換えが含まれる。そのような技術はSambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2000), およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (毎年更新)に記載される。
ポリヌクレオチド配列を含みかつ発現する種々の発現ベクター/宿主系を利用することができる。これらには、非限定的に、組み換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物; 酵母発現ベクターで形質転換された酵母; ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系; ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV; タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えばTiまたはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系; または動物細胞系が含まれる。
発現ベクター中に存在する「調節要素」または「制御配列」は、宿主細胞タンパク質と相互作用して転写および翻訳を実施する、該ベクターの非翻訳領域--エンハンサー、プロモーター、5'および3'非翻訳領域--である。そのような要素はその強度および特異性が様々である。利用されるベクター系および宿主に応じて、構成的および誘導性プロモーターを含む、任意の数の好適な転写および翻訳要素を使用することができる。例えば、細菌系でクローニングされる場合、誘導性プロモーター、例えばPBLUESCRIPTファージミド(Stratagene, La Jolla, Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL, Gaithersburg, MD)などのハイブリッドlacZプロモーターを使用することができる。哺乳類細胞系では、哺乳類遺伝子または哺乳類ウイルス由来のプロモーターが一般に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数コピーを含むセルラインを作製することが必要であれば、SV40またはEBVに基づくベクターを、適切な選択マーカーとともに好都合に使用することができる。
細菌系では、発現対象のポリペプチドの意図される用途に応じて、いくつかの発現ベクターを選択することができる。例えば、例えば抗体の誘発のために、多量が必要とされる場合、容易に精製できる融合タンパク質の高レベル発現を指揮するベクターを使用することができる。そのようなベクターには、非限定的に、多機能性E. coliクローニングおよび発現ベクター、例えばBLUESCRIPT (Stratagene) (ここに、目的のポリペプチドをコードする配列をβ-ガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびそれに続く7残基の配列とインフレームでベクター中にライゲートして、ハイブリッドタンパク質が生産されるようにすることができる); pINベクター(Van Heeke &Schuster, J. Biol. Chem. 264:5503-5509 (1989)); などが含まれる。pGEXベクター(Promega, Madison, Wis.)を使用し、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現してもよい。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、溶解された細胞から、グルタチオン-アガロースビーズへの吸着およびその後の遊離グルタチオンの存在下での溶出によって容易に精製することができる。そのような系で作製されるタンパク質は、クローニングされた、目的のポリペプチドをGST部分から自在に遊離させることができるよう、ヘパリン、トロンビン、または因子XAプロテアーゼ切断部位を含むように設計することができる。
酵母Saccharomyces cerevisiaeでは、構成的または誘導性プロモーターを含むいくつかのベクター、例えばアルファ因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHを使用することができる。構成的または誘導性プロモーターを含む他のベクターには、GAP、PGK、GALおよびADHが含まれる。レビューに関しては、Ausubel et al. (上記)およびGrant et al., Methods Enzymol. 153:516-544 (1987)およびRomas et al. Yeast 8 423-88 (1992)を参照のこと。
植物発現ベクターが使用される場合、ポリペプチドをコードする配列の発現は、いくつかのプロモーターのいずれかによって駆動させることができる。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターを、単独で、またはTMV由来のオメガリーダー配列と組み合わせて使用することができる(Takamatsu, EMBO J. 6:307-311 (1987))。あるいは、植物プロモーター、例えばRUBISCOの小サブユニットまたは熱ショックプロモーターを使用することができる(Coruzzi et al., EMBO J. 3:1671-1680 (1984); Broglie et al., Science 224:838-843 (1984); およびWinter et al., Results Probl. Cell Differ. 17:85-105 (1991))。これらの構築物は、直接DNA形質転換または病原体媒介性トランスフェクションによって植物細胞に導入することができる。そのような技術はいくつかの一般に入手可能なレビューに記載されている(例えばHobbs in McGraw Hill Yearbook of Science and Technology pp. 191-196 (1992)を参照のこと)。
昆虫系を使用して目的のポリペプチドを発現してもよい。例えば、そのような系の1つでは、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia larvae中で外来遺伝子を発現する。ポリペプチドをコードする配列を該ウイルスの非必須領域、例えばポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子中にクローニングし、ポリヘドリンプロモーターのコントロール下に配置することができる。ポリペプチドをコードする配列の挿入が成功すると、ポリヘドリン遺伝子が不活性になり、コートタンパク質を欠いている組み換えウイルスが生産される。次いで該組み換えウイルスを使用して、例えばS. frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeを感染させ、該細胞で、目的のポリペプチドを発現させることができる(Engelhard et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91 :3224-3227 (1994))。
哺乳類宿主細胞では、いくつかのウイルスに基づく発現系が一般に利用可能である。例えば、発現ベクターとしてアデノウイルスが使用される場合、目的のポリペプチドをコードする配列を、後期プロモーターおよびトリパータイト(tripartite)リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体中にライゲートすることができる。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域での挿入を使用して、感染宿主細胞でポリペプチドを発現可能な生存可能ウイルスを取得することができる(Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:3655-3659 (1984))。さらに、転写エンハンサー、例えばラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーを使用して哺乳類宿主細胞での発現を増加させることができる。アデノウイルスベクターを用いて作業する方法およびプロトコールはWold, Adenovirus Methods and Protocols, 1998でレビューされている。アデノウイルスベクターの使用に関する追加の参考文献は、Adenovirus: A Medical Dictionary, Bibliography, and Annotated Research Guide to Internet References, 2004に見出せる。
特定の開始シグナルを使用して、目的のポリペプチドをコードする配列の、より効率的な翻訳を達成してもよい。そのようなシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドン、および上流配列が適切な発現ベクターに挿入されている場合、追加の転写または翻訳調節シグナルは必要ではない。しかし、コード配列またはその部分のみが挿入されている場合、ATG開始コドンを含む外因性翻訳調節シグナルを用意するべきである。さらに、該開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確保するために正しいリーディングフレームであるべきである。外因性翻訳要素および開始コドンは、天然および合成の、種々の起源のものであってよい。発現の効率は、文献(Scharf. et al., Results Probl. Cell Differ. 20:125-162 (1994))に記載されるエンハンサーなどの、使用される具体的な細胞系に適切なエンハンサーを含ませることによって増強することができる。
さらに、挿入配列の発現を調節する能力または発現タンパク質を所望の様式でプロセシングする能力に関して宿主細胞株を選択することができる。ポリペプチドのそのような修飾には、非限定的に、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)、およびアシル化が含まれる。「プレプロ」型のタンパク質を切断する翻訳後プロセシングを使用して、正しい挿入、フォールディングおよび/または機能を促してもよい。特定の細胞機構およびそのような翻訳後活性に関する特徴的メカニズムを有する種々の宿主細胞、例えばCHO、HeLa、MDCK、HEK293、およびWI38を選択して、外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確保することができる。
組み換えタンパク質の長期間の高収量生産のために、一般に、安定な発現が好ましい。例えば、ウイルスの複製起点および/または内因性発現要素および選択マーカー遺伝子を同一または別々のベクター上に含む発現ベクターを使用して、目的のポリヌクレオチドを安定に発現するセルラインを形質転換することができる。ベクターの導入後、強化培地中で1〜2日間、細胞を成長させた後、それらを選択培地に切り替える。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を付与することであり、その存在は、導入配列をうまく発現する細胞の生育および回収を可能にする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンを、細胞タイプに適切な組織培養技術を使用して増殖させることができる。
任意の数の選択系を使用して形質転換セルラインを回収することができる。これらには、非限定的に、それぞれtk.sup.-またはaprt.sup.-細胞で用いることができる単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11:223-32 (1977))およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., Cell 22:817-23 (1990))遺伝子が含まれる。また、選択の基礎として、代謝拮抗剤、抗生物質または除草剤耐性を使用することができ; 例えば、メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr (Wigler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 77:3567-70 (1980)); アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG-418に対する耐性を付与するnpt (Colbere-Garapin et al., J. Mol. Biol. 150:1-14 (1981)); およびそれぞれクロルスルフロン(chlorsulfuron)およびホスフィノトリシン(phosphinotricin)アセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与するalsまたはpat (Murry, 上記)を使用することができる。追加の選択可能な遺伝子、例えば、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpBまたは細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用することを可能にするhisDが報告されている(Hartman & Mulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:8047-51 (1988))。最近、アントシアニン、β-グルクロニダーゼおよびその基質GUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質ルシフェリンなどのマーカーを用いる視覚的マーカーの使用が人気を得ており、形質転換体を特定するためだけでなく、特定のベクター系に起因する一時的または安定なタンパク質発現の量を定量するためにも広く使用されている(Rhodes et al., Methods Mol. Biol. 55:121-131 (1995))。
マーカー遺伝子発現の存在/不存在は目的の遺伝子が同様に存在することを示唆するが、その存在および発現を確認する必要がある。例えば、ポリペプチドをコードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入された場合、マーカー遺伝子機能の不存在によって、配列を含む組み換え細胞を同定することができる。あるいは、マーカー遺伝子を、単一プロモーターのコントロール下でポリペプチドをコードする配列と直列に配置することができる。誘導または選択に応答するマーカー遺伝子の発現は、通常、直列遺伝子の発現を同様に示す。
あるいは、所望のポリヌクレオチド配列を含みかつ発現する宿主細胞を、当業者に公知の種々の手順によって同定することができる。これらの手順には、非限定的に、DNA-DNAまたはDNA-RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質バイオアッセイまたはイムノアッセイ技術を含み、それは、核酸またはタンパク質の検出および/または定量化のためのメンブレン、溶液、またはチップに基づくテクノロジーを含む。
ポリヌクレオチドによってコードされる生成物の発現を、該生成物に特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体を使用して検出および測定するための種々のプロトコールは当技術分野で公知である。その例には、酵素結合免疫吸着検定(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光標識細胞選別(FACS)が含まれる。所定のポリペプチド上の2つの干渉しないエピトープに反応性のモノクローナル抗体を利用する、2部位の、モノクローナルに基づくイムノアッセイは一部の適用で好ましいが、競合結合アッセイを用いてもよい。これらのアッセイおよび他のアッセイは、いくつかの箇所のうちで特に、Hampton et al., Serological Methods, a Laboratory Manual (1990)およびMaddox et al., J. Exp. Med. 158:1211-1216 (1983)に記載される。
多種多様な標識およびコンジュゲーション技術が当業者に公知であり、種々の核酸およびアミノ酸アッセイで使用することができる。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブの製造手段には、オリゴ標識化、ニックトランスレーション、末端標識化または、標識ヌクレオチドを使用するPCR増幅が含まれる。あるいは、mRNAプローブの生産のためにベクターに配列、またはその任意の部分をクローニングすることができる。そのようなベクターは、当技術分野で公知であり、市販され、かつ適切なRNAポリメラーゼ、例えばT7、T3、またはSP6および標識ヌクレオチドを加えることによってin vitroでRNAプローブを合成するために使用することができる。これらの手順は、種々の市販のキットを使用して行うことができる。使用することができる好適なレポーター分子または標識には、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、または発色物質ならびに基質、補助因子、インヒビター、磁性粒子、などが含まれる。
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、細胞培養物からのタンパク質の発現および回収に好適な条件下で培養することができる。組み換え細胞によって生産されるタンパク質は、使用される配列および/またはベクターに応じて、分泌されるか、または細胞内に含まれる。当業者に理解されるように、ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、原核細胞または真核細胞膜を通過する、コード対象のポリペプチドの分泌を指揮するシグナル配列を含むように設計することができる。目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に連結するために、他の組み換え構築物を使用することができる。そのような精製を容易にするドメインには、非限定的に、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製系(Immunex Corp., Seattle, Wash.)で利用されるドメインが含まれる。精製ドメインとコード対象のポリペプチドの間の、因子XAまたはエンテロキナーゼ(Invitrogen. San Diego, Calif.)に特異的なリンカー配列などの切断可能なリンカー配列を含ませることを使用して、精製を容易にすることができる。そのような発現ベクターの1つは、目的のポリペプチドを含む融合タンパク質およびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位に先行する6ヒスチジン残基をコードする核酸の発現を提供する。Porath et al., Prot. Exp. Purif. 3:263-281 (1992)に記載のように該ヒスチジン残基はIMIAC (固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)での精製を容易にし、エンテロキナーゼ切断部位は融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターの考察は、Kroll et al., DNA Cell Biol. 12:441-453 (1993))に提供される。
IN VIVOポリヌクレオチド送達技術
追加の実施形態では、1種以上の本発明のポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物をin vivoで細胞に導入する。これは多様なまたは周知のアプローチのいずれかを使用して達成することができ、該アプローチのいくつかを説明のために以下で概説する。
1. アデノウイルス
1種以上の核酸配列のin vivo送達のための好ましい方法の1つは、アデノウイルス発現ベクターの使用を含む。「アデノウイルス発現ベクター」は、(a) 該構築物のパッケージングを支持するため、および(b) センスまたはアンチセンス方向でそこにクローニングされたポリヌクレオチドを発現するために十分なアデノウイルス配列を含む構築物を含むように意図されている。当然、アンチセンス構築物の関連では、発現は遺伝子産物が合成されることを必要としない。
該発現ベクターは遺伝子改変型のアデノウイルスを含む。36 kbの線状二本鎖DNAウイルスであるアデノウイルスの遺伝子構成の知識により、アデノウイルスDNAの大きい部分を7 kbまでの外来配列で置換することが可能である(Grunhaus & Horwitz, 1992)。レトロウイルスと対照的に、宿主細胞のアデノウイルス感染は染色体組み込みを生じさせない。その理由は、アデノウイルスDNAが潜在的な遺伝毒性を有さずにエピソーム様式で複製できるからである。また、アデノウイルスは構造的に安定であり、大規模な増幅後にゲノム再構成は検出されていない。アデノウイルスは実質的にすべての上皮細胞に、その細胞周期の段階にかかわらず、感染することができる。今まで、アデノウイルス感染は、ヒトの軽度の疾患、例えば急性呼吸器疾患にしか関連付けられていないと思われる。
