関連出願に対する相互参照
本出願は、その全体が参照により明白にここに組み込まれ、“GPS受信機のための暗黙の時間設定”と題する、2008年2月29日に出願された米国仮出願第61/032,852号の利益を主張する。
背景
多くのワイヤレス通信システムは、直接シーケンススペクトラム拡散を利用して情報を伝達する。信号を拡散させるのに使用されるコードは一般に、擬似ランダムコードである。受信機は一般に、拡散コードを、ローカルに発生させたコードと相関させることにより、基礎情報を回復する。
受信機は、コードに関係する時間オフセットを利用して、タイミング基準を確立できることが多く、タイミング基準は、位置特定を実行するのに使用できる。擬似ランダム拡散信号から確立されたタイミングに基づいて位置を決定することは、さまざまな位置特定システムにおいて実行されている。
全地球測位システム(GPS)の航法システムは、地球の周りの軌道上にある衛星を用いる衛星測位システム(SPS)の1つの例である。地球上のどこででも、GPSのあらゆるユーザは、3次元の位置、3次元の速度、および時間を含む正確な航法情報を導出できる。GPSシステムは、赤道に対して55度の傾斜を持つ6つの面において、26,600キロメートルの半径を有する円形の軌道上に配備され、互いに対して120度の間隔が空けられている、32基までの衛星を含む。通常、4ないし6基の衛星が、6つの軌道面のそれぞれの内部に等間隔に配置されている。GPSを使用する位置測定は、軌道を描いて回る衛星からGPS受信機へのGPS信号のブロードキャストの伝搬遅延時間の測定に基づいている。通常、4基の衛星からの信号の受信が、4次元(緯度、経度、高度および時間)の正確な位置決定に対して必要とされる。いったん受信機がそれぞれの信号伝搬遅延を測定すると、各衛星への距離が、各遅延に光の速度を掛けることにより計算される。次に、測定された距離と、衛星の既知の位置とを組み込んでいる4つの未知数を有する、1組の4つの方程式を解くことにより、位置および時間が見つけられる。GPSシステムの正確な機能は、各衛星に対する、搭載された原子時計により、ならびに、衛星時計および軌道パラメータを同時に監視して補正する地上追跡局により維持されている。
各GPS衛星は、Lバンドにおいて、少なくとも2つの直接シーケンスコード化スペクトラム拡散信号を送信し、それらは、1.57542GHzの搬送波周波数におけるL1信号と、1.2276GHzにおけるL2信号とである。L1信号は、直角位相で変調された、2つの位相偏移変調(PSK)スペクトラム拡散信号で構成されており、それらは、Pコード信号(Pは、正確(precise)に対する)と、C/Aコード信号(C/Aは、粗い/捕捉に対する)とである。L2信号は、Pコード信号だけを含む。PおよびC/Aコードは、搬送波上に変調される、繰返しの擬似ランダムのビットのシーケンス(“チップ”とも呼ばれている)である。これらのコードの、時計のような性質は、時間遅延測定を実施する際に受信機によって利用される。各衛星に対するコードは固有であり、それらがすべて同じ搬送波周波数におけるものである場合でさえ、どの衛星が所定のコードを送信したのかを受信機が区別することを可能にする。また、航法の計算に対して必要である、システムのステータスおよび衛星軌道パラメータに関する情報を含む50ビット/秒のデータストリームが、各搬送波上に変調される。Pコード信号は、暗号化され、一般に、商業上のユーザおよび私用のユーザに対して利用可能ではない。C/Aコードは、あらゆるユーザに利用可能である。
GPS受信機中で実行される動作は、主に、任意の直接シーケンススペクトラム拡散受信機中で実行される典型的な動作である。逆拡散として知られているプロセスにおいて、時間的に整合され、ローカルに発生された、コードのコピーを各信号に掛けることにより、擬似ランダムコード変調の拡散の影響は、各信号から除去されなければならない。適切な時間的整合またはコード遅延が、受信機の開始において知られる見込みが薄いことから、それは、GPS受信機の動作の初期の“捕捉”段階の間にサーチすることにより決定されなければならない。いったん決定されると、適切な、コードの時間的整合が、GPS受信機動作の“追跡”段階の間維持される。
いったん受信信号が逆拡散されると、各信号は、中間搬送波周波数における50ビット/秒PSK信号で構成される。この信号の正確な周波数は、衛星と端末ユニットとの間の相対的な動きによりもたらされるドップラー効果と、ローカル受信機GPSのクロック基準誤差とに起因し、不確定である。通常ドップラー周波数は、捕捉の前に知られていないことから、初期の信号捕捉の間に、このドップラー周波数をサーチしなければならない。いったんドップラー周波数がおおよそ決定されると、搬送波復調が進行する。
搬送波復調後に、データビットタイミングが、ビット同期ループにより導出され、データストリームが最終的に検出される。いったん、4基の衛星からの信号が捕捉されて同期化され、必要な時間遅延およびドップラーの測定が実施され、(GPS時間基準および軌道パラメータを決定するのに十分な)十分な数のデータビットが受信されると、航法の計算が着手され得る。
位置決定に対するGPSシステムの、および、一般にほとんどのSPSシステムにおける、1つの欠点は、初期の信号捕捉段階に対して必要とされる長い時間である。上述したように、4つの衛星信号が追跡され得る前に、次元がコード位相遅延と、ドップラー周波数偏移である、2次元サーチ“空間”において、それらをサーチしなければならない。通常、受信機の“コールドスタート”後のケースのように、このサーチ空間内での信号の位置に関する予備知識がない場合、非常に多くのコード遅延(約2000)およびドップラー周波数(おそらく、15以上)を、捕捉および追跡すべき各衛星に対してサーチしなければならない。したがって、各信号に対して、サーチ空間における、30,000まで、または、それよりも多い位置を調べなければならない。通常、これらの位置は、順次、一度に1つ調べられ、プロセスは数分かかる可能性がある。受信アンテナの視野内の4基の衛星の識別(すなわち、PNコード)が知られていない場合、捕捉時間はさらに長くなる。
SPS受信が衛星信号をすでに捕捉しており、追跡モードにあるケースにおいて、位置決定プロセスは通常、初期の捕捉に対して必要とされる時間フレームよりもはるかに小さい時間フレーム中で実行され得る。しかしながら、ワイヤレス端末の日常の使用において、ユーザは、電源を投入し、すぐに動作を開始する。緊急の通信が意図されるときは、このケースにあてはまるかもしれない。そのような状況において、位置決定を得ることができる前の、SPS/ワイヤレス端末ユニットによる、数分のSPS衛星信号捕捉のコールドスタートに関係する時間遅延は、システムの応答時間を制限する。
