JP2011527290A - 2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを用いたアルツハイマー病の予防と/またおよび/または治療においての役割への適用 - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は注射で例えばボーラスで非経口投与のため調合できる。注射用の製剤は単位製剤でオプションの防腐剤入れのアンプルや複数回投与用容器に保存してもよい。非経口製剤はガラスやプラスチックで作ったアンプルや、使い捨ての注射器やマルチ瓶に保存してもよい。製剤は、例えば油性や水性のキャリアにおいている懸濁液、溶液、エマルジョンの形式で、さらに例えば、懸濁剤や安定剤および/または分散剤のアクセサリを含んでもよい。
経口投与に対し、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は錠剤やカプセルの形で、通常の方法で、薬学で認める賦形剤、例えば粘着剤や充填剤、潤滑剤、崩壊剤を使って調製する。
粘着剤はコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、またはその他のでん粉、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、ウェストレンゲ粉、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、第2208、2906、2910)、微結晶性セルロースおよびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。適合な微結晶性セルロースの形は、例えばAVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103とAVICEL−PH−105で販売の材料(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales, Marcus Hook,Pennsylvania,USAに由来)。適合な粘着剤の例はFMC CorporationがAVICEL RC−581で販売している微結晶性セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。
充填剤はタルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、ラクトース、微結晶性セルロース、粉末セルロース、グルカン結合剤(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、澱粉、アルファ化デンプンおよびその混合物を含むが、これらに限定されない。
潤滑剤はステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクのエステル、硬化植物油(たとえば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油、大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、エチルラウリン酸エチル、寒天およびその混合物を含むが、これらに限定されない。その他の潤滑剤は、例えば、固体シリカ(AEROSIL 200, Baltimore,Maryland,USAのW.R. Grace Co.生産)、合成シリカ縮合エアロゾル(Deaussa Co. of Plano,Texas,USA販売)、CAB−O−SIL(Boston, Massachusetts,USAのCabot Co.から販売されている発熱シリカ製品)とそれらの混合物を含む。
崩壊剤は寒天−寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、polacrilinカリウム、ナトリウム澱粉グリコール酸、ジャガイモやタピオカでんぷん、他の澱粉、アルファ化デンプン、他の澱粉、粘土、他の藻類、他のセルロース、ガムおよびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの活性の延長と投与頻度減少のため、制御放性(徐放性)製剤を調合する。制御放性製剤は発効タイミングやその他の特徴への影響に使ってもよい、例えば血液化合物のレベル、副作用の発生に支障する。
