本明細書において使用する場合、用語“被検体”は、ヒトを含む(しかしこれには限定されない)動物界の構成員のことをいう。用語“活性酸素種”(“ROS”)には、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシルラジカル、およびヒドロキシペルオキシドラジカルが含まれるが、しかしながらこれらに限定されない。
抗酸化物質化合物は、本明細書中、その他の化合物の酸化の速度を低下する化合物、または物質が酸素または酸素含有化合物と反応しないように予防する化合物と定義される。化合物は、分子酸化および/または酸化ストレスの細胞後遺症を低下させるその能力、例えば、限定的なものではないが、脂質過酸化を低下させる能力および/またはタンパク質または核酸に対する酸化的損傷を低下させる能力、を評価することにより、抗酸化物質化合物であることを決定することができる。一態様において、抗酸化物質は、アスコルビン酸の抗酸化物質活性のin抗酸化物質活性を測定する少なくとも一つのアッセイにおいて、0.01〜1000倍のあいだの抗酸化物質活性レベルを有する。
標的化基およびカーゴ、例えばニトロキシド-含有基、を含む化合物および組成物が、本明細書中で提供される。カーゴは、医学的分野および化学的分野いおいて周知であるような、いずれの有用な化合物、例えば抗酸化剤、であってもよい。カーゴは、抗-微生物活性を有する因子を含んでいてもよい。例えば、標的化基は、抗微生物酵素、例えばリゾチーム、または抗生物質、例えばペニシリン、に対して架橋していてもよい。標的化基をカーゴに対して結合するためのその他の方法も、当該技術分野において周知である。一態様において、カーゴは、抗酸化剤、ニトロキシド-含有基など、である。別の態様において、ミトコンドリア-選択的標的化剤により輸送されるカーゴには、NOS活性の阻害剤が含まれていてもよい。カーゴは、抗酸化剤、放射線防護、保護剤、抗-アポトーシス、治療剤、改良剤、NOSアンタゴニスト、およびこれらの組合せからなる群から選択される、特性を有していてもよい。別の態様において、カーゴは、一酸化窒素シンターゼの酵素活性を阻害する能力を有していてもよい。様々なカーゴを本明細書中で記載される組成物中で利用することができることを理解されたい。限定的ではないカーゴの例には:2-アミノ-6-メチル-チアジン、ユビキノン類似体、ユビキノン類似体フラグメント成分、親水性尾部を欠損するユビキノン類似体フラグメント成分、スーパーオキシドジスムターゼ模倣物、スーパーオキシドジスムターゼ生体模倣物、およびサレン-マンガン化合物、が含まれる。
少量でのROSの生成は、細胞呼吸経路の典型的な副産物であるが、天然の酵素メカニズムが、生成されるROSの量を除去することができないほどにまで、ROSの量が過剰である場合に、疾患またはその他の医学的条件を含む特定の条件を、患者体内で生じさせることができる。従って、細胞のミトコンドリア膜内部に存在する活性酸素種を除去する化合物、組成物および方法が、本明細書中で提供される。これらの化合物、組成物および方法は、天然に存在する酵素であるSODやカタラーゼなどが対処できないような、過剰量の生成ROSを除去することができるという有用性を有する。
本明細書中で使用される場合、特に示さない限り、例えば構造において、本明細書中に記載される全ての化合物および/または構造は、全ての可能性のある立体異性体を、個別にまたはそれらの混合物として含む。
-N-O・、-N-OHまたはN=O含有基の追加の限定的ではない例が、表1および図1中にて提供される(Jiang, J., et al. “Structural Requirements for Optimized Delivery, Inhibition of Oxidative Stress, and Antiapoptotic Activity of Targeted Nitroxides”, J Pharmacol Exp Therap. 2007, 320(3):1050-60)。当業者であれば、これらの化合物のいずれかを、一般的なリンカーおよび/または抱合化化学物質(例えば本明細書中に記載される化学物質など)を使用して、化合物の残りに対して、抱合化(共有結合)させることができる。表1は、本明細書中で記載される化合物または組成物の調製に有用でありうる、300種以上の同定された商業的に利用可能な-N-O・、-N-OHまたはN=O含有化合物のリストからの限定的ではない抜粋を提供する。
上述した化合物、例えば式1の化合物、は、いずれかの有用な方法により合成することができる。化合物JP4-039を、実施例8の方法により合成した。一態様において、式1の化合物を作製する方法が提供される。化合物は、以下の工程により合成される:
A. 例えば、限定的ではないが、R1が、C1-C6直鎖または分岐鎖アルキル、未置換であるかまたはメチル、エチル、プロピル、2-プロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ベンジル、ヒドロキシベンジル(例えば、4-ヒドロキシベンジル)、フェニルおよびヒドロキシフェニルを含むメチル-、ヒドロキシル-またはフルオロ-置換されているフェニル(C6H5)基をふくむC1-C6直鎖または分岐鎖アルキル、である構造R1-C(O)-のアルデヒドを、(R)-2- メチルプロパン-2-スルフィンアミドと反応させて、イミン、例えば:
別の限定的ではない態様において、構造R1-R2-R3を有する化合物が提供され、ここでR1およびR3は、構造 -R4-R5を有する基であり、ここでR4は、ミトコンドリア 標的化基であり、そしてR5は-NH-R6、-O-R6または-CH2-R6であり、R6は、TEMPOなどの-N-O・、-N-OHまたはN=O含有基、である。R1およびR2は、同一であってもまたは異なるものであってもよい。同様に、R1およびR3のそれぞれについてのR4およびR5は、同一であってもまたは異なっていてもよい。R2は、1つのの限定的ではない態様において、対称性であるリンカーである。図26Aおよび図26Bは、そのような化合物の2つの事例を示す。一態様において、R1およびR2は、上記の構造A、A1、A2、A3、D、D1、D2およびD3を含む全ての基を有する、上記の式1、式2、または式3に示される構造を有するものであり、そのようなものの例は、図26Bに示される化合物JED-E71-58である。別の態様において、R1およびR2は、独立して、グラミシジン誘導体、例えば、図26Aに示される化合物JED-E71-37のようなもの、である。グラミシジン誘導体の例は、本明細書中にて、例えばXJB-5-131およびXJB-5-125などが提供され(図2を参照)、そしてUnited States Patent Publication Nos. 20070161573および20070161544にならびにJiang, J, et al. (Structural Requirements for Optimized Delivery, Inhibition of Oxidative Stress, and Antiapoptotic Activity of Targeted Nitroxides, J Pharmacol Exp Therap. 2007, 320(3):1050-60に構造的におよび機能的にさらに記載される、同様に、Hoye, AT et al., Targeting Mitochondria, Acc Chem Res. 2008, 41(1):87-97を参照、同様に、Wipf, P, et al., Mitochondrial Targeting of Selective Electron Scavengers: Synthesis and Biological Analysis of Hemigramicidin-TEMPO Conjugates, (2005) J Am Chem Soc. 2005, 127:12460-12461を参照)。XJB化合物は、例えば、そして限定的ではないが、BocHN基の窒素との反応により(例えば、XJB-5-131)、またはもし存在する場合には、例えば、アミド(例えばNHBocまたはNHCbx)を形成するためには化合物の1またはそれ以上のアミン基がアシル化されない場合には、アミンとの反応により、二量体中で結合することができる。
Jiang, J, et al.において(J Pharmacol Exp Therap. 2007, 320(3):1050-60)、マウス胚性細胞におけるActD-誘導性アポトーシスモデルを使用して、著者らは、ニトロキシドライブラリをスクリーニングして、それらの抗酸化剤/抗アポトーシス性特性と化学組成物および3次元(3D)構造とのあいだの構造-活性関連性を調べた。高い疎水性および効果的なミトコンドリア集積化が必要であるとみなされたが、ニトロキシド複合体の抗アポトーシス/抗酸化活性のためには十分ではないとみなされた。構造的に事前組織化されたペプチジルニトロキシド複合体を設計することにより、そしてそれらの3D構造を実験的に(円偏光二色性およびNMR)そして理論的に(分子動力学)特性決定することにより、彼らは、β-ターン/β-シートの二次構造の存在が、所望の活性のために必須であることを確立した。モデル脂質膜におけるMonte Carloシミュレーションは、ヘミ-GS類似体中のD-Phe-Proリバースターンの保存が、ミトコンドリア膜インターフェースでのニトロキシド部分の特異的な位置取りを保証し、そしてそれらの防護作用を最大にすることを確認した。ニトロキシド-ペプチドおよびニトロキシド-ペプチド等量複合体の構造-活性関連性におけるこれらの洞察は、新たなメカニズムに基づく治療的に有効な薬剤、、例えば本明細書中に記載されるもの、の開発に有益である。
標的化基R4は、細菌細胞壁を標的化することにより作用される抗生物質分子に由来する、膜活性ペプチドフラグメントであってもよい。そのような抗生物質の例には:バシトラシン、グラミシジン、バリノマイシン、エンニアチン、アラメチシン、ボーベリシン、セラトモリド(serratomolide)、スポリデスモリド(sporidesmolide)、チロシジン、ポリミキシン、モナマイシン(monamycins)、およびホヤ(lissoclinum)ペプチド、が含まれる。抗生物質由来の膜-活性ペプチドフラグメントには、完全な抗生物質ポリペプチド、または膜を有するその部分が含まれてもよく、および好ましくはミトコンドリア-標的化活性を含んでもよく、それは、例えば、放射性標識ペプチドを用いた細胞分画実験により、容易に決定される。有用なグラミシジン-由来膜活性ペプチドフラグメントの例は、Leu-D-Phe-Pro-Val-OrnおよびD-Phe-Pro-Val-Orn-Leuヘミグラミシジン(hemigramicidin)フラグメントである。グラミシジンが冠状であるため、いずれかのヘミグラミシジン(hemigramicidin)5-merが、Leu-D-Phe-Pro-Val-Orn、D-Phe-Pro-Val-Orn-Leu、Pro-Val-Orn-Leu-D-Phe、Val-Orn-Leu-D-Phe-ProおよびOrn-Leu-D-Phe-Pro-Val(グラミシジンS由来)を含む膜活性ペプチドフラグメントとして、有用であることが予想される。グラミシジンのいずれかのより大型のフラグメントまたはより小型のフラグメント、または繰り返しグラミシジン配列を含有するさらに大型のフラグメント(例えば、Leu-D-Phe-Pro-Val-Orn-Leu-D-Phe-Pro-Val-Orn-Leu-D-Phe-Pro)は、膜標的化のために有用であることが予想され、そしてその様な活性について容易に試験することができる。一態様において、グラミシジンS-由来ペプチドは、β-ターンを含み、これがペプチドにミトコンドリアに対する高い親和性を付与するようである。グラミシジンの誘導体、またはその他の抗生物質フラグメントには、等量式(同数の原子および同数の電子を有する分子またはイオン - 結果として、それらは同様な薬物動態特性および薬力学的特性を示すことができる)、例えば(E)-アルケン等量式(例示的な合成方法について、United States Patent Publication Nos. 20070161573および20070161544を参照)が含まれる。グラミシジンと同様に、バシトラシン、その他のグラミシジン、バリノマイシン、エンニアチン、アラメチシン、ボーベリシン、セラトモリド(serratomolide)、スポリデスモリド(sporidesmolide)、チロシジン、ポリミキシン、モナマイシン(monamycins)、およびホヤ(lissoclinum)ペプチドの構造(アミノ酸配列)が全て知られており、そしてこれらのフラグメントは、容易に調製することができ、そしてそれらの膜-標的化能を、当業者は容易に確認することができる。
グラミシジンSの(E)-アルケン等量式(すなわち、ヘミグラミシジン(hemigramicidin))などのアルケン等量式を、標的化配列の一部として使用した。(E)-アルケン等量式の合成経路については図3を参照、そして対応する化学構造については参照番号2を参照。最初に、Cp2ZrHClによるアルキンのヒドロジルコノ化(図3、化合物1)の後に、Me2Znへの金属交換反応を行い、そしてN-Boc-イソバレラルジミンの付加を行う。その後、結果として得られる化合物(示さない)を、テトラブチルアンモニウムフルオリド(“TBAF”)およびジエチルエーテルの溶液を使用して反応させて、74%の収率を得た。次いで、得られた化合物を無水酢酸、トリエチルアミン(TEA)、および4-N,N1-(ジメチルアミノ)ピリジン(“DMAP”)により処理して、ジアステレオマーアリルアミドの混合物を94%収率で得て、これをクロマトグラフィーにより分離した。最後に、生成物をメタノール中K2CO3と反応させて、化合物2として示される(E)-アルケンを得た。次いで、図3の化合物2として示される(E)-アルケンは、複数工程のプロセスにおいて酸化され、化合物3(図3) - (E)-アルケン等量式の例を得た。
次いで、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩)(EDC)をカップリング剤として使用して、図3の化合物3を、ペプチドH-Pro-Val-Orn(Cbz)-OMeと抱合化した。ペプチドは、細胞のミトコンドリアに対する親和性を有する適切な標的化配列の例である。得られた生成物は、図3において化合物4aとして示される。化合物4aのケン化の後に4-アミノ-TEMPO(4-AT)とのカップリングをすることにより、図3において化合物5aとして示される結果としての複合体を提供することができ、この中でLeu-DPheペプチド結合を、(E)-アルケンにより置換した。
代わりの態様において、図3における複合体5bは、ケン化およびペプチド4b(Boc-Leu-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-OMe)の4-ATとのカップリングにより調製した。同様に、図3における複合体5cは、図3において化合物3と示される(E)-アルケン等量式の4-ATとのカップリングにより調製した。これらのペプチドおよびペプチド類似体は、細胞のミトコンドリアに対して親和性を有する適切な標的化配列の追加の例である。
別の態様において、ペプチド等量式を、複合体として使用することができる。適切なペプチド等量式の中には、三置換(E)-アルケンペプチド等量式およびシクロプロパンペプチド等量式、ならびにd-iおよび酸置換(E)-アルケンおよびシクロプロパンペプチド等量式の合成のためのヒドロ-またはカルボメタル化された内部および末端アルキンの全てのイミン添加生成物が含まれる。Wipf et al. Imine additions of internal alkynes for the synthesis of trisubstituted (E)-alkene and cyclopropane isosteres, Adv Synth Catal. 2005, 347:1605-1613を参照。これらのペプチド模倣物は、β-ターン化合物として作用することが見出された。Wipf et al. Convergent Approach to (E)-Alkene and Cyclopropane Peptide Isosteres, Org Lett. 2005, 7(1):103-106を参照。
リンカー、R2、は、その活性基、例えば、カルボキシル、アルコキシル、アミノ、スルフヒドリル、アミド、などから選択されるいずれの有用なリンカーであってもよい。典型的には、活性基に加えて、残りは、非-反応性(飽和アルキルまたはフェニルなど)であり、そして、立体的にまたは極性または疎水性/親水性などのその他のいずれかの物理学的または化学的属性により、全体の化合物の活性を有する陰性(機能欠損)能力において妨害しない。一態様において、活性基に加えて、リンカーは、直鎖または分岐鎖の飽和C4-C20アルキルを含む。一態様において、リンカー、R2は、以下の構造
有機合成分野の当業者は、利用可能な多数の化学反応のいずれかにより基R1とR3とを架橋することにより、これらの化合物を合成することができる。一態様において、R1およびR3は、リンカー上の末端カルボキシル基とR1およびR3のアミンのあいだの脱水合成(縮合)(またはその逆)により形成される、アミド結合(ペプチド結合)により、R2に対する。一態様において、R1およびR3は、同一または異なっており、そして:XJB-5-131、XJB-5-125、XJB-7-75、XJB-2-70、XJB-2-300、XJB-5-208、XJB-5-197、XJB-5-194、JP4-039およびJP4-049からなる群から選択され、図26Aおよび図26Bに示される様式で結合する。
治療態様において、被検体(例えば、フリーラジカルスカベンジャーによる処置を必要とする患者)におけるフリーラジカルを除去する方法が提供され、被検体に対してある量の本明細書中に記載される1またはそれ以上の化合物を投与することを含み、そしてフリーラジカルを除去するために有効なニトロキシド-含有基などのフリーラジカル除去基を有する。上述したように、例えば本明細書中に記載されるものなどのフリーラジカル除去用化合物を投与することにより、多数の疾患、症状または傷害を、軽減し、またはそうでなければ治療しまたは予防することができる。
いずれにしても、本明細書中で使用される場合、いずれかの薬剤または放射線曝露により引き起こされる被検体における傷害の予防、緩和または治療のために使用される薬剤を、そのような傷害を予防し、緩和しまたは治療するために有効な量で、すなわち放射線曝露から生じる傷害を予防しまたは放射線曝露により引き起こされる傷害の期間および/または重症度を減少するために有効な量および投与計画で、投与する。限定的ではない態様にしたがって、0.1または1 mg/kg〜100 mg/kgの有効量の範囲であり、いずれかの増分または1 mg/kg、5 mg/kg、10 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、50 mg/kg、および75 mg/kgを含むその間の範囲を含む。しかしながら、本明細書中で記載される各化合物について、有効用量または用量範囲は、化合物の分子量、生物学的利用能、比活性、等を含むどの様な数の理由のため、本明細書中に記載されるその他の化合物有効用量または用量範囲から変化することが予想される。例えば、限定的ではないが、XJB-5-131が抗酸化物質の場合、用量は約0.1〜20 mg/kgの範囲、または約0.3〜10 mg/kgの範囲、または約2〜8 mg/kgの範囲、または約2 mg/kgであってもよく、そしてJP4-039、JED-E71-37またはJED-E71-58のいずれかが抗酸化剤である場合、その用量は、約0.01〜50 mg/kgの範囲、または約0.1〜20 mg/kgの範囲、または約0.3〜10 mg/kgの範囲、または約2〜8 mg/kgの範囲、または約2 mg/kgであってもよい。被検体における最小有効量、および最大耐容量のあいだの治療ウィンドウは、本明細書中で記載されるアッセイなどのin vitroおよびin vivoアッセイにより決定される評価項目および/または放射線防護剤に関する情報を得るために医学界および製薬業界において許容可能な評価項目により、当業者により経験的に決定することができる。異なる濃度の本明細書中で記載される薬剤は、例えば、そして限定的ではないが、放射線治療または電離放射線に対する診断用曝露の前、放射線に対する曝露のあいだ、またはいずれかの有効投与計画の後、などの予想される放射線量の前に、1回投与される薬物生成物により、同様の結果を得ることが予想される。化合物を、連続的に、例えば静脈的に、その間の増分を含め、毎日1またはそれ以上の回数、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回またはそれ以上の日数に1回、毎週、毎月、投与することができる。薬品業界および医学界の当業者は、放射線に対する曝露による傷害の予防、緩和または治療のための適切な投与計画を同定することが、単純なデザイン選択および最適化の問題であることを理解している。
本明細書中で記載される化合物は、放射線曝露により引き起こされる傷害を予防し、緩和し(より重症度を低くし)および/または治療する際に有用でもある。放射線により、この開示の文脈において、本明細書中で記載されるように、フリーラジカル、例えば、活性酸素種(ROS)、の生成を生じる放射線の種類を意味する。フリーラジカルは、放射線に対する生理学的反応としておよび/または放射線により引き起こされる損傷/傷害の結果として、例えば、そして限定的ではないが、放射線の直接的作用により生成される。一態様において、放射線は、電離放射線である。電離放射線は、高度にエネルギーを有する粒子または少なくとも一つの電子を原子または分子から引き離す(イオン化する)ことができる波からなる。電離放射線の例は、エネルギー性β粒子、ニュートロン、およびα粒子である。光波(光子)が原子または分子をイオン化する能力は、電磁スペクトル全体にわたり変化する。X-線およびガンマ線は、ほとんどいかなる分子または原子をもイオン化することができる;遠紫外光は、多数の原子および分子をイオン化することができる;近紫外線および可視光は、非常にわずかな分子しかイオン化しない。マイクロ波および電波は、典型的には、例えば、マイクロ波により生じる損傷にも関わらず非-電離放射線と考えられており、傷害の一部としておよび/または傷害に対する生理学的反応として、フリーラジカルの生成を生じる可能性がある。
化合物は、典型的には、被検体の放射線に対する曝露の作用を予防し、緩和しまたは治療するための量および投薬計画において、投与される。化合物は、放射線により引き起こされた損傷を治療し、緩和しまたは予防するために有効ないずれかの様式で投与することができる。送達経路の例には、限定的ではないが:局所送達、例えば、経皮送達、吸入送達、浣腸送達、眼送達、耳送達および鼻腔内送達;腸内、例えば、経口、経胃栄養チューブ、および直腸により;そして非経口、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、皮下、骨内、皮内、髄腔内、腹腔内、経皮、イオン導入、経粘膜、硬膜外および硝子体内、が含まれ、経口アプローチ、静脈内アプローチ、筋肉内アプローチ、および経皮アプローチが多数の事例において好ましい。
化合物は、化合物が活性成分である医薬的投与剤形または医薬製品などの、使用するために適切な組成物に組合せまたは製造することができる。組成物は、医薬的に許容可能なキャリアまたは賦形剤を含んでもよい。賦形剤は、医薬の活性成分のためのキャリアとして使用される不活性物質である。“不活性な”ものではあるが、賦形剤は、医薬製品中の活性成分の送達または生物学的利用能を増大するのを促進しそして補助することができる。有用な賦形剤の限定的ではない例には、製薬/配合の分野において利用可能であるように: 抗接着剤、結合剤、レオロジー修飾剤、コーティング、崩壊剤、乳化剤、油、バッファー、塩、酸、塩基、充填剤、希釈剤、溶媒、着香剤、着色剤、流動促進剤、潤滑剤、保存剤、抗酸化剤、吸着剤、ビタミン、甘味剤、が含まれる。
有用な剤形には:静脈内、筋肉内、または腹腔内の溶液、経口錠剤または液体、局所的軟膏またはクリーム、および経皮デバイス(例えば、パッチ)が含まれる。一態様において、化合物は、活性成分(薬物、または化合物)、および溶媒、例えば水、塩類溶液、乳酸加リンガー液、またはリン酸緩衝塩類溶液(PBS)を含む滅菌溶液である。追加の賦形剤、例えばポリエチレングリコール、乳化剤、塩およびバッファーを、溶液中に含ませることができる。
一態様において、投与剤形は、経皮デバイス、または“パッチ”である。経皮パッチの一般構造は、医薬業界で広く知られている。典型的なパッチには、限定されるものではないが:医薬製品を含有しそして被検体に対して送達するための送達容器、容器が容器の裏打ちの近位側(目的とする被検体の皮膚の方向)に接着しそして容器から進展する、典型的には容器を完全に取り囲む閉塞性の裏打ち、そして患者の皮膚に対してパッチを接着するため、容器を取り囲み、典型的には完全に取り囲む、患者の皮膚に対してパッチを接着するための裏打ちの近位側に対する接着剤、が含まれる。容器は、典型的には、広く知られているように、不織物(例えば、ガーゼ)またはポリビニルピロリドン(PVP)または酢酸ポリビニル(PVA)などのハイドロゲルから形成されるマトリクスを含む。容器は、典型的には容器マトリクス中に吸着するかまたは上に吸着する活性成分、および皮膚透過亢進剤を含む。透過亢進剤の選択は、典型的には、経験的な研究に依存する。以下の実施例12に示されるように、透過亢進剤として有用であり得る特定の製剤には、限定的ではないが:DMSO;95%プロピレングリコール+5%リノレン酸;および50%EtOH+40%HSO+5%プロピレングリコール+5%Brij30;が含まれる。
実施例1〜7は、United Stated Patent Application No. 11/565,779からの抜粋であり、そして本明細書中で有用な合成方法およびグラミシジンS-由来ミトコンドリア-標的化基を利用する特定のミトコンドリア-標的化フリーラジカル除去性化合物の効率、の、限定的ではない説明を提供するように記載される。
実施例1
材料。全ての化学物質は、特に記載しない限りSigma-Aldrich(St Louis, MO)から購入した。ヘパリン、ケタミンHClおよびペントバルビタールナトリウムは、Abbott Laboratories(North Chicago, IL)から購入した。ダルベッコ改変イーグル培地(“DMEM”)は、BioWhittaker(Walkersville, MD)から購入した。ウシ胎児血清(FBS;<0.05エンドトキシン単位/ml)は、Hyclone(Logan, UT)から購入した。発熱源不含滅菌正常塩類溶液は、Baxter(Deerfield, IL)から購入した。
一般。全ての湿度感受性の反応は、N2雰囲気下でシリンジ-隔膜キャップ技術を使用して行った。そして全てのガラス器具は、使用前に、150℃で2時間、オーブン中で乾燥させた。-78℃で行われた反応は、CO2-アセトン浴を用いた。テトラヒドロフラン(THF)を、ナトリウム/ベンゾフェノンケチル上で蒸溜した;CH2Cl2(DCM)、トルエンおよびEt3Nを、CaH2から蒸留した。Me2Znは、Aldrich Companyから購入した。