アデノウイルスは、その中程度のサイズのゲノム、操作の容易さ、高い力価、広い標的細胞範囲および高い感染力のおかげで、遺伝子導入ベクターとしての使用に特に好適である。該ウイルスゲノムの両端は、100〜200塩基対の逆方向反復(ITR)を含み、それはウイルスDNAの複製およびパッケージングに必要なシスエレメントである。ゲノムの初期(E)および後期(L)領域は、ウイルスDNA複製の開始によって分けられる異なる転写単位を含む。E1領域(E1AおよびE1B)は、ウイルスゲノムおよび少数の細胞遺伝子の転写の調節を担うタンパク質をコードする。E2領域(E2AおよびE2B)の発現は、ウイルスDNA複製のためのタンパク質の合成を生じさせる。これらのタンパク質は、DNA複製、後期遺伝子発現および宿主細胞シャットオフ(host cell shut-off)に関与する(Renan, 1990)。大多数のウイルスキャプシドタンパク質を含む後期遺伝子の産物は、主要後期プロモーター(MLP)によって放出される単一の一次転写物の重大なプロセシング後にのみ発現される。MLP, (16.8 m.u.に位置する)は、感染後期に特に効率的であり、このプロモーターから放出されるすべてのmRNAは5'-トリパータイトリーダー(TPL)配列を有し、該配列は、それらを翻訳に好ましいmRNAにする。
現在の系では、組み換えアデノウイルスはシャトルベクターとプロウイルスベクターとの間の相同組み換えから作製される。2つのプロウイルスベクター間の組み換えが起こりうるせいで、このプロセスから野生型アデノウイルスが生成されることがある。したがって、個別のプラークからウイルスの単一のクローンを単離し、そのゲノム構造を検査することが重要である。
複製欠損である現在のアデノウイルスベクターの作製および増殖は、293と称される固有のヘルパーセルラインに依存する。293はAd5 DNA断片によってヒト胚性腎細胞から形質転換されたものであり、構成的にE1タンパク質を発現する(Graham et al., 1977)。E3領域はアデノウイルスゲノムに不必要である(Jones & Shenk, 1978)ため、現在のアデノウイルスベクターは、293細胞の支援を受けて、E1、D3または両領域に外来DNAを保持する(Graham & Prevec, 1991)。天然には、アデノウイルスは野生型ゲノムの約105%をパッケージングすることができ(Ghosh-Choudhury et al., 1987)、追加の約2 kBのDNAの収容能力を提供する。E1およびE3領域中の置換可能な約5.5 kBのDNAと合わせて、現在のアデノウイルスベクターの最大収容能力は7.5 kB未満であり、該ベクターの全長の約15%である。アデノウイルスのウイルスゲノムの80%以上はベクター主鎖中にとどまり、それは、ベクター媒介細胞傷害性の源である。また、E1欠失ウイルスの複製欠損は不完全である。例えば、高い感染多重度(MOI)での現在利用可能なベクターでウイルス遺伝子発現の漏出が観察されている(Mulligan, 1993)。
ヘルパーセルラインは、ヒト細胞、例えばヒト胚性腎細胞、筋細胞、造血細胞または他のヒト胚性間葉細胞または上皮細胞由来であってよい。あるいは、ヘルパー細胞は、ヒトアデノウイルスに許容される他の哺乳類種の細胞由来であってよい。そのような細胞には、例えば、Vero細胞または他のサル胚性間葉細胞または上皮細胞が含まれる。上記のように、現在好ましいヘルパーセルラインは293である。
Racher et al. (1995)は、293細胞を培養しかつアデノウイルスを増殖させるための改良された方法を開示している。1形態では、100〜200 mlの培地を含む1リットルのシリコン処理スピナーフラスコ(Techne, Cambridge, UK)に個別の細胞を播種することによって天然細胞の凝集物を成長させる。40 rpmでの攪拌後、トリパンブルーで細胞の生存性を評価する。別の形態では、Fibra-Cel microcarriers (Bibby Sterlin, Stone, UK) (5 g/l)を以下のように用いる。細胞種菌を、5 mlの培地に再懸濁し、250 ml Erlenmeyerフラスコ中の担体(50 ml)に加え、時々攪拌しながら1〜4時間静置する。次いで培地を50 mlの新鮮な培地で置換し、振とうを開始する。ウイルス生産のために、細胞を約80%集密まで成長させ、その後、培地を除去し(最終容量の25%にし)、MOI 0.05でアデノウイルスを加える。培養物を一晩静置し、その後、容量を増やして100%にし、さらに72時間振とうを開始する。
アデノウイルスベクターが複製欠損であるか、または少なくとも条件的に欠損である必要条件以外に、アデノウイルスベクターの性質は、本発明の実施の成功に重要ではないと考えられる。アデノウイルスは、42の異なる公知の血清型または亜群A〜Fのいずれかであってよい。本発明で使用するための条件的複製欠損アデノウイルスベクターを得るために亜群Cの5型アデノウイルスは好ましい出発材料である。その理由は、5型アデノウイルスはヒトアデノウイルスであり、それについて、非常に多くの生化学的および遺伝的情報が公知であり、かつそれは、歴史的に、ベクターとしてアデノウイルスを用いるほとんどの構築物で使用されているからである。
上記のように、本発明の典型的なベクターは複製欠損であり、アデノウイルスE1領域を有さない。ゆえに、E1コード配列が除去された位置で目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドを導入することが最も好都合である。しかし、アデノウイルス配列内の構築物の挿入の位置は本発明に極めて重要なわけではない。目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、Karlsson et al. (1986)によって記載されるようにE3置換ベクター中で欠失E3領域の代わりに挿入してもよく、または、ヘルパーセルラインまたはヘルパーウイルスがE4欠損を補完する場合、E4領域であってもよい。
アデノウイルスは培養および操作が容易であり、in vitroおよびin vivoで広い宿主範囲を示す。この群のウイルスは、高い力価、例えば、109〜1011プラーク形成単位/mlで取得することができ、それらは非常に感染性である。アデノウイルスの生活環は宿主細胞ゲノムへの組み込みを必要としない。アデノウイルスベクターによって送達される外来遺伝子はエピソーム性であり、したがって、宿主細胞に対する低い遺伝毒性しか有さない。野生型アデノウイルスでのワクチン接種の研究で副作用は報告されていない(Couch et al., 1963; Top et al., 1971)。それは、in vivo遺伝子導入ベクターとしてのそれらの安全性および治療的潜在能力を示す。
アデノウイルスベクターは真核生物遺伝子の発現(Levrero et al., 1991; Gomez-Foix et al., 1992)およびワクチン開発(Grunhaus & Horwitz, 1992; Graham & Prevec, 1992)で使用されている。最近、動物試験により、組み換えアデノウイルスが遺伝子治療に使用できることが示唆された(Stratford-Perricaudet & Perricaudet, 1991; Stratford-Perricaudet et al., 1990; Rich et al., 1993)。組み換えアデノウイルスを種々の組織に投与する研究には、気管点滴注入(Rosenfeld et al., 1991; Rosenfeld et al., 1992)、筋肉注射(Ragot et al., 1993)、末梢静脈内注射(Herz & Gerard, 1993)および脳への定位接種(stereotactic inoculation) (Le Gal La Salle et al., 1993)が含まれる。
アデノウイルスベクターはヒトアデノウイルス起源であってよい。あるいは、それらは、他の種、例えばチンパンジーのアデノウイルス起源であってよく、それは、ウイルスベクターが、多数のヒト被験体中で循環しているヒトアデノウイルスに対する抗体によって中和されない利点を有する(例えば: Tatsis N et al Gene Therapy 2006 13:421-429を参照のこと)。
比較的珍しく、したがってそのベクターそのものに対する低レベルの既存の免疫しか存在しない35型アデノウイルスは、開発中の特定の結核ワクチンの送達系として使用されている(例えばRadosevic et al Infection and Immunity 2007 75(8):4105-4115を参照のこと)。35型アデノウイルスは、送達ベクターとして本発明で特に有用なものでもありうる。
2. レトロウイルス
レトロウイルスは、逆転写プロセスによって感染細胞中でそれらのRNAを二本鎖DNAに変換する能力によって特徴付けられる一本鎖RNAウイルスの群である(Coffin, 1990)。得られたDNAは、次いで、プロウイルスとして細胞の染色体に安定に組み込み、ウイルスタンパク質の合成を指揮する。組み込みの結果、ウイルス遺伝子配列がレシピエント細胞およびその子孫で保持される。レトロウイルスゲノムは、3つの遺伝子、gag、pol、およびenvを含み、該3つの遺伝子は、それぞれ、キャプシドタンパク質、ポリメラーゼ酵素、およびエンベロープ成分をコードする。gag遺伝子の上流に見出される配列は、ゲノムをビリオンにパッケージングするためのシグナルを含む。2つの長末端反復(LTR)配列がウイルスゲノムの5'および3'末端に存在する。これらは強力なプロモーターおよびエンハンサー配列を含み、宿主細胞ゲノムへの組み込みにも必要とされる(Coffin, 1990)。
レトロウイルスベクターを構築するために、1種以上の、目的のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列をコードする核酸を特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入し、複製欠損のウイルスを得る。ビリオンを得るために、gag、pol、およびenv遺伝子を含むが、LTRおよびパッケージング成分を有さないパッケージングセルラインを構築する(Mann et al., 1983)。レトロウイルスLTRおよびパッケージング配列とともに、cDNAを含む組み換えプラスミドをこのセルラインに導入する(例えばリン酸カルシウム沈殿によって)と、パッケージング配列は組み換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子にパッケージングされることを可能にし、それは次いで培養培地中に分泌される(Nicolas & Rubenstein, 1988; Temin, 1986; Mann et al., 1983)。次いで組み換えレトロウイルスを含む培地を回収し、場合により濃縮し、遺伝子導入に使用する。レトロウイルスベクターは幅広い種類の細胞タイプに感染することができる。しかし、組み込みおよび安定な発現は宿主細胞の分裂を必要とする(Paskind et al., 1975)。
レトロウイルスベクターの特異的ターゲティングを可能にするために設計された新規アプローチが、ウイルスエンベロープへのラクトース残基の化学的付加によるレトロウイルスの化学修飾に基づいて最近開発された。この修飾は、シアロ糖タンパク質受容体を介する肝細胞への特異的感染を可能にする。
レトロウイルスのエンベロープタンパク質に対するビオチン化抗体および特定の細胞受容体に対するビオチン化抗体を使用する、組み換えレトロウイルスをターゲティングするための異なるアプローチが設計された。該抗体は、ストレプトアビジンを使用してビオチン成分を介してカップリングされた(Roux et al., 1989)。主要組織適合複合体クラスIおよびクラスII抗原に対する抗体を使用して、それらは、該表面抗原を有する種々のヒト細胞への、in vitroでのエコトロピックウイルスの感染を示した(Roux et al., 1989)。
3. アデノ随伴ウイルス
AAV (Ridgeway, 1988; Hermonat & Muzycska, 1984)は、アデノウイルスストックの汚染として発見されたパロウイルス(parovirus)である。それは、いかなる疾患とも関連付けられていない遍在性ウイルスである(米国ヒト集団の85%に抗体が存在する)。このウイルスは、ディペンドウイルスとしても分類される。その理由は、その複製がアデノウイルスなどのヘルパーウイルスの存在に依存するからである。5種の血清型が単離されていて、そのうち、AAV-2が最もよく特徴付けられている。AAVは、キャプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3に包まれて直径20〜24 nmの二十面体ビリオンを形成している一本鎖線状DNAを有する(Muzyczka & McLaughlin, 1988)。
AAV DNAは約4.7キロベース長である。それは2つのオープンリーディングフレームを含み、2つのITRが隣接している。AAVゲノムには2つの主要な遺伝子: repおよびcapが存在する。rep遺伝子はウイルス複製を担うタンパク質をコードし、capはキャプシドタンパク質VP1〜3をコードする。各ITRはT型ヘアピン構造を形成する。これらの末端反復は、染色体組み込みのためのAAVの唯一の必須のシス成分である。したがって、すべてのウイルスコード配列を除去しかつ送達用の遺伝子のカセットによって置換して、AAVをベクターとして使用することができる。3種のウイルスプロモーターが特定され、それらのマップ位置にしたがって、p5、p19、およびp40と命名されている。p5およびp19からの転写はrepタンパク質の生産を生じさせ、p40からの転写はキャプシドタンパク質を生じさせる(Hermonat & Muzyczka, 1984)。
研究者にrAAVを発現ベクターとして使用する可能性を研究するよう促したいくつかの要因が存在する。1つは、宿主染色体に組み込むために遺伝子を送達するための必要条件が驚くべきことにほとんどないことである。145-bp ITRを有することが必要であり、それはAAVゲノムのほんの6%である。これは、4.5-kb DNA挿入物を組み立てるためのベクター中の余地を残す。この収容能力はAAVが大きい遺伝子を送達することを妨げるが、アンチセンス構築物の送達に十分に適している。
AAVはまた、その安全性のおかげで送達ビヒクルの良好な選択肢である。比較的複雑な救出メカニズムが存在する: 野生型アデノウイルスだけでなく、AAV遺伝子もまた、rAAVの動員に必要とされる。同様に、AAVは病原性でなく、いずれの疾患とも関連しない。ウイルスコード配列の除去により、ウイルス遺伝子発現に対する免疫反応が最小になり、したがって、rAAVは炎症反応を誘起しない。
4. 発現構築物としての他のウイルスベクター
オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列を宿主細胞へ送達するための本発明の発現構築物として他のウイルスベクターを用いることができる。ワクシニアウイルス(Ridgeway, 1988; Coupar et al., 1988)、レンチウイルス、ポリオウイルスおよびヘルペスウイルスなどのウイルス由来のベクターを用いることができる。鶏痘由来のベクターなどの他のポックスウイルス由来のベクターが有用であることも予測される。それらは、種々の哺乳類細胞でのいくつかの魅力的特徴を提供する(Friedmann, 1989; Ridgeway, 1988; Coupar et al., 1988; Horwich et al., 1990)。
欠損B型肝炎ウイルスの最近の認識で、種々のウイルス配列の構造と機能の関係に新規洞察が得られた。in vitro研究で、該ウイルスがそのゲノムの80%までの欠失にもかかわらずヘルパー依存的パッケージングおよび逆転写の能力を保持することが示された(Horwich et al., 1990)。このことは、該ゲノムの大部分を外来遺伝物質で置換できることを示唆した。肝親和性(hepatotropism)および持続(組み込み)は、肝臓特異的(liver-directed)遺伝子導入に特に魅力的な特性である。Chang et al. (1991)は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子をアヒルB型肝炎ウイルスゲノムにポリメラーゼ、表面、および前表面(pre-surface)コード配列の代わりに導入した。それはトリ肝細胞腫セルラインに野生型ウイルスとともに同時トランスフェクトされた。高い力価の組み換えウイルスを含む培養培地を使用して、初期の(primary)子ガモ肝細胞を感染させた。トランスフェクションの少なくとも24日後に安定なCAT遺伝子発現を検出した(Chang et al., 1991)。
追加の「ウイルス」ベクターには、ウイルス様粒子(VLP)およびファージが含まれる。
5. 非ウイルス性ベクター
本発明のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列の発現を実施するために、発現構築物を細胞中に送達しなければならない。この送達は、セルラインの形質転換のための実験手順のようにin vitroで達成するか、または特定の疾患状態の治療のようにin vivoまたはex vivoで達成することができる。上記のように、好ましい送達メカニズムの1つはウイルス感染による送達であり、この場合、発現構築物は感染性ウイルス粒子にカプセル化される。
発現構築物が細胞中に送達されたら、所望のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列をコードする核酸を、種々の部位に配置して発現させることができる。特定の実施形態では、構築物をコードする核酸を細胞のゲノムに安定に組み込むことができる。この組み込みは、相同組み換え(遺伝子置換)によって特異的位置および方向での組み込みであるか、またはそれをランダムな非特異的位置で組み込んでよい(遺伝子付加)。さらに別の実施形態では、核酸を、分離したエピソームセグメントのDNAとして細胞中で安定に維持することができる。そのような核酸セグメントまたは「エピソーム」は、宿主細胞周期と無関係の、または同期した、維持および複製を可能にするために十分な配列をコードする。どのように発現構築物を細胞に送達するか、および細胞のどこに核酸がとどまるかは、用いられる発現構築物のタイプに依存する。
本発明の特定の実施形態では、1種以上のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列を含む発現構築物は、単に、裸の組み換えDNAまたはプラスミドから構成されてよい。構築物の導入は、例えば、物理的または化学的に細胞膜を透過性にする任意の方法によって実施することができる。これは特にin vitroでの導入に適用可能であるが、in vivoでの使用にも同様に適用することができる。Dubensky et al. (1984)は、リン酸カルシウム沈殿物の形態のポリオーマウイルスDNAを、活動性ウイルス複製および急性感染を示す成体および新生児マウスの肝臓および脾臓に注入することに成功した。Benvenisty & Reshef (1986)はまた、リン酸カルシウム沈殿プラスミドの直接腹腔内注射が、トランスフェクトされた遺伝子の発現を生じさせることを示した。目的の遺伝子をコードするDNAをin vivoで類似の様式で導入し、遺伝子産物を発現してもよいことが想定される。
裸のDNA発現構築物を細胞に導入するための本発明の別の実施形態は、微粒子銃を含む。この方法は、DNAでコーティングされた微粒子を、それらが細胞膜を突き破って、細胞を死滅させずに細胞に入ることを可能にする高速にまで加速する能力に依存する(Klein et al., 1987)。小さい粒子を加速するためのいくつかのデバイスが開発された。そのようなデバイスの1つは、電流を生成するための高電位放電に依存し、そして電流が輸送力を提供する(Yang et al., 1990)。使用される微粒子は、生物学的に不活性な物質、例えばタングステンまたは金ビーズから構成されている。
ラットおよびマウスの肝臓、皮膚、および筋組織を含む選択器官にin vivoで粒子を衝突させた(Yang et al., 1990; Zelenin et al., 1991)。これは、銃と標的器官との間のすべての介在組織を排除するために組織または細胞の外科的露出、すなわちex vivo処置を必要とする。やはり、特定の遺伝子をコードするDNAをこの方法によって送達することができ、引き続き組み入れることができる。
送達方法として細菌を利用してもよく(例えばリステリア(WO2004/11048を参照のこと))、特にBCGを利用できる。
ポリペプチド組成物
一般に、本発明で有用なポリペプチドは、単離されたポリペプチド(すなわち、天然で通常一緒に見出される成分から分離されたポリペプチド)である。
