この開示は、格納装置テストシステムのテストスロットをテストする格納装置エミュレーターと方法に関する。
ディスクドライブ製造者は典型的に、一集りの要求を満たしていることについて製造されたディスクドライブをテストする。多数のディスクドライブを直列的にまたは並列的にテストするテスト設備および技術が存在する。製造者は多数のディスクドライブを同時にまたはバッチでテストする傾向がある。ディスクドライブテストシステムは典型的には、テストのためにディスクドライブを受け取る多数のテストスロットを有した一つ以上のラックを含む。
ディスクドライブの直ぐ周辺のテスト環境は、緊密に規制される。より高い容量と、より速い回転速度と、より小さいヘッドクリアランスを有するディスクドライブの最新世代は、振動により敏感である。過大な振動はテスト結果の信頼性と電気的接続の完全性に影響を与えることができる。テスト条件下では、ドライブ自体がサポート構造または隣接するユニットへの固定を通して振動を伝播することができる。この振動の「クロストーク」は、振動の外部ソースと共に、バンプエラー、ヘッドスラップ、および非反復性ランアウト(NRRO)に貢献し、それらはより低いテスト歩留まりと増加した製造コストに結果としてなり得る。
ディスクドライブテストシステムのテストスロットは、テストスロットが適正に機能し動作していることを確かにするためにルーティンの有効化と診断テストを必要とする。一般に、「ゴールドドライブ」とは、適正に機能し動作しているものとして独立に有効化されているディスクドライブである。ゴールドドライブは、テストスロットの機能性と性能をテストするのに使用されても良い。ゴールドドライブの正確さの検証を有効化し維持することは厄介であり高価である。その上、テストデータは限定されている。
一側面では、格納装置テストシステムのテストスロットをテストするための格納装置エミュレーターは、エミュレーター本体と、エミュレーター本体上に配置されたインターフェースコネクターと、エミュレーター本体上に配置された少なくとも一つの振動センサーとを含む。エミュレーター本体は、少なくとも40×106Psiの引張り応力を有する材料を含む。
別の側面では、格納装置テストシステムのテストスロットを有効化する方法は、格納装置エミュレーターとテストスロットの間に接続を確立することと、テストスロット上でテストを行うことを含む。テストは格納装置エミュレーターの少なくとも一つの領域の振動レベルを監視することを含む。格納装置エミュレーターは、エミュレーター本体と、エミュレーター本体上に配置されたインターフェースコネクターと、エミュレーター本体上に配置された少なくとも一つの振動センサーとを含む。エミュレーター本体は、少なくとも40×106Psiの引張り応力を有する材料を含む。
更に別の側面では、格納装置テストシステムのテストスロットをテストするための格納装置エミュレーターは、エミュレーター本体と、エミュレーター本体上に配置されたインターフェースコネクターと、エミュレーター本体上に配置された少なくとも一つの振動センサーとを含む。エミュレーター本体は、各々が重しを受け取るように構成された重し受け取り器を含む。
開示の実装は、以下の特徴の一つ以上を含んでも良い。いくつかの実装では、エミュレーター本体は、少なくとも85×106Psiの引張り応力を有する材料からなる。エミュレーター本体は、カーボンファイバー(例えば、60%のファイバー容積を持ったカーボンファイバー補強されたエポキシ積層板)からなっても良い。エミュレーター本体は、約8kHzより大きなところにおいて第一の屈曲モードを有しても良い。いくつかの例では、格納装置エミュレーターは、エミュレーター本体上に配置された第一、第二、第三、第四の振動センサーを含む。振動センサーは、エミュレーター本体の重心から等距離で配置されていても良い。振動センサーは、エミュレーター本体によって規定された縦および横軸に沿って、縦および横軸の交差点から約2インチ(51ミリ)の間隔を空けられていても良い。いくつかの実装では、縦および横軸の交差点は、エミュレーター本体の幾何学的中心とエミュレーター本体の重心の少なくとも一つと一致する。