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは吸入で直接肺へ使用できる。吸入投与に対しては、いろいろ装置で便利に2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを肺に輸送できる。例えば、計量吸入器(”MDI”)、使われる缶は低沸点推進剤が付き、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適合な気体で、直接肺に化合物を輸送できる。MDI装置は数多くの仕入先からもらえる、例えば3M Corporation、Aventis、Boehringer Ingleheim、Forest Laboratories、Glaxo−Wellcome、Schering PloughとVectura。
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは貯蔵式製剤に調製してもよい。このような長時間作用型製剤は注入(皮下または筋肉内)や筋肉注射で投与する。そのため、化合物は好適なポリマーまたは疎水性材料、例えば、好ましい油やイオン交換樹脂中のエマルジョン、または難溶性の誘導体としても難溶性の塩類と一斉に調製する。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの他の貯蔵式投与方法は本分野で公知であり、なお且つ本発明の範囲内である。
局所投与に対しては、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムはキャリアと組み合って、実効線量を輸送する。必要な活性によって、実効線量は、例えば1.0μM〜1.0mM。本発明の一方では、局所投与の医薬組成物は皮膚にも使える。キャリアとしては、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、発泡、エアゾール、坐剤、パッドまたはスティックゲルを含むが、これらに限定されない。
その他の投与システムは本分野で公知であり、本発明の化合物の使用に使えるものである。尚且つ、その他の投与システムと連合や/または変更で、本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの投与を最適化できる。
本発明で記載の「治療実効線量」とは、受験者の病気や病症の性質や重大度によって、特定の受験者に使用する時に、必要の治療効果を持っている線量、例えば、目標病気や病症を治療、予防、抑制または少なくとも一部防止や一部予防への必要量。
dl−PHPB、PHPBは2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを指す。
下記の実施例は具体的本発明の応用を示すが、本実施例は本発明の使用範囲には限らない。
慢性脳虚血モデル研究:dl−PHPBが供血不足のラットの最近記憶と空間識失調を改善できる
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、化学純度は98.5%(HPLC法で測定)、蒸留水で調製した。ピラセタム錠、天津金世製薬有限公司生産。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。ニュートラルレッド、固体ブルーはSigma会社から購入。炭酸リチウムは北京化学製剤会社生産。Triton X−100は北京中山生物技術有限公司から購入。グリア繊維性酸性タンパク質(GFAP)ポリクローナル抗体はChemicon会社から購入。脳源性神経成長因子(BDNF)ポリクローナル抗体はSanta Cruz Biotechnology会社から購入。二次抗体、ビオチン化抗マウス /ウサギIgG;三次抗体、ホースラディッシュ酵素標記のストレプトアビジンアビジン、DABカラーキット;抗体希釈液とも北京中杉金橋生物技術有限公司から購入。
Morris水迷路オートモニターは中国医学化学院薬物研究所より開発したものである。MQX 200タイプのマイクロプレートリーダーはアメリカBio Tek Instrumentsの製品。IR2135タイプのパラフィンマイクロトームはドイツLeica会社の製品、620−Eタイプの恒温冷凍マイクロトームはイギリスShandon会社の製品、Nikon ECLIPSE 80i自動顕微撮影システムは日本Nikon Corportionの製品である。
永久にラットの頚部両側の総動脈の結紮で、連続の脳低循環モデルを作る。10%の抱水クロラールで腹部注射(i.p.)でラットを麻酔にして、仰臥位で手術台に固定し、体温を36.5±0.5℃に維持させる。ヨードフォアで手術部位を消毒して、正中頸部に沿って皮膚および皮下組織を縦方向で切開し、左右の頸動脈を引き離し、5−0の手術シルクで結紮する。切り口を縫合し、動物をかごに入れる。手術後三日間は連続で毎日i.p.ペニシリン20万単位/匹を注入する。
