本発明は、一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0を処理してガス混合物G-Aを得ることを少なくとも含む、一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法に関し、該方法は、少なくとも溶剤混合物LM-I中にガス混合物G-0を吸着させ、オフガス流と組成物Z-Aを得て、かつ前記組成物Z-Aからガス混合物G-1を脱着して溶剤混合物LM-I’を得て、引き続きガス混合物G-Aの凝縮により一酸化二窒素を有する液体組成物Z-1とガス混合物G-Kを得ることを含む。その際、前記ガス混合物G-Kは方法に戻される。
本発明の範囲内では、ガス混合物G-Aの組成物がガス混合物G-1の組成物に相当することもできる。
従来技術からは一酸化二窒素の種々の製法ならびに精製方法が公知である。同様に、一酸化二窒素は例えばオレフィン用の酸化剤として使用できることが公知である。
WO98/25698には、酸素でのNH3の接触部分酸化により一酸化二窒素を製造する方法が開示されている。その際に、WO98/25698によれば酸化マンガン、酸化ビスマス及び酸化アルミニウムから成る触媒が使用されていて、高い選択率で一酸化二窒素を生じている。類似した触媒系は、科学論文において詳細に記載されている(Noskov et al., Chem. Eng. J. 91(2003)235-242)。US5849257によれば、同様にアンモニアの酸化による一酸化二窒素の製法が開示されている。この場合に、酸化銅−酸化マンガン触媒の存在で酸化が行われている。
WO00/01654によれば、NOxとアンモニアを含有するガス流を還元させることにより一酸化二窒素を製造する方法が開示されている。
一酸化二窒素によるオレフィン化合物のアルデヒド又はケトンへの酸化は、例えばGB649680又はこれと同等のUS2636898に記載されている。両方の文献には、原則的に適切な酸化触媒の存在で酸化を行えることが極めて一般に開示されている。
G.I.Panov et al.によるより新しい科学文献"亜酸化窒素でのアルケンの非触媒的液相酸化、1. シクロヘキセンのシクロヘキサノンへの酸化"、React. Kinet. Catal. Lett.第76巻、No.2(2002)401〜405頁及びK.A. Dubkov et al., "亜酸化窒素でのアルケンの非触媒的液相酸化、2. シクロペンテンのシクロペンタノンへの酸化"React. Kinet. Catal. Lett. 第77巻、No.1(2002)、197〜205頁には、同様に一酸化二窒素でのオレフィン化合物の酸化が記載されている。またAdv. Synth. Catal. 2004, 346, 268-274頁においてE. V.Starokon et al.による科学文献"亜酸化窒素でのアルケンのカルボニル化合物への液相酸化"にも、液相中の一酸化二窒素でのアルケンの酸化の機能的研究が含まれている。
アルケンと一酸化二窒素からのカルボニル化合物の合成は、種々の国際特許文献に記載されている。従って、WO 03/078370には、脂肪族アルケンと一酸化二窒素からのカルボニル化合物の製法が開示されている。20〜350℃の範囲内の温度及び0.01〜100atmの圧力において反応が実施されている。WO 03/078374には、シクロヘキサノンの相応する製法が開示されている。WO 03/078372によれば、4〜5個の炭素原子を有する環状ケトンが製造されている。WO03/078375によれば、この方法条件下に、7〜20個の炭素原子を有する環状アルケンから環状ケトンが製造される。WO03/078371には置換アルケンからの置換ケトンの製法が開示されている。WO04/000777には、一酸化二窒素とのジアルケン及びポリアルケンの、相応するカルボニル化合物への反応方法が開示されている。一酸化二窒素の精製はこの文献では言及されていない。
同様に、一酸化二窒素含有のオフガス流を更なる反応に使用することができることが公知である。一酸化二窒素は、種々の化学的プロセスで、特に硝酸での酸化の際に不所望な副生成物として生じ、かつシクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノールのアジピン酸への酸化の際には極めて多い。一酸化二窒素が不所望な副生成物として生じる他の例は、硝酸でのシクロドデカノン及び/又はシクロドデカノールのドデカンジカルボン酸への酸化ならびにNH3のNOへの部分的酸化である。
WO2005/030690、WO2005/030689及びWO2004/096745には、オレフィンを一酸化二窒素で酸化する方法が開示されている。すなわち、シクロドデカトリエン、シクロドデセン及びシクロペンテンの酸化が開示されている。3つの全ての文献には、他の一酸化二窒素源の他に、酸化剤として使用する前に例えば蒸留法により精製できるオフガス流を使用できることが開示されている。
一酸化二窒素を製造する際にも、またオフガス流を使用する際にもN2Oは初めに他の成分と一緒に希釈ガス混合物として生じる。これらの成分は、特殊な用途に妨げとなるものと、不活性に挙動するものに分けることができる。酸化剤として使用するために妨げとなるガスとして、特にNOx又は例えば酸素(O2)を挙げることができる。本発明の範囲内で解釈されるような"NOx"という用語は、N2Oの他に全ての化合物NaOb(aは1又は2であり、かつbは1から6の数字である)を意味する。本発明の範囲内では"NOx"という用語の代わりに、"酸化窒素"という用語も使用される。妨げとなる副生成物として、NH3及び有機酸を挙げることができる。
特殊な用途には、使用する一酸化二窒素を反応前に精製しておく事が必要である。例えば、一酸化二窒素を酸化剤として使用するために、酸素又は酸化窒素NOxのような妨げとなる副成分を除去する必要がある。
NOxを分離するための方法は、原則的に従来技術から公知である。概要は、例えばM.Thiemann et alによるUllmann’s Encyclopedia第6版、2000、Electronic Edition、Kapitel"硝酸、亜硝酸及び酸化窒素"第1.4.2.3章に挙げられている。
明細書WO 00/73202には、NOx及びO2をN2O含有ガス流から取り除く方法が記載されている。NOxは、NH3との接触還元により除去でき、かつ酸素は水素又は他の還元剤との接触還元により除去できる。しかし、この方法は生成物がNH3で汚れるという欠点を有する。酸素の著しい消費は、本来含有されている量の例えば3〜5%のN2Oの損失が認容である場合にだけ可能である。
特殊な用途のために、不活性化合物を分離することも重要である。それというのも、希釈によりN2Oとの所望の反応を遅くすることができるからである。本発明の範囲内で使用されているような"不活性ガス"という用語は、N2Oとオレフィンの反応に関して不活性のままである、すなわちN2Oとオレフィンの反応条件下に、オレフィンともN2Oとも反応しないガスを意味する。不活性ガスとして例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン、メタン、エタン及びプロパンが挙げられる。しかし、不活性ガスは空時収率を下げ得るので、減損は同様に有利であり得る。しかし、同様に二酸化炭素のような不活性ガスを含有しているガス混合物を得るのが有利であり、かつ更なる反応で直接に使用することができる。
DE2732267A1には、例えば一酸化二窒素を精製する方法が開示されていて、その際に、まず一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化炭素及び水が除去され、かつ引き続きガス混合物は40〜300barまでの圧縮及び0〜−88℃までの冷却により液化される。次にこの液化ガス混合物からは、一酸化二窒素が分離される。確かにこの方法は、N2Oの精製と濃縮を達成するが、しかし必要とされる高圧(60bar)、低温(−85℃)ひいてはこれに伴う高い投資により経済的に魅力的ではない。
US4177645には、一酸化二窒素をオフガス流から分離する方法が開示されていて、これは同様に予備精製と低温蒸留から成る。特許出願EP1076217A1には、N2Oから低沸点不純物を低温蒸留により除去する方法が記載されている。
US6505482、US6370911及びUS6387161にも一酸化二窒素の精製方法が開示されていて、その際に、それぞれ特殊なプラント内で低温蒸留が実施されている。
高圧と低温ゆえに低温蒸留は高額な装置を必要とし、これが該方法を用いる一酸化二窒素の精製を浪費し、かつ高価にしてしまう。この場合に、特に標準圧ではN2Oの融点が沸点を3Kだけしか下回らないことが妨げとなる。従って、高圧を使用しなくてはならない。
DE2040219には、一酸化二窒素の製法が開示されていて、その際に得られる一酸化二窒素は合成後に濃縮され、かつ精製されている。この場合に、DE2040219によれば、まずアンモニアの酸化により一酸化二窒素が製造されている。製造された一酸化二窒素は、酸化ガスを分離し、かつ高圧下に吸着し、引き続き減圧下に脱着して濃縮することにより精製されている。副成分は、例えば洗浄塔内でアンモニア溶液で処理することにより除去される。DE2040219によれば、ガス混合物を吸着するための溶剤として水が使用されている。
DE2040219に開示されている方法を用いれば種々の酸化窒素を分離することができるが、しかし該方法は大量の溶剤及び/又は高圧の使用を吸着に必要とする。同時に、DE2040219により開示されている方法には、更に妨げとなる成分を分離するために、もう1つの洗浄塔が必要であること開示されている。
WO2006/032502には、一酸化二窒素を含有するガス混合物の精製方法が開示されていて、該方法は、有機溶剤中で少なくともガス混合物を吸着し、引き続きガス混合物を負荷有機溶剤から脱着し、かつガス混合物の酸化窒素NOxの含有量を、ガス混合物の全体積に対して多くとも0.5体積%に調節することを含む。またWO2006/032502には、複数の吸着及び脱着工程を含んでいてよい方法が開示されている。WO2006/032502には、吸着媒体として有機溶剤だけが開示されている。
DE102005055588.5は、一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0の精製方法に関する。該方法は、有機溶剤中でガス混合物G-0を吸着させ、引き続きガス混合物G-1を負荷有機溶剤から脱着し、ガス混合物G-1を水中で吸着させ、かつ引き続きガス混合物G-2を負荷水から脱着することを少なくとも含み、かつこのような方法により得られる精製された一酸化二窒素含有ガス混合物のオレフィン用酸化剤としての使用に関する。
EP06125807.5は、一酸化二窒素を含有するガス混合物の精製方法に関し、その際、吸着と脱着は、特定のpH−値にて水性溶剤混合物中で行われている。