いくつかの実装では、エミュレーター本体は、上および下表面を有する実質的に長方形の形状であり、振動センサーは、上および下表面の各隅の近くに配置されている。例えば、エミュレーター本体は、約70ミリの幅と、約9.5ミリと約19ミリの間の高さを有しても良い。いくつかの実装では、エミュレーター本体は、エレクトロニクス領域と、モーター領域と、ヘッド領域を規定し、振動センサーは、各領域中に配置されている。エミュレーター本体は、重しを受け取るように構成された少なくとも一つの重し受け取り器を規定しても良い。エミュレーター本体上への重しの配置は、例えば、特定の本物の格納装置をシミュレートするように、エミュレーター本体の重さ、質量および/または重心を変えても良い。
開示の一つ以上の実装の詳細が、添付の図面と以下の記載中で説明される。他の側面、特徴および利点は、記載および図面から、また請求項から、明らかとなるであろう。
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
図1は、格納装置テストシステムのテストスロット中に挿入されている格納装置エミュレーターの斜視図である。
図2は、テストスロットの斜視図である。
図3は、格納装置エミュレーターの斜視図である。
図4は、格納装置エミュレーターの側面図である。
図5は、格納装置エミュレーターの上面図である。
図6は、格納装置エミュレーターの正面図である。
図7は、格納装置エミュレーターの本体内の振動センサーの例示的配置を描いた、格納装置エミュレーターの概略側面図である。
図8は、エミュレーター本体内の振動センサーの例示的配置を描いた、図7に示された格納装置エミュレーターの概略上面図である。
格納装置エミュレーター100は、実際の格納装置を物理的に(例えば、サイズで)エミュレートまたはシミュレートするが、格納装置テストシステム5のテストスロット10を有効化するためのテストツールとして動作する。図1に示された例では、テストスロット10はラック20に搭載されている。ユーザは、格納装置エミュレーター100をテストスロット10のレセプタクル12中に直接置いても良い。しかしながら、いくつかの例では、格納装置搬送器30が格納装置エミュレーター100を搬送し、テストスロット10のレセプタクル12中への挿入のためにユーザまたはロボットアームによってマニピュレートされても良い。格納装置エミュレーター100は、図2に示されるように、テストスロットコネクター14と係合されたテスト位置に置かれる。
図3−6を参照すると、格納装置エミュレーター100は、エミュレーター本体110と、エミュレーター本体110上に配置された一つ以上の振動センサー120と、エミュレーター本体110上に配置されたインターフェースコネクター130を含む。エミュレーター本体110は、例えば少なくとも40×106Psiの引張り応力(弾性のヤング係数)を有することによって、比較的高い剛性を顕す材料からなっている。いくつかの例では、エミュレーター本体110は、約または少なくとも85×106Psiの引張り応力を有する。いくつかの例では、エミュレーター本体110は、60%のファイバー容積を持ったカーボンファイバー補強されたエポキシ積層板からなっている。エミュレーター本体110は、高いカーボン内容量により静電放電要求(例えば、ANSI/ESD S 20.20)を満たす。いくつかの例では、エミュレーター本体110の第一の屈曲モードは、8kHzより大きなところで起こる。格納装置テストシステムによって与えられた振動を増幅または拡大し得る比較的低い剛性を有するアルミニウム(例えば、約10×106Psiの引張り応力を有する)または鋼鉄(例えば、約30×106Psiの引張り応力を有する)から全般的になっている典型的なディスクドライブ本体とは異なり、比較的硬いエミュレーター本体110は、実質的に変えられていない振動を直接振動センサーに移す。これは、振動に貢献することなくテストスロット10中にある間に格納装置エミュレーター100によって経験される振動を測定することを、格納装置エミュレーター100に許容する。一つの実装では、エミュレーター本体110は、約8kHz以上において共鳴の第一モードを有し、それは約10Hzから約8kHzまでのデータの記録を許容する。