ラットをランダムに6群に分け、群ごとに20匹にする。(1)偽手術群:頚部両側の総動脈の結紮をしない以外に、ほかの操作は低循環群と同じ;(2)溶媒対照群:経口で蒸留水;(3)ピラセタム600mg/kg群;(4)dl−PHPB 13mg/kg群;(5)dl−PHPB 39mg/kg群;(6)dl−PHPB 129mg/kg群。手術後十日間で薬物や溶剤を投与する。毎日一回、21日間続く。25−30日目に、Morris水迷路法でラットの空間学習記憶能力を測定する。行動的な実験は全部で投与後40分で行われる。動物は30日目で殺して、脳組織生物化学測定および病理学検査を行う。群の間で実験の結果を比較する。(実験のプロセスは図25を参考)
5、水迷路実験
Morris水迷路は金属製の円筒形タンク(60cm高さ、径120cm)とオートショー、モニター、記録装置および安全島(径10cmのプラットフォーム)からなる。事前にタンクの壁とプラットフォームを黒いテープで真っ黒にして、水の色が黒く見えるようにし、水面はプラットフォームより15mm高くして、これで動物が聴覚、視覚、嗅覚でプラットフォームに登ることができなくなるので、動物が空間位置に対する記憶能力を測定できる。水温は25士1℃に保持して、タンクを4個の象限(東北、東南、西北、西南)に分ける。プラットフォームは西北象限のセンターに置く。毎匹ラットの水泳活動をモニターで観測し、記録できるので、コンピューターとリンクして分析する。ナビゲーションテストは五日間連続でやる。それぞれのラットは毎日東南と西南象限のセンターから、頭を壁に向かって水に入れて、2回のプラットフォーム探しの訓練をやらせる。2回の訓練の間に10分間を間隔にする。プラットフォームを見つけるタイミング(潜伏期間)、サーチ策略と水泳スピードこの三項目を記録し、毎日の2次実験結果を平均にする(サーチ策略除外)。もしラットは60秒以内にプラットフォームを見つけなかったら、潜伏期間を60秒とする。60秒以内にプラットフォームを見つけるかどうかに関わらず、ラットをプラットフォームに10秒に逗留させる。一回目の実験が始まる前にラットをプラットフォームにおいて、順応させる。訓練の進行につれて、各群ラットが安全島を見つける潜伏期期間が短縮していく。実験の結果は水泳のスピードでラットが実験中の体力の変化を反映できる。その他の2項目指標はラットが空間位置に対する学習記憶能力を反映する。最後の訓練が終わってから、空間探査実験を実施する。プラットフォームをはずして、ラットにプラットフォーム探しに60秒水泳させて、各象限でかかる時間および第一回目標を通る時間を記録する。もしラットが元のプラットフォームある象限に止まる時間が長くて、第一回目標を通る時間が短ければ、ラットがすでにこの空間目標に記憶が残っていることを証明した。
行動学実験が終わってから、ラットの頭部を切断し、氷浴中に皮質および海馬を分離して、濾紙で乾燥させ、重量を測る。重量体積比1:9の通り、4℃予冷の生理食塩水をいれ、内接式パルプリファイナーで10%の組織ホモジネートを調製し、低温低速遠心10分間して、上清を取り、沈殿物を廃棄する。
毎群はランダムで4匹の動物を選び、行動学実験後10%抱水クロラールで麻酔して、皮膚、胸腔を切って、心臓を充分露出させ、心膜を開き、7番の注入針で動脈方向に心尖に差し込んで、生理食塩水を注入すると同時に、右心耳から右心房を切って、15−20分(200−300ml)を注入し、流出液が清くなるまで、それで予冷の4%パラホルムアルデヒド−3%ショ糖に換え、定着剤を15−20分(150−200ml)を徐々に速度をゆるめながら、動物が全身硬直し肝臓が白くなるまで引き続き注入する。それから頭を取り、ナイフで前部の終脳と後部の小脳を切って、4%パラホルムアルデヒド−3%ショ糖を入れてから、定着剤で48時間続けて固定する。標本が完全に沈下した後、新鮮な定着剤に変更して、4℃で冷蔵する。片側の脳半球はパラフィン切片、固定、埋め込みを行い、海馬の位置に冠状切片(厚さ5μm)をして、HEとKB染色に使う。もう片側の脳半球は恒温冷凍マイクロトームで冷凍切片をして、切片位置と方式は前と同じ、OCT埋め込み、厚さは40μm、動物毎匹に4枚を切って、GFAPとBDNF免疫組織化学染色に使う。
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路ナビゲーションテストで各指標の差異比較は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。水迷路空間探査実験、生物化学測定各項指標および免疫組織化学の半定量分析は全部単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。群間の差異はpost hoc LSD(水迷路ナビゲーションテストのサーチ策略の比較はRidit分析を採用する)を採用する。P<0.05の場合は顕著な差異であると判断する。
