ハイブリッドパワートレーンは、自動車の燃料消費を改善するために、人気が上昇している方法である。用語「ハイブリッド」とは、在来の内燃エンジンとエネルギ貯蔵システムの組合せをいい、典型的には、エンジンが発生させた過剰なエネルギ及び制動によって回収されたエネルギを受入れ且つ貯蔵する機能、及び、このエネルギを必要な時に再供給してエンジンを補完する機能を使用する。このことは、動力(パワー)の発生と消費とを分離し、それにより、負荷要求を満たすのに充分な動力を利用することを確保しながら、内燃エンジンがより効率的に作動することを可能にする。
非特許文献1に記載されているように、既知の形式のハイブリッドパワートレーンは、並列ハイブリッド及び直列ハイブリッドを含んでおり、非特許文献1の全開示を本明細書に援用する。並列ハイブリッドであれば、伝統的なエンジンによって動力が供給される伝動装置が、2次伝動装置と共に互いに並列に配置されている。このことは、エンジンまたはエネルギ貯蔵装置の一方が、他方に対して独立に又は他方と同時に、車両を推進させる能力を付与する。図1を参照すると、直列ハイブリッドシステム2は、典型的にはエンジン6及びポンプ8を有するパワープラント4と、アキュムレータ等のエネルギ貯蔵装置10と、駆動モータ12と、駆動ホイール14とを有している。直列ハイブリッドシステム2であれば、エンジンが動力を供給する伝動装置が存在せず、その代わりに、エンジン6は、エネルギ貯蔵装置10内のエネルギを一定レベルに維持するのに使用される。貯蔵されたエネルギは、車両を推進させるのに使用される。直列ハイブリッドの構成により、動力発生システムと動力消費システムを分離することを可能にし、各々が最適な仕方で制御されることを可能にする。
直列液圧ハイブリッドパワートレーンシステムの一例が特許文献1(O' Brien II)に開示され、特許文献1の全開示を本明細書に援用する。液圧ハイブリッドパワーシステムは、出力に高圧流体を発生させるパワープラントを有している。パワープラントは、在来の内燃エンジン、タービンエンジン、バッテリや燃料電池等によって動力が供給される電気モータ等のエンジンを含む。高圧流体に応答する駆動モータが、エンジンに連結されている。駆動モータは、高圧導管を介してアキュムレータと流体的に連通しており、アキュムレータは、高圧液圧流体のためのエネルギ貯蔵装置又はリザーバとして作用する。作動モードを選択するためのモード選択手段が、パワープラントの出力及び駆動モータに連結され、作動モードは、駆動モード、ニュートラルモード、リバースモード、及びパークモード等を含む。所望の作動モードの下で駆動モータの作動を制御する制御システムが、パワープラント及び駆動モータに接続されている。
作動の際、運転手が、液圧ハイブリッドパワートレーンシステムを備えた車両のアクセルを踏むと、駆動モータの変位が増大して、追加トルクを生じさせ、それにより、車両を推進させる。モータの中を流れるオイルは、アキュムレータから供給されるので、貯蔵されているオイル量が減少し、従って、液圧ハイブリッドパワートレーンシステムの圧力を低下させる。圧力が特定の最小値よりも低くなると、エンジンが作動して液圧ポンプを駆動し、アキュムレータの補給を行う。特定の圧力に到達すると、エンジンを停止させる。
任意のハイブリッドシステムの設計者が直面している1つの課題は、「ハイブリッドストール」として知られている現象において、エネルギ貯蔵装置が完全に枯渇するようになることを防止することである。電気ハイブリッドシステム、特にリチウムバッテリ化学反応を使用するハイブリッドシステムの場合、バッテリの枯渇は、バッテリパックに深刻なダメージを与えることがある。液圧ハイブリッドシステムにおいても、エネルギ貯蔵装置の枯渇は問題である。図2は、在来の液圧ハイブリッド車両が停止状態から急加速するときの速度プロファイルとオイル容量プロファイルとを比較した一例を示す。典型的には、液圧ハイブリッドストールの際、アキュムレータは空になっており、エンジンは、車両の推進及びアキュムレータの再充填の両方に充分な動力を供給することができない。この状況において、システムは、もはや圧力制御モードで作動しておらず、流量制御モードで作動している。この状況からの回復のために、在来の液圧ハイブリッド車両を減速させて、オイルをアキュムレータ内に貯蔵することを可能にする必要がある。