したがって、SPS衛星信号に関係する時間を決定して、SPS/ワイヤレス端末ユニット中で位置決定を得る能力を向上させるシステムおよび方法に対する必要性が残っている。
概要
SPS位置特定性能を向上させる方法および装置。ここで記述する方法および装置を使用して、SPSにより決定される位置の決定に対する時間を改善し、弱く、不明瞭な、または、他の困難なカバレッジエリアにおいて位置を決定する能力に寄与できる。2つないし4つの衛星信号、または、より多い衛星信号を受信できるが、1つの衛星時間だけを無事に復調できる状況において、SPS受信機は、位置特定を解決できる。受信機は、無事にデコードされた時間基準を利用して、その衛星からの信号に対するビット端遷移に関係する時間を決定できる。受信機は、既知の時間を有する、衛星からのビット端遷移を利用して、時間が復調されない、他の衛星からの信号に対する少なくとも1つのビット端遷移に対して時間を設定する。受信機は、既知の時間を有するビット端遷移を含む、予め定められている窓内で発生するビット端遷移に対して時間を設定する。位置は、時間に基づいて決定できる。復調されていない衛星時間および窓の配置は、無効な位置解の仮説にしたがって修正できる。
本発明の観点は、ワイヤレスデバイス中での、位置特定の方法を含む。方法は、少なくとも2つの衛星ビークルのそれぞれから、擬似雑音コード拡散信号を受信することと、各擬似雑音コード拡散信号に対する、ビット遷移端のタイミングを決定することと、擬似雑音コード拡散信号のうちの少なくとも1つに対する時間基準を決定することと、時間基準と、少なくとも2つの衛星ビークルのそれぞれからの擬似雑音コード拡散信号に対する、ビット遷移端のタイミングとに基づいて、ワイヤレスデバイスに対する位置特定解を決定することとを含む。
本発明の観点は、ワイヤレスデバイス中での、位置特定の方法を含む。方法は、少なくとも2つの衛星ポジショニングシステム(SPS)衛星ビークルのそれぞれから、擬似雑音コード拡散信号を受信することと、各擬似雑音コード拡散信号に対するビット遷移端のタイミングを決定することと、第1の擬似雑音コード拡散信号に対する時間基準を決定することと、第1の擬似雑音コード拡散信号に対する第1のビット遷移に関係する時間を決定することと、第1の擬似雑音コード拡散信号に対する第1のビット遷移と、時間基準が知られていない第2の擬似雑音コード拡散信号からの、少なくとも1つのビット遷移とを取り込む時間窓を構成することと、第2の擬似雑音コード拡散信号からの少なくとも1つのビット遷移に対して時間仮説を発生させることと、第1のビット遷移に関係する時間と、第2の擬似雑音コード拡散信号からの少なくとも1つのビット遷移に対する時間仮説とに基づいて、ワイヤレスデバイスに対する位置特定解を決定することと、位置特定解を有効性確認することとを含む。
本発明の観点は、ワイヤレスデバイス中での、位置特定の方法を含む。方法は、複数のSPS信号のそれぞれに対する、ビット端遷移のタイミングを決定することと、少なくとも1つのビット端遷移に対する時間基準を決定することと、時間仮説と時間基準とに基づいて、複数のビット端遷移に対する時間仮説を発生させることと、時間仮説に基づいて、位置特定解を決定することとを含む。
本発明の観点は、ワイヤレスデバイス内の位置特定装置を含む。装置は、複数のSPS衛星ビークルから、複数の擬似雑音コード拡散信号を受信するように構成されている受信機と、複数の擬似雑音コード拡散信号のそれぞれから、ビット端遷移のタイミングを決定するように構成されている相関器と、擬似雑音コード拡散信号のうちの少なくとも1つに対する時間基準を決定するように構成されているタイミングメッセージデコーダと、複数の擬似雑音コード拡散信号のそれぞれからのビット端に対する時間を決定するように構成されている仮説選択器と、時間基準と、複数の擬似雑音コード拡散信号のそれぞれからのビット端に対する時間仮説とに基づいて、位置特定解を決定するように構成されている位置解モジュールとを含む。
同一の要素が同一の参照文字を有する図面を参照すると、以下で示される詳細な説明から、本開示の実施形態の特徴、目的、および利点がより明白となろう。
図1は、位置特定システムの実施形態の簡略化したシステム図である。
図2は、位置特定受信機の実施形態の簡略化した機能ブロック図である。
図3は、有効性確認モジュールの実施形態の簡略化した機能ブロック図である。
図4は、仮説時間設定を使用する位置特定の方法の実施形態の簡略化したフローチャートである。
図5は、位置解の有効性確認の方法の実施形態の簡略化したフローチャートである。
図6は、仮説時間設定を使用する位置解の例の簡略化したタイミング図である。
図7は、仮説時間設定を使用する位置解の例の簡略化したタイミング図である。
発明の実施形態の詳細な説明
衛星ビークルの擬似雑音コード拡散信号に対するわずか1回の時間基準を捕捉することに基づいて、衛星測位システム(SPS)の位置解を決定する方法および装置をここで記述する。SPS受信機は、衛星ビークルから2以上の擬似雑音コード拡散信号を受信でき、信号を、ローカルに発生させた擬似雑音コードシーケンスと相関させて、衛星ビークルの識別を決定し、かつ、信号のそれぞれに対する相対的なビット端遷移のタイミングを決定できる。受信機は、衛星信号のうちのわずか1つを復調して、ビット端遷移の関連するタイミングを決定できる時間基準を決定できる。
説明目的のために、GPSシステムをここで使用するが、SPSは、ロシアにより稼動されているGLONASSシステムや、欧州連合による開発途中のガリレオシステムのような他の衛星測位システムと、中国により将来の開発が予定されているCOMPASSシステムのような全地球衛星航法プロジェクトとを含むことができることが認識されるであろう。
さらに、SPSは、その特定の衛星の軌道により規定される特定の地理的領域(“カバレッジエリア”)を担当する、地域航法衛星システムを含むことができる。例えば、RNSSは、米国をカバーしている広域補強システム(WAAS)と、欧州および、その周辺エリアをカバーしている欧州静止航法オーバーレイサービス(EGNOS)と、日本を担当しているMTSAT静止衛星型衛星航法補強システム(MSAS)と、準天頂衛星システム(QZSS)とを含むことができる。RNSSはまた、インドにより開発途中のGPS支援Geo補強航法(GAGAN)およびインド地域航法衛星システム(IRNSS)システムのような他の地域衛星システムと、他の同様のシステムとを含むことができる。ここで記述する方法および装置が、SPS衛星ビークルからの信号に依拠するか、さもなければ、それらの信号を利用する場合、SPS衛星ビークルの信号は、単一のSPSから、または、複数のSPSからのSVの組み合わせから、生じてもよい。