反応を、薄層クロマトグラフィー(“TLC”)解析(EM Scienceプレコーティングシリカゲル60 F254プレート、250μm層厚)によりモニタリングし、そして可視化は、254 nm UV光およびVaughn's試薬(10 mL濃H2SO4および90 mL H2O中、4.8 g(NH4)6Mo7O24 .4H2O、0.2 g Ce(SO4)2 .4H2O)での染色により、行った。SiO2上でのフラッシュクロマトグラフィーを使用して、粗反応混合物を精製した。
融点は、Laboratory Devices Mel-Temp IIを使用して決定した。赤外線スペクトルを、Nicolet Avatar 360 FT-IRスペクトルメータで測定した。マススペクトルを、Waters Autospec二重焦点マススペクトルメータ(“EI”)またはWaters Q Tofマススペクトルメータ(“ESI”)上で得た。LC-MSデータを、Agilent 1100装置上で、Waters Xterra MS CH 3.5μm RPカラム(4.6×100 mm)を使用して得た。
合成、実施例I。文献の手順にしたがって、無色油状物として調製した(図3、化合物1)、Edmonds, M. K. et al. Design and Synthesis of a Conformationally Restricted Trans Peptide Isostere Based on the Bioactive Conformations of Saquinavir and Nelfinavir, J Org Chem. 66:3747 (2001)を参照;同様に、Wipf, P. et al., Org Lett. 7:103 (2005)も参照;同様にXiao, J. et al., Electrostatic versus Steric Effects in Peptidomimicry: Synthesis and Secondary Structure Analysis of Gramicidin S Analogues with (E)-Alkene Peptide Isosteres, J Am Chem Soc. 127:5742 (2005) も参照。
20.0 mLの乾燥CH2Cl2中2.20 g(5.52 mmol)の化合物1の溶液(図3)を、1.85 g(7.17 mmol)のCp2ZrHClを用いて、室温で処置した。反応混合物を、室温にて5分間攪拌し、CH2Cl2をin vacuoで除去し、そして20.0 mLのトルエンを添加した。得られた黄色い溶液を-78℃にまで冷却し、そして30分間にわたり2.76 mL(5.52 mmol)のMe2Zn(トルエン中2.0 Mの溶液)上で処理した。溶液を、-78℃で30分間攪拌し、5分間かけて0℃にまで温め、そして2.05 g(11.1 mmol)のN-Boc-イソバレラルジミン(isovaleraldimine)を用いて1回で処理した、Edmonds, M. K. et al. J Org Chem. 66:3747 (2001)を参照;同様にWipf, P. et al., J Org Lett. 7:103 (2005)を参照;同様にXiao et al., J Am Chem Soc. 127:5742 (2005) を参照。
得られた混合物を、0℃で2時間攪拌し、飽和NH4Clを用いて急冷し、EtOAcを用いて希釈し、セライトの薄いパッドを通してろ過し、そしてEtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、in vacuoで濃縮し、そしてSiO2上のクロマトグラフィー(20:1、ヘキサン/EtOAc)で精製して、無色、油状のジアステレオマーの1:1混合物として3.13 g(97%)を得た。
100 mLの乾燥テトラヒドロフラン(“THF”)中の4.19 g(7.15 mmol)の生成物溶液を、0℃で9.30 mL(9.30 mmol)のテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF、THF中1.0 M溶液)により処理した。反応混合物を、室温で20時間攪拌し、EtOAcにより希釈し、そしてブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、in vacuoで濃縮し、そしてSiO2上のクロマトグラフィー(4:1、ヘキサン/EtOAc)で精製して、薄黄色、泡状のジアステレオマーの1:1混合物として1.89 g(76%)を得た。
40.0 mLの乾燥CH2Cl2中、1.86 g(5.23 mmol)の生成物の溶液を、0℃で、1.46 mL(10.5 mmol)のトリエチルアミン(“TEA”)、2.02 mL(21.4 mmol)のAc2O、および63.9 mg(0.523 mmol)の4-N,N1-(ジメチルアミノ)ピリジン(“DMAP”)により、処理した。反応混合物を、0℃で15分間そして室温で3時間攪拌し、EtOAcで希釈し、そしてブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、in vacuoで濃縮し、そしてSiO2上のクロマトグラフィー(20:1、ヘキサン/Et2O)で精製して、1.97 g(94%)の酢酸(2S)-ベンジル-(5R)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-7-メチルオクト-(3E)-エニルエステル(807 mg、38.7%)、酢酸(2S)-ベンジル-(5S)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-7-メチルオクト-(3E)-エニルエステル(826 mg、39.6%)、およびこれらの種の混合物(337 mg、16.2%)を得た。
8.00 mLのMeOH中350 mg(0.899 mmol)の酢酸(2S)-ベンジル-(5S)-tert-ブトキシカルボニルアミノ-7-メチルオクト-(3E)-エニルエステルの溶液を、0℃で、62.0 mg(0.449 mmol)のK2CO3により処理した。反応混合物を、0℃で1時間そして室温でさらに4時間攪拌し、EtOAcで希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO4)、in vacuoで濃縮し、そしてSiO2上のクロマトグラフィー(4:1、ヘキサン/EtOAc)で精製して、無色油状物として312 mg(任意量)の化合物2(図3)を得た。
2.00 mLの乾燥CH2Cl2中、23.0 mg(66.2μmol)の化合物2(図3)の溶液を、0℃で42.1 mg(99.3μmol)のDess-Martin Periodinaneを用いて処理した。反応混合物を、0℃で1時間そして室温でさらに4時間攪拌し、飽和NaHCO3溶液中飽和Na2S2O3で急冷し、室温にて30分間攪拌し、そしてCH2Cl2を用いて抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して無色泡状物を作製し、その後3.00 mLのTHF中に溶解し、そして0℃で300μL(600μmol)の2-メチル-2-ブタン(THF中2.0 M溶液)で処理し、その後3.00 mLのH2O中、18.0 mg(199μmol)のNaClO2および18.2 mg(132μmol)のNaH2PO4・H2Oの別の溶液で処理した。反応混合物を、0℃で1時間そして室温でさらに3時間攪拌し、EtOAcで抽出し、そしてH2Oで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)そしてin vacuoで濃縮して粗無色泡状物として化合物3(図3)を得て、これを精製せずに次の工程のために使用した。
3.00 mLのCHCl3中の粗化合物3(図3)溶液(66.2μmol)を、0℃で10.7 mg(79.2μmol)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(“HOBt”)および14.0 mg(73.0μmol)の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(“EDC”)で処理し、その後1.00 mLのCHCl3および0.8 mg(6.6μmol)のDMAP中、62.9 mg(132μmol)のH-Pro-Val-Orn(Cbz)-OMcの溶液により処理した(Edmonds, M. K. et al. J Org Chem. 66:3747 (2001)を参照;同様にWipf, P. et al., J Org Lett. 7:103 (2005)を参照;同様にXiao, J. et al., J Am Chem Soc. 127:5742 (2005)を参照)。反応混合物を、室温にて2日間攪拌し、CHCl3で希釈し、そしてH2Oで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー により精製して(2:1、ヘキサン/EtOAcから20:1、CHCl3/MeOH)、51.3 mg(94%)の化合物4a(図3)を無色泡状物として得た。
2.00 mLのMeOH中、53.7 mg(65.5μmol)の化合物4a(図3)の溶液を、0℃にて655μL(655μmol)の1 N NaOHにより処理した。反応混合物を、室温で6時間攪拌し、そして655μL(655μmol)の1 N HClにより処理した。溶液をCHCl3を用いて抽出し、そして有機層を乾燥させ(Na2SO4)、そしてin vacuoで濃縮して粗酸性物を無色泡状物として得た。この酸性物を、5.00 mLのCHCl3中で溶解し、そして室温にて10.6 mg(78.4μmol)のHOBt、15.1 mg(78.8μmol)のEDC、20.2 mg(118μmol)の4-アミノ-TEMPOおよび8.0 mg(65.5μmol)のDMAPを用いて処理した。反応混合物を、室温にて36時間攪拌し、CHCl3で希釈し、そしてH2Oを用いて洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィーにより精製して(1:1、ヘキサン/EtOAc から20:1、CHCl3/MeOH)、62.0 mg(99%)の化合物5a(図3)を無色固形物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 8.81分、直線的勾配、10分で70%から95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/分;m/z = 959.5 [M+H]+、981.5 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)m/z C53H80N7O9Na(M+Na)の計算値981.5915、実測値 981.5956。
2.15 mLのMeOH 中、60.0 mg(71.7μmol)の化合物4b(図3)の溶液(Tamaki, M. et al. I. Bull Chem Soc Jpn., 66:3113 (1993)を参照)を、室温にて717 tL(717μmol)の1 N NaOHにより処置した。反応混合物を、室温にて5時間攪拌し、そして0℃で717μL(717μmol)の1 N HClを用いて処理した。溶液を、CHCl3を用いて抽出し、そして有機層を乾燥させ(Na2SO4)そしてin vacuoで濃縮して、粗酸性物を無色泡状物として得た。酸性物を6.04 mLのCHCl3中に溶解し、そして室温にて11.6 mg(85.8μmol)のHOBt、16.5 mg(85.1μmol)のEDC、18.5 mg(108μmol)の4-アミノ-TEMPOおよび8.8 mg(72.0μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を、室温で20時間攪拌し、CHCl3で希釈し、そしてH2Oにより洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィーにより精製して(2:1、ヘキサン/EtOAc;から20:1、CHCl3/MeOH)、69.6 mg(99%)の化合物5b(図3)を黄色固形物として得た。以下の特徴データを得た:LC-MS(Rt 7.02 min、直線的勾配、10分で70%から95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 976.5 [M+H]’、998.4 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)m/z C52H79N8O10Na(M+Na)の計算値998.5817、実測値 998.5774。
3.00 mLのCH2Cl2中、粗化合物3(図3)の組成物(40.3μmol)を、0℃にて10.4 mg(60.7μmol)の4-アミノ-TEMPO、7.7 mg(40.2μmol)のEDC、そして5.4 mg(44.2μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を、室温にて20時間攪拌し、CHC13で希釈し、そしてH2Oで洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー(4:1〜1:1、ヘキサン/EtOAc)により精製して、18.8 mg(91%)の化合物5c(図3)を黄色固形物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 7.01 min、直線的勾配、10分で70%から95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 537.3 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)in/z C30H48N3O4Na(M+Na)の計算値537.3543、実測値 537.3509。
細胞内スーパーオキシドラジカルの決定 酸化-依存性蛍光性色素、ジヒドロエチジウム(“DHE”、Molecular Probes)を使用して、スーパーオキシドラジカルの細胞内生成を評価した。DHEは、細胞透過性であり、そして、スーパーオキシドの存在下にて、酸化されて、DNA中に挿入される蛍光エチジウムとなる。エチジウムの蛍光を、488-nmアルゴンイオンレーザーを備え、そしてCell Questソフトウェアを供給された、FACscan(Becton-Dickinson, Rutherford, NJ)フローサイトメータを用いて測定した。10,000個の細胞からの平均蛍光強度を、585-nmバンドパスフィルタ(FL-2チャンネル)を用いて得た。
細胞内ATPレベルの測定。細胞を、示された時間の間(2、4、6、12、および14時間)、10μmの化合物5a(図3)とともにインキュベートした。インキュベートの最後に、細胞を回収し、そして細胞内ATPの含量を生物発光性の体細胞アッセイキット(Sigma, St. Louis、MA)を用いて調べた。陽性対照として、細胞を、細胞取り込みおよびグルコース利用を、12時間および14時間競合的に阻害する、2 mMの2-デオキシ-グルコース、グルコース類似体、とともにインキュベートした。
細胞。Caco-2BBeヒト腸細胞-様上皮細胞を、American Type Culture Collection(Manassas, VA)から得た。細胞を、37℃、空気中8%CO2を含有する加湿雰囲気下で、日常的に維持した。培養液は、10%FBS、非-必須アミノ酸添加物(Sigma-Aldrichカタログ#M7145)、ピルビン酸ナトリウム(2 mM)、ストレプトマイシン(0.1 mg/ml)、ペニシリンG(100 U/ml)およびヒトトランスフェリン(0.01 mg/ml)を添加したDMEMであった。培養液は、1週間に3回交換した。
血管アクセスを得るための外科的処置。ラットを用いる全ての研究プロトコルは、US National Institutes of Healthの実験動物の使用に関するガイドラインにしたがって行い、そしてUniversity of PittsburghのInstitutional Animal Care and Use Committeeにより承認された。
オス特定病原体-不含Sprague Dawleyラット(Charles River Laboratories, Wilmington, MA)、体重150〜250 g、を、12時間明/暗サイクルを伴う温度-管理条件で飼育した。ラットは、餌および水に自由にアクセスした。実験に関して、ラットを、筋肉内ケタミンHCl(30 mg/kg)および腹腔内ペントバルビタールナトリウム(35 mg/kg)で麻酔した。動物を、実験のあいだ仰臥位で維持した。リドカイン(0.5 mLの0.5%溶液)を、皮下に注射して、外科的切開部位での局所麻酔を提供した。気道を確保するため、気管切開を行い、そしてポリエチレンチューブ(PE 240;Becton Dickinson, Sparks, MD)を気管に導入した。動物を、自発的に呼吸させた。
右大腿動脈を、ポリエチレンチューブ(PE 10)によりカニューレした。このカテーテルは、圧力トランスデューサーに接続されており、それが実験のあいだ平均動脈圧(MAP)の即時的な測定を可能にした。圧制御出血性ショック(HS)モデルを使用した実験について、右頸静脈を曝露し、遠位側で結紮し、そして血液を取り出すために、ポリエチレンチューブ(PE 10)によりカニューレした。体積-制御出血性ショック(HS)モデルを使用した実験について、頸静脈カテーテルを使用して、蘇生溶液を注入し、そしてシリコンカテーテル(Chronic-Cath, Norfolk Medical, Skokie, IL)によりカニューレされた右大腿静脈を使用して、血液を取り出した。
全ての動物は、30分以内に計測された。大腿静脈を介して測定した後すぐに、ヘパリン(500 U/kg)を投与した。動物を保温性の毛布中に配置し、体温を37℃に維持した。上述した異なるデバイスの配置は、検死後にチェックした。
腸粘膜透過性アッセイ。小腸内含有物の体積を減少させるため、動物を水にはアクセスさせたが、実験前24時間のあいだ食餌にはアクセスさせなかった。ラットを、上述したように測定した。正中開腹を行い、そして十二指腸空腸結合部から回盲弁まで、小腸を外部に引き出した。小さな切開は、近位小腸の腸間膜反対側側面に作成し、そして塩類溶液(1.5 ml)を注射した。腸管は、4-0絹糸(Look, Reading, PA)により、切開に対して、近位そして遠位で結紮された。
小腸を、反口側方向にその長軸に沿って穏やかに圧縮して、小腸含有物を結腸へと移動させた。回盲弁から初めの5 cmは、回腸を6つの隣接する防水性区分に分割した。各区分は、3 cmの長さであり、そして円周状の4-0絹縫合糸を狭窄することにより近位および遠位を結合させた。小腸への血管供給が抑制されていないことを確実にするようにケアが行われ、そして各区分には十分に潅流させた。
各ラットにおいて2つの無作為的に選択された区分に対して、0.3 mLのビヒクルを注射し、そして“処理なし”対照として作用させた。区分を充填するため、小さな切開を作成し、そして溶液をTeflonカテーテル(Abbocath 16Ga, Abbot Laboratories)を使用して注入した。
残りの4つのその他の区分に対して、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル(TEMPOL)またはグラミシジンS-に基づく化合物のいずれか一つを含有する溶液を注射した。正常塩類溶液中、TEMPOLの4種の異なる最終濃度を、評価した:0.1、1、5および20 mM。ヘミグラミシジン(hemigramicidin)-ベースの化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)および正常塩類溶液(1:99 v/v)の混合物中に溶解し、そして0.1、1、10または100μMの最終濃度で注射した。
区分を塩類溶液または試験化合物により充填した後、腸管を腹腔内に戻し、そして腹部切開をBackhausピンセットを使用して一次的に閉鎖した。
5分間の安定化期間の後、頸静脈カテーテルを介して血液を取り出すことにより、出血性ショックを誘導した。MAPを、30±3 mm Hgに2時間維持した。MAPを所望の範囲内に維持するために必要に応じて、流出した血液を、再注入した。
ショックの2時間後、KClの心臓内ボーラス注入により、動物を安楽死させた。回腸を、回盲弁から最も近位側の腸管区分まで、迅速に切り出した。各区分の先端を廃棄した。caspases 3および7活性およびリン脂質過酸化をアッセイするため、粘膜サンプルを出血後すぐに腸管区分から回収し、そして-80℃で保存した。浸透性測定のため、各区分を、Wattanasirichaigoonら(Wattanasirichaigoon, S. et al., Effect of mesenteric ischemia and reperfusion or hemorrhagic shock on intestinal mucosal permeability and ATP content in rats, Shock. 12:127-133 (1999)を参照)により以前に記載されるように、反転腸管嚢に変換した。
簡単に説明すると、上記で参照したWattanasirichaigoonのプロトコルのように、嚢を、氷-冷修飾Krebs-Henseleit重炭酸塩緩衝液(“KHBB”)、pH 7.4中で調製した。腸管区分の一方の末端を、4-0絹結紮糸により結紮した;次いで、区分を薄いプラスチックの棒で裏返した。結果として得られた腸管嚢を、1.5 mLのKHBBを含有する3 mlプラスチックシリンジに接続されたTeflonカテーテル(Abbocath 16GA, Abbot Laboratories)にマウントした。この嚢を、KHBBプラスフルオレセイン-イソチオシアネート標識化デキストラン(平均分子量4 kDa;FD4;0.1 mg/ml)を含有するビーカー中に懸濁した。この溶液を、37℃に維持し、そしてガス混合物(O2 95%/CO2 5%)によりバブリングすることにより酸素供給した。30分後、腸管嚢中の液体を回収した。サンプルを、2000 gにて5分間遠心することにより、清澄化した。
492 nmの励起波長および515 nmの放射波長で、ビーカー内部の溶液中のそして各腸管嚢中のFD4の蛍光を、蛍光分光光度計(LS-50, Perkin-Elmer, Palo Alto, CA)を使用して測定した。粘膜浸透性は、上述したようにnL・min-1・cm2の単位で、腸管嚢の長さにより正規化されるクリアランスとして表現した(Yang, R. et al., Ethyl pyruvate modulates inflammatory gene expression in mice subjected to hemorrhagic shock, Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 283:G212-G22 (2002)を参照)。
特定の実験条件(すなわち、単一濃度の特定の試験化合物)についての結果は、この式にしたがって算出された浸透性における相対変化として表現された:
ここで、
は、実験化合物により充填された腸管区分について測地されたFD4のクリアランスであり、
は、出血性ショックを受けていない3匹の正常動物に由来する6つの腸管区分において測定されたFD4のクリアランスであり、そして
を測定するために使用された動物と同一の動物由来の、ビヒクルにて充填された2腸管区分において測定されたFD4の平均クリアランスである。
Caco-2単層の透過性の測定。Caco-2BBe細胞を、12ウェルの二分性チャンバ(Transwell, Costar, Corning, NY)における、透過性フィルタ(0.4μm孔サイズ)上、5×l04細胞/ウェルで配置した。21日後〜24日後に、尖部から基底外側のFD4のクリアランスを測定することにより、傍細胞透過性を決定した。
簡単に説明すると、基底外側の培養液を、対照培養液またはメナジオン(50μM最終濃度)を含有する培養液に置換した。FD4(25 mg/ml)を含有する培養液を、尖部チャンバーに適用した。いくつかの事例において、グラミシジンS-ベースの化合物の一つ、XJB-5-131、もまた、0.1、1、10または100μMの最終濃度で、尖部側に添加した。6時間のインキュベーションの後、培養液を、両方の区画から吸引除去した。単層の浸透性を、クリアランスとして表現した(pL・h-1・cm-2)(Han, X. et al., Proinflammatory cytokines cause NO dependent and independent changes in expression and localization of tight junction protein in intestinal epithelial cells, Shock. 19:229-237 (2003)を参照)。
Caspases 3および7活性アッセイ。Caspases 3および7活性は、商業的に利用可能なアッセイキット、Caspase GIoTM 3/7アッセイキット(Promega, Madison, WI)を用いて測定した。簡単に述べると、50μlのラット消化管粘膜(20μgタンパク質)を、50μlのCaspase-G1oTM試薬と混合し、そして室温にて1時間インキュベートした。インキュベーション期間の最後に、各サンプル発光を、プレート読み取り型化学発光計(ML1000, Dynatech Laboratories, Horsham, PA)を使用して測定した。caspases 3および7の活性を、発光強度(mgタンパク質当たりの任意単位)として表現した。タンパク質濃度を、BioRadアッセイ(Bio-Rad Laboratories, Inc., Hercules, CA)を使用して測定した。
リン脂質の過酸化についてのアッセイ。腸管粘膜サンプルを、ホモジナイズした。Folchの手順を使用して、ホモジネートから脂質を抽出し(M. Lees and G. H. Sloan-Stanley, A simple method for isolation and purification of total lipids from animal tissue, J. BIOL. CHEM. 226:497- 509 (1957)を参照)、そして以前に記載されたように(Kagan, V. E. et al., A role for oxidative stress in apoptosis: Oxidation and externalization of phosphatidylserine is required for macrophage clearance of cell undergoing Fas-mediated apoptosis, J Immunol. 169:487-489 (2002)を参照)、2D HPTLC(高速薄層クロマトグラフィー)により分解した。リン脂質のスポットをHPTLCプレートから掻き取り、そしてリン脂質をシリカから抽出した。リン脂質を、マイクロ法により決定した(Bottcher, C. J. F. et al., A rapid and sensitive sub-micro phosphorus determination, Anal Chim Acta. 24: 203-204 (1961)を参照)。
