JP2011514430A - 低レニウムニッケル基超合金組成物及び超合金物品 - Google Patents

低レニウムニッケル基超合金組成物及び超合金物品 Download PDF

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Abstract

低レニウムニッケル基超合金組成物、及び超合金組成物から形成される物品を提供する。ニッケル基超合金組成物は、重量パーセントで、Cr約5−8、Co約6.5−9、Mo約1.3−2.5、W約4.8−6.8、Ta約6.0−7.0、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.0−6.4、Re約1−2.3、存在するならばHf約0.6以下、存在するならばC約0−1.5、存在するならばB約0.015、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む。例示的組成物は、約0.3未満の、Wの重量%及びMoの重量%の合計に対するReの重量%で定義されるRe比率を特徴とする。例示的物品としては、ガスタービンエンジンの翼又は羽根の翼部材、ノズル、シュラウド及びスプラッシュプレートが挙げられる。
【選択図】図1

Description

本発明は概して、ニッケル基超合金及びニッケル基超合金を含む製品に関する。開示の実施形態は、回転タービン翼等の、航空エンジンの最も熱く最も厳しい部位に配置される物品の使用に特に適する。開示の他の実施形態は、タービンのノズル及びシュラウド等の、クリープ制限のない用途への使用により適する。
ガスタービンエンジンの効率は様々なエンジン部品の動作温度に著しく依存しており、動作温度が高くなると効率が向上する。高い効率を探求することは、その構造的完全性を維持しながら更に高い温度に耐えることが可能な超合金の開発に通ずる。
ニッケル基超合金はタービンの翼、ノズル及びシュラウドの用途において航空エンジン全体に広く用いられる。エンジン性能の改善を目的とする航空エンジン設計は、より高い温度性能を持つ合金を必要とする。シュラウド及びノズルの用途は、翼用途と同程度の耐高温クリープ性を必要としないが、熱機械的損傷及び環境悪化に対する同様の耐性を必要とする。超合金は、その融点の90%までの強度を維持し、優れた環境抵抗を持つため、これらの厳しい用途に使用される。
単結晶(SC)超合金は、合金の組成及び性能における類似性に基づいて「第四世代」に分けられ得る。いわゆる「第一世代」SC超合金を明確に表す特徴は、合金化元素レニウム(Re)がないことである。例えば、米国特許第5,154,884号、第5,399,313号、第4,582,548号及び第4,209,348号はそれぞれ、実質的にReがない超合金組成物を開示する。
代表的なSCニッケル基超合金は、Co6.0−7.0%、Cr7.0−8.0%、Mo1.8−2.2%、W5.0−6.5%、Ta7.5−8.5%、Al5.1−5.5%、Ti1.0−1.4%、B最大0.01%、Zr最大0.01%及び残部が原則的にNi及びCであり、Cは最大0.01%(100ppm)と特定される組成を有するAM1として当該技術分野で公知である。Rene N4超合金及びAM1超合金の2150°Fでのマッハ1速度サイクル酸化試験データを、比較するために添付の図面において提供する。
超合金組成物への約3重量%のReの追加は、クリープ破断性能において約50°F(28℃)の改善及び付随する疲労に対する効果をもたらすことが発見された。CMSX−4、PWA−1484及びRene N5等の合金製品は全て約3重量%のReを含む。これらの「第二世代」合金は、例えば米国特許第4,719,080号、第4,643,782号、第6,074,602号及び第6,444,057号に開示される。
米国特許第4,719,080号は、P=−200Cr+80Mo−20Mo−250Ti−50(Ti×Ta)+15Cb+200W−14W+30Ta−1.5Ta+2.5Co+1200Al−100Al+100Re+1000Hf−2000Hf+700Hf−2000V−500C−15000B−500Zrで定義される「P値」と呼ばれる組成成分間の関連性を開示している。この特許は、より高い「P値」が、安定性、熱処理性並びに酸化及び腐食に対する耐性と相まって高い強度と相関することを強調している。特に、この特許で開示される超合金組成物は、3360よりも高い「P値」に制約される。
