発明の詳細な説明
開示の方法および組成物を、以下の本明細書中に含まれる特定の実施形態の詳細な説明および実施例ならびに図面およびその前後の説明を参照してより容易に理解することができる。
本発明の化合物、組成物、物品、デバイス、および/または方法を開示および説明する前に、他で特定しない限り特定の合成方法または特定の組換えバイオテクノロジー法に制限されないか、他で特定しない限り特定の試薬に制限されず、そのようなものとして、勿論、変動し得ると理解すべきである。本明細書中で使用される用語が特定の実施形態の説明のみを目的とし、制限することを意図しないことも理解すべきである。
A.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、文脈中で明確に別なふうに示されない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」には複数形が含まれる。したがって、例えば、「薬学的キャリア」という言及には、2つ以上のかかるキャリアの混合物などが含まれる。
範囲を、本明細書中で「約」1つの特定の値から、そして/または「約」別の特定の値までと示すことができる。かかる範囲を示す場合、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、前に「約」を使用することによって値を近似値として示す場合、特定の値が別の実施形態を形成すると理解されるであろう。各範囲の終点が共に他の終点と関連して有意であり、且つ他の終点と無関係に有意であることがさらに理解されるであろう。多数の数値が本明細書中に開示されており、各値は本明細書中で値自体に加えて「約」その特定の値としても開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。当業者によって適切に理解されるように、値をその値「以下」と開示する場合、「その値以上」およびその値の間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「10」を開示する場合、「10以下」および「10以上」も開示される。本出願を通して、データを多数の異なる形式で提供し、このデータは終点および起点ならびにデータポイントの任意の組み合わせの範囲を示すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント15を開示する場合、10および15を超えるか、10および15以上、10および15未満、10および15以下、および10および15、ならびに10と15との間が開示されると見なされると理解される。2つの特定の単位の間の各単位も開示されることも理解される。例えば、10および15を開示する場合、11、12、13、および14も開示される。
本明細書中および以下の特許請求の範囲中、多数の用語が参照され、これらは以下の意味を有すると定義するものとする。
「任意選択的な」または「任意選択的に」は、その後に記載される事象または環境が起こっても起こらなくてもよく、この記載にはこの事象または環境が起こる例および起こらない例が含まれることを意味する。
本出願を通して、種々の刊行物を参照する。これらの刊行物の開示全体が、これが属する技術水準をより完全に説明するために本出願に参考として援用される。開示のリファレンスはまた、文中で考察され、参照するのに値するリファレンス中に含まれる材料について本明細書中で参考として個別且つ具体的に援用される。
他で特定しない限り、開示の方法および組成物は特定の合成方法、特定の分析技術、または特定の試薬に制限されず、そのようなものとして変化し得ると理解すべきである。本明細書中で使用した用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、制限することを意図しないことも理解すべきである。
B.概要
組成物の細胞内送達、排出、および組織透過が可能な新規の技術的プラットフォームを本明細書中に開示する。送達は一般的であり得、目的の細胞または組織(腫瘍など)をターゲティングすることができる。組成物(ナノ粒子、薬物、検出可能なマーカー、および他の化合物が含まれる)およびそのペイロードの標的細胞への内在化ならびに標的組織への透過によってターゲティング効率を増大させることができるが、細胞型特異的内在化および組織型特異的透過は以前に達成できなかった。さらに、組成物が脈管外隙を透過する能力は、in vivoで組成物のターゲティング効率を制限する主な要因である。ファージおよび遊離ペプチドの細胞への効率の高い内在化をシグナル伝達する決定的な特徴としてC末端を有する簡潔なペプチドモチーフが同定された(図9は一例である)。この内在化現象は、「C末端則」または「CendR」と命名されている。C末端エレメントを曝露させるタンパク質分解は、内在化シグナルを誘発するスイッチとしての機能を果たすことができる。種々の組成物を、この機構によって内在化することができる。例えば、ホーミングペプチド媒介蓄積は、C末端エレメントを曝露する細胞型特異的タンパク質分解が起こり、それにより標的誘発性内在化が起こる高度に特異的的ホーミング系が可能な標的部位で起こり得る。CendR経路を、細胞からの目的の組成物の排出および組織へのその拡大のために使用することもできる。C末端エレメントは血管壁を介して移行することができ(例えば、静脈内注射から腫瘍組織に拡大し得る)、他の障壁(粘膜および血液脳関門など)にも及び得る。本明細書中で使用する場合、「組織透過」および「組織の透過」は、細胞の外層または第一層を超えるか通した、または組織膜を通した、組織内または組織を通した通過をいう。組織を介したかかる通過または透過(血管外遊出および組織透過ともいうことができる)は、細胞内在化および排出機能の両方の機能であり得る。本出願を通して、用語「組織透過」を使用する場合、かかる透過は体内の至る所で見出される他の障壁および膜(血液脳関門など)にも拡大することができると理解される。
公知の細胞透過性ペプチドと異なり、開示の内在化エレメントは位置依存性である−ペプチドのC末端以外の位置に存在する場合に不活性である。不顕性ペプチドを、例えば、適切なタンパク質分解酵素によって切断して、例えば、C末端のアルギニン、リジン、またはリジン−グリシンを曝露することによって活性化することができる。本出願を通して、用語「CendRエレメント」または「C末端エレメント」を使用する場合、この用語を使用して、C末端アルギニン、C末端リジン、またはC末端リジン−グリシン対(グリシンは最も遠いC末端位置に存在する)を説明する。言い換えれば、リジンがC末端に存在する場合、リジンのC末端側にグリシンを有するCendRエレメントは、機能的なままであり得る。しかし、リジンがグリシンなしで存在して依然として機能的であり得るように、リジン残基をC末端エレメントとして機能的にさせるために末端にグリシンを有する必要はない。しかし、グリシンに隣接するリジンが存在しないでグリシンがC末端エレメントとして機能することができないという点で逆は真ではない。最も遠いC末端位置に残存する限り、アルギニンはC末端エレメントとして機能するためにリジンやグリシンは必要ない。かかるCendRエレメントを、1型CendRエレメントということができる。
用語「CendRエレメント」または「C末端エレメント」を使用して、C末端ヒスチジンおよび配列X1X2X3X4(式中、X1はR、K、またはHであり得、X4はR、K、H、またはKGであり得、X2およびX3はそれぞれ独立して任意のアミノ酸であり得る)を有するアミノ酸配列を説明することもできる。かかるCendRエレメントを、2型CendRエレメントということができる。X2およびX3アミノ酸を特定の目的のために選択することができる。例えば、X2、X3、または両方を、プロテアーゼ認識配列の全部または一部を形成するために選択することができる。これは、例えば、後のX4アミノ酸の切断によって活性化される不顕性または潜在性CendRエレメントとしてCendRエレメントを有するペプチドを特定するか切断可能にするのに有用であろう。かかるアミノ酸の選択例を、表1および4に示す。X1、X2、およびX3アミノ酸を、例えば、細胞表面のNRP−1分子にさらなるタンパク質を動員するために選択することもできる。これを、例えば、CendRエレメント(ならびにCendRエレメントを含む結合体、タンパク質、およびペプチド)の選択性ならびに内在化および/または組織透過効力を調整するために適用することができる。任意選択的に、一定のアミノ酸を、X2、X3、または両方のための使用から排除することもできる。例えば、必要に応じて、GおよびDを、それぞれX2およびX3の同時使用から排除することができる。いくつかの2型CendRエレメントを、R/K/HXXR/K/H(配列番号50)およびR/K/HXXKG(配列番号51)と記載することもできる。
CendRエレメントの例には、
が含まれる。
このプロテアーゼ調節可能な内在化系は、細胞型特異的および/または組織型特異的取り込みなどの機能および組織中に組成物を拡大する能力を有する組成物の操作において有用であり得る。さらに、この規則は、複数の生物学的過程(ウイルス感染および食作用が含まれる)に関連し得る。ウイルスが天然に細胞感染のためにCendR経路を使用することができるので、CendRペプチドおよび/または結合体は、ウイルス感染過程の干渉に有用であり得る。
1つの例では、CendRペプチドをナノ医療で使用することができる。ナノ医療の主な目的の1つは、疾患の診断、モニタリング、および治療で複数の機能を果たすことによって単剤を凌ぐデバイスをデザインすることである。多機能性ナノ粒子の医学的使用におけるいくつかの主な問題を解決するための新規のテクノロジーを適用することができる。医学ナノテクノロジーの主な目的は、組織(細胞内部が含まれる)中の疾患をモニタリングすることができるナノデバイスを開発することである。かかるデバイスは、細胞内部をサンプリングした後に所見について折り返し報告するために元に戻るナノ粒子を含むことができる。これには細胞を排出する能力が必要である。それにもかかわらず、分泌のためのシグナル配列を欠く多数の細胞質タンパク質は、細胞から分泌される。この様式で挙動する細胞タンパク質の主要例は塩基性FGFである(Backhausら、2004)。VP22タンパク質はまた、特殊な様式で細胞を排出する。非ターゲティング細胞の排出シグナルを有する特性を与えられたナノ粒子は、粒子の非特異的毒性を軽減することができる。組織透過性ファージライブラリーを使用して、細胞からのナノ粒子排出を促進する分子シグナルを同定することができる。
1.CendRエレメントおよびその使用
細胞への内在化および/または組織の透過のためにアミノ酸配列を選択する工程であって、アミノ酸配列がC末端エレメントを含む工程、およびカーゴ組成物を選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させる工程であって、選択されたアミノ酸配列はタンパク質またはペプチドのC末端に存在し、CendR結合体はタンパク質またはペプチドおよび結合または会合したカーゴ組成物を含む工程、を含むCendR結合体を形成する方法を開示する。
本明細書中で定義する場合、C末端エレメントは、アルギニン、リジン、もしくはリジン−グリシン(1型CendRエレメントについて)、またはヒスチジンもしくは配列X1X2X3X4(式中、X1はR、K、またはHであり得、X4はR、K、H、またはKGであり得、X2およびX3はそれぞれ独立して任意のアミノ酸であり得る)を有するアミノ酸配列(2型CendRエレメントについて)のいずれかである。
本明細書中で使用する場合、「細胞への内在化のためのアミノ酸配列の選択」は、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞への侵入を得ることを特に意図するアミノ酸配列の選択、同定、デザイン、またはほかの分類をいう。したがって、例えば、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞への侵入を得ること以外およびアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞への侵入を得ることを意図しないいくつかの目的または能力のためのアミノ酸配列の選択は、「細胞への内在化のためのアミノ酸配列の選択」を構成しない。いくつかの目的または能力およびアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞への侵入を得るためのアミノ酸配列の選択は、「細胞への内在化のためのアミノ酸配列の選択」を構成する。したがって、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞への侵入を少なくとも特に意図するアミノ酸配列の選択が「細胞への内在化のためのアミノ酸配列の選択」を構成するというさらなる目標または目的の存在は変化しない。
本明細書中で使用する場合、「組織の透過のためのアミノ酸配列の選択」は、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの組織への侵入(すなわち、組織透過)を得ることを特に意図するアミノ酸配列の選択、同定、デザイン、またはほかの分類をいう。したがって、例えば、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの組織への侵入を得ること以外およびアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの組織への侵入を得ることを意図しないいくつかの目的または能力のためのアミノ酸配列の選択は、「組織の透過のためのアミノ酸配列の選択」を構成しない。いくつかの目的または能力およびアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの組織への侵入を得るためのアミノ酸配列の選択は、「組織の透過のためのアミノ酸配列の選択」を構成する。したがって、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの組織への侵入を少なくとも特に意図するアミノ酸配列の選択が「組織の透過のためのアミノ酸配列の選択」を構成するというさらなる目標または目的の存在は変化しない。
本明細書中で使用する場合、「細胞への内在化および/または組織の透過のためのアミノ酸配列の選択」は、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞または組織のいずれかまたはその両方への侵入を得ることを特に意図するアミノ酸配列の選択、同定、デザイン、またはほかの分類をいう。したがって、例えば、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞、組織、またはその両方への侵入を得ること以外およびアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞、組織、またはその両方への侵入を得ることを意図しないいくつかの目的または能力のためのアミノ酸配列の選択は、「細胞への内在化および/または組織の透過のためのアミノ酸配列の選択」を構成しない。いくつかの目的または能力およびアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞または組織のいずれかまたはその両方への侵入のためのアミノ酸配列の選択は、「細胞への内在化および/または組織の透過のためのアミノ酸配列の選択」を構成する。したがって、アミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドの細胞、組織、またはその両方への侵入を少なくとも特に意図するアミノ酸配列の選択が「細胞への内在化および/または組織の透過のためのアミノ酸配列の選択」を構成するというさらなる目標または目的の存在は変化しない。
本明細書中で使用する場合、何か他のものに「カーゴ組成物を共有結合させるか非共有的に会合させる」は、他の何かに共有結合や非共有的に会合していないカーゴ組成物が他の何かに共有結合したか非共有的に会合した状態になるかまたはなり始める任意の作用をいう。例として、カーゴ組成物の別のカーゴ組成物への共有結合は、他のカーゴ組成物に「カーゴ組成物を共有結合させるか非共有的に会合させる」を構成する。別の例では、存在しない概念として開始され、次いで、組成物の一部として合成される(カーゴ組成物が結合するか会合することが含まれる)カーゴ組成物は、物に「カーゴ組成物を共有結合させるか非共有的に会合させる」を構成する。例えば、目的のアミノ酸配列およびC末端エレメントを含むアミノ酸配列の両方を含むペプチドの合成は、C末端エレメントを含むアミノ酸配列にカーゴ組成物(目的のアミノ酸配列)を共有結合させるか非共有的に会合させることを構成する。しかし、一般に、目的のアミノ酸配列およびC末端エレメントを含むアミノ酸配列の両方を天然に含むタンパク質またはペプチドの合成を、C末端エレメントを含むアミノ酸配列に「カーゴ組成物を共有結合させるか非共有的に会合させる」過程として排除することができる。
本明細書中で使用する場合、「CendRエレメント」は、C末端のアルギニン、リジン、またはリジン−グリシン配列(1型CendRエレメントについて)、またはC末端ヒスチジンもしくは配列X1X2X3X4(式中、X1はR、K、またはHであり得、X4はR、K、H、またはKGであり得、X2およびX3はそれぞれ独立して任意のアミノ酸であり得る)を有するC末端アミノ酸配列(2型CendRエレメントについて)を有するアミノ酸配列をいう。いくつかの2型CendRエレメントを、R/K/HXXR/K/H(配列番号50)およびR/K/HXXKG(配列番号51)と記載することもできる。X1、X2、およびX3アミノ酸を、細胞表面のNRP−1分子にさらなるタンパク質を動員するために選択することもできる。これを、例えば、CendRエレメント(ならびにCendRエレメントを含む結合体、タンパク質、およびペプチド)の選択性ならびに内在化および/または組織透過効力を調整するために適用することができる。CendRエレメントは、例えば、C末端エレメントを有するアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドを含むことができるか、C末端エレメントを有するアミノ酸配列からなるタンパク質またはペプチドを含むことができるか、C末端エレメントを有するアミノ酸配列からなり得る。任意選択的に、一定のアミノ酸を、X1X2X3X4形態のCendRエレメント中のX2、X3、または両方の使用から排除することもできる。例えば、必要に応じて、GおよびDを、それぞれX2およびX3としての同時使用から排除することができる。
CendRエレメントの例には、
が含まれる。
細胞に内在化することができるCendRエレメントを、内在化CendRエレメントということができる。組織を透過することができるCendRエレメントを、透過性CendRエレメントということができる。細胞に内在化し、且つ組織を透過することができるCendRエレメントを、内在化および透過性CendRエレメントということができる。文脈上他の意味を明確に示さない限り、「CendRエレメント」という言及は、これらのいずれか、個別、集合的、または任意の組み合わせのいずれかをいう。
本明細書中で使用する場合、「CendR結合体」は、アミノ酸配列がタンパク質またはペプチドのC末端に存在する、CendRエレメントを含むアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに会合したカーゴ組成物をいう。
本明細書中で使用する場合、「活性化可能なCendRエレメント」は、分子、部分、ナノ粒子、化合物、または他の組成物がCendR結合体の内在化および/または組織透過をブロックすることができ、且つ分子、部分、ナノ粒子、化合物、または他の組成物を除去することができる(例えば、末端カルボキシ基を曝露するため)、CendRエレメント(C末端エレメントの末端カルボキシル基など)に共有結合した分子、部分、ナノ粒子、化合物、または他の組成物を有するCendRエレメントをいう。例えば、活性化可能なCendRエレメントは、ペプチドのC末端上に存在することができ、CendRエレメントの内在化および/または組織透過を防止することができる。CendRエレメントに共有結合した分子、ナノ粒子、分子、化合物、または他の組成物を、「ブロッキング基」ということができる。例えば、ブロッキング基を、C末端のアルギニンもしくはリジンまたはCendRエレメントの他のC末端アミノ酸の末端カルボキシル基、CendRエレメントのC末端アミノ酸、またはC末端アミノ酸以外のCendRエレメントのアミノ酸に結合することができる。CendRエレメントの内在化および/または組織透過を防止することができる限り、ブロッキング基をCendRエレメント以外のCendR結合体の一部に結合するか会合することもできる。
活性化可能なCendRエレメントを、細胞への内在化、組織透過、またはその両方からブロックすることができる。一般に、活性化可能なCendRエレメントは、細胞への内在化および組織の透過からブロックされるであろう。かかる活性化可能なCendRエレメントを、活性化可能な内在化および透過性CendRエレメントということができる。しかし、いくつかの活性化可能なCendRエレメントを、組織透過のみまたは細胞への内在化のみからブロックすることができる。かかる活性化可能なCendRエレメントを、活性化可能な内在化CendRエレメント(細胞への内在化のみからブロックされるCendRエレメントについて)または活性化可能な内在化および透過性CendRエレメント(組織の透過のみからブロックされるCendRエレメントについて)ということができる。一般に、活性化可能である内在化CendRエレメントは、活性化可能な内在化CendRエレメントであろう。同様に、活性化可能である透過性CendRエレメントは、一般に、活性化可能な透過性CendRエレメントであろう。活性化可能である内在化および透過性CendRエレメントは、活性化可能な内在化および透過性CendRエレメントであろう。ブロッキング基の除去により、CendRエレメントが細胞に内在化するか、組織を透過するか、その両方を行うであろう。
「プロテアーゼ活性化可能なCendRエレメント」(または「プロテアーゼ活性化CendRエレメント」)は、ペプチド結合を介してブロッキング基がCendRエレメントに結合し、ペプチド結合をプロテアーゼによって切断することができる活性化可能なCendRエレメントをいう。プロテアーゼ活性化可能なCendRエレメント中のこのペプチド結合の切断により、CendRエレメントの細胞への内在化および/または組織透過が可能になる。1つの例では、切断可能な結合または不安定な結合を介してブロッキング基をCendRエレメントに結合することができる。切断可能な結合を、例えば、酵素または化合物によって切断することができる。活性化可能なCendRエレメント中の結合の切断または「不安定化」により、CendRエレメントの細胞への内在化および/または組織透過が可能になる。かかる切断または「不安定化」を、CendRエレメントの活性化ということができる。プロテアーゼ活性化可能なCendRエレメントは、活性化可能なCendRエレメントの一形態である。X1X2X3X4形態のCendRエレメントのX2およびX3アミノ酸を、特定の目的のために選択することができる。例えば、X2、X3、または両方を選択して、プロテアーゼ認識配列の全部または一部を形成することができる。これは、例えば、X4アミノ酸の後の切断によって活性化される不顕性または潜在性CendRエレメントとしてCendRエレメントを有するペプチドを特定または切断可能にするのに有用であろう。かかるアミノ酸の選択例を、表1および4に示す。有用なCendRエレメントクラスは非ブロックCendRエレメントおよび活性化可能なCendRエレメントからなり得る。このクラスは活性化可能でないブロックされたCendRエレメントが除外される。
有用なプロテアーゼには、塩基性残基のC末端側を切断する酵素(CendRエレメントのC末端残基が塩基性残基であり得る)およびその切断部位のC末端側の配列を認識する酵素(したがって、切断産物のC末端配列が自由に選択される)が含まれる。有用なプロテアーゼの例には、例えば、セリンプロテアーゼ(例えば、プラスミンおよびプラスミノゲン(pasminogen)アクチベーターが含まれる)、プロタンパク質コンバターゼ(例えば、Duckertら、Prediction of proprotein convertase cleavage sites Protein engineering Design and Selection 17(1):107−112(2004)を参照のこと)、フューリン、およびカルボキシペプチダーゼが含まれる。セリンプロテアーゼは、癌細胞および腫瘍をターゲティングするCendRエレメントおよびCendR結合体に特に有用である。塩基性残基のC末端側を切断する酵素の例には、Arg−Cプロテアーゼ(アルギニン残基のC末端側を切断する;Keil,Specificity of Proteolysis(Springer−Verlag,Berlin−Heidelberg−New York)(1992))、クロストリパイン(アルギニン残基のC末端側を切断する;Keil,1992)、エンテロキナーゼ(配列−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys−(配列番号131)の後を切断する)、第Xa因子(配列−Gly−Arg−の後を切断する;Fujikawaら、Activation of bovine factor X(Stuart factor):conversion of factor Xa alpha to factor Xa beta,Proc.Natl.Acad.Sci.72:3359−3363(1975))、Lys−C(リジン残基のC末端側を切断する;Keil,1992)、トロンビン(アルギニン残基のC末端側を切断する;Keil,1992)、トリプシン(アルギニン残基およびリジン残基のC末端側を切断する;Keil、1992)、セリンプロテアーゼ、プロタンパク質コンバターゼ(PC1、PC2、PC3、PC4、PC5、PC6、PC7、PC8、フューリン、Pace、PACE4、サイト1プロテアーゼ、S1P、SKI、NARC−1、PCSK1、PCSK2、PCSK3、PCSK4、PCSK5、PCSK6、PCSK7、PCSK8、およびPCSK9など)、プラスミンおよびプラスミノゲンアクチベーターが含まれる。その切断部位のC末端側の配列を認識する酵素の例には、Asp−Nエンドペプチダーゼ(アスパラギン酸のN末端側を切断する;Keil,1992)およびカルボキシペプチダーゼ(カルボキシペプチダーゼAなど)(プロリン、リジン、およびアルギニンを除くC末端残基を切断する)が含まれる。