以下の説明は本発明の本質の単なる例示であり、本発明、その用途または使用方法を限定するものではない。また、全図面を通して、同じ参照番号は、同一また同様の部品及び特徴を示すものと理解すべきである。またここに開示する方法に関して、説明する段階は本質の例示であり、したがって、必須のものでもないし厳格なものでもない。
本明細書は、遅延装置100、及びハイブリッドシステム2の駆動モータを制御する方法を含む。特に、遅延装置100は、システムの圧力が予め定められた最小圧力よりも低下したときに、アキュムレータ等のエネルギ貯蔵装置10からのオイル等の液圧流体の流量を減少させるように構成されている。予め定められた最小圧力は、それよりも圧力が低くなるとハイブリッドストールが生じることがある圧力である。遅延装置100の効果は、特に、駆動モータ12の利用可能な変位を減少させることによって、駆動モータ12への液圧流体の流量を遅延させ(抑制し)、ハイブリッドストールを防止することにある。加えて、流体の漏れ等の機械の故障によるハイブリッドストールが起こった場合、遅延装置100は、ハイブリッドストールからの積極的且つ迅速な回復を容易にする。
図3を参照すると、図3は、本発明の遅延性能を有する液圧ハイブリッド車両の速度プロファイルとオイル容量プロファイルの比較を示す。液圧ハイブリッド車両が停止状態から急加速するとき、遅延性能を有する液圧ハイブリッド車両は、システムの予め定められた最小圧力に達するまで加速し続ける。引き続いて、例えばエネルギ貯蔵装置10を再充填することによって、オイルの流量を減少させ、オイル容量を増大させることを可能にし、液圧ハイブリッド車両が、ストールを発生させることなしに所望の速度に達することを可能にする。遅延装置100を有する液圧ハイブリッド車両は、遅延性能を有していない既知の車両よりも低い加速度しか有していないけれども、遅延装置100を採用することにより、液圧ハイブリッド車両の作動中のハイブリッドストールの発生を望ましくは最小にすることを理解すべきである。
図4〜図6に示すように、本発明の1つの実施形態による遅延装置100は、第1の端部104及び第2の端部106を有するハウジング102を含んでいる。第1の端部104は、システム入口108を有し、第2の端部106は、それに形成された孔110を有している。遅延装置100は、更に、ピストン組立体112を有している。ピストン組立体112は、ハウジング102の孔の中に摺動可能に配置されている。ピストン組立体112は、作動リンク116に連結されたピストンヘッド114を含んでいる。ピストンヘッド114は、例えば、作動リンク116と一体に形成されるのがよい。ピストンヘッド114は、システム入口108に隣接して配置されている。作動リンク116は、ハウジング102の孔110の中を通るように配置されている。
特定の実施形態では、ピストン組立体112は、システム入口108内に摺動可能に配置されたプッシュロッド118を含んでいる。プッシュロッド118は、ピストンヘッド114に連結されるのがよい。プッシュロッド118及びピストンヘッド114の少なくとも一方は、ハウジング102の内面120に密封的に係合するのがよい。例えば、プッシュロッド118は、ハウジング102の内面120に密封的に係合する少なくとも1つの1次シール122を有している。プッシュロッド118は、ピストンヘッド114及び作動リンク116と一体に形成されてもよい。1つの実施形態では、プッシュロッド118は、例えばプッシュロッド118とピストンヘッド114とねじ山を介して係合させることによって、ピストンヘッド114及び作動リンク116に取外し可能に連結される。
スプリング126が、第2の端部106とピストンヘッド114との間のハウジング102内に配置されている。特に、スプリング126は、ピストンヘッド114に接触している。ピストンヘッド114は、スプリング118によって第1の端部104に向かって付勢され、システム入口108に付与される力によって第2の端部106に向かって付勢される。この力は、液圧力、空気力、機械的な力及び電気機械的な力等のうちの少なくとも1つであるのがよい。システム入口108に付与される力が、例えば、ハイブリッドシステム2の液圧によって生じる液圧力である場合、1次シール122により、ピストン組立体112をそれに付与される液圧を介して作動させることを可能にする。ピストンヘッド114は、その上に、ハウジング102の内部への液圧流体の漏れを防止する2次シール124を有していてもよいことを理解すべきである。1次シール122及び2次シール124は、Oリングの形態であるのがよいけれども、その他の適当なシール形式を採用してもよいことを理解すべきである。
