JP2011513369A - 糖尿病の治療におけるインターロイキン−1コンジュゲートの使用技術分野 - Google Patents
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Abstract
本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善及び/又は予防のための、組成物、医薬組成物及びワクチンを提供する。本発明の組成物、医薬組成物及びワクチンは、コア粒子と抗原を含み、前記抗原はインターロイキン-1(IL-1)分子を含む。動物に、好ましくはヒトに投与された場合、前記組成物、医薬組成物及びワクチンは、特定の抗体反応において、有効な免疫応答を誘導し、典型的に且つ好ましくは、前記抗体反応をIL-1を目的とする。従って、本発明は、IL-1に対する能動免疫を経由して、糖尿病、好ましくは2型糖尿病を治療するか、改善するかまたは、予防する方法を提供する。
Description
本発明は、医学、公衆衛生、免疫学、分子生物学及びウイルス学の分野にある。本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善及び/又は予防のための組成物、医薬組成物及びワクチンを提供する。本発明の組成物、医薬組成物及びワクチンは、コア粒子と抗原とを含み、前記抗原はインターロイキン-1(IL-1)分子を含む。動物に、好ましくはヒトに投与された場合、前記組成物、医薬組成物及びワクチンは、特定の抗体反応において、有効な免疫応答を誘導し、典型的に及び好ましくは、前記抗体反応はIL-1に対するものである。したがって、本発明は、IL-1に対する能動免疫を経由して、糖尿病、好ましくは2型糖尿病を治療するか、改善するか、又は予防する方法を提供する。
2型糖尿病は、不完全なインシュリン分泌、インシュリン作用又は両方の組合せによる高血糖の存在により特徴づけられる慢性的な代謝異常である。2型糖尿病の膵臓β細胞不全の機構は十分に解明されないが、ストレス及び炎症性経路は関係していることが示されている。反復的高血糖(glucose excursion)、脂質異常症及びアディポカインによって生じる代謝ストレスは、局所的サイトカイン分泌、膵島免疫細胞浸入、β細胞アポトーシス、アミロイド沈着及び線維形成によって特徴づけられるすい臓の炎症反応を誘導しうる。IL-1βはマスター・サイトカインとして発現し、膵島ケモカイン産生を調整して、障害のあるインスリン産生とβ細胞死を生じる。組換え体IL-1受容体アンタゴニストまたは中和モノクローナル抗体の投与によるIL-1シグナルの遮断は、2型糖尿病の動物モデルの血糖コントロールを改良することが示されている (Sauter et al., 2008, Osborn et al., 2008)。さらにまた、組換え体ヒトIL-1受容体アンタゴニスト(Anakinra)による2型糖尿病患者の治療は、糖化ヘモグロビン濃度の減少(長期間の血糖症についての確実な情報)及び改良されたβ細胞機能 (Larsen et al., 2007)に結果としてなる。
我々は、少なくとも一つのIL-1分子、好ましくはIL-1変異タンパク質を含む発明の組成物をそれぞれ含む、本発明の組成物及びワクチンが、IL-1に対する免疫応答、特に抗体反応を誘導できるだけでなく、さらにインビボでIL-1の炎症性活性を中和することができることを見いだした。更には、我々は、驚くべきことに、本発明の組成物による能動免疫が糖尿病のマウスモデルの食餌性糖尿病表現型 (参照、Surwit et al., DIABETES, Vol. 37, 1988, 1163-1167)の改善に結果としてなったことを見いだした。このことは、IL-1α分子(実施例9を参照)、更にはIL-1β分子(実施例12及び13を参照)を含むいろいろなIL-1分子で観察された。
従って、ある態様では、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病を治療、改善または予防するための組成物であって、前記組成物は:(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するコア粒子であって、前記コア粒子がウイルス様粒子(VLP)又はウィルス粒子、好ましくはウイルス様粒子であるコア粒子;及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原であって、少なくとも一つの抗原は、好ましくはIL-1タンパク質、IL-1成熟断片、IL-1ペプチド及びIL-1変異タンパク質からなる群から選択されるIL-1分子を含み、(a)と(b)は少なくとも一つの第1の及び少なくとも一つの第2の付着部位を介して、好ましくは共有結合して結合する、組成物を提供する。
更なる態様において、本発明は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原はIL-1は分子を含むか、それからなるか、又はそれであり、(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位及び前記少なくとも一つの第2の付着部位を介して結合する組成物を提供する。好ましい実施態様において、少なくとも一つの第2の付着部位を有する前記少なくとも一つの抗原は、(i)IL-1分子;及び(ii)リンカーを含むか又は好ましくはそれから成る。
更に好ましい実施態様において、前記第1の付着部位が、少なくとも一つの共有結合を経て前記第2の付着部位に結合され、好ましくは前記少なくとも一つの共有結合は、非ペプチド結合である。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)IL-1β分子であって、配列番号165又は配列番号136であるか、好ましくは配列番号136であるIL-1β分子;及び(ii)リンカーであって、前記第2の付着部位を含むリンカーであって、好ましくはGGC(配列番号178)又はGGCG(配列番号188)、好ましくはGGCG(配列番号188)を含むか又は好ましくはそれから成るリンカーを含むか、又は好ましくはそれから成り、更に好ましくは前記リンカーは、ペプチド結合を経由して前記IL-1β分子のC末端に共有結合する。
更に好ましい実施態様において、少なくとも一つの第2の付着部位を有する前記少なくとも一つの抗原は(i)IL-1α分子であって、配列番号203又は210、好ましくは配列番号203である前記IL-1α分子;及び(ii)リンカーであって、前記第2の付着部位を含むリンカーであって、好ましくはGGC(配列番号178)又はGGCG(配列番号188)、好ましくはGGCG(配列番号188)を含むか又は好ましくはそれから成るリンカーから成り、更に好ましくは前記リンカーは、ペプチド結合を経由して前記IL-1α分子のC末端に共有結合する。
更に好ましい実施態様において、前記ウイルス様粒子はRNAバクテリオファージのウイルス様粒子であって、好ましくは前記RNAバクテリオファージはバクテリオファージQβである。
更なる好ましい実施態様において、前記第2の付着部位のただ一つが、少なくとも一つの非ペプチド共有結合を介して、前記第1の付着部位に会合して、それにより前記抗原の前記ウイルス様粒子への結合が単一且つ均一型式となり、前記第1の付着部位と結合する前記ただ一つの第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、前記抗原と前記ウイルス様粒子は、前記会合を介して相互作用し規則正しい反復性抗原アレイを形成する。
更なる態様において、本発明は糖尿病、好ましくは2型糖尿病を治療するためのワクチンであって、本発明の組成物を好ましくは有効量において含むか、あるいはそれからなる組成物を提供する。
更なる態様において、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病治療のための医薬組成物であって、(a)本発明の組成物又は本発明のワクチン;及び(b)薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
更なる態様において、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病を治療する方法であって、本発明の組成物の、本発明のワクチンの、および/または本発明の医薬組成物の免疫学的に有効量を、動物に、好ましくはヒトに投与すること含んで成る方法を提供する。
更なる態様において、本発明は、動物の、好ましくはヒトの、糖尿病、好ましくは2型糖尿病を治療するための医薬の製造における、本発明の組成物、本発明のワクチン、および/または本発明の医薬組成物の使用を提供する。
(発明の詳細な説明)
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はすべて、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はすべて、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
アジュバント:本明細書中で用いられる「アジュバント」なる用語は、本発明のワクチン及び医薬組成物のそれぞれと組み合わせると、より増大した免疫応答を供給しうる、宿主内の貯蔵所となる物質ないしは免疫応答の非特異的刺激因子を意味する。好ましいアジュバントは、完全及び不完全なフロイントアジュバント、アルミニウム水酸化物及び修飾ムラミルジペプチドなどがある。更に好ましいアジュバントは、酸化アルミニウム三水和物のようなミネラルゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール及び潜在的に有用なヒトアジュバント、例えばBCG (ウシ型弱毒結核菌ワクチン)及びコリネバクテリウムパルバムである。このようなアジュバントも当分野で公知である。
本発明の組成物とともに投与されうる更なるアジュバントには、モノホスホリル脂質免疫修飾物質、AdjuVax 100a、QS-21、QS-18、CRL1005、アルミニウム塩類(ミョウバン)、MF-59、OM-174、OM-197、OM-294及びVirosomalアジュバント技術が含まれるが、これらに限定するものではない。また、アジュバントは、これらの物質の混合物を含んでもよい。VLPは一般的にアジュバントとして記載されている。しかしながら、本明細書中の文脈で用いる「アジュバント」なる用語は、本発明の組成物に用いたVLPでないアジュバントを指すものであり、むしろそれは追加の、異なった成分に関する。
本発明の組成物とともに投与されうる更なるアジュバントには、モノホスホリル脂質免疫修飾物質、AdjuVax 100a、QS-21、QS-18、CRL1005、アルミニウム塩類(ミョウバン)、MF-59、OM-174、OM-197、OM-294及びVirosomalアジュバント技術が含まれるが、これらに限定するものではない。また、アジュバントは、これらの物質の混合物を含んでもよい。VLPは一般的にアジュバントとして記載されている。しかしながら、本明細書中の文脈で用いる「アジュバント」なる用語は、本発明の組成物に用いたVLPでないアジュバントを指すものであり、むしろそれは追加の、異なった成分に関する。
抗原:本明細書で使用するように、「抗原」という用語は、MHC分子によって提示された場合、抗体又はT細胞レセプター(TCR)に結合可能な分子を指す。
「抗原」という用語は、本明細書で使用する場合、T細胞エピトープをも含む。抗原は、加えて、免疫系に認識されること、及び/又は、B及び/又はTリンパ球の活性化がもたらされる体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を誘導することが可能である。しかしながら、このことは、少なくともいくつかの場合において、抗原がTh細胞エピトープを含むかあるいはこれと連結し、アジュバント中に存在することが必要である。抗原は、1つ又は複数のエピトープ (B及びTエピトープ)を有してもよい。上記の特異的な反応とは、抗原が、好ましくは、典型的には高度に選択性のある様式で、その対応する抗体又はTCRと反応し、他の抗原によって引き起されることがある他の抗体又はTCRの多数とは反応しないことを示すものである。また、ここで使用する抗原は、複数の別々の抗原の混合物であってもよい。本願明細書において使用する「抗原」なる用語は、好ましくは、IL-1分子、IL-1タンパク質、IL-1成熟断片、IL-1断片、IL-1ペプチド及びIL-1変異タンパク質を指し、最も好ましくは「抗原」はIL-1変異タンパク質を指す。
他で示されない限り、本願明細書において使用される「抗原」なる用語は、ウイルス粒子に又はウイルス様粒子を示すものではない。
「抗原」という用語は、本明細書で使用する場合、T細胞エピトープをも含む。抗原は、加えて、免疫系に認識されること、及び/又は、B及び/又はTリンパ球の活性化がもたらされる体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答を誘導することが可能である。しかしながら、このことは、少なくともいくつかの場合において、抗原がTh細胞エピトープを含むかあるいはこれと連結し、アジュバント中に存在することが必要である。抗原は、1つ又は複数のエピトープ (B及びTエピトープ)を有してもよい。上記の特異的な反応とは、抗原が、好ましくは、典型的には高度に選択性のある様式で、その対応する抗体又はTCRと反応し、他の抗原によって引き起されることがある他の抗体又はTCRの多数とは反応しないことを示すものである。また、ここで使用する抗原は、複数の別々の抗原の混合物であってもよい。本願明細書において使用する「抗原」なる用語は、好ましくは、IL-1分子、IL-1タンパク質、IL-1成熟断片、IL-1断片、IL-1ペプチド及びIL-1変異タンパク質を指し、最も好ましくは「抗原」はIL-1変異タンパク質を指す。
他で示されない限り、本願明細書において使用される「抗原」なる用語は、ウイルス粒子に又はウイルス様粒子を示すものではない。
エピトープ:「エピトープ」なる用語は、MHC分子の環境におけるT細胞レセプター又は抗体によって免疫特異的に結合されるポリペプチドの連続的な又は非連続的な部分を示す。抗体に関して、免疫特異的な結合は、非特異的な結合が除外されるが、交差反応が除外されることを要しない。典型的に、エピトープは、エピトープに固有の空間的な立体構造内に5−10アミノ酸を含む。
特異的な結合(抗体/抗原):本出願において、抗体は、106M−1又はそれより優れているか、好ましくは107M−1又はそれより優れているか、より好ましくは108M−1又はそれより優れているか、及び最も好ましくは109M−1又はそれより優れている結合親和性(Ka)で抗原に結合する場合、特異的に結合していると定義される。
抗体の親和性は当業者によって容易に測定されうる(例えばスキャッチャード分析、ELISAまたはBiacore分析によって)。
抗体の親和性は当業者によって容易に測定されうる(例えばスキャッチャード分析、ELISAまたはBiacore分析によって)。
特異的な結合(IL-1/IL-1レセプター):レセプターとレセプターリガンドとの相互作用は、一般に当分野で公知の生物物理学的な方法、例えばELISA又はBiacore分析によって特徴付けすることができる。
IL-1分子はIL-1レセプターを特異的に結合することができるとみなすのは、前記IL-1の前記IL-1レセプターへの結合親和性(Ka)が少なくとも105M−1、好ましくは少なくとも106M−1、より好ましくは少なくとも107M−1、さらにより好ましくは少なくとも108M−1、及び最も好ましくは少なくとも109M−1であり、好ましくは該IL-1レセプターがマウス又はヒト、最も好ましくはヒトのIL-1レセプターである場合である。さらに好ましくは、前記IL-1レセプターは、配列番号166から配列番号169のいずれか一つの配列を含むか、より好ましくはこれからなり、最も好ましくは前記IL-1レセプターは配列番号166か配列番号167のいずれかの配列を含むか、好ましくはこれからなる。
IL-1分子はIL-1レセプターを特異的に結合することができるとみなすのは、前記IL-1の前記IL-1レセプターへの結合親和性(Ka)が少なくとも105M−1、好ましくは少なくとも106M−1、より好ましくは少なくとも107M−1、さらにより好ましくは少なくとも108M−1、及び最も好ましくは少なくとも109M−1であり、好ましくは該IL-1レセプターがマウス又はヒト、最も好ましくはヒトのIL-1レセプターである場合である。さらに好ましくは、前記IL-1レセプターは、配列番号166から配列番号169のいずれか一つの配列を含むか、より好ましくはこれからなり、最も好ましくは前記IL-1レセプターは配列番号166か配列番号167のいずれかの配列を含むか、好ましくはこれからなる。
会合(associated):本明細書中で用いられる「会合した」又は「会合」なる用語は、2つの分子が一緒につながる全ての可能な方法、好ましくは化学的な相互作用を指す。化学的な相互作用には共有結合性相互作用及び非共有結合性相互作用が含まれる。非共有的相互作用の典型的な例は、イオン性相互作用、疎水性相互作用、又は水素結合であり、一方、共有結合性相互作用は、例として共有結合、例えばエステル、エーテル、リン酸エステル、アミド、ペプチド、炭素−リン結合、炭素−イオウ結合、例えばチオエーテル、又はイミド結合ベースである。
第1の付着部位:ここで用いる「第1の付着部位」なる用語は、VLP、好ましくはRNAバクテリオファージのVLPに天然に存在するか、又はVLPに、好ましくはRNAバクテリオファージのVLPに人工的に付加されるエレメントであって、そこへ第2の付着部位が結合されうるものを指す。第1の付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成ポリマー、二次的代謝産物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又は化学反応基、例えばアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジル基、ヒスチジル基、又はこれらの組合せであるのが好ましい。第1の付着部位である化学反応基の好適な実施態様は、アミノ酸の、好ましくはリジンのアミノ基である。好ましい実施態様では、上記第1の付着部位は、リジン残基のアミノ基であり、好ましくは上記リジン残基は、上記VLPに、好ましくは上記RNAバクテリオファージのVLPに天然に存在するリジン残基である。
第1の付着部位は、VLPの、好ましくはRNAバクテリオファージのVLPの、RNAバクテリオファージQβのVLPの表面上に、好ましくはVLPの外側表面上に、典型的には位置する。多数の第1の付着部位は、典型的に及び好適には反復的な配置で、ウイルス様粒子の、好ましくはRNAバクテリオファージのVLPの、最も好ましくはRNAバクテリオファージQβのVLPの表面上、好ましくは外側表面上に存在する。好適な実施態様では、第1の付着部位は、少なくとも一つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも一つのペプチド結合を介して、VLPと会合する。更に好適な実施態様では、第1の付着部位はVLPに天然に存在する。あるいは、好適な実施態様では、第1の付着部位はVLPに人工的に付加される。好ましい実施態様において、第1の付着部位は、少なくとも一つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも一つのペプチド結合を介して、上記VLPと会合し、上記VLPは、RNAバクテリオファージの、好ましくはRNAバクテリオファージQβのVPLである。更に好ましい実施態様において、上記第1の付着部位は、リジン残基のアミノ基であり、上記リジン残基は、コートタンパク質の、好ましくはRNAバクテリオファージの、最も好ましくはRNAバクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。更に好ましい実施態様において、上記第1の付着部位は、RNAバクテリオファージのコートタンパク質のリジン残基のアミノ基であり、好ましく上記コートタンパク質は配列番号3のアミノ酸配列を含むか、又は好ましくはそれから成る。更に好ましい実施態様において、上記第1の付着部位はリジン残基であり、好ましくは上記リジン残基は、好ましくはRNAバクテリオファージのコートタンパク質の、最も好ましくはRNAバクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。更に好ましい実施態様において、上記第1の付着部位は、RNAバクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。
第1の付着部位は、VLPの、好ましくはRNAバクテリオファージのVLPの、RNAバクテリオファージQβのVLPの表面上に、好ましくはVLPの外側表面上に、典型的には位置する。多数の第1の付着部位は、典型的に及び好適には反復的な配置で、ウイルス様粒子の、好ましくはRNAバクテリオファージのVLPの、最も好ましくはRNAバクテリオファージQβのVLPの表面上、好ましくは外側表面上に存在する。好適な実施態様では、第1の付着部位は、少なくとも一つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも一つのペプチド結合を介して、VLPと会合する。更に好適な実施態様では、第1の付着部位はVLPに天然に存在する。あるいは、好適な実施態様では、第1の付着部位はVLPに人工的に付加される。好ましい実施態様において、第1の付着部位は、少なくとも一つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも一つのペプチド結合を介して、上記VLPと会合し、上記VLPは、RNAバクテリオファージの、好ましくはRNAバクテリオファージQβのVPLである。更に好ましい実施態様において、上記第1の付着部位は、リジン残基のアミノ基であり、上記リジン残基は、コートタンパク質の、好ましくはRNAバクテリオファージの、最も好ましくはRNAバクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。更に好ましい実施態様において、上記第1の付着部位は、RNAバクテリオファージのコートタンパク質のリジン残基のアミノ基であり、好ましく上記コートタンパク質は配列番号3のアミノ酸配列を含むか、又は好ましくはそれから成る。更に好ましい実施態様において、上記第1の付着部位はリジン残基であり、好ましくは上記リジン残基は、好ましくはRNAバクテリオファージのコートタンパク質の、最も好ましくはRNAバクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。更に好ましい実施態様において、上記第1の付着部位は、RNAバクテリオファージQβのコートタンパク質のリジン残基である。
第2の付着部位:ここで用いる「第2の付着部位」なる用語は、IL-1分子に天然に存在するか、又はIL-1分子に人工的に付加されたエレメントであり、そこへ第1の付着部位が結合されるものを指す。IL-1分子の第2の付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成ポリマー、二次的代謝産物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又は化学反応基、例えばアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジル基、ヒスチジル基、又はこれらの組合せであるのが好ましい。第2の付着部位である化学反応基の好適な実施態様は、スルフヒドリル基である。更に好ましい実施態様において、上記第2の付着部位は、スルフヒドリル基、好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基である。したがって、「少なくとも一つの第2の付着部位を有するIL-1分子」なる用語は、IL-1分子と少なくとも一つの第2の付着部位とを含むコンストラクトを指す。しかしながら、特にIL-1分子内に天然に存在しない第2の付着部位については、典型的かつ好ましくは、そのようなコンストラクトはさらに「リンカー」を含む。他の好適な実施態様では、第2の付着部位は、少なくとも一つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも一つのペプチド結合を介して、IL-1分子と会合される。更に実施態様では、第2の付着部位はIL-1分子に天然に存在する。さらに他の好適な実施態様では、第2の付着部位は、好ましくはリンカーを介して、IL-1分子に人工的に付加され、このリンカーはシステインを含むか、あるいはシステインからなるものである。非常に好ましくは、上記リンカーはペプチド結合によりIL-1分子に融合される。
コートタンパク質:「コートタンパク質」なる用語は、ウイルスカプシド又はVLPに含まれることができる、ウイルスタンパク質、好ましくはウイルス、好ましくはRNAファージの天然カプシドのサブユニットを指す。
コートタンパク質はカプシドタンパク質としても、知られている。
コートタンパク質はカプシドタンパク質としても、知られている。
結合(linked):ここで使用される「結合した」又は「結合」なる用語は、少なくとも一つの第1の付着部位と少なくとも一つの第2の付着部位とが一緒につながれる、全ての可能な方法、好ましくは化学的相互作用を意味する。化学的相互作用には共有結合性相互作用や非共有結合性相互作用が含まれる。非共有結合性相互作用の典型的な例は、イオン性相互作用、疎水性相互作用又は水素結合であるのに対して、共有結合性相互作用は、共有結合、例えばエステル、エーテル、リン酸エステル、アミド、ペプチド、炭素-リン結合、炭素-イオウ結合、例えばチオエーテル又はイミド結合ベースのものである。ある好適な実施態様では、第1の付着部位と第2の付着部位は、少なくとも一つの共有結合、好ましくは少なくとも一つの非ペプチド結合、よりさらに好ましくは、非ペプチド結合のみを介して結合される。しかしながら、ここで用いられる「結合」なる用語は、少なくとも一つの第1の付着部位と少なくとも一つの第2の付着部位との直接的結合を指すだけでなく、選択的に好ましくは、少なくとも一つの第1の付着部位と少なくとも一つの第2の付着部位との中間分子を介した間接的結合であって、典型的かつ好ましくは、少なくとも一つの、好ましくは一つのヘテロ二官能性架橋剤を介するものも指す。従って、好ましい実施態様において、上記少なくとも一つの第1の付着部位と上記少なくとも一つの第2の付着部位は少なくとも一つの、好ましくは正確に一つのヘテロ二官能性架橋剤を介して共有結合で結合され、好ましくは上記第1の付着部位はリジン残基のアミノ基であり、更に好ましくは上記第2の付着部位はシステイン残基のスルフヒドリル基である。他の好適な実施態様では、第1の付着部位及び第2の付着部位は、少なくとも一つの共有結合により、好ましくは少なくとも一つのペプチド結合により、さらにより好ましくはペプチド結合(一又は複数)のみにより結合する。非常に好適な実施態様では、第1の付着部位及び第2の付着部位は、ペプチド結合のみによって、好ましくは遺伝子融合によって、直接あるいは好ましくはペプチドリンカーによって結合する。更に好適な実施態様では、第2の付着部位は、ペプチド結合によってのみ、好ましくは遺伝的融合によって前記第1の付着部位のC末端に結合する。
リンカー:本明細書で使用する「リンカー」は、第2の付着部位とIL-1分子と会合するか、第2の付着部位を含むか、本質的にそれからなるか、又は第2の付着部位からなる。好ましくは、本明細書中で用いる「リンカー」は第2の付着部位を、典型的かつ好ましくは、しかし必然的ではないが、一つのアミノ酸残基として、好ましくはシステイン残基として含む。好ましい実施態様において、前記リンカーはアミノ酸リンカーである。非常に好ましい実施態様において、前記リンカーは正確に一つのシステイン残基からなる。更に好ましい実施態様において、前記リンカーは、正確に1つのシステイン残基からなり、前記第2の付着部位は正確に1つのシステイン残基のスルフヒドリル基である。さらに、本発明に有用なリンカーは、C1〜C6アルキル−、シクロアルキル、例えばシクロペンチル又はシクロヘキシル、シクロアルケニル、アリール又はヘテロアリール部分を含有する分子である。さらに、C1〜C6アルキル−、シクロアルキル(C5、C6)、アリール、又はヘテロアリール部分と追加のアミノ酸を含んでなるリンカーも本発明のためのリンカーとして使用可能であり、本発明の範囲内である。IL-1分子とリンカーの間の会合は、少なくとも1つの共有結合によるものであることが好ましく、少なくとも1つのペプチド結合によるものであることがより好ましい。遺伝子融合による結合において、リンカーは無くてもよいか、又は好ましくはアミノ酸リンカー、より好ましくはアミノ酸残基のみからなるアミノ酸リンカーである。遺伝子融合のために非常に好適なリンカーは、フレキシブルなアミノ酸リンカーである。遺伝子融合による結合において、好適なリンカーは、1〜20、より好ましくは2〜15、さらにより好ましくは2〜10、さらにより好ましくは2〜5、最も好ましくは3のアミノ酸からなる。遺伝子融合に非常に好適なリンカーはGSG(配列番号189)を含むか、好ましくはこれからなる。
アミノ酸リンカー:「アミノ酸リンカー」なる用語は、少なくとも一つのアミノ酸残基を含んで成るリンカーに関連する。一般には、「アミノ酸リンカー」なる用語は、アミノ酸残基から独占的になるリンカーを意味するものではない。しかしながら、好ましい実施態様で、前記アミノ酸リンカーは、アミノ酸残基だけから成る。リンカーのアミノ酸残基は、好ましくは天然に存在するアミノ酸又は当該分野で公知の非天然アミノ酸の、all-L又はall-D又はそれらの混合物、最も好ましくはall-Lを含む。本発明に記載のリンカーの更なる好ましい実施態様は、スルフヒドリル基またはシステイン残基を含む分子であり、上記の分子も本発明の範囲に含まれる。
規則正しい反復性抗原アレイ:本明細書で用いる「規則正しい反復性抗原アレイ」なる用語は、一般的に、それぞれウイルス様粒子との関係で、典型的に好ましくは非常に規則的で均一な抗原の空間配置によって特徴付けられた構造又は抗原の反復パターンを指す。本発明の一実施態様では、反復パターンは幾何学的パターンである。本発明の特定の実施態様では、RNAバクテリオファージのVLPにカップリングした抗原のように、好ましくは1から30ナノメーターの間隔、好ましくは2から15ナノメーターの間隔、より好ましくは2から10ナノメーターの間隔、さらにより好ましくは2から8ナノメーターの間隔、さらにより好ましくは1.6から7ナノメーターの間隔を有する、抗原の、厳密に反復的な準結晶構造の順序配列を持つ、適切に規則正しい反復性抗原アレイの典型的かつ好ましい例である。
IL-1分子:本明細書中で用いる「IL-1分子」又は単に「IL-1」なる用語は、配列番号36から配列番号116、配列番号130から配列番号140及び配列番号163から配列番号165からなる群から選択されるいずれか一の配列に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する任意のポリペプチドを指す。本明細書中で用いる「IL-1-分子」は好ましくは、配列番号36から配列番号116、配列番号130から配列番号140及び配列番号163から配列番号165からなる群から選択されるいずれか一の配列に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、あるいはこれからなる任意のIL-1タンパク質、IL-1断片、IL-1成熟断片、IL-1ペプチド又はIL-1変異タンパク質を指す。また典型的及び好ましくは、本明細書中で用いるIL-1分子なる用語は、任意の動物種のIL-1タンパク質のオルソログを指す。必須ではないが好ましくは、IL-1分子はIL-1レセプターに結合可能であり、さらに好ましくは生物学的な活性を含む。
IL-1α分子:本明細書中で用いる「IL-1α分子」又は単に「IL-1α」なる用語は、配列番号36から48、配列番号63、配列番号65、配列番号67から配列番号88及び配列番号163からなる群から選択されるいずれか一の配列に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、あるいはこれからなるIL-1αタンパク質、IL-1α断片、IL-1α成熟断片、IL-1αペプチド又はIL-1α変異タンパク質を指す。IL-1αの特に好適な実施態様は、ヒトIL-1α119−271(配列番号63)である。
IL-1β分子:本明細書中で用いる「IL-1β分子」又は単に「IL-1β」なる用語は、配列番号49から62、配列番号64、配列番号66、配列番号89から配列番号116、配列番号130から配列番号140、配列番号164及び配列番号165からなる群から選択されるいずれか一の配列に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、あるいはこれからなるIL-1βタンパク質、IL-1β断片、IL-1β成熟断片、IL-1βペプチド又はIL-1β変異タンパク質を指す。IL-1βの特に好適な実施態様は、ヒトIL-1β117−269(配列番号64)である。
IL-1タンパク質:本明細書中で用いる「IL-1タンパク質」なる用語は天然に存在するタンパク質を指し、天然に存在しないタンパク質は配列番号36から配列番号62のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有すか、又は該天然に生じるタンパク質がIL-1レセプターを結合することができ、好ましくは生物学的な活性を含むものである。本明細書中で用いる「IL-1タンパク質」なる用語は天然に存在するタンパク質を指し、該天然に存在するタンパク質は配列番号36から配列番号62のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ該天然に存在するタンパク質がIL-1レセプターを結合することができ、好ましくは生物学的な活性を含むものである。典型的及び好ましくは、本明細書中で用いる「IL-1タンパク質」なる用語は少なくとも1の天然に存在するタンパク質を指し、該タンパク質はIL-1レセプターを結合することができ、生物学的な活性を含むものであり、さらに該タンパク質は配列番号36から配列番号62のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、あるいはこれからなる。したがって、「IL-1αタンパク質」は、配列番号36から配列番号48のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、あるいはこれからなるIL-1タンパク質を指し、一方、「IL-1βタンパク質」は、配列番号49から配列番号62のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%及び最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、あるいはこれからなるIL-1タンパク質を指す。
IL-1断片:本明細書中で用いる「IL-1断片」なる用語は、IL-1タンパク質の連続的な範囲を含むポリペプチドを指し、該ポリペプチドは少なくとも50、好ましくは少なくとも100、最も好ましくは少なくとも150のアミノ酸の長さである。典型的及び好ましくは、前記IL-1断片は、多くても300、より好ましくは多くても250、最も好ましくは多くても200のアミノ酸の長さである。典型的及び好ましくは、IL-1断片は、IL-1レセプターを結合することが可能で、さらに好ましくは生物学的な活性を含む。したがって、「IL-1α断片」及び「IL-1β断片」なる用語は、定義のIL-1断片を指し、該IL-1タンパク質はそれぞれIL-1αタンパク質又はIL-1βタンパク質である。
IL-1成熟断片:本明細書中で用いる「IL-1成熟断片」なる用語はIL-1断片を指し、該IL-1断片はIL-1タンパク質の天然に生じる成熟生成物である。したがって、本明細書中で用いる「IL-1α成熟断片」及び「IL-1β成熟断片」なる用語は定義されるIL-1成熟断片を指し、該IL-1タンパク質はそれぞれIL-1αタンパク質又はIL-1βタンパク質である。IL-1α成熟断片の好適な実施態様は、配列番号63、配列番号65及び配列番号163である。IL-1β成熟断片の好適な実施態様は、配列番号64、配列番号66、配列番号130、配列番号164及び配列番号165である。
