JP2011524371A - 角膜炎症を治療するための組成物および方法 - Google Patents

角膜炎症を治療するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

被験体における角膜炎症を治療する方法は、治療有効量のTLR4アンタゴニストを被験体に投与する工程を包含する。

Description

本発明は、角膜炎症および/または角膜炎症に関連する状態の治療および予防のために有用である組成物および方法に関する。
角膜への損傷の後で、免疫系および炎症系は、眼の完全性を防御するように応答する。この防御メカニズムは、細胞浸潤から潰瘍形成までの範囲にわたる臨床的徴候を有し得る。防御的ではあるが、これらのプロセスは、角膜の血管新生、瘢痕化、および/または穿孔を引き起こすことによって、しばしば、眼の主要な機能を損なう。
例えば、リポポリサッカライド(LPS)または他の細菌産物への擦過した角膜表面への曝露は、好中球が豊富な浸潤物をもたらす角膜炎症を角膜基質において誘導することが実証されてきた(例えば、非特許文献1〜5参照)。
角膜表面への損傷が存在する場合、炎症性細胞および/または免疫細胞が損害を修復するために送られる。これらの細胞は角膜の領域に集合でき、臨床的に同定可能な浸潤物として可視的である。この浸潤物形成および生じる角膜炎症は、感染性または非感染性のいずれかの状態から生じ得る。角膜に有害な効果を与え得る1つの感染性状態は細菌性角膜炎である。米国および世界における細菌性角膜炎の主要な原因には、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)種、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、および連鎖球菌(Streptococcus)種による感染が含まれる。発展途上国においては、細菌性角膜炎は、主として、農作業に関係する外傷に付随するのに対して、先進工業国においては、細菌性角膜炎はコンタクトレンズ着用に付随する。
感染性角膜炎に加えて、コンタクトレンズ着用もまた、コンタクトレンズ関連充血(CLARE)、コンタクトレンズ周辺潰瘍(CLPU)、およびコンタクトレンズ関連角膜浸潤CLACIを含む、無菌性、培養陰性臨床徴候と関連する(例えば、非特許文献6参照)。これらの徴候からの症状は、感染性角膜炎に伴う徴候よりも重篤ではなく、罹患した個体は、痛み、充血、かすみ目、および強い不快感を有する。コンタクトレンズ着用者の数が米国で3400万人、世界で1億4000万を超えていると仮定すると、これらの臨床的徴候を有するコンタクトレンズ着用者の割合が比較的少ないとしても、罹患している個体の総数は大きいと解釈される(例えば、非特許文献6参照)。
現在、ステロイドの使用が、角膜浸潤のための唯一の治療である。ステロイドの使用の副作用は顕著である。感染性角膜炎において、ステロイドは感染の消散後にのみ与えられる;さもなくば、これらは感染に対して有害な効果を有し得る。さらに、ステロイドの使用は、眼圧の増加を引き起こし得、それによって、緑内障のリスクを増加し、しばしば、抗緑内障治療と一緒に投与される。
Johnsonら、Invest.Ophthalmol Vis.Sci.2005;46:589−595 Khatriら、Invest.Opthalmol.Vis.Sci.2002;43:2278−2284 Schultzら、Infection and Immunity 2000;68:1731−1734 Schultzら、Exper.Eye Res.1997;64:3−9 Sunら、Infection and Immunity 2006;74:5325−5332 Stapletonら、Optom.Vis.Sci.2007;84:257−272
本発明は、被験体における角膜炎症を治療するための方法に関する。この方法は、被験体における角膜炎症を治療するために、治療有効量のtoll様受容体4(TLR4)アンタゴニストを被験体に投与する工程を包含する。
本発明はまた、コンタクトレンズ着用に関連する被験体における角膜炎症を治療する方法にも関する。この方法は、コンタクトレンズ着用に関連する角膜炎症を治療するために、治療有効量のTLR4アンタゴニストを被験体に投与する工程を包含する。
本発明はまた、被験体の角膜におけるTLR誘導性炎症性応答を治療する方法にも関する。この方法は、TLR誘導性炎症性応答を治療するために治療有効量のTLR4アンタゴニストを被験体に投与する工程を包含する。
本発明はまた、被験体における角膜炎症を治療するためのコンタクトレンズに関する。このコンタクトレンズは、基材とコーティングを含む。このコーティングは、被験体における角膜炎症を治療する際に有効な量のTLR4アンタゴニストを含む。
本発明はさらに、被験体における角膜炎症を治療するための眼科用製剤に関する。この眼科用製剤は、点眼溶液、および被験体における角膜炎症を治療する際に有効な量のTLR4アンタゴニストを含む。
本発明はまた、被験体における感染性角膜炎を治療する方法にも関する。この方法は、治療有効量のTLR4アンタゴニスト、および、抗菌剤、抗ウイルス剤、または抗真菌剤の少なくとも1つを被験体に投与する工程を包含する。
==関連出願==
本願は、2008年9月30日に出願された米国仮出願61/101,493および2008年6月13日に出願された61/061,291に基づく優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に援用される。
図1は、本発明の治療方法の1つの態様に従うエリトラン(eritoran)四ナトリウムで処理された角膜の表面に適用されたコンタクトレンズの写真である。 図2は、エリトラン四ナトリウム(E)(E5564)またはプラセボ(P)で処理されたLPS刺激角膜からのケモカイン産生を比較するグラフを図示する。 図3は、Pam3Cys刺激角膜、エリトラン処理角膜(E)、およびプラセボグループ(P)からのケモカイン産生を比較するグラフを図示する。 図4は、LPS、エリトラン四ナトリウム(E)およびLPS、ならびにプラセボおよびLPSで刺激された角膜中央部の共焦点顕微鏡画像を図示する。 図5は、エリトラン四ナトリウム(E)またはプラセボ(P)で処理されたマウスの異なる用量応答についてのLPS刺激角膜における好中球浸潤を比較するグラフを図示する。 図6は、エリトラン四ナトリウム(E)またはプラセボ(P)で処理されたマウスの異なる用量応答についてのLPS刺激角膜における基質のかすみを比較するグラフを図示する。 図7は、エリトラン四ナトリウム(E)またはプラセボ(P)で処理されたマウスの異なる用量応答についてのPam3Cys刺激角膜における好中球浸潤を比較するグラフを図示する。 図8は、エリトラン四ナトリウム(E)またはプラセボ(P)で処理されたマウスの異なる用量応答についてのPam3Cys刺激角膜における基質のかすみを比較するグラフを図示する。 図9は、LPS刺激の前後でのエリトラン四ナトリウム(E)またはプラセボ(P)で処理されたマウスの異なる用量応答についての角膜における好中球浸潤を比較するグラフを図示する。 図10は、LPS刺激の前後でのエリトラン四ナトリウム(E)またはプラセボ(P)で処理されたマウスの異なる用量応答についての角膜における基質のかすみを比較するグラフを図示する。 図11は、LPS刺激後にエリトラン四ナトリウムで角膜中の好中球浸潤を治療するための用量応答を比較するグラフを図示する。 図12は、LPS刺激後にエリトラン四ナトリウムで角膜中の基質のかすみを治療するための用量応答を比較するグラフを図示する。 図13は、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識(TUNEL)アッセイを使用して染色され、個々の細胞を同定するために4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で対比染色された、エリトラン四ナトリウム(E)またはプラセボ(P)で処理されたLPS刺激マウス角膜切片を図示する。 図14は、エリトラン四ナトリウム(E)対プラセボ(P)の存在下でLPSで刺激されたヒト角膜上皮細胞(HCE−T)の培養上清中の24時間後のIL−8レベルを示すグラフを図示する。 図15は、エリトラン四ナトリウム(E)対プラセボ(P)の存在下でPam3cysで刺激されたヒト角膜上皮細胞(HCE−T)の培養上清中の24時間後のIL−8レベルを示すグラフを図示する。 図16は、エリトラン四ナトリウム(E)対プラセボ(P)の存在下でLPSで刺激されたマクロファージ(U937)の培養上清中の3時間後のIL−8レベルを示すグラフを図示する。 図17は、エリトラン四ナトリウム(E)対プラセボ(P)の存在下でPam3cysで刺激されたマクロファージ(U937)の培養上清中の3時間後のIL−8レベルを示すグラフを図示する。 図18は、エリトラン四ナトリウム(E)対プラセボ(P)の存在下でLPSで刺激された好中球(HL60)の培養上清中の3時間後のIL−8レベルを示すグラフを図示する。 図19は、エリトラン四ナトリウム(E)対プラセボ(P)の存在下でPam3cysで刺激された好中球(HL60)の培養上清中の3時間後のIL−8レベルを示すグラフを図示する。 図20は、P.aeruginosaで刺激されたC57BL/6、TLR4−/−、およびMD−2−/−マウスの角膜における24時間後の好中球浸潤を比較するグラフを図示する。 図21は、P.aeruginosaで刺激されたC57BL/6、TLR4−/−、およびMD−2−/−マウスの角膜における24時間後の基質の厚さを比較するグラフを図示する。 図22は、P.aeruginosaで刺激されたC57BL/6、TLR4−/−、およびMD−2−/−マウスの角膜における24時間後の基質のかすみを比較するグラフを図示する。 図23は、エリトラン四ナトリウムまたはプラセボで処理された、P.aeruginosaで刺激されたC57BL/6マウスの角膜における24時間後の好中球浸潤を比較するグラフを図示する。 図24は、エリトラン四ナトリウムまたはプラセボで処理された、P.aeruginosaで刺激されたC57BL/6マウスの角膜における24時間後の基質の厚さを比較するグラフを図示する。 図25は、エリトラン四ナトリウムまたはプラセボで処理された、P.aeruginosaで刺激されたC57BL/6マウスの角膜における24時間後の基質のかすみを比較するグラフを図示する。
便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において利用される特定の用語はここに集められている。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書で使用される場合、「Toll様受容体4アンタゴニスト」または「TLR4アンタゴニスト」という用語は、細胞のTLR4の活性化を実質的に低減、阻害、遮断、および/または軽減する能力がある小分子、ポリペプチド、ポリヌクレオチドなどの因子をいう。
本明細書で使用される場合、「被験体」という用語は、ヒト、ブタ、ラット、マウス、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、類人猿、ウサギ、ウシなどを含むがこれらに限定されない任意の温血動物をいう。
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療すること」、または「治療する」という用語は、例えば、角膜炎症が発症することを予防すること、角膜炎症の発症を阻害すること、角膜炎症に関連する臨床徴候の発症を停止させること、および/または角膜炎症に関連する症状を軽減することを含む、疾患または病理学的状態(例えば、角膜炎症)の治癒、阻害、減少、除去、または改善のために使用される任意の特定の方法または手順をいう。