米国特許第6,074,602号は、単結晶鋳造に適したニッケル基超合金に関する。ここで開示される超合金は、重量%で、Cr5−10、Co5−10、Mo0−2、W3−8、Ta3−8、Ti0−2、Al5−7、Re6以下、Hf0.08−0.2、C0.03−0.07、B0.003−0.006、Y0.0−0.04、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む。これらの超合金は、第一世代ニッケル基超合金と比較すると、応力破断強度並びに低サイクル及び高サイクル疲労特性に基づく温度性能の上昇を示す。更にこの超合金は、サイクル酸化劣化及び高温腐食に対して第一世代超合金より良い耐性を示す。
米国特許第5,151,249号、第5,366,695号、第6,007,645号及び第6,966,956号は、第三及び第四世代の超合金に関する。一般に、第三世代超合金は約6重量%のReを含むことを特徴とし、第四世代超合金は約6重量%のRe並びに合金化元素Ruを含む。これらの超合金組成物は、機械的性能の点でRe添加の増加の意義を示す。
第一世代SC超合金は、熱的・機械的損傷(TMF)に対する耐性、あるいはタービンのノズル及びシュラウド等の多くの高温部品において必要な環境抵抗を持たない。また、第一世代SC超合金は、これらの部品の許容可能な耐高温酸化性を持たない。
現在、航空エンジンは、増加する高温部の用途に、主に第二世代の超合金を用いている。合金化元素Reはこの種類の超合金で知られる最も強力な固溶体強化剤であるため、合金化添加物として、SC及び柱状粒子一方向凝固(DS)超合金に広く用いられている。第二世代超合金は、満足できる機械特性によりバランスのとれた非常に優れた高温酸化性能を示す。
低Re含量の公知の超合金組成物は、第二世代超合金から得られる性能を提供できていない。特に、米国特許第4,719,080号において、2.9%未満のReを有するある合金(すなわち、B1)のデータは、第一世代、すなわちReを含まない超合金と同程度の特性を示す。従って、超合金組成物の開発において、少なくとも3重量%のReを用いて、耐酸化性及び高温強度の満足できるバランスを得られる傾向がある。
しかしながら、原料のコスト及び特にReの世界的不足により、第二世代超合金の立証された機械特性の改善及び耐酸化性を提供できる超合金組成物を、低いRe水準、好ましくは0%であるが、開発する上での課題が生じる。これまで、第二世代の特性は、3重量%未満のReを有するニッケル基超合金において達成されてない。
日本国特開2008−041566A号
従って、必要な高温特性を有する単結晶及び一方向凝固物品を提供できる3重量%未満のRe含量のニッケル基超合金を提供することが望ましい。
上述の1つ又は複数のニーズは、第二世代(すなわち3重量%Re)超合金組成物に比べて少ないRe含量で、必要な熱機械特性、クリープ強度及び耐酸化性を提供できるニッケル基超合金組成物を提供する例示的実施形態により満たされる。
一例示的実施形態は、重量パーセントで、Cr約5−8、Co約6.5−9、Mo約1.3−2.5、W約4.8−6.8、Ta約6.0−7.0、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.0−6.4、Re約1−2.3、存在するならばHf約0.6以下、存在するならばC約0−1.5、存在するならばB約0.015、残部としてニッケル及び不可避不純物を含み、Wの重量%及びMoの重量%の合計に対するReの重量%で定義されるRe比率が約0.3未満である、ニッケル基超合金組成物を提供する。
一例示的実施形態は、重量パーセントで、Cr約5−8、Co約6.5−9、Mo約1.3−2.5、W約4.8−6.8、Ta約6.0−7.0、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.0−6.4、Re約1−2.3、存在するならばHf約0.6以下、存在するならばC約0−1.5、存在するならばB約0.015、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む超合金を含むニッケル基単結晶物品を提供する。