これらの従来技術から出発して、本発明の課題は、一酸化二窒素を含有する流を効率的かつ廉価に精製かつ濃縮できる方法を提供することにある。このように精製された一酸化二窒素は、特に酸化剤として必要とされる。
本発明のもう1つの課題は、更に処理する必要が無く、又は他の不活性化剤を添加する必要の無い、酸化剤として使用できかつ妨げとなる量の不純物を有さないガス混合物の製法の提供であった。
本発明によれば前記課題は、少なくとも次の工程:
(A)(i)溶剤混合物LM-I中にガス混合物G-0を吸着させてオフガス流と組成物Z-Aを得て、(ii)前記組成物Z-Aからガス混合物G-1を脱着し、溶剤混合物LM-I’を得る工程を少なくとも有する、一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0を処理してガス混合物G-Aを得て、
(B)前記ガス混合物G-Aの凝縮により一酸化二窒素を含有する液体組成物Z-1とガス混合物G-Kを得る
を含み、前記ガス混合物G-Kを工程(A)による処理に戻す、一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法により達成される。
本発明の範囲内で、ガス混合物G-Aの組成物はガス混合物G-1の組成物に相当することもできる。
本発明による方法は、妨げとなる成分の他に、不活性成分も部分的に分離されることが特に有利である。本発明により精製される一酸化二窒素は同時に濃縮される。しかし、本発明による方法によれば、不活性に作用する二酸化炭素は液体組成物Z-1中に少なくとも部分的に残るので、更なる不活性ガスを加えることなく、液体組成物Z-1を安全上懸念することなく酸化剤として直接に使用できる。
従って、本発明の方法を用いると安全上懸念することのない酸化剤をガス混合物として提供できる。同時に、ガス混合物G-Kを部分的に凝縮し、かつ戻すことで収率が高まる。
本発明による方法工程により、ガス混合物の液化の際に高圧及び/又は極めて低い温度を回避することができる。それというのも、本発明の戻しにより凝縮の際に高い収率を達成する必要がないからである。
本発明による方法は、工程(i)と(ii)を含む工程(A)を有する。工程(A)では、一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0を処理してガス混合物G-Aが得られる。その際に、工程(A)は少なくとも工程(i)と(ii)を含む。工程(i)により、溶剤混合物LM-I中にガス混合物G-0を吸着させ、オフガス流と組成物Z-Aが得られる。工程(ii)により、前記組成物Z-Aからガス混合物G-1を脱着して溶剤混合物LM-I’が得られる。
本発明の範囲内では、ガス混合物G-0は本発明による方法で精製される一酸化二窒素を含有するガス混合物であり、この場合に、ガス混合物G-0は一酸化二窒素の他に更なる成分を含有していてもよい。
本発明によれば、使用される一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0は、原則としていずれの起源から由来していてもよい。
本発明の範囲内で使用されているような"ガス混合物"という用語は、周囲圧力及び周囲温度で気体の状態で存在する2種以上の化合物から成る混合物を意味する。変化した温度及び変化した圧力では、該ガス混合物は他の物質状態、例えば、液体で存在してもよいが、本発明の範囲内ではガス混合物と称することにする。
本発明の範囲内では、ガス混合物又は液化ガス混合物の組成物は、特記されない限り、体積%で表示される。データは、周囲圧力及び周囲温度でのガス混合物の組成物に関する。
原則的に、本発明の範囲内では該混合物の組成物は当業者に公知の方法で決定することができる。本発明の範囲内では、ガス混合物の組成物は有利にはガスクロマトグラフィーにより決定される。しかし、紫外線スペクトロスコピー、IRスペクトロスコピー又はウェットケミカル法により決定してもよい。
ガス混合物G-0が使用される場合には、本発明による精製が可能であることが保証される限り一酸化二窒素のこの含有量は実質的に任意でよい。
該方法に関してガス混合物G-0として使用されるN2O−含有ガス混合物は、通常は2〜80体積%のN2O−含有量を有する。更に例えば、2〜21体積%のO2と30体積%までのNOxを不所望な成分として含有する。更に変化する量のN2、H2、CO2、CO、H2O、NH3を含有し、微量の有機化合物を含有していてもよい。例えば、ガス混合物G-0は9〜13体積%のN2及び5.5体積%までのNH3を含有することができる。この場合に、ガス混合物G-0の成分の合計は100体積%になる。
本発明による方法の有利な実施態様によれば、少なくとも3体積%の一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0を使用し、更に4〜60体積%の範囲内、更に有利には5〜25体積%の範囲内、特に有利には6〜18体積%の範囲内の一酸化二窒素の含有量を有するガス混合物を使用するのが有利である。
この実施態様によれば、ガス混合物G-0は6〜18体積%、特に有利には例えば7体積%、8体積%、9体積%、10体積%、11体積%、12体積%、13体積%、14体積%、15体積%、16体積%又は17体積%のN2O含有量を有するのが有利である。
ガス混合物G-0は、例えば、0.1〜7.5体積%、有利には0.5〜5体積%、特に有利には1〜2.5体積%のCO2含有量を有する。同時に、ガス混合物G-0は例えば1〜10体積%、有利には2〜7.5体積%、特に有利には例えば3.0〜6体積%のO2含有量を有する。更に、ガス混合物G-0は、50〜95体積%のN2を含有することができ、有利には60〜90体積%、特に有利には70〜85体積%のN2ならびに更なる成分、例えば一酸化二窒素又は溶剤残液を含有することができる。この場合に、NOxは0〜0.2体積%の量で、有利には0.0001〜0.15体積%、特に有利には0.0005〜0.1体積%の量で含有することができる。この場合に、ガス混合物G-0の成分の合計は100体積%になる。
本発明の有利な実施態様によれば、一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0は、化学方法のオフガスを含有している少なくとも1つの一酸化二窒素である。本発明の範囲内では、単一のプラントの少なくとも2つの一酸化二窒素を含有するオフガスが一酸化二窒素を含有するガス混合物として使用される実施態様を含む。同様に、単一のプラントの少なくとも1つの一酸化二窒素を含有するオフガスと、少なくとももう1つの更なるプラントの少なくとももう1つの一酸化二窒素を含有するオフガスが一酸化二窒素を含有するオフガス混合物として使用される実施態様も含まれる。
従って、本発明は一酸化二窒素を含有するガス混合物が、少なくとも1つの工業的方法の一酸化二窒素を含有する少なくとも1つのオフガスである上記のような方法に関する。
"一酸化二窒素を含有するガス混合物"という用語は、本発明の範囲内では、記載したオフガスを変性していない形で本発明による精製方法に課す実施態様ならびに記載したオフガスのうち少なくとも1つを変性に課す実施態様の両方を意味する。
本発明の範囲内で使用されているような"変性"という用語は、それによりガス混合物の化学組成物が変化する適切な方法を意味する。従って、"変性"という用語には特に一酸化二窒素を含有するオフガスが少なくとも1つの適切な方法により一酸化二窒素の含有量に関して濃縮されている実施態様が含まれる。オフガスに変性を加えないのが有利である。
更なる実施態様によれば、純粋な一酸化二窒素をオフガスに添加することによりオフガスの化学組成物を変化させてもよい。
使用されるN2O含有ガス混合物G-0は、例えば工業的方法からのオフガスであることができる。有利には、これは硝酸でのアルコール、アルデヒド又はケトンの酸化によりカルボン酸を製造するためのプラントのオフガスから由来する、例えば、アジピン酸プラント、ドデカンジカルボン酸プラント又はグリオキサールのプラントから由来する、上記オフガス流を反応体として使用する硝酸プラントのオフガスから、NH3を部分酸化するためのプラントのオフガスから、又はそこで製造されたガス混合物を使用するプラントのオフガスから、例えば、ヒドロキシルアミンプラントから由来する。
本発明によれば、種々のオフガスの混合物を使用することもできる。
本発明による方法のもう1つの有利な実施態様によれば、少なくとも1つの一酸化二窒素を含有するオフガスは、アジピン酸プラントから、ドデカンジカルボン酸プラントから、グリオキサールプラントから、ヒドロキシルアミンプラントから及び/又は硝酸プラントから由来し、後者は有利にはアジピン酸プラント、ドデカンジカルボン酸プラント又はグリオキサールプラントの少なくとも1つのオフガスで処理される。
有利な実施態様によれば、アジピン酸プラントのオフガス流が使用され、その際、硝酸での酸化によりシクロへキサノール/シクロヘキサン混合物は、形成されたアジピン酸1モルあたり0.8〜1.0molのN2Oが形成される。例えば、A. K. Uriarte et al.(Stud. Surf. Sci. Catal. 130(2000)743〜748頁)には、アジピン酸プラントのオフガスは、様々な濃度で更なる成分、特に、窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸化窒素、水及び揮発性有機化合物を含有していることが記載されている。
上記のドデカンジカルボン酸プラントは、実質的に同じプラントタイプである。
アジピン酸プラント又はドデカンジカルボン酸プラントのオフガスの通常の組成物の例は、以下の表に示されている。
アジピン酸プラント又はドデカンジカルボン酸プラントのオフガス流は本発明による方法で直接に使用できる。
同様に、有利な実施態様によれば、他の方法からの一酸化二窒素及び酸化窒素を含有するオフガスと一緒に全て又は部分的に供給される硝酸プラントのオフガス流が使用される。このような硝酸プラントでは、酸化窒素が吸着され、かつ大部分が硝酸と反応するのに対して、一酸化二窒素は反応しない。例えば、このような硝酸プラントは、目的を定めたアンモニアの燃焼により製造される酸化窒素により、かつアジピン酸プラントのオフガスにより及び/又はドデカンジカルボン酸プラントのオフガスにより及び/又はグリオキサールプラントのオフガスにより供給されてもよい。同様に、このような硝酸プラントは、アジピン酸プラントのオフガス及び/又はドデカンジカルボン酸プラントのオフガスにより及び/又はグリオキサールプラントのオフガスだけにより供給してもよい。
このような硝酸プラントのオフガスは、原則的に種々の濃度の更なる成分、特に窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸化窒素、水及び揮発性有機化合物を含有する。
このような硝酸プラントのオフガスの一般的な組成物の一例は、以下の表に示されている。
硝酸プラントのオフガス流は本発明による方法で直接に使用できる。