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、角膜炎症および/または角膜炎症に関連する疾患もしくは障害の治療を提供するために有効かつ/または十分である、単独でまたは任意のさらなる治療剤とともに投与されるTLR4アンタゴニストの投薬量をいう。有効量は、被験体、治療される疾患、およびもたらされる治療に依存して変化し得る。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、角膜炎症に関連する症状および/または角膜炎症に関連する疾患もしくは障害の改善を生じ、ならびに/あるいは治療的に関連する効果を生じる、単独でおよび/またはさらなる治療剤と組み合わせて投与されるTLR4アンタゴニストの量をいう。例として、「治療有効量」は、被験体における角膜炎症を減少させるために必要とされるTLR4アンタゴニストの量として理解されてもよい。
本明細書で使用される場合、「非経口投与」および「非経口的に投与される」とは、通常は注射による、腸内投与および局所投与以外の投与の様式をいい、非限定的に、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内の注射および注入を含む。
本明細書で使用される場合、「薬学的または薬理学的に受容可能な」という用語は、適切に動物またはヒトに投与された場合に、有害な、アレルギー性の、またはその他の都合の悪い反応を生じない分子的実体または組成物をいう。獣医学的用途は等しく本発明の中に含まれ、「薬学的に受容可能な」製剤は、臨床的用途および/または獣医学的用途の両方のための製剤を含む。
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」には、任意のおよびすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および剤の使用は当該分野において周知である。任意の従来的な媒体または剤が活性成分と適合可能でない場合を除いて、治療組成物中でのその使用が意図される。ヒト投与のために、調製物は、FDA局の生物製剤標準によって必要とされる無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度標準に合致するべきである。補助活性成分もまた、組成物に組み入れることができる。
本明細書で使用される場合、「単位投薬量」製剤は、特定の時間の送達のために適合された投与される成分の用量または部分用量(sub-dose)を含むものである。例えば、「単位投薬量」製剤は、毎日の用量もしくは単位または毎日の部分用量、あるいは毎週の用量もしくは単位または毎週の部分用量などを含むものである。
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、分枝鎖または直鎖であってもよく、アルキル鎖に沿った任意の位置において1つ以上のハロゲンで任意に置換されてもよい脂肪族有機基をいう。
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」とは、化合物、および有機酸もしくは無機酸または有機塩基もしくは無機塩基の組み合わせから誘導される化合物の塩を含む。
本発明は、一般的に、被験体における角膜炎症を治療する方法、ならびに角膜炎症に関連する角膜の混濁(例えば、角膜のかすみ、基質のかすみ、および基質の厚さ)を軽減する方法に関する。1つの例において、角膜炎症は、コンタクトレンズ着用によって引き起こされ、および/またはコンタクトレンズ着用に関連し得る。他の例において、角膜炎症は、ブドウ膜炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、眼または眼科的手術(例えば、角膜手術)、眼内炎、虹彩炎、萎縮性黄斑変性、網膜色素変性、医原性網膜症、網膜裂傷および網膜裂孔、類嚢胞黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜静脈および網膜動脈の閉塞、視神経症、滲出性黄斑変性、血管新生緑内障、角膜血管新生、毛様体炎、鎌状赤血球網膜症、および翼状片と関連し得る。
本発明の方法の実施形態に従って、被験体における角膜炎症は、TLR4の活性化を遮断、阻害、および/または軽減するための有効な量で被験体の角膜にTLR4アンタゴニストを投与することによって、実質的に減少および/または軽減できる。従って、本発明の1つの態様は、被験体における角膜炎症を減少および/または軽減するために、治療有効量の少なくともTLR4アンタゴニストを被験体に投与することによって、角膜炎症を治療する方法に関する。
本発明の1つの実施形態において、被験体における角膜炎症を治療するために使用されるTLR4アンタゴニストは式(I)の化合物:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであり、ここで、Rが:
からなる群より選択され、
各J、K、およびQは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;LはO、NH、またはCHであり;MはOまたはNHであり;ならびにGはNH、O、S、SO、またはSOであり;
は直鎖または分枝鎖C5〜C15アルキルであり;
は直鎖または分枝鎖C5〜C18アルキル、
からなる群より選択され、
ここで、EはNH、O、S、SO、またはSO;であり、各A、B、およびDは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;
は直鎖または分枝鎖C4〜C20アルキル、および
からなる群より選択され、ここで、各UおよびVは、独立して、直鎖または分枝鎖C2〜C15アルキルであり、ならびにWは水素または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
はRまたはR−O−CH−であり、Rは水素、J’、−J’−OH、−J’−O−K’、−J’−O−K’−OH、および−J’−O−PO(OH)からなる群より選択され、ここで、各J’およびK’は独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C5アルコキシおよびC1〜C5アシルオキシからなる群より選択され;
およびAは、独立して、
OH、
からなる群より選択され、ここで、Zは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C10アルキルである。
1つの実施形態において、式(I)のTLR4アンタゴニストが式(II)の化合物:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルである。
別の実施形態において、式(II)のTLR4アンタゴニストは:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルである。
別の実施形態において、TLR4アンタゴニストはエリトラン四ナトリウム(化合物E5664としてもまた知られる)である。エリトラン四ナトリウムは、すぐ上に示される化合物の四ナトリウム塩である。エリトラン四ナトリウムは米国特許第5,935,938号に記載されている。
本発明の方法において角膜炎症を有する被験体を治療するために使用できる他のTLR4アンタゴニストには以下の化合物:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルが含まれる(米国特許出願番号2007/0072824A1を参照のこと)。
本発明において使用できるさらなるTLR4アンタゴニストには、例えば、化合物B531(米国特許第5,530,113号)、ならびに以下の特許において記載されている他の化合物が含まれる:米国特許第5,935,389号(例えば、式Iによって同定される置換リポサッカライド);米国特許第5,612,476号(例えば、カラム2−41において開示されているリピドAアナログ);米国特許第5,756,718号(例えば、カラム2−40において開示されているリピドAアナログ);米国特許第5,843,918号(例えば、カラム2−48において開示されているリピドAアナログ);米国特許第5,750,664号(例えば、式Iによって同定される置換リポサッカライド);米国特許第6,235,724号(例えば、式IおよびIIによって同定されるリピドAアナログ);米国特許第6,184,366号(例えば、式Iによって同定されるリピドAアナログ);米国特許第5,681,824号、米国特許出願公開番号20030144503A1、および米国特許出願公開番号20020028927A1。これらの化合物を作製するための方法もまた、これらの文書の中に記載されている。このような化合物を作製するためのさらなる方法は、例えば、WO 02/94019に記載されている。
本発明の方法に従って角膜炎症を有する被験体を治療するために使用できるTLR4アンタゴニストのさらなる他の例には、式(III)の化合物:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、n、n、およびnは同じかまたは異なり、たとえば、1から約10(たとえば、10)の正の整数である;n、n、およびnは同じかまたは異なり、8未満の正の整数である、化合物が含まれる。式(III)の化合物は、インビトロでヒト末梢血単球においてサイトカイン産生もしくは他の遺伝子発現を刺激しないか、またはインビボで炎症応答を誘導する、合成リピドA模倣物である(Stoverら(Journal of Biological Chemistry Vol.27,No.6))。
1つの例において、n、n、およびnの少なくとも1つが7未満であり、その結果、式(III)の少なくとも1つの二級アシル基が10未満の炭素である。10未満の炭素の少なくとも1つの二級アシル基を有する式(III)の化合物は、強力なTLR4アンタゴニストであることが示された(Stoverら(Journal of Biological Chemistry Vol.27、No.6))。
1つの実施形態において、本発明の方法において使用される式(III)のTLR4アンタゴニストは、以下の構造:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルを有する。上記に同定したTLR4アンタゴニストは、商品名CRX 526の下で、GlaxoSmithKline(UK)から市販されている(Fort,Madeline M.らJournal of Immunology,174:6416−6423(2005)を参照のこと)。
他の実施形態において、式(III)のTLR4アンタゴニストは、以下の1つから選択される化合物:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルである。上記に同定された式(III)の例は、合成リピドA模倣物としてStoverら(Journal of Biological Chemistry Vol.27、No.6)によって同定され、Johnsonら、Biorog.Med.Chem.Lett.9、2273−2278に記載されるように合成された。
ある実施形態において、TLR4アンタゴニストが式(I)の化合物:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、Rが:
からなる群より選択され、
各J、K、およびQは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;
は直鎖または分枝鎖C5〜C15アルキルであり;
は直鎖または分枝鎖C5〜C18アシルおよび
からなる群より選択され、
ここで、AおよびBは、各々独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;
は直鎖または分枝鎖C4〜C20アルキルおよび