一例示的実施形態は、Cr約5−8、Co約6.5−9、Mo約1.3−2.5、W約4.8−6.8、Ta約6.0−7.0、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.0−6.4、Re約1−2.3、存在するならばHf約0.6以下、存在するならばC約0−1.5、存在するならばB約0.015、残部としてニッケル及び不可避不純物からなり、Wの重量%及びMoの重量%の合計に対するReの重量%で定義されるRe比率が約0.3未満であるニッケル基超合金組成物から鋳造されたガスタービンエンジン部品を提供する。
本発明と見なされる主題は特に、明細書の末尾で指摘され、明確に主張される。しかし、本発明は、添付図面と併せて以下の記載を参照することにより最も良く理解される。
比較の持続ピーク低サイクル疲労(SPLCF)特性のグラフである。 比較の2150°Fでのマッハ1速度サイクル酸化試験データのグラフである。 比較の2000°Fでのマッハ1速度サイクル酸化試験データのグラフである。 比較の2150°Fでのマッハ1速度サイクル酸化試験データのグラフである。 約3重量%のRe含量を有する第二世代ニッケル基超合金に正規化した2100°F/10ksiでのクリープ破断データのグラフである。 約3重量%のReを有する第二世代ニッケル基超合金に正規化した1600°F、1800°F、2000°F及び2100°Fでのクリープ破断データのグラフである。 約3重量%のReを有する第二世代ニッケル基超合金に正規化した2000°F及び1600°FでのSPLCFデータのグラフである。 約3重量%のReを有する第二世代ニッケル基超合金に正規化した2000°FでのSPLCFデータのグラフである。 例示的なガスタービンエンジンのタービン翼の概略図である。
いくつかの図全体を通して同一符号が同じ要素を示す図面を参照すると、図9は、ガスタービン翼22として示されるガスタービンエンジンのコンポーネント品20を示す。ガスタービン翼22は、翼24と、V字型の継ぎ手の形でガスタービン翼22をタービンディスク(図示せず)に取り付ける取り付け具26と、翼24及び取り付け具26の中間に介在する横方向に伸びる基盤28とを含む。一例示的実施形態において、コンポーネント品20は実質的に単結晶である。つまり、コンポーネント品20は、少なくとも約80容量%、より好ましくは約95容量%であり、単結晶方位を持つ単一結晶粒である。他の結晶方位の微量画分及び小傾角粒界に分離された領域もある。単結晶構造は、当業者に公知の方法で合金組成物の一方向凝固で作られる。別の例示的実施形態において、コンポーネント品20は一方向に配向した多結晶であり、多結晶では全てが普通に配向した好ましい成長方向を有する少なくともいくつかの粒子がある。
本明細書で述べる合金組成物の使用は、ガスタービン翼22に限定されず、ガスタービン羽根、ガスタービンエンジンで用いられない物品等の他の物品において用いられ得る。
本明細書で開示する実施形態は、有害作用を最小限にしながら、組成物の熱機械特性、クリープ強度、及び耐酸化性への様々な合金化元素の寄与のバランスをとる。特に断りのない限り、全ての値は重量パーセントで表される。
例えば、本明細書で開示するある実施形態は、少なくとも約5%のクロミウム(Cr)を含む。約5%未満の量では耐高温腐食性を低下させる。約8%を超える量では位相稠密(TCP)相の不安定及び低い耐サイクル酸化性をもたらす。
本明細書で開示するある実施形態は、少なくとも約6.5%から約9%のコバルト(Co)を含む。本明細書で開示する他の実施形態は、約7%から約8%のCoを含む。より低量のコバルトは合金の安定性を低下させる。より多量になるとガンマプライムソルバス温度を下げ、ひいては高温強度及び耐酸化性に影響する。
本明細書で開示するある実施形態は、約1.3%から2.5%のモリブデン(Mo)を含む。他の実施形態では、約1.3%から約2.2%のMoを含む。固溶体強化をするのには最低値で十分である。最大を超える量では表面不安定性をもたらす。より多量のMoはまた、高温腐食性及び耐酸化性の両方に悪影響を与える。
本明細書で開示するある実施形態は、約4.75%から約6.75%のタングステン(W)を含む。より低量のWは強度を低下させる。より多量になるとTCP相形成に関して不安定性を生じる。より多量になると更に、酸化能力を下げる。
本明細書で開示するある実施形態は、約6.0%から約7.0%のタンタル(Ta)を含む。他の実施形態では、約6.25%から約6.5%のTaを含む。