例えば、天然に存在するタンパク質は、天然の系で共存する物質の一部またはすべてから分離されている場合に、単離されている。好ましくは、そのようなポリペプチドは、少なくとも約90%純度であり、より好ましくは少なくとも約95%純度であり、最も好ましくは少なくとも約99%純度である。ポリヌクレオチドは、例えば、天然環境の一部ではないベクターにクローニングされている場合に、単離されているとする。
ポリペプチドは、任意の種々の周知の技術を使用して製造することができる。上記DNA配列によってコードされる組み換えポリペプチドは、当業者に公知の任意の種々の発現ベクターを使用してDNA配列から容易に製造することができる。組み換えポリペプチドをコードするDNA分子を含む発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた任意の適切な宿主細胞で発現を達成することができる。好適な宿主細胞には、原核生物、酵母、および高等真核細胞、例えば哺乳類細胞および植物細胞が含まれる。好ましくは、用いられる宿主細胞は、E. coli、酵母または哺乳類セルライン、例えばCOSまたはCHOである。組み換えタンパク質またはポリペプチドを培養培地中に分泌する好適な宿主/ベクター系由来の上清を、市販のフィルターを使用して最初に濃縮する。濃縮後、濃縮物を好適な精製基質、例えば親和性基質またはイオン交換樹脂にアプライする。最後に、1回以上の逆相HPLCステップを用いて、組み換えポリペプチドをさらに精製することができる。
約100アミノ酸未満、一般に約50アミノ酸未満を有する本発明のポリペプチド、その免疫原性断片、および他の変異体は、当業者に周知の技術を使用する合成手段によって作製してもよい。例えば、そのようなポリペプチドは、成長中のアミノ酸鎖にアミノ酸を逐次付加する、Merrifield固相合成法などの商業的に利用可能な固相技術のいずれかを使用して合成することができる。Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2146 (1963)を参照のこと。ポリペプチドの自動合成のための設備はPerkin Elmer/Applied BioSystems Division (Foster City, CA)などの供給元から市販されており、製造元の指示にしたがって操作することができる。
ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書中に記載の複数のポリペプチドを含むか、または本明細書中に記載の少なくとも1つのポリペプチドおよび無関係の配列(そのようなタンパク質の例には、破傷風、結核および肝炎タンパク質が含まれる)を含む融合タンパク質であってよい(例えばStoute et al., New Engl. J. Med. 336:86-91 (1997)を参照のこと)。融合パートナーは、例えば、Tヘルパーエピトープ、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープの提供を支援する(免疫学的融合パートナー)か、または天然の組み換えタンパク質より高い収率でのタンパク質の発現を支援する(発現エンハンサー)ことができる。特定の好ましい融合パートナーは、免疫学的でかつ発現を増強する融合パートナーである。他の融合パートナーは、タンパク質の溶解度を増加させるかまたはタンパク質を所望の細胞内区画へターゲティングすることを可能にするように選択することができる。さらに別の融合パートナーには、親和性タグが含まれ、それはタンパク質の精製を容易にする。
融合タンパク質は、一般に、化学的コンジュゲーションを含む標準的技術を使用して製造することができる。好ましくは、融合タンパク質を組み換えタンパク質として発現させ、発現系において、未融合タンパク質と比べて高いレベルの生産を可能にする。簡潔に言えば、ポリペプチド成分をコードするDNA配列を別々に組み立て、適切な発現ベクター中にライゲートする。1ポリペプチド成分をコードするDNA配列の3'末端を、ペプチドリンカーを用いるか用いずに、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5'末端に、配列のリーディングフレームが同期するようにライゲートする。これにより、両成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一融合タンパク質への翻訳が可能になる。
ペプチドリンカー配列を用いて、各ポリペプチドがその二次および三次構造にフォールディングするよう確保するために十分な距離だけ第1および第2のポリペプチド成分を分離することができる。そのようなペプチドリンカー配列は、当技術分野で周知の標準的技術を使用して融合タンパク質に組み入れられる。好適なペプチドリンカー配列は、以下の要因: (1) フレキシブルな伸びたコンフォメーションをとる、その能力; (2) 第1および第2のポリペプチド上の機能的エピトープと相互作用できる二次構造をとれない、その無能性; および(3) ポリペプチド機能的エピトープと反応するかもしれない疎水性または荷電残基の欠如、に基づいて選択することができる。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含む。他の中性付近のアミノ酸、例えばThrおよびAlaをリンカー配列中で使用してもよい。リンカーとして有用に用いられるアミノ酸配列には、Maratea et al., Gene 40:39-46 (1985); Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258-8262 (1986); 米国特許No. 4,935,233および米国特許No. 4,751,180で開示されるものが含まれる。リンカー配列は、一般に、1〜約50アミノ酸長である。第1および第2のポリペプチドが、機能的ドメインを分離して立体的干渉を妨げるために使用できる非必須のN末端アミノ酸領域を有する場合、リンカー配列は必要とされない。
好ましい実施形態では、免疫学的融合パートナーは、グラム陰性菌Haemophilus influenza Bの表面タンパク質であるプロテインD由来である(WO 91/18926)。好ましくは、プロテインD誘導体は該タンパク質の最初の約1/3 (例えば最初のN末端の100〜110アミノ酸)を含み、プロテインD誘導体は脂質化することができる。特定の好ましい実施形態では、リポプロテインD融合パートナーの最初の109残基をN末端に含ませて、追加の外因性T細胞エピトープを有するポリペプチドを提供し、E. coliでの発現レベルを増加させる(ゆえに、発現エンハンサーとして機能する)。脂質尾部は、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を確保する。他の融合パートナーには、インフルエンザウイルス由来の非構造タンパク質である、NS1 (赤血球凝集素(hemaglutinin))が含まれる。典型的に、N末端の81アミノ酸を使用するが、Tヘルパーエピトープを含む異なる断片を使用することができる。
別の実施形態では、免疫学的融合パートナーはLYTAとして知られるタンパク質、またはその部分(好ましくはC末端部分)である。LYTAはStreptococcus pneumoniae由来であり、Streptococcus pneumoniaeは、アミダーゼLYTAとして知られるN-アセチル-L-アラニンアミダーゼ(LytA遺伝子によってコードされる)を合成する(Gene 43:265-292 (1986))。LYTAは、ペプチドグリカン主鎖中の特定の結合を特異的に分解する自己溶菌酵素である。LYTAタンパク質のC末端ドメインはコリンまたはいくつかのコリン類似体、例えばDEAEとの親和性に関与する。この特性は、融合タンパク質の発現に有用なE. coli C-LYTA発現プラスミドの開発に利用された。C-LYTA断片をアミノ末端に含むハイブリッドタンパク質の精製が報告されている(Biotechnology 10:795-798 (1992)を参照のこと)。好ましい実施形態では、LYTAの反復部分を融合タンパク質に組み入れる。反復部分は、残基178で出発するC末端領域に見出せる。特に好ましい反復部分は残基188〜305を含む。
T細胞
免疫療法組成物は、マイコバクテリウム抗原に特異的なT細胞を、さらに、または代わりに、含んでよい。そのような細胞は、一般に、標準的手順を使用して、in vitroまたはex vivoで調製することができる。例えば、Nexell Therapeutics, Inc. (Irvine, CA)から入手可能なIsolexTM Systemなどの市販の細胞分離系を使用して、T細胞を患者の骨髄、末梢血、または骨髄もしくは末梢血の一部分から単離することができる(米国特許No. 5,240,856; 米国特許No. 5,215,926; WO 89/06280; WO 91/16116およびWO 92/07243も参照のこと)。あるいは、T細胞は、関連のヒトまたは無関係のヒト、非ヒト哺乳類、セルラインまたは培養物由来であってよい。
T細胞を、本発明のポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および/またはそのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)で刺激してもよい。そのような刺激は、該ポリペプチドに特異的なT細胞の生成を可能にするために十分な条件下でかつ時間で実施される。好ましくは、該ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、特異的T細胞の生成を促すために送達ビヒクル、例えばミクロスフェア中に存在する。
T細胞は、該T細胞が特異的に増殖し、サイトカインを分泌するか、または該ポリペプチドでコーティングされた標的細胞もしくは該ポリペプチドをコードする遺伝子を発現する標的細胞を死滅させる場合に、本発明のポリペプチドに特異的であるとする。T細胞の特異性は、任意の種々の標準的技術を使用して評価することができる。例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイでは、ネガティブコントロールと比較して溶解および/または増殖の2倍増加を超える刺激指数はT細胞の特異性を示す。そのようなアッセイは、例えば、Chen et al., Cancer Res. 54:1065-1070 (1994))に記載されるように実施することができる。あるいは、T細胞の増殖の検出は種々の公知技術によって達成することができる。例えば、DNA合成の増加した割合を測定することによってT細胞増殖を検出することができる(例えば、T細胞の培養物をトリチウム化チミジンでパルス標識し、DNAに取り込まれたトリチウム化チミジンの量を測定することによって)。本発明のポリペプチド(100 ng/ml〜100μg/ml、好ましくは200 ng/ml〜25μg/ml)と3〜7日間接触させると、T細胞の増殖の、少なくとも2倍増加が生じるはずである。2〜3時間の上記接触は、標準サイトカインアッセイを使用して測定されるT細胞の活性化を生じさせるはずであり、該アッセイで、サイトカイン放出(例えばTNFまたはIFN-γ)レベルの2倍増加はT細胞の活性化を示す(Coligan et al., Current Protocols in Immunology, vol. 1 (1998)を参照のこと)。ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現APCに応答して活性化されるT細胞は、CD4+および/またはCD8+であってよい。タンパク質特異的T細胞は、標準的技術を使用して増幅させることができる。好ましい実施形態では、T細胞は、患者、関連のドナーまたは無関係のドナー由来であり、刺激および増幅後に患者に投与される。
治療目的で、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはAPCに応答して増殖するCD4+またはCD8+ T細胞の数をin vitroまたはin vivoで増幅させることができる。そのようなT細胞のin vitroでの増殖は、種々の方法で達成することができる。例えば、T細胞増殖因子、例えばインターロイキン-2、および/またはポリペプチドを合成する刺激細胞(stimulator cells)を加えるか加えずに、T細胞を、ポリペプチド、またはそのようなポリペプチドの免疫原性部分に対応する短いペプチドに再曝露することができる。あるいは、タンパク質の存在下で増殖する1種以上のT細胞の数をクローニングによって増幅させることができる。細胞をクローニングするための方法は当技術分野で周知であり、それには限界希釈が含まれる。
医薬組成物
追加の実施形態では、本明細書中で開示されるポリヌクレオチド、ポリペプチド、T細胞および/または抗体組成物を、単独でまたは1種以上の他の治療様式と組み合わせて細胞または動物に投与するために、製薬的に許容されるかまたは生理的に許容される溶液中に製剤化する。
また、所望であれば、本明細書中で開示されるポリペプチドを発現する核酸セグメント(例えばRNAまたはDNA)を、同様に、他の物質、例えば、他のタンパク質またはポリペプチドまたはM. tuberculosis感染に対して有効な化学療法剤を含む種々の医薬活性物質と組み合わせて投与することができることが理解される。実際、追加の物質が標的細胞または宿主組織との接触時に大きな悪影響を引き起こさなければ、含ませてもよい他の成分に実質的に制限はない。ゆえに、該組成物は、特定の場合の必要に応じて、種々の他の物質とともに送達することができる。そのような組成物は宿主細胞または他の生物学的供給源から精製するか、あるいは、本明細書中で記載されるように化学合成することができる。同様に、そのような組成物は、置換または誘導体化RNAもしくはDNA組成物をさらに含んでよい。
例えば、経口、非経口、静脈内、鼻内、および筋肉内投与および製剤を含む種々の治療方式での本明細書中に記載の特定の組成物の使用に好適な投薬および治療方式の開発と同様に、製薬的に許容される賦形剤および担体溶液の製剤は当業者に周知である。他の投与経路には、粘膜面を介する投与が含まれる。
典型的に、治療有効量を含む製剤は、投与あたり約0.1 ug〜約1000 ugのポリペプチド、より典型的には投与あたり約2.5 ug〜約100 ugのポリペプチドを送達する。ポリヌクレオチド組成物に関して、これらは典型的に、投与あたり約10 ug〜約20 mgの本発明のポリヌクレオチド、より典型的には投与あたり約0.1 mg〜約10 mgの本発明のポリヌクレオチドを送達する。
天然には、治療的に有用な各組成物中の活性化合物(群)の量は、任意の所定の単位用量の化合物中で好適な用量が達成されるように調製される。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品保存期間、ならびに他の薬理学的考慮などの要因がそのような医薬製剤を製造する技術分野の当業者によって想定され、そのようなものとして、種々の用量および治療方式が望ましい。
1. 経口送達
特定の適用では、本明細書中で開示される医薬組成物は動物への経口投与によって送達することができる。そのようなものとして、これらの組成物は不活性希釈剤または同化可能な食用担体とともに製剤化するか、またはハードまたはソフトシェルゼラチンカプセルに封入するか、または錠剤に圧縮するか、または規定食の食物とともに直接組み入れることができる。
活性化合物は賦形剤とともに組み入れることさえでき、摂取可能な錠剤、口腔錠(buccal tables)、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェーハ、などの剤形で使用することができる(Mathiowitz et al., 1997; Hwang et al., 1998; 米国特許5,641,515; 米国特許5,580,579および米国特許5,792,451, 各文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)。錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどは、以下のものを含んでもよい: 結合剤、例えばトラガカントガム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチン; 賦形剤、例えばリン酸二カルシウム; 崩壊剤、例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など; 滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム; および甘味剤、例えばスクロース、ラクトースまたはサッカリンを加えることができ、または香味物質、例えばペパーミント、冬緑油、またはチェリー香味物質である。投与単位剤形がカプセルである場合、それは、上記タイプの物質に加えて、液体担体を含んでよい。種々の他の物質を、コーティングとして、または投与単位の物理的剤形を他の様式で修飾するために、存在させてよい。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルをシェラック、糖、または両者でコーティングすることができる。エリキシルのシロップは、活性成分、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素および香味物質、例えばチェリーまたはオレンジ香味を含むことができる。当然、任意の投与単位剤形の調製に使用される任意の物質は、用いられる量で製薬的に純粋でかつ実質的に無毒であるべきである。さらに、活性成分を持続放出調製物および製剤に組み入れることができる。
経口投与では、本発明の組成物は、あるいは、口腔洗浄液、歯磨剤、口腔錠、経口スプレー、または舌下経口投与製剤の剤形に1種以上の賦形剤とともに組み入れることができる。例えば、口腔洗浄液は、必要量の活性成分を適切な溶媒、例えばホウ酸ナトリウム溶液(ドーベル液)に組み入れることによって調製される。あるいは、活性成分を、経口溶液、例えばホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含む経口溶液に組み入れるか、または歯磨剤中に分散させるか、または水、結合剤、研磨剤、香味物質、発泡剤、および湿潤剤を含む組成物に治療有効量で加えることができる。あるいは、該組成物を、舌下に入れるかまたは別の様式で口で溶解させることができる錠剤または溶液剤形にすることができる。
2. 注射送達
特定の状況では、本明細書中で開示される医薬組成物を、米国特許5,543,158; 米国特許5,641,515および米国特許5,399,363 (各文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)に記載されるように、非経口、静脈内、筋肉内、皮内、または、さらには腹腔内で送達することが望ましい。遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液を、界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースと好適に混合された水中で調製することができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中のおよび油中の分散物を調製してもよい。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物は微生物の生育を妨げるための保存剤を含む。
注射用途に好適な医薬剤形には、滅菌水性溶液または分散物および滅菌注射用溶液または分散物の即席調製物用の滅菌粉末が含まれる(米国特許5,466,468, 該文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)。すべての場合で、該剤形は滅菌でなければならず、容易な注射能(syringability)が存在する程度にまで流動性でなければならない。それは製造および保存条件下で安定でなければならず、かつ細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存されねばならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、など)、それらの好適な混合物、および/または植物油を含む溶媒または分散媒であってよい。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散物の場合、必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、などによって促進することができる。多く場合、等張性物質、例えば、糖または塩化ナトリウムを含ませることが好ましい。注射用組成物の長期間の吸収は、吸収を遅延させる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物中での使用によって生じさせることができる。