からなる群より選択され、ここで、各UおよびVは、独立して、直鎖または分枝鎖C2〜C15アルキルであり、ならびにWは水素または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
はR−O−CH−であり、Rは水素、J’、−J’−OH、−J’−O−K’、−J’−O−K’−OH、および−J’−O−PO(OH)からなる群より選択され、ここで、各J’およびK’は独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C5アルコキシおよびC1〜C5アシルオキシからなる群より選択され;
およびAは、各々独立して、
である。
ある実施形態において、R
であり、ここで、Jは直鎖または分枝鎖C10〜C15アルキルである。
他の実施形態において、R
であり、ここで、Jは直鎖または分枝鎖C1〜C3アルキルであり、Kは直鎖または分枝鎖C8〜C15アルキルである。さらに他の実施形態において、R
であり、ここで、Jは直鎖または分枝鎖C1〜C3アルキルであり、Kは直鎖または分枝鎖C8〜C15アルキルであり、Qは直鎖または分枝鎖C1〜C3アルキルである。さらなる実施形態において、R
であり、ここで、Jは直鎖または分枝鎖C1〜C3アルキルであり、Kは直鎖または分枝鎖C8〜C15アルキルである。
例えば、ある実施形態において、R
であり、ここでJは−CH−であり、Kは直鎖または分枝鎖C10〜C13アルキルである。他の実施形態において、R
であり、ここでJは−CH−であり、Kは直鎖または分枝鎖C10〜C13アルキルであり、Qは直鎖または分枝鎖−CHである。さらなる実施形態において、R
であり、ここでJは−CH−であり、Kは直鎖または分枝鎖C10〜C13アルキルである。
ある実施形態において、Rは直鎖または分枝鎖C8〜C12アルキル、例えば、直鎖または分枝鎖C10アルキルである。ある実施形態において、Rは直鎖または分枝鎖C10〜C18アシル、例えば、C18アシルである。他の実施形態において、R
であり、ここで、Aは直鎖または分枝鎖C7〜C12アルキルであり、Bは直鎖または分枝鎖C4〜C9アルキルである。例えば、ある実施形態において、R
であり、ここで、Aは直鎖または分枝鎖C9アルキルであり、Bは直鎖または分枝鎖C6アルキルである。
ある実施形態において、Rは直鎖または分枝鎖C8〜C12アルキルであり、例えば、直鎖または分枝鎖C10アルキルである。他の実施形態において、R
であり、ここでUは直鎖または分枝鎖C2〜C4アルキルであり、Vは直鎖または分枝鎖C5〜C9アルキルであり、そしてWは水素または−CHである。例えば、ある実施形態において、R
であり、Uは直鎖または分枝鎖C2アルキルであり、Vは直鎖または分枝鎖C7アルキルであり、そしてWは水素または−CHである。
ある実施形態において、RはR−O−CH−であり、ここで、RはJ’であり、ここで、J’は直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルである。ある実施形態において、RはR−O−CH−であり、ここで、Rは−CHである。
ある実施形態において、Rはヒドロキシルである。
さらなる実施形態において、TLR4アンタゴニストは式(I)の化合物:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、Rが:
から選択され、
Jは直鎖または分枝鎖C1〜C3アルキルであり、Kは直鎖または分枝鎖C8〜C15アルキルであり、そしてQは直鎖または分枝鎖C1〜C3アルキルであり;
は直鎖または分枝鎖C8〜C12アルキルであり;

であり、ここで、Aは直鎖または分枝鎖C7〜C12アルキルであり、Bは直鎖または分枝鎖C4〜C9アルキルであり、
は直鎖または分枝鎖C8〜C12アルキルおよび
から選択され、ここで、Uは直鎖または分枝鎖C2〜C4アルキルであり、Vは直鎖または分枝鎖C5〜C9アルキルであり、そしてWは水素または−CHであり;
はR−O−CH−であり、ここで、RはJ’であり、ここで、J’は直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
はヒドロキシルであり;
およびAは各々独立して、
である。
さらなる実施形態において、TLR4アンタゴニストは式(I)の化合物:
またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、Rが:
であり、
Jは直鎖または分枝鎖C1〜C3アルキルであり、Kは直鎖または分枝鎖C8〜C15アルキルであり、そしてQは直鎖または分枝鎖C1〜C3アルキルであり;
は直鎖または分枝鎖C8〜C12アルキルであり;

であり、ここで、Aは直鎖または分枝鎖C7〜C12アルキルであり、Bは直鎖または分枝鎖C4〜C9アルキルであり、

であり、
ここで、Uは直鎖または分枝鎖C2〜C4アルキルであり、Vは直鎖または分枝鎖C5〜C9アルキルであり、そしてWは水素または−CHであり;
はR−O−CH−であり、ここで、RはJ’であり、ここで、J’は直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
はヒドロキシルであり;
およびAは各々独立して
である。
本発明の別の実施形態において、TLR4アンタゴニストは、TLR4受容体の少なくとも一部に対応し、TLR4シグナル伝達事象の間にTLR4リガンドを結合するTLR4のポリペプチドフラグメントなどのTLR4ポリペプチド配列である。TLR4アンタゴニストの別の例には、TLR4活性を阻害する非TLR4タンパク質もしくはポリペプチド、TLR4活性の小分子阻害剤、またはTLR4の天然のリガンドの改変体、すなわち、細菌リポポリサッカライドである阻害リガンド(例えば、上記のようなLPSのリピドA領域のアナログ)が含まれる。利用されるTLR4アンタゴニストの型に関わらず、TLR4アンタゴニストは、TLR4機能の少なくとも一時的な遮断を達成するために投与でき、それによって、角膜炎症に対するTLR4の効果を中和または少なくとも部分的に阻害する。
1つの例において、TLR4のポリペプチドフラグメントは、約10〜100または10〜50アミノ酸長(またはより短い)の短いポリペプチドを含むことができ、これは、TLR−4リガンド結合ドメインを含む。これらのペプチドフラグメントは、N末端またはC末端融合タンパク質の一部でもまたあり得る。様々なヒトTLR4アイソフォームの全長配列は公知である(Genbankアクセッション番号NP_6 12564(アイソフォームA)、NP_6 12566(アイソフォームB)、NP_003257(アイソフォームC)、およびNP_6 12567(アイソフォームD)を参照のこと。これらの各々は、その全体が参照により援用される)。他の哺乳動物TLR−4ホモログの配列もまた公知であり、これには、マウス、ラット、オランウータンなどの配列が含まれる。
非TLR4タンパク質またはTLR4のポリペプチド阻害剤もまた、文献に同定されてきており、これらは本発明の方法および組成物において使用できる。2つのこのような阻害剤が、Yangら、「Novel TLR4 Antagonizing Peptides Inhibit LPS−Induced Release of Inflammatory Mediators by Monocytes」Biochem.Biophys.Res.Commun.329.3:846−54(2005)において同定されており、ケモカイン受容体4およびそのリガンドもまた有効であることが示されてきた(Kishoreら、「Selective Suppression of Toll−like Receptor 4 Activation by Chemokine Receptor 4」FEBSLett.579(3):699−704(2005))。
本発明の方法において使用できるTLR4アンタゴニストの別の例はRhodobacter sphaeroidesリピドA(RSLA)である。RSLAは、多くのグラム陰性細菌からのリピドA上の6個と比較される5個のアシル鎖を有し、他のグラム陰性リピドAに対して顕著な拮抗作用活性を有し、そしてある細胞型に対してはわずかなアゴニスト活性のみを有する(Kutuzovaら、J.Immunol.2001;167:482−489;Golenbockら、J.Biol.Chem.1991;266:19490−19498;Qureshiら、Infection and Immunity 1991;59:441−444)。
TLR4アンタゴニストの別の例には、非限定的に、以下が含まれる:TAK−242(Iiら、「A Novel Cyclohexene Derivative,(TAK−242),Selectively Inhibits Toll−like Receptor 4−mediated Cytokine Production Through Suppression of Intracellular Signaling」Mo.Pharmacol.69(4):128 8−95(2006);内因性TLR4阻害剤RP1OS(Divanovicら、「Inhibition of TLR4/MD−2 signaling by RP1O5/MD−1」J.Endotoxin Res.11(6):363−368(2005);CyP、ラン藻Oscillatoriaplanktothrix FP1に由来する天然のLPS模倣物(Macagnoら「A Cyanobacterial LPS Antagonist Prevents Endotoxin Shock and Blocks Sustained TLR4 Stimulation Required for Cytokine Expression」J.Exp.Med.203(6):1481−1492(2006);T.socranskii subsp.socranskii(TSS−P)からのフェノール/水抽出物(Leeら「Phenol/water Extract of Treponema socranskii subsp.socranskii as an Antagonist of Toll−like Receptor 4 Signaling」Microbiol.1 52(2):535−46(2006));Monarch−iなどのCLRタンパク質(Williamsら「The CATERPILLER Protein Monarch−i Is an Antagonist of Toll−like Receptor−,Tumor Necrosis Factor alpha−,and Mycobacterium tuberculosis−induced pro−inflammatory signals」J.Biol.Chein.280(48):39914−39924(2005));ならびにER81 1243、ER81121 i、およびER81 1232などの小分子TLR−4/TLR−2二重アンタゴニスト(Chowらへの米国特許出願公開番号20050113345)。TLR4阻害剤またはアンタゴニストのさらなる例はWO2006/138681A2において見い出すことができる。
本発明の方法において使用されるTLR4アンタゴニストは、例えば、眼科的、局所、非経口、皮下、静脈内、関節内、くも膜下腔内、筋肉内、腹腔内、皮内の注射、または経皮、口腔内、口腔粘膜、経口経路、または吸入経由を含む標準的な方法を使用して角膜炎症を治療するために被験体に投与できる。特定の被験体のために使用される特定のアプローチおよび投薬量は、例えば、被験体の一般的健康、体重、および年齢を含むいくつかの要因に依存する。これらのような要因に基づいて、医療従事者は治療に対する適切なアプローチを選択することができる。
本発明の方法に従う治療は、角膜炎症の状態に依存して、被験体において変更、停止、または再開できる。治療は、当業者によって適切であるように決定された間隔で実行できる。例えば、投与は、1日に1、2、3、または4回実行することができる。本発明の別の態様において、TLR4アンタゴニストは、炎症性応答の誘導が起こった後で投与できる。