同様に、本発明による方法の有利な実施態様によれば、例えばまずアンモニアが空気又は酸素で酸化されてNOになるヒドロキシルアミンプラントのオフガス流が使用され、その際に、少量の一酸化二窒素が副生成物として形成される。引き続きNOは水素で水素化されヒドロキシルアミンになる。一酸化二窒素が水素化条件下に不活性であるので、水素循環においてこれは蓄積される。有利な方法では、ヒドロキシルアミンプラントの洗浄流は水素中に9〜13体積%の範囲内の一酸化二窒素を有する。この洗浄流はそのまま本発明による精製に使用することができる。同様に、上記のようにこの流を一酸化二窒素の含有量に関して適切に濃縮することもできる。
従って、本発明は上記のようにガス混合物G-0が、アジピン酸プラント及び/又はドデカンジカルボン酸プラント及び/又はグリオキサールプラント及び/又はヒドロキシルアミンプラントのオフガスである方法及び/又はアジピン酸プラント及び/又はドデカンジカルボン酸プラント及び/又はグリオキサールプラントのオフガスで運転される硝酸プラントである方法にも関する。
同様に、本発明による方法の範囲内では一酸化二窒素を該方法において目的を定めて製造することができる。この場合に、US3656899に記載されているように特にNH4NO3の熱分解により製造するのが有利である。同様に、更にUS5849257又はWO98/25698に記載されているようにアンモニアの接触酸化により製造するのが有利であり、これに関する内容を本明細書に関連させて完全に引用することにする。
工程(i)による吸着の際に、ガス混合物G-0は溶剤混合物LM-Iに吸着される。この場合に本発明の範囲内では、原則として当業者に公知のどの吸着法も使用できる。その際にオフガス流と組成物Z-Aが得られる。次に組成物Z-Aは、工程(ii)で更に処理される。この場合に、ガス混合物G-1は組成物Z-Aから脱着されて溶剤混合物LM-I’が得られる。
この場合にガス混合物G-1は本発明による少なくとも一酸化二窒素を含有し、かつ更なる成分を含有していてもよい。
本発明によれば、ガス混合物G-0、特に一酸化二窒素が少なくとも部分的に吸着されることが保証される限りは、溶剤混合物LM-Iとして当業者に公知のどの適切な溶剤混合物を使用してもよい。
工程(A)によれば、一酸化二窒素を含有するガス混合物G-Aが得られる。工程(A)が工程(ii)の後に更なる工程を含まない限り、ガス混合物G-1の組成物は、ガス混合物G-Aの組成物と同一である。
工程(B)によれば、工程(A)から得られるガス混合物G-Aは少なくとも部分的に凝縮されて、一酸化二窒素を含有する液体組成物Z-1及びガス混合物G-Kが得られる。この場合に、本発明の範囲内では液体組成物Z-Aは一酸化二窒素と、更なる成分を含有していてもよい。ガス混合物G-Kは、本発明の範囲内では有利には少量だけの一酸化二窒素を含有している。本発明の方法により、工程(B)による凝縮後に、ガス混合物G-Kが工程(A)による処理に戻される。
従って、本発明による方法によれば混合物G-K中に含有され得る少量の一酸化二窒素を方法に戻し、収率を高めることが出来る。
本発明によれば、該方法は更なる工程を含んでいてよい。従って、例えば本発明の範囲内では工程(A)と工程(B)の間に更なる工程を含むことができる。
本発明によれば、工程(A)は更なる工程を含むことができる。この場合に、例えば工程(A)はガス混合物G-1を適切な溶剤混合物中に吸着させ、かつ更に脱着することからなる。
本発明は更なる実施態様により、上記のように一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法に関し、その際に、工程(A)は更に工程(iii)と(iv):
(iii)溶剤混合物LM-II中にガス混合物G-1を吸着させ、オフガス流と組成物Z-Bを得て
(iv)組成物Z-Bからガス混合物G-2を脱着し、溶剤混合物LM-II’を得る
を含む。
本発明によれば、ガス混合物G-I、特に一酸化二窒素が少なくとも部分的に吸着されることが保証される限りは、溶剤混合物LM-IIとして当業者に公知のどの適切な溶剤混合物も使用できる。
工程(A)が工程(iv)の後に更なる工程を含まない場合には、該ガス混合物G-2の組成物はガス混合物G-Aの組成物と同一である。
本発明の範囲内では、工程(A)は工程(i)と(ii)の他に、又は工程(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の他に、更なる工程すなわち更なる吸着と脱着を有することができる。
従って、本発明の範囲内では、該方法が複数の工程(i)と(ii)又は複数の工程(iii)と(iv)を含むことができる。
もう1つの実施態様では、上記にように本発明は工程(A)が更なる工程を含んでいる一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法に関する。
先に記載したように、工程(B)により得られるガス混合物G-Kは本発明による方法の工程(A)に戻される。この場合に、本発明の範囲内ではガス混合物G-Kは他のガス混合物と混合される。この場合に、場合によりガス混合物G-K中に含有される一酸化二窒素を獲得できるように、ガス混合物G-Kは工程(A)に戻される。従って、本発明の範囲内では、ガス混合物G-Kを、吸着に供給されるガス混合物(特にガス混合物G-0又はガス混合物G-1)と混合するのが有利である。従って、本発明の範囲内ではガス混合物G-Kを工程(A)の工程(i)又は工程(iii)に戻すのが有利である。
もう1つの実施態様によれば、上記のように本発明はガス混合物G-Kが工程(A)の工程(i)又は工程(ii)に戻される一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法に関する。
本発明による方法は、工程(A)が少なくとも工程(i)と(ii)を含む実施態様を有し、かつもう1つの実施態様により溶剤混合物LM-IとLM-IIが使用される工程(iii)と(iv)を有する。
本発明によれば、特に一酸化二窒素が吸着される限りは、溶剤混合物LM-I及び/又はLM-IIとして当業者に公知のどの適切な溶剤混合物も使用できる。
工程(i)又は(iii)による吸着に適切な溶剤混合物LM-I及びLM-IIは、不活性な成分としてのN2O及び有利にはCO2に対して、混入される反応ガスG-0の不所望な成分よりも優れた溶解度を有するものである。
本発明によれば、溶剤混合物LM-I及び/又はLM-IIとして有機溶剤又は水性溶剤混合物を使用できる。更なる実施態様では、上記のように本発明は溶剤混合物LM-Iもしくは溶剤混合物LM-II又は溶剤混合物LM-I及び溶剤混合物LM-IIが有機溶剤と水性溶剤混合物から成るグループから選択される一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法に関する。
本発明によれば、吸着器内で優勢な条件下にN2O溶解度(mol/mol溶剤)と不所望な副成分の溶解度との比(この比を以後γと称する)が少なくとも5である溶剤が有機溶剤として使用される。この比は、個々にガス混合物中に含有される成分に関して決定できる。有機溶剤は、例えば30℃で6〜30、有利には9〜25のγO2の値と、10以上、有利には15以上、特に20以上のγN2の値を有するのが有利である。
適切な有機溶剤の例は、例えば脂肪族炭化水素、有利には少なくとも5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素であり、更に有利には少なくとも8個の炭素原子を有するもの、置換又は非置換の芳香族炭化水素、エステル、エーテル、アミド、ラクトン、ラクテーム、ニトリル、アルキルハロゲン化物、オレフィン又はこれらの溶剤の混合物である。
本発明によれば、常圧で少なくとも100℃の沸点を有する有機溶剤が極めて有利である。それというのも、これにより吸着器ならびに脱着器のオフガス流内で溶剤損失が減少するからである。
更に、本発明による適切な溶剤は同時に一酸化二窒素に対して優れた溶解度を有する。溶解度は、気相中のN2Oの分圧と液相中のN2Oのモル比との間の比により表記される(ヘンリー係数HN2O)。すなわち、値が小さいほど溶剤中で一酸化二窒素の溶解度が高いことを示す。第一の工程で使用される有機溶剤のこの比は、30℃では1000未満、より有利には750未満、特に有利には500未満、特に150未満であるのが有利である。
適切な有機溶剤は、特にN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、スルホネート、N,N−ジメチルアセタミド又はシクロペンタンである。本発明の範囲内では、例えば、トルエン、ニトロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、テトラデカン、例えば主に14個の炭素原子を有する飽和炭化水素とフタル酸ジメチルエステルから成る工業混合物が特に有利である。
有利な実施態様では、上記のように本発明は有機溶剤がトルエン、ニトロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、テトラデカン及びフタル酸ジメチルエステルから成るグループから選択される一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法に関する。
本発明によれば、同様に溶剤混合物LM-I及び/又はLM-IIとして水性溶剤混合物を使用できる。その際、本発明による方法の溶剤混合物の適性に関しては原則として上記の説明が該当する。特に溶剤混合物LM-I及び/又はLM-IIとして全体の溶剤混合物に対して、少なくとも水50質量%を含有する溶剤混合物を使用できる。この場合に、本発明の範囲内では使用される溶剤混合物のpH値を特定の範囲内に調節することもできる。水性溶剤混合物の適切なpH値は例えば2.0〜8.0の範囲内である。この場合に、本発明によれば個々の吸着工程で使用される溶剤混合物LM-IとLM-IIのpH値を変化させることもできる。
本発明の範囲内では、予め公知のpH値を有するバッファーに対してキャリブレートしておいた市販のガラス電極でpH値を測定した。全てのpH値のデータは、キャリブレートし、かつ温度補正したガラス電極の測定値に基づく。キャリブレートした温度が測定温度と相違する場合には、温度補正を使用した。この定義と方法は、現在有効であるIUPACの示唆(R. P. Buck et al., Pure Appl. Chem. (2002) 74(11), 2169-2200頁の特に11章)に相応する。
水は、所望の成分、特に一酸化二窒素及び二酸化炭素に対して高い選択率を有する。同時に、水中での一酸化二窒素の絶対的溶解度は、更なる濃縮を達成するため十分である。この場合に、溶剤としての水は、圧力下に濃縮した一酸化二窒素が存在しても安全上の問題が生じない利点がある。同時に、更なる精製工程が必要となり得る有機溶剤でのガス混合物G-2の汚染は生じない。