本明細書で開示するある実施形態は、約6.0%から約6.5%のアルミニウム(Al)を含む。他の実施形態では、約6.2%から約6.5%のAlを含む。
本明細書で開示するある実施形態は、約0.5%以下のチタン(Ti)を含む。チタンは強力なガンマプライム硬化剤である。任意のTi添加はガンマプライム相を強化し、クリープ性能を改善できる。しかしながら、Tiの添加により、特に約0.5%より高い水準の添加により、耐酸化性は悪影響を受け得る。
本明細書で開示するある実施形態、特に最高温度での用途(すなわちタービン翼)で使用する組成物は、約1.0%から約2.3%のレニウム(Re)を含む。これらの水準のReの添加は、超合金の所望の耐高温クリープ性を提供する。Reはガンマ相に分割する強力な固溶体強化剤である。Reはゆっくり拡散し、このことがガンマプライム相の粗大化を制限する。
本明細書で開示するある実施形態は、約0.15%から約0.6%のハフニウム(Hf)を含む。ハフニウムを利用して被覆合金の耐酸化性及び耐高温腐食性を改善し、塗布された遮熱コーティングの耐用期間を改善する。約0.7%のハフニウム添加は良好であるが、約1%を超える添加は、応力破断特性及び初期の融点に悪影響を与える。
本明細書で開示するある実施形態は、約0.004%以下のボロン(B)を含む。Bは小傾角粒界にひずみを与え、小傾角粒界を有する成分の許容限度を高める。
ある実施形態において、炭素(C)は約0.03%から約0.06%存在する。下限で十分なCを供給して、より純粋な融合金を可能にし、耐腐食性の促進を助長する。
ある実施形態において、希土類元素添加物、すなわちイットリウム(Y)、ランタン(La)及びセリウム(Ce)を、任意で約0.03%以下供給する。これらの添加物は、アルミナ保護膜の保持を高めることにより耐酸化性を改善する。より多量では、鋳肌において鋳型/溶湯の反応を促進し、成分介在物含有量を増加する。
ある例示的実施形態では、単結晶物品を製造するのに利用されるニッケル基超合金が挙げられ、この超合金は、重量パーセントで、Cr5−8、Co6.5−9、Mo1.3−2.5、W4.8−6.8、Ta6.0−7.0、Ti0.05−0.5、Al6.0−6.4、Re1.0−2.3、Hf0.15−0.6、C0−1.5、B0−0.015、ニッケル及び不可避不純物を含む残部を含む。
ある例示的実施形態では、組成で、Cr6.0、Co7.5、Mo2.0、W6.0、Ta6.5、Ti0、Al6.2、Re1.5、Hf0.15−0.6、C0.03−0.06、B0.004、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む、ニッケル基超合金組成物が挙げられる。
例示的実施形態では、単結晶物品を製造するのに利用されるニッケル基超合金が挙げられ、この超合金は、Cr約6−7、Co約7.5、Mo約1.5−2.0、W約5−6.5、Ta約6.5、任意のTi約0.5以下、Al約6.2、Re約1−2.3、Hf約0.15−0.6、C約0.03−0.05、B約0.004、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む。これらの例示的実施形態のいくつかは、3360未満のP値を更に特徴とし、P値は上述の関係により決定される。例示的実施形態において、P値は3245未満である。他の例示的実施形態において、P値は約2954から約3242に広がる。
本明細書で開示する例示的実施形態は、本明細書においてWの重量%にMoの重量%を加えた合計に対するReの重量%で定義される「Re比率」を特徴とする。そのため、本明細書で開示するある実施形態は、高温強度を改善する強力な強化剤であるReの量を、ガンマ強化難揮発性元素であるW及びMoの量と比較する。
本明細書で開示するある実施形態では、Mo、W及びReを含むニッケル基超合金組成物が挙げられ、Re比率は約0.30未満である。比較のために、Rene N5の組成は、W5%、Mo1.5%及びRe3.0%を含み、0.46のRe比率を生じる。PWA−1484の組成は、W6%、Mo2%及びre3%を含み、0.38のRe比率を生じる。CMSX−4の組成は、W6%、Mo0.6%及びRe3%を含み、0.45のRe比率を生じる。
例えば、本明細書で開示する実施形態では、W約5から約6.5重量%、Mo約1.5から約2重量%及びRe約1から約2.3重量%を含むニッケル基超合金組成物が挙げられ、Re比率は0.30未満、より好ましくは0.27未満、より好ましくは0.25未満である。