本発明の方法は、治療有効量のTLR4アンタゴニストを被験体に投与する工程を包含する。治療有効量の決定は当業者の能力の範囲内である。正確な処方、投与の経路、および投薬量は、被験体の状態に鑑みて個々の医師によって選択できる。
上述の(およびその他の)投与の様式における使用のための薬学的化合物の製剤は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版)、A.Gennaro編、1990、Mack Publishing Company,Easton,Pa.において記載されている。例えば、以下もまた参照のこと:M.J.Rathbone編、Oral Mucosal Drug Delivery,Drugs and the Pharmaceutical Sciences Series,Marcel Dekker,Inc.,N.Y.,U.S.A.,1996;M.J.Rathboneら編、Modified−Release Drug Delivery Technology,Drugs and the Pharmaceutical Sciences Series,Marcel Dekker,Inc.,N.Y.,U.S.A.,2003;Ghoshら編、Drug Delivery to the Oral Cavity,Drugs and the Pharmaceutical Sciences Series,Marcel Dekker,Inc.,N.Y.U.S.A.,1999。
1つの例において、TLR4アンタゴニストは、被験体の眼に投与できる眼科用製剤中に提供できる。この眼科用製剤は、薬学的に受容可能な溶液、懸濁液、または軟膏中にTLR4アンタゴニストを含有させることができる。濃度のある程度の変動が、利用される特定のTLR4アンタゴニスト、治療される被験体の状態などに依存して生じ得、治療の責任者は個々の被験体のために最も適切な濃度を決定することができる。この眼科用製剤は、所望される場合、さらなる成分、例えば、保存剤、緩衝剤、等張剤、抗酸化剤、安定剤、非イオン性湿潤剤または清澄剤、および増粘剤を含む滅菌水溶液の型であり得る。
このような溶液中での使用のための保存剤の例には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、チメロサールなどが含まれる。緩衝剤の例には、約pH 6から約pH 8の間のpH、例えば、約pH 7から約pH 7.5の間のpHを維持するために十分な量のホウ酸、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、およびリン酸二水素ナトリウムが含まれる。等張剤の例は、デキストラン40、デキストラン70、デキストロース、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、および塩化ナトリウムである。
抗酸化剤および安定剤の例には、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、およびチオウレアが含まれる。湿潤剤および清澄剤の例には、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー282、およびチロキサポールが含まれる。増粘剤の例には、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ラノリン、メチルセルロース、ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびカルボキシメチルセルロースが含まれる。眼科用製剤は、従来的な方法によって、例えば、点眼薬の型でまたは眼を眼科用溶液に浸すことによって、治療の必要な被験体の眼に局所投与される。
TLR4アンタゴニストは、皮膚を通した局所投与のためにもまた製剤化できる。「局所送達系」は、投与される成分を含む経皮パッチもまた含む。皮膚を通した送達はさらに、所望される場合、イオン導入または電気輸送によってもまた達成できる。
皮膚への局所投与のための製剤には、例えば、薬学的に受容可能なキャリア中にTLR4アンタゴニストを含む軟膏、クリーム、ゲル、およびペーストが含まれる。局所的使用のためのTLR4アンタゴニストの製剤には、当業者に周知であるような、油性または水溶性の軟膏ベースの調製物が含まれる。例えば、これらの製剤は、植物油、動物脂肪、および例えば、石油から得られる半固体炭化水素を含んでもよい。使用される特定の成分には、白色軟膏、黄色軟膏、セチルエステルワックス、オレイン酸、オリーブ油、パラフィン、ワセリン、白色ワセリン、鯨ろう、デンプングリセリン製剤、白ろう、黄ろう、ラノリン、脱水ラノリン、およびモノステアリン酸グリセリンが含まれてもよい。グリコールエーテルおよび誘導体、ポリエチレングリコール、ポリオキシ40ステアレート、およびポリソルベートを含む種々の水溶性軟膏ベースもまた、使用されてもよい。
眼科的投与(例えば、点眼薬)および/もしくは局所的投与による治療を容易に利用できない、または、眼科的投与(例えば、点眼薬)および/もしくは局所的投与による治療が適切ではない角膜炎症に罹患した(または角膜炎症のリスクがある)被験体は、静脈内注入などの全身的アプローチによって治療できる。例えば、TLR4アンタゴニストは、連続的静脈内注入によって低投薬量で投与できる。患者が長期的な看護を必要とする別の例において、TLR4アンタゴニストは断続的に投与できる(例えば、12〜24時間毎)。このアプローチのバリエーションにおいて、開始またはローディング用量の次に、ローディング用量よりも少ない(例えば、半分の)維持用量、または連続注入を続けることができる。このような治療の期間は、例えば、状態の重篤度および改善の観察等の要因に基づいて、当業者によって決定される。
静脈内注入によって被験体にTLR4アンタゴニストを投与する場合、TLR4アンタゴニストと適合可能である装置および備品(例えば、中心静脈カテーテルまたは末梢静脈カテーテルなどのカテーテル、チュービング、ドリップチャンバー、フラッシュバックバルブ、注射Y部位、ストップコック、および注入バッグ)が使用できる。
TLR4アンタゴニストが投与される被験体は、それらの細胞膜上にTLRを発現する哺乳動物を含むことができる。より詳細には、これらの被験体は、角膜上皮細胞、マクロファージ、および好中球の膜上にTLRを発現する哺乳動物である。
本発明の方法に従って治療される被験体には角膜炎症を有するものが含まれる。加えて、角膜炎症を有さないが、角膜炎症を発症するリスクがある被験体が、本発明の方法に従って治療できる。後者の被験体のグループにおいて、この治療は、被験体における角膜炎症の発症を阻害または予防することができる。
本発明の1つの態様において、本明細書に記載される方法によって治療される角膜炎症は、ブドウ膜炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、眼または眼科的手術(例えば、角膜手術)、眼内炎、虹彩炎、萎縮性黄斑変性、網膜色素変性、医原性網膜症、網膜裂傷および網膜裂孔、類嚢胞黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜静脈および網膜動脈の閉塞、視神経症、滲出性黄斑変性、血管新生緑内障、角膜血管新生、毛様体炎、鎌状赤血球網膜症、および翼状片などの眼の疾患または眼科的障害、ならびに辺縁潰瘍などのコンタクトレンズ着用誘導性の状態に関連する。本発明のより特定の態様において、これらの方法は、微生物感染に関連する角膜炎症を治療するために使用されてもよい。1つの特定の例において、角膜炎は、グラム陰性細菌Pseudomonas aeruginosaおよびSerratia marcesans、ならびにS.aureus、S.epidermidis、およびCorynebacterium種(P.acnes)を含むグラム陽性細菌などの種々の微生物感染によって引き起こされる可能性がある。従って、本発明の1つの態様において、被験体において阻害される角膜炎症は、細菌性角膜炎に関連する角膜炎症である。
本発明の別の態様において、本明細書に記載される方法は、真菌性角膜炎に関連する角膜炎症を治療するために使用できる。より詳細には、本発明の方法は、例えば、Fusarium、Penicillium、Aspergillus、Cephalosporium(Acremonium)、Trichophyton、Microsporum、Epidermophyton、Scopulariopsis、およびCandidaを含む真菌属に関連する角膜炎症を治療するために使用できる。
本発明の別の態様において、本明細書に記載される方法は、コンタクトレンズまたは角膜表面のいずれからも生きている生物が回収されない無菌性角膜炎症を治療するために使用できる。より詳細には、本発明の方法は、コンタクトレンズ着用に関連する被験体における角膜炎症を治療するために使用できる。これらの症候群には、コンタクトレンズ関連角膜浸潤(CLACI)、コンタクトレンズ関連充血(CLARE)、コンタクトレンズ周辺潰瘍(CPLU)を含み得るがこれらに限定されない。無菌性浸潤および感染性浸潤は、通常、しかし、常にではなく、当業者によってスリットランプ試験によって区別できる。
なお別の実施形態において、本明細書に記載されるTLR4アンタゴニストは、さらなる治療剤を伴う組み合わせ治療の一部として投与できる。「組み合わせ治療」または「併用治療」という語句は、治療剤の同時作用による有益な効果を提供するよう意図する、TLR4アンタゴニスト、ならびに特定の治療レジメンの一部としての1種以上の治療剤の投与を包含する。組み合わせにおけるこれらの治療剤の投与は、典型的には、所定の期間(選択される組み合わせに依存して、通常、数分間、数時間、数日間、または数週間)にわたって実行される。「組み合わせ治療」または「併用治療」は、各治療剤が異なる時間に投与される、連続する様式でのこれらの治療剤の投与、ならびに実質的に同時の様式でのこれらの治療剤、または少なくとも2種の治療剤の投与を包含することを意図する。実質的に同時の投与は、例えば、固定比率の各治療剤を有する個々の用量、または治療剤各々についての複数の個別の用量で、被験体に投与することによって、達成できる。各治療剤の連続的投与または実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を通しての直接吸収を含むがこれらに限定されない、任意の適切な経路によってもたらすことができる。治療剤は、同じ経路または異なる経路を通して投与できる。治療剤が投与される順番は厳密に限定されない。
例えば、組み合わせ治療は、角膜炎症を治療するために、抗菌剤、抗ウイルス剤、または抗真菌剤の少なくとも1つとともにTLR4アンタゴニストを投与することを含むことができる。抗菌剤の例には、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)感染のためのバンコマイシンで強化されたゲンタマイシン、第4世代フルロキノリン様モキシフロキサシンまたはガチフロキサシン、セファゾリンまたはバンコマイシン、およびフルオロキノリンが含まれる。1つの特定の例において、組み合わせ治療は、TLR4アンタゴニスト、および眼科用抗生物質または眼科用抗ウイルス剤の少なくとも1つを含む。眼科用抗生物質には、例えば、コハク酸クロラムフェニコールナトリウム眼科用(クロラムフェニカール);コルチスポリン(CORTISPORIN)(ネオマイシンおよびポリミキシン βサルフェートおよびヒドロコルチゾンアセテートクリーム);イロチシン(ILOTYCIN)(エリスロマイシン眼科用軟膏);ネオデカドロン(NEODECADRON)(ネオマイシンサルフェート−デキサメタゾンナトリウムホスフェート);ポリトリム(POLYTRIM)(トリメトプリムおよびポリサイキシンβサルフェート眼科用溶液);テラ−コートリル(TERRA−CORTRIL)(オキシテトラサイクリンHCLおよびヒドロコルチゾンアセテート);テラマイシン(TERRAMYCIN)(オキシテトラサイクリン);およびTOBRADEX(トブラマイシンおよびデキサメタゾン眼科用懸濁液および軟膏)が含まれる。