1、dl−PHPBは脳低循環ラットの学習記憶に対する改善効果
Morris水迷路実験は動物の空間学習と最近記憶能力を測定する経典実験である。本研究では、ラットが慢性脳虚血後の1ヶ月当たりに行う。実験は2つに分け、1つはナビゲーションテスト、もう1つは空間探査実験を行う。ナビゲーションテストで、ラットがプラットフォームを見つける時間(潜伏期間)と、サーチ策略と水泳スピードを含む3項の指標を観察した。潜伏期間から見ると、訓練回数の増加につれて、各群ラットの潜伏期間とも徐々に短縮していくにつれ、各群のラットはプラットフォームの位置に対する記憶が精確になることが示された。翌日から、溶媒対照群ラットの潜伏期間は偽手術群より顕著に長くなり、その間の差も拡大していく(P<0.05あるいはP<0.01)ことは、慢性脳低循環はラットの学習記憶能力に顕著な損害を掛けた。しかし、それはモデルの成功とも証明した。前の三日間で、各投与群の潜伏期間は溶媒対照群と比べ、顕著な短縮がないが、四日目から、dl−PHPB 129mg/kg群はピラセタム600mg/kg群の潜伏期間は溶媒対照群(P<0.05)より顕著に短くなる。五日目で、dl−PHPB 39mg/kg群と129mg/kg群の潜伏期間も溶媒対照群(P<0.05)より短いのは、dl−PHPB 39、129mg/kg、ピラセタム600mg/kgとも慢性脳低循環ラットの学習記憶能力の減退に顕著な改善効果を持っているが、dl−PHPB 13mg/kgが顕著な治療効果を持っていない(図1)ことを証明した。そのため、潜伏期間から見ると、dl−PHPB 39、129mg/kg、ピラセタム600mg/kgとも脳低循環ラットの空間学習記憶障害を顕著に改善できる。
表1と2は、経口dl−PHPBが永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストでサーチ策略に対する影響。データはサーチ策略の回数で表示する(n=17−20)。#P<0.05, ##P<0.01は偽手術と比較、**P<0.01は溶媒対照群と比較(Ridit分析)。M:エッジ式;R:ランダム式;T:トレンドスタイル式;L:リニア式。
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つであり、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。ラットが慢性脳虚血の一ヵ月後、皮質のSOD活性が向上し、溶媒対照群SOD活性は77.39±8.70U/mgタンパク質で、偽手術群より35.03±5.20U/mgタンパク質高い(P<0.001)。投与治療21日後は、dl−PHPB 13と39mg/kg群のSOD活性は53.92±4.32、48.86±8.97U/mgタンパク質であり、溶媒対照群より低い(P<0.05)。ピラセタム600mg/kg群が51.83±8.88U/mgタンパク質で、溶媒対照群よりも低い(P<0.05)。だが、dl−PHPB 129mg/kgが当該酵素の活性への影響は顕著な意味がない(図4A)。海馬では、慢性脳虚血はSOD活性の下降や向上には影響がなく、各薬や各用量も当該酵素の活性に顕著な影響がない(データ未提出)。
(1)HE染色
HE染色は異なる色で細胞質と細胞核を表示するので、細胞の姿をはっきり見える。本研究の溶媒対照群が皮質ニューロンが収縮、深い色素と細胞核が明らかでない現象を見え、海馬のCA1、CA3エリアも類似な変化が出たが、程度は軽い、海馬CA2エリアは顕著な変化がない。dl−PHPB 39mg/kgは皮質、海馬CA1、CA3エリアのニューロン形態異常を顕著に改善でき、dl−PHPB 129mg/kgは皮質と海馬CA1エリアのニューロン形態異常を改善でき、dl−PHPB13mg/kgは皮質のニューロン形態異常を軽微に改善できる(図5−7)。上記のことで、dl−PHPBが慢性脳低循環で起こった皮質・海馬ニューロン損傷に保護や治療作用を持っていることが表明した。
K−B染色はニューロン髄鞘が完備であるかどうかを反映でき、さらに神経繊維の形態学の変化を反映できる。本実験では、溶剤対照群のラット脳梁と視神経管が明らかな空胞変性および神経繊維障害が出たことが発見した。dl−PHPB3つの用量は脳梁の病理変化に対する改善が顕著で、空胞変性が減少し、神経繊維の配置も少し回復していた。その内、dl−PHPB 39mg/kgの効果は一番強い、次がdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgが一番弱い(図8)。dl−PHPB3つの用量は視神経管の病理変化へも改善があるその内、dl−PHPB 39mg/kgの効果はもっと強い(図9)。上記のことで、dl−PHPBが脳低循環で起こった脳梁と視神経管の損傷に明らかな保護作用を持っていることが表明した。