プロテアーゼの例は、Hook,Proteolytic and cellular mechanisms in prohormone and proprotein processing,RG Landes Company,Austin,Texas,USA(1998);Hooperら、Biochem.J.321:265−279(1997);Werb,Cell 91:439−442(1997);Wolfsbergら、J.Cell Biol.131:275−278(1995);Murakami and Etlinger,Biochem.Biophys.Res.Comm.146:1249−1259(1987);Bergら、Biochem.J.307:313−326(1995);Smyth and Trapani,Immunology Today 16:202−206(1995);Talanianら、J.Biol.Chem.272:9677−9682(1997);およびThornberryら、J.Biol.Chem.272:17907−17911(1997)にも記載されている。
以下の酵素は、切断部位の各組成が見出された場合に切断することができる。
例外の原則。上記切断則は、以下の切断部位の組成を有する場合、適用されない(すなわち、切断しない)。
活性化可能なCendRエレメントのいくつかの有用な形態は、環状タンパク質またはペプチドであり得るか、これらに存在し得る。CendRエレメントは、かかる環状構造中で不顕性であろう。これは、CendRエレメントが遊離C末端にないからであろう。環状タンパク質またはペプチドを、当該分野で公知の種々の方法(システイン結合、共有結合、活性基の反応、およびリンカーなど)で形成することができる。システイン結合は、タンパク質およびペプチドを環状化する有用な方法である。環状化結合がCendRエレメントのC末端に存在する必要はないと理解すべきである。環状化結合をCendRエレメントのC末端から離れて配置することにより、不顕性CendRエレメントの環状化結合の選択および切断可能な結合の選択はそれぞれ無関係であり得る。例えば、環状化結合がシステイン結合であり得る一方で、不顕性CendRエレメントの切断可能な結合はペプチド結合であり得る(ペプチド結合は、例えば、プロテアーゼ標的の切断部位に存在し得る)。
開示のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendR結合体中のCendRエレメントは、一般に、活性化可能なCendRエレメント中の切断部位の遊離C末端またはN末端側に存在すべきである。
いくつかの形態では、CendR結合体のペプチドまたはタンパク質を、選択されたアミノ酸配列(CendRエレメント)がペプチドまたはタンパク質中に存在する場合に細胞に内在化することができるが、選択されたアミノ酸がペプチドまたはタンパク質中に存在しない場合には内在化することができない。これを使用して、例えば、タンパク質またはペプチドがCendRエレメントを含むかどうかを検出することができる。CendRエレメントを、例えば、それ自体の配列以外のいずれかに会合することなく細胞に内在化することができる。CendRエレメントはタンパク質、ペプチド、またはCendR結合体中の唯一の機能的内在化エレメントであり得るか、1つまたは複数のさらなる機能的内在化エレメントが存在し得る。いくつかの形態では、CendR結合体を、選択されたアミノ酸配列(CendRエレメント)がCendR結合体中に存在する場合に細胞に内在化することができるが、選択されたアミノ酸がCendR結合体中に存在しない場合に内在化することができない。
同様に、いくつかの形態では、CendR結合体のペプチドまたはタンパク質は、選択されたアミノ酸配列(CendRエレメント)がペプチドまたはタンパク質中に存在する場合に組織を透過することができるが、選択されたアミノ酸がペプチドまたはタンパク質中に存在しない場合には透過することができない。これを使用して、例えば、タンパク質またはペプチドがCendRエレメントを含むかどうかを検出することができる。CendRエレメントは、例えば、それ自体の配列以外のいずれかに会合することなく組織を透過することができる。CendRエレメントはタンパク質、ペプチド、またはCendR結合体中の唯一の機能的組織透過エレメントであり得るか、1つまたは複数のさらなる機能的組織透過エレメントが存在し得る。いくつかの形態では、CendR結合体は、選択されたアミノ酸配列(CendRエレメント)がCendR結合体中に存在する場合に組織を透過することができるが、選択されたアミノ酸がCendR結合体中に存在しない場合に透過することができない。
同様に、いくつかの形態では、CendR結合体のペプチドまたはタンパク質を、選択されたアミノ酸配列(CendRエレメント)がペプチドまたはタンパク質中に存在する場合に細胞に内在化し、組織を透過することができるが、選択されたアミノ酸がペプチドまたはタンパク質中に存在しない場合にはこれができない。これを使用して、例えば、タンパク質またはペプチドがCendRエレメントを含むかどうかを検出することができる。CendRエレメントを、例えば、それ自体の配列以外のいずれかに会合することなく細胞に内在化し、組織を透過することができる。CendRエレメントはタンパク質、ペプチド、またはCendR結合体中の唯一の機能的内在化および組織透過エレメントであり得るか、1つまたは複数のさらなる機能的内在化および/または組織透過エレメントが存在し得る。いくつかの形態では、CendR結合体を、選択されたアミノ酸配列(CendRエレメント)がCendR結合体中に存在する場合に細胞に内在化し、組織を透過することができるが、選択されたアミノ酸がCendR結合体中に存在しない場合にそれができない。
「内在化」は、細胞膜または他の生物学的障壁を介した通過をいう。「透過」は、細胞、組織、または他の生物学的障壁中およびこれを介した通過をいう。透過は、一般に、内在化に関与し、内在化が含まれる。開示のCendRエレメントは、一般に、内在化(細胞への内在化など)および透過(組織透過など)の両方を促進し、これらを可能にする。内在化または透過という用語は、文脈上他の意味を示さない限り、内在化および透過の両方をいうと理解されるべきである(細胞への内在化および組織透過それぞれの個別または明確な考察および説明など−本段落はその例である)。
「細胞への内在化」は、CendRエレメントが細胞膜を透過し、それにより、細胞に内在化することができることを意味する。この内在化は、例えば、所与のCendRエレメントおよび所与の細胞について10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%の効率で起こり得る。
CendR結合体を、例えば、(a)細胞への内在化および/または組織透過のためにアミノ酸配列を選択する工程であって、アミノ酸配列がC末端のアルギニンまたはリジン(または別のCendRエレメント配列)を含む工程、(b)カーゴ組成物を選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させる工程であって、選択されたアミノ酸配列はタンパク質またはペプチドのC末端に存在し、CendR結合体はタンパク質またはペプチドおよび結合または会合したカーゴ組成物を含む工程を含む方法によって作製することができる。
(a)CendRエレメントをカーゴ組成物に結合させ、それにより、CendR結合体を形成する工程、および(b)細胞をCendR結合体に曝露する工程であって、次いで、CendR結合体が細胞に侵入し、それによりカーゴ組成物を細胞に送達させることができる工程を含む、カーゴ組成物を細胞に送達させる方法も開示する。
(a)CendRエレメントをカーゴ組成物に結合させ、それにより、CendR結合体を形成する工程、および(b)組織をCendR結合体に曝露する工程であって、次いで、CendR結合体が組織中の細胞に侵入して排出され、それにより、カーゴ組成物を組織に透過させることができる工程を含む、カーゴ組成物を透過させる方法も開示する。組織を介した通過(すなわち、透過)(血管外遊出および組織透過ということもできる)は、細胞内在化および排出機能の両方の機能であり得る。開示のCendRエレメントおよびCendR結合体は、細胞への内在化および細胞からの排出の両方が可能であるので、組織透過が可能である。
(a)活性化可能なCendRエレメントをカーゴ組成物に結合させ、それにより、CendR結合体を形成する工程、および(b)細胞をCendR結合体に曝露する工程であって、切断剤がCendR結合体の活性化可能なCendRエレメントを活性化し、次いで、CendR結合体が細胞に侵入し、それによりカーゴ組成物を細胞に送達させることができる工程を含む、カーゴ組成物を細胞に送達させる方法をさらに開示する。
(a)活性化可能なCendRエレメントをカーゴ組成物に結合させ、それにより、CendR結合体を形成する工程、および(b)組織をCendR結合体に曝露する工程であって、切断剤がCendR結合体の活性化可能なCendRエレメントを活性化し、次いで、CendR結合体が組織中の細胞に侵入して排出され、それにより、カーゴ組成物を組織に透過させることができる工程を含む、カーゴ組成物を透過させる方法をさらに開示する。
(a)CendRエレメントに細胞を曝露する工程、および(b)CendRエレメントが内在化されたかどうかを決定する工程を含む、CendRエレメントを内在化することができる細胞を同定する方法も開示する。細胞は、例えば、アッセイ中に存在し得る。CendRエレメントをタンパク質またはペプチドに結合させ、それにより、CendR結合体を形成することができる。
(a)細胞を活性化可能なCendRエレメントに曝露する工程、(b)活性化可能なCendRエレメントが内在化されたかどうかを決定する工程を含む、活性化可能なCendRエレメントを内在化することができる細胞を同定する方法も開示する。活性化可能なCendRエレメントを細胞への曝露前に脱保護することができるが、その必要はない。例えば、これを使用して活性化可能なエレメントのブロック能力を試験することができる。活性化可能なCendRエレメントはまた、活性化可能なエレメントを切断するプロテアーゼの存在下で活性化されるプロテアーゼ活性化可能なCendRエレメントであり得る。
(a)癌細胞をCendRエレメントに曝露する工程、および(b)CendRエレメントが癌細胞によって内在化されたかどうかを同定する工程であって、内在化されたCendRエレメントによって癌細胞がCendRベースの療法の候補であると同定される工程を含む、CendRベースの療法の候補として癌細胞を同定する方法も開示する。細胞は、例えば、アッセイ中に存在し得るか、被験体中に存在し得る。CendRエレメントを、カーゴ組成物(例えば、タンパク質、ペプチド、またはナノ粒子など)に結合させ、それにより、CendR結合体を形成することができる。本明細書中で使用する場合、CendRベースの療法は、CendRエレメントまたはCendR結合体に関与する被験体の治療をいう。
(a)腫瘍由来の組織をCendRエレメントに曝露する工程、および(b)CendRエレメントが組織を通過したか、または組織中の細胞によって内在化されたかどうかを決定する工程であって、通過または内在化されたCendRエレメントによって腫瘍がCendRベースの療法の候補であると同定される工程を含む、CendRベースの療法の候補として腫瘍を同定する方法も開示する。
切断可能な結合を介してブロッキング基がCendRエレメントに結合している活性化可能なCendRエレメントを形成する工程であって、切断可能な結合が目的の細胞付近に存在する酵素によって切断可能である工程を含む、目的の細胞付近に活性化することができる活性化可能なCendRエレメントを産生する方法も開示する。これは、活性化可能なCendRエレメントを形成させる前に、目的の細胞付近に存在する酵素を同定する工程をさらに含むことができる。これは、活性化可能なCendRエレメントを形成させる前に目的の細胞付近に存在する酵素に基づいて切断可能な結合を選択する工程をさらに含むことができる。
(a)細胞への内在化のためにアミノ酸配列を選択する工程であって、アミノ酸配列がCendRエレメントを含み、CendRエレメント(C末端のアルギニン、リジン、もしくはリジン−グリシン、または別のCendRエレメント配列など)が末端カルボキシル基を含む工程、および(b)ブロッキング基を選択されたアミノ酸配列の末端カルボキシル基に共有結合させる工程であって、ブロッキング基と末端カルボキシル基とを結合する結合が切断可能であり、活性化可能なCendRエレメントが選択されたアミノ酸配列およびブロッキング基を含む工程、を含む、活性化可能なCendRエレメントを形成する方法も開示する。これは、工程(b)の前に、目的の細胞付近に存在するプロテアーゼによって切断可能であるようにブロッキング基と末端カルボキシル基とを結合する結合を選択する工程をさらに含むことができる。
(a)細胞への内在化のためにアミノ酸配列を選択する工程であって、アミノ酸配列がCendRエレメントを含み、CendRエレメントが末端カルボキシル基を含む工程、および(b)ブロッキング基を選択されたアミノ酸配列の末端カルボキシル基に共有結合させる工程であって、ブロッキング基と末端カルボキシル基とを結合する結合が切断可能であり、活性化可能なCendRエレメントが選択されたアミノ酸配列およびブロッキング基を含む工程を含む方法によって作製された活性化可能なCendRエレメントをさらに開示する。方法は、工程(b)の前に、目的の細胞/細胞型/細胞/組織付近に存在するプロテアーゼによって切断可能であるようにブロッキング基と末端カルボキシル基とを結合する結合を選択する工程をさらに含むことができる。
CendRエレメントならびにCendRエレメントを含むタンパク質およびペプチドを開示する。CendRエレメントを含むタンパク質またはペプチドに共有結合したか非共有的に会合したカーゴ組成物を含むCendR結合体も開示する。アミノ酸配列がCendRエレメントを含む、選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合したか非共有的に会合したカーゴ組成物を含むCendR結合体も開示する。カーゴ組成物を、CendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合することができる。
活性化可能なCendRエレメントならびに活性化可能なCendRエレメントを含むタンパク質およびペプチドも開示する。活性化可能なCendRエレメントを含むタンパク質またはペプチドに共有結合したか非共有的に会合したカーゴ組成物を含む活性化可能なCendR結合体も開示する。アミノ酸配列が活性化可能なCendRエレメントを含む、選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合したか非共有的に会合したカーゴ組成物を含む活性化可能なCendR結合体も開示する。カーゴ組成物を、活性化可能なCendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合することができる。
カーゴ組成物をCendRエレメントを含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させる工程であって、カーゴ組成物はCendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合する工程、を含む方法によって作製されたCendR結合体も開示する。カーゴ組成物を選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させる工程であって、アミノ酸配列がC末端エレメントを含み、カーゴ組成物はCendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合する工程、を含む方法によって作製されたCendR結合体も開示する。(a)細胞への内在化および/または組織透過のためにアミノ酸配列を選択する工程であって、アミノ酸配列がC末端エレメントを含む工程および(b)カーゴ組成物を選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させる工程であって、カーゴ組成物はCendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合する工程、を含む方法によって作製されたCendR結合体も開示する。CendR結合体はタンパク質またはペプチドおよび結合または会合したカーゴ組成物を含むことができる。
ブロッキング基をCendRエレメントに共有結合させる工程であって、ブロッキング基とCendRエレメントとを結合する結合が切断可能である工程を含む方法によって作製された活性化可能なCendRエレメントも開示する。ブロッキング基をアミノ酸配列に共有結合させる工程であって、アミノ酸配列がCendRエレメントを含み、ブロッキング基とCendRエレメントとを結合する結合が切断可能である工程を含む方法によって作製された活性化可能なCendRエレメントも開示する。(a)細胞への内在化および/または組織透過のためにアミノ酸配列を選択する工程であって、アミノ酸配列がCendRエレメントを含む工程、および(b)ブロッキング基をCendRエレメントに共有結合させる工程であって、ブロッキング基とCendRエレメントとを結合する結合が切断可能である工程を含む方法によって作製された活性化可能なCendRエレメントも開示する。CendRエレメントに共有結合したブロッキング基は、細胞への内在化および/または組織透過を軽減または防止する。CendRエレメントに共有結合したブロッキング基は、ブロッキング基を持たない同一のCendRエレメントと比較して細胞への内在化および/または組織透過を軽減または防止することができる。活性化可能なCendRエレメントは、選択されたアミノ酸配列およびブロッキング基を含むことができる。
タンパク質またはペプチドを、CendRエレメントがタンパク質またはペプチド中に存在する場合には細胞に内在化し、そして/または組織を透過することができるが、CendRエレメントがタンパク質またはペプチド中に存在しない場合にはできない。タンパク質またはペプチドを、選択されたアミノ酸配列がタンパク質またはペプチド中に存在する場合には細胞に内在化し、そして/または組織を透過することができるが、選択されたアミノ酸がタンパク質またはペプチド中に存在しない場合にはできない。CendRエレメントを、カーゴ組成物に会合させずに細胞に内在化し、そして/または組織を透過することができる。選択されたアミノ酸配列を、カーゴ組成物に会合させずに細胞に内在化し、そして/または組織を透過することができる。CendRエレメントはタンパク質またはペプチド中の唯一の機能的内在化エレメントであり得るか、CendRエレメントはタンパク質またはペプチド中の唯一の機能的組織透過エレメントであり得るか、その両方である。選択されたアミノ酸配列はタンパク質またはペプチド中の唯一の機能的内在化エレメントであり得るか、選択されたアミノ酸配列はタンパク質またはペプチド中の唯一の機能的組織透過エレメントであり得るか、その両方である。CendRエレメントはCendR結合体中の唯一の機能的内在化エレメントであり得るか、CendRエレメントはCendR結合体中の唯一の機能的組織透過エレメントであり得るか、その両方である。選択されたアミノ酸配列はCendR結合体中の唯一の機能的内在化エレメントであり得るか、選択されたアミノ酸配列はCendR結合体中の唯一の機能的組織透過エレメントであり得るか、その両方である。
CendRエレメントは活性化可能なCendRエレメントであり得る。CendRエレメントはプロテアーゼ活性化可能なCendRエレメントであり得る。タンパク質またはペプチドは環状であり得るか、ループを含むことができる。CendRエレメントは、タンパク質またはペプチドのC末端に存在し得る。CendRエレメントは末端カルボキシル基を含むことができる。ブロッキング基を末端カルボキシル基に結合することができる。ブロッキング基と末端カルボキシル基を結合する結合を、目的の細胞付近に存在するプロテアーゼによって切断可能であるように選択することができる。ブロッキング基をCendRエレメントのC末端アミノ酸に結合することができる。ブロッキング基をCendRエレメントのC末端アミノ酸以外のCendRエレメントのアミノ酸に結合することができる。
カーゴ組成物を選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させることができ、ここで、アミノ酸配列はCendRエレメントを含むことができる。カーゴ組成物を、CendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合することができる。カーゴ組成物は、例えば、治療もしくは診断に適用されるナノ粒子、分子、または分子の複合体であり得る。CendRエレメントをターゲティングすることができる治療カーゴ組成物には、ナノ粒子、分子、分子の複合体、抗血管新生薬、血管新生促進薬、癌化学療法薬、細胞毒性薬、前細胞生存薬、細胞分裂薬、神経保護薬、免疫調節薬、抗炎症薬、抗関節炎薬、抗ウイルス薬、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。CendRエレメントをターゲティングすることができる診断カーゴ組成物には、ナノ粒子、分子、分子の複合体、MRI造影剤、放射性造影剤、光学的造影剤、分子タグ(ビオチンなど)、フルオロフォア、エピトープタグ(例えば、特定の分子アッセイを使用して検出することができる)、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
カーゴ組成物をCendRエレメントを含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させる工程であって、カーゴ組成物はCendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合する工程、を含むCendR結合体を形成する方法も開示する。カーゴ組成物を選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させる工程であって、アミノ酸配列がCendRエレメントを含み、カーゴ組成物はCendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合する工程を含む、CendR結合体を形成する方法も開示する。(a)細胞への内在化および/または組織透過のためにアミノ酸配列を選択する工程であって、アミノ酸配列がCendRエレメントを含む工程、および(b)カーゴ組成物を選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させる工程であって、カーゴ組成物はCendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合する工程を含む、CendR結合体を形成する方法も開示する。CendR結合体はタンパク質またはペプチドおよび結合または会合したカーゴ組成物を含むことができる。
CendR結合体に細胞を曝露する工程であって、CendRエレメントがCendRエレメントに共有結合したか非共有的に会合したカーゴ組成物を含み、次いで、CendR結合体が細胞に侵入し、それによりカーゴ組成物を細胞に送達させることができる工程を含む、カーゴ組成物を細胞に送達させる方法も開示する。CendR結合体に細胞を曝露する工程であって、CendRエレメントがCendRエレメントを含むタンパク質またはペプチドに共有結合したか非共有的に会合したカーゴ組成物を含み、次いで、CendR結合体が細胞に侵入し、それによりカーゴ組成物を細胞に送達させることができる工程を含む、カーゴ組成物を細胞に送達させる方法も開示する。(a)CendRエレメントをカーゴ組成物に結合させ、それにより、CendR結合体を形成する工程、および(b)細胞をCendR結合体に曝露する工程であって、次いで、CendR結合体が細胞に侵入し、それによりカーゴ組成物を細胞に送達させることができる工程、を含む、カーゴ組成物を細胞に送達させる方法も開示する。
(a)細胞をCendRエレメントに曝露する工程、および(b)CendRエレメントが内在化されたかどうかを決定する工程、を含む、CendRエレメントを内在化することができる細胞を同定する方法も開示する。(a)癌細胞をCendRエレメントに曝露する工程、および(b)CendRエレメントが癌細胞によって内在化されたかどうかを決定する工程であって、内在化されたCendRエレメントによって癌細胞がCendRベースの療法の候補であると同定される工程を含む、CendRベースの療法の候補としての癌細胞を同定する方法も開示する。細胞はアッセイ中に存在し得る。CendRエレメントをタンパク質またはペプチドに結合することができる。CendRエレメントは活性化可能なCendRエレメントであり得る。活性化可能なCendRエレメントを、細胞への曝露前に活性化することができる。活性化可能なCendRエレメントは、プロテアーゼ活性化可能なCendRエレメントであり得る。タンパク質またはペプチドは環状であり得る。CendRエレメントは、タンパク質またはペプチドのC末端に存在し得る。
(a)組織をCendRエレメントに曝露する工程、および(b)CendRエレメントが組織を透過したかどうかを決定する工程を含む、CendRエレメントによって透過され得る組織を同定する方法も開示する。(a)腫瘍由来の細胞をCendRエレメントに曝露する工程、および(b)CendRエレメントが細胞によって内在化されたかどうかを決定する工程であって、内在化されたCendRエレメントによって腫瘍がCendRベースの療法の候補であると同定される工程、を含む、CendRベースの療法の候補として腫瘍を同定する方法も開示する。(a)腫瘍をCendRエレメントに曝露する工程、および(b)CendRエレメントが腫瘍を透過したかどうかを決定する工程であって、透過したCendRエレメントによって腫瘍がCendRベースの療法の候補であると同定される工程、を含むCendRベースの療法の候補として腫瘍を同定する方法も開示する。腫瘍はアッセイ中に存在し得る。CendRエレメントをタンパク質またはペプチドに結合することができる。CendRエレメントは活性化可能なCendRエレメントであり得る。活性化可能なCendRエレメントを、腫瘍への曝露前に活性化することができる。活性化可能なCendRエレメントは、プロテアーゼ活性化可能なCendRエレメントであり得る。タンパク質またはペプチドは環状であり得る。CendRエレメントは、タンパク質またはペプチドのC末端に存在し得る。