好適なIL-1α成熟断片は、(a) ヒトIL-1α119−271(配列番号63);(b) マウスIL-1α117−270(配列番号65);(c) マウスIL−1α117-270s(配列番号163);及び、(e) 配列番号63、配列番号65及び配列番号163のいずれか一に、少なくとも80%、又は好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は最も好ましくは少なくとも99%の同一性があるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、好ましくはこれからなる。
好適なIL-1β成熟断片は、(a) ヒトIL-1β117−269(配列番号64);(b) ヒトIL-1β116−269(配列番号165);(c) マウスIL-1β119−269(配列番号66);(d) マウスIL-1β119−269s(配列番号164);及び、(e) 配列番号64、配列番号66、配列番号164及び配列番号165のいずれか一つに対し、少なくとも80%、又は好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は最も好ましくは少なくとも99%の同一性があるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、好ましくはこれからなる。
IL-1ペプチド:本明細書中で用いる「IL-1ペプチド」なる用語は、天然に生じるタンパク質の連続的な範囲を含むポリペプチドを指し、該タンパク質はIL-1レセプターを結合することができ、好ましくは生物学的な活性を含み、該ポリペプチドは4〜49、好ましくは6〜35、最も好ましくは10〜25のアミノ酸の長さである。IL-1ペプチドはIL-1レセプターを結合するかもしれないが典型的にはすることができず、典型的には生物学的な活性を持たない。したがって、本明細書中で用いる「IL-1αペプチド」及び「IL-1βペプチド」なる用語は、定義されるIL-1ペプチドを指し、該天然に存在するタンパク質はそれぞれIL-1αタンパク質又はIL-1βタンパク質である。好適なIL-1ペプチドは、配列番号82から配列番号116である。
IL-1変異タンパク質:本明細書中で用いる「IL-1変異タンパク質」なる用語は、IL-1分子、好ましくはIL-1α又はIL-1βタンパク質、IL-1α又はIL-1β断片、IL-1α又はIL-1β成熟断片、又はIL-1α又はIL-1βペプチド由来の任意のポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなり、好ましくは該ポリペプチドは由来するIL-1分子と比較して、生物学的な活性が低減している。したがって、IL-1α変異タンパク質及びIL-1β変異タンパク質は定義されるIL-1変異タンパク質であり、該ポリペプチドはそれぞれIL-1α分子又はIL-1β分子由来のものである。
非常に好適なIL-1β変異タンパク質は、IL−1β成熟断片に、好ましくはIL-1β117-269(配列番号64)に由来する。非常に好適なIL-1α変異タンパク質は、IL−1α成熟断片に、好ましくはIL-1α119-271(配列番号63)に由来する。
非常に好適なIL-1β変異タンパク質は、IL−1β成熟断片に、好ましくはIL-1β117-269(配列番号64)に由来する。非常に好適なIL-1α変異タンパク質は、IL−1α成熟断片に、好ましくはIL-1α119-271(配列番号63)に由来する。
好適なIL-1変異タンパク質では、前記生物学的活性は、それが由来するIL-1分子の生物学的な活性の80%未満、より好ましくは60%未満、さらにより好ましくは40%未満、さらにより好ましくは20%未満であり、更に好ましくは前記生物学的活性は、ヒトPBMCにおいてIL−6を誘導するための前記IL−1変異タンパク質の能力によって決定され、最も好ましくは前記生物学的活性は実施例8Bに記載の通り本質的に測定される。
好適なIL-1β変異タンパク質では、前記生物学的活性は、それが由来するIL-1β分子の生物学的な活性の80%未満、より好ましくは60%未満、さらにより好ましくは40%未満、さらにより好ましくは20%未満であり、好ましくは前記IL-1β分子はIL-1β成熟断片、好ましくはヒトIL-1β117-269(配列番号64)であり、更に好ましくは前記生物学的活性は、ヒトPBMCにおいてIL−6を誘導するための前記IL−1変異タンパク質の能力によって決定され、最も好ましくは前記生物学的活性は実施例8Bに記載の通り本質的に測定される。
好適なIL-1α変異タンパク質では、前記生物学的活性は、それが由来するIL-1β分子の生物学的な活性の80%未満、より好ましくは60%未満、さらにより好ましくは40%未満、さらにより好ましくは20%未満であり、好ましくは前記IL-1α分子はIL-1α成熟断片、好ましくはヒトIL-1α119-271(配列番号63)であり、更に好ましくは前記生物学的活性は、ヒトPBMCにおいてIL−6を誘導するための前記IL−1変異タンパク質の能力によって決定され、最も好ましくは前記生物学的活性は実施例11に記載の通り本質的に測定される。
更に好適なIL-1変異タンパク質はIL-1成熟断片に由来し、前記IL-1変異タンパク質の生物学的活性は、前記IL-1変異タンパク質が由来するIL-1成熟断片の生物学的な活性の80%未満、より好ましくは60%未満、さらにより好ましくは40%未満、さらにより好ましくは20%未満である。非常に好ましいIL-1変異タンパク質は、生物学的活性を示さす、好ましくは前記生物学的活性は実施例8B又は11に記載のとおり本質的に測定される。
好ましくは、しかし必然的にでなく、IL-1変異タンパク質は特異的にIL-1受容体を結合することができる。
唯一の抗原として好適なIL-1変異タンパク質を含む組成物は、前記IL-1変異タンパク質が由来するIL-1分子に特異的に結合することができる抗体の力価を誘導し、前記力価は、唯一の抗原としてIL-1変異タンパク質が由来するIL-1分子を含む組成物により得られた力価の、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、またより好ましくは60%、またより好ましくは80%及び最も好ましくは少なくとも100%であり、好ましくは前記力価は実施例9Dに記載のとおり本質的に測定される。
動物に導入された場合、唯一の抗原として好適なIL-1β変異タンパク質を含む組成物は、前記IL-1β変異タンパク質が由来するIL-1β分子に特異的に結合することができる抗体の力価を誘導し、好ましくは前記IL-1β分子は、IL-1β成熟断片であり、最も好ましくはヒトIL-1β117-269(配列番号64)であり、前記力価は、唯一の抗原としてIL-1β変異タンパク質が由来するIL-1β分子を含む組成物により得られた力価の、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、またより好ましくは60%、またより好ましくは80%及び最も好ましくは少なくとも100%であり、唯一の抗原としてIL-1β成熟断片であり、最も好ましくはヒトIL-1β117-269(配列番号64)であり、好ましくは前記力価は実施例9Dに記載のとおり本質的に測定される。
動物に導入された場合、唯一の抗原として好適なIL-1α変異タンパク質を含む組成物は、前記IL-1α変異タンパク質が由来するIL-1α分子に特異的に結合することができる抗体の力価を誘導し、好ましくは前記IL-1α分子は、IL-1α成熟断片であり、最も好ましくはヒトIL-1α119-271(配列番号63)であり、前記力価は、唯一の抗原としてIL-1α変異タンパク質が由来するIL-1α分子を含む組成物により得られた力価の、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、またより好ましくは60%、またより好ましくは80%及び最も好ましくは少なくとも100%であり、唯一の抗原としてIL-1α成熟断片であり、最も好ましくはヒトIL-1α119-271(配列番号63)であり、好ましくは前記力価は実施例9Dに記載のとおり本質的に測定される。
非常に好適なIL-1変異タンパク質は、それが由来するIL-1分子の生物学的活性の80%未満、より好ましくは60%未満、更により好ましくは40%未満、更により好ましくは20%未満である生物学的活性を有するIL-1変異タンパク質であり、更に好ましくは、前記生物学的活性はヒトPBMCにおいてIL−6を誘導するための前記IL−1変異タンパク質の能力によって決定され、最も好ましくは前記生物学的活性は実施例8Bに記載の通り本質的に測定され、加えて前記非常に好適なIL-1変異タンパク質を含む組成物は前記非常に好適なIL-1変異タンパク質が由来したIL-1分子に特異的に結合することができる抗体の力価を誘導し、前記力価は、唯一の抗原として前記非常に好適なIL-1変異タンパク質が由来するIL-分子を含む組成物により得られた力価の、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、またより好ましくは60%、またより好ましくは80%及び最も好ましくは少なくとも100%であり、好ましくは前記力価は実施例9Dに記載のとおり本質的に測定される。
(i) IL-1タンパク質、好ましくは配列番号36から配列番号62;又は、(ii) より好ましくはIL-1成熟断片、好ましくは配列番号63から配列番号66、配列番号130、及び配列番号163から配列番号165のいずれかに由来するIL-1変異タンパク質が非常に好ましい。
本明細書中で有用なIL-1変異タンパク質は、Kamogashira等 (1988) J. Biochem. 104:837-840;Gehrke等 (1990) The Journal of Biological Chemistry 265(11): 5922-5925;Conca等 (1991) The Journal of Biological Chemistry 266(25): 16265-16268;Ju等 (1991) PNAS 88:2658-2662;Auron等 (1992) Biochemistry 31:6632-6638;Guinet等 (1993) Eur. J. Biochem 211:583-590;Camacho (1993) Biochemistry 32:8749-8757;Baumann (1993) Journal of Recepror Research 13(1-4): 245-262;Simon (1993) The Journal of Biological Chemistry 268(13): 9771-9779;及び、Simoncsits (1994) Cytokine 6(2): 206-214に記載されており、これらの開示内容は出典明記によって本明細書中に援用される。
好適なIL-1変異タンパク質は、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)がIL-1タンパク質、IL-1断片、IL-1成熟断片又はIL-1ペプチドのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数) は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。好適な実施態様では、前記アミノ酸残基は1つの連続的な範囲にあるものである。さらに好適なIL-1変異タンパク質は、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)がIL-1タンパク質、IL-1断片、又はIL-1成熟断片、好ましくはIL-1成熟断片のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数) は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。
さらに好適なIL-1変異タンパク質は、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)が配列番号36から配列番号48及び配列番号49から配列番号62のいずれか一のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、より好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数)は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。さらに好適なIL-1変異タンパク質は、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数) が、(i) 配列番号63、配列番号65及び配列番号163のいずれか一、最も好ましくは配列番号63;又は(ii) 配列番号64、配列番号66、配列番号130、配列番号164、及び配列番号165からなる群から選択されるいずれか一つ、最も好ましくは配列番号64からなる群から選択されるアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、より好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数)は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。
さらに好適なIL-1変異タンパク質はIL-1α変異タンパク質であり、該IL-1α変異タンパク質は、1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)が配列番号36から配列番号48のいずれか一のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、より好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数)は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。さらに好適なIL-1α変異タンパク質は、1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)が、(i) 配列番号63、配列番号65及び配列番号163のいずれか一、最も好ましくは配列番号63からなる群から選択されるアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数)は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。
非常に好適なIL-1α変異タンパク質は、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)が、配列番号63のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数)は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。更により好適なIL-1α変異タンパク質は、ポリペプチドであって、前記ポリペプチドのアミノ酸配列が配列番号210から配列番号218から成る群から選択されるポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなる。
さらに好適なIL-1変異タンパク質はIL-1β変異タンパク質であり、該IL-1β変異タンパク質は、1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)が配列番号49から配列番号62のいずれか一のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、より好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数)は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。さらに好適なIL-1β変異タンパク質は、1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)が、配列番号64、配列番号66、配列番号130、配列番号164及び配列番号165からなる群から選択されるアミノ酸配列、最も好ましくは配列番号64のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数)は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。非常に好適なIL-1β変異タンパク質は、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、及び最も好ましくはちょうど1つのアミノ酸残基(一又は複数)が、配列番号64のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなり、このとき好ましくは該アミノ酸残基(一又は複数)は、(i) 該ポリペプチドから欠失している、(ii) 該ポリペプチドに挿入されている、(iii) 他のアミノ酸残基と置き換わっている、又は(iv) (i)から(iii)のいずれかの組み合わせである。さらにより好適なIL-1β変異タンパク質は、配列番号131から配列番号140及び配列番号205から配列番号209からなる群のいずれか一から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなる。
「由来した」:本発明の文章において、別のアミノ酸配列に「由来した」アミノ酸配列なる表現は、(i)アミノ酸置換、(ii)欠失、(iii)挿入及び(iv)(i)から(iii)の任意の組合せからなる群から選択される突然変異、好ましくは(i)アミノ酸置換と(ii)欠失とから選択される突然変異を除いて、前記アミノ酸配列がそれが由来したアミノ酸配列と本質的に同一であることを意味しする。特に、野生型のアミノ酸配列に由来する突然変異アミノ酸配列は、好ましくは、前記アミノ酸配列と1から10、好ましくは1から6、より好ましくは1から5、更に好ましくは1から4、より更に好ましくは1から3、より更に好ましくは1から2、最も好ましくは正確に1アミノ酸残基が異なり、好ましくは、前記アミノ酸残基は、(i)別のアミノ酸による置換、(ii)野生型アミノ酸の欠失、(iii)前記野生型配列への挿入及び(iv)(i)から(iii)の任意の組合せであり、最も好ましくは(i)別のアミノ酸による置換、又は(ii)野生型アミノ酸の欠失である。1より多いアミノ酸残基の欠失は、好ましくは前記野生型アミノ酸配列のアミノ酸残基の連続的な範囲の欠失として生じる。野生型アミノ酸配列に由来する突然変異アミノ酸配列は、前記野生型アミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。
同様に、「IL-1分子に由来する変異タンパク質」なる表現は、前記変異タンパク質が、(i)アミノ酸置換、(ii)欠失、(iii)挿入及び(iv)(i)から(iii)の任意の組合せからなる群から選択される突然変異、好ましくは(i)アミノ酸置換と(ii)欠失とから選択される突然変異を除いて、それが由来したIL-1分子のアミノ酸配列に実質的に同一であることを意味する。特に、IL-1分子に由来するIL-1変異タンパク質は、好ましくは、前記アミノ酸配列と1から10、好ましくは1から6、より好ましくは1から5、更に好ましくは1から4、より更に好ましくは1から3、より更に好ましくは1から2、最も好ましくは正確に1アミノ酸残基が異なり、好ましくは、前記アミノ酸残基は、(i)別のアミノ酸による置換、(ii)野生型アミノ酸の欠失、(iii)前記野生型配列への挿入及び(iv)(i)から(iii)の任意の組合せであり、最も好ましくは(i)別のアミノ酸による置換、又は(ii)野生型アミノ酸の欠失である。1より多いアミノ酸残基の欠失は、好ましくは前記IL-1変異タンパク質が由来したIL-1分子のアミノ酸残基の連続的な範囲の欠失として生じる。野生型アミノ酸配列に由来する変異タンパク質は、前記IL-1変異タンパク質が由来したIL-1分子に対して、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。
アミノ酸置換:アミノ酸置換なる表現は、他の任意のアミノ酸残基による、アミノ酸配列の特定の位置のアミノ酸残基の交換を指す。
IL-1のアゴニスト効果/生物学的な活性:IL-1に関して本明細書中で用いる「生物学的な活性」又は「生物学的に活性な」なる用語は、好ましくは実施例2E及び実施例3Eに概説するように、動物に全身投与された後にIL-6の産生を誘導するIL-1分子の能力を指す。また、IL-1分子の生物学的な活性は、胸腺細胞の増殖誘導能(Epps等, Cytokine 9(3): 149-156 (1997)、D10.G4.1 Tヘルパー細胞の増殖誘導能(Orencole and Dinarello, Cytokine 1(1): 14-22 (1989)、又はMG64細胞又はHaCaT細胞(Boraschi等, J. Immunol. 155:4719-4725 (1995)又は線維芽細胞(Dinarello等, Current Protocols in Immunology 6.2.1-6-2-7 (2000))からのIL-6産生誘導能、EL-4胸腺腫細胞からのIL-2産生誘導能(Simon等, J. Immunol. Methods 84(1-2): 85-94 (1985))、又はヒトのメラノーマ細胞株A375の増殖抑制能(Nakai等, Biochem. Biophys. Res. Commun. 154:1189-1196 (1988))を指す。非常に好ましくは、IL-1分子の生物学的活性又はIL-1変異タンパク質なる用語は、ヒトPBMCにおいてIL−6を誘導するための前記IL−1分子又は前記IL−1変異タンパク質であり、好ましくは前記IL−1分子又は前記IL−1変異タンパク質は前記IL-1組成物中でただ一つの抗原であり、最も好ましくは前記生物学的活性は本質的に実施例8Bに記載のとおり測定される。
パッケージ化:本明細書で使用するように、「パッケージ化」という用語は、VLPとの関係でのポリアニオン性巨大分子又は免疫賦活性物質の状態を指す。本明細書中で用いる「パッケージ化」という用語は、共有、たとえば化学的カップリング、又は非共有、たとえばイオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合などでありうる結合を含む。好ましい実施態様において、「パッケージ化」なる用語は、VLPによる、ポリアニオン性巨大分子の封入ないしは部分的な封入をさす。したがって、ポリアニオン性巨大分子又は免疫賦活性物質を、実際に結合、特に共有結合しなくても、VLPによって封入することができる。好適な実施態様では、少なくとも一つのポリアニオン性巨大分子又は免疫賦活性物質はVLP内に、最も好ましくは非共有的様式にてパッケージ化される。ポリグルタミン酸のようなポリアニオン性巨大分子のVLPへの、特にRNAバクテリオファージのVLPへのパッケージ化の方法は、WO2006/037787に開示されている。特にWO2006/037787の実施例4を引用する。免疫賦活性物質、好ましくは免疫賦活性核酸、最も好ましくは非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドの、VLPへのパッケージ化の方法は、WO2003/024481A2に記載されている。前記免疫賦活性物質が核酸、好ましくはDNA、最も好ましくは非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドである場合、パッケージ化なる用語は、前記核酸がヌクレアーゼ加水分解に影響されない、好ましくはDNアーゼ加水分解(例えばDNアーゼI又はベンゾナーゼ(Benzonase))に影響されないことを意味し、好ましくはこの影響されやすさはWO2003/024481A2の実施例11〜17に記載のとおりにアッセイされる。
ポリアニオン性巨大分子:本願明細書において使われる「ポリアニオン性巨大分子」なる用語は、負の電荷の反復性の基を含む高い相対分子質量の分子であって、その構造は基本的に、実際にまたは概念的に低い相対分子質量の分子に由来する単位の多重反復を含む分子を指す。本願明細書において使用する「ポリアニオン性巨大分子」なる用語は、toll様受容体を活性化することができない分子を指す。したがって、「ポリアニオン性巨大分子」なる用語は、Toll様受容体リガンドを除外するものであり、Toll様受容体リガンドのような免疫応答を誘発および/または改良することができる物質、免疫応答を誘導および/または改良することができる核酸及びリポ多糖体(LPS)を除外する。より好ましくは、本願明細書において使われる「ポリアニオン性巨大分子」なる用語は、サイトカイン産生を誘導することができない分子を指す。好ましくは、ポリアニオン性巨大分子は、ポリアニオン性ポリペプチドまたはアニオン性デキストランである。好ましい実施態様において、前記ポリアニオン性巨大分子は、ポリアニオン性ポリペプチドであって、好ましくは前記ポリアニオン性ポリペプチドは、以下からなるグループから選択される:(a)ポリグルタミン酸;(b)ポリアスパラギン酸;(c)ポリ(GluAsp)及び(d)(a)から(c)の任意の化学修飾。化学修飾の例は、グリコシル化、アセチル化及びリン酸化を含むが、これに限定されるものではない。更なる好ましい実施態様において、前記ポリアニオン性巨大分子は、以下からなるグループから選択されるアニオン性デキストランである:(a)デキストラン硫酸;(b)カルボキシルメチルデキストラン;(c)スルホプロピルデキストラン;(d)メチルスルホナートデキストラン;及び(e)デキストランホスフェート。
ポリアスパラギン酸:本願明細書において使われる「ポリアスパラギン酸」なる用語は、前記ポリペプチドによって含まれるアミノ酸残基の総数から少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは100%のアスパラギン酸残基を含むポリペプチドを指す。前記ポリペプチドのアスパラギン酸残基は、all−L、all−Dのどちらか又はL−とD−アスパラギン酸の混合物である。最も好ましくは前記ポリペプチドは、L−アスパラギン酸残基のみを含む。
ポリグルタミン酸:本願明細書において使われる「ポリグルタミン酸」なる用語は、前記ポリペプチドによって含まれるアミノ酸残基の総数から少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは100%のグルタミン酸残基を含むポリペプチドを指す。前記ポリペプチドのグルタミン酸残基は、all−L、all−Dのどちらか又はL−とD−グルタミン酸の混合物である。最も好ましくは、前記ポリペプチドは、L−グルタミン酸残基のみを含む。
ポリ(GluAsp):本願明細書において使われる「ポリ(GluAsp)」なる用語は、前記ポリペプチドによって含まれるアミノ酸残基の総数から少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは100%のグルタミン酸残基及びアスパラギン酸残基を含むポリペプチドを指す。グルタミン酸分子とアスパラギン酸分子は、all−L又はall−Dのどちらか、又はそれらの混合物である。最も好ましくは、前記ポリペプチドは、L−グルタミン酸残基及びL−アスパラギン酸残基を含む。
ポリペプチド:本願明細書中で用いられる「ポリペプチド」なる用語は、アミド結合(ペプチド結合ともいう)によって、直線的に連結されるモノマー(アミノ酸)から成る分子を指す。これはアミノ酸の分子鎖を示し、産生物の特定の長さを指すわけではない。ゆえに、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質は、ポリペプチドの定義の中に含まれる。たとえば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ポリペプチドの翻訳後修飾も包含する。ポリペプチドのアミノ酸配列同一性は、公知のコンピュータプログラム(例えばBestfitプログラム)を使用して、従来通り決定されうる。対照標準アミノ酸配列に対して、例えば95%同一性を有するかを決定するために、他の任意の配列配列プログラムも使用する場合、好ましくはBestfitを使用する場合、同一性のパーセンテージは対照標準アミノ酸配列の完全長に対して算出され、対照標準配列におけるアミノ酸残基の総数の多くとも5%の相同性におけるギャップが許可されるように、パラメータは設定される。ポリペプチド間の同一性のパーセンテージを決定における上述の方法は、本発明において開示される全てのタンパク質、ポリペプチドまたはそれらの断片に適用できる。
組換えVLP:本願明細書において使われる「組換えVLP」なる用語は、組換えDNA技術の少なくとも一つの工程を含む方法によって得られるVLPを指す。
ウイルス粒子:本明細書中で用いられる「ウイルス粒子」なる用語は、ウイルスの形態学的形状を指す。いくつかのウイルス型では、タンパク質カプシドに囲まれるゲノムを含まれ、他のものは付加的な構造(例えばエンベロープ、テイルなど)を有する。
ウイルス様粒子(VLP):本明細書で用いられる「ウイルス様粒子」なる用語は、非複製性又は非感染性、好ましくは非複製性又は非感染性のウイルス粒子、又は非複製性又は非感染性、好ましくは非複製性又は非感染性のウイルス粒子に類似した構造、好ましくはウイルスのカプシドを指す。本願明細書において使われる「非複製性」なる用語は、VLPによって含まれるゲノムを繰り返すことができないことを指す。本願明細書において使われる「非感染性」なる用語は、宿主細胞に入ることができないことを指す。好ましくは、本発明に係るウイルス様粒子は、ウイルスゲノムまたはゲノム機能の全部または一部を欠いているので、非複製性でおよび/または非感染性である。ある実施態様では、ウイルス様粒子は、ウイルスゲノムが物理的に及び化学的に不活性化されているウイルス粒子である。典型的には及び好ましくは、ウイルス様粒子は、ウイルスゲノムの反復可能性及び感染性構成部分の全部または一部を欠いている。本発明に係るウイルス様粒子は、それらのゲノムとは別の核酸を含むことができる。本発明のウイルス様粒子の典型的及び好適な実施態様は、対応するウイルス、バクテリオファージ、好ましくはRNA−バクテリオファージのウイルスカプシドのようなウイルスカプシドである。「ウイルスカプシド」または「カプシド」なる用語は、ウイルスタンパク質サブユニットから成る巨大分子アセンブリをさす。通常は、60、120、180、240、300、360及び360以上のウィルスタンパク質サブユニットがある。典型的には及び好ましくは、これらのサブユニットの相互作用は、本来の反復性の構成を有するウイルスカプシド又はウイルスカプシド様の構造の形成につながり、前記構造は、典型的には球状又は管状である。例えば、RNAバクテリオファージ又はHBcAgのカプシドは、正二十面体対称の球面形態を有する。本願明細書において使われる「カプシド様構造」なる用語は、上に定義のカプシド形態学に似ているウイルスタンパク質サブユニットから成る巨大分子アセンブリを指すが、典型的対称形アセンブリから逸脱して、規則性と反復性の十分な程度を維持する。ウイルス粒子及びウイルス様粒子の共通の特徴は、そのサブユニットの高度に規則正しい反復性の配列である。
RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子:本願明細書において使われる「RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子」なる用語は、RNA−バクテリオファージのコートタンパク質、突然変異体又はその断片を含むか、又は好ましくはそれから本質的になるか、又はそれから成る。加えて、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージの構造に似ている。さらにまた、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子は、非複製性で非感染性である。典型的に及び好ましくは、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージ複製装置をコードする遺伝子の少なくとも1つ、好ましくは全てを欠如している。更に好ましくは、宿主へのウイルス付着又は侵入の役割を果たしているタンパク質をコードする遺伝子の少なくとも1つ、好ましくは全てを欠如するRNA−バクテリオファージのウイルス様粒子を指す。しかしながら、この定義は、RNA−バクテリオファージのウイルス様粒子を含み、上述の遺伝子は、依然として存在するが不活性であり、従って、RNA−バクテリオファージの非複製性で非感染性のウイルス様粒子を導く。RNAバクテリオファージに由来する好適なVLPは、正二十面体対称を呈する180のサブユニットから成る。従って、最も広い定義では、非複製性で非感染性のRNA−バクテリオファージのウイルス様粒子を生成する好適な方法は、物理的不活性化、UV照射のような化学的不活性か、アルムアルデヒド処理、典型的及び好適には遺伝子操作による。
One、a、又はan:用語「one」、「a」、又は「an」を本開示中で使用するとき、それらは、特に示さない限りは、「少なくとも一つ」、又は「一又は複数」を意味する。
糖尿病:糖尿病なる用語は、任意の種類の真正糖尿病に関連する。好ましくは、糖尿病は、1型糖尿病および/または2型糖尿病を指す。最も好ましくは、糖尿病は、2型糖尿病を指す。
本願明細書に記載の組成物は、動物のまたはヒトのIL-1に対して免疫応答を誘導するかまたは増強することができる。驚くべきことに、IL-1分子による、すなわちIL-1α分子による、又はIL-1β分子による、又は両方の組合せによる免疫化は、雄C57BL/6マウスの食餌性糖尿病性表現型のはっきりした改善に結果としてなったことが、発見された。
従って、本発明は、糖尿病の、好ましくは2型糖尿病の治療、改善または予防のための組成物であって、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するコア粒子であって、ウイルス様粒子(VLP)又はウイルス粒子、好ましくはウイルス様粒子であるコア粒子;及び(b)少なくとも第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原であって、少なくとも一つの抗原が好ましくはIL-1タンパク質、IL-1成熟断片、IL-1ペプチド及びIL-1変異タンパク質から成る群から選択され、(a)と(b)は少なくと一つの第1の付着部位と少なくとも一つの第2の付着部位を介して共有結合により結合される、組成物を提供する。
好ましい実施態様において、前記組成物は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP);及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原を含み、前記少なくとも一つの抗原はIL-1分子を含み、前記少なくとも一つの第1の付着部位と前記少なくとも一つの第2の付着部位を通して(a)と(b)は結合される組成物である。更に好ましい実施態様において、前記少なくとも第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)IL-1分子及び(ii)リンカーを含み、好ましくは前記リンカーは好ましくは前記第2の付着部位を含むか、好ましくはそれから成る。
好ましくは、前記IL-1はコア粒子に結合され、それにより規則正しい反復性抗原-VLPアレイを形成する。本発明の好ましい実施態様では、少なくとも20、好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも60、またより好ましくは少なくとも120及び更により好ましくは少なくとも180のIL-1分子は、コア粒子に結合される。
規則正しい反復性の構造を有する当分野で公知の任意のウイルスは、本発明のVLP又はウイルス粒子として選択してもよい。VLPの調整のために使用されうる具体的なDNAないしRNAウイルスのコート又はカプシドタンパク質は、国際公開第2004/009124号の25頁の10−21行目、26頁の11−28行目及び28頁の4行目から31頁の4行目に開示されている。これらの開示内容は出典明記により本明細書中に援用される。