脳低循環で起こった組織学異常は空間学習記憶損傷の基礎になるかもしれない。その内、白質が一番早く損傷され、それと共に反応性アストロサイトの増加とミクログリアの活性化が出る。グリア酸性タンパク質(GFAP)免疫組織化学染色は活性化したアストロサイトの標識化に使用する。毎枚切片から選んだ同じエリアを2−3枚の写真を取って、写真の一定視野の中のアストロサイトの数を記録して、その平均値を当エリアの値として計算する。皮質・海馬・脳梁と視神経管四箇所を選び観察対象にした。皮質にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(16.9±6.9)は偽手術(9.9±2.0)より多いが、標準誤差が大きすぎるので統計学上の意味がなくなる。dl−PHPB投与の三群およびピラセタム600mg/kg群は投与21日後、GFAP陽性細胞数は明らかに溶剤対照群より少ない、特にdl−PHPB 39mg/kg群の効果は一番顕著である(P<0.01)(図12A)。海馬にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(26.8±5.5)は偽手術群(12.0±3.0,P<0.01)より明らかに多い。各投与群の当該指標値も溶剤対照群(P<0.05あるいはP<0.01)より明らかに低い、特にdl−PHPB 39、129mg/kg群はもっと顕著である(図10と12B)。脳梁にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より顕著な差がないが、dl−PHPB39mg/kg群の当該指標値は溶剤対照群(P<0.05)より低い(図12C)。視神経管にで、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(4.4±0.7)は偽手術群(0.8±0.3,P<0.01)より明らかに多い、dl−PHPB 39、129mg/kgおよびピラセタム600mg/kg群が動物21日間投与した後、GFAP陽性細胞数は溶剤対照群(P<0.05あるいはP<0.01)(図11と12D)より明らかに少ない。上記のことでは、dl−PHPBが慢性脳低循環ラット脳組織損傷と、活性化したアストロサイト量を明らかに軽減、減少できる。特に海馬、視神経管と皮質で、dl−PHPB 39mg/kgの効果が一番強いことが多くて、次はdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgは一番弱い。
脳源性神経成長因子(BDNF)はニューロンの生存と発育を維持し、正常な動物の脳組織に存在する。虚血の早期で高く表示できるが、虚血24時間以降は通常下降すると表示する。BDNF免疫組織化学染色面積から見れば、皮質と海馬にて、溶剤対照群と偽手術群と顕著な差がなく、投与群と溶剤対照群とも顕著な差がない(データ未提出)。だが、染色密度から見れば、溶剤対照群と偽手術群と比べると、皮質でも海馬でも、BDNFとも顕著に減少し、投与群と溶剤対照群と比べると、皮質ではdl−PHPB3つの用量ともBDNFの表示を増加できる。その内、dl−PHPB 39mg/kgの効果が一番強い、次はdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgは一番弱い(図13と17)。海馬のCA1、CA2、CA3エリアで、dl−PHPB 39mg/kgがBDNFの表示(P<0.05またはP<0.01)を明らかに増加できるが、dl−PHPB 129mg/kgがBDNF増加の勢いしかないので、統計学上の意味がない(図14−17)。染色密度とBDNFの含有量とは正比例するが、染色面積はある程度で染色の深さを考慮しないので、染色密度は染色面積よりBDNFの含有量をもっと精確的に反映できる。以上のことでは、dl−PHPBは慢性脳虚血脳組織のBDNFの含有量を増加できることを証明した。
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、PBSで調合する。Aβ(25−35)はSigma会社から購入。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。
Morris水迷路オートモニターとマイクロプレートリーダーは同上。
雄Wistarラット、10ヶ月、体重は600gあたり、かごに2匹、室温は23±1℃に維持し、自由に飲食させる。ナトリウムペントバルビタール(45mg/kg)でラットを麻酔して、腹ばいで定位装置に固定し、頭のてっぺんの皮膚を切って、頭頂骨を露出させ、PaxionsとWatsonラット脳立体定位マップによって、歯科ドリルで前の泉門後ろの1.2mm、中間線右1.5mmのところで頭蓋骨と硬膜をあけ、微量注射器で垂直で4.0mmの深さを差込、15nmol(容積が5μl)集合態のAβ(25−35)をゆっくり注入する。対照群は5μlの溶剤PBSしか注入しない。手術後は毎日腹腔にペニシリン20万単位を四日間連続で注射する。