別の実装では、エミュレーター本体110は、約5kHz以上において共鳴の第一モードを有し、それは約5kHzまでのデータの記録を許容する。いくつかの典型的な格納装置本体は約400Hzにおいて共鳴する。いくつかの実装では、エミュレーター本体110は、約0.420lb(191g)の重さと、約1.0lb*in2(0.29gm*m2)のエミュレーター本体110の重心CG周りの質量モーメントIxxと、約2.2lb*in2(0.65gm*m2)の重心CG周りの質量モーメントIyyと、約3.1lb*in2(0.92gm*m2)の重心CG周りの質量モーメントIzzと、を有する。
いくつかの実装では、エミュレータ−本体110は、例えば、特定のディスクドライブまたは格納装置を真似るように、格納装置エミュレーター100の重さ、質量および/または重心を変えるための重し200を受け取るように構成された少なくとも一つの重し受け取り器114(例えば、クリップのような、開口、空洞および/またはファスナー)を含むかまたは規定する。重し200は、エミュレーター100の特定の質量分布および/または重心を提供するようにエミュレーター本体110上に配置されても良い。いくつかの例では、エミュレーター本体110はまた、重し受け取り器114と交差する(例えば、直角にまたはある角度で)ねじ付き穴116を規定する。ねじ付き穴116は、重し200を重し受け取り器114中にしっかりと取り付けること、および/または格納装置エミュレーター100の重さ、質量および/または重心を変えることに使用されても良いセットスクリュー202を受け取るように構成されている。例えば、接着剤、フック、ループファスナー、クリップ、干渉フィット等のような、但しそれらに限定はされない、重し200を重し受け取り器114中にしっかり固定するかまたはしっかり取り付けるその他の手段が使用されても良い。示された例では、エミュレーター本体110は8個の重し受け取り器114を規定する。重し受け取り器114は、特定のパターン(例えば、多角形、星等)でお互いから等距離に、または実際の格納装置のエリアに対応するエミュレーター本体110の或る領域(例えば、モーター領域、回路領域、コネクター領域、格納装置ヘッド領域等)において、配置されても良い。重し200は、特定の本物の格納装置と同様または同一の重さ、質量および/または重心を提供するようにエミュレーター本体110に追加されても良く、従って本物の格納装置のそれと実質的に同様のシミュレートされた環境下でのテストを許容する。例えば、重し200は、特定の格納装置の質量、質量分布および/または重心を複製しても良い。
いくつかの実装では、エミュレーター本体110は、約70ミリの幅と、約9.5ミリと約19ミリの間の高さを有する。エミュレーター本体110は、固体で一体の構造物であっても良く、各振動センサー120(例えば、加速度計)のための凹み112を規定する。他の例では、エミュレーター本体110は、振動センサー120を収容するシェルであっても良い。示された例では、エミュレーター本体110は、第一、第二、第三、第四の振動センサー120A、120B、120C、120Dを受け取るための第一、第二、第三、第四の凹み112A、112B、112C、112Dを規定する。振動センサー120A、120B、120C、120Dは、お互いから等距離に配置されているように示されているが、振動を経験または生成しがちな実際の格納装置のエリアに対応するエミュレーター本体110の或る領域(例えば、モーター領域)中に振動センサー120を置くというようなその他の配置も可能である。いくつかの例では、図7−8に対して以下で説明されるように、振動センサー120A、120B、120C、120Dはエミュレーター本体110の各隅に置かれる。図5に示された例では、第一、第二、第三、第四の振動センサー120A、120B、120C、120Dはエミュレーター本体110上に配置され、エミュレーター本体110によって規定された縦および横軸103、105に沿って、エミュレーター本体110の幾何学的中心Cまたは重心CGと一致していても良い縦および横軸103、105の交差点から約2インチ(51ミリ)の間隔を空けられている。上述した通り、重心CGを変える(例えば、重心CGをエミュレーター本体110の幾何学的中心Cから移動する)ように重し200がエミュレーター本体110に取り付けられても良い。