ウイルス又はウイルス様粒子は、ウイルス感染した細胞培養物から産生されて精製されうる。ワクチンの目的のために結果として生じたウイルス又はウイルス様粒子は、好ましくは非複製性又は非感染性、より好ましくは非複製性かつ非感染性であるべきである。UV照射、ホルムアルデヒドやクロロホルムなどによる化学的処理は、当業者に公知の、ウイルスを不活性化させるための一般的な方法である。
好適な実施態様では、コア粒子はウイルス粒子であり、好ましくは該ウイルス粒子はバクテリオファージであり、さらに好ましくは該バクテリオファージはRNAバクテリオファージであり、よりさらに好ましくは該RNAバクテリオファージは、Qβ、fr、GA又はAP205から選択されるRNAバクテリオファージである。
好ましい一実施態様において、コア粒子はVLPである。別の好ましい実施態様では、VLPは組換VLPである。ほとんど全ての一般に知られているウイルスは、配列決定されており、一般に公開されている。コートタンパク質をコードする遺伝子は、当業者によって容易に同定されうる。宿主でコートタンパク質を発現するVLPの組換えによる調製は、当業者の知識の範囲にある。
好適な一実施態様では、ウイルス様粒子は、(a) RNAバクテリオファージ;(b) バクテリオファージ;(c) B型肝炎ウイルス、好ましくはそのカプシドタンパク質(Ulrich, et al., Virus Res. 50: 141-182 (1998)) 又はその表面タンパク質(WO 92/11291);(d) 麻疹ウイルス(Warnes, et al., Gene 160: 173-178 (1995));(e)シンドビスウイルス;(f) ロタウイルス (US 5,071,651及びUS 5,374,426);(g) 足口病ウイルス(Twomey, et al., Vaccine 13:1603 1610, (1995));(h) ノーウォークウイルス (Jiang, X., et al., Science 250:1580 1583 (1990); Matsui, S.M., et al., J. Clin. Invest. 87:1456 1461 (1991));(i) アルファウイルス;(j) レトロウイルス、好ましくはそのGAGタンパク質(国際公開公報96/30523);(k) レトロトランスポゾンTy、好ましくはタンパク質p1;(l) ヒトパピローマウイルス(国際公開公報98/15631);(m) ポリオーマウイルス;(n) タバコモザイク病ウイルス;及び(o) Flockハウスウイルスからなる群から選択されるウイルスの組換えタンパク質、その変異体又はその断片を含むか、あるいはこれからなる。
1種より多くの組換えタンパク質を含むVLPを本出願では概してモザイクVLPとする。一実施態様では、VLPはモザイクVLPであり、該モザイクVLPは、1より多くの組換えタンパク質、好ましくは2の組換えタンパク質、最も好ましくは2の組換えカプシドタンパク質、その変異体ないしはその断片を含むか、又はこれからなる。
ここで使用される「組換えタンパク質の断片」なる用語又は「コートタンパク質の断片」なる用語は、野生型組換えタンパク質又はコートタンパク質それぞれの長さの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%であり、好ましくはVLPを形成する能力を保持するポリペプチドとして定義される。好ましくは、該断片は、少なくとも一つの内部欠失、少なくとも一つの切断、又はそれらの少なくとも一つの組合せから得られる。さらに好ましくは、最大5、4、3又は2の内部欠失、最大2の切断又はそれらのただ1つの組合せにより得られる。
さらに、「組換えタンパク質の断片」又は「コートタンパク質の断片」なる用語は、上で定義した「組換えタンパク質の断片」又は「コートタンパク質の断片」のそれぞれと、少なくとも80%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%のアミノ酸配列同一性を有し、好ましくはウイルス様粒子に組み立てられることができるポリペプチドを指す。
「変異体コートタンパク質」なる用語は、野生型組換えタンパク質又はコートタンパク質それぞれに由来するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指し、該アミノ酸配列は野生型配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、90%、95%、97%又は99%の同一性であり、好ましくはVLPに組み立てられる能力を保持している。
好適な一実施態様では、本発明のウイルス様粒子はB型肝炎ウイルスである。B型肝炎ウイルス様粒子の調整は、特に国際公開第00/32227号、同第01/85208号及び同第01/056905号に開示されている。これら3つすべての文書は出典明記によって本明細書中に特別に組み込まれる。本発明の実施における使用に好適なHBcAgの他の変異体は国際公開公報01/056905の34−39頁に開示されている。
本発明の更なる好適な一実施態様では、リジン残基はHBcAgポリペプチドに導入され、IL-1分子のHBcAgのVLPへの結合を媒介する。好適な実施態様では、本発明の組成物及びVLPは、配列番号1のアミノ酸1−144又は1−149、1−185を含むか、あるいはこれからなるHBcAgを用いて調整される。このアミノ酸は修飾されており、79番目と80番目のアミノ酸がGly-Gly-Lys-Gly-Gly(配列番号170)のアミノ酸配列を有するペプチドに置き換わっている。この修飾により配列番号1から配列番号2に変化する。更なる好適な実施態様では、配列番号2の48番目と110番目のシステイン残基、又はその対応する断片、好ましくは1−144又は1−149がセリンに変異される。さらに、本発明は、上記の対応するアミノ酸変異を有するB型肝炎コアタンパク質変異を含有する組成物を包含する。さらに、本発明は、配列番号2に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%又は99%の同一性であるアミノ酸配列を含むか、あるいはこれからなるHBcAgポリペプチドを含有する組成物及びワクチンのそれぞれを包含する。
本発明のある実施態様では、本発明のウイルス様粒子は、RNAバクテリオファージの組み換えコートタンパク質、その変異体ないしはその断片を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。好ましくは、RNAバクテリオファージは、(a)バクテリオファージQβ;(b)バクテリオファージR17;(c)バクテリオファージfr;(d)バクテリオファージGA;(e)バクテリオファージSP;(f)バクテリオファージMS2;(g)バクテリオファージM11;(h)バクテリオファージMX1;(i)バクテリオファージNL95;(k)バクテリオファージf2;(l)バクテリオファージPP7、(m)バクテリオファージPRR1及び(n)バクテリオファージAP205からなる群から選択される。
本発明のある好適な実施態様では、組成物はRNAバクテリオファージのコートタンパク質、その変異体又はその断片を含み、該コートタンパク質は (a) Qβ CPと称する配列番号3;(b) 配列番号3及び配列番号4(Qβ A1タンパク質)の混合物;(c) 配列番号5(R17カプシドタンパク質);(d) 配列番号6(frカプシドタンパク質);(e) 配列番号7(GAカプシドタンパク質);(f) 配列番号8(SPカプシドタンパク質);(g) 配列番号8及び配列番号9の混合物;(h) 配列番号10(MS2カプシドタンパク質);(i) 配列番号11(M11カプシドタンパク質);(j) 配列番号12(MX1カプシドタンパク質);(k) 配列番号13(NL95カプシドタンパク質);(l) 配列番号14(f2カプシドタンパク質);(m) 配列番号15(PP7カプシドタンパク質);及び(n) 配列番号21(AP205カプシドタンパク質)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
本発明の好適な一実施態様では、VLPは、RNAバクテリオファージのコートタンパク質、その変異体又はその断片の一以上のアミノ酸配列、好ましくは2つのアミノ酸配列を含むか、あるいはそれらからなるモザイクVLPである。非常に好適な一実施態様では、VLPはRNAファージの2つの異なるコートタンパク質を含むか、あるいはそれらからなるものであり、該2つのコートタンパク質はCP Qβ(配列番号3)とCP Qβ A1(配列番号4)、又はCP SP(配列番号8)とCP SP A1(配列番号9)のアミノ酸配列を有する。
本発明の好適な実施態様では、ウイルス様粒子は、RNA-バクテリオファージの組換えコートタンパク質、その変異体又はその断片を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなっており、好ましくは前記RNAバクテリオファージは、バクテリオファージQβ、バクテリオファージfr、バクテリオファージAP205又はバクテリオファージGAから選択される。
好適な一実施態様では、VLPはRNAバクテリオファージQβのVLPである。Qβのカプシドまたはウイルス様粒子は、直径25nm及びT=3見かけ対称性を有する正二十面体のファージ様カプシド構造を示す。カプシドは180コピーのコートタンパク質を含み、それはジスルフィド架橋(Golmohammadi, R. et al., Structure 4:543-5554 (1996))によって共有結合性五量体と六量体に連結され、Qβカプシドの顕著な安定性を導く。しかしながら、組換えQβコートタンパク質から作成されるカプシドまたはVLPは、カプシド中の他のサブユニットにジスルフィド結合を経て連結されないサブユニットか、または不完全に連結したサブユニットを含むことができる。QβのカプシドまたはVLPは、有機溶媒及び変性剤に通常でない耐性を示す。驚くべきことに、30%と同じ高さのDMSO及びアセトニトリル濃度、1Mと同じ高さのグアニジニウム濃度はカプシドの安定性に影響を及ぼさないことが観察された。Qβのカプシド及びVLPの高い安定性は、特に、本発明に係る哺乳類及びヒトの免疫化及びワクチン接種におけるその使用に有利な特徴である。
本発明に係るRNA−バクテリオファージ、特にRNA−バクテリオファージQβとRNA−バクテリオファージfrの更なる好適なウイルス様粒子はWO02/056905において開示され、その開示は参照により完全に本願明細書に援用される。特に、WO02/056905の実施例18は、RNA−バクテリオファージQβのVLPの調製の詳細な説明を提供する。
他の好ましい例として、前記VLPは、RNA−バクテリオファージAP205のVLPである。アミノ酸5のプロリンがスレオニンに置換されたAP205コートタンパク質又はアミノ酸14のアスパラギンがアスパラギン酸に置換されたAP205コートタンパク質を含むAP205 VLPの組み立て可能な変異体の形態は、本発明の実行に使用されてもよく、本発明の好ましい他の実施形態につながる。WO2004/007538は、特に実施例1と実施例2において、AP205コートタンパク質を含むVLPをどのように得るかについて、及び特にその発現と精製を記載する。WO2004/007538は、参照により本願明細書に援用される。AP205 VLPは高度に免疫原性であり、典型的には及び好ましくは、配向性及び反復性の様式でIL-1を提示するワクチン・コンストラクトを生成するために、抗原に連結されることができる。
好ましい一実施態様において、VLPは、好ましくはRNA−バクテリオファージの、ウイルスの変異体コートタンパク質を含むかまたはそれから成り、変異体コートタンパク質は、置換の方法でおよび/または欠失の方法で、少なくとも一つのリジン残基が除去されることによって修飾されている。他の好ましい実施態様において、VLPは、ウイルスの、好ましくはRNA−バクテリオファージの変異体コートタンパク質を含むか、又はそれから成り、変異体コートタンパク質は、置換の方法でおよび/または欠失の方法で、少なくとも一つのリジン残基が付加されることによって修飾されている。少なくとも一つのリジン残基の欠失、置換または付加は、カップリングの程度を変化させてることを可能にし、すなわち、VLPの、好ましくはRNA−バクテリオファージのVLPのサブユニットにつき結合しているIL-1量を変化させることを可能にする。
好ましい一実施形態において、本発明の組成物とワクチンは、0.5から4.0の抗原密度を有する。本願明細書において使われる「抗原密度」なる用語は、VLPの、好ましくはRNA−バクテリオファージのVLPのサブユニット、好ましくはコートタンパク質につき連結されるIL-1分子の、平均数を指す。したがって、この値は、本発明の組成物またはワクチンにおいて、前記VLPの、好ましくはRNA−バクテリオファージの前記VLPの、全てのサブユニットにおける平均として算出される。
Qβコートタンパク質のVLPまたはカプシドは、定まった数のリジン残基をそれらの表面に提示し、3つのリジン残基がカプシドの内部を向いておりRNAと相互作用し、4つの別のリジン残基がカプシドの外側に曝らされる定まったトポロジーを有する。好ましくは、少なくとも一つの第1の付着部位は、VLPの外側を向いているか又はそこに存在するリジン残基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、配列番号3のリジン残基のアミノ基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、配列番号3の位置2、13、16、46、60、63及び67のリジン残基のうちの任意の一つのアミノ基である。更なる好ましい実施態様において、前記第1の付着部位は、カプシドの外側に露出している、好ましくは配列番号3のコートタンパク質のリジン残基の任意の一つのアミノ基である。
露出したリジン残基がアルギニンと交換されたQβ変異体が、本発明のために使われてもよい。したがって、別の本発明の好ましい実施形態において、ウイルス様粒子は、変異体Qβのコートタンパク質を含むか、基本的にそれから成るか、またはそれから成る。好ましくは、これらの変異体コートタンパク質は、(a)Qβ−240(配列番号16、配列番号3のLys13−Arg);(b)Qβ−243(配列番号17、配列番号3のAsn10−Lys);(c)Qβ−250(配列番号18、配列番号3のLys2−Arg);(d)Qβ−251(配列番号19、配列番号3のLys16−Arg);及び(e)Qβ−259(配列番号20、配列番号3のLys2−Arg、Lys16−Arg)からなるグループから選択されるアミノ酸配列を含むか、あるいはそれから成る。上記のQβ変異体コートタンパク質、変異体Qβコートタンパク質VLP及びカプシドのコンストラクト、発現及び精製は、それぞれWO02/056905に記載されている。特に、WO02/056905の実施例18はここに援用される。
別の本発明の好ましい実施形態において、ウイルス様粒子は、変異体コートタンパク質Qβまたは変異体または断片及び対応するA1タンパク質を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。更なる好ましい実施態様において、ウイルス様粒子は、変異体コートタンパク質からを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、前記変異体コートタンパク質は、配列番号16、17、18、19及び20及び対応するA1タンパク質の任意の一つから選択される。
更なるRNA−バクテリオファージ・コートタンパク質はバクテリア宿主の発現において自己集合することが示されている(Kastelein, RA. et al., Gene 23:245-254 (1983), Kozlovskaya, TM. et al., Dokl. Akad. Nauk SSSR 287:452-455 (1986), Adhin, MR. et al., Virology 170:238-242 (1989), Priano, C. et al., J. Mol. Biol. 249:283-297 (1995))。特に、GA(Ni, CZ., et al., Protein Sci. 5: 2485-2493 (1996), Tars, K et al., J. Mol.Biol. 271:759-773(1997))及びfr(Pushko P. et al., Prot. Eng. 6: 883-891 (1993), Liljas, L et al. J Mol. Biol. 244:279-290,(1994))の生物学的及び生化学的特性が開示されている。複数のRNA−バクテリオファージの結晶構造が決定されている (Golmohammadi, R. et al., Structure 4:543-554 (1996))。このような情報を用いて、表面露出した残基は同定されることができ、したがって、一つ以上の反応性のアミノ酸残基が挿入または置換により挿入されることができるように、RNA−バクテリオファージのコートタンパク質は修飾されることができる。RNA−バクテリオファージに由来するVLPの別の有利な点は、手頃なコストで大量の物質の産生を可能にするバクテリアにおける、高い発現生産量である。
ある好適な実施態様では、本発明の組成物は、少なくとも1の抗原、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2、最も好ましくは正確に1の抗原を含み、該抗原はIL-1分子、好ましくはIL-1タンパク質、IL-1断片、IL-1成熟断片、IL-1ペプチド又はIL-1変異タンパク質であり、該IL-1分子は配列番号36から配列番号116、配列番号130から配列番号140及び配列番号163から配列番号165のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記抗原は、(a) ヒト;(b) 霊長類;(c) 齧歯動物;(d) ウマ;(e) ヒツジ;(f) ネコ;(g) ウシ;(h) ブタ;(i) ウサギ;(j) イヌ;(k) マウス;及び、(l) ラットからなる群から選択される生物由来のIL-1分子である。最も好ましくは、前記IL-1分子はヒト由来である。非常に好ましい実施態様では、IL-1分子はヒトIL-1分子である。更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子は、配列番号36、配列番号49、配列番号63、配列番号64、配列番号67から110のいずれか一つ、及び配列番号130から140のいずれか一つ及び配列番号165からなる群から選択される配列のいずれか一つに少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子はラット又はマウス、好ましくはマウス由来であり、該IL-1分子は、配列番号45、配列番号46、配列番号53、配列番号54、配列番号65、配列番号66、配列番号111から116のいずれか一つ、配列番号163、及び配列番号164のいずれか一つに少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、IL-1分子は、IL-1α分子、好ましくはIL-1αタンパク質、IL-1α断片、IL-1α成熟断片、IL-1αペプチド又はIL-1α変異タンパク質であり、該IL-1α分子は、配列番号36から48、配列番号63、配列番号65、配列番号67から88、及び配列番号165からなる群から選択される配列のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。IL-1α分子の特に好適な実施態様は、ヒトIL-1α分子、好ましくはヒトIL-1αタンパク質、ヒトIL-1α断片又はヒトIL-1α成熟断片であり、該IL-1α分子は、配列番号36、配列番号63、及び配列番号163のいずれか一つ、最も好ましくは配列番号63に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子は、IL-1β分子、好ましくはIL-1βタンパク質、IL-1β断片、IL-1β成熟断片、IL-1βペプチド又はIL-1β変異タンパク質であり、該IL-1β分子は、配列番号49から62、配列番号64、配列番号66、配列番号89から116、配列番号130から配列番号140、配列番号164、及び配列番号165からなる群から選択される配列のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。IL-1β分子の特に好適な実施態様は、ヒトIL-1β分子、好ましくはヒトIL-1βタンパク質、ヒトIL-1β断片又はヒトIL-1β成熟断片であり、該IL-1β分子は、配列番号49、配列番号64、配列番号130から配列番号140及び配列番号165のいずれか一つ、最も好ましくは配列番号64に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子は、IL-1タンパク質、IL-1断片又は、好ましくはIL-1成熟断片であり、該IL-1タンパク質、IL-1断片又はIL-1成熟断片は好ましくはIL-1レセプターに結合可能であり、またさらにより好ましくは、加えて生物学的な活性を含む。更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子はIL-1タンパク質であり、該IL-1タンパク質は、配列番号36から62のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。更なる好適な実施態様では、前記IL-1タンパク質はIL-1αタンパク質であり、該IL-1αタンパク質は、配列番号36から48からなる群から選択される配列のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。最も好ましくは、前記IL-1αタンパク質はヒトIL-1αタンパク質であり、該ヒトIL-1αタンパク質は、配列番号36に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1タンパク質はIL-1βタンパク質であり、該IL-1βタンパク質は、配列番号49から62からなる群から選択される配列のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。最も好ましくは、前記IL-1βタンパク質はヒトIL-1βタンパク質であり、該ヒトIL-1βタンパク質は、配列番号49に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子はIL-1断片、好ましくはIL-1成熟断片であり、該IL-1断片又は該IL-1成熟断片は好ましくはマウス又はヒト、最も好ましくはヒト由来である。好ましくは前記IL-1断片又は前記IL-1成熟断片は、配列番号63から配列番号66、配列番号130、及び配列番号163から配列番号165のいずれか一つに少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1成熟断片はIL-1α成熟断片であり、該IL-1α成熟断片は好ましくは生物学的な活性を含み、さらに該IL-1α成熟断片は、配列番号63又は配列番号65、最も好ましくは配列番号63に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1成熟断片はIL-1β成熟断片であり、該IL-1β成熟断片は好ましくは生物学的な活性を含み、さらに該IL-1β成熟断片は、配列番号64、配列番号66及び配列番号130のいずれか一、最も好ましくは配列番号64に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子はIL-1ペプチドであり、該IL-1ペプチドはマウス、ラット又はヒト、最も好ましくはヒト由来である。
好ましくは前記IL-1ペプチドは、配列番号67から配列番号116のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
好ましくは前記IL-1ペプチドは、配列番号67から配列番号116のいずれか一に少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを好ましくは含むか、さらにより好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子はIL-1変異タンパク質であり、好ましくは該IL-1変異タンパク質は生物学的な活性を低減しているか、より好ましくは生物学的な活性を持たず、さらに該IL-1変異タンパク質はIL-1レセプターを結合することができる。更なる好適な実施態様では、前記IL-1変異タンパク質は1〜3、より好ましくは1〜2、最も好ましくはちょうど1のアミノ酸残基がIL-1成熟断片のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなる。
更なる好適な実施態様では、前記IL-1変異タンパク質は、野生型アミノ酸配列に由来した、少なくとも一つの、好ましくは一つの変異したアミノ酸配列を含み、前記野生型アミノ酸配列は、(1)配列番号64の位置3から11; (2)配列番号64の位置46から56; (3)配列番号64の位置88から109;及び(4)配列番号64の位置143から153から成る群から選択されるIL-1βアミノ酸配列であるか、又は前記野生型アミノ酸配列は、IL-1αアミノ酸配列は、(5)配列番号63の位置9から20; (6)配列番号63の位置52から62; (7)配列番号63の位置94から113;及び(8)配列番号63の位置143から153から成る群から選択されるか、又は前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、それが由来した野生型アミノ酸配列と比較すると、1から4位置、好ましくは1、2又は3位置、より好ましくは1又は2位置のアミノ酸置換によって特徴付けられ、前記少なくとも一つの突然変異するアミノ酸配列は、それが由来した前記野生型アミノ酸配列の1から4の連続的なアミノ酸の欠失によって特徴づけられる。
更に好ましい実施態様において、前記IL-1変異タンパク質は、各々の前記IL-1βアミノ酸配列(1)から(4)に由来する多くても一つの変異したアミノ酸配列を含むか;又は前記IL-1変異タンパク質は、前記IL-1αアミノ酸配列(5)から(8)おのおのに由来する多くても一つの変異したアミノ酸配列から含む。
非常に好ましい実施態様において、前記IL-1変異タンパク質は正確に前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列の一つを含み、好ましくは前記正確に一つの変異したアミノ酸配列は野生型アミノ酸配列に由来し、前記野生型アミノ酸配列は配列番号64の位置143から153または配列番号63の位置143から153である。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸は、それが由来した前記野生型アミノ酸配列の1から3、好ましくは1から2の連続的アミノ酸の欠失によって特徴付けられる。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、それが由来した前記野生型アミノ酸配列の正確に一つのアミノ酸の欠失によって特徴付けられる。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、野生型アミノ酸配列に由来し、前記野生型アミノ酸配列は配列番号64の位置143から153または配列番号63の位置143から153である。最も好ましくは、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、配列番号64の位置143から153に由来する。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、野生型アミノ酸配列に由来し、前記野生型アミノ酸配列は配列番号64の位置46から56または配列番号63の位置52から62であり、最も好ましくは、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、それが由来した前記野生型アミノ酸配列の1から4、好ましくは2から3の連続的アミノ酸の欠失によって特徴付けられる。非常に好ましい実施態様では、前記IL-1変異タンパク質はこのましくはポリペプチドからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号137又は配列番号138である。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、野生型アミノ酸配列に由来し、前記野生型アミノ酸配列は配列番号64の位置88から109または配列番号63の位置94から113であり、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、それが由来した前記野生型アミノ酸配列の1から4、好ましくは1から3、最も好ましくは1又は2の連続的アミノ酸の欠失によって特徴付けられる。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、それが由来した前記野生型アミノ酸配列と比較して、1又は2の位置の、好ましくは正確に1つの位置のアミノ酸の置換によって特徴付けられる。
更に好ましい実施態様において、前記アミノ酸配列は、配列番号64の位置143から153又は配列番号63の位置143から153であり、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、それが由来した前記野生型アミノ酸配列と比較して、1又は2の位置の、好ましくは正確に1つの位置のアミノ酸の置換によって特徴付けられ、更に好ましくは前記正確に一つの位置は配列番号64の位置145又は配列番号63の位置145であり、また更に好ましくは前記アミノ酸の置換はアスパラギン酸(D)の、リジン(K)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、アスパラギン(N)及びアルギニン(R)からなる基から選択されるアミノ酸への変化である。
非常に好ましい実施態様では、前記アミノ酸の置換は、アスパラギン酸(D)のリジン(K)への変化である。
更に好ましい実施態様において、前記アミノ酸配列は、配列番号64の位置143から153又は配列番号63の位置143から153であり、前記少なくとも一つの変異したアミノ酸配列は、それが由来した前記野生型アミノ酸配列と比較して正確に1つの位置のアミノ酸の置換によって特徴付けられ、更に好ましくは前記正確に一つの位置は配列番号64の位置146又は配列番号63の位置146であり、また更に好ましくは前記アミノ酸の置換はフェニルアラニン(F)の、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)及びセリン(S)からなる基から選択されるアミノ酸への変化である。
更に好ましい実施態様において、前記IL-1変異タンパク質は、IL-1β変異タンパク質、好ましくはヒトIL-1β変異タンパク質であり、最も好ましくは配列番号131から配列番号140から選択されたヒトIL-1β変異タンパク質であり、最も好ましくは前記IL-1変異タンパク質は配列番号136である。
更に好ましい実施態様において、前記IL-1変異タンパク質はIL-1β変異タンパク質であり、好ましくは前記IL-1β変異タンパク質はポリペプチドを含むか又は好ましくはそれから成り、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号64のアミノ酸配列とは、1から10、1から9、1から8、1から7、1から6、1から5、1から4、1から3又は1から2のアミノ酸残基が異なる。最も好ましくは、前記アミノ酸配列は、配列番号64のアミノ酸配列とは正確に一つアミノ酸残基が異なる。非常に好ましい実施態様において、前記IL-1β変異タンパク質は、ポリペプチドから含むか、又は好ましくはそれから成り、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号131から配列番号140及び配列番号205から配列番号209から選択され、最も好ましくは、前記IL-1β変異タンパク質はポリペプチドを含むか、又は好ましくはそれから成り、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号136である。
非常に好ましい実施態様では、前記IL-1分子、好ましくはIL-1β変異タンパク質は、配列番号136を含むか、又はそれから成る。
更なる好ましい実施態様において、前記IL-1変異タンパク質はIL-1α変異タンパク質であり、、好ましくは前記IL-1α変異タンパク質はポリペプチドを含むか又は好ましくはそれからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号63のアミノ酸配列とは、1から10、1から9、1から8、1から7、1から6、1から5、1から4、1から3又は1から2アミノ酸残基で異なる。最も好ましくは、前記アミノ酸配列は、配列番号63のアミノ酸配列から、正確に1最も好ましくは、前記アミノ酸配列は、配列番号64のアミノ酸配列とは正確に一つアミノ酸残基が異なる。非常に好ましい実施態様において、前記IL-1α変異タンパク質は、ポリペプチドから含むか、又は好ましくはそれから成り、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号210から配列番号218から選択され、最も好ましくは、前記IL-1α変異タンパク質はポリペプチドを含むか、又は好ましくはそれから成り、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号210である。
非常に好ましい実施態様において、前記IL-1分子、好ましくは前記IL-1α変異タンパク質は、配列番号201を含むか、または好ましくはそれからなる。
更に、本発明の組成物を産生する方法を開示し、該方法は、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するVLPを提供すること;(b)IL-1分子、好ましくはIL-1タンパク質、IL-1断片、好ましくはIL-1成熟断片、IL-1ペプチドまたはIL-1変異タンパク質を含むか又はそれからなる、少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原を提供すること;及び(c)前記組成物を産生するために、前記VLPと前記少なくとも一つの抗原を有する少なくとも一つの第2の付着部位を結合させ、前記少なくとも一つの抗原と前記VLPが第1のおよび第2の付着部位で連結されることを含む、方法を提供する。好ましい実施形態において、前記IL-1分子、前記IL-1タンパク質、前記IL-1断片、好ましくはIL-1成熟断片、前記IL-1ペプチド又は前記IL-1変異タンパク質を含んで成る少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原の提供は、発現の方法により、好ましくは細菌系、好ましくは大腸菌における発現の方法による。通常、精製タグ、例えばHisタグ、Mycタグ、FcタグまたはHAタグは、精製プロセスを容易にするために加えられる。別のアプローチでは、特に50アミノ酸より短いIL-1ペプチド又はIL-1変異タンパク質は化学的に合成される。
本発明の一実施態様において、少なくとも一つの第1の付着部位を有するVLPは、少なくとも一つのペプチド結合を経て少なくとも一つの第2の付着部位を有する抗原に結合される。IL-1分子、好ましくはIL-1変異タンパク質をコードする遺伝子は、内部に、または好ましくはVLPのコートタンパク質をコードする遺伝子のN−またはC−末端にインフレームでライゲーションされる。また、融合は、IL-1分子の配列を、コートタンパク質配列の部分が欠失したコートタンパク質の変異体に挿入することによって遂行されることができる。このようなコンストラクトはトランケーション変異体と呼ぶ。トランケーション変異体は、コートタンパク質の配列の一部のN−またはC末端欠失、又は内部欠失を有することができる。例えば特異的なVLPHBcAgは、アミノ酸79−80は、外来エピトープに置き換えられる。融合タンパク質は、好ましくは発現に応じてVLPへと組み立てられる能力を保持し、それは電子顕微鏡によって調べられることができる。