酸化リン脂質を、1 mM CaCl2、0.5 mM EDTAおよび0.5 mMドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する25 mMリン酸バッファー中で、膵臓ホスホリパーゼA2(2U/μl)により加水分解した(pH 8.0、室温にて30分間)。Amplex Redの存在下でのそれらのマイクロペルオキシダーゼ11-触媒還元のあいだに(4℃にて40分間)、化学量論的に形成されたレゾルフィン(resorufin)の蛍光HPLC により、形成される脂肪酸ヒドロペルオキシドを測定した(8)。蛍光HPLC(Eclipse XDB-C18カラム、5μm、150×4.6 mm、移動相は、25 mMリン酸ナトリウム場ファー(pH 7.0)/メタノール(60:40 v/v)から構成された;励起波長560 nm、放射波長590 nm)を、蛍光検出器(RF-10Axl)およびオートサンプラー(SIL-10AD)を備えたShimadzu LC-100AT HPLCシステム上で行った。
体積-制御出血性ショックに供されたラットの生存。外科的調製およびベースライン読み取り値を得るための5分間の安定化期間の後、ラットを、出血性ショックに供した。出血を、2相で行った。
最初に、21 ml/kgの血液を、20分かけて取り出した。その直後に、さらに12.5 ml/kgの血液を40分間かけて取り出した。この様に、出血は、全部で60分間の期間をかけて生じ、そして全血液総質量は33.5 ml/kgまたは全血液体積の約55%であった。ラットを、XJB-5-131(2μmol/kg)またはそのビヒクル、DMSOと正常塩類溶液との33:67(v/v)混合物、を与えるように無作為に割り当てた。XJB-5-131溶液またはビヒクルのみを、出血期間の最後の20分間のあいだ、連続的注入として投与した。注入した液体の全体積は2.8 ml/kgであり、そしてシリンジポンプ(KD100, KD Scientific, New Hope, PA)を使用して静脈内に投与した。6時間または終了(>1分の無呼吸により定義する)まで、ラットを観察した。6時間の観察期間の最後に、依然として生きていた動物を、過剰量のKClにより安楽死させた。
血圧を、商業的なひずみ-ゲージ変換器、増幅器、およびモニター(S90603a, SpaceLabs, Redmond, WA)を使用して、連続的に記録した。血液サンプル(0.5 ml)を、出血の開始時に(ベースライン)、出血の最後に(ショック)、そして蘇生の最後に(蘇生)、頸静脈から回収した。ヘモグロビン濃度[Hb]、乳酸濃度、およびグルコース濃度を、自動解析装置(Model ABL 725, Radiometer Copenhagen, Westlake, OH)を使用して決定した。
データ表示および統計。全ての変数は、平均+ 標準誤差平均(SEM)として表現する。群間の差異の統計的有意性を、ANOVA試験(分散解析)およびLSD試験(最小有意差)、または適宜Kruskal-Wallis試験およびMann-Whitney試験を使用して、決定した。生存データを、log-ランク試験を使用して解析した。有意性を、0.05未満のp値と判断した。
実施例2
TEMPOのミトコンドリアへの選択的送達を、治療的に有益なROS の減少を引き起こすことができる;従って、4-アミノ-TEMPO(“4-AT”)の複合体の使用の追求を調査した。ミトコンドリアを選択的に標的化するため、膜活性抗生物質グラミシジンS(“GS”)ならびに対応するアルケン等量式を使用する、標的化配列を、図2および図3に示す。このように、グラミシジンS ペプチジルフラグメントおよびアルケン等量式を“アンカー”として使用することにより、TEMPO“ペイロード”を、ミトコンドリアへとガイドすることができる。
ヘミグラミシジン(hemigramicidin)のLeu-DPhe-Pro-Val-Ornフラグメントを、標的化配列として使用した。グラミシジンS(すなわち、ヘミグラミシジン(hemigramicidin))の(E)-アルケン等量式などのアルケン等量式を、標的化配列の一部として使用した。(E)-アルケン等量式についての合成経路および対応する化学構造についての化合物3について、図3を参照。次いで、図3の化合物2において示される様な(E)-アルケンを、複数工程のプロセスにおいて酸化して、(E)-アルケン等量式の例である化合物3に記載される様な化合物を得た。
次いで、図3の化合物3として記載される化合物を、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(“EDC”)をカップリング剤として使用して、トリペプチドH-Pro-Val-Orn(Cbz)-OMeと複合化した。トリペプチドは、細胞のミトコンドリアに対して親和性を有する適切な標的化配列の例である。結果として得られた生成物は、図3において化合物4aとして示される。化合物4aのケン化およびその後の4-アミノ-TEMPO(“4-AT”)とのカップリングにより、図3において化合物5aとして示される結果として得られた複合体が得られ、その場合Leu-DPheペプチド結合は、(E)-アルケンにより置換された。
代わりの態様において、ペプチド4b(Boc-Leu-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-OMe)と(E)-アルケン等量式とをを4-ATへとカップリングすることにより、図3における化合物3として示されるように、図3における複合体5bおよび5cとする。ペプチドは、細胞のミトコンドリアとの親和性を有する適切な標的化配列のもう一つの例である。
電子常磁性共鳴(“EPR”)分光法を使用して、マウス胚性細胞(“MEC”)中で、図3において示される化合物5aおよび5bの細胞送達をモニタリングした。。
以下の条件を、ニトロキシドグラミシジンS-ペプチジル複合体のMEC中での集積および減少のEPR-ベースの解析のあいだに使用した。1000万MEC/mLの濃度のMECを、それぞれ10μmの4-ATおよび化合物5aとともにインキュベートした。全細胞、ミトコンドリア、およびサイトゾル画分中で回収されたニトロキシドラジカルは、それぞれ2μM K3Fe(CN)6の存在下および非存在下にて、リン酸緩衝塩類溶液(“PBS”)中に再懸濁した。簡単に説明すると、図4Aは、K3Fe(CN)6の存在下、MECの異なる画分における化合物5aの代表的なEPRスペクトルを示す。さらに、図4Bは、集積化ニトロキシドの評価を示す。
ニトロキシドラジカルの特徴的なトリプレットシグナルが、10μmの化合物5aとともにインキュベートしたMEC中で(図3)ならびにこれらの細胞から単離されたミトコンドリア中で、検出された。サイトゾル機能は、ニトロキシドラジカルのEPRシグナルを誘導しなかった;同様の結果が、複合体5bにより観察された(図3)(データは示さず)。
一電子酸化剤、フェリシアニドの添加の際にEPRシグナル強度の程度が顕著に増大することにより証明される様に、化合物5aとのMECのインキュベーション(図3)の結果、化合物5aの集積および一電子還元を生じた(図4B)。(注:MECの5bとのインキュベーションについてのEPRの結果は、図4に示されない;しかし、5bについてのEPRの結果は、5aと比較した場合に同様であった)。しかしながら、5aおよび5bとは対照的に、4-アミノ-TEMPO(4-AT)は、4-ATについてのEPRの結果において顕著な程度の変化が存在しないことにより示されるように、細胞またはミトコンドリアを効果的には透過しない。
ジヒドロエチジウム(“DHE”)の蛍光エチジウムへの酸化のフローサイトメーターモニタリングにより、5a、5b(図3)、および4-ATが細胞内スーパーオキシド生成を防止する能力を試験した。5a、5b、および4-ATがアクチノマイシンD(“ActD”)により引き起こされるアポトーシスに対して細胞を防護する能力もまた、試験した。MECは、10μM 4-AT、5a、または5bにより事前処理され、その後100 ng/mLの濃度のActDとともにインキュベートした。5aおよび5bは、MEC中の細胞内スーパーオキシド生成を、ほぼ2倍完全に阻害したことが見出された(図6Aを参照)。4-ATは、MEC中でのスーパーオキシド生成に対しては全く効果を有さなかった。
アポトーシス細胞反応は、これらのバイオマーカーを使用して記述された:(1)細胞表面上のホスファチジルセリン(“PS”)の外面化(FITC-標識PS-結合タンパク質、アネキシンVを用いたフローサイトメトリーによる、図6Bおよび図6Eを参照);(2)Z-DEVD-AMC基質の切断によるcaspase-3の活性化(図6Cを参照)、そして(3)ヨウ化プロピジウム染色DNAのフローサイトメトリーによるDNA断片化(図6Dを参照)。
ホスファチジルセリン(“PS”)は、細胞膜の内側小葉に限定的に局在する酸性リン脂質である;細胞表面上のPSの曝露は、細胞のアポトーシスの特徴である。PSの外面化を、アネキシンVキットを使用するフローサイトメトリーにより解析した。細胞をインキュベーションの最後にトリプシン処理により回収し、その後アネキシンV-FITCおよびヨウ化プロピジウム(“PS”)により染色した。10000個の細胞を、FACScanフローサイトメーター上で回収した。アネキシンV-陽性かつPI-陰性細胞を、アポトーシスと判断した。
アポトーシスの実行段階においてのみ活性化されるシステインプロテアーゼ、capase-3の活性化は、EnzChek capsase-3アッセイキットを使用して決定した。
さらに、アポトーシスの間にDNAを分解する、カルシウムおよびマグネシウム依存性ヌクレアーゼが活性化される。これらのDNAフラグメントを溶出し、ヨウ化プロピジウムにより染色し、そしてフローサイトメトリーを使用して解析した。DNA含量が低下した細胞集団は、アポトーシス性細胞の画分と考えられた。
化合物5aおよび5bの抗-アポトーシス性作用が、相対的に低い濃度の10μMで観察された。化合物5aおよび5b(図3)は、図6Bに示されるようにアネキシンV-陽性細胞の数を減少させ、図6Cに示されるようにcaspase-3の活性化を防止し、そして図6Dに示されるようにDNA断片化を防止した。10μMを越える濃度では、5aおよび5bの両方とも、防護性が低いかまたは細胞傷害性を示すか、のいずれかであった(図6E)。対照的に、4-ATは、保護を与えなかった。
対照的に、完全な標的化成分を有さない化合物5cは、低濃度では、ActD-誘導性アポトーシスに対して、MECを防護する際に有効ではなかった(図6Bおよび図6C)。このように、ヘミグラミシジン(hemigramicidin)ペプチジル標的化配列は、TEMPOを含有するものなどのニトロキシド複合体の抗-アポトーシス性活性のためには必須である。
最終的に、化合物5aおよび5bの還元は、ミトコンドリア酸化的リン酸化の阻害をも引き起こし、そのためこれらの化合物により処理されたMECのATPレベルを試験した。当業者には知られているように、ATPは、生物有機体における主要なエネルギー源として機能する;ATPレベルの低下は、正常の細胞機能を大幅に低下させる。5aまたは2-デオキシグルコース(“2-DG”)の存在下または非存在下におけるMECにおけるATPレベルは、陽性対照として使用された(図6Fを参照)。抗-アポトーシス性作用が最大となる濃度(約10μM、図6E)では、ニトロキシド複合体が、細胞ATPレベルの顕著な変化を引き起こさなかった。従って、合成GS-ペプチジル複合体は、それらがミトコンドリアのATPを生成する能力に影響を与えることなく還元される場合に、細胞中に移動し、そしてミトコンドリアに移動する。
実施例3
in vivoアッセイにおいて、ラットの回腸を、ソーセージのつながったもののように、一連の十分に血管化されている構成要素に分割した。各回腸区画の内腔は、試験溶液の3μL部分で充填した。回腸区画の2つには、ビヒクルのみ(すなわち、少なくとも部分的にはTEMPO誘導体を含有する溶液)を充填した。これらの2つの区画は、ショックの重症度における個体の変異またはショックに対する粘膜の応答を説明するための内部対照として機能した。
このアッセイシステムを使用して、8種類の化合物を、図5に示すように評価した:TEMPOL(図5A)、1種類のジペプチドTEMPO類似体(図5B - XJB-5-208)、3種類のヘミグラミシジン(hemigramicidin)-TEMPO複合体(図5C XJB-5-125、図5E XJB-5-131、そして図5G XJB-5-197)、およびTEMPO成分を有さない3種類のヘミグラミシジン(hemigramicidin)化合物(図5D - XJB-5-127、図5F - XJB-5-133、そして図5H - XJB-5-194)。
ラットにおける出血性ショックは、腸粘膜バリア機能に顕著な異常を引き起こす - 言い換えると、ショック症状を有する症状区分の粘膜透過性は、正常ラットに由来する区分の透過性と比較して、顕著に高かった(それぞれ、52.3 +0.5対6.9 + 0.1 nL・min-1・cm-2;p<0.01)(Tuominen, E. K. J., Phospholipid チトクローム c interaction: evidence for the extended lipid anchorage, J. BIOL. CHEM., 277:8822-8826 (2002);同様にWipf, P. et al., Mitochondria targeting of selective electron scavengers: synthesis and biological analysis of hemigramicidin-TEMPO conjugates, J. AM. CHEM. SOC. 127:12460-12461を参照)。このように、マウスを、2時間のショックに供し(平均動脈圧(“MAP”)= 30 f 3 mm Hg)、腸管区分を回収し、そしてフルオロセインイソチオシアネート-デキストラン(“FD4”)に対する粘膜透過性をex vivoで測定した。図5におけるデータは、ショックの間に正常塩類溶液を充填された同時にアッセイされた対照区分において観察された透過性と比較して、透過性変化の割合として表現される。
このように、腔内TEMPOLを、胃腸管粘膜防護アッセイに対する“陽性対照”として使用した。腸管内腔における>1 mMのTEMPOL濃度は、出血性ショック-誘導性回腸粘膜透過性増大を軽減した(図5A)。TEMPO複合体の内の2種類、すなわちXJB-5-208(図5B)とXJB-5-131(図5C)、もまた、出血性ショック-誘導性回腸粘膜透過性増大を顕著に軽減した。XJB-5-208(図5B)およびXJB-5-131(図5E)についての最小有効濃度は、1μMであった;すなわち、これらの化合物の両方とも、TEMPOLと比較して、約1000-倍高い強度であった。TEMPOペイロードを持つ2種類のその他の化合物、XJB-5-125(図5C)およびXJB-5-197(図5G)は、出血により誘導される胃腸管バリア機能不全に対する防護を提供できなかった。XJB-5-133(図5F)は、XJB-5-131と同一のミトコンドリア標的化成分(ヘミグラミシジン(hemigramicidin)-に基づく)を有するが(図5E)、TEMPOペイロードを有さない。従って、XJB-5-133(図5F)が回腸粘膜透過性増大の発生からの防護を提供しなかったことは、注目すべきことである。
TEMPOペイロードを有さない2種類のその他のヘミグラミシジン(hemigramicidin)-ベースの化合物、XJB-5-127(図5D)およびXJB-5-194(図5H)もまた、有効性を有さなかった。スクリーニングした化合物のうちで、XJB-5-131(図5E)は、最も効果的であるようであり、出血性ショック-誘導性粘膜透過性増大をto 対照値のおよそ60%にまで低下させた。
図5A〜図5Hにおいて反映される結果に基づいて、TEMPOペイロードおよび“アンカー”ヘミグラミシジン(hemigramicidin)フラグメントの両方とも、XJB-5-131化合物による効果的な電子捕捉活性のために存在すべき必須の成分である。このように、XJB-5-131は、出血性ショックに供されたラット由来の腸管粘膜において、ミトコンドリアのリン脂質の過酸化(すなわち、ROS活性)を軽減することが見出された。
in vivo研究の引き続くシリーズにおいて、腔内XJB-5-131の、腸粘膜におけるリン脂質の出血-誘導性過酸化に対する作用を、調べた。ラットの回腸の単離された区分を、ソーセージのつながったもののように、一連の十分に血管化されている構成要素に分割し、そして各回腸区画の内腔は、ビヒクルまたはXJB-5-131(ヘミグラミシジン(hemigramicidin)-TEMPO複合体のもっとも活性の高いものとして以前に示されたもの)の10μM溶液のいずれかを含有する同量の試験溶液で充填した。好ましい態様において、0.3 mLの試験溶液を、各回腸区画の内腔に充填した。
HSの2時間後、ビヒクルおよびXJB-5-131で充填した腸管嚢由来の回腸粘膜のサンプルを得て、そして正常なMECの回腸粘膜と比較した。全てのサンプルを、caspase 3またはcaspase 7活性、およびホスファチジルコリン(“PC”)過酸化、ホスファチジルエタノールアミン(“PE”)過酸化、ホスファチジルセリン(“PS”)過酸化、およびカルディオリピン(“CL”)過酸化、についてアッセイした(図7にまとめる)。
図7A〜図7Dにおいて見出されるように、XJB-5-131による処理は、ミトコンドリア中で見出される試験された唯一のリン脂質であるCLの、出血-誘導性過酸化を顕著に軽減した。しかしながら、XJB-5-131による処理は、PEの過酸化に対してはわずかな作用を有するのみであり、そしてPCおよびPSの過酸化に対しては全く作用を有さなかった。これらの傾向に基づいて、出血性ショックは、蘇生の非存在下においても、実質的な酸化ストレスと関連している。さらに、このデータは、主としてミトコンドリアに局在しそしてCLを過酸化から防護することから、XJB-5-131が有効なROSスカベンジャーであることもまた、確認する。
正常な動物由来のサンプルにおいて測定された活性と比較して、caspases 3および7の活性は、出血させたラット由来のビヒクル-処理粘膜サンプルにおいて、顕著に増加した(図8)。しかしながら、回腸区分がビヒクルではなくXJB-5-131溶液により充填された場合、出血性ショック後のcaspase 3および7の活性レベルは、顕著に低下した。このように、出血性ショックは、腸管粘膜細胞における前-アポトーシス性経路の活性化と関連する。さらに、このデータは、このプロセスが、XJB-5-131によるミトコンドリア処理後に顕著に軽減されるという考えをサポートしている。
実施例4
別の実験シリーズにおいて、腸細胞-様細胞、Caco-2BBe、の単層を、腸管バリア機能を調べるため、生理学的目的および病理学的目的で研究した。ROS曝露に関する前述の実施例と同じように、Caco-2BBe単層の浸透性は、細胞をROS、過酸化水素、またはメナジオン(スーパーオキシドアニオンラジカルの形成を促進するレドックス-サイクルキノン)とともにインキュベートする場合に、増加する(Baker, R. D. et al., Polarized Caco-2 cells, Effect of reactive oxygen metabolites on enterocyte barrier function, DIGESTIVE DIS. SCI. 40:510-518 (1995)を参照;同様にBanan, A. et al., Activation of delta-isoform of protein kinase C is required for oxidant-induced disruption of both the microtubule cytoskeleton and permeability barrier of intestinal epithelia, J. PHARMACOL. EXP. THER. 303:17-28 (2002) を参照)。
XJB-5-131に関する結果およびin vivoでの粘膜細胞の出血-誘導性CL過酸化のその改善に関する結果により(上述の実施例1および実施例2を参照)、XJB-5-131を使用する可能性のある処理を調べて、メナジオン-誘導性上皮浸透性増大(hyperpermeability)がin vitroで改善され得るかどうかを決定した。以前のin vivoの観察と一貫して、それぞれメナジオンの非存在下および存在下にて、Caco-2BBe単層をインキュベートした。6時間後、Caco-2BBe単層のメナジオンととものインキュベーションにより、FD4の尖部-基底外側クリアランスが顕著な増加が引き起こされた(図9)。10μMのXJB-5-131による処理により、メナジオン-誘導性浸透性増大に対する、顕著な防護が提供された。
実施例5
上述のin vivoの研究およびin vitroの研究により反映されるように、XJB-5-131は、いくつかの生化学的および生理学的読み取り値に対して、顕著に有益な作用を有した。このように、血液および晶質液による標準的な蘇生の非存在下にて、大量の失血を伴う長い期間の出血性ショックに供された患者の生存を長期化することができるかどうかに関して、XJB-5-131の全身性投与を調べた。上述の研究場合と同様に、ラットを試験患者として使用した。
全部で16匹のラットを、この研究において試験した。ラットを、出血プロトコルの最後の20分間のあいだ、2.8 ml/kgのビヒクルまたは同一量のXJB-5-131溶液により処理した。注入したXJB-5-131の全用量は、2μmol/kgであった。以前の研究のために上述したプロトコルと一致した広範囲の出血性ショックの後、13匹が少なくとも60分間は生存し、そしてXJB-5-131溶液またはビヒクル、DMSOと正常塩類溶液の33:67(v/v)混合物のいずれかの完全用量を与えられた。表2に示されるように、血糖、乳糖およびヘモグロビン濃度は、ベースラインの両群において、そして処理前および処理直後において、同様であった。群間の差異のいずれも、統計的に有意ではなかった。
処理を開始した後すぐに、平均動脈圧(“MAP”)が、両群においてわずかに増加した(図10Aを参照)。両群において、平均動脈圧(“MAP”)は、出血プロトコルの第1相のあいだ急激に減少し、そして第2相の開始のあいだ40 mm Hgでほぼ一定を維持した。ビヒクル処理(対照)群では、7匹の動物のうち6匹が、出血プロトコルの終了の1時間以内に死亡し、そして全てが125分以内に死亡した(図10B)。静脈内XJB-5-131により処理したラットは、ビヒクルにより処理したラットと比較して、顕著に長く生存した。6匹のラットの内の3匹が、出血プロトコルの終了後3時間よりも長く生存した;1匹のラットは、出血観察期間後6時間のあいだ生存した(図10B)。
このように、XJB-5-131研究の解析は、患者の化合物に対する曝露により、外傷またはその他の破滅的状況(例えば、腹部大動脈瘤の破裂)による、血液の大量喪失後に、患者が生存することができる期間を長期化することを示す。
不可逆的なショックが発生する前に治療ウィンドウを拡張することにより、XJB-5-131によるこの分野の処理は、より悪く傷害されている患者を、出血のコントロールや血液製剤および非-多血質液を用いた蘇生を含む最も確実なケアを提供することができる場所へ移動させるための十分な時間を、“買う”ことを可能にする。出血性ショックのげっ歯類動物モデルを使用する結果はまた、XJB-5-131等の薬剤が発作や心筋梗塞などの著しい組織潅流低下と関連するその他の条件において、有益である可能性がある。
ここで提示された結果はまた、ROSスカベンジャーのミトコンドリアの標的化が、合理的な治療戦略であるとの一般的な概念をサポートする。以前の研究では、TEMPOLによる処理が齧歯動物HS状況において有益であることが示されたが、比較的大量の化合物が必要とされた(30 mg/kgボーラス投与+時間当たり30 mg/kg)。対照的に、約1/300倍(約0.1 mg/kg)であったXJB-5-131の用量による処理は、明らかに有益であった。TEMPOLと比較した場合に、XJB-5-131の強度がより強力であるいことは、XJB-5-131がミトコンドリア膜に局在化する傾向をおそらくは反映するものであり、本発明の重要な態様である。上述するように、2種のヘミグラミシジン(hemigramicidin)-4-アミノ-TEMPO複合体(すなわち、XJB-5-208およびXJB-5-131、図2を参照)は、化合物溶液とのインキュベーション後に、マウス胚性細胞の培養物のミトコンドリアにおいて濃縮される。
さらに、XJB-5-131の使用により、動物は血液またはその他の非-多血質液のいずれかにより蘇生されず、そしてそれらは非常に低血圧であり続けたものの、大量失血に供されたラットの生存が顕著に長期化した。
上述の内容を参照して、合成ヘミグラミシジン(hemigramicidin)ペプチジル-TEMPO複合体は、細胞膜を介して浸透し、そして同様に複合体がスーパーオキシドアニオンラジカルなど(これには限定されない)のROSについてのフリーラジカルスカベンジャーとして作用するミトコンドリア膜も介して浸透する。次いで、複合体を、細胞呼吸経路に関与する電子-輸送タンパク質によりミトコンドリア中で還元し、それにより分離されたROS種をカップリングする。これらの複合体はまた、上述したように、抗-アポトーシスである化合物5aおよび5b等の化合物の場合、特に化合物5aおよび5b等の化合物の場合、利点を有する。
ROS種の量を効果的に減少させることにより、病気またはその他の医学的状態を含む患者の症状を改善することができ、そして、いくつかの事例において、生存を、実施例IVの研究に記載されるように著器かすることができる。疾患およびその他の医学的症状を含むその様な症状の事例は、疾患および症状が含まれる以下の医学的症状が含まれる(これには限定されない):心筋虚血および再かん流(例えば、不安定狭心症または心筋梗塞の維持のための血管形成術およびステント挿入の後)、固形器官(肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、心臓)移植、出血性ショック、敗血症性ショック、発作、電離放射線による組織損傷、肺外傷、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、壊死性膵炎、および壊死性腸炎。
実施例6