1つの衛星に対するビット端遷移のタイミングと、他の衛星に対するビット端遷移の相対的なタイミングとに関する知識を有する受信機は、予め定められている継続時間を有する時間窓を構成して、既知のタイミングを有する少なくとも1つのビット端遷移を含む時間窓を位置付けることができる。受信機は、時間窓中のビット端遷移の時間が、既知のタイミングを有するビット端遷移に基づいて設定される仮説を調べることができる。
受信機は、仮説の時間設定により位置決定を試みて、位置解を有効性確認できる。1つ以上の予め定められている制約条件に対して、位置解と、位置解に関係するパラメータとを調べることにより、解を有効性確認できる。すべての制約条件を満たす位置解が、有効な位置解と考えられる。
いくつかの予め定められている数の制約条件を満たさない位置解は、無効の位置解と考えることができる。受信機は、時間窓の位置を変えることができ、無効の位置解に応答して、タイミング仮説を更新できる。位置解は、再度試みられて、有効性確認される。有効な位置解が生成されるか、または、すべての異なる時間窓構成およびタイミング仮説が試みられるまで、受信機は、時間窓の位置を変え、タイミング仮説を更新し、位置解を試みるプロセスを繰り返すことができる。
関連する衛星信号からの1つよりも多い時間基準を復調する能力は、異なる時間窓の構成の数を低減させ、それゆえに、有効な解を決定するか、または、すべての可能性を尽くす前にテストする必要があるタイミング仮説の総数を低減させる。
一般的なケースにおいて、受信機が、SPS衛星ビークルからの信号だけに基づいて3次元の位置を決定するように構成されているとき、受信機は、少なくとも4基の異なるSPS衛星ビークルからの信号を必要とする。一般的なケースよりも限定されている条件の下では、受信機は、4基よりも少ない、異なるSPS衛星ビークルからの信号を使用して位置を決定できるかもしれない。
位置またはシステムタイミングに関連する追加の知識により、受信機は、わずか3基の異なるSPS衛星ビークルからの信号を使用して位置を決定できる。例えば、受信機が、高度に関する知識を有するか、高度を仮定するか、さもなければ、2次元の位置を決定することだけを必要とする場合、受信機は、3基の異なるSPS衛星ビークルからの信号だけを必要としてもよい。さらに、受信機が最初の位置の知識を持たないが、SPSシステム時間に関する知識を有する場合、受信機は、わずか3基の異なるSPS衛星ビークルからの信号を使用して位置を決定してもよい。例えば、外部の情報源から、および、これに類似するものから、または、これらの何らかの組み合わせから、システム時間情報を受信することにより、システム時間に同期しているローカルの時計を使用して、以前の測位において決定された、以前の時間の解明を通して、受信機は、SPSシステム時間に関する知識を有してもよい。
受信機が、位置計算のために、2基の衛星ビークルに対する擬似距離およびドップラーに関する知識を有するか、さもなければ、それらの知識と組み合わせて高度を仮定する場合、受信機は、わずか2基の異なるSPS衛星ビークルからの信号を使用して、位置を決定できるかもしれない。
一般に、受信機は、3次元の位置の未知数(デカルト座標系におけるx、yおよびz)を解くのに十分な情報を取得することを必要とする。3次元の位置またはシステム時間のうちの1つ以上が知られているか、さもなければ、独自に決定できる場合、受信機は、位置解を決定するのに必要な、異なるSPS衛星ビークル信号の数を低減させることができる。
有効な3次元の位置を決定するために、受信機は、上述の状況のそれぞれにおいて、1基の衛星ビークルに対するビット端遷移のタイミングを決定するか、さもなければ導出することだけを必要とする。1つ以上の追加の衛星からの信号に対するビット端遷移のタイミングは、高度、擬似距離、ドップラー、または他の何らかのパラメータのような、何らかの追加の位置関連の情報またはパラメータとの組合せで、仮説テストに基づいて決定できる。
時間基準を復調するのに十分な信号品質を有する1つの衛星ビークル信号だけが存在するときに、有効な位置を決定する能力のために、SPS受信機の機能が改善される。ビット端遷移を決定する能力だけが必要とされる場合、位置決定のために必要な残りの衛星信号は、比較的弱い信号とすることができる。成功の位置解を決定する能力は、何らかの最初の位置不確定性にかかわらず依然として有効である。したがって、最初の位置不確定性が大きいか、さもなければ知られていないが、衛星天体暦データが容易に受信されるか、または決定されるかもしれない場合、方法および装置は、グローバルなローミングデバイスにおいて実現してもよい。弱い衛星ビークルからの信号を利用する能力に起因して、SPS受信機の、最初に決定し、産出するための時間と、精度とが向上する。成功の位置解を決定する能力は、国ベースの支援テーブルにおいて受信される情報のような、支援データまたは最初の仮定が不正確である状況において特に役に立ち得る。
さらに、位置解を取得する容易さにより、他の位置選定技術により実施される検証位置決定として、開示した方法および装置を利用することが可能になる。方法および装置は、パーソナル航法デバイスのような、独立のSPS受信機中で実行でき、支援データの受信を必要としない。
図1は、位置特定システム100の実施形態の簡略化したシステム図である。位置特定システム100は、複数の衛星130を含む。位置特定システム100はまた、1つ以上の地上のビーコン120、シュードライト、または他の信号送信機を含むことができる。図1の実施形態において、地上ビーコン120は、ワイヤレス通信システムの基地局のような基地局として描写されている。基地局は、例えば、ハイブリッドGPSのような、ハイブリッド位置特定システム中で使用してもよいタイミング信号を提供できる。代わりに、または、さらに、基地局は、位置の不確定性を低減させるための、最初の位置特定の情報源とすることができ、GPS支援データのような、支援データを提供するように構成できる。支援データは、限定ではないが、地平線よりも上の衛星の識別、提案されたコード位相サーチ開始ポイントおよび/または距離、GPS暦データ、衛星天体暦データ、およびこれらに類似するもの、あるいは、これらの組み合わせを含むことができる。
ワイヤレスデバイス110は、それが、2つの異なるタイミング信号を受信する場合、その位置を決定できる。説明は、衛星ビークル信号だけに基づく位置決定に焦点を合わせているが、ハイブリッドGPSのような、何らかの位置特定システムまたは位置特定システムの変形は、位置決定の一部として、地上ビーコン120からの信号を利用できる。