本発明によれば、溶剤混合物KM-1もLM-IIも有機溶剤混合物又は水性溶剤混合物であってよい。本発明によれば、溶剤混合物LM-Iとして有機溶剤を使用することができ、かつ溶剤混合物LM-IIとして水性溶剤混合物を使用することができる。同様に、溶剤混合物LM-Iとして水性溶剤混合物を使用し、かつ溶剤混合物LM-IIとして有機溶剤を使用することもできる。本発明の範囲内では、有機溶剤混合物LM-Iも溶剤混合物LM-IIも水性溶剤混合物であるのが有利である。
更に、溶剤混合物ML-I及び/又はLM-IIとして水性溶剤混合物が使用される限りは、水性溶剤混合物のpH値は特定の範囲内で調節される。
溶剤混合物LM-Iと溶剤混合物LM-IIの本発明によるpH値の選択により、殆ど完全にNOxの減損が達成される。これにより、例えばDeNOx又はSCR-DeNOxによるNOxの別々の分離は不必要である。それにより本発明による方法の場合には、DeNOx−工程に還元剤として使用されるNH3で生成物流が汚染する危険性が生じない。
溶剤混合物LM-Iと溶剤混合物LM-IIのpH値を目的を定めて選択することにより、特に二酸化炭素の含有量を最小限に変更するだけでNOxの優れた減損を達成できる。
本発明により使用される溶剤混合物LM-IとLM-IIは、本発明による有利なpH−値において所望の成分、特に一酸化二窒素及び二酸化炭素に対して高い選択率を有する。同時に、本発明により使用される溶剤混合物LM-IもしくはLM-II中での一酸化二窒素の絶対的溶解度は、濃縮を達成するために十分である。この場合に、本発明により使用される溶剤混合物LM-IもしくはLM-IIは、圧力下に濃縮された一酸化二窒素が存在する場合でも安全上の問題を生じないという利点がある。
本発明によれば、吸着の際の水性溶剤混合物のpH値は、有利には3.5〜8.0の範囲内である。このpH値では本発明により、溶剤混合物中での一酸化二窒素と二酸化炭素の良好な吸着が行われる。その際、ガス混合物G-0中に含有され得る他のガスは、全く吸着されないか又は僅かにしか吸着されない。pH値は5.0〜7.5の範囲、特に有利には6.0〜7.0の範囲内であるのが有利である。
本発明によれば、この場合にガス混合物を水性溶剤混合物と接触させる前と間にpH値が測定され、かつ次に例えば、pH値は適切な措置により調節される。同様に、本発明によればpH値を調節するための措置が必要ではない。
原則的に、本発明によればpH値は当業者に公知の全ての措置により調節できる。pH値を調節するための適切な措置は、例えば、酸もしくはアルカリ液の添加又は更なる溶剤の添加である。
例えば、水性溶剤混合物のpH値は吸着の前又は後に測定でき、かつ本発明による範囲内のpH値は適切な措置により調節される。この場合に、pH値の測定は本発明により連続的に又は不連続的に行うことができる。
溶剤混合物LM-Iもしくは溶剤混合物LM-IIのpH値が調節される限りは、溶剤混合物LM-Iと溶剤混合物LM-IIのpH値は互いに独立に調節できる。本発明によれば、溶剤混合物LM-Iもしくは溶剤混合物LM-IIのpH値だけを調節することもできる。しかし、溶剤混合物LM-Iと溶剤混合物LM-IIのpH値を同じ範囲に調節することもできる。
本発明の範囲内では、水性溶剤混合物とは、それぞれ全体の水性溶剤混合物に対して、水を少なくとも50質量%、例えば、水を50〜100質量%、有利には水を少なくとも60質量%、特に水を少なくとも70質量%、特に有利には水を少なくとも80質量%、例えば水を少なくとも90質量%含有する溶剤混合物であると解釈される。水性溶剤混合物は全体の水性溶剤混合物に対して、水を少なくとも90質量%含有するのが有利である。
ここで、上記のように本発明は溶剤混合物LM-Iもしくは溶剤混合物LM-II又は溶剤混合物LM-I及び溶剤混合物LM-IIが、それぞれ全体の溶剤混合物に対して水を少なくとも90質量%含有する一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0を精製する方法に関する。
本発明によれば、水性溶剤混合物は水の他に水と混合可能な他の極性溶剤、例えばグリコールを含有できる。更に、水性溶剤混合物は水の他に溶解塩、例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩、特に水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、リン酸水素塩又はリン酸塩を含有できる。
本発明によれば、水性溶剤混合物中の塩の含有量は、5質量%未満、有利には2.5質量%未満、特に有利には2.0質量%未満である。水性溶剤混合物中の塩の含有量は、例えば、0.0001〜5質量%、有利には0.001〜2.5質量%、特に0.01〜2.0質量%である。
本発明によれば、水性溶剤混合物中の塩の含有量は、塩で負荷した溶剤混合物の一部を相応して合わせた量の新たな溶剤混合物と交換して連続的又は不連続的にコントロールされる。
本発明によれば、水性溶剤混合物のpH値は当業者に公知のどの方法によっても調節できる。特に、水性溶剤混合物に塩基を添加することによりpH値を調節できる。
原則的に、そのpH値が>8.0である(水中で1質量%濃度の溶液として)考えられる限りの化合物を塩基として使用できる。本発明による無機強塩基、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又はリン酸塩を使用するのが有利である。特にNaOH、KOH、Na2CO3、NaHCO3、Na3PO4、K3PO4を使用するのが有利である。更に、濃縮された水溶液の形で塩基を使用するのが有利である。
適切な濃度の範囲は、本発明の範囲内では例えば10〜60%の水溶液、有利には20〜55%の水溶液、特に有利には25〜50%の水溶液、例えば30%の水溶液、35%の水溶液、40%の水溶液、45%の水溶液又は50%の水溶液である。
本発明によれば、NaOH水溶液を塩基として使用するのが特に有利である。
本発明の有利な実施態様によれば、塩基として25〜50%のNaOH水溶液が使用される。
例えば、水性溶液混合物のpH値は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩及びアルカリ土類金属リン酸塩から成るグループから選択される塩基の添加により調節される。
本発明による工程(i)によれば、溶剤混合物LM-I中でガス混合物G-0の少なくとも部分的な吸着が行われ、その際に、組成物Z-Aと、吸着されたガスが欠乏したオフガス流が得られる。
本発明の範囲内では、欠乏したオフガス流とは、溶剤混合物LM-I又はLM-II中での吸着の際に吸着されなかったガスを含有するガス流であると解釈される。
組成物Z-Aには、溶剤混合物LM-Iとその中に吸着されたガスが含まれる。
溶剤混合物LM-Iとして水を使用する限りは、該組成物Z-Aは水を例えば90.0〜99.9999質量%、特に95.0〜99.999質量%、有利には水を98.0〜99.99質量%、例えば、一酸化二窒素を0.01〜0.25質量%、特に0.05〜0.2質量%、有利には0.1〜0.15質量%、例えば二酸化炭素を0.0001〜0.1質量%、特に二酸化炭素を0.001〜0.05質量%、例えば、窒素を0.0001〜0.1質量%、特に窒素を0.001〜0.05質量%、例えば、亜硝酸ナトリウムを0.05〜1.5質量%、特に亜硝酸ナトリウムを0.1〜1.0質量%、有利には0.25〜0.75質量%、例えば、硝酸ナトリウムを0.05〜1.5質量%、特に硝酸ナトリウムを0.1〜1.0質量%、有利には0.25〜0.75質量%;例えば、炭酸水素ナトリウムを0.0001〜0.1質量%、特に0.001〜0.05質量%、ならびに微量の酸素及びアルゴンを含有する。この場合に、組成物Z-Aの成分の合計は100質量%になる。
本発明によれば、欠乏したオフガス流はアルゴンを例えば0.1〜2.0体積%、特に0.25〜1.5体積%、有利には0.5〜1.0体積%、例えば、酸素を1.0〜10体積%、特に酸素を2.5〜7.5体積%、有利には4.0〜6.0体積%;例えば一酸化二窒素を1.0〜10体積%、特に一酸化二窒素を2.5〜7.5体積%、有利には4.0〜6.0体積%;例えば窒素を70〜99.9体積%、特に窒素を75〜95体積%、有利には80〜90体積%;例えば一酸化炭素を0.01〜0.5体積%、特に0.05〜0.25体積%、有利には一酸化炭素を0.08〜0.1体積%;例えば、二酸化炭素を0.1〜1.5体積%、特に0.25〜1.0体積%、有利には二酸化炭素を0.5〜0.75体積%;例えば水を0.1〜1.5体積%、特に0.25〜1.0体積%、有利には水を0.5〜0.75体積%含有する。この場合に、オフガス流の成分の合計は100体積%になる。
本発明による方法の工程(i)は連続的に実施するのが有利である。すなわち、本発明の範囲内では溶剤混合物LM-Iとガス混合物G-0を連続的に接触させる。その際に、組成物Z-Aと欠乏したオフガス流が連続的に形成される。
本発明によれば、工程(i)による吸着の際に一酸化二窒素と二酸化炭素が吸着される。本発明によれば、例えば窒素、酸素及びアルゴンを吸着できる。工程(i)では酸化窒素NOxも吸着される。
本発明による方法には、ガス混合物G-1が組成物Z-Aから脱着されて溶剤混合物LM-I’を得る工程(ii)が含まれる。
この場合に、工程(ii)により一酸化二窒素と二酸化炭素が組成物Z-Aから脱着されるのが有利である。
溶剤混合物LM-I’は、使用される溶剤混合物LM-Iの他に脱着されていないガス及び副生成物を含有する。
例えば、本発明による方法で溶剤混合物LM-Iとして、一定に調節されたpH値を有するものを使用し、かつpH値がアルカリ液、特に苛性ソーダ液の添加により調節される場合には、溶剤混合物LM-I’は、本発明により水を例えば90.0〜99.9999質量%、特に水を95.0〜99.999質量%、有利には98.0〜99.99質量%;例えば、一酸化二窒素を0.001〜0.1質量%、例えば亜硝酸ナトリウムを0.05〜1.5質量%、特に0.1〜1.0質量%、有利には亜硝酸ナトリウムを0.25〜0.75質量%、例えば、硝酸ナトリウムを0.05〜1.5質量%、特に0.1〜1.0質量%、有利には硝酸ナトリウムを0.25〜0.75質量%;例えば炭酸水素ナトリウムを0.0001〜0.1質量%、特に炭酸水素ナトリウムを0.001〜0.05質量%含有する。さらに溶剤混合物LM-I’は、更なる化合物を含有することもできる。この場合に、溶剤混合物LM-I’の成分の合計は100質量%になる。
本発明の範囲内では、ガス混合物G-1は例えば、40〜80体積%、有利には45〜75体積%、特に50〜65体積%、特に有利には例えば51体積%、52体積%、53体積%、54体積%、55体積%、56体積%、57体積%、58体積%、59体積%、60体積%、61体積%、62体積%、63体積%、64体積%又は65体積%のN2O含有量を有する。