さらなる態様において、ミトコンドリア-標的化基のカーゴの互換性をサポートするため、ミトコンドリア膜中のラジカルを除去するための組成物は、ラジカル除去剤またはNOS阻害剤およびミトコンドリア膜との高親和性を有する膜活性ペプチジルフラグメントを含む。膜活性ペプチジルフラグメントは、好ましくは、放射線防護、保護剤、抗-アポトーシス、治療剤、改良剤、NOSアンタゴニスト、およびこれらの組合せからなる群から選択される特性を有する。関連する態様において、抗生物質特性を有する化合物に関して、その作用様式に細菌壁標的が含まれる化合物を使用することが一般的に好ましい。
別の態様において、膜活性化合物は、好ましくは、バシトラシン、グラミシジン、バリノマイシン、エンニアチン、アラメチシン、ボーベリシン、セラトモリド(serratomolide)、スポリデスモリド(sporidesmolide)、チロシジン、ポリミキシン、モナマイシン(monamycins)、およびホヤ(lissoclinum)ペプチド、からなる群から選択される。
関連する態様において、NOSアンタゴニストは、XJB-5-234(a)、XJB-5-133(b)、XJB-5-241(c)、およびXJB-5-127(d)から成る群から選択され、AMT NOSアンタゴニストカーゴを含む:
実施例7
以下の実施例は、NOSアンタゴニストとして機能する本明細書中で記載される化合物において使用可能な、追加のカーゴについてのプロトコルを提供する。
化合物(1)は、Boc-Leu-Ψ[(E)-C(CH3)=CH]-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-AMT(XJB-5-241)であり、そして以下のプロトコルにしたがって調製した。400μL のMeOH中の11.0 mg(13.2μmol)のBoc-Leu-Ψ[(E)-C(CH3)=CH]-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-OMe(2-48)の溶液を、0℃にて132μL(132μmol)の1 N NaOHにより処理した。反応混合物を、室温にて8時間攪拌し、そして132μL(132μmol)の1 N HClにより処理した。溶液をCHCl3により抽出し、そして有機層を乾燥させ(Na2SO4)そしてin vacuoで濃縮して、粗酸を無色泡状物として得た。この酸を2.00 mLのCHCl3中に溶解し、そして室温にて2.1 mg(16μmol)のHOBt、3.0 mg(16μmol)のEDC、3.3 mg(20μmol)の2-アミノ-5,6-ジヒドロ-6-メチル-4H-1,3-チアジン・HClおよび3.5 mg(27μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を室温にて48時間攪拌し、CHCl3により希釈し、そしてH2Oにより洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー(1 :1、ヘキサン/EtOAc、その後20 :1、CHCl3/MeOH)により精製して、11 mg(89%)のXJB-5-241を無色粉末物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 8.37 min、直線的勾配、10分で70%〜95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 932.4 [M+H]+、954.3 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)m/z C50H74N7O8S(M+H)の計算値932.5320、実測値 932.5318。
化合物(2)は、Boc-Leu-Ψ[(E)-CH=CH]-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-AMT(XJB-5-133)であり、そして以下のプロトコルにしたがって調製した。800μLのMeOH中の20.0 mg(24.3μmol)の2-85(XJB-5-194)の溶液を、243μL(243μmol)の1 N NaOHにより0℃で処理した。反応混合物を室温にて6時間攪拌し、そして243μL(243μmol)の1 N HClにより処理した。溶液をCHCl3により抽出しそして有機層を乾燥させ(Na2SO4)、そしてin vacuoで濃縮して、粗酸を無色の形状として得た。この酸を1.00 mLのCHCl3中に溶解し、そして室温にて3.9 mg(29μmol)のHOBt、5.6 mg(29μmol)のEDC、6.1 mg(37μmol)の2-アミノ-5,6-ジヒドロ-6-メチル-4H-1,3-チアジン・HClおよび7.4 mg(61μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を室温にて20時間攪拌し、CHCl3により希釈し、そしてH2Oにより洗浄した。The 有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー(1 :1、ヘキサン/EtOAc、その後20 :1、CHCl3/MeOH)により精製し、そしてさらなる調製的C18逆相HPLC精製を行い:20分で80%〜100%CH3CN(H2O)、5.0 mL/min)12.9 mg(58%)のXJB-5-133を無色粉末物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 7.89 min、直線的勾配、10分で70%〜95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 918.3 [M+H]+、940.3 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)m/z C49H72N7O8S(M+H)の計算値918.5163、実測値 918.5185。
化合物(3)は、Boc-Leu-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-AMT(XJB-5-127)であり、そして以下のプロトコルに従って調製した。800μLのMeOH中の24.0 mg(28.7μmol)のBoc-Leu-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-OMeの溶液を、室温にて287μL(287μmol)の1 N NaOHにより処理した。反応混合物を室温にて5時間攪拌し、そして0℃にて287μL(287μmol)の1 N HClにより処理した。溶液をCHCl3により抽出し、そして有機層を乾燥させ(Na2SO4)、そしてin vacuoで濃縮して、粗酸を無色泡状物として得た。粗酸を2.00 mLのCHCl3中に溶解し、そして室温にて4.6 mg(34μmol)のHOBt、6.6 mg(34μmol)のEDC、5.7 mg(34μmol)の2-アミノ-5,6-ジヒドロ-6-メチル-4H-1,3-チアジン・HClおよび8.8 mg(72.0μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を室温にて24時間攪拌し、CHCl3により希釈し、そしてH2Oにより洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー(2:1、ヘキサン/EtOAc、その後20 :1、CHCl3/MeOH)により精製して、17.0 mg(63%)のXJB-5-127を無色粉末物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 6.32 min、直線的勾配、10分で70%〜95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 935.3 [M+H]+、957.3 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)m/z C48H71N8O9S(M+H)の計算値935.5065、実測値 935.5044。
化合物(4)は、Boc-Leu-Ψ[(E)-CH=CH]-DPhe-AMT(XJB-5-234)である。2.00 mLのCH2Cl2中の粗Boc-Leu-Ψ[(E)-CH=CH]-DPhe-OH(2-84)(30.5μmol)の溶液を、0℃にて6.1 mg(37μmol)の2-アミノ-5,6-ジヒドロ-6-メチル-4H-1,3-チアジン・HCl、7.0 mg(37μmol)のEDC、4.9 mg(37μmol)のHOBt、および9.3 mg(76μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を室温にて一晩攪拌し、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー(2 :1、CH2Cl2/EtOAc)により精製して、9.1 mg(63%)のXJB-5-234を無色泡状物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 8.42 min、直線的勾配、10分で70%〜95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 474.5 [M+H]+)およびHRMS(ESI)m/z C26H40N3O3S(M+H)の計算値474.2790,実測値 474.2781。
化合物(5)は、Boc-Leu-Ψ[(Z)-CF=CH]-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-TEMPO(XJB-7-53)である。400μL のMeOH中の3.4 mg(4.1μmol)のBoc-Leu-Ψ[(Z)-CF=CH]-DPhe-Pro-Val-Orn(Cbz)-OMe XJB-5-66)の溶液を、0℃にて41μL(41μmol)の1 N NaOHにより処理した。反応混合物を室温にて12時間攪拌し、そして41μL(41μmol)の1 N HClにより処理した。溶液をCHCl3により抽出し、そして有機層を乾燥させ(Na2SO4)、そしてin vacuoで濃縮して、粗酸を無色泡状物として得た。この酸を、400μLのCHCl3に溶解し、そして室温にて0.7 mg(5μmol)のHOBt、0.9 mg(5μmol)のEDC、0.5 mg(4μmol)の4-アミノ-TEMPOおよび1.1 mg(6μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を室温にて12時間攪拌し、CHCl3により希釈し、そしてH2Oにより洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー(1 :1、ヘキサン/EtOAc、その後20 :1、CHCl3/MeOH)により精製して、3.6 mg(91%)のXJB-7-53を無色粉末物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 8.45 min、直線的勾配、10分で70%〜95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 977.5 [M+H]+、999.5 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)m/z C53H79FN7O9Na(M+Na)の計算値999.5821。
化合物(6)は、Boc-DPhe-Ψ[(E)-C(CH3)=CH]-Ala-Val-Orn(Cbz)-Leu-AMT(XJB-7-42)であり、そして以下のプロトコルにしたがって調製した。0.35 mLのMeOH中の4.5 mg(5.6μmol)のBoc-DPhe-Ψ[(E)-C(CH3)=CH]-Ala-Val-Orn(Cbz)-Leu-OMe(2-119)の溶液を、0℃にて56μL(56μmol)の1 N NaOHにより処理した。反応混合物を室温にて12時間攪拌し、そして56μL(56μmol)の1 N HClにより処理した。溶液をCHCl3により抽出し、そして有機層を乾燥させ(Na2SO4)、そしてin vacuoで濃縮して、粗酸を無色泡状物として得た。この酸を、0.80 mLのCHCl3中に溶解し、そして室温にて0.9 mg(6.7μmol)のHOBt、1.3 mg(6.7μmol)のEDC、1.4 mg(8.4μmol)の2-アミノ-5,6-ジヒドロ-6-メチル-4H-1,3-チアジン・HClおよび1.7 mg(14μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を室温にて36時間攪拌し、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー(20 :1、CHCl3/MeOH)により精製して、5.0 mg(99%)のXJB-7-42を無色泡状物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 6.61 min、直線的勾配、10分で70%〜95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 907.3 [M+H]+、929.4 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)m/z C48H72N7O8S(M+H)の計算値906.5163、実測値 906.5190。
化合物(7)は、Boc-DPhe-Ψ[(E)-C(CH3)=CH]-Ala-Val-AMT(XJB-7-43)である。1.00 mLのCHCl3中の14.3μmolの粗Boc-DPhe-Ψ[(E)-C(CH3)=CH]-Ala-Val-OMe(2-111)の溶液を、室温にて2.3 mg(17μmol)のHOBt、3.3 mg(17μmol)のEDC、3.6 mg(22μmol)の2-アミノ-5,6-ジヒドロ-6-メチル-4H-1,3-チアジン・HClおよび4.4 mg(36μmol)のDMAPにより処理した。反応混合物を室温にて36時間攪拌し、in vacuoで濃縮して、そしてSiO2上でのクロマトグラフィー(20:1、CHCl3/MeOH)により精製して、7.5 mg(96%)のXJB-7-43を無色泡状物として得た。以下の特性データを得た:LC-MS(Rt 5.41 min、直線的勾配、10分で70%〜95%CH3CN(H2O)、0.4 mL/min;m/z = 545.3 [M+H]+、567.3 [M+Na]+)およびHRMS(ESI)m/z C29H44N4O4S(M+Na)の計算値567.2981、実測値 567.2971。
中でも、好ましいラジカル除去剤が、ユビキノン類似体、ユビキノン類似体フラグメント成分、親水性尾部を欠損するユビキノン類似体フラグメント成分、スーパーオキシドジスムターゼ模倣物、スーパーオキシドジスムターゼ生体模倣物、またはサレン-マンガン化合物、から成る群から選択される物質である。
当業者には公知であるように、電離放射線は、ミトコンドリアの一酸化窒素合成酵素(“mtNOS”)を活性化し、呼吸鎖の阻害、過剰なスーパーオキシドラジカルの精製、ペルオキシ亜硝酸産生、およびニトロソ化損傷を引き起こす。電離放射線による損傷は、緩和されると考えられている[Kanai, A.J. et al., Am J Physiol. 383: F1304-F1312 (2002);およびKanai, A.J. et al., Am J Physiol. 286: H13-H21 (2004)を参照]。この態様の組成物は、mtNOSを阻害する特性により特徴づけられ、それにより過剰なスーパーオキシドラジカル、ペルオキシ亜硝酸、およびニトロソ化損傷の生成に抵抗する。
全身性の薬物送達を使用する放射線障害に対する防護は、望まれない副作用を生じる可能性がある。これらの副作用を限定しまたは防止するための一つのアプローチは、ペプチド担体ストラテジーを使用したミトコンドリアへの薬物送達を標的化することである。
一態様において、強力なNOS阻害剤、2-アミノ-6-メチル-チアジン(“AMT”)の非-アルギニン類似体、を、カーゴとして選択した。尿路上皮(ureopithelium)の照射の結果、スーパーオキシドおよび一酸化窒素(“NO”)の産生の増加が生じ、マウス膀胱にAMTまたは4-アミノ-TEMPOを注入して、NOまたは除去されるフリーラジカルの阻害がより放射線防護的であるかどうかを決定する。
複合化されていないNOSアンタゴニストおよび複合化されたNOSアンタゴニスト(AMT、100μM)および複合化されていないニトロキシド誘導体および複合化されたニトロキシド誘導体(4-アミノ-TEMPO、100μM)を、37℃にて2時間、32D c13造血細胞とともにインキュベートした。
インキュベーション後、細胞を溶解し、そしてミトコンドリアを質量分析解析のために単離し、そこでミトコンドリアから単離された化合物が、Na+付加物として同定された。結果として得られたスペクトル(示されない)は、4-アミノ-TEMPOのみが、接着したGS-由来標的化配列の補助により、ミトコンドリア膜を透過することを示す。さらなるスペクトル(示されない)は、複合化されていないAMTが実質的な量ではミトコンドリア膜には進入しないことを示す。このように、標的化ペプチドは、NOSアンタゴニストおよびニトロキシドを、ミトコンドリアへとうまく振り向ける。
さらなる生理学的研究を行い、ペプチド-標的化AMTおよび4-アミノ-TEMPOの、放射線照射した尿路上皮細胞におけるNOおよびペルオキシ亜硝酸の産生に対する影響を、決定した。細胞を培養し、8-ウェルスライドチャンバー中で3日間培養し、そしてその後マイクロセンサ測定を照射24時間後に行った。
非処理の照射細胞および複合化されていない4-アミノ-TEMPO(100μM)または複合化されていないAMT(10μM)により処理された細胞において、カプサイシンが、NO生成を引き起こし、そしてかなりの量のペルオキシ亜硝酸の形成を生じた。高-用量の複合化4-アミン-TEMPO(100μM)により処理された細胞において、ペルオキシ亜硝酸生成は、およそ1/4倍に減少した。非-照射細胞または複合化AMT(10μM)により処理された細胞において、NO誘導性ペルオキシ亜硝酸形成は、ほぼ完全に阻害された。このことから、ペプチド複合体は、膜非透過性の4-アミノ-TEMPOまたはAMTとカップリングしまたは共有結合し、そして4-アミン-TEMPOをミトコンドリア膜を通して輸送することを促進することを示唆された。さらに、このデータから、ペプチド複合体が、AMTのNOS阻害性活性または4-アミノ-TEMPOのフリーラジカル捕捉活性を妨害せず、そしてAMTはより効果的な放射線防護剤であることが示唆される[Kanai, A.J. et al., Mitochondrial Targeting of Radioprotectants Using Peptidyl Conjugates, ORGANIC AND BIOMOLECULAR CHEMISTRY(in press)]。
定量的質量分析研究を使用して、ミトコンドリア膜を透過する際のいくつかのAMTペプチド複合体の効率性を比較した、具体的にはXJB-5-234、XJB-5-133、XJB-5-241、およびXJB-5-127の効率性を、比較した。fmole/10μMミトコンドリアタンパク質比は、標的部位での複合体濃度の相対的定量を提供する。表3は、最も効率的な複合体が化合物XJB-5-241であったことを示す。
XJB-5-241中に埋め込まれた3置換(E)-アルケン成分は、生物学的に活性が低い2置換の(E)-アルケンXJB-5-133またはGSペプチジルフラグメントXJB-5-127よりもより強力な立体配座効果を有する。Wipf, P. et al., Methyl- and (Triluoromethyl)alkene Peptide Isosteres: Synthesis and Evaluation of Their Potential as β-Turn Promoters and Peptide Mimetics J ORG. CHEM. 63:6088-6089 (1998)を参照;同様にWipf, P. et al., Imine Additions of Internal Alkynes for the Synthesis of Trisubstituted (E)-Alkene and Cyclopropane Peptide Isosteres ADV. SYNTH. CAT. 347:1605-1613 (2005)。データは、規定された二次構造および適切な立体配座事前構成(preorganization)が、ニトロソ化および酸化的作用を減少する化合物のミトコンドリアの透過を達成する際に重要であることを示す。
非-加水分解性アルケン等量式の存在は、不安定なペプチド結合の代わりに機能し、そして長期的な作用機能のために重要である。比較的堅固な(E)-アルケン(y[(E)-C(R)=CH])は、有用で、立体配座的に事前構成された構造的模倣物を示しており、そして多数の酵素阻害剤において、加水分解により不安定なアミド結合の代わりとして使用された。このストラテジーの主要な対象は、ペプチド結合の形状の正確な模倣である;しかしながら、(E)-アルケンはまた、本発明の構造の生理化学的特性、溶解度、および親油性、水素結合ドナーおよびアクセプターの数、などを修飾して、そして従って、一般的に単一のペプチドの場合とは異なる代謝運命を一般的に有する。
いくつかの神経NOS(nNOS)アンタゴニストおよびニトロキシド誘導体を含むほとんどの抗酸化剤が、細胞の透過性が低くそして複合体なしで使用する場合に100μMより多くの治療有効濃度を必要とすることから、本発明において利用された標的化送達ストラテジーは、利点を有するものである。
本発明のこの態様に関連する方法は、組成物をミトコンドリアに対して送達するが、例えば、(a)膜活性ペプチジルフラグメント、好ましくはミトコンドリア膜に対して高親和性を有するβ-ターンモチーフを有するもの、を使用することによるラジカル除去剤、(b)膜活性ペプチジルフラグメントに対して結合した一酸化窒素合成酵素アンタゴニスト、であってもよい、ミトコンドリアに対して所望のカーゴを輸送することを含む。
実施例8- JP4-039の合成(図11を参照)
JP4-039の合成を、以下の方法に従って作製した。
(R,E)-2-メチル-N-(3-メチルブチリデン)プロパン-2-スルフィンアミド(1)(Staas, D. D.; Savage, K. L.; Homnick, C. F.; Tsou, N.; Ball, R. G. J. Org. Chem., 2002, 67, 8276)- CH2Cl2(250 mL)中のイソバレルアルデヒド(3-メチルブチルアルデヒド、5.41 mL、48.5 mmol)の溶液に対して、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(5.00 g、40.4 mmol)、MgSO4(5.0 eq、24.3 g、202 mmol)およびPPTS(10 mol%、1.05 g、4.04 mmol)を添加し、そして結果として得られた懸濁物を、RTで(室温、およそ25℃)にて24時間攪拌した。反応を、セライト(登録商標)のパッドを通してろ過し、そして粗残渣を、SiO2上でのクロマトグラフィー(3:7、EtOAc:ヘキサン)により生成して、6.75 g(88%)を無色油状物として得た。1H NMR δ 8.07(t, 1 H, J = 5.2 Hz)、2.47-2.38(m, 2 H), 2.18-1.90(m, 1 H), 1.21(s, 9 H), 1.00(d, 6 H, J = 6.7 Hz)。代わりの態様として、SiO2のパッドからのろ過は、実質的な反応において等しく機能する粗イミンを提供する。
(ブト-3-イニルオキシ)(tert-ブチル)ジフェニルシラン(2)(Nicolaou, K. C. et al.. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 4460)- CH2Cl2(400 mL)中の3-ブチン-1-オール(5.00 g、71.3 mmol)の溶液に対して、イミダゾール(5.40 g、78.5 mmol)およびTBDPSCl((tert-ブチル)ジフェニルシランクロリド)(22.0 g、78.5 mmol)を添加し、そして反応物をRTにて22時間攪拌した。反応物をろ過しSiO2のパッドを介してろ過し、SiO2をCH2Cl2により洗浄し、そして無色溶液を濃縮して、21.4 g(97%)の粗アルキンを得て、それをさらに生成することなく行った。
(S,E)-8-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-2-メチルオクト-5-エン-4-アミン塩酸塩(3)- CH2Cl2(300 mL)中の(2)(15.9 g、51.5 mmol)の溶液に対して、塩酸ジルコノセン(15.1 g、58.4 mmol)を3回に分けて添加し、そして結果として得られた懸濁物を室温にて10分間攪拌した。結果として得られた黄色の溶液を0℃に冷却し、そしてMe3Al(ヘキサン中2.0 M、27.5 mL、54.9 mmol)を添加して、そして5分間攪拌した後、CH2Cl2(50 mL)中のイミン(1)(6.50 g、34.3 mmol)溶液を添加し、そしてオレンジ色の溶液を、室温に温めながらさらに4時間攪拌した。反応物をMeOHにより急冷し、H2OおよびCH2Cl2により希釈し、そしてHCl(1 M)を添加して乳化物を分散させる(Rochelleの塩の長時間の攪拌もまた使用することができる)。有機層を分離し、そして水性相をCH2Cl2により洗浄した(2×)。有機層を組合せ、ブラインにより洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、セライト(登録商標)のパッドを通してろ過し、そして濃縮した。粗油状物には金属塩が混入していたため、油状物をEt2O(ジエチルエーテル、Et = エチル)中に溶解し、2時間静置し、その後セライト(登録商標)のパッドを通してろ過し、そして濃縮した。1H NMRによる粗残渣の解析は、わずか1つのジアステレオマーを示した(> 95:5 dr)。
Et2O(800 mL)中の粗残渣に対して、HCl(ジオキサン中4.0 M、17.2 mL、68.7 mmol)を添加し、そして反応物を30分間攪拌したところ、そのあいだに白色の沈殿物が形成された。沈殿物をろ過し、乾燥Et2Oにより洗浄し、そして乾燥させて、11.0 g(2工程にわたり74%)の(3)を無色固形物として得た。mp 151-154℃;[α]D -2.9(c 1.0, CH2Cl2);1H NMR δ 8.42(bs, 3 H), 7.70-7.55(m, 4 H), 7.48-7.30(m, 6 H), 5.90(dt, 1 H, J = 14.9, 7.5 Hz), 5.52(dd, 1 H, J = 15.4, 8.4 Hz), 3.69(appt, 3 H, J = 6.5 Hz), 2.45-2.20(m, 2 H), 1.80-1.50(m, 3 H), 1.03(s, 9 H), 0.95-0.84(m, 6 H);13C NMR δ 135.5, 134.5, 133.7, 129.5, 127.6, 127.3, 63.0, 52.9, 42.1, 35.6, 26.7, 24.4, 22.9, 21.5, 19.1;EIMS m/z 395([M-HCl]+, 40), 338(86), 198(100);HRMS(EI)m/z C25H37NOSi(M-HCl)の計算値395.2644, 実測値 395.2640。