ワイヤレスデバイス110は、少なくとも2基の衛星ビークル、例えば、130−1および130−nのそれぞれから、擬似ランダムコード拡散信号を受信でき、130−1および130−nは、衛星のGPSコンステレーションのような、衛星のコンステレーションの一部である。有効な位置決定のためにワイヤレスデバイス110によって必要とされる、異なる衛星信号の数は、ワイヤレスデバイス110に利用可能な、追加の位置関連情報の量に基づいている。上述したように、ワイヤレスデバイス110が、衛星ビークルからの信号だけに基づいて、3次元の位置を決定する場合、ワイヤレスデバイス110は、少なくとも4基の異なる衛星ビークル130−1、130−2、130−3および130−nからの信号を必要とする。ワイヤレスデバイス110が、追加の位置関連情報に関する知識を有するか、さもなければ、追加の位置関連情報を決定できる場合、ワイヤレスデバイス110は、例えば、130−1および130−nのような、わずか2基の異なる衛星ビークルからの信号を必要とするかもしれない。
ワイヤレスデバイス110は、ドップラー偏移に対処する周波数オフセットであってもよい、擬似雑音コードシーケンスのローカルに発生させたバージョンに対して、受信信号を相関させることができる。ワイヤレスデバイス110は、相関結果に基づいて衛星を識別できる。
ワイヤレスデバイス110はまた、衛星信号のそれぞれに対する相対的なビット端の遷移を決定できる。ビット端の遷移は、衛星信号に変調されている基礎情報の遷移において発生する。基礎情報は、例えば、航法メッセージ、暦データ、衛星天体暦データ、時間基準または時間スタンプ情報を含むことができる。ワイヤレスデバイスは通常、ビット端の遷移を正確に決定でき、受信信号の積分時間を増加させることにより、ビット端遷移決定の感度を向上させることができる。GPS衛星信号およびGLONASS衛星信号において、基礎データは、50Hzレートで発生し、したがって、ビット端の遷移は、20ミリ秒ごとに発生してもよい。提案されるガリレオ衛星システムにおいては、ビット継続時間は、4ミリ秒間隔で発生する。
ワイヤレスデバイス110は、衛星130のそれぞれから、基礎メッセージを復調して時間メッセージをデコードしようと試みることができる。GPS擬似ランダムコード拡散信号中の時間メッセージは、6秒毎に繰り返す。したがって、時間メッセージをデコードする機会は、それぞれ6秒の間隔において一度だけ発生する。しかしながら、ワイヤレスデバイス110は、例えば、弱い衛星信号に起因して、すべての衛星130からの時間メッセージ情報を無事にデコードできないかもしれない。ワイヤレスデバイス110が、少なくとも1つの他の衛星ビークルに対する相対的なビット端遷移のタイミングを識別することに加えて、少なくとも1つの時間メッセージをデコードできる場合、ワイヤレスデバイス110は、正確な位置決定を実施できる。
ワイヤレスデバイス110が、第1の衛星ビークル130−1からの信号から、時間メッセージを無事にデコードできることを仮定する。ワイヤレスデバイス110は、その衛星ビークルに対するビット端遷移の時間を関係付けることができる時間基準として、時間メッセージを利用できる。したがって、ワイヤレスデバイス110は、タイミングメッセージをデコードする能力に基づいて、ビット端遷移のタイミングに関する知識を有する。
ワイヤレスデバイス110はまた、時間メッセージがまだデコードされていない衛星ビークルのそれぞれに対する、相対的なビット端の遷移を知っていることから、ワイヤレスデバイス110は、第1の衛星ビークル130−1に対する既知のビット端の遷移を基準として、各ビット端の遷移の時間を決定できる。
衛星ビークル130−1ないし130−nのそれぞれからの信号のタイミングは、同じGPS時間ベースに同期化される。しかしながら、ワイヤレスデバイス110に到着する信号は、異なる衛星信号により経験される異なる伝搬遅延に起因して、時間に対して変化するかもしれない。それゆえに、ワイヤレスデバイス110は、タイミングメッセージをデコードすることから、第1の衛星130−1に対するビット端の遷移の時間を知るが、ワイヤレスデバイスは、他の衛星ビークルのそれぞれからの信号が、第1の衛星ビークル130−1からの信号の先を行くのか、または第1の衛星ビークル130−1からの信号に遅れるのかを知らない。したがって、ワイヤレスデバイスは、第2ないし第nの衛星130−2ないし130−nに対する各ビット端遷移の時間を直ちに導出することができない。ワイヤレスデバイス110は、20ミリ秒の倍数の誤差を有する、各ビット遷移の時間を直ちに決定できるだけである。
ワイヤレスデバイス110は、ビット端の遷移に窓をつけることと、仮説テストとにより、ビット端遷移中のあいまいさを解決できる。ワイヤレスデバイス110は、予測される時間変化よりも小さい継続時間を有する窓をビット端遷移に課すことができる。
衛星がゼロ度の地平線よりも上にあるという条件で、GPS衛星ビークルから、衛星が目に見える、実質的に地球上の任意のポイントへの伝搬遅延が、約65ミリ秒の絶対的最小から、約88ミリ秒の絶対的最大まで変化することを、経験的な分析およびモデリングは示している。同じ位置が、最小よび最大の衛星伝搬遅延の両方を同時に経験することは、まずない。しかしながら、最大伝搬遅延と最小伝搬遅延とにおける差に基づいて、窓を設定できる。したがって、窓のサイズは、おおよそ22ミリ秒よりも小さいものとすることができ、おおよそ23ミリ秒よりも小さいものとすることができ、または、他の何らかの値とすることができる。不十分な窓の継続時間を利用することは、有効な位置決定をもたらす時間仮設を決定できないという結果をもたらすかもしれない。しかしながら、窓の時間を拡張することは、検証する多数の時間仮説を過度に生成させ、有効な位置決定を適度にもたらさないであろう。おおよそ20、21または22ミリ秒の窓のサイズは、単に、それが伝搬遅延の全範囲を実質的に包含するからではなく、継続時間が、ほぼ、20ミリ秒の単一ビット期間の大きさであることから、便利である。したがって、あらゆる可能性にわたって、おおよそ20、21または22ミリ秒の窓のサイズの位置を変えることは、時間仮説テストにおいて対処する必要がある、単一の衛星ビークルからの、せいぜい3つの異なるビット端遷移をもたらす。
ワイヤレスデバイス110は、受信した衛星信号のそれぞれに対するビット端遷移に関して窓を位置付け、第1の衛星130−1からの少なくとも1つの既知のビット端遷移を含むように窓を位置付ける。ワイヤレスデバイス110は次に、窓の位置と、既知のビット端遷移の時間と、既知のビット端遷移を基準とした、他の衛星に対するビット端遷移の位置とに基づいて、1組の時間仮説を決定できる。
1つの実施形態において、ワイヤレスデバイス110は、既知のビット端時間の時間に対して、既知のビット端時間の最も近くで発生する、知られていないそれぞれのビット端遷移タイミングのタイミングを仮説として取り上げる。ワイヤレスデバイス110は、時間仮説に対する位置解を決定する。ワイヤレスデバイス110は、例えば、擬似距離測定に基づいて、実質的に任意のタイプの位置解を実現できる。ワイヤレスデバイス110は、例えば、衛星に対する有効な天体暦データに基づいて、または、衛星軌道予測アルゴリズムに基づいて、衛星の位置に関する知識を有することができる。