ガス混合物G-1は、例えば、5〜15体積%、有利には6〜12体積%、特に有利には例えば7体積%、9体積%、10体積%又は11体積%のCO2含有量を有する。同時に、ガス混合物G-1は、例えば1.0〜4.0体積%、有利には1.5〜3.5体積%、特に有利には2.5〜3.1体積%、例えば、2,6体積%、2.7体積%、2.8体積%、2.9体積%又は3.0体積%のO2含有量を有する。更に、ガス混合物G-1は更に20〜40体積%、有利には20〜35体積%のN2ならびに更なる成分、例えば酸化窒素を含有することができる。この場合にNOxは、例えば0〜0.1体積%、有利には0.0001〜0.01体積%、特に有利には0.0002〜0.05体積%の量で含有していてよい。この場合に、ガス混合物G-1の成分の合計は100体積%になる。更にガス混合物G-1は、水を0〜10体積%、特に水を2〜8体積%、有利には4〜6体積%含有していてもよい。
本発明によれば、工程(A)は、工程(iii)と(iv)による特に適切な溶剤中での更なる吸着及び脱着を含んでいてもよい。工程(iii)と(iv)により、適切な溶剤混合物LM-II中でのガス混合物G-1の吸着及びそれに引き続くガス混合物G-2の脱着が行われる。
本発明による方法は、更に工程(iii)と工程(iv)を有していてもよい。
工程(iii)による吸着の際には、本発明により溶剤混合物LM-II中での吸着が行われ、その際に組成物Z-Bと吸着ガスが欠乏したオフガス流が得られる。
組成物Z-Bには、溶剤混合物LM-II及びこの中に吸着されたガスが含まれる。
溶剤混合物LM-IIとして水を使用する限りは、該組成物Z-Bは、水を例えば90.0〜99.9999質量%、特に95.0〜99.999質量%、有利には98.0〜99.99質量%;例えば、一酸化二窒素を0.01〜2.5質量%、特に一酸化二窒素を0.1〜1.5質量%、有利には0.5〜1.0質量%;例えば二酸化炭素を0.001〜0.5質量%、特に二酸化炭素を0.01〜0.25質量%、例えば窒素を0.0001〜0.1質量%、特に窒素を0.001〜0.05質量%ならびに微量の酸素とアルゴンを含有する。この場合に、組成物Z-Bの成分の合計は100体積%になる。
本発明による方法の工程(iii)は連続的に行うのが有利である。すなわち本発明の範囲内では、溶剤混合物LM-IIとガス混合物G-1を連続的に接触させることを意味する。これにより組成物Z-Bと欠乏したオフガス流が連続的に形成される。
本発明による方法の工程(i)と(iii)は連続的に行うのが有利である。
本発明によれば、工程(iii)による吸着の際に、有利には一酸化二窒素と二酸化炭素が吸着される。またガス混合物G-1中に残る酸化窒素NOxは有利には工程(iii)で吸着される。
挿入したガス流のうち工程(iii)では有利には60〜80%が吸着される。
本発明による方法は、有利な実施態様により工程(iv)を更に含み、その際にガス混合物G-2は組成物Z-Bから脱着されて溶剤混合物LM-II’が得られる。
この場合に工程(iv)により一酸化二窒素と二酸化炭素が組成物Z-Bから脱着される。
溶剤混合物LM-II’は、使用される溶剤混合物L-IIの他に、まだ脱着されていないガスと副生成物を含有する。
得られるガス混合物G-2は、N2Oを少なくとも50体積%、得に有利にはN2Oを少なくとも60体積%、かつ最も有利にはN2Oを少なくとも75体積%有する。通常、ガス混合物G-2はN2Oを99体積%まで、特にN2Oを97体積%まで、例えばN2Oを96体積%まで、N2Oを95体積%まで、N2Oを94体積%まで、N2Oを93体積%まで、N2Oを92体積%まで、N2Oを91体積%まで、N2Oを90体積%まで、又はN2Oを85体積%まで含有する。
本発明の範囲内ではガス混合物G-2は、例えば60〜95体積%、有利には70〜90体積%、特に75〜85体積%、より有利には例えば76体積%、77体積%、78体積%、79体積%、80体積%、81体積%、82体積%、83体積%、84体積%又は85体積%のN2O含有量を有する。
ガス混合物G-2は、例えば、1〜20体積%、有利には5〜15体積%、より有利には例えば6体積%、7体積%、8体積%、9体積%、10体積%、11体積%、12体積%、13体積%又は14体積%のCO2含有量を有する。同時に、ガス混合物G-2は例えば0.01〜5.0体積%、有利には0.1〜2.5体積%、特に有利には例えば0.2〜1.0体積%のO2含有量を有する。更に、ガス混合物G-2は、0.1〜10体積%のN2を含有することができ、有利には0.5〜5体積%及び更なる成分、例えば酸化窒素もしくは溶剤残分を有することができる。同時に、ガス混合物G-2はO2を1体積%未満、特にO2を0.5体積%未満、NOxを0.5体積%未満含有する。この場合に、NOxは0〜0.1体積%の量で、有利には0.0001〜0.01体積%、特に有利には0.0002〜0.02体積%の量で含有することができる。この場合に、ガス混合物G-2の成分の合計は100体積%になる。
工程(A)が工程(iv)の後に更なる工程を有さない場合には、ガス混合物G-Aの組成物はガス混合物G-2の組成物に相当する。
本発明による方法の有利な実施態様では、溶剤混合物LM-I’も溶剤混合物LM-II’も少なくとも部分的に本発明による方法に戻される。
本発明によれば、溶剤混合物LM-I’及び/又は溶剤混合物LM-II’は、溶剤混合物LM-I又は溶剤混合物LM-IIとして少なくとも部分的に本発明による方法に戻される。本発明によれば溶剤混合物LM-I’及び/又は溶剤混合物LM-II’は、溶剤混合物LM-I及び溶剤混合物LM-IIとして再び本発明による方法で使用される前に処理できる。
本発明によれば方法で溶剤混合物LM-I’及び/又は溶剤混合物LM-II’を部分的にだけ使用し、かつ例えば水又は他の溶剤と混合し、溶剤混合物LM-I及び/又はLM-IIとして再び方法で使用することができる。
本発明による方法の工程(i)もしくは(iii)の吸着は、原則的に当業者に公知の全ての方法により実施できる。特に、溶剤混合物中での吸着は反応体ガスの圧力を上げることにより、又は溶剤混合物の温度を下げることにより、又は両方の方法を組合せることにより実施できる。
本発明による方法の工程(i)又は(iii)では、まずガス混合物を10〜35バール、有利には13〜30バール、有利には14〜25バールまで圧縮する。引き続き、圧縮したガス混合物を有利にはこの圧力で、工程(i)での溶剤混合物LM-I又は工程(iii)での溶剤混合物LM-IIと接触させる。
従って、上記のように本発明は工程(i)もしくは(iii)又は(i)及び(iii)による吸着における圧力が10〜35バールの範囲内である一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0を精製する方法に関する。
本発明によれば、工程(i)と工程(iii)による吸着は装置(吸着器)内で実施され、その中で気−液相の界面が生じ、それを介して相の間の物質と熱の移動が可能になり、かつ必要な場合に熱供給及び/又は熱の除去するための内部又は外部装置が備えられる。
吸着器内の相の伝導は並流、向流又はこれらの組合せの形で行うことができる。
本発明によれば、吸着は1つ以上の段階で、有利には1つの段階で実施できる。この場合に、吸着の際に吸着器として複数の理論段、特に2〜8個、より有利には3〜6個の理論段を有する装置を使用するのが有利である。
吸着器の可能な実施態様は、トレー、例えばバブルキャップトレー又は多孔板トレーを有するカラム、構造化された部材、例えば、パッキングを有するカラム、構造化されていない部材、例えば充填物を有するカラム、又は例えばノズル中の噴霧により液相が分散した形で存在する装置、又はこれらの組合せである。
本発明による方法の工程(ii)又は(iv)における組成物Z-A又は組成物Z-Bからのガス混合物G-1又はG-2の脱着は、溶剤混合物上の圧力を下げることにより、溶剤混合物の温度を上げることにより、又は溶剤蒸気でストリッピングすることにより又はこれらの組合せにより実施できる。
組成物Z-A又は組成物Z-Bからのガス混合物G-1又はG-2を脱着するための装置(脱着器)ならびに相の伝導に関する必要条件は、吸着器におけるものと同じである。すなわち、気−液相の界面が形成され、それを介して相の間の物質と熱の移動が可能になる装置が適切であり、かつ必要な場合に熱供給及び/又は熱を除去するための内部又は外部装置が備えられる。
本発明によれば、脱着は1つ以上の段階で実施できる。
脱着器の可能な実施態様は、簡単な(フラッシュ)容器及びカラムである。
吸着、すなわち溶剤混合物との接触と脱着が装置により組合わされる本発明の有利な実施態様は、例えば分割壁カラムである。その場合に、接触及びこれに関連する吸着と脱着は複数の段階で、温度を変化させることにより向流の形で運転され、溶剤蒸気でのストリッピングと組合わされる。(i)と(ii)及び(iii)と(iv)の両方において、装置による吸着と脱着の組合せは、特に分割壁カラム内で行うことができる。
従って有利な実施態様では、上記のように本発明は、分割壁カラム内で工程(i)と(ii)もしくは工程(iii)と(iv)、又は工程(i)と(ii)及び工程(iii)と(iv)が行われる上記のような方法に関する。
本発明の特に有利な実施態様の意味では、工程(i)で、高圧pAbso下に向流で運転する充填物床を備えた吸着カラム内で、まずN2Oを含有するガス混合物G-0を溶剤混合物LM-Iと接触させ、その際に吸着が行われ、かつ組成物Z-Aが得られる。この実施態様では工程(ii)により組成物Z-Aは、組成物Z-Aがより低い圧力pDeso<pAbsoに減圧される容器に移される。この方法は、最大20K、有利には最大15K、特に最大10Kの吸着温度と脱着温度の温度差で有利には殆ど等温的に実施される。この場合に、吸着圧は1〜100バール、有利には5〜65バール、特に10〜40バール、有利には10〜35バール、より有利には13〜30バール、更に有利には約14〜25バールであり、かつ脱着圧は0.1〜2バール絶対圧、有利には0.5〜1.5バール絶対圧、更に有利には1.0〜1.2バール絶対圧である。
有利には、工程(iii)により高圧pAbso下に向流で運転する充填物床を備えた吸着カラム内で、まずガス混合物G-1を溶剤混合物LM-IIと接触させ、組成物Z-Bが得られる。工程(iv)により、組成物Z-Bは、組成物Z-Bがより低い圧力PDeso<PAbsoに減圧される容器に移される。この方法は、同様に最大20K、有利には最大15K、特に最大10Kの吸着温度と脱着温度の温度差で有利には殆ど等温的に実施される。この場合に、吸着圧は1〜100バール、有利には5〜65バール、特に10〜40バール、有利には10〜35バール、より有利には13〜30バール、更に有利には約14〜25バールであり、かつ脱着圧は0.1〜2バール絶対圧、有利には0.5〜1.5バール絶対圧、更に有利には1.0〜1.2バール絶対圧である。
本発明によれば、上記のように溶剤混合物LM-I’は、溶剤混合物LM-Iとして部分的に方法に戻されるか、又は溶剤混合物LM-II’は、溶剤混合物LM-IIとして部分的に方法に戻される。この場合に溶剤LM-I’又はLM-II’は溶剤混合物LM-I又はLM-IIとして再び完全に又は部分的に、有利には部分的に使用できる。