水性溶液中の非経口投与では、例えば、必要であれば該溶液を好適に緩衝化すべきであり、液体希釈剤を十分な生理食塩水またはグルコースで最初に等張性にすべきである。これらの特定の水性溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に好適である。この関連で、本開示内容を踏まえて、用いることができる滅菌水性媒体を当業者は承知する。例えば、一回量を1 mlの等張性NaCl溶液中に溶解し、1000 mlの皮下注入液に加えるか、または予定の注入部位で注射する(例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 15th Edition, pp. 1035-1038および1570-1580を参照のこと)。治療対象の被験体の症状に応じていくつかの用量バリエーションが必然的に存在する。投与を担う人は、いかなるイベントでも、個別の被験体に適切な用量を決定する。さらに、ヒト投与では、調製物は、FDA Office of Biologics基準によって必要とされる滅菌性、発熱原性、および一般的安全性および純度基準を満たすべきである。
滅菌注射用溶液を、必要に応じて上で列挙される種々の他の成分とともに、適切な溶媒に必要量の活性化合物を組み入れることによって調製し、次いでろ過滅菌する。一般に、基本の分散媒および上で列挙される成分のうちの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクル中に種々の滅菌された活性成分を組み入れることによって分散物を調製する。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、事前に滅菌ろ過されたそれらの溶液から活性成分および任意の追加の所望の成分の粉末を生じさせる真空乾燥および凍結乾燥技術である。
本明細書中で開示される組成物は、中性または塩形態で製剤化することができる。製薬的に許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)が含まれ、それは、無機酸、例えば、塩酸またはリン酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸と形成される。遊離カルボキシル基で形成される塩は、無機塩基、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または第二鉄の水酸化物、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基から得ることもできる。製剤化されたら、投与製剤と適合する様式でかつ治療的に有効であるような量で溶液を投与する。製剤は、注射用溶液、薬物放出カプセル、など種々の剤形で容易に投与される。
本明細書中で使用される「担体」には、任意およびすべての溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張(isotonic)および吸収遅延剤、バッファー、担体溶液、懸濁液、コロイド、などが含まれる。医薬活性物質のためのそのような媒体および物質の使用は当技術分野で周知である。任意の慣用の媒体または物質が活性成分と不適合である場合を除き、治療用組成物でのその使用が想定される。補助活性成分を組成物に組み入れることもできる。
フレーズ「製薬的に許容される」とは、ヒトに投与された場合にアレルギー反応または同様の有害反応を生じさせない分子的実体および組成物を表す。タンパク質を活性成分として含む水性組成物の調製は当技術分野で十分に理解されている。典型的に、そのような組成物は、注射剤として、液体溶液または懸濁液として調製され; 注射前の液体中での溶解または懸濁に好適な固体剤形を調製することもできる。調製物は乳化することもできる。
3. 鼻腔および口腔送達
特定の実施形態では、医薬組成物を、鼻内スプレー、口腔スプレー、吸入、および/または他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達することができる。例えば鼻および口腔エアロゾルスプレーによって遺伝子、核酸、およびペプチド組成物を直接肺に送達するための方法は、例えば、米国特許5,756,353および米国特許5,804,212 (各文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)に記載されている。同様に、鼻内微粒子樹脂(Takenaga et al., 1998)およびリゾホスファチジル・グリセロール化合物(米国特許5,725,871, 該文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)を使用する薬物の送達もまた、製薬技術分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエテイレン(polytetrafluoroetheylene)支持基質の剤形での経粘膜薬物送達は、米国特許5,780,045 (該文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)に記載されている。
4. リポソーム媒介性、ナノカプセル媒介性、および微粒子媒介性送達
特定の実施形態では、発明者らは、本発明の組成物を、好適な宿主細胞に導入するための、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、ミクロスフェア、脂質粒子、小胞、などの使用を想定する。特に、本発明の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフェア、またはナノ粒子などにカプセル化された送達のために製剤化することができる。
そのような製剤は、本明細書中で開示される核酸または構築物の製薬的に許容される製剤の導入のために好ましい。リポソームの形成および使用は当業者に一般に公知である(例えばCouvreur et al., 1977; Couvreur, 1988; Lasic, 1998を参照のこと; 該文献は、細胞内細菌感染および疾患の、標的化された抗生物質治療でのリポソームおよびナノカプセルの使用を記載する)。最近、改良された血清安定性および循環半減期を有するリポソームが開発された(Gabizon & Papahadjopoulos, 1988; Allen and Choun, 1987; 米国特許5,741,516, 該文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)。さらに、薬物担体候補としてのリポソームおよびリポソーム様調製物についての種々の方法がレビューされている(Takakura, 1998; Chandran et al., 1997; Margalit, 1995; 米国特許5,567,434; 米国特許5,552,157; 米国特許5,565,213; 米国特許5,738,868および米国特許5,795,587, 各文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)。
リポソームは、T細胞懸濁、初代肝細胞培養およびPC 12細胞を含む他の手順によるトランスフェクションに通常抵抗性のいくつかの細胞タイプでうまく使用されている(Renneisen et al., 1990; Muller et al., 1990)。さらに、リポソームは、ウイルスに基づく送達系に典型的なDNA長の制約がない。リポソームは、遺伝子、薬物(Heath & Martin, 1986; Heath et al., 1986; Balazsovits et al., 1989; Fresta & Puglisi, 1996)、放射線治療薬(Pikul et al., 1987)、酵素(Imaizumi et al., 1990a; Imaizumi et al., 1990b)、ウイルス(Faller & Baltimore, 1984)、転写因子およびアロステリックエフェクター(Nicolau & Gersonde, 1979)を種々の培養セルラインおよび動物に導入するために効果的に使用されている。さらに、リポソーム媒介性薬物送達の有効性を試験するいくつかの臨床追跡(clinical trails)の成功が完了している(Lopez-Berestein et al., 1985a; 1985b; Coune, 1988; Sculier et al., 1988)。さらに、いくつかの研究により、リポソームの使用が、自己免疫反応、毒性または全身送達後の生殖腺の局在化と関係しないことが示唆される(Mori & Fukatsu, 1992)。
リポソームは、水性媒体に分散され、自発的に多重膜同心二重層小胞(multilamellar concentric bilayer vesicles) (多重膜小胞(MLV)とも称される)を形成するリン脂質から形成される。MLVは、一般に、25 nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理により、核に水性溶液を含む200〜500Åの範囲の直径を有する小さい単層小胞(SUV)の形成が生じる。
リポソームは細胞膜と類似点を有し、ペプチド組成物の担体として本発明とともに使用することが想定される。それらは広く好適である。その理由は、水溶性および脂溶性の両物質が、すなわち、それぞれ、水性空間中および二重層そのものの中に捉えられるからである。リポソーム製剤を選択的に修飾することによって、薬物を保持するリポソームを活性物質の部位特異的送達に用いることさえ可能である。
Couvreur et al. (1977; 1988)の教示内容に加えて、以下の情報をリポソーム製剤の作製に利用することができる。リン脂質は、水に分散されると、脂質と水とのモル比に応じて、リポソーム以外の種々の構造を形成することができる。低い比では、リポソームが優先的構造である。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度および2価カチオンの存在に依存する。リポソームはイオン性および極性物質に対する低い透過性を示すが、高い温度では、それらの透過性を顕著に変化させる相転移を受ける。該相転移は、ゲル状態として知られる密接に詰まった秩序構造から、液体状態として知られるゆるく詰まった低秩序構造への変化を含む。これは、特徴的な相転移温度で生じ、イオン、糖および薬物に対する透過性の増加を生じさせる。
温度に加えて、タンパク質への曝露はリポソームの透過性を変化させる。シトクロムcなどの特定の可溶性タンパク質は、二重層に結合し、変形させ、かつ貫通し、それによって透過性の変化を生じさせる。コレステロールは、明らかに、リン脂質をより密接にパッキングすることによって、タンパク質のこの貫通を阻害する。抗生物質およびインヒビター送達に最も有用なリポソーム構成はコレステロールを含むことが想定される。
溶質をトラップする能力は、異なるタイプのリポソーム間で変動する。例えば、MLVは溶質のトラップで中程度に効率的であるが、SUVは極端に非効率的である。しかし、SUVはサイズ分布の均質性および再現性の利点を提供し、サイズとトラップ効率との間の妥協点は大きい単層小胞(LUV)によって提供される。これらはエーテル蒸発によって調製され、溶質捕捉でMLVより3〜4倍効率的である。
リポソームの特性に加えて、化合物の捕捉に重要な決定要因は化合物そのものの物理化学的特性である。極性化合物は水性空間中にトラップされ、無極性化合物は小胞の脂質二重層と結合する。極性化合物は透過によってまたは二重層が壊れると放出されるが、それが温度またはリポタンパク質への曝露によって崩壊しない限り、無極性化合物は二重層に結び付いたままである。両タイプは相転移温度で最大流出速度を示す。
リポソームは以下の4つの異なるメカニズムによって細胞と相互作用する: マクロファージおよび好中球などの細網内皮系の食細胞によるエンドサイトーシス; 非特異的な弱い疎水性または静電力によるか、または細胞表面成分との特異的相互作用による細胞表面への吸着; 原形質膜へのリポソームの脂質二重層の挿入による形質細胞膜との融合および細胞質へのリポソーム内容物の同時放出; およびリポソーム内容物のいかなる結合も伴わない、細胞膜または細胞内膜(subcellular membranes)へのリポソーム脂質の導入、またはその逆、による。どのメカニズムが作用しているかを決定することはしばしば困難であり、1種以上が同時に作用することがある。
静脈内注射されるリポソームの運命および傾向は、それらの物性、例えばサイズ、流動性、および表面電荷に依存する。それらは、その組成に応じて、数時間または数日、組織中で持続し、血液中での半減期は分〜数時間の範囲である。MLVおよびLUVなどの大きいリポソームは細網内皮系の食細胞によって高速に摂取されるが、そのような大きい分子種の退去はほとんどの部位で循環系の生理学によって制限される。それらは、肝臓または脾臓のシヌソイドなどの毛細血管内皮中の大きい開口部または孔が存在する場所でのみ退去することができる。ゆえに、これらの器官は主な取り込み部位である。一方で、SUVは広い組織分布を示すが、やはり肝臓および脾臓で高度に隔離される。一般に、このin vivo挙動はリポソームのターゲティング可能性を、それらの大きいサイズに利用しやすい器官および組織のみに制限する。これらには、血液、肝臓、脾臓、骨髄、およびリンパ器官が含まれる。
ターゲティングは、一般に、本発明に関する制限ではない。しかし、特異的ターゲティングが所望であれば、これを達成するための方法が利用可能である。リポソーム表面と結合するために抗体を使用して、該抗体およびその薬物内容物を、特定の細胞タイプの表面上に位置する特定の抗原性受容体に向けることができる。炭水化物決定基(細胞-細胞認識、相互作用および接着に役割を果たす糖タンパク質または糖脂質細胞表面成分)を認識部位として使用してもよい。その理由は、それらが、リポソームを特定の細胞タイプに向ける潜在能力を有するからである。ほとんどの場合、リポソーム調製物の静脈内注射を使用することが想定されるが、他の投与経路も考えられる。
あるいは、本発明は、本発明の組成物の、製薬的に許容されるナノカプセル製剤を提供する。ナノカプセルは、一般に、安定でかつ再現可能な様式で化合物を捕捉する(Henry-Michelland et al., 1987; Quintanar-Guerrero et al., 1998; Douglas et al., 1987)。細胞内ポリマーの過負荷に起因する副作用を回避するために、in vivoで分解可能なポリマーを使用してそのような超微細粒子(約0.1μmのサイズ)を設計すべきである。これらの必要条件を満たす生分解性ポリアルキル-シアノアクリラートナノ粒子が本発明での使用に想定される。そのような粒子は報告されているように容易に作製することができる(Couvreur et al., 1980; 1988; zur Muhlen et al., 1998; Zambaux et al. 1998; Pinto-Alphandry et al., 1995および米国特許5,145,684, 該文献は参照によりその全体がここに具体的に組み入れられる)。
経皮送達に皮膚パッチを利用してもよい。
免疫原性組成物
本発明の特定の好ましい実施形態では、免疫原性組成物が提供される。該免疫原性組成物は、一般に、1種以上のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、例えば上で考察されるものを、免疫賦活剤と組み合わせて含む。免疫賦活剤は、外因性抗原に対する免疫応答(抗体および/または細胞によって媒介される)を高めるかまたは増強する任意の物質であってよい。免疫賦活剤の例には、アジュバント、生分解性ミクロスフェア(例えばポリ乳酸ガラクチド(polylactic galactide))およびリポソーム(その中に化合物が組み入れられる)が含まれる(例えばFullerton, 米国特許No. 4,235,877を参照のこと)。
免疫原性組成物の製造は、一般に、例えばPowell & Newman, eds., Vaccine Design (the subunit and adjuvant approach) (1995)に記載される。本発明の範囲内の医薬組成物および免疫原性組成物は他の化合物を含んでもよく、該化合物は生物学的に活性でも不活性でもよい。例えば、医薬組成物または免疫原性組成物内に、融合ポリペプチドに組み込まれるかまたは分離した化合物として、1種以上の、他のM. tuberculosis抗原の免疫原性部分が存在してよい。
説明のための免疫原性組成物は、1種以上の上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えばDNA)を、該ポリペプチドがin situで生成する(それによって免疫応答が誘発される)ように含んでよい。上記のように、DNAは、核酸発現系、細菌およびウイルス発現系を含む当業者に公知の任意の種々の送達系内に存在してよい。多数の遺伝子送達技術が当技術分野で周知であり、例えばRolland, Crit. Rev. Therap. Drug Carrier Systems 15:143-198 (1998)、および該文献で引用される参考文献に記載されるものである。適切な核酸発現系は、患者での発現に必要なDNA配列を含む(例えば好適なプロモーターおよび終結シグナル)。細菌送達系は、該ポリペプチドを発現する(例えばその細胞表面上に発現するかまたは該ポリペプチドを分泌する)細菌宿主細胞(例えば、カルメット・ゲラン桿菌またはLactococcus lactisを含むマイコバクテリウム、バチルスまたはラクトバチルス株)の投与を含む(例えば、Ferreira, et al., An Acad Bras Cienc (2005) 77:113-124; およびRaha, et al., Appl Microbiol Biotechnol (2005) PubMedID 15635459を参照のこと)。好ましい実施形態では、ウイルス発現系(例えばワクシニアまたは他のポックスウイルス、レトロウイルス、またはアデノウイルス)を使用してDNAを導入することができ、それには、非病原性(欠損)の複製可能ウイルスの使用が含まれる。好適な系は、例えば、Fisher-Hoch et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:317-321 (1989); Flexner et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 569:86-103 (1989); Flexner et al., Vaccine 8:17-21 (1990); 米国特許Nos. 4,603,112, 4,769,330, および5,017,487; WO 89/01973; 米国特許No. 4,777,127; GB 2,200,651; EP 0,345,242; WO 91/02805; Berkner, Biotechniques 6:616-627 (1988); Rosenfeld et al., Science 252:431-434 (1991); Kolls et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:215-219 (1994); Kass-Eisler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11498-11502 (1993); Guzman et al., Circulation 88:2838-2848 (1993); およびGuzman et al., Cir. Res. 73:1202-1207 (1993)に開示される。DNAをそのような発現系に組み込むための技術は当業者に周知である。DNAは、例えばUlmer et al., Science 259:1745-1749 (1993)に記載されかつCohen, Science 259:1691-1692 (1993)でレビューされる「裸の」DNAであってもよい。細胞内に効率的に輸送される生分解性ビーズにDNAをコーティングすることによって、裸のDNAの取り込みを増加させることができる。免疫原性組成物はポリヌクレオチドおよびポリペプチドの両成分を含んでよいことが明らかである。そのような免疫原性組成物は、増強された免疫応答を提供することができる。
免疫原性組成物は、本明細書中で提供されるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製薬的に許容される塩を含んでよいことが明らかである。そのような塩は、有機塩基(例えば、一級、二級および三級アミンおよび塩基性アミノ酸の塩)および無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩)を含む製薬的に許容される無毒の塩基から調製することができる。
当業者に公知の任意の好適な担体を本発明の免疫原性組成物中で用いることができるが、担体のタイプは投与様式に応じて変動する。本発明の組成物は、例えば、局所、経口、経鼻、静脈内、頭蓋内、腹腔内、皮下または筋肉内投与を含む任意の適切な投与様式のために製剤化することができる。皮下注射などの非経口投与では、担体は、好ましくは、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックスまたはバッファーを含む。経口投与では、任意の上記担体または固体担体、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムを用いることができる。生分解性ミクロスフェア(例えばポリ乳酸 ポリグリコール酸)を本発明の医薬組成物の担体として用いてもよい。好適な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許Nos. 4,897,268; 5,075,109; 5,928,647; 5,811,128; 5,820,883; 5,853,763; 5,814,344および5,942,252に開示される。米国特許No. 5,928,647に記載の微粒子-タンパク質複合体を含む担体を用いてもよく、該複合体は、宿主で、クラスI拘束性細胞傷害性Tリンパ球応答を誘発することが可能である。