隣接するアミノ酸残基は、コートタンパク質と外来エピトープとの間の距離を増大させるために、付加されてもよい。グリシンとセリン残基は、隣接配列において使用される特に好ましいアミノ酸残基である。このような隣接配列は、融合コンスストラクトに追加的な柔軟性を与え、VLPサブユニットの配列に融合した外来配列を不安定にする効果の可能性を減少し、従って外来エピトープの存在によるアセンブリの干渉を減少させる。
他の実施態様において、IL-1分子、好ましくはIL-1変異タンパク質は多くの他のウイルスコートタンパク質に、例えばQβのA1タンパク質の切断型のC末端に融合されてもよく(Kozlovska, T. M., et al., Intervirology 39:9-15 (1996))。あるいはCP伸長の位置72と73の間に挿入されてもよい。別の例として、IL-1分子は、fr CPのアミノ酸2と3との間に挿入されてもよい(Pushko P. et al., Prot. 883-891 (1993))。さらにまた、IL-1分子は、RNA−バクテリオファージMS−2(WO92/13081)のコートタンパク質のN末端基突出したβヘアピンに融合されてもよい。あるいは、IL-1分子は、パピローマウイルスのコートタンパク質に、ウシパピローマウイルス・タイプ1のコートタンパク質の主要コートタンパク質L1(BPV−1)に融合させることができる(Chackerian, B. et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA 96:2373-2378 (1999), WO00/23955)。また、IL-1を有するBPV−1L1のアミノ酸130−136の置換も、本発明の実施態様である。ウイルスのコートタンパク質、その変異体又は断片に、IL-1分子を融合する更なる実施形態は、WO2004/009124の62頁20行目から68頁17行目に開示されており、引用により本願明細書に組み込まれる。
米国特許第5698424号には、カプシドを形成可能なバクテリオファージMS-2の修飾コートタンパク質が記載されており、ここでコートタンパク質はN-末端ヘアピン領域にシステイン残基を挿入し、非システインアミノ酸残基により、N-末端ヘアピン領域の外側に位置する各システイン残基を置換することにより修飾される。挿入されたシステイン残基は、所望される分子種に直接結合し、エピトープ又は抗原性タンパク質等として提示される。
しかしながら、カプシドに露出した遊離のシステイン残基が存在すると、ジスルフィド架橋の形成により、カプシドのオリゴマー化につながることに注目すべきである。さらに、ジスルフィド結合によるカプシドと抗原性タンパク質との結合は、特にスルフヒドリル-部分含有分子に対して不安定であり、さらに、チオエーテル付着よりも血清中で安定性が低下する(Martin FJ. 及び Papahadjopoulos D.(1982) Irreversible Coupling of Immunoglobulin Fragments to Preformed Vesicles. J. Biol. Chem. 257:286-288)。
よって、さらに非常に好ましい実施態様では、VLPと少なくとも一つの抗原との会合又は結合は含むか又はそれからなる、IL-1分子はジスルフィド結合を含まない。さらに好ましくは、少なくとも一つの第2の付着は、スルフヒドリル基を含むか、又は該基である。さらにまた本発明の非常に好ましい実施態様では、VLPと少なくとも一つの抗原との会合又は結合は、硫黄- 硫黄結合を含まない。更に好ましくは、少なくとも一つの第2の付着はスルフヒドリル基を含むか、又は該基である。さらに非常に好ましい実施態様では、前記少なくとも一つの第1の付着部位は、スルフヒドリル基でないか、又は該基を含まない。またさらに非常に好ましい実施態様では、前記少なくとも一つの第1の付着部位は、システインのスルフヒドリル基ではないか、又は該基を含まない。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第1の付着はアミノ基を含み、前記第2の付着はスルフヒドリル基を含む。
別の好ましい実施態様では、前記第1の付着はアミノ基であり、前記第2の付着部位はスルフヒドリル基である。なお更に好ましい実施態様において、前記第1の付着はリジン残基のアミノ基であり、前記第2の付着部位はシステイン残基のスルフヒドリル基である。
更に好ましい実施態様では、前記第2の付着部位のうちの1つだけが、第1の付着部位に、少なくとも一つの非ペプチド共有結合を介して会合し、それにより前記コア粒子への、好ましくは前記ウイルス様粒子への抗原の単一且つ均一型結合となり、前記第1の付着部位が会合する前記ただ一つの第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、前記抗原及び前記コア粒子、好ましくは前記ウイルス様粒子が前記会合を介して相互作用して規則正しい反復性抗原アレイを形成し、更に好ましくは前記第1の付着部位はリジン残基のアミノ基である。
更は好ましい実施態様において、前記ウイルス様粒子は、ウイルスの、好ましくはRNAバクテリオファージのVLP組換えコートタンパク質、その変異体又は断片を含むか、本質的にそれから成るか、あるいはそれから成り、前記少なくとも一つの抗原は前記組換えコートタンパク質、その変異体又は断片のN-又はC-末端に融合する。
更に好ましい実施態様において、前記ウイルス様粒子はRNAバクテリオファージの組換えコートタンパク質、その変異体又は断片を含むか、本質的にそれからなるか、あるいはそれからなり、好ましくは前記RNAバクテリオファージは(a)バクテリオファージAP205;(b)バクテリオファージfr;及び(c)バクテリオファージGAから成る群から選択され、前記少なくとも一つの抗原は、前記組換えコートタンパク質、その変異体又は断片のN-末端又はC-末端、好ましくはC-末端に融合され、更に好ましくは前記少なくとも一つの抗原はポリペプチドを含むか、好ましくはそれからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号136又は配列番号210、好ましくは配列番号136である。
さらに好適な実施態様では、IL-1分子、好ましくはIL-1タンパク質、より好ましくはIL-1成熟断片、さらにより好ましくは配列番号63から配列番号66、最も好ましくは配列番号63又は配列番号64のアミノ酸配列を含むかこれからなるIL-1成熟断片は、RNAバクテリオファージAP205のコートタンパク質、その変異体又はその断片のN-末端又はC-末端のいずれか、好ましくはC-末端に融合する。
非常に好ましい実施態様において、前記ウイルス様粒子は、バクテリオファージAP205の組換えコートタンパク質、その変異体又は断片を含むか、本質的にそれから成るか、あるいはそれからなり、前記少なくとも一つの抗原は、組換えコートタンパク質、その変異体又は断片のC末端に融合し、前記少なくとも一つの抗原はポリペプチドを含むか、好ましくはそれから成り、前記ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号136又は配列番号210であり、好ましくは配列番号136である。
抗原とのバクテリオファージAP205のコートタンパク質の融合タンパク質を含むVLPは、通常、出典明記によって本明細書に援用される国際公報第2006/032674A1号に開示される。ある更なる好適な実施態様では、融合タンパク質はさらにリンカーを含み、該リンカーはAP205及びIL-1分子のコートタンパク質、その断片ないしはその変異体に融合する。更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子は、前記リンカーを介してAP205の前記コートタンパク質、その断片ないしはその変異体のC末端に融合する。
IL-1分子、特に少なくとも100から300までのアミノ酸、典型的及び好ましくはおよそ140〜160のアミノ酸、最も好ましくはおよそ155のアミノ酸を含むIL-1タンパク質及びIL-1断片は、バクテリオファージのコートタンパク質、好ましくはAP205のコートタンパク質に融合しながら、コートタンパク質のVLPへの自己組織化の機能を維持することができる。
IL-1タンパク質、IL-1断片及びIL-1成熟断片の大きさが大きく、また立体的な理由から、IL-1分子に融合したAP205コートタンパク質並びにwtコートタンパク質サブユニットを含むモザイクVLPを産生する発現システムを構築した。このシステムにおいて、停止コドンを抑制するとAP205-IL-1コートタンパク質融合が生じる一方で、適切な終止によりwt AP205コートタンパク質が生じる。両タンパク質は細胞内で同時に生産されて、モザイクVLP内に組み立てられる。このようなシステムの利点は、巨大タンパク質がVLPの組み立てを干渉することなく提示されるということである。モザイクVLPへのAP205-IL-1融合タンパク質の取込みのレベルは抑制のレベルに依存するので、AP205-IL-1は、サプレッサーtRNAを過剰発現するプラスミドを既に含有している大腸菌細胞において発現される。オパール抑制に関して、オパール停止コドンを認識してTrpを導入するサプレッサーtRNAをコードするプラスミドpISM3001(Smiley, B.K., Minion, F.C. (1993) Enhanced readthrough of opal (UGA) stop codons and production of Mycoplasma pneumoniae P1 epitopes in Escherichia coli. Gene 134, 33-40)が用いられる。アンバー終結の抑制はプラスミドpISM579を用いて増加してもよく、アンバー停止コドンを認識して、同様にTrpを導入するサプレッサーtRNAを過剰発現させる。プラスミドpISM579は、制限エンドヌクレアーゼEcoRIによりtrpT176遺伝子をpISM3001から切り出し、アンバーtRNAサプレッサー遺伝子を含むプラスミドpMY579(Michael Yarusから贈与)のEcoRI断片によって置換することによって生成された。このtRNAサプレッサー遺伝子は、trpT175の変異体であり (Raftery LA. Et al. (1984) J. Bacteriol. 158:849-859)、G33、A24及びT35の3つの位置がtrpTと異なる。大腸菌JM109などのアンバー抑制(supE又はglnV)による大腸菌株におけるAP205-インターロイキン-1α融合タンパク質の発現は、アンバー停止コドンに導入されたTrpによるAP205-IL-1融合タンパク質に加えて、アンバー停止コドンに導入されたTrpでなくGlnによるAP205-IL-1融合タンパク質を一部生成しうる。したがって、停止コドンで翻訳されるアミノ酸の同定は、過剰発現するサプレッサーtRNAと株の表現型の組合せに依存しうる。Miller JH等 ((1983) J. Mol. 59-71)によって記載され、当分野で周知であるように、抑制の効率は状況に依存する。特に、停止コドンのコドン3'と停止コドンから初めの塩基3'が特に重要である。例えば、停止コドンの後のプリン塩基は、通常は十分に抑制される。
ゆえに、好適な実施態様では、前記VLPはモザイクVLPであり、該モザイクVLPは少なくとも1、好ましくは1の第1のポリペプチドと、少なくとも1、好ましくは1の第2のポリペプチドを含むか、好ましくはこれからなり、該第1のポリペプチドは組み換えカプシドタンパク質、その変異体ないしはその断片であり、該第2のポリペプチドは、好ましくは該第1のポリペプチドの組み換えカプシドタンパク質、その変異体ないしはその断片とIL-1分子の遺伝的融合生成物である。更なる好適な実施態様では、前記第1のポリペプチドは、バクテリオファージAP205の組み換えカプシドタンパク質又はその変異体ないしはその断片である。更なる好適な実施態様では、前記第1のポリペプチドは、配列番号21、配列番号22、配列番号23から選択される。非常に好適な実施態様では、前記第1のポリペプチドは配列番号21である。抗原を含むバクテリオファージAP205のモザイクVLPは、通常、国際公報第2006/032674A1号の、特に107段落に開示される。更なる好適な実施態様では、前記第2のポリペプチドは、好ましくは前記第1のポリペプチドの組み換えカプシドタンパク質、その変異体ないしはその断片とIL-1分子の遺伝的融合生成物であり、前記IL-1分子は好ましくはアミノ酸リンカーにより該組み換えカプシドタンパク質、その変異体ないしはその断片のC末端に融合する。更なる好適な実施態様では、前記IL-1分子は、100から300のアミノ酸、典型的及び好ましくはおよそ140〜160のアミノ酸、最も好ましくはおよそ155のアミノ酸を含むか、好ましくはこれからなる。非常に好適な実施態様では、前記モザイクVLP中の前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドのモル比は、10:1から5:1、好ましくは8:1から6:1、最も好ましくはおよそ7:1である。
本発明の好適な一実施態様では、組成物は、少なくとも一つの共有結合を介して少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原、すなわちIL-1分子に結合した少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子を含有するか、あるいは本質的にこれらからなるものであり、好ましくは該共有結合は非ペプチド結合である。本発明の好適な実施態様では、第1の付着部位は、アミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基を含むか、好ましくはそのものである。本発明の他の好適な実施態様では、第2の付着部位は、スルフヒドリル基、好ましくはシステインのスルフヒドリル基を含むか、好ましくはそのものである。
本発明の非常に好適な実施態様では、少なくとも一つの第1の付着部位は、アミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基であり、少なくとも一つの第2の付着部位は、スルフヒドリル基、好ましくはシステインのスルフヒドリル基である。
本発明の好適な一実施形態において、抗原は、ヘテロ二官能性架橋剤を用いて、化学的架橋結合を経由してVLPに連結される。好ましい実施態様において、ヘテロ二官能性架橋剤は、好適な第1の付着部位、好ましくはアミノ基、より好ましくはVLPのリジン残基のアミノ基と反応できる官能基と、好適な第2の付着部位、すなわちスルフヒドリル基、好ましくはIL-1分子に本来からあるか又は人工的に付加されたシステイン残基のスルフヒドリル基と反応することができ、場合により還元による反応に利用される更なる官能基を含む。複数のヘテロ二官能性架橋剤が当該分野で知られている。これらには、好ましい架橋剤であるSMPH(Pierce)、スルホ-MBS、スルホ -EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMPB、スルホ-SMCC、SVSB、SIA、及び例えばPierce Chemical Companyから入手可能な他の架橋剤が含まれ、アミノ基に対して反応可能な一官能基とスルフヒドリル基に対して反応可能な一官能基を有する。上述した全ての架橋剤により、アミノ基との反応後にアミド結合が、またスルフヒドリル基とチオエーテル結合が形成される。最も好ましくは、前記ヘテロ二官能性架橋剤は、スクシンイミジル-6-[β-マレイミドプロピオンアミド]ヘキサノエート(SMPH)である。本発明の実施に適した他のクラスの架橋剤は、カップリング時にIL-1分子とVLPとの間にジスルフィド結合を導入することにより特徴付けられる。このクラスに属する好ましい架橋剤には、例えばSPDP及びスルホ-LC-SPDP(Pierce)が含まれる。
好ましい実施態様では、本発明の組成物はリンカーを更に含む。本発明の更に好ましい実施態様では、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する前記少なくとも一つの抗原はリンカーを含み、前記リンカーは一つのペプチド結合を介して前記抗原に会合し、好ましくは前記リンカーはシステインである。IL-1分子への第2の付着部位のエンジニアリングはリンカーの会合によって達成され、好ましくは本発明の開示に従って第2の付着部位として適切な少なくとも一つのアミノ酸を含む。従って、本発明の好ましい実施態様において、リンカーは少なくとも一つの共有結合により、好ましくは少なくとも1つの、典型的には1つのペプチド結合をにより、IL-1分子に会合する。好ましくは、リンカーは第2の付着部位を含むか、又はそれから成る。別の好ましい実施形態では、リンカーは、好ましくはシステイン残基のスルフヒドリル基を含む。他の好ましい実施形態として、アミノ酸リンカーは、システイン残基である。
リンカーの選択は、IL-1分子の性質、その生化学的特性、例えばpI、電荷分布、及びグリコシル化に依存するであろう。一般的に、フレキシブルなアミノ酸リンカーが好まれる。本発明のさらに好ましい実施態様では、リンカーはアミノ酸からなり、さらに好ましくは、リンカーは最大で25、好ましくは最大で20、より好ましくは最大で15のアミノ酸からなる。本発明のさらに好適な実施態様では、アミノ酸リンカーは1〜10のアミノ酸を含有する。リンカーの好適な実施態様は、(a) CGG(配列番号171);(b) N末端γ1-リンカー、好ましくはCGDKTHTSPP(配列番号172);(c) N末端γ3-リンカー、好ましくはCGGPKPSTPPGSSGGAP(配列番号173);(d) Igヒンジ領域;(e) N末端グリシンリンカー、好ましくはGCGGGG(配列番号174);(f) n=0〜12及びk=0〜5の(G)kC(G)n(配列番号175);(g) 1つの更なるシステインを有するN末端グリシン-セリンリンカー、好ましくは(GGGGS)n、n=1〜3(配列番号176);(h) n=0〜3、k=0〜5、m=0〜10、l=0〜2の(G)kC(G)m(S)l(GGGGS)n(配列番号177);(i) GGC(配列番号178);(k) GGC-NH2(配列番号179);(l) C末端γ1-リンカー、好ましくはDKTHTSPPCG(配列番号180);(m) C末端γ3-リンカー、好ましくはPKPSTPPGSSGGAPGGCG(配列番号181);(n) C末端グリシンリンカー、好ましくはGGGGCG(配列番号182);(o) n=0〜12及びk=0〜5の(G)nC(G)k(配列番号183);(p) 1つの更なるシステインを有するC末端グリシン-セリンリンカー、好ましくは(SGGGG)n、n=1〜3(配列番号184);(q) n=0〜3、k=0〜5、m=0〜10、l=0〜2及びo=0〜8の(G)m(S)l(GGGGS)n(G)oC(G)k(配列番号185)からなる群から選択される。さらに好適な実施態様では、リンカーはIL-1分子のN-末端に融合している。本発明の他の好適な実施態様では、リンカーはIL-1分子のC-末端に融合している。
本発明に係る好ましいリンカーは、第2の付着部位としてシステイン残基をさらに含むグリシンリンカー(G)n、例えばN-末端グリシンリンカー(GCGGGG、配列番号174)及びC-末端グリシンリンカー(GGGGCG、配列番号182)である。さらに好ましい実施態様は、C-末端グリシン-リジンリンカー(GGKKGC、配列番号186)及びN-末端グリシン-リジンリンカー(CGKKGG、配列番号187)、ペプチドのC-末端のGGCG(配列番号188)、GGC(配列番号178)又はGGC-NH2(配列番号179、「NH2」はアミド化を表す)リンカー、又はそのN-末端のCGG(配列番号171)のリンカーである。一般的に、グリシン残基は、第2の付着部位として使用されるシステインと大きなアミノ酸との間に挿入されて、カップリング反応中での、より大きなアミノ酸の潜在的な立体障害が回避される。更に好ましい実施形態では、前記リンカーはHis-tagを含む。非常に好ましいリンカーは、LEHHHHHHGGC(配列番号201)又はLEHHHHHHGGCG (配列番号219)であり、好ましくはリンカーはLEHHHHHHGGCG (配列番号219)である。
上述の好適な方法によるヘテロ二官能性架橋剤を使用したVLPへの抗原の結合は、配向性の様式でVLPへIL-1分子を結合することを可能にする。抗原をVLPに連結する他の方法は、カルボジイミドEDC及びNHSを使用して、IL-1分子が、VLPに架橋結合する方法を含む。また、IL-1分子は、最初に、例えばSATA、SATPまたはイミノチオランとの反応によってチオール化されてもよい。次に、抗原は、必要であれば脱保護の後で、以下の通りにVLPに結合することができる。過剰なチオール化試薬の分離後、抗原はVLP(システイン反応の部分を含むヘテロ二官能性架橋剤によって前もって活性化されたもの)と反応させ、その結果、システイン残基に反応性である少なくとも1つ又は複数の官能基であって、そこに上述のようにチオール化された抗原が反応することができる官能基を提示する。場合により、低量の還元剤は、反応混合物に含まれる。更なる方法において、抗原は、グルタルアルデヒド、DSG、BM[PEO]4、BS3(ピアス)のようなホモ二官能性架橋剤又はVLPのアミノ基又はカルボキシル基に反応性である官能基を有する他の公知のホモ二官能性架橋剤を使用してVLPに取り付けられる。
本発明の他の実施態様において、組成物は、化学的相互作用を経て、抗原に連結されたウイルス様粒子を含むかまたは本質的にそれから成り、これらの相互作用のうちの少なくとも1つは共有結合でない。
抗原へのVLPの結合は、VLPをビオチン化すること、及びストレプトアビジン−融合タンパク質としてIL-1分子を発現することによって遂行されることができる。
立体配置的に許容可能であるならば、1または複数の抗原分子(すなわちIL-1分子)は、VLPの1つのサブユニット、好ましくはRNA−バクテリオファージのコートタンパク質に、好ましくはRNA−バクテリオファージのVLPのコートタンパク質の露出したリジン残基を介して、取り付けられることができる。RNA−バクテリオファージ、特にQβコートタンパク質のVLPの特殊な特徴は、したがって、サブユニットにつき複数の抗原を結合させるという可能性である。これは、密度の高い抗原アレイの生成を可能にする。
本発明の非常に好適な実施態様において、少なくとも一つの第2の付着部位を有する抗原は、IL-1分子のN末端基かC末端に付加されたシステイン残基を介して又はIL-1分子の天然システイン残基を介して、RNA−バクテリオファージのVLPのコートタンパク質の、特にQβのコートタンパク質のリジン残基に連結される。
上記の通り、4つのリジン残基は、Qβコートタンパク質のVLPの表面に露出する。典型的に及び好ましくは、これらの残基は、架橋剤分子との反応により誘導体化される。露出したリジン残基の全てが抗原に接続することができるというわけでない例として、架橋剤と反応したリジン残基は、誘導体化工程の後、ε−アミノ基に取り付けられた架橋剤分子をあとに残す。これは1または複数の正の電荷の消失につながり、それはVLPの溶解性と安定性に有害である可能性がある。開示されたQβコートタンパク質変異体の場合のように、いくつかのリジン残基をアルギニンと交換することによって、アルギニン残基が好適な架橋剤と反応しないことにより、正電荷の過剰な消失を妨げる。さらに、より少ない部位が抗原と反応可能である場合に、アルギニン残基によるリジン残基の置換は、より多くの形成された抗原アレイを導くことができる。
したがって、露出したリジン残基は、以下のQβコートタンパク質変異体のアルギニンと置き換えられた:Qβ−240(Lys13−Arg;配列番号16)、Qβ−250(Lys2−Arg、Lys13−Arg;配列番号18)、Qβ−259(Lys2−Arg,Lys16−Arg;配列番号20)及びQβ−251;(Lys16−Arg、配列番号19)。さらなる実施態様において、抗原のより高い密度のアレイすら得ることに適している1つの追加のリジン残基Qβ−243を有するRNA−バクテリオファージQβの変異体コートタンパク質を開示する(Asn10−Lys;配列番号17)。
好ましい実施形態において、RNA−バクテリオファージのVLPは、宿主によって組換えにより生産され、前記VLPは宿主RNA、好ましくは宿主核酸を本質的に含まない。さらに好ましい実施形態において、組成物は、VLPに結合されているか、パッケージ化されているか、封入されている少なくとも1つのポリアニオン性巨大分子を含む。更に非常に好ましい実施態様において、前記ポリアニオン性巨大分子は、ポリグルタミン酸および/またはポリアスパラギン酸である。
別の好ましい実施形態において、組成物は、VLPに結合されているか、好ましくはパッケージ化されているか、封入されている少なくとも1つの免疫賦活性物質を含む。なお更なる好ましい実施態様において、免疫賦活性物質は、核酸、好ましくはDNA、最も好ましくは非メチル化オリゴヌクレオチドを含む。
この記載において、本願明細書で使用される「本質的に宿主RNA、好ましくは宿主核酸を含まない」なる用語は、VLPにより含まれる宿主RNA、好ましくは宿主核酸の量を指し、典型的に及び好ましくはVLPの1mgにつき、30μg未満、好ましくは20μg未満、より好ましくは10μg未満、更により好ましくは8μg未満であり、更により好ましくは6μg、更に好ましくは4μg未満であり、最も好ましくは2μg未満である。前述の記載において使われているように、宿主はVLPが組換えにより産生される宿主を指す。RNA、好ましくは核酸の量を決定する従来法は、当業者に知られている。本発明に係る、RNA、好ましくは核酸の量を決定する典型的及び好適な方法は、WO2006/037787A2の実施例17に記載されている。同一、類似または相似の条件が、典型的に及び好ましくは、Qβ以外のVLPを含む本発明の組成物のために、RNA、好ましくは核酸の量の測定のために使われる。最終的に必要とされる条件の変更は、当業者の知識の範囲内である。決定される量の数値は、典型的に及び好ましくは、示された値の±10%の偏差、好ましくは±5%の偏差を有する値を含むものとして理解されるべきである。
宿主RNA、好ましくは宿主核酸:「宿主RNA、好ましくは宿主核酸」なる用語は、もともと宿主によって合成されたRNAまたは好ましくは核酸を指す。しかしながら、RNA、好ましくは核酸は、RNA、好ましくは核酸の量を減らすか又は取り除く手順において、化学的および/または物理的変化を被る可能性があり、典型的に及び好ましくは本発明の方法により、例えば、RNA、好ましくは核酸のサイズが短く成る可能性やその二次構造が変えられる可能性がある。宿主RNAまたは核酸なる用語はこれらの分解生成物を含む。しかしながら、当該結果として生じたRNA又は核酸でさえも、宿主RNA又は宿主核酸として考慮される。
RNAの量を決定するための方法及びVLPによって包含されるRNAの量を減少する方法は、同出願人により2004年10月5日に出願した米国仮出願に開示されており、その出願全体は出典明記によって本明細書中に援用される。RNA、好ましくは核酸の量を少なくするか、又は除去することにより、IL-1に対して特異的な強い抗体応答を維持して、炎症性T細胞応答及び障害性T細胞応答などの望ましくないT細胞応答や、発熱などの他の望ましくない副作用を最小限にするか、又は低減する。
ある好適な実施態様では、本発明は、本発明の組成物と本発明のRNAバクテリオファージのVLPの調製方法であって、該VLPが宿主によって組換えにより産生され、該VLPが本質的に宿主のRNA、好ましくは宿主の核酸を欠いているものであり、(a) 少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)を宿主によって組換えにより産生する工程、このときの該VLPはRNAバクテリオファージのコートタンパク質、その変異体又はその断片を含むものである;(b) 該RNAバクテリオファージのコートタンパク質、その変異体又はその断片へのウイルス様粒子を分解させる工程;(c) 該コートタンパク質、その変異体又ははその断片を精製する工程;(d) 精製した該RNAバクテリオファージのコートタンパク質、その変異体又はその断片をウイルス様粒子に再構築させる工程、このときの該ウイルス様粒子は宿主RNA、好ましくは宿主核酸を本質的に欠いているものである;そして(e) 少なくとも1の第2の付着部位を有する少なくとも1の本発明の抗原を工程(d)より得た該VLPに結合させる工程を含む方法を提供する。更なる好適な実施態様では、前記精製されたコートタンパク質、その変異体又はその断片の再構築は、少なくとも1のポリアニオン巨大分子の存在下で生じる。
一態様では、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防するためのワクチンであって、好ましくは有効量の本発明の組成物を含むワクチンを提供する。したがって、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防するためのワクチンであって、好ましくは有効量の(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)及び(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原を含み、前記少なくとも一つの抗原はIL-1分子を含むか、又はそれから成り、(a)と(b)は前記少なくとも一つの第1の付着部位と第2の付着部位を介して結合される、ワクチンを提供する。
本発明の組成物の有効量は、治療された患者、好ましくはヒトにおいて、免疫応答を誘導することができる量であり、好ましくは糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療又は予防効果に結果としてなる量である。
好ましい実施形態において、前記ワクチンは、(i)好ましくは有効量の第1の組成物であって、前記第1の組成物に含まれるIL-1分子はIL-1β分子、好ましくは配列番号136又は配列番号165である組成物である、第1の組成物;及び(ii)好ましくは有効量の第2の組成物であって、前記第2の組成物に含まれるIL-1分子はIL-1α分子、好ましくは配列番号203又は配列番号210である組成物である、第2の組成物を含む。
好適な一実施態様では、ワクチンに含まれる組成物中のVLPに結合したIL-1分子は、動物、好ましくは哺乳動物又はヒト起源のものでもよい。好適な実施態様では、本発明のIL-1はヒト、ウシ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ブタ又はウマのものである。
一実施態様では、ワクチンはさらに少なくとも一つのアジュバントを含む。
本発明の有利な特徴は、アジュバントを含まない場合でさえ、組成物の免疫原性が高いことである。そのため、好ましい実施態様では、ワクチン組成物はアジュバントを欠く。さらにアジュバントの欠如は、自己抗原に対するワクチン接種上の安全上の問題を呈する、望まない炎症性T細胞反応の発生を最小化する。よって、本発明のワクチンの患者への投与は、好ましくはワクチンの投与前、投与と同時、又は投与後に同じ患者に少なくとも一つのアジュバントを投与することなく、実施されるであろう。
しかしながら、アジュバントが投与される場合、少なくとも一つのアジュバント投与は本発明の組成物又はワクチンのアジュバントの投与前、投与と同時、又は投与後に実施される。
本発明の本発明の組成物及び/又はワクチンを個体に投与するとき、それらは、塩類、緩衝液、アジュバント又はコンジュゲートの有効性を改善するために望ましい他の物質を含む形態としてであってよい。ワクチン又は医薬組成物を調製する際の使用に適した物質の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences(Osol A編、Mack Publishing Co.(1990))などの多数の情報源に示されている。これは、滅菌水溶液(例えば、生理食塩水)又は非水溶液及び懸濁液を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。担体又は密封包帯を使用して、皮膚の浸透性を高め、抗原吸着を増大させることができる。
本発明のワクチンは、その投与が受容個体によって許容されることができる場合、「薬学的に許容可能である」と言われている。更に、本発明のワクチンは、「治療上の有効量」(すなわち所望の生理作用を産生する量)において投与される。免疫応答の性質及び種類は、本明細書の開示の限定要因ではない。本発明のワクチンは、IL-1と結合し、それによりその濃度を減少させ、及び/又はその生理学的又は病理学的の働きを妨げる抗体を誘導するが、この機序の説明は本発明の制限を意図するものではない。
従って、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防するための医薬組成物であって、(1)(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原は、IL-1分子を含むか又はそれから成り、(a)と(b)とは前記少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合する、組成物;及び(2)薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物を提供する。
また、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防するための医薬組成物であって、(1)(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含むワクチンであって、前記少なくとも一つの抗原は、IL-1分子を含むか又はそれから成り、(a)と(b)とは前記少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合する、ワクチン;及び(2)薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物を提供する。
更に本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防する方法であって、前記方法は、本発明の組成物、ワクチンまたは医薬組成物を、動物、好ましくはヒトに投与することを含む方法を提供する。更に、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防する方法であって、(i)好ましくは有効量の、第1の組成物であって、第1の組成物に含まれるIL-1分子は、IL-1β分子、好ましくは配列番号136又は配列番号165である、本発明の組成物である、第1の組成物;及び(ii)好ましくは有効量の、第2の組成物であって、第1の組成物に含まれるIL-1分子は、IL-1α分子、好ましくは配列番号203又は配列番号210である、本発明の組成物である、第2の組成物を、動物に、好ましくはヒトに投与することを含む方法を提供する。
従って、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防する方法であって、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原は、IL-1分子を含むか又はそれから成り、(a)と(b)とは前記少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合する、組成物を、動物に、好ましくはヒトに投与することを含む方法を提供する。
更に、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防する方法であって、(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原は、IL-1分子を含むか又はそれから成り、(a)と(b)とは前記少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合する、組成物を含むワクチンを、動物に、好ましくはヒトに投与することを含む方法を提供する。
更に、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防する方法であって、(1)(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原は、IL-1分子を含むか又はそれから成り、(a)と(b)とは前記少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合する組成物と(2)薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を、動物に、好ましくはヒトに投与することを含む方法を提供する。