ラットをランダムに4群に分け、群ごとに10匹にする。偽手術群:脳室に溶剤PBSしか注入しない。モデル群、dl−PHPB 39と129mg/kg群:脳室にAβ(25−35)+溶剤を注入する。手術後の第一日から薬を投与する(偽手術とモデル群は蒸留水を飲ませる)。水迷路ナビゲーションテストは手術後の第9−12日に行い、13日目からプラットフォーム探査実験を行い。動物が14日目に投与40分間後殺し、頭部を切断し生物化学測定を行う。行動学実験は全部で実験前の40分で投与する。(実験のプロセスは図26に参考してください)
5、水迷路実験
i.c.v. Aβ(25−35)後の第9−12日に水迷路ナビゲーションテストを行い、方法は前と同じ。13日目にプラットフォーム探査実験を行い、プラットフォームをおろし、ラットにプラットフォーム探しに自由に30秒水泳させて、各象限でかかる時間および第一回目標を通る時間を記録して、目標象限で活動時間の百分比を計算する。もしラットが目標象限で活動時間の百分比が大きければ、第一回目標を通る時間が短ければ、ラットがすでにこの空間目標に記憶が残っていることを証明した。
方法は同上。
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路ナビゲーションテストで各群の潜伏期間の差異比較は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。群間の差異はpost hoc LSD検査を採用する。水迷路プラットフォーム探査実験、生物化学測定は単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。P<0.05の場合は顕著な差異であると判断する。
1、dl−PHPBが認知症ラットの学習記憶に対する改善効果
ナビゲーションテストで、四日間の訓練で、各群の潜伏期間が徐々に短縮していくことは、ラットがプラットフォームの位置に対する記憶が強くなることを証明した。1日目は、各群の間に顕著な差異がないが、溶媒対照群の潜伏期間は偽手術群より長い。2日目、dl−PHPB 39mg/kg群の潜伏期間は溶媒対照群より短い。3−4日目は、溶媒対照群の潜伏期間は偽手術群(P<0.05)より顕著に長い、dl−PHPB 129mg/kg群は溶媒対照群(P<0.05あるいはP<0.01)より明らかに短い、dl−PHPB 39mg/kg群の潜伏期間も溶媒対照群より短い。これは二週間の治療によって、dl−PHPBは用量依存性的にAβ(25−35)で誘導した認知症ラットの潜伏期間を短縮できることを証明した。すなわち、dl−PHPBは用量依存性的に認知症ラットの学習記憶能力を改善できる(図18)。4日間の訓練で、各群のラットの水泳スピードが顕著な差異がない(データなし)ことはi.c.v. Aβ(25−35)が動物の体力に影響がないから、水迷路実験は動物の学習記憶能力を真実に反映できることを証明した。
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つであり、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。実験中、偽手術群の皮質のSOD活性が216.9±14.5U/mgタンパク質、i.c.v. Aβ(25−35)後14日間、SOD活性代償性が32%向上し、286.8±18.3U/mgタンパク質に達し、顕著な差(P<0.05)がある。経口でdl−PHPB 39と129mg/kg投与二週間後、皮質内SOD活性がそれぞれ238.2±32.7と185.2±21.6U/mgタンパク質に下降し、後者は溶媒対照群と比べ顕著な差も出る(P<0.01)。これはdl−PHPBが用量依存性的に皮質内SOD活性を下げれる(図20A)ことが示された。海馬では、Aβ(25−35)がSOD活性の顕著な変化が起こさなく、dl−PHPBも SOD活性の顕著な変化が起こさない。
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、化学純度は98.5%(HPLC法で測定)、蒸留水で調製した。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、アデノシントリホスファターゼ(ATPase)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。