(S,E)-tert-ブチル8-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-2-メチルオクト-5-エン-4-イルカルバメート(4)- CH2Cl2(400 mL)中の(3)(10.5 g、24.3 mmol)の溶液に対して、Et3N(トリエチルアミン)(3.0 eq、10.3 mL、72.9 mmol)およびBoc2O(1.05 eq、5.74 g、25.5 mmol)を添加し、そして結果として得られた懸濁物を室温にて14時間攪拌した。反応物を飽和NH4Cl水溶液により急冷し、有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、そして濃縮した。粗残渣を、次の工程にさらに生成することなく利用した。
(S,E)-tert-ブチル8-ヒドロキシ-2-メチルオクト-5-エン-4-イルカルバメート(5)- 0℃のTHF(200 mL)中の粗(4)(12.0 g、24.3 mmol)の溶液に対して、TBAF(THF中1.0 M、1.25 eq、30.4 mL、30.4 mmol)を添加し、そして反応物を室温にまで温め、そして2時間攪拌した。反応物を飽和NH4Cl水応益により急冷し、有機層をブラインにより洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、そして濃縮した。粗残渣をSiO2上でのクロマトグラフィー(3:7、EtOAc:ヘキサン)により精製して、5.51 g(88%、2工程)を無色油状物として得た。[α]D -12.7(c 1.0, CH2Cl2);1H NMR δ 5.56(dt, 1 H, J = 15.3, 6.9 Hz), 5.41(dd, 1 H, J = 15.4, 6.4 Hz), 4.41(bs, 1 H), 4.06(bm, 1 H), 3.65(appbq, 2 H, J = 5.7 Hz), 2.29(q, 2 H, J = 6.3 Hz), 1.76(bs, 1 H), 1.68(m, 1 H), 1.44(s, 9 H), 1.33(m, 2 H), 0.92(m, 6 H);13C NMR δ 155.4, 134.3, 126.9, 79.2, 61.5, 50.9, 44.5, 35.6, 28.3, 24.6, 22.5;EIMS m/z 257([M]+, 10), 227(55), 171(65);HRMS(EI)m/z C14H27NO3 の計算値257.1991, 実測値 257.1994。
(S,E)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-7-メチルオクト-3-エン酸(6)- 0℃のアセトン(40 mL)中の(5)(1.00 g、3.89 mmol)の溶液に対して、Jones試薬(2.5 M、3.89 mL、9.71 mmol)の新たに調製した溶液を添加し、そして反応物を0℃にて1時間攪拌した。暗色の溶液をEt2O(3×50 mL)により抽出し、有機層を水(2×75 mL)、ブライン(1×50 mL)により洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そして濃縮して、990 mg(94%粗)の酸(6)を黄色油状物として得て、それをさらに精製することなく使用した。
TEMPO-4-イル-(S,E)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-7-メチルオクト-3-エンアミド(7)- 0℃のCH2Cl2(35 mL)中の(6)(678 mg、2.50 mmol、粗)の溶液に対して、4-アミノtempo(1.5 eq、662 mg、3.75 mmol)、EDCI(1.2 eq、575 mg、3.00 mmol)、DMAP(1.1 eq、339 mg、2.75 mmol)およびHOBt-水和物(1.1 eq、377 mg、2.75 mmol)を添加し、そして結果として得られたオレンジ色の溶液を室温にて14時間攪拌した。反応物をCH2Cl2により希釈し、飽和NH4Cl水溶液により洗浄し、そして有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そして濃縮した。粗残渣をSiO2上でのクロマトグラフィー(1:1〜2:1、EtOAc/ヘキサン)により精製して、857 mg(76%、2工程)を桃色の固形物として得た。mp 61℃(軟化点:51℃);[α]D 23 +35.6(c 0.5, DCM);ESIMS m/z 365(40), 391(50), 447([M+Na]+, 100), 257(20);HRMS(ESI)m/z C23H42N3O4Na の計算値447.3073, 実測値 447.3109。
上述の式4として示される化合物を、図11Bに示されるように合成することができる。簡単に述べると、合成を以下の様にして行った:CH2Cl2中の化合物(1)の溶液に対して、塩酸ジルコノセンを添加し、その後Me2Znを添加し、次いでN-ジフェニルホスホリル-1-フェニルメタンイミン(イミン)の溶液を添加した。反応混合物を還流させ、ろ過し、洗浄し、そして乾燥させて、(2)を得た。TBDPS保護基の切断を、(2)をTBAFにより処理し、それが結果として(3)の形成を生じることにより達成された。末端アルコール(3)を脱水して、アルケン(4)とし、これをさらにオゾン分解により処理して、エステル(5)を得た。上述のJP4-039の合成のために示したプロトコルと類似するプロトコルを使用して、Boc保護基を伴うアミノ基をアシル化し、そして末端カルボン酸を4-アミノ-TEMPOと反応させて、(6)を得た。
実施例9 - ミトコンドリア-標的化ニトロキシド/ヘミグラミシジン(hemigramicidin)S複合体が。ガンマ線照射に対して、マウス胚性細胞を防護する(Jiang, J, et al., Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys., Vol. 70, No. 3, pp. 816-825, 2008を参照)
ニトロキシドの集積化と分布のEPR-に基づく解析。集積化効率を比較するため、マウス胚性細胞(1×107/mL)を10μMのニトロキシドとともに10分間インキュベートした。インキュベーション培地中、細胞懸濁物中またはミトコンドリア懸濁物中のニトロキシドラジカルのESRスペクトルを、アセトニトリル(1:1 v/v)との混合後、2 mM K3Fe(CN)6との5分間のインキュベーション後、JEOL-RE1X EPRスペクトロメータを使用して、以下の条件下で記録した:3350 G中央部領域;25 Gスキャン範囲;0.79 G領域調節、20 mWマイクロ波強度;0.1秒時間一定;4分間のスキャン時間。集積化効率を、
として算出した。ミトコンドリアを、製造者の説明書にしたがって、ミトコンドリア単離キット(Pierce, Rockford, IL)を用いて単離した。ミトコンドリア中に集積したニトロキシドラジカルの量を、チトクロームcオキシダーゼサブユニットIVの含量に対して正規化した。
スーパーオキシド精製。酸化-依存性蛍光性色素、DHEを使用して、スーパーオキシドラジカルの細胞内生成を評価した。DHEは、細胞透過性であり、そしてスーパーオキシドの存在下にて酸化されて、蛍光エチジウムとし、それがDNA中に挿入される。簡単に述べると、細胞を5μMのDHEによりインキュベーションの終わりに30分間処理した。次いで、細胞をトリプシン処理により回収し、そしてPBS中に再懸濁した。エチジウムの蛍光を、CellQuestソフトウェアを備えたFACScanフローサイトメーター(Becton-Dickinson, Rutherford, NJ)を使用して測定した。10,000個の細胞からの平均蛍光強度を、585/42 nmバンドパスフィルタを使用して得た。
CL酸化。CLヒドロペルオキシドを、蛍光生成性物質、Amplex RedとのMP-11-触媒化反応において形成された生成物の蛍光HPLCにより、測定した。酸化リン脂質を、1 mM CaCl2、0.5 mM EDTAおよび0.5 mM SDSを含有する25 mMリン酸緩衝液(pH 8.0、室温にて30分間)中、膵臓ホスホリパーゼA2(2 U/ml)により加水分解した。その後、Amplex RedおよびMP-11を添加し、そしてサンプルを4℃にて40分間インキュベートした。蛍光検出器(RF-10Axl、Ex/Em=560/590 nm)およびオートサンプラー(SIL-10AD vp)を備えたShimadzu LC-100AT vp HPLCシステムを、HPLC(Eclipse XDB-C18カラム、5μm、150×4.6 mm)により分離された生成物の解析のために使用した。移動相は、NaH2PO4(25 mM、pH 7.0)/メタノール(60:40 v/v)から構成された。
ホスファチジルセリン(PS)外面化。PSの外面化を、アネキシン-Vキットを用いたフローサイトメトリーにより解析した。簡単に述べると、回収された細胞を、アネキシン-V-FITCおよびPIにより暗所で5分間染色し、その後フローサイトメトリー解析に供した。10000個の事象が、CellQuestソフトウェアを備えたFACScanフローサイトメーター(Becton-Dickinson)上で集められた。
マウス胚性細胞のγ線照射線量生存曲線。細胞を、ペトリ皿あたり100〜1000個の細胞の密度で、2 mlの培養液を入れた35-mmペトリ皿に入れた。細胞を、γ線照射前(10分)またはγ線照射後(1時間)のいずれかに、GS-ニトロキシド(XJB-5-125)により処理した。XJB-5-125を、照射の4時間後に培養液から除去した。コロニーを固定し、そして0.25%クリスタルバイオレットにより染色し、そして9日間のインキュベーション期間の後に80%メタノール中の10%ホルマリン(35%v/v)で30分間固定し、そして≧50細胞のものを生存細胞としてカウントした。生存画分を、対照のプレート効率と比較して、サンプルのプレート効率として算出した。
図12は、ニトロキシド複合体XJB-5-125が、それらの親非-複合化4-アミノ-TEMPOと比較して、マウス胚性細胞中において細胞中およびミトコンドリア中に、非常に高い効率で集積化することが示される。(A)は、マウス胚性細胞におけるそれらの細胞集積化効率およびミトコンドリア集積化効率を示し、そして(B)は、ミトコンドリアから回収されたニトロキシドの代表的なEPRスペクトルを示す。
図13は、ニトロキシド複合体XJB-5-125が、γ線照射誘導性スーパーオキシド生成およびカルディオリピン過酸化に対して、マウス胚性細胞を防護することを示す。(A)スーパーオキシド生成。細胞を、10 Gyのγ線に対して曝露した。XJB-5-125(20μM)を、照射の10分前または照射の1時間後のいずれかに細胞に対して添加し、そして5時間のインキュベーション後に除去した。細胞を、5μMのDHEとともに指定された時点で30分間インキュベートした。エチジウム蛍光を、CellQuestソフトウェアを備えたFACScanフローサイトメーターを使用して解析した。10,000個の細胞からの平均蛍光強度を、585-nmバンドパスフィルタを使用して得た。(B)カルディオリピンの酸化。カルディオリピンヒドロペルオキシドを、蛍光HPLC-に基づくAmplex Redアッセイを使用して測定した。示されるデータは、平均±S.E.(n=3)である。非-照射細胞に対して*p<0.01;同一条件下でXJB-5-125処理を行わなかった照射細胞に対して*p<0.01(0.05)。挿入図は、細胞由来のリン脂質の典型的な2D-HPTLCプロファイルである。
図14は、ニトロキシド複合体XJB-5-125が、γ線照射誘導性アポトーシスに対して細胞を防護することを示す。(A)XJB-5-125が、マウス胚性細胞のサイトゾル中のチトクロームcのγ線照射誘導性蓄積をブロックする。(B)チトクロームc/アクチンの密度測定比。バンドの半-定量を、Labworks Image Acquisition and Analysisソフトウェア(UVP, Upland, CA)を使用した密度測定により行った。チトクロームc放出レベルを、アクチンに対するチトクロームcの平均密度測定比として表現した。(C)XJB-5-125(処理前)のγ線照射(10 Gy)誘導性ホスファチジルセリン(PS)外面化に対する用量(5、10および20μM)依存性放射線防護作用。照射誘導後48時間後に、細胞を回収し、そしてアネキシン-V-FITCおよびヨウ化プロピジウム(PI)により染色し、その後フローサイトメトリー解析に供した。(D)XJB-5-125(20μM)の、マウス胚性細胞におけるγ線照射(10 Gy)誘導性PS外面化に対する、時間(2、3、4、5、および6時間)依存性放射線防護作用(照射後48時間)。(E)XJB-5-125の、ヒト気管支上皮細胞株BEAS-2B細胞におけるγ線照射(10 Gy)誘導性PS外面化に対する作用。細胞を、照射前(10分)または照射後(1時間)に5-125(5または10μM)により処理した。PSの外面化を、照射曝露後72時間後に解析した。示されるデータは、平均±S.E.(n=3)である。5-125処理を行わない照射細胞に対して*(&)p<0.01(0.05)、5-125による処理前の細胞に対して#p<0.05。
図15は、ニトロキシド複合体XJB-5-125の、マウス胚性細胞のγ線照射線量生存曲線に対する作用を示す。細胞を、XJB-5-125(20μM)による処理前(10分)または処理後(1時間)であり、XJB-5-125を4時間のインキュベーション期間の後に除去した。生存画分を、対照のプレート効率と比較して、サンプルのプレート効率として算出した。データを、SigmaPlot 9.0(Systat Software)を使用して、単一ヒット複数標的モデルに適合させた。示されるデータは、平均±S.E.(n=3)である。
図16は、GS複合化ニトロキシド、XJB-5-125、の、32D cl 3マウス造血細胞のγ線照射線量生存曲線に対する作用を示す。XJB-5-125またはTempol中でインキュベートされた細胞は、32D cl 3細胞(0.797 Gy)と比較して、Doの増加(それぞれ1.138または1.209 Gy)を示した。XJB-5-125中でインキュベートした細胞は、tempol中でインキュベートした細胞についての5.82と比較して、18.24のnを有する生存曲線上の肩の増加を示した。
実施例10- JP4-039の放射線防護活性の試験
図17Aおよび図17Bは、GS-ニトロキシド化合物JP4-039が9.75 Gyの全身照射に曝露されたマウスの生存を増加させることを示すグラフである。図17Aにおいて、マウスは、10 mg/kgの図5に示される各化合物の腹腔内注射を受け、その後24時間後に刊行物に記載された方法にしたがって9.75 Gyの全身照射を受けた。マウスは、IACUC規定にしたがって生存について追跡された。照射された対照マウスと比較して、JP4-039を受けたマウスの生存は、顕著に増加した(P = .0008)。図17Bにおいて、マウスは、9.75 Gyの照射10分前(四角の印)または9.75 Gyの照射4時間後(三角の印)のいずれかに、JP4-039の腹腔内注射を受けた。
図18は、GS-ニトロキシド化合物JP4-039が、9.5 Gyの全身照射に曝露されたマウスの生存を増加させることを示すグラフである。15マウスの群は、10 mg/kgの各指示GS-ニトロキシド化合物またはキャリアの腹腔内注射を受けた(1:1の比でのCremphor+アルコール、次いで蒸留水で1:10希釈)。マウスは、全身照射の24時間前に、10 mg/kg腹腔内注射を受けた。対照マウスは、照射のみを受けた。GS-ニトロキシド化合物を受けたマウスでは、生存が統計的に有意に増加した(P = .0005)。
図19は、GS-ニトロキシドJP4-039が、照射24時間後に送達される場合に、有効な造血細胞照射緩和剤であることを示すグラフである。照射生存曲線は、照射前1時間のあいだ10μM JP4-039中でインキュベートされたか、または照射後に10μM JP4-030を含有するメチルセルロース中に配置された、32D cl 3マウス造血前駆細胞株由来の細胞に対して行われた。細胞を0〜8 Gyで照射し、0.8%メチルセルロース含有培地中に配置し、そして37℃にて7日間インキュベートした。50細胞より多いコロニーをカウントし、そしてデータを線形二次モデル、単一ヒット複数標的モデルにより解析した。JP4-039中でインキュベートされた細胞は、32D cl 3細胞のみに対する1.29 + 0.13と比較して、薬剤を照射前に添加した場合には5.25±0.84のn、または薬剤を照射後に添加した場合には4.55±0.47のnを有する、生存曲線上の肩の増加により示されるように、より耐性であった(それぞれp = 0.0109または0.0022)。
図20は、JP4-039が、KM101ヒト骨髄間質細胞に対する照射障害の効果的な緩和剤であることを示すグラフである。KM101細胞を、照射前1時間のあいだまたは照射後24時間、培養液のみまたはJP4-039(10μM)中でインキュベートした。細胞を0〜6 Gyの範囲の線量で照射し、そして4ウェルプレート中に配置した。7日後に、細胞をクリスタルバイオレットにより染色し、そして50細胞より多いコロニーをカウントした。照射前または照射後のいずれかにJP4-039中でインキュベートされた細胞は、KM101細胞についての1.1±0.1のn(それぞれp = 0.0309または0.0386)と比較して、肩の増加がそれぞれn = 2.3±0.2または2.2±0.2であることにより示されるように、より放射線抵抗性であった。異なる条件について、Doには顕著な変化は存在しなかった。
実施例11 - 臨床試験のためにJP4-039を最適化するためのNOD/SCIDマウスモデル
本発明者らは、NOD/SCIDマウスを使用して、JP4-039の、造血症候群を生じる線量に対する全身照射からのヒト骨髄間質細胞および造血幹細胞の回復に対する作用を試験することについての、顕著な予備的データを有している。図21Aは、臍帯血をI.V.で移植した後27日後に回収されたNOD/SCIDマウス骨髄中のヒト細胞の検出を生じたことを示し、フローサイトメトリー解析および照射、脛骨近位端骨穿孔(以下を参照)、およびヒト臍帯血注射の後のNOD/SCIDマウスBM中のヒトCD45+(薄い灰色)造血細胞の同定を示す。
6匹のNOD/SCIDマウスを350 cGyで照射し、そして1×107ヒト臍帯血(CB)単核細胞(MNC)を注射した。CB MNC細胞を最初に注射してから5ヶ月後に、6匹のマウスの右足を10 Gy出照射した。照射の24時間後に、脛骨に穴を開けた(図21Bを参照)。ドリルビットサイズ1 mmの直径(Dremel Corp.)。穴を開けた後24時間後に、1×107 CB MNCを、6匹のマウスのうち3匹に注射した。対照マウス(3匹)は、CBを与えなかった。CBを注射してから27日後に、骨を、BM中のヒトCD45+細胞(薄い灰色)についてのPE-複合化抗-CD45抗体(BD Biosciences)を使用した組織化学的解析およびおフローサイトメトリー解析のために回収した。解析を、BD LSR IIフローサイトメーター(BD Biosciences)上で行った。ヒトCD45+ 細胞が、対照マウス(マウス番号4)と比較した場合、ヒトCB MNCを受けたマウス(番号1〜3)の全てで検出可能であった。CD45+細胞の割合は、ブーストされていない足では.045〜3.288%の範囲であり、高線量照射された足では.028〜.892%の範囲であった。これらのマウスにおけるブーストされ照射された足とブーストされていない照射された足ととの間には、差異は存在しなかった。データは、傾向(ヒトCD45+ 細胞の割合が、高線量照射照射された足ではより低かった)が存在することが示唆されるが、1000 cGy・ブーストされた足と比較して、全身照射・非ブーストの足では統計的に有意な差異は存在しなかった(p=0.25)。Day 7の骨の写真を図21Bに示す。
図21Bは、近位骨端板の下2-mmの脛骨の外側面に、単皮質(unicortical)の2-mm直径の外傷のドリルビットを伴う、外科的修復後7日後の脛骨の外傷を介する、切片の顕微鏡写真である。強固な骨梁が、髄内管(canal)ならびに自発的損傷修復のこの中間相における皮質ウィンドウを、充填する。この時点は、本発明において提示されるように、照射による骨髄間質細胞媒介性骨生成の阻害およびJP4-039による回復を評価するために最適である。矢印は、外傷の周縁を示す(トルイジンブルー染色、×35)(58)。
実施例12 - GS-ニトロキシドの局所吸収および経皮吸収。実際上の皮膚パッチは、JP4-039または本明細書中で送達されるその他の化合物の送達のために計画される。このパッチッは、照射の前、間または被検体の照射曝露の24時間またはそれ以上の後も含む、後に、被検体に対して投与することができる。予備的研究において、本発明者らは、マウス皮膚に局所的に適用された代表的なGS-ニトロキシドXJB-5-125の吸収/浸透を特徴づけることを試みた。XJB-5-125は、ROS生成を阻害する能力、アポトーシスを阻害する能力、そしてミトコンドリア脂質に対する酸化的損傷を抑制する能力に基づいて、潜在的な局所薬剤として選択された。XJB-5-125は、XJB-5-125の(Leu-D-Phe-Pro-Val-Orn)部分を含み、そしてActD-誘導性PS外面化を2.5〜20μMの用量依存的様式で、減弱化することが示された。それは、ミトコンドリアからのチトクロームcの放出を阻害し、そしてCL過酸化を抑制することもできる。化学物質の物理的特性は、皮膚の内部または皮膚を通して浸透するその能力に対して必須である。2つの重要な因子は、log octanal/水(Ko/w)分配係数および分子量である。XJB-5-125について、log Ko/w = 4.5であり、そして分子量は956である。親油性“規則”は、脂溶性層皮膚角質層外でそしてより親水性の表皮および真皮中に区分される化合物についての必要性に基づいている。XJB-5-125のlog Ko/wおよびMWは、ケタコナゾール(log Ko/w = 4.34、MW = 532)、クロトリマゾール(log k/ow = 6.27、MW = 902)、およびインドメタシン(log Ko/w = 4.23、MW = 358)と類似しており、これらの薬剤を効率的に送達するために使用される製剤と類似の製剤を使用した送達の実現可能性を示唆する。JP4-039と同様に、XJB-5-125は、放射線緩和剤ならびに防護剤とである(図15を参照)。
皮膚の小片(2 cm2)を、Bronaughスタイルのフロースルー拡散セルシステム(PermeGear, Riegelsville, PA)中に配置した(図22)。次いで、不活性のポリマーKel-Fの2片の間にサンドウィッチし、そして漏出を防止するように閉じて固定した。表皮面は上に向いており、そしてドナー溶液(試験溶液)に曝露されており、そして真皮面はレセプター溶液と接触させる。曝露された面の面積は、0.79 cm2(1 cmの直径を有する環状のチャンバ)である。皮膚は、フロースルーチャンバ中に防水性シールを形成し、それにより真皮面上の受容される液体(PBS + 25%エタノール)は、皮膚を介して浸透された場合にのみ、XJB-5-125を含有する。受容チャンバは、このバッファーにより還流し、次いでそれをTeflonチューブを介して画分コレクターに通した。PBS + 25%エタノールを使用したのは、疎水性化合物の効果的な受け手でありそしてその他のレシーバー溶液と比較して、よりよいin vitro/in vivo相関を生じるためである。皮膚を、循環ウォーターバスを介して加熱された金属ブロック中のチャンバに配置することにより、32℃で維持した。皮膚を、60分間平衡化した後、試験化合物を導入した。75μLのXJB-5-125を皮膚上に配置し、そして実験の経過のあいだそのままにした。流出物を、24時間のあいだ回収した(図23〜図25)。
マウス皮膚へのXJB-5-125の浸透を評価するため、C57/BL6マウスを、動物毛刈り機(#40ブレード)を用いて剃毛し、その後Nair(脱毛剤)で簡単に処理して残る毛を除去した。毛を除去した後すぐに皮膚を洗浄して、さらなる刺激を予防した。皮膚を24時間のあいだ回復させた後、研究した。これは、毛による干渉を低下し、そして真皮浸透研究の前に、小さな擦り傷を癒すための時間を与える。
この研究の完了時に、皮膚を拡散チャンバから取り出した。局所的に適用される化合物のほとんどを含有するが、治療の観点からは関連していない、層皮膚角質層を、Brookman Tape(3M, Minneapolis, MN)を使用した連続的なテープ-ストリッピング(15回)により、取り出した。残っている皮膚(生存している表皮および真皮)および経皮的流出を、ESRを介してXJB-5-125についてアッセイした。
マウス皮膚を、400μLの50 mM PBS pH 7.4中でホモジナイズした。EPR測定値を、25℃で、JEOL JES-RE1Xスペクトロメータ上で、Alpha Wire Corp.(Elizabeth, NJ, USA)から取得したガス-浸透性Teflonチューブ(0.8 mm内径、0.013 mm厚)中で行った。Teflonチューブ(約8 cmの長さ)を、28.5%のアセトニトリルおよび2 mM K3Fe(CN)6を含有する70μLのサンプルで充填し、半分に折り、そして開口EPR石英チューブ(内径3.0 mm)中に配置した。(図24)
EPRスペクトルを、334.7 mT、中央部領域;20 mW、電力;0.079 mT、領域修飾;5 mT、掃引幅;400および4000、レシーバーゲイン;0.1秒、時間的制約;で記録した。スペクトルを、EPRwareソフトウェア(Scientific Software Services, Bloomington, IL, USA)を用いて回収した。
これらの予備的実験は、XJB-5-125が、無傷の皮膚に十分に浸透することができることを示す。さらに、24時間の全経皮的吸収および生存皮膚中に存在するXJB-5-125レベルを、本明細書中に記載される技術を使用して、うまく測定することができる。製剤の局所的送達に対する作用は、3種類の異なるドナー溶液を使用して測定した(図25)。ドナーA = DMSO 中の1 mM XJB-5-125、ドナーB = 95%プロピレングリコール+ 5%リノレン酸中の1 mM XJB-5-125、およびドナーC = 50%EtOH +40%HSO + 5%プロピレングリコール+ 5%Brij30中の1 mM XJB-5-125。全部で75 nmoleを、皮膚の各片の上部に配置し、これらの実験を開始した(75μlの100 mM)。皮膚中へのXJB-5-125の送達は、結果として、0.07%〜0.46%が24時間後に皮膚中に残った。より高い送達率は、その他の局所生成物の範囲内である。