切断可能な結合を介してブロッキング基がCendRエレメントに結合している活性化可能なCendRエレメントを形成する工程であって、切断可能な結合が目的の細胞付近に存在する酵素によって切断可能である工程を含む、目的の細胞付近に活性化することができる活性化可能なCendRエレメントを産生する方法も開示する。細胞は被験体中に存在し得る。目的の細胞付近に存在する酵素を同定することができる。目的の細胞付近に存在する酵素を、活性化可能なCendRエレメントを形成させる前に同定することができる。切断可能な結合を、目的の細胞付近に存在する酵素に基づいて選択することができる。切断可能な結合を、活性化可能なCendRエレメントを形成させる前に選択することができる。CendRエレメントは末端カルボキシル基を含むことができ、ここではブロッキング基を末端カルボキシル基に結合させる。
ブロッキング基をCendRエレメントに共有結合させる工程であって、ブロッキング基とCendRエレメントとを結合する結合が切断可能である工程を含む、活性化可能なCendRエレメントを形成する方法も開示する。ブロッキング基をアミノ酸配列に共有結合させる工程であって、アミノ酸配列がCendRエレメントを含み、ブロッキング基とCendRエレメントとを結合する結合が切断可能である工程、を含む活性化可能なCendRエレメントを形成する方法も開示する。(a)細胞への内在化および/または組織透過のためにアミノ酸配列を選択する工程であって、アミノ酸配列がCendRエレメントを含む工程、および(b)ブロッキング基をCendRエレメントに共有結合させる工程であって、ブロッキング基とCendRエレメントとを結合する結合が切断可能である工程、を含む、活性化可能なCendRエレメントを形成する方法も開示する。CendRエレメントに共有結合したブロッキング基は、細胞への内在化および/または組織透過を軽減または防止する。CendRエレメントに共有結合したブロッキング基は、ブロッキング基を持たない同一のCendRエレメントと比較して細胞への内在化および/または組織透過を軽減または防止することができる。活性化可能なCendRエレメントは、選択されたアミノ酸配列およびブロッキング基を含むことができる。細胞は被験体中に存在し得る。目的の細胞付近に存在する酵素を同定することができる。目的の細胞付近に存在する酵素を、活性化可能なCendRエレメントを形成させる前に同定することができる。切断可能な結合を、目的の細胞付近に存在する酵素に基づいて選択することができる。切断可能な結合を、活性化可能なCendRエレメントを形成させる前に選択することができる。CendRエレメントは末端カルボキシル基を含むことができ、ここではブロッキング基を末端カルボキシル基に結合させる。カーゴ組成物を、選択されたアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに共有結合させるか非共有的に会合させることができる。カーゴ組成物を、CendRエレメントのN末端側のタンパク質またはペプチドに結合または会合することができる。
CendRエレメントは、10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、400、500、1000、または2000までの残基長であり得る。特定の実施形態では、CendRエレメントは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、または200残基長であり得る。さらなる実施形態では、CendRエレメントは、2〜200残基長、2〜100残基長、2〜90残基長、2〜80残基長、2〜70残基長、2〜60残基長、2〜50残基長、2〜40残基長、2〜30残基長、2〜20残基長、2〜15残基長、2〜10残基長、3〜200残基長、3〜100残基長、3〜90残基長、3〜80残基長、3〜70残基長、3〜60残基長、3〜50残基長、3〜40残基長、3〜30残基長、3〜20残基長、3〜15残基長、3〜10残基長、4〜200残基長、4〜100残基長、4〜90残基長、4〜80残基長、4〜70残基長、4〜60残基長、4〜50残基長、4〜40残基長、4〜30残基長、4〜20残基長、4〜15残基長、4〜10残基長、5〜200残基長、5〜100残基長、5〜90残基長、5〜80残基長、5〜70残基長、5〜60残基長、5〜50残基長、5〜40残基長、5〜30残基長、5〜20残基長、5〜15残基長、5〜10残基長、10〜200残基長、10〜100残基長、10〜90残基長、10〜80残基長、10〜70残基長、10〜60残基長、10〜50残基長、10〜40残基長、10〜30残基長、10〜20残基長、20〜200残基長、20〜100残基長、20〜90残基長、20〜80残基長、20〜70残基長、20〜60残基長、20〜50残基長、20〜40残基長、または20〜30残基長であり得る。本明細書中で使用する場合、用語「残基」は、アミノ酸またはアミノ酸アナログをいう。
CendR結合体のタンパク質またはペプチド部分は、50、100、150、200、250、300、400、500、1000、または2000までの残基長であり得る。特定の実施形態では、CendR結合体のタンパク質またはペプチド部分は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、または200残基長であり得る。さらなる実施形態では、CendR結合体のタンパク質またはペプチド部分は、2〜200残基長、2〜100残基長、2〜90残基長、2〜80残基長、2〜70残基長、2〜60残基長、2〜50残基長、2〜40残基長、2〜30残基長、2〜20残基長、2〜15残基長、2〜10残基長、3〜200残基長、3〜100残基長、3〜90残基長、3〜80残基長、3〜70残基長、3〜60残基長、3〜50残基長、3〜40残基長、3〜30残基長、3〜20残基長、3〜15残基長、3〜10残基長、4〜200残基長、4〜100残基長、4〜90残基長、4〜80残基長、4〜70残基長、4〜60残基長、4〜50残基長、4〜40残基長、4〜30残基長、4〜20残基長、4〜15残基長、4〜10残基長、5〜200残基長、5〜100残基長、5〜90残基長、5〜80残基長、5〜70残基長、5〜60残基長、5〜50残基長、5〜40残基長、5〜30残基長、5〜20残基長、5〜15残基長、5〜10残基長、10〜200残基長、10〜100残基長、10〜90残基長、10〜80残基長、10〜70残基長、10〜60残基長、10〜50残基長、10〜40残基長、10〜30残基長、10〜20残基長、20〜200残基長、20〜100残基長、20〜90残基長、20〜80残基長、20〜70残基長、20〜60残基長、20〜50残基長、20〜40残基長、または20〜30残基長であり得る。
CendR結合体は、50、100、150、200、250、300、400、500、1000、または2000までの残基長であり得る。特定の実施形態では、CendR結合体は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、または200残基長であり得る。さらなる実施形態では、CendR結合体は、5〜200残基長、5〜100残基長、5〜90残基長、5〜80残基長、5〜70残基長、5〜60残基長、5〜50残基長、5〜40残基長、5〜30残基長、5〜20残基長、5〜15残基長、5〜10残基長、10〜200残基長、10〜100残基長、10〜90残基長、10〜80残基長、10〜70残基長、10〜60残基長、10〜50残基長、10〜40残基長、10〜30残基長、10〜20残基長、20〜200残基長、20〜100残基長、20〜90残基長、20〜80残基長、20〜70残基長、20〜60残基長、20〜50残基長、20〜40残基長、または20〜30残基長であり得る。
開示のCendR結合体に組み込むことができる多数のアミノ酸およびペプチドアナログが存在すると理解される。例えば、使用することができる多数のD型アミノ酸またはアミノ酸が存在する。天然に存在するペプチドの逆の立体異性体が開示されており、ペプチドアナログの立体異性体も開示されている。tRNA分子への最適なアミノ酸の負荷および、例えば、部位特異的方法においてアンバーコドンを使用してペプチド鎖にアナログアミノ酸を挿入する遺伝子構築物の操作によってこれらのアミノ酸をポリペプチド鎖に容易に組み込むことができる(Thorsonら、Methods in Molec.Biol.77:43−73(1991),Zoller,Current Opinion in Biotechnology,3:348−354(1992);Ibba,Biotechnology & Genetic Enginerring Reviews 13:197−216(1995),Cahillら、TIBS,14(10):400−403(1989);Benner,TIB Tech,12:158−163(1994);Ibba and Hennecke,Bio/technology,12:678−682(1994)(少なくともアミノ酸アナログに関連する材料についてその全てが本明細書中で参考として援用される)。
ペプチドに類似しているが、天然のペプチド結合によって連結していない分子を産生することができる。例えば、アミノ酸またはアミノ酸アナログの結合には、CH2NH−−、−−CH2S−−、−−CH2−−CH2−−、−−CH=CH−−(シスおよびトランス)、−−COCH2−−、−−CH(OH)CH2−−、および−−CHH2SO−が含まれ得る(これらおよびその他は以下で見出すことができる:Spatola,A.F.in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins,B.Weinstein,eds.,Marcel Dekker,New York,p.267(1983);Spatola,A.F.,Vega Data(March 1983),Vol.1,Issue 3,Peptide Backbone Modifications(一般的概説);Morley,Trends Pharm Sci(1980)pp.463−468;Hudson,D.ら、Int J Pept Prot Res 14:177−185(1979)(−−CH2NH−−,CH2CH2−−);Spatolaら、Life Sci 38:1243−1249(1986)(−−CH H2−−S);Hann J.Chem.Soc Perkin Trans.I 307−314(1982)(−−CH−−CH−−、シスおよびトランス);Almquistら、J.Med.Chem.23:1392−1398(1980)(−−COCH2−−);Jennings−Whiteら、Tetrahedron Lett 23:2533(1982)(−−COCH2−−);Szelkeら、European Appln,EP 45665 CA(1982):97:39405(1982)(−−CH(OH)CH2−−);Holladayら、Tetrahedron.Lett 24:4401−4404(1983)(−−C(OH)CH2−−);およびHruby Life Sci 31:189−199(1982)(−−CH2−−S−−)(それぞれ、本明細書中で参考として援用される)。特に好ましい非ペプチド結合は−−CH2NH−−である。ペプチドアナログが結合原子の間に1つを超える原子を有することができる(b−アラニンおよびg−アミノ酪酸など)と理解される。
アミノ酸アナログおよびペプチドアナログは、しばしば、増強されたか望ましい性質(より経済的な産生、より高い化学安定性、増強された薬理学的性質(半減期、吸収、力価、効力など)、変化した特異性(例えば、広域の生物活性)、減少した抗原性、および他の性質など)を有する。
D型アミノ酸を使用してより安定したペプチドを生成することができる。これは、D型アミノ酸がペプチダーゼなどによって認識されないからである。コンセンサス配列の1つまたは複数のアミノ酸の同型のD型アミノ酸との体系的置換(例えば、L型リジンの代わりのD型リジン)を使用して、より安定なペプチドを生成することができる。システイン残基を使用して、2個以上のペプチドを共に環状化するか付着させることができる。これは、特定の高次構造へのペプチドの拘束に有利であり得る(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.61:387(1992)(本明細書中で参考として援用される))。
CendRエレメントに加えて、例えば、個別の機能を有する第2のペプチドに融合したホーミングペプチドを含む多機能性CendR結合体を開示する。かかる多機能性結合体は、全長分子の異なる部分によって付与された少なくとも2つの機能を有し、例えば、選択的ホーミング活性に加えて血管新生抑制活性またはアポトーシス促進活性を示すことができる。
本明細書中で使用する場合、用語「ペプチド」を、ペプチド、タンパク質、およびタンパク質のフラグメントなどを意味するために広く使用する。本明細書中で使用する場合、用語「ペプチド模倣物」は、構造に基づいたペプチド活性を有するペプチド様分子を意味する。かかるペプチド模倣物には、化学修飾されたペプチド、天然に存在しないアミノ酸を含むペプチド様分子、およびペプトイドが含まれ、ペプチド模倣物が由来する活性などの活性を有する。(例えば、Goodman and Ro,Peptidomimetics for Drug Design,in “Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery” Vol.1(ed.M.E.Wolff;John Wiley & Sons 1995),pages 803−861を参照のこと)。
本明細書中で使用する場合、用語「カーゴ組成物」は、CendRエレメントと併せて使用することができる物質の任意の組成物をいう。例えば、カーゴ組成物は、分子、結合体、分子の会合物、組成物、混合物であり得る。当業者は、どのようなカーゴがCendR結合体に結合するのかを決定することができる。本明細書中に開示のCendR結合体は、カーゴ組成物に結合または会合したCendRエレメントを含むことができる。カーゴ組成物の例には、抗血管新生薬、血管新生促進薬、癌化学療法薬、細胞毒性薬、抗炎症薬、抗関節炎薬、ポリペプチド、核酸分子、小分子、ナノ粒子、微粒子、フルオロフォア、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13、またはその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。CendR結合体中のCendRエレメントに会合したこれらのカーゴ組成物は部分であり得る。本明細書中で使用する場合、用語「部分」を、一般に結合したカーゴ組成物に生物学的に有用な機能を付与する物理的、化学的、または生物学的な材料を意味するために広範に使用する。部分は、任意の天然物質または非天然物質(生体物質(細胞、ファージ、または他のウイルスなど);有機化学物質(小分子など);ナノ粒子、放射性核種;核酸分子またはオリゴヌクレオチド;ポリペプチド;またはペプチドが含まれるが、これらに限定されない)であり得る。例えば、標的に影響を及ぼす部分(治療効果を有する部分など)、標的の検出、視覚化、または画像化を容易にする部分(蛍光分子または放射性核種など)。
開示のCendR結合体の成分を、任意の適切な様式で組み合わせ、連結し、そして/または結合することができる。例えば、部分およびホーミング分子を、リンカー部分を使用するか使用しないで直接または間接的に共有結合的または非共有的に会合することができる。
いくつかの実施形態では、CendR結合体は癌化学療法薬を含むことができる。例えば、CendR結合体のカーゴ組成物は癌化学療法薬であり得る。本明細書中で使用する場合、「癌化学療法薬」は、癌細胞の増殖、成長、寿命、または転移を阻害する化学剤である。かかる癌化学療法薬は、タキサン(ドセタキセルなど);アントラサイクリン(ドキソルビシンなど);アルキル化剤;ビンカアルカロイド;代謝拮抗物質;白金剤(シスプラチンまたはカルボプラチンなど);ステロイド(メトトレキサートなど);抗生物質(アドリアマイシンなど);イソファミド;または選択的エストロゲン受容体調節因子;抗体(トラスツズマブなど)であり得るが、これらに限定されない。
CendR結合体は、治療薬を含むことができる。例えば、CendR結合体のカーゴ組成物は治療薬であり得る。有用な治療薬は、例えば、本明細書中で使用する場合、細胞死を直接または間接的に促進する任意の分子であり得る細胞毒性薬であり得る。有用な細胞毒性薬には、小分子、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド模倣物、核酸分子、細胞、およびウイルスが含まれるが、これらに限定されない。非限定的な例として、有用な細胞毒性薬には、細胞傷害性小分子(ドキソルビシン、ドセタキセル、またはトラスツズマブなど);抗菌ペプチド(以下にさらに記載のものなど);アポトーシス促進性ポリペプチド(カスパーゼおよび毒素(例えば、カスパーゼ−8)など);ジフテリア毒素A鎖、シュードモナス外毒素A、コレラ毒素、リガンド融合毒素(DAB389EGFなど)、ricinus communis毒素(リシン));および細胞傷害性細胞(細胞傷害性T細胞など)が含まれる。例えば、Martinら、Cancer Res.60:3218−3224(2000);Kreitman and Pastan,Blood 90:252−259(1997);Allamら、Cancer Res.57:2615−2618(1997);およびOsborne and Coronado−Heinsohn,Cancer J.Sci.Am.2:175(1996)を参照のこと。当業者は、本明細書中に記載されているか当該分野で公知のこれらおよびさらなる細胞毒性薬が開示の結合体および方法で有用であり得ると理解している。
いくつかの形態では、治療薬は治療ポリペプチドであり得る。本明細書中で使用する場合、治療ポリペプチドは、生物学的に有用な機能を有する任意のポリペプチドであり得る。有用な治療ポリペプチドには、サイトカイン、抗体、細胞傷害性ポリペプチド;アポトーシス促進性ポリペプチド;および血管新生抑制ポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。非限定的な例として、有用な治療ポリペプチドは、サイトカイン(腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、腫瘍壊死因子−β(TNF−β)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン−α(IFN−α);インターフェロン.γ(IFN−γ)、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12(IL−12)、リンホタクチン(LTN)、または樹状細胞ケモカイン1(DC−CK1)など);抗HER2抗体またはそのフラグメント;細胞傷害性ポリペプチド(毒素またはカスパーゼ(例えば、ジフテリア毒素A鎖、シュードモナス外毒素A、コレラ毒素、リガンド融合毒素(DAB389EGFなど)、またはリシン)が含まれる);血管新生抑制ポリペプチド(アンギオスタチン、エンドスタチン、トロンボスポンジン、血小板因子4など);アナステリン;または本明細書中にさらに記載されているか当該分野で公知の治療ポリペプチドの1つであり得る。生物学的活性を有するこれらおよび他のポリペプチドが「治療ポリペプチド」であり得ると理解される。
開示のCendR結合体で有用な治療薬は抗血管新生薬であり得る。本明細書中で使用する場合、用語「抗血管新生薬」は、血管の成長および発達である血管形成を軽減または防止する分子を意味する。結合体を使用して、血管形成に関連する任意の疾患、容態、または障害を治療または診断することができる。例えば、黄斑変性および糖尿病性血管合併症を診断および/または治療することができる。常法によって種々の抗血管新生薬を調製することができる。かかる抗血管新生薬には、小分子;タンパク質(ドミナントネガティブ型血管新生因子、転写因子、および抗体など);ペプチド;および核酸分子(リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、および、例えば、ドミナントネガティブ型血管新生因子および受容体、転写因子、ならびに抗体およびその抗原結合フラグメントをコードする核酸分子が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Hagedorn and Bikfalvi,Crit.Rev.Oncol.Hematol.34:89−110(2000)およびKirschら、J.Neurooncol.50:149−163(2000)を参照のこと。
有用な治療薬のいくつかの他の例には、以下が含まれる:ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素(nitrosoruea)、エチレンイミン、アルカンスルホン酸塩、テトラジン、白金化合物、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、代謝拮抗物質、葉酸アナログ、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド、トポイソメラーゼインヒビター、およびホルモン剤。例示的な化学療法薬は、以下である:アクチノマイシン−D、アルケラン、Ara−C、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、BiCNU、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボプラチナム、カルムスチン、CCNU、クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、シスプラチン、クラドリビン、CPT−11、シクロホスファミド、シタラビン、シトシンアラビノシド、サイトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、DTIC、エピルビシン、エストラムスチン、エチレンイミン、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ホテムスチン、ゲムシタビン、ハーセプチン、ヘキサメチルアミン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ノベムビエヒン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、フェネステリン、プリカマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン、リツキシマブ、ステロイド、ストレプトゾシン、STI−571、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テトラジン、チオグアニン、チオテパ、トムデックス、トポテカン、トレオスルファン、トリメトレキサート、トロホスファミド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP−16、およびゼローダ。アルキル化剤(チオテパなど)および;スルホン酸アルキル(ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなど);アジリジン(ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパなど);エチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine)(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)、およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)が含まれる);ニトロ尿素(カンヌスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなど);抗生物質(アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン(Caminomycin)、カルジノフィリン、クロモイニシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダムビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ぺプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシンなど);代謝拮抗物質(メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)など);葉酸アナログ(デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、およびトリメトレキサートなど);プリンアナログ(フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、およびチオグアニンなど);ピリミジンアナログ(アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、および5−FUなど);アンドロゲン(カルステロン、ドロモスタノロンプロピオナート、エピチオスタノール、ルネピチオスタン、およびテストラクトンなど);抗副腎薬(アミノグルテチミド、ミトタン、およびトリロスタンなど);葉酸補充薬(フロリン酸など);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン;エリプチニウムアセタート;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.RTM.;ラゾキサン;シゾフラン(Sizofrran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド(例えば、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)およびドキセタキセル(タキソテール(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France));ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ(シスプラチンおよびカルボプラチンなど);ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;および上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、または誘導体。腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤(抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、オナプリストン、およびトレミフェン(フェアストン)が含まれる);および抗アンドロゲン(フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなど)など);ならびに上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、または誘導体も含まれる。