更に、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防する方法であって、(1)(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含むワクチンであって、前記少なくとも一つの抗原は、IL-1分子を含むか又はそれから成り、(a)と(b)とは前記少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合するワクチンと(2)薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を、動物に、好ましくはヒトに投与することを含む方法を提供する。
本発明の方法に関して、前記組成物、前記ワクチン及び/又は前記医薬組成物は、前記動物、好ましくは前記ヒトに、免疫学的有用量で投与される。
好ましい実施態様において、前記動物は哺乳動物であり、好ましくはネコ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、ラット、マウスから選択され、最も好ましくはヒトである。
ある実施態様において、ワクチン/医薬組成物は、前記動物に、好ましくはヒトに、注射、注入、吸入、経口投与又は他の適切な物理学的方法によって投与されうる。好ましい実施態様において、ワクチン/医薬組成物は、前記動物に、好ましくはヒトに、筋肉内、静脈内、粘膜経由、経皮、鼻腔内、腹膜内、皮下、又はリンパ節に直接投与されてもよい。
本発明の更なる態様は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防するための組成物の使用である。より詳細には、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防するための組成物の使用であって、(1)(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原は、IL-1分子を含むか、それからなるり、(a)と(b)とは前記少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合する、組成物の使用を提供する。
本発明の更なる態様は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防するための組成物、ワクチン及び/又は医薬組成物の使用である。より詳細には、本発明は、糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療、改善および/または予防するための組成物、ワクチン及び/又は医薬組成物の使用であって、(1)(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)と(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原とを含む組成物であって、前記少なくとも一つの抗原は、IL-1分子を含むか、それからなるり、(a)と(b)とは前記少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合する、組成物、ワクチン及び/又は医薬組成物の使用を提供する。
本明細書に記載の全ての技術的特徴及び実施態様、特に本発明の組成物について記載されているものは、本発明の全ての態様、特に任意の可能な組合せの又は単独のワクチン、医薬組成物、方法及び使用に適用されてもよい。これに関連して、以下の実施態様の前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原が特に好適であることを、明確に強調する。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)配列番号165、及び配列番号131から140の何れか一つから選択されるIL-1β分子と(ii)第2の付着部位を含むリンカーであって、GGC(配列番号178)またはGGCG(配列番号188)を含むか、好ましくはそれからなるリンカーとを含むか、好ましくはそれらから成る。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)配列番号165又は配列番号136、好ましくは配列番号136であるIL-1β分子と(ii)第2の付着部位を含むリンカーであって、GGC(配列番号178)またはGGCG(配列番号188)、好ましくはGGCG(配列番号188)を含むか、好ましくはそれからなるリンカーとを含むか、好ましくはそれらから成る。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)配列番号165又は配列番号136、好ましくは配列番号136であるIL-1β分子と(ii)第2の付着部位を含むリンカーであって、前記IL-1β分子のC末端にペプチド結合により共有結合するリンカーであって、GGC(配列番号178)またはGGCG(配列番号188)、好ましくはGGCG(配列番号188)を含むか、好ましくはそれからなるリンカーとを含むか、好ましくはそれらから成る。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)配列番号165又は配列番号136、好ましくは配列番号136であるIL-1β分子と(ii)第2の付着部位を含むリンカーであって、前記IL-1β分子のC末端にペプチド結合により共有結合するリンカーであって、LEHHHHHHGGCG (配列番号219)からなるリンカーとを含むか、好ましくはそれらから成る。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、配列番号220から223の何れか一つ、好ましくは配列番号220である。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)配列番号203から218の何れか一つから選択されるIL-1α分子と(ii)第2の付着部位を含むリンカーであって、GGC(配列番号178)またはGGCG(配列番号188)を含むか、好ましくはそれからなるリンカーとを含むか、好ましくはそれらから成る。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)配列番号203又は配列番号210、好ましくは配列番号203であるIL-1α分子と(ii)第2の付着部位を含むリンカーであって、GGC(配列番号178)またはGGCG(配列番号188)、好ましくはGGCG(配列番号188)を含むか、好ましくはそれからなるリンカーとを含むか、好ましくはそれらから成る。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、(i)配列番号203又は配列番号210、好ましくは配列番号203であるIL-1α分子と(ii)第2の付着部位を含むリンカーであって、前記IL-1α分子のC末端にペプチド結合により共有結合するリンカーであって、GGC(配列番号178)またはGGCG(配列番号188)、好ましくはGGCG(配列番号188)を含むか、好ましくはそれからなるリンカーとを含むか、好ましくはそれらから成る。
更に好ましい実施態様において、前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、配列番号224又は225の何れか一つ、好ましくは配列番号224である。
実施例1
マウスIL1α117-270及びIL-1β119-269のクローニング、発現及び精製
オリゴヌクレオチドIL1α1(5'-ATATATGCTAGCCCCTTACACCTACCAGAGTGATTTG-3';配列番号24)及びIL1α2(5'-ATATATCTCGAGTGATATCTGGAAGTCTGTCATAGAG-3';配列番号25)を用いて、TNFα活性化マウスのマクロファージのcDNAライブラリーから、PCRによってマウスIL-1αのアミノ酸117-270をコードするヌクレオチド配列を増幅した。同じcDNAライブラリーを用いて、オリゴヌクレオチドIL1β1(5'-ATATATGCTAGCCCCCATTAGACAGCTGCACTACAGG-3';配列番号26)及びIL1β2(5'-ATATATCTCGAGGGAAGACACAGATTCCATGGTGAAG-3';配列番号27)によりマウスIL-1β前駆体のアミノ酸119-269をコードするヌクレオチド配列を増幅した。両DNA断片を、NheI及びXhoIで消化し、発現ベクターpModEC1(配列番号29)にクローニングした。
ベクターpModEC1(配列番号29)は、pET22b(+) (Novagen Inc.)の誘導体であって、2つの工程で構築した。第一の工程では、NheIとXhoI部位の間の元の配列をアニールしたオリゴプライマーMCS-1F(5'-TATGGATCCGGCTAGCGCTCGAGGGTTTA AACGGCGGCCGCAT-3';配列番号30)及びプライマーMCS-1R(5'-TCGAATGCGGCCG CCGTTTAAACCCTCGAGCGCTAGCCGGATCCA-3';配列番号31)(15mM トリスHCl pH8バッファ中でアニール)に置き換えることによって、pET22b(+)のマルチプルクローニングサイトを変えた。結果として生じるプラスミドをpMod00と称し、そのマルチクローニングサイトにNdeI、BamHI、NheI、XhoI、PmeI及びNotI制限部位を有していた。オリゴBamhis6-EK-Nhe-F(5'-GATCCACACCACCACCACCACCACGG TTCTGGTGACGACGATGACAAAGCGCTAGCCC-3';配列番号32)とBamhis6-EKNhe-R(5'-TCGAGGGCTAGCGCTTTGTCATCGTCGTCACCAGAACCGTGGT GGTGGTGGTGGTGTG-3';配列番号33)とのアニールした対と、オリゴ1F-C-グリシン-リンカー(5'-TCGAGGGTGGTGGTGGTGGTTGCGGTTAATAAGTTTAAACGC-3';配列番号34)とオリゴ1R-C-グリシン-リンカー(5'-GGCCGCGTTTAAACTTATTA ACCGCAACCACCACCACCACCC-3';配列番号35)とのアニールした対を一緒に、BamHI-NotI消化のpMod00プラスミドにライゲーションして、pModEC1を得た。このpModEC1はN末端ヘキサヒスチジンタグ、エンテロキナーゼ切断部位及び1つのシステイン残基を含有するC末端グリシンリンカーをコードしている。
マウスIL1α117-270及びIL-1β119-269のクローニング、発現及び精製
オリゴヌクレオチドIL1α1(5'-ATATATGCTAGCCCCTTACACCTACCAGAGTGATTTG-3';配列番号24)及びIL1α2(5'-ATATATCTCGAGTGATATCTGGAAGTCTGTCATAGAG-3';配列番号25)を用いて、TNFα活性化マウスのマクロファージのcDNAライブラリーから、PCRによってマウスIL-1αのアミノ酸117-270をコードするヌクレオチド配列を増幅した。同じcDNAライブラリーを用いて、オリゴヌクレオチドIL1β1(5'-ATATATGCTAGCCCCCATTAGACAGCTGCACTACAGG-3';配列番号26)及びIL1β2(5'-ATATATCTCGAGGGAAGACACAGATTCCATGGTGAAG-3';配列番号27)によりマウスIL-1β前駆体のアミノ酸119-269をコードするヌクレオチド配列を増幅した。両DNA断片を、NheI及びXhoIで消化し、発現ベクターpModEC1(配列番号29)にクローニングした。
ベクターpModEC1(配列番号29)は、pET22b(+) (Novagen Inc.)の誘導体であって、2つの工程で構築した。第一の工程では、NheIとXhoI部位の間の元の配列をアニールしたオリゴプライマーMCS-1F(5'-TATGGATCCGGCTAGCGCTCGAGGGTTTA AACGGCGGCCGCAT-3';配列番号30)及びプライマーMCS-1R(5'-TCGAATGCGGCCG CCGTTTAAACCCTCGAGCGCTAGCCGGATCCA-3';配列番号31)(15mM トリスHCl pH8バッファ中でアニール)に置き換えることによって、pET22b(+)のマルチプルクローニングサイトを変えた。結果として生じるプラスミドをpMod00と称し、そのマルチクローニングサイトにNdeI、BamHI、NheI、XhoI、PmeI及びNotI制限部位を有していた。オリゴBamhis6-EK-Nhe-F(5'-GATCCACACCACCACCACCACCACGG TTCTGGTGACGACGATGACAAAGCGCTAGCCC-3';配列番号32)とBamhis6-EKNhe-R(5'-TCGAGGGCTAGCGCTTTGTCATCGTCGTCACCAGAACCGTGGT GGTGGTGGTGGTGTG-3';配列番号33)とのアニールした対と、オリゴ1F-C-グリシン-リンカー(5'-TCGAGGGTGGTGGTGGTGGTTGCGGTTAATAAGTTTAAACGC-3';配列番号34)とオリゴ1R-C-グリシン-リンカー(5'-GGCCGCGTTTAAACTTATTA ACCGCAACCACCACCACCACCC-3';配列番号35)とのアニールした対を一緒に、BamHI-NotI消化のpMod00プラスミドにライゲーションして、pModEC1を得た。このpModEC1はN末端ヘキサヒスチジンタグ、エンテロキナーゼ切断部位及び1つのシステイン残基を含有するC末端グリシンリンカーをコードしている。
pModEC1への上述の断片のクローニングによりそれぞれ、プラスミドpModEC1-His-EK-mIL1α117-270及びpModEC1-His-EK-mIL1β119-269が生じた。これらのプラスミドは、N末端His-タグ、エンテロキナーゼ切断部位、成熟したマウスのIL-1α又はIL-1βのそれぞれ、及びC末端システイン含有リンカー(GGGGGCG、配列番号28)からなる融合タンパク質をコードする。発現のために、いずれかのプラスミドを有する大腸菌(Escherichia coli)BL21を37℃で600nmで1.0ODまで増殖させ、次いで、1mMの濃度のイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシドを加えて誘導した。細菌を37℃でさらに4時間生育させ、遠心によって回収し、80mlの溶解バッファ(10mM Na2HPO4、30mM NaCl、pH7.0)に再懸濁した。次いで、細胞を超音波処理し、64μlの2M MgCl2及び10μlのBenzonaseと共に室温で30分間インキュベートして細胞のDNA及びRNAを消化した。細胞のデブリを遠心によって除去し(SS34ローター、20000rpm、4℃、60分)、クリアになった可溶化液をNi2+-NTAアガロースカラム(Qiagen, Hilden, Germany)にアプライした。洗浄バッファ(50mM NaH2PO4、300mM NaCl、20mM イミダゾール、pH8.0)にてカラムを十分に洗浄した後、タンパク質を、溶出バッファ(50mM NaH2PO4、300mM NaCl、200mM イミダゾール、pH8.0)にて溶出した。精製したタンパク質をPBS pH7.2にて透析し、液体窒素中で瞬時に凍結し、後の使用まで−80℃で保存した。
実施例2
A.Qβウイルス様粒子へのマウスIL-1β119-269のカップリング
実施例1の精製されたマウスIL-1β119-269タンパク質(配列番号66)を1.3mg/ml含むPBS pH7.2の溶液を、等モル量のTCEPとともに室温で60分間インキュベートして、C末端システイン残基の還元を行った。
次いで、PBS pH7.2に2mg/mlのQβカプシドタンパク質を含む6mlの溶液を、131μlのSMPH溶液(DMSOに65mM)と室温で60分間反応させた。反応溶液を、24時間にわたって、4℃で、3Lの20mM HEPES、150mM NaClpH7.2にて3回交換して、透析した。誘導体化して透析した75μlのQβ溶液を、117μlのH2Oと308μlの精製して予め還元したマウスIL-1β119-269タンパク質と混合し、15℃で終夜インキュベートして化学的な架橋を行った。300000Daの分子量カットオフを有するセルロースエステル膜を用いて、PBSに対するタンジェンシャルフロー濾過によって非カップリングタンパク質を除去した。
カップリングした生成物を、還元条件下の12%SDS-ポリアクリルアミドゲルにて分析した。クーマシー染色したゲルを図1に示す。Qβカプシド単量体に関していくつかのバンドの増加した分子量が観察され、これによって、マウスIL-1β119-269タンパク質のQβカプシドへの架橋結合の成功が明らかに示された。
A.Qβウイルス様粒子へのマウスIL-1β119-269のカップリング
実施例1の精製されたマウスIL-1β119-269タンパク質(配列番号66)を1.3mg/ml含むPBS pH7.2の溶液を、等モル量のTCEPとともに室温で60分間インキュベートして、C末端システイン残基の還元を行った。
次いで、PBS pH7.2に2mg/mlのQβカプシドタンパク質を含む6mlの溶液を、131μlのSMPH溶液(DMSOに65mM)と室温で60分間反応させた。反応溶液を、24時間にわたって、4℃で、3Lの20mM HEPES、150mM NaClpH7.2にて3回交換して、透析した。誘導体化して透析した75μlのQβ溶液を、117μlのH2Oと308μlの精製して予め還元したマウスIL-1β119-269タンパク質と混合し、15℃で終夜インキュベートして化学的な架橋を行った。300000Daの分子量カットオフを有するセルロースエステル膜を用いて、PBSに対するタンジェンシャルフロー濾過によって非カップリングタンパク質を除去した。
カップリングした生成物を、還元条件下の12%SDS-ポリアクリルアミドゲルにて分析した。クーマシー染色したゲルを図1に示す。Qβカプシド単量体に関していくつかのバンドの増加した分子量が観察され、これによって、マウスIL-1β119-269タンパク質のQβカプシドへの架橋結合の成功が明らかに示された。
B.QβカプシドにカップリングされたマウスIL-1β119-269タンパク質(Qβ-mIL-1β119-269)によるマウスの免疫化
5匹の雌balb/cマウスを、Qβ-mIL-1β119-269(配列番号66)にて免疫化した。50μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0及び第21日目に皮下に接種した(100μlを腹部の2か所に)。第0、第21及び第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、血清をマウスIL-1β119-269特異的ELISAを用いて解析した。
5匹の雌balb/cマウスを、Qβ-mIL-1β119-269(配列番号66)にて免疫化した。50μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0及び第21日目に皮下に接種した(100μlを腹部の2か所に)。第0、第21及び第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、血清をマウスIL-1β119-269特異的ELISAを用いて解析した。
C.ELISA
ELISAプレートを1μg/ml濃度のマウスIL-1β119-269タンパク質にてコートした。プレートの反応を止めて、第0、第21及び第35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートした。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出した。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出した。平均的な抗マウスIL-1β119-269力価は、第21日目に1:22262、第35日目に1:309276であった。これにより、マウスIL-1β119-269タンパク質にカップリングしたQβによる免疫化により免疫寛容が克服され、IL-1β119-269を特異的に認識する高力価の抗体が産生されうることが示唆される。
ELISAプレートを1μg/ml濃度のマウスIL-1β119-269タンパク質にてコートした。プレートの反応を止めて、第0、第21及び第35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートした。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出した。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出した。平均的な抗マウスIL-1β119-269力価は、第21日目に1:22262、第35日目に1:309276であった。これにより、マウスIL-1β119-269タンパク質にカップリングしたQβによる免疫化により免疫寛容が克服され、IL-1β119-269を特異的に認識する高力価の抗体が産生されうることが示唆される。
D.IL-1βのインビトロ中和
Qβ-mIL-1β119-269(配列番号66)にて免疫化したマウスの血清を、それぞれのレセプターへのマウスIL-1βタンパク質の結合を阻害する能力について試験した。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、QβカプシドにカップリングしたマウスIL-1β119-269又はQβカプシドにカップリングしたマウスIL-1α117-270のいずれかにて免疫化したマウス血清の段階希釈と100ng/mlのマウスIL-1β119-269とともにインキュベートした。固定したmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するIL-1β119-269の結合をビオチン化抗マウスIL-1β抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出した。マウスIL-1β119-269に対して免疫化したマウスのすべての血清が0.4%以上の濃度でマウスIL-1β119-269のそのレセプターに対する結合を完全に阻害したのに対して、マウスIL-1α117-270に対して免疫化したマウスの血清は高濃度に用いても阻害効果を示さなかった(3.3%)。これらのデータから、QβカプシドにカップリングしたマウスIL-1β119-269による免疫化によりマウスIL-1β119-269とそのレセプターとの相互作用を中和することができる抗体を得ることができることが示唆される。
Qβ-mIL-1β119-269(配列番号66)にて免疫化したマウスの血清を、それぞれのレセプターへのマウスIL-1βタンパク質の結合を阻害する能力について試験した。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、QβカプシドにカップリングしたマウスIL-1β119-269又はQβカプシドにカップリングしたマウスIL-1α117-270のいずれかにて免疫化したマウス血清の段階希釈と100ng/mlのマウスIL-1β119-269とともにインキュベートした。固定したmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するIL-1β119-269の結合をビオチン化抗マウスIL-1β抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出した。マウスIL-1β119-269に対して免疫化したマウスのすべての血清が0.4%以上の濃度でマウスIL-1β119-269のそのレセプターに対する結合を完全に阻害したのに対して、マウスIL-1α117-270に対して免疫化したマウスの血清は高濃度に用いても阻害効果を示さなかった(3.3%)。これらのデータから、QβカプシドにカップリングしたマウスIL-1β119-269による免疫化によりマウスIL-1β119-269とそのレセプターとの相互作用を中和することができる抗体を得ることができることが示唆される。
E.IL-1βのインビボ中和
次に、Qβ-mIL-1β119-269による免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べた。したがって、4匹の雌balb/cマウスを、Qβ-mIL-1β119-269にて第0日目及び第14日目に2度免疫化し、4匹のマウスをQβカプシド単独で同時に免疫化した。第21日目に、すべてのマウスの静脈内に1μgのフリーIL-1β119-269を注射した。注射したIL-1β119-269の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の3時間後に分析して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加として求めた。Qβ-免疫化マウスは、血清IL-6濃度で1.01±0.61ng/mlの平均増加を示したのに対して、Qβ-mIL-1β119-269にて免疫化したマウスはたった0.11±0.30ng/mlの平均増加を示した。第28日目のコントロールとして、すべてのマウスに1μgのmIL-1αを注射した。注射の3時間後、Qβキャリア単独にて免疫化したマウスは血清IL-6濃度において、40.24±8.06ng/mlの平均増加を示したのに対して、Qβ-mIL-1β119-269にて免疫化したマウスは57.98±29.92ng/mlの増加を示した(p=0.30)。これらのデータから、Qβ-mIL-1β119-269による免疫化によって生産される抗体がIL-1βの炎症誘発性活性を特異的かつ効果的に中和することが可能であったことが示された。
次に、Qβ-mIL-1β119-269による免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べた。したがって、4匹の雌balb/cマウスを、Qβ-mIL-1β119-269にて第0日目及び第14日目に2度免疫化し、4匹のマウスをQβカプシド単独で同時に免疫化した。第21日目に、すべてのマウスの静脈内に1μgのフリーIL-1β119-269を注射した。注射したIL-1β119-269の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の3時間後に分析して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加として求めた。Qβ-免疫化マウスは、血清IL-6濃度で1.01±0.61ng/mlの平均増加を示したのに対して、Qβ-mIL-1β119-269にて免疫化したマウスはたった0.11±0.30ng/mlの平均増加を示した。第28日目のコントロールとして、すべてのマウスに1μgのmIL-1αを注射した。注射の3時間後、Qβキャリア単独にて免疫化したマウスは血清IL-6濃度において、40.24±8.06ng/mlの平均増加を示したのに対して、Qβ-mIL-1β119-269にて免疫化したマウスは57.98±29.92ng/mlの増加を示した(p=0.30)。これらのデータから、Qβ-mIL-1β119-269による免疫化によって生産される抗体がIL-1βの炎症誘発性活性を特異的かつ効果的に中和することが可能であったことが示された。
実施例3
A.Qβウイルス様粒子へのマウスIL-1α117-270のカップリング
実施例1の精製されたマウスIL-1α117-270タンパク質(配列番号65)を1.8mg/ml含むPBS pH7.2の溶液を、等モル量のTCEPとともに室温で60分間インキュベートして、C末端システイン残基の還元を行った。
次いで、PBS pH7.2に2mg/mlのQβカプシドタンパク質を含む6mlの溶液を、131μlのSMPH溶液(DMSOに65mM)と室温で60分間反応させた。反応溶液を、24時間にわたって3lの20mM HEPES、150mM NaClpH7.2にて3回交換して、4℃で透析した。誘導体化して透析した75μlのQβ溶液を、192μlのH2Oと233μlの精製して予め還元したマウスIL-1α117-270タンパク質と混合し、15℃で終夜インキュベートして化学的な架橋を行った。300000Daの分子量カットオフを有するセルロースエステル膜を用いて、PBSに対するタンジェンシャルフロー濾過によって非カップリングタンパク質を除去した。
カップリングした生成物を、還元条件下の12%SDS-ポリアクリルアミドゲルにて分析した。クーマシー染色したゲルを図2に示す。Qβカプシド単量体に関していくつかのバンドの増加した分子量が観察され、これによって、マウスIL-1α117-270タンパク質のQβカプシドへの架橋結合の成功が明らかに示された。
A.Qβウイルス様粒子へのマウスIL-1α117-270のカップリング
実施例1の精製されたマウスIL-1α117-270タンパク質(配列番号65)を1.8mg/ml含むPBS pH7.2の溶液を、等モル量のTCEPとともに室温で60分間インキュベートして、C末端システイン残基の還元を行った。
次いで、PBS pH7.2に2mg/mlのQβカプシドタンパク質を含む6mlの溶液を、131μlのSMPH溶液(DMSOに65mM)と室温で60分間反応させた。反応溶液を、24時間にわたって3lの20mM HEPES、150mM NaClpH7.2にて3回交換して、4℃で透析した。誘導体化して透析した75μlのQβ溶液を、192μlのH2Oと233μlの精製して予め還元したマウスIL-1α117-270タンパク質と混合し、15℃で終夜インキュベートして化学的な架橋を行った。300000Daの分子量カットオフを有するセルロースエステル膜を用いて、PBSに対するタンジェンシャルフロー濾過によって非カップリングタンパク質を除去した。
カップリングした生成物を、還元条件下の12%SDS-ポリアクリルアミドゲルにて分析した。クーマシー染色したゲルを図2に示す。Qβカプシド単量体に関していくつかのバンドの増加した分子量が観察され、これによって、マウスIL-1α117-270タンパク質のQβカプシドへの架橋結合の成功が明らかに示された。
B.QβカプシドにカップリングされたマウスIL-1β119-269タンパク質(Qβ-mIL-1β119-269)によるマウスの免疫化
5匹の雌balb/cマウスを、Qβ-mIL-1α117-270にて免疫化した。50μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0及び第21日目に皮下に接種した(100μlを2か所の腹部に)。第0、第21及び第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、血清をマウスIL-1α117-270特異的ELISAを用いて解析した。
5匹の雌balb/cマウスを、Qβ-mIL-1α117-270にて免疫化した。50μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0及び第21日目に皮下に接種した(100μlを2か所の腹部に)。第0、第21及び第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、血清をマウスIL-1α117-270特異的ELISAを用いて解析した。
C.ELISA
ELISAプレートを1μg/ml濃度のマウスIL-1α117-270タンパク質にてコートした。プレートの反応を止めて、第0、第21及び第35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートした。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出した。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出した。平均的な抗マウスIL-1α117-270力価は、第21日目に1:9252、第35日目に1:736912であった。これにより、マウスIL-1α117-270タンパク質にカップリングしたQβによる免疫化により免疫寛容が克服され、IL-1α117-270を特異的に認識する高力価の抗体が産生されうる。
ELISAプレートを1μg/ml濃度のマウスIL-1α117-270タンパク質にてコートした。プレートの反応を止めて、第0、第21及び第35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートした。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出した。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出した。平均的な抗マウスIL-1α117-270力価は、第21日目に1:9252、第35日目に1:736912であった。これにより、マウスIL-1α117-270タンパク質にカップリングしたQβによる免疫化により免疫寛容が克服され、IL-1α117-270を特異的に認識する高力価の抗体が産生されうる。
D.IL-1αのインビトロ中和
Qβ-mIL-1α117-270にて免疫化したマウスの血清を、マウスIL-1αタンパク質のそれぞれのレセプターへの結合を阻害する能力について試験した。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、QβカプシドにカップリングしたマウスIL-1α117-270又はQβカプシドにカップリングしたマウスIL-1β119-269のいずれかにて免疫化したマウス血清の段階希釈と5ng/mlのマウスIL-1α117-270とともにインキュベートした。固定したmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するIL-1α117-270の結合をビオチン化抗マウスIL-1α抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出した。マウスIL-1α117-270に対して免疫化したマウスのすべての血清が0.4%以上の濃度でマウスIL-1α117-270のそのレセプターに対する結合を完全に阻害したのに対して、マウスIL-1β119-269に対して免疫化したマウスの血清は高濃度に用いても阻害効果を示さなかった(3.3%)。これらのデータから、QβカプシドにカップリングしたマウスIL-1α117-270による免疫化によりマウスIL-1α117-270とそのレセプターとの相互作用を中和することができる抗体を得ることができることが示唆される。
Qβ-mIL-1α117-270にて免疫化したマウスの血清を、マウスIL-1αタンパク質のそれぞれのレセプターへの結合を阻害する能力について試験した。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、QβカプシドにカップリングしたマウスIL-1α117-270又はQβカプシドにカップリングしたマウスIL-1β119-269のいずれかにて免疫化したマウス血清の段階希釈と5ng/mlのマウスIL-1α117-270とともにインキュベートした。固定したmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するIL-1α117-270の結合をビオチン化抗マウスIL-1α抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出した。マウスIL-1α117-270に対して免疫化したマウスのすべての血清が0.4%以上の濃度でマウスIL-1α117-270のそのレセプターに対する結合を完全に阻害したのに対して、マウスIL-1β119-269に対して免疫化したマウスの血清は高濃度に用いても阻害効果を示さなかった(3.3%)。これらのデータから、QβカプシドにカップリングしたマウスIL-1α117-270による免疫化によりマウスIL-1α117-270とそのレセプターとの相互作用を中和することができる抗体を得ることができることが示唆される。
E.IL-1αのインビボ中和