図7−8に描かれた例では、エミュレーター本体110は、内側上および下表面1102、1104と、インターフェースコネクター130をサポートしている内側前表面1106と、内側後表面1108と、内側左右側表面1107、1109を有する。振動センサー120は、典型的に振動を発生および/または経験する実際の格納装置の位置に対応する位置においてエミュレーター本体110中に配置されても良い。図7−8は、エミュレーター本体110内側での振動センサー120の例示的配置を描いている。2つの振動センサー120T1、120T2は、内側前本体表面1106に隣接する各隅の近くで内側上本体表面1102上に配置される。同様に、2つの振動センサー120B1、120B2は、内側前本体表面1106に隣接する各隅の近くで内側下本体表面1104上に配置される。一つの振動センサー120M1は、エレクトロニクス領域140中の内側下本体表面1104上に配置される。一つの振動センサー120M2は、モーター領域150中の内側上本体表面1102上に配置される。内側上本体表面1102と下本体表面1104上の隅にそれぞれ配置された振動センサー120T4と120B4もまたヘッド領域160中にある。振動センサー120は、データを記録するための本物の格納装置中の部品の領域に対応していてもしていなくても良いその他の位置に置かれても良い。
振動センサー120は、エミュレーター本体110によって経験された振動を測定するように構成されている。いくつかの実装では、振動センサー120は、三軸加速度計(例えば、3つの軸に沿った動きを測定する)である一方、他の実装では、振動センサー120は特定の軸に沿った振動を測定する単軸加速度計である。振動センサー120のペアが、回転振動を計算するのに使用されても良い。いくつかの例では、振動センサー120は、動きの6つの自由度(例えば、X、Y、Z、θX、θY、θZ)を測定することができる。使用され得る加速度計の例には、San Juan Capistrano, CAのEndevcoから入手可能なEndevco Tri-ax 6612A TEDS加速度計や、Chatsworth, CAのDytranから入手可能なDytran Tri-ax 3233A地震型加速度計が含まれる。Endevco Tri-ax 6612A TEDS加速度計は、中くらいの100mV/Gの感度と、1Hz〜10kHzの応答レンジと、+/-200Gのピークと、25kHzの共鳴を提供する。Dytran Tri-ax 3233A加速度計は、良好な1000mV/Gの感度と、0.4〜3000Hzの応答レンジと、+/-5Gのピークと、20kHzの共鳴を提供する。
図2−3を再度参照すると、インターフェースコネクター130は、テストスロットコネクター14と嵌め合うように構成され、ユニバーサル非同期受信機/送信機コネクターであっても良い。インターフェースコネクター130は、本物の格納装置をエミュレートするようにテストスロット10との機械的接続点を提供するが、テストスロット10と格納装置エミュレーター100の間のいかなる通信も提供はしない。格納装置エミュレーター100は、いくつかの例では、本物の格納装置と同じテストスロット10との機械的接続点および/または接触点を有するように構成されている。これは、本物の格納装置によって経験されたものと殆ど同様な条件の下での振動を測定することを、格納装置エミュレーター100に許容する。
格納装置テストシステム5のテストスロット10を有効化する方法は、格納装置エミュレーター100とテストスロット10の間に接続を確立することと、テストスロット10上で診断テストを行うこと(例えば、上述した格納装置エミュレーター100の振動センサー120を介して)と、を含む。診断テストは、格納装置エミュレーター100の少なくとも一つの領域の振動レベルを監視することを含む。
数々の実装が記載された。それにも拘らず、開示の精神と範囲から逸脱することなく様々な変形がなされても良いことが理解されるであろう。従って、その他の実装は以下の請求項の範囲内である。