1つの例では、スプリング126は、作動リンク116の上に配置される。他の例では、スプリング16は、作動リンク116に隣接して配置される。スプリング126は、遅延装置100を有するハイブリッドシステム2の予め定められた最小圧力に達したときに、ピストンヘッド114をハウジング102の第1の端部104に向かって付勢するように選択される。例示として、スプリング126のばね定数は、予め定められた最小圧力に達したときにスプリング126がピストンヘッド114を充分に付勢するように選択される。液圧ハイブリッドパワートレーンシステム用の非制限的な一例として、スプリング126は、約1000〜約4600psi(約6.89〜約31.7MPa)の範囲内で反応するように選択されるのがよい。スプリング126はまた、予め定められた最小圧力が得られたときにスプリング126がピストンヘッド114を充分に付勢することを可能にするために、所望レベルまで予荷重が付与されるのがよい。適当なスプリング126は、コイルスプリング、螺旋形スプリングまたはガススプリングのうちの少なくとも1つを含むことを理解すべきである。当業者は、望むようにスプリング126及び予荷重を選択するのがよい。
他の実施形態では、遅延装置100は、ハウジング102の第1の端部104に連結される端キャップ128を含むのがよい。端キャップ128は、ハイブリッドシステム2の高圧導管162’(図7参照)に流体連通可能に配置されるように構成されている。しかしながら、端キャップ128は、システムの液圧の測定値を得ることができるハイブリッドシステム2の任意の部分と流体連通可能に配置されてもよいことを認識すべきである。端キャップ128はまた、望むように、ハイブリッドシステム2からの液圧流体の流出を容易にする流出弁130’(図7及び図8参照)を含むのがよい。
図4〜図6を参照すると、或る実施形態における遅延装置100は、調節可能なスプリング予荷重キャップ132を含んでいる。スプリング予荷重キャップ132は、ハウジング102の第2の端部106の孔110の中に配置されている。スプリング予荷重キャップ132は、所望の予荷重をスプリング126に付与するように構成されている。非制限的な例として、調節可能なスプリング予荷重キャップ132は、第1のねじ山134を有し、第1のねじ山134は、ハウジング102の内面120に形成された第2のねじ山136と協働する。当業者は、ハウジング102とねじ山を介して協働する調節可能なスプリング予荷重キャップ132を回転させることによって、ハウジング102内に配置されたスプリング126に付与される予荷重を、望むように調節可能であることを理解すべきである。
本発明による遅延装置100はまた、スリーブブッシング138を含むのがよい。スリーブブッシング138は、作動リンク116とスプリング予荷重キャップ132の間に配置されている。特に作動リンク116が遅延装置100の作動と共に孔110の中を移動する場合、スリーブブッシング138は、スプリング予荷重キャップ132と作動リンク116の間の摩擦を最小にする材料で形成される。スリーブブッシング138は、自己潤滑性、高い耐摩耗性及び耐食性を有する材料で形成されるのがよい。非制限的な例として、スリーブブッシング138は、Beemer Precision, Inc.(Fort Washington、ペンシルベニア州)から商業的に入手できるOilite(登録商標)青銅等の、自己潤滑性オイル含浸焼結金属で形成されるのがよい。スリーブブッシング138のための他の適当な材料を、望むように選択してもよい。
遅延装置100は、ハイブリッドシステム2に直接取付けられるのがよい。図4及び図6に示すように、遅延装置100は、少なくとも1つの位置決めピン孔140と、少なくとも1つのボルト孔142を有し、それにより、ハイブリッドシステム2への遅延装置100の取付けを容易にする。当業者は、遅延装置100をハイブリッドシステム2に取付けるための他の手段を採用してもよいことを認識すべきである。
ここで図6を参照すると、液圧ハイブリッドパワートレーンシステム等のハイブリッドシステム2における遅延装置100の使用例が示されている。図6では、液圧ハイブリッドパワートレーンシステムに関連している遅延装置100が記載されているけれども、遅延装置100は、力の入力及び出力のバランスが望まれる任意のシステムに使用されてもよいことを理解すべきである。例えば、遅延装置100は、他の種類のハイブリッドパワートレーンシステムと使用されてもよい。同様に、遅延装置100は、ハイブリッド風力タービンパワー(発電)システム、ハイブリッド波力及び潮力パワー(発電)システム等のハイブリッドパワー(発電)システムの効率を改善するのに採用されてもよい。