本明細書で開示する例示的実施形態では、約2.5重量%未満のRe、並びにRe比率が0.30未満になるような量のW及びMoを含むニッケル基超合金組成物が挙げられ、関連のP値が約3360未満、より好ましくは約3245未満である。
本明細書で開示するある実施形態は、Rene N5、PWA−1484及びCMSX−4に関するデータと同程度のクリープ破断、耐高温酸化性又は持続ピーク低サイクル疲労耐性のうち少なくとも1つを提供し、超合金組成物がRe3%未満、より好ましくはRe2.3%未満、より好ましくはRe2%以下を含み、Re比率は0.3未満である。
本明細書で開示するある実施形態では、例えば、C(0.06−0.11%)、B(0.008−0.015%)及びHf(約1.5%以下)を増量した実施形態を含む、柱状粒子一方向凝固超合金において特に有用であるニッケル基超合金が挙げられる。
以下の表1は、例示的組成、関連のRe比率、及びP値を示す。各組成の値は重量%で示され、残部はニッケル及び不可避不純物である。比較のために、Rene N5の組成、Re比率及びP値を示す。
以下の表2は、別の例示的組成、関連のRe比率、及び第二世代(すなわちRe3%)ニッケル基超合金に正規化したクリープ破断(CR)データを示す。表2の例示的組成は、所望のクリープ破断強度を提供できる約1重量%のReを有する組成物を示す。第二世代合金(Re3重量%)と第一世代合金(Re0重量%)とを比較した表2のデータを、図8に示す。
Figure 2011514430
Figure 2011514430

図1は、第一世代超合金を超え、より第二世代超合金と同程度の、本明細書で開示するある実施形態の持続ピーク低サイクル疲労(SPLCF)特性の改善を示す。第一世代SC超合金は、多くの高温部品において必要な、熱的・機械的損傷(TMF)に対する耐性を持たない。SPLCFは特性の独特な組み合わせにより促進され、その特性のうちの1つが耐酸化性である。SPLCF又はTMF性能は、部品内での温度勾配のため、冷却された機械設備にとって重要である。
図2は、2150°Fでのマッハ1速度サイクル酸化試験の経時的な重量損失を示すデータの比較のグラフであり、本明細書で開示するある実施形態の耐酸化性の改善を示す。
図3は、2000°Fでのマッハ1速度サイクル酸化試験の経時的な重量損失を示すデータの比較のグラフであり、本明細書で開示するある実施形態の耐酸化性の改善を示す。
図4は、2150°Fでのマッハ1速度サイクル酸化試験の経時的な重量損失を示すデータの比較のグラフであり、本明細書で開示するある実施形態の耐酸化性の改善を示す。
図5は、約3重量%のRe含量を有する第二世代ニッケル基超合金に正規化した2100°F/10ksiでのクリープ破断データのグラフである。本明細書で開示するある実施形態は、第二世代超合金と比較しても遜色なく、第一世代超合金に対して顕著な改善を示す。ガンマプライム相の安定性は、特に2100°Fを超える温度で、特性の改善に寄与すると考えられる。本明細書で開示するある組成において、2150°Fでのガンマプライム相の体積分率は第二世代超合金に匹敵する約46%であり、一般に第一世代超合金よりも大きい。ガンマプライム相の相対安定性はSPLCF耐性のためになり、2100°Fでのクリープ破断特性に良い影響を与える。
第二世代ニッケル基超合金に正規化したクリープ破断データは、本明細書で開示する低Re含量の実施形態が第一世代超合金よりも第二世代超合金と同等であることを示す。合金5−合金14(表1)の1600°F、1800°F、2000°F及び2100°Fでの正規化クリープ破断データを図6に示す。
図7は、約3重量%のReを有する第二世代ニッケル基超合金に正規化した2000°F及び1600°FでのSPLCFデータのグラフである。
図8は、約3重量%のReを有する第二世代ニッケル基超合金に正規化した2000°FでのSPLCFデータのグラフである。
本明細書で開示する超合金組成物は、第二世代超合金で製造した物品と同程度の温度性能を有する単結晶物品を製造するのに使用される。そのように製造された物品は、ガスタービンエンジンの部品である。このような物品は、ガスタービンエンジンの翼又は羽根の翼部材である。そのように製造された物品は、ノズル、シュラウド、スプラッシュプレート又は他の高温部品である。