XJB-5-125が2.5〜20μMの濃度範囲内で細胞において活性であるという観察を前提とし、そして組織密度が1 g/cm3であると仮定すれば、これらのデータに基づく規模の解析は、骨髄を防護するために全身性血液レベルを亢進するためのXJB-5-125の局所送達の方法は、実現可能であることを示している。
さらに、全皮膚吸収が、一般にドナー濃度と直線的に関連しているとみなされるという事実は、局所的送達がドナー濃度を上昇させることにより非常に亢進されることを暗示している。これらの予備的研究は、XJB-5-125送達の治療レベルへの実現可能性を示しており、そしてより少ないJP4-039分子ならびに本明細書中で記載されるその他の化合物、皮膚パッチ-送達可能な造血症候群の放射線緩和剤として有用である可能性があることを示す。
実施例13
以下を使用して、NOD/SCIDマウスの放射線照射の足におけるヒト骨骨髄間質細胞および新鮮なヒト間質細胞の播種効率を亢進することができる、最良のGS-ニトロキシドJP4-039(放射線障害緩和剤薬剤)を選択肢そして最適化することができる。MnSOD-過剰発現細胞は、陽性対照である。
A. KM101-MnSOD/ds-red(対照KM101-ds-red)クローン化細胞株を用いた実験。12匹のNOD/SCIDマウス群に、300 cGy全身照射(低線量足)および左後跂に1000 cGyブースト(高線量足)を与え、次いで24時間後に、各細胞株の1×105または1×106個の細胞を静脈内注射した(1グループおよび2グループ)。グループ3は、照射前24時間に静脈内でMnSOD-PLを与え、その後KM101-MnSOD/ds-redを注射したマウスである。グループ4は、照射前24時間に静脈内でMnSOD-PLを与え、その後対照KM101/ds-red細胞を与えた。この実験は、2回繰り返すことができる。マウスは、細胞移植後1日、3日、7日、14日に後跂の骨髄フラッシュをし、そして全細胞およびds-red陽性であるヒト由来の回収可能なコロニー形成性細胞数の割合の測定を行った。その測定は、ds-red陽性により、その後in vitroでの間質細胞によるコロニー形成により行うことができる。本発明者らは、ヒト由来の間質細胞の全細胞、次いでその割合を測定することができる。
B. ミトコンドリア標的化放射線防護/緩和JP4-039(GS-ニトロキシド)投与による、ヒト骨骨髄間質細胞株KM101播種における改善を示す実験。この実験は、照射後にJP4-039(24時間)を受けるサブグループ(細胞株を注射するのと同一の日)、または腹腔内JP4-039を(細胞株移植後毎日または毎週)受けるサブグループ以外の全ての群について、本質的に上述の(A)と同様に行うことができる。細胞を、7日、14日、21日に高線量照射大腿骨および低線量照射大腿骨から外植することができ、そしてヒト間質コロニー形成性前駆細胞(CFU-F)についてin vitroで培養した。高線量照射跂および低線量照射跂に進入するヒト細胞の割合および全数を、ds-redについての細胞ソートにより定量することができる。各実験を、2回行うことができる。
C. 上述の(A)と同様の実験であるが、新鮮なヒト骨髄Stro1+ 45 y.o.ドナー由来の間質細胞と置換した。
D. Stro1+ヒト骨髄間質細胞と置換した、上述の(B)と同様の実験。
統計的検討-(A)において、本発明者らは、4群間で4つの異なる時点で比較することを提示し、この場合、MnSODまたはMnSODなしのいずれか、そしてDsRed-KM101細胞の観点から105または106 KM101細胞のいずれかを注射する。(B)において、本発明者らは、(A)と同一の観点から実験の化合物の異なる用量およびスケジュールを使用する場合の、10群間で3つの異なる時点で比較することを提示する。(C)および(D)は、KM101細胞の代わりにヒト間質細胞を使用する点以外は、それぞれ(A)および(B)と同一である。このタスクでの全ての比較は、高線量照射跂および低線量照射跂について別個に行う。ANOVAの後のTukeyの試験を、これらの解析のために使用することができる。サンプルサイズは、対比較のための2サンプルt-試験により推定することができる。予備的データがないため、サンプルサイズの推定は、一般的な標準偏差σの観点で群間で検出する予想される差異に基づくものである。群当たり6匹のマウスを、時点ごとに犠死させることができる。このサンプルサイズを用いて、これらは、顕著性レベル0.05を有する2方向性2サンプル試験を使用して、1.8σの差異を検出する82%の検出力である。
第2の目的として、コロニー形性単位線維芽細胞(ヒト)CFU-Fの数は、第1の目的と同一の方法で、群間で比較することもできる。
KM101-MnSOD/ds-red細胞におけるMnSOD過剰発現は、NOD/SCIDマウスの高照射跂および低照射跂の両方において、より高い播種効率を誘導することが、予想される。本発明者らは、クローン化株細胞株注入の前の造血性微小環境のMnSOD-PL処理は、KM101-MnSOD/ds-red細胞株およびKM101-ds-red細胞株の両方の生着をさらに向上させると予想する。本発明者らは、播種効率の最高割合が、照射前にMnSOD-PLを受けそしてKM101-MnSOD/ds-red細胞の注射を受けたマウスにおいて検出されると予想する。
本発明者らは、細胞移植後の毎日のJP4-039の投与が、照射骨髄微小環境によるフリーラジカル生成を減少することにより、全ての間質細胞株の生着の安定性の向上を促進すると予想している。
JP4-039に対する不活性対照化合物を使用することができる(ニトロキシド活性部分が存在しないJP4-039)。これらの実験の結果に基づいて、骨骨髄間質細胞播種に対する最適条件を誘導することができ、そしてこれらの条件を以下に記載する実験において使用することができる。
実施例14
ヒト骨髄間質細胞の生着により調製されるNOD/SCIDマウスの照射跂へのヒトCD34+ 臍帯血多分化造血幹細胞前駆細胞の播種を亢進するための、GS-ニトロキシドJP4-039治療の選択および最適化。
1. TBI処理C57BL/6Jマウスを用いた実験およびマウス骨髄スクリーニング(予備的システム試験)
2. 照射NOD/SCIDマウス中でのヒトKM101細胞についての最適な播種プロトコルを使用した実験(照射前にMnSOD-PLを与えられ、その後KM101-MnSOD/ds-redを注射、JP4-039を毎日添加されたマウスと予想される)。次いで、マウスは、ヒト臍帯血由来の1×105または1×106 CD34+ LIN-細胞の静脈内注射を受けることができる。対照細胞は、注射あたり105または106のCD34+ LIN+細胞(分化した前駆細胞)であってもよい。12群のマウス。
これらの実験は、2回のスケジュールで実行することができる。
a. KM101-MnSOD/ds-red細胞と同一時の、臍帯血細胞の注射。
b. 実施例13の外植実験由来のKM101-MnSOD/ds-red細胞の最適回復時での、臍帯血細胞の注射。これは間質細胞注射後7日または14日に行うべきである。
これらの実験において、マウスを、臍帯血幹細胞移植後2ヶ月間の間に連続的な時間点で追跡しそして試験することができる。ヒト末梢血造血細胞の割合は、末梢血サンプル中で毎週スコアリングすることができ、そしてCFU-GEMMコロニーを形成する細胞数を犠死マウスからの外植骨中で試験することができる。
臍帯血移植後7日、14日、21日、28日、または60日後、サブグループのマウスを犠死させることができ、そして全ての細胞を高線量照射大腿骨および低線量照射大腿骨から流しだし、そしてヒト多分化造血前駆細胞-CFU-GEMMについてアッセイを実施した。アッセイは、2つの方法により行うことができる:
a. ヒトに対して特異的なモノクローナル抗体を用いた、ヒトCD34+細胞のソーティング。
b. ヒトCFU-GEMM培養液中でのコロニー形成、その後in vitroで7日および14日に検出される全マウスおよびヒトコロニー形成性細胞のサブセットとしての、ヒトコロニーの二次スコアリング。
In vitro実験を、以下の様に並行して行うことができる:
KM101-MnSOD-PLプラトー相の間質細胞を、in vitroで100、200、500、1000 cGyに照射し、その後CD34+ LIN-ヒト臍帯血細胞を間質細胞とともにin vitroで共培養することができる。対照には、非照射KM101-MnSOD/ds-red細胞、照射KM101-ds-red細胞、非照射KM101-ds-red細胞が含まれていてもよい。
本発明者らは、これらの培養物上で毎週ヒトの小石状の島(幹細胞コロニー)をスコアリングし、累積的な小石状島形成をプロットし、毎週細胞を回収することにより累積的非接着性細胞生成をプロットし、そして毎週CFU-GEMM形成についての細胞回収のアッセイをプロットすることができる。これらの研究は、2〜3週にわたり実行することができる。In vitro共培養の研究は、部分的にのみin vivo造血微小環境を再現することができ、そして2週間は、接着性KM101層におけるMnSOD-PL発現が臍帯血幹細胞の生着を増加させるかどうかの検出のために、最大効率の時間である。
3. 照射された骨髄間質細胞環境でのROS産生を除去することによるヒト臍帯血幹細胞のホーミング、安定な休止、そして再生能力を増加させるための、上述の(1)における様な臍帯血移植プログラムのJP4-039添加による実験。
共培養培養液中に、薬剤JP4-039を毎日添加する、in vitroでの実験。臍帯血幹細胞と共培養された照射されたKM101サブクローン化株を用いた実験を、JP4-039を添加することにより、または活性類似体JP4-039を毎日添加することにより、行うことができる。対照実験には、CD34+ LIN+分化臍帯血細胞の添加が含まれてもよく、時間とともにわずかなCFU-GEMMを生成することが予想される。間質細胞培養物は、照射されてもよく、臍帯血細胞を添加してもよく、そして培養物を上述のようにスコアリングしてもよい。
12匹のマウスの群に、上述の実験に由来するヒトCFU-GEMM細胞生着に対して最適なプロトコルを与えることができ、次いでサブグループを以下の様に処理することができる:
a. JP4-039を週に2回;
b. JP4-039を毎日;
c. 不活性のJP4-039類似体を毎日。
4. KM101サブクローン化株の代わりに新鮮なヒトStro1+ 骨髄細胞を用いる、上述の(1)における様な実験。
5. KM101サブクローン化株の代わりにヒトStro1+ 骨髄細胞を用いる、上述の(2)における様な実験。
統計的検討-(1)において、本発明者らは、7群間で5つの異なる時点で比較することができ、この場合、CD45+細胞の数の観点から、MnSOD-KM101および/または105/106CD34+細胞を使用する。(2)において、本発明者らは、7群間で5つの異なる時点で比較することができ、その場合、KM101、CD34+細胞、KM101に加えて、(1)における場合の同一の目的のため、CD34+ 細胞、実験的化合物の単回投与または二重投与、または実験的化合物の不活性類似体の単回投与または二重投与、を使用する。タスク(3)および(4)は、KM101細胞の代わりにヒトStro1+ 骨髄細胞を使用することができる点以外は、それぞれ実施例13の(A)および(B)と同一である。このタスクでの全ての比較は、高線量照射跂および低線量照射跂について別個に行うことができる。ANOVAの後のTukeyの試験を、これらの解析のために使用することができる。実施例13におけるサンプルサイズの検討事項と同様に、本発明者らは、各時点について、群当たり6匹のマウスを使用する。第2の目的として、CFU-GEMMの数もまた、、第1の目的と同一の方法で、群間で比較することもできる。
可能性のある結果-実施例13の結果に基づいて、本発明者らは、臍帯血幹細胞およびin vitroでのヒト骨骨髄間質細胞ホーミングが、間質細胞移植の前にマウス微小環境をMnSOD-PL処理することにより最適化され、そしてMnSOD-PLを過剰発現するKM101細胞は、照射微小環境におけるさらなる安定性を示すことを、予想している。本発明者らは、JP4-039処理が、造血細胞生存をさらに亢進し、そしてCFU-GEMMの数を増加させることを予想する。
実施例15
これらの実験は、骨髄損傷のJP4-039による効果的な緩和の方法として、ヒト間質細胞による骨生成を利用する。JP4-039を、NOD/SCIDマウスにおける近位脛骨の人工骨折を、ヒトコラーゲンを生成するヒト間質細胞誘導性骨芽細胞により修復するために試験することができ、そして抗酸化物質JP4-039処理により骨折の治癒が亢進することを示すことができる。
A. KM101細胞と比較した場合の、KM101-MnSOD/ds-redを生着させたマウスによる実験。マウスは、両方の近位脛骨に穿孔されていてもよく、その後300 cGyの全身線量の照射、一方の後跂に対して1000 cGy、およびその後24時間に、1×105 の各株の骨骨髄間質細胞の注射を行うことができる。マウスを、21日間追跡することができ、そして連続的な7日の時点で、脛骨を外植し、そして治癒骨中のヒトコラーゲンの相対含量についてアッセイした。
B. (A)に記載される実験の繰り返し実験において、毎週または毎日追加的に注射されたJP4-039(群当たり12匹のマウス)。
C. マウスには、照射の24時間前に、MnSOD-PLを静脈内で与え(骨穿孔の日に)、その後、KM101-MnSOD/ds-redまたはKM101-ds-redのいずれかを注射した。
D. マウスは、上述の(C)に記載されるように、細胞株注射の前にスクランブル化配列MnSOD-PL注射を受けた。
E. (A 〜D)の実験は、KM101サブクローンの代わりに新鮮なStro1+ 間質細胞を使用した。
統計的検討-(A)において、本発明者らは、17群で3つの異なる時点で比較し、これはヒトコラーゲンの割合の観点で、KM101細胞、MnSOD、実験的化合物を単回投与または二重投与、スクランブル化MnSOD、またはこれらのいくつかの組合せ、を使用する。(B)は、ヒトStro1+ 骨髄細胞をKM101細胞に代えて使用する点以外は、(A)と同一である。このタスクでの全ての比較は、高線量照射跂および低線量照射跂について別個に行うことができる。ANOVAの後のTukeyの試験を、これらの解析のために使用することができる。実施例13におけるサンプルサイズの検討事項と同様に、本発明者らは、各時点について、群当たり6匹のマウスを使用する。
可能性のある結果- 本発明者らは、KM101-MnSOD/ds-redがin vivoでの骨形成能力の向上を示すと予想している。本発明者らは、照射前24時間のマウスに対するMnSOD-PLの投与が、KM101-MnSOD/ds-redのホーミングおよび骨芽細胞分化をさらに亢進することを予想している。
予備的データは、骨骨髄間質細胞株の照射生存曲線を示し、そしてMnSOD過剰発現による生存の亢進を示す。その他の予備的データは、Stro1+ MnSOD-PLによりトランスフェクトされた細胞およびKM101-MnSOD/ds-redならびにKM101-ds-redのそれぞれが、in vitroで(骨形成培養液実験を行っている)、そして穿孔したNOD/SCIDマウスにおいてin vivoで、骨芽細胞に分化することができることが示されると考えられる。JP4-039により処理したKM101-MnSOD/ds-redおよびKM101-ds-redの照射生存曲線は上記に示されるが、しかしJP4-039の不活性類似体では示されない。本発明者らは、3つの条件を予想する:1)微小環境に対するMnSOD-PL投与、2)ヒト由来の骨骨髄間質細胞株におけるMnSODの過剰発現、そして3)JP4-039抗酸化物質治療の追加、がヒト由来コラーゲン産生性細胞による最大骨形成分化を引き起こす。この実験についてのさらなる対照として、本発明者らは、ヒト由来の造血細胞が、骨骨髄間質細胞の最適化機能に必要であるかどうかを決定することができる。KM101-MnSOD/ds-red 間質細胞を播種したNOD/SCIDマウスには、これらの細胞が最適なコロニー形成を生じるかどうかを確認するため、ヒト臍帯血CD34+ LINの注射により-、または間質細胞とともにまたは24時間後のいずれかに投与されるCD34+ LIN+細胞の注射により、追加することができる。その他の対照は、CD34+ LIN-、CD34+ LIN+ 造血細胞のみであってもよい。その他の対照には、臍帯血のみに由来するSTRO1+ 間質細胞前駆細胞または全臍帯血対照が含まれてもよい。
実施例16 変性および/または老化の兆候を阻害する際のXJB-5-131の有効性を評価するため、化合物を投与し、18〜21週の期間にわたり、早老症Ercc1-/Δマウスに対して、ヒマワリ油キャリア(溶解度を高めるため)中の2 mg/kgの用量で、1週間に3回腹腔投与することにより、投与した(図32)。ヒマワリ種子油は、対照として同一のスケジュールにしたがって、双子のErcc1-/Δマウスに対して投与した。処理したマウスおよび対照マウスを、1週間に2回、体重および症候/兆候の出現についてモニタリングした。
図33は、5週目から死ぬまでの処理後の、対照(ヒマワリ油)と比較した、XJB-5-131(図中では“XJB”)による処理の結果を示す、概要表を示す。数は、XJB-5-131またはビヒクルのみ(油)(群当たりn=5マウス)により処理したマウスについての、各齢-関連症状の発症時の平均齢を示す。黄色で目立たせた細胞は、XJB-5-131により顕著に遅延した症状を示す。測定されたほとんどの症状の改善に加えて、全体的な加齢スコアが、XJB-5-131-処理マウスにおいて顕著に向上した。注目すべきことに、筋失調症、振戦、運動失調、消耗および尿失禁を含む神経変性の全ての兆候が、処理された動物において遅延されたことから、酸化ストレスにより引き起こされる変性性変化に対して、XJB-5-131がニューロンを防護することの強力な証拠が示された。
XJB-5-131が、椎間板の劣化(椎骨の変性性疾患の指標)を阻害する能力を評価するため、処理マウスおよび対照マウスにおける椎間板中のグリコサミノグリカン濃度を測定した結果を、図34に示す。処理マウスの椎間板は、対照マウスと比較して、およそ30%多くのグリコサミノグリカンを含有しており、椎間板変性の阻害を示した。
XJB-5-131の光による老化に対する作用の測定として、皮膚においてのみERCC1を失っている、Ercc1-/cond、K14-Creマウスを剃毛し、脱毛剤で処理して、UV-B光により照射して、日焼けを誘導した(500 J/m2、中間紅斑線量)。続いて、マウスを、クリーム中に乳化したXJB-5-131(80μg)により、毎日5日間処理した。結果は、図35に示されるが、処理マウス の皮膚が、対照(クリームのみで処理されたマウス)と比較して、ずっと滑らかになったようであり、そして健康的になったようであることが、示される。
肉眼レベルでは、XJB-5-131の投与は、処理の結果として体重が減少しなかったという事実により示されるように、動物では十分に容認されてきたようである。処置動物、未処置動物、および対照動物の時間経過による体重を示すグラフが、図36A〜Bにおいて示される。細胞レベルでのXJB-5-131の影響を評価するため、多数の実験を、Ercc1-/- マウス胚から得たマウス胚線維芽(“MEF”)細胞を使用して、行った。図37に示されるように、そのようなMEF培養を、周囲酸素(酸化ストレス)条件下で調製しそして増殖させ、その後非処理(培養液のみ)または500 nM(培養液中)XJB-5-131の濃度により処理し、その後SA-βガラクトシダーゼ染色について試験した(of 細胞老化のマーカー)。染色の量は、処理細胞において顕著に少なかった。さらに、XJB-5-131処理は、アポトーシスの量を減少させなかったが(図39)、DNA中のγH2AX遺伝子座の数を減少させることが見出された(細胞老化およびDNA二本鎖切断の第2のマーカー)(図38)。
実施例17 - JP4-039の防護作用
JP4-039の治療能力を評価するため、安全性および防護活性についての試験を行った。図35および図36はそれぞれ、Ercc1-/-または野生型マウス胚から作出されたMEF細胞の培養において、様々な濃度のJP4-039が48時間後に毒性作用を生成するかどうかを評価するための試験結果を示す。試験された最高濃度では(10μM)、毒性の兆候は培養システムのいずれかでも全く観察されず、そして細胞増殖は非処理対照細胞(培養液のみ)に対して亢進される。
JP4-039の防護活性を試験するため、初代MEFの培養物をErcc1-/-マウス胚から調製し、そして20%酸素(環境大気)の下で生育させ、それは活性酸素種に対して過敏なこれらの細胞において酸化ストレスを生じる。次いで、細胞を1μM XJB-5-131、JP4-039、JED-E71-37またはJED-E71-58の濃度のものにより処理し、または非処理のまま(培地)により処理し、そしてその48時間後に、p16(不可逆的細胞老化のマーカー)のレベルを、免疫蛍光染色により測定した。図37において見られるように、p16のレベルは、JP4-039により処理されたMEF細胞において、非処理細胞のそのレベルと比較してかなり低かったが、XJB-5-131、JED-E71-37およびJED-E71-58は、この濃度ではあまり効果的ではないことが観察された。
実施例18 - 細胞培養中での抗酸化物質の防護作用
JED-E71-37およびJED-E71-58の防護活性を評価するため、初代MEF細胞をErcc1-/-マウスから作出し、そして酸化ストレス(環境大気、20%酸素)の条件下で生育させた。次いで、細胞を、処置しないかまたは48時間の期間、1μM JED-E71-37またはJED-E71-58により処置した。図38に見られるように、両化合物とも酸化ストレスにも関わらず、細胞増殖を向上させた。
次に、それぞれ1μMの濃度のこれらの2種類の試薬、ならびにXJB-5-131およびJP4-039のの能力を、調製された細胞培養物中での酸化-誘導性DNA二本鎖切断を防止する能力について試験し、そして専攻する段落における場合と同様に酸化的にストレスをかけた。処理細胞および非処理細胞を、処理の48時間後、DNA二本鎖切断のマーカーであるγ-H2AX、ならびに細胞老化について、免疫染色した。JED-E71-58についての結果を、図39に示し、γ-H2AXの独特な減少を示す。JP4-039は有効ではあるが、しかしXJB-5-131およびJED-E71-37は、この濃度ではそれほど有効ではないことが観察された。
実施例19 - ニトロキシド類似体の代わりの設計
GS-ニトロキシド化合物JP4-039の高い活性についての構造要求性をさらに調べるため、本発明者らは、いくつかのニトロキシド類似体を設計した。図40は、ニトロキシド類似体の代わりの設計のスキーム図を示す。この設計は、以下の内容:標的化基を修飾して薬物様特性を最適化することおよび/または代わりのニトロキシド含有基を調べてそれらの酸化剤効率を向上すること:一方または両方を含むことができる(例えば、そして限定的ではないが、Reid, D.A. et al. The synthesis of water soluble isoindoline nitroxides and a pronitroxide hydroxylamine hydrochloride UV-VIS probe for free radicals. Chem Comm. 1998, 17:1907-8;Iwabuchi, Y.J., Exploration and Exploitation of Synthetic Use of Oxoammonium Ions in Alcohol Oxidation. J. Synth. Org. Chem. Jpn. 2008, 66(11):1076-84を参照)。標的化基の修飾には、Ac(-C(O)CH3)、Cbz(-C(O)O-Bn、ここでBnはベンジル基である)またはジアルキルホスフェートなどの、代わりのためのBocの置換が含まれてもよい。ジアルキルホスフェートには、-P(O)-Ph2が含まれ、ここで、Phはフェニル基である。その他の修飾には、標的化基内でのアルケンの等比体積の置換も含まれ、例えば、シクロプロパン基Rが含まれてもよい。ニトロキシド含有基には、TEMPOおよびTEMPOLが含まれ、ならびに代わりのニトロキシド成分、例えば、TMIO(1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イルオキシル)または1-Me-AZADO(1-メチル 2-アザアダマンタンN-オキシル)が含まれる。これらの代わりのニトロキシド成分の合成プロトコルを、以下に提供する。
図41は、JP4-039、式2にしたがう化合物、式3にしたがう化合物、およびその他の化合物を含む、ニトロキシド類似体の様々な代わりの設計を生成するために使用することができる合成プロトコルを示す。JP4-039のこの特異的な合成は、実施例8において上述した。JP4-039およびその類似体は、アリルアミンの非対称合成のための効率的な方法、以前に我々の研究室で開発されたもの、を介して調製された(Wipf P. & Pierce J.G. Expedient Synthesis of the α-C-Glycoside Analogue of the Immunostimulant Galactosylceramide (KRN7000), Org. Lett. 2006, 8(15):3375-8)。図41における一つの重要な工程には、ジルコニウム法を使用してジアステレオマーアリルアミン(7)を生成することが含まれる。この方法には、アルキン(5)のCp2ZrHClによるヒドロジルコノ化、Me3Alへの金属交換反応、およびN-tBu-スルフィニルアミン(3)への付加、が含まれる。アルケン(8b)のZn(CH2I)2によるSmithシクロプロパン化は、図41における別の重要な工程である。この後者の工程において、シクロプロパン環周辺の立体化学は、反応後に決定されるべきものである。
化合物(10a、JP4-039)、(10b)、(10c)、(14a)、および(14b)の合成(図41に示される)は、以下の工程にしたがって達成された。
(R,E)-2-メチル-N-(3-メチルブチリデン)プロパン-2-スルフィンアミド(3)。表題化合物の合成は、実施例8において既に記載した(化合物1)。
(ブト-3-イニルオキシ)(tert-ブチル)ジフェニルシラン(5)。表題化合物の合成は、実施例8において既に記載した(化合物2)。
塩酸(S,E)-8-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-2-メチルオクト-5-エン-4-アミン(7)。表題化合物の合成は、実施例8において既に記載した(化合物3)。
(S,E)-tert-ブチル8-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-2-メチルオクト-5-エン-4-イルカルバメート(8a)。表題化合物の合成は、既に実施例8において記載した(化合物4)。