CendR結合体は、検出可能因子も含むことができる。かかる検出可能因子はCendR結合体のカーゴ組成物であり得るか、CendR結合体のカーゴ組成物の一部を含むことができるか、分子または部分由来のCendR結合体の個別の成分であり得る。種々の検出可能因子は開示の方法で有用である。本明細書中で使用する場合、用語「検出可能因子」は、検出することができる任意の分子をいう。有用な検出可能因子は、in vivoで投与し、その後に検出することができる部分を含む。開示の結合体および画像化方法で有用な検出可能因子には、放射性標識および蛍光分子が含まれるが、これらに限定されない。検出可能因子は、例えば、好ましくは非侵襲性および/またはin vivoでの視覚化技術による直接または間接的な検出を容易にする任意の部分であり得る。例えば、検出可能因子は、任意の公知の画像化技術(例えば、放射線技術が含まれる)によって検出可能であり得る。検出可能因子には、例えば、造影剤(例えば、造影剤がイオン性または非イオン性である場合)が含まれ得る。いくつかの実施形態では、例えば、検出可能因子は、タンタル化合物および/またはバリウム化合物(例えば、硫酸バリウム)を含む。いくつかの実施形態では、検出可能因子はヨウ素(放射性ヨウ素など)を含む。いくつかの実施形態では、例えば、検出可能因子は、有機ヨウ素酸(organic iodo acid)(ヨードカルボン酸(iodo carboxylic acid)など)、トリヨードフェノール、ヨードホルム、および/またはテトラヨードエチレンを含む。いくつかの実施形態では、検出可能因子は、非放射性検出可能因子(例えば、非放射性同位体)を含む。例えば、Gdを、一定の実施形態で非放射性検可能出因子として使用することができる。検出可能因子には、放射性同位体、酵素、フルオロフォア、および量子ドット(Qdot(登録商標))も含まれ得る。例えば、検出部分は、酵素、ビオチン、金属、またはエピトープタグであり得る。他の公知または新規に発見された検出可能マーカーは、提供した結合体との使用を意図する。
開示のCendR結合体を、薬学的に許容可能なキャリア中にてin vivoで投与することができる。「薬学的に許容可能な」は、生物学的またはその他の点で望ましくないわけではない物質を意味する(すなわち、この物質は、いかなる望ましくない生物学的影響や、この物質が含まれる薬学的組成物のいかなる他の成分との有害な様式での相互作用もなく核酸またはベクターと共に被験体に投与することができる)。当業者に周知のように、勿論、有効成分の任意の分解を最小にし、被験体中の任意の有害な副作用を最小にするようにキャリアが選択されるであろう。物質は、(例えば、微粒子、リポソーム、または細胞に組み込まれた)溶液、懸濁液中に存在し得る。
CendR結合体を、薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせて治療的に使用することができる。適切なキャリアおよびその処方物は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA 1995に記載されている。典型的には、適量の薬学的に許容可能な塩を処方物中で使用して、処方物を等張にする。薬学的に許容可能なキャリアの例には、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液が含まれるが、これらに限定されない。溶液のpHは、好ましくは約pH5〜約pH8、より好ましくは約pH7〜約pH7.5である。さらなるキャリアには、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性調製物が含まれる。このマトリックスは成形品の形態(例えば、フィルム、リポソーム、または微粒子)である。一定のキャリアが、より好ましくは、例えば、投与経路および組成物の投与濃度に依存し得ることが当業者に明らかであろう。
薬学的調製物は、有効成分として、標的タンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つのエピトープを含む組成物を含むことができる。この少なくとも1つのエピトープは、血球凝集素のステム領域に結合することができるように抗体を誘発することができる。あるいは、薬学的組成物は、有効成分として、血球凝集素のステム領域の少なくとも1つのエピトープに結合するための抗体の少なくとも1つの免疫学的部分を含む組成物を含むことができる。
調製物を、被験体または生物にそれ自体投与することができるか、適切なキャリアまたは賦形剤と混合した薬学的組成物中に含めることができる。
本明細書中で使用する場合、「薬学的組成物」は、生理学的に適切なキャリアおよび賦形剤などの他の化学成分を有する本明細書中に記載の1つまたは複数の有効成分の調製物をいう。薬学的組成物の目的は、被験体または生物への化合物の投与を容易にすることである。
本明細書中の用語「有効成分」は、生物学的効果を担う調製物をいう。
本明細書中で使用する場合、交換可能に使用することができる句「生理学的に許容可能なキャリア」および「薬学的に許容可能なキャリア」は、被験体または生物に有意に刺激を与えず、投与した化合物の生物学的な活性および性質を抑制しないキャリアまたは希釈剤をいう。これらの句にはアジュバントが含まれる。
本明細書中の用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために薬学的組成物に添加する不活性物質をいう。賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、およびポリエチレングリコールの型が含まれるが、これらに限定されない。
薬物の処方および投与技術を、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,最新版(本明細書中で参考として援用される)に見出すことができる。
適切な投与経路には、例えば、経口、直腸、経粘膜(特に、経鼻)、腸、または非経口送達(筋肉内、皮下、および髄内への注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、または眼内への注射が含まれる)が含まれ得る。あるいは、調製物を全身よりもむしろ局所に投与することができる。
薬学的組成物を、当該分野で周知の過程によって(例えば、従来の混合、溶解、造粒、ドラジェ作製、水簸、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥過程による)製造することができる。
したがって、開示の方法で用いる薬学的組成物を、有効成分の調製物への加工を容易にし、且つ薬学的に使用することができる賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容可能なキャリアを使用した従来の様式で処方することができる。適切な処方物は、選択した投与経路に依存する。
注射のために、有効成分を、水溶液中、好ましくは、生理学的に適合する緩衝液(ハンクス液、リンゲル液、または生理的塩類緩衝液など)中に処方することができる。経粘膜投与のために、透過すべき障壁に適切な浸透剤を処方物中で使用する。かかる浸透剤は、一般に当該分野で公知である。
経口投与のために、活性化合物を当該分野で周知の薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせることによって化合物を容易に処方することができる。かかるキャリアにより、化合物を患者が経口摂取するための錠剤、丸薬、ドラジェ、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、および懸濁液などに処方することができる。経口用の薬理学的調製物を、固体賦形剤を使用し、任意選択的に得られた混合物を粉砕し、必要に応じて適切な助剤を添加した後に顆粒混合物を加工して錠剤またはドラジェコアを得ることによって作製することができる。適切な賦形剤は、特に、充填剤(糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールが含まれる);セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど);および/または生理学的に許容可能なポリマー(ポリビニルピロリドン(PVP)など)など)である。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を添加することができる。
適切なコーティングを有するドラジェコアを提供する。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意選択的に含むことができる濃縮糖溶液を使用することができる。活性化合物の用量の異なる組み合わせを識別または特徴づけるための染料または色素を錠剤またはドラジェコーティングに添加することができる。
経口で使用することができる薬学的組成物には、ゼラチンで作製された押し込み式カプセルならびにゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)で作製された密封された軟カプセルが含まれる。押し込み式カプセルは、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)、潤滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)、および、任意選択的に安定剤との混合物中に有効成分を含むことができる。軟カプセルでは、有効成分を、適切な液体(脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなど)中に溶解または懸濁することができる。さらに、安定剤を添加することができる。経口投与用の全ての処方物は、選択された投与経路に適切な投薬量で存在すべきである。
口内投与のために、組成物は、従来の様式で処方された錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
鼻腔吸入による投与のために、開示の方法で用いる有効成分を、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素)を使用して圧縮パックまたは噴霧器からエアゾールスプレーの形態で都合よく送達させることができる。圧縮エアゾールの場合、投薬単位を、定量を送達させるバルブによって決定することができる。化合物と適切な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)との粉末混合物を含む(例えば、ディスペンサーで用いるゼラチンの)カプセルおよびカートリッジを処方することができる。
本明細書中に記載の調製物を、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために処方することができる。注射用処方物は、例えば、任意選択的に防腐剤を添加したアンプルまたは複数回用量の容器中に単位投薬形態で存在することができる。組成物は、油性または水性ビヒクルの懸濁液、溶液、または乳濁液であり得、処方剤(懸濁剤、安定剤、および/または分散剤など)を含むことができる。
非経口投与のための薬学的組成物には、水溶性形態の活性調製物の水溶液が含まれる。さらに、有効成分の懸濁液を、適切な油または水ベースの注射懸濁液として調製することができる。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油(ゴマ油など)または合成脂肪酸エステル(オレイン酸エチルなど)、トリグリセリド、またはリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなど)を含むことができる。任意選択的に、懸濁液はまた、適切な安定剤または高濃度の溶液を調製するために有効成分の溶解性を増加させる薬剤を含むことができる。
あるいは、有効成分は、使用前に適切なビヒクル(例えば、滅菌した無発熱物質の水ベースの溶液)で構成するための粉末形態であり得る。
例えば、従来の座剤の基剤(カカオバターまたは他のグリセリドなど)を使用して、調製物を直腸組成物(座剤または停留浣腸など)中に処方することもできる。
開示の方法で用いる薬学的組成物には、意図する目的を達成するのに有効な量で有効成分を含む組成物が含まれる。より具体的には、治療有効量は、治療を受ける被験体の疾患を防止するか、緩和するか、症状を改善するか、延命するのに有効な有効成分の量を意味する。
治療有効量の決定は、特に本明細書中に提供した詳細な開示を考慮して、十分に当業者の能力の範囲内である。
開示の方法で使用される任意の調製物のために、治療有効量または治療有効用量を、in vitroおよび細胞培養アッセイから最初に評価することができる。例えば、動物モデルにおける所望の循環抗体濃度または力価を達成するための用量を処方することができる。かかる情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
本明細書中に記載の有効成分の毒性および治療効率を、in vitro、細胞培養物、または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。これらのin vitroおよび細胞培養アッセイならびに動物研究から得たデータを、ヒトで用いる投薬量範囲の処方で使用することができる。投薬量は、使用される投薬形態および使用される投与経路に応じて変化することができる。正確な処方、投与経路、および投薬量を、患者の容態を考慮して各医師が選択することができる(例えば、Finglら、in The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ch.1 p.1.(1975)を参照のこと)。
ウイルスの侵入の防止または軽減に十分な抗体の血漿が得られるように(最小有効濃度、MEC)、投薬量および投薬間隔を個別に調整することができる。MECは各調製物で変化するが、in vitroデータから評価することができる。MECを達成するのに必要な投薬量は、それぞれの特徴および投与経路に依存するであろう。結合アッセイを使用して、血漿濃度を決定することができる。
MEC値を使用して投薬間隔を決定することもできる。10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%の時間でMECを超える血漿レベルを維持するレジメンを使用して調製物を投与すべきである。
治療すべき容態の重症度および応答性に応じて、数日から数週間まで持続するか、治癒するまでか、病状が軽減するまで一連の治療を使用して、投与は単回投与または複数回投与であり得る。
組成物の投与量は、勿論、治療を受ける被験体、苦痛の重症度、投与様式、担当医の判断などに依存するであろう。
開示の結合体に結合体化することができる脂肪酸(すなわち、脂質)は、リポソームへのペプチドの有効な組み込みが可能な脂肪酸が含まれる。一般に、脂肪酸は極性脂質である。したがって、脂肪酸はリン脂質であり得る。提供した結合体は、天然または合成のリン脂質のいずれかを含むことができる。リン脂質を、飽和または不飽和の一置換または二置換脂肪酸およびその組み合わせを含むリン脂質から選択することができる。これらのリン脂質は、例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルセリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルセリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジン酸、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルコリン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルセリン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミテライドイルオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミテライドイルオレオイルホスファチジン酸、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルコリン、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルセリン、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(ethanoamine)、ミリストレオイルオレオイルホスファチジルグリセロール、ミリストレオイルオレオイルホスファチジン酸、ジリノレオイルホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルセリン、ジリノレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジリノレオイルホスファチジルグリセロール、ジリノレオイルホスファチジン酸、パルミチックリノレオイルホスファチジルコリン、パルミチックリノレオイルホスファチジルセリン、パルミチックリノレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミチックリノレオイルホスファチジルグリセロール、パルミチックリノレオイルホスファチジン酸であり得る。これらのリン脂質はまた、以下のモノアシル化誘導体であり得る:ホスファチジルコリン(リゾホスファチジルコリン(lysophophatidylidylcholine))、ホスファチジルセリン(リゾホスファチジルセリン)、ホスファチジルエタノールアミン(リゾホスファチジルエタノールアミン)、ホスファチジルグリセロール(リゾホスファチジルグリセロール)、およびホスファチジン酸(リゾホスファチジン酸)。これらのリゾホスファチジル誘導体中のモノアシル鎖は、パルミトイル、オレオイル、パルミトレオイル、リノレオイル、ミリストイル、またはミリストレオイルであり得る。リン脂質は合成でもあり得る。合成リン脂質は、種々の供給者から容易に購入することができる(AVANTI Polar Lipids(Albaster,Ala.);Sigma Chemical Company(St.Louis,Mo.)など)。これらの合成化合物は様々であり得、天然に存在するリン脂質中で見出されないその脂肪酸側鎖の異型を有し得る。脂肪酸は、PSまたはPCのいずれかまたは両方にC14、C16、C18、またはC20鎖長を有する不飽和脂肪酸側鎖を有することができる。合成リン脂質は、ジオレオイル(18:1)−PS;パルミトイル(16:0)−オレオイル(18:1)−PS、ジミリストイル(14:0)−PS;ジパルミトレオイル(16:1)−PC、ジパルミトイル(16:0)−PC、ジオレオイル(18:1)−PC、パルミトイル(16:0)−オレオイル(18:1)−PC、およびミリストイル(14:0)−オレオイル(18:1)−PCを構成要素として有することができる。したがって、例として、提供した結合体は、パルミトイル16:0を含むことができる。
カーゴ組成物は、微粒子またはナノ粒子(ナノスフェア、ナノシェル、ナノワーム、および発熱ナノシェルなど)であり得る。本明細書中で使用する場合、「ナノシェル」は、1つまたは複数の導電性シェル層に囲まれた個別の誘電性または半導体のコアセクションを有するナノ粒子である。米国特許第6,530,944号は、金属ナノシェルの作製および使用方法のその教示についてその全体が本明細書中で参考として援用される。ナノシェルを、例えば、近赤外光(約800〜1300nm)などの照射を使用して励起することができる高伝導性金属などの物質でコーティングされた誘電性または不活性の物質(シリコンなど)のコアを使用して形成することができる。励起の際、ナノシェルは発熱する。得られた高熱は、周囲の細胞または組織を死滅させることができる。ナノシェルのシェルおよびコアの直径の合計は、数十ナノメートルから数百ナノメートルまでの範囲である。近赤外光は、組織を透過するその能力が有利である。ナノ粒子コーティングおよびターゲティングされた細胞の選択に応じて他の照射型も使用することができる。例には、X線、磁場、電場、および超音波が含まれる。粒子を使用して、特に、赤外拡散光子画像化法を使用して画像化を増強することもできる。ターゲティング分子は、抗体またはそのフラグメント、特定の受容体のリガンド、またはターゲティングすべき細胞の表面に特異的に結合する他のタンパク質であり得る。
カーゴ組成物を、例えば、開示のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendRエレメントに共有結合させるか非共有的に会合させることができる。カーゴ組成物を、例えば、開示のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendRエレメントのアミノ末端;開示のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendRエレメントの内部アミノ酸;開示のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendRエレメントのカルボキシ末端;またはCendRエレメントのN末端側のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列;リンカーを介した開示のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendRエレメント;またはその組み合わせに連結することができる。開示のCendR結合体は、カーゴ組成物と開示のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendRエレメントとを連結するリンカーをさらに含むことができる。開示のタンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendRエレメントを、タンパク質、ペプチド、アミノ酸配列、またはCendRエレメントでナノ粒子、ナノワーム、およびナノシェルなどをコーティングするために使用することができるウシ血清アルブミン(BSA)などのコーティング分子に結合体化することもできる(Tkachenkoら、(2003)J Am Chem Soc、125、4700−4701を参照のこと)。
カーゴ組成物を開示のペプチドに架橋するために使用することができるタンパク質架橋剤は当該分野で公知であり、有用性および構造に基づいて定義され、以下が含まれる:DSS(ジスクシンイミジルスベラート)、DSP(ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート))、DTSSP(3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオナート))、SULFO BSOCOES(ビス[2−(スルホスクシンイミド(スルホスクシンイミド)オキシカルボニルオキソ)エチル]スルホン)、BSOCOES(ビス[2−(スクシンイミド(succinimdo)オキシカルボニルオキソ)エチル]スルホン)、SULFO DST(ジスルホスクシンイミジルタートラート)、DST(ジスクシンイミジルタートラート)、SULFO EGS(エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシナート))、EGS(エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシナート))、DPDPB(1,2−ジ[3’−(2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン)、BSSS(ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート)、SMPB(スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチラート)、SULFO SMPB(スルホスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチラート)、MBS(3−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、SULFO MBS(3−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル)、SIAB(N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾアート)、SULFO SIAB(N−スルホスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾアート)、SMCC(スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート)、SULFO SMCC(スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート)、NHS LC SPDP(スクシンイミジル−6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノアート)、SULFO NHS LC SPDP(スルホスクシンイミジル−6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ヘキサノアート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート)、NHS BROMOACETATE(N−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセタート)、NHS IODOACETATE(N−ヒドロキシスクシンイミジルヨードアセタート)、MPBH(4−(N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジドヒドロクロリド)、MCCH(4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸ヒドラジドヒドロクロリド)、MBH(m−マレイミド安息香酸ヒドラジドヒドロクロリド)、SULFO EMCS(N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミド)、EMCS(N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド)、PMPI(N−(p−マレイミドフェニル)イソシアナート)、KMUH(N−(κ−マレイミドウンデカン酸)ヒドラジド)、LC SMCC(スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ(6−アミドカプロアート))、SULFO GMBS(N−(γ−マレイミドブチルオキシ(butryloxy))スルホスクシンイミドエステル)、SMPH(スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミドヘキサノアート))、SULFO KMUS(N−(κ−マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル)、GMBS(N−(γ−マレイミドブチルオキシ(butyrloxy))スクシンイミド)、DMP(ジメチルピメリミダートヒドロクロリド)、DMS(ジメチルスベリミダートヒドロクロリド)、MHBH(ウッズ試薬)(メチル−p−ヒドロキシベンズイミダートヒドロクロリド、98%)、DMA(ジメチルアジピミダートヒドロクロリド)。