次に、Qβ-mIL-1α117-270による免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べた。したがって、4匹の雌balb/cマウスを、Qβ-mIL-1α117-270にて第0日目及び第14日目に2回免疫化し、4匹のマウスをQβカプシド単独で同時に免疫化した。第21日目に、すべてのマウスの静脈内に1μgのフリーIL-1α117-270を注射した。注射したIL-1α117-270の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の3時間後に分析して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加として求めた。Qβ-免疫化マウスは8.16±2.33ng/mlの血清IL-6濃度において平均増加を示したのに対して、Qβ-mIL-1α117-270にて免疫化したマウスはたった0.15±0.27ng/mlの平均増加を示した(p=0.0005)。第28日目のコントロールとして、すべてのマウスに1μgのmIL-1βを注射した。注射の3時間後、Qβキャリア単独にて免疫化したマウスは9.52±7.33ng/mlの血清IL-6濃度の平均増加を示したのに対して、Qβ-mIL-1α117-270にて免疫化したマウスは21.46±27.36ng/mlの増加を示した(p=0.43)。これらのデータから、Qβ-mIL-1α117-270による免疫化によって生産される抗体がIL-1αの炎症誘発性活性を特異的かつ効果的に中和することが可能であったことが示された。
次に、Qβ-mIL-1α117-270による免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べた。したがって、4匹の雌balb/cマウスを、Qβ-mIL-1α117-270にて第0日目及び第14日目に2回免疫化し、4匹のマウスをQβカプシド単独で同時に免疫化した。第21日目に、すべてのマウスの静脈内に1μgのフリーIL-1α117-270を注射した。注射したIL-1α117-270の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の3時間後に分析して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加として求めた。Qβ-免疫化マウスは8.16±2.33ng/mlの血清IL-6濃度において平均増加を示したのに対して、Qβ-mIL-1α117-270にて免疫化したマウスはたった0.15±0.27ng/mlの平均増加を示した(p=0.0005)。第28日目のコントロールとして、すべてのマウスに1μgのmIL-1βを注射した。注射の3時間後、Qβキャリア単独にて免疫化したマウスは9.52±7.33ng/mlの血清IL-6濃度の平均増加を示したのに対して、Qβ-mIL-1α117-270にて免疫化したマウスは21.46±27.36ng/mlの増加を示した(p=0.43)。これらのデータから、Qβ-mIL-1α117-270による免疫化によって生産される抗体がIL-1αの炎症誘発性活性を特異的かつ効果的に中和することが可能であったことが示された。
実施例4
関節リウマチのマウスモデルにおけるKineret(登録商標)処置に対するQβ-mIL-1α117-270とQβ-mIL-1β119-269の免疫化の比較
Kineret(登録商標)(Anakinra, Amgen)は、ヒトの関節リウマチの治療の承認を得ているヒトIL-1レセプターアンタゴニストの組み換え型である。臨床的な有用性を満たすために、比較的高い用量(100mg)を皮下投与により毎日投与する必要がある。コラーゲン誘発性関節炎モデルを用いて、Qβ-mIL-1α117-270及びQβ-mIL-1β119-269の免疫化の有効性を異なる用量のKineret(登録商標)の毎日適用と比較した。雄のDBA/1マウスに、50μgのQβ-mIL-1α117-270(n=8)、Qβ-mIL-1β119-269(n=8)又はQβ単独(n=32)のいずれかを3回(第0、14及び28日目)皮下投与して免疫化し、次いで第42日目に完全フロインドアジュバントと混合した200μgのウシタイプIIコラーゲンを皮内に注射した。第42日目から、Qβ-mIL-1α117-270及びQβ-mIL-1β119-269にて免疫化したマウス、及び1群のQβ-免疫化マウス(n=8)に200μlのPBSを毎日腹腔内投与したのに対して、更なる3つのQβ-免疫化群に37.5μg(n=8)、375μg(n=8)又は3.75mg(n=8)のいずれかのKineret(登録商標)を毎日腹腔内投与した。1マウスにつき37.5μgのKineret(登録商標)の連日投与はおよそ1.5mg/kgの用量に相当し、これはヒトに推奨される効果的な量の範囲内である(100mg)。すべてのマウスに、不完全フロイントアジュバントと混合した200μgのウシタイプIIコラーゲンを63日目に皮内投与して追加免役し、関節炎症状の発達について毎日調べた。
2回目のコラーゲン投与の4週間後、Qβ-免疫化コントロールマウスは3.75の平均的累積臨床スコア(WO2008/037504A1の実施例2Fに定義する)を示したのに対して、Qβ-mIL-1α117-270及びQβ-mIL-1β119-269-免疫化マウスはそれぞれたった0.81及び1.44の平均スコアを示した(表1を参照)。37.5μg又は375μgのKineret(登録商標)にて処置したマウスはそれぞれ2.44及び2.63の平均スコアに達したのに対して、3.75mgのKineret(登録商標)にて処置したマウスは大部分が無症候性のままであり、たった0.19の最大スコアに達した。
炎症反応の追加的な読み出し値として、全ての動物の後足関節の厚みが定期的に計量された。第2回目のコラーゲン注射の4週間後、Qβ免疫化の対照マウスは、後足関節厚が平均16%増大し、一方でQβ-mIL-1α117-270免疫化マウスは2%の増大を、Qβ-mIL-1β119-269免疫化マウスは6%の増大を示した。37.5μg又は375μgのKineret(登録商標)で処置したマウスはそれぞれ13%及び10%の増大を示し、3.75mgのKineret(登録商標)で処置したマウスは後足関節の厚みの増大を示さなかった。
結論として、驚くべきことに、Qβ-mIL-1α117-270又はQβ-mIL-1β119-269のいずれかの3回の注射は、ヒトの投与量又はヒトに10倍の投与量に相当する量のKineret(登録商標)の毎日の注射よりも、関節炎症の進行から、マウスをより良く保護した。Kineret(登録商標)のヒトの100倍の投与量の適用だけが、Qβ-mIL-1α117-270又はQβ-mIL-1β119-269のワクチン化に関して増大した恩恵を示した。
表1:コラーゲン誘発性関節炎モデルにおける臨床疾患症状
関節リウマチのマウスモデルにおけるKineret(登録商標)処置に対するQβ-mIL-1α117-270とQβ-mIL-1β119-269の免疫化の比較
Kineret(登録商標)(Anakinra, Amgen)は、ヒトの関節リウマチの治療の承認を得ているヒトIL-1レセプターアンタゴニストの組み換え型である。臨床的な有用性を満たすために、比較的高い用量(100mg)を皮下投与により毎日投与する必要がある。コラーゲン誘発性関節炎モデルを用いて、Qβ-mIL-1α117-270及びQβ-mIL-1β119-269の免疫化の有効性を異なる用量のKineret(登録商標)の毎日適用と比較した。雄のDBA/1マウスに、50μgのQβ-mIL-1α117-270(n=8)、Qβ-mIL-1β119-269(n=8)又はQβ単独(n=32)のいずれかを3回(第0、14及び28日目)皮下投与して免疫化し、次いで第42日目に完全フロインドアジュバントと混合した200μgのウシタイプIIコラーゲンを皮内に注射した。第42日目から、Qβ-mIL-1α117-270及びQβ-mIL-1β119-269にて免疫化したマウス、及び1群のQβ-免疫化マウス(n=8)に200μlのPBSを毎日腹腔内投与したのに対して、更なる3つのQβ-免疫化群に37.5μg(n=8)、375μg(n=8)又は3.75mg(n=8)のいずれかのKineret(登録商標)を毎日腹腔内投与した。1マウスにつき37.5μgのKineret(登録商標)の連日投与はおよそ1.5mg/kgの用量に相当し、これはヒトに推奨される効果的な量の範囲内である(100mg)。すべてのマウスに、不完全フロイントアジュバントと混合した200μgのウシタイプIIコラーゲンを63日目に皮内投与して追加免役し、関節炎症状の発達について毎日調べた。
2回目のコラーゲン投与の4週間後、Qβ-免疫化コントロールマウスは3.75の平均的累積臨床スコア(WO2008/037504A1の実施例2Fに定義する)を示したのに対して、Qβ-mIL-1α117-270及びQβ-mIL-1β119-269-免疫化マウスはそれぞれたった0.81及び1.44の平均スコアを示した(表1を参照)。37.5μg又は375μgのKineret(登録商標)にて処置したマウスはそれぞれ2.44及び2.63の平均スコアに達したのに対して、3.75mgのKineret(登録商標)にて処置したマウスは大部分が無症候性のままであり、たった0.19の最大スコアに達した。
炎症反応の追加的な読み出し値として、全ての動物の後足関節の厚みが定期的に計量された。第2回目のコラーゲン注射の4週間後、Qβ免疫化の対照マウスは、後足関節厚が平均16%増大し、一方でQβ-mIL-1α117-270免疫化マウスは2%の増大を、Qβ-mIL-1β119-269免疫化マウスは6%の増大を示した。37.5μg又は375μgのKineret(登録商標)で処置したマウスはそれぞれ13%及び10%の増大を示し、3.75mgのKineret(登録商標)で処置したマウスは後足関節の厚みの増大を示さなかった。
結論として、驚くべきことに、Qβ-mIL-1α117-270又はQβ-mIL-1β119-269のいずれかの3回の注射は、ヒトの投与量又はヒトに10倍の投与量に相当する量のKineret(登録商標)の毎日の注射よりも、関節炎症の進行から、マウスをより良く保護した。Kineret(登録商標)のヒトの100倍の投与量の適用だけが、Qβ-mIL-1α117-270又はQβ-mIL-1β119-269のワクチン化に関して増大した恩恵を示した。
表1:コラーゲン誘発性関節炎モデルにおける臨床疾患症状
実施例5
A.マウスIL-1α117-270に遺伝的に融合したAP205コートタンパク質(AP205_mIL-1α117-270)からなるウイルス様粒子のクローニング、発現及び精製
インターロイキン-1αのサイズが大きく、立体の問題から、インターロイキン-1αに融合したAP205コートタンパク質並びにwtコートタンパク質サブユニットを含む、いわゆるモザイク粒子を産生する発現系を構築した。このシステムでは、停止コドンの抑制によりAP205-インターロイキン-1αコートタンパク質融合体が生じるのに対して、適当な終止によりwt AP205コートタンパク質が生じる。両タンパク質は細胞内で同時に生産され、モザイクウイルス様粒子内に集合する。サプレッサーコドンTAG(アンバー、pAP590)又はTGA(オパール、pAP592)により終止するAP205コートタンパク質遺伝子をコードする2つの中間プラスミドpAP590及びpAP592を作製した。トリペプチドGly-Ser-Gly(配列番号189)をコードするリンカー配列をコートタンパク質遺伝子の下流とインフレームに付加した。Kpn2I及びHindIII部位を、AP205コートタンパク質のC末端であるGly-Ser-Glyアミノ酸リンカーのC末端に外来性のアミノ酸配列をコードする配列をクローニングするために付加した。結果として生じるコンストラクトは以下の通りであった。AP590(配列番号117):AP205コートタンパク質遺伝子−アンバーコドン−GSG(Kpn2I − HindIII);及び、AP592(配列番号118):AP205コートタンパク質遺伝子−オパールコドン−GSG(Kpn2I−HindIII)プラスミドpAP590の構築のために、オリゴヌクレオチドp1.44(5'-NNCCATGGCAAATAAGCCAATGCAACCG-3';配列番号119)及びpINC-36(5'-GTAAGCTTAGATGCATTATCCGGA TCCCTAAGCAGTAGTATCAGACGATACG-3';配列番号120)にて得たPCR断片をNcoIとHindIIIにて消化して、同じ制限酵素にて消化したベクターpQb185にクローニングした。pQb185はpGEMベクター由来のベクターである。このベクター内でのクローニングした遺伝子の発現は、trpプロモーターにて制御する(Kozlovska, T. M.等, Gene 137:133-37 (1993))。同様に、プラスミドpAP592は、オリゴヌクレオチドp1.44及びpINC-40(5'-GTAAGCTTAGATGCATTATCCGGATCCTCAAGCAGTAGTA TCAGACGATACG-3';配列番号121)にて得たNcoI/HindIII消化PCR断片をクローニングすることによって構築した。
A.マウスIL-1α117-270に遺伝的に融合したAP205コートタンパク質(AP205_mIL-1α117-270)からなるウイルス様粒子のクローニング、発現及び精製
インターロイキン-1αのサイズが大きく、立体の問題から、インターロイキン-1αに融合したAP205コートタンパク質並びにwtコートタンパク質サブユニットを含む、いわゆるモザイク粒子を産生する発現系を構築した。このシステムでは、停止コドンの抑制によりAP205-インターロイキン-1αコートタンパク質融合体が生じるのに対して、適当な終止によりwt AP205コートタンパク質が生じる。両タンパク質は細胞内で同時に生産され、モザイクウイルス様粒子内に集合する。サプレッサーコドンTAG(アンバー、pAP590)又はTGA(オパール、pAP592)により終止するAP205コートタンパク質遺伝子をコードする2つの中間プラスミドpAP590及びpAP592を作製した。トリペプチドGly-Ser-Gly(配列番号189)をコードするリンカー配列をコートタンパク質遺伝子の下流とインフレームに付加した。Kpn2I及びHindIII部位を、AP205コートタンパク質のC末端であるGly-Ser-Glyアミノ酸リンカーのC末端に外来性のアミノ酸配列をコードする配列をクローニングするために付加した。結果として生じるコンストラクトは以下の通りであった。AP590(配列番号117):AP205コートタンパク質遺伝子−アンバーコドン−GSG(Kpn2I − HindIII);及び、AP592(配列番号118):AP205コートタンパク質遺伝子−オパールコドン−GSG(Kpn2I−HindIII)プラスミドpAP590の構築のために、オリゴヌクレオチドp1.44(5'-NNCCATGGCAAATAAGCCAATGCAACCG-3';配列番号119)及びpINC-36(5'-GTAAGCTTAGATGCATTATCCGGA TCCCTAAGCAGTAGTATCAGACGATACG-3';配列番号120)にて得たPCR断片をNcoIとHindIIIにて消化して、同じ制限酵素にて消化したベクターpQb185にクローニングした。pQb185はpGEMベクター由来のベクターである。このベクター内でのクローニングした遺伝子の発現は、trpプロモーターにて制御する(Kozlovska, T. M.等, Gene 137:133-37 (1993))。同様に、プラスミドpAP592は、オリゴヌクレオチドp1.44及びpINC-40(5'-GTAAGCTTAGATGCATTATCCGGATCCTCAAGCAGTAGTA TCAGACGATACG-3';配列番号121)にて得たNcoI/HindIII消化PCR断片をクローニングすることによって構築した。
マウスIL-1αのアミノ酸117-270をコードする配列は、5'及び3'末端のそれぞれにKpn2I及びHindIII制限酵素部位を付加した、プライマーpINC-34(5'-GGTCCGGAGCGCTAGCCCCTTACAC-3';配列番号122)及びpINC-35(5'-GTAAGCTTATGCATTATGATATCTGGAAGTCTGTCATAGA-3';配列番号123)を用いて、プラスミドpModEC1-His-EK-mIL1α117-270(実施例1を参照)からPCRによって増加した。得たDNA断片をKpn2I及びHindIIIにて消化し、プラスミドpAP594(アンバー終止)を作製するベクターpAP590と、プラスミドpAP596(オパール終止)を作製するベクターpAP592のそれぞれにクローニングした。
表面上にマウスIL-1αをディスプレイするモザイクAP205 VLPを発現させるために、プラスミドpISM579又はpISM3001を含む大腸菌JM109細胞をそれぞれプラスミドpAP594又はpAP596にて形質転換させた。制限エンドヌクレアーゼEcoRIにてpISM3001からtrpT176遺伝子を切り出し、アンバーtRNAサプレッサー遺伝子を含むプラスミドpMY579(Michael Yarusから贈与)のEcoRI断片に置換することによってプラスミドpISM579を生成した。このtRNAサプレッサー遺伝子はtrpT175の変異体であり(Raftery LA.等 (1984) J. Bacteriol. 158:849-859)、3つの位置:G33、A24及びT35がtrpTと異なる。20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に、単一のコロニーを播いて、振盪せずに37℃で16〜24時間インキュベートした。調製された種菌は、20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含むM9培地にて50倍に希釈し、振とう器上で37℃で終夜インキュベートした。細胞を遠心して回収した。
表面上にマウスIL-1αをディスプレイするモザイクAP205 VLPを発現させるために、プラスミドpISM579又はpISM3001を含む大腸菌JM109細胞をそれぞれプラスミドpAP594又はpAP596にて形質転換させた。制限エンドヌクレアーゼEcoRIにてpISM3001からtrpT176遺伝子を切り出し、アンバーtRNAサプレッサー遺伝子を含むプラスミドpMY579(Michael Yarusから贈与)のEcoRI断片に置換することによってプラスミドpISM579を生成した。このtRNAサプレッサー遺伝子はtrpT175の変異体であり(Raftery LA.等 (1984) J. Bacteriol. 158:849-859)、3つの位置:G33、A24及びT35がtrpTと異なる。20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に、単一のコロニーを播いて、振盪せずに37℃で16〜24時間インキュベートした。調製された種菌は、20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含むM9培地にて50倍に希釈し、振とう器上で37℃で終夜インキュベートした。細胞を遠心して回収した。
細胞(1g、プラスミドpAP594にて形質転換、pISM579を含有)を、溶解バッファ(20mM トリス-HCl、5mM EDTA、150mM NaCl、pH7.8、0.1%トゥイーン20)にて超音波処理して溶解した。溶解物は遠心によってクリアにし、細胞片を溶解バッファにて洗浄した。プールした上清を、TENバッファ(20mM トリス-HCl、5mM EDTA、150mM NaCl、pH7.8)にて溶出したセファロースCL-4Bカラムに流した。洗浄した溶解物及び洗浄上清中のカプシドの有無は、アガロースゲル電気泳動(1%TAE、エチジウムブロマイド染色ゲル及びUV検出)によって確認した。SDS-PAGE又は310nmの光散乱のUV分光測定分析にて測定すると、カラムから2つのピークが溶出された。カプシドを含む2つ目のピークの分画をプールし、セファロースCL-6Bカラムに流した。CL-6Bカラムのピーク分画をプールし、遠心濾過ユニット(Amiconウルトラ15 MWCO30000、Millipore)を用いて濃縮した。タンパク質は更なる1つによってさらに精製された。そして、上としての単位はCL-4Bカラム及び生じているピークの分画上のゲル濾過の中でプールされて、遠心濾過機に濃縮された。バッファを10mM Hepes、pH7.5に交換し、グリセロールを50%の終濃度まで加えた。
B. AP205_mIL-1α117-270によるマウスの免疫化
4匹の雌balb/cマウスをAP205_mIL-1α117-270にて免疫化した。25μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0、第14及び第28日目に皮下に接種した(100μlを2か所の腹部に)。第0、第14、第28及び第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、血清をマウスIL-1α117-270特異的ELISAを用いて解析した。
4匹の雌balb/cマウスをAP205_mIL-1α117-270にて免疫化した。25μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0、第14及び第28日目に皮下に接種した(100μlを2か所の腹部に)。第0、第14、第28及び第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、血清をマウスIL-1α117-270特異的ELISAを用いて解析した。
C.ELISA
ELISAプレートを1μg/ml濃度のマウスIL-1α117-270タンパク質にてコートした。プレートの反応を止めて、第14、第28及び第35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートした。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出した。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出した。平均的な抗マウスIL-1α117-270力価は、第14日目に1:4412、第28日目に1:27955、第35日目に1:34824であった。これにより、AP205_mIL-1α117-270による免疫化により免疫寛容が克服され、IL-1α117-270を特異的に認識する高力価の抗体が産生されうることが示唆される。
ELISAプレートを1μg/ml濃度のマウスIL-1α117-270タンパク質にてコートした。プレートの反応を止めて、第14、第28及び第35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートした。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出した。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出した。平均的な抗マウスIL-1α117-270力価は、第14日目に1:4412、第28日目に1:27955、第35日目に1:34824であった。これにより、AP205_mIL-1α117-270による免疫化により免疫寛容が克服され、IL-1α117-270を特異的に認識する高力価の抗体が産生されうることが示唆される。
D.IL-1αのインビトロ中和
AP205_mIL-1α117-270にて免疫化したマウスの血清を、マウスIL-1αタンパク質のそれぞれのレセプターへの結合を阻害する能力について試験した。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、AP205_mIL-1α117-270又はAP205単独のいずれかにて免疫化したマウス血清の段階希釈と100ng/mlのマウスIL-1α117-270とともにインキュベートした。固定したmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するIL-1α117-270の結合をビオチン化抗マウスIL-1α抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出した。AP205_mIL-1α117-270免疫化マウスのすべての血清が3.3%以上の濃度でマウスIL-1α117-270のそのレセプターへの結合を完全に阻害したのに対して、AP205にて免疫化したマウスの血清は用いたいずれの濃度においても有意な阻害効果を示さなかった。これらのデータから、AP205_mIL-1α117-270による免疫化によりマウスIL-1α117-270とそのレセプターとの相互作用を特異的に中和することができる抗体を得ることができることが示唆される。
AP205_mIL-1α117-270にて免疫化したマウスの血清を、マウスIL-1αタンパク質のそれぞれのレセプターへの結合を阻害する能力について試験した。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、AP205_mIL-1α117-270又はAP205単独のいずれかにて免疫化したマウス血清の段階希釈と100ng/mlのマウスIL-1α117-270とともにインキュベートした。固定したmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するIL-1α117-270の結合をビオチン化抗マウスIL-1α抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出した。AP205_mIL-1α117-270免疫化マウスのすべての血清が3.3%以上の濃度でマウスIL-1α117-270のそのレセプターへの結合を完全に阻害したのに対して、AP205にて免疫化したマウスの血清は用いたいずれの濃度においても有意な阻害効果を示さなかった。これらのデータから、AP205_mIL-1α117-270による免疫化によりマウスIL-1α117-270とそのレセプターとの相互作用を特異的に中和することができる抗体を得ることができることが示唆される。
E.IL-1αのインビボ中和
次に、AP205_mIL-1α117-270による免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べた。したがって、4匹の雌balb/cマウスを、AP205_mIL-1α117-270にて第0、14及び28日目に3度免疫化し、4匹のマウスをAP205単独で同時に免疫化した。第42日目に、すべてのマウスの静脈内に1μgのフリーIL-1α117-270を注射した。注射したIL-1α117-270の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の前と3時間後に回収して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加について分析した。AP205-免疫化マウスは12.92±3.95ng/mlの血清IL-6濃度の平均増加を示したのに対して、AP205_mIL-1α117-270にて免疫化したマウスはたった0.06±0.05ng/mlの平均増加を示した(p<0.01)。これらのデータから、AP205_mIL-1α117-270による免疫化によって生産される抗体がIL-1αの炎症誘発性活性を特異的かつ効果的に中和することが可能であったことが示される。
次に、AP205_mIL-1α117-270による免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べた。したがって、4匹の雌balb/cマウスを、AP205_mIL-1α117-270にて第0、14及び28日目に3度免疫化し、4匹のマウスをAP205単独で同時に免疫化した。第42日目に、すべてのマウスの静脈内に1μgのフリーIL-1α117-270を注射した。注射したIL-1α117-270の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の前と3時間後に回収して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加について分析した。AP205-免疫化マウスは12.92±3.95ng/mlの血清IL-6濃度の平均増加を示したのに対して、AP205_mIL-1α117-270にて免疫化したマウスはたった0.06±0.05ng/mlの平均増加を示した(p<0.01)。これらのデータから、AP205_mIL-1α117-270による免疫化によって生産される抗体がIL-1αの炎症誘発性活性を特異的かつ効果的に中和することが可能であったことが示される。
実施例6
A.マウスIL-1β119-269に遺伝的に融合させたAP205コートタンパク質(AP205_mIL-1β119-269)からなるウイルス様粒子のクローニング及び発現
基本的には実施例5のAP205_mIL-1α117-270について記載したように、マウスIL-1β119-269に遺伝的に融合させたAP205コートタンパク質からなるウイルス様粒子のクローニング、発現及び精製を行った。プライマーpINC-75(5'-GATCCGGAGGTGGTGTCCCCATTAGACAGCT-3'、配列番号192)及びpINC-77(5'-GTAAGCTTAGGAAGACACAGATTCCAT-3'、配列番号193)を用いて、マウスインターロイキン1βをコードするプラスミドpModEC1-His-EK-mIL1(119-269からマウスインターロイキン1βの配列を増幅した。これらのプライマーは、5'のKpn2Iと3'のHind IIIの部位を有し、マウスインターロイキン1βのN末端にアミノ酸配列Gly-Glyをさらにコードするマウスインターロイキン-1β遺伝子を増幅する。得られたmur-IL-1β断片をKpn2I及びHindIIIにて消化し、プラスミドpAP630を作製するベクターpAP590(アンバー終止)内の同じ制限酵素部位にクローニングした。アンバー終止を示すプラスミドpISM579を含む大腸菌JM109を、プラスミドpAP630にて形質転換した。20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に、単一のコロニーを播いて、振盪せずに37℃で16〜24時間インキュベートした。調製された種菌は、20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含むM9培地にて50倍に希釈し、振とう器上で37℃で終夜インキュベートした。細胞を遠心して回収した。
A.マウスIL-1β119-269に遺伝的に融合させたAP205コートタンパク質(AP205_mIL-1β119-269)からなるウイルス様粒子のクローニング及び発現
基本的には実施例5のAP205_mIL-1α117-270について記載したように、マウスIL-1β119-269に遺伝的に融合させたAP205コートタンパク質からなるウイルス様粒子のクローニング、発現及び精製を行った。プライマーpINC-75(5'-GATCCGGAGGTGGTGTCCCCATTAGACAGCT-3'、配列番号192)及びpINC-77(5'-GTAAGCTTAGGAAGACACAGATTCCAT-3'、配列番号193)を用いて、マウスインターロイキン1βをコードするプラスミドpModEC1-His-EK-mIL1(119-269からマウスインターロイキン1βの配列を増幅した。これらのプライマーは、5'のKpn2Iと3'のHind IIIの部位を有し、マウスインターロイキン1βのN末端にアミノ酸配列Gly-Glyをさらにコードするマウスインターロイキン-1β遺伝子を増幅する。得られたmur-IL-1β断片をKpn2I及びHindIIIにて消化し、プラスミドpAP630を作製するベクターpAP590(アンバー終止)内の同じ制限酵素部位にクローニングした。アンバー終止を示すプラスミドpISM579を含む大腸菌JM109を、プラスミドpAP630にて形質転換した。20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に、単一のコロニーを播いて、振盪せずに37℃で16〜24時間インキュベートした。調製された種菌は、20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含むM9培地にて50倍に希釈し、振とう器上で37℃で終夜インキュベートした。細胞を遠心して回収した。
B.ヒトIL-1β116-269に遺伝的に融合させたAP205コートタンパク質(AP205_hIL-1β116-269)からなるウイルス様粒子のクローニング及び発現
それぞれ5'にKpn2I部位と3'にMph1103I部位を導入するプライマーpINC-74(5'- GA TCC GGA GGT GGT GCC CCT GTA CGA TCA CTG AAC TG -3'、配列番号194)及びpINC-76(5'-GTATGCATTAGGAAGACACAAATTGCATGGTGAAGTC-3、配列番号195)を用いて、ヒトインターロイキン1βをコードするプラスミドpET42T-hIL-1β116-269からヒトインターロイキン1βの配列を増幅した。得られたヒト-IL-1β断片をKpn2I及びMph1103Iにて消化し、プラスミドpAP649を作製するベクターpAP590(アンバー終止)内の同じ制限酵素部位にクローニングした。プラスミドpISM579(アンバー終止を示す)を含む大腸菌JM109を、プラスミドpAP649にて形質転換した。20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に、単一のコロニーを播いて、振盪せずに37℃で16〜24時間インキュベートした。調製された種菌は、20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含むM9培地にて50倍に希釈し、振とう器上で37℃で終夜インキュベートした。細胞を遠心して回収した。
それぞれ5'にKpn2I部位と3'にMph1103I部位を導入するプライマーpINC-74(5'- GA TCC GGA GGT GGT GCC CCT GTA CGA TCA CTG AAC TG -3'、配列番号194)及びpINC-76(5'-GTATGCATTAGGAAGACACAAATTGCATGGTGAAGTC-3、配列番号195)を用いて、ヒトインターロイキン1βをコードするプラスミドpET42T-hIL-1β116-269からヒトインターロイキン1βの配列を増幅した。得られたヒト-IL-1β断片をKpn2I及びMph1103Iにて消化し、プラスミドpAP649を作製するベクターpAP590(アンバー終止)内の同じ制限酵素部位にクローニングした。プラスミドpISM579(アンバー終止を示す)を含む大腸菌JM109を、プラスミドpAP649にて形質転換した。20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に、単一のコロニーを播いて、振盪せずに37℃で16〜24時間インキュベートした。調製された種菌は、20μg/mlアンピシリン及び10μg/mlカナマイシンを含むM9培地にて50倍に希釈し、振とう器上で37℃で終夜インキュベートした。細胞を遠心して回収した。
C.AP205_mIL-1β119-269によるマウスの免疫化
4匹の雌balb/cマウスをAP205_mIL-1β119-269にて免疫化する。25μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0、第14及び第28日目に皮下に接種する(100μlを2か所の腹部に)。第0、第14、第28及び第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、血清をマウスIL-1β119-269特異的ELISAを用いて分析する。
4匹の雌balb/cマウスをAP205_mIL-1β119-269にて免疫化する。25μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0、第14及び第28日目に皮下に接種する(100μlを2か所の腹部に)。第0、第14、第28及び第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、血清をマウスIL-1β119-269特異的ELISAを用いて分析する。
D.ELISA