眼科用抗ウイルス剤には、例えば、VIRA−A眼科用軟膏(ビダラビン)が含まれる。眼科用キナロンには、例えば、キブロキシン(CHIBROXIN)(ノルフロキサシン眼科用溶液);シロキサン(CILOXAN)眼科用溶液、(シプロフロキサシンHCL);およびオクフロックス(Ocuflox)眼科用溶液(オフロキサシン)が含まれる。眼科用スルホンアミドには、例えば、ブレファミド(BLEPHAMIDE)眼科用軟膏(スルフアセトアミドナトリウムおよび酢酸プレドニゾロン);およびブレファミド(BLEPHAMIDE)眼科用懸濁液(スルフアセトアミドナトリウムおよび酢酸プレドニゾロン)が含まれる。抗真菌剤には、例えば、ナタマイシンおよびアムホテリシンBが含まれる。
本明細書はさらに、被験体の角膜におけるTLR誘導性炎症性応答を治療する方法に関する。この方法は、治療有効量のTLR4アンタゴニストを被験体に投与する工程を包含する。本発明の1つの態様において、TLR誘導性炎症性応答の治療は、被験体の角膜への細胞浸潤の阻害を含むことができる。より特定には、TLR誘導性炎症性応答の治療は、被験体の角膜基質への好中球浸潤の阻害を含むことができる。
本発明の別の態様において、TLR誘導性炎症性応答の治療は、インターロイキン−8(IL−8)の阻害などのCXCケモカイン分泌の阻害を含むことができる。IL−8は、好中球が血流を離れ、かつ周囲の組織に入ることができるように誘導することができるCXCケモカインである。角膜で産生され、かつ好中球活性を有する他のCXCケモカインには、CXCL1、CXCL2、CXCL5が含まれ、これらはまた、本発明の方法による標的となり得る。
本発明は、被験体における角膜炎症を治療するためのコンタクトレンズにもまた関する。このコンタクトレンズは、コンタクトレンズ基材、およびその基材上の少なくとも一部分に提供されるコーティングを備える。このコーティングは、被験体へのコンタクトレンズの装着の際に、被験体における角膜炎症を治療するために有効な量のTLR4アンタゴニストを含むことができる。
TLR4アンタゴニストを含むコーティングは、当該分野において公知である多数のコンタクトレンズ基材材料に適用できる。光学的に透明であるという条件で、コンタクトレンズに構築できる当該分野において公知である実質的に任意の基材が本発明において使用できる。
本発明の1つの態様において、基材は、長期的な角膜の健康のために十分である量の酸素が角膜に到達することを可能にする、光学的に透明な材料を含むことができる。基材の例には、シリコーン共重合体、共重合体(interpolymers)、オリゴマー、およびマクロマーなどの疎水性材料から作られたポリマーが含まれる。例証的なポリシリコーンは、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチル−コ−ビニルメチルシロキサンである。他のシリコーンには、Beckerによる米国特許第3,228,741号に記載されたシリコーンラバー;Burdickらによる米国特許第3,341,490号に記載されたものなどのブレンド;およびPolmanteerによる米国特許第3,518,324号に記載されたようなシリコーン組成物が含まれる。米国特許第4,136,250号;同第5,387,623号;同第5,760,100号;同第5,789,461号;同第5,776,999号;同第5,849,811号;同第5,314,960号、および同第5,244,981号に記載された基材もまた本発明で使用できる。メチルグルコースのプロポキシレートおよびプロピレンオキシドおよびHEMAベースのハイドロゲルの架橋ポリマーもまた、コンタクトレンズの基材として使用できる。
本発明のコンタクトレンズを形成する際に使用できるシリコーン組成物は、ヒドロシリル化、同時縮合の手段により、または、参照により本明細書に援用される米国特許第4,143,949号においてChenによって記載されたようなフリーラジカル機構によって、架橋シロキサンプレポリマーによって得られた架橋ポリシロキサンである。さらなるシリコーンベースの基材は、α,ω−ビスアミノプロピル(bisamionpropyl)ポリジメチルシロキサン、およびグリシジルメタクリレートの架橋ポリマーである架橋ポリマーである。本発明によって意図されるシリコーン組成物はまた、次に他のモノマーと重合して最終基材を与えるマクロマーを形成するために、基移動重合(GTP)触媒の存在下で、1つ以上のシリコーンモノマーとメタクリレートを合わせることから作られる。基移動(GTP)ポリマーを作製するために使用できる開始剤、反応条件、モノマー、および触媒は、O.W.Websterによる「Group Transfer Polymerization」、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering Ed.所収(John Wiley & Sons)p.580、1987に記載されている。米国特許第6,951,894号に記載されている基材もまた、本発明における使用のために適切である。
コーティングは、水溶液、懸濁液、またはコロイドとして調製および適用でき、次いで、基材と接触したコーティングを提供できる任意のプロセスに従って、コンタクトレンズ基材に適用される。例えば、基材にコーティングを適用するためのプロセスには、浸漬、吹き付け、はけ塗り、およびスピンコーティングが含まれる。一旦、レンズ基材がコートされると、それは、コンタクトレンズの製造において実施される任意の数のさらなる工程に供されてもよい。これらは、例えば、膨潤工程および洗浄工程、界面活性剤などの添加物の添加、抽出工程などを含むことができる。
TLR4アンタゴニストを含むコーティングは、例えば、共有結合もしくはイオン結合などの化学結合、または物理的結合によってコンタクトレンズに接着できる。ある態様において、このコーティングは、その有用な製品寿命(例えば、保存時間プラスそれが使用者の眼と接触している時間)を通して、レンズ基材に固定されたままであり得る。
このコンタクトレンズはまた、1つより多くのコーティング層を含むこともできる。このことは、コーティング層が必要な表面特性(例えば、角膜炎症の治療)を提供するが、レンズ基材それ自体とは特に適合性ではない場合に好ましくあり得る。例えば、結合層またはカップリング剤が使用でき、コーティングを基材に付着させる。適合性のレンズ基材、TLR4アンタゴニストコーティング、および結合層(必要な場合)の材料の選択は、十分に当業者の知識の範囲内にある。
本発明の態様において、コンタクトレンズは、被験体の角膜炎症の治療を提供しながら、被験体の角膜または他の組織に対して非毒性である。
本発明は、被験体における角膜炎症を治療するための眼科用溶液にもまた関する。この溶液は水溶液であり得、上記のようなTLR4アンタゴニストを含む。角膜炎症の治療において使用できる有用な溶液の例には、多目的レンズ溶液、眼科用すすぎ溶液、眼用途のための外科用スクラブ、点眼薬、眼洗浄液、コンタクトレンズ溶液、市販の局所用眼および眼周囲溶液(すなわち、人工涙液)、眼および眼周囲洗浄溶液、眼注水溶液、および/または外科用スクラブもしくは局所適用のための抗菌溶液などの眼瞼および/または眼と接触する溶液が含まれる。
ある態様において、TLR4アンタゴニストは、角膜炎症を治療するために市販のコンタクトレンズ溶液または多目的レンズ溶液に加えられてもよい。他の態様において、TLR4アンタゴニストは、角膜炎症を治療するために市販されているのではない、コンタクトレンズ溶液または多目的レンズ溶液としての使用のために調製された水溶液に加えられてもよい。
眼科用溶液が洗浄液を含むある態様において、洗浄液は、レンズのフィルム状沈着物および表面細片を効果的に洗浄するための洗浄剤を含むことができる。使用することができる洗浄剤の例には、ポロキサマーおよびポリ(オキシチレン(oxythylene))親水性単位を含むtetronic界面活性剤が含まれる。すべての実施形態において、洗浄剤は非毒性であり、角膜炎症について治療される被験体の視覚を歪めない。
他の態様において、TLR4アンタゴニストは、従来的な眼科用溶液において見い出される等張剤および緩衝剤に加えられてもよい。等張剤の例には、デキストロース、塩化カリウム、および/または塩化ナトリウムが含まれる。緩衝剤の例には、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびリン酸カリウムが含まれる。
加えて、多目的レンズ溶液などの従来的な眼科用溶液において見い出される抗菌剤が加えられてもよい。この溶液中での使用のための抗菌剤には、例えば、ポリアミノプロピルビグアニド、塩酸アレキシジン、ポリクアテニウム−1、ポリクアテニウム42、ミリストアミドプロピルジメチルアミン、または当業者に公知であるその他の剤が含まれる。
ある態様において、この溶液は、被験体のコンタクトレンズの水和および潤滑を提供するために、快適または保湿剤をさらに含んでもよい。このような剤には、例えば、ポリクアテニウム10、ポロキサマー、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)または当業者に公知であるその他の剤が含まれる。
ある態様において、この溶液は眼瞼および/または眼に局所投与されるように意図されているので、この溶液は、病原体生物が含まれておらず、および/または無菌性であることが企図される。無菌溶液の利点は、これが被験体の眼瞼および/または眼に夾雑物を導入する可能性を減少させることである。無菌性または適切な抗微生物性の保存は、本発明のこの溶液の一部として提供されてもよい。ある態様において、これらの溶液は無菌条件下で製造される。
無菌化に加えて、または無菌化の代わりに、TLR4アンタゴニストの水溶液は、微生物夾雑の可能性を最小化するために、生理学的に受容可能な保存剤を含んでもよい。生理学的に受容可能な保存剤は、溶液の安定性を増加させるために、本発明の溶液中で使用されてもよい。保存剤には、例えば、ポリアミノプロピルビグアニド、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリクアテニウム−1、ミリストアミドプロピル、およびソルビン酸が含まれる。
本発明は、特許請求の範囲を限定することを意図しない、以下の実施例によってさらに例証される。
以下の実施例において、C57BL/6マウス角膜は擦過され、LPSまたはTLR2リガンドPam3Cysを用いる刺激の前またはその後に、エリトラン四ナトリウムまたはプラセボで処理された。阻害および刺激の期間の全体を通して、ソフトコンタクトレンズからの2mm直径のパンチを使用して角膜表面を覆った。角膜浸潤物は、インビボ共焦点顕微鏡法(CONFOSCAN)によって検出し、好中球については免疫組織化学によって検出した。LPSおよびPam3Cys刺激されたヒト角膜上皮細胞(HCEC)、マクロファージ、および好中球によるIL−8産生に対するエリトラン四ナトリウムの効果もまた評価した。
以下の実施例において例証されているように、本発明者らは、エリトラン四ナトリウムが、LPS(TLR4)を用いる刺激に応答した、角膜におけるCXCケモカイン産生および角膜浸潤物、特に、好中球の発生を顕著に阻害するが、Pam3Cys(TLR2)を用いる刺激については阻害しないことを観察した。エリトラン四ナトリウムがLPS刺激の後に適用された場合、好中球浸潤は顕著に阻害されたが、より高濃度が必要であった。さらに、TLR4刺激されたHCEC、マクロファージ、および好中球細胞系統によるIL−8産生もまた顕著に減少したが、TLR2刺激されたものは減少しなかった。