CendRエレメントを所与の細胞に選択的に送達させ、それによってホーミングCendR結合体を形成するためのCendRエレメントに結合したホーミング分子を開示する。種々のホーミング分子を、開示の組成物、結合体、および方法で使用することができる。かかるホーミング分子には、本明細書中に開示のペプチドが含まれるが、これに限定されない。開示の化合物、組成物、結合体、および方法は、種々の形態の開示のホーミング分子(開示のペプチドおよびペプチド模倣物が含まれる)を含むか使用することができる。都合よく発現するために、本明細書中の多数の場所にペプチドの使用または含有が引用されているであろう。そのような場合に、種々の形態のホーミング分子をペプチドに関して記載の方法と同一または類似の方法で使用するかこれらに含むこともでき、それにより、その使用および含有が特に意図および開示されると見なされると理解される。
本明細書中で使用する場合、用語「ホーミング分子」は、正常組織よりも腫瘍または他の特異的組織にin vivoで選択的にホーミングする任意の分子を意味する。同様に、用語「ホーミングペプチド」または「ホーミングペプチド模倣物」は、正常組織よりも再生組織、創傷、または腫瘍にin vivoで選択的にホーミングするペプチドを意味する。再生組織、創傷、または腫瘍にin vivoで選択的にホーミングするホーミング分子は再生組織、創傷、または腫瘍に優先的にホーミングすることができると理解される。
「選択的にホーミングする」は、in vivoでホーミング分子が非標的と比較して標的に優先的に結合することを意味する。例えば、ホーミング分子は、非腫瘍と比較して腫瘍に優先的に結合することができる。例えば、腫瘍細胞への選択的ホーミングは、一般に、非腫瘍細胞のいくつかの組織型と比較して、腫瘍細胞内の少なくとも2倍を超えた局在化によって特徴づけられる。ホーミング分子を、ほとんどまたは全ての非癌性細胞と比較して、5倍、10倍、20倍、またはそれを超える癌性細胞への優先的局在化によって特徴づけることができる。したがって、いくつかの場合、ホーミング分子は、腫瘍へのホーミングに加えて、1つまたは複数の正常器官に一部ホーミングすると理解される。選択的ホーミングをターゲティングということもできる。
ホーミング分子認識の文脈における結合および/またはその標的への結合は、例えば、共有結合および/または非共有結合によってホーミング分子がその標的に結合、付着、またはそうでなければカップリングすることができる場合に共有結合または非共有結合の両方をいうことができる。結合は、高親和性または低親和性のいずれでもよく、高親和性が好ましい。有用であり得る結合力の例には、共有結合、双極子相互作用、静電力、水素結合、疎水性相互作用、イオン結合、および/またはファンデルワールス力が含まれるが、これらに限定されない。この結合は、CendRエレメントを使用して起こる結合に加えて起こり得る。
「治療」は、疾患、病的状態、または障害を治癒、改善、安定化、または防止することを意図する患者の医学的管理を意味する。この用語には、積極的治療(すなわち、疾患、病的状態、または障害の改善を明確に目指す治療)が含まれ、原因治療(すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の原因の除去を目指す治療)も含まれる。さらに、この用語には、緩和的治療(すなわち、疾患、病的状態、または障害の治癒よりもむしろ症状の緩和のためにデザインされた治療);予防的治療(すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の発症の最小化または部分的もしくは完全な阻害を目指す治療);および支持治療(すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の改善を目指す別の特定の療法を補助するために使用される治療)が含まれる。
本明細書中で使用する場合、「被験体」には、動物、植物、細菌、ウイルス、寄生虫、および核酸を有する任意の他の生物または物質が含まれるが、これらに限定されない。被験体は、脊椎動物、より詳細には、哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、非ヒト霊長類、ウシ、ネコ、モルモット、またはげっ歯類)、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類であり得る。被験体は、無脊椎動物、より詳細には、節足動物(例えば、昆虫および甲殻類)であり得る。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、成体および新生被験体ならびに胎児は、雄または雌のいずれも対象とされることを意図する。患者は、疾患または障害を罹患した被験体をいう。用語「患者」には、ヒトおよび動物被験体が含まれる。子宮内膜癌および子宮内膜癌細胞の文脈では、被験体が子宮内膜癌および/または子宮内膜癌細胞を有するか有し得る被験体であると理解される。
本明細書で主張する化合物、組成物、製品、デバイス、および/または方法がどのようにして作製および評価されるかを当業者に完全に開示および記載するために以下の実施例を示し、この実施例は、純粋に例示を意図し、本開示を制限することを意図しない。数字(例えば、量、温度など)が正確であるように努めたが、いくつかの誤差および偏差が存在するであろう。他で示さない限り、部は重量部であり、温度は摂氏で示すか周囲温度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
A.実施例1:ナノ粒子、薬物、または他の物質の細胞内外への送達
ファージディスプレイを使用して、in vivoでの血管ターゲティングのための多数の高選択性ペプチドを単離した。一般に、受容体ターゲティングおよび/または細胞透過性ペプチドの使用によって高分子およびコロイド状ナノ粒子を細胞に送達させる。
1.結果
一連のT7バクテリオファージディスプレイされたペプチドライブラリーを使用して、PPC1前立腺癌細胞によってファージ粒子を細胞取り込みする配列モチーフを同定した。T7ファージ粒子は正十二面体のヌクレオカプシドおよびテール繊維から構成され、ディスプレイされたペプチドは、典型的には200〜415ペプチド/ファージの密度の主なコートタンパク質GP10とのC末端融合物として発現する(図1A)。従来のT7ペプチドライブラリー(ランダム環状CX7Cおよび線状X7;Xはランダム残基)をスクリーニングのために使用した。iRGDペプチド(RXXRXXXおよびRXXR(A/P)PRXXXライブラリー)などの他の分子中で認められているRXXRモチーフを含むように新規のライブラリーもデザインした。3ラウンドのディスプレイ後、選択されたライブラリーは7−グリシン(G7)コントロールペプチドをディスプレイするファージの500〜2,500倍細胞懸濁液に結合した(図1B)。3ラウンドの選択後のランダムファージクローンの配列決定により、最初のライブラリーの配置と無関係に全てのライブラリーがC末端アルギニン残基をディスプレイするように収束したことが証明された(図1C)。C末端アルギニンをディスプレイするファージは、37℃でのインキュベーションおよび酸洗浄後に細胞中で検出可能であった。これは、細胞へのファージ内在化を示す。各ファージクローンとインキュベートした細胞の免疫染色および共焦点画像化により、ファージ粒子の細胞内局在化が確認された(図2B)。
ファージ内在化におけるC末端アルギニンの役割を理解するために、(1)GGGGGGR(配列番号1)およびG7コントロールペプチドの他のバリアント、および(2)1つのロバストな内在化ペプチド(RPARPAR(配列番号2))のバリアントをディスプレイする2組のファージを調製した。in vitroでのPPC1細胞(図2A)およびいくつかの他のヒト腫瘍細胞株ならびにex vivoでの正常なマウス器官から調製した細胞の懸濁液へのこれらのファージの結合を研究した。これらの実験により、C末端アルギニンが広範な細胞へのファージ結合を誘発するのに十分であることが証明された。RPARPAR(配列番号2)ファージは、GGGGGGR(配列番号1)ファージよりも強い結合を示した。普遍的細胞結合と一致して、静脈内注射したC末端アルギニンをディスプレイするファージクローンは、最初に遭遇した血管床、心臓、および肺中での富化が認められた。
i.C末端アルギニンのディスプレイによって合成ナノ粒子が内在化される
次に、合成ナノ粒子へのC末端則の適用性を研究した。量子ドット(Qドット(商標)、Invitrogen)へのRPARPAR(配列番号2)ペプチドのコーティングにより、培養PPC1細胞によってQドットの頑強な結合および内在化が誘発された(図3、パネルa)。RPARPAR(配列番号2)ペプチドのC末端のアミドでのブロックにより、Qドットの結合および内在化が消滅した(図3、パネルb)。これは、粒子内在化が末端アルギニンのグアニド基およびカルボキシル基の両方を使用するという考えに一致する。RPARPAR−Qドット(配列番号2)の内在化はまた、過剰量のRPARPARディスプレイファージ(配列番号2)との細胞のプレインキュベーションによって阻害され、飽和性の受容体媒介過程が示唆された。
本明細書中に記載の実験は、アルギニン残基のC末端ディスプレイが細胞へのロバストファージ(およびより一般にはナノ粒子)取り込みを誘発する簡潔なシグナル(CendRシグナル)を示すことを証明する。
ii.プロテアーゼ切断による不顕性内在化組成物の活性化
データは、CendRが種々の組成物の取り込みのための簡潔な位置依存性エレメントを定義することを示す。この規則の興味深い意味は、この規則を使用して、タンパク質分解性切断によって内在化ナノ粒子に活性化することができる不顕性組成物(不顕性ナノ粒子など)をデザインすることができることである。多数のセリンプロテアーゼおよびシステインプロテアーゼは、C末端エレメント(リジン、アルギニン、またはリジン−グリシンなど)を曝露し、かかる切断活性化に潜在的に適切である。さらに、細胞外プロテアーゼは、しばしば、細胞型、組織、または疾患に特異的であり得る高度に制御された様式で発現される。これにより、ナノ粒子取り込みのタンパク質分解性活性化をターゲティング可能である。トリプシン(アルギニン残基およびリジン残基のC末端側を排他的に切断する広域性セリンプロテアーゼ)を、プロテアーゼスイッチ概念についての概念実証実験のために使用した。RPARPARA(配列番号3)ペプチドをディスプレイするファージは、トリプシン処理を行わずにPPC1細胞とインキュベートした場合に細胞結合をほとんど示さなかったが(G7ディスプレイファージの2.8倍)、トリプシンとのファージのインキュベーションにより、結合が100倍を超えて増加した(図4)。
iii.組成物の組織選択的ホーミングおよびC末端則
以前に同定された多数の内在化ホーミングペプチドは、内部またはC末端にアルギニンを含む(Laakkonenら、2002a;Hoffmanら、2003;Zhangら、2005;Jarvinen and Ruoslahti,2007)。CendRは、これらのホーミングペプチドの細胞内在化に寄与することができる。最近、多数の腫瘍モデルに対して強いin vivo選択性を有するホーミングペプチドファミリーが同定された。これらのペプチドのうちの1つであるCRGDKGPDC(iRGD)(配列番号4)はインテグリン結合RGDモチーフを含むが、任意の他のRGDペプチド(以前に腫瘍ターゲティングのために使用されたRGD−4Cペプチド(Arapら、1998)が含まれる)より強く細胞内に内在化されるという点で、RGDペプチドのうちで珍しい。図5は、iRGDペプチドによる強い腫瘍ホーミングの例を示す。
強い内在化の手掛かりは、腫瘍中に発現したプロテアーゼに対してペプチドに感受性を示させるRGDK配列(図8に示すように、KをRに置換することができる)のようである。iRGDペプチドおよびiRGD保有粒子の選択性および強い細胞内在化は、以下の組み合わせの結果として起こり得る:(1)血管形成内皮および腫瘍細胞上のαvインテグリンとの相互作用(それにより、腫瘍中のペプチド濃度が高くなる);(2)C末端のアルギニンまたはリジン(RGD配列中のもの)を曝露するための定義されるべき腫瘍由来の細胞外プロテアーゼによる切断;(3)インテグリンによって使用される内在化経路よりも有効な粒子の内在化が得られるCendR経路のその後の活性化。これを支持する結果は、iRGDペプチドをディスプレイするファージの細胞によるiRGDファージの内在化がUV不活化RPARPAR(配列番号2)ファージとのプレインキュベーションによって減少する(およびコントロールG7ファージの影響は受けない)ことを示す。図6は概念を示す。
2.デザインおよび方法
i.細胞表面受容体、細胞内タンパク質、および非タンパク質の同定ならびにC末端アルギニンを有するペプチドでコーティングしたナノ粒子のための内在化経路の解明
C末端則は、種々の組成物の複数の細胞型への結合および内在化を担う。これらの過程を、CendRエレメントをディスプレイする非標識粒子との細胞のプレインキュベーションによって阻害することができ、これは、特異的な細胞表面受容体、細胞内タンパク質、および非タンパク質(核酸、脂質、およびグリコサミノグリカンなど)への取り込みの依存と一致している。CendR受容体調節の同定および詳細な理解は、送達経路の合理的適用の重要な必要条件である。CendRペプチドの内在化受容体を、同定および特徴づけることができる。受容体/細胞内タンパク質/非タンパク質を、CendRペプチドと相互作用する分子のプルダウンによって富化する。CendRペプチドと同時精製されるタンパク質を分画し、質量分析に供して推定受容体および他の分子を同定する。
一連の実験を行って真の受容体タンパク質としての候補を確証する。培養細胞中の受容体とのCendRファージの結合およびCendRファージの同時局在化について精製された推定受容体を試験することによって相互作用を確認する。機能分析のために、候補CendR−受容体の発現レベルを調整し、ファージおよびCendRペプチドをコーティングした量子ドットの取り込みと相関させる。
エンドサイトーシス区画のマーカーに対する一連の抗体を使用した同時局在化研究を使用して内在化経路を決定し、次いで、種々の経路のインヒビターに対するCendRナノ粒子取り込みの感受性を試験する。
受容体の同定および確証。CendR受容体を同定するために、PPC1前立腺癌細胞株から調製した抽出物を使用したペプチドプルダウンアッセイを行う。10×106個のPPC1細胞を、グルコピラノシド(Sigma)、Ca2+およびMg2+、および哺乳動物細胞用のプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche Biochemicals)を含む緩衝液を使用して抽出する。抽出物を、RPARPAR(配列番号2)およびコントロールペプチド(ブロックされたC末端およびG7を有するRPARPAR)に結合したアガロースビーズ(Roche Biochemicals)とインキュベートする。全ペプチドを、本発明者らの研究所に関連するペプチド化学者が合成する。ペプチドをHPLCによって精製して純度を95%超にし、その構造を質量分析によって確認する。一晩のインキュベーション後、ビーズを十分に洗浄し、4〜20%ポリアクリルアミドゲルで分離する。電気泳動後、ゲルを銀染色し、RPARPAR−プルダウンサンプル中に特異的に存在するタンパク質バンドを切り出し、MALDI−TOF分析結果にかける。
種々のプルダウンアッセイも使用することができる。このアッセイは、ジチオ−ビス(スクシンイミジルプロピオナート)(DSP、Lomant’s試薬)を使用した受容体へのペプチドの可逆的架橋のさらなる工程を含む。これは細胞透過性を示すホモ二官能性のチオール切断可能分子であり、pH範囲が6.5および8.5の水性緩衝液中で相互に第一級アミノ基を連結するようにデザインされている。得られた−S−S−架橋を、ゲルローディング緩衝液中でβメルカプトエタノールによって切断する。さらなるアミノ末端システインを有する特定の目的のペプチド組を、DSPを使用した架橋安定化プルダウンのために調製する。
細胞表面での受容体発現を使用するために手順を修正することができる。バリエーションの1つとして、インタクトな生きた細胞をペプチド−アガロースビーズとプレインキュベートし、過剰なビーズを洗い流し、細胞を可溶化し、ビーズを再度洗浄する。これにより、細胞表面タンパク質への結合が制限される。あるいは、細胞を表面ビオチン化することができ(Altin and Pagler,1995)、ペプチド−アガロースを使用して最初の単離を行い、次いで、ストレプトアビジン−アガロースにてビオチン含有タンパク質をさらに単離し、その後にゲル電気泳動を行うことができる。
CendR単離のクローニングストラテジーも使用することができる。日常的に培養した細胞株(約30種の異なる細胞株と推定される)を、CendRペプチド内在化について試験することができる。非内在化細胞株が認められる場合、これらの細胞を使用してPPC1細胞のcDNAライブラリーをトランスフェクトし、CendRペプチドでコーティングした量子ドットを内在化する能力を獲得したトランスフェクタントをスクリーニングする。内在化陽性細胞を同定し、FACSによって単離する。CendR陰性細胞株が見出されない場合、かかる株を、細胞内作用するアポトーシス促進性ペプチドでのPCC1細胞の処理によって生成する。第1の選択はBH3ドメイン由来アポトーシス促進性ペプチドであり、このペプチドは、生存促進性分子Bcl−2、Bcl−x(L)、Bcl−w、Mcl−1、およびA1の活性を抑制することが公知である(Dharap and Minko,2003)。処理に耐性を示す細胞株が得られるまで、生存細胞を選択する。次いで、この細胞株を、CendR−量子ドット内在化の欠損について試験する。欠損がCendR工程で存在しない場合、2つの独立して作用するアポトーシス促進性化合物を使用した別の処理を使用する。以前に腫瘍ターゲティングのための使用されていた抗菌ペプチドD(KLAKLAK)2(配列番号5)(例えば、Arapら、2002)を、別のスクリーニングにおける第2の化合物として使用する。
上記方法によって同定された候補受容体を、生物学的且つ細胞ベースのアッセイを使用して確証する。プラスチックウェルに結合した精製された推定受容体タンパク質およびCendR(RPARPAR、配列番号2)およびコントロールペプチド(RPARPARA(配列番号3)およびG7)をディスプレイするファージの結合を、免疫アッセイ形式で分析する。相互作用が確認される場合、CendRファージ取り込みに及ぼす受容体調整の影響を評価する。受容体発現が下方制御された前立腺癌細胞株PPC1の亜株を、siRNA(PPC1/R−)の構成的発現を駆動するpSilencer 2.0−U6ベクター(Ambion)での安定なトランスフェクションの使用によって形成する。真のCendR受容体が下方制御される場合、CendRファージ内在化の抑制が認められる。siRNAの影響の特異性のコントロールとして、別のコドン使用頻度を有するsiRNA非感受性発現構築物を生成する。これらの発現ベクターのトランスフェクションによるPPC1/R−細胞へのCendRファージ結合のレスキューにより、siRNAノックダウンの影響は受容体に特異的であり、他の遺伝子の関与によらないことを確認することができる。いくつかの周知の細胞透過性ペプチドの内在化で同定されたCendR受容体の関与も試験して(Tat、ペネトラチン、pVec)、CendR系の普遍性を決定する。
内在化経路の解明。共焦点顕微鏡法を使用して、内在化したCendRナノ粒子および一連の細胞内区画マーカーの局在化を研究する。PPC1細胞を、RPARPAR(配列番号2)ペプチドをディスプレイするファージおよび量子ドット(Qdot(商標)605 ITK−SA、Invitrogen)と種々の時間(10分間〜3時間)インキュベートし、以下のマーカーに対する抗体(エンドソーム(抗EEA1pAbおよび抗M6PRpAb;Abcam);リソソーム(抗LAMP−1 pAb、caveoli(抗カベオリン1pAb;Abcam)、およびクラスリン(抗クラスリンmAb;Abcam))で細胞を染色する。細胞を、種々の内在化経路のマーカーおよびT7バクテリオファージについて二重染色する。非免疫IgGはコントロールとしての機能を果たす。機能分析のために、CendRおよびコントロール粒子の取り込みに及ぼす特異的内在化経路インヒビターの影響を試験する。量子ドットを蛍光顕微鏡法によって検出する。使用インヒビターは以下である:エンドソーム経路の一般的インヒビターとしての低温(4℃)、フィリピン、サイトカラシンD、カベオリン媒介性取り込みのためのナイスタチン(Sigma−Aldrich)、クラスリン依存性エンドサイトーシスのためのクロルプロマジン(Sigma−Aldrich)、マクロ飲作用のためのアミロライド(Sigma−Aldrich)、およびリソソーム回避のためのクロロキン(Sigma−Aldrich)。
siRNA活性は、細胞質送達の信頼でき且つ関連する基準である。siRNAをEGFPのために合成し、CendRペプチドRPARPAR(配列番号2)に結合させ、EGFPおよびDsRedの両方を発現するPPC1細胞に及ぼすその影響を試験する。コントロールは単純なsiRNAである。処理した細胞を、蛍光および免疫ブロッティングによってEGFPおよびDsRed発現について試験する。siRNAを、下記のように構築したナノ粒子の表面に付着させる。
したがって、CendRペプチドの細胞取り込みを媒介する受容体を同定する。これらのペプチドによって使用される特定のエンドサイトーシス経路も同定し、細胞質送達が得られるかどうかを見出す。
ii.in vivoでの不顕性組成物の結合/内在化を誘発するためのC末端アルギニンのタンパク質分解的曝露の適用
CendRエレメントのC末端曝露を要求することにより、タンパク質分解性切断によって活性化される不顕性(非内在化)ナノ粒子を構築することが可能となる。in vitroトリプシン処理は、不顕性CendRペプチド(RPARPARA、配列番号3)を強力な内在化誘発ペプチドに変換する。ここに、腫瘍送達における組成物のタンパク質分解的に活性化された内在化の有用性を調査する。
細胞外タンパク質分解機構は、種々の発現パターン、特異性および活性、ならびに受容体、共受容体、およびインヒビターによって調節される各酵素を有する複雑なプロテアーゼ系である。健康な成体では、細胞外タンパク質分解は抑制される。タンパク質分解の増加へのシフトは、組織再造形および血管形成に関連する病的状態(例えば、腫瘍の浸潤および成長、神経変性疾患、血管疾患、および炎症性疾患)において起こる。腫瘍発生とプラスミンおよびプラスミノゲンアクチベーターの細胞外セリンプロテアーゼ系の活性化との間の関係についての多数の研究が確立されている。2つの主なプラスミノゲンアクチベーター(ウロキナーゼ型アクチベーター(uPA)および組織型プラスミノゲンアクチベーター(tPA))のうち、uPAは細胞周囲のタンパク質分解および腫瘍細胞浸潤により重要であると考えられる。uPAは、タンパク質分解的に不活性な単鎖プロ−uPAとして細胞から分泌され、細胞周囲空隙中で活性な2鎖uPAに変換される。腫瘍では、活性なuPAは、浸潤性腫瘍細胞、マクロファージ、および血管形成内皮細胞の表面に存在する。uPA活性は、以下の一連の機能的に関連する分子によって正確に調節される:高親和性GPI係留細胞表面受容体−uPAR(Blasi and Carmeliet,2002)、共受容体−LDL受容体関連タンパク質/α2−マクログロブリン受容体(Coneseら、1995)、セルピンインヒビター−プラスミノゲンアクチベーターインヒビター1〜3型(Rijken,1995)。この系は、uPA活性を隣接した細胞周囲空隙に制限するように作用する。uPA活性の腫瘍発生および血管新生との関連、ならびにその強力な基質選択性により、uPA活性をin vivoでのプロテアーゼ活性化ターゲティングの魅力的な候補にしている。実際、細菌毒素のuPA媒介性活性化は、実験的な腫瘍療法で首尾よく適用されている(Liuら、2001,Abi−Habibら、2004)。uPAはP1残基としてアルギニンを好み、マスキングされたCendRエレメントのC末端ディスプレイを触媒するための適切なプロテアーゼであり得る。CendRエレメントをディスプレイするT7ファージを形成し、その後にコンセンサスuPA切断部位を形成し、uPA発現細胞およびuPA活性の薬理学的阻害に対する内在化の感受性によってその内在化を研究する。コントロールは、切断の際にC末端リジンが曝露されると予想される別のuPA基質モチーフを有するペプチドをディスプレイするファージを含み、このファージは内在化されるべきではない。2つの他のプロテアーゼ(フューリンおよびトロンビン)(共に塩基性残基のC末端側のタンパク質およびペプチドを切断し、潜在的にC末端アルギニン残基を曝露する)を同様に内在化を誘導する能力について試験する。一旦、uPA−CendRファージの内在化がuPA活性に依存することが証明されると、uPA発現異種移植腫瘍を保有するマウスおよび妊娠マウスの胎盤組織(胎盤形態形成は、生理学的uPA誘導の周知のモデル過程である)におけるホーミングをin vivoで研究する。フューリンまたはトロンビンを、in vivo研究のために使用することもできる。