STT−2タイプのジャンプ装置と水迷路は中国医学化学院薬物研究所より開発。MQX 200タイプのマイクロプレートリーダーはアメリカBio Tek Instrumentsの製品。
10ヶ月SAMP8、雄、SPFレベル、北京維通利華実験動物技術有限公司より購入。
動物が一週間適応後、行動学実験を行い、実験結果で平均に三群に分け:対照群、dl−PHPB 50mg/kgとdl−PHPB160mg/kg群(それぞれラットの39と129mg/kgに相当する)、毎日1回、35日に連続で蒸留水や薬物を投与する。投与後の第31−35日にステップダウンテストと水迷路実験を行い、36日目に群ごとにランダムで8−10匹の動物を取り、頭を切って、皮質と海馬を分離して、指標が包括SOD、MDA、ChAT、AChE、ミトコンドリアATPaseを含む生物化学測定をやる。(実験のプロセスは図27参照)
5、ステップダウンテスト
ジャンプ装置は矩形の電気ショック装置で、五軒に分け、底に36ボルトのACを鉄柵が付き、底の角に電気絶縁の径3cmの円形ゴムプラットフォームが置いているので、動物がそれに上って電気ショックから逃げれる。回りはプラスチックシートで、実験者向けの面は透明で、その他は黒くて不透明で、天井は動物を取ったり置いたり用に開ける。
水迷路装置は黒い不透明の矩形プラスチックボックス(80cm×50cm×20cm)で、その中にブラインドサイド4個と終点ステップ1個があり、マウスはそのステップで水面に出られる。またもう一枚の15cm×20cmサイズの黒いプラスチックシートがあり、異なる位置に置き、異なる出発点とする。異なる出発点には含むブラインドサイド数も異なる。実験の際、深さが12cm、水温が25±1℃の水を入れる。マウスを異なる出発点において、異なるブラインドサイド数の折れ曲がったコースで終点に行き、水面に出る。マウスがブラインドサイドに入る回数と終点に着くにかかる時間でその最近記憶と学習記憶能力を判断する。
皮質と海馬のSOD、MDA、ChATとAChEの測定方法は同上。また別に一部の皮質組織を取って、組織ホモジネートを調製する。勾配遠心法でミトコンドリアを抽出し、超音波法で粉砕して、そのATPase活性を測定する。測定方法はキット説明書に従って行う。
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路実験指標の差異は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。その他の各指標の差異は単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。群の間の差異はpost hoc Dunnett またはLSD検査を採用する。
1、dl−PHPBがSAMP8の学習記憶障害に対する改善効果
ステップダウンテストは動物の受動回避反応能力を測定する経典な実験の1つである。動物が受けた電気ショックの回数と潜伏期間で動物の受動回避反応能力を判断する。第一日の訓練中に、dl−PHPB 50と160mg/kg群が受けた電気ショック回数(5.8±0.5,4.9±0.5)は対照群SAMP8(8.3±0.6)より明らかに少ない。Dunnett検査で、顕著な差(P<0.01和P<0.001)があり、さらに一定の用量依存性もある。第二日の測定で、2つの投与群SAMP8が受けた電気ショック回数(3.4±0.3,2.1±0.3)も対照群(4.6±0.3)(P<0.05和P<0.01)より明らかに少ない。尚且つ2つの投与群は第一回ステップから飛び下りる潜伏期間(5.5±0.8,10.2±2.4)も対照群(0.7±0.2) (P<0.01)より明らかに長くて、用量依存関係もある。以上のことでは、dl−PHPB 50と160mg/kgの長期投与ともSAMP8マウスの受動回避反応能力を向上でき、用量依存関係もあり、すなわちdl−PHPBがその学習能力と記憶保持能力を顕著に改善できることが示された。
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つで、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。実験中に、対照群の海馬組織SODの活性は279.4±65.7U/mgタンパク質、dl−PHPB 50と160mg/kgを連続で35日間投与した後、SOD活性はそれぞれ156.2±7.8および158.7±11.4U/mgタンパク質まで下降し、対照群と顕著な差(P<0.05)がある。dl−PHPBは海馬SODの活性を下げることができることが示された。皮質では、dl−PHPB2つの用量ともSOD活性の顕著な変化を起こさなかった(データなし)。