本発明者らは、エリトラン四ナトリウムが、炎症性応答の誘導後に与えられた後でさえ、コンタクトレンズに関連するLPS誘導性角膜浸潤物の高度に有効なアンタゴニストであることもまた観察した。TLR4に特異的であったが、エリトラン四ナトリウムは、いくつかの細胞型において、LPS誘導性IL8産生を阻害することがここで示される。
実施例1:エリトラン四ナトリウムの調製
エリトラン四ナトリウムまたはプラセボは、Eisai Research Institute,Andover,MAから入手し、エンドトキシンフリー水(Sigma;UK)で1.1mg/mlに再構成した。このストック試薬を分注し、−80℃で保存した。サンプルは超音波処理し、その後、各実験で述べられた濃度まで希釈した。
実施例2:細胞系統およびインビトロ刺激
SV−40をトランスフェクトしたヒト角膜上皮細胞系統(HCE−T)はATCCから入手した。刺激前に、HCE細胞は48ウェルプレートにプレートし、一晩、上皮増殖因子飢餓状態にした。HCE細胞はLPSに応答するために外因性MD−2を必要とするので、超高純度LPS(TLR4特異的、Escherichia coli K12,Invivogen;San Diego,CA)を用いる刺激の前に、200ng/ml組換えヒトMD−2(R&D Systems,Minneapolis,MN)とともに1時間インキュベートした。HCE細胞はまた、MD−2の非存在下でPam3CysK4(EMC Microcollections,Germany)とともにインキュベートした。
U937マクロファージ−細胞系統は、10% FBSを含むRPMI培地(GIBCO)中で培養し、5×10細胞/ウェルを96ウェルプレートに加えた。ヒト好中球様細胞系統(HL−60)を、10% FBSを含むRPMI中で維持し、1.2% DMSO中で5日間インキュベートして、好中球表現型を生成した。
すべての細胞はエリトランまたはプラセボとともにインキュベートし、続いて、各細胞系統のために最適な濃度(結果に記す)でLPSまたはPam3CysK4を用いる刺激を行った。3時間後、無細胞上清を収集し、CXCL8/IL−8をELISA(R&D Systems)によって測定した。
結果を図2、3、および14〜19に示す。
実施例3:コンタクトレンズ角膜炎症のマウスモデル
C57BL/6マウス(6〜8週齢)をThe Jackson Laboratory (Bar Harbor,ME)から入手した。マウスは0.4ml 2,2,2−トリブロモエタノール(TBE)の腹腔内注射によって麻酔した。本発明者らの以前の研究に記載したように、26ゲージ針を使用して、角膜上皮において3つの平行した擦過傷を作製した。各実験について示された濃度のエリトラン四ナトリウムまたはプラセボを局所的に加え、通常のコンタクトレンズ(LOTRAFILCON A;CIBA VISION)からの2mm直径のパンチを角膜表面に加えた(図1を参照のこと)。さらに1時間後、レンズを手早く取り外し、2μl LPS(20mg/ml)またはPamCys(5mg/ml)を角膜表面に配置した。次いで、コンタクトレンズボタンを交換し、さらに1時間後、レンズを取り外し、マウスを麻酔から回復させた。ある実験においては、アゴニストおよびアンタゴニストの順番を逆にするか、または両方を同時に与えた。
実施例4:Pseudomonas aeruginosa誘導性角膜炎症
Pseudomonas aeruginosa株ATCC 19660はATCCから直接入手し、−80℃にてストック中に維持した。細菌はトリプシンダイズブロス(TSB)中で一晩(18時間)増殖させ、これらの静止培養の分注を1:100に希釈し、OD650=0.2(1×10CFU/mL)までTSB中で増殖させた。細菌は遠心分離し、PBS中で洗浄し、そして0.3% トブラマイシン(Sigma−Aldrich)含有PBS中で2×10細菌/mLに再懸濁した。細菌の死滅はTSB寒天培地上での増殖の非存在によって確認した。角膜を、3つの平行したひっかき傷によって擦過し、1×10個の菌体を含む5μL細菌懸濁液を角膜表面上に配置し、前述のように、シリコンハイドロゲルコンタクトレンズ(Lotrafilcon;Ciba Vision)からの2mm直径パンチによって覆った。
実施例5:角膜の厚みおよびかすみのインビボ共焦点顕微鏡分析
細胞浸潤のインビボ分析はNIDEK CONFOSCANを使用して行った。マウスは麻酔しかつ固定し、そして角膜は、媒体として透明ゲル(Genteal,Novartis Ophthalmics,Duluth,GA)とともに40×対物レンズを使用して調べた。全体の角膜の一連の画像はNAVISソフトウェアを使用して取り込み、基質の厚さ(表皮基底と角膜内皮の間の領域)をNAVISソフトウェアを使用して直接測定した。全体の浸潤物(角膜のかすみと呼ばれる)を測定するために、角膜基質の各1〜2μm画像の光強度の読み取りをPrism(Graph Pad Software,San Diego,CA)にエクスポートし、次いで、曲線下の総面積を以前に記載されたように計算した(Sun Yら、Infection and immunity 2006;74:5325−5332;Johnson ACら、Invest Ophthalmol Vis Sci 2005;46:589−595)。
実施例6:免疫組織化学
眼は液体窒素で瞬間的に凍結させ、5μm切片を、1% ウシ胎仔血清/TBS(1%FCS/TBS)中2μg/mlに希釈した抗好中球抗体NIMP−R14とともに2時間インキュベートした。洗浄後、角膜切片は、ストックから1%FCS/TBSで1:200希釈されたFITC結合体化ウサギ抗ラット抗体(Vector Laboratories,Burlingame,CA)とともにインキュベートした。スライドをDAPI(Vector Laboratories)を含むVectashieldで封入し、各切片における好中球の数を蛍光顕微鏡によって調べ、直接計数によって定量した。
実施例7:アポトーシスアッセイ
インビトロでの細胞の生存度はトリパンブルーによって測定した。角膜切片は、製造業者(Roche,Penzberg,Germany)の説明書に従って、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介dUTPニック末端標識(TUNEL)試薬とともにインキュベートし、角膜におけるTUNEL陽性細胞の数は蛍光顕微鏡法によって定量した。
実施例8:統計学
統計学的分析は、対応のないt検定(Prism;Graph Pad Software,San Diego,CA)を使用して実施した。0.05未満のp値を有意であると見なした。
実施例9:角膜におけるLPS誘導性CXCケモカイン産生に対するエリトラン四ナトリウムの効果
LPS誘導性角膜炎症におけるエリトラン四ナトリウムの役割は、実施例3に記載したコンタクトレンズ角膜炎症のモデルを使用して決定した。手短に述べると、C57BL/6マウスの角膜は、3つの平行したひっかき傷によりその表面を擦過した。2μlの350mg/mlエリトランまたはプラセボを局所的に加え、ソフトコンタクトレンズからの2mm直径パンチを、図1に示すのと同様に角膜表面上に配置した。1時間後、レンズを取り外し、2μl LPS(20mg/ml)またはPamCys(5mg/ml)を局所的に加え、そしてレンズを交換した。1時間後、レンズを取り外し、そして3時間後(刺激の4時間後)、角膜を解剖し、ホモジナイズし、そしてCXCL1/KCをELISAによって測定した。
図2は、LPS刺激した角膜におけるCXCL1/KCが、プラセボと比較してエリトランによって有意に阻害されたことを示す(p=0.003)。しかし、LPS(およびプラセボ)の存在下で、CXCL1/KCは有意に上昇した。しかし、角膜がLPSの前にエリトラン四ナトリウムで前処理された場合には、ケモケイン産生は除去され、このモデルにおけるエリトラン四ナトリウムの拮抗的効果を実証する。
本発明者らは、エリトラン四ナトリウムの特異性を決定するために、Pam3Cysでの刺激の前にエリトラン四ナトリウムで角膜を処理した。図3は、PamCys刺激角膜におけるCXCL1/KCにおいて、エリトランとプラセボの間で違いがなかったことを示す。この実験は、群あたり5匹のマウスを用いた2回の反復実験のうちの代表的なものである。
実施例10:角膜基質の細胞浸潤に対するエリトラン四ナトリウムの効果
Pam3Cys/TLR2誘導性角膜炎症に対してエリトラン四ナトリウムの効果はなく(図2、下のパネル)、このアンタゴニストの選択的効果をさらに実証した。
実施例11:中心角膜基質への細胞浸潤に対するエリトラン四ナトリウムの効果
細胞浸潤に対するエリトラン四ナトリウムの効果を決定するために、角膜を擦過し、エリトラン四ナトリウムまたは上記の実施例3に記載されるようなコンタクトレンズを用いるプラセボで処理した。2時間後、コンタクトレンズを取り外し、好中球浸潤のピークである24時間後、角膜はインビボ共焦点顕微鏡法(CONFOSCAN)によって調べ、中心角膜の画像を取り込んだ。インビボ共焦点顕微鏡法画像は図4に示す。図4の画像は、LPS単独でまたはプラセボの存在下のいずれかでの、コンタクトレンズに付随するLPSへの曝露の24時間後に、未処理マウスの角膜においては浸潤細胞が存在しないのに対して、LPS処理角膜は中心角膜基質(小さな明るい反射性の細胞として検出される)において強烈な細胞浸潤を示したことを示す。極めて対照的に、本発明者らは、LPSの前にエリトラン四ナトリウムで処理した角膜は、中心角膜基質中における最小限の細胞浸潤を示したことを観察し、このことは、エリトラン四ナトリウム前処理が、この角膜炎症のモデルにおいて角膜基質への細胞浸潤を阻害することを示す。
実施例12:LPS誘導性コンタクトレンズ関連好中球動員および角膜のかすみの発生に対する、エリトラン四ナトリウムを用いる前処理の効果
角膜は、上記の実施例3において議論されるように、そして図1において示されるように、コンタクトレンズ角膜炎症のモデルを使用して処理した。次いで、本発明者らは、24時間後に、実施例4に従う角膜基質における反射率を測定することによって、角膜への細胞浸潤物に対するエリトラン四ナトリウムの阻害効果を定量した。前方から後方までの基質の各1μm切片を、光反射率について測定した。これらの測定を使用して曲線を生成した。曲線の下の面積は総浸潤物を表している。次いで、角膜切片あたりの好中球の数を直接計数した。
図5および6は、擦過されかつコンタクトレンズ単独とインキュベートされた角膜が、切片あたり約50個の好中球を有していたのに対して、LPS処理角膜では300個好中球/角膜切片よりも多かった。LPSの前にエリトラン四ナトリウムの局所適用を与えたマウスは、用量依存的な好中球数の減少を示し、50%まで好中球数を減少させるためには0.35mg/mlが必要であった。外傷対照(Tr)は、生理食塩水にのみ曝露され、コンタクトレンズとともに2時間インキュベートした擦過された角膜であった。エリトランとプラセボの間の有意な違い(p<0.05)はアスタリスクによって示される。反復実験は、0.35mg/mlが最小阻害濃度であったことを示した。
図7および8は、Pam3Cysで刺激された角膜における好中球浸潤および反射率を示す。TLR2活性化は、好中球浸潤および角膜のかすみの発生を誘導した。最高濃度のエリトラン四ナトリウムでの前処理は、好中球浸潤または総反射率のいずれに対しても効果がなかった。まとめると、これらの知見は、エリトラン四ナトリウムは、TLR4誘導性角膜炎症に対して用量依存的なアンタゴニスト効果を有するが、TLR2誘導性角膜炎症に対しては有さないことを実証する。
実施例13:LPS誘導性角膜炎症後に適用されたエリトラン四ナトリウムの効果