そのような組成物は、バッファー(例えば、中性緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸、例えばグリシン、酸化防止剤、静菌剤、キレート剤、例えばEDTAまたはグルタチオン、アジュバント(例えば水酸化アルミニウム)、製剤をレシピエントの血液と等張性、低張性または弱い高張性にする溶質、懸濁化剤、増粘剤および/または保存剤を含んでもよい。あるいは、本発明の組成物は凍結乾燥物(lyophilizate)として製剤化することができる。周知のテクノロジーを使用して、化合物をリポソーム内にカプセル化してもよい。
任意の種々の免疫賦活剤を本発明の免疫原性組成物中で用いることができる。例えば、アジュバントを含ませることができる。ほとんどのアジュバントは、水酸化アルミニウムまたは鉱油などの、迅速な異化作用から抗原を保護するように設計された物質およびリピドA、Bortadella pertussisまたはマイコバクテリウム種またはマイコバクテリウム由来のタンパク質などの免疫応答の刺激因子を含む。例えば、脱脂質化、脱糖脂質化M. vaccae (「pVac」)を使用することができる。好適なアジュバントは、例えば、フロイント不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MI); Merck Adjuvant 65 (Merck and Company, Inc., Rahway, NJ); AS01B、AS02A、AS15、AS-2およびそれらの誘導体(GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA); CWS (結核菌(tubercule bacillus)由来の細胞壁骨格)、TDM (トレハロースジコリノミコラート(trehalose dicorynomycolate))、Leif (リーシュマニア伸長開始因子)、アルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム; カルシウム、鉄または亜鉛の塩; アシル化チロシンの不溶性懸濁液; アシル化糖; カチオン的またはアニオン的に誘導体化された(cationically or anionically derivatized)多糖; ポリホスファゼン(polyphosphazenes); 生分解性ミクロスフェア; モノホスホリルリピドA(MPL(登録商標)); およびquil A (例えばQS-21)として市販されている。GM-CSFまたはインターロイキン-2、-7、または-12などのサイトカインをアジュバントとして使用してもよい。
アジュバントとは、抗原に対する特異的免疫応答を増加させるワクチンまたは治療用組成物中の成分を表す(例えばEdelman, AIDS Res. Hum Retroviruses 8:1409-1411 (1992)を参照のこと)。アジュバントはTh1-型およびTh-2型応答の免疫応答を誘発する。Th1-型サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-2、およびIL-12)は、投与された抗原に対する細胞性免疫応答の誘発を促進する傾向があり、Th-2型サイトカイン(例えば、IL-4、IL-5、Il-6、IL-10)は体液性免疫応答の誘発を促進する傾向がある。Th-1細胞性免疫応答を優先的に刺激可能なアジュバントはWO 94/00153およびWO 95/17209に記載される。
本明細書中で提供される免疫原性組成物のうち、アジュバント組成物は、好ましくは、Th1型優勢の免疫応答を誘発するように設計される。本明細書中で提供される免疫原性組成物の適用後、患者は、典型的に、Th1型およびTh2型応答を含む免疫応答を支持する。応答が主にTh1型である好ましい実施形態では、Th1型サイトカインのレベルがTh2型サイトカインのレベルより高い程度にまで増加する。これらのサイトカインのレベルは標準アッセイを使用して容易に評価することができる。サイトカインファミリーのレビューに関しては、Janeway, et al., Immunobiology, 5th Edition, 2001を参照のこと。
Rv3616c組成物は、通常、1種以上のアジュバント、例えば、AS01B (リポソーム製剤中の3-de-O-アシル化モノホスホリルリピドA (3D-MPL(登録商標))およびQS21; 米国特許公開No. 2003/0143240を参照のこと); AS02A (3D-MPL(登録商標)およびQS21および水中油エマルジョン; Bojang, et al., Lancet (2001) 358:1927を参照のこと); , ENHANZYN(登録商標) (Detox); 3D-MPL(登録商標); サポニン、例えばQuil Aおよびその成分、例えばQS21およびサポニン模擬体; CWS (結核菌由来の細胞壁骨格); TDM (トレハロースジコリノミコラート); アミノアルキルグルコサミニド4-ホスファート(aminoalkyl glucosaminide 4-phosphates) (AGP); 免疫賦活オリゴヌクレオチド(oligonucleoptides)、例えばCPG; Leif (リーシュマニア伸長開始因子); およびそれらの誘導体を含む。好ましい実施形態では、Rv3616cポリペプチドは、リポソーム製剤中の3D-MPL(登録商標)およびQS21、例えばAS01Bおよび3D-MPL(登録商標)およびQS21および水中油エマルジョン(例えばAS02A)からなる群から選択される1種以上のアジュバントとともに投与される。アジュバント系AS01BおよびAS02AはPichyangkul, et al., Vaccine (2004) 22:3831-40にさらに記載される。
Rv3616c抗原を核酸として送達する場合、それは、例えば、ウイルスベクター(すなわちアデノウイルスベクター)、または突然変異型細菌宿主細胞(すなわち、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)およびLactococcus lactisを含む突然変異型非病原性マイコバクテリウム、ラクトバチルスまたはバチルス宿主細胞)中で送達することができる。
Th1型優勢の応答の誘発に使用するために好ましいアジュバントには、例えば、場合によりアルミニウム塩を伴うモノホスホリルリピドA (MPL (登録商標))、好ましくは3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA (3D-MPL(登録商標))の組み合わせが含まれる(例えば、Ribi, et al., 1986, Immunology and Immunopharmacology of Bacterial Endotoxins, Plenum Publ. Corp., NY, pp. 407-419; GB 2122204B; GB 2220211; およびUS 4,912,094を参照のこと)。3D-MPL(登録商標)の好ましい形態は直径0.2mm未満の小さい粒径を有するエマルジョンの形態であり、その製造方法はWO 94/21292に開示される。モノホスホリルリピドAおよび界面活性剤を含む水性製剤はWO 98/43670に記載されている。例示的な好ましいアジュバントには、AS01B (リポソーム製剤中のMPL(登録商標)およびQS21)、リポソーム製剤中の3D-MPL(登録商標)およびQS21、AS02A (MPL(登録商標)およびQS21および水中油エマルジョン)、3D-MPL(登録商標)およびQS21および水中油エマルジョン、およびGlaxoSmithKlineから入手可能なAS15が含まれる。MPL(登録商標)アジュバントはGlaxoSmithKlineから入手可能である(米国特許Nos. 4,436,727; 4,877,611; 4,866,034および4,912,094を参照のこと)。
CpG含有オリゴヌクレオチド(CpGジヌクレオチドはメチル化されていない)もまた、主にTh1の応答を誘発する。CpGは、DNA中に存在するシトシン-グアノシンジヌクレオチドモチーフの略語である。そのようなオリゴヌクレオチドは周知であり、例えば、WO 96/02555、WO 99/33488および米国特許Nos. 6,008,200および5,856,462に記載されている。免疫賦活性DNA配列もまた、例えば、Sato et al., Science 273:352 (1996)に記載されている。CpGは、免疫原性組成物に製剤化された場合、一般に、遊離溶液中で遊離抗原とともに投与される(WO 96/02555; McCluskie and Davis, 上記)か、または抗原に共有結合によってコンジュゲートされる(WO 98/16247)か、または水酸化アルミニウムなどの担体を用いて製剤化される((肝炎表面抗原) Davis et al. 上記; Brazolot-Millan et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 1998, 95(26), 15553-8)。CpGは、全身経路および粘膜経路の両経路によって投与できるアジュバントであることが当技術分野で公知である(WO 96/02555, EP 468520, Davis et al., J.Immunol, 1998, 160(2):870-876; McCluskie and Davis, J.Immunol., 1998, 161(9):4463-6)。
別の好ましいアジュバントはサポニンまたはサポニン模擬体または誘導体、例えばQuil A、好ましくはQS21 (Aquila Biopharmaceuticals Inc., Framingham, MA)であり、それは単独でまたは他のアジュバントと組み合わせて使用することができる。例えば、増強された系は、モノホスホリルリピドA (MPL(登録商標))およびサポニン誘導体の組み合わせ、例えば、WO 94/00153に記載のQS21および3D-MPL(登録商標)の組み合わせ、またはWO 96/33739に記載の、QS21がコレステロールでクエンチされている低反応原性組成物(less reactogenic composition)を含む。他の好ましい製剤は水中油エマルジョンおよびトコフェロールを含む。水中油エマルジョン中にQS21、3D-MPL(登録商標)およびトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤はWO 95/17210に記載される。本発明で有用な追加のサポニンアジュバントには、QS7 (WO 96/33739およびWO 96/11711に記載される)およびQS17 (米国特許No. 5,057,540およびEP 0 362 279 B1に記載される)が含まれる。
あるいは該サポニン製剤を、キトサンまたは他のポリカチオンポリマー、ポリラクチドおよびポリラクチド-co-グリコリド粒子、ポリ-N-アセチルグルコサミンに基づくポリマー基質、多糖または化学修飾された多糖からなる粒子、リポソームおよび脂質に基づく粒子、グリセロールモノエステルからなる粒子、などからなるワクチンビヒクルと組み合わせることができる。サポニンは、コレステロールの存在下で製剤化して、リポソームまたはISCOM(登録商標)などの粒子状構造を形成させてもよい。さらに、サポニンを、非粒子状溶液または懸濁液中、または粒子状構造、例えば少数層の(paucilamelar)リポソームまたはISCOM(登録商標)中でポリオキシエチレンエーテルまたはエステルとともに製剤化することができる。サポニンは、粘性を増加させるためにCARBOPOL(登録商標)などの賦形剤とともに製剤化するか、または、ラクトースなどの粉末賦形剤とともに乾燥粉末剤形で製剤化してもよい。
一実施形態では、アジュバント系には、モノホスホリルリピドAおよびサポニン誘導体の組み合わせ、例えばWO 94/00153に記載のQS21および3D-MPL(登録商標)アジュバントの組み合わせ、またはWO 96/33739に記載のQS21がコレステロール含有リポソームでクエンチされている低反応原性組成物が含まれる。他の好適な製剤は水中油エマルジョンおよびトコフェロールを含む。水中油エマルジョン中のQS21、3D-MPL(登録商標)アジュバントおよびトコフェロールを用いる別の好適なアジュバント製剤はWO 95/17210に記載される。
別の増強されたアジュバント系は、CpG含有オリゴヌクレオチドおよびサポニン誘導体の組み合わせ、特にWO 00/09159で開示されるCpGおよびQS21の組み合わせを含む。好適には、該製剤は水中油エマルジョンおよびトコフェロールをさらに含む。
他の好適なアジュバントには、MONTANIDE(登録商標) ISA 720 (Seppic, France)、SAF (Chiron, California, United States)、ISCOMS(登録商標) (CSL)、MF-59 (Chiron)、SBASシリーズのアジュバント(SmithKline Beecham, Rixensart, Belgium)、Detox (Corixa)、RC-529 (Corixa)および他のアミノアルキルグルコサミニド4-ホスファート(AGP)、例えば係属中の米国特許出願Nos. 08/853,826および09/074,720 (該文献の開示内容は参照によりその全体がここに組み入れられる)に記載されるもの、およびポリオキシエチレンエーテルアジュバント、例えばWO 99/52549A1に記載されるものが含まれる。SmithKline BeechamおよびCorixa Corporationは現在GlaxoSmithKlineの一部分である。
他の好適なアジュバントには、以下の一般式(I):
HO(CH2CH2O)n-A-R
(式中、nは1〜50であり、Aは結合または-C(O)-であり、RはC1-50アルキルまたはフェニルC1-50アルキルである)
のアジュバント分子が含まれる。
目的の、別のアジュバントは志賀毒素b鎖であり、例えばWO2005/112991に記載されるように使用される。
本発明の一実施形態は、一般式(I)、式中、nは1〜50の範囲であり、好ましくは4〜24であり、最も好ましくは9であり; R成分はC1-50であり、好ましくはC4-C20アルキルであり、最も好ましくはC12アルキルであり、およびAは結合である、のポリオキシエチレンエーテルを含む免疫原性組成物からなる。ポリオキシエチレンエーテルの濃度は、0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%の範囲であり、最も好ましくは0.1〜1%の範囲であるべきである。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群: ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-9-ステオリルエーテル(polyoxyethylene-9-steoryl ether)、ポリオキシエチレン-8-ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン-4-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-35-ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテルから選択される。ポリオキシエチレンエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテルはMerck index (12th edition: entry 7717)に記載される。これらのアジュバント分子はWO 99/52549に記載される。
本明細書中で提供される任意の免疫原性組成物は、抗原、免疫応答エンハンサーおよび好適な担体または賦形剤の組み合わせを生じさせる周知の方法を使用して調製することができる。本明細書中に記載の組成物は、持続放出製剤(すなわち、投与後に化合物をゆっくり放出させるカプセル、スポンジまたはゲル(例えば多糖からなる)などの製剤)の部分として投与することができる。そのような製剤は、一般に、周知のテクノロジー(例えばCoombes et al., Vaccine 14:1429-1438 (1996)を参照のこと)を使用して調製し、例えば、経口、経直腸もしくは皮下移植によって、または所望の標的部位での移植によって投与することができる。持続放出製剤は、担体マトリックス中に分散され、かつ/または律速メンブレンによって囲まれたリザーバー内に含まれたポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体を含んでよい。
そのような製剤内で使用するための担体は生体適合性であり、生分解性であってもよく; 好ましくは該製剤は比較的一定レベルの活性成分放出を提供する。そのような担体には、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリアクリラート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどの微粒子が含まれる。他の遅延放出担体には、非流動性親水性コア(例えば架橋多糖またはオリゴ糖)および、場合により、リン脂質などの両親媒性化合物を含む外層を含む超分子バイオベクター(biovectors)が含まれる(例えば米国特許No. 5,151,254およびPCT出願WO 94/20078, WO/94/23701およびWO 96/06638を参照のこと)。持続放出製剤内に含まれる活性化合物の量は、移植の部位、放出速度および予測される放出期間に依存する。
任意の種々の送達ビヒクルを医薬組成物および免疫原性組成物中で用いて、抗原特異的免疫応答の発生を促すことができる。送達ビヒクルには、抗原提示細胞(APC)、例えば樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球および効率的APCであるように操作することができる他の細胞が含まれる。そのような細胞は、その必要はないが、遺伝子改変して、抗原を提示する能力を増加させ、T細胞応答の活性化および/または維持を向上させ、かつ/または受け手と免疫学的に適合(すなわち適合したHLAハプロタイプ)させることができる。APCは、一般に、任意の種々の生体液および器官から単離することができ、自己、同種、同系または異種の細胞であってよい。
本発明の特定の好ましい実施形態では、樹状細胞またはその前駆体を抗原提示細胞として使用する。樹状細胞は非常に強力なAPCであり(Banchereau& Steinman, Nature 392:245-251 (1998))、予防的または治療的免疫を誘発するための生理学的アジュバントとして有効であることが示されている(Timmerman & Levy, Ann. Rev. Med. 50:507-529 (1999)を参照のこと)。一般に、樹状細胞は、それらの典型的形状(in situで星状で、in vitroで可視の顕著な細胞質突起(樹状突起)を有する)、高い効率で抗原を摂取し、プロセシングし、かつ提示する、それらの能力、およびナイーブT細胞応答を活性化する、それらの能力に基づいて特定される。樹状細胞は、当然、in vivoまたはex vivoで樹状細胞上で一般に見出されない特定の細胞表面受容体またはリガンドを発現するように操作することができ、そのような改変樹状細胞は本発明によって想定される。樹状細胞の代替として、分泌型小胞の、抗原が積載された樹状細胞(エキソソームと称される)を免疫原性組成物内で使用することができる(Zitvogel et al., Nature Med. 4:594-600 (1998)を参照のこと)。
樹状細胞および前駆体は、末梢血、骨髄、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血または任意の他の好適な組織または液体から取得することができる。例えば、GM-CSF、IL-4、IL-13および/またはTNFαなどのサイトカインの組み合わせを、末梢血から回収された単球の培養物に加えることによって、樹状細胞をex vivoで分化させることができる。あるいは、GM-CSF、IL-3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドおよび/または、樹状細胞の分化、成熟および増殖を誘導する他の化合物(群)の組み合わせを培養培地に加えることによって、末梢血、臍帯血または骨髄から回収されたCD34陽性細胞を樹状細胞に分化させることができる。