ワイヤレスデバイス110は、例えば、加重最小二乗法、最小二乗法、加重回帰、カルマンフィルタリング、およびこれらに類似するもの、または、これらのいくつかの組み合わせのような、反復位置解技術を実現できる。ワイヤレスデバイス110は、位置解を有効性確認できる。位置解が無事に有効性確認される場合、それは、ワイヤレスデバイス110に対する位置解である。しかしながら、位置解が有効でない場合、ワイヤレスデバイス110は、窓の位置を、シフトするか、さもなければ更新して、時間仮説を更新する。すべての異なる窓の配置および時間仮説がテストされるまで、または、有効な位置解が決定されるまで、ワイヤレスデバイス110は、窓の位置を変えるプロセスが後に続く、位置解および有効性確認のプロセスを繰り返す。
図2は、位置特定受信機200の実施形態の簡略化した機能ブロック図である。位置特定受信機200は、例えば、位置特定を実行する、図1のワイヤレスデバイス内で実現できる。
受信機200は、受信フロントエンド210に結合されているアンテナ202を含む。受信フロントエンドの出力は、サンプラー212に結合されている。サンプラー212の出力は、バッファ214に結合されている。
受信フロントエンド210は、GPS衛星信号の公称受信周波数に同調させて、複数の衛星ビークルに対応する複数の擬似雑音コード拡散信号を含むことができる複合信号を受信するように構成されている。受信フロントエンド210は、複合受信信号をフィルタリングし、増幅し、周波数変換する。サンプラー212は、受信フロントエンドの出力をサンプリングし、受信フロントエンドからのアナログ信号出力をデジタル表現に変換するように構成できる。サンプラー212は、擬似雑音コードに関係付けられているチップレートよりも高いレートで受信信号をサンプリングするように構成できる。例えば、サンプラー212は、チップレートで、チップレートの2倍で、チップレートの4倍で、あるいは、チップレートの他の何らかの倍数または非倍数で、サンプリングするように構成できる。サンプラー212は、サンプルをバッファ214中に記憶させるように構成できる。
バッファ214は、複数の相関器220−1ないし220−kによりアクセスされ得る。複数の相関器220−1ないし220−kは、信号の捕捉を加速するために、実質的に並列に構成できる。各相関器220は、異なる擬似雑音コード空間をサーチするように構成できる。代わりに、複数の相関器220は、同じ擬似雑音コード空間をサーチするように構成されていてもよいが、バッファ214からの異なるサンプルに動作してもよい。いくつかの実施形態において、相関器220の異なる部分集合は、バッファ214からの異なるサンプルのグループにわたる、別個の擬似雑音コード空間のサーチに対して構成される。各相関器220は、特定のコード位相に対するコード位相オフセットを決定でき、また、相関器220が構成されている擬似雑音コードに関係する特定の衛星信号に対するビット端の遷移を決定できる。
相関器220からの出力は、航法メッセージ復調器/デコーダ230に結合されており、航法メッセージ復調器/デコーダ230は、信号が検出される衛星ビークルのそれぞれからの航法メッセージをデコードするように構成できる。航法メッセージデコーダ230は、タイミングメッセージデコーダ234に結合でき、タイミングメッセージデコーダ234は、無事に復調されてデコードされた航法メッセージを調べて、それらからタイミングメッセージをデコードすることを試みることができる。
タイミングメッセージデコーダ234は、制御装置240に結合できる。タイミングメッセージデコーダ234は、タイミングメッセージ情報および関連する衛星ビークル情報を、制御装置240に知らせるか、さもなければ伝達できる。タイミングメッセージ情報に基づいて、制御装置240は、タイミングメッセージに対応する衛星ビークルからのビット端遷移の時間を割り当てるか、さもなければ決定できる。ビット端遷移の時間は、衛星ビークルから受信機200への伝搬遅延を表すことができる。制御装置240は、この時間において、ビット端遷移タイミングの絶対時間における何らかのあいまいさを解決する必要はないが、代わりに、受信機200において測定される総伝搬遅延が、予測される伝搬遅延範囲の中心近くであるように、ビット端遷移タイミングを選択してもよい。実際のビット端遷移タイミングは、位置解が決定されるときに解決できる。
制御装置240は、メモリ242のようなコンピュータ読取り可能媒体と通信できる。メモリは、ここで記述する方法のいくつかまたはすべてを制御装置に実質的に実行させる、1つ以上のコンピュータ読取り可能命令を記憶できる。いくつかの構成において、制御装置240は、メモリ242中の命令と組み合わせて、窓モジュール250と、仮説選択器260と、位置解モジュール270と、有効性確認器280との機能のいくつかまたはすべてを実行するように構成できる。
窓モジュール250は、各相関器220に結合されており、相関器220からビット端遷移情報を受け取る。窓モジュール250は、窓の継続時間内で発生する、それらのビット端遷移だけをフィルタリングするか、さもなければ選択するように構成できる。
制御装置240は、時間が知られていないビット端遷移の位置に基づいて、窓を最初に位置付けるように構成できる。制御装置240または窓モジュール250は、無効なタイミング仮説の決定に従って、窓の位置を変えることができる。
仮説選択器260は、窓モジュール250から、ビット端遷移、ビット端遷移に対するポインタ、または、ビット端遷移の識別を受け取るように構成されている。仮説選択器260は、既知のビット端遷移の時間に基づいて、窓内のビット端のそれぞれに対するタイミングを設定するように構成できる。1つの実施形態において、仮説選択器260は、既知のビット端遷移の時間に基づいて、窓内に各ビット端遷移を設定する。同じ衛星ビークルに対する、1つより多いビット端遷移が、窓内に位置する場合、仮説選択器260は、調停ルールを使用できる。例えば、仮説選択器260は、既知のビット端遷移の時間に基づいて、既知のビット端遷移の最も近くで発生するビット端遷移を設定するように構成できる。
位置解モジュール270は、仮説選択器260により設定されたタイミング仮説に基づいて、位置解を決定するように構成されている。この時点で、さまざまな衛星に対する疑似距離測定値は、従来のアプローチを使用して取得される擬似距離測定値に対して、位置解モジュール270に区別できない。したがって、位置解モジュール270は、従来の技術を使用して位置解を決定するように構成でき、従来の技術は、例えば、加重最小二乗法や、最小二乗法や、加重回帰や、カルマンフィルタリング、および、これらに類似するもの、または、これらのいくつかの組み合わせを含んでもよい位置解技術である。