本発明によれば、溶剤混合物LM-I’又はLM-II’の一部を方法から取り出すのが特に有利である。本発明によれば、溶剤混合物全体の0.01〜5%、有利には0.05〜2.5%、特に0.1〜1.0%、例えば0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%又は0.9%が取り出される。
本発明によれば、溶剤混合物LM-I’又はLM-II’を部分的に戻すのが有利であり、その際に他の化合物、特に付加的な溶剤、例えば水をそれぞれの場合に溶剤混合物に添加できる。この場合には他の化合物は溶剤混合物LM-I’又はLM-II’の量に相応する量で加えられるが、これは方法には戻されない。
本発明によれば、溶剤混合物LM-I’又はLM-II’を溶剤混合物LM-I又はLM-IIとして完全に使用することもできる。この場合に特に本発明によれば、適切な方法により個々の混合物を溶剤混合物LM-I又はLM-IIとして方法に戻す前に、溶剤混合物LM-I’又はLM-II’(例えば、塩又は溶剤)から除去することができる。
従って、上記のように本発明は溶剤混合物LM-I’が溶剤混合物LM-Iとして少なくとも部分的に方法に戻されるか、又は溶剤混合物LM-II’が溶剤混合物LM-IIとして少なくとも部分的に方法に戻される、又は溶剤混合物LM-I’が溶剤混合物LM-Iとして少なくとも部分的に方法に戻され、かつ溶剤混合物LM-II’が溶剤混合物LM-IIとして少なくとも部分的に方法に戻される一酸化二窒素を含有するガス混合物G-0を精製する方法に関する。
この手法の場合に、本発明による方法は連続的な方法として実施するのが有利である。
使用される溶剤混合物LM-I及び溶剤混合物LM-IIが水である場合には、特に有利な連続的な実施態様では、溶剤混合物LM-I’又はLM-II’の一部が取り出され、脱イオン水と交換される。取り出されるべき溶剤混合物の量ならびに新たな溶剤、特に水の量は、一方では系内の溶剤混合物LM-I又はLM-IIの量が殆ど一定のままであるように、他方では溶剤混合物LM-I又は溶剤混合物LM-II中の溶解塩の量が、それぞれの場合に全体の溶剤混合物LM-I又はLM-IIに対して10質量%を越えないように、より有利には7質量%を越えないように、かつ最も有利には5質量%を越えないように加えられる。
工程(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の他に、本発明による方法の工程(A)は、更なる工程を含むこともできる。例えば、該方法は、工程(ii)と(iii)の間でガス混合物G-1を更に処理することを含む。このような処理は、例えば、温度の変化又は圧力の変化又は温度と圧力の変化を含む。
例えば、ガス混合物の組成物は成分のうち1つの凝縮により変化させてもよい。これらの成分は、例えば水又は溶剤混合物LM-I中に含有される他の化合物であり、有利には本発明による方法の範囲内で工程(i)の溶剤LM-I中で使用される溶剤である。
本発明によれば、更なる成分をガス混合物G-1又はG-2から除去することができる。例えば、工程(iv)による脱着後にガス混合物G-2中に含有し得る微量の水を圧縮し、それに続く冷却によりガス混合物G-2から除去できる。
この場合には、ガス混合物G-2は有利には1〜35バール、有利には2〜30バール、より有利には3〜27バールの圧力まで圧縮される。引き続き冷却は、1〜25℃、特に有利には3〜20℃、特に4〜15℃、更に有利には8〜12℃で実施される。
本発明の範囲内では、工程(A)の後に、工程(B)の範囲内で工程(A)により得られたガス混合物の凝縮が行われる。
これにより、一酸化二窒素を含有する液体組成物Z-1とガス混合物G-Kが得られ、その際にガス混合物G-Kは有利に工程(A)での処理に戻される。
本発明による方法の工程(B)での凝縮は、原則的に当業者に公知のどの適切な方法によっても行うことができる。本発明の範囲内では、ガス混合物G-Aが少なくとも部分的に凝縮されるのが有利である。本発明によれば、ガス混合物G-Aの20〜99質量%、有利には50〜90質量%、最も有利には60〜80質量%が凝縮される。
もう1つの実施態様では、上記のように本発明は工程(B)でガス混合物G-Aの20〜90質量%が凝縮される一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法に関する。
本発明による方法の工程(B)での処理により、液体組成物Z-1が得られ、ここで妨げとなる副成分、特に酸素の割合はガス混合物G-Aと比べて更に減少する。
同時に、微量の一酸化二窒素の他に酸素又は一酸化炭素のような更なる成分を有していてもよいガス混合物G-Kが得られる。
本発明によれば、ガス混合物G-Kは例えば、一酸化二窒素を70〜90体積%、特に75〜85体積%、より有利には78〜82体積%含有する。本発明によれば、ガス混合物G-Kは更に例えば二酸化炭素を4〜18体積%、特にCO2を6〜16体積%、より有利には8〜12体積%含有する。ガス混合物G-Kは、更に例えば酸素を0.01〜5体積%、特に酸素を0.5〜3体積%、特に有利には1.0〜2.0体積%、かつ例えばアルゴンを0〜1体積含有する。ここでガス混合物G-Kの成分の合計は100体積%になる。
有利には工程(B)では、ガス混合物G-Aはまず初めに圧縮され、引き続き冷却される。この場合にガス混合物G-Aは有利には1〜35バールの圧力まで圧縮され、有利には2〜30バール、より有利には3〜27バールまで圧縮される。引き続き冷却は10〜−70℃、特に有利には8〜−30℃まで、特に5〜−25℃まで行われる。
本発明による方法の工程(B)の前に、既に圧縮されたガス混合物が得られる工程が行われる場合には、工程(B)は更なる圧縮を含まないのが有利である。
本発明による方法は、CO2が他の不活性ガスと比べて優れた不活性作用を有する他に、N2Oに極めて似た沸騰曲線と似た臨界パラメーターを有するという利点がある。それにより、N2O及び場合によりCO2を含有している本発明による方法で得られるガス混合物G-2は、N2Oと他の不活性ガスから成る匹敵する混合物よりも高温で凝縮される。極めて似た沸騰曲線の結果、凝縮されたガス混合物は、ガス混合物と殆ど同じN2O:CO2比を有するので、液相中の不活性化剤は維持されたままである。
更に、工程(B)での部分的凝縮によりZ-1中の低沸点成分、及び特に妨げとなる成分としてのO2が更に欠乏する。
本発明によれば、本発明による方法により得られる一酸化二窒素を含有する液体組成物Z-1を更なる反応で使用できる。
液体組成物Z-1は特に酸化剤として使用するのが有利である。有利には、液体組成物Z-1は一酸化炭素の他に二酸化炭素を含有する。CO2は不活性化する作用を有し、かつ加工の際、特に貯蔵の際に安全上懸念のない運転を保証し、かつ液体組成物Z-1の更なる使用を保証する。N2O含有組成物中にCO2が不活性ガスとして存在する場合には、一酸化二窒素の自己分解を阻止するために、他の不活性ガスと比べて著しく僅かな量だけの不活性ガス、すなわち二酸化炭素が必要である。従って、液体組成物Z-1を不活性化するために少量のCO2だけで十分である。
本発明により、一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法は更なる工程を含むことができる。該方法は工程(B)の後に更なる工程を含むことができる。
例えば、本発明による方法の範囲内では、組成物Z-1を更に処理できる。この場合に本発明の範囲内では、組成物Z-1の濃縮を行うもう1つの工程が存在できる。その際に、組成物Z-1を濃縮するため又は溶剤の残留物のような不純物を除去するために適切な当業者に公知の全ての方法が可能である。
本発明によれば、該方法は組成物Z-1から不純物を除去するためのもう1つの工程(C)を含む。この場合に、工程(C)により一酸化二窒素を含有する組成物Z-1をガス混合物S-1と接触させ、組成物Z-2とガス混合物S-2が得られる。
従って本発明は、上記のように一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製するためのもう1つの実施態様に関し、該方法は工程(C)を含む:
(C)一酸化二窒素含有の組成物Z-1をガス混合物S-1と接触させ、組成物Z-2とガス混合物S-2を得る。
本発明による方法の工程(C)による処理を用いると、更なる反応で妨げとなり得る更なる不純物、例えば酸素を液体組成物Z-1から除去できる。
ガス混合物S-1として、一酸化二窒素又はその混合物よりも低い沸点を有する原則的に全ての物質を使用できる。例えば、一酸化二窒素と反応しない気体、例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、一酸化炭素、メタン及びテトラフルオロメタンを使用することが有利である。本発明によれば窒素を使用するのが有利である。
更なる実施態様によれば、上記のように本発明はガス混合物S-1が、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、一酸化炭素、メタン及びテトラフルオロメタンから成るグループから選択される、一酸化二窒素を含有するガス混合物の精製方法に関する。
本発明の範囲内では、工程(C)による処理に関して、気体と液体を互いに接触させるために適切ないずれの装置も使用できる。ここでの例としては、バブルカラム、例えば、並流又は向流で運転されるもの、充填物又はパッキングを用いて又は用いずに運転されるもの、トリクル法又は塔底法で、撹拌タンク、例えばスパーギング撹拌機を用いて運転されるもの又は同様のものが挙げられる。工程(C)による処理は、バッチ法でも連続的にも行うことができる。しかし連続的に実施するのが有利である。
工程(C)による処理は、有利には90℃〜+37℃の温度で、有利には−80℃〜0℃の間の温度で実施するのが有利である。工程(C)による処理は、選択された温度において液体組成物Z-1の蒸気圧よりも少なくとも高い圧力で、かつ最大100バールで行うのが有利である。吸着が行われる圧力を0.2〜5バール上回る圧力を選択するのが有利である。
使用されるガス混合物S-1の量は、所望の酸素減損を達成するために十分であるべきであるが、しかし他方では一酸化二窒素の損失を回避するために出来るだけ少なくあるべきである。一般的に、液体組成物Z-1中、酸素1mol当たりガス混合物S-1が5〜100mol使用される。有利には、液体組成物Z-1中、酸素1mol当たりガス混合物S-1が15〜30mol使用される。
この場合に、工程(C)により液体組成物Z-1に対して酸素の含有量が更に減少した液体組成物Z-2が得られる。
本発明によれば組成物Z-2は、例えば一酸化二窒素を75〜95体積%、特に80〜90体積%、特に有利には82〜88体積%含有する。本発明によれば組成物Z-2は、更に例えば二酸化炭素を4〜18体積%、特にCO2を6〜16体積%、特に有利には8〜12体積%含有する。更に、組成物Z-2は例えば酸素を0.01〜1.0体積%、特に酸素を0.05〜0.5体積%、特に有利には0.1〜0.4体積%及び窒素を例えば0〜1体積%含有し、その際に前記組成物Z-2の成分の合計は100体積%になる。