樹状細胞は、好都合には、「未成熟」および「成熟」細胞に分類され、それは2つのよく特徴付けられた表現型を区別するシンプルな方法を可能にする。しかし、この命名法は、分化のすべての起こりうる中間段階を除外すると解釈されるべきではない。未成熟樹状細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングの高い能力を有するAPCとして特徴付けられ、それはFcγ受容体およびマンノース受容体の高い発現と相関している。成熟表現型は、典型的に、これらのマーカーの低い発現と、T細胞活性化に関与する細胞表面分子、例えばクラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えばCD54およびCD11)および共刺激分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4-1BB)の高い発現によって特徴付けられる。
APCは、一般に、タンパク質(またはその部分もしくは他の変異体)をコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトして、該ポリペプチドが細胞表面上で発現されるようにすることができる。そのようなトランスフェクションはex vivoで行うことができ、そのようなトランスフェクトされた細胞を含む医薬組成物または免疫原性組成物を、本明細書中に記載のように使用することができる。あるいは、樹状または他の抗原提示細胞を標的にする遺伝子送達ビヒクルを患者に投与して、トランスフェクションをin vivoで生じさせることができる。樹状細胞のin vivoおよびex vivoトランスフェクションは、例えば、一般に、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、WO 97/24447に記載の方法、またはMahvi et al., Immunology and Cell Biology 75:456-460 (1997)に記載の遺伝子銃アプローチを使用して実施することができる。樹状細胞の抗原の積載は、樹状細胞または前駆細胞を、ポリペプチド、DNA (裸のDNAまたはプラスミドベクター内のDNA)またはRNA; または抗原発現組み換え細菌またはウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、アデノウイルスまたはレンチウイルスベクター)とインキュベートすることによって達成することができる。積載前に、該ポリペプチドを、T細胞支援を提供する免疫学的パートナー(例えば担体分子)に共有結合によってコンジュゲートすることができる。あるいは、樹状細胞を、コンジュゲートされていない免疫学的パートナーで、別途または該ポリペプチドの存在下でパルスすることができる。
免疫原性組成物および医薬組成物は、単位用量または複数回用量容器、例えば密封アンプルまたはバイアル中に存在させることができる。そのような容器は、好ましくは、使用まで製剤の滅菌性を保存するために密閉される。一般に、製剤は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンとして保存される。あるいは、免疫原性組成物または医薬組成物を、使用直前に滅菌液体担体を加えることのみを必要とする凍結乾燥条件で保存することができる。
一部の実施形態では、Rv3616cポリペプチド(変異体、免疫原性断片または融合タンパク質を含む)、または該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの「初回抗原刺激」または1回目の投与に続いて、Rv3616cポリペプチド(変異体、免疫原性断片または融合タンパク質を含む)または該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの1回以上の「追加免疫(ブースト)」または後の投与を行う(「初回抗原刺激および追加免疫」法)。例えば、Rv3616cポリペプチド(変異体、免疫原性断片または融合タンパク質を含む)または該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでの1回目の投与に続いて、Rv3616cポリペプチド(変異体、免疫原性断片または融合タンパク質を含む)または該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの1回以上の後の投与を行う。
一実施形態では、Rv3616cポリペプチドまたはポリヌクレオチドでの1回目の投与に続いて、Rv3616cポリペプチドの1回以上の後の投与を行う。一実施形態では、Rv3616cポリペプチドまたはポリヌクレオチドでの1回目の投与に続いて、Rv3616cポリヌクレオチドの1回以上の後の投与を行う。通常、1回目または「初回抗原刺激」の投与および2回目または「追加免疫」の投与は、約2〜12週空けてか、または4〜6か月まで空けて投与される。後の「追加免疫」投与は、約6か月空けるか、または1、2、3、4または5年もの長期間空けて投与される。慣用の追加免疫治療(例えばタンパク質初回抗原刺激投与およびその後のタンパク質追加免疫投与)は、結核の予防または治療(例えば、潜伏結核の予防または治療、特に結核再活性化の予防または遅延)にも有用である。
抗体
「抗体」とは、抗原に特異的に結合してそれを認識する、免疫グロブリン遺伝子由来のフレームワーク領域またはその断片を含むポリペプチドを表す。認識される免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はカッパまたはラムダとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、ひいては、それぞれ、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定義する。
典型的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は四量体を含む。各四量体は、2つの同一ペアのポリペプチド鎖からなり、各ペアは1つの「軽」鎖(約25 kDa)および1つの「重」鎖(約50〜70 kDa)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定する。用語可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)とは、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を表す。
抗体は、例えば、インタクトの免疫グロブリンとして、または種々のペプチダーゼでの消化によって得られるいくつかの十分に特徴付けられた断片として存在する。ゆえに、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下で抗体を消化してF(ab)'2を生じさせる。F(ab)'2は、それ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に連結された軽鎖であるFabの二量体である。F(ab)'2は穏やかな条件下で還元され、ヒンジ領域のジスルフィド結合が切断され、それによってF(ab)'2二量体がFab'単量体に変換される。Fab'単量体は、本質的に、ヒンジ領域の部分を有するFabである(Fundamental Immunology (Paul ed., 3d ed. 1993)を参照のこと)。種々の抗体断片はインタクトの抗体の消化の観点から定義されるが、当業者は、そのような断片を、化学的に、または組み換えDNA方法論を使用して、新規合成することができることを認識する。ゆえに、本明細書中で使用される抗体という用語はまた、完全抗体の改変によって製造された抗体断片または組み換えDNA方法論を使用して新規合成された抗体断片(例えば単鎖Fv)またはファージディスプレイライブラリーを使用して特定された抗体断片(例えばMcCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990)を参照のこと)を含む。
モノクローナルまたはポリクローナル抗体の製造では、当技術分野で公知の任意の技術を使用することができる(例えば、Kohler & Milstein, Nature 256:495-497 (1975); Kozbor et al., Immunology Today 4: 72 (1983); Cole et al., pp. 77-96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy (1985)を参照のこと)。単鎖抗体(米国特許4,946,778)の製造のための技術は、本発明のポリペプチドに対する抗体の製造に合わせて作り変えることができる。また、トランスジェニックマウス、または他の生物、例えば他の哺乳類を使用して、ヒト化抗体を発現することができる。あるいは、ファージディスプレイテクノロジーを使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体およびヘテロマーのFab断片を特定することができる(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554 (1990); Marks et al., Biotechnology 10:779-783 (1992)を参照のこと)。
フレーズ、抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」または「〜と特異的に(または選択的に)免疫反応性」とは、タンパク質またはペプチドに言及する場合、タンパク質および他の生物学的物質(biologics)の不均質集団中の該タンパク質の存在を決定する結合反応を表す。ゆえに、指定されたイムノアッセイ条件下で、指定の抗体は、特定のタンパク質に、バックグラウンドの少なくとも2倍結合し、サンプル中に存在する他のタンパク質に、実質的に、有意な量で結合しない。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に関するその特異性に関して選択された抗体を必要とする。例えば、融合タンパク質に対して産生されたポリクローナル抗体を選択して、融合タンパク質の個別の成分とではなく、融合タンパク質と特異的に免疫反応性のポリクローナル抗体のみを得ることができる。この選択は、個別の抗原と交差反応する抗体を差し引いて除くことによって達成することができる。種々のイムノアッセイ形態を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイを規定通りに使用して、あるタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択する(特異的免疫反応性を決定するために使用できるイムノアッセイ形態および条件の説明に関しては、例えば、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988)およびUsing Antibodies: A Laboratory Manual (1998)を参照のこと)。典型的に、特異的または選択的反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンド(例えば、他のMycobacterium tuberculosisタンパク質などの他のマイコバクテリウムタンパク質との結合)の10、20または100倍以上である。
診断法
別の態様では、本発明は、(例えば慣用の形態のT細胞応答に基づくアッセイまたは抗体に基づくアッセイを使用して)潜伏結核を診断するための、1種以上の上記ポリペプチドの使用方法を提供する。
例えば、個体での、潜伏M. tuberculosis感染(prior M. tuberculosis infection)を判定する方法であって、以下のステップ:
(a) 個体からサンプルを取得するステップ;
(b) 該サンプルを、以下のもの:
(i) Rv3616cタンパク質配列;
(ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
(iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
を含む、単離されたポリペプチドと接触させるステップ;
(c) サンプル応答を定量するステップ
を含む方法を提供する。
該サンプルは、例えば、全血または精製された細胞であってよい。好適には、該サンプルは末梢血単核細胞(PBMC)を含む。本発明の一実施形態では、該個体は血清陽性である。本発明の第2の実施形態では、該個体は血清陰性である。
好適には、該個体は、以前に、M. tuberculosis感染に対抗するワクチンを接種されていない(例えば、好適には、該個体は、以前にBCGでワクチン接種されていない)。
該サンプル応答は、リンパ球増殖または特定のサイトカインもしくは抗体の生産のモニタリングを含む当業者に公知の一連の手段によって定量することができる。例えば、T細胞ELISPOTを使用して、インターフェロンガンマ(IFNγ)、インターロイキン2 (IL2)およびインターロイキン5 (IL5)などのサイトカインをモニターすることができる。B細胞ELLISPOTを使用して、M. tuberculosis特異抗原の刺激をモニターすることができる。該細胞応答は、細胞内および細胞外染色の使用およびフローサイトメーターによる分析によって特徴付けてもよい。
サンプル増殖応答の定量方法は、以下のステップ:
(i) 培養細胞を放射性標識(例えばトリチウム化チミジン)でパルスし、トリチウム取り込みをモニタリングするステップ(例えばガスシンチレーション);
(ii) カルボキシフルオレセイン(carboxyfluorsecein)ジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE)での標識およびフローサイトメトリーを使用する細胞分裂の蛍光モニタリングのステップ
を含む。
サンプルサイトカイン応答の定量は、特にインターフェロンガンマ生産のモニタリングのステップを含む。
そのような定量方法を使用する場合、抗原に対する陽性応答を、少なくとも2:1 (例えば、少なくとも3:1または少なくとも5:1)のシグナル 対 ノイズ比(S/N比)によって定めることができる。
本発明の別の態様では、皮膚試験を使用して潜伏M. tuberculosis感染を診断する方法を提供する。本明細書中で使用される「皮膚試験」は、上記Rv153cポリペプチド(またはその変異体、免疫原性断片またはそれらをコードするヌクレオチド)の皮内注射後に遅延型過敏性(DTH)反応(例えば腫脹、発赤または皮膚炎)を測定する、患者に対して直接実施される任意のアッセイである。そのような注射は、抗原の組み合わせを患者の真皮細胞と接触させるために十分な任意の好適なデバイス、例えばツベルクリンシリンジまたは1 mLシリンジを使用して達成することができる。該反応は、一定期間後、例えば注射の少なくとも48時間後、特に48〜72時間後に測定される。
DTH反応は細胞性免疫応答であり、それは、試験抗原に以前に曝露されている患者で高くなる。該応答は、定規を使用して視覚的に測定することができる。一般に、直径が約0.5 cmより大きい応答、特に直径が約1.0 cmより大きい応答は陽性応答であり、事前のM. tuberculosis感染を示し、それは活動性疾患として現れていてもいなくてもよい。
皮膚試験での使用のために、Rv3616c成分は、生理学的に許容される担体を含む医薬組成物として好適に製剤化される。好適には、そのような医薬組成物中で用いられる担体は、適切な保存剤、例えばフェノールおよび/またはTween 80TMを含む生理食塩水溶液である。
本発明は、さらに、任意の上記診断法内での使用のためのキットを提供する。そのようなキットは、典型的に、診断アッセイを実施するために必要な2種以上の成分を含む。成分は、化合物、試薬、容器および/または装置であってよい。
例えば、キット内の1容器は、タンパク質と特異的に結合するモノクローナル抗体またはその断片を含んでよい。そのような抗体または断片は、上記のように支持材料に結合させて提供することができる。1個以上の追加の容器は、アッセイで使用される試薬またはバッファーなどの要素を含んでよい。そのようなキットは、さらに、または代わりに、抗体結合の直接的または間接的検出に好適なレポーター基を含む上記検出試薬を含んでよい。
あるいは、キットは、生物学的サンプル中のタンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するように設計することができる。そのようなキットは、一般に、上記のような、タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを含む。そのようなオリゴヌクレオチドを、例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイ内で使用することができる。そのようなキット内に存在させてよい追加の成分には、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの検出を容易にするための第2のオリゴヌクレオチドおよび/または診断試薬または容器が含まれる。
他の診断用キットには、細胞性応答の検出用に設計されたキットが含まれる(それは、例えば、本発明の診断法で有用である)。そのようなキットは、典型的に、以下のもの:
(i) 被験体から適切な細胞サンプルを取得するための装置;
(ii) 該細胞サンプルをRv3616cポリペプチド(またはその変異体、その免疫原性断片、またはそのようなポリペプチドをコードするDNA)で刺激するための手段;
(iii) 刺激に対する細胞応答を検出または定量するための手段
を含む。
細胞応答を定量するために好適な手段には、当業者に公知のB細胞ELISPOTキットまたは、あるいはT細胞ELISPOTキットが含まれる。
キット候補の1つは、以下のもの:
(a) 本発明のポリペプチド; および
(b) 抗体結合の直接的または間接的検出に好適な検出試薬
を含む。
T細胞応答を定量するためにあつらえた以下の診断キットが興味深い:
・以下のもの:
(a) 本発明のポリペプチド; および
(b) 該ポリペプチドを個体の真皮細胞と接触させるために十分な装置
を含む診断キット、
・以下のもの:
(a) 本発明のポリペプチド;
(b) 該ポリペプチドを個体由来のサンプル(例えば全血または、より好適にはPBMC)と接触させるために十分な装置; および
(c) T細胞応答(例えば増殖またはIFN-ガンマ生産)を定量するための手段
を含む診断キット。
実施例
以下の実施例は説明のためだけに提供されるものであり、限定のためのものではない。当業者は、変更または改変して本質的に類似の結果を得ることができる、種々の重大でないパラメータを容易に認識するであろう。
実施例1 - 潜伏TBワクチン標的としてのRv3616cの特定
遺伝子Rv3616cは、保存された仮想アラニンおよびグリシンリッチタンパク質をコードする。
Rv3616cは、Murphy and Brown BMC. Infect. Dis. 2007 7:84-99のようにして、休止期維持および感染力に関連するMycobacterium tuberculosis遺伝子のゲノムワイド分析に基づいて選択した。シミュレートされた休止条件下での細菌遺伝子発現の公開ゲノムワイドDNAマイクロアレイデータセットのバイオインフォマティクスメタアナリシスによって、Mycobacterium tuberculosis中の休止期遺伝子標的候補に優先順位をつけた。次いで、ワクチン標的を特定するために、遺伝子によってコードされるM. tuberculosisタンパク質の細胞内位置決定をゲノム全体に対して実施した。
簡潔に言えば、休止モデルの実験条件はかなり変動するため、以下の2つの基準: 1) 休眠状態に対する実験条件の適合性および2) 発現の順位、に基づいてこれらのデータを標準化するように0〜5にスコアリングするシステムを開発した。特定の実験データセットの最大スコアを、休止期M. tuberculosis感染の臨床出現に対する潜在的適合性に基づいて調節した。表1は、ステップ1で収集されたデータセットを、各データセットに関する調節された最大スコアとともに示す。増殖に関する遺伝子の不可欠性についての追加のデータセットは、トランスポゾンに基づくノックアウト実験(TraSH)を使用する公開されている研究から得た。増殖に影響を与えなかった遺伝子には、スコア0をつけた。
Figure 2011528895
ステップ2 - 第2の判定基準である遺伝子発現の順位を適用する際には、各データセット由来の遺伝子スコアを発現比(対数期液体培養物中の細胞に対する実験条件での発現の倍率(fold expression))に基づいて最高から最低まで並べた。最高スコア遺伝子に、その特定のデータセットに関する最大スコア(表1のカラム3に列挙される。(例えば5、4・・・、1点))をつけた。該スコアを、0まで、またはデータセットの終点に達するまで、順番に各遺伝子につき0.005点ずつ下げた。ゆえに、最大スコアが4点である場合、100番目の順位の遺伝子にスコア3.500がついた。最大スコア5点の場合、M. tuberculosisゲノムの1000遺伝子または25%にスコアがついた。複数時点から得られたデータを収集した実験では、すべての時点にわたる最大スコアを最終スコアとして使用した。