位置解モジュール270は、メモリ242中に記憶できる衛星位置情報とともに、解を決定できる。衛星位置情報は、例えば、衛星暦、衛星天体暦、衛星軌道予測関数、または、これらのいくつかの組み合わせのうちの1つ以上として、記憶できる。
有効性確認器280は、位置解モジュール270からの結果を処理して、解が有効であるかどうかを決定する。そうである場合、処理は完了し、受信機200の位置が決定される。位置解が無効である場合、窓モジュールが窓の位置を変えて、仮説選択器260が、テストすべき別のタイミング仮説を発生させる。例えば、反復位置解アルゴリズムが、予め定められている何らかの数の反復の後に収束しない場合、有効性確認器280は、無効解を決定できる。
図3は、有効性確認器280の実施形態の簡略化した機能ブロック図である。有効性確認器280は、例えば、図2の受信機中の有効性確認器とすることができる。有効性確認器280は、位置解モジュールから位置解情報を受け取り、位置解の有効性を決定するために、多数の制約条件にしたがって情報を処理する。
有効性確認器280は、高度有効性確認器310、送信遅延有効性確認器320、衛星ビークル仰角有効性確認器330、ユーザ速度有効性確認器340、ドップラー残留有効性確認器350、または、これらの何らかの組み合わせを含んでもよい。有効性確認器280のモジュールのそれぞれは、互いから独立して動作するか、または、1つ以上のモジュールは、互いに依存していてもよい。有効性確認器280内のモジュールの数およびタイプは、図3の実施形態中で図示した、それらのタイプおよび構成に限定されない。
高度有効性確認器310は、位置解を調べて、最小および最大の高度に対する制限に対して、位置解の高度を比較できる。例えば、高度有効性確認器310は、有効な高度が下限に該当しないかもしれない、海水位以下の深さを含むことができる。同様に、有効性確認器310は、有効な高度位置解によって超えられないかもしれない、予め定められている高度を含むことができる。予め定められている範囲を超える高度は、無効な解として識別される。
受信機が、高度に関する知識を有するか、さもなければ2次元の位置を決定するように構成されている状況において、高度有効性確認器310は、省略してもよく、動きを止めてもよく、さもなければ、無視してもよい。
同様に、送信遅延有効性確認器320は、位置解から決定されるような、補正されたタイミングに対する伝搬遅延を調べて、伝搬遅延が、予め定められた範囲から外れているかどうかを決定する。例として、衛星ビークルがゼロ度の地平線よりも上にあるという条件で、地球上の任意の点に対する伝搬遅延の範囲は、おおよそ65ミリ秒から88ミリ秒にわたると推定される。位置解からの補正された伝搬遅延が、この範囲から外れている場合、送信遅延有効性確認器320は、無効として解を識別できる。
衛星ビークル仰角有効性確認器330は、位置解において利用される衛星ビークルのすべてが、ゼロ度の地平線よりも上にあるかどうかを決定できる。衛星ビークル仰角有効性確認器330は、位置解を生成するために使用された衛星ビークルの仮定された位置に対して位置解を調べることができる。衛星ビークルの仰角は、位置解と、仮定された衛星位置との知識に基づいて決定できる。SV仰角検出器330は、衛星ビークルの仰角のいずれかがゼロより小さい場合、無効として解を識別できる。
ユーザ速度有効性確認器340は、位置解と、4基の衛星ビークルのそれぞれからのドップラー値とに基づいてワイヤレスデバイスの速度を計算できる。予め定められている範囲外の速度は、位置解を無効として識別するユーザ速度有効性確認器をもたらすことができる。
ドップラー残留有効性確認器350は、測定された擬似距離レートに対して、計算された擬似距離レートを比較する。ドップラー残留有効性確認器350は、位置解に基づいて、理論上のドップラーに対して、測定されたドップラーを比較して、残留が、予め定められているしきい値よりも大きいかどうかを決定できる。ドップラー残留有効性確認器350は、残留が予め定められている範囲外にある場合、位置解を無効として識別できる。
各有効性確認器が、別の有効性確認器から独立して、位置解を無効として識別してもよいが、有効性確認器の出力値はすべて、有効性確認ロジック360に提供され、有効性確認ロジック360は、無効の1つ以上の指示に基づいて、位置解の有効性に関して最終決定を実施できる。有効性確認ロジックは、例えば、無効指示の予め定められている組合せに、または、無効指示の重みつけされた組み合わせに基づいて、単一の無効指示、複数の無効指示、の無効結果を示すように構成できる。
図4は、仮説時間設定を使用する位置特定の方法400の実施形態の簡略化したフローチャートである。方法400は、例えば、図1のワイヤレスデバイス中の図2の受信機によって実現できる。
方法400は、ブロック410において開始し、受信機は、少なくとも2つの衛星ビークル擬似雑音コード拡散信号を受信する。受信機は、ブロック412に進み、例えば、擬似雑音コードシーケンスのローカルに発生させたバージョンに対して、受信信号を相関させることにより、衛星ビークルの識別を決定する。
受信機は、ブロック414に進み、少なくとも2つの衛星ビークル信号のそれぞれに対するビット端の遷移を決定する。受信機は、相関を使用してビット端の遷移を決定でき、検出の感度を向上させるために、いくつかの完全な擬似雑音コード期間にわたって積分してもよい。
受信機は、ブロック420に進み、少なくとも1つのタイムスタンプをデコードするか、さもなければ、衛星ビークル信号のうちの少なくとも1つに関係する時間基準を決定する。受信機は、例えば、航法メッセージを復調して、衛星ビークル信号から時間メッセージをデコードすることができる。
受信機は、無事に方法400を実行するために、少なくとも1つの時間基準を決定する必要がある。しかしながら、調べる必要がある、あいまいな時間仮説の数は、それぞれの追加の時間基準により低減される。4つの時間基準の限定において、衛星ビークル信号だけに基づいて発生される解に対して、方法400は、もはや必要ではなく、受信機は直接擬似距離を決定できる。しかしながら、受信機は依然として本方法を利用して、時間基準を必要としない第5の衛星ビークルを使用して、位置解の検証を可能にしてもよい。
受信機はブロック430に進み、時間基準が知られている衛星ビークルに対応する既知のビット端遷移の位置に基づいて、ビット端遷移に関して時間窓を構成する。窓の継続時間は、最大および最小の衛星ビークル伝搬遅延の間の差に対応する、おおよその継続時間となるように選択できる。