ELISAプレートを1μg/ml濃度のマウスIL-1β119-269タンパク質にてコートする。プレートの反応を止めて、第0、14、28及び35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートする。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出する。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出する。AP205_mIL-1β119-269による免疫化により高度に特異的な抗マウスIL-1β119-269力価が生じる。これにより、AP205_mIL-1β119-269による免疫化により免疫寛容が克服され、IL-1β119-269を特異的に認識する高力価の抗体が産生されうることが示唆される。
ELISAプレートを1μg/ml濃度のマウスIL-1β119-269タンパク質にてコートする。プレートの反応を止めて、第0、14、28及び35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートする。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出する。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出する。AP205_mIL-1β119-269による免疫化により高度に特異的な抗マウスIL-1β119-269力価が生じる。これにより、AP205_mIL-1β119-269による免疫化により免疫寛容が克服され、IL-1β119-269を特異的に認識する高力価の抗体が産生されうることが示唆される。
E.IL-1βのインビトロ中和
次いで、AP205_mIL-1β119-269にて免疫化したマウスの血清を、マウスIL-1βタンパク質のレセプターへの結合を阻害する能力について試験する。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、AP205_mIL-1β119-269又はAP205単独のいずれかにて免疫化したマウス血清の段階希釈と100ng/mlのマウスIL-1β119-269とともにインキュベートする。固定したmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するIL-1β119-269の結合をビオチン化抗マウスIL-1β抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出する。AP205_mIL-1β119-269免疫化マウスのすべての血清がマウスIL-1β119-269のレセプターへの結合を強く阻害するのに対して、AP205単独にて免疫化したマウスの血清は全く阻害効果を示さない。これらのデータから、AP205_mIL-1β119-269による免疫化によりマウスIL-1β119-269とそのレセプターとの相互作用を中和することができる抗体を生じさせることができることが示唆される。
次いで、AP205_mIL-1β119-269にて免疫化したマウスの血清を、マウスIL-1βタンパク質のレセプターへの結合を阻害する能力について試験する。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、AP205_mIL-1β119-269又はAP205単独のいずれかにて免疫化したマウス血清の段階希釈と100ng/mlのマウスIL-1β119-269とともにインキュベートする。固定したmIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するIL-1β119-269の結合をビオチン化抗マウスIL-1β抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出する。AP205_mIL-1β119-269免疫化マウスのすべての血清がマウスIL-1β119-269のレセプターへの結合を強く阻害するのに対して、AP205単独にて免疫化したマウスの血清は全く阻害効果を示さない。これらのデータから、AP205_mIL-1β119-269による免疫化によりマウスIL-1β119-269とそのレセプターとの相互作用を中和することができる抗体を生じさせることができることが示唆される。
F.IL-1βのインビボ中和
次に、AP205_mIL-1β119-269による免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べる。したがって、4匹の雌balb/cマウスを、AP205_mIL-1β119-269にて第0、14及び28日目に3度免疫化し、4匹のマウスをAP205単独で同時に免疫化する。第35日目に、すべてのマウスの静脈内に1μgのフリーIL-1β119-269を注射する。注射したIL-1β119-269の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の前と3時間後に回収して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加について分析する。AP205-免疫化マウスは血清IL-6濃度の強い増加を示すのに対して、AP205_mIL-1β119-269にて免疫化したマウスは非常にわずかな増加のみを示す。これらのデータから、AP205_mIL-1β119-269による免疫化によって生産される抗体がIL-1βの炎症誘発性活性を特異的かつ効果的に中和することが可能であることが示される。
次に、AP205_mIL-1β119-269による免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べる。したがって、4匹の雌balb/cマウスを、AP205_mIL-1β119-269にて第0、14及び28日目に3度免疫化し、4匹のマウスをAP205単独で同時に免疫化する。第35日目に、すべてのマウスの静脈内に1μgのフリーIL-1β119-269を注射する。注射したIL-1β119-269の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の前と3時間後に回収して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加について分析する。AP205-免疫化マウスは血清IL-6濃度の強い増加を示すのに対して、AP205_mIL-1β119-269にて免疫化したマウスは非常にわずかな増加のみを示す。これらのデータから、AP205_mIL-1β119-269による免疫化によって生産される抗体がIL-1βの炎症誘発性活性を特異的かつ効果的に中和することが可能であることが示される。
H.AP205_hIL-1β119-269によるマウスの免疫化
4匹の雌C3H/HeJマウスはAP205_hIL-1β119-269で免疫化された。25μの総タンパク質をPBSに希釈して200μLとし、日0、14、及び28に、皮下に注射した(腹側の2箇所に100μL)。マウスは日0、14、28及び35に眼窩後から採血し、血清はヒトIL−1β116-269特異的ELISAを使用して解析した。
I.ELISA
ELISAプレートは、1μg/mlの濃度のIL−1β116-269タンパク質で被覆した。プレートはブロックされ、日0、14、28、及び35の連続希釈マウス血清と共にインキュベートした。結合した抗体は、酵素的に標識した抗マウスIgG抗体で検出した。マウス血清の抗体力価は、450nmの最適濃度の最大値の半分を導く、それらの希釈の平均として計算した。抗ヒトIL−1β116-269力価は、日14で1:39600、日28で1:58300及び日35で1:65600だった。これは、AP205_hIL-1β119-269は、マウスでhIL-1β119-269抗体の高い力価を誘導することを示す。
4匹の雌C3H/HeJマウスはAP205_hIL-1β119-269で免疫化された。25μの総タンパク質をPBSに希釈して200μLとし、日0、14、及び28に、皮下に注射した(腹側の2箇所に100μL)。マウスは日0、14、28及び35に眼窩後から採血し、血清はヒトIL−1β116-269特異的ELISAを使用して解析した。
I.ELISA
ELISAプレートは、1μg/mlの濃度のIL−1β116-269タンパク質で被覆した。プレートはブロックされ、日0、14、28、及び35の連続希釈マウス血清と共にインキュベートした。結合した抗体は、酵素的に標識した抗マウスIgG抗体で検出した。マウス血清の抗体力価は、450nmの最適濃度の最大値の半分を導く、それらの希釈の平均として計算した。抗ヒトIL−1β116-269力価は、日14で1:39600、日28で1:58300及び日35で1:65600だった。これは、AP205_hIL-1β119-269は、マウスでhIL-1β119-269抗体の高い力価を誘導することを示す。
実施例7
ヒトIL-1β116-269のクローニング、発現及び精製
オリゴヌクレオチドHIL-1(5'- ATATATGATATCCCTGTACGATCACTGAACTGCACG-3'、配列番号124)及びHIL-2(5'-ATATATCTCGAGGGAAGACA CAAATTGCATGGTGAAG-3'、配列番号125)を用いて、ヒト肝臓組織のcDNAライブラリからPCRにてヒトIL-1βのアミノ酸116-269(hIL-1β116-269)をコードするヌクレオチド配列を増幅し、XhoI及びEcoRVにて消化し、発現ベクターpET42T(+)にクローニングした。
pET-42a(+) (Novagen)のT7プロモーターとT7ターミネーターの間の全領域を新たなリンカー配列に2工程で置き換えて、プラスミドpET-42T(+)を構築し、His-タグ及びシステイン含有リンカーを含むC末端タグ(配列番号190)を有する融合体として対象のタンパク質の発現を促した。第一工程では、プラスミドpET-42a(+)を制限酵素NdeI及びAvrIIにて消化し、GST-タグ、S-タグの2つのHis-タグとマルチクローニングサイトからなるT7プロモーターとT7ターミネーターとの間の958bpの断片を遊離させた。pET-42a(+)のベクターバックボーンを含む残りの4972bpの断片を単離し、アニールさせた相補的なオリゴヌクレオチド42-1(5´-TATGGATATCGAATTCAAGCTTCTGCAGCTGCTCGAGTAA TTGATTAC-3´;配列番号126)及び42-2(5'-CTAGGTAATC AATTACTCGA GCAGCTGCAGAAGCTTGAATTCGATATCCA-3';配列番号127)にライゲーションしプラスミドpET-42S(+)を生じさせた。第二の工程では、プラスミドpET-42S(+)を制限酵素XhoI及びAvrIIにて消化して線状化し、相補的なアニールさせたオリゴヌクレオチド42T-1(5'-TCGAGCACCACCACCACCACCACGGTGGTT GCTAATAATAATTGATTAATAC-3';配列番号128)及び42T-2(5'-CTAGGTATTAATCAATTATTATTAGCAACCACCGTGGTGGTGGTGGTGGTGC-3';配列番号129)にライゲーションし、プラスミドpET-42T(+)を生じさせた。
上記の断片hIL-1β116-269をpET-42T(+)にクローニングしてプラスミドpET42T-hIL-1β116-269を生じさせた。このプラスミドは、成熟ヒトIL-1β及びHis-タグ及びC末端システイン含有リンカー(GGC、配列番号178)に相当する融合タンパク質をコードする。ゆえに、融合タンパク質は、配列番号165にC末端で融合させた配列番号190からなる。ヒトIL-1βの位置117の元のアラニン残基をこの融合タンパク質ではイソロイシンに変更した。基本的には実施例1のマウスmIL1β119-269タンパク質についての記載のように、ヒトIL-1β116-269タンパク質の発現及び精製を行った。
ヒトIL-1β116-269のクローニング、発現及び精製
オリゴヌクレオチドHIL-1(5'- ATATATGATATCCCTGTACGATCACTGAACTGCACG-3'、配列番号124)及びHIL-2(5'-ATATATCTCGAGGGAAGACA CAAATTGCATGGTGAAG-3'、配列番号125)を用いて、ヒト肝臓組織のcDNAライブラリからPCRにてヒトIL-1βのアミノ酸116-269(hIL-1β116-269)をコードするヌクレオチド配列を増幅し、XhoI及びEcoRVにて消化し、発現ベクターpET42T(+)にクローニングした。
pET-42a(+) (Novagen)のT7プロモーターとT7ターミネーターの間の全領域を新たなリンカー配列に2工程で置き換えて、プラスミドpET-42T(+)を構築し、His-タグ及びシステイン含有リンカーを含むC末端タグ(配列番号190)を有する融合体として対象のタンパク質の発現を促した。第一工程では、プラスミドpET-42a(+)を制限酵素NdeI及びAvrIIにて消化し、GST-タグ、S-タグの2つのHis-タグとマルチクローニングサイトからなるT7プロモーターとT7ターミネーターとの間の958bpの断片を遊離させた。pET-42a(+)のベクターバックボーンを含む残りの4972bpの断片を単離し、アニールさせた相補的なオリゴヌクレオチド42-1(5´-TATGGATATCGAATTCAAGCTTCTGCAGCTGCTCGAGTAA TTGATTAC-3´;配列番号126)及び42-2(5'-CTAGGTAATC AATTACTCGA GCAGCTGCAGAAGCTTGAATTCGATATCCA-3';配列番号127)にライゲーションしプラスミドpET-42S(+)を生じさせた。第二の工程では、プラスミドpET-42S(+)を制限酵素XhoI及びAvrIIにて消化して線状化し、相補的なアニールさせたオリゴヌクレオチド42T-1(5'-TCGAGCACCACCACCACCACCACGGTGGTT GCTAATAATAATTGATTAATAC-3';配列番号128)及び42T-2(5'-CTAGGTATTAATCAATTATTATTAGCAACCACCGTGGTGGTGGTGGTGGTGC-3';配列番号129)にライゲーションし、プラスミドpET-42T(+)を生じさせた。
上記の断片hIL-1β116-269をpET-42T(+)にクローニングしてプラスミドpET42T-hIL-1β116-269を生じさせた。このプラスミドは、成熟ヒトIL-1β及びHis-タグ及びC末端システイン含有リンカー(GGC、配列番号178)に相当する融合タンパク質をコードする。ゆえに、融合タンパク質は、配列番号165にC末端で融合させた配列番号190からなる。ヒトIL-1βの位置117の元のアラニン残基をこの融合タンパク質ではイソロイシンに変更した。基本的には実施例1のマウスmIL1β119-269タンパク質についての記載のように、ヒトIL-1β116-269タンパク質の発現及び精製を行った。
B.IL-1β116-269変異タンパク質のクローニング、発現及び精製
プラスミドpET42T-hIL-1β116-269の部位特異的突然変異誘発によって、10の異なる変異体ヒトIL-1β116-269融合タンパク質のための発現ベクターを構築した。この目的のために、Quik-Change(登録商標)部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を製造者の指示に従って用いた。変異体IL-1β119-269タンパク質の発現ベクターをその構築に用いたオリゴヌクレオチド対とともに表3に挙げる。実施例1に記載のように異なるヒトIL-1β116-269変異タンパク質の発現及び精製を行った。
プラスミドpET42T-hIL-1β116-269の部位特異的突然変異誘発によって、10の異なる変異体ヒトIL-1β116-269融合タンパク質のための発現ベクターを構築した。この目的のために、Quik-Change(登録商標)部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を製造者の指示に従って用いた。変異体IL-1β119-269タンパク質の発現ベクターをその構築に用いたオリゴヌクレオチド対とともに表3に挙げる。実施例1に記載のように異なるヒトIL-1β116-269変異タンパク質の発現及び精製を行った。
実施例8
A.ヒトIL-1β116-269とヒトIL-1β116-269変異タンパク質の生物学的活性
1群につき3匹の雌C3H/HeJマウスに、10μgの野生型ヒトIL-1β116-269タンパク質又は実施例7のヒトIL-1β116-269タンパク質変異体の1つのいずれかを静脈内投与する。血清試料を注射の前と3時間後に回収して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加について分析した。表3に示すように、野生型ヒトIL-1β119-269タンパク質を投与したマウスは血清IL-6濃度の2.38ng/mlの増加を示した。野生型ヒトIL-1β119-269と類似の血清IL−6濃度を示した変異タンパク質hIL-1β116-269(D54R)及びhIL-1β116-269(K63S/K65S)を除いて、試験した全ての変異タンパク質は低量のIL−6を誘導し、生物学活性が減少したことを示した。
表3:マウスにおけるヒトIL−1β116-269及びヒトIL−1β116-269変異タンパク質の生物学的活性
B.ヒトPBMCにおけるヒトIL−1β116-269及びヒトIL−1β116-269変異タンパク質の生物学的活性
末梢血単核細胞(PBMC)は、フィコール密度勾配遠心法によって健康な提供者のヘパリン添加血からの分離された。ウェルにつき5×105細胞を、野生型ヒトIL-1β119-269タンパク質か、実施例7のヒトIL-1β119-269変異蛋白質の1つの何れかの滴定量と共に暖められた。一晩のインキュベーション後、細胞培養上清のIL-6の量は、生物学的活性の読み出しとして測定された。
表4は変異タンパク質hIL-1β116-269(D54R)及びhIL-1β116-269(K63S/K65S)を除いて全ての変異体は、非常により高い量が、野生型ヒトIL-1β119-269と同じIL−6分泌を誘導するために必要であり、生理活性の減少を示した。生物学的活性が減少した率は、変異タンパク質hIL-1β116-269(R11G)に対して13倍から、変異タンパク質hIL-1β116-269(ΔSND52-54)に対して381倍まで変動した。
表4:ヒトPBMCにおけるヒトIL−1β116-269及びヒトIL−1β116-269変異タンパク質の生物学的活性
A.ヒトIL-1β116-269とヒトIL-1β116-269変異タンパク質の生物学的活性
1群につき3匹の雌C3H/HeJマウスに、10μgの野生型ヒトIL-1β116-269タンパク質又は実施例7のヒトIL-1β116-269タンパク質変異体の1つのいずれかを静脈内投与する。血清試料を注射の前と3時間後に回収して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加について分析した。表3に示すように、野生型ヒトIL-1β119-269タンパク質を投与したマウスは血清IL-6濃度の2.38ng/mlの増加を示した。野生型ヒトIL-1β119-269と類似の血清IL−6濃度を示した変異タンパク質hIL-1β116-269(D54R)及びhIL-1β116-269(K63S/K65S)を除いて、試験した全ての変異タンパク質は低量のIL−6を誘導し、生物学活性が減少したことを示した。
表3:マウスにおけるヒトIL−1β116-269及びヒトIL−1β116-269変異タンパク質の生物学的活性
B.ヒトPBMCにおけるヒトIL−1β116-269及びヒトIL−1β116-269変異タンパク質の生物学的活性
末梢血単核細胞(PBMC)は、フィコール密度勾配遠心法によって健康な提供者のヘパリン添加血からの分離された。ウェルにつき5×105細胞を、野生型ヒトIL-1β119-269タンパク質か、実施例7のヒトIL-1β119-269変異蛋白質の1つの何れかの滴定量と共に暖められた。一晩のインキュベーション後、細胞培養上清のIL-6の量は、生物学的活性の読み出しとして測定された。
表4は変異タンパク質hIL-1β116-269(D54R)及びhIL-1β116-269(K63S/K65S)を除いて全ての変異体は、非常により高い量が、野生型ヒトIL-1β119-269と同じIL−6分泌を誘導するために必要であり、生理活性の減少を示した。生物学的活性が減少した率は、変異タンパク質hIL-1β116-269(R11G)に対して13倍から、変異タンパク質hIL-1β116-269(ΔSND52-54)に対して381倍まで変動した。
表4:ヒトPBMCにおけるヒトIL−1β116-269及びヒトIL−1β116-269変異タンパク質の生物学的活性
実施例9
A.Qβウイルス様粒子へのヒトIL-1β116-269及びヒトIL-1β116-269変異タンパク質のカップリング
Qβウイルス様粒子への野生型ヒトIL-1β119-269タンパク質及び実施例10のヒトIL-1β119-269変異タンパク質の化学的な架橋は基本的に実施例2Aに記載のように行った。
A.Qβウイルス様粒子へのヒトIL-1β116-269及びヒトIL-1β116-269変異タンパク質のカップリング
Qβウイルス様粒子への野生型ヒトIL-1β119-269タンパク質及び実施例10のヒトIL-1β119-269変異タンパク質の化学的な架橋は基本的に実施例2Aに記載のように行った。
B.QβカプシドにカップリングさせたヒトIL-1β116-269及びヒトIL-1β116-269変異タンパク質によるマウスの免疫化
1群につき4匹の雌balb/cマウスを野生型hIL-1β116-269タンパク質又はhIL-1β116-269変異タンパク質のうちの1つのいずれかにカップリングさせたQβにて免疫化した。50μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0、14及び28日目に皮下に接種した(100μlを2か所の腹部に)。第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、抗原として用いたそれぞれのヒトIL-1β116-269変異タンパク質又は野生型ヒトIL-1β116-269タンパク質のいずれかに特異的なELISAを用いて血清を分析した。
1群につき4匹の雌balb/cマウスを野生型hIL-1β116-269タンパク質又はhIL-1β116-269変異タンパク質のうちの1つのいずれかにカップリングさせたQβにて免疫化した。50μgの総タンパク質をPBSにて200μlに希釈し、第0、14及び28日目に皮下に接種した(100μlを2か所の腹部に)。第35日目にマウスの後眼窩から血液を採取し、抗原として用いたそれぞれのヒトIL-1β116-269変異タンパク質又は野生型ヒトIL-1β116-269タンパク質のいずれかに特異的なELISAを用いて血清を分析した。
C.ELISA
ELISAプレートを1μg/ml濃度の野生型hIL-1β116-269タンパク質又はそれぞれのhIL-1β116-269変異タンパク質のいずれかにてコートした。プレートの反応を止めて、第35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートした。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出した。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出し、表5に示す。
ELISAプレートを1μg/ml濃度の野生型hIL-1β116-269タンパク質又はそれぞれのhIL-1β116-269変異タンパク質のいずれかにてコートした。プレートの反応を止めて、第35日目のマウス血清の段階希釈液とともにインキュベートした。結合した抗体を酵素的に標識した抗マウスIgG抗体にて検出した。マウス血清の抗体力価を、450nmで最大半量の吸光度が得られる希釈液の平均として算出し、表5に示す。
表5:Qβ-hIL-1β116-269又はQβ-hIL-1β116-269変異タンパク質ワクチンによる免疫化によって生じる抗-hIL-1β116-269(野生型及び変異タンパク質)-特異的IgG力価
Qβ-hIL-1β116-269-免疫化によりhIL-1β116-269に対して高力価のIgG抗体が誘導された。さらに、いずれかのQβ-hIL-1β116-269変異タンパク質ワクチンによるワクチン接種により、抗原として用いたそれぞれのhIL-1β116-269変異タンパク質及び野生型hIL-1β116-269タンパク質の両方に対して高いIgG力価が誘導された。
Qβ-hIL-1β116-269-免疫化によりhIL-1β116-269に対して高力価のIgG抗体が誘導された。さらに、いずれかのQβ-hIL-1β116-269変異タンパク質ワクチンによるワクチン接種により、抗原として用いたそれぞれのhIL-1β116-269変異タンパク質及び野生型hIL-1β116-269タンパク質の両方に対して高いIgG力価が誘導された。
D.ヒトIL-1βのインビトロ中和
野生型hIL-1β116-269タンパク質又はhIL-1β116-269変異タンパク質のうちの1つのいずれかにカップリングさせたQβにて免疫化したマウスの血清を、マウスIL-1βタンパク質のレセプターへの結合を阻害する能力について試験した。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えヒトIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、上記の血清の段階希釈と100ng/mlのhIL-1β116-269タンパク質とともにインキュベートした。固定したヒトIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するhIL-1β116-269の結合をビオチン化抗ヒトIL-1β抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出した。Qβ-hIL-1β116-269変異タンパク質ワクチンに対して生じたすべての血清が、3.3%以上の血清濃度で100ng/mlの野生型hIL-1β116-269のhIL-1RIへの結合を完全に阻害した。
また、同じ血清は、ヒト細胞からのIL−6のhILー1β116-269誘導化分泌を阻害するそれらの能力について試験された。そのため、ヒトPBMCは実施例8Bにて説明したように調製されて、上記の血清の滴定濃度と共に使用前に混合された10ng/mlの野生型hIL−1β116-269と共にインキュベートされた。一晩のインキュベーション後、細胞培養上清は、IL−6の存在について分析された。血清の中和能力は、IL−6分泌の最大値の半分の阻害を導くそれらの希釈度として表された。野生型hIL-1β116-269に対して増大した血清の中和能と直接比較を可能にするために、hIL-1β116-269の変異タンパク質に対して増大した全ての血清の中和能は、野生型hIL-1β116-269に対して測定されたそれぞれのELISAタイターにより修正された(表5を参照)。表6に示すように、hIL-1β116-269変異タンパク質に対して増大した全ての血清は、野生型hIL-1β116-269によって誘導されるIL-6の分泌を阻害することが可能だった。中和力価は、Qβ-hIL-1β116-269(R11G)に対して増大した血清についての1:113から、Qβ-hIL-1β116-269(D54R)に対する増大した血清の1:4532まで変動した。
表6:さまざまなIL-1β変異タンパク質によって免疫化されたマウス血清において決定された中和力価
野生型hIL-1β116-269タンパク質又はhIL-1β116-269変異タンパク質のうちの1つのいずれかにカップリングさせたQβにて免疫化したマウスの血清を、マウスIL-1βタンパク質のレセプターへの結合を阻害する能力について試験した。したがって、ELISAプレートを1μg/ml濃度の組み換えヒトIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質にてコートし、上記の血清の段階希釈と100ng/mlのhIL-1β116-269タンパク質とともにインキュベートした。固定したヒトIL-1レセプターI-hFc融合タンパク質に対するhIL-1β116-269の結合をビオチン化抗ヒトIL-1β抗体と西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジンにて検出した。Qβ-hIL-1β116-269変異タンパク質ワクチンに対して生じたすべての血清が、3.3%以上の血清濃度で100ng/mlの野生型hIL-1β116-269のhIL-1RIへの結合を完全に阻害した。
また、同じ血清は、ヒト細胞からのIL−6のhILー1β116-269誘導化分泌を阻害するそれらの能力について試験された。そのため、ヒトPBMCは実施例8Bにて説明したように調製されて、上記の血清の滴定濃度と共に使用前に混合された10ng/mlの野生型hIL−1β116-269と共にインキュベートされた。一晩のインキュベーション後、細胞培養上清は、IL−6の存在について分析された。血清の中和能力は、IL−6分泌の最大値の半分の阻害を導くそれらの希釈度として表された。野生型hIL-1β116-269に対して増大した血清の中和能と直接比較を可能にするために、hIL-1β116-269の変異タンパク質に対して増大した全ての血清の中和能は、野生型hIL-1β116-269に対して測定されたそれぞれのELISAタイターにより修正された(表5を参照)。表6に示すように、hIL-1β116-269変異タンパク質に対して増大した全ての血清は、野生型hIL-1β116-269によって誘導されるIL-6の分泌を阻害することが可能だった。中和力価は、Qβ-hIL-1β116-269(R11G)に対して増大した血清についての1:113から、Qβ-hIL-1β116-269(D54R)に対する増大した血清の1:4532まで変動した。
表6:さまざまなIL-1β変異タンパク質によって免疫化されたマウス血清において決定された中和力価
E.IL-1βのインビボ中和
野生型hIL-1β116-269タンパク質又はhIL-1β116-269変異タンパク質のうちの1つのいずれかにカップリングさせたQβによる免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べる。したがって、1群につき3匹の雌C3H/HeJマウスを、50μgのいずれかのワクチンにて第0、14及び28日目に3度免疫化する。第35日目に、すべての免疫化したマウスの静脈内に1μgのフリー野生型hIL-1β116-269を注射する。コントロールとして3匹のナイーブマウスに同量の野生型hIL-1β116-269を同時に投与する。注射したhIL-1β116-269の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の直前と3時間後に回収して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加について分析した。ナイーブマウスはhIL-1β116-269の投与の3時間後に血清IL-6濃度の強い増加を示すのに対して、野生型hIL-1β116-269タンパク質又はhIL-1β116-269変異タンパク質のうちの1つにカップリングさせたQβにて免疫化したすべてのマウスは血清IL-6の増加を全く示さない。このことから、投与したhIL-1β116-269はワクチンに誘導される抗体によって効果的に中和されることが示唆される。
野生型hIL-1β116-269タンパク質又はhIL-1β116-269変異タンパク質のうちの1つのいずれかにカップリングさせたQβによる免疫化により生じた抗体のインビボ中和能を調べる。したがって、1群につき3匹の雌C3H/HeJマウスを、50μgのいずれかのワクチンにて第0、14及び28日目に3度免疫化する。第35日目に、すべての免疫化したマウスの静脈内に1μgのフリー野生型hIL-1β116-269を注射する。コントロールとして3匹のナイーブマウスに同量の野生型hIL-1β116-269を同時に投与する。注射したhIL-1β116-269の炎症性活性の読み取り値として、血清試料を注射の直前と3時間後に回収して、炎症誘発性サイトカインIL-6の濃度における相対的な増加について分析した。ナイーブマウスはhIL-1β116-269の投与の3時間後に血清IL-6濃度の強い増加を示すのに対して、野生型hIL-1β116-269タンパク質又はhIL-1β116-269変異タンパク質のうちの1つにカップリングさせたQβにて免疫化したすべてのマウスは血清IL-6の増加を全く示さない。このことから、投与したhIL-1β116-269はワクチンに誘導される抗体によって効果的に中和されることが示唆される。
実施例10
A.マウスIL−1α115-270及びマウスIL−1α115-270(D145K)のクローニング、発現及び精製
野生型マウスIL−1αのアミノ酸115-270をコードするヌクレオチド配列は、PCRによって、TNFα活性化マウス・マクロファージのライブラリーから、オリゴヌクレオチドIL1α1C(5’−ATATATCATA TGTCTGCCCC TTACACCTAC CAGAGTG−3’:配列番号196)及びIL1α2(5’−ATATATCTCG AGTGATATCT GGAAGTCTGT CATAGAG−3’;配列番号25)を使用して増幅した。DNA断片はNhelとXholによって消化されて、発現ベクターpET42T(+)にクローニングされ、発現プラスミドpET42T−mIL−1α115-270を生じた。
後者のプラスミドの部位指定変異導入によって、変異タンパク質mIL−1α115-270(D145K)の発現ベクターを構成した。オリゴヌクレオチドのペアのαD145K−1(5’−GGACTGCCCTCTATGACAAAATTCCAGATATCACTCGAG−3; 配列番号197)、αD145K−2(5’−CTCGAGTGATATCTGGAATTTTGTCATAGAGGGCAGTCC−3’;配列番号198)及びQuik−Change(登録商標)部位指定変異導入キット(Stratagene)を使用して、D145K変異を導入した。野生型マウスIL−1α115-270及び変異タンパク質マウスIL−1α115-270(D145K)の発現及び精製は、実施例1にて説明したように実施された。
A.マウスIL−1α115-270及びマウスIL−1α115-270(D145K)のクローニング、発現及び精製
野生型マウスIL−1αのアミノ酸115-270をコードするヌクレオチド配列は、PCRによって、TNFα活性化マウス・マクロファージのライブラリーから、オリゴヌクレオチドIL1α1C(5’−ATATATCATA TGTCTGCCCC TTACACCTAC CAGAGTG−3’:配列番号196)及びIL1α2(5’−ATATATCTCG AGTGATATCT GGAAGTCTGT CATAGAG−3’;配列番号25)を使用して増幅した。DNA断片はNhelとXholによって消化されて、発現ベクターpET42T(+)にクローニングされ、発現プラスミドpET42T−mIL−1α115-270を生じた。
後者のプラスミドの部位指定変異導入によって、変異タンパク質mIL−1α115-270(D145K)の発現ベクターを構成した。オリゴヌクレオチドのペアのαD145K−1(5’−GGACTGCCCTCTATGACAAAATTCCAGATATCACTCGAG−3; 配列番号197)、αD145K−2(5’−CTCGAGTGATATCTGGAATTTTGTCATAGAGGGCAGTCC−3’;配列番号198)及びQuik−Change(登録商標)部位指定変異導入キット(Stratagene)を使用して、D145K変異を導入した。野生型マウスIL−1α115-270及び変異タンパク質マウスIL−1α115-270(D145K)の発現及び精製は、実施例1にて説明したように実施された。
B.ヒトIL−1α119-271及びヒトIL−1α119-271(D145K)のクローニング、発現及び精製
野生型ヒトIL−1αのアミノ酸119-271をコードするヌクレオチド配列は、PCRによって、LPS活性化ヒトB細胞cDNAライブラリーから、オリゴヌクレオチドHIL−3(5’−ATATATCATA TGCTGAGCAA TGTGAAATAC