iii.uPA感受性CendRファージの構築およびin vitroターゲティング研究
C末端マスキングされた不顕性CendRペプチドをディスプレイする一連のファージは、ウロキナーゼ、フューリン、またはトロンビン切断によって曝露されると予想された(表1)。使用されるuPA感受性モチーフは、uPA感受性炭疽毒素バリアントを構築するために首尾よく使用されている(Liuら、2001)。表1中のモチーフ1〜4について、表示のプロテアーゼによる基質ファージの切断によってCendRエレメントが曝露され、それにより、ファージの結合および内在化が起こると予想される。対照的に、uPAによるモチーフ5の切断によってC末端リジンを曝露することができるが、内在化は誘発されない。基質ファージに加えて、切断後状態を模倣するコントロールファージを構築する(表1、右のカラム)。フューリンは哺乳動物細胞中に遍在しており、トランスゴルジ網、エンドソーム、および細胞膜中には細胞内局在している。実験において、フューリン感受性ファージ(表1中のファージ1)のCendR経路は普遍的に活性化され、ファージがポジティブコントロールとしての機能を果たすと予想される。トロンビンは培養細胞中に存在せず、外因性トロンビンの添加を使用して細胞培養物中でのトロンビン切断可能ペプチドを含むファージ(表1中のファージ2)の内在化を誘発する。腫瘍組織では、癌細胞は典型的にはuPARを発現するのに対して、間質細胞はプロ−uPAを産生する。プロ−uPAおよびuPARの両方を産生する細胞株はわずかしか知られていない。一例は、ルイス肺癌細胞株LL3であり、これは両タンパク質を産生する。LL3細胞中の基質ファージパネルのin vitro内在化を研究する。約106個のLL3細胞を5×108個のファージ粒子と37℃で2時間同時インキュベートし、その後に1%BSAを含むDMEMで十分に洗浄し、結合したファージをレスキューし、定量する。コントロールとして、特異的ペプチドインヒビターであるウパイン−1(CSWRGLENHRMC(配列番号6);100μM;Hansenら、2005)または1mMアミロライドヒドロクロリド(uPAの特異性の低い競合性インヒビター)との細胞のインキュベーションによってuPA活性を阻害する。これらのin vitro実験は、CendRナノ粒子のuPA媒介性活性化の可能性を証明することができる。
iv.プロテアーゼ感受性CendRファージのin vivoホーミング
uPA感受性CendRファージのin vivoホーミングを、以下の2つの標的を使用して研究する:(1)移植腫瘍(皮下LL3モデルおよびPC3前立腺癌同所性異種移植モデル)および(2)マウス妊娠中期後胎盤(性交後10〜14日)。LL3およびPC3腫瘍は、高活性化uPA系を有することが公知である。胎盤では、uPAは栄養胚葉細胞および脱落内皮細胞の両方で発現する。胎盤は、ターゲティングを容易にすることができる以下のいくつかの特徴を有する:脈管構造が正常であり、腫瘍において一般的な間質圧の上昇およびEPRの影響が存在しないこと。ナノ粒子(バクテリオファージが含まれる)は、細網内皮系(肝臓)によって血流から迅速にクリアランスされる。タンパク質分解の影響を観察するためにファージの寿命を長くする必要がある場合、肝臓回避変異体T7ファージを使用する。変異はテール繊維タンパク質に存在し、この変異によってファージが肝臓によって認識不可能になり、その結果、血液半減期が延長される。かかるファージ(Sokoloffら、2003)を構築し、試験した。uPA感受性CendRおよびコントロール(G7)ファージ(109〜1011pfu)をマウスに静脈内注射し、種々の循環期間後(10分〜2時間)、動物をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で灌流し、組織サンプルを回収する。組織をホモジナイズし、1%BSAを含むDMEMで洗浄し、標的およびコントロール器官(典型的には、脳、肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、および骨格筋)中のファージ量を、生きているファージの滴定およびファージDNAコピー数のq−PCR評価によって評価する。さらに、ウサギポリクローナル抗T7抗体を使用した免疫ペルオキシダーゼ染色を使用して、ファージの組織分布を決定する。in vivoで腫瘍細胞外基質成分、血管およびリンパ管、ならびに腫瘍細胞にホーミングするいくつかのペプチド(Laakkonenら、2002a;Hoffmannら、2003;Brown and Ruoslahti,2004;Pilchら、2006)は以前に特徴づけられている。uPA感受性CendRファージのホーミングを、これらの以前に同定されたホーミングペプチドをディスプレイするファージと定性的および定量的に比較する。
腫瘍は、血液凝固を増加させる傾向があることが知られている。ホーミングペプチド(CREKA(配列番号7))でコーティングしたナノ粒子は、腫瘍血管に結合し、腫瘍血管中で血液凝固することが示されている(Simbergら、2007)。MDA−MB−435腫瘍保有マウス(元のCREKA(配列番号7)研究で使用)に、CendRトロンビン基質ファージ(表1中のファージ2)またはコントロール(G7)ファージ(109〜1011pfu)を静脈内注射し、上記のuPA感受性ファージについて記載のようにファージホーミングを研究する。ファージおよびトロンビンの免疫反応性を、レポーター酵素としてペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを使用した二重免疫組織化学を使用して研究する。凝固の増強のために、トロンビン感受性CendRファージおよびCREKAファージを結合体化し、その後にホーミングおよび免疫局在化を定量する。
v.CendR経路を介して内在化された新規のプロテアーゼ切断可能細胞型および組織特異的ペプチドのスクリーニング。
ヒトプロテアーゼレパートリー(すなわち、デグラドーム)は、460種を超えるプロテアーゼからなる(Puenteら、2003)。タンパク質分解活性プロフィールは、組織型および疾患特異的である。全身でアクセス可能な内因性プロテアーゼのin vivoプロファイリングを、現在の技術を使用して行うことができない。CendRエレメントをかかるスクリーニングのために使用することができる。セリンプロテアーゼは公知のプロテアーゼの1/3を構成し、多くの場合、その切断によってC末端アルギニン残基が曝露される。多数のシステインプロテアーゼもP1残基としてアルギニンを好み、CendRスクリーニングの適切な標的であり得る。切断の際にC末端アルギニンを曝露することができるいくつかの組織および細胞型特異的プロテアーゼは公知である。ウロキナーゼ/プラスミン系は、発達中の遊走細胞(例えば、栄養胚葉巨細胞、神経堤細胞)および腫瘍浸潤で活性化される(Blasi and Carmeliet,2002)。組織カリクレイン(15種の密接に関連するキモトリプシン様プロテアーゼファミリー)は、器官および細胞型特異的パターンで発現し、hK3/前立腺特異的抗原の前立腺特異的発現が最も知られている。基質プロファイリングは、カリクレインhK4、hK5、hK6、hK10はP1残基としてアルギニンを好み、hK3などの他の重要なカリクレインもこの位置でアルギニンを許容することを示す(Debeleら、2006)。トリプシノゲンは膵外分泌部によって生理学的に発現されるが、これらは多数の腫瘍中にも異所性に発現され、マトリックスメタロプロテイナーゼの活性化で役割を果たす(Nybergら、2006)。興味深いことに、宿主プロテアーゼによるウイルスコートタンパク質のタンパク質分解性切断は、多数のウイルスの役立つ活性化工程であり、実際、活性化プロテアーゼの発現パターンは頻繁にウイルス組織親和性を決定する(Klenk and Garten 1994)。ウイルスコートタンパク質は一般に塩基性残基で切断される。これは、ウイルス粒子の細胞内送達のためにCendR原理を天然に適用する方法を示し得る。C末端アルギニン残基を直接曝露するエンドプロテアーゼ切断に加えて、カルボキシルペプチダーゼまたはエンドプロテアーゼとカルボキシルペプチダーゼプロセシングとの組み合わせによる多段階トリミングによるCendR活性を想定することができる。細胞表面または細胞表面付近で1つを超えるプロテアーゼの同時発現が必要であり、これにより、多数の組織特異的変動が起こり、選択的ターゲティングの可能性を生ずることができる。
新規のin vivoファージスクリーニングを使用して、ターゲティングにおける組織特異的プロテアーゼ発現の可能性を引き出すことができる。ランダムライブラリー配列内に適切なプロテアーゼ認識エレメントを含むペプチドのタンパク質分解性曝露により、ファージ粒子を細胞内在化することができる(図7)。内在化によってファージが標的に集中し、標的で特異的に切断されるペプチド選択の根拠が得られる。in vitroおよびin vivoの両方のスクリーニングをこの様式で行って、新規の腫瘍特異的CendRペプチドを発見する。
かかるペプチドを使用して、種々の腫瘍型におけるプロテアーゼまたはプロテアーゼの組み合わせに特異的な内在化組成物を構築することができる。さらに、プロテアーゼベースのターゲティングを、シナフィック(ドッキングベースの)ターゲティングと組み合わせて特異性および有効性を増大させることができ、標的組織で受容体に結合するホーミングペプチドを使用して2つのペプチドでデコレーションしたキメラペプチドまたは組成物(ナノ粒子など)を標的に集中させ、標的部位で、次いで、CendRベースのタンパク質分解によってペプチドが切断されて内在化する。組み合わせ効果により、前例のないターゲティング選択性を得ることができる。上記のiRGDペプチドは、かかる組み合わせ特異性を有するペプチドの一例であり得る。
vi.ライブラリーの構築
以下の2つのT7ファージライブラリー型を構築する。(1)第1のライブラリー組において、単一アルギニン残基の後にランダムペプチドのベイト配列が続く。ランダム配列が環状ペプチドの形成を意図する場合、システイン残基をアルギニンのN末端側に挿入し、ランダム部分は構造XnCを有する。(2)第2のライブラリー組において、既知のホーミングモチーフの後にアルギニン残基およびランダム配列が続く。C末端残基としてアルギニンを曝露するタンパク質分解プロセシングにより、ファージを内在化させて標的に蓄積させる。デザイン番号2では、既知のホーミングモチーフは、ファージを腫瘍組織中に集中させることを意図する。ホーミングモチーフの選択肢の1つはRGD−4Cペプチドである。このペプチドは9残基内に4個のシステイン残基を含み、強く捻れた構造を形成する(Assa−Muntら、2001)。RGD−4Cは腫瘍血管にホーミングし(Pasqualiniら、1997;Arapら、1998)、その構造により、プロテアーゼ切断に比較的耐性を示すことが示されている。それにより、付加したランダム配列が遊離してプロテアーゼ基質および内在化機能が得られる。別の選択肢はCLT1ペプチド(腫瘍間質中の凝固血漿タンパク質を認識する腫瘍ホーミングペプチド)である(Pilchら、2006)。このペプチドは、アルギニン残基を持たず(配列はCGLIIQKNEC(配列番号18)である)、そしてまたランダム配列によって任意の内在化が得られるはずである。96ファージクローンのランダムセットのDNA配列決定を使用して、ライブラリーの質を評価する。
vii.ライブラリースクリーニング
in vitroファージディスプレイスクリーニングを、培養前立腺癌細胞(PPC1、PC3)および乳癌細胞(MDA−MB−435)に対して行う。腫瘍細胞(106細胞)を、1010pfuのファージライブラリーと37℃で2時間インキュベートし、その後に1%BSAを含むDMEMで十分に洗浄して非結合ファージを除去する。ファージをE.coli BLT5403細胞中で増幅させ、PEG−8000沈殿によって精製する。4ラウンドの選択を行う。内在化したファージの可能な不活化に取り組むために、PCRおよびペプチドをコードするインサートのT7ベクターアームへのバッククローニングによって別のファージレスキューを行う。この選択スキームにより、CendR取り込みを活性化することができる細胞外プロテアーゼに感受性を示すペプチドをディスプレイするファージが富化される。異種移植片腫瘍(上記列挙の細胞株由来)を保有するマウスへの1010個のファージの静脈内注射および10分後〜2時間後の組織の回収(プロテアーゼを異なる有効時間でペプチドに作用させるため)によってin vivoスクリーニングを行う。ファージをレスキューし、上のin vitroスクリーニングに記載のように分析する。in vitroスクリーニングとin vivoスクリーニングとの組み合わせも使用する。
最後の選択ラウンド後、プール由来の96個のランダムファージクローンを配列決定し、任意のドミナントペプチドモチーフを同定する。C末端アルギニンをディスプレイする配列(アルギニン残基の後に終止コドンが存在するため)を破棄する。これは、スクリーニングにおけるその選択が既に曝露したC末端アルギニンによって生じる可能性があるからであった。図1Cに示す結果によれば、これらのファージは、in vitroスクリーニング由来の選択された全プールの半分から2/3を示す。C末端アルギニンを有するファージが腫瘍に到達する前に他の組織に結合するので、おそらくこれはin vivoスクリーニングにそれほど由来しないだろう。残りのファージクローンの中から、各ドミナントモチーフを示す3クローンを個別に分析する。in vitro試験は、細胞結合、低温に対する結合感受性、およびα2−マクログロブリン(一般的なプロテアーゼインヒビター)、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSF、セリンプロテアーゼインヒビター、Roche Biochemicals)、ペプスタチンA(pepstatin A)(アスパラギン酸プロテアーゼインヒビター、Sigma)、Z−Phe−Ala−FMK(システインプロテアーゼインヒビター、Enzyme Systems Products)、アマスタチン(アミノペプチダーゼインヒビター、Sigma)を測定する。これらの試験は、ファージ内在化のプロテアーゼ依存性活性化を証明し、活性化を担うプロテアーゼの型を定義することができる。さらに、選択されたペプチドの結合および内在化におけるCendR経路の関与を同定する。以下の2つのアプローチを使用してこれを行う:(1)UV不活化CendRファージによるファージの結合および内在化の競合、および(2)siRNAテクノロジーを使用して上記で同定されたCendR受容体がノックダウンされたPPC1細胞の使用。
ファージ研究に加えて、蛍光標識した基質ペプチドを、共鳴エネルギー移動(RET)研究のために調製する。接近した2つのフルオロフォアの吸収スペクトルおよび発光スペクトルが重複した場合にRETクエンチングが起こる。クエンチング量は、分子間の距離およびスペクトルの重複範囲に依存する。ペプチド切断を評価するために、ペプチドの異なる末端を公知のフルオロフォア/クエンチャー対(例えば、DABCYL/EDANSまたはAbz/3−ニトロ−Tyr)で標識し、ペプチドを細胞とインキュベートし、蛍光強度の変化を測定する。ファージ研究のための上記列挙の一連のプロテアーゼインヒビターを使用して、切断を担うプロテアーゼファミリーを同定する。
ファージクローンを、in vivoでの腫瘍ホーミングについても試験する。腫瘍中および正常組織中のファージの滴定によってホーミング効率を測定する。抗T7抗体を使用して組織中のファージの存在を分析し、この分析により、組織中のファージが関連する細胞型および細胞に内在化されるかどうかに関する情報が得られる。
これらのスクリーニングにより、新規の腫瘍特異的CendR配列を得ることができる。ホーミングペプチドがCendR配列内に包埋されているか、キメラペプチド中でこの配列と協力している混合配列も認められる。かかる組み合わせ機構によって標的組織に結合するペプチドは、組成物の選択的細胞内送達のための特に良好なビヒクルであり得る。プロテアーゼ切断可能基質の同定を使用して、切断を担うプロテアーゼを同定することもできる。これらのプロテアーゼは、疾患の進行に機能的に重要であることを証明することができ、それ自体が重要な新薬開発につながる標的であり得る。
viii.ナノ粒子を血管外遊出させる細胞およびペプチドからの組成物の排出を促進するペプチドの単離
種々の組成物の有効な血管外遊出および組織透過は、細胞の内在化および排出機能の両方を使用する。細胞からの組成物の排出は、細胞分泌経路からの強奪に依存し得る。排出のために適用することができる経路は複数存在する可能性があり、これらの経路のうちのいくつかは細胞および組織型に特異的であり得、潜在的に薬物送達にさらなる選択肢を提供することができる。C末端則を、細胞からの排出を媒介することができるペプチド配列のスクリーニングに適用することができる。この目的を達成するために、ランダムペプチド、その後にC末端アルギニンを有するCendRエレメントをディスプレイするT7ライブラリー(XCendRライブラリー)を作製する。C末端アルギニンはファージを無作為に細胞内在化させる。排出機能を有するペプチドをディスプレイするファージのみが細胞を遊離することができるので、排出機能についてのスクリーニングを作製する。細胞を排出することができるファージを選択できる方法がいくつか存在する。最も簡潔なアプローチは、最初のライブラリー結合および内在化の後に細胞の培養培地中に出現するファージを同定し、洗浄して非結合ファージを除去することである。この系により、1つを超える侵入/排出サイクルが可能なファージを選択することも可能である。このスクリーニングでは、ファージを一方の細胞プールに結合させ、その後にこれらの細胞培養物を選別タグを保有する同一細胞の別のプールと混合する。第2の細胞プールからファージを回収する。このスキームは、侵入―排出サイクルを繰り返すことができ、それにより、組織透過エレメントとして作用するペプチドに選択性を示す。
細胞型特異的細胞排出シグナルの存在の可能性も調査する。2つの異なる細胞株を使用して選択を行うことを除いて、一般的な排出促進タンパク質についての上記スクリーニングの異型を使用する。細胞株Aに特異的な排出エレメントのスクリーニングでは、XCendR−ライブラリーとインキュベートし、その後に細胞株Bと共培養し、培養物を拡大し、細胞株Bから細胞内ファージを回収する。この方法で選択したペプチドは普遍的に内在化するが、既存の細胞株Aのみを排出することができ、Bを排出できない。細胞型特異的排出ペプチドは、ペイロード送達にさらなる選択を与えることができる。例えば、非癌細胞からのカーゴ排出を誘発するペプチドを使用して、血管外遊出、組織透過、および腫瘍細胞の選択的ターゲティングが達成される。
血管外遊出は、ナノ粒子の組織透過の第1工程である。これは、内皮細胞および周皮細胞の透過だけでなく、密な細胞外基質構造(基底膜およびコラーゲンリッチマトリックス)の透過も含む。血管外遊出促進ペプチドモチーフを保有するファージを、XCendRライブラリーを注射したマウスの標的組織から顕微解剖によって単離する。
T7ファージライブラリー(XCendRライブラリー)を、細胞排出誘発ペプチドの同定のために構築する。ランダムヘプタマーライブラリーによってC末端CendRペプチド(RPARPAR、配列番号2)をN末端側に隣接させ、このライブラリーをディスプレイするファージを、CendR経路によって内在化させる。他方では、排出機能を有するペプチドをディスプレイするファージは、細胞を遊離することができる。侵入/排出過程が不可逆性プロセシング(例えば、タンパク質分解)を含む限り、侵入/排出サイクルは数回繰り返すことができる。
一般的な排出促進ペプチド配列を同定するための実験ストラテジーを図7のパネルBに概説する。ライブラリーを5×106個のPPC1前立腺癌細胞と4℃で最初にインキュベートして、ファージを細胞表面に結合させる(4℃でインキュベーションして、ファージ不活化リスクの可能性があるファージの内在化/排出サイクルの反復を回避する)。最初の選択ラウンド中に、ライブラリーの多様性の約20倍である入力ファージ数(典型的には1010プラーク形成単位)を使用する。非結合ファージを除去するための1%BSAを含むDMEMでの十分な洗浄後、細胞を37℃で種々の時間インキュベートし(細胞死の一因になるのを防止するため、できるだけ短時間維持する)、E.coli BLT5403細胞の感染によってファージを培養上清からレスキューする。このファージプールは、排出シグナルをディスプレイするファージを含むことができ、スクリーニングの繰り返しによりこのファージを富化することができる。
1つの細胞から排出された後に別の侵入が可能なファージを単離するために、最初のスクリーニング部分を上記のように行うが、結合工程および洗浄工程後に、10倍過剰のGFPで安定にトランスフェクトしたPPC1細胞を添加し、その後に37℃で1時間インキュベートする。十分な洗浄後、GFP+細胞をFACSによって単離し、これらの細胞中のファージを、E.coli BLT5403細胞の感染および/またはT7ファージへのPCRベースのバッククローニングによってレスキューする。各選択ラウンド中に、ファージ回収数を、感染ファージの滴定およびファージDNAのqPCRによって評価する。候補排出モチーフを保有するファージを、ライブラリー選択中の同一のストラテジーを使用して個別に評価する。このアプローチは、1つを超える侵入/排出サイクルが可能なファージを選択し、ナノ粒子の細胞排出が可能なペプチドエレメントを同定することができる。
上記のスクリーニングストラテジーの異型を実施して、可能な細胞型特異的排出シグナルを調査する(図7、パネルB)。正常なマウス器官(肝臓、腎臓、前立腺)、臍帯から単離した正常なヒト血管内皮(HUVEC;BD Bioscience)、前立腺癌細胞株(PC3、Du145;共にATCC)、および乳癌細胞株(MDA−MB−435、ATCC)から調製した細胞懸濁液の排出シグナルを調査する。細胞型特異的排出ペプチドを同定するために、5×106個の標的細胞を多様性が20倍のXCendRライブラリー(典型的には、1010プラーク形成単位)と4℃でインキュベートし、その後に1%BSAを含むDMEMで十分に(4回)洗浄して非結合ファージを除去する。次いで、標的細胞を10倍過剰のGFP発現PPC1細胞(高CendR経路活性を有することが公知である)と37℃で1時間共培養する。この工程中、PPC1細胞は、最初の標的細胞から排出されたファージを内在化する。インキュベーション後、PPC1細胞を分類し、酸で洗浄し(表面結合ファージを除去するため)、T7バクテリオファージの感染および/またはPCRベースのバッククローニングによって細胞内ファージをレスキューする。得られたファージは、標的細胞に侵入/排出されるペプチドをディスプレイするはずであるが、PPC1細胞を侵入することのみができ、排出することができない。異なる細胞型の他の組み合わせを、同一の様式で試験する。内皮細胞に侵入および排出することができるが、腫瘍細胞に侵入のみして排出することができないペプチドが腫瘍ターゲティングペプチドとして特に興味深いので、内皮細胞と腫瘍細胞との組み合わせは特に注目されるであろう。
最後に、XCendRライブラリーをin vivoでスクリーニングして、血管からの血管外遊出を駆動するペプチドを同定する。HUVEC排出/CendRペプチドを有する各ファージの血管外遊出能力を調査する。曝露したCendRペプチドを有するライブラリーがin vivoで全ての血管に結合すると予想されるので、最初のスクリーニングを行い、尾静脈注射後にファージが最初に遭遇する標的器官(心臓および肺)を使用してテクノロジーを至適化する。次いで、ファージを左心室に注射して心臓および肺による優先的取り込みを回避する(Brown and Ruoslahti,2004)。in vivo血管外遊出スクリーニングのために、塩化セシウム超遠心分離を使用して精製した高濃度のライブラリーを使用する(高度に精製されたファージによって非精製またはPEG8000沈殿させたファージ調製物よりも良好なスクリーニング結果が得られることが見出されている)。200μlを超えない総体積の1011pfu/マウスのライブラリーを注射する(圧力誘導性の血管ストレスおよび損傷を回避するため)。血管外遊出および組織透過させるためにファージを3時間循環させた後、組織を瞬間凍結し、30μmの切片にする。組織切片を−20℃メタノールで1分間固定し、対比染色する。PALM顕微解剖システム(Carl Zeiss GmbH,Germany)を使用して血管構造を除去する。かかる処理がファージ生存に適合すると判断されている。除去した血管を有する組織切片を非イオン性界面活性剤(1%NP40を含むLB細菌成長培地)に溶解し、ファージをレスキューする。数ラウンドの選択後、各評価のために候補ファージを選択する。各ファージの血管外遊出を、Taqmanプローブおよびプライマー組を使用した多重qPCR(BioRad IQ5装置)を使用して評価して、両ファージクローンのDNAコピー数を定量する。qPCRのための内部コントロールとして、G7ファージを監査ファージと同時注射する。標的組織ファージ中の候補血管外遊出ファージの分布も、抗T7抗体での免疫染色によって研究する。