ハイブリッドシステム2は、少なくとも1つの駆動モータ12を有している。少なくとも1つの駆動モータ12は、パワープラント4及びエネルギ貯蔵装置10(以下、アキュムレータ10と呼ぶ。)の少なくとも一方からの流体の流量に応答する。制御システム144は、例えば少なくとも1つの入口または出口146を介して、パワープラント4及び少なくとも1つの駆動モータ12に連結される。制御システム144は、当該技術分野で知られているように、パワープラント4及び少なくとも1つの駆動モータ12の作動を複数の作動モードで制御するように構成されている。例えば、制御システム144は、特許文献1(その全開示は本願に援用する)に開示されているように、パワープラント4及び少なくとも1つの駆動モータ12を作動させる。
遅延装置100のシステム入口108は、パワープラント4及びアキュムレータ10の少なくとも一方と流体連通している。作動リンク116は、制御システム144に作動的に連結されている。遅延装置100は、ハイブリッドシステム2内の流体の圧力が予め定められた最小圧力よりも低下したときに少なくとも1つの駆動モータ12への流体の流量を減少させるように構成されている。液圧装置がハイブリッドシステム2の一部として採用されている場合、システム入口108に付与される力は、ハイブリッドシステム2内の流体圧力からの液圧力であることを理解すべきである。
図6に示す特定の実施形態では、制御システム144は、作動リンク116に連結される摺動プレート146を含んでいる。摺動プレート146は、制御システム144の表面に形成されたガイド溝148内に摺動可能に配置されている。摺動プレート146は、それが摺動することによりハイブリッドシステム2内の流体の圧力が変化するように構成されている。例えば、システムの流体圧力が変化するとき、ピストンヘッド114は、システム入口108における力及びスプリング126のうちの一方によって、第1の端部104及び第2の端部106のうちの一方に向かって付勢される。摺動プレート146は、それに枢動可能に連結されたカム150を有している。カム150は、シース152に取付けられ、アクセルケーブル154は、シース152の中を通るように配置されている。アクセルケーブル154は、その一端がペダル(図示せず)に取付けられ、その他端が制御システム144の作動バルブ156に取付けられている。オペレータがハイブリッドシステム2からのパワーを要求するとき、オペレータは、アクセルケーブル154を使用する。シース152は、アクセルケーブル154の利用可能な変位を機械的に制限することによって、オペレータが追加のパワーを要求することができないようにする。
作動に際し、システムの流体圧力が予め定められた最小圧力よりも高い場合、ピストンヘッド114が第2の端部106に向かって付勢され、アクセルケーブル154の利用可能な変位を最大にする。システムの流体圧力が予め定められた最小圧力よりも低い場合、ピストンヘッド114が第1の端部104に向かって付勢され、アクセルケーブル154の利用可能な変位を最小にする。システムの流体圧力が予め定められた最小圧力よりも低い場合、遅延装置100は、オペレータの入力を、ハイブリッドシステム2の能力内の「ランプ」デマンド(“ramped” demand)に有効且つ機械的に変換し、それにより、液圧ハイブリッドストールを防止し且つパワープラント4がアキュムレータ10を再充填することを可能にする。
制御システム144は、更に、変位制御モジュール158を含んでいる。変位制御モジュール158は、当該技術分野で知られているように、エンジン6、ポンプ及び駆動モータ12のうちの少なくとも1つを制御する比例力倍増器(proportional force multiplier)として機能する。変位制御モジュール158は、作動バルブ156に作動的に連結され、それにより、アクセルケーブル154を介してオペレータによって制御される。図6に示す制御システム144は、変位制御モジュール158を制御するためのカム150と作動バルブ156の構成を示すが、変位制御モジュール158を制御するためのギヤ、液圧、空気圧、電子部品等を本発明の範囲内で使用してもよいことを理解すべきである。