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、AChEはアセチルコリンの加水分解酵素として,それらの活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。連続で投与35日後は、dl−PHPB50と160mg/kg群SAMP8マウス海馬のChAT活性が対照群と比べ、それぞれ40%と61%が増加し、顕著な統計学差異があり、なお一定の用量依存性がある(図24A)。皮質では、2つの投与群のChAT活性は対照群と比べ、顕著な差がない(データなし)。2つの投与群の海馬のAChE活性(0.632±0.036和0.597±0.030U/mgタンパク質)は対照群(0.850±0.195U/mgタンパク質)より明らかに低い。dl−PHPBがSAMP8マウス海馬AChE活性を下降させる可能性があることが示された(図24B)。皮質では、各投与群のAChE活性が顕著な差がない(データなし)。
Claims (16)
- アルツハイマー病やその症状の予防・緩和および/または治療に用いる2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの使用。
- 前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項1に記載の使用。
- 前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項1に記載の使用。
- 2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムが脳組織の酸化ストレス損傷の軽減、コリン作動性神経機能の向上、ニューロンの保護および/または脳源性神経成長因子含有量の向上に用いる薬を調製する時の使用。
- 前記脳組織の酸化ストレス損傷の軽減とは、脳組織代償性が異常増加の酸化防止酵素の活性を抑えることで、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる請求項4に記載の使用。
- 前記酸化防止酵素とは、スーパーオキシドジスムターゼで、脂質過酸化産物とはマロンアルデヒドである請求項5に記載の使用。
- 前記コリン作動性神経機能の改善は、アセチルコリン合成酵素の活性を上げることで、アセチルコリン加水分解酵素の活性を下げる請求項4に記載の使用。
- 予防や治療に実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、および薬学で認めるオプションのキャリアおよび/またはアクセサリを含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いることを特徴とする医薬組成物。
- 前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項8に記載の医薬組成物。
- 前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項8に記載の医薬組成物。
- 前記医薬組成物は、使用ルートよって溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放性または徐放性製剤から選ばれる請求項8に記載の医薬組成物。
- 必要がある患者に治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムや請求項8に記載の医薬組成物を使用することを含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療の方法。
- 前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項12に記載の方法。
- 前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項12に記載の方法。
- 患者に使用するルートは非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これらに限定されない請求項12に記載の方法。
- 前記治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは、0.5−200mg/kg体重の間のいずれの量。好ましいのは1−150mg/kg体重、より好ましいのは2−100mg/kg体重、さらに好ましいのは3−50mg/kg体重、特に好ましいのは4−35mg/kg体重、特に好ましいのは5−20mg/kg体重の間のいずれかの量である請求項12に記載の方法。
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