ファージのライブラリースクリーニング段階および潜在的な血管外遊出ペプチドをディスプレイするファージの同定/確証後、合成ビオチン化ペプチドを調製し、量子ドット(Qdot(商標)605 ITK−SA、Invitrogen)に結合体化する。肝臓細胞中の量子ドットの内在化/排出を、回転円盤共焦点顕微鏡を使用してリアルタイムで評価する。量子ドットを保有する細胞型特異的排出(およびCendR)エレメントを、同一の画像化システムを使用して分析し、異なる蛍光標識を保有する細胞の混合培養物を使用して、細胞型選択性排出を研究する。レンチウイルス発現系を使用して、細胞に迅速に導入することができる一連の蛍光タンパク質(GFP、YFP、DsRed、Venus)を発現させて蛍光亜株を生成する。in vivo評価のために、ペプチドコーティングした量子ドットを静脈内注射し、3時間の循環後に器官を回収し、瞬間凍結し、免疫蛍光染色のために処理する。TRITCフィルターセットを使用して量子ドットを観察し、同一切片を、一連の細胞型特異的マーカー(内皮細胞のためのCD31、腫瘍細胞のための上皮膜抗原/EMA、マクロファージのためのCD11b、ならびにリンパ内皮細胞のためのポドプラニンおよびLYVE−1)およびAlexa488色素に結合体化した二次抗体(Invitrogen)でも染色する。
このストラテジーを、排出することが公知の特殊な細胞排出シグナルを明らかにするためにデザインする。ペプチドディスプレイスクリーニングにより、細胞からの排出を媒介するためにこれらの経路を使用することができるペプチドを明らかにすることができる。これは全く新しいアプローチであり、血管外遊出を引き起こしてある細胞から別の細胞に種々の組成物を移動させるのに極めて有用であるシグナルを明らかにすることができる。
ix.癌のための実験的療法の考案によるプロテアーゼ誘発C末端則アプローチの有効性の証明
上に詳述した結果は、ナノ粒子、バクテリオファージ、および量子ドットのうちの2種を送達用のC末端則ベースのペプチドの使用によって細胞内部に特異的に送達させることができることを示す。デキストランコーティングおよびペグ化された50nm酸化鉄ナノ粒子を足場として使用して多機能性送達ビヒクルを構築する。他のビヒクルは、siRNA送達用の類似の足場を使用した(Medarova et al.,2007)。ホーミングペプチドにより、ターゲティング機能および内在化機能が得られる。iRGDペプチドをナノ粒子上のターゲティングエレメントとして使用する。何故なら、このペプチドは、腫瘍血管および腫瘍細胞への特異的ターゲティングと標的細胞へのペイロードの内在化を組み合わせているからである。他の単一またはキメラのホーミングおよびCendRエレメントペプチドも使用することができる。同様に、血管外遊出および組織への拡大を促進する任意のペプチドを、ナノ粒子に組み込むことができる。
ターゲティングペプチドは、さらに、画像化のための近赤外線フルオロフォアを運搬する。他の画像化法よりも小動物において容易且つ安価であるので、マウスにおいて光学的画像化が好ましい。しかし、酸化鉄コアにより、ヒト患者における最適な方法であるMRI使用の選択肢が得られる。ペイロードを特定の表面に連結する。siRNAを使用することができる。このsiRNAは、いわゆる「新薬の開発につながらない」標的を調整することが可能であるので、多数の疾患(癌が含まれる)の治療で大きな可能性がある(Uprichard,S.L.,2005;Dykxhoornら、2006)。粒子のエンドソーム回避機能も使用することができる。フルオレセイン標識iRGDで処理した細胞由来の核シグナルが見出されている。
量子ドット足場の類似のsiRNA送達ベクターが構築されている(Derfusら、2007)。iRGDペプチドが腫瘍へのファージおよび蛍光ペプチドの送達ならびにiRGDおよびF3ファージの直接比較において非常に有効であるという事実に基づいて、iRGDナノ粒子は、非常に増強されたホーミングおよび内在化活性を示し得る。
別の選択肢は、siRNA送達のために他でも使用されているリポソームである(例えば、Pirolloら,2007)。siRNA送達のための多数の他の足場デザインが文献に示されている(例えば、Li and Huang,2006;Bartlettら、2007)。粒子足場は重要ではなく、ホーミング/内在化/血管外遊出エレメントの効率および特異性に基づいて系を構築する。
種々の薬物投与レジメンをin vivoで調査し、長期にわたる全身腫瘍組織量を特徴づける。長期にわたる粒子のin vivo分布を、光学的画像化および組織磁化の測定によって研究する。siRNA抑制のための標的は、p32、gC1qR、またはHABPとして公知のタンパク質である(Grebrehiwetら,2002;Rubinsteinら,2004)。このタンパク質は主にミトコンドリアタンパク質であるが、いくつかの環境下で細胞表面にも発現する。p32は腫瘍ホーミングペプチドの1つの標的である。ホーミングペプチドLyP−1は、いくつかであるが全部ではない腫瘍中のリンパおよび腫瘍細胞を認識する(Laakkonenら,2002a;2004)。腫瘍マクロファージの亜集団も高レベルでp32を発現することが示されている。さらに、siRNAでのp32発現の抑制によって腫瘍細胞の代謝が解糖にシフトし、in vivoで細胞成長が減少し、腫瘍形成性が損なわれることが示されている。この標的の使用により、腫瘍におけるp32発現の抑制における粒子の有効性を示す。p32が腎臓および膵臓中にて比較的高レベルで発現されるので(その腫瘍特異性の一部は細胞表面での発現に由来し、これは以前の結果にしたがって腫瘍に制限される)、これらの器官中のp32レベルの測定によってターゲティングの選択性をモニタリングすることもできる。処置研究により、p32が腫瘍のsiRNA療法で可能性があるかどうかを明らかにすることができる。
ナノ粒子足場。アミノ基官能化デキストランコーティングした超常磁性酸化鉄ナノ粒子(50nm nanomag−D−SPIO;Micromod Partikeltechnologie GmbH,Rostock,Germany)を使用する。ナノスフェアよりもむしろ「ナノワーム」(細長い酸化鉄粒子)を使用することができる。ナノワームは、より多くのペイロードを標的に運搬することができる(Parkら、2008)。ナノワームの合成は、磁性ナノスフェア(NS)の典型的な調製(デキストランの存在下でのFe(II)塩とFe(III)塩との反応(Palmacci and Josephson,1993)を含む)に類似する。ワーム様形態を達成するために、球状粒子の作製よりも鉄塩の濃度をより高くし、より高い分子量のデキストラン(20kDa)を使用する。ナノワームは、5〜10IOコア(50〜80nm)の線状凝集体から構成される、細長いデキストランコーティングされた粒子である。本発明者らは、1〜2IOコア(25〜35nm)を含む球状のデキストランコーティングされた粒子であるナノスフィアも作製することができる。リポソーム(ターゲティングされたリポソームなど)(Simbergら,2007)を使用することができる。自己集合性ミセルも使用することができる。
PEG、ペプチド、およびsiRNAのナノ粒子への結合。循環半減期がNWおよびNSの両方についての表面アミン基の数(ペプチド結合体化のために使用される官能基)および表面電荷に非常に依存することが見出されている(Parkら,2007)。文献に報告されているように(Weisslederら,1995;Moghimiら,2001)、表面アミン基数が増加し、それによって正味の粒子電荷が増加するにつれ、循環時間は減少する。遊離表面アミンはオプソニン化に関連する一定の血漿タンパク質を誘引することができ、中性付近の表面電荷(ゼータ電位)の維持は、血液半減期を延長するのに重要なようである。アミン化ナノ粒子へのPEGの付着により、循環時間が増加し、これはおそらくオプソニン化に関与する血漿タンパク質の結合の減少に起因する(Moghimiら,2001)。粒子は、細網内皮系回避(PEG)、ホーミングおよび内在化(iRGDペプチド)、エンドソーム回避(pH感受性ペプチド(例えば、Pirelloら,2007))、フルオロフォア(Cy7など)、およびsiRNAペイロード(おそらく血管外遊出促進ペプチドも)のための表面修飾を有することができる。1つの粒子におけるこれら全ての機能に適応するために、至適化研究を行ってこれらのエレメントのいずれか1つが占める粒子表面の利用可能な連結部位の比率を決定して、ターゲティング/内在化とペイロード送達との最良の組み合わせを得る。個別よりもむしろタンデムなこれらの化合物の結合の可能性のある利点も調査することができる。一方の極端においては、ホーミング/内在化ペプチドで、エンドソーム排出ペプチド、血管外遊出ペプチド、およびフルオロフォアを全て1つの化合物として合成し、PEG部分を介して粒子に結合することができる。他方の極端は、これら全ての個別の結合である。スクランブルペプチドおよびコントロールsiRNAを組み込んだ粒子を構築し、コントロールとして使用する。
iRGDペプチドおよび他の最近の効率の高いホーミングペプチドは、ペプチド活性に不可欠のジスルフィド結合を有する環状ペプチドである。この問題を解決するための化学が開発されており、選択的側基保護を使用して、遊離スルフヒドリル基を示す余剰システインを有する環状ペプチドを合成する。これらのペプチドは安定であるように短縮されており、ジスルフィド結合の検出可能なスクランブルを持たない。マレイミド官能基を、結合基として使用することもできる。これらの化学的性質を使用して、iRGDを粒子に結合する。ジスルフィド結合を使用して、siRNAペイロードを粒子に結合する。以前の研究で、ジスルフィド架橋剤によってナノ粒子に付着したsiRNAは、非還元性チオエーテル結合によって付着した場合よりサイレンシング効率が高いことが示された(Derfusら、2007)。これはおそらく、還元細胞内環境下でsiRNAが粒子から放出されるからである。
x.in vitroおよびin vivoでのナノ粒子の取り込みおよび活性
培養細胞による結合および取り込みを、内在化および細胞内局在を決定するための共焦点顕微鏡法を使用した蛍光顕微鏡法によって研究する。静脈内注射したナノ粒子の循環時間を、種々の時間で回収した血液サンプル中の蛍光の測定およびSQUID(超伝導量子干渉素子)磁気測定によって決定する。SQUIDは、サンプル中の(総イオン含有量よりもむしろ)磁性IOナノ粒子の総数を直接測定し、測定はMRI画像化への適用に関連する。SQUIDを使用して、腫瘍および他の組織サンプル中のナノ粒子濃度も決定する。siRNAの影響を、標的タンパク質および任意の抑制の特異性を確認するためのいくつかの非標的タンパク質の免疫ブロッティングによってモニタリングする。
xi.腫瘍モデルおよびターゲティングの分析
主な腫瘍モデルは、雌ヌードマウスの乳房脂肪体へのMDA−MB−435ヒト癌細胞の移植によって生成した同所性乳癌異種移植片モデルである。iRGDペプチドおよび別のターゲティングエレメントとして利用可能ないくつかの他のホーミングペプチドがこの腫瘍(CREKA、LyP−1)に有効にホーミングするので、このモデルを選択した。さらに、このモデルは、ペプチドホーミングおよび腫瘍治療研究で広く使用されている(例えば、Laakkonenら,2004)。
臨床的に関連する濃度(0.7mg〜2.6mg Fe/Kg体重)から開始して、siRNA保有ナノ粒子を、尾静脈を介してマウスに静脈内注射し、1、8、および24時間後に麻酔下で生きた動物の光学像を取る。ナノ粒子注射から適切な時間の後に回収した器官を画像化し、SQUID分析に供してホーミングを定量する。siRNAの影響を、上記の免疫ブロッティングによって決定する。多機能性ナノ粒子は、腫瘍を選択的にターゲティングし、活性なsiRNAを腫瘍に送達させることが証明された。
腫瘍治療研究。MDA−MB−435腫瘍保有マウス(16〜20週齢)をナノ粒子で処置するか、本明細書中に開示の他の適切な組成物を上記で考察した基準にしたがって選択する。マウス(10マウス/群)に週に一度静脈内注射する。特異的siRNAおよびコントロールsiRNAを有する粒子の用量を決定し、腫瘍および毒性に及ぼすsiRNAの影響をモニタリングする。毒性と比較して用量を決定する。ターゲティングしたナノ粒子の有効性および毒性を、投与頻度を週1回から週2〜3回まで増加させるレジメンで研究する。頻度が増加し、注射あたりの用量を低くすると、有効性および毒性の閾値がより有利である可能性がある(Kerbel and Kamen,2004)。
MDA−MB−435腫瘍のサイズを、実験終了時の腫瘍塊の寸法の測定および秤量によって容易にモニタリングすることができる。その腫瘍がマウスを顕著に不快にさせるサイズに到達した時にマウスを安楽死させる。研究に関与する研究者と無関係に、動物施設の職員が安楽死を決定する(Arapら,2002)。この取り決めにより、群の比較のための生存データが回収される。上記で考察した光学的(および潜在的にMRI)画像化法により、腫瘍サイズの測定または終点としての生存使用の代替法が得られる。画像化を使用して、デザインのばらつきを試験する能力を強化し、且つ迅速にすることが可能である。
さらなる有効性の基準として、リンパ管およびマクロファージ(腫瘍細胞に加えて、p32陽性の標的細胞)を定量する。リンパ管を、CD11b染色を用いた抗LYVE−1およびマクロファージを用いて分析する。p32陽性細胞がこれらの細胞系マーカーを発現することが示されている(Laakkonenら,2004;Fogal,Zhang,and Ruoslahti,Mitochondrial/ Cell surface protein p32/gC1qR as a molecular target in tumor cells and tumor stroma.Cancer Res.68:7210−7218(2008))。リンパ中の腫瘍細胞の存在も評価し、リンパに沿った腫瘍の拡大を巨視的および組織学的に評価する。リンパ管数の実質的な減少を検出可能である(Laakkonenら,2004)。広範な壊死は腫瘍サイズの測定値を歪め得るので、顕微鏡検査によって腫瘍中の壊死を評価することもできる。
本明細書中で得られた情報により、ターゲティングされたナノ粒子テクノロジーを、臨床研究用の化合物を開発できる点に進めることができる。診断薬または治療薬を得る工程は、以下を含む:(1)ホーミングペプチドのヒト受容体に結合する能力を決定し、ヒト受容体分子への結合および薬物動態学的性質のためにペプチドを至適化する工程、(2)治療に適用するためにターゲティングされた組成物を開発する工程。モデル化合物として本明細書中に提案されたp32 siRNAをヒトの治療のために使用することができ、他のペイロードが運搬されるように調整することもできる。
B.(実施例2)C末端則:C末端アルギニンを曝露するペプチドおよびペプチドコーティングナノ粒子のニューロピリン−1依存性内在化
ペイロードの細胞型選択的内在化は、多数の生物学的過程ならびに薬物および造影剤のターゲティングされた薬物送達に重要である。ナノ粒子の細胞内在化および組織透過をC末端曝露したR/KXXR/K(配列番号23)ペプチドモチーフによって達成することができることが確立されている。この現象を、C末端則(CendR)と呼ぶ。C末端以外の位置にR/KXXR/K(配列番号23)モチーフを含むペプチドは内在化されないが、かかる不顕性CendRペプチドの取り込みをタンパク質分解性切断によって誘発することができる。CendRペプチドは、ニューロピリン−1と呼ばれる重要な構成要素を含む機構によって細胞に侵入する。ニューロピリン−1は、血管系および神経系のパターン形成でのその役割で知られている多リガンド受容体である。各細胞型または組織に特異的なプロテアーゼ活性化送達系を開発するために、CendRテクノロジーを適用することができる。これは、CendR機構に関与する病理学的過程(ウイルスおよび他の微生物の侵入ならびに細胞中のこれらの産物など)を干渉することもできる。
罹患組織、特に腫瘍への診断薬および治療薬の選択的ターゲティングは依然として重要な課題である。一続きのカチオン性アミノ酸は内因性タンパク質を形質導入し、ウイルスの感染および拡大に重要である。かかるタンパク質の例には、ホメオドメイン転写因子(アンテナペディア(Joliot,A.,ら 1991)など)、単純ヘルペスウイルス−1タンパク質VP22(Elliott,G.ら 1997)、およびヒト免疫不全ウイルス−1トランスアクチベーターTATタンパク質(Green,M.ら 1988,Frankel,A.ら 1988)が含まれる。これらのタンパク質由来の短いカチオン性細胞透過性ペプチド(CPP)は、広範な以下のカーゴを内在化する能力を保持している:異種性のペプチドおよびタンパク質、核酸、ならびにナノ粒子(Langel,Uelo,2007)。しかし、CPPは選択性を示さず、これらはほぼ全ての細胞型に取り込まれる。この選択性の欠如が、CPPの臨床的適用を厳しく制限している。シナフィック(ドッキングベースの)送達が可能な組織特異的内在化ペプチドも公知である(Laakkonen,P.ら 2002b,Porkka,K.ら 2002,Hoffman,J.A.ら 2003,Jarvinen,T.A.ら 2007)。全てのCPPについての細胞取り込み機構はあまり理解されていない。
タンパク質分解性スイッチにより、しばしば、生物学的過程におけるタンパク質活性が調整される(Esmon,C.T.1993,Barrettwら 1998,Sternlicht,M.D.ら 2001)。例には、血液凝固および繊維素溶解、成長因子およびペプチドホルモンの活性化、細胞死−生存の決定、ならびに細胞遊走および接着が含まれる。興味深いことに、細胞へのウイルス侵入および多数の細菌毒素の内在化はタンパク質分解性活性化によって調節され(Klenk,H.D.ら 1994,Gordon,V.M.ら,1995)、活性化プロテアーゼの発現パターンは、しばしば、標的細胞への侵入における決定要因である。
タンパク質分解性スイッチによって活性化することができる内在化系を本明細書中に記載する。この系は、内在化ペプチドモチーフR/K/XXR/K(配列番号24)に基づく。このモチーフは、活性であるためにポリペプチド鎖のC末端に存在しなければならない(それ故、用語C末端則またはCendR)。内在化受容体を、ニューロピリン−1(NRP−1)と同定した。これは、タンパク質またはペプチド配列中に包埋された場合、潜在性R/K/XXR/K(配列番号24)モチーフをプロテアーゼによって曝露し、細胞取り込みを誘発することができることも示す。この所見は、ターゲティングされた薬物送達のために使用することができ、且つウイルス感染などの複数の生物過程で操作可能である細胞透過スイッチを強調する。Sugahara,K.N.ら(2008)は、組織特異的ターゲティングエレメントおよび潜在性CendRエレメントの両方を含む複合ペプチドを記載している。ターゲティングエレメントは、標的にペプチドを集中させ、ここで組織プロテアーゼがそのCendRエレメントを曝露し、内在化および組織透過を容易にする。
1.結果
i.C末端内在化エレメントの同定
ペプチドライブラリーのC末端ディスプレイをT7ファージの表面に使用して(Hoffman,J.A.ら,2004)、PPC−1ヒト前立腺癌異種移植片腫瘍由来の細胞へのナノ粒子の細胞内在化を誘発するペプチドを同定した。選択のために使用したペプチドライブラリーは、線状X7ライブラリー、環状CX7C、およびいくつかの内在化ホーミングペプチド中にも存在するRXXR(配列番号25)モチーフを含むようにデザインされた拘束RXXRXXX(配列番号19)ライブラリー(X、ランダムアミノ酸;C、システイン;R、アルギニン、図10)であった。3ラウンドの選択後、選択されたファージプールは、7−グリシン(G7)コントロールペプチドをディスプレイするコントロールファージの500〜1,300倍PPC−1細胞に結合した(図10A)。ランダムファージ単離物の配列決定により、最初のライブラリーの配置と無関係に、(R/K)XXR(配列番号26)状況におけるほとんどの場合、全てのライブラリーがC末端アルギニンをディスプレイするように変換されたことが証明された(図10B)。T7ファージは酸性条件に感受性を示し、グリシン緩衝液(pH 2.5)での細胞の酸洗浄によって細胞外ファージが放出および不活化される。細胞を37℃でインキュベート後に(R/K)XXR(配列番号26)モチーフをディスプレイするファージを回収し、酸性緩衝液で洗浄し、それにより内在化を示した。1つのペプチドは、C末端のリジン残基も活性ペプチドを産生することができることを示した。
選択されたプール由来の各ファージを使用した結合研究は、C末端アルギニン(G6Rなど)のみの存在がPPC−1細胞への弱いファージ結合に十分であった一方で(図11Aおよび11C、パネルd)、頑強な結合および内在化がRXXR(配列番号25)モチーフ(RPARPAR(配列番号2)(図11A、11B、および11C、パネルc)、RGERPPR(配列番号27)およびRVTRPPR(配列番号28)(図12Aおよび12B、パネルc、d)など)の存在下で認められることを示した。内在化RXXR(配列番号25)ペプチドの類似の構造および相互に競合する能力(図12Aおよび12B、パネルi)により、共有の結合機構が示された。RPARPAR(配列番号2)ペプチドを、次の研究でプロトタイプCendRペプチドとして使用した。
内在化ペプチドの構造上の特徴を評価して、各アルギニン残基のRPARPAR(配列番号2)ファージ結合への寄与を定義した。C末端アルギニン(またはリジン)はファージ結合に重要であり、他の2つの塩基性アミノ酸が用量および位置依存性様式で内在化を増加させることが示された(図11Aおよび11B)。ファージ粒子と区別可能な様式でRPARPAR(配列番号2)機能付与された量子ドット(qドット)が結合して内在化されたので、細胞との相互作用は他のファージエレメントに関与しなかった。(図11C、パネルf、gおよび図13、パネルa、f)。興味深いことに、D型アミノ酸(D−rparpar)から構成されるペプチドは量子ドットの取り込みを誘発する能力が非常に減少し(図13、パネルd)、これは、キラル結合部位の関与を示した。C末端RXXR(配列番号25)エレメントのさらなるC末端アミノ酸(RPARPARA(配列番号3)など)でのマスキングにより、PPC−1細胞へのファージの結合が消失した(図11B)。RPARPARA(配列番号3)ファージの結合を、トリプシン(塩基性残基の後を切断し、おそらくC末端アルギニンを曝露する;図14)でのペプチドの処理によって修復した。qドットの内在化を、RPARPAR(配列番号2)ペプチドのC末端へのアラニンの付加によって同様に防止した(図13、パネルb)。C末端カルボキシル基のアミド化によってもqドット内在化がブロックされた(図11C、パネルc)。これらの所見は、遊離カルボキシル基を有する末端塩基性アミノ酸の存在下で内在化が起こることを示す。まとめると、ライブラリースクリーニングおよび構造−機能研究により、CendRモチーフ(R/K)XX(R/K)(配列番号29)をPPC−1細胞へのペプチドおよびナノ粒子取り込みの誘発因子と定義する。
ii.CendR内在化の特徴付け
CendR内在化機構の保存を評価するために、異なる標的細胞(一連の培養ヒト細胞株およびいくつかの正常なマウス器官由来の初代細胞)へのRPARPAR(配列番号2)およびその誘導体の結合を研究した(図15)。異なる起源の腫瘍細胞は、RPARPAR−ファージに結合した(PPC−1以外の前立腺癌細胞(PC−3、Du−145)、乳癌(4T1)、および膵癌(MIA PaCa−2、PDAC1.3)、黒色腫細胞(B16F・0)、およびMDA−MB−435ヒト癌細胞が含まれる)。CendRファージ結合はまた、マウス血管内皮細胞(F2)およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)と共に認められた。例外はM21黒色腫細胞であり、コントロールファージよりもRPARPAR(配列番号2)ファージに結合しなかった。一連の正常マウス器官由来の初代細胞もRPARPAR(配列番号2)ファージに結合した(図15B)。乱雑な結合と一致して、静脈内注射されたRPARPARファージは最初に遭遇した血管床中に非常に蓄積した(肺および心臓(より低い程度)において)(図15C)。肺では、RPARPAR(配列番号2)についてのファージ免疫反応性が組織の至るところで認められ(図15D、パネルd)、コントロールファージでは認められなかった(図15D、パネルe)。これは、CendRファージは血管を裏打ちする細胞に結合して内在化するだけでなく、組織の実質も透過することができることを示した。したがって、RPARPAR(配列番号2)ペプチドは、種々の細胞型に侵入して組織透過を促進することもできる内在化ペプチドである。
4℃でのRPARPAR(配列番号2)ファージの細胞への結合は迅速であり、20分後にプラトーに達した(図16A)。37℃では、RPARPAR(配列番号2)ファージおよびqドットは、細胞添加の15分後に細胞膜会合を示し、1時間後に核周囲の蓄積を示した(図16B、パネルb、c)。細胞内蓄積がプロセシング人工産物に起因することを除いて、かかるqドット内在化は、生きた、非固定の細胞と共に見出された(図16B、パネルb、c)。
以下の種々のエンドサイトーシス経路の一連のインヒビターも研究した:クラスリン依存性取り込み(クロロプロマジン)、カベオラエンドサイトーシス(ゲニステイン、ナイスタチン)、およびマクロ飲作用(5−(N−エチル−N−イソプロピル)アミロライド、およびウォルトマンニン)。これらのインヒビターはCendRペプチドの取り込みに影響を及ぼさなかった(図17A)。同様に、一連の細胞内区画マーカーでの内在化RPARPAR(配列番号2)ファージの同時染色により、いかなる明確な染色パターンの重複も認められなかった(図17B)。興味深いことに、RPARPAR(配列番号2)ファージ免疫反応性および標識したコレラ毒素サブユニットBの分布が有意に重複した(図17C)。コレラ毒素サブユニットBのエンドサイトーシス経路が依然として定義されないにもかかわらず、ダイナミンと無関係であり、クラスリン依存性および非依存性機構の両方を含むことが示される(Torgersen,M.ら 2001)。
iii.CendR内在化はNRP−1に依存する
結合前のPPC−1細胞のトリプシン処理によってRPARPAR(配列番号2)ファージ粒子の結合が減少した(データ示さず)。これは、RPARPAR(配列番号2)の結合および内在化における細胞表面タンパク質の関与を示す。細胞表面グリコサミノグリカンとの相互作用は、カチオン性CPPの内在化に関与する(Tyagi,M.,ら 2001,Sandgren,S.ら 2002)。しかし、酵素消化(ヘパリナーゼIIIおよびコンドロイチナーゼABC)ならびにヘパリンおよびコンドロイチン硫酸との競合は、PPC−1細胞へのRPARPAR(配列番号2)ファージ結合に影響を及ぼさなかった(データ示さず)。他の潜在的なRPARPAR(配列番号2)相互作用タンパク質を同定するために、RPARPAR(配列番号2)ペプチドに対するアフィニティクロマトグラフィによる分画PPC−1腫瘍異種移植片抽出物をアガロースビーズ上に固定した。遊離RPARPAR(配列番号2)ペプチドを含む緩衝液での溶離によって130kDaタンパク質が放出され、MALDI−TOF質量分析によってNRP−1と同定された(図18A)。