図7及び図8は、本発明の他の実施形態を示す。図4〜図6と同様の構造部品は、そのことを明らかにするために、同じ参照番号と符号(’)を有している。
遅延装置100’は複数のスプリング126’と調節可能な複数のスプリング予荷重キャップ132’を有している。スプリング126’は、ピストンヘッド114’とスプリング予荷重キャップ132’の間に配置されている。スプリング126’はまた、作動リンク116’に隣接して配置されている。例えば、複数のスプリング126’は、作動リンク116’の周囲に配置されてもよいし、スプリング予荷重キャップ132’から突出しているスプリングガイド160’の上に配置されてもよい。複数のスプリング126’は、望むように、単一または複数のピストンヘッド114’をハウジング102’の第1の端部104’に向かって付勢するのがよい。
図7及び図8に更に示すように、制御システム144’は、ハイブリッドシステム2のポンプ8及び駆動モータ12の変位を制御するためのギヤ型変位制御モジュール158’を含んでいる。ギヤ型変位制御モジュール158’は、オペレータが追加の動力をハイブリッドシステム2から要求することが直接できないように構成されている。摺動プレート146’は、ギヤ型変位制御モジュール158’に作動的に連結されている。
作動に際し、システムの流体圧力が予め定められた最小圧力よりも高い場合、ピストンヘッド114’は、第2の端部106’に向かって付勢され、摺動プレート146’は、オペレータが最大の動力をハイブリッドシステム2から要求することを可能にする。システムの流体圧力が予め定められた最小圧力よりも低い場合、ピストンヘッド114’は、第1の端部104’に向かって付勢され、摺動プレート146’は、オペレータが動力をハイブリッドシステム2から要求することができないようにする。それにより、遅延装置100’は、液圧ハイブリッドストールを防止し、パワープラント4がアキュムレータ10を再充填することを可能にする。
本発明の遅延装置100、100’は、特にハイブリッドシステム2内の流体圧力が予め定められた最小圧力よりも低下すると、少なくとも1つの駆動モータ12への流体の流量を減少させる場合に、全ての電子装置から独立して作動できることを認識すべきである。変形例では、ハイブリッドシステム2は、ハイブリッドシステム2の燃料効率を更に改善するための電子制御装置(図示せず)を含むのがよい。
本発明はまた、ハイブリッドシステム2を作動させる方法を提供する。本発明の遅延装置100、100’は、システムの圧力を連続的に監視し、且つこの圧力の値とシステムの予め定められた最小圧力(この最小圧力より低いと、液圧ハイブリッドストールが緊迫する)とを比較することによって機能する。オペレータが加速のためのパワーを要求し且つシステムの圧力が低下し始めると、遅延装置100、100’は、アクセルケーブルの相対移動を機械的に制御し且つ制限することにより、システムが得ることができるパワーよりも大きいパワーをオペレータが要求することを禁止する。オペレータはアクセルペダルの移動のいかなる「停止」または「移動止め」も感知しないが、遅延装置100、100’が、オペレータの入力を、システムの能力範囲内の「ランプ」デマンドに有効且つ機械的に変換し、これにより液圧ハイブリッドストールを防止する。
本発明の方法はまた、遅延装置100、100’がハイブリッドストールを防止すべく作動する所望の所定最小圧力を調節するため、少なくとも1つのスプリング126、126’を選択する段階を有している。他の実施形態では、本発明の方法は、ハイブリッドストールを防止すべく遅延装置100、100’が作動する所望の所定最小圧力を得るため、例えば少なくとも1つのスプリング予荷重キャップ132、132’を調節することによって、少なくとも1つのスプリング126、126’に所望の予荷重を付与する段階を有している。
当業者は、本発明による遅延装置100、100’が船、ボートまたは潜水艇等の浮揚船舶または潜水船舶用推進システム及びヘリコプター等の推進システム(但しこれらに限定されない)の多くのハイブリッドシステム2に使用できることを理解すべきである。本発明のハイブリッドシステム2は、風力タービン等の静止用途にも使用できる。要するに、本発明は、エネルギの入力及び出力の効率的管理が望まれるあらゆるシステムに使用できる。
以上、本発明を例示する目的で或る代表的実施形態及び詳細を示したが、当業者ならば、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更をなし得ることは明白であろう。