エリトラン四ナトリウムは応答が開始した後で角膜炎症を阻害できるか否かを決定するために、上記のように、角膜を擦過し、LPSで刺激した。本発明者らは、LPS刺激の1時間後にエリトラン四ナトリウムを加えた。このプロトコールは、エリトラン四ナトリウムで前処理したマウスと、エリトラン四ナトリウムおよびLPSを同時に与えたマウスのいずれかを用いて並行して実施した。好中球浸潤および角膜のかすみは以前と同様に試験し、結果は図9〜12に示す。
図9および10は、LPS誘導性好中球浸潤および角膜のかすみはプラセボと比較してすべてのエリトラン四ナトリウム群において有意に減少したことを示し、このことは、炎症応答が開始した後でさえ、拮抗作用は有効なままであることを示す。ある実験において、エリトラン四ナトリウムは、3時間後に再度適用したが(コンタクトレンズがもはや存在しないとき)、しかし、これと単独のエリトラン四ナトリウム処理の間で有意な違いはなかった。図11および12は、LPS刺激後の治療用エリトラン四ナトリウムについての用量応答を示す。アスタリスクは、エリトランとプラセボの間で有意な違い(p<0.05)を示す。好中球数は各プロトコールにおいて有意に低いのに対して、1.1mg/mlより低い濃度は有意な効果を示さなかったことは注目すべきことである。これらの実験は3回反復して同様の結果であった。
実施例14:角膜上皮におけるアポトーシスに対するエリトラン四ナトリウムの効果
実施例7における実験は、エリトラン四ナトリウムが角膜上皮に対するアポトーシス誘発効果があるか否かを決定するために実施した。マウスは、上記のようにLPSの前に2.2μg エリトラン四ナトリウムで前処理し、眼は急速冷凍した。本発明者らは、アポトーシス細胞を同定するために、5μmの角膜切片上でTUNELアッセイを使用した。総細胞はDAPIを使用して同定した。図13に示されるように、本発明者らは、LPSの存在下または非存在下のいずれかでエリトラン四ナトリウムで処理した角膜上皮においてTUNEL陽性細胞は観察できなかった。本発明者らは、単独でまたはプラセボを伴うかのいずれかでLPS処理した角膜の角膜基質においてTUNEL陽性細胞を検出し、これは好中球の存在と一致している(示さず)。これらの観察は、このモデルにおいて、エリトラン四ナトリウムのアポトーシス誘発効果は存在しないことを示す。
実施例15:ヒト角膜上皮細胞、マクロファージ、および好中球によるLPS誘導性IL−8産生に対するエリトラン四ナトリウムの効果
実施例10はエリトラン四ナトリウムがインビボで阻害的役割を有することを示したので、次に、本発明者らは、角膜における特定の細胞型によるLPS誘導性のCXCケモカインIL−8の産生に対するエリトラン四ナトリウムの効果を試験した。通常の哺乳動物角膜上皮は、TLRリガンドに応答できる角膜上皮細胞の外部多層、常在するマクロファージおよびTLRを発現する樹状細胞、ならびに好中球を含む。本発明者らは代表的な細胞系統を利用した。
ヒト角膜上皮細胞(HCE−T)、マクロファージ(U937)、および好中球(HL−60)から誘導した細胞系統は、エリトラン四ナトリウムまたはプラセボの存在下で、LPSまたはPam3Cysで刺激させた。3時間後(U937細胞およびHL−60細胞)または24時間後(HCE−T 細胞)、培養上清中のIL−8レベルはELISAによって定量した。図14は、HCE−T細胞が、0.2μg/mlの外因性MD−2(LPSに対するHCE応答のために必須である)の存在下で900ng/ml LPS、および示された濃度のエリトランまたはプラセボとともにインキュベートされたことを示す。反応しなかった対照には、MD−2単独(M)、プラセボ単独(P)、エリトラン単独(E)、MD−2非存在下でのLPS(L)が含まれる。図15は、同様の条件下で、500ng/ml PamCysとともにインキュベートした角膜上皮細胞を示す。図16および17は、エリトランまたはプラセボの存在下での10ng/ml LPSまたは500ng/ml PamCysで刺激されたマクロファージを示す。図18および19は、1ng/ml LPSまたは500ng/ml PamCysおよびエリトランまたはプラセボで刺激された好中球を示す。LPS濃度は、最適なIL−8産生を示す予備的データに基づいた。LPSについて各細胞型のエリトランによる用量依存的阻害であるが、PamCys刺激細胞ではないことは注目すべきことである。グラフはサンプルあたり3つのウェルの平均+/−SEMである。実験は3回反復し、同様の結果であった。
図14〜19は、各細胞型がLPSに応答してIL−8を産生したことを示す。さらに、エリトラン四ナトリウムは、用量依存的に、LPS誘導性IL−8産生を阻害したのに対して、Pam3Cys誘導性応答に対しては効果がなかった。マクロファージおよび好中球細胞系統は高レベルのIL−8を産生し、これは、1ng/mlエリトラン四ナトリウムによって阻害された。対照的に、外因性MD−2の存在下でのみLPSに対して応答するヒト角膜上皮細胞は、より少ないIL−8を産生し、阻害するためにより高用量のエリトラン四ナトリウムを必要とした。
実施例16:抗生物質で死滅されたP.aeruginosaによって誘導される角膜炎症はTLR/4MD−2依存性であり、エリトラン四ナトリウムによって阻害される
P.aeruginosaは、コンタクトレンズ関連細菌性角膜炎の主要な原因であるので、本発明者らは、P.aeruginosa誘導性角膜炎症のモデルにおけるエリトラン四ナトリウムの効果もまた調べた。本発明者らは、熱によるまたはトブラマイシンとの短時間のインキュベーション後のいずれかで死滅したP.aeruginosaによって誘導される角膜炎症において違いがないことを見い出した(データ示さず)。P.aeruginosa誘導性角膜炎症におけるTLR4およびMD−2の役割を決定するために、本発明者らは、細菌を死滅させるために(プレーティングの後で確認)P.aeruginosaをトブラマイシン中で30分間インキュベートし、1×10個の菌体を含む2μl細菌懸濁液(抗生物質の存在下)を、C57BL/6、TLR4−/−、およびMD−2−/−マウスの擦過された角膜表面に加えた。細菌は、シリコンハイドロゲルコンタクトレンズからの2mm直径パンチで2時間覆った。24時間後、角膜炎症を調べた。図20〜22は、P.aeruginosa処理されたC57BL/6マウスの角膜が角膜基質への顕著な好中球浸潤を有したことを示す;しかし、好中球浸潤、角膜の厚さおよび角膜のかすみは、C57BL/6マウスの角膜と比較して、TLR4−/−およびMD−2−/−マウスの角膜において有意に低かった。同様の結果はLPSについても見い出された(示さず)。
図23〜25は、エリトラン四ナトリウムの存在下で(2μL HO中2.2μg エリトラン四ナトリウム)、トブラマイシンで死滅されたP.aeruginosaが角膜に加えられたときに、角膜炎症のこれらのマーカーの各々が、プラセボと比較して有意に阻害されたことを示す。これらの知見は、抗生物質で死滅したP.aeruginosaによって誘導される角膜炎症がTLR4/MD−2依存性であり、エリトラン四ナトリウムによって阻害できることを示す。
本発明の上記の説明から、当業者は、改良、変更、および改変することができる。当業者の範囲内にあるこのような改良、変更、および改変は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。本願中のすべての参考文献、刊行物、および特許は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。

Claims (42)

  1. 被験体における角膜炎症を治療するために、治療有効量のTLR4アンタゴニストを被験体に投与する工程を包含する、被験体における角膜炎症を治療する方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記TLR4アンタゴニストが式(I)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、Rが:
    からなる群より選択され、
    各J、K、およびQは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;LはO、NH、またはCHであり;MはOまたはNHであり;ならびにGはNH、O、S、SO、またはSOであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C18アシル、
    からなる群より選択され、
    ここで、EはNH、O、S、SO、またはSOであり;各A、B、およびDは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C4〜C20アルキルおよび
    からなる群より選択され、ここで、各UおよびVは、独立して、直鎖または分枝鎖C2〜C15アルキルであり、ならびにWは水素または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    はRまたはR−O−CH−であり、Rは水素、J’、−J’−OH、−J’−O−K’、−J’−O−K’−OH、および−J’−O−PO(OH)からなる群より選択され、ここで、各J’およびK’は独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C5アルコキシおよびC1〜C5アシルオキシからなる群より選択され;
    およびAは、独立して、
    OH、
    からなる群より選択され、ここで、Zは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C10アルキルである、方法。
  3. 前記TLR4アンタゴニストが式(II)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルである、請求項1に記載の方法。
  4. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルを有する、請求項3に記載の方法。
  5. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    を有する、請求項3に記載の方法。
  6. 前記角膜炎症がLPS誘導性角膜炎症である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記被験体は角膜炎症を有していないが、角膜炎症を発症するリスクがある、請求項1に記載の方法。
  8. 前記被験体が角膜炎症を有する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記TLR4アンタゴニストが前記被験体に局所投与される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記TLR4アンタゴニストが前記被験体に眼科用製剤中で投与される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記角膜炎症が角膜炎に関連する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記角膜炎症が無菌性角膜炎症に関連する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記角膜炎症がコンタクトレンズ着用に関連する、請求項1に記載の方法。
  14. コンタクトレンズ着用に関連する、被験体における角膜炎症を阻害する方法であって、
    該被験体におけるコンタクトレンズ着用に関連する角膜炎症を治療するために、治療有効量のTLR4アンタゴニストを被験体に投与する工程を包含する、
    方法。
  15. 請求項14に記載の方法であって、前記TLR4アンタゴニストが式(I)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、R
    からなる群より選択され