(S,E)-ベンジル8-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-2-メチルオクト-5-エン-4-イルカルバメート(8b)。乾燥THF(15 mL)中、アミン7(1.50 g、3.79 mmol)の混合物に対して、Et3N(1.65 mL、11.75 mmol)を添加し、その後0℃で乾燥THF(4 mL)中のベンジルクロロホルメート(CbzCl、0.59 mL、4.17 mmol)を添加した。結果として得られた白色懸濁物を、室温まで温め、そして5時間攪拌して、次いでDCMおよび水で希釈した。水性相をDCMで抽出し(2×)、そして組み合わせた有機層を10%HClおよび飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過しそしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、8:2、ヘキサン/EtOAc)により、1.45 g(72%)の表題化合物を黄色油状物として得た。1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ7.75-7.65(m, 4 H), 7.50-7.28(m, 11 H), 5.70-5.55(m, 1 H), 5.40(dd, 1 H, J = 15.4, 6.2 Hz), 5.11(s, 2 H), 4.58(m, 1 H), 4.21(m, 1 H), 3.71(t, 2 H, J = 6.6 Hz), 2.30(q, 2 H, J = 6.6 Hz), 1.67(m, 1 H), 1.40-1.22(m, 2 H), 1.07(s, 9 H), 0.92(m, 6 H);HRMS(ESI)m/z C33H43NO3SiNaの計算値552.2910, 実測値 552.2930。
(S,E)-N-(8-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)-2-メチルオクト-5-エン-4-イル)-P,P-ジフェニルホスフィン酸アミド(8c)。乾燥DCM(7 mL)中のアミン7(400 mg、1.01 mmol)の溶液に対して、Et3N(0.44 mL、3.13 mmol)を添加し、その後0℃の乾燥DCM(3 mL)中の塩化ジフェニルホスフィン(Ph2POCl、0.22 mL、1.11 mmol)溶液を添加した。0℃にて15分間攪拌したのち、反応混合物を室温まで温め、そして4時間攪拌し、次いでDCMおよび10%HClにより希釈した。水性相を、DCMにより抽出し、そして組み合わせた有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、720 mgの粗表題化合物を淡黄色固形化油状物として得て、これを次の工程のためにさらに生成することなく使用した。
(S,E)-tert-ブチル8-ヒドロキシ-2-メチルオクト-5-エン-4-イルカルバメート(9a)。表題化合物の合成は、実施例8において既に記載された(化合物5)。
(S,E)-ベンジル8-ヒドロキシ-2-メチルオクト-5-エン-4-イルカルバメート(9b)。0℃の乾燥THF(9 mL)中のTBDPS-保護化アルコール8b(584 mg、1.10 mmol、粗)の溶液に対して、TBAF(1.0M / THF、1.38 mL、1.38 mmol)を添加し、そして反応混合物を室温まで温めたアルゴン下にて3.5時間攪拌し、その後飽和NH4Cl水溶液により急冷し、そしてEtOAcにより希釈した。水性相を分離し、そしてEtOAcにより抽出した。組み合わせた有機層をブラインにより洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過しそしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、5:5、ヘキサン/EtOAc)により、194 mg(60%、2工程)の表題化合物を無色油状物として得た。[α]D 23 -6.4(c 1.0、DCM);1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 7.20-7.40(m, 5 H), 5.65-5.49(m, 1 H), 5.44(dd, 1 H, J = 15.3, 6.6 Hz), 5.09(s, 2 H), 4.67(bs, 1 H), 4.16(m, 1 H), 3.63(bs, 2 H), 2.28(q, 2 H, J = 6.0 Hz), 1.82(bs, 1 H), 1.65(m, 1 H), 1.40-1.25(m, 2 H), 0.80-1.00(m, 6 H);HRMS(ESI)m/z C17H25NO3Naの計算値314.1732, 実測値 314.1739。
(S,E)-N-(8-ヒドロキシ-2-メチルオクト-5-エン-4-イル)-P,P-ジフェニルホスフィン酸アミド(9c)。0℃の乾燥THF(8 mL)中のTBDPS-保護化アルコール8c(700 mg、0.983 mmol、粗)の溶液に対して、TBAF(1.0M / THF、1.23 mL、1.23 mmol)を添加し、そして反応混合物をアルゴン下で攪拌しながら室温まで温めた。4時間後にも完了までには至っていなかったため、0.75等量のTBAF(0.75 mL)を0℃で添加した。反応混合物を室温で3時間さらに攪拌し、次いで飽和NH4Cl水溶液により急冷しそしてEtOAcにより希釈した。水性相を分離し、そしてEtOAcにより抽出した。組み合わせた有機層をブラインにより洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、95:5、EtOAc/MeOH)により、272 mg(77%、2工程)の表題化合物を白色固体として得た。mp 124.0-124.2℃;[α]D 23 -12.1(c 1.0, DCM);1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 8.00-7.83(m, 4 H), 7.58-7.35(m, 6 H), 5.52(dd, 1 H, J = 15.3, 9.0 Hz), 5.24(m, 1 H), 4.58(bs, 1 H), 3.78-3.47(m, 3 H), 2.80(appdd, 1 H, J = 9.2, 3.8 Hz), 2.16(m, 2 H), 1.68(bs, 1 H), 1.55-1.43(m, 1 H), 1.43-1.31(m, 1 H), 0.87(dd, 6 H, J = 8.6, 6.4 Hz);HRMS(ESI)m/z C21H28NO2PNaの計算値380.1755, 実測値 380.1725。
TEMPO-4-イル-(S,E)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-7-メチルオクト-3-エンアミド(10a、JP4-039)。表題化合物の合成は、実施例8において既に記載した(化合物7)。
TEMPO-4-イル-(S,E)-5-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-7-メチルオクト-3-エンアミド(10b)。0℃のアセトン(5 mL)中のアルコール9b(158 mg、0.543 mmol)の溶液に対して、Jones試薬新たに調製した溶液(2.5M、0.54 mL、1.358 mmol)をゆっくりと添加した。結果として得られた暗色懸濁物を0℃にて1時間攪拌し、次いでEt2Oおよび水により希釈した。水性相を分離し、そしてEt2Oにより抽出した(2×)。組み合わせた有機層を水(2×)およびブライン(1×)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、166 mg(quant.)の粗酸をわずかに黄色い油状物として得て、これを次の工程のためにさらに生成することなく使用した。
0℃の乾燥DCM(7 mL)中のこの酸(160 mg、0.524 mmol、粗)の溶液に対して、乾燥DCM(0.5 mL)中の4-アミノ-TEMPO(139 mg、0.786 mmol)の溶液、DMAP(71 mg、0.576 mmol)、HOBt・H2O(78 mg、0.576 mmol)およびEDCI(123 mg、0.629 mmol)を連続的に添加した。結果として得られたオレンジ色の溶液を、室温、アルゴン下にて15時間攪拌し、その後飽和NH4Clにより洗浄した。水性相を分離し、そしてDCMにより1回抽出し、そして組み合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、5:5 to 3:7、ヘキサン/EtOAc)により、171 mg(71%)の表題化合物を桃色泡状物として得た。mp 60.5℃(軟化点:44℃);[α]D 23 +26.5(c 0.5, DCM);EIMS m/z 458([M]+, 37), 281(19), 154(28), 124(47), 91(100), 84(41);HRMS(EI)m/z C26H40N3O4の計算値458.3019, 実測値 458.3035。
TEMPO-4-イル-(S,E)-5-(ジフェニルホスホリルアミノ)-7-メチルオクト-3-エンアミド(10c)。0℃アセトン(5 mL)中のアルコール9c(166.5 mg、0.466 mmol)の溶液に対して、Jones試薬の新たに調製した溶液(2.5M、0.47 mL、1.165 mmol)をゆっくりと添加した。結果として得られた暗色懸濁物を、0℃にて2時間攪拌し、その後Et2Oおよび水により希釈した。水性相を分離し、そしてEt2Oにより抽出した(2×)。組み合わせた有機層を水(2×)およびブライン(1×)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、114 mg(66%)の粗酸を白色泡状物として得て、それを次の工程のためにさらに生成することなく使用した。
0℃の乾燥DCM(3.5 mL)中のこの酸(110 mg、0.296 mmol、粗)の溶液に対して、乾燥DCM(0.5 mL)中の4-アミノ-TEMPO(78.4 mg、0.444 mmol)の溶液、DMAP(40.2 mg、0.326 mmol)、HOBt・H2O(44.0 mg、0.326 mmol)、およびEDCI(69.5 mg、0.355 mmol)を連続的に添加した。結果として得られたオレンジ色の溶液を、室温、アルゴン下で13時間攪拌し、その後飽和NH4Clにより洗浄した。水性相を分離し、そしてDCMにより1回抽出し、そして組み合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、in vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、EtOAcから97:3、EtOAc/MeOH)により、91.2 mg(59%)の表題化合物をオレンジ色の油状物として得て、それを高い減圧下で非常にゆっくりと固形化した。mp 168.0-168.8℃(軟化点:約75℃);[α]D 23 -14.1(c 0.5, DCM);EIMS m/z 525([M+H]+, 10), 371(27), 218(28), 201(74), 124(100), 91(35), 84(26);HRMS(EI)m/z C30H43N3O3Pの計算値524.3042, 実測値 524.3040。
ベンジル(1S)-1-(2-(2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル)シクロプロピル)-3-メチルブチルカルバメート(11b)。乾燥DCM(2 mL)中のZnEt2(110 mg、0.844 mmol)の溶液に対して、DME(蒸溜したもの、0.088 mL、844 mmol)を添加した。反応混合物を、室温にて、10分間、N2下にて攪拌し、次いで-20℃にまで冷却して、そしてCH2I2(0.137 mL、1.687 mmol)を4分間かけて滴下した。10分間攪拌した後、乾燥DCM(1 mL)中のアルケン8b(149 mg、0.281 mmol)の溶液を、5分間かけて滴下した。反応混合物を、攪拌しながら室温にまで温めた。10時間後、反応混合物を飽和NH4Cl水溶液により急冷し、そしてDCMおよび水により希釈し、水性相を分離して、EtOAcにより抽出した。組み合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、9:1、ヘキサン/Et2O)により、785 mg(68%)の表題化合物を無色油状物として得た。1H NMR解析は、1つのジアステレオマーのみを示した(>95:5 dr)。[α]D 23 -26.8(c 1.0, DCM);1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 7.73-7.66(m, 4 H), 7.48-7.28(m, 11 H), 5.13-4.96(m, 2 H), 4.62(appbd, 1 H, J = 8.4 Hz), 3.72(appbt, 2 H, J = 6.4 Hz), 3.21(m, 1 H), 1.80-1.63(m, 1 H), 1.60-1.25(m, 4 H), 1.08(s, 9 H), 0.92(appd, 6 H, J = 6.3 Hz), 0.79(m, 1 H), 0.51(m, 1 H), 0.40(m, 1 H), 0.30(m, 1 H);HRMS(ESI)m/z C34H45NO3SiNaの計算値566.3066, 実測値 566.3103。
(1S)-1-(2-(2-(Tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル)シクロプロピル)-3-メチルブタン-1-アミン(12)。5:1 MeOH/EtOAc混合物(12 mL)中のCbz-保護化アミン11b(460 mg、0.846 mmol)の溶液を含有するフラスコを清浄化しそしてアルゴンにより3回充填し、次いで10%Pd/C(50 mg)を添加した。フラスコを清浄化し、そしてH2で3回充填し、そして結果として得られた黒色懸濁物を室温、H2の下(1気圧)で攪拌した。反応は3時間後にも完了には達しなかったため、追加量の10%Pd/C(30 mg)を添加し、そしてH2下での攪拌を5時間継続した。次いで、反応混合物をセライトのパッドを介してろ過し、セライトをMeOHおよびAcOEtを用いて洗浄し、そして溶液をin vacuoで濃縮して、317 mg(92%)の粗表題化合物を淡黄色油状物として得て、それを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。
Tert-ブチル(1S)-1-(2-(2-(tert-ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル)シクロプロピル)-3-メチルブチルカルバメート(11a)。乾燥DCM(12 mL)中のアミン12(309 mg、0.755 mmol)の溶液に対して、Et3N(0.21 mL、0.153 mmol)およびその後Boc2O(183 mg、0.830 mmol)を、0℃で添加した。反応混合物を、室温、N2下にて、28時間攪拌した。反応を、飽和NH4Cl水溶液により急冷し、そして水性相をDCMにより抽出した。組み合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、471 mgの粗表題化合物を無色油状物として得て、それを次の工程のためにさら精製することなく使用した。
Tert-ブチル(1S)-1-(2-(2-ヒドロキシエチル)シクロプロピル)-3-メチルブチルカルバメート(13a)。0℃の乾燥THF(6 mL)中の粗TBDPS-保護化アルコール11a(464 mg、0.742 mmol)の溶液に対して、TBAF(1.0M / THF、0.93 mL、0.927 mmol)を添加し、そして反応混合物をN2下で攪拌しながら室温になるまで温めた。TLCは5時間後でも不完全な反応を示したため、0.75等量のTBAF(0.56 mL)を添加した。9時間後、反応混合物を飽和NH4Cl水溶液により急冷し、そしてEtOAcにより希釈した。水性相を分離し、そしてEtOAcにより抽出した。組み合わせた有機層をブラインにより洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、5:5、ヘキサン/EtOAc)により、177 mg(88%)の表題化合物を無色油状物として得て、それを高度の減圧下で固形化して、白色粉末物を得た。mp 49.8-50.2℃;[α]D 22 -30.8(c 1.0, DCM);1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 4.50(appbd, 1 H, J = 4.5 Hz), 3.66(bs, 2 H), 2.94(m, 1 H), 2.36(bs, 1 H), 1.82(bs, 1 H), 1.71(m, 1 H), 1.45(s, 9 H), 1.39(t, 2 H, J = 7.2 Hz), 1.01(bs, 2 H), 0.90(dd, 6 H, J = 10.2, 6.6 Hz), 0.50(m, 1 H), 0.43-0.27(m, 2 H);HRMS(ESI)m/z C15H29NO3Naの計算値294.2045, 実測値 294.2064。
ベンジル(1S)-1-(2-(2-ヒドロキシエチル)シクロプロピル)-3-メチルブチルカルバメート(13b)。0℃の乾燥THF(5 mL)中のTBDPS-保護化アルコール11b(320 mg、0.588 mmol)の溶液に対して、TBAF(1.0M / THF、0.74 mL、0.735 mmol)を添加し、そして反応混合物をアルゴン下で攪拌しながら7時間室温まで温め、その後飽和NH4Cl水溶液により急冷し、そしてEtOAcにより希釈した。水性相を分離し、そしてEtOAcにより抽出した。組み合わせた有機層をブラインにより洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮したて。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、5:5、ヘキサン/EtOAc)により、166 mg(92%)の表題化合物を無色油状物として得た。[α]D 23 -21.6(c 1.0, DCM);1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 7.42-7.28(m, 5 H), 5.10(m, 2 H), 4.76(appbd, 1 H, J = 5.7 Hz), 3.63(bs, 2 H), 3.04(m, 1 H), 2.12-1.98(bs, 1 H), 1.83-1.62(m, 2 H), 1.42(t, 2 H, J = 7.0 Hz), 1.16-0.95(m, 2 H), 0.90(appt, 6 H, J = 7.0 Hz), 0.53(sept, 1 H, J = 4.3 Hz), 0.42(dt, 1 H, J = 8.4, 4.5 Hz), 0.34(dt, 1 H, J = 8.4, 5.0 Hz);HRMS(ESI)m/z C18H27NO3Naの計算値328.1889, 実測値 328.1860。
TEMPO-4-イル-2-(2-((S)-1-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブチル)シクロプロピル)アセトアミド(14a)。0℃のアセトン(5 mL)中のアルコール13a(130 mg、0.477 mmol)の溶液に対して、Jones試薬(2.5M、0.48 mL、1.194 mmol)の溶液をゆっくりと添加した。結果として得られた暗色の懸濁物を、0℃にて1時間攪拌し、その後Et2Oおよび水により希釈した。水性相を分離し、Et2Oにより抽出した(2×)。組み合わせた有機層を、水(2×)およびブライン(1×)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、133 mg(97%)の粗表題化合物を無色油状物として得て、これを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。
0℃の乾燥DCM(5.5 mL)中のこの酸(127.6 mg、0.447 mmol、粗)の溶液に対して、乾燥DCM(0.5 mL)中の4-アミノ-TEMPO(118.4 mg、0.671 mmol)の溶液、DMAP(60.7 mg、0.492 mmol)、HOBt・H2O(66.4 mg、0.492 mmol)およびEDCI(105.0 mg、0.536 mmol)を、連続的に添加した。結果として得られたオレンジ色の溶液を室温、アルゴン下にて15時間攪拌し、その後飽和NH4Clにより洗浄した。水性相を分離し、そしてDCMにより1回抽出し、そして組み合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、5:5から3:7、ヘキサン/EtOAc)により、150.0 mg(76%)の表題化合物を桃色の泡状物として得た。mp 139.5℃;[α]D 23 -15.7(c 0.5, DCM);EIMS m/z 438([M]+, 6), 252(57), 140(67), 124(80), 91(48), 84(59), 57(100);HRMS(EI)m/z C24H44N3O4の計算値438.3332, 実測値 438.3352。
TEMPO-4-イル-2-(2-((S)-1-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-メチルブチル)シクロプロピル)アセトアミド(14b)。0℃のアセトン(5 mL)中のアルコール13b(110.5 mg、0.362 mmol)の溶液に対して、Jones試薬(2.5M、0.36 mL、0.904 mmol)の溶液をゆっくりと添加した。結果として得られた暗色懸濁物を0℃にて1時間攪拌し、その後Et2Oおよび水により希釈した。水性相を分離し、そしてEt2Oにより抽出した(2×)。組み合わせた有機層を水(2×)およびブライン(1×)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、113.5 mg(98%)の粗表題化合物を無色油状物として得て、それを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。
0℃の乾燥DCM(4.5 mL)中のこの酸(110 mg、0.344 mmol、粗)の溶液に対して、乾燥DCM(0.5 mL)中の4-アミノ-TEMPO(91.2 mg、0.517 mmol)の溶液、DMAP(46.7 mg、0.379 mmol)、HOBt・H2O(51.2 mg、0.379 mmol)およびEDCI(80.8 mg、0.413 mmol)を連続的に添加した。結果として得られたオレンジ色の溶液を、室温、アルゴン下にて、18時間攪拌し、その後飽和NH4Clにより洗浄した。水性相を分離し、そしてDCMにより1回抽出し、そして組み合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、4:6、ヘキサン/EtOAc)により、123 mg(75%)の表題化合物を桃色泡状物として得た。mp 51.8℃(軟化点:44℃);[α]D 23 -15.3(c 0.5, DCM);EIMS m/z 472([M]+, 42), 415(58), 322(43), 168(47), 140(46), 124(75), 91(100), 84(53);HRMS(EI)m/z C27H42N3O4の計算値472.3175, 実測値 472.3165。
実施例20 -代替ニトロキシド部分の合成
スキーム図は、代わりのニトロキシド成分について示されており、ここで図42は、5-アミノ-1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イルオキシル(5-アミノ-TMIO)についての合成プロトコルを示し、そして図43は、6-アミノ-1-メチル 2-アザアダマンタンN-オキシル(6-アミノ-1-Me-AZADO)についての合成プロトコルを示す。
化合物5-アミノ-1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イルオキシル(5-アミノ-TMIO)および(20)は、図42に示され、そして以下にしたがって調製した。
5-アミノ-TMIOの合成は、Reid, D.A. et al.(The synthesis of water soluble isoindoline nitroxides and a pronitroxide hydroxylamine hydrochloride UV-VIS probe for free radicals. Chem Comm. 1998, 17,1907-8)により、そしてその中に引用される参考文献により、以前に記載された。
2-ベンジル-1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン(16)。(第一工程:Org. Synth. 1998, 9, 649;第二工程:Griffiths, P. G. et al. Synthesis of the radical scavenger 1,1,3,3-tetramethylisoindolin-2-yloxyl. Aust. J. Chem. 1983, 36, 397-401)。オーブン乾燥させた250 mLの、三首丸底フラスコを、窒素でフラッシュし、そしてマグネシウム削り屑状マグネシウム(3.84 g、156.5 mmol)を導入し、それを乾燥Et2O(9 mL)により覆った。次いで、乾燥Et2O(80 mL)中のMeI(9.45 mL、150.2 mmol)の溶液を、50分間にわたり攪拌しながら、滴下漏斗を介して滴加した。次いで、結果として得られた反応混合物をさらに30分間攪拌し、その後内部温度が80℃に達するまで溶媒をゆっくりと蒸留することにより濃縮した。残留物を60℃にまで冷却し、そして乾燥トルエン(76 mL)中のN-ベンジルフタルアミド(6.00 g、25.04 mmol)の溶液を、この温度を維持するために十分な速度で攪拌しながら、滴下漏斗を介して滴下した。添加が完了したら、温度が108〜110℃に達するまで、溶媒を混合物からゆっくりと蒸発させた。反応混合物を110℃にて4時間還流させ、次いでさらに溶媒を蒸溜させることにより濃縮した。次いで、それを冷却し、そしてヘキサンにより希釈した(紫色に変化した)。結果として得られたスラリーを、セライトを通してろ過し、そしてヘキサンにより洗浄した。組み合わせた黄色の濾過物は、空気中に一晩おいた後、暗赤-紫色に変化した。次いで、それをin vacuoで濃縮した。結果として得られた紫色の残留物を、塩基性アルミナの短いカラム(グレードI、70-230メッシュ)を通して、ヘキサン(約1 L)により溶出して、2.585 g(39%)の表題化合物を無色油状物として得て、それを固形化して白色固形物を得た。mp 61.0-61.4℃。1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 7.48(appd, 2 H, J = 7.2 Hz), 7.34-7.19(m, 5 H), 7.18-7.11(m, 2 H), 4.00(s, 2 H), 1.31(s, 12 H);HRMS(EI)m/z C19H23Nの計算値265.1830, 実測値 265.1824。