いくつかの証拠がCendR受容体としてのNRP−1の役割を支持していた。RPARPAR(配列番号2)に結合も内在化もしないM21黒色腫細胞は、微量のNRP−1を発現した。NRP−1の強制的発現によってこれらの細胞がRPARPAR(配列番号2)ファージに結合および内在化することができるようになったのに対して(RPARPARA(配列番号3)ファージではできない)(図18C、パネルe、f)、NPR−1結合ポケット変異体でトランスフェクトした細胞(Vander Kooi,C.W.ら,2007)はRPARPAR(配列番号2)結合を付与しなかった(図18B)。最後に、免疫蛍光同時染色は、RPARPAR(配列番号2)ファージおよびqドットがNRP−1と共に細胞表面および細胞内に同時内在化することを示した(図18C、パネルc〜e)。
VEGF−165は、エクソン8(CRCDKPRR(配列番号30))によってコードされるC末端Cend様配列を使用してNRP−1に結合する(Jia,H.ら 2006,Soker,S.ら 1998)。いくつかの他のペプチド(A7R(ATWLPPR(配列番号31))(Starzec,A.ら 2006)、免疫調節ペプチドタフトシン(TKPR(配列番号32))、およびそのバリアントである増強タフトシン(TKPPR(配列番号33))など)(von Wronski,M.A.ら 2006)は、NRP−1の同一部位に結合する(Geretti、Eら 2008)。VEGF−165の7つのC末端アミノ酸、増強タフトシン、またはA7RをディスプレイするT7ファージはPPC−1細胞に結合して取り込まれ、非標識RPARPAR(配列番号2)ペプチドを結合緩衝液に含む場合またはアラニン残基をVEGF−C7のC末端に付加する場合に結合および内在化が減少した(図19)。これらの研究は、重要な構成要素としてNRP−1を含む経路を介してCendRペプチドを内在化することを示した。
iv.タンパク質分解による潜在性CendRモチーフの活性化
C末端則の刺激的な意味は、タンパク質分解的に活性化された内在化ペプチド(pro−CendR)を合理的にデザインできることである。上に示すように、トリプシンでのRPARPARA(配列番号3)ファージの処理により、細胞へのファージの結合が100倍を超えて増加し(図14)、これは、不顕性CendRエレメントのアンマスキングのためにタンパク質分解を使用することができることを示した。ヒトデグラドームは550種を超えるプロテアーゼを含み(Puente,X.S.ら 2003)、その多数がC末端のアルギニン残基およびリジン残基を曝露し、高度に定義された標的配列という状況で曝露する。かかるプロテアーゼを使用して、標的細胞選択性プロ−CendR活性化を達成することができる。ウロキナーゼ型アクチベーター(uPA)は、発達中および病的状態(腫瘍の侵入および転移、血管新生、および炎症など)での組織再構築で重要な細胞周囲のタンパク質分解カスケードで中心的役割を果たす(Andreasen,P.Aら 2000,Waisman,2003)。uPA活性と腫瘍との関連、その強い基質特異性、およびP1残基としてのアルギニンに対するその優先性により、uPAをプロ−CendR活性化の魅力的な候補にしている。
uPA認識部位(Ke,S.H.ら 1997)および不顕性CendRエレメントを組み込んだペプチドをデザインした(RPARSGRSAGGSVA(配列番号34)、CendR配列に下線、図20A)。uPA切断可能CendR(uPA−CendR)ペプチドをディスプレイするファージはコントロールG7ファージよりもPPC−1細胞に結合しなかったが、細胞結合の前のuPAでの前処理によって結合は100倍を超えて上昇した(図20B)。RPARSGRSAGGSVA(配列番号34)でコーティングしたqドットも、uPA感受性様式で内在化された(図20C、パネルc〜e)。uPA−CendRファージのトリプシンへの曝露によって結合が非常に増強されるが、コラゲナーゼ−Iまたはトロンビンでのファージ処理は影響を及ぼさなかった。トロンビンが塩基性残基の後を切断するにもかかわらず、トロンビンはペプチド中のuPA基質配列を見かけ上認識しなかったのに対して、トリプシンは切断するのに十分に乱雑であった。これらの研究は、プロテアーゼによって潜在性CendRペプチドをアンマスキングし、内在化ペプチドに変換することができることを示した。さらに、制限された発現パターンを有するプロテアーゼを、CendRペプチドの内在化機能の標的特異的活性化のために使用することができる。アミロライドは取り込みを阻害した(図20C、パネルe)。
2.考察
研究により、CendRと呼ばれる以前に認識されていなかった細胞内在化経路が明らかとなった(図21)。CendRの顕著な特徴は以下である:(i)R/KXXR/K(配列番号23)認識モチーフ、(ii)結合および内在化活性のためのモチーフのC末端曝露、(iii)結合および内在化におけるNRP−1の関与、および(iv)タンパク質分解性プロセシングによる潜在性CendRモチーフの活性なCendRモチーフへの変換。
心臓−ホーミングペプチド群は、曝露したCendRモチーフ(Zhang、L.ら 2005)を含むが、CendRモチーフはまた潜在性であり得る。細胞透過性を有するいくつかの腫瘍ホーミングペプチドは潜在性CendRモチーフを含む(Laakkonen,P.,ら 2002b;Porkka,K.ら,2002;Jarvinen,T.A.ら 2007;Zhang,L.ら 2006)。CendRモチーフに加えて、これらのペプチドは、特異的受容体に結合する配列を保有する。(Sugahara,K.N.ら,2008)に記載のインテグリン結合iRGDペプチドにより、どのようにしてかかるペプチドが作用するのか(特定のホーミングエレメントが標的(腫瘍)のペプチドに集中し、プロテアーゼがCendRモチーフを曝露し、その後にNRP−1結合によってペプチド(およびそのペイロード(存在する場合))の細胞取り込みが起こる)が説明される。
多数のカチオン性CPPは、活性または潜在性CendRエレメント(Langel,2007)を含む。CendRモチーフを有するHIV−1 TATタンパク質の塩基性ドメインはVEGFA−165のNRP−1への結合を阻害するが(Jia,H.ら 2001)、カチオン性CPPの結合および取り込み機構は依然として明らかではない。カチオン性CPPとCendRペプチドとの間の最も重要な相違は、D型アミノ酸から構成されるCCPが活性であるのに対して(Polyakov,V.ら 2000,Gammon,S.T.ら 2003)、本明細書中の結果はCendR取り込みがL型ペプチドのみの特異的認識に依存することを示すことである。また、多数のCPPはC末端係留カーゴを内在化することができ、これは、コアCendRの概念と明確に対照的である。CendRがカチオン性CPPの取り込みに関連し得るいくつかの並行経路の1つである可能性がある。
CendR媒介性内在化系の生理学的有意性は十分に理解されていないが、CendRエレメントはプロテオームの至るところに存在し、多数のセリンおよびシステインプロテアーゼはこれらを活性化することができる(Barrett,Alanら 1998)。プロタンパク質コンバターゼおよび膜プロテアーゼ(マトリプターゼなど)が特に関連し得る。これは、これらの酵素による切断が種々の内因性タンパク質(ペプチドホルモン、成長因子、接着分子、プロテアーゼ)のC末端でRXXR(配列番号23)配列を曝露するからである(Thomas,G.,2002,Uhland,K.2006)。NRP−1共受容体機能、受容体活性化、および活性タンパク質の細胞取り込みを可能にすることは、生理学的CendR配列の考え得る機能である。
ウイルスおよび他の微生物は、感染の促進因子として強奪されたCendR機構を有するようである。CendRエレメントの曝露を伴うウイルスコートタンパク質のタンパク質分解性切断は、多数のウイルス病原体の感染性の繰り返し登場する論題のようである(表2)。
遍在的に発現するプロテアーゼであるフューリンによるウイルス表面タンパク質の切断は、いくつかのウイルスの全身的拡大に対する重要な寄与因子であるのに対して、発現パターンが制限されたプロテアーゼに感受性を示すウイルスの感染性は適切なプロテアーゼを発現する組織に感染が制限され得る。この概念は、インフルエンザウイルスで例示されている(Steinhauer,D.A.ら1999)。局所的感染性を示す哺乳動物および非病原性トリインフルエンザウイルスの赤血球凝集素は単一のアルギニン残基で切断され、かかる切断は限定された細胞型(気道および消化管の細胞型など)に制限される。対照的に、全身性感染を引き起こす病原性トリインフルエンザウイルスは、フューリンによって活性化されて多塩基CendRエレメントを曝露する。病原体およびその産物のCendR媒介性内在化および組織透過の阻害によって感染症と戦う新規の方法を得ることができると本明細書中に示す。
CendRテクノロジーは、多数の他のバイオテクノロジーに適用することができる(例えば、細胞型特異的ナノ粒子の送達の改善)。予め曝露したCendRペプチドでコーティングしたナノ粒子は、この粒子が遭遇する第1の血管床に取り込まれるであろう(心臓および肺、RPARPAR(配列番号2)ファージの静脈内注射後)。Sugaharaら,2008によって示されるように、潜在性CendR配列は、末梢組織へのカーゴの送達で有用であり得る。血漿は、高濃度の一般的(例えば、α−2−マクログロブリン)および酵素特異的(例えば、α−2抗プラスミン、抗トロンビン)プロテアーゼインヒビターを含む。これにより、血中での成熟前CendRの活性化から保護されるであろう。活性プロテアーゼは、典型的には、細胞周囲領域付近に限局される。これらのプロテアーゼは、受動的蓄積またはホーミングペプチド媒介性送達によって標的組織に到達したナノ粒子上の潜在性CendRペプチドを活性化することができる。潜在性CendR配列をアンマスキングすることができる組織特異的プロテアーゼは、in vivo標的選択性をさらに増強することができる。活性化CendRエレメントによって媒介される細胞取り込みにより、プロセシングされたペプチドおよびそのカーゴが標的組織または細胞に蓄積するための機構が得られる。研究由来の別の重要な結論は、CendRエレメントが組織中のナノ粒子の拡大を促進することができ、ドッキングベースおよびプロテアーゼ感受性のCendRターゲティングエレメントの組み合わせによって選択的CendR媒介性の内在化および組織透過を達成することができることである。添付の報告(Sugaharaら 2008)に記載のiRGDペプチドおよびおそらくその報告で考察された潜在性CendRエレメントを有する他の内在化血管ホーミングペプチドはこのパラダイムを例証している。研究したファージおよび他のナノ粒子の類似性において、種々の感染因子は組織を介したその拡大を容易にするためにCendR系を使用することができることも示す。
3.方法
動物手順。全ての動物実験を、Animal Research Committee at University of California,Santa Barbaraによって承認された手順に従ってBALB/cヌードマウス(Harlan Sprague Dawley,Inc.,Indianapolis,IN)を使用して行った。
ファージディスプレイ。in vivoファージディスプレイのために、マウスに1010プラーク形成単位(pfu)のT7ファージを静脈内注射し、その後に循環系を灌流し、滴定によって標的器官中の結合ファージを決定した。培養細胞(in vitroディスプレイ)および器官由来細胞懸濁液(ex vivoディスプレイ)に対する細胞結合研究のために、細胞を109pfuのファージと4℃でインキュベートし、洗浄し、溶解し、滴定によって定量した。37℃でのインキュベーション後の低pHでの洗浄(グリシン−HCl、pH2.5)を使用して、内在化ファージ量を評価した。
qドットの標識。製造者の説明書にしたがって、ビオチン化ペプチドを使用して605ITKストレプトアビジンqドット(Invitrogen,Carlsbad,CA)を機能付与した。
免疫蛍光。培養細胞および組織切片を、4%緩衝化パラホルムアルデヒドまたは冷(−20℃)メタノールで固定し、その後に適切な一次抗体およびAlexa標識二次抗体とインキュベートし、DAPIまたはHoechst342DNA色素で核染色した。
アフィニティクロマトグラフィ。PPC−1腫瘍を、200mMのn−オクチル−β−D−グルコピラノシドを含むPBSに溶解し、その後にRPARPAR(配列番号2)コーティングしたSulfolink−ビーズ(Pierce,Rockford,IL)とインキュベートし、2mM遊離RPARPAR(配列番号2)ペプチドを含む溶解緩衝液中で溶離した。溶離画分の銀染色ゲルから切り出したゲルフラグメントを、Burnham Institute for Medical Research Proteomics ResourceでMALDI−TOF質量分析に供した。
マウスおよび組織。全ての動物実験を、University of California,Santa Barbaraのthe Animal Research Committeeによって承認された手順にしたがって行った。腫瘍注射のためおよび屠殺前に、キシラジン(10mg/kg)およびケタミン(50mg/kg)の腹腔内注射によってマウスを麻酔した。BALB/c胸腺欠損ヌードマウス(Harlan Sprague Dawley,Inc.,Indianapolis,IN)を、腫瘍異種移植片実験ならびにin vivoおよびex vivoファージディスプレイ実験のために使用した。同所性前立腺腫瘍の異種移植片を、前立腺の腹葉への106個のPPC−1細胞(Zhang,L.ら 2006)の注射によって生成した。組織学的分析のために、組織を4%パラホルムアルデヒドで固定し、30%スクロースを含むリン酸緩衝化生理食塩水中で凍結保護し、10μmの切片にした。
細胞株。PPC−1、PC−3、Du−145、4T1、MIA PaCa−2、PDAC1.3、B16F10、M21、およびMDA−MB−435細胞株を、10%ウシ胎児血清およびペニシリン/ストレプトマイシンを補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で維持した。製造者の説明書にしたがって、ヒト臍帯静脈の内皮細胞を培養した。
ファージディスプレイ。T7選択ファージディスプレイ系を、製造者の説明書にしたがって(EMD Biosciences,Gibbstown,NJ)ファージライブラリー構築(ライブラリー多様性−108)および各ファージクローニングのために使用した。ファージを、PEG−8000(Sigma,St.Louis,MO)での沈殿およびその後のCsCl2勾配超遠心および透析によって精製した。ディスプレイされたペプチドの配列を、T7主要コートタンパク質gp10のC末端のインサート含有領域をコードするDNAから決定した。
バイオパニングおよびファージ結合研究のために(Hoffman,J.A.ら,2004)、培養細胞をコンフルエントまで成長させ、トリプシンを使用して回収し、Medimachine(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用してマウス器官を分離した。ファージ結合を測定するために、結合緩衝液(1%BSAを含むDMEM)中の106個の細胞を、109pfu/mlのT7ファージと4℃で1時間インキュベートした。細胞を、結合緩衝液で4回洗浄し、1%NP−40を含むLB細菌成長培地に溶解し、滴定した。ファージ内在化アッセイは、細胞をファージと37℃でインキュベートし、酸性緩衝液(500mM塩化ナトリウム、0.1Mグリシン、1%BSA、pH2.5)を第2の洗浄における結合緩衝液の代わりに使用したこと以外は同一の手順を使用した。
シリコーン油クッション(1.03g/ml)上での遠心分離を使用して、経時変化実験中に細胞から非結合ファージを分離した。ファージの結合および内在化のインヒビター(ヘパリン、コンドロイチン、糖衣除去酵素、エンドサイトーシスインヒビター、遊離ペプチド、量子ドット、およびUV不活化ファージ)を、ファージとのインキュベーションの20分前に細胞に添加した。本研究で使用したエンドサイトーシスインヒビターは以下であった:ナイスタチン(50μg/ml)、ゲニステイン(100μg/ml)、クロルプロマジン(5μg/ml)、5−(N−エチル−N−イソプロピル)アミロライド(100μM)、ウォルトマンニン(10μM)。
マウスにおけるin vivoファージホーミング研究を、尾静脈への1010pfuのT7ファージの注射によって行った。10分〜1時間後、左心室を介してDMEMでマウスを灌流した。目的の器官を回収し、1%NP40中でホモジナイズし、滴定によってファージを定量した。
ペプチド合成およびqドット標識。マイクロ波支援自動化ペプチド合成機(Liberty,CEM Corporation)でのFmoc/t−Bu化学を使用してペプチドを合成した。0.1%TFAを含むアセトニトリル−水混合物を使用したHPLCによってペプチドを純度90%〜95%までHPLCにより精製して、Q−TOF質量スペクトル分析によって確証した。
ストレプトアビジンITK−605量子ドット(Invitrogen,Carlsbad,CA)を、100倍モル過剰のペプチドとのインキュベーションによってビオチン化ペプチドで機能付与し、その後に透析によって遊離ペプチドを除去した。
アフィニティクロマトグラフィ。同所性PPC−1腫瘍を、400mM n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、1mM MgSO4、1mM MnCl2、1mM CaCl2、および1錠/5mlの無EDTAプロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma,St.Louis,MO)を含むPBS中でホモジナイズした。4℃での回転プラットフォーム上での6時間の抽出後、溶解物を遠心分離(冷却微量遠心分離機中、14,000rpmで20分間)によって清澄化し、製造者の説明に従った(Pierce,Rockford,IL)システインタグ付きRPARPAR(配列番号2)ペプチドのSulfolinkカップリングゲルへのカップリングによって調製したアフィニティカラムにローディングした。一晩の結合後、200mM n−オクチル−β−D−グルコピラノシドを含むがその他は溶解緩衝液と同一のカラム洗浄緩衝液でカラムを洗浄し、その後に2mM遊離RPARPARペプチドを含む同一緩衝液で溶離した。
洗浄画分および溶離画分のサンプルを、Novex 4〜20%Tris−グリシンポリアクリルアミドゲル(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用して分離し、Silver Snapキット(Pierce,Rockford,IL)を使用して銀染色し、Burnham Institute for Medical Research Proteomics FacilityでMALDI−TOF質量分析に供した。アフィニティクロマトグラフィサンプルを免疫ブロッティングし、抗体でプローブし、その後に結合を化学発光検出した。
免疫蛍光染色。培養細胞(2×105細胞)を、コラーゲンIコーティングされたカバーガラス(BD Biosciences,San Jose,CA)上の6ウェル組織培養プレート中で5%CO2下にて37℃で一晩成長させ、108pfuのT7ファージとインキュベートした。細胞を4%パラホルムアルデヒドまたは冷(−20℃)メタノール中で固定し、抗体で染色した。核をDAPIまたはHoechst542で染色した。CsCl2遠心分離を使用したさらなるファージ精製工程を含むことを除いて以前に記載のように(Laakkonen,P.ら 2002b)、ポリクローナルウサギ抗T7抗体をインハウスで生成した。使用した他の一次抗体は、ラット抗マウスCD31モノクローナル抗体(BD Biosciences)、ウサギ抗NRP−1、マウス抗ヒトLamp−1、マウス抗ヒトカベオリン(Millipore,Temecula,CA)、マウス抗NRP−1(Miltenyi Biotec Inc.,Auburn,CA)、マウス抗ヒトEEA−1(BD Biosciences,San Jose,CA)であった。マウス、ラット、およびウサギ免疫グロブリンに対する二次抗体であるAlexa594ヤギ抗体およびAlexa488ロバ抗ウサギ抗体を、Invitrogen(Carlsbad,CA)から入手した。細胞および組織切片を共焦点顕微鏡法で試験した(Fluoview 500,Olympus America Inc.,Center Valley,PA)。
DNA構築物およびトランスフェクション。pcDNA3.1(+)中の野生型NRP−1 cDNAの発現構築物は、Michael Klagsbrun博士から譲渡された。部位特異的変異誘発を使用して、TCAAAAGAAACC(配列番号48)(アミノ酸SKETをコードする)のGCTAAAGCTGCT(配列番号49)(AKAAをコードする)への置換によってNRP−1のb1ドメイン中のVEGF−165結合部位に3つの変異を生成した(S346A−E348A−349A)。
M21黒色腫細胞を、製造者の説明書にしたがって(Invitrogen,Carlsbad,CA)リポフェクタミンを使用して、これらの構築物で一過性にトランスフェクションした。
ファージおよびqドットのプロテアーゼ処理。109個のファージ粒子または50μlのペプチドコーティングしたqドットファージを、50iuのuPA、25μgの結晶トリプシン、50iuのトロンビン、または25μgのコラゲナーゼI型(全てSigma,St.Louis,Mo)で処置した。
統計分析。スチューデントt検定および一元配置分散分析(ANOVA)によってデータを分析し、その後に適切な事後検定によって分析した(表3)。
本出願全体を通して、種々の刊行物を参照している。これらの刊行物の開示全体が、本発明が属する技術の水準をより完全に説明するために本出願に参考として援用される。
リファレンス
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、文脈中で明らかに別なふうに示されない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」には複数形が含まれることに留意しなければならない。したがって、例えば、「a peptide」という言及には、かかるペプチドの複数形が含まれ、「the peptide」という言及は、1つまたは複数の当業者に公知のペプチドおよびその等価物などをいう。
「任意選択的な」または「任意選択的に」は、その後に記載される事象、環境、または物質が生じても生じなくてもよく、この記載にはこの事象、環境、または物質が生じるか存在する例および生じないか存在しない例が含まれることを意味する。
範囲を、本明細書中で「約」1つの特定の値から、そして/または「約」別の特定の値までと示すことができる。かかる範囲を示す場合、文脈中で具体的に別なふうに示されない限り、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までの範囲であることも具体的に意図され、開示されると見なされる。同様に、前に「約」を使用することによって値を近似値として示す場合、文脈中で具体的に別なふうに示されない限り、特定の値が別の実施形態を形成し、開示されていると考慮すべき実施形態が特に意図されると理解されるであろう。文脈中で具体的に別なふうに示されない限り、各範囲の終点が他の終点と関連して共に有意であり、且つ他の終点と無関係に有意であることがさらに理解されるであろう。最後に、文脈中で具体的に別なふうに示されない限り、明確に開示された範囲内に含まれる各値の全ておよび値の部分範囲も明確に意図され、且つ開示されると見なすべきであると理解すべきである。特定の場合にこれらの実施形態のいくつかまたは全てが明確に開示されているかどうかに無関係に上記を適用する。
他で定義されない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語および科学用語は、開示の方法および組成物が属する技術の当業者が一般的に理解している意味を有する。本明細書中に記載の方法および材料に類似するか等価な任意の方法および材料を本方法および組成物の実施または試験で使用することができるにもかかわらず、特に有用な方法、デバイス、および材料は記載の通りである。本明細書中で引用した刊行物およびこれらの刊行物が引用した材料は、本明細書中で具体的に参考として援用される。本発明が先行発明によるかかる開示に先行する権利を持たないと承認すると解釈されない。いかなる引例も先行技術を構成すると承認されない。引用文献の考察には、著者の主張を記載し、出願人は、引用文献の正確さおよび適切性に異議を申し立てる権利を留保する。多数の刊行物が本明細書中で参照されているが、かかる引用文献はこれらの書類のいずれかが当該分野における共通の一般的知識の一部を形成することを承認しないことが明確に理解されるであろう。
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、用語「comprise」およびこの用語の異型(「comprising」および「comprises」など)は、「〜が含まれるが、これらに限定されない」を意味し、例えば、他の添加物、成分、整数、または工程を排除することを意図しない。
開示の方法および組成物は変化し得るので、記載の特定の方法論、プロトコール、および試薬に制限されないと理解される。本明細書中で使用した用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明の範囲を制限することを意図せず、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるとも理解すべきである。
当業者は、日常的な実験しか使用せずに、本明細書中に記載の方法および組成物の特定の実施形態の多数の等価物を認識するか、確認することができる。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。