    各J、K、およびQは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;LはO、NH、またはCHであり;MはOまたはNHであり;ならびにGはNH、O、S、SO、またはSOであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C18アシル、
    からなる群より選択され、
    ここで、EはNH、O、S、SO、またはSO;であり、各A、B、およびDは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C4〜C20アルキルおよび
    からなる群より選択され、ここで、各UおよびVは、独立して、直鎖または分枝鎖C2〜C15アルキルであり、ならびにWは水素または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    はRまたはR−O−CH−であり、Rは水素、J’、−J’−OH、−J’−O−K’、−J’−O−K’−OH、および−J’−O−PO(OH)からなる群より選択され、ここで、各J’およびK’は独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C5アルコキシおよびC1〜C5アシルオキシからなる群より選択され;
    およびAは、独立して、
    OH、
    からなる群より選択され、ここで、Zは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C10アルキルである、方法。
  16. 前記TLR4アンタゴニストが式(II)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルである、請求項14に記載の方法。
  17. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:

    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルを有する、請求項16に記載の方法。
  18. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    を有する、請求項16に記載の方法。
  19. 前記角膜炎症がLPS誘導性角膜炎症である、請求項14に記載の方法。
  20. 前記被験体は角膜炎症を有していないが、角膜炎症を発症するリスクがある、請求項14に記載の方法。
  21. 前記被験体が角膜炎症を有する、請求項14に記載の方法。
  22. 前記TLR4アンタゴニストが被験体に局所投与される、請求項14に記載の方法。
  23. 前記TLR4アンタゴニストが被験体に眼科用製剤中で投与される、請求項14に記載の方法。
  24. コンタクトレンズであって、
    基材および基材上の少なくとも一部分にコーティングを備え、該コーティングは、被験体にコンタクトレンズを装着させる際に被験体における角膜炎症を治療する際に有効である量のTLR4アンタゴニストを含む、
    コンタクトレンズ。
  25. 請求項24に記載のコンタクトレンズであって、前記TLR4アンタゴニストが式(I)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、Rが:
    からなる群より選択され、
    各J、K、およびQは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;LはO、NH、またはCHであり;MはOまたはNHであり;ならびにGはNH、O、S、SO、またはSOであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C18アシル、
    からなる群より選択され、
    ここで、EはNH、O、S、SO、またはSO;であり、各A、B、およびDは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C4〜C20アルキルおよび
    からなる群より選択され、ここで、各UおよびVは、独立して、直鎖または分枝鎖C2〜C15アルキルであり、ならびにWは水素または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    はRまたはR−O−CH−であり、Rは水素、J’、−J’−OH、−J’−O−K’、−J’−O−K’−OH、および−J’−O−PO(OH)からなる群より選択され、ここで、各J’およびK’は独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C5アルコキシおよびC1〜C5アシルオキシからなる群より選択され;
    およびAは、独立して、
    OH、
    からなる群より選択され、ここで、Zは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C10アルキルである、コンタクトレンズ。
  26. 前記TLR4アンタゴニストが式(II)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルである、請求項24に記載のコンタクトレンズ。
  27. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルを有する、請求項26に記載のコンタクトレンズ。
  28. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    を有する、請求項26に記載のコンタクトレンズ。
  29. 眼科用溶液および角膜炎症を治療するための治療有効量のTLR4アンタゴニストを含む、被験体における角膜炎症を治療するための眼科用製剤。
  30. 請求項29に記載の眼科用製剤であって、前記TLR4アンタゴニストが式(I)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、R
    からなる群より選択され
    各J、K、およびQは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;LはO、NH、またはCHであり;MはOまたはNHであり;ならびにGはNH、O、S、SO、またはSOであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C18アシル、
    からなる群より選択され、
    ここで、EはNH、O、S、SO、またはSO;であり、各A、B、およびDは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C4〜C20アルキルおよび
    からなる群より選択され、ここで、各UおよびVは、独立して、直鎖または分枝鎖C2〜C15アルキルであり、ならびにWは水素または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    はRまたはR−O−CH−であり、Rは水素、J’、−J’−OH、−J’−O−K’、−J’−O−K’−OH、および−J’−O−PO(OH)からなる群より選択され、ここで、各J’およびK’は独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C5アルコキシおよびC1〜C5アシルオキシからなる群より選択され;
    およびAは、独立して、
    OH、
    からなる群より選択され、ここで、Zは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C10アルキルである、眼科用製剤。
  31. 前記TLR4アンタゴニストが式(II)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルである、請求項29に記載の眼科用製剤。
  32. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルを有する、請求項31に記載の眼科用製剤。
  33. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    を有する、請求項31に記載の眼科用製剤。
  34. 被験体における感染性角膜炎を治療する方法であって、
    被験体における角膜炎症を治療するための治療有効量のTLR4アンタゴニスト、および抗菌剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤の少なくとも1つを被験体に投与する工程を包含する、
    方法。
  35. 請求項34に記載の方法であって、前記TLR4アンタゴニストが式(I)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルであって、ここで、Rが:
    からなる群より選択され、
    各J、K、およびQは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;LはO、NH、またはCHであり;MはOまたはNHであり;ならびにGはNH、O、S、SO、またはSOであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C5〜C18アシル、
    からなる群より選択され、
    ここで、EはNH、O、S、SO、またはSO;であり、各A、B、およびDは、独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C15アルキルであり;
    は直鎖または分枝鎖C4〜C20アルキルおよび
    からなる群より選択され、ここで、各UおよびVは、独立して、直鎖または分枝鎖C2〜C15アルキルであり、ならびにWは水素または直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    はRまたはR−O−CH−であり、Rは水素、J’、−J’−OH、−J’−O−K’、−J’−O−K’−OH、および−J’−O−PO(OH)からなる群より選択され、ここで、各J’およびK’は独立して、直鎖または分枝鎖C1〜C5アルキルであり;
    は、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C5アルコキシおよびC1〜C5アシルオキシからなる群より選択され;
    およびAは、独立して、
    OH、
    からなる群より選択され、ここで、Zは直鎖もしくは分枝鎖C1〜C10アルキルである、方法。
  36. 前記TLR4アンタゴニストが式(II)の化合物:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルである、請求項34に記載の方法。
  37. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    またはその薬学的に受容可能な塩またはリン酸エステルを有する、請求項36に記載の方法。
  38. 式(II)の前記TLR4アンタゴニスト化合物が構造:
    を有する、請求項36に記載の方法。
  39. 前記TLR4アンタゴニストが被験体に局所投与される、請求項34に記載の方法。
  40. 前記TLR4アンタゴニストが被験体に眼科用製剤中で投与される、請求項34に記載の方法。
  41. 抗菌剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤の少なくとも1つが眼科用製剤中で投与される、請求項34に記載の方法。
  42. 前記感染性角膜炎が細菌性角膜炎を含み、前記眼科用製剤が抗菌剤を含む、請求項41に記載の方法。
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