受信機は、ブロック440に進み、窓内のビット端遷移に対するタイミング仮説を決定する。受信機は、例えば、窓中のビット端遷移のそれぞれが、既知のビット端遷移の時間に基づいて発生することを仮定できる。
受信機は、ブロック450に進み、擬似距離の測定値と、例えば、暦、衛星天体暦データ、衛星軌道予測、または、これらのいくつかの組み合わせに基づいて決定される、衛星ビークルの位置に関する知識とに基づいて、位置解を決定する。位置解はまた、もしあれば、受信機に利用可能な関連位置情報に依拠してもよい。そのような関連位置情報は、例えば、受信機の高度の推定、対応する擬似距離と組み合わせて受信機において観測されるドップラー測定値、および、これらに類似するもの、または、これらのいくつかの組み合わせを含むことができる。
受信機は、例えば、加重最小二乗アルゴリズムのような、反復位置決定アルゴリズムに基づいて、位置を決定できる。受信機は決定ブロック452に進み、位置決定アルゴリズムが解に収束したかどうかを決定する。収束していない場合、解は無効である。受信機は、ブロック460に進む。
決定ブロック452において、受信機が、位置決定アルゴリズムが位置解を返したことを決定する場合、受信機は決定ブロック470に進み、解が有効性確認プロセスをパスするかどうかを決定する。パスしない場合、受信機はブロック460に進む。
ブロック460において、受信機は窓の位置をシフトするか、さもなければ再設定して、異なる1組のビット端遷移の仮説を取り込む。受信機はブロック460からブロック440に戻って、タイミング仮説/位置解プロセスを繰り返す。
決定ブロック470において、位置解が、有効性確認プロセスを満たす場合、受信機はブロック480に進んで、受信機の位置として位置解を返す。
図5は、位置解の有効性確認の方法470の実施形態の簡略化したフローチャートである。方法470は、図5の方法を実行する受信機によって実現できる。
方法470は、決定ブロック510において開始し、受信機は、位置解が、予め定められている範囲内の高度を含んでいるかどうか決定する。そうでない場合、受信機はブロック560に進み、解を無効として識別する。
受信機が、高度の制約条件が満たされていることを決定する場合、受信機は決定ブロック520に進み、位置解決定において使用される衛星ビークルからの伝搬遅延が、予め定められている値の範囲内にあるかどうかを決定する。そうでない場合、受信機はブロック560に進み、解を無効として識別する。位置解の高度が範囲内であるかどうかを決定する、このステップは、受信機が既知のまたは所定の高度を使用して2D位置を実行するときは、もちろんバイパスされる。
受信機が、伝搬遅延の制約条件が満たされていることを決定した場合、受信機は決定ブロック530に進み、位置解において使用される衛星ビークルが、位置解の位置に位置付けられているデバイスに対して地平線よりも上にあるかどうかを決定する。そうでない場合、受信機はブロック560に進み、解を無効として識別する。
受信機が、衛星ビークルの仰角の制約条件が満たされていることを決定した場合、受信機は決定ブロック540に進み、ユーザ速度が、予め定められている範囲または制限内に収まっているかどうかを決定する。そうでない場合、受信機はブロック560に進み、解を無効として識別する。
受信機が、ユーザ速度が、速度の制約条件を満たしていることを決定した場合、受信機は決定ブロック550に進み、ドップラー残留が、予め定められている範囲内であるかどうかを決定する。受信機は、位置解と、受信機のクロック周波数バイアスとに基づいて、理論上のドップラーに対して、測定されたドップラーを比較して、残留が、予め定められているしきい値よりも大きいかどうかを決定できる。そうである場合、受信機はブロック560に進み、解を無効として識別できる。そうでない場合、受信機はブロック570に進んで、位置解を有効として識別する。
図6は、仮説時間設定を使用する位置解の例の簡略化したタイミング図600である。タイミング図600は、4基の衛星ビークルに対するビット端の遷移と、おおよそ22ミリ秒の、予め定められている窓の継続時間に対して発生させてもよい、4つの可能性のあるタイミング仮説とを図示する。
第1の衛星ビークルは、時間基準が知られている衛星ビークルであると仮定する。したがって、第1のSVのビット端遷移610は、既知であり、時間があいまいでない、ビット端の遷移であり、1つのビット端の遷移だけを図示することを必要とする。第1のSVに対する、隣接のビット端遷移の時間は、既知のビット端遷移から20ミリ秒を減算するか、または既知のビット端遷移に20ミリ秒を加算することにより決定できる。ここで20ミリ秒は、各ビットの期間である。
第2の衛星ビークルは、2つのビット端遷移620−1および620−2を有し、2つのビット端遷移620−1および620−2は、第1のSVの既知のビット端遷移610を基準として識別できる。しかしながら、より早いビット端遷移620−1、または、より遅いビット端遷移620−2が、既知のビット端遷移610に同期しているかどうかに関してはあいまいさがある。
同様に、第3の衛星ビークルに対する2つのビット端遷移630−1および630−2を、第1のSVの既知のビット端遷移610を基準として示す。第4の衛星ビークルに対する2つのビット端遷移640−1および640−2を、第1のSVの既知のビット端遷移610を基準として示す。
第1のタイミング仮説が、時間窓の第1の位置652に基づいて図示されている。窓652内に、各ビット遷移610、640−2、620−2および630−2が、第1のSVの既知のビット端遷移の時間を基準として設定される。位置解は、タイミング仮説から、各衛星ビークルからの擬似距離に基づいて決定できる。
第2のタイミング仮説が、時間窓の第2の位置654に基づいて図示されている。時間窓は、窓の第1の位置中にない、少なくとも1つの異なるビット端遷移を取り込むようにシフトされている。時間窓の第2の位置654内に、ビット遷移630−1、610、640−2および620−2が、第1のSVの既知のビット端遷移の時間を基準として設定される。位置解は、第2のタイミング仮説から、各衛星ビークルからの擬似距離に基づいて決定できる。
第3のタイミング仮説が、時間窓の第3の位置656に基づいて図示されている。時間窓は、少なくとも1つの異なるビット端遷移を取り込むようにシフトされている。時間窓の第3の位置656内に、ビット遷移620−1、630−1、610および640−2が、第1のSVの既知のビット端遷移の時間を基準として設定される。位置解は、第3のタイミング仮説から、各衛星ビークルからの擬似距離に基づいて決定できる。