本明細書で開示するある実施形態は、航空ガスタービンエンジンの高温部品、特に回転翼として、一方向凝固される際に特に有益である。
本明細書で開示する製品の製造方法は、ニッケル、コバルト、クロミウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、タンタル、任意のチタン、3重量%未満のレニウム、任意のハフニウム、任意の炭素、任意のイットリウム、セシウム及びランタンの1つ又は複数を含む原料から、開示の実施形態に記載の化学組成を有するニッケル基単結晶超合金元素材料を用意することを含む。超合金元素材料は、適当な熱処理及び適当なその後の鋳造工程を受ける。
従って、本明細書で開示する超合金組成物は、組成成分の寄与のバランスを取ることにより、少ないRe含量で所望の熱機械特性、クリープ強度、及び耐酸化性を提供する。
本明細書は、最良の実施形態を含む例を用いて本発明を開示し、当業者が本発明を実行し、利用することができるようにするものである。特許可能な本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例を含む。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有する場合又は特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない同等の構造的要素を含む場合に、特許請求の範囲内に含まれることを意図している。

Claims (20)

  1. 重量パーセントで、Cr約5−8、Co約6.5−9、Mo約1.3−2.5、W約4.8−6.8、Ta約6.0−7.0、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.0−6.4、Re約1−2.3、存在するならばHf約0.6以下、存在するならばC約1.5以下、存在するならばB約0.015以下、存在するならばY、La及びCe並びにそれらの混合物より選択される希土類元素の合計約0.03以下、残部としてニッケル及び不可避不純物を含み、
    前記Wの重量%及び前記Moの重量%の合計に対する前記Reの重量%で定義されるRe比率が約0.3未満である、ニッケル基超合金組成物。
  2. 重量パーセントで、Cr約6−7、Co約7.5、Mo約1.5−2.0、W約5−6.5、Ta約6.5、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.2、Re約1.3−2.2、Hf約0.15−0.6、C約0.03−0.05、B約0.004、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む、請求項1に記載のニッケル基超合金組成物。
  3. 重量パーセントで、Cr約6.0、Co約7.5、Mo約2.0、W約6.0、Ta約6.5、Ti約0、Al約6.2、Re約1から約1.5、Hf約0.15から0.6、C約0.03から0.06、B約0.004、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む、請求項1に記載のニッケル基超合金組成物。
  4. 重量パーセントで、Cr約6−7、Co約7.5、Mo約1.5−2.0、W約5−6.5、Ta約6.5、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.2、Re約0−2、Hf約0.15−0.6、C約0.03−0.05、B約0.004、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む、請求項1に記載のニッケル基超合金組成物。
  5. 前記Re比率は約0.27未満である、請求項1に記載のニッケル基超合金組成物。
  6. 3360以下のP値を特徴とし、前記P値は、P=P=−200Cr+80Mo−20Mo−250Ti−50(Ti×Ta)+15Cb+200W−14W+30Ta−1.5Ta+2.5Co+1200Al−100Al+100Re+1000Hf−2000Hf+700Hf−2000V−500C−15000B−500Zrで定義される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のニッケル基超合金組成物。
  7. 前記P値は約2954から約3242の範囲にある、請求項6に記載のニッケル基超合金組成物。