ステップ3では、各実験条件の各遺伝子のスコアをMicrosoft Accessデータベースに収集した。優先順位づけを容易にするために、Refseq ID、Genbank function、Genbank note、Tuberculist classification、およびKEGG and Sanger Center linksなどの参照フィールドを加えた。異なる研究および供給源由来のデータを組み合わせることによって、休止状態での生存に最も決定的に重要な特定の遺伝子および経路についての統一見解に達した。
ステップ4では、生化学的経路、酵素学、薬物トラクタビリティ(drug tractability)、ヒト遺伝子とのホモロジーおよび他の予備的知識の専門的コンピュータ解析およびマニュアル解析によって補強された上位400のスコアの遺伝子(ゲノムの約10%)を利用して、優先順位づけられた治療標的リストを得た。大多数の高スコア遺伝子は、2または3個の群が交わるサブセット由来である。
ステップ5では、遺伝子によってコードされるM. tuberculosisタンパク質の細胞内局在の特定をゲノム全体に対して実施した。膜タンパク質予測に使用される発見的方法(heuristic)は、Chalker et al. J. Bacteriol. 2001 183:1259-1268に記載される。台形ウインドウを使用して重み付けしたGES疎水度指標(hydropathy)値(Engelman DM et al. Annu. Rev. Biophys. Biophys. Chem. 1986 15:321-353)を使用して、平均の疎水度指標プロファイル(H) (von Heijne G J. Mol. Biol. 1992 225:487-494)を作製した。TopPred IIアルゴリズム(Claros MG et al. Comput. Appl. Biosci. 1994 10:685-686)の最初のステップと類似のプロセスを使用して、最高H値(MaxH)に集中している19アミノ酸を選択し、さらなる考察からこれらをマスクし、>0.5のHを有するピークが残らなくなるまで該プロセスを反復することにより、各ペプチド配列のらせん状膜貫通セグメント(TMS)を予測した。ピークMaxH値、>1.0のHを有するセグメントの数、および推定TMSの分布およびピークH値に基づいて細胞内位置を割り当てた。膜貫通および細胞質タンパク質をそれぞれ含む2つのSwissProteinリリース34試験データセット間の区別を最大化するために1.15のMaxHカットオフを選択した(Boyd D et al. Protein Sci. 1998 7:201-205)。<1.15のMaxHを有するタンパク質を細胞質タンパク質として分類し、>1.15のMaxHおよび少なくとも3つのTMS候補を有するタンパク質を膜タンパク質として分類した。アンカー結合タンパク質は、一方はアミノ酸(aa) 35の前に開始し、かつ一方は>1.15のHを有する厳密に2つのTMSを有し、他のものは0.5以上のHを有するものとして定義した。グラム陽性設定でのSignalPをM. bacteriumに関して特に使用して、発見的分析(heuristic analysis)で細胞質または「未知」として分類されたもののうちから分泌タンパク質を特定した(Nielsen H et al. Protein Eng. 1997 10:1-6)。
以下のようないくつかの基準により、Rv3616cはワクチン抗原として非常に高くランクされた。
(i) すべての休止モデルにわたって、Rv3616cは一貫して上方制御される。メタアナリシスでスコアされた一組の3999遺伝子全体のうち、Rv3616cは、すべての休止モデルにわたる上位1/4の過剰発現遺伝子にランクされた。Rv3616cの上方制御スコアは6.52であり、トップの遺伝子スコア22.28と比べて遜色がなかった。
(ii) Rv3616cは、マウス脾臓感染モデルにおいて生存のために高度に必要であるとランクされた(取りうるスコア5のうちの、スコア4.945)。
(iii) 細胞内局在から、Rv3616cタンパク質が膜結合タンパク質であり、ゆえに大幅な細胞外露出部分を有することが予測された。それは、ワクチン標的としての適合性を示す。
(iv) Rv3616cは初回結核チャレンジに対する防御応答を誘発できる。
(v) Rv3616cは抗原として広く認識される。
実施例2 - Rv3616cのエピトープの予測
方法
T細胞エピトープ予測は以下のアプローチに基づいた。
Figure 2011528895
Figure 2011528895
結果
Figure 2011528895
Figure 2011528895
Figure 2011528895
Figure 2011528895
表2および3から理解されるように、Rv3616cは多くの推定上のCD4+およびCD8 T細胞エピトープを含む。さらに、この情報は、該タンパク質が、世界中に存在するHLA(白人、アフリカ人、アジア人またはラテンアメリカ人の個体由来のHLAである - www.allelefrequencies.netのウェブサイトを参照のこと)によって認識されうるエピトープを有することを示唆する。
実施例3 - Rv3616cエピトープ同定
Rv3616cの完全長をカバーする一連の30個の重複したペプチドが作製され(詳細については図1及び配列番号127〜156を参照)、4人のPPD+ドナーからのPBMCを刺激する能力についてそれらを試験した。
図2に示すデータは、ペプチド1〜7および17〜30がこれら個体に対して免疫原性であったことを示している。
ペプチド8〜16(アミノ酸残基92〜215)はHLA型が異なる他の個体において免疫原性でありうることに注意すべきである。
実施例4 - H37Rvホモログ
多くのM. tuberculosis株およびBCG由来のRv3616c配列を、GenBankのBLASTPサーチを使用して同定した(H37Rv参照配列アクセッション番号NP_218133.1)。
Figure 2011528895
ホモログ配列のアライメントにより、高レベルの同一性が示される。
生物学的アッセイ
Rv3616cに対するT細胞応答の定量
ポリペプチドを、感染(例えば潜伏感染)個体由来の末梢血単核細胞(PBMC)または全血調製物においてT細胞を活性化(増殖および/またはサイトカイン生産の誘導)するそれらの能力に関してスクリーニングすることができる。
潜伏感染個体は、通常、10mmを超える直径を有する皮膚試験および症状なし、Mtb陽性培養物なし、陰性痰陰性および病変なし(胸部X線によって検出される)によって特定される。
PBMCサンプルまたは全血に基づいて一連のin vitroアッセイを使用することができる: 抗原(または適切であればその変異体/免疫原性断片)の存在下での再刺激後、細胞の増殖を測定(CFSE/フローサイトメトリーによって測定される)するか、またはサイトカインの生産を定量(培養細胞の上清中に存在しかつELISAによって測定されるか、またはCD4およびCD8 T細胞の細胞内染色およびフローサイトメトリーによる分析後)することができる。
例えば、標準的手順後のFicoll-Hypaque密度勾配遠心分離法によってヘパリン化全血からPBMCサンプルを取得することができる。次いで該細胞を洗浄し、試験まで液体窒素中で凍結保存することができる(さらなる詳細に関しては、Lalvani A et al. J. Infect. Dis. 1999 180:1656-1664を参照のこと)。
T細胞増殖
特異的免疫応答は、トリチウム化チミジンを使用するリンパ球増殖分析を実施することによって特徴付けることができる。この技術は、抗原に対するin vitro刺激時の細胞の増大を評価する。実際、細胞増殖は、基礎をなす細胞数変化に密接に関連するプロセスであるDNAへのトリチウム化チミジンの取り込みを算出することによって測定する。
より好適には、カルボキシフルオレセインジアセテート(CFSE)のスクシンイミジルエステルを使用してリンパ球増殖を実施することができる。CFSEは、リシン側鎖および他の利用可能なアミン基との反応によって細胞内および細胞表面タンパク質の両者と自発的にかつ不可逆的に連結する。リンパ球が分裂すると、CFSE標識は娘細胞間で等しく分配され、したがって、それらは親の半分の蛍光性である。結果として、細胞の蛍光強度の2等分が、増殖細胞集団中での各継続的世代をマーキングし、フローサイトメトリーによって容易に追跡できる(さらなる詳細に関しては、Hodgkins, PD et al J. Exp. Med. 1996 184:277-281を参照のこと)。
実際には、解凍後、PMBCを洗浄し、CFSEで染色した後、培養培地(グルタミン、非必須アミノ酸、ピルビン酸および加熱不活性化ヒトAB血清を補充したRPMI-1640)中で10 ug/mlの抗原とともに72時間培養することができる(2 x 105細胞)。次いで細胞を回収し、表面染色によってそれらの表現型を特徴付けて、記憶CD8およびCD4+ T細胞を特定することができる。次いで、フローサイトメトリー分析を使用して、各抗原に応答するリンパ球増殖の程度(in vitro刺激時に、低下したCFSE強度を有する細胞の割合)を示すことができる。
サイトカイン生産
IFN-γ生産(または、例えばIL2、TNF-アルファ、IL5、IL12などの他のサイトカインの生産)は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して測定することができる。ELISAプレートを、PBS中で室温で4時間、ヒトIFN-γに対するマウスモノクローナル抗体(PharMingen, San Diego, CA)を用いてコーティングすることができる。次いで5%(W/V)脱脂粉乳を含むPBSで室温で1時間、ウェルをブロックする。次いで、該プレートを、例えば、PBS/0.2% TWEEN-20中で6回洗浄し、ELISAプレート中の培養培地中で1:2希釈されたサンプルを室温で一晩インキュベートする。該プレートを再度洗浄し、例えばPBS/10%正常ヤギ血清中で1:3000希釈されたポリクローナルウサギ抗ヒトIFN-γ血清を各ウェルに加えることができる。次いで、該プレートを室温で2時間インキュベートし、洗浄し、西洋わさびペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgG (Sigma Chemical So., St. Louis, MO)を、例えばPBS/5%脱脂粉乳中での1:2000希釈で加えることができる。室温でさらに2時間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、TMB基質を加える。20分後に1 N硫酸で反応を停止させることができる。次いで570 nmを参照波長として使用して450 nmで光学密度を測定することができる。典型的に、両複製物において、培地のみで培養された細胞由来の平均ODより2倍高いODをもたらす結果になったフラクションを陽性とみなすことができる。
実施例5 - CB6F1マウスでの免疫原性
抗原の免疫原性をCB6F1マウス(BALB/cとC57BL/6マウスの第1世代交雑種)で評価した。
CB6F1マウスを、Adjuvant System AS01E (3D-MPLおよびQS21を含むリポソームアジュバント製剤)と組み合わせた0.5 ugのタンパク質抗原で筋肉内で3回(0日目、14日目および28日目)免疫化した。
実験設計は以下の通りであった。
Figure 2011528895
プロトコール群で合計24匹のマウスを使用した。
末梢血リンパ球(PBL)を21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)および35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)に回収してプールし、目的の配列をカバーする15量体ペプチドのプールでの一晩のin vitro再刺激後に、抗原特異的CD4 & CD8 T細胞応答(IL-2および/またはIFN-ガンマおよび/またはTNF-アルファを産生するCD4またはCD8 T細胞によって決定される)をフローサイトメトリーによって測定した。
IL-2および/またはIFN-ガンマおよび/またはTNF-アルファを発現するマウスT細胞の検出を、サイトカイン発現の短期抗原駆動型(antigen-driven)in vitro増幅を使用して行った。
簡潔に言えば、赤血球を溶解するためにヘパリン化マウス末梢血にPharmLyse溶液(BD-Pharmingen)を加えた。得られたPBL (末梢血リンパ球)を洗浄し、次いで目的の抗原の配列をカバーする、11アミノ酸ずつオーバーラップする15量体ペプチドのプールならびにCD28およびCD49dに対する1 ug/mlの抗体(BD-Pharmingen)の存在下でインキュベートした。各15量体ペプチドを1 ug/mlの終濃度で使用した。培地コントロールもまた、CD28およびCD49dに対する抗体で刺激した。
37℃、5% CO2での培養の開始2時間後にサイトカイン分泌ブロッキング化合物brefeldin-A (BD-Pharmingen)を加え、細胞を37℃、5% CO2でさらに4時間維持し、その後、+4℃で一晩インキュベートした。
次いで細胞を回収し、Pacific Blue結合抗CD4抗体(BD - クローンRM4-5, BD-Pharmingen)およびペリジニンクロロフィルAタンパク質(peridinin chlorophyll A protein) (PerCp) シアニン5.5 (Cy5.5)結合抗CD8アルファ抗体(クローン53-6.7, BD-Pharmingen)で染色した。
次いで細胞を洗浄し、固定し、透過化処理し(Cytofix-cytoperm kit, BD-Pharmingen)、アロフィコシアニン(allophycocyanin)結合抗IFN-g抗体(クローンXMG1.2, BDPharmingen)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗IL-2抗体(クローンJES 6-5H4, Beckman Coulter)およびフィコエリトリン(PE)結合抗TNFアルファ抗体(クローンMP6-XT22, BDPharmingen)で染色した。最終洗浄後、染色された細胞をLSR IIフローサイトメーター(Beckton-Dickinson)で分析した。最小数の10,000細胞をCD8+サブセットにおいて取得した。
さらなる背景に関しては、Walzer T et al Cell Immunol. 2000 206(1):16-25およびMaecker HT et al J. Immunol. Methods 2001 255(1-2):27-40を参照のこと。
ネガティブコントロールとして、いくつかの細胞を培養培地中でin vitroで一晩培養した(非刺激)。ペプチドで刺激された細胞によって引き起こされた平均サイトカイン応答から、非刺激の細胞によって引き起こされた平均サイトカイン応答を減算することによって抗原特異的応答を算出した。
各時点でかつ各群に関して、各6匹のマウスの4プールからデータを収集した。以下のデータは、IL-2および/またはIFN-ガンマおよび/またはTNF-アルファを産生するCD4またはCD8 T細胞の%として示される。マウスの個別の各プール(三角)を該群の平均値(バー)とともにプロットする。
図3は、21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)に、Rv3616c特異的CD4およびCD8 T細胞応答が、0.5μgのRv3616c/AS01Eで免疫化されたマウスで検出されることを示す。
図4は、21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)のRv3616cペプチドプールで刺激されたPBL (培地が除去されていない)由来のCD4 T細胞応答のサイトカインプロファイルを示す。
図5は、21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)のRv3616cペプチドプールで刺激されたPBL (培地が除去されていない)由来のCD8 T細胞応答のサイトカインプロファイルを示す。
図6は、35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)に、Rv3616c特異的CD4およびCD8 T細胞応答が、0.5μgのRv3616c/AS01Eで免疫化されたマウスで検出されることを示す。3回目の投与は、CD4 T細胞応答を増加させるが、CD8 T細胞応答は増加させない。技術的な困難のせいで、データは単一プールについてのみ入手可能であった。
図7は、35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)のRv3616cペプチドプールで刺激されたPBL (培地が除去されていない)由来のCD4 T細胞応答のサイトカインプロファイルを示す。技術的な困難のせいで、データは単一プールについてのみ入手可能であった。
図8は、35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)のRv3616cペプチドプールで刺激されたPBL (培地が除去されていない)由来のCD8 T細胞応答のサイトカインプロファイルを示す。技術的な困難のせいで、データは単一プールについてのみ入手可能であった。
実施例6 - C57BL/6マウスでの免疫原性
また、抗原の免疫原性をC57BL/6マウスで評価した。
C57BL/6マウスを、Adjuvant System AS01E (3D-MPLおよびQS21を含むリポソームアジュバント製剤)と組み合わせた1 ugのタンパク質抗原で筋肉内で3回(0日目、14日目および28日目)免疫化した。
実験設計は以下の通りであった。
Figure 2011528895
末梢血リンパ球(PBL)を21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)および35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)に回収してプールし、目的の配列をカバーする15量体ペプチドのプールによる一晩のin vitro再刺激後に、抗原特異的CD4 & CD8 T細胞応答(IL-2および/またはIFN-ガンマおよび/またはTNF-アルファを産生するCD4またはCD8 T細胞によって決定される)をフローサイトメトリーによって測定した。以前に記載される通りの手順に従った。
ネガティブコントロールとして、いくつかの細胞を培養培地中でin vitroで一晩培養した(非刺激)。ペプチドで刺激された細胞によって引き起こされた平均サイトカイン応答から、非刺激の細胞によって引き起こされた平均サイトカイン応答を減算することによって抗原特異的応答を算出した。
各時点でかつ各群に関して、各6匹のマウスの4プールからデータを収集した。以下のデータは、IL-2および/またはIFN-ガンマおよび/またはTNF-アルファを産生するCD4またはCD8 T細胞の%として示される。マウスの個別の各プール(三角)を該群の平均値(バー)とともにプロットする。
図9は、21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)の、Rv3616c特異的CD4およびCD8 T細胞応答が、1μgのRv3616c/AS01Eで免疫化されたマウスで検出されるが、抗原特異的CD8 T細胞応答は非常に低いことを示している(したがってサイトカインプロファイルデータは示していない)。
図10は、21日目(すなわち2回目の免疫化の7日後)のRv3616cペプチドプールで刺激されたPBL (培地が除去されていない)由来のCD4 T細胞応答のサイトカインプロファイルを示す。
図11は、35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)の、Rv3616c特異的CD4およびCD8 T細胞応答が、1μgのRv3616c/AS01Eで免疫化されたマウスで検出されることを示している。3回目の免疫用量はCD4 T細胞応答を増加させるが、CD8 T細胞応答はわずかに増加させるだけである。
図12は、35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)のRv3616cペプチドプールで刺激されたPBL (培地が除去されていない)由来のCD4 T細胞応答のサイトカインプロファイルを示す。
図13は、35日目(すなわち3回目の免疫化の7日後)のRv3616cペプチドプールで刺激されたPBL (培地が除去されていない)由来のCD8 T細胞応答のサイトカインプロファイルを示す。
実施例7 - 潜伏TBを有するヒト由来のPBMCによるin vitro認識
南アフリカからの4人のTBナイーブの健康な成人(PPD皮膚試験= 0 mm)および8人のTBに潜伏感染している健康な成人(PPD皮膚試験= 15 mm以上)での本発明の抗原に特異的な末梢T細胞応答を評価するために実験を実施した。
Figure 2011528895
単離された末梢血単核細胞(PBMC)上のサイトカインを細胞内サイトカイン染色(ICS)アッセイによって測定することによって細胞性免疫(CMI)応答を評価した。