工程(C)では、ガス混合物S-1の他に、更なる成分、例えば酸素を含有していてもよいガス混合物S-2が得られる。
本発明によれば、ガス混合物S-2は例えば一酸化二窒素を70〜90体積%、特に75〜85体積%、特に有利には77〜82体積%含有する。更に本発明によればガス混合物S-2は、例えば二酸化炭素を4〜18体積%、特にCO2を6〜16体積%、特に有利には8〜12体積%を含有する。ガス混合物は、例えば窒素を4〜18体積%、特に窒素を6〜16体積%、特に有利には8〜12体積%を含有する。更にガス混合物S-2は例えば、酸素を0.01〜5体積%、特に0.5〜3体積%、特に有利には1.0〜2.0体積%及び例えばアルゴンを0〜1体積%含有し、その際、ガス混合物S-2の成分の合成は100体積%になる。
本発明によれば、ガス混合物S-2は該方法のうち1つの工程に戻される。このような実施態様によれば、ガス混合物S-2中に含有される一酸化二窒素は収率の損失を回避するために方法に戻される。
従って、上記のように本発明は、ガス混合物S-2が工程(A)に戻される一酸化二窒素を含有するガス混合物を精製する方法に関する。
上記のように、ガス混合物S-2は有利には本発明による方法の工程(A)に戻される。この場合に、本発明の範囲内では、ガス混合物S-2と他のガス混合物が混合される。その際に、場合によりガス混合物S-2に含有されている一酸化二窒素を回収できるように、ガス混合物S-2を工程(A)に戻すのが有利である。従って、本発明の範囲内では、ガス混合物S-2を吸着に供給するガス混合物、特にガス混合物G-0又はガス混合物G-1と混合するのが有利である。よって、本発明の範囲内ではガス混合物S-2を工程(A)の工程(i)又は(iii)に戻すのが有利である。
もう1つの実施態様では、上記のように本発明はガス混合物S-2を工程(A)の工程(i)又は(iii)に戻す、一酸化二窒素を含有するガス混合物の精製方法に関する。
本発明による方法に得られる一酸化二窒素を含有する液体組成物Z-1又はZ-2は、原則的に全ての用途に使用でき、その際に通常は純粋な一酸化二窒素流、又は不活性ガスと混合した一酸化二窒素流が使用される。特に、組成物Z-1又はZ-2は、EP-A0624565又はDE-A19605211に記載されているようにメタノールをホルムアルデヒドに酸化するために適切である。従って、本発明は本発明による方法に得られる一酸化二窒素を含有する液体組成物Z-1の、メタノール用の酸化剤としての使用にも関する。
本発明による方法により、特に僅かな割合で妨げとなる副成分を含有している一酸化二窒素を含有する液体組成物が得られる。これは、酸化剤として使用するために特に有利である。それというのも、妨げとなる副成分の割合が低いため、殆ど副反応が生じず、従って特に酸化の際に純粋な生成物を得ることができるからである。液体組成物Z-1は、本発明による精製の後に、一酸化二窒素の他に適量の二酸化炭素も含有しているのが有利である。
本発明により精製された液体組成物Z-1は、一酸化二窒素を50〜99.0体積%、二酸化炭素を1〜20体積%、及び更なるガスを0〜25体積%含有する。記載された体積%は、それぞれ全体の組成物Z-1に対して示されている。この場合に、組成物Z-1の個々の成分の合計は100体積%になる。
本発明により精製された組成物Z-1は、一酸化二窒素を60〜95体積%、特に70〜90体積%、特に有利には一酸化二窒素を75〜89体積%含有するのが有利である。
本発明により精製された組成物Z-1は、更に一酸化二窒素を1〜20体積%含有する。有利には該組成物は二酸化炭素を5〜15体積%、特に二酸化炭素6〜14体積%含有する。
組成物Z-1は、更なるガスを0〜25体積%、特に有利には0〜5体積%含有するのが有利である。本発明により精製された組成物Z-1は、1つ以上の更なるガスを含有することができ、その際、記載された体積%は、含有されるガスの合計に対して示されている。この場合に、組成物Z-1は例えば、酸素、窒素、アルゴン及び水を含有することができる。
N2O含有組成物中にCO2が不活性ガスとして存在する場合には、一酸化二窒素の自己分解を阻止するために、他の不活性ガスと比べて著しく僅かな量だけの不活性ガス、すなわち二酸化炭素が必要であることが見出された。
従って、本発明は上記のように本発明による方法により得られる液体組成物Z-1の酸化剤としての、特にオレフィン用の酸化剤としての使用にも関する。
特に、本発明は、一酸化二窒素50〜99.0体積%、二酸化炭素1〜20体積%、更なるガス0〜25体積%を含有する組成物の酸化剤としての、特にオレフィン用の酸化剤としての使用にも関する。
このような組成物は特に本発明による精製方法により得ることができる。
原則的に、本発明により得られる一酸化二窒素を含有する液体組成物は、オレフィンを酸化するために適切である。適切なオレフィンは、例えば、1つ以上の二重結合を有する開鎖又は環式オレフィンである。更に、1つ以上の二重結合を有する環式オレフィン、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,6−シクロデカジエン、1,6,11−シクロペンタデカトリエン、1,5,9,13−シクロヘキサデカテトラエン又は1,5,9−シクロドデカトリエンである。
従って、上記のようにもう1つの実施態様によれば本発明はオレフィン用の酸化剤としての使用にも関する。その際に、オレフィンはシクロペンテン、シクロドデセン及び1,5,9−シクロドデカトリエンから成るグループから選択される。
富化し、かつ精製したN2O含有液体組成物Z-1は、オレフィンをケトンに酸化するために特に適切である。このために、液体組成物Z-1をオレフィンと直接に反応させることができる。
このような用途には、液体組成物Z-1中での不活性ガスの割合はできるだけ少ないのが有利である。それというのも、そうでない場合には反応器の体積を大きくしなくてはならないからである。
本発明の酸化剤としての使用に関して、特にオレフィン用の酸化剤としての使用に関して、酸化、特にオレフィンの酸化が実施されるあらゆる方法により酸化を行うことができる。特に、連続的方法及び反応の方法もバッチ反応も可能である。本発明によれば酸化の反応条件は反応が行われるように選択される。圧力と温度も相応して選択できる。
有利には、圧力は500バールまでの範囲内、例えば1〜320バール、有利には100〜300バール、特に90〜280バールの範囲内である。温度は、有利には180〜320℃の範囲内、例えば200〜300℃の範囲内、特に240〜290℃である。
この場合に、酸化は適切な溶剤の存在で実施できる。しかし、本発明によれば溶剤を添加せずに酸化を実施することもできる。
本発明によれば酸化は、圧力と温度を適切に選択することにより、反応区域内で気相が生じないように実施するのが有利である。
以下の実施を用いて本発明を詳説する。
実施例
例1:N2Oの単離法及び精製方法
N2Oの材料として硝酸プラントのオフガスを使用した。次にこれを部分的にアジピン酸プラントのオフガス及び部分的に純粋なNOと一緒に運転した。このオフガスから26.2t/lを初めに25バールまで圧縮し、かつ35℃まで冷却した。その際に、なお少量の硝酸を含有している凝縮された水を除去し、かつ廃棄した。
残った圧縮ガス流(26.1t/h)は、N286.4体積%、N2O8.1体積%、O23.1体積%及びCO21.1体積%を主成分として含有していた。この流を、高さ22.7m及び直径5.5mを有し、ポールリングで充填しておいた吸着カラムの塔底に供給した。これに向流で水2290t/hを35℃の温度で上から供給した。吸着されなかったガスを減圧タービンにより再び硝酸プラントのオフガスラインにおいて減圧した。
1番目の脱着塔内の減圧タービンにより負荷した吸着剤を1.1バールまで減圧した。脱着塔は、直径3.6m及び高さ11.1mを有し、かつポールリングで充填した。水を吸着塔に送り戻した。この循環では、25%濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加することによりpHを6〜7の間に保持した(キャリブレートしたガラス電極を用いてオンラインで測定)。平均で水酸化ナトリウム溶液が約44kg/h消費された。
塩(亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム)の蓄積を回避するために、水のサイクルから2t/hをパージし、かつ新たな脱イオン水と交換した。水の循環において熱交換を用いて水温を調節した。
1番目の脱着塔の頭頂で得られたガス(2.45t/h)は、N2O59.5体積%、N224.2体積%、CO27.5体積%、H2O5.2体積%及びO23.0体積%を主成分として含有していた。次に圧縮したガス流を部分的な凝縮及びストリッピングからの戻したガス流と一緒に2番目の吸着器の底に供給した。この吸着器は、直径1.9m及び高さ14.3mを有し、かつポールリングで充填しておいた。これに向流で、水(35℃の温度で274t/a)を吸着剤として吸着器に供給した。
吸着されなかったガスを減圧し、かつ1番目の吸着器のオフガスと一緒に硝酸プラントのオフガスラインで減圧した。
次に負荷した吸着剤を2番目の脱着塔内で1.1バールまで減圧した。水を吸着塔に戻した。pH値の下降を回避するために、225kg/hを水の循環からパージし、かつ新たな脱イオン水と交換した。水の循環において熱交換を用いて水の水温を調節した。
2番目の脱着塔の頭頂で得られたガス(2.9t/h)は、N2O81.7体積%、CO210.7体積%、水5.3体積%、N21.7体積%及びO20.45体積%を主成分として含有していた。このガスを再び26バールまで圧縮し、かつ13℃まで冷却した。凝縮した水を除去し、かつ廃棄した。
次に圧縮したガス流(2.8t/h)を、冷却した水/グリコール混合物を用いてジャケット側で運転される直立の管束熱交換器に通し、ここで−12℃まで冷却した。この場合に、凝縮された流(2060kg/h)は、N2O87.9体積%、CO211.4体積%、水0.3体積%、N20.3体積%及びO20.14体積%を主成分として含有していた。
熱交換器の管を融かすために、A/B様式で運転される2つの平行した熱交換器を使用した。融解運転を加速するために、熱交換器に電気ヒーターを備えた。凝縮していないフラクション(790kg/h)は、N2O81.5体積%、CO211.2体積%、N25.6体積%及びO21.3体積%を主成分として有し、かつ先に記載したような2番目の吸着器の入口に戻した。