AACTTTATG−3’;配列番号141)及びHIL−4(5’−ATATATCTCG AGCGCCTGGT TTTCCAGTAT CTGAAAG−3’;配列番号142)を使用して増幅した。DNA断片はNhelとXholによって消化されて、発現ベクターpET42T(+)にクローニングされ、発現プラスミドpET42T−hIL−1α119-271を生じた。
後者のプラスミドの部位指定変異導入によって、変異タンパク質mIL−1α119-271(D145K)の発現ベクターを構成した。オリゴヌクレオチドのペアのhαD145K−1(5’−GGGCCACCCT CTATCACTAA ATTTCAGATA CTGGAAAACC−3’:配列番号199)、hαD145K−2(5’−GGTTTTCCAG TATCTGAAAT TTAGTGATAG AGGGTGGCCC−3’; 配列番号200)及びQuik−Change(登録商標)部位指定変異導入キット(Stratagene)を使用して、D145K変異を導入した。野生型ヒトIL−1α119-271及びヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質の発現と精製は、実施例1にて説明したように実施された。
野生型ヒトIL−1αのアミノ酸119-271をコードするヌクレオチド配列は、PCRによって、LPS活性化ヒトB細胞cDNAライブラリーから、オリゴヌクレオチドHIL−3(5’−ATATATCATA TGCTGAGCAA TGTGAAATAC
AACTTTATG−3’;配列番号141)及びHIL−4(5’−ATATATCTCG AGCGCCTGGT TTTCCAGTAT CTGAAAG−3’;配列番号142)を使用して増幅した。DNA断片はNhelとXholによって消化されて、発現ベクターpET42T(+)にクローニングされ、発現プラスミドpET42T−hIL−1α119-271を生じた。
後者のプラスミドの部位指定変異導入によって、変異タンパク質mIL−1α119-271(D145K)の発現ベクターを構成した。オリゴヌクレオチドのペアのhαD145K−1(5’−GGGCCACCCT CTATCACTAA ATTTCAGATA CTGGAAAACC−3’:配列番号199)、hαD145K−2(5’−GGTTTTCCAG TATCTGAAAT TTAGTGATAG AGGGTGGCCC−3’; 配列番号200)及びQuik−Change(登録商標)部位指定変異導入キット(Stratagene)を使用して、D145K変異を導入した。野生型ヒトIL−1α119-271及びヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質の発現と精製は、実施例1にて説明したように実施された。
実施例11
A.ヒトPBMCにおけるヒトIL−1α119-271、ヒトIL−1α119-271(D145K)、マウスIL−1α115-270及びマウスIL−1α115-270(D145K)の生物学的活性
健康な提供者からのPBMC(ウェルにつき5×105細胞)を野生型ヒトIL−1α119-271タンパク質、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質、野生型マウスIL−1α115-270タンパク質、またはマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質の何れかの滴定量と共にインキュベートした。一晩のインキュベーション後、細胞培養上清のIL−6量は、様々なタンパク質の生物学的活性の読み出しとして、サンドイッチELISAで測定された。表9は、21倍高い量のマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質が、対応する野生型マウスIL−1α115-270タンパク質と同量のIL−6を誘導するために必要だったことを示す。ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質の場合、野生型ヒトIL−1α119-271タンパク質より46倍高い量が必要だった。これは、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質及びマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質の両方が、それらの野生型相対物と比較してヒト細胞において減少した生理活性を有することを示す。
表7:IL−6誘導によって測定された、ヒトPBMCにおけるILー1α野生型タンパク質及び変異タンパク質の生物学的活性
A.ヒトPBMCにおけるヒトIL−1α119-271、ヒトIL−1α119-271(D145K)、マウスIL−1α115-270及びマウスIL−1α115-270(D145K)の生物学的活性
健康な提供者からのPBMC(ウェルにつき5×105細胞)を野生型ヒトIL−1α119-271タンパク質、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質、野生型マウスIL−1α115-270タンパク質、またはマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質の何れかの滴定量と共にインキュベートした。一晩のインキュベーション後、細胞培養上清のIL−6量は、様々なタンパク質の生物学的活性の読み出しとして、サンドイッチELISAで測定された。表9は、21倍高い量のマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質が、対応する野生型マウスIL−1α115-270タンパク質と同量のIL−6を誘導するために必要だったことを示す。ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質の場合、野生型ヒトIL−1α119-271タンパク質より46倍高い量が必要だった。これは、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質及びマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質の両方が、それらの野生型相対物と比較してヒト細胞において減少した生理活性を有することを示す。
表7:IL−6誘導によって測定された、ヒトPBMCにおけるILー1α野生型タンパク質及び変異タンパク質の生物学的活性
B.マウスにおけるヒトIL−1α119-271、ヒトIL−1α119-271(D145K)、マウスIL−1α115-270タンパク質、及びマウスIL−1α115-270(D145K)の生物学的活性
1群につき4匹の雌Balb/cマウスの静脈内に、野生型ヒトIL−1α119-271タンパク質、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質、野生型マウスIL−1α115-270タンパク質、またはマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質の何れかの10ngを注射した。注射の3時間後に、それぞれのタンパク質の生理活性の読み出しとして、注射されたマウスの血清において血清アミロイドA(SAA)が計量された。表8に示すように、マウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質は、対応する野生型マウスIL−1α115-270タンパク質よりも53%少ないSAAを誘導し(p<0.05、ステューデントのt検定)、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質は、対応する野生型ヒトIL−1α119-271タンパク質より67%少ないSAAを誘導した(p<0.001、ステューデントのt検定)。これは、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質及びマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質の両方が、それらの野生型相対物と比較して、マウスにおいて減少した生理活性を有することを証明する。
表8:SAAによって測定された、マウスにおけるIL−1α野生型タンパク質及び変異タンパク質の生物学的活性
表9:好適なヒトIL−1β変異タンパク質(配列番号131から140及び配列番号205〜209)及びヒトIL−1α変異タンパク質(配列番号210から218)に対応するマウスILー1β及びマウスIL−1α変異タンパク質は、この表に従って作成されて、リウマチ様関節炎のマウスモデルにおいて試験された。
1群につき4匹の雌Balb/cマウスの静脈内に、野生型ヒトIL−1α119-271タンパク質、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質、野生型マウスIL−1α115-270タンパク質、またはマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質の何れかの10ngを注射した。注射の3時間後に、それぞれのタンパク質の生理活性の読み出しとして、注射されたマウスの血清において血清アミロイドA(SAA)が計量された。表8に示すように、マウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質は、対応する野生型マウスIL−1α115-270タンパク質よりも53%少ないSAAを誘導し(p<0.05、ステューデントのt検定)、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質は、対応する野生型ヒトIL−1α119-271タンパク質より67%少ないSAAを誘導した(p<0.001、ステューデントのt検定)。これは、ヒトIL−1α119-271(D145K)変異タンパク質及びマウスIL−1α115-270(D145K)変異タンパク質の両方が、それらの野生型相対物と比較して、マウスにおいて減少した生理活性を有することを証明する。
表8:SAAによって測定された、マウスにおけるIL−1α野生型タンパク質及び変異タンパク質の生物学的活性
表9:好適なヒトIL−1β変異タンパク質(配列番号131から140及び配列番号205〜209)及びヒトIL−1α変異タンパク質(配列番号210から218)に対応するマウスILー1β及びマウスIL−1α変異タンパク質は、この表に従って作成されて、リウマチ様関節炎のマウスモデルにおいて試験された。
実施例12
雄C57BL/6マウスにおける食餌性2型糖尿病の改善(予防セッティング)
雄C57BL/6マウスは、50μgのQβ、Qβ−mIL−1α115-270、Qβ−mIL−1β119-269の何れかの50μgか、又は50μgのQβ−mIL−1α115-270と50μgのQβ−mIL−1βとの混合物によって、日0、14及び28に免疫化された(1群につきn=16)。全マウスは、免疫化期間の間、通常の齧歯目の食事(Provimi Kliba no. 3436:18.5%のタンパク質、4.5%の脂肪、4.5%の繊維、6.5%の灰、54%の糖質)を与えられた。日35に、この餌は、各群のマウスの半数(<<=8)に対して、高脂肪食餌(Provimi Kliba no.2127:23.9%のタンパク質、35%の脂肪、4.9%の繊維、5%の灰、23.2%の糖質)と交換され、一方残りの半分(<<=8)は通常の餌のままにされた。最後の免疫化から5ヵ月後、高脂肪食餌を与えられたマウスは肥満となり(平均体重>45g)、空腹時血糖値が上昇していた(表10、0’)。
雄C57BL/6マウスにおける食餌性2型糖尿病の改善(予防セッティング)
雄C57BL/6マウスは、50μgのQβ、Qβ−mIL−1α115-270、Qβ−mIL−1β119-269の何れかの50μgか、又は50μgのQβ−mIL−1α115-270と50μgのQβ−mIL−1βとの混合物によって、日0、14及び28に免疫化された(1群につきn=16)。全マウスは、免疫化期間の間、通常の齧歯目の食事(Provimi Kliba no. 3436:18.5%のタンパク質、4.5%の脂肪、4.5%の繊維、6.5%の灰、54%の糖質)を与えられた。日35に、この餌は、各群のマウスの半数(<<=8)に対して、高脂肪食餌(Provimi Kliba no.2127:23.9%のタンパク質、35%の脂肪、4.9%の繊維、5%の灰、23.2%の糖質)と交換され、一方残りの半分(<<=8)は通常の餌のままにされた。最後の免疫化から5ヵ月後、高脂肪食餌を与えられたマウスは肥満となり(平均体重>45g)、空腹時血糖値が上昇していた(表10、0’)。
これらのマウスの糖尿病の表現型に調査するために、経口グルコース負荷試験は、D−グルコースの体重に対し2mg/gの投与量を胃内に投与し、Accu−検査の血中グルコース計測器(ロシュ)を使用して、通常の間隔で血中グルコース濃度を測定することによって実施された。表10は、Qβ免疫化マウスが、正常な食餌で、15分後に血中グルコース濃度291.5mg/dlの初期ピークを示し、急な降下が続き、90分以内にチャレンジ前の濃度に完全に戻ることを示した。この反応のピーク濃度及び動態は、正常な食餌で飼育された全てのマウス群において、本質的に同一だった(表10)。一方では高脂肪食餌のQβ免疫化マウスは、より高い濃度を示し(367.9mg/dl)、チャレンジ後60分まで有意な減少を示すことが出来なかった;その後で血中グルコース濃度は減少し始めたが、しかしながら2時間の観察期間内に基線レベルに戻らなかった。グルコース・クリアランスにおけるこの重症の障害は、肥満Qβ−免疫マウスが糖尿病の表現型を発病したことを示す。肥満のQβ−mIL−1α、Qβ−mIL−1β−、又は二重免疫マウスは、血中グルコース濃度−350mg/dlまでの初期増加を示し、直ちに持続性の減少が続き、結果として肥満Qβ免疫化の対照マウスよりも一貫して低いグルコール濃度になった。表10に示す反復グルコース測定の結果から曲線下面積を計算する場合、肥満のQβ−mIL−1α、Qβ−mIL−1β−、又は二重免疫マウスは、肥満Qβ免疫化の対照マウスに比べて改良されたグルコース・クリアランスを示すことが明らかになった(表11)。これらのデータをまとめると、Qβ−mIL−1α又はQβ−mIL−1β又は両方の組合せによる免疫化は、食餌性糖尿病の表現型の明白な改善に結果としてなることを示した。
表10:2mg/gグルコースの胃内投与の前の、及びその後の様々な時間ポイントにおける血中グルコース濃度(mg/dl;平均±SEM)。(実験前の5時間の間、マウスは絶食させられる)
表11:免疫マウスのグルコース・クリアランス。表10に示される連続的なグルコース測定の結果である曲線下面積(AUC)は、個々のマウスについて算出された。AUCのグループ平均はSEMと共に示す。
表10:2mg/gグルコースの胃内投与の前の、及びその後の様々な時間ポイントにおける血中グルコース濃度(mg/dl;平均±SEM)。(実験前の5時間の間、マウスは絶食させられる)
表11:免疫マウスのグルコース・クリアランス。表10に示される連続的なグルコース測定の結果である曲線下面積(AUC)は、個々のマウスについて算出された。AUCのグループ平均はSEMと共に示す。
実施例13
雄C57BL/6マウスにおける食餌性2型糖尿病の改善
マウスIL−1βのアミノ酸119-269をコードするDNA配列は、PCRによって、TNFα−活性化マウス・マクロファージのcDNAから、オリゴヌクレオチドIL1β−3(5'−ATATATGATATCCCCATTAGACAGCTGCACTACAGG−3';配列番号226)及びIL1β−2(5'−ATATATCTCGAGGGAAGACACAGATTCCATGGTGAAG−3';配列番号227)を使用して増幅し、ベクターpET42Tにクローニングした(実施例7)。結果として生じたプラスミドpET42T−mIL−1β119-269は、C末端にシステインを含むリンカー及びヘキサヒスチジン・タグに融合させた成熟マウスIL−1βタンパク質をコードする。EcoRV制限部位の導入により、マウスIL−1βのN末端におけるバリン残基は、3つのアミノ酸(MDI)からなる短いN末端基伸長によって置換される。プラスミドpET42T−mIL−1β116-269の部位指定変異によって、配列番号201のC末端タグを有するヒトIL−1β変異タンパク質hIL−1β116-269(D145K)(配列番号136)のマウスのバージョン、すなわちmIL−1β116-269(D145K)(配列番号228)をコードする発現ベクターを構築した。突然変異は、Quik−Change(登録商標)部位指定変異キット(ストラタジーン)とオリゴヌクレオチドD143K−1(5’−CAGTGGTCAG GACATAATTA AATTCACCAT GGAATCTGTGTC−3’; 配列番号229)及びD143K−2(5’−GACACAGATT CCATGGTGAA TTTAATTATG TCCTGACCACTG−3’;配列番号230)を使用して導入された。変異タンパク質mIL−1β116-269(D145K)の発現及び精製は、実施例1にて説明したように実施され、Qβへの結合は実施例2にて説明したように実施された。
雄C57BL/6マウス(8週齢、n=8)のグループは、日0、14、28、42及び147に、QβかQβ−mIL−1β119-269(D145K)の何れかの50μgによって、皮下に免疫化された。日0から開始し、実験を通して、マウス(n=16)の半分は高脂肪食餌(Provimi Kliba no.2127:23.9%のタンパク質、35%の脂肪、4.9%の繊維、5%の灰、23.2%の糖質)を与えられ、残りの半分は(n=16)は正常な食餌(Provimi Kliba no.3436:18.5%のタンパク質、4.5%の脂肪、4.5%の繊維、6.5%の灰、54%の糖質)で飼育された。8月後、高脂肪食餌を与えられたマウスは肥満(平均体重>45g)となり、上昇した空腹時グルコース濃度を示した(表12)。
これらのマウスの糖尿病の表現型に調査するために、経口グルコース負荷試験は、D−グルコースの体重に対し2mg/gの投与量を胃内に投与し、Accu−検査の血中グルコース計測器(ロシュ)を使用して、通常の間隔で血中グルコース濃度を測定することによって実施された。表13は、高脂肪食餌のQβ免疫化マウスは、注射後30分で318.5mg/dlのピークとなり、チャレンジ後60分まで有意な減少を示すことが出来なかった;その後で血中グルコース濃度は減少し始めたが、しかしながら2時間の観察期間内に基線レベルに戻らなかった。グルコース・クリアランスにおけるこの重症の障害は、肥満Qβ−免疫マウスが糖尿病の表現型を発病したことを示す。肥満のQβ−mIL−1β116-269(D145K)マウスは、血中グルコース濃度−318.6mg/dlまでの初期増加を示し、直ちに持続性の減少が続き、結果として肥満Qβ免疫化の対照マウスよりも一貫して低いグルコール濃度になった。これらのマウスでは、チャレンジ後2時間で、血中グルコール濃度がチャレンジ前の濃度に戻った。表13に示す反復グルコース測定の結果から曲線下面積を計算する場合、肥満のQβ−mIL−1β119-269免疫マウスは、肥満Qβ免疫化の対照マウスに比べて改良されたグルコース・クリアランスを示すことが明らかになった(表14)。これらのデータをまとめると、Qβ−mIL−1β119-269(D145K)による免疫化は、食餌性糖尿病の表現型の明白な改善に結果としてなることを示した。
表12:平均体重及び絶食5時間後の空腹時血糖(平均±SEM)
表13:2mg/gグルコースの胃内投与の前及びその後の様々な時間ポイントにおける血中グルコース濃度(mg/dl;平均±SEM)マウスは、実験前の5時間の間、絶食させた。
表14:免疫マウスのグルコース・クリアランス。表2に示される連続的なグルコース測定の結果である曲線下面積(AUC)は、個々のマウスについて算出された。AUCのグループ平均はSEMと共に示す。基線下のピークは、解析から除外した。
雄C57BL/6マウスにおける食餌性2型糖尿病の改善
マウスIL−1βのアミノ酸119-269をコードするDNA配列は、PCRによって、TNFα−活性化マウス・マクロファージのcDNAから、オリゴヌクレオチドIL1β−3(5'−ATATATGATATCCCCATTAGACAGCTGCACTACAGG−3';配列番号226)及びIL1β−2(5'−ATATATCTCGAGGGAAGACACAGATTCCATGGTGAAG−3';配列番号227)を使用して増幅し、ベクターpET42Tにクローニングした(実施例7)。結果として生じたプラスミドpET42T−mIL−1β119-269は、C末端にシステインを含むリンカー及びヘキサヒスチジン・タグに融合させた成熟マウスIL−1βタンパク質をコードする。EcoRV制限部位の導入により、マウスIL−1βのN末端におけるバリン残基は、3つのアミノ酸(MDI)からなる短いN末端基伸長によって置換される。プラスミドpET42T−mIL−1β116-269の部位指定変異によって、配列番号201のC末端タグを有するヒトIL−1β変異タンパク質hIL−1β116-269(D145K)(配列番号136)のマウスのバージョン、すなわちmIL−1β116-269(D145K)(配列番号228)をコードする発現ベクターを構築した。突然変異は、Quik−Change(登録商標)部位指定変異キット(ストラタジーン)とオリゴヌクレオチドD143K−1(5’−CAGTGGTCAG GACATAATTA AATTCACCAT GGAATCTGTGTC−3’; 配列番号229)及びD143K−2(5’−GACACAGATT CCATGGTGAA TTTAATTATG TCCTGACCACTG−3’;配列番号230)を使用して導入された。変異タンパク質mIL−1β116-269(D145K)の発現及び精製は、実施例1にて説明したように実施され、Qβへの結合は実施例2にて説明したように実施された。
雄C57BL/6マウス(8週齢、n=8)のグループは、日0、14、28、42及び147に、QβかQβ−mIL−1β119-269(D145K)の何れかの50μgによって、皮下に免疫化された。日0から開始し、実験を通して、マウス(n=16)の半分は高脂肪食餌(Provimi Kliba no.2127:23.9%のタンパク質、35%の脂肪、4.9%の繊維、5%の灰、23.2%の糖質)を与えられ、残りの半分は(n=16)は正常な食餌(Provimi Kliba no.3436:18.5%のタンパク質、4.5%の脂肪、4.5%の繊維、6.5%の灰、54%の糖質)で飼育された。8月後、高脂肪食餌を与えられたマウスは肥満(平均体重>45g)となり、上昇した空腹時グルコース濃度を示した(表12)。
これらのマウスの糖尿病の表現型に調査するために、経口グルコース負荷試験は、D−グルコースの体重に対し2mg/gの投与量を胃内に投与し、Accu−検査の血中グルコース計測器(ロシュ)を使用して、通常の間隔で血中グルコース濃度を測定することによって実施された。表13は、高脂肪食餌のQβ免疫化マウスは、注射後30分で318.5mg/dlのピークとなり、チャレンジ後60分まで有意な減少を示すことが出来なかった;その後で血中グルコース濃度は減少し始めたが、しかしながら2時間の観察期間内に基線レベルに戻らなかった。グルコース・クリアランスにおけるこの重症の障害は、肥満Qβ−免疫マウスが糖尿病の表現型を発病したことを示す。肥満のQβ−mIL−1β116-269(D145K)マウスは、血中グルコース濃度−318.6mg/dlまでの初期増加を示し、直ちに持続性の減少が続き、結果として肥満Qβ免疫化の対照マウスよりも一貫して低いグルコール濃度になった。これらのマウスでは、チャレンジ後2時間で、血中グルコール濃度がチャレンジ前の濃度に戻った。表13に示す反復グルコース測定の結果から曲線下面積を計算する場合、肥満のQβ−mIL−1β119-269免疫マウスは、肥満Qβ免疫化の対照マウスに比べて改良されたグルコース・クリアランスを示すことが明らかになった(表14)。これらのデータをまとめると、Qβ−mIL−1β119-269(D145K)による免疫化は、食餌性糖尿病の表現型の明白な改善に結果としてなることを示した。
表12:平均体重及び絶食5時間後の空腹時血糖(平均±SEM)
表13:2mg/gグルコースの胃内投与の前及びその後の様々な時間ポイントにおける血中グルコース濃度(mg/dl;平均±SEM)マウスは、実験前の5時間の間、絶食させた。
表14:免疫マウスのグルコース・クリアランス。表2に示される連続的なグルコース測定の結果である曲線下面積(AUC)は、個々のマウスについて算出された。AUCのグループ平均はSEMと共に示す。基線下のピークは、解析から除外した。
Claims (26)
- 糖尿病、好ましくは2型糖尿病を治療するための組成物であって、
(a)少なくとも一つの第1の付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)、及び
(b)少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原
を含んでなり、前記少なくとも一つの抗原はIL-1分子を含み、(a)と(b)は少なくとも一つの第1の及び第2の付着部位を介して結合し、好ましくは前記IL-1分子は、(a)IL-1変異タンパク質;(b)IL-1タンパク質;(c)IL-1成熟断片;(d)IL-1断片;及び(e)IL-1ペプチドからなる群から選択される、組成物。 - 前記IL-1分子は、
(a)ヒトIL-1β117-269(配列番号64);
(b)ヒトIL-1β116-269(配列番号165);
(c)ヒトIL-1β119-269s(配列番号164);及び
(d)配列番号64、配列番号165、又は配列番号164の何れか1つと、少なくとも80%、又は好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は最も好ましくは99%の同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、好ましくはそれからなるIL-1β分子である、請求項1に記載の組成物。 - 前記IL-1分子はIL-1β変異タンパク質であって、好ましくは前記IL-1β変異タンパク質はポリペプチドを含むか又は好ましくはそれからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号64のアミノ酸配列から1から4のアミノ酸残基が異なっており、更に好ましくは前記IL-1β変異タンパク質はポリペプチドを含むか又は好ましくはそれからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号131〜配列番号140及び配列番号205〜配列番号209から選択されるものであり、また更に好ましくは前記IL-1β変異タンパク質はポリペプチドを含むか又は好ましくはそれからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号136である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、
(i)IL-1β分子であって、配列番号165か、又は配列番号136であり、好ましくは配列番号136である前記IL-1β分子;及び
(ii)前記第2の付着部位を含むリンカーであって、GGC(配列番号178)又はGGCG(配列番号188)、好ましくはGGCG(配列番号188)を含むか又は好ましくはそれから成る前記リンカー
を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは前記リンカーは、ペプチド結合を通して前記IL-1β分子のC末端に共有結合する、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。 - 前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は配列番号220から223の何れか一つであり、好ましくは前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は配列番号220である、請求項1から4の何れか一つの組成物。
- 前記IL-1分子が、
(a)ヒトIL-1α119-271(配列番号63);
(b)ヒトIL-1α119-271(配列番号203);
(c)マウスIL-1α117-270(配列番号163);及び
(d)配列番号63、配列番号163、又は配列番号203の何れか1つと、少なくとも80%、又は好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は最も好ましくは99%の同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、又は好ましくはそれからなるIL-1α分子である、請求項1に記載の組成物。 - 前記IL-1分子はIL-1α変異タンパク質であって、好ましくは前記IL-1α変異タンパク質はポリペプチドを含むか又は好ましくはそれからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号63のアミノ酸配列から1から4のアミノ酸残基が異なっており、更に好ましくは前記IL-1α変異タンパク質はポリペプチドを含むか又は好ましくはそれからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号210から配列番号218から選択されるものであり、また更に好ましくは前記IL-1α変異タンパク質はポリペプチドを含むか又は好ましくはそれからなり、前記ポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号210である、請求項1又は6に記載の組成物。
- 前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、
(i)IL-1α分子であって、配列番号203か、又は配列番号210であり、好ましくは配列番号210である前記IL-1α分子;及び
(ii)前記第2の付着部位を含むリンカーであって、GGC(配列番号178)又はGGCG(配列番号188)、好ましくはGGCG(配列番号188)を含むか又は好ましくはそれから成る前記リンカー
を含むか、好ましくはそれからなり、好ましくは前記リンカーは、ペプチド結合を通して前記IL-1α分子のC末端に共有結合する、請求項1、6又は7の何れか一項に記載の組成物。 - 前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、配列番号224又は225であり、好ましくは前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する少なくとも一つの抗原は、配列番号224である、請求項1、6、7又は8の何れか1項に記載の組成物。
- 前記ウイルス様粒子はRNAバクテリオファージのウイルス様粒子であり、好ましくは前記RNAバクテリオファージは
(a) バクテリオファージQβ;
(b) バクテリオファージAP205;
(c) バクテリオファージfr;及び
(d)バクテリオファージGA
からなる群から選択され、更に好ましくは前記RNAバクテリオファージはバクテリオファージQβである、請求項1から9の何れか一項に記載の組成物。 - 前記ウイルス様粒子はRNAバクテリオファージの組換えコートタンパク質、その変異体又は断片を含むか、本質的にそれから成るか、又はそれから成り、好ましくは前記RNAバクテリオファージは
(a) バクテリオファージQβ;
(b) バクテリオファージAP205;
(c) バクテリオファージfr;及び
(d)バクテリオファージGA
からなる群から選択され、更に好ましくは組換えコートタンパク質は配列番号3を含むか又は好ましくはそれからなる、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。 - 前記第1の付着部位は、少なくとも一つの共有結合を経て前記第2の付着部位に連結され、好ましくは前記少なくとも一つの共有結合は、非ペプチド結合である、請求項1から11の何れか一項に記載の組成物。
- 前記第1の付加部位が、アミノ基、好ましくはリジンのアミノ基を含むか、又は好ましくはそれである、請求項1から12の何れか一項に記載の組成物。
- 前記第2の付加部位が、スルフヒドリル基、好ましくはシステインのスルフヒドリル基を含むか、又は好ましくはそれである、請求項1から13の何れか一項に記載の組成物。
- 前記第1の付加部位がアミノ基であり、且つ前記第2の付着部位がスルフヒドリル基であり;好ましくは前記第1の付加部位はリジンのアミノ基であり、且つ前記第2の付着部位はシステインのスルフヒドリル基である、請求項1から14の何れか一項に記載の組成物。
- 前記第1の付着部位はスルフヒドリル基でなく、又は前記ウイルス様粒子と前記少なくとも一つの抗原との前記結合はジスルフィド結合を含まない、請求項1から15の何れか一項に記載の組成物。
- 前記第2の付着部位のただ一つが、少なくとも一つの非ペプチド共有結合を介して、前記第1の付着部位に会合して、それにより前記抗原の前記ウイルス様粒子への結合が単一且つ均一型式となり、前記第1の付着部位と会合する前記ただ一つの第2の付着部位はスルフヒドリル基であり、前記抗原と前記ウイルス様粒子は、前記会合を介して相互作用し規則正しい反復性抗原アレイを形成する、請求項1から16に記載の組成物。
- 前記第1の付着部位は少なくとも一つの共有結合を経て前記第2の付着部位に結合され、前記共有結合はペプチド結合であり;好ましくは前記ウイルス様粒子はRNAバクテリオファージの組換えコートタンパク質、その変異体又は断片を含むか、本質的にそれからなるか、あるいはそれからなり、前記少なくとも一つの抗原は、前記組換えコートタンパク質、その変異体又は断片のN末端又はC末端に融合する、請求項1から11の何れか一項に記載の組成物。
- 前記RNAバクテリオファージは、
(a) バクテリオファージAP205;
(b) バクテリオファージfr;及び
(c)バクテリオファージGAからなる群から選択され、好ましくは前記RNAバクテリオファージはバクテリオファージAP205である、請求項18に記載の組成物。 - 前記少なくとも一つの第2の付着部位を有する前記少なくとも一つの抗原は更にリンカーを含み、前記リンカーは前記第2の付着部位を含むものであり、前記リンカーは、一つのペプチド結合を介して前記抗原に会合する、請求項1から19に記載の組成物。
- 糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療のためのワクチンであって、請求項1から20の何れか1つの組成物を、好ましくはその有効量で含むか、あるいはそれから成る、ワクチン。
- (i)好ましくは有効量の、請求項1から20の何れか1つの組成物である第1の組成物であって、前記第1の組成物に含まれるIL-1分子は、好ましくは配列番号136又は配列番号165のIL-1β分子である第1の組成物;及び
(ii)好ましくは有効量の、請求項1から20の何れか1つの組成物である第2の組成物であって、前記第2の組成物に含まれるIL-1分子は、好ましくは配列番号203又は配列番号210のIL-1α分子である第2の組成物を含む、請求項21に記載のワクチン。 - 前記ワクチンはアジュバントを含まない、請求項21又は22に記載のワクチン。
- 糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療のための医薬組成物であって、
(a) 請求項1から20の何れかの組成物又は請求項21から23の何れか一つのワクチン;及び
(b)薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。 - 糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療方法であって、請求項1から20の何れか一つの組成物の、請求項21から23の何れか一つのワクチンの、及び/又は請求項24の医薬組成物の免疫学的有効量を、動物に、好ましくはヒトに、投与することを含む、方法。
- 動物、好ましくはヒトの糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療用医薬の製造における、請求項1から20の何れか一つの組成物の、請求項21から23の何れか一つのワクチンの、及び/又は請求項24に記載の医薬組成物の使用。
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