  8. 前記超合金組成物は、少なくとも約3重量%のReを有する超合金組成物と同程度の、1600°F及び2000°Fでの持続ピーク低サイクル疲労(SPLCF)特性を達成できる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のニッケル基超合金組成物。
  9. 前記超合金組成物は、少なくとも約3重量%のReを有する超合金組成物と同程度の、2000°F及び2150°Fでのマッハ1速度サイクル酸化特性を達成できる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のニッケル基超合金組成物。
  10. 前記超合金組成物は、少なくとも約3重量%のReを有する超合金組成物と同程度の、2100°F以下の温度でのクリープ破断強度特性を達成できる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のニッケル基超合金組成物。
  11. 重量パーセントで、Cr約5−8、Co約6.5−9、Mo約1.3−2.5、W約4.8−6.8、Ta約6.0−7.0、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.0−6.4、Re約1−2.3、存在するならばHf約0.6以下、存在するならばC約0−1.5以下、存在するならばB約0.015以下、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む超合金を含むニッケル基単結晶物品。
  12. タービンの翼、羽根、ノズル、シュラウド及びスプラッシュプレートからなる群より選択される少なくとも1つの部材である、請求項11に記載のニッケル基単結晶物品。
  13. 前記超合金は、前記Wの重量%及び前記Moの重量%の合計に対する前記Reの重量%で定義される、約0.3未満のRe比率を持つ、請求項11又は12に記載のニッケル基単結晶物品。
  14. 前記超合金は、少なくとも約3重量%のレニウムを有する超合金と同程度のクリープ破断、耐高温酸化性又は持続ピーク低サイクル疲労耐性のうち少なくとも1つを提供する、請求項11乃至13のいずれか1項に記載のニッケル基単結晶物品。
  15. 前記超合金は、重量パーセントで、Cr約6−7、Co約7.5、Mo約1.5−2.0、W約5−6.5、Ta約6.5、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.2、Re約1.3−2.2、Hf約0.15−0.6、C約0.03−0.05、B約0.004、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む、請求項11乃至14のいずれか1項に記載のニッケル基単結晶物品。
  16. 前記超合金は、重量パーセントで、Cr約6.0、Co約7.5、Mo約2.0、W約6.0、Ta約6.5、Ti約0、Al約6.2、Re約1から約1.5、Hf約0.15から0.6、C約0.03から0.06、B約0.004、残部としてニッケル及び不可避不純物を含む、請求項11乃至14のいずれか1項に記載のニッケル基単結晶物品。
  17. Cr約5−8、Co約6.5−9、Mo約1.3−2.5、W約4.8−6.8、Ta約6.0−7.0、存在するならばTi約0.5以下、Al約6.0−6.4、Re約1−2.3、存在するならばHf約0.6以下、存在するならばC約0−1.5以下、存在するならばB約0.015、残部としてニッケル及び不可避不純物からなり、
    前記Wの重量%及び前記Moの重量%の合計に対する前記Reの重量%で定義されるRe比率が約0.3未満であるニッケル基超合金組成物から鋳造されたガスタービンエンジン部品。
  18. 単結晶物品として鋳造された、請求項17に記載のガスタービンエンジン部品。
  19. 一方向凝固物品である、請求項17又は18に記載のガスタービンエンジン部品。
  20. ガスタービンエンジンの翼又は羽根の翼部材、ノズル、シュラウド及びスプラッシュプレートからなる群の少なくとも1つの部材である、請求項17乃至19のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン部品。
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