トリクル法にて26バールで運転されているストリップカラム内で、凝縮された流を向流で窒素(4kg/h1、液体N2O供給物中O2のN2/molの19molに相応する)でストリッピングした。ストリップカラムは、直径0.35m及び高さ4.15mを有し、かつ350m2/m3の比表面性を有する金属から成る構造化されたパッキングが備えられている(充填長さ:3m)。カラムの頭頂のストリッピングガス(260kg/h)は、N2O78.4体積%、CO210.8体積%、N29.6体積%及びO21.0体積%を主成分として含有し、かつ先に記載したような2番目の吸着器の入口に戻した。
ストリップカラムの塔底での液体生成物(1835kg/h)は、N2O86.7体積%、CO211.1体積%、N21.9体積%を主成分として、かつO2100ppmだけを含有した。
ストリップカラムの使用により、液体N2O中のO2含有量を14倍減らすことができた。この場合にN2O:O2のモル比は、630からほぼ7300mol/molに増大した。ストリッピングガスを2番目の吸着塔に戻すことで、単離収率は高いままであった。N2Oの単離収率は96.2%であった(脱着後の圧縮ガスに対して)。
濃縮かつ精製したN2Oは、例えば1,5,9−シクロドデカジエンのようなオレフィンの酸化に使用できる。
比較例2:ガスを戻さない凝縮
濃縮したN2O流の凝縮の際に、残りのガスを2番目の吸着に戻さない場合には、N2Oの単離収率は、96.2%の代わりに70.2%だけであった(脱着後の圧縮ガスに対して)。
同量のN2Oを提供するには著しく大きな装置が必要となるであろう。
比較例3:等しい単離収率でガスを戻さない凝縮(圧力)
ガスを戻さないN2Oの単離収率(先に定義したような)を同様に高くするためには、凝縮の際に投入したガスの殆どの割合を凝縮しなくてはならない。
これは本発明の例1のように凝縮の際に圧力を高めることにより、かつ−12℃の凝縮温度を保持することにより達成できる。このために、圧力を31バールに上げなくてはならない(本発明の例1の26バールの代わりに)。この場合に、供給物中に含有されるN2Oの約96%を凝縮した。これにより、主成分としてN2O(86.9体積%)、CO2(11.4体積%)、O2(0.35体積%)及びN2(1.1体積%)を有する液体流が得られた。
この手法は本発明の手法と比べて多くの欠点を有する。より高い圧力を達成するために、より高価な圧縮機やコンデンサーが必要となる。更に、N2O含有の液化ガス流は、部分的な凝縮を実施するよりも著しく多く(本発明の例1よりも殆ど2.5倍多い)の酸素を有する。従って、この酸素を除去するために、次のストリッピングで著しく多くの窒素を使用しなくてはならず、これはオフガスによるN2Oのより多くの損失につながる。
比較例4:等しい単離収率でガスを戻さない凝縮(温度)
ガスを戻さずにN2Oの単離収率(先に定義したような)を同様に高くする場合には、凝縮の際に投入したガスの大部分を凝縮しなくてはならない。
これは本発明の例1のように凝縮温度を下げ、かつ圧力を26バールに保持することにより達成できる。このために、凝縮温度を−19℃に下げなくてはならない(本発明の例1での−12℃の代わりに)。この場合に供給物中に含有されるN2Oの約96%を凝縮した。N2O(87.0体積%)、CO2(11.4体積%)、O2(0.32体積%)及びN2(1.0体積%)を主成分として有する液体流が得られた。
しかし、該手法は本発明の手法と比べて多くの欠点を有する。より低い温度を達成するために、多くの高価な冷却機が必要となり、かつ高圧と低温の組合せがコンデンサーの構成材料に依存することになる。更に、N2O含有の液化ガス流は、一部だけの凝縮を実施するよりも著しく多くの酸素(本発明の例1よりも殆ど2.3倍)を有する。従って、この酸素を除去するために、次のストリッピングで著しく多くの窒素を使用しなくてはならず、またしてもオフガスによるN2Oの高い損失につながる。
例5:1.5,9−シクロドデカトリエンの分解におけるO2の影響
1.5,9−シクロドデカトリエンの分解におけるO2の影響を試験するために、まず工業用の1.5,9−シクロドデカトリエン500gを、磁気撹拌機、ガス投入管及び還流冷却器を備えておいた1000mlガラスフラスコに予め装入した。次にこのフラスコを油浴中180℃まで加熱し、かつBrooks型質量流量計を用いてガス投入管を介して合成空気2リットル(STP)/時を通した。
このオフガスの量とその組成物を入口で測定した。更に、液体から一定の間隔でサンプルを取り出し、かつガスクロマトグラフィーにより分析した。オフガス分析から、11mmol/時のO2消費が計算された。溶液中の1,5,9−シクロドデカトリエン含有量は2%/時で減少した。これは、O21mol当たり1.1molの1,5,9−シクロドデカトリエンが分解されたことを意味する。この場合に、1,5,9−シクロドデカトリエンの少量のモノエポキシドとは異なり、定義した生成物を形成せずにポリマーの析出物だけを形成した。コントロール試験では、合成空気の代わりに窒素だけを泡立たせて入れた場合には、1,5,9−シクロドデカトリエンの含有量の減少が観察されないことを示した。
この試験は、1,5,9−シクロドデカトリエンをN2Oで酸化するために必要な温度(約250℃)を著しく下回る温度でさえも、酸素が1,5,9−シクロドデカトリエンと反応したことを示している。この場合にポリマーの析出物が形成され、反応器の詰まりにつながる。従って、高い選択率を達成し、かつ反応器内の析出を回避するために、出来るだけ僅かなO2を含有しているN2O含有ガス混合物を酸化剤として使用することが極めて重量である。
例6:4,8−シクロドデカジエノンの分解におけるO2の影響
4,8−シクロドデカジエノン(N2Oでの1,5,9−シクロドデカトリエンの酸化から得られる生成物)の分解におけるO2の影響を試験するために、まず4,8−シクロドデカジエノン(約98%、異性体混合物として)500gを、磁気撹拌機、ガス投入管及び還流冷却器を備えておいた1000mlガラスフラスコに予め装入した。次にこのフラスコを油浴中180℃まで加熱し、かつ質量流量計を用いてガス投入管を介して合成空気2リットル(STP)/時を通した。
オフガス量とその組成物を出口で測定した。更に、液体から一定の間隔でサンプルを取り出し、かつガスクロマトグラフィーにより分析した。オフガス分析から、8mmol/時のO2消費が計算された。溶液中の4,8−シクロドデカジエノン含有量は1.6%/時で減少した。これは、O21mol当たり1.2molの4,8−シクロドデカジエノンが分解されたことを意味する。これは定義づけられた生成物もポリマーの析出物も形成しなかった。コントロール試験は、空気の代わりに窒素だけを泡立たせて入れた。4,8−シクロドデカジエノン含有量の減少は観察されなかった。
この試験は、1,5,9−シクロドデカトリエンをN2Oで酸化して4,8−シクロドデカジエノンにするために必要な温度(約250℃)を著しく下回る場合でも、酸素は4,8−シクロドデカジエノンと反応することを示した(予想していたように、1,5,9−シクロドデカトリエンとの場合よりも幾分ゆっくりであるが)。従って、高い選択率を達成するために出来るだけ僅かなO2を有するN2O含有ガス混合物を酸化剤として使用することが重要である。
例7:O2200ppmだけを含有するN2O含有ガス混合物での1,5,9−シクロドデカトリエンの酸化
N2Oで1,5,9−シクロドデカトリエンを連続的に酸化するために、連続して連結した7個のジャケット付きチューブコイルから成るジャケット付き管状反応器を使用した。反応管は内径6mmを有し、かつ各々のチューブコイルの長さは5.32mであった。従って、全体の反応容積は1.05リットルであった。ジャケット内では、熱媒体オイルが循環していて、その温度はサーモスタットにより253℃で一定に保持しておいた。熱媒体オイルの循環は、オイル入口とオイル出口の温度差が2K未満であるように選択した。熱媒体オイルは反応体に対して向流で通した。反応圧を100バールで一定に保持する圧力制御バルブを反応器の出口に備えた。
反応体(1,5,9−シクロドデカトリエン、Degussa社の市販製品、及びLinde社の医薬品用のN2O、分析によればO2200ppmを含有)を適切な供給ポンプ(膜ピストンポンプ)を用いて送り、かつ反応器の前で、反応器に到達する前に、室温にてスタチックミキサー内で混合した。反応器の入口で1,5,9−シクロドデカトリエンとN2Oの間のモル比が6.2mol/molであるように、かつ滞留時間(室温及び100barでの反応体の体積流/反応器の体積として定義)が0.65時間であるように供給速度を調節した。平衡が開始する前に、反応器が一定の状態になるまで反応を行った(約6時間)。エラーを最小にするために、平衡時間は常に24時間であった。
圧力制御バルブの下方に向かって、冷却した(約20℃)相分離器内で反応器の排出物を減圧し、かつ生成物(ガスと液体の両方)を分析した。1,5,9−シクロドデカトリエンの転化率は13.4%であった。1,5,9−シクロドデカトリエンに対する4,8−シクロドデカジエノンの選択率は93.4%であった。
例8:O2400ppmとCO28.3体積%を有するN2O含有ガス混合物での1,5,9−シクロドデカトリエンの酸化
反応体としてLinde社のガス混合物(N2O中、CO28.3体積%及びO2400ppm含有)を使用して例7を繰り返した。
1,5,9−シクロドデカトリエンの転化率は13.4%であった。1,5,9−シクロドデカトリエンに対する4,8−シクロドデカジエノンの選択率は93.8%であった。
測定の正確度の範囲内で、CO2の存在及び著しく増大した量は、反応において著しい影響を有さなかった。
例9:O21300体積ppmを有するN2O含有ガス混合物での1,5,9−シクロドデカトリエンの酸化
反応体としてLinde社のガス混合物(N2O中、O21300体積ppmを有する)を使用して例7を繰り返した。これは、ストリッピングを省いた場合に、例1による液体N2O中の酸素含有量に殆ど相当した。
426時間にわたる供給で安定に反応を行うことができた。この場合に、反応器における圧力差は一定のままであった。コントロールのために一番目のコイルを取り外し、かつ断片に切断した。壁にはポリマーが析出しなかった。
14.6%での1,5,9−シクロドデカトリエンの転化率は、例8(13.4%)よりも高かったが、4,8−シクロドデカジエノンの選択率は91.5%であった。これは例8のものよりもほぼ2%低かったが(93.8%)、なお認容可能な範囲であった。特に、この反応はより長い時間にわたり安定に運転することができた(すなわち析出物の形成なしに)。
比較例10:O22体積%を含有するN2O含有ガス混合物での1,5,9−シクロドデカトリエンの酸化
反応体としてLinde社のガス混合物(N2O中、O22体積%を含有)を使用して例7を繰り返した。
この供給物では、反応を安定に実施する事が出来なかった。反応器における圧力差は連続的に増大し、かつ反応器が詰まったので試験を72時間後に中止しなくてはならなかった。その結果1番目のコイルを取り外し、断片に切断した。反応器の入口の後ろ30〜80cmの間がポリマーの析出物で殆ど完全に詰まっているのが見つかった。
N2O中、このような高濃度のO2を用いると、1,5,9−シクロドデカトリエンの酸化の安定な実施は不可能であった。