第4のタイミング仮説が、時間窓の第4の位置658に基づいて図示されている。時間窓は、少なくとも1つの異なるビット端遷移を取り込むようにシフトされている。時間窓の第4の位置658内に、ビット遷移640−1、620−1、630−1および610が、第1のSVの既知のビット端遷移の時間を基準として設定される。位置解は、第4のタイミング仮説から、各衛星ビークルからの擬似距離に基づいて決定できる。
図6中で示した継続時間の窓を使用する、4つの可能性のあるタイミング仮説だけがあることに注目すべきである。時間窓のさらなるシフトは、既知のビット端遷移を除外する。したがって、受信機は、正しい位置解を決定する前に、4つのタイミング仮説に基づいて、せいぜい4つの位置解を試みることを必要とするだろう。
図7は、仮説のタイミング設定を使用する位置解の例の簡略化したタイミング図700である。図7のタイミング図700は、2つの衛星ビークルに対する2つの既知の時間基準を図示する。タイミング図700は、時間窓が、示した大きさの継続時間を有するとき、第2の時間基準に関する追加の知識が、可能性のあるタイミング仮説の数をわずか2つに低減させる方法を図示する。
タイミング図700は、時間基準が知られている第1の衛星ビークルに対する第1のビット端遷移710を図示する。同様に、第2のビット端遷移720が、時間基準が知られている第2の衛星ビークルに対して示されている。
第3の衛星ビークルに対する、あいまいなビット端遷移730−1および730−2と、第4の衛星ビークルに対する、あいまいなビット端遷移740−1および740−2とが示されている。時間基準は、第3および第4の衛星ビークルに対して決定していないか、または、決定できない。
第1のタイミング仮説は、少なくとも第1および第2の既知のビット端遷移710および720と、既知の時間基準を欠いている衛星ビークルのそれぞれからの、少なくとも1つのビット端遷移740−2および730−2とを取り込むように第1の時間窓752を位置付けることによって発生できる。
第2のタイミング仮説は、少なくとも第1および第2の既知のビット端遷移710および720と、既知の時間基準を欠いている衛星ビークルのそれぞれからの、少なくとも1つのビット端遷移730−1および740−2とを取り込むように第2の時間窓754を位置付けることによって発生できる。図7中で示すように、これらは、このサイズの時間窓と、既知のビット端遷移710および720の位置とに対する、わずか2つの、可能性のあるタイミング仮説である。時間窓のさらなるシフトは、窓から既知のビット端遷移のうちの1つを排除するだろう。
複数のSPS衛星信号に対する1つの時間基準だけが知られているが、少なくとも4つの衛星信号に対するビット端遷移が知られており、衛星位置情報が利用可能であるときに、位置特定の解を決定する方法および装置をここで記述している。方法および装置は、受信機が、複数の衛星信号に対する航法メッセージ中の時間情報を復調できない乏しいカバレッジ環境において位置解を決定することを可能にする。
ここで使用するとき、用語“結合され”または“接続され”は、間接的な結合と、直接的な結合または接続を意味するように使用される。2以上のブロック、モジュール、デバイスまたは装置が結合される場合、2つの結合されたブロックの間に1つ以上の介在するブロックがあってもよい。
汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)または他のプログラム可能論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいはここで記述した機能を実行するために設計された、これらの任意の組み合わせにより、ここで開示した実施形態に関して記述した、さまざまな実例となる、論理ブロック、モジュールおよび回路を実現または実行してもよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサでもよいが、代わりに、プロセッサは任意のプロセッサ、制御装置、マイクロ制御装置、または状態遷移機械であってもよい。計算デバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連した1つ以上のマイクロプロセッサ、または他の任意のこのような構成として、プロセッサを実現してもよい。
ここで開示した実施形態に関して記述した方法、プロセスまたはアルゴリズムのステップを、ハードウェア中で直接、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュール中で、またはその2つの組み合わせ中で具体化してもよい。方法またはプロセスにおける、さまざまなステップまたは動作は、示されている順序で実行してもよく、または、別の順序で実行してもよい。さらに、1つ以上のプロセスまたは方法のステップを省略してもよく、あるいは、1つ以上のプロセスまたは方法のステップを、方法およびプロセスに加えてもよい。追加のステップ、ブロックまたは動作は、方法およびプロセスの、開始の、終わりの、または、間にある、既存の要素に加えてもよい。
1つ以上の例示的な実施形態において、記述した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせ中で実現してもよい。ソフトウェアまたはファームウェアにおいて実現する場合、物理的なコンピュータ読み取り可能媒体上に、1つ以上の命令、情報、またはエンコードされたコードとして、機能を記憶させてもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、物理的なコンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによりアクセスできる任意の利用可能な物理媒体であってもよい。一例として、限定ではないが、そのようなコンピュータ読み取り可能媒体は,RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用でき、コンピュータによりアクセスできる他の任意の媒体を備えることができる。ここで使用されるディスク(Diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は通常、磁気的にデータを再生し、一方、ディスク(disc)は、レーザにより光学的にデータを再生する。
いかなる当業者であっても本開示を実施しまたは使用できるように、開示した実施形態の記述をこれまでに提供している。これらの実施形態に対してさまざまな修正が当業者に容易に明らかであり、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、ここで規定した一般的な原理を、他の実施形態に適用してもよい。したがって、本開示は、ここで示した実施形態に限定されるように意図されていないが、ここで開示した原理および新規な特徴に矛盾しない最も広い範囲に一致すべきである。