実施されたICSは、以前に報告された方法論(Von Eschen et al, Hum. Vaccin. 2009 5(7))の変法であった。PBMCを、in vitroで、目的の抗原の配列全体をカバーする、11アミノ酸だけオーバーラップする15量体ペプチドの1プールによって刺激した。細胞をペプチドで2時間刺激し、Brefeldin Aの存在下でさらに一晩培養し、ICSのためにプロセシングし、フローサイトメトリーを使用して分析した。IFN-ガンマおよび/またはTNF-アルファおよび/またはIL-17を発現する抗原特異的CD3+CD4+またはCD3+CD8+ T細胞の頻度を測定した。培地で刺激された細胞応答を、ペプチドプールで刺激された細胞で得られた応答から差し引いた。
ICS: 抗体
抗CD3 PO (Invitrogen - cat CD0330)
抗CD4 PB (BD - cat 558116)
抗CD8 APC-H7 (BD - cat 641400)
抗IFNg AF700 (BD-Pharmingen - cat 557995)
抗TNF PE-Cy7 (BD-Pharmingen - cat 557647)
抗IL17 AF647 (BD-Pharmingen - cat 51-7178-71)。
結果を、CD3+CD4+ T細胞100万個あたりの、TNF-アルファおよびIFN-ガンマを発現する抗原特異的CD3+CD4+ T細胞の数として示す。その理由は、これらの細胞が抗原特異的CD4 T細胞の主要な集団を代表するからである(培地に起因するバックグラウンド応答レベルは除去される)。抗原特異的CD3+CD8+ T細胞は検出されなかった。図14は、ナイーブ個体で測定された非特異的CD4 T細胞応答と比較された場合に、8人の潜伏感染個体のうち6人で抗原特異的CD4 T細胞応答が測定される(個人番号7および74では測定されない)ことを示す。
結論として、Rv3616c抗原がCB6F1およびC57BL/6の両マウスで免疫応答を誘発可能であることがわかる。さらに、サイトカイン産生のプロファイルは、抗原特異的T細胞の大部分が複数のTh1関連サイトカインを発現する(すなわち多機能性T細胞応答が誘発される)ことを示す。重要なことに、両CD4およびCD8抗原特異的T細胞が免疫化後に存在し、CD8細胞は、潜伏TBシナリオで特に重要であるかもしれない。ヒト感染に対するRv3616cの関連性は、南アフリカの潜伏感染個体での高レベルの認識およびナイーブ被験体での応答の不存在によって確認される。したがって、Rv3616cは、潜伏結核感染の予防、治療および診断において実質的に有用であると予測される。
前記発明は、理解を明確にする目的での説明および例示のためにいくらか詳細に記載されているが、特許請求の範囲の思想または範囲から逸脱することなく、それらに一定の変更および改変を施すことができることが、本発明の教示内容を考慮に入れると当業者に自明になる。
本出願で参照される、特許および特許出願を含むすべての参考文献は、参照により、個別の各刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み入れられると示されているかのように可能な限り完全な程度にまでここに組み入れられる。
明細書およびそれに続く特許請求の範囲の全体にわたって、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む(comprise)」、およびバリエーション、例えば「comprises」および「comprising」は、記載される整数、ステップ、整数の群またはステップの群が含まれることを含意するが、任意の他の整数、ステップ、整数の群またはステップの群を除外しないと理解される。

Claims (86)

  1. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含む、潜伏TBの治療または予防用の、単離されたポリペプチド。
  2. Rv3616cタンパク質配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. Rv3616cタンパク質配列からなる、請求項2に記載のポリペプチド。
  4. Rv3616cタンパク質配列の変異体を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. Rv3616cタンパク質配列に対して少なくとも70%の同一性を有するRv3616cタンパク質配列変異体を含む、請求項4に記載のポリペプチド。
  6. Rv3616cタンパク質配列に対して少なくとも90%の同一性を有するRv3616cタンパク質配列変異体を含む、請求項5に記載のポリペプチド。
  7. Rv3616cタンパク質配列に対して少なくとも95%の同一性を有するRv3616cタンパク質配列変異体を含む、請求項6に記載のポリペプチド。
  8. Rv3616cタンパク質配列の変異体からなる、請求項4に記載のポリペプチド。
  9. Rv3616cタンパク質配列に対して少なくとも70%の同一性を有するRv3616cタンパク質配列変異体からなる、請求項8に記載のポリペプチド。
  10. Rv3616cタンパク質配列に対して少なくとも90%の同一性を有するRv3616cタンパク質配列変異体からなる、請求項9に記載のポリペプチド。
  11. Rv3616cタンパク質配列に対して少なくとも95%の同一性を有するRv3616cタンパク質配列変異体からなる、請求項10に記載のポリペプチド。
  12. Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  13. Rv3616cタンパク質配列由来の少なくとも10アミノ酸残基の免疫原性断片を含む、請求項12に記載のポリペプチド。
  14. Rv3616cタンパク質配列由来の少なくとも20アミノ酸残基の免疫原性断片を含む、請求項13に記載のポリペプチド。
  15. Rv3616cタンパク質配列由来の少なくとも50アミノ酸残基の免疫原性断片を含む、請求項14に記載のポリペプチド。
  16. Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片からなる、請求項12に記載のポリペプチド。
  17. Rv3616cタンパク質配列由来の少なくとも10アミノ酸残基の免疫原性断片からなる、請求項16に記載のポリペプチド。
  18. Rv3616cタンパク質配列由来の少なくとも20アミノ酸残基の免疫原性断片からなる、請求項17に記載のポリペプチド。
  19. Rv3616cタンパク質配列由来の少なくとも50アミノ酸残基の免疫原性断片からなる、請求項18に記載のポリペプチド。
  20. Rv3616cタンパク質配列がMycobacterium tuberculosis由来である、請求項1〜19のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  21. Rv3616cタンパク質が配列番号1の配列を有する、請求項20に記載のポリペプチド。
  22. 潜伏結核の治療用の、請求項1〜21のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  23. 潜伏結核の予防用の、請求項1〜21のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  24. 結核の再活性化の予防用の、請求項1〜21のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  25. 結核の再活性化の遅延用の、請求項1〜21のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  26. 結核がMycobacterium tuberculosis感染に関連している、請求項22〜25のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  27. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、潜伏TBの治療または予防用の、単離されたポリヌクレオチド。
  28. Rv3616cタンパク質配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
  29. Rv3616cタンパク質配列の変異体を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、請求項28に記載のポリヌクレオチド。
  30. Rv3616cタンパク質配列に対して少なくとも70%の同一性を有するRv3616cタンパク質配列変異体を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、請求項29に記載のポリヌクレオチド。
  31. Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
  32. Rv3616cタンパク質配列由来の少なくとも10アミノ酸残基の免疫原性断片を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
  33. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    からなるポリペプチドをコードする核酸配列を含む、請求項27〜32のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  34. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    からなるポリペプチドをコードする核酸配列からなる、請求項33に記載のポリヌクレオチド。
  35. Rv3616cタンパク質配列がMycobacterium tuberculosis由来である、請求項27〜34のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  36. Rv3616cタンパク質が配列番号1の配列を有する、請求項35に記載のポリヌクレオチド。
  37. 配列番号2の配列、またはその断片を含む、請求項36に記載のポリヌクレオチド。
  38. 潜伏結核の治療用の、請求項28〜37のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  39. 潜伏結核の予防用の、請求項28〜37のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  40. 結核の再活性化の予防用の、請求項28〜37のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  41. 結核の再活性化の遅延用の、請求項28〜37のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  42. 結核がMycobacterium tuberculosis感染に関連している、請求項38〜41のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
  43. 以下のもの:
    (a) 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; もしくは
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチド; または
    (b) (a)のポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド;
    および
    (c) 製薬的に許容される担体または賦形剤
    を含む、潜伏TBの治療または予防用の医薬組成物。
  44. 以下のもの:
    (a) 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; もしくは
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチド; または
    (b) (a)のポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド;
    および
    (c) 非特異的免疫応答エンハンサー
    を含む、潜伏TBの治療または予防用の免疫原性組成物。
  45. 非特異的免疫応答エンハンサーがアジュバントである、請求項44に記載の免疫原性組成物。
  46. 潜伏結核の治療または予防方法であって、以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含む安全かつ有効な量のポリペプチドを、その必要がある被験体に投与するステップを含み、該ポリペプチドが免疫応答を誘発する、方法。
  47. 潜伏結核の治療または予防方法であって、以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む安全かつ有効な量のポリヌクレオチドを、その必要がある被験体に投与するステップを含み、該ポリヌクレオチドが免疫応答を誘発する、方法。
  48. ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを医薬組成物として投与する、請求項46または47に記載の方法。
  49. ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを免疫原性組成物として投与する、請求項46または47に記載の方法。
  50. 被験体が哺乳類である、請求項46〜49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 被験体がヒトである、請求項50に記載の方法。
  52. 被験体が活動性結核を有する、請求項46〜51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 被験体が潜伏結核を有する、請求項46〜51のいずれか一項に記載の方法。
  54. 被験体が結核を有さない、請求項46〜51のいずれか一項に記載の方法。
  55. 被験体がカルメット・ゲラン桿菌(BCG)で以前に免疫化された、請求項46〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. Rv3616cタンパク質配列がMycobacterium tuberculosis由来である、請求項46〜55のいずれか一項に記載の方法。
  57. Rv3616cタンパク質が配列番号1の配列を有する、請求項56に記載の方法。
  58. 結核の治療に有効な1種以上の化学療法剤を投与するステップをさらに含む、請求項46〜57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 1種以上の化学療法剤がイソニアジドおよびリファンピンから選択される、請求項58に記載の方法。
  60. 少なくとも1種の追加のMycobacterium tuberculosis抗原を投与するステップをさらに含む、請求項46〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 追加のMycobacterium tuberculosis抗原をポリペプチドの形態で提供する、請求項60に記載の方法。
  62. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドおよび追加のMycobacterium tuberculosis抗原を融合タンパク質の形態で提供する、請求項61に記載の方法。
  63. 追加のMycobacterium tuberculosis抗原をポリヌクレオチドの形態で提供する、請求項60に記載の方法。
  64. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドおよび追加のMycobacterium tuberculosis抗原を単一のポリヌクレオチド配列の形態で提供する、請求項63に記載の方法。
  65. 該単一のポリヌクレオチド配列が、Rv3616c抗原および追加のMycobacterium tuberculosis抗原を含む融合タンパク質をコードする、請求項64に記載の方法。
  66. 追加のMycobacterium tuberculosis抗原をカルメット・ゲラン桿菌(BCG)の形態で提供する、請求項60に記載の方法。
  67. 潜伏結核の治療または予防が潜伏結核の治療を意味する、請求項46〜66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 潜伏結核の治療または予防が潜伏結核の予防を意味する、請求項46〜66のいずれか一項に記載の方法。
  69. 潜伏結核の治療または予防が結核の再活性化の予防を意味する、請求項46〜66のいずれか一項に記載の方法。
  70. 潜伏結核の治療または予防が結核の再活性化の遅延を意味する、請求項46〜66のいずれか一項に記載の方法。
  71. 該結核がMycobacterium tuberculosis感染に関連している、請求項46〜70のいずれか一項に記載の方法。
  72. Mycobacterium tuberculosis感染がMycobacterium tuberculosisの多剤耐性株に関連している、請求項71に記載の方法。
  73. M. tuberculosis感染に対する免疫応答を誘発する、請求項46〜72のいずれか一項に記載の方法。
  74. 潜伏結核の治療または予防のための医薬の製造における、以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドの、使用。
  75. 潜伏結核の治療または予防のための医薬の製造における、以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドの、使用。
  76. 潜伏TBの治療または予防用の、以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドを含む融合タンパク質。
  77. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、潜伏TBの治療または予防用の、ポリヌクレオチド。
  78. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列の相補体に、中程度にストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズする第1のヌクレオチド配列を含む、潜伏TBの治療または予防用の、ポリヌクレオチド。
  79. 以下のもの:
    (i) Rv3616cタンパク質配列;
    (ii) Rv3616cタンパク質配列の変異体; または
    (iii) Rv3616cタンパク質配列の免疫原性断片
    を含むポリペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列の相補体に、高度にストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズする第1のヌクレオチド配列を含む、潜伏TBの治療または予防用の、請求項78に記載のポリヌクレオチド。
  80. 配列番号2の相補体に選択的にハイブリダイズする第1のヌクレオチド配列を含む、請求項78または79に記載のポリヌクレオチド。
  81. 以下のもの:
    (a) 請求項1に記載のポリペプチド;
    (b) 該ポリペプチドを個体由来のサンプル(例えば全血または、より好適にはPBMC)と接触させるために十分な装置; および
    (c) サンプルのT細胞応答を定量化するための手段
    を含む診断キット。
  82. 以下のもの:
    (a) 請求項1に記載のポリペプチド;
    (b) 該ポリペプチドを個体由来のサンプル(例えば全血または、より好適にはPBMC)と接触させるために十分な装置; および
    (c) サンプルのT細胞応答を定量化しかつ特徴付けるための手段
    を含む、請求項81に記載の診断キット。
  83. 以下のもの:
    (a) 請求項1に記載のポリペプチド;
    (b) 該ポリペプチドを個体由来のサンプル(例えば全血または、より好適にはPBMC)と接触させるために十分な装置; および
    (c) サンプルのB細胞応答を定量化するための手段
    を含む診断キット。
  84. 以下のもの:
    (a) 請求項1に記載のポリペプチド; および
    (b) 該ポリペプチドを患者の真皮細胞と接触させるために十分な装置
    を含む診断キット。
  85. 以下のもの:
    (a) 請求項1に記載のポリペプチド; および
    (c) 個体由来のサンプル(例えば全血または、より好適にはPBMC)中のT細胞応答を定量化するための手段
    を含む診断キット。
  86. 以下のもの:
    (a) 請求項1に記載のポリペプチド; および
    (c) 個体由来のサンプル(例えば全血または、より好適にはPBMC)中のB細胞応答を定量化するための手段
    を含む診断キット。
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