1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン(17)。(Griffiths, P. G. et al. Synthesis of the radical scavenger 1,1,3,3-tetramethylisoindolin-2-yloxyl. Aust. J. Chem. 1983, 36, 397-401;Chan, K. S. et al. Reactions of nitroxides with metalloporphyrin alkyls bearing beta hydrogens: aliphatic carbon-carbon bond activation by metal centered radicals. J. Organomet. Chem. 2008, 693, 399-407)。保護されたベンジル-アミン16(1.864 g、7.02 mmol)を、Parrフラスコ中でAcOH(34 mL)中に溶解し、そして10%Pd/C(169.5 mg)を添加した。(反応物を3つのバッチに分割した。)フラスコを高圧リアクター中に配置した。リアクターはH2を充填し、そして5サイクル清浄化し、そして最終的にH2により4気圧(60 psi)に加圧した。室温にて3時間攪拌した後、反応混合物をセライトを通してろ過し、そして溶媒をin vacuoで除去した。結果として得られた残留物を水(5 mL)中に溶解し、そして溶液を2.5N NaOH(pH 11.5)により中性化し、そしてEt2O(3×50 mL)で抽出した。組み合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、1.165 g(95%)の粗表題化合物をわずかに黄色の結晶として得た。mp 36.0-36.5℃。1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 7.30-7.23(m, 2 H), 7.18-7.11(m, 2 H), 1.86(bs, 1 H), 1.48(s, 12 H)。
1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イルオキシル(18)。(Griffiths, P. G. et al. Synthesis of the radical scavenger 1,1,3,3-tetramethylisoindolin-2-yloxyl. Aust. J. Chem. 1983, 36, 397-401;Chan, K. S. et al. Reactions of nitroxides with metalloporphyrin alkyls bearing beta hydrogens: aliphatic carbon-carbon bond activation by metal centered radicals. J. Organomet. Chem. 2008, 693, 399-407)。14:1のMeOH/MeCN混合物(16.6 mL)中のアミン17(1.46 g、8.33 mmol)の溶液に対して、NaHCO3(560 mg、6.67 mmol)、Na2WO4・2H2O(83.3 mg、0.25 mmol)および30%H2O2水溶液(3.12 mL、27.50 mmol)を、連続的に添加した。結果として得られた懸濁物を、室温にて攪拌した。18時間後、形成された明るい黄色の懸濁物および30%H2O2水溶液(3.00 mL、26.44 mmol)を添加した。反応混合物を、2日間攪拌し、次いで水で希釈し、そしてヘキサンで抽出した(2×)。組み合わせた有機層を、1M H2SO4およびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、1.55 g(98%粗)の表題化合物を黄色の結晶性粉末として得て、これを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。mp 122-125℃(軟化点:108℃);HRMS(EI)m/z C12H17NOの計算値191.1310, 実測値 191.1306。
5-ニトロ-1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イルオキシル(19)。(Bolton, R. et al. An EPR and NMR study of some tetramethylisoindolin-2-yloxyl free radicals. J. Chem. Soc. Perkin Trans. 2, 1993, 2049-52)。濃H2SO4(13.5 mL)を、氷温水浴中で冷却した18(1.345 g、7.07 mmol)に対して添加し、forming a 暗-赤色溶液を形成し、これを次いで60℃で15分間温め、次いで0℃に冷却した。濃HNO3(0.90 mL、19.09 mmol)を、滴加した。反応が完了したと思われるとき、黄色-オレンジ色の溶液を100℃にて10分間加熱したところ、色が赤-オレンジ色に変化した。室温に冷却した後、反応混合物を氷-冷2.5N NaOH(30 mL)に対して注意深く添加することにより中性化した。この水性相を、無色になるまでEt2Oにより抽出し、そして組み合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、1.64 g(98%)の粗表題化合物を黄色-オレンジ色の粉末物として得て、それを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。
5-アミノ-1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イルオキシル(5-アミノ-TMIO)。(第一の工程:Reid, D.A. et al. The synthesis of water soluble isoindoline nitroxides and a pronitroxide hydroxylamine hydrochloride UV-VIS probe for free radicals. Chem Comm. 1998, 17,1907-8;Giroud, A. M. and Rassat, A. Nitroxydes LXXX: syntheses de mono et biradicaux nitroxydes derives de l’isoindoline. Bull. Soc. Chim. Fr. 1979, II, 48-55;第二の工程:Keana, J. F. W. and Lee, T. D. Versatile synthesis of doxyl spin labels bypassing the usual ketone precursors. J. Am. Chem. Soc. 1975, 97, 1273-4)。MeOH(75 mL)中の19(1.50 g、6.38 mmol、粗)の溶液を含有するフラスコを清浄化し、アルゴンで充填し、次いで10%Pd/C(150 mg)を添加した。このフラスコを清浄化しそしてH2で3回充填し、そして得られた黒色懸濁物を、室温にてH2(1 atm)のもと4時間攪拌した。次いで、反応混合物を、セライトを通してろ過し、セライトをMeOHで洗浄し、そして溶液をin vacuoで濃縮して、1.38 gの粗表題化合物を黄色の固形物として得て、これを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。1H NMR(300 MHz, CD3OD)δ 6.89(d, 1 H, J = 8.1 Hz), 6.25(dd, 1 H, J = 8.1, 2.1 Hz), 6.54(d, 1 H, J = 2.1 Hz), 3.35(s, 2 H), 1.34(appd, 12 H, J = 5.7 Hz)。
MeOH(75 mL)中の粗ヒドロキシルアミン(1.38 g、6.38 mmol)の溶液を、Cu(OAc)2.H2O(26 mg、0.128 mmol)に対して添加した。反応混合物を室温、空気中で1.5時間攪拌し、色が暗褐色に変化した。次いで、溶媒をin vacuoで除去し、残留物をCHCl3そして少量のMeOH中に取り込み、不溶性物質を溶解し、そして水で洗浄した。水性相を、CHCl3で2回抽出し、そして組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、6:4〜5:5、ヘキサン/EtOAc)により、1.126 g(86%)の表題化合物を黄色の粉末物として得た。mp 192-194℃(軟化点:189℃);HRMS(EI)m/z C12H17N2Oの計算値205.1341, 実測値 205.1336。
TMIO-5-イル-(S,E)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-7-メチルオクト-3-エンアミド(20)。0℃のアセトン(7 mL)中のアルコール9a(187 mg、0.728 mmol、前の実施例に従って調製した)の溶液に対して、Jones試薬の溶液(2.5M、0.73 mL、1.821 mmol)をゆっくりと添加した。得られた暗色の懸濁物を0℃にて1時間攪拌し、次いでEt2Oおよび水で希釈した。水性相を分離し、そしてEt2Oで抽出した(2×)。組み合わせた有機層を、水(2×)およびブライン(1×)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、190 mg(96%)の粗表題化合物を、わずかに黄色の油状物として得て、これを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。
0℃の乾燥DCM(8 mL)中のこの酸(187.4 mg、0.691 mmol、粗)の溶液に対して、5-アミノ-TMIO(212.6 mg、1.036 mmol)、DMAP(93.7 mg、0.760 mmol)、HOBt・H2O(102.6 mg、0.760 mmol)およびEDCI(162.1 mg、0.829 mmol)を連続的に添加した。結果として得られる黄色の溶液を、室温、アルゴン下にて16時間攪拌し、その後飽和NH4Clで洗浄した。水性相を分離し、DCMで抽出し、そして組み合わせた有機層を1N HClで2回洗浄し、そして飽和NaHCO3、で1回洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、6:4、ヘキサン/EtOAc)により、221.0 mg(70%)の表題化合物を薄オレンジ色の泡状物として得た。mp 78-79℃(軟化点:70℃);[α]D 22 +72.2(c 0.5, DCM);ESIMS m/z 481([M+Na]+, 50), 939([2M+Na]+, 100)。
化合物 6-アミノ-1-メチル 2-アザアダマンタンN-オキシル(6-アミノ-1-Me-AZADO)および(30)を、図43に示し、以下の方法にしたがって調製した。
2-アダマンタンカルボニトリル(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-2-カルボニトリル、22)。(Oldenziel, O. H. et al. 2-Adamantanecarbonitrile. Org. Synth. 1977, 57, 8;Rohde, J. J. et al. Discovery and Metabolic Stabilization of Potent and Selective 2-Amino-N-(adamant-2-yl) Acetamide 11β-Hydroxysteroid Dehydrogenase Type 1 Inhibitors. J. Med. Chem. 2007, 50, 149-64)。1,2-ジメトキシエタン(DME、470 mL)中の2-アダマンタノン(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-2-オン、21)(21.0 g、137 mmol)、p-トリルスルホニルメチルイソシアニド(TosMIC、35.5 g、178 mmol)およびEtOH(14 mL、233 mmol)の3〜5℃の溶液を、内部温度を10℃以下に保ちながら、固体t-BuOK(39.2 g、342 mmol)の段階的添加により処理した。添加の後、結果として得られるスラリー反応混合物を、室温にて30分間攪拌し、その後35〜40℃にて30分間攪拌した。不均一の反応混合物をろ過し、そして固形物をDMEで洗浄した。濾過物をin vacuoで濃縮して、短いAl2O3カラム(活性化、中性、Brockmann I、150メッシュ、7 cm厚×15 cm高)にロードし、そして5:1のヘキサン/DCM(約1.5 L)混合物で洗い流した。溶液をin vacuoで濃縮して、19.0 g(86%)の表題化合物を白色粉末物として得た。1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 2.91(s, 1 H), 2.23-2.08(m, 4 H), 2.00-1.80(m, 4 H), 1.80-1.66(m, 6 H)。
2-アダマンタンカルボン酸(23)。(Rohde, J. J. et al. Discovery and Metabolic Stabilization of Potent and Selective 2-Amino-N-(adamant-2-yl) Acetamide 11β-Hydroxysteroid Dehydrogenase Type 1 Inhibitors. J. Med. Chem. 2007, 50, 149-64)。AcOH(56 mL)および48%HBr(224 mL)中のニトリル22(18.9 g、117 mmol)の混合物を、120℃で一晩攪拌した。反応混合物を4℃に冷却し、そのまま4時間おき、次いでろ過した。固形物を水で洗浄し、そして減圧下、シリカゲル上で一晩乾燥させ、20.6 g(98%)の表題化合物をオフホワイトの結晶として得た。1H NMR(300 MHz, DMSO-d6)δ 12.09(s, 1 H), 2.55-2.47(m, 1 H), 2.20(bs, 2 H), 1.87-1.64(m, 10 H), 1.60-1.50(m, 2 H)。
5,7-ジブロモ-2-アダマンタンカルボン酸(24)。(Adapted from Rohde, J. J. et al. Discovery and Metabolic Stabilization of Potent and Selective 2-Amino-N-(adamant-2-yl) Acetamide 11β-Hydroxysteroid Dehydrogenase Type 1 Inhibitors. J. Med. Chem. 2007, 50, 149-64)。激しく攪拌したAlBr3(18.9 g、69.6 mmol)、BBr3(2.40 g、9.49 mmol)およびBr2の0℃の溶液(40 mL)を、段階的に酸23(5.70 g、31.6 mmol)により処理した。添加の完了時に、反応混合物を70℃で48時間攪拌し、次いで氷浴中で冷却し、そして飽和亜硫酸水素ナトリウムにより注意深く急冷した。攪拌を、室温にて一晩継続した。結果として得られる薄茶色の懸濁物をろ過し、固形物を水により洗浄し、そして減圧下、60℃で一晩乾燥させて、10.95 g(quant.)の粗表題化合物をベージュ色粉末物として得た。1H NMR(300 MHz, DMSO-d6)δ 12.56(bs, 0.3 H), 2.85(appd, 2 H, J = 12.9 Hz), 2.75-2.55(m, 2 H), 2.50-2.35(m, 2 H), 2.35-2.10(m, 7 H)。
(5,7-ジブロモ-アダマンタン-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(25)。乾燥トルエン(30 mL)中の酸24(2.00 g、5.92 mmol)の懸濁物を、Et3N(1.0 mL、7.10 mmol)およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA、1.6 mL、7.10 mmol)により連続的に処理した。結果として得られた混合物を、85℃で15時間攪拌した。0℃の乾燥THF(80 mL)中のt-BuOK(1.35 g、11.8 mmol)の溶液を含有する別個のフラスコに対して、イソシアネート溶液を滴下漏斗を介して一滴ずつ添加した。結果として得られた反応混合物を、30分間かけて室温まで温め、次いで水で急冷した。THFをin vacuoで除去し、そして結果として得られる材料をEtOAcで希釈した。有機層を1N HCl、飽和NaHCO3およびブラインにより洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、95:5から8:2、ヘキサン/EtOAc)により、1.20 g(50%、2工程)の表題化合物を白色紛状物として得た。1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 4.68(bs, 1 H), 3.76(bs, 1 H), 2.87(s, 2 H), 2.47-2.13(m, 10 H), 1.46(s, 9 H)。
(7-メチレン-ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン-9-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(26)。(第一工程:Rohde, J. J. et al. Discovery and Metabolic Stabilization of Potent and Selective 2-Amino-N-(adamant-2-yl) Acetamide 11β-Hydroxysteroid Dehydrogenase Type 1 Inhibitors. J. Med. Chem. 2007, 50, 149-64)。ジオキサン(0.80 mL)中の25の溶液(125 mg、0.305 mmol)を、2N NaOH(0.70 mL、1.37 mmol)により処理し、そしてマイクロ波(μw、Biotage)のもと180℃にて15分間、照射した。ジオキサンをin vacuoで除去した。残留物をDCM中に溶解し、水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、82.5 mgの粗9-アミノ-7-メチレン-ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンを黄色油状物として得て、これを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。
乾燥DCM(5 mL)中のこの粗アミンの溶液を、Et3N(0.13 mL、0.913 mmol)に対して添加し、次いでBoc2O(73.8 mg、0.335 mmol)を0℃で添加した。反応混合物を、室温、N2下にて、14時間攪拌した。反応を、飽和NH4Cl水溶液を用いて急冷し、そして水性相をDCMにより2回抽出した。組み合わせた有機層を、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、7:3、ヘキサン/EtOAc)により、48.0 mg(59%、2工程)の表題化合物を白色紛状物として得た。1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 4.93(bs, 0.25 H), 4.84(s, 2 H), 4.81(bs, 0.75 H), 4.12(bs, 0.25 H), 3.91(appbd, 0.75 H, J = 3.6 Hz), 2.64-2.37(m, 6 H), 2.37-2.23(m, 3.25 H), 2.17(appbd, 0.75 H, J = 13.8 Hz), 1.48 and 1.46(2 s, 9 H)。
(7-メチレン-ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンオキシム-9-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(27)。乾燥ピリジン(1 mL)中のケトン26(137 mg、0.515 mmol)の溶液に対して、NH2OH・HCl(109 mg、1.54 mmol)を添加した。反応混合物を、室温、アルゴン下にて、23時間攪拌した。次いで、溶媒をin vacuoで除去し、そして残留物をEtOAcで希釈し、次いで水を添加した。層を分離しそして水性相をEtOAcで抽出した。組み合わせた有機層を、5%CuSO4水溶液(3×)、ブライン(1×)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、4:6、ヘキサン/EtOAc)により、133 mg(92%)の表題化合物を無色ゴム状物として得た。1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 7.02(bs, 0.6 H), 4.90(bs, 0.25 H), 4.80(d, 1 H, J = 2.1 Hz), 4.76(bs, 0.75 H), 4.69(d, 1 H, J = 2.1 Hz), 3.87(bs, 1 H), 3.26(d, 0.25 H, J = 16.8 Hz), 3.11(d, 0.75 H, J = 16.8 Hz), 2.55-2.48(m, 4 H), 2.48-2.20(m, 4 H), 2.16(appd, 0.25 H, J = 17.1 Hz), 2.04(dd, 0.75 H, J = 17.1, 5.4 Hz), 1.47(s, 9 H)。
(1-ヨードメチル-2-アザアダマンタン-6-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(28)。乾燥MeOH(4.6 mL)中のオキシム27(130 mg、0.464 mmol)およびMoO3(94 mg、0.649 mmol)の混合物に対して、0℃、アルゴン下にて、NaBH4(179 mg、4.64 mmol)を段階的に添加した。反応混合物を、0℃にて攪拌し、そして2回の追加量のNaBH4(179 mg、4.64 mmol)を2.5時間後および5.5時間後に段階的に添加した。7時間後、暗褐色の反応混合物を、アセトンを用いて急冷し、その後セライトを通してろ過し、そしてアセトンを用いてセライトをすすいだ。濾過物を、in vacuoで濃縮した。得られた残留物を、水で希釈し、そしてEtOAcを用いて2回抽出した。組み合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(K2CO3)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮して、136 mgの粗アミンを黄色油状物として得て、それを次の工程のためにさらに精製することなく使用した。
乾燥アセトニトリル(MeCN、2.3 mL)中のこの粗アミンの懸濁物に対して、0℃、アルゴン下にて、I2(117 mg、0.462 mmol)を添加した。反応混合物を、室温にて4時間攪拌し、そしてその後飽和NaHCO3および飽和Na2S2O3を用いて急冷した。得られた混合物を、DCM/CHCl3を用いて2回抽出し、そして有機層を乾燥させ(K2CO3)、ろ過し、そしてin vacuoで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、95:5 to 9:1、DCM/MeOH)により、76.5 mg(42%)の表題化合物を褐色油状物として得た。1H NMR(300 MHz, CDCl3)δ 4.83(bs, 1 H), 3.77(bs, 1 H), 3.30(bs, 1 H), 3.24(apps, 2 H), 2.14(appbs, 2 H), 1.94(appbd, 2 H, J = 13.5 Hz), 1.75(m, 6 H), 1.46(s, 9 H)。
(1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル-6-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(29)。アミン28の脱ヨード化を、おそらくは触媒(例えばInCl3)の存在下、そして極性非プロトン性の溶媒(例えばTHFまたはMeCN)中、還元剤、例えばLiAlH4またはNaBH4、により処理することにより28、達成することができる。
対応するニトロキシド29を得るための得られたアミンの酸化は、触媒量のNa2WO4・2H2Oの存在下、MeOHおよびH2Oの溶媒混合物中、前記アミンをH2O2を用いて処理することにより達成することができる。
6-アミノ-1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル(6-アミノ-1-Me-AZADO)。Boc-保護基の切断を、保護化アミン29をDCM中トリフルオロ酢酸(TFA)を用いて処理し、遊離のアミン6-アミノ-1-Me-AZADOを得ることにより、達成することができる。
(1-Me-AZADO-6-イル)-(S,E)-5-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-7-メチルオクト-3-エンアミド(30)。(S,E)-tert-ブチル 8-ヒドロキシ-2-メチルオクト-5-エン-4-イルカルバメート(9a)のJones酸化により、上述した対応する酸を得る。化合物(9a)を、以前の実施例にしたがって調製する。
この酸の6-アミノ-1-Me-AZADOとのアミドカップリングを、CH2Cl2(DCM)中のカップリング剤EDCI、DMAP、およびHOBt-水和物を使用して、上述した条件にしたがって達成し、化合物(30)を得る。
本発明の特定の態様を、説明を目的として上述してきたが、本発明の詳細の多様なバリエーションが、添付の請求の範囲に定義される発明から離れることなくなされ得るものであることは、当業者には明らかなことである。
本件出願において特定された様々な範囲の数値の使用は、明示的にそれ以外で示さない限り、言及された範囲内の最小値および最大値が両方ともが用語“約”により特定されているように、近似値として述べられる。この様に、記載した範囲の上下のわずかなバリエーションを使用して、範囲内の値と実質的に同一の結果を得ることができる。同様に、特に示さない限り、これらの範囲の開示は、最小値と最大値の間の全ての値を含む連